説明

グラブボックス

【課題】インストルメントパネルに取り付ける際の作業性を向上でき、かつ建付不良を生じにくいグラブボックスを提供する。
【解決手段】グラブボックス10は、開口部2に対してドア12を閉鎖状態でロックするロック機構とロック解除装置30を有する。ロック機構は、ドア12に設けられる左右一対の係合部材と、該係合部材を係合させるために開口部2の周縁部に設けられた係合孔と、ロック解除装置30に固定されるベゼル40に設けられた係合孔45とからなる。ロック解除装置30をインパネロア1に固定する際に、ベゼル40と予めアセンブリさせてからインパネロア1の固定部位20に固定するので、ロック手段を構成する係合孔45とロック解除装置30とをインパネロア1に対して同時に設置できる。よって、グラブボックス10の取付け時の作業性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルに設けられるグラブボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のインストルメントパネル(以下、インパネと略す。)の助手席側には、小物等を収納するためのグラブボックス(グローブボックスとも呼ぶ。)が設けられている。グラブボックスはその構造によって種々のタイプがある。例えば、ボックス(収納部)とドアが一体に形成され、ボックス自体が回転軸を中心に開閉する「VINタイプ」がある。また、ボックス(収納部)は動かずにドアのみが回転軸を中心に開閉する「ドアタイプ」がある。前者は一般車に使用されることが多く、後者は高級車に使用されることが多い。
【0003】
これらのグラブボックスには、何れのタイプにおいても、ドアを閉鎖状態でロックするロック機構と、そのロックを解除するロック解除機構とが設けられている。ロック機構は、例えば、ドアに沿って移動する係合部と、その係合部を係入させるべく、開口部の周縁に設けられた係合孔とからなる。ロック解除機構は、乗員によって操作される操作部と、その操作部の操作に連動して係合孔に係入した係合部を係脱させる機構とからなる。
【0004】
ここで、VINタイプのグラブボックスにおいては、ロック解除機構はドアに組み込まれていることが多い。これは係合部がドア側にあることから、ドア側にロック解除機構を設けることの方が、インパネ側に設けるよりも簡単かつ経済的だからである。これに対し、ドアタイプのグラブボックスでは、高級車に使用されることから、グラブボックスの利便性や見栄えの向上を図る必要がある。そこで、ロック解除機構をインパネ側に設け、インパネ側にある操作部を操作することでドアを開くようにしたものがある。このようなドアタイプのグラブボックスに使用されるロック解除機構を、VINタイプのグラブボックスに適用させるために、例えば、インパネの開口部を開閉するドアを備え、ロック解除手段を、開口部の周縁部に設けられた操作ボタンと、その操作ボタンの操作に連動して係合孔に係入した係合部を外側へ押し出す押出ピンとで構成したグローブボックスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−327332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のグローブボックスでは、ロック解除手段をインパネに取り付けるにあたり、インパネの開口部の周縁部に係合孔を設ける必要があり、その係合孔には係合部が係入すると共に収納物による負荷がかかるため、係合孔に補強用のパッチ等を固定しなければならなかった。さらには、操作部と押出ピンとで構成されるロック解除手段とパッチをインパネに対して別々に組み付けるため、作業性が悪く、建付不良を生じ易いという問題点もあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、インストルメントパネルに取り付ける際の作業性を向上でき、かつ建付不良を生じにくいグラブボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のグラブボックスは、車両のインストルメントパネルの開口部に装着され、回転軸を中心に開閉するボックス及び当該ボックスと一体に形成されたドアと、これらボックス及びドアを閉鎖状態でロックするロック機構と、当該ロック機構によるロックを解除するロック解除装置とを備えたグラブボックスであって、前記ロック機構は、前記ドアに沿って移動可能に設けられた係合部と、当該係合部に対応して前記開口部の周縁に固定され、前記係合部を係入させる係合孔を有するベゼルとを備え、前記ロック解除装置は、操作部と、当該操作部の操作に連動して、前記係合孔に係入した前記係合部を外側に押し出して、前記ロック機構によるロックを解除する押出ピンとを備え、前記ロック解除装置と、前記ロック機構のベゼルとは、あらかじめアセンブリした状態で前記開口部の周縁に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明のグラブボックスでは、ロック解除装置とロック機構のベゼルとを、開口部の周縁に固定する前にあらかじめアセンブリする。