説明

グルコピラノシド誘導体

式(I)、式中、Xは、請求項1に示した意味を有する、で表される新規な化合物は、抗糖尿病薬として適している。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【化1】

式中
Xは、
【化2】

を示し、
ここで、6員環の芳香環は、Hal、OR、NR、CN、COOR、CONR、−OCOA、NRCORおよび/またはNRSOAによって単置換または二置換されていてもよく、
【0002】
Rは、Carb、ArまたはHetを示し、
、Rは、各々、互いに独立してHまたはAを示し、
Carbは、3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを示し、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるか、またはHal、A、ベンジル、OR、NR、NO、CN、CONR、NRCOA、OCOA、NRCONR、NRSOA、CHO、COA、SONR、S(O)Aおよび/または−(CR−COORによって単置換、二置換、三置換、四置換もしくは五置換されており、
【0003】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、Hal、A、ベンジル、OR、NR、NO、CN、CONR、NRCOA、OCOA、NRCONR、NRSOA、CHO、COA、SONR、S(O)A、−(CR−COOR、=S、=NRおよび/または=O(カルボニル酸素)によって単置換、二置換または三置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
【0004】
Aは、1〜10個のC原子を有し、ここで1つ、2つまたは3つのCH基が、互いに独立してO、S、SO、SO、NR、−C≡C−によって、および/または−CH=CH−基によって置き換えられていてもよく、かつ/またはここで、さらに1〜7個のH原子が、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよい、非分枝状または分枝状アルキル、
あるいは3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1、2または3を示し、
pは、0、1または2を示す、
で表される化合物ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物に関する。
【0005】
本発明は、有用な特性を有する新規な化合物、特に医薬を製造するために用いることができる化合物を見出す目的に基づいた。
【発明の概要】
【0006】
式Iで表される化合物およびこれらの塩は、極めて有用な薬理学的特性を有する一方、良好に耐容されることが見出された。これらは、SGLT1およびSGLT2(ナトリウム依存性グルコース共輸送体)阻害特性を示し、したがって1型および2型糖尿病に対抗し、これを予防するために用いることができる。
【0007】
小腸の刷子縁および腎臓の近位尿細管におけるグルコースの、濃度勾配に逆らった吸収は、上皮性ナトリウム依存性グルコース共輸送体(SGLT)を介して生じる。少なくとも2つの主要なクラスのSGLTが記載されている:SGLT1(例えば、Lee W.S. et al. (1994) The high-affinity Na+/Glucose co-transporter: re-evaluation of function and distribution of expression. J. Biol. Chem. 269、12032-12039)およびSGLT2(例えば、Mackenzie B. et al. (1994) SAAT1 is a low-affinity Na+/glucose cotransporter and not an amino acid transporter. J. Biol. Chem. 269、22488-22491)である。
SGLT1は、腸におけるグルコースの吸収に重要であると考えられており、一方SGLT2は、恐らく腎臓において自由に濾過されたグルコースの再吸収に主に関与する。
【0008】
真性糖尿病における主な変化は高血糖である。これは、疾患の徴候であるのみならず、慢性多発性糖尿病性微小血管性および大血管性合併症ならびにインスリン分泌および感受性の障害をもたらす可能性のある病原因子でもある(Klein R. (1995)、Hyperglycemia and microvascular and macrovascular disease in diabetes、Diabetes Care 18、258-268; Rossetti L. (1995)、Glucose toxicity: the implications of hyperglycemia in the pathophysiology of diabetes mellitus、Clin. Invest. Med. 18、255-260)。したがって、糖尿病患者の場合における重要な治療目的は、専ら血糖値を正常な範囲内に調節することである。これらの記載された機能により、SGLTの阻害の結果、グルコースの低下した吸収および増大した排泄ならびにその後の血糖値の低下がもたらされる。したがって、SGLTの抑制は、糖尿病の処置への好適な代替であり得る。
【0009】
文献には、SGLT作用を有する多数の群の物質が記載されている。これらの構造すべてについてのモデルは、天然物であるフロリジンであった。
【0010】
芳香族グリコシド誘導体は、WO 2004/052902およびWO 2004/052903から知られている。プロピオフェノングリコシド類は、WO 0280936、WO 0280935、特開2000−80041号公報およびEP 850948に記載されている。グルコピラノシルオキシベンジルベンゼン類は、WO 0244192、WO 0228872およびWO 0168660に記載されている。グルコピラノシルオキシピラゾール類は、WO 0268440、WO 0268439、WO 0236602およびWO 0116147から知られている。O−グリコシドベンズアミド類は、WO 0174835およびWO 0174834に開示されている。C−アリールグリコシド類は、WO 0127128およびUS 2002137903に記載されている。すべての既知の構造は、極めて重要な構造的要素としてグルコースを含む。さらに、US 2002/132807には、炎症疾患および免疫疾患を処置するためのジアリールスルフィド化合物が開示されている。EP 0 953 357 A1には、一般的に、腎臓薬物担体としてのグリコシド化合物が記載されており、WO 95/23780には、スキンライトナーとしての4−ヒドロキシフェノキシヘテロシクロアルキル化合物が記載されている。
【0011】
本発明の化合物は、SGLTからSGLTへの所望の親和性に関して、高い乖離を有する。
式Iで表される化合物は、グルコース代謝に対する好ましい作用により際立ち、特にこれらは、血糖レベルを低下させ、1型および2型糖尿病を処置するのに適する。したがって、当該化合物を、単独で、または他の血糖低下活性化合物(抗糖尿病薬)と組み合わせて用いることができる。
【0012】
式Iで表される化合物はさらに、糖尿病における後期障害、例えば腎症、網膜症、神経障害、およびシンドロームX、肥満、心臓発作、心筋梗塞、末梢動脈閉塞性疾患、血栓症、動脈硬化、炎症、免疫疾患、自己免疫疾患、例えばAIDS、喘息、骨粗鬆症、癌、乾せん、アルツハイマー病、統合失調症および感染性疾患の予防および処置、好ましくは1型および2型糖尿病の処置に、ならびに糖尿病における後期障害、シンドロームXおよび肥満の予防および処置に適する。
【0013】
式Iで表される化合物は、ヒト医学および獣医学における、特に1型および2型糖尿病の処置および予防のための医薬活性化合物として用いることができる。
【0014】
本発明は、式Iで表される化合物およびそれらの塩、ならびに式Iで表される化合物およびそれらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体を調製するための方法であって、
を、式II
【化3】

式中
Xは、請求項1において示した意味を有し、
は、ヒドロキシル保護基を示す、
で表される化合物から切断し、
かつ/または
式Iで表される塩基または酸を、その塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0015】
式Iで表される化合物はまた、これらの化合物の水和物および溶媒和物、さらに薬学的に使用可能な誘導体を意味するものと解釈される。
【0016】
