説明

クロピドグレルの改良された調製方法

本発明は、(±)クロピドグレルの単離又は回収の必要性を伴わないでの光学的純粋なクロピドグレル樟脳スルホン酸塩の調製方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、末梢動脈疾患の処理のためのクロピドグレル(clopidogrel)の合成において有用である、光学的に純粋なクロピドグレル樟脳スルホン酸塩の高収率での調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
クロピドグレル(“CLD”)、すなわち下記式(I):
【化1】

【0003】
で表されるメチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートは、末梢動脈疾患、例えば発作、血栓症及び塞栓症、並びに冠動脈疾患、例えば発作、血栓症、塞栓症及び心筋梗塞の処理において効果的である、アデノシン二リン酸(ADP)−誘発された血小板凝集のインヒビターである。類似する性質が、能力的に低いラセミ混合物により示されている(アメリカ特許第4,847,265号を参照のこと)。
【0004】
クロピドグレルは、その硫酸水素塩として投与される。クロピドグレル硫酸水素塩はC16H16ClNO2S.H2SO4の実験式を有する。それは現在、75mgのクロピドグレル塩基に等しい、約98mgのクロピドグレル硫酸水素塩を含むPLAVIX(商標)錠剤として市販されている。PLAVIX(商標)は、中性pHで水に実質的に不溶性であるが、しかし酸性pHで高い溶解性である、白色〜オフホワイト色の粉末である。それは、メタノール、時々塩化メチレンに自由に溶解し、そしてエチルエーテルには不完全に溶解する。
【0005】
鏡像異性体(S)クロピドグレルは、それが医薬的活性化合物であるので、特に好ましい。鏡像異性体的に富化された化合物は、鏡像選択合成により、又は分解方法により鏡像異性体のラセミ混合物から出発して調製され得る。
【0006】
クロピドグレルを調製するための種々の方法が、アメリカ特許第4,847,265号、第5,204,469号、第6,080,875号、第6,495,691号、第6,573,381号、第6,635,763号、第5,132,435号、WO2005/104663号、及びWO2006/137628号に記載されている。
【0007】
アメリカ特許第5,132,435号は、メチルα−(4,5,6,7−テトラヒドロ−5−チエノ[3,2−c]−ピリジル(2−クロロフェニル)アセテートの(R)及び(S)−鏡像異性体の調製方法を記載する。例えば、メチル1−クロロ−(2−クロロフェニル)アセテートが、酸受容体、例えばアルカリ金属の炭酸塩又は炭酸水素塩の存在下でラセミ性メチルα−(4,5,6,7−テトラヒドロ−5−チエノ[3,2−c]−ピリジル(2−クロロフェニル)アセテートを得るために、及び任意には、相転移条件下で、所望するラセミ性クロピドグレル塩基(これは、クロピドグレル塩酸塩として単離される)を得るために、塩基又は塩の形で4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンによりカップリングされる。単離されたラセミ性クロピドグレル塩酸塩はさらに、アセトン中、樟脳スルホン酸により分割され得る。
【0008】
アメリカ特許第5,132,435号に記載される方法は、より長い反応サイクル時間(75時間以上)及び低い収率(33〜39%)をもたらすラセミ性クロピドグレル塩酸塩の単離(追加の段階)を必要とする。
【0009】
WO2005/104663号はまた、ラセミ性クロピドグレルの調製方法を記載する。WO2005/104663号は、ラセミ性クロピドグレルの分解及び結晶性フォームI及びIIを通してのクロピドグレルの硫酸水素塩への転換のための方法を記載する。前記方法は、有機又は無機塩基、例えば炭酸ナトリウムの存在下で、溶媒、例えば水及び/又はジクロロエタンインにおいて、室温でメチル−1−ハロ−(2−クロロフェニル)アセテートにより4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジンをカップリングすることによるラセミ性クロピドグレル塩基の形成を記載する。結果的に、極性及び非極性/弱極性溶媒の組合わせ、例えばアセトン:クロロメタン、アセトン:トルエン及びアセトン:クロロへキサンから選択された溶媒混合物中、無水左旋性−樟脳−10−スルホン酸を用いてのラセミ性クロピドグレル塩基の分割が、メチル−(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−(4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5−イル)アセテートを供給する。この方法はまた、より長い反応サイクル時間及び低収率をもたらす、ラセミ性クロピドグレル硫酸水素塩の単離を、分割の前に、必要とする。
【0010】
アメリカ特許第4,529,596号、第4,847,265号、第5,036,156号、第5,189,170号及びWO2006/0137628号は、ラセミ性クロピドグレル又はクロピドグレルの種々の調製方法を言及する。それらの方法はまた、左旋性樟脳スルホン酸によるその分割の前、追加の反応段階の増加を導くクロピドグレル酸塩の形成、例えば酸塩の形成及び遊離塩基の製造を包含する。それにより、(1)消費される溶媒及び試薬の量、(2)反応サイクル時間、(3)面倒な作業及び分離、及び(4)流出負荷を高め;究極的には、不良な収率でのクロピドグレルの形成をもたらす。
【0011】
アメリカ特許第6,737,411号及びアメリカ公開番号2005/0059696号は、クロピドグレル硫酸水素塩の調製を記載する。
本発明は、面倒な工程及び分離を必要としないで、鏡像異性体に純粋な又は鏡像異性体的に富化された生成物の入手を可能にする、改良されたクロピドグレルの調製方法を提供する。
【発明の開示】
【0012】
発明の要約
1つの態様においては、本発明は、(a)4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩(“式III”)と、o−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテート(“式IV”)とを、酸受容体の存在下で反応せしめ、(±)−メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートを生成し;そして(b)(±)メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテート(“クロピオグレルラセミ体”)と、(−)−10−樟脳スルホン酸とを現場反応せしめ、式IIのメチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテート(“CLD-CSA”)の(−)−10−樟脳スルホン酸塩を得ることを含んで成る、メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩の調製方法を包含する。好ましくは、段階(a)の反応は、任意には、相転移条件下で二相溶媒系において行われる。この二相系は好ましくは、水及び水不混和性有機溶媒混合物から構成される。
【0013】
【化2】

【0014】
もう1つの態様においては、本発明は、(a)(R)クロピドグレル又は(R)及び(S)クロピドグレル(“式VI”)の混合物と塩基とを一緒にし、(S)クロピドグレルがさらに富化された(R)及び(S)クロピドグリルのラセミ混合物(“式VII”)を得;そして(b)前記(S)クロピドグレルがさらに富化された(R)及び(S)クロピドグリルのラセミ混合物(“式VII”)と、左旋性樟脳スルホン酸とを反応せしめ、(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩(“式II”)を得ることを含んで成り、ここで前記段階(a)及び(b)が前記(R)及び(S)クロピドグレルのラセミ混合物と硫酸とを反応せしめる中間段階を伴わないで実施されることを特徴とする、(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩(“CLD-CSA”)の調製方法を包含する。
【0015】
好ましくは、前記方法は、段階(a)の前、(R)クロピドグレル又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物(“式VI”)を調製することを含んで成り、この方法は、(R)クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩の母液又は(R)及び(S)クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩の混合物(“式V”)と、塩基とを有機溶媒中で一緒にし、(R)クロピドグレル又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物(“式VI”)を得ることを含んで成る。
【0016】
【化3】

【0017】
もう1つの態様においては、本発明は、従来の技法による、式IIのCLD−CSA塩から(S)−クロピドグレルの医薬的に許容できる塩の調製方法を包含する。好ましくは、塩は、硫酸水素塩である。
もう1つの態様においては、本発明は、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(“DMF”);及び0−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを一緒にし、(±)クロピドグレルを含む反応混合物を得;そして(±)クロピドグレルを、(±)クロピドグレルの回収を伴わないで、クロピドグレル樟脳スルホネートに転換することを含んで成る、クロピドグレル樟脳スルホネートの調製方法を包含する。好ましくは、前記方法は、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩及び/又は塩基を、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩、トルエン、ジメチルホルムアミド;及び0−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートの組合わせに添加することをさらに含んで成る。
【0018】
