説明

グラインダ保持装置

【課題】橋梁桁内等の狭くかつ支持床のない空間で使用することができ、さらに容易に持ち運ぶことができるグラインダ保持装置を提供する。
【解決手段】ディスクグラインダ11を保持する保持器具12と、固定部16により被研削物の周囲の構造物4に固定支持されるとともに、保持器具12を分離可能に搭載するアダプタ14とを具え、保持器具12は、ディスクグラインダ11を研削ディスク11aの研削面が上向きとなるように固定保持するホルダ22と、一端部にハンドル26を有し他端部をホルダ22に固定されたアーム28と、アダプタ14に対し研削対象表面6に平行な所定方向へ案内されて移動する移動部24と、ホルダ22と移動部24との間に介装され、ホルダ22を移動部24に対して上下方向に平行移動させる伸縮機構30と、ホルダ22を移動部24に対して上記所定方向と直交する軸線周りに上下方向に傾動させる傾動機構34とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被研削物の表面を下方から上向きに研削するために、研削ディスクを有するディスクグラインダをその研削ディスクが上向きとなるように保持するグラインダ保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスクグラインダを上向きに保持して、頭上方向の溶接ビード等の被研削物の研削を容易にするグラインダ保持装置として、特許文献1に開示されたものが知られている。この従来技術は、ディスクグラインダが取り付けられた傾動機構(可変傾斜角台)と、その傾動機構を昇降させる伸縮機構(ジャッキ)と、ディスクグラインダの研削ディスクを被研削物に押し当てるばねとを有する移動部(スライダ)が、台車上に配設されたレール上をスライドすることにより、被研削物の研削を行うものである。
【特許文献1】実開昭63−97448号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のグラインダ保持装置は、大きい台車を有するがために、橋梁桁内等の狭くかつ支持床のない空間で使用することができず、また携帯して持ち運ぶこともできないという問題がある。
【0004】
さらに、グラインダの研削ディスクは、傾動機構の傾動角度を一度設定すると実質的に常に一定角度で被研削物に当接され、ばねにより一定の押圧力で被研削物に押し当てられていることから、被研削物に対する角度を小さくして被研削物の研削面の均しを行うことが困難であるとともに、ディスクグラインダの研削ディスクの磨耗が早いという問題がある。
【0005】
それゆえ本発明は、橋梁桁内等の狭くかつ支持床のない空間で使用することができ、さらに容易に持ち運ぶことができる携帯性と、研削面の均しを容易に行い得る操作性とを具えるグラインダ保持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のグラインダ保持装置は、被研削物の研削対象表面を下方から上向きに研削するために、研削ディスクを有するディスクグラインダをその研削ディスクの研削面が上向きとなるように保持するグラインダ保持装置であって、前記ディスクグラインダを保持する保持器具と、固定部により前記被研削物の周囲の構造物に固定支持されてその被研削物の研削対象表面の下方に配置されるとともに、前記保持器具を分離可能に搭載するアダプタと、を具え、前記保持器具は、前記ディスクグラインダを前記研削ディスクの研削面が上向きとなるように固定保持するホルダと、一端部に人が手で操作するハンドルが設けられ、他端部を前記ホルダに固定されたアームと、前記アダプタに対し、前記研削対象表面に平行な所定方向へ案内されて移動する移動部と、前記ホルダと前記移動部との間に介装され、前記ホルダを前記移動部に対して上下方向に平行移動させる伸縮機構と、前記ホルダと前記移動部との間に介装され、前記ホルダを、前記移動部に対して前記所定方向と直交する軸線周りに上下方向に傾動させる傾動機構と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
かかる本発明のグラインダ保持装置にあっては、ディスクグラインダを保持する保持器具は、固定部により被研削物の周辺の構造物に固定されてその被研削物の研削対象表面の下方に配置されたアダプタに搭載されており、伸縮機構を伸縮させることで、ホルダは移動部に対して上下方向に移動し、研削を行う人がハンドルを握り、アダプタに対して上下方向にそのハンドルを移動させることで、傾動機構によりホルダは、移動部に対して上下方向に傾動するので、伸縮機構でディスクグラインダの研削ディスクの研削面を被研削物の研削対象表面に接近させながら、傾動機構でディスクグラインダの研削ディスクと被研削物の研削対象表面との当接角度を任意に調整し、研削ディスクを研削対象表面に当接させるとともに、ハンドルをアダプタに対して所定方向に押し引きして保持器具をアダプタに対して研削対象表面に平行な所定方向に往復移動させると、ディスクグラインダの研削ディスクが被研削物の研削対象表面を下方から上向きに研削する。
【0008】