本発明はまた、これらの化合物の光学的に活性な形態(立体異性体)、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマーならびに水和物および溶媒和物に関する。「化合物の溶媒和物」は、それらの相互の引力のために生成する化合物上への不活性溶媒分子の付加物を意味するものと解釈される。溶媒和物は、例えば一もしくは二水和物またはアルコラートである。
【0017】
「薬学的に使用可能な誘導体」は、例えば本発明の化合物の塩およびまたいわゆるプロドラッグ化合物を意味するものと解釈される。
「プロドラッグ誘導体」は、例えばアルキルもしくはアシル基、糖またはオリゴペプチドで修飾され、生物体中で迅速に切断されて本発明の活性な化合物を形成する、式Iで表される化合物を意味するものと解釈される。
これらはまた、例えばInt. J. Pharm. 115、61-67 (1995)に記載されているように、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体を含む。
【0018】
本発明はまた、本発明の式Iで表される化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率での混合物に関する。
これらは、特に好ましくは立体異性体化合物の混合物である。
【0019】
本発明の化合物はまた、種々の多形型(polymorphic form)、例えばアモルファスおよび結晶多形型であり得る。本発明の化合物のすべての多形型は、本発明の範囲内に属し、本発明のさらなる側面である。
【0020】
1回よりも多く出現するすべてのラジカルについて、これらの意味は互いに独立している。
本明細書中、ラジカルXは、他に明確に示さない限り式Iの下に示した意味を有する。
【0021】
Aは、アルキルを示し、非分枝状(直鎖状)または分枝状であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは、好ましくはメチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えばトリフルオロメチルを示す。
Aは、極めて特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
【0022】
シクロアルキルは、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを示す。
【0023】
Arは、例えば、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−アセトアミドフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−メチルスルファニルフェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−ホルミルフェニル、o−、m−またはp−アセチルフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル、o−、m−またはp−(ピペリジニルカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−[2−(モルホリン−4−イル)エトキシ]フェニル、o−、m−またはp−[3−(N,N−ジエチルアミノ)プロポキシ]フェニル、o−、m−またはp−[3−(3−ジエチルアミノプロピル)ウレイド]フェニル、o−、m−またはp−(3−ジエチルアミノプロポキシカルボニルアミノ)フェニル、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,4−もしくは2,5−ジニトロフェニル、2,5−もしくは3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−もしくは2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−もしくは3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを示す。
【0024】
Arは、特に好ましくは、非置換フェニル、さらに好ましくは、例えばA、Hal、OAおよび/またはOHによって単置換、二置換または三置換されているフェニルを示す。
【0025】
他の置換基とは無関係に、Hetは、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、インダゾリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−、−5−イルまたは2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルまたはジベンゾフラニルを示す。
【0026】
複素環式基はまた、部分的にまたは完全に水素化されていてもよい。
他の置換基とは無関係に、Hetは、したがってまた、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは5−フリル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、1−、2−もしくは3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−もしくは−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−もしくは−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−もしくは−6−ピリジル、1−、2−、3−もしくは4−ピペリジニル、2−、3−もしくは4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−もしくは−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−もしくは−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−もしくは−5−ピリミジニル、1−、2−もしくは3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−もしくは6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたはまた3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−もしくは−7−イル、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニル、3,4−ジヒドロ−2−オキソ−1H−キナゾリニル、2,3−ジヒドロベンゾキサゾリル、2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾキサゾリル、2,3−ジヒドロベンズイミダゾリル、1,3−ジヒドロインドール、2−オキソ−1,3−ジヒドロインドールまたは2−オキソ−2,3−ジヒドロベンズイミダゾリルを示すことができる。
【0027】
Hetは、特に好ましくはピリジル、ピリミジニル、フリル、チエニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、その各々はまた、Hal、Aおよび/または=O(カルボニル酸素)によって単置換されていてもよい。
【0028】
、Rは、好ましくは、各々、互いに独立してHまたはCHを示す。
Halは、好ましくはF、ClまたはBrを示すが、またIをも示す。
【0029】
式Iで表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を有することができ、したがって種々の立体異性体形態で存在し得る。式Iは、すべてのこれらの形態を包含する。
【0030】
したがって、本発明は特に、少なくとも1つの前述の基が前に示した好ましい意味の1つを有する、式Iで表される化合物に関する。いくつかの好ましい群の化合物を、以下の従属式Ia〜Ifにより表すことができ、これは、式Iに適合し、ここで、一層詳細に表していない基は、式Iの下に示した意味を有するが、ここで、
【0031】
Iaにおいて、R、Rは、各々、互いに独立してHまたはメチルを示し;
Ibにおいて、Rは、Arを示し;
Icにおいて、R、Rは、各々、互いに独立してHまたはCHを示し;
【0032】
Idにおいて、Arは、非置換であるかまたはHal、Aおよび/またはORによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し;
Ieにおいて、Aは、1〜6個のC原子を有し、ここで1〜7個のH原子がFおよび/またはClによって置き換えられていてもよい、非分枝状または分枝状アルキルを示し;
【0033】
Ifにおいて、Xは、
【化4】

を示し、
