説明

クローラ式車両

【課題】路面状況等に拘らず、作業者が意図する方向に向けて走行させることが可能な高所作業車を提供する。
【解決手段】高所作業車は、クローラ装置の走行作動を操作するための操作レバー51と、操作レバーの傾倒方向および傾倒量を検出するX軸検出器およびY軸検出器と、クローラ装置の走行作動を制御するコントロールユニットとを備え、操作レバーの中立位置から前方への傾倒操作領域が、低速前進領域F1および高速前進領域F2からなり、コントロールユニットは、操作レバーが高速前進領域F2にある状態から右方に傾倒操作されたときには、左クローラ装置を操作レバーの前後への傾倒量に対応した回転速度で正転させ、右クローラ装置を、左クローラ装置の回転速度よりも所定出力だけ低く設定された回転速度を操作レバーの右方への傾倒量に対応させて低下させて設定された低下回転速度で、左クローラ装置と同一方向に回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の左右に一対のクローラ装置を有し、このクローラ装置におけるクローラベルトの回転方向および回転速度を制御することにより走行制御が行われるクローラ式車両に関し、さらに詳細には、このクローラ式車両の走行制御に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなクローラ装置を有したクローラ式車両は、軟弱地や起伏の激しい土地を安定して走行できる車両として広く用いられており、その一例として建設作業等に用いられるクローラ式の高所作業車を挙げることができる。この高所作業車は、一般に、左右一対のクローラ装置を備えた車体上に、車体に対して起伏動、旋回動および伸縮動等が自在なブームと、このブームの先端部に取り付けられてブームの起伏角度に拘わらず常に床面が水平に維持される作業台とを有して構成される。
【0003】
このような高所作業車では、作業台に搭乗する作業者が作業台に配設された走行操作装置を操作することにより、左右のクローラ装置を作動させて車両を走行させることができ、また走行操作装置と隣接して配設されているブーム操作装置を操作することにより、ブームを起伏作動、旋回作動および伸縮作動等させて車体に対して作業台を任意の高所に移動させることができる。このため、作業台に搭乗する作業者は、これらの操作装置を操作することにより、車体を自由に移動させたりブームを自在に作動させることで、所望の高所で作業を行うことができる。上記の走行操作装置としては、左右のクローラ装置を操作するための1本の操作レバーを備えた構成が知られており、この操作レバーの操作方向および操作量に応じて左右のクローラ装置を作動させる構成のものが開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
図9(a)には従来の高所作業車における操作レバー551の操作方向と走行制御との関係の一例を、図9(b)には図9(a)中に示す操作C510に沿って操作レバー551を操作した場合の左右のクローラ装置への出力と時間との関係を、図9(c)には図9(a)中に示す操作C520に沿って操作レバー551を操作した場合の左右のクローラ装置への出力と時間との関係をそれぞれ示す。操作C510および操作C520が行われた場合、操作レバー551の前方への操作量に応じた回転速度で左右のクローラ装置が同一回転速度で前進側に回転する状態から、操作レバー551の右方への操作量に応じて右クローラ装置への出力を低下させる制御を行うことで、右クローラ装置と左クローラ装置との間で回転速度差を発生させ、操作レバー551への操作(操作方向および操作量)に対応した走行制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3827921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、走行する路面の状況等によっては、右クローラ装置よりも左クローラ装置の回転抵抗の方が極端に大きな場合があり、このような状況下で図9に示す操作C510または操作C520が行われると、特に操作レバー551の右方への操作量が少ない領域においては、右クローラ装置と左クローラ装置との間で制御通りの回転速度差が発生しないばかりか、実際には制御内容とは反対に左クローラ装置よりも右クローラ装置の方が高速で回転して、作業者が意図した方向(右方)とは逆方向(左方)に向けて前進走行する虞があるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、路面状況等に拘らず作業者が意図する方向に向けて走行させることが可能なクローラ式車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るクローラ式車両は、車体と、前記車体に配設された左右一対のクローラ装置とを有するクローラ式車両(例えば、実施形態における高所作業車1)であって、前後左右に傾倒操作可能に設けられて、前記左右のクローラ装置の走行作動を操作するための操作レバーと、前記操作レバーへの操作がされていないときに前記操作レバーが位置する所定中立位置からの、前記操作レバーの傾倒方向および傾倒量を検出する操作検出手段(例えば、実施形態におけるX軸検出器52、Y軸検出