従って、本発明のグラインダ保持装置によれば、ディスクグラインダを保持する保持器具を搭載するアダプタを、固定部で被研削物の周囲の構造物に固定し、被研削物の研削対象表面を下方から上向きに研削することから、橋梁桁内等の狭くかつ支持床のない空間でも使用することができる。しかも、保持器具とアダプタとを分離構造としているため、アダプタのみを、被研削物の周辺の構造物に適合させて製作することで、保持器具を代えることなくそのまま搭載できるので、アダプタを固定可能な如何なる場所にも比較的容易に適用させることができるとともに、それらを分離させることで容易に持ち運ぶことができる。
【0009】
また、ハンドルを移動部に対して上下方向に移動させることでディスクグラインダの研削ディスクと被研削物の研削対象表面との当接角度を調節できるとともに、そのハンドルをアダプタに対して研削対象表面に平行な所定方向に押し引きすることで被研削物の研削を行い得るので、被研削物の研削を行いながら研削対象表面の研削度合いに応じて研削ディスクの、被研削物の研削対象表面への当接角度および押圧力を同時に調整することが可能であり、これによって、容易に研削対象表面を均すことができるとともに、研削による研削ディスクの磨耗を遅らせることができる。
【0010】
なお、本発明のグラインダ保持装置においては、前記伸縮機構は、前記移動部と前記ホルダとを平行リンク機構によって結合してなるようにしても良く、このようにすれば、ディスクグラインダの研削ディスクの、被研削物の研削対象表面への当接角度を変えずに、ディスクグラインダの研削ディスクの研削面を被研削物の研削対象表面に接近させ得て、研削時の研削ディスクの、研削対象表面への当接角度をハンドルの操作によって容易に所望の角度に設定することができる。
【0011】
また、本発明のグラインダ保持装置においては、前記平行リンク機構は、二つの蝶番のそれぞれの一方の蝶板同士を互いに対向させて結合した少なくとも二組の蝶番組を、前記移動部と前記ホルダとの間に、前記所定方向に整列し、かつそれらの蝶番の開閉中心軸線が前記所定方向に対し直交するように配置して、それら二組の蝶番組の各組の二枚の他方の蝶板を前記移動部と前記ホルダとに結合してなるようにしても良く、このようにすれば、二組の蝶番組を一緒に開閉させることでホルダを移動部に対して上下方向に平行移動させることができる。
【0012】
また二つの蝶番を組み合わせた蝶番組を用いることで、ホルダは移動部に対して上下方向に移動するとともに、移動部に対して進退移動もするので、ホルダの上昇と連動してホルダが移動部に対し前方に押し出される向きに蝶番を配置すれば、ディスクグラインダの研削ディスクをより奥の位置に進出させ得て、研削範囲をより広域化することができる。
【0013】
また、本発明のグラインダ保持装置においては、前記保持器具は、前記アームと前記移動部とを連結するとともに前記アームと前記移動部との距離を伸縮させて前記伸縮機構を伸縮させるアジャスタを具えていても良く、このようにすれば、伸縮機構を構成する平行リンク機構は移動部とホルダとの間に介装されていることから、アジャスタで、ホルダに固定されたアームと移動部との距離を伸縮させることでホルダが移動部に対して進退移動して平行リンク機構のリンクが揺動するので、伸縮機構を伸縮させることができる。
【0014】
さらに、本発明のグラインダ保持装置においては、前記アジャスタを、前記アームに螺合貫通するとともに一端部につまみが設けられたネジ軸と、前記ネジ軸の他端部を前記移動部に回転可能に連結する連結部材とを有する構成としても良く、このようにすれば、つまみを掴んでアジャスタを回動させることで容易にアームと移動部との間の距離を伸縮させることができる。
【0015】
さらに、本発明のグラインダ保持装置においては、前記伸縮機構は、前記平行リンク機構のリンクの揺動角度を制限するストッパを具えていても良く、このようにすれば、リンクが過度に揺動して起立側と反対の側に倒れるのを防止することができる。
【0016】
さらに、本発明のグラインダ保持装置においては、前記傾動機構は、前記ハンドルの動きに伴って前記ホルダを前記移動部に対し傾動させる蝶番と、前記ホルダを前記ディスクグラインダの前記研削ディスクの研削面が水平になる方向に付勢するバネと、を具えていても良く、このようにすれば、研削を行う人が手でハンドルを操作することでホルダを移動部に対し上下方向に傾動させることができるとともに、自由状態では、バネがホルダを付勢してディスクグラインダの研削ディスクの研削面を水平に保つので、研削中に研削を行う人がハンドルから手を離しても研削ディスクが被研削物の研削対象表面に当接し続けることがなく、また研削を行う人がハンドルを手で操作する前に研削ディスクを回転させても研削ディスクは被研削物の研削対象表面に当接しないので、安全性を確保することができる。
【0017】
さらに、本発明のグラインダ保持装置においては、前記移動部は、前記アダプタに設けられて前記所定方向へ延在するレールと摺動自在に嵌合してそのレールとともにガイド機構を構成し、前記アダプタに対する前記移動部の、前記所定方向への移動を案内するリニアブッシュと、前記被研削物の、前記研削対象表面と平行な面上を走行する車輪と、を有していても良く、このようにすれば、ガイド機構により移動部をアダプタに対して前記所定方向に案内させることができるとともに、二本のレールを用いず一方を車輪とすることにより移動部を円滑に移動させることができる。
