説明

クローズドネットワーク上にあるホストアプリケーションのインターネット接続システム、情報提供装置、接続方法及び接続のためのプログラム。

【課題】
クローズドネットワークの機密性を維持しつつ、インターネットからクローズドネットワーク内にあるホストアプリケーションに対して、Webブラウザでアクセスすることを実装すること。
【解決手段】
クローズドネットワーク内にあるホストアプリケーションの情報をHTMLに変換するプログラムと、中継サーバを用いたインターネット接続システム、情報提供装置、接続方法及び接続のためのプログラムによって、動的にページをクライアント端末で操作できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットにある端末からクローズドネットワーク内のホストアプリケーションに接続する接続システム、情報提供装置、接続方法及び接続のためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
社会における情報の重要性の高まりに伴い、通信インフラの整備が進んでいる。例えばインターネットなどのオープンネットワークは、一般社会における通信インフラとしての地位を確立している。また、企業は、情報の機密性の確保、及び企業内での情報共有化の要求を満たすために、企業内で閉じているクローズドネットワークを独自に確立する場合が多々ある。
【0003】
従来のクローズドネットワークに構築したホストアプリケーションをインターネット端末対応方式の一例として、例えば特許文献1には、サーバマシンの実行制御部により、Webブラウザが表示可能なHTML(HyperText Markup Language)フォーマットの画面を送信し、そして、送信した画面に対応したHTMLフォーマットの電文を実行制御部が受信することにより、その電文内容に基づいて、ホストマシンのホストアプリケーションの動作を制御するシステムが開示されている。また、特許文献2には、既存のオンラインアプリケーションのホストアプリケーションを改造することなく、クライアントアプリケーションを、Webブラウザ端末を用いるための手法が開示されている。
【0004】
しかし、例えば外出先などから、クローズドネットワーク内で管理されているコンテンツを取り出したい場合に対応するためには、クローズドネットワークの機密性を維持しつつ、オープンネットワークからクローズドネットワークにアクセスできるようにする必要がある。
【0005】
クローズドネットワークは、一般には、クローズドネットワークの外にあるインターネット端末からはアクセスできない。このため、インターネット端末からクローズドネットワークのシステムを見る場合は、グローバルアドレスを取得しファイアウォールを設置し外部からの安全な接続を確約するためのセキュリティー対策をする必要があった。また、ネットワークセキュリティーの知識も必要になっている。
【0006】
クローズドネットワークの機密性を保ちつつ、インターネット端末からクローズドネットワーク内の装置に接続する接続システム、情報提供装置、接続方法及び接続のためのプログラムとして、特許文献3が開示されている。これは、インターネット上の端末から、クローズドネットワークに接続するための仕組みであるが、汎用機やオフコンなどのホストマシンで、この仕組みを実装することは困難であった。
【特許文献1】特開平11−203243号公報
【特許文献2】特許公開2002−157219
【特許文献3】WO2004/023321
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、クローズドネットワークの機密性を維持しつつ、インターネットからクローズドネットワークのホストアプリケーションに対して、Webブラウザでアクセスすることを実装することにある。

【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する手段を提供する本発明は、クローズドネットワーク内に位置するホストマシンと、前記ホストマシン上で実行されるホストアプリケーションの業務フローと、前記ホストアプリケーションの業務フローをWebブラウザで操作可能とするための変換システムと前記の変換システムを実装するWebアプリケーションサーバマシンとを有する。ホストマシンと接続するサーバマシンが、ホストマシン上で実行されるホストアプリケーションのWebブラウザ対応変換サービスを行う変換サービス手段を備え、前記変換サービス手段は、前記変換サービス手段を呼び出すための記述がなされており、Webブラウザによってアクセスされる、変換サービス呼出しコンテンツ介して呼び出され、記変換サービス手段は、Webアプリケーションからの要求を受け取り、前記ホストアプリケーションとデータの送受を行い、前記ホストアプリケーショの出力結果を、前記変換サービス呼出しコンテンツに引渡し、前記変換サービス呼出しコンテンツは、動的にHTML文を生成する手段を用いて、前記変換サービス手段から受け取った情報を、前記Webブラウザで表示可能な形式に動的に生成する。
【0009】
また、本発明は、インターネット上にあるクライアント端末からみるために、インターネット上のクライアント端末と、インターネット内に位置し、前記インターネットに接続する利用者の端末であるクライアント端末から前記Webアプリケーションサーバマシンとの接続を中継する中継装置と、前記インターネットと前記クローズドネットワークを接続すると共に、前記インターネットから前記クローズドネットワークへの接続を許可するルーティング装置とを備え、前記Webブラウザで表示可能な情報は、前記ルーティング装置を通じて接続を中継する前記中継装置に送信し、また、前記中継装置からクライアント端末に送信手段と、を備えている。
【0010】
また、前記中継装置は、前記クライアント端末から、前記ルーティング装置を通じた前記Webアプリケーションへの接続要求として、前記利用者を識別する利用者識別情報を受信して格納する接続要求保持部と、前記外部端末からの接続要求の有無を確認する旨の接続確認要求を前記ルーティング装置から受信した場合に、前記接続要求保持部に格納されている前記利用者識別情報を前記ルーティング装置に出力する接続要求出力部とを有し、前記ルーティング装置は、前記中継装置に前記接続確認要求を定期的に送信する接続要求確認部と、前記中継装置の接続要求出力部から前記利用者識別情報を受信し、前記利用者識別情報に基づいて前記外部端末への接続の可否を判断する接続判断部と、前記接続判断部が接続可と判断した場合に、前記外部端末に接続して前記外部端末に前記コンテンツを提供する接続実行部とを有する。