器53)と、前記操作検出手段により検出された前記操作レバーの傾倒方向および傾倒量に基づいて、前記クローラ装置の走行作動を制御する走行制御手段(例えば、実施形態におけるコントロールユニット30)とを備え、前記操作レバーの前記所定中立位置から前後への傾倒操作領域が、前記所定中立位置を挟んで前後に設定された低速直進領域(例えば、実施形態における低速前進領域F1、低速後進領域B1)と、前記低速直進領域を越えて前後に設定された高速直進領域(例えば、実施形態における高速前進領域F2、高速後進領域B2)とからなり、前記走行制御手段は、前記操作レバーが前記所定中立位置にあるときには、前記左右のクローラ装置の回転をともに停止させ、前記操作レバーが前記所定中立位置から前記低速直進領域または前記高速直進領域に傾倒操作されたときには、前記操作レバーの前後への傾倒量に対応した回転速度で前記左右のクローラ装置をともに正転または逆転させ、前記操作レバーが前記所定中立位置から左右に傾倒操作されたときには、前記操作レバーの左右への傾倒量に対応した回転速度で前記操作レバーが傾倒された側のクローラ装置を逆転させるとともに当該クローラ装置とは反対側のクローラ装置を正転させ、前記操作レバーが前記低速直進領域にある状態から左右に傾倒操作されたときには、左右における前記操作レバーが傾倒された側とは反対側のクローラ装置を前記操作レバーの前後への傾倒量に対応した回転速度で正転または逆転させるとともに、左右における前記操作レバーが傾倒された側のクローラ装置の回転を停止させ、前記操作レバーが前記高速直進領域にある状態から左右に傾倒操作されたときには、左右における前記操作レバーが傾倒された側とは反対側のクローラ装置を前記操作レバーの前後への傾倒量に対応した回転速度で正転または逆転させるとともに、左右における前記操作レバーが傾倒された側のクローラ装置を、当該反対側のクローラ装置の回転速度よりも一定量(例えば、実施形態における所定出力d2)だけ低く設定された回転速度を前記操作レバーの左右への傾倒量に対応させて低下させて設定された低下回転速度で当該反対側のクローラ装置と同一方向に回転させることを特徴とする。
【0009】
なお、前記操作レバーが前記所定中立位置から前後に傾倒操作されて前記低速直進領域と前記高速直進領域との境界近傍に位置するときの前記左右のクローラ装置の回転速度が、前記一定量に対応する回転速度と略一致することが好ましい。
【0010】
また、前記操作レバーを、前記左右のクローラ装置が同一方向に回転する前記操作レバーの操作位置または前記左右のクローラ装置のいずれか一方のみが回転する前記操作レバーの操作位置と、前記左右のクローラ装置が互いに反対方向に回転する前記操作レバーの操作位置との間で移動させるときに、前記操作レバーが、前記左右のクローラ装置の回転がともに停止される前記中立位置を通るように、前記操作レバーの移動可能範囲を規定するレバー移動規制手段(例えば、実施形態におけるレバー移動規制プレート60)を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るクローラ式車両は、操作レバーが低速直進領域にある状態から左右に傾倒操作されたときには、操作レバーが傾倒された側のクローラ装置の回転を停止させるように制御が行われ、一方、操作レバーが高速直進領域にある状態から左右に傾倒操作されたときには、操作レバーが傾倒された側のクローラ装置を、反対側のクローラ装置の回転速度よりも一定量だけ低く設定された回転速度を操作レバーの左右への傾倒量に対応させて低下させた回転速度で回転させる制御が行われる。そのため、例えば操作レバーの左右への傾倒量が微小な場合であっても、左右のクローラ装置間で確実に回転速度差を発生させることができ、路面状況等に拘らず作業者が意図する方向に向けて走行させることが可能となる。
【0012】
なお、低速直進領域と高速直進領域との境界近傍に位置するときの左右のクローラ装置の回転速度が、一定量に対応する回転速度と略一致することが好ましい。このように構成した場合には、前進時または後進時における左右のクローラ装置の回転速度が、操作レバーの前方または後方への傾倒量に比例させて設定できるので、違和感のないスムーズな前進走行制御および後進走行制御が可能になる。
【0013】
また、左右のクローラ装置が同一方向に回転する操作位置またはいずれか一方のみが回転する操作位置と、互いに反対方向に回転する操作位置との間で移動させるときに、操作レバーが、左右のクローラ装置の回転がともに停止される所定中立位置を通るように、操作レバーの移動可能範囲を規定するレバー移動規制手段を備えることが好ましい。この構成の場合、例えば前進走行位置から右旋回位置に操作レバーを操作するときに、必ず左右のクローラ装置が一旦停止されるので、このように走行状態が大きく変化する操作を連続して行う場合であっても、クローラ式車両の走行安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した一例としての高所作業車の側面図である。
【図2】上記高所作業車の油圧回路図である。
【図3】上記高所作業車の走行操作装置を示す斜視図である。
【図4】上記高所作業車の制御構成を示すブロック図である。
