説明

クーリングコアの取付構造およびこれを備えた油圧ショベル

【課題】キャブやカウンタウェイト等の配置に関わらず、各種クーリングコアを容易に着脱することが可能なクーリングコアの取付構造およびこれを備えた油圧ショベルを提供する。
【解決手段】本クーリングコアの取付構造は、油圧ショベル1に搭載されたクーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の取付構造であって、平面視において、キャブ10の一部がクーリングコア上に重なる位置に配置されている。クーリングコアは、正面側に形成された着脱空間Sを介してメンテナンス開口扉7からの着脱を可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータやオイルクーラ、アフタークーラを含むクーリングコアの取付構造およびこれを備えた油圧ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ショベル等の作業車両には、エンジンの冷却水を冷却するためのラジエータや、油圧機器の作動油を冷却するオイルクーラ、エンジン性能を向上させるためにエンジンに対して供給された圧縮空気を冷却するアフタークーラ等を含む各種のクーリングコアが搭載されている。
例えば、特許文献1〜3には、ラジエータやオイルクーラ等の各種クーリングコアの清掃やメンテナンス等を容易化するために、略鉛直方向(上下方向)においてクーリングコアの着脱を行う作業車両の冷却装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−136972号公報(平成15年5月14日公開)
【特許文献2】特開2007−22533号公報(平成19年2月1日公開)
【特許文献3】特開2006−335329号公報(平成18年12月14日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のクーリングコアの取付構造では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示されたクーリングコアの取付構造では、メンテナンスや修理等のためにクーリングコアを上方から取り出す必要がある。
このため、例えば、比較的小型の油圧ショベル等のように、クーリングコアの上方にキャブ等が配置された構造や、後方にカウンタウェイトが被さる構造を採用した作業車両の場合には、クーリングコアを取り出すためのスペースが十分に確保できないおそれがある。特に、平面視においてキャブの一部がクーリングコア上に被さる構造では、クーリングコアを上下方向において着脱する際には、キャブをクレーンで吊り上げる等の大掛かりな作業が必要となる場合がある。
【0004】
本発明の課題は、キャブやカウンタウェイト等の配置に関わらず、各種クーリングコアを容易に着脱することが可能なクーリングコアの取付構造およびこれを備えた油圧ショベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係るクーリングコアの取付構造は、作業車両に搭載されたクーリングコアの取付構造であって、クーリングコアと、フレーム部と、着脱空間とを備えている。クーリングコアは、作業車両のキャブが、平面視において重なる位置に配置されている。フレーム部は、作業車両側へクーリングコアを固定する。着脱空間は、クーリングコアを正面から着脱するために、クーリングコアの正面側と作業車両のメンテナンス開口部との間に形成されている。
【0006】
ここでは、平面視において作業車両のオペレータが乗降するキャブがクーリングコア上に被さるように配置された構成において、フレーム部に対して取り付けられたクーリングコアの正面側とメンテナンス開口部との間に、着脱空間を設けている。
ここで、上記クーリングコアには、エンジンの冷却水を冷却するラジエータ、油圧機器の作動油を冷却するオイルクーラ、およびエンジン性能を向上させるためにエンジンに対して供給された圧縮空気を冷却するアフタークーラ等の各種クーリングコアが含まれる。また、上記着脱空間とは、上記クーリングコアを着脱する際にクーリングコアが正面側に着脱されてから移動する空間を言う。
【0007】
通常、このようなクーリングコアの着脱を行う場合には、用意する空間が少なくて済む上下方向に着脱空間を設けることが多い。しかし、例えば、比較的小型の油圧ショベルのように、クーリングコアの上方がキャブによって覆われている構成では、上下方向に着脱空間を設けることが困難になる場合がある。
本発明に係るクーリングコアの取付構造では、このような上下方向がキャブによって覆われたクーリングコアの取付構造において、敢えて、正面側へその着脱を行うための着脱空間を設けている。
【0008】
これにより、キャブによって覆われた上方からの着脱を行うことなく、正面から容易にクーリングコアの着脱を行うことができる。また、上述したように、このような構造は比較的小型の油圧ショベル等に多いことから、正面からの着脱を行う場合でも、クーリングコア自体の大きさも小型の場合が多いため、正面に設けられる着脱空間が必要以上に拡大して、旋回台等の大きさを拡大することを回避することもできる。