もう1つの態様においては、本発明の方法は、(a)4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩と、o−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートとを、酸受容体の存在下で反応せしめ、(±)−メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートを生成し;(b)(±)メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートと、(−)−10−樟脳スルホン酸とを現場反応せしめ、メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩を得、ここで前記樟脳スルホネートが、反応混合物(母液)に(R)−クロピドグレルを残す反応混合物から沈澱し;(c)母液に残存する(R)クロピドグレル又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物と塩基とを一緒にし、(S)クロピドグレルがさらに富化された(R)及び(S)クロピドグリルのラセミ混合物を得;(d)前記(S)クロピドグレルがさらに富化された(R)及び(S)クロピドグリルのラセミ混合物と、左旋性樟脳スルホン酸とを反応せしめ、(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩を得、ここで前記段階(c)及び(d)が前記(R)及び(S)クロピドグレルのラセミ混合物と硫酸とを反応せしめる中間段階を伴わないで実施され;そして(e)(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩を、(S)−クロピドグレル硫酸水素塩に転換することを含んで成る、(S)−クロピドグレル硫酸水素塩の調製方法を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の特定の記載
本明細書において使用される場合、用語“CLD-CSA”とは、(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩、すなわち式IIの、メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩を意味する。
【0020】
本明細書において使用される場合、用語“CSA”とは、樟脳スルホン酸を意味する。
本明細書において使用される場合、用語“クロピドグレルラセミ体”とは、(±)−メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートを意味する。
【0021】
本発明は、ラセミ性クロピドグレル及び医薬的に許容できるその塩を単離する必要なしに、出発材料として、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩及びo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを用いての一段階でのクロピドグレル樟脳スルホン酸の合成方法を提供する。好ましくは、前記塩は硫酸水素塩又は塩酸塩である。
【0022】
本発明の方法は、60重量%以上か又はそれに等しい、好ましくは約65重量%以上か又はそれに等しい、より好ましい約70重量%以上か又はそれに等しい収率でクロピドグレル樟脳スルホン酸(約95%〜約99.9%のキラル純度を有する)を供給することができることが観察される。合計反応サイクル時間は、約18〜22時間であり得る。さらに、出願人は、クロピドグレル樟脳スルホン酸を調製し、そして回収し;そしてクロピドグレル樟脳スルホン酸を、クロピドグレル硫酸水素塩に転換するために必要とされる全体の段階数を、好ましくは5反応段階に少なくした。
【0023】
本発明の方法は、分解の前、ラセミ性クロピドグレル塩酸塩を単離する必要性を回避する。従って、単離段階を排除することにより、本発明は、短い反応時間を必要とし、少ない試薬及び溶媒を消費し、面倒な工程及び分離の必要性を伴わないで、鏡像異性体的に純粋な又は鏡像異性体的に富化された生成物の入手を可能にする。従って、本発明の方法は、産業規模の製造のために適切である。
【0024】
1つの態様においては、本発明は、(a)4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩(“式III ”)と、o−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテート(“式IV”)とを、酸受容体の存在下で、任意には二相溶媒系において及び相転移条件下で反応せしめ、(±)−メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテート(“クロピドグレルラセミ体”)を得;(b)前記クロピドグレルラセミ体と、(−)−10−樟脳スルホン酸とを現場反応せしめ、式IIのCLD−CSAを得ることを含んで成る、メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテート(“CLD−CSA”)の(−)−10−樟脳スルホン酸塩の調製方法を包含する(スキーム1を参照のこと)。任意には、段階(b)における(−)−10−樟脳スルホン酸の添加の後、純粋な樟脳スルホネートを播種すること。
【0025】
得られる式IIの化合物はさらに、適切な有機溶媒において再結晶化され、好ましくは約68%〜約80%の収率及び高い光学純度を有するメチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩が得られる。前記光学純度は少なくとも約95%〜約99.9%;好ましくは約98%〜約99.9%である。
【0026】
【化4】

【0027】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、用語“相転移条件”とは、好ましくは相転移触媒を伴って、二相溶媒系において生じる反応条件を意味する。
二相溶媒は典型的には、水及び水−不混和性有機溶媒から成る。好ましくは、二相溶媒系はまた、適切な補助溶媒も含む。好ましくは補助溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMS)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、ヘプタン及びジメチルアセトアミドから成る群から選択される。好ましくは、補助溶媒は、式III の化合物1gに当たり約0.2ml〜約1mlの範囲で存在する。
【0028】
好ましくは、酸受容体は塩基である。より好ましくは、酸受容体は、アルカリ金属の炭酸塩及び炭酸水素塩から成る群から選択された無機塩基である。最も好ましくは、酸受容体は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムである。酸受容体は好ましくは、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩(式III)1モル当たり約1〜約4モルの範囲、より好ましくは約1〜約3モルの範囲の量で使用される。最も好ましくは、酸受容体は、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩(式III)1モル当たり約1.5〜約1.7モルの範囲の量で使用される。
【0029】
好ましくは、二相溶媒系における水不混和性有機溶媒は、式III の化合物1g当たり約2ml〜約10ml、より好ましくは約2ml〜5mlの範囲の量で使用される。好ましくは、水は、式III の化合物1g当たり約0.5ml〜約5ml、より好ましくは約0.5ml〜2mlの範囲の量である存在する。
典型的には、水−不混和性有機溶媒は、C6-C12芳香族炭化水素、ハロゲン化された炭化水素、C3-C8ケトン、C3-C10アルキルエステル及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0030】
ハロゲン化された炭化水素は、環状又は非環状、飽和又は不飽和脂肪族又は芳香族炭化水素を包含するが、但しそれらだけには限定されない。ハロゲン化された炭化水素の例は次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:ハロゲン化されたアルカン(例えば、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジフルオロエタン、ヘキサクロロエタン、又はペンタフルオロエタン);ハロゲン化されたアルケン(例えば、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、塩化ビニル、クロロ−1,3−ブタジエン又はクロロトリフルオロエチレン);ハロゲン化されたベンゼン(例えば、ベンゾトリクロリド、塩化ベンジル、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン又はトリクロロベンゼン)。好ましくはハロゲンは塩素である。好ましいハロゲン化された炭化水素は、芳香族炭化水素又はC1-C4アルカン、及びより好ましくは塩素化された芳香族炭化水素又はC1-C4アルカンである。最も好ましいハロゲン化された炭化水素は、クロロベンゼン、o−又はp−ジクロロベンゼン、ジクロロメタン又はo−クロロトルエンである。
【0031】
典型的には、相転移触媒は、第四アンモニウム塩、ホスホニウム塩、クラウンエーテル及びピリジウム塩から成る群から選択される。適切な第四アンモニウム塩の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:テトラアルキルアンモニウムクロリド(例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド又はテトラブチルアンモニウムクロリド);テトラアルキルアンモニウムブロミド(例えば、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド又はテトラブチルアンモニウムブロミド);ベンジルトリアルキルアンモニウムハロゲン化物(例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムクロリド、又はベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムブロミド);セチルトリアルキルアンモニウムハロゲン化物(例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニイウムブロミド、セチルトリエチルアンモニウムクロリド又はセチルトリエチルアンモニウムブロミド);テトラアルキルアンモニウム水酸化物(例えば、テトラメチルアンモニイウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物、テトラプロピルアンモニウム水酸化物又はテトラブチルアンモニウム水酸化物);又はベンジルトリアルキルアンモニウム水酸化物(例えば、ベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物、ベンジルトリエチルアンモニウム水酸化物、ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウム水酸化物、又は−トリ−n−ブチルアンモニイウム水酸化物)。