【0034】
Rは、Arを示し、
は、HまたはAを示し、
Arは、非置換であるかまたはHal、Aおよび/またはORによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Aは、1〜6個のC原子を有し、ここで1〜7個のH原子がFおよび/またはClによって置き換えられていてもよい、非分枝状または分枝状アルキルを示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す;
ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体であり、すべての比率でのそれらの混合物を含む。
【0035】
式Iで表される化合物およびまたこれらの製造のための出発物質は、さらに、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart)などの標準的学術書)に記載されているような自体公知の方法により、正確には周知の、前述の反応に適する反応条件の下で製造される。また、ここで、自体公知であり、ここでは一層詳細には述べない変法を用いることができる。
【0036】
出発物質を、所望により、インサイチュで生成することもでき、したがってそれらを反応混合物から単離せず、代わりに式Iで表される化合物に直ちに変換する。
【0037】
用語「ヒドロキシル保護基」は、同様に一般的に知られており、水酸基を化学反応に対して保護するのに適するが、所望の化学反応が分子中の他の箇所において行われた後に除去するのが容易である基に関する。そのような基の代表例は、前述の非置換または置換アリール、アラルキルまたはアシル基、さらにまたアルキル基である。ヒドロキシル保護基の性質および大きさは、それらが再び所望の化学反応または一連の反応の後に除去されるため、極めて重要ではない;好ましいのは、1〜20個、特に1〜10個の炭素原子を有する基である。ヒドロキシル保護基の例は、とりわけ、ベンジル、4−メトキシベンジル、p−ニトロベンゾイル、p−トルエンスルホニル、tert−ブチルおよびアセチルまたはシリル保護基であり、ここでベンジルおよびtert−ブチルが、特に好ましい。
【0038】
シリルは一般的に、トリメチル、トリエチル、トリイソプロピル、tert−ブチルジメチルまたはt−ブチルジフェニルシリル、特にトリメチルまたはtert−ブチルジメチルシリルを示す。
【0039】
式Iで表される化合物を、−用いる保護基に依存して−例えば強酸を用いて、有利にはTFAまたは過塩素酸を用いて、しかしまた他の強い無機酸、例えば塩酸または硫酸、強い有機カルボン酸、例えばトリクロロ酢酸、またはスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸もしくはp−トルエンスルホン酸を用いて、それらの官能的誘導体から遊離させる。追加の不活性溶媒の存在は、可能であるが、常に必要ではない。
【0040】
好適な不活性溶媒は、好ましくは有機物質、例えばカルボン酸、例えば酢酸、エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、アミド、例えばDMF、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、さらにまたアルコール類、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロパノールおよび水である。前述の溶媒の混合物は、さらに好適である。TFAを、好ましくはさらに溶媒を加えずに過剰で用い、過塩素酸を、好ましくは酢酸と70%過塩素酸との9:1の比率での混合物の形態で用いる。切断のための反応温度は、有利には約0〜約50℃、好ましくは15〜30℃(室温)である。
【0041】
式IIで表される化合物を、好ましくは、グルコースのアノマーC原子上のOR基を式III
【化5】

式中、Xは、請求項1において示した意味を有し、
は、ヒドロキシル保護基を示し、
またRは、Hまたはメチルを示す、
で表される化合物から除去することによって調製することができる。
【0042】
式IIIで表される化合物を、好ましくは式IV
【化6】

式中、Rは、ヒドロキシル保護基を示す、
で表される化合物を、式V
M−X V
式中、Mは金属、好ましくはリチウムまたはマグネシウムを示し、Xは請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物と反応させることによって調製することができる。
【0043】
反応を、不活性溶媒中で標準状態下で行う。
式IVで表される化合物は、既知であり、また商業的に購入することもできる。
【0044】
式Vで表される化合物を、好ましくは式VI
W−X VI
式中、Wは、Cl、BrまたはIを示し、Xは請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物を、金属、好ましくはマグネシウムまたは有機金属、好ましくは有機マグネシウムまたはリチウムと反応させることによって得る。
【0045】
有機マグネシウムまたはリチウムオルガニルは、一般的に塩化メチル、エチルまたはイソプロピルマグネシウム、ジエチルまたはジイソプロピルマグネシウム、n−ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルリチウム、特に塩化イソプロピルマグネシウムまたはtert−ブチルリチウムを示す。
【0046】
式VI、式中
Xが、
【化7】

を示す、
で表される化合物は、
好ましくは式VII
W−X VII
式中、Wは、Cl、BrまたはIを示し、
Xは、
【化8】

を示す、
で表される化合物を、
【0047】
式VIII
M−R VIII
式中、Mは、金属、好ましくはMgまたはLiであり、
Rは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物と反応させて、
式IX
W−X IX
式中、Wは、Cl、BrまたはIを示し、
Xは、
【化9】

を示す、
で表される化合物を得、
その後ベンジル水酸基を、文献から既知の方法によって除去することによって得られる。
【0048】
式VI、式中、
Xが、
【化10】

を示す、
で表される化合物は、好ましくは式XI
【化11】

式中、Xは、Cl、BrまたはIを示す、
で表される化合物を、式XII
W−R XII
式中、Rは、請求項1において示した意味を有し、
Wは、Cl、BrまたはIを示す、
で表される化合物と反応させることによって得られる。
【0049】
式VIIで表される化合物は、好ましくは標準的な方法による分子内アシル化またはアルキル化によって得られる。
用いる条件に依存して、記載した方法における反応時間は、数分〜14日であり、反応温度は、約0°〜150°、通常5°〜90°、特に好ましくは10°〜70℃であった。
【0050】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなど;塩素化炭化水素、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタンなど;アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなど;エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサンなど;グリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)など;ケトン、例えばアセトンもしくはブタノンなど;アミド、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF)など;ニトリル、例えばアセトニトリルなど;スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)など;二硫化炭素;カルボン酸、例えばギ酸もしくは酢酸など;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼンなど;エステル、例えば酢酸エチルなど、または前述の溶媒の混合物である。
【0051】
例えば式III、IXまたはX中に存在する、水素化分解的に(hydrogenolytically)除去可能な保護基(例えばCBZ、ベンジル)、ベンジル位における二重結合または水酸基もしくはアルコキシ基を、例えば触媒(例えば有利に担体(例えば炭素など)上の貴金属触媒、例えばパラジウムなど)の存在下で水素で処理することによって切断することができる。ここでの好適な溶媒は、上記に示したもの、特に例えばアルコール、例えばメタノールもしくはエタノールなど、またはアミド、例えばDMFなどである。水素化分解を、一般的に約0〜100°の温度および約1〜200barの圧力にて、好ましくは20〜30°および1〜10barにて行う。CBZ基の水素化分解は、例えば5〜10%のPd/C上でメタノール中で、またはギ酸アンモニウム(水素の代わりに)を用いてPd/C上でメタノール/DMF中で20〜30°にて、良好に成功する。