【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、クローズドネットワーク上にあるホストアプリケーションを変更・改造せずに、また、ネットワークの仕組みを変更せずにクローズドネットワークの機密性を維持しつつ、インターネットから利用することができるシステムを提供することができる。
【0012】
また、既存ホストアプリケーションを変更することなく、NTTドコモのiモード携帯端末(iモード対応ブラウザ)等に代表される、Webブラウザ端末として最低限の要件しか持たないWebブラウザ端末上においても、インターネット対応アプリケーションとすることができる、ということである。その理由は、本発明においては、ホストアプリケーションに対してはオペレータ操作と同等な内部制御を行いつつ、Webブラウザ端末の表示能力や機能を動的に組み立てて提供できる手段を有しており、既存ホストアプリケーションに全く影響を与えることなく、ホストアプリケーションの画面情報と関連付けをしたWebアプリケーションを構築することができ、また、中継サーバとの連携によって、携帯端末で見るための仕組みが実施できるためである。


【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について説明する。図1を参照すると、本発明の一実施の形態においては、ホストマシン2と、クライアント端末7上で動作するWebブラウザとは、Webアプリケーション変換サーバマシン3と、ルーティング装置4と、中継装置6と、を介し接続される。
【0014】
Webアプリケーション変換サーバマシン3は、Webブラウザで動作する動的HTML(HyperText Markup Language)生成手段によって制御され、ルーティング装置4を通しての特定のURL(uniform resource locators)に対する接続要求によって起動される。
【0015】
Webアプリケーション変換サーバ内のサービス呼出しコンテンツは、Webアプリケーションからの要求を受け取り、ホストマシン2内にあるホストアプリケーションとのデータ連携を行い、その結果を、変換サービス呼出しコンテンツ内で変換する。
【0016】
変換サービス呼出しコンテンツは、動的HTML生成手段を用いて、変換サービスから受け取った情報を、Webブラウザで表示可能な形式に動的に整形し、ルーティング装置4を介して、インターネット上の中継サーバ6に送信し、インターネット上の中継サーバ6は、インターネット上のクライアント端末7へ送信する。
【0017】
変換サービスでは、変換サービスインターフェースを介して同期制御手段が、クライアント端末からの接続管理を受け付ける。
【0018】
このように、変換サービス呼出しコンテンツを実装したWebアプリケーションサーバ3、および、ルーティング装置、および、インターネット上の中継サービスをもちいることにより、既存ホストアプリケーションを変更することなく、従来から提供していたホスト上の業務プログラムを、Webブラウザを使用したインターネット対応アプリケーションにすることを可能にするだけでなく、iモード携帯端末に代表される、ホストアプリケーションが期待する画面表示能力を満たさないWebブラウザ端末上においても、機密性を保ったままで動作させる環境を構築することができる。