【0032】
適切なホスホニウム塩の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:塩化ホスホニウム、臭化ホスホニウム、塩化トリメチルホスホニウム、臭化トリエチルホスホニウム、塩化テトラメチルホスホニウム、臭化テトラメチルホスホニウム、臭化エチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム、臭化ブチルトリフェニルホスホニウム、塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム、臭化メチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、臭化メチルトリフェニルホスホニウム、塩化ブチルトリフェニルホスホニウム、塩化(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウム又はヨウ化ホスホニウム。適切なクラウンエーテルの例は、8−クラウン−6、又は15−クラウン−5を包含するが、但しそれらだけには限定されない。適切なピリジニウム塩の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには制限されない:塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化ラウリルピリジニウム又は塩化ドデシルピリジニウム。
【0033】
好ましくは、相転移触媒は、第四アンモニウム塩である。第四アンモニウム塩は、それらが容易に入手できるので、好ましく、そして使用される場合、所望する生成物を高収率で生成する。より好ましくは、相転移触媒は、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、ベンジルトリアルキルアンモニウムハロゲン化物又はテトラアルキルアンモニウム硫酸水素塩である。好ましくは相転移触媒は、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩(式III)1モル当たり約0.01〜約0.1モルの範囲の量で使用される。
【0034】
好ましくは、o−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテート(式IV)は、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩(式III)1モル当たり約0.8〜約1.5モルの範囲の量で存在する。
【0035】
好ましくは、段階(a)においては、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩(式III)とo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテート(式IV)との間の反応は、約25℃〜約100℃の温度で行われる。より好ましくは、前記反応温度は、約25℃〜約60℃である。結果として、(±)−メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートが、現場形成され、そして単離又は回収を伴わないで、続く段階に使用される。
【0036】
好ましくは、段階(b)においては、樟脳スルホン酸の添加の後、反応混合物は、撹拌下で、約25℃〜約45℃の温度で約2〜約5時間、維持される。樟脳スルホン酸の反応混合物は、約10℃〜約25℃の温度に冷却され、そして好ましくは、撹拌下で、約2〜約8時間、維持される。
【0037】
好ましくは、式IIの化合物の再結晶化は、約3ml〜約12mlの有機溶媒の添加により達成される。適切な有機溶媒は、ハロゲン化された炭化水素、C3-C8ケトン、C3−C10アルキルエステル、又はそれらの混合物を包含するが、但しそれらだけには限定されない。好ましくは有機溶媒は、C3-C8ケトンである。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語“母液”とは、樟脳スルホン酸による分解の後、集められる濾液を言及し、そして樟脳スルホネートは反応混合物から沈澱し、ここで濾液は、(R)クロピドグレルにより富化された(R)及び(S)クロピドグレルの混合物と共に存続する。
【0039】
もう1つの態様においては、本発明は、(R)−クロピドグレル硫酸水素塩又は(R)及び(S)クロピドグレル硫酸水素塩の混合物の形成を伴わないで、(R)クロピドグレルCSA塩又は(R)及び(S)クロピドグレルCSA塩の混合物のその母液からの(S)クロピドグレルCSA塩の回収方法を包含する。従って、この方法は、生成物の収率を改良し、そして全体の反応時間を及び消費される試薬/溶媒の量を減じる。
【0040】
さらなる態様においては、本発明は、本発明は、(a)(R)クロピドグレル、又は(R)及び(S)クロピドグレル(“式VI”)の混合物と塩基とを一緒にし、(S)クロピドグレルがさらに富化された(R)及び(S)クロピドグリルのラセミ混合物(“式VII”)を得;そして(b)(S)クロピドグレルがさらに富化された(R)及び(S)クロピドグリルのラセミ混合物(“式VII”)と、左旋性樟脳スルホン酸とを反応せしめ、式IIのCKD-CSAを得ることを含んで成り、ここで前記段階(a)及び(b)が式VIIの化合物と硫酸とを反応せしめる中間段階を伴わないで実施されることを特徴とする、(S)−クロピドグレルCSA塩(“CLD-CSA”)の調製方法(スキーム2)を包含する。得られるCLD-CSAはさらに、適切な有機溶媒におけるCLD-CSAの再結晶化により精製される。適切な有機溶媒は、ケトンを包含するが、但しそれらだけには限定されない。好ましくは、有機溶媒は、アセトンである。
【0041】
好ましくは、前記方法は、段階(a)の前、(R)クロピドグレル又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物(“式VI”)を調製をすることを含んで成り、この方法は、(R)クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩の母液又は(R)及び(S)クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩の混合物(“式V”)と、塩基とを有機溶媒中で一緒にし、(R)クロピドグレル又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物(“式VI”)を得ることを含んで成る。
【0042】
本発明の方法は、(R)鏡像異性体を、(S)及び(R)鏡像異性体の混合物にラセミ化し、そして上記のようにして2種の鏡像異性体を分離することにより、残存する(R)クロピドグレルの再循環を達成する。当業者が認めるように、その再循環段階は、可能なだけ多くの(R)鏡像異性体を再循環するために多くの回数、反復され得る。
【0043】
【化5】

【0044】
本発明の方法は、式VIの(R)クロピドグレル又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物の遊離塩基の調製のために塩基を用いる。当業者は、多くの塩基が化合物VIの調製のために使用され得ることを理解している。塩基の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには制限されない:有機アミン、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の水素化物、アルカリ土類金属の水素化物、アルカリ又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩。例えば、塩基の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:1,8−ビス(N, N−ジメチルアミノ)ナフタレン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムフェノキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム又は塩基性アルミナ。好ましくは、塩基は炭酸水素ナトリウムである。好ましくは、塩基は、母液1L当たり約0.1〜1.0モル、より好ましくは約0.1〜0.5モルの範囲の量で使用される。
【0045】
塩基はまた、(R)−クロピドグレルをラセミ化するためにも使用され得る。好ましい無機塩基は、水酸化ナトリウム/カリウムであり、そして好ましい有機塩基は、ナトリウム/カリウムC1-C4アルコキシドである。特に好ましい塩基は、ナトリウム/カリウムメトキシドよりも効果的である、ナトリウムt−ブトキシド又はカリウムt−ブトキシドである。
【0046】
塩基、特にアルコキシド、例えばt−ブトキシドは、湿気に対して高い反応性であり、そして添加されるブトキシドが効果的であるためには、有機相は好ましくは、低い水含有率を有する。好ましくは、有機相の水含有率は、カールフィッシャー法により決定される場合、約0.1%以下又はそれに等しく、より好ましくは、約0.5%である。許容できる水レベルを達成した後、触媒量のカリウムt−ブトキシドが有機相に添加される。好ましくは、塩基は、式VIの化合物1モル当たり約0.01〜0.5モル、より好ましくは約0.01〜0.1モルの範囲の量で使用される。前記モル割合はまた一般的に、他の塩基にも適用される。
【0047】
分割は、適切な有機溶媒において行われ得る。適切な有機溶媒は、C6-C12芳香族炭化水素、ハロゲン化された炭化水素、C3-C8ケトン、C3-C10アルキルエステル及びそれらの混合物から成る群から選択される。好ましくは、有機溶媒はトルエンである。
1つの態様においては、CSAは、式VII の化合物1モル当たり約0.1〜1.0モル、より好ましくは約0.4〜0.6モルの範囲の量で使用される。
【0048】
式IIのメチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩は、当業者に知られているいずれかの方法により、好ましくはアメリカ特許第4,847,265号及び第5,132,435号に開示される方法の1つにより、クロピドグレル又はその医薬的に許容できる塩に転換され得る。
【0049】
1つの態様においては、本発明は、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩、トルエン、DMF;及び0−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを一緒にし、(±)クロピドグレルを含む反応混合物を得;そして(±)クロピドグレルを、(±)クロピドグレルの回収を伴わないで、クロピドグレル樟脳スルホネートに転換することを含んで成る、クロピドグレル樟脳スルホネートの調製方法を包含する。好ましくは、前記方法はさらに、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩及び/又は塩基を、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩、トルエン、DMF;及び0−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートの組合わせに添加することをさらに含んで成る。好ましくは、トルエン:DMFの溶媒比は、0.8:4.2(体積による)である。