【0009】
第2の発明に係るクーリングコアの取付構造は、第1の発明に係るクーリングコアの取付構造であって、フレーム部は、クーリングコアの端部を固定する部分において、着脱空間側を覆わない着脱許容部を有している。
ここでは、クーリングコアを取り付けるフレームに、着脱空間側へのクーリングコアの移動を許容する着脱許容部を設けている。
【0010】
ここで、上記着脱許容部には、クーリングコアの端部付近において、着脱空間側を覆わないように、L字形状とされたフレームの一部や、着脱空間側が外折れ形状とされたフレームの一部等が含まれる。
これにより、クーリングコアの着脱を行う際には、フレームの一部に邪魔されることなく、容易に着脱空間が設けられている正面側へ移動させることができる。
【0011】
第3の発明に係るクーリングコアの取付構造は、第1または第2の発明に係るクーリングコアの取付構造であって、クーリングコアを着脱空間へ誘導する移動部を、さらに備えている。
ここでは、クーリングコアの正面視において、クーリングコアの一部にカウンタウェイト等の他の部材が被さるようにして配置された取付構造において、クーリングコアを一旦、横方向へスライドさせてから着脱空間の方へ誘導する。
【0012】
ここで、上記移動部には、着脱空間までクーリングコアを誘導する方向に沿って形成されたフレーム形状等が含まれる。
これにより、クーリングコアの正面側の空間を全て空けることなく、最小限の空間だけ確保できれば十分にクーリングコアを正面側から着脱することができる。よって、クーリングコアが搭載される旋回台等の大きさを最小限とし、旋回半径を小さくできる等の効果を得ることができる。
【0013】
第4の発明に係るクーリングコアの取付構造は、第3の発明に係るクーリングコアの取付構造であって、クーリングコアは、その正面視において、作業車両の後端部に搭載されたカウンタウェイトの端部によって一部が覆われている。
ここでは、クーリングコアの正面視において、クーリングコアの一部にカウンタウェイトの端部が被さるように配置されている。
【0014】
これにより、そのまま正面からの着脱を行うことができないような取付構造であっても、クーリングコアを一旦スライドさせることで、正面の着脱空間から容易に着脱することができる。この結果、クーリングコアの正面側の空間を全て空けることなく最小限の空間だけ確保するだけで、十分にクーリングコアを正面側から着脱することができる。よって、例えば、クーリングコアが搭載される旋回台上の配置を効率化して、旋回半径を最小にする等の効果を得ることができる。
【0015】
第5の発明に係るクーリングコアの取付構造は、第1から第4の発明のいずれか1つに係るクーリングコアの取付構造であって、クーリングコアは、ラジエータ、オイルクーラおよびアフタークーラ等の各種クーリングコアの少なくとも1つを含む。
ここでは、上述した取付構造によって搭載されたクーリングコアとして、エンジンの冷却水を冷却するラジエータ、油圧機器の作動油を冷却するオイルクーラ、エンジン性能を向上させるためにエンジンに対して供給された圧縮空気を冷却するアフタークーラの少なくとも1つを用いている。
【0016】
これにより、例えば、複数のクーリングコアが組み合わされて構成されるクーリングコアであっても、一旦スライドさせる等して着脱空間まで誘導することで、それぞれを正面から容易に着脱することができる。
【0017】
第6の発明に係る油圧ショベルは、第1から第5の発明のいずれか1つに係るクーリングコアの取付構造を備えている。
これにより、上記と同様に、キャブやカウンタウェイト等の配置に関わらず、各種クーリングコアを容易に着脱することが可能な油圧ショベルを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るクーリングコアの取付構造によれば、キャブやカウンタウェイト等の配置に関わらず、各種クーリングコアを容易に着脱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係るクーリングコアの取付構造を採用した油圧ショベル(作業車両)1について、図1〜図10(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
[油圧ショベル1の構成]
本実施形態に係る油圧ショベル1は、図1および図2に示すように、下部走行体2と、旋回フレーム3と、作業機4と、カウンタウェイト5と、冷却ユニット6と、キャブ10とを備えている。
【0020】
下部走行体2は、進行方向左右両端部分に巻き掛けられた履帯Pを回転させることで、油圧ショベル1を前後進させるとともに、上面側に旋回フレーム3を旋回可能な状態で搭載している。
旋回フレーム3は、下部走行体2上において任意の方向に旋回可能であって、図3および図4に示すように、上面に作業機4(図1参照)と、カウンタウェイト5と、冷却ユニット6と、キャブ10とを搭載している。
【0021】