これにより、ロック解除装置の押出ピンとベゼルの係合孔との相互の位置合わせが容易となるので、部品相互間のずれを防止できる。さらに、それらロック解除装置とベゼルとをアセンブリした状態で、開口部の周縁に固定する。すると、開口部に対してベゼルの係合孔が位置決めされるので、ドアに沿って移動する係合部をベゼルの係合孔に係入し、ボックス及びドアをロックすることができる。このように、ロック解除装置とロック機構のベゼルとをアセンブリした状態で、開口部の周縁に固定するだけで、ロック解除装置と、ロック機構のベゼルとを同時に組み付けることができるので、グラブボックスをインストルメントパネルに取り付ける際の作業性を向上でき、かつ建付不良を生じにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態であるグラブボックス10について、図面を参照して説明する。図1は、インパネロア1に対するグラブボックス10の組付態様を示す斜視図である。図2は、ロック解除装置30とベゼル40のアセンブリ体70の分解斜視図である。図3は、アセンブリ体70の前側から見た斜視図である。図4は、アセンブリ体70の後ろ側から見た斜視図である。図5は、インパネロア1に固定されたアセンブリ体70周辺の縦断面図である。図6は、インパネロア1に固定されたアセンブリ体70の横断面図(ロック状態)である。図7は、インパネロア1に固定されたアセンブリ体70の横断面図(ロック解除状態)である。
【0010】
なお、本実施形態のグラブボックス10は、ボックス(収納部)とドアが一体に形成され、ボックス自体が回転軸を中心に開閉するVINタイプであって、右ハンドル車の車室前部に組み付けられたインパネ(図示外)のうち下側部位を構成するインパネロア1に取り付けられるものである。
【0011】
はじめに、インパネロア1の助手席側の構造について説明する。図1に示すように、インパネロア1の助手席側には、グラブボックス10を内側に収容するための開口部2が設けられている。開口部2は正面視矩形状に形成されている。その内周縁の下端部の左右両側には、グラブボックス10の意匠面となるドア12の下部を受けて回動可能に軸支するための軸支部7,8が各々設けられている。開口部2の上部左側には、DVDディスクを収納するDVDチェンジャー(図示外)を格納するための空間を有する格納部4が設けられ、その右隣りには、ETCユニット(図示外)を格納するための空間を有する格納部5が設けられている。
【0012】
格納部5の右隣りには、グラブボックス10のロック解除装置30とベゼル40のアセンブリ体70を固定するための固定部位20が設けられている。固定部位20は正面視矩形状に形成され、格納部4,5の開口する端面よりも車両前方に一段低くなっている。固定部位20には、ベゼル40の基台部41の底面に突設された係合爪51,52,53(図4参照)を各々係入させるための係合孔21,22,23と、ビス留め筒部55,56(図4参照)を固定部位20にビス留めするためのビス留め孔25,26とが各々設けられている。
【0013】
次に、グラブボックス10について説明する。図1に示すように、グラブボックス10は、開口部2を閉鎖する板状のドア12と、該ドア12の裏面側に一体に設けられ、開口部2の奥側に収容される上部が開口する容器状の収納部14とからなる。ドア12は、下方に向かってなだらかに湾曲する形状を備え、インパネロア1の意匠面と連続した意匠面を形成している。さらに、ドア12の上部右側の角部には、L字状の切り欠き部121が形成されている。この切り欠き部121によって、開口部2をドア12で閉鎖した際に、インパネロア1の固定部位20に固定されたアセンブリ体70のロック解除装置30を車室側に露呈できる。
【0014】