【0050】
転換の前、水が添加され、二相系が形成され、そして(+)クロピドグレルを含む有機層が続いて分離され得る。追加のトルエン及びDMFが反応混合物に添加され得る。有機層が分離され、そしてメチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩により播種され得る。第1段階におけるトルエン及びDMFの添加の代わりに、他の溶媒の組合わせ、例えばジクロロメタンと水、酢酸エチルと水、ジクロロメタンと水、トルエンと水とDMF、トルエンと水とジメチルスルホキシド、トルエンと水とジメチルアセトアミドが、添加され得る。
【0051】
もう1つの態様においては、本発明は、(a)4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩と、o−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートとを、酸受容体の存在下で反応せしめ、(±)−メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートを生成し;(b)(±)−メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートと、(−)−10−樟脳スルホン酸とを現場反応せしめ、メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩を得、ここで前記樟脳スルホネートが、反応混合物(母液)に(R)−クロピドグレルを残して、反応混合物から沈澱し;(c)母液に残存する(R)クロピドグレル又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物と塩基とを一緒にし、(S)クロピドグレルがさらに富化された(R)及び(S)クロピドグリルのラセミ混合物を得;(d)前記(S)クロピドグレルがさらに富化された(R)及び(S)クロピドグリルのラセミ混合物と、左旋性樟脳スルホン酸とを反応せしめ、(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩を得、ここで前記段階(c)及び(d)が前記(R)及び(S)クロピドグレルのラセミ混合物と硫酸とを反応せしめる中間段階を伴わないで実施され;そして(e)(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩を、(S)−クロピドグレル硫酸水素塩に転換することを含んで成る、(S)−クロピドグレル硫酸水素塩の調製方法を包含する。
【0052】
もう1つの態様においては、本発明は、(S)クロピドグレル硫酸水素塩の調製方法を包含し、ここで前記方法は、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩と、o−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートとを、トルエン、ジメチルホルムアミド及び水の媒体中、炭酸カリウムの存在下で反応せしめ、クロピドグレルラセミ体が形成され、作業の後、有機相が分割のために採取され;有機相に、ジメチルホルムアミド及び樟脳スルホン酸が添加され、そして維持の後、濾過され、メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩が得られ、そしてアセトンにより洗浄され;次に濾液がラセミ化のために採取され;メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩が単離され、そしてそれが、アセトン中、還流により精製され;メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの純粋(−)−10−樟脳スルホン酸塩が酢酸エチル中に取られ、そしてpHが炭酸水素ナトリウムにより8〜8.5に調節され、これが水により洗浄され、そして相分離が行われ、下部水性相が廃棄され、有機相が真空下で蒸留され、クロピドグレル塩基が得られ、これに、アセトンが添加され、溶液が得られ、そしてその溶液に硫酸が添加され、クロピドグレル硫酸水素塩が生成されることを含んで成る。
【0053】
一定の好ましい態様に関して本発明を記載して来たが、他の態様も本明細書の考慮から当業者に明らかに成るであろう。本発明はさらに、(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩の合成を詳細に記載する次の非制限的例により定義される。材料及び方法に対する多くの修飾が本発明の範囲内で実施され得ることは、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0054】
HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)
カラム&充填物 XTerra Phenyl 5μ×4.6×250mm;
パーツ番号186001147又は同等物;
カラム温度:25〜30℃;
溶離剤:500mlの水に溶解されたドデシル硫酸ナトリウム塩(5g)、H3PO4によりpH3.0に調節された、420mlのアセトニトリル、及び80mlのメタノール;
流速:1.3ml/分;
検出器:220nm;
サンプル体積:10μl;
希釈剤:溶離剤:
すべてのpH値は、Toshniwal, Model CL46によるpHメーターを用いて測定された。
【0055】
例1(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
100g(0.57モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、1000mlの反応容器に添加し、これに、400mlのトルエンを、20〜25℃の温度で添加し、そして174g(1.25モル)の炭酸カリウム、80mlの脱イオン化された(“DM”)水、100mlの80mlのジメチルホルムアミド及び10gのテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩を充填した。反応混合物を、20〜25℃の温度で30〜60分間、撹拌した。続いて、反応温度を30〜35℃に高め、そして150g(0.57モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、さらに3〜4時間、撹拌した。反応の完結を、HPLC分析によりモニターした。
【0056】
次に、反応混合物を30℃に冷却し、そして800mlのDM水を添加し、二相系を形成し、そして0.5〜2時間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。水性相を100mlのトルエンにより抽出し、そして有機層を組合せた。有機相に、300mlのトルエン及び50gのDMFを添加し、そして30分間、撹拌し、透明な溶液を得、これに、70gの無水1−10−樟脳スルホン酸を添加し、そして40℃に加熱した。反応混合物を、0.5gのメチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩により播種し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×100mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。次に、100mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そして真空下で乾燥した。
【0057】
次に、メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩の湿った化合物を、還流冷却器を備えた、2000mlの反応容器中に充填した。これに、685mlのアセトン(5.05体積の湿ったCLD-CSA)を添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持した。15〜20℃に徐々に冷却し、濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、300mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。湿ったメチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩を、40〜50℃で真空下で乾燥した。CLD−CSAの収量:110g(70%の収率)。光学純度:99.2%。
【0058】
例2(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
100g(0.57モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、1000mlの反応容器に添加し、これに、400mlのジクロロメタンを、20〜30℃の温度で添加し、そして174g(1.25モル)の炭酸カリウム、80mlのDM水、及び10gのテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩を充填した。反応混合物を、20〜30℃の温度で30〜60分間、撹拌した。続いて、反応温度を35〜40℃に高め、そして150g(0.57モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析によりモニターした。
【0059】
次に、反応混合物を30℃に冷却し、そして800mlのDM水を添加し、二相系を形成した。さらに0.5〜2時間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。水性相を100mlのジクロロメタンにより抽出し、そしてジクロロメタン層と主要有機層とを組合せた。有機相に、800mlのトルエン及び50gのジメチルホルムアミドを添加し、そして30分間、撹拌し、透明な溶液を得、これに、70gの樟脳スルホン酸を添加し、そして40℃に加熱し、次に0.1〜1gのCLD-CSA結晶を添加し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×100mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。
【0060】