作業機4は、ブームと、ブームの先端に取り付けられたアームと、アームの先端に取り付けられたバケットとを含むように構成されており、油圧シリンダによってアームやバケット等を上下に移動させながら、土砂や砂礫等の掘削を行う土木工事の現場において作業を行う。
カウンタウェイト5は、採掘時等において車体のバランスをとるために旋回フレーム3の後部に配置された重りであって、図5(a)〜図5(c)に示すように、後述する冷却ユニット6の正面の一部を覆う側部5aを有している。
【0022】
冷却ユニット6は、図3に示すように、平面視においてキャブ10に重なるように旋回フレーム3上に載置されている。また、冷却ユニット6は、図3および図4に示すように、その正面視においてカウンタウェイト5の側部5aがかかる位置に配置されている。なお、この冷却ユニット6の構成については、後段にて詳述する。
メンテナンス開口扉7は、冷却ユニット6等のメンテナンスを行うためにキャブ10の後方側面に設けられた開閉扉であって、図1および図3に示すように、冷却ユニット6の着脱を行うための着脱空間Sを介して冷却ユニット6へのアクセスを可能としている。
【0023】
キャブ10は、油圧ショベル1のオペレータが乗降する運転室であって、作業機4の先端部を見通せるように、図2〜図4に示すように、旋回フレーム3上における作業機4の取り付け部分の側方となる左側前部に配置されている。
[冷却ユニット6]
冷却ユニット6は、図6および図7に示すように、ケース部(フレーム部)20と、オイルクーラ(クーリングコア)21と、アフタークーラであるCAC(クーリングコア)22と、ラジエータ(クーリングコア)23と、燃料クーラ24と、取付プレート25とを備えている。
【0024】
ケース部20は、各クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)が取り付けられる略箱状のフレームである。そして、ケース部20は、隣接配置されたエンジンE側に形成された略円形の開口部20aと、各クーリングコアが装着される取付空間(移動部)Tと、CAC22が収容される取付空間Tからみて外側に屈曲された外折れ部(着脱許容部)20c(図9(b)および図10(b)参照)とを有している。開口部20aは、エンジンE(図3参照)により回転駆動されるファンによって、メンテナンス開口扉7から車体内側へ向かう空気の流れW(図6および図7参照)を通過させる。取付空間Tは、各クーリングコアが装着され、かつ着脱時におけるスライド空間となる。外折れ部20cは、取付空間T内に装着されたCAC22とは反対側に向かって屈曲したフレームの一部であって、CAC22およびラジエータ23の着脱時において、これらの移動経路を邪魔しないように外向きに折り曲げられている。また、外折れ部20cは、図9(b)等に示すように、外向きに略Uの字となっているため、ケース部20のフレーム強度を十分に確保することができる。取付空間Tは、各クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)が装着されるケース部20内に形成された空間である。
【0025】
オイルクーラ21は、油圧ショベル1に搭載された各種油圧機器の作動油を冷却するクーリングコアであって、図7等に示すように、空気の流れWの上流側(着脱空間S側)から見て、取付空間Tにおける左端に設けられている。また、オイルクーラ21は、図8(a)に示すように、2つのクーリングコア21a,21bを重ね合わせるようにして構成されている。さらに、オイルクーラ21は、図8(a)に示すように、上部と下部とに、それぞれオイル配管が接続されるオイル入口21cとオイル出口21dとを有している。
【0026】
CAC22は、エンジンEの性能を向上させるためにエンジンEに対して供給された圧縮空気を冷却するクーリングコアであって、図7等に示すように、空気の流れWの上流側(着脱空間S側)から見て、取付空間Tにおけるほぼ中央に、オイルクーラ21とラジエータ23とに挟まれるように設置されている。また、CAC22は、図6に示すように、エンジンEに面する側の面における上部および下部に、空気出口22aと空気入口22bとをそれぞれ有している。さらに、CAC22は、図8(b)に示すように、着脱空間Sに面する側の上部に取付ボス22cを有している。
【0027】
ラジエータ23は、エンジンの冷却水を冷却するクーリングコアであって、図7等に示すように、空気の流れWの上流側(着脱空間S側)から見て、取付空間Tにおける右端に設置されている。また、ラジエータ23は、図6に示すように、エンジンEに面する側の面における上部および下部に、それぞれ水入口23aと水出口23bとを有している。さらに、ラジエータ23は、図8(c)に示すように、着脱空間Sに面する側の上部に取付ボス23cを有している。
【0028】
燃料クーラ24は、完全燃焼されない燃料やリターン燃料等を冷却するための冷却装置であって、図7に示すように、ケース部20のアーム状の部材を介して、ラジエータ23の正面付近に設置されている。