一方、収納部14は容器状に形成され、側面から見た形状が開口する上部から底部に向かうに従って細くなるように形成されている。収納部14の左右両側壁の外面の上部であって、ドア12から離れる側には、グラブボックス10を車室側に開く際に、開口部2の内周縁に裏側から係止することによって、グラブボックス10の回動を規制する板状の規制部材16,17が左右方向に各々突設されている。さらに、収納部14の左右両側壁の上部のドア12側には、図6に示すように、後述するロック機構90を構成する左右一対の係合部材91,92の各係合部94を外方に突出させるための突出孔141,142が各々設けられている。
【0015】
このような構成を備えたグラブボックス10は、図1に示すように、開口部2に対して車室側から嵌め込まれ、ドア12の下端部が、開口部2の下端部に設けられた軸支部7,8に回動可能に軸支されることによって車室側に回動して引き出せるようになっている。
【0016】
そして、グラブボックス10は、開口部2に対してドア12を閉鎖状態でロックするためのロック機構90(図6参照)と、そのロック機構90によるドア12の閉鎖状態を解除するためのロック解除装置30とを備えている。
【0017】
まず、ロック機構90について説明する。図6に示すように、ロック機構90は、ドア12の裏側に設けられる左右一対の係合部材91,92と、左側の係合部材91の先端部を係合させるために、開口部2の左側の周縁部に設けられる係合孔201と、右側の係合部材92の先端部を係合させるために、固定部位20に固定されたアセンブリ体70のベゼル40に設けられた係合孔45(図2参照)とから構成されている。各係合部材91,92は、インパネロア1の意匠面と連続した意匠面を構成するドア12に沿って車幅方向に移動するように、ドア12の裏側に設けられている。
【0018】
各係合部材91,92の各基端部には、何れもラック911が各々形成されている。両係合部材91,92のラック911は、ピニオン93を挟んで互いに対向するように配置されている。また、各係合部材91,92の先端部には、開口部2の周縁部に設けられた係合孔201と、ベゼル40に設けられた係合孔45とに係脱可能に係入させる係合部94が各々設けられ、ドア12と平行に延びる棒状に形成されている。
【0019】
次に、ロック解除装置30について説明する。図2に示すように、ロック解除装置30は、縦長の略直方体状の装置本体31と、該装置本体31の前面上部に支持されたブロック状の操作ノブ32とから構成されている。操作ノブ32の裏面には突き出しピン321が突設され、その先端部には、後述する押出ピン60の後端部に形成された第2テーパ面601に当接させるための第1テーパ面322(図6参照)が形成されている。
【0020】
そして、装置本体31の前面の上段には、正面視矩形状の挿入孔312が設けられ、背面側(車両前方)に向かって略水平に延設されている。挿入孔312には、操作ノブ32の突き出しピン321が装置本体31の前面側から差し込まれる。これにより操作ノブ32は装置本体31の前後方向に移動可能に支持される。装置本体31の前面の下段には、装置本体31によるロック解除を禁止するためのキーシリンダー311が、装置本体31の前方に向けて突設されている。さらに、装置本体31の前面の下半分には、そのキーシリンダー311を覆うようにして、板状のキーカバー33(図1,図5参照)が取り付けられる。さらに、図5に示すように、キーカバー33の略中央には、円形状の差し込み孔331が設けられている。差し込み孔331は、キーシリンダー311の先端に対応する位置に配置される。
【0021】
また、図2に示すように、装置本体31の上段の内部には、装置本体31の幅方向に延設された断面矩形状のガイド孔313が設けられ、その長手方向一端部はグラブボックス10側に向けられる左側面310に貫通している。このガイド孔313には、左側面310側から押出ピン60とコイルバネ67とが収納されている。コイルバネ67は、押出ピン60を装置本体31の内側に引き込むように付勢する。押出ピン60は、操作ノブ32の操作によって、装置本体31のガイド孔313からグラブボックス10側(図1参照)に向かって進退可能に支持される。
【0022】
さらに、図6に示すように、押出ピン60の装置本体31の内部に押し込まれる後端部63には、操作ノブ32の突き出しピン321の先端部に形成された第1テーパ面322に当接する第2テーパ面601が形成されている。他方、押出ピン60の装置本体31のガイド孔313から突出する先端部62(図2参照)には、板状の当接部65が固定されている。
【0023】