【図5】(a)は走行操作装置の平面図とクローラ装置の作動を説明するための説明図とを対応させて示したもので、(b)はレバー移動規制プレートを示す平面図である。
【図6】コントロールユニットの制御形態を説明するための説明図である。
【図7】図5(a)中における操作C1または操作C2が行われた場合のグラフであって、(a)は操作C1における操作レバーの傾倒量と時間との関係を、(b)は操作C1における左右の走行モータへの出力と時間との関係を、(c)は操作C2における操作レバーの傾倒量と時間との関係を、(d)は操作C2における左右の走行モータへの出力と時間との関係をそれぞれ示す。
【図8】コントロールユニット30における別の制御形態を示すグラフであって、(a)は操作C2における操作レバーの傾倒量と時間との関係を、(b)は操作C2における左右の走行モータへの出力と時間との関係をそれぞれ示す。
【図9】(a)は従来の高所作業車における走行操作装置を示す平面図を、(b)は操作C510における左右のクローラ装置への出力と時間との関係を、(c)は操作C520における左右のクローラ装置への出力と時間との関係をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1には、本発明を適用したクローラ式車両の一例としての高所作業車1の側面図を示しており、まず、図1〜図4を参照して高所作業車1の概要構成について説明する。
【0016】
高所作業車1は、図1に示すように、左右一対のクローラ装置20(右クローラ装置20Rおよび左クローラ装置20L)を有して走行自在に構成された車体2の上部に、旋回モータ11の作動により車体2に対して水平面内で旋回動自在に構成された旋回台3が取り付けられている。
【0017】
なお、本実施形態においては、クローラ装置20に付番28で示す矢印の先端方向を前方といい、作業台8に搭乗する作業者が走行操作装置50(図1および図3参照、詳細については後述)を前にして前方に向かって立つ姿勢となる図1に示すようなブーム姿勢を、走行時における標準姿勢と呼ぶこととする。以下、このような標準姿勢における車両前方(クローラ装置20の前方)を「前方」、車両後方(クローラ装置20の後方)を「後方」と称し、それぞれの方向に進む走行を「前進」および「後進」と称して説明する。
【0018】
旋回台3の上部には、起伏シリンダ12の伸縮作動により旋回台3に対して垂直面内で起伏動自在にブーム5が枢支されている。ブーム5は、旋回台3に枢支された基端ブーム5a、中間ブーム5bおよび先端ブーム5cからなり、基端ブーム5a内に順次テレスコープ状に嵌挿支持されるとともに、ブーム5内部に配設された伸縮シリンダ13の伸縮作動により、基端ブーム5aに対して伸縮動自在に構成されている。
【0019】
ブーム5の先端部には、図示しないレベリング機構によりブーム5の起伏角度の如何に拘らず常時垂直に維持される垂直ポスト(不図示)が配設されており、この垂直ポストを介して作業台8が先端ブーム5cの先端部に取付けられている。作業台8は、図示しない首振りモータの作動により、常時垂直に維持された垂直ポスト廻りに水平面内で首振り動自在となっている。このため、作業台8は、ブーム5の起伏角や作業台8の首振り角等に拘らず、その床面が常時水平に維持されるように構成されている。
【0020】
右クローラ装置20Rは、車体2の右側に設けられており、車体2に固定配設されて作動油の供給を受けて回転駆動する右走行モータ15Rと、この右走行モータ15Rによって回転駆動される右スプロケット21Rと、車体2に回転自在に配設された右アイドラ22Rと、右スプロケット21Rおよび右アイドラ22Rの間に掛け渡されて接地し、回転駆動力を路面に伝達する右クローラベルト25Rとを有して構成されている。
【0021】
また、左クローラ装置20Lは、車体2の左側に設けられており、右クローラ装置20Rと同様に、左走行モータ15Lと、左スプロケット21Lと、左アイドラ22Lと、左クローラベルト25Lとを有して構成される。左右一対のクローラ装置20(右クローラ装置20Rおよび左クローラ装置20L)がこのように構成されるため、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lの回転方向と回転速度とを制御することによって、高所作業車1を所望の方向に所望の速度で走行させることができる。
【0022】
右走行モータ15Rには、図2に示すように、図示しないエンジンまたは電動モータによって駆動される油圧ポンプ18により作動油タンク19から吸い上げられた作動油が、右走行モータ用コントロールバルブ14Rによって制御される供給方向および供給量で供給される。高所作業車1を前進させる方向へ右クローラベルト25Rを回転させるときには、前進供給油路17FRを介して右走行モータ用コントロールバルブ14Rから右走行モータ15Rへ作動油が供給されて、右走行モータ15Rが回転駆動される(このときの回転を「正転」と称す)。一方、高所作業車1を後進させる方向へ右クローラベルト25Rを回転させるときには、後進供給油路17BRを介して右走行モータ用コントロールバルブ14Rから右走行モータ15Rへ作動油が供給されて、右走行モータ15Rが回転駆動される(このときの回転を「逆転」と称す)。
【0023】