取付プレート25は、図7に示すように、取付空間T内にCAC22およびラジエータ23を装着した際に、それぞれの着脱空間S側の面の上部に設けられた取付ボス22c,23cに対して取り付けられ、CAC22およびラジエータ23を一体化する。
【0029】
[クーリングコアの取付構造]
本実施形態に係るクーリングコアの取付構造は、以下のような手順によって、メンテナンス開口扉7から着脱空間Sを利用して、各クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の取り外しが行われる。
具体的には、まず、上述した燃料クーラ24および取付プレート25を取り外した後、図9(a)に示すように、取付空間T内におけるほぼ中央に設置されたCAC22を一旦持ち上げてから着脱空間S側(手前側)へと引き出す(図中二点鎖線参照)。これにより、下端面において嵌合したピンの係合を外した後、CAC22を着脱空間S側へと取り外すことができる。
【0030】
次に、図9(b)に示すように、オイルクーラ21を、一旦持ち上げて手前に引き出した後、中央寄りにスライド移動させ(図中二点鎖線参照)、ケース部20のほぼ中央付近から着脱空間S側へと引き出す。これにより、CAC22と同様に、下端面において嵌合したピンの係合を外した後、オイルクーラ21を容易に着脱空間S側へと取り外すことができる。
【0031】
次に、ラジエータ23については、図10(a)に示すように、一旦持ち上げてから中央寄りにスライド移動させ、ケース部20のほぼ中央付近から着脱空間S側へと取り外す(図中二点鎖線参照)。これにより、CAC22と同様に、下端面において嵌合したピンの係合を外した後、ラジエータ23を容易に着脱空間S側へと取り外すことができる。
そして、図10(b)に示すように、ケース部20内の取付空間T内から、CAC22、オイルクーラ21、ラジエータ23の順に、取り外すことができる。
【0032】
本実施形態では、以上のように、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の上面がキャブ10の一部によって覆われている配置(図3参照)であっても、メンテナンス開口扉7からクーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の正面に形成された着脱空間Sを介して、各クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)を容易に着脱することができる。
【0033】
また、図3に示すように、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の正面側において、カウンタウェイト5の側部5aがクーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の一部に被さるように配置されている場合でも、ケース部20の取付空間T内においてラジエータ23等をスライドさせることで、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の正面全てを着脱空間Sとしなくても、容易にラジエータ23等のクーリングコアを着脱することができる。
【0034】
[本クーリングコアの取付構造の特徴]
(1)
本実施形態のクーリングコアノ取付構造は、油圧ショベル1に搭載されたクーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の取付構造であって、図3に示すように、平面視において、キャブ10の一部がクーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)上に重なる位置に配置されている。そして、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)は、図9(a)〜図10(b)に示すように、正面側に形成された着脱空間Sを介してメンテナンス開口扉7からの着脱を可能としている。
【0035】
これにより、冷却ユニットを上方から着脱する従来の構造と比較して、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の正面側に形成された着脱空間Sを介して、容易にクーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の着脱を行うことができる。
(2)
本実施形態のクーリングコアの取付構造では、各クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)が取り付けられるケース部20の一部に、図9(b)に示すように、クーリングコアと当接する面から外側に折り曲げられた外折れ部20cを有している。
【0036】
これにより、ケース部20のフレーム強度を十分に確保しつつ、フレームの一部が各クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の着脱の妨げになることを回避することができる。
(3)