また、装置本体31の下半分の内部には、キーシリンダー311に差し込まれるキー(図示外)の回動によって、操作ノブ32の突き出しピン321の移動を制限してロック解除を禁止するためのストッパ部材75が収納されている。
【0024】
次に、ベゼル40の構造について説明する。図2,図3に示すように、ベゼル40は枠状に形成された樹脂製の装飾部材である。ベゼル40は、装置本体31の左側面310、背面(図示外)および底面(図示外)を覆い隠すようにして取り付けられる。即ち、図3に示すように、ロック解除装置30にベゼル40を取り付けた状態で、そのロック解除装置30を正面から見た場合、L字状の枠がロック解除装置30の外周を取り囲むようにして配置される。
【0025】
具体的な構造について説明する。ベゼル40は、図2に示すように、略矩形状の板である基台部41と、該基台部41の外周の一部に沿って立設され、角部に沿って略L字状に屈曲する枠部42とからなる。枠部42は、ロック解除装置30の下側に配置される下枠部421と、ロック解除装置30の左側(装置本体31の左側面310側)に配置される左枠部422とからなる。左枠部422の略中央であって、押出ピン60の当接部65に対応する位置には、当接部65と同形状の係合孔45が設けられている。なお、後述するが、係合孔45は、グラブボックス10の収納部14の側壁上部のドア12側に設けられた突出孔142の位置に対応する(図6参照)。よって、係合孔45には、ロック機構90の係合部材92の係合部94が係入すると共に、その反対側から押出ピン60の当接部65が挿入可能となっている。
【0026】
ところで、図4に示すように、基台部41の底面(固定部位20に固定される面)には3つの係合爪部51,52,53が突設されている。基台部41の底面を正面として見た時に、係合爪部51は右上の角部近傍に突設され、係合爪部52は右下の角部近傍に突設され、係合爪部53は左下の角部近傍に突設されている。さらに、左上の角部と、下端部近傍の略中央とには、ベゼル40をロック解除装置30の装置本体31に固定するためのビス80を締結するためのビス孔46(図2では、左上の角部に設けられたビス孔46のみ図示)が設けられている。さらに、基台部41の右側一端部の長手方向略中央には、ビス留め筒部55が略直角に立設され、左側一端部の長手方向略中央には、ビス留め筒部56が略直角に立設されている。
【0027】
次に、係合爪部51〜53の構造について説明する。なお、係合爪部51〜53は何れも同じ構造であるので、ここでは、係合爪部51の構造について説明する。図2,図4に示すように、係合爪部51は、先端側が細くなった台形の板状の平面部151を備えている。平面部151の裏面の幅方向両端部には、互いに平行に立設され、平面部151の先端側に向かって先細り形状となった一対の側壁部152,152が設けられている。
【0028】
さらに、平面部151には、平面部151の長手方向に対して平行に延設された一対のスリット153,153が互いに所定間隔を空けて設けられている。これらスリット153,153によって、平面部151のスリット153,153で挟まれた部分の弾性変形が可能である。また、スリット153,153で挟まれた部分には、平面部151の外表面から断面三角形状に隆起する爪部154が平面部151の幅方向に設けられている。なお、係合爪部51の平面部151は横方向に配設され、係合爪部52,53の各平面部151は縦方向に各々配設されている。これにより、係合爪部51〜53に対して上下方向又は左右方向にかかる外部付勢に対して十分に耐えることができる。
【0029】
例えば、図5に示すように、係合爪部51と同じ構造を有する係合爪部52を、インパネロア1の固定部位20に設けられた係合孔22(図1参照)に係入する。すると、爪部154が、係合孔22の縁部に係止するので、係合爪部52を係合孔22に確実に係合させることができる。また、係合爪部52を係合孔22から取り外す場合は、工具(図示外)等で、平面部151のスリット153,153で挟まれた部分を撓ませることで、爪部154が係合孔22の縁部から離れるので、係合爪部52を係合孔22から取り外すことができる。
【0030】
なお、図4に示すように、係合爪部51〜53の各平面部151と、ビス留め筒部55,56は、基台部41の底面の外周に沿って立設されたリブ57を介して互いに連結されている。これにより、基台部41のみならず、係合爪部51〜53と、ビス留め筒部55,56との剛性強度を向上できる。
【0031】