次に、100mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。次に、湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、2000mlの反応容器中に充填した。これに10〜12体積のアセトンを添加し、そして反応混合物を加熱還流し、そして6時間、維持した。15〜20℃に徐々に冷却し、濾過し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。湿ったケークを、500mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。湿ったCLD-CSA塩を、40〜50℃で真空下で乾燥した。CLD−CSAの収量:107g(68.15%の収率)。光学純度:99.3%。
【0061】
例3(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
100g(0.57モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、1000mlの反応容器に添加し、これに、400mlの酢酸エチルを、25〜30℃の温度で添加し、そして174g(1.25モル)の炭酸カリウム、80mlのDM水、及び10gのテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩を充填した。反応混合物を、25〜30℃の温度で30〜60分間、撹拌した。続いて、反応温度を40〜60℃に高め、そして150g(0.57モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を35〜40℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析により確かめた。
【0062】
次に、反応混合物を30℃に冷却し、そして800mlのDM水を添加し、二相系を形成し、そして30〜120分間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。水性相に、100mlの酢酸エチルを添加し、そして酢酸エチル層を、主要な有機層と共に組合せた。酢酸エチルを、40〜60℃で減圧下で蒸留した。有機相に、800mlのトルエン及び50gのDMFを添加し、そして30分間、撹拌し、透明な溶液を得、これに、70gの(−)−10−樟脳スルホン酸を添加し、そして40℃に加熱し、次に0.1gのCLD-CSA結晶を添加し、そして4時間、維持した。
【0063】
反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×100mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。次に、100mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。次に、湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、2000mlの反応容器中に充填した。これに10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持し、そして15〜20℃に徐々に冷却し、濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、500mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。得られる化合物を、40〜50℃で減圧下で乾燥し、108g(68.78%の収率)のCLD−CSA塩を得た。光学純度:99.2%。
【0064】
例4(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
20g(0.11モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、500mlの反応容器に添加し、これに、100mlのジクロロメタンを、25〜30℃の温度で添加し、そして34.8g(0.25モル)の炭酸カリウム、16mlのDM水、及び1gのテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩を充填した。次に、反応混合物を、25〜30℃の温度で30〜60分間、撹拌した。続いて、反応温度を40〜60℃に高め、そして30.0g(0.11モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析により確かめた。
【0065】
次に、反応混合物を30℃に冷却し、そして100mlのDM水を添加し、二相系を形成し、そして0.5〜2時間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。水性相に、20mlのジクロロメタンを添加し、そしてジクロロメタン層を、主要な有機層と共に組合せた。ジクロロメタンを、40〜60℃で減圧下で蒸留した。有機相に、160mlのトルエン、10gのジメチルホルムアミド及び12gの(−)−10−樟脳スルホン酸を添加した。0.1gのCLD-CSA結晶を添加し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×20mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。
【0066】
次に、20mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。次に、湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、500mlの反応容器中に充填した。これに、10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持した。15〜20℃に徐々に冷却し、濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、50mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。得られる化合物を、40〜50℃で減圧下で乾燥し、20g(63.69%の収率)CLD−CSA塩を得た。光学純度:99.1%。
【0067】
例5(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
20g(0.11モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、500mlの反応容器に添加し、これに、100mlのジクロロメタンを、25〜30℃の温度で添加し、そして34.8g(0.25モル)の炭酸カリウム、16mlのDM水、及び1gのテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩を充填した。次に、反応混合物を、25〜30℃の温度で30〜60分間、撹拌した。続いて、反応温度を30〜35℃に高め、そして30.0g(0.11モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析により確かめた。
【0068】
次に、反応混合物を30℃に冷却し、そして100mlのDM水を添加し、二相系を形成し、そして0.5〜2時間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。水性相に、20mlのジクロロメタンを添加し、そしてジクロロメタン層を、主要な有機層と共に組合せた。ジクロロメタンを、40〜60℃で減圧下で蒸留した。有機相に、160mlのトルエン、10gのジメチルホルムアミド及び12gの樟脳スルホン酸を添加した。0.1gのCLD-CSA結晶を添加し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×20mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。
【0069】
次に、100mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。次に、湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、500mlの反応容器中に充填した。これに、10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持し、そして15〜20℃に徐々に冷却し、濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、50mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。得られる化合物を、40〜50℃で減圧下で乾燥し、20g(63.69%の収率)CLD−CSA塩を得た。光学純度:99.2%。
【0070】
例6(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
20g(0.11モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、500mlの反応容器に添加し、これに、100mlのトルエンを、25〜30℃の温度で添加し、そして34.8g(0.25モル)の炭酸カリウム、16mlのDM水、1gのテトラブチルアンモニウム臭化物及び16.0mlのDMFを充填した。次に、反応混合物を、25〜30℃の温度で30〜60分間、撹拌した。続いて、反応温度を30〜35℃に高め、そして30g(0.11モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析により確かめた。
【0071】
次に、反応混合物を30℃に冷却し、そして100mlのDM水を添加し、二相系を形成し、そして0.5〜2時間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。水性相に、20mlのトルエンを添加し、そして有機層を組合せた。有機相に、60mlのトルエン、10gのDMF及び12gの樟脳スルホン酸を添加した。その反応混合物を、0.1gのCLD-CSA結晶により播種し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×20mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。
【0072】