【0018】
そして、本発明のグラインダ保持装置においては、前記アダプタは、前記車輪が前記研削対象表面と平行な面の代わりに走行する走行面を具えていても良く、このようにすれば、移動部はアダプタに支持されて、被研削物の研削対象表面の下方に研削対象表面に平行な面がない場合でも移動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに図1は、本発明のグラインダ保持装置の第1実施例を示した側面図、図2は、その第1実施例のグラインダ保持装置の保持器具を示した側面図、図3は、上記第1実施例のグラインダ保持装置を示した正面図、図4は、上記第1実施例のグラインダ保持装置を図1中の矢印の方向から見た下面図、図5(a),(b)は、鋼床版橋梁の、主としてその溶接部に疲労き裂を有するトラフリブの補修・補強工程において、そのトラフリブを一旦、仮のH鋼で補剛する前の状態を示す断面図および側面図、図5(c),(d)は、上記実施例のグラインダ保持装置を用いる研削作業を含んだ工程で上記トラフリブを一旦、仮のH鋼で補剛した後を模式的に示した断面図および側面図である。
【0020】
図5(a),(b)に示すように、疲労き裂1等を有する、鋼床版橋梁2のトラフリブ3の補修・補強では、そのトラフリブ3をガス切断して切除し、図5(c),(d)に示すように、H鋼4を仮受け補剛材として取り付けた後に、新たに代替リブ(図示せず)をボルト接合する方法がある。かかる方法では、上記代替リブをボルト接合する前に、トラフリブ3の切除後に鋼床版デッキプレート5の下向きの表面(下面)に残存する溶着金属部6をディスクグラインダで研削し、その表面を均す作業が必要となる。そこで、第1実施例には、トラフリブ3の切除後の鋼床版デッキプレート5に取り付けたH鋼4を利用し、そのH鋼4の下フランジ部4aに配置されて、ディスクグラインダを保持し、上記溶着金属部6の研削を可能するグラインダ保持装置10を示す。
【0021】
この第1実施例のグラインダ保持装置10は、図1から図4までに示すように、ディスクグラインダ11を保持する保持器具12と、鋼床版デッキプレート5の下面に取り付けられたH鋼4の下フランジ部4aに固定支持されるアダプタ14とを具えている。
【0022】
アダプタ14は、当該アダプタ14をH鋼4の下フランジ部4aに固定する固定部としての二個のクランプ16と、保持器具12を当該アダプタ14に対し鋼床版デッキプレート5の下面に平行な方向であってかつH鋼4の延在方向である所定方向に移動するように案内するガイド機構の一部をなす丸棒状のレール18と、二個のクランプ16にそれぞれ固定されそのレール18の両端部を固定支持する二枚の支持板20とから構成されている。
【0023】
ここで二個のクランプ16は、アダプタ14の前方(図1では左方)と後方(図1では右方)とにそれぞれ配置されており、それらクランプ16は、図3に示すように、H鋼4の下フランジ部4aの厚さよりも大きく開いたコ字状のクランプ枠16aと、そのクランプ枠16aに螺合貫通し、下フランジ部4aをクランプ枠16aの内側に押し当てるボルト16bとからなっている。
【0024】
また、二枚の支持板20は、二個のクランプ枠16aからそれぞれ側方に向けて突出しており、それらの支持板20は、アダプタ14の前後方向、すなわち上記所定方向に延在するように、上記レール18を貫通させて保持している。さらに、そのレール18の両端部18aには、図4に示すように、レール18がアダプタ14の前後方向に移動して支持板20から脱落するのを防止するために、レール18の直径方向に貫通して延在するストッパピン18bが設けられている。
【0025】
一方、保持器具12は、研削ディスク11aを有するディスクグラインダ11を、その研削ディスク11aの研削面が上向きとなるように保持するホルダ22と、保持器具12をアダプタ14に対して上記前後方向に移動させる移動部24と、一端部に研削する人が操作するハンドル26が設けられるとともに他端部をホルダ22に固定されたアーム28と、ディスクグラインダ11の研削ディスク11aと溶着金属部6との間の距離を調整するための伸縮機構30と、その伸縮機構30を伸縮させるためのアジャスタ32と、ディスクグラインダ11の研削ディスク11aと溶着金属部6との当接角度を調節するための傾動機構34とを有しており、ここにおけるディスクグラインダ11は、一般的なディスクグラインダであって、電気式でも空気式でもかまわない。
【0026】
移動部24は、図3に示すように、アダプタ14のレール18とH鋼4の下フランジ部の上面4bとに渡って配置されており、この移動部24は、レール18に案内されて当該移動部24をレール18の延在方向に移動させるためにレール18と摺動自在に嵌合して上記ガイド機構の一部をなす通常のリニアブッシュ36と、H鋼4の下フランジ部の上面4b上を走行する車輪38と、それらリニアブッシュ36と車輪38とを離間させて支持する基板40と、その基板40の下面の、リニアブッシュ36と車輪38部との間に配設された、上記アジャスタ32を移動部24に連結するためのフック42とから構成され、ここで、車輪38は、基板40に取り付けられたアングル44に螺合されて、そのアングル44と車輪38との距離ひいては基板40の水平度を調整可能にされている。