左走行モータ15Lには、油圧ポンプ18により作動油タンク19から吸い上げられた作動油が、左走行モータ用コントロールバルブ14Lによって制御される供給方向および供給量で供給される。高所作業車1を前進させる方向へ左クローラベルト25Lを回転させるときには、前進供給油路17FLを介して左走行モータ用コントロールバルブ14Lから左走行モータ15Lへ作動油が供給されて、左走行モータ15Lが回転駆動される(このときの回転を「正転」と称す)。一方、高所作業車1を後進させる方向へ左クローラベルト25Lを回転させるときには、後進供給油路17BLを介して左走行モータ用コントロールバルブ14Lから左走行モータ15Lへ作動油が供給されて、左走行モータ15Lが回転駆動される(このときの回転を「逆転」と称す)。
【0024】
図2に示すように、右走行モータ15R側の前進供給油路17FRと、左走行モータ15L側の前進供給油路17FLとが、前進側連通バルブ16Fを介して接続されており、この前進側連通バルブ16Fを切り替えることで、前進供給油路17FRと前進供給油路17FLとを連通させることと、前進供給油路17FRと前進供給油路17FLとを遮断することとが可能になっている。また、右走行モータ15R側の後進供給油路17BRと、左走行モータ15L側の後進供給油路17BLとが、後進側連通バルブ16Bを介して接続されており、この後進側連通バルブ16Bを切り替えることで、後進供給油路17BRと後進供給油路17BLとを連通させることと、後進供給油路17BRと後進供給油路17BLとを遮断することとが可能になっている。
【0025】
作業台8には、図1に示すように、旋回モータ11、起伏シリンダ12、伸縮シリンダ13および首振りモータ等を作動させてブーム操作を行うためのブーム操作装置10が設けられている。作業台8に搭乗する作業者は、ブーム操作装置10を操作することにより旋回モータ11、起伏シリンダ12、伸縮シリンダ13および首振りモータ等を作動させることができ、これにより作業台8を所望の高所位置に移動させることができるようになっている。
【0026】
作業台8には上記ブーム操作装置10に隣接して、クローラ装置20の走行操作を行うための走行操作装置50が配設されている。この走行操作装置50には、図3に示すように、右クローラ装置20Rおよび左クローラ装置20Lによる走行作動を、一本の操作レバー51の前後左右への傾倒操作方向と操作量(傾倒量)とに基づいて制御を行う、いわゆるモノレバー型(ジョイスティック型とも称される)の操作装置が用いられている。
【0027】
操作レバー51は、操作されていない状態(図3に示す状態)において直立する中立位置NPを有しており、この中立位置NPを中心として前後左右に傾倒操作が自在に構成されている。本実施形態では、この中立位置NPを中心として、前方を+X、後方を−X、右方を+Y、左方を−Yとそれぞれ規定している。走行操作装置50には、操作レバー51の中立位置NPからの前後方向への傾倒量を検出して、この傾倒量に対応した操作信号(+X〜0〜−X)を出力するX軸検出器52と、操作レバー51の中立位置NPからの左右方向への傾倒量を検出して、この傾倒量に対応した操作信号(−Y〜0〜+Y)を出力するY軸検出器53とが配設されている。
【0028】
X軸検出器52およびY軸検出器53からの操作信号は、図4に示すように、それぞれコントロールユニット30に入力される。コントロールユニット30は、上記操作信号が入力されると、入力された操作信号(操作信号の座標値)に基づいて操作レバー51が位置する領域(後述する低速前進領域F1や右前ピボット領域FRP等)を判定し、その上で右走行モータ用コントロールバルブ14R、左走行モータ用コントロールバルブ14L、前進側連通バルブ16Fおよび後進側連通バルブ16Bに対し、その領域に対応した制御を行うことで、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lのそれぞれの回転方向および回転速度を制御する。そうすることで、操作レバー51への操作に対応する走行作動を左右一対のクローラ装置20に行わせ、作業者が意図する方向に意図する走行速度で高所作業車1を走行させることができるようになっている。
【0029】
以上ここまでは、高所作業車1の概要構成について説明した。次に、X軸検出器52およびY軸検出器53から操作信号に基づいて、コントロールユニット30が左走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lの回転方向と回転速度とをどのように制御するのかについて、図5〜図7を追加参照しながら説明する。
【0030】
走行操作装置50には、図5(b)に示す平板状のレバー移動規制プレート60が備えられており、このレバー移動規制プレート60に開口形成されたガイド溝61によって、操作レバー51の前後左右への傾倒範囲が規定されている(図5(a)参照)。
【0031】
図6には、右走行モータ15R(右クローラベルト25Rと等価)の回転方向および回転速度を実線で示し、左走行モータ15L(左クローラベルト25Lと等価)の回転方向および回転速度を点線で示している。また、図6では、座標面100に直交する上下方向は走行モータ15の回転状態を示しており、座標面100の上方は走行モータ15の正転領域、下方は逆転領域であり、各方向の高さが回転速度を表している。