【0052】
例えば式III、IXまたはX中に存在する、ベンジル位における二重結合または水酸基もしくはアルコキシ基を;さらに、例えばトリアルキルシラン、例えばトリエチルまたはトリイソプロピルシランなど、および酸、例えばトリフルオロ酢酸またはルイス酸、例えばBFエーテルなどでの、一般的に約−40℃〜100°の温度における不活性溶媒中での処理によって除去することができる。
【0053】
式IIで表される化合物を、好ましくはOR基を式IIIで表される化合物から、トリアルキルシラン、例えばトリエチルまたはトリイソプロピルシランなど、およびルイス酸、例えばBFエーテルなどにより、不活性溶媒中で、例えば塩化メチレンなど、−50℃〜50℃の温度にて除去することによって得ることができる。
【0054】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなど;塩素化炭化水素、例えばトリクロロエチレン、1,2‐ジクロロエタン、四塩化炭素、トリフルオロメチルベンゼン、クロロホルムもしくはジクロロメタンなど;アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなど;エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサンなど;グリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)など;ケトン、例えばアセトンもしくはブタノンなど;アミド、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)もしくはジメチルホルムアミド(DMF)など;ニトリル、例えばアセトニトリルなど;スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)など;二硫化炭素;カルボン酸、例えばギ酸もしくは酢酸など;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼンなど;エステル、例えば酢酸エチルなど、または前述の溶媒の混合物である。
【0055】
エステルを、例えば酢酸を用いるか、あるいは水中のNaOHもしくはKOH、水/THF、水/ジオキサンまたはメタノール中の炭酸カリウムを用いて、0〜100°の温度にて加水分解することができる。
シリルエーテルを、例えば、不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン中のフッ化物含有試薬、例えばピリジン中のHFもしくはフッ化テトラブチルアンモニウムなどを用いて、またはアルコール中の、例えばメタノールなど、無機炭酸塩、例えば炭酸カリウムなどを用いて、0〜100°の温度にて切断することができる。
【0056】
薬学的塩および他の形態
式Iで表される前述の化合物を、これらの最終的な非塩形態で用いることができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野において公知の手順により、種々の有機および無機酸類および塩基類に由来し得るこれらの薬学的に許容し得る塩の形態で用いることを包含する。式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩形態は、大部分、慣用の方法により調製される。式Iで表される化合物がカルボキシル基を含む場合には、この好適な塩の1種を、当該化合物を好適な塩基と反応させて対応する塩基付加塩を得ることにより生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンである。
【0057】
式Iで表される化合物のアルミニウム塩が、同様に包含される。式Iで表される数種の化合物の場合において、酸付加塩を、これらの化合物を薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、他の鉱酸およびこれらの対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、ならびにアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、ならびに他の有機酸およびこれらの対応する塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することにより生成することができる。
【0058】
したがって、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩には、以下のものが含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩。しかしこれは、限定を表すものではない。
【0059】
さらに、式Iで表される化合物の塩基性塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、鉄(III)塩、鉄(II)塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン(III)塩、マンガン(II)塩、カリウム塩、ナトリウム塩および亜鉛塩が含まれるが、これは、限定を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム塩;アルカリ金属塩であるナトリウム塩およびカリウム塩、ならびにアルカリ土類金属塩であるカルシウム塩およびマグネシウム塩である。
【0060】
薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される、式Iで表される化合物の塩には、第一、第二および第三アミン類、天然に存在する置換アミン類をも含む置換アミン類、環状アミン類、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミノ樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0061】
塩基性窒素含有基を含む本発明の式Iで表される化合物を、剤、例えば(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C〜C)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにアリール(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを用いて四級化することができる。式Iで表される水溶性および油溶性化合物のいずれも、このような塩を用いて調製することができる。
【0062】
好ましい前述の薬学的塩には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンが含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0063】
式Iで表される塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用の方法で塩の形成を生じさせることにより調製する。遊離塩基を、塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することにより再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性などの点で、これらの対応する塩形態と異なる。しかし、本発明の目的のために、当該塩は、他の点では、これらのそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0064】
上述のように、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩を、金属またはアミン類、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0065】
式Iで表される酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用の方法で塩の生成を生じさせることにより調製する。遊離酸を、塩形態を酸と接触させ、慣用の方法で遊離酸を単離することにより再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性などの点で、これらの対応する塩形態と異なる。しかし、本発明の目的のために、当該塩は、他の点では、これらのそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0066】