次に、20mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。次に、湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、500mlの反応容器中に充填した。これに、10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持した。15〜20℃に徐々に冷却し、濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、50mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。得られる化合物を、40〜50℃で減圧下で乾燥し、20g(63.69%の収率)CLD−CSA塩を得た。光学純度:99.3%。
【0073】
例7(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
20g(0.11モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、500mlの反応容器に添加し、これに、100mlのトルエンを、25〜30℃の温度で添加し、そして34.8g(0.25モル)の炭酸カリウム、16mlのDM水、1gのテトラブチルアンモニウム臭化物及び16.0mlのDMFを充填した。次に、反応混合物を、25〜30℃の温度で30〜60分間、撹拌した。続いて、反応温度を30〜35℃に高め、そして30g(0.11モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析により確かめた。
【0074】
次に、反応混合物を30℃に冷却し、そして100mlのDM水を添加し、二相系を形成し、そして0.5〜2時間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。水性相に、20mlのトルエンを添加し、そして有機層を組合せた。有機相に、60mlのトルエン、10gのDMF及び12gの(−)−10−樟脳スルホン酸を添加した。その反応混合物を、0.1gのCLD-CSA結晶により播種し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×20mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。
【0075】
次に、20mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。次に、湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、500mlの反応容器中に充填した。これに、10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持した。15〜20℃に徐々に冷却し、濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、50mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。得られる化合物を、40〜50℃で減圧下で乾燥し、21g(66.87%の収率)CLD−CSA塩を得た。光学純度:99.1%。
【0076】
例8(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
20g(0.11モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、500mlの反応容器に添加し、これに、100mlの酢酸エチルを、25〜30℃の温度で添加し、そして34.8g(0.25モル)の炭酸カリウム、16mlのDM水、及び1gのブチル化されたヒドロキシトルエンを充填した。次に、反応混合物を、25〜30℃の温度で30〜60分間、撹拌した。続いて、反応温度を30〜35℃に高め、そして30g(0.11モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析により確かめた。
【0077】
次に、反応混合物を30℃に冷却し、そして200mlのDM水を添加し、二相系を形成し、そして0.5〜2時間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。水性相に、20mlの酢酸エチルを添加し、そして酢酸エチル層と、主要有機層とを組合せた。40〜60℃で減圧下で酢酸エチルを蒸留した。有機相に、160mlのトルエン、10gのジメチルホルムアミド及び12gの樟脳スルホン酸を添加した。その反応混合物を、0.1gのCLD-CSA結晶により播種し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×20mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。
【0078】
次に、20mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。次に、湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、500mlの反応容器中に充填した。これに、10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持した。15〜20℃に徐々に冷却し、濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、50mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。湿ったCLD−CSA塩を、40〜50℃で真空下で乾燥した。CLD−CSA塩の収量:21g(66.87%の収率)。光学純度:99.2%。
【0079】
例9(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
20g(0.11モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、1000mlの反応容器に添加し、これに、100mlの酢酸エチルを、25〜30℃の温度で添加し、そして174g(0.25モル)の炭酸カリウム、16mlのDM水、及び1gのTBABを充填した。次に、反応混合物を、25〜30℃の温度で30〜60分間、撹拌した。続いて、反応温度を30〜35℃に高め、そして30g(0.11モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析により確かめた。
【0080】
次に、反応混合物を30℃に冷却し、そして200mlのDM水を添加し、二相系を形成し、そして0.5〜2時間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。水性相に、20mlの酢酸エチルを添加し、そして酢酸エチル層と、主要有機層とを組合せた。40〜60℃で減圧下で酢酸エチルを蒸留した。有機層に、160mlのトルエン、10gのジメチルホルムアミド及び12gの樟脳スルホン酸を添加した。その反応混合物を、0.1gのCLD-CSA結晶により播種し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×20mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。
【0081】
次に、20mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。次に、湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、500mlの反応容器中に充填した。これに、10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持した。15〜20℃に徐々に冷却し、濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、50mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。湿ったCLD−CSA塩を、40〜50℃で真空下で乾燥した。CLD−CSA塩の収量:22g(70.06%の収率)。光学純度:99.2%。
【0082】
例10(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
100g(0.57モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、1000mlの反応容器に添加し、これに、400mlのトルエンを、25〜30℃の温度で添加し、そして174g(1.25モル)の炭酸カリウム、80mlのDM水、及び80mlのDMFを充填した。次に、反応混合物を、25〜30℃の温度で30〜60分間、撹拌した。続いて、反応温度を30〜35℃に高め、そしてo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテート(0.57モル)を、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析により確かめた。
【0083】
次に、反応混合物を30℃に冷却した。100mlのトルエン及び500mlのDM水を添加し、二相系を形成し、そして30〜120分間、撹拌し、そして得られる二相を分離した。有機層を、100mlのDM水により洗浄した。有機相に、245mlのトルエンを添加した。49mlのDMFをまた添加し、そして30分間、撹拌し、透明な溶液を得た。これに、70gの樟脳スルホン酸を充填し、そして40℃に加熱した。次に、0.1gのCLD-CSA結晶を添加し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×100mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。
【0084】
次に、100mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、2000mlの反応容器中に充填した。これに、10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持し、そして15〜20℃に徐々に冷却し、濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、500mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。湿ったCLD−CSA塩を、40〜50℃で真空下で乾燥した。CLD−CSA塩の収量:109g(69.42%の収率)。光学純度:99.3%。
【0085】
例11(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
20g(0.11モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、500mlの反応容器に添加し、これに、80mlのトルエンを、25〜30℃の温度で添加し、そして34.8g(0.25モル)の炭酸カリウム、16mlのDM水、及び20mlのジメチルスルホキシドを充填した。次に、反応混合物を、25〜30℃の温度で30〜35分間、撹拌した。続いて、反応温度を30〜35℃に高め、そして30g(0.11モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析により確かめた。