【0032】
コントロールユニット30は、図5(a)に示すように操作レバー51が中立位置にあるとき、すなわち入力される操作信号が座標面(X,Y)におけるNP(0,0)であるとき、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lの回転作動をともに静止させ、高所作業車1の走行を停止させる。
【0033】
操作レバー51が、中立位置NPからまっすぐ前方に傾倒操作されて、コントロールユニット30に座標値(+X,0)の操作信号が入力されるときには、コントロールユニット30において、操作レバー51が図5(a)に示す低速前進領域F1または高速前進領域F2のいずれか位置すると判定される。このとき、コントロールユニット30は、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lをともに操作レバー51の前方への傾倒量に対応した回転速度で正転させるとともに、操作レバー51の前方への傾倒量の増加に対応させて右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lの回転速度を増加させ、高所作業車1を前進走行させる。
【0034】
この傾倒操作は、図6における中立位置NPからX軸上のプラス方向への操作であり、コントロールユニット30は、操作信号の座標値(+X,0)に対応した回転速度(図6中に示す稜線F上の回転速度)で右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lを回転させ、高所作業車1を前進走行させる。
【0035】
このように、操作レバー51が中立位置NPからまっすぐ前方に傾倒操作された場合には、コントロールユニット30は、前進供給油路17FRと前進供給油路17FLとを連通させるように前進側連通バルブ16Fを切り替えることで、右走行モータ15Rと左走行モータ15Lとを確実に同一回転速度で正転させる制御を併せて行う。
【0036】
これとは反対に、操作レバー51が、中立位置NPからまっすぐ後方に傾倒操作されて、コントロールユニット30に座標値(−X,0)の操作信号が入力されるときには、コントロールユニット30において、操作レバー51が図5(a)に示す低速後進領域B1または高速後進領域B2のいずれか位置すると判定される。このとき、コントロールユニット30は、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lをともに操作レバー51の後方への傾倒量に対応した回転速度で逆転させるとともに、操作レバー51の後方への傾倒量の増加に対応させて右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lの回転速度を増加させ、高所作業車1を後進走行させる。
【0037】
この傾倒操作は、図6における中立位置NPからX軸上のマイナス方向への操作であり、コントロールユニット30は、操作信号の座標値(−X,0)に対応した回転速度(図6中に示す稜線B上の回転速度)で右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lを回転させ、高所作業車1を後進走行させる。
【0038】
このように、操作レバー51が中立位置NPからまっすぐ後方に傾倒操作された場合には、コントロールユニット30は、後進供給油路17BRと後進供給油路17BLとを連通させるように後進側連通バルブ16Bを切り替えることで、右走行モータ15Rと左走行モータ15Lとを確実に同一回転速度で逆転させる制御を併せて行う。
【0039】
操作レバー51が、中立位置NPからまっすぐ右方に傾倒操作されて、コントロールユニット30に座標値(0,+Y)の操作信号が入力されるときには、コントロールユニット30において、操作レバー51が図5(a)に示す右旋回領域RC位置すると判定される。このとき、コントロールユニット30は、操作レバー51の右方への傾倒量に対応した回転速度で右走行モータ15Rを逆転、左走行モータ15Lを正転させる制御を行う。また、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lの回転速度は、操作レバー51の右方への傾倒量の増加に対応して増加され、高所作業車1が当該位置において右旋回される。
【0040】
これとは反対に、中立位置NPからまっすぐ左方に傾倒操作されて、コントロールユニット30に座標値(0,−Y)の操作信号が入力されるときには、コントロールユニット30において、操作レバー51が図5(a)に示す左旋回領域LCに位置すると判定される。このとき、コントロールユニット30は、操作レバー51の左方への傾倒量に対応した回転速度で右走行モータ15Rを正転、左走行モータ15Lを逆転させる制御を行う。また、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lの回転速度は、操作レバー51の左方への傾倒量の増加に対応して増加され、高所作業車1が当該位置において左旋回される。
【0041】
ところで、例えば操作レバー51が中立位置NPからまっすぐ前方に傾倒操作されて前進走行されている状態においてさらに右方に傾倒操作された場合には、コントロールユニット30により、操作レバー51の傾倒方向に対応させて右斜め前方に向けて走行させる走行制御が行われる。