式Iで表される化合物が、このタイプの薬学的に許容し得る塩を生成することができる1つよりも多い基を含む場合には、式Iはまた、多重塩(multiple salt)を包含する。典型的な多重塩形態には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0067】
上記で述べたことに関して、本文脈における表現「薬学的に許容し得る塩」は、特にこの塩形態が、活性化合物に対して、当該活性化合物の遊離形態または先に用いられていた活性化合物の任意の他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合に、式Iで表される化合物をその塩の1種の形態で含む、活性化合物を意味するものと解釈されることが明らかである。活性化合物の薬学的に許容し得る塩形態はまた、この活性成分に、先には有していなかった所望の薬物動態学的特性を初めて付与することができ、さらには身体におけるその治療有効性に関してこの活性化合物の薬力学に対する正の影響を有することさえできる。
【0068】
これらの分子構造のために、本発明の式Iで表される化合物は、キラルであり得、したがって種々の鏡像体形態で存在し得る。したがって、これらは、ラセミ体または光学的に活性な形態で存在し得る。
【0069】
本発明の化合物のラセミ体または立体異性体の薬学的活性は異なり得るため、鏡像体を用いるのが望ましい場合がある。これらの場合において、最終生成物またはさらには中間体を、鏡像体化合物に、当業者に公知の化学的もしくは物理的手段により分離するかまたは、さらにはそれ自体を合成において用いることができる。
【0070】
ラセミ体アミン類の場合において、ジアステレオマーが、混合物から光学的に活性な分割剤との反応により形成される。好適な分割剤の例は、光学的に活性な酸、例えば酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、好適なN保護アミノ酸類(例えばN−ベンゾイルプロリンもしくはN−ベンゼンスルホニルプロリン)または種々の光学的に活性な樟脳スルホン酸類のR体およびS体である。また有利なのは、光学的に活性な分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロースもしくは炭水化物の他の誘導体またはシリカゲル上に固定された、キラル的に誘導体化されたメタクリレートポリマー類)によるクロマトグラフィー鏡像体分割である。この目的に適する溶離剤は、水性またはアルコール性溶媒混合物、例えば82:15:3の比率でのヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルである。
【0071】
本発明はさらに、式Iで表される化合物および/またはそれらの生理学的に許容し得る塩の、特に非化学的方法による医薬(医薬組成物)の製造のための使用に関する。この場合において、これらを、少なくとも1種の固体、液体および/または半液体賦形剤または補助剤と共に、および任意に1種または2種以上の他の活性化合物と組み合わせて、好適な投薬形態に変換することができる。
【0072】
本発明はさらに、少なくとも1種の式Iで表される化合物および/またはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体(すべての比率でのそれらの混合物を含む)、ならびに任意に賦形剤および/または補助剤を含む医薬に関する。
これらの組成物を、ヒト医学または獣医学における医薬として用いることができる。
【0073】
医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で投与することができる。このような単位は、処置される疾患状態、投与の方法ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含むことができるか、または医薬製剤を、投与単位あたり所定量の活性化合物を含む投与単位の形態で投与することができる。好ましい投与単位処方物は、活性成分の、上記に示した1日用量もしくは部分用量、またはその対応する一部を含むものである。さらに、このタイプの医薬処方物を、薬学分野において一般的に知られている方法を用いて調製することができる。
【0074】
医薬処方物を、任意の所望の好適な方法による、例えば口腔内(頬側もしくは舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所(頬側、舌下もしくは経皮を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)手法による投与のために適合させることができる。このような処方物を、薬学分野において既知のすべての方法を用いて、例えば活性化合物を賦形剤(1種もしくは2種以上)または補助剤(1種もしくは2種以上)と組み合わせることにより調製することができる。
【0075】
経口投与に適合する医薬処方物を、個別の単位、例えばカプセルもしくは錠剤;粉末もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用発泡体(edible foam)もしくは発泡体食品;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして投与することができる。
【0076】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合において、活性成分要素を、経口的で、無毒の、薬学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。粉末を、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、これを同様にして粉砕した薬学的賦形剤、例えば食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することにより調製する。風味剤、保存剤、分散剤および染料が、同様に存在してもよい。
【0077】
カプセルを、上記のように粉末混合物を調製し、成形したゼラチン殻をこれで充填することにより製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば高分散ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体形態のポリエチレングリコールを、充填操作の前に粉末混合物に加えることができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを、同様に加えて、カプセルを服用した後の医薬の利用率を改善することができる。
【0078】
さらに、所望により、または所要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに染料を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトースなど、トウモロコシから製造された甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどが含まれる。これらの投与形態において用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、限定されずに、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。錠剤を、例えば粉末混合物を調製し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を加え、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることにより製剤する。
【0079】
粉末混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記のように希釈剤または基剤と、および任意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩、および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することにより調製する。粉末混合物を、これを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アカシア粘液またはセルロースの溶液またはポリマー材料などで湿潤させ、これをふるいを介して押圧することにより顆粒化することができる。顆粒化の代替として、粉末混合物を、打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、これを崩壊させて、顆粒を形成することができる。