【0086】
次に、反応混合物を30℃に冷却した。20mlのトルエン及び100mlのDM水を添加し、二相系を形成した。反応混合物を0.5〜2時間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。有機層を20mlのDM水により洗浄した。水性相に、20mlのトルエンを添加し、そして有機層を組合せた。有機層に、60mlのトルエン、10gのDMF及び12gの樟脳スルホン酸を添加した。その反応混合物を、0.1gのCLD-CSA結晶により播種し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×20mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。
【0087】
次に、20mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、500mlの反応容器中に充填した。これに、10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持した。15〜20℃に徐々に冷却し、そして濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、50mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。得られる化合物を、40〜50℃で減圧下で乾燥し、20g(63.69%の収率)のCLD−CSA塩を得た。光学純度:99.3%。
【0088】
例12(+)クロピドグレル(−)CSA塩の調製
20g(0.11モル)の4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩を、還流冷却器及びオーバーヘッド撹拌機を備えた、500mlの反応容器に添加し、これに、80mlのトルエンを、25〜30℃の温度で添加し、そして34.8g(0.25モル)の炭酸カリウム、16mlのDM水、及び20mlのジメチルアセトアミドを充填した。次に、反応混合物を、25〜30℃の温度で30〜35分間、撹拌した。続いて、反応温度を30〜35℃に高め、そして30g(0.11モル)のo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを、反応混合物に1時間にわたって添加し、そして反応混合物を30〜35℃で、4時間、維持した。反応の完結を、HPLC分析により確かめた。
【0089】
次に、反応混合物を30℃に冷却し、そして20mlのトルエン及び100mlのDM水を添加し、二相系を形成した。反応混合物を0.5〜2時間、撹拌し、そして2つの得られる相を分離した。有機層を20mlのDM水により洗浄した。水性相に、20mlのトルエンを添加し、そして有機層を組合せた。有機層に、60mlのトルエン、10gのDMF及び12gの樟脳スルホン酸を添加した。また0.1gのCLD-CSA結晶を添加し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×20mlの冷却されたトルエンにより洗浄した。
【0090】
次に、20mlの冷却されたアセトンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、500mlの反応容器中に充填した。これに、10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持した。15〜20℃に徐々に冷却し、そして濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、50mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。得られる化合物を、40〜50℃で減圧下で乾燥し、21g(66.87%の収率)のCLD−CSA塩を得た。光学純度:99.2%。
【0091】
例13母液からの(S)−クロピドグレル樟脳スルホネートの回収
例1のアセトン中、CLD−CSAの精製からの母液815mlを大気下で蒸留し、粗固形物を得た。例1のトルエン中、CLD分解段階からの母液960mlを、上記粗固形物に添加した。480mlの水を添加し、二相系を形成し、そしてpHを8〜8.5に、炭酸水素ナトリウム粉末により30〜35℃で調節した。得られる二相を分離し、そして有機相を480mlの水により洗浄した。有機相を、0.1%以下のKF(カールフィッシャー)まで、減圧下での共沸蒸留により乾燥した。反応混合物を15〜20℃に冷却し、そして6gのカリウムtert−ブトキシドを添加した。反応混合物を45〜60分間、エージングし、そして500mlの水を添加し、そして20〜25℃で30分間、撹拌する。有機層を分離し、そして10%塩化ナトリウム溶液150mlにより洗浄した。有機層の湿分が0.1以下であることを確かめた。
【0092】
続いて、29.5gのDMF及び42.5gの樟脳スルホン酸を添加した。0.2gのCLD−CSA結晶により播種し、そして4時間、維持した。反応混合物を15〜20℃に徐々に冷却し、そして4〜5時間、維持し、濾過し、そして2×41mlの冷却されたトルエンにより洗浄し、そしてその化合物を真空下で乾燥した。湿ったCLD-CSA塩を、還流冷却器を備えた、1000mlの反応容器中に充填した。これに、10体積のアセトンを添加し、そして加熱還流し、そして6時間、維持した。15〜20℃に徐々に冷却し、そして濾過し、そして真空下で乾燥した。湿ったケークを、2×44mlの冷却されたアセトンにより噴霧洗浄した。得られる化合物を、40〜50℃で減圧下で乾燥し、65g(92.8%の収率)のCLD−CSA塩を得た。光学純度:100%。
【0093】
例14樟脳スルホネート塩からのクロピドグレル硫酸水素塩フォームIの調製
CLD−CSA塩を、酢酸エチル及び水に添加した。次に、水酸化ナトリウムをバッチに充填し、続いて炭酸水素ナトリウムを添加した。有機相を水性相から分離し、そして水により洗浄し、そして木炭により脱色した。木炭を濾過した後、バッチを濃縮した。次に、得られる残留物をアセトンに溶解し、そして次に、硫酸及びクロピドグレル多形体種子を添加した。結晶を、撹拌下でエージングし、続いて濾過し、そしてアセトンにより洗浄した。次に、結晶を真空下で25℃以下の温度で乾燥した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩と、o−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートとを、酸受容体の存在下で反応せしめ、(±)−メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートを生成し;そして(b)(±)メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートと、(−)−10−樟脳スルホン酸とを現場反応せしめ、メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩を得ることを含んで成る、メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩の調製方法。
【請求項2】
前記酸受容体が、アルカリ金属の酸炭酸塩及び炭酸水素塩から成る群から選択された無機塩基である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記酸受容体が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムである請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記酸受容体が、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩1モル当たり約1〜約4モルの範囲の量で使用される請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記酸受容体が、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩1モル当たり約1.5〜約1.7モルの範囲の量で使用される請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記o−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートが、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩1モル当たり約0.8〜約1.5モルの範囲の量で存在する請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩とo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートとの間の反応が、約25℃〜約100℃の温度で行われる請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩とo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートとの間の反応が、約25℃〜約60℃の温度で行われる請求項7記載の方法。
【請求項9】
4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩とo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートとの間の反応が、二相溶媒系において行われる請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記二相溶媒が、水及び水−不混和性有機溶媒を含んで成る請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記水−不混和性有機溶媒が、C6-C12芳香族炭化水素、ハロゲン化された炭化水素、C3-C8ケトン、C3-C10アルキルエステル及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記二相溶媒における水−不混和性有機溶媒が、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩1g当たり約2〜約10mlの範囲の量で存在する請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