具体的には、左走行モータ15Lの回転速度はそのままで右走行モータ15Rの回転速度を低下させ、または左走行モータ15Lの回転速度はそのままで右走行モータ15Rの回転を停止させることで、両走行モータ間に回転速度差を発生させる走行制御が行われる。
【0042】
ここで、路面状況等によっては、右クローラベルト25Rよりも左クローラベルト25Lの回転抵抗の方が極端に大きな場合があるが、この場合には、右走行モータ15Rと左走行モータ15Lとの間でコントロールユニット30による制御通りに回転速度差が発生しないばかりか、実際には制御内容とは反対に左走行モータ15Lよりも右走行モータ15Rの方が高速で回転されて、作業者が意図する方向(右方)とは逆方向(左方)に向けて前進することがあり得る。
【0043】
そこで、本発明を適用した高所作業車1においては、路面状況等に拘らず作業者が意図する左右方向に向けて斜めに前進または後進させることができる構成となっている。それでは、この構成について、操作レバー51が低速前進領域F1に位置する状態から右方に傾倒操作された場合(図5(a)中に示す操作C1)と、操作レバー51が高速前進領域F2に位置する状態から右方に傾倒操作された場合(図5(a)中に示す操作C2)とを例に挙げて、以下に詳細に説明する。
【0044】
<操作C1の場合>
操作レバー51が、低速前進領域F1に位置する状態から右方に傾倒操作されて、座標値(+X,+Y)の操作信号が入力されるときには、コントロールユニット30において操作レバー51が図5(a)に示す右前ピボット領域FRPに位置すると判定される。この操作C1が行われるとき、図7(a)に示すように、X軸検出器52では一定の傾倒量が検出され、Y軸検出器53では徐々に増加する傾倒量が検出される。コントロールユニット30は、操作レバー51が右前ピボット領域FRPに位置すると判定した場合、X軸上の位置(+X)に対応した回転速度で左走行モータ15Lを回転させたままで、右走行モータ15Rの回転を停止させるように、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15L(右走行モータ用コントロールバルブ14Rおよび左走行モータ用コントロールバルブ14L)へ出力制御を行う。
【0045】
具体的には、図7(b)に示すように、右走行モータ15Rへの出力を零にして回転を停止させるとともに、左走行モータ15Lへ出力値d1の出力を与えることでX軸上の位置(+X)に対応した回転速度で回転させて、右方に向けてピボットターンが行われる。そうすることで、右前ピボット領域FRP内において、常に右走行モータ15Rと左走行モータ15Lとの間で出力値d1分の回転速度差が確保されるので、路面状況等に拘らず作業者が意図する右方に向けてピボットターンをさせることが可能になる。
【0046】
なお、コントロールユニット30は、操作レバー51が右前ピボット領域FRPに位置すると判定するとき、前進供給油路17RFと前進供給油路17LFとを遮断させるように前進側連通バルブ16Fを切り替えることで、右走行モータ15Rと左走行モータ15Lとの間に確実に回転速度差を発生させる制御を行う。
【0047】
上述のように、操作レバー51が、低速前進領域F1に位置する状態から右方に傾倒操作された場合には、右走行モータ15Rの回転が一気に停止されるため、高速で前進走行されている状態でこのような走行制御が行われると、高所作業車1の走行安定性が損なわれる虞がある。そこで、本発明を適用した高所作業車1においては、低速前進領域F1を、例えば最大前進速度の30%程度までの速度範囲として設定しておくことで、この低速前進領域F1から右前ピボット領域FRPに操作レバー51が傾倒操作された場合における高所作業車1の走行安定性を確保しつつ、作業者が意図する右方に向けてピボットターンをさせる走行制御が可能となっている。
【0048】
<操作C2の場合>
操作レバー51が、高速前進領域F2に位置する状態から右方に傾倒操作されて、座標値(+X,+Y)の操作信号が入力されるときには、コントロールユニット30において操作レバー51が図5(a)に示す斜め右前進領域FRTに位置すると判定される。この操作C2が行われるとき、図7(c)に示すように、X軸検出器52では一定の傾倒量が検出され、Y軸検出器53では徐々に増加する傾倒量が検出される。コントロールユニット30は、操作レバー51が斜め右前進領域FRTに位置すると判定した場合、左走行モータ15Lには、X軸上の位置(+X)に対応した回転速度で回転させる出力を与える(図6に示す線分FL2)。
【0049】
一方、右走行モータ15Rには、図7(d)に示すように、左走行モータ15Lへの出力よりも所定出力d2分だけ低い出力を基に、さらに操作レバー51の右方への傾倒量に応じて低下させた出力を与える(図6に示す稜線FR2)。そうすることで、斜め右前進領域FRT内においては、右走行モータ15Rと左走行モータ15Lとの間で少なくとも所定出力d2分の回転速度差が常に確保された上で、操作レバー51の右方への傾倒量に対応して増加された回転速度差が発生されるので、路面状況等に拘らず作業者が意図する斜め右方に意図する走行速度で前進させることが可能になる。