【0080】
顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより潤滑化して、打錠型への粘着を防止することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して、錠剤を得る。活性化合物をまた、自由流動の不活性賦形剤と組み合わせ、次に圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を直接得ることができる。セラックシール層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が存在してもよい。染料を、これらのコーティングに加えて、異なる投与単位同士を区別可能にすることができる。
【0081】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤を、投与単位の形態で調製し、所定量が予め特定された量の化合物を含むようにすることができる。シロップを、化合物を水溶液に好適なフレーバーと共に溶解することにより調製することができ、一方エリキシル剤を、無毒なアルコール性ビヒクルを用いて調製することができる。懸濁液を、化合物を無毒なビヒクル中に分散させることにより処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類、保存剤、フレーバー添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などを、同様に加えることができる。
【0082】
経口投与用の投与単位製剤を、所望によりマイクロカプセル中にカプセル封入することができる。製剤をまた、放出が延長されるかまたは遅延されるように、例えば粒子状材料をポリマー、ろうなどの中にコーティングするかまたは包埋することにより調製することができる。
【0083】
式Iで表される化合物ならびにそれらの塩、互変異性体および立体異性体ならびに他の活性化合物をまた、リポソーム送達系、例えば小さい単層ベシクル(small unilamellar vesicles)、大きい単層ベシクル(large unilamellar vesicles)および多層ベシクル(multilamellar vesicles)の形態で投与することができる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から生成することができる。
【0084】
式Iで表される化合物ならびに塩、互変異性体および立体異性体ならびに他の活性成分をまた、化合物分子を結合させる個別の担体としてモノクローナル抗体を用いて送達することができる。化合物をまた、標的化された医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。このようなポリマーは、パルミトイルラジカルにより置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリジンを包含することができる。当該化合物をさらに、医薬の制御放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−イプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類およびヒドロゲルの架橋されたまたは両親媒性のブロックコポリマーに結合させることができる。
【0085】
経皮的投与に適合する医薬処方物を、レシピエントの表皮との長期間の密接な接触のための独立したプラスターとして投与することができる。したがって、例えば、活性化合物を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されているように、イオントフォレーシスによりプラスターから送達することができる。
局所的投与に適合する医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として処方することができる。
【0086】
眼または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、処方物を、好ましくは局所的軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を得るための処方物において、活性化合物を、パラフィン系または水混和性クリーム基剤のいずれかと共に用いることができる。あるいはまた、活性化合物を、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と共に処方してクリームを得ることができる。
【0087】
眼への局所的適用に適合する医薬処方物には、活性化合物が好適な担体、特に水性溶媒中に溶解しているか、または懸濁している点眼剤が含まれる。
口内の局所的適用に適合する医薬処方物は、薬用キャンデー、トローチおよび洗口剤を包含する。
直腸内投与に適合する医薬処方物を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0088】
担体物質が固体である鼻腔内投与に適合する医薬処方物は、例えば20〜500ミクロンの範囲内の粒子サイズを有する粗末を含み、これを、嗅ぎタバコを服用する方法で、即ち鼻に近接して保持した粉末を含む容器からの鼻孔を介した迅速な吸入により投与する。担体物質としての液体を有する、鼻腔内スプレーまたは点鼻薬としての投与に適する処方物は、水または油に溶解した活性成分溶液を包含する。
【0089】
吸入による投与に適合する医薬処方物は、微細な粒子状ダストまたはミストを包含し、これは、エアゾールを有する種々のタイプの加圧ディスペンサー、ネブライザーまたは吸入器により生成し得る。
膣内投与に適合する医薬処方物を、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー処方物として投与することができる。
【0090】
非経口投与に適合する医薬処方物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および処方物を処置されるべきレシピエントの血液と等張にする溶質を含む、水性の、および非水性の無菌注射溶液;ならびに懸濁媒質(suspension media)および増粘剤を含んでもよい水性のおよび非水性の無菌懸濁液が含まれる。当該処方物を、単回用量または多用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルにおいて投与し、使用の直前の、無菌の担体液体、例えば注射用水などの添加のみが必要となるように、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵することができる。
処方箋に従い製造する注射溶液および懸濁液を、無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0091】
上記で特定的に述べた構成成分に加えて、当該処方物はまた、処方物の特定のタイプに関して当該分野において慣用の他の剤をも含むことができることは言うまでもない。したがって、例えば、経口投与に適する処方物は、フレーバーを含んでいてもよい。
【0092】
式Iで表される化合物および他の活性化合物の治療有効量は、例えば、動物の年齢および体重、処置を必要とする正確な疾患状態およびその重篤度、製剤の性質ならびに投与の方法を含む多くの要因に依存し、最終的には処置する医師または獣医師により決定される。しかし、化合物の有効量は、一般的に1日、レシピエント(哺乳類)の体重1kgあたり0.1〜100mgの範囲内、特に典型的には1日、体重1kgあたり1〜10mgの範囲内である。したがって、体重が70kgである成体の哺乳類についての1日あたりの実際の量は、通常70〜700mgであり、ここで、この量を、1日あたり個別の用量として、またはより普通には1日あたり一連の分割用量(例えば2、3、4、5もしくは6分割)で投与し、合計の毎日の用量が同一であるようにすることができる。塩もしくは溶媒和物の、またはこの生理機能性誘導体の有効量を、化合物自体の有効量の比として決定することができる。
【0093】
本発明はさらに、式Iで表される化合物の、少なくとも1種の他の医薬活性化合物と組み合わせての、好ましくは1型および2型糖尿病の処置のための、特に血糖を低下させるための使用に関する。
【0094】
組み合わせ製剤に適する他の活性化合物は、以下のものである:
Rote Liste [Red List] 2001, Chapter 12において述べられているすべての抗糖尿病薬。これらを、本発明の式Iで表される化合物と組み合わせて、特に作用を相乗的に増強することができる。活性成分の組み合わせを、活性成分を患者に別個に投与することにより、または複数の活性成分を単一の医薬組成物中に含む組み合わせ製剤の形態で投与することができる。以下に列挙する活性化合物のほとんどは、USP Dictionary of USAN and International Drug Names, US Pharmacopeia, Rockville 2001中に開示されている。抗糖尿病薬には、インスリンおよびインスリン誘導体、例えばLantus(登録商標)(www.lantus.comを参照)またはHMR 1964、速効型インスリン(US 6,221,633を参照)、GLP−1誘導体、例えばNovo Nordisk A/SによりWO 98/08871中に開示されているもの、ならびに経口的に有効な低血糖活性化合物が含まれる。
【0095】
経口的に有効な低血糖活性化合物には、好ましくはスルホニル尿素類、ビグアニジン類、メグリチニド類、オキサジアゾリジンジオン類、チアゾリジンジオン類、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト、GLP−1アゴニスト、カリウムチャネルオープナー、例えばNovo Nordisk A/SによりWO 97/26265およびWO 99/03861に開示されているもの、インスリン増感剤、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓酵素の阻害剤、グルコース取り込みモジュレーター、脂肪代謝を改変する化合物、例えば抗高脂血症(antihyperlipidaemic)活性化合物および抗脂血症(antilipidaemic)活性化合物、食物の摂取を低減させる化合物、PPARおよびPXRアゴニスト、ならびにベータ細胞のATP依存性カリウムチャネルに対して作用する活性化合物が含まれる。
【0096】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、HMGCoA還元酵素阻害剤、例えばシンバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチンと組み合わせて投与する。
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミブ、チクエシド(tiqueside)、パマクエシドと組み合わせて投与する。
【0097】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、PPARガンマアゴニスト、例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン、JTT−501、GI 262570と組み合わせて投与する。
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、PPARアルファアゴニスト、例えばGW 9578、GW 7647と組み合わせて投与する。
【0098】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、混合PPARアルファ/ガンマアゴニスト、例えばGW 1536、AVE 8042、AVE 8134、AVE 0847、AVE 0897、またはWO 00/64888、WO 00/64876、WO 03/20269に記載されたものと組み合わせて投与する。
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、フィブラート、例えばフェノフィブラート、クロフィブラート、ベザフィブラートと組み合わせて投与する。
【0099】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、MTP阻害剤、例えばインプリタピド、BMS−201038、R−103757と組み合わせて投与する。本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、胆汁酸吸収阻害剤(例えばUS 6,245,744またはUS 6,221,897を参照)、例えばHMR 1741と組み合わせて投与する。
【0100】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、CETP阻害剤、例えばJTT−705と組み合わせて投与する。
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、ポリマー胆汁酸吸着剤、例えばコレスチラミン、コレセベラムと組み合わせて投与する。
【0101】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、LDLレセプター誘導剤(US 6,342,512を参照)、例えばHMR1171、HMR1586と組み合わせて投与する。
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、ACAT阻害剤、例えばアバシミブと組み合わせて投与する。
【0102】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、酸化防止剤、例えばOPC−14117と組み合わせて投与する。
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、リポタンパク質リパーゼ阻害剤、例えばNO−1886と組み合わせて投与する。
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、ATPクエン酸リアーゼ阻害剤、例えばSB−204990と組み合わせて投与する。
【0103】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、スクアレンシンセターゼ阻害剤、例えばBMS−188494と組み合わせて投与する。本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、リポタンパク質(a)アンタゴニスト、例えばCI−1027またはニコチン酸と組み合わせて投与する。本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、リパーゼ阻害剤、例えばオーリスタットと組み合わせて投与する。
【0104】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物を、インスリンと組み合わせて投与する。
一態様において、式Iで表される化合物を、スルホニル尿素、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリピジドまたはグリメピリドと組み合わせて投与する。
【0105】
一態様において、式Iで表される化合物を、ビグアニド、例えばメトホルミンと組み合わせて投与する。
他の態様において、式Iで表される化合物を、メグリチニド、例えばレパグリニドと組み合わせて投与する。
【0106】
一態様において、式Iで表される化合物を、チアゾリジンジオン、例えばトログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンまたはDr. Reddy’s Research FoundationによりWO 97/41097に開示されている化合物、特に5−[[4−[(3,4−ジヒドロ−3−メチル−4−オキソ−2−キナゾリニルメトキシ]フェニル]メチル]−2,4−チアゾリジンジオンと組み合わせて投与する。
【0107】
一態様において、式Iで表される化合物を、α−グルコシダーゼ阻害剤、例えばミグリトールまたはアカルボースと組み合わせて投与する。
一態様において、式Iで表される化合物を、ベータ細胞のATP依存性カリウムチャネルに対して作用する活性化合物、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリメピリドまたはレパグリニドと組み合わせて投与する。
【0108】
一態様において、式Iで表される化合物を、1種より多い前述の化合物と組み合わせて、例えばスルホニル尿素およびメトホルミン、スルホニル尿素およびアカルボース、レパグリニドおよびメトホルミン、インスリンおよびスルホニル尿素、インスリンおよびメトホルミン、インスリンおよびトログリタゾン、インスリンおよびロバスタチンなどと組み合わせて投与する。
【0109】