【0027】
伸縮機構30は、二つの蝶番45,46のそれぞれの一方の蝶板45a,46a同士を互いに対向させて結合したものを一組の蝶番組とした二組の蝶番組48,49と、移動部24の基板40の上方に配したプレート50とからなり、それらの蝶番組48,49は基板40とプレート50との間に、アダプタ14の上記前後方向(図2では左右方向)に整列し、かつそれらの蝶番45,46の開閉中心軸線が上記前後方向に対して直交するように並んで平行リンク機構を構成し、その前後方向に開閉可能に介装されている。また、プレート50の後方(図2では右方)の上面からは、上記前後方向で後方側の蝶番組49に向けて、コ字状に形成されたストッパ52を突設させ、蝶番組48,49が直角に開いた状態でストッパ52の先端部が後方側の蝶番組49に当接するようにして、蝶番組48,49が過度に開くのを防止している。
【0028】
傾動機構34は、移動部24に対して上下方向に開閉する蝶番54と、その蝶番54を閉じる方向に常時付勢してホルダ22を自由状態で水平に保つバネ56とからなり、伸縮機構30の上部のプレート50とホルダ22との間に介装されている。
【0029】
ホルダ22は、ディスクグラインダ11の先端部を僅かな隙間を持って包囲する略コ字状のホールド枠22aと、そのホールド枠22aの両側壁部にそれぞれ螺合貫通し、ディスクグラインダ11を両側方から挟んでホールド枠22aに固定する二本のボルト22bと、ホールド枠22aの下部に固定されディスクグラインダ11の長さ方向に延在するホルダ板22cとからなり、ホルダ板22cの下面は傾動機構34の蝶番54の一方の蝶板54aに固定されている。
【0030】
また、ホルダ板22cの下面には、く字状に形成されるとともに、研削を行う人が握るハンドル26を一端部に有する上記アーム28の他端部が固定され、このアーム28の、ハンドル26とホルダ22板との間の部分には、上記アジャスタ32が貫通するための孔28aと、そのアジャスタ32と螺合するナット28bとが配設されている。
【0031】
アジャスタ32は、アーム28の孔28aに貫通するとともにアーム28のナット28bと螺合する丸棒状のネジ軸32aと、ネジ軸32aを回動させるためのツマミ32bと、移動部24とネジ軸32aとを連結する連結部32cと、連結部32cをネジ軸32aに接続するためのフック32dとからなり、連結部32cにはネジ軸32aの回動による縒りを戻す、連結部材としてのスイベル32eが設けられている。
【0032】
かかる第1実施例のグラインダ保持装置10にあっては、ディスクグラインダ11を保持する保持器具12は、クランプ16により鋼床版デッキプレート5下面に取り付けられたH鋼4の下フランジ部4aに固定されたアダプタ14に搭載されており、アジャスタ32のツマミ32bを回動させて、アーム28と移動部24との距離を短縮もしくは延長し、伸縮機構30を伸縮させることで、ホルダ22は移動部24に対して上下方向に移動し、研削を行う人がハンドル26を握り、アダプタ14に対して上下方向にそのハンドル26を移動させることで、傾動機構34によりホルダ22は、移動部24に対して上下方向に傾動するので、伸縮機構30でディスクグラインダ11の研削ディスク11aの研削面を被研削物の研削対象表面としての溶着金属部6に適宜接近させながら、傾動機構34でディスクグラインダ11の研削ディスク11aと溶着金属部6の表面との当接角度を任意に調整し、研削ディスク11aを溶着金属部6の表面に当接させるとともに、ハンドル26をアダプタ14の前後方向に押し引きすることで、保持器具12がアダプタ14に対してその前後方向に往復移動し、ディスクグラインダ11の研削ディスク11aが溶着金属部6を下方から上向きに研削する。
【0033】
従って、この第1実施例のグラインダ保持装置10によれば、ディスクグラインダ11を保持する保持器具12を移動可能に支持するアダプタ14を、鋼床版デッキプレート5のH鋼4の下フランジ部4aにそのアダプタ14のクランプ16で固定することで、溶着金属部6を下方から上向きに研削するから、橋梁桁内等の狭くかつ支持床のない空間でも使用することができる。しかも、保持器具12とアダプタ14とを分離構造としているため、アダプタ14のみを被研削物の周辺の構造物(この場合鋼床版デッキプレート5下面に取り付けられたH鋼4の下フランジ部4a)に適合させて製作することで、保持器具12を代えることなくそのまま搭載することができるので、アダプタ14を固定可能な如何なる場所にも比較的容易に適用させることができるとともに、それら保持器具12とアダプタ14とを分離させることで容易に持ち運ぶことができる。
【0034】
また、ハンドル26を移動部24に対して上下方向に移動させることでディスクグラインダ11の研削ディスク11aと溶着金属部6との当接角度を調節できるとともに、そのハンドル26をアダプタ14に対してそのアダプタ14の前後方向に押し引きすることで溶着金属部6の研削を行い得るので、溶着金属部6の研削を行いながらその溶着金属部6の研削度合いに応じて研削ディスク11aと溶着金属部6との当接角度および押圧力を同時に調整することが可能であり、これによって、溶着金属部6があった部位の研削対象表面を容易に均すことができるとともに、研削による研削ディスク11aの磨耗を遅らせることができる。