【実施例1】
【0019】
本発明の実施例として、クローズドネットワーク内に既存するホストコンピュータをクライアント端末として携帯電話端末で操作する場合について、図2を用いて説明する。
この仕組みでは、(1)クローズドネットワーク12内にあるルーティング装置23が、インターネットにある中継装置22に対して、クライアント要求が無いかを定期的にポーリングしている。例えば1秒ごとのポーリングなどであるが、この期間は、どのように定めてもかまわない。ここで特徴は、ルーティング装置23から中継装置22への一方向の接続だということである。このため、クローズドネットワークからインターネットへのアクセスは、通常のインターネットを見るための仕組みが備わっておれば、特別なネットワークの変更をする必要がない。
【0020】
(2)携帯電話クライアント端末21から、ホストアプリケーションの操作要求は、中継装置22に対して行われる。ここで、中継装置22では、この端末からの接続要求に対して、(3)一定期のポーリングに対応するように変換し返値として、ルーティング装置23に内容を返すものとなる。ルーティング装置23は、この要求を受け取ったことに対して、クライアント端末が接続可能かのセキュリティーチェックを実施し、要求が正常だと判断した上で、(4)Webアプリケーションサーバ24にホストデータへの要求信号を発する。Webアプリケーションサーバ24は、(5)ホストコンピュータ25に対してあらかじめ登録していた手順に従ってエミュレータを操作する。(6)この操作要求に対して、Webアプリケーションサーバ24内にあるWeb変換プログラムが、Webブラウザで表示可能なHTML化を実行し、(7)そのHTMLデータをルーティング装置23に返す。(8)ルーティング装置23は、この受け取ったデータを(3)での返値データとして、中継装置22に渡す。(9)中継装置22は、これを元接続してきた携帯電話クライアント端末21に対して、HTMLデータを返すことによって、携帯電話のクライアント端末でのWebブラウザの機能により、ホスト操作の結果が表示される。

【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明に係るシステム及びこの方法は、ホストマシンの仕組みやネットワークの仕組みを変更することなく、クローズドネットワークの機密性を維持し、社外などからのホストアプリケーションの活用ができる。また、ホストマシンの情報をインターネット販売や顧客に対するサービス提供の一環として利用することもできるようになる。


【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の構成の一例を説明する図である。
【図2】本発明の実施例を説明する図である。
【符号の説明】
【0023】
1:クローズドネットワーク
2:ホストマシン
3:Webアプリケーション変換サーバマシン
4:ルーティング装置
5:インターネット内
6:中継装置
7:クライアント端末
11:インターネット内
12:クローズドネットワーク
21:携帯電話クライアント端末
22:中継装置
23:ルーティング装置
24:Webアプリケーションサーバ
25:ホストマシン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローズドネットワーク内に位置するホストマシンと、
前記ホストマシン上で実行されるホストアプリケーションの業務フローと
前記ホストアプリケーションの業務フローをWebブラウザで操作可能とするための変換システムと、
前記の変換システムを実装するWebアプリケーションサーバマシンと、
インターネットと前記クローズドネットワークを接続すると共に、インターネットから前記クローズドネットワークへの接続を許可するルーティング装置と、
インターネット内に位置し、前記インターネットに接続する利用者の端末であるクライアント端末から前記ルーティング装置との接続を中継する中継装置と、
インターネット上にあるクライアント端末と、
を備え
前記中継装置は、
前記クライアント端末から、前記ルーティング装置を通じた前記Webアプリケーションへの接続要求として、前記利用者を識別する利用者識別情報を受信して格納する接続要求保持部と、
前記外部端末からの接続要求の有無を確認する旨の接続確認要求を前記ルーティング装置から受信した場合に、前記接続要求保持部に格納されている前記利用者識別情報を前記ルーティング装置に出力する接続要求出力部と
を有し、
前記ルーティング装置は、
前記中継装置に前記接続確認要求を定期的に送信する接続要求確認部と、
前記中継装置の接続要求出力部から前記利用者識別情報を受信し、前記利用者識別情報に基づいて前記外部端末への接続の可否を判断する接続判断部と、
前記接続判断部が接続可と判断した場合に、前記外部端末に接続して前記外部端末に前記コンテンツを提供する接続実行部とを有する
ことを特徴とする、ホストアプリケーションのインターネット端末対応方法。

【請求項2】
請求項1のインターネット端末対応方法であって、前記インターネットは、前記外部端末である携帯通信端末から接続可能であり、前記クローズドネットワークは、前記携帯通信端末から接続不可であり、前記中継装置の前記接続要求保持部は、前記携帯通信端末から前記利用者識別情報を受信して格納することを特徴とする請求項1に記載の接続システム。





【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−262450(P2008−262450A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105594(P2007−105594)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(506359288)株式会社アスタリスク (2)
【Fターム(参考)】