次に、インパネロア1に対するロック解除装置30の取り付け手順について説明する。まず、図2に示すように、装置本体31に対して、操作ノブ32、押出ピン60、コイルバネ67およびストッパ部材75等を組み付けることによって、ロック解除装置30を組み立てる。次いで、ロック解除装置30に対してベゼル40を取り付ける。具体的には、ベゼル40の内側にロック解除装置30を設置する。つまり、装置本体31の背面側を、ベゼル40の基台部41の内面に当接させると共に、装置本体31の左側面310を、ベゼル40の左枠部422に対向させて配置する。このとき、左枠部422に設けられた係合孔45は、押出ピン60の当接部65に対向する。
【0032】
そして、図2に示すように、ベゼル40の内側にロック解除装置30を設置した状態で、基台部41の外面側から2つのビス孔46に対してワッシャー81(図4参照)を介してビス80を各々締結することで、装置本体31が基台部41に固定される。これにより、ロック解除装置30とベゼル40とが一体となったアセンブリ体70(図3,図4参照)が構成される。
【0033】
次いで、アセンブリ体70をインパネロア1の固定部位20に固定する。つまり、アセンブリ体70のベゼル40に突設された係合爪部51,52,53(図4参照)を、固定部位20に設けられた係合孔21,22,23(図1参照)に各々係合させ、ベゼル40に設けられたビス留め筒部55,56(図4参照)を、固定部位20に設けられたビス留め孔25,26(図1参照)に位置決めする。そして、図5に示すように、インパネロア1の裏側からビス留め孔25,26(図5では、ビス留め孔25のみ図示)にビス85を通し、ベゼル40側のビス留め筒部55,56(図5では、ビス留め筒部55のみ図示)に各々締結する。これにより、アセンブリ体70がインパネロア1の固定部位20に強固に固定される。つまり、ロック解除装置30はベゼル40を介して固定部位20に固定される。
【0034】
そして、固定部位20にアセンブリ体70が固定された状態では、図6に示すように、ベゼル40の左枠部422に設けられた係合孔45は、グラブボックス10のドア12側の突出孔142から突出する係合部材92の係合部94に対応する位置に配置される。さらに、係合孔45には押出ピン60の当接部65が対向している。つまり、係合孔45に対して、グラブボックス10側から係合部材92の係合部94が係入可能であると同時に、その反対側である装置本体31側から押出ピン60の当接部65を侵入させることができる。
【0035】
このように、ロック解除装置30をインパネロア1に固定する際に、ベゼル40と予めアセンブリさせ、そのアセンブリ体70をインパネロア1に固定するので、ロック機構90を構成する係合孔45とロック解除装置30とを、インパネロア1に対して同時に設置できる。従って、インパネロア1に対するグラブボックス10の取り付けの際の作業性を向上できる。さらに、ロック機構90の係合部94を係入させる係合孔45を、ベゼル40の左枠部422に設けているので、従来のパッチの機能を同時に果たすことができる。また、ロックを解除する機構を、従来のようにインパネロア1に直接組み付けるのではなく、単体としてロック解除機構が既に構成されたロック解除装置30を後付けするので、操作ノブ32、押出ピン60等の部品相互間のずれも生じない。従って、グラブボックス10のロック解除に不具合が生ずるのを防止できる。
【0036】
次に、ロック解除装置30によるグラブボックス10のロック解除動作について、図6,図7を参照して説明する。図6に示すように、グラブボックス10のドア12は、車幅方向に突出する左右の係合部材91,92の各係合部94を、開口部2に設けられた係合孔201と、ベゼル40の左枠部422に設けられた係合孔45とに各々係入させることによって、開口部2に対して閉鎖状態でロックされている。即ち、左右一対の係合部材91,92、開口部2の周縁部に設けられた係合孔201、ベゼル40に設けられた係合孔45からなるロック機構90が、グラブボックス10のドア12を開口部2に対して閉鎖状態でロックしている。
【0037】
ここで、ロック機構90によるドア12の閉鎖状態を解除してグラブボックス10を開放させる場合、操作ノブ32を車両前方に向かって押圧する。すると、図7に示すように、操作ノブ32の突き出しピン321の先端に設けられた第1テーパ面322と、押出ピン60の後端部63に設けられた第2テーパ面601とを互いに摺動させながら、突き出しピン321が押出ピン60をピニオン93側に向かって車幅方向に移動させる。
【0038】