【0035】
さらに、この第1実施例のグラインダ保持装置10によれば、伸縮機構30が、二つの蝶番45,46のそれぞれの一方の蝶板45a,46a同士を互いに対向させて結合した蝶番組を一組とした二組の蝶番組48,49を移動部24の基板40上に、アダプタ14の前後方向に並べて、平行リンク機構を構成させ、移動部24に対して上記前後方向に開閉可能に配置しており、これにより、蝶番組48,49を開閉させることでホルダ22を移動部24に対して上下方向に移動させることができる。
【0036】
またそれぞれ二つの蝶番45,46を組み合わせた二組の蝶番組48,49を用いることで、ホルダ22は移動部24に対して上下方向に移動するとともに、移動部24に対して前後方向にも移動するので、ホルダ22を上昇させれば、その上昇と連動してホルダ22は移動部24に対して前方に押し出されることとなり、ディスクグラインダ11の研削ディスク11aをより奥の位置に進出させ得て、研削範囲をより広域化することができる。
【0037】
さらに、この第1実施例のグラインダ保持装置10によれば、保持器具12が、アーム28と移動部24とを連結するとともにアーム28と移動部24との距離を伸縮させるアジャスタ32を具えているので、このアジャスタ32でアーム28と移動部24との距離を短縮もしくは延長させることで、ホルダ22が移動部24に対して前後方向に移動し、それと連動して蝶番組48,49が開閉して、伸縮機構30を伸縮させることができる。
【0038】
さらに、この第1実施例のグラインダ保持装置10によれば、アジャスタ32を、アーム28のナット28bに螺合貫通するとともに一端部にツマミ32bが設けられたネジ軸32aと、そのネジ軸32aの他端部を移動部24に回転可能に連結する連結部32cをと有する構成であるので、これによりツマミ32bを掴んでネジ軸32aを回動させることで、容易にアーム28と移動部24との間の距離を伸縮させることができる。
【0039】
さらに、この第1実施例のグラインダ保持装置10によれば、伸縮機構30が、蝶番組48,49の開度を制限するストッパを具えているので、蝶番組48,49が過度に開いてホルダ22が移動部24の前方に倒れるのを防止することができる。
【0040】
さらに、この第1実施例のグラインダ保持装置10によれば、傾動機構34は、ハンドル26の動きに伴ってホルダ22を移動部24に対し傾動させる蝶番54と、ホルダ22をディスクグラインダ11の研削ディスク11aの研削面が水平になる方向に付勢するバネ56と、を具えていおり、これにより、研削を行う人が手でハンドル26を操作することでホルダ22を移動部24に対し上下方向に傾動させることができるとともに、自由状態では、バネ56がホルダ22を付勢してディスクグラインダ11の研削ディスク11aの研削面を水平に保つので、研削中に研削を行う人がハンドル26から手を離しても研削ディスク11aが被研削物の研削対象表面としての溶着金属部6に当接し続けることがなく、また研削を行う人がハンドル26を手で操作する前に研削ディスク11aを回転させても研削ディスク11aは溶着金属部6に当接しないので、安全性を確保することができる。
【0041】
そして、この第1実施例のグラインダ保持装置10によれば、移動部24は、アダプタ14に設けられてそのアダプタ14の前後方向へ延在するレール18と摺動自在に嵌合してそのレール18とともにガイド機構を構成し、アダプタ14に対する移動部24の、上記前後方向への移動を案内するリニアブッシュ36と、鋼床版デッキプレート5下面に取り付けられたH鋼4の下フランジ部の上面4bを走行する車輪38とを有しているので、これにより、上記ガイド機構により移動部24をアダプタ14に対して前記前後方向に案内させることができるとともに、二本のレールを用いず一方を車輪38とすることにより移動部24を円滑に移動させることができる。
【0042】
次いで、本発明のグラインダ保持装置の第2実施例について、図面を用いて詳細に説明する。ここに、図6は、本発明の第2実施例のグラインダ保持装置を示す側面図、図7(a),(b),(c)は、それぞれ上記第2実施例のグラインダ保持装置のアダプタを示す側面図、平面図および図7(b)中の矢印方向から見た背面図、図8(a),(b)は、それぞれ鋼床版橋梁の、主として溶接部に疲労き裂を有する垂直補剛材を切断する前および切断した後を模式的に示した斜視図であり、これらの図中、先の第1実施例と同様の部分についてはそれと同一の符号を用いて説明し、さらに同様の作用および効果を有するものはその説明を省略する。
【0043】
図8(a),(b)に示すように、疲労き裂60等を有する、鋼床版橋梁の主桁ウエブ58(もしくは横リブや横桁)に添設された垂直補剛材61の補修では、垂直補剛材61の一部をガス切断して切除した後に、鋼床版デッキプレート62と垂直補剛材61とを繋ぐ鋼板(当て板)をボルト止めする工程があり、かかる工程では、鋼床版デッキプレート62の下向きの表面(下面)に残存する溶着金属部63をディスクグラインダで研削して、その鋼床版デッキプレート62の表面を均す作業が必要となる。そこで、この第2実施例には、垂直補剛材61の一部の切除後に、垂直補剛材61の残された部分に取り付けられて、ディスクグラインダを保持し、溶着金属部63の研削を可能とするグラインダ保持装置70を示す。