本実施形態のクーリングコアの取付構造では、図10(a)に示すように、各クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)のうち、取付空間Tにおいて、ラジエータ23を着脱空間Sに対して一旦横方向にスライドさせてから着脱を行う。
【0037】
これにより、カウンタウェイト5等に覆われることによってクーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の正面の全てが開放されていない構造であっても、クーリングコアのいくつかをスライドさせてから所定の位置において着脱空間S側へと引き出すことで、容易に全てのクーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の着脱を省スペースで行うことができる。この結果、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の正面側からの着脱によって、着脱空間Sを必要以上に設ける必要がないため、車体の大型化を回避することができる。
【0038】
(4)
本実施形態のクーリングコアの取付構造では、図3および図4に示すように、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の正面視において、クーリングコアの正面側における一部に、カウンタウェイト5の側部5aが重なるように配置されている。
【0039】
これにより、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の正面に配置された着脱空間Sが狭くなってしまうものの、上述したラジエータ23等の取付空間Tにおけるスライド移動によって、狭くなった着脱空間Sを介して、容易に各クーリングコアの着脱を行うことができる。
(5)
本実施形態のクーリングコアの取付構造では、図7等に示すように、オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23をクーリングコアとして含んでいる。
【0040】
これにより、複数のクーリングコアであっても、図9(a)〜図10(b)に示すように、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の正面に形成された着脱空間Sを介して容易に取り外すことができる。
(6)
本実施形態の油圧ショベル1は、図1に示すように、上述したクーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の取付構造を採用している。
【0041】
これにより、上述したように、キャブ10やカウンタウェイト5等の配置に関わらず、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)を容易に着脱することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0042】
(A)
上記実施形態では、平面視において、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の上面がキャブ10の一部と重なるように配置されているとともに、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の正面視において、カウンタウェイト5の側部5aが重なるように配置されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
例えば、クーリングコアの正面視において冷却ユニットの一部と重なるように配置される搭載部品としては、カウンタウェイトに限定されるものではなく、エンジンルーム等に配置された他の搭載部品であってもよい。
(B)
上記実施形態では、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)を正面側から着脱可能とする着脱許容部(フレーム構造)として、外側に折れ曲がったケース部20の外折れ部20cを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
例えば、着脱空間側における冷却ユニットを覆う部分がないフレーム形状であれば、必ずしも外側に折れ曲がった形状である必要はない。
ただし、上記実施形態のように、外折れ形状とすることで、フレーム全体の剛性を向上させることができるという観点では、上記実施形態のようなフレーム形状を採用することがより好ましい。
【0045】
(C)
上記実施形態では、クーリングコア(オイルクーラ21、CAC22、ラジエータ23)の一部を、一旦、横方向にスライドさせてから正面側から着脱する移動部として、スライド方向に沿って配置されたケース部20の取付空間Tを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
例えば、移動部としては、フレーム形状以外にも、旋回台等に形成された溝部等のような、他の機構を用いることもできる。
(D)