【0050】
ここで、所定出力d2としては、右走行モータ15Rと左走行モータ15Lとの間で一気に所定出力d2に対応する回転速度差が発生した場合であっても、高所作業車1の走行安定性を確保できる大きさの出力で、且つ路面状況等に拘らず作業者が意図する斜め右方に前進させることができる(右走行モータ15Rよりも左走行モータ15Lを高速で回転させることができる)大きさの出力が設定される。
【0051】
また、操作レバー51が低速前進領域F1と高速前進領域F2との境界近傍に位置するときの右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lの回転速度が、上記の所定出力d2に対応する回転速度と略一致するように設定されている(図6参照)。これにより、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lの正転時の回転速度が、操作レバー51の前方への傾倒量に比例させて設定されるので、違和感のないスムーズな前進走行制御および後進走行制御が可能になる。
【0052】
なお、コントロールユニット30は、操作レバー51が斜め右前進領域FRTに位置すると判定するとき、前進供給油路17RFと前進供給油路17LFとを遮断させるように前進側連通バルブ16Fを切り替えることで、右走行モータ15Rと左走行モータ15Lとの間に確実に回転速度差を発生させる制御を行う。
【0053】
そして、操作レバー51が、斜め右前進領域FRTに位置する状態からさらに右方に傾倒操作されて右前ピボット領域FRPに位置するときには、コントロールユニット30は上述したように、X軸上の位置(+X)に対応した回転速度で左走行モータ15Lを回転させたままで、右走行モータ15Rの回転を停止させるように、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lへ出力制御を行う。このように、操作レバー51が高速前進領域F2に位置する状態から右方へ操作された場合には、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lが互いに回転速度差の生じた状態で正転される斜め右前進領域FRTを通過した上で、右前ピボット領域FRPに移動されるように設定されているので、高速で前進走行されている状態であっても走行安定性を確保可能である。
【0054】
本実施形態においては、操作C1および操作C2を例に挙げて説明したが、この他の操作、例えば操作レバー51が低速前進領域F1に位置する状態から左前ピボット領域FLPに傾倒操作された場合、高速前進領域F2に位置する状態から斜め左前進領域FLTを通過して左前ピボット領域FLPに傾倒操作された場合、低速後進領域B1に位置する状態から右後ピボット領域BRPに傾倒操作された場合、高速後進領域B2に位置する状態から斜め右後進領域BRTを通過して右後ピボット領域BRPに傾倒操作された場合、低速後進領域B1に位置する状態から左後ピボット領域BLPに傾倒操作された場合、高速後進領域B2に位置する状態から斜め左後進領域BLTを通過して左後ピボット領域BLPに傾倒操作された場合等も、上述と同様の制御が行われて、高所作業車1の走行安定性を確保しつつ、路面状況等に拘らず作業者が意図する左右方向に向けてピボットターンまたは前後進可能になっている。
【0055】
ところで、上記作動制御において、中立位置NPを中心として前後方向に形成される扇状の制御領域と、中立位置NPを中心として左右方向に形成される直線的な制御領域とでは異なった制御が行われている。このため、2つの制御領域間をレバー51が直接移動可能な構成とした場合には、走行制御が一気に大きく変化することとなり、走行安定性を確保することが困難となる。
【0056】
そこで、走行操作装置50には、これら2つの異なる制御領域間を操作レバー51が直接移動することがないように、レバー移動規制プレート60のガイド溝61が形成されている。すなわち、操作レバー51を右旋回領域RCおよび左旋回領域LCに傾倒操作するためには、中立位置NPを経由させることで、右走行モータ15Rおよび左走行モータ15Lの回転を一旦停止されてからでないと傾倒操作できないようになっている。よって、走行制御が一気に大きく変化するような操作レバー51への操作が規制され、走行安定性を確保することが可能となる。
【0057】
上述の実施形態では、図7(d)に示すように、例えば高速前進領域F2から斜め右前進領域FRTへと操作レバー51が操作された場合に、左走行モータ15L(旋回外側)に対しては出力が保持されたままで、右走行モータ15R(旋回内側)に対しては左走行モータ15Lへの出力よりも所定出力d2分だけ低い出力を基に、操作レバー51の右方への傾倒量に応じて低下させた出力を与える制御構成を例示して説明したが、この制御構成に代えて図8に示す制御構成も可能である。すなわち、左走行モータ15L(旋回外側)に対しては、高速前進領域F2における出力よりも減速出力d3分だけ低下させた出力を与え、右走行モータ15R(旋回内側)に対しては、減速出力d3だけ低下された左走行モータ15Lへの出力から所定出力d2分だけ低い出力を基に、操作レバー51の右方への傾倒量に応じて低下させた出力を与える構成としても良い。このような制御構成とすることで、操作レバー51が高速前進領域F2(高速後進領域B2)のうちでも特に高速側に位置する状態から左右に操作された場合に、旋回外側の走行モータの回転速度が減速出力d3分だけ減速されるので旋回速度が速くなりすぎることが防止され、走行安全性が確保された旋回速度で高所作業車1を旋回させることができる。