前記水が、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩1g当たり約0.5体積〜約5mlの範囲の量で存在する請求項10〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記二相溶媒がさらに、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、ヘプタン及びジメチルアセトアミドから成る群から選択された補助溶媒を含んで成る請求項9〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記補助溶媒が、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩1g当たり約0.2〜約1mlの範囲の量で存在する請求項14記載の方法。
【請求項16】
4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩とo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートとの間の反応が、相転移条件下で行われる請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記方法がさらに、相転移触媒を包含する請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記相転移触媒が、第四アンモニウム塩、ホスホニウム塩、クラウンエーテル及びピリジウム塩から成る群から選択される請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記相転移触媒が、第四アンモニウム塩である請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記相転移触媒が、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩1モル当たり約0.01〜約0.1モルの範囲の量で使用される請求項17〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
請求項1記載のメチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩を、医薬的に許容できる(S)−クロピオグレル(Clopiogrel)の塩に転換することを含んで成る、医薬的に許容できる(S)−クロピオグレルの塩の調製方法。
【請求項22】
前記医薬的に許容できる塩が硫酸水素塩である請求項21記載の方法。
【請求項23】
(a)(R)クロピドグレル、又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物と塩基とを一緒にし、(S)クロピドグレルにより、さらに富化された(R)及び(S)クロピドグレルのラセミ混合物を得;そして(b)前記(S)クロピドグレルにより、さらに富化された(R)及び(S)クロピドグリルのラセミ混合物と、左旋性樟脳スルホン酸とを反応せしめ、(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩を得ることを含んで成り、ここで前記段階(a)及び(b)が前記(R)及び(S)クロピドグレルのラセミ混合物と硫酸とを反応せしめる中間段階を伴わないで実施されることを特徴とする、(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩の調製方法。
【請求項24】
適切な有機溶媒において(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩を再結晶化することをさらに含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記塩基が、有機アミン、アルカリ金属のアルコキシド、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の水素化物、アルカリ土類金属の水素化物、アルカリ又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩である請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムC1-C4アルコキシド又はカリウムC1-C4アルコキシドである請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記塩基が、ナトリウムt−ブトキシド又はカリウムt−ブトキシドである請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
前記塩基が、(R)クロピドグレル又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物1モル当たり約0.01〜約0.5モルの範囲の量で存在する請求項23〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
段階(a)の前、(R)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩の母液、又は(R)及び(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩の混合物と塩基とを有機溶媒中で一緒にし、(R)クロピドグレル、又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物を得ることを含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項30】
前記塩基が、有機アミン、アルカリ金属のアルコキシド、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の水素化物、アルカリ土類金属の水素化物、アルカリ又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩である請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記塩基が炭酸水素ナトリウムである請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記塩基が、母液1L当たり約0.1〜1.0モルの範囲の量で使用される請求項29〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記有機溶媒が、C6-C12芳香族炭化水素、ハロゲン化された炭化水素、C3-C8ケトン、C3-C10アルキルエステル及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項29〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩を、医薬的に許容できる(S)−クロピオグレルの塩に転換することさらに含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項35】
前記医薬的に許容できる塩が硫酸水素塩である請求項34記載の方法。
【請求項36】
4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩、トルエン、ジメチルホルムアミド;及びo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートを一緒にし、(±)クロピドグレルを含む反応混合物を得;そして(±)クロピドグレルを、(±)クロピドグレルの回収を伴わないで、クロピドグレル樟脳スルホネートに転換することを含んで成る、クロピドグレル樟脳スルホネートの調製方法。
【請求項37】
テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩及び/又は塩基を、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ−(3,2−c)ピリジン塩酸塩、トルエン、ジメチルホルムアミド;及びo−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートの組合わせに添加することをさらに含んで成る請求項36記載の方法。
【請求項38】
請求項36記載のメチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩を、医薬的に許容できる(S)−クロピオグレルの塩に転換することを更に含んで成る、医薬的に許容できる(S)−クロピオグレルの塩の調製方法。
【請求項39】
(a)4,5,6,7−テトラヒドロチエノ(3,2−c)ピリジン塩酸塩と、o−クロロフェニル−α−ブロモメチルアセテートとを、酸受容体の存在下で反応せしめ、(±)−メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートを生成し;
(b)(±)メチルα−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートと、(−)−10−樟脳スルホン酸とを現場反応せしめ、メチル(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートの(−)−10−樟脳スルホン酸塩を供給し、ここで前記樟脳スルホネートが、反応混合物(母液)に、任意には、より少ない量の(S)−クロピドグレルとの混合物に、(R)−クロピドグレルを残して、反応混合物から沈澱し;
(c)反応混合物(母液)中の(R)クロピドグレル又は(R)及び(S)クロピドグレルの混合物と塩基とを一緒にし、(S)クロピドグレルがさらに富化された(R)及び(S)クロピドグリルのラセミ混合物を得;
(d)前記(S)クロピドグレルがさらに富化された(R)及び(S)クロピドグレルのラセミ混合物と、左旋性樟脳スルホン酸とを反応せしめ、(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩を供給し、ここで前記段階(c)及び(d)が前記(R)及び(S)クロピドグレルのラセミ混合物と硫酸とを反応せしめる中間段階を伴わないで実施され;そして
(e)(S)−クロピドグレル(−)−10−樟脳スルホン酸塩を、(S)−クロピドグレル硫酸水素塩に転換する、
ことを含んで成る、(S)−クロピドグレル硫酸水素塩の調製方法。

【公表番号】特表2009−532508(P2009−532508A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511272(P2009−511272)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/005041
【国際公開番号】WO2008/130642
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】