上記実施形態では、本発明に係る取付構造が適用されるクーリングコアとして、オイルクーラ21、CAC22およびラジエータ23を含むクーリングコアのユニットを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
例えば、これらの2つを組合せたユニットであってもよいし、単体を冷却ユニットとして取付構造を採用してもよい。あるいは、上記以外の冷却ユニットあるいはその組合せを冷却ユニットとして採用してもよい。
(E)
上記実施形態では、本発明に係るクーリングコアの取付構造を搭載した作業車両として、クローラ式の油圧ショベル1を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
例えば、タイヤ式の油圧ショベル等のように上部旋回体を有する他の建設機械や、フォークリフト等のような他の作業車両に対して搭載されるクーリングコアの取付構造にも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のクーリングコアの取付構造は、キャブやカウンタウェイト等の配置に関わらず、各種冷却ユニットを容易に着脱することができるという効果を奏することから、冷却ユニットを搭載した各種作業機械に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るクーリングコアの取付構造を採用した油圧ショベルの構成を示す側面図。
【図2】図1の油圧ショベルの平面図。
【図3】図1の油圧ショベルを構成する旋回台上の構成を示す平面図。
【図4】図1の油圧ショベルにおけるキャブ周辺の構成を示す側面図。
【図5】(a)〜(c)は、図1の油圧ショベルの後端に搭載されたカウンタウェイトの構成を示す斜視図。
【図6】図1の油圧ショベルに搭載された冷却ユニットのエンジン側の構成を示す斜視図。
【図7】図1の油圧ショベルに搭載された冷却ユニットのメンテナンス開口扉側の構成を示す斜視図。
【図8】(a)〜(c)は、図7の冷却ユニットに含まれる個々のクーリングコアを示す斜視図。
【図9】(a)および(b)は、図7の冷却ユニットにおける各クーリングコアの着脱の流れを示す斜視図。
【図10】(a)および(b)は、図7の冷却ユニットにおける各クーリングコアの着脱の流れを示す斜視図。
【符号の説明】
【0051】
1 油圧ショベル(作業車両)
2 下部走行体
3 旋回フレーム
4 作業機
5 カウンタウェイト
5a 側部
6 冷却ユニット
7 メンテナンス開口扉
10 キャブ
20 ケース部(フレーム部)
20a 開口部
20c 外折れ部(着脱許容部)
21 オイルクーラ(クーリングコア)
21a,21b クーリングコア
21c オイル入口
21d オイル出口
22 CAC(クーリングコア)
22a 空気出口
22b 空気入口
22c 取付ボス
23 ラジエータ(クーリングコア)
23a 水入口
23b 水出口
23c 取付ボス
24 燃料クーラ
25 取付プレート
E エンジン
S 着脱空間
T 取付空間(移動部)
W 空気の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両に搭載されたクーリングコアの取付構造であって、
前記作業車両のキャブが、平面視において重なる位置に配置された前記クーリングコアと、
前記作業車両側へ前記クーリングコアを固定するフレーム部と、
前記クーリングコアを正面から着脱するために、前記クーリングコアの正面側と前記作業車両のメンテナンス開口部との間に形成された着脱空間と、
を備えているクーリングコアの取付構造。
【請求項2】
前記フレーム部は、前記クーリングコアの端部を固定する部分において、前記着脱空間側を覆わない着脱許容部を有している、
請求項1に記載のクーリングコアの取付構造。
【請求項3】
前記クーリングコアを前記着脱空間へ誘導する移動部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載のクーリングコアの取付構造。
【請求項4】
前記クーリングコアは、その正面視において、前記作業車両の後端部に搭載されたカウンタウェイトの端部によって一部が覆われている、
請求項3に記載のクーリングコアの取付構造。
【請求項5】
前記クーリングコアは、ラジエータ、オイルクーラおよびアフタークーラの少なくとも1つを含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載のクーリングコアの取付構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のクーリングコアの取付構造を備えた油圧ショベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−120036(P2009−120036A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296381(P2007−296381)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】