【0058】
上述の実施形態においては、車体上部にブーム式の高所作業装置を備える高所作業車1に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこの構成のクローラ式車両に限定して適用されるものではない。例えば、車体上部に垂直昇降式の高所作業装置を備える高所作業車や、高所作業装置を備えないクローラ式車両に対しても、本発明を同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
B1 低速後進領域(低速直進領域)
B2 高速後進領域(高速直進領域)
d2 所定出力(一定量)
F1 低速前進領域(低速直進領域)
F2 高速前進領域(高速直進領域)
1 高所作業車(クローラ式車両)
2 車体
20 クローラ装置
30 コントロールユニット(走行制御手段)
51 操作レバー
52 X軸検出器(操作検出手段)
53 Y軸検出器(操作検出手段)
60 レバー移動規制プレート(レバー移動規制手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に配設された左右一対のクローラ装置とを有するクローラ式車両であって、
前後左右に傾倒操作可能に設けられて、前記左右のクローラ装置の走行作動を操作するための操作レバーと、
前記操作レバーへの操作がされていないときに前記操作レバーが位置する所定中立位置からの、前記操作レバーの傾倒方向および傾倒量を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段により検出された前記操作レバーの傾倒方向および傾倒量に基づいて、前記クローラ装置の走行作動を制御する走行制御手段とを備え、
前記操作レバーの前記所定中立位置から前後への傾倒操作領域が、前記所定中立位置を挟んで前後に設定された低速直進領域と、前記低速直進領域を越えて前後に設定された高速直進領域とからなり、
前記走行制御手段は、
前記操作レバーが前記所定中立位置にあるときには、前記左右のクローラ装置の回転をともに停止させ、
前記操作レバーが前記所定中立位置から前記低速直進領域または前記高速直進領域に傾倒操作されたときには、前記操作レバーの前後への傾倒量に対応した回転速度で前記左右のクローラ装置をともに正転または逆転させ、
前記操作レバーが前記所定中立位置から左右に傾倒操作されたときには、前記操作レバーの左右への傾倒量に対応した回転速度で前記操作レバーが傾倒された側のクローラ装置を逆転させるとともに当該クローラ装置とは反対側のクローラ装置を正転させ、
前記操作レバーが前記低速直進領域にある状態から左右に傾倒操作されたときには、左右における前記操作レバーが傾倒された側とは反対側のクローラ装置を前記操作レバーの前後への傾倒量に対応した回転速度で正転または逆転させるとともに、左右における前記操作レバーが傾倒された側のクローラ装置の回転を停止させ、
前記操作レバーが前記高速直進領域にある状態から左右に傾倒操作されたときには、左右における前記操作レバーが傾倒された側とは反対側のクローラ装置を前記操作レバーの前後への傾倒量に対応した回転速度で正転または逆転させるとともに、左右における前記操作レバーが傾倒された側のクローラ装置を、当該反対側のクローラ装置の回転速度よりも一定量だけ低く設定された回転速度を前記操作レバーの左右への傾倒量に対応させて低下させて設定された低下回転速度で当該反対側のクローラ装置と同一方向に回転させることを特徴とするクローラ式車両。
【請求項2】
前記操作レバーが前記所定中立位置から前後に傾倒操作されて前記低速直進領域と前記高速直進領域との境界近傍に位置するときの前記左右のクローラ装置の回転速度が、前記一定量に対応する回転速度と略一致することを特徴とする請求項1に記載のクローラ式車両。
【請求項3】
前記操作レバーを、前記左右のクローラ装置が同一方向に回転する前記操作レバーの操作位置または前記左右のクローラ装置のいずれか一方のみが回転する前記操作レバーの操作位置と、前記左右のクローラ装置が互いに反対方向に回転する前記操作レバーの操作位置との間で移動させるときに、
前記操作レバーが、前記左右のクローラ装置の回転がともに停止される前記所定中立位置を通るように、前記操作レバーの移動可能範囲を規定するレバー移動規制手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のクローラ式車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−14267(P2013−14267A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149482(P2011−149482)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【Fターム(参考)】