【0044】
この第2実施例のグラインダ保持装置70は、先の第1実施例と同様に、ディスクグラインダ11を保持する保持器具12と、その保持器具12を搭載するアダプタ72とを具えており、図6に示すように、アダプタ72は、鋼床版橋梁の垂直補剛材61に固定支持されている。ここで、アダプタ72に搭載する保持器具12は、車輪38を移動方向に整列させて二個有する点以外は先の第1実施例の保持器具12と同様の構成を持つものである。
【0045】
アダプタ72は、図7に示すように、当該アダプタ72を垂直補剛材61に固定する、固定部としてのクランプ74と、保持器具12をアダプタ72に対し、鋼床版デッキプレート62の下面に平行な方向であって、垂直補剛材61の幅方向である、そのアダプタ72の前後方向(図7(a),(b)では左右方向)に移動するように案内する、保持器具12の移動部24のリニアブッシュ36と組み合わされてガイド機構を構成するレール76と、保持器具12の移動部24の二個の車輪38を走行可能に支持する上面を持つ走行面78とによって構成されている。
【0046】
クランプ74は、アダプタ72の前方(図6では右方)に設けられるとともに、垂直補剛材61の幅方向の主桁ウエブ58が添設されていない方の端部に当接させて、アダプタの走行面78を鋼床版デッキプレート62に対して平行にするU字状のクランプ枠74aと、垂直補剛材61の厚さよりも互いに広く離間されるとともに上記クランプ枠74aにそれぞれ固定されたクランプ板74b,74cと、一方のクランプ板74bに螺合貫通し、垂直補剛材61を他方のクランプ板74cの内側に押し当ててクランプ板74b,74cを垂直補剛材61に固定する二つのボルト74dとからなる。さらにそれぞれのクランプ板の外側の上端部には、鋼床版デッキプレート62と平行をなすアングル82,83が、アダプタ72の後方(図7(a),(b)では左方)に向かって突出するようにそれぞれ固設され、ここでは、クランプ枠74aおよびクランプ板74b,74cと、クランプ板74b,74cおよびアングル82,83とは、それぞれ図示しないネジで互いに固定されている。
【0047】
そしてそれぞれのアングル82,83上には、アダプタ72の前後方向(図7では左右方向)に延在するように長方形状の板材84,85が、鋼床版デッキプレート62と平行をなしてそれぞれ敷設されており、それら板材84,85のうち一方の板材84(図7(b)では下方)は、保持器具12の二個の車輪38が走行する走行面78を持ち、他方の板材85(図7(b)では上方)は、上記ガイド機構を構成するレール76を支持している。
【0048】
レール76は、板材85に沿って延在し、板材85の両端部から上方に突出するL字状の軸受け87でその両端部を支持されており、さらにレール76の両端部には、レール76がアダプタ72の前後方向に移動して軸受け87から脱落するのを防止するためのストッパ89が設けられている。
【0049】
なお、この第2実施例のグラインダ保持装置70のアダプタ72に搭載する保持器具12は、上述のように、先の第1実施例の保持器具12と概ね同一のものであるが、第1実施例では保持器具12の車輪38はH鋼4の下フランジ部の上面4b上を走行するのに対し、この第2実施例では保持器具12の車輪38はアダプタ72の走行面78上を走行するという点で異なっている。
【0050】
かかる第2実施例のグラインダ保持装置70にあっては、ディスクグラインダ11を保持する保持器具12は、クランプ74により鋼床版橋梁の垂直補剛材61に固定されたアダプタ72に搭載されており、アジャスタ32のツマミ32bを回動させて、アーム28と移動部24との距離を短縮もしくは延長し、伸縮機構30を伸縮させることで、ホルダ22は移動部24に対して上下方向に移動し、研削を行う人がハンドル26を握り、アダプタ72に対して上下方向にそのハンドル26を移動させることで、傾動機構34によりホルダ22は、移動部24に対して上下方向に傾動するので、伸縮機構30でディスクグラインダ11の研削ディスク11aの研削面を被研削物の研削対象表面としての溶着金属部63に適宜接近させながら、傾動機構34でディスクグラインダ11の研削ディスク11aと溶着金属部63の表面との当接角度を任意に調整し、研削ディスク11aを溶着金属部63の表面に当接させるとともに、ハンドル26をアダプタ72の前後方向に押し引きすることで、保持器具12がアダプタ72に対してその前後方向に往復移動し、ディスクグラインダ11の研削ディスク11aが溶着金属部63を下方から上向きに研削する。
【0051】