これに伴って、押出ピン60の当接部65が、係合部材92の係合部94の先端をピニオン93側に向かって押圧する。そして、最終的に、係合部材92の係合部94を係合孔45の内側から外側へと押し出す。このとき、他方の係合部材91の係合部94は、ピニオン93を介して、係合部材92の係合部94とは逆方向に移動され、対応する係合孔201内から抜出して開口部2の内側へと移動する。その結果、ロック機構90を構成する左右の係合部材91,92と、係合孔201,45との係合状態が解除され、開口部2を閉鎖するドア12が回動可能な状態になる。こうして、ドア12は、自重により車両の後方に回動し、グラブボックス10を開放させる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のグラブボックス10では、ロック解除装置30をインパネロア1に固定する際に、ベゼル40と予めアセンブリさせ、そのアセンブリ体70をインパネロア1の固定部位20に固定する。これにより、ロック機構90を構成する係合孔45とロック解除装置30とを、インパネロア1に対して同時に設置できるので、グラブボックス10の取り付けの際の作業性を向上できる。さらに、ロック機構90の係合部94を係入させる係合孔45を、ベゼル40の左枠部422に設けているので、インパネロア1に係合孔を設ける必要がない。
【0040】
さらに、ベゼル40の左枠部422が従来のパッチの機能を果たすので、係合孔45を補強する必要もない。また、ロックを解除する機構を、従来のようにインパネロア1に直接組み付けるのではなく、単体としてロック解除機構が既に構成されたロック解除装置30を後付けするので、操作ノブ32、押出ピン60等の部品相互間のずれも生じない。従って、グラブボックス10のロック解除に不具合が生ずるのを防止できる。
【0041】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されることなく、各種の変形が可能である。上記実施形態では、右ハンドル車のインパネロア1に組み付けられるグラブボックス10を一例として説明したが、左ハンドル車のインパネロアに組み付けられるグラブボックスにも適用可能である。
【0042】
また、ロック解除装置は、運転席側からも操作し易いように、グラブボックスの運転席側端部に設置するのが好ましい(図1参照)。従って、左ハンドル車の場合は、右ハンドル車の場合とは、固定部位20の位置が反対となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】インパネロア1に対するグラブボックス10の組付態様を示す斜視図である。
【図2】ロック解除装置30とベゼル40のアセンブリ体70の分解斜視図である。
【図3】アセンブリ体70の前側から見た斜視図である。
【図4】アセンブリ体70の後ろ側から見た斜視図である。
【図5】インパネロア1に固定されたアセンブリ体70周辺の縦断面図である。
【図6】インパネロア1に固定されたアセンブリ体70の横断面図(ロック状態)である。
【図7】インパネロア1に固定されたアセンブリ体70の横断面図(ロック解除状態)である。
【符号の説明】
【0044】
1 インパネロア
2 開口部
10 グラブボックス
12 ドア
14 収納部
20 固定部位
30 ロック解除装置
31 装置本体
32 操作ノブ
40 ベゼル
60 押出ピン
65 当接部
70 アセンブリ体
90 ロック機構
92 係合部材
93 ピニオン
94 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルの開口部に装着され、回転軸を中心に開閉するボックス及び当該ボックスと一体に形成されたドアと、これらボックス及びドアを閉鎖状態でロックするロック機構と、当該ロック機構によるロックを解除するロック解除装置とを備えたグラブボックスであって、
前記ロック機構は、前記ドアに沿って移動可能に設けられた係合部と、当該係合部に対応して前記開口部の周縁に固定され、前記係合部を係入させる係合孔を有するベゼルとを備え、
前記ロック解除装置は、操作部と、当該操作部の操作に連動して、前記係合孔に係入した前記係合部を外側に押し出して、前記ロック機構によるロックを解除する押出ピンとを備え、
前記ロック解除装置と、前記ロック機構のベゼルとは、あらかじめアセンブリした状態で前記開口部の周縁に固定されることを特徴とするグラブボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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