従って、この第2実施例のグラインダ保持装置70によれば、ディスクグラインダ11を保持する保持器具12を移動可能に支持するアダプタ72を、鋼床版橋梁の垂直補剛材61にそのアダプタ72のクランプ74で固定することで、溶着金属部63を下方から上向きに研削するから、橋梁桁内等の狭くかつ支持床のない空間でも使用することができる。しかも、保持器具12とアダプタ72とを分離構造としているため、アダプタ72のみを被研削物の周辺の構造物(この場合鋼床版橋梁の垂直補剛材61)に適合させて製作することで、保持器具12を代えることなくそのまま搭載することができるので、アダプタ72を固定可能な如何なる場所にも比較的容易に適用させることができるとともに、それら保持器具12とアダプタ72とを分離させることで容易に持ち運ぶことができる。
【0052】
また、ハンドル26を移動部24に対して上下方向に移動させることでディスクグラインダ11の研削ディスク11aと溶着金属部63との当接角度を調節できるとともに、そのハンドル26をアダプタ72に対してそのアダプタ72の前後方向に押し引きすることで溶着金属部63の研削を行い得るので、溶着金属部63の研削を行いながらその溶着金属部63の研削度合いに応じて研削ディスク11aと溶着金属部63との当接角度および押圧力を同時に調整することが可能であり、これによって、溶着金属部63があった部位の研削対象表面を容易に均すことができるとともに、研削による研削ディスク11aの磨耗を遅らせることができる。
【0053】
しかも、この第2実施例のグライダ保持装置70によれば、アダプタ72は、保持器具12の車輪38が走行する走行面78を有しているので、移動部24はアダプタ72に支持されて、被研削物の研削対象表面の下方に研削対象表面と平行な面がない場合でも移動することができる。
【0054】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものであり、例えばアダプタの固定部は、被研削物の一部に固定できればどのようなものでも良く、クランプの代わりにマグネットを用いても良い。また実施例では、移動部とアームとの間の距離の伸縮は、アームのナットに螺合貫通したアジャスタのネジ軸を回動させ行うと説明したが、例えばネジ棒に代えて、長さ方向に亘って任意の間隔に貫通穴が設けられた丸棒を用い、一方アームのナットに代えて、これも上記貫通穴に対応する貫通穴を持つボスを設け、それらボスおよび丸棒の貫通穴に挿入されて、それら丸棒とボスとを互いに固定するピンを適宜差し替えて段階的に移動部とアームとの間の距離を調整し得るようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
かくして、本発明のグラインダ保持装置によれば、ディスクグラインダを保持する保持器具を搭載するアダプタを、固定部で被研削物の周囲の構造物に固定し、被研削物の研削対象表面を下方から上向きに研削することから、橋梁桁内等の狭くかつ支持床のない空間でも使用することができる。しかも、保持器具とアダプタとを分離構造としているため、アダプタのみを、被研削物の周辺の構造物に適合させて製作することで、保持器具を代えることなくそのまま搭載できるので、アダプタを固定可能な如何なる場所にも比較的容易に適用させることができるとともに、それらを分離させることで容易に持ち運ぶことができる。
【0056】
また、ハンドルを移動部に対して上下方向に移動させることでディスクグラインダの研削ディスクと被研削物の研削対象表面との当接角度を調節できるとともに、そのハンドルをアダプタに対して研削対象表面に平行な所定方向に押し引きすることで被研削物の研削を行い得るので、被研削物の研削を行いながら研削対象表面の研削度合いに応じて研削ディスクの、被研削物の研削対象表面への当接角度および押圧力を同時に調整することが可能であり、これによって、容易に研削対象表面を均すことができるとともに、研削による研削ディスクの磨耗を遅らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のグラインダ保持装置の第1実施例を示した側面図である。
【図2】上記第1実施例のグラインダ保持装置の保持器具を示した側面図である。
【図3】上記第1実施例のグラインダ保持装置を示した正面図である。
【図4】上記第1実施例のグラインダ保持装置を図1中の矢印方向から見た下面図である。
【図5】(a),(b)は、鋼床版橋梁の、主としてその溶接部に疲労き裂を有するトラフリブの補修・補強工程において、そのトラフリブを一旦、仮のH鋼で補剛する前の状態を示す断面図および側面図であり、(c),(d)は、上記実施例のグラインダ保持装置を用いる研削作業を含んだ工程で上記トラフリブを一旦、仮のH鋼で補剛した後を模式的に示した断面図および側面図である。
【図6】本発明の第2実施例のグラインダ保持装置を示す側面図である。
【図7】(a),(b),(c)は、それぞれ上記第2実施例のグラインダ保持装置のアダプタを示す側面図、平面図および図7(b)中の矢印方向から見た背面図である。
【図8】(a),(b)は、それぞれ鋼床版橋梁の、主としてその溶接部に疲労き裂を有する垂直補剛材を切断する前および切断した後を模式的に示した斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1 疲労き裂
2 鋼床版橋梁
3 トラフリブ
4 H鋼
4a 下フランジ部
4b 下フランジ部の上面
5 鋼床版デッキプレート
6 溶着金属部
10 グラインダ保持装置
11 ディスクグラインダ
11a 研削ディスク
12 保持器具
14 アダプタ
16 クランプ
16a クランプ枠
16b ボルト
18 レール
18a レールの両端部
18b ストッパピン
20 支持板
22 ホルダ
22a ホールド枠
22b ボルト
22c ホルダ板
24 移動部
26 ハンドル
28 アーム
28a 孔
28b ナット
30 伸縮機構
32 アジャスタ
32a ネジ軸
32b ツマミ
32c 連結部
32d フック
32e スイベル
34 傾動機構
36 リニアブッシュ
38 車輪
40 基板
42 フック
44 アングル
45 蝶番
45a 蝶板
45b 蝶板
46 蝶番
46a 蝶板
46b 蝶板
48 蝶番組
49 蝶番組
50 プレート
52 ストッパ
54 蝶番
54a 蝶板
56 バネ
58 主桁ウエブ
60 疲労き裂
61 垂直補剛材
62 鋼床版デッキプレート
63 溶着金属部
70 グラインダ保持装置
72 アダプタ
74 クランプ
74a クランプ枠
74b クランプ板
74c クランプ板
74d ボルト
76 レール
78 走行面
82 アングル
83 アングル
84 板材
85 板材
87 軸受け
88 ストッパ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研削物の研削対象表面を下方から上向きに研削するために、研削ディスクを有するディスクグラインダをその研削ディスクの研削面が上向きとなるように保持するグラインダ保持装置であって、
前記ディスクグラインダを保持する保持器具と、
固定部により前記被研削物の周囲の構造物に固定支持されてその被研削物の研削対象表面の下方に配置されるとともに、前記保持器具を分離可能に搭載するアダプタと、を具え、
前記保持器具は、
前記ディスクグラインダを前記研削ディスクの研削面が上向きとなるように固定保持するホルダと、
一端部に人が手で操作するハンドルが設けられ、他端部を前記ホルダに固定されたアームと、
前記アダプタに対し、前記研削対象表面に平行な所定方向へ案内されて移動する移動部と、
前記ホルダと前記移動部との間に介装され、前記ホルダを前記移動部に対して上下方向に平行移動させる伸縮機構と、
前記ホルダと前記移動部との間に介装され、前記ホルダを、前記移動部に対して前記所定方向と直交する軸線周りに上下方向に傾動させる傾動機構と、
を有することを特徴とする、グラインダ保持装置。
【請求項2】
前記伸縮機構は、前記移動部と前記ホルダとを平行リンク機構によって結合してなることを特徴とする、請求項1記載のグラインダ保持装置。
【請求項3】
前記平行リンク機構は、二つの蝶番のそれぞれの一方の蝶板同士を互いに対向させて結合した少なくとも二組の蝶番組を、前記移動部と前記ホルダとの間に、前記所定方向に整列し、かつそれらの蝶番の開閉中心軸線が前記所定方向に対し直交するように配置して、それら二組の蝶番組の各組の二枚の他方の蝶板を前記移動部と前記ホルダとに結合してなることを特徴とする、請求項2記載のグラインダ保持装置。
【請求項4】
前記保持器具は、前記アームと前記移動部とを連結するとともに前記アームと前記移動部との距離を伸縮させて前記伸縮機構を伸縮させるアジャスタを具えることを特徴する、請求項2または3記載のグラインダ保持装置。
【請求項5】
前記アジャスタは、
前記アームに螺合貫通するとともに一端部につまみを設けられたネジ軸と、
前記ネジ軸の他端部を前記移動部に回転可能に連結する連結部材と、
を有することを特徴とする、請求項4に記載のグラインダ保持装置。
【請求項6】
前記伸縮機構は、前記平行リンク機構のリンクの揺動角度を制限するストッパを具えることを特徴とする、請求項2から5までの何れか記載のグラインダ保持装置。
【請求項7】
前記傾動機構は、
前記ハンドルの動きに伴って前記ホルダを前記移動部に対し傾動させる蝶番と、
前記ホルダを前記ディスクグラインダの前記研削ディスクの研削面が水平になる方向に付勢するバネと、
を具えることを特徴とする、請求項1から6までの何れか記載のグラインダ保持装置。
【請求項8】
前記移動部は、
前記アダプタに設けられて前記所定方向へ延在するレールと摺動自在に嵌合してそのレールとともにガイド機構を構成し、前記アダプタに対する前記移動部の、前記所定方向への移動を案内するリニアブッシュと、
前記被研削物の、前記研削対象表面と平行な面上を走行する車輪と、
を有することを特徴とする、請求項1から7までの何れか記載のグラインダ保持装置。
【請求項9】
前記アダプタは、前記車輪が前記研削対象表面と平行な面の代わりに走行する走行面を具えることを特徴とする、請求項8に記載のグラインダ保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−137140(P2008−137140A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328195(P2006−328195)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(591210600)川田工業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】