他の態様において、式Iで表される化合物を、CARTモジュレーター(“Cocaine-amphetamine-regulated transcript influences energy metabolism, anxiety and gastric emptying in mice” Asakawa, A, et al., M.:Hormone and Metabolic Research (2001), 33(9), 554-558を参照)、NPYアンタゴニスト(例えばナフタレン−1−スルホン酸{4−[(4−アミノキナゾリン−2−イルアミノ)メチル]シクロヘキシルメチル}アミド、塩酸塩(CGP 71683A))、MC4アゴニスト(例えば1−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸[2−(3a−ベンジル−2−メチル−3−オキソ−2,3,3a,4,6,7−ヘキサヒドロピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル)−1−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]アミド、(WO 01/91752))、
【0110】
オレキシンアンタゴニスト(例えば1−(2−メチルベンゾキサゾール−6−イル)−3−[1,5]ナフチリジン−4−イル尿素、塩酸塩(SB−334867−A))、H3アゴニスト(3−シクロヘキシル−1−(4,4−ジメチル−1,4,6,7−テトラヒドロイミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−イル)プロパン−1−オン、シュウ酸塩(WO 00/63208))、TNFアゴニスト、CRFアンタゴニスト(例えば[2−メチル−9−(2,4,6−トリメチルフェニル)−9H−1,3,9−トリアザフルオレン−4−イル]ジプロピルアミン(WO 00/66585))、CRF BPアンタゴニスト(例えばウロコルチン)、ウロコルチンアゴニスト、β3アゴニスト(例えば1−(4−クロロ−3−メタンスルホニルメチルフェニル)−2−[2−(2,3−ジメチル−1H−インドール−6−イルオキシ)エチルアミノ]エタノール、塩酸塩(WO 01/83451))、MSH(メラニン形成細胞刺激ホルモン)アゴニスト、CCK−Aアゴニスト(例えば{2−[4−(4−クロロ−2,5−ジメトキシフェニル)−5−(2−シクロヘキシルエチル)チアゾール−2−イルカルバモイル]−5,7−ジメチルインドール−1−イル}酢酸、トリフルオロ酢酸塩(WO 99/15525))、セロトニン再取り込み阻害剤(例えばデクスフェンフルラミン)、混合セロトニン化合物およびノルアドレナリン作動性化合物(例えばWO 10 00/71549)、
【0111】
5HTアゴニスト、例えば1−(3−エチルベンゾフラン−7−イル)ピペラジン、シュウ酸塩(WO 01/09111)、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン(例えばヒト成長ホルモン)、成長ホルモン放出化合物(6−ベンジルオキシ−1−(2−ジイソプロピルアミノエチルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチル(WO 01/85695))、TRHアゴニスト(例えばEP 0 462 884を参照)、脱共役タンパク質2もしくは3モジュレーター、レプチンアゴニスト(例えばLee, Daniel W.; Leinung, Matthew C.; Rozhavskaya-Arena, Marina; Grasso, Patricia. Leptin agonists as a potential approach to the treatment of obesity, Drugs of the Future (2001), 26(9), 873-881を参照)、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン(doprexin))、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤(例えばWO 00/40569)、PPARモジュレーター(例えばWO 00/78312)、RXRモジュレーターまたはTR−βアゴニストと組み合わせて投与する。
【0112】
本発明の一態様において、追加の活性化合物は、レプチンである(例えば“Perspectives in the therapeutic use of leptin”, Salvador, Javier; Gomez Ambrosi, Javier; Fruhbeck, Gema, Expert Opinion on Pharmacotherapy (2001), 2(10), 1615-1622を参照)。
一態様において、追加の活性化合物は、デキサンフェタミンまたはアンフェタミンである。
【0113】
一態様において、追加の活性化合物は、フェンフルラミンまたはデクスフェンフルラミンである。
さらに別の態様において、追加の活性化合物は、シブトラミンである。
一態様において、追加の活性化合物は、オーリスタットである。
一態様において、追加の活性化合物は、マジンドールまたはフェンテルミンである。
【0114】
一態様において、式Iで表される化合物を、粗飼料、好ましくは不溶性粗飼料(例えば、Carob/Caromax(登録商標)(Zunft H J; et al., Carob pulp preparation for treatment of hypercholesterolemia, ADVANCES IN THERAPY (2001 Sep-Oct), 18(5), 230-6.)と組み合わせて投与する。Caromaxは、Nutrinova, Nutrition Specialties & Food Ingredients GmbH, Industriepark Hoechst, 65926 Frankfurt/Mainからのイナゴマメ含有製品である。Caromax(登録商標)との組み合わせを、単一の組成物において、または式Iで表される化合物およびCaromax(登録商標)を別個に投与することにより行うことができる。これに関連して、Caromax(登録商標)を、食物の形態で、例えばパン、菓子類製品またはミューズリーバーにて投与することもできる。
【0115】
本発明の化合物と前述の化合物の1種または2種以上および任意に1種または2種以上の他の薬理学的に活性な物質との各々の好適な組み合わせが、本発明の保護の範囲内にあると見なされることは言うまでもない。
【0116】
【化12】

【0117】
本発明はまた、
(a)式Iで表される化合物および/または、その薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体(すべての比率でのそれらの混合物を含む)の有効量、
ならびに
(b)有効量の他の医薬活性化合物
の個別のパックからなる、セット(キット)に関する。
【0118】
当該セットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。当該セットは、例えば個別のアンプルを含んでいてもよく、各々は、有効量の式Iで表される化合物および/またはその薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体(すべての比率でのそれらの混合物を含む)、ならびに溶解したかまたは凍結乾燥された形態での有効量の他の医薬活性化合物を含む。
【0119】
当該化合物を、SGLT1およびSGLT2を発現するBHK細胞により、そのSGLT阻害特性について試験することができる。細胞の産生および試験を、以下に記載するようにして行うことができる。
【0120】
BHK細胞におけるSGLT1の構築および発現
SGLT1発現ベクター(KL225)を構築するために、SLC5A1遺伝子(NM_000343と相同)を、cDNAライブラリーから標準的なPCR技術を用いて増幅し、ネオマイシンを選択マーカーとして含むpcDNA3.1発現ベクター(Invitrogen)中にNheI/XhoI部位にわたりクローニングした。このベクターにおいて、転写には、ヒトサイトメガロウイルスのエンハンサー/プロモーターを用いる。
【0121】
最終的なベクターKL225を、選択マーカーとしてジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を含む追加のベクターと共に、細胞内に導入した。10%ウシ胎仔血清(FCS)および20mMのグルタミンを添加したDMEM培地(GIBCO/BRL)中で培養したBHK21細胞(ATCC CCL−10)へのトランスフェクションを、5〜20μgの未切断プラスミドを10個の細胞に対して用い、Graham, F.L. and van der Ebb, A.J. (1973), Virology 52: 456に従って、リン酸カルシウム形質移入を用いて行った。好適なトランスフェクタントを、1mg/mlのG418(GIBCO/BRL)および20〜5000nMのメトトレキセートを最終濃度として含む培地中で選択し、そこではネオマイシン遺伝子を発現し、dhfr遺伝子を過剰発現した細胞のみが増殖できた。2〜3週間にわたる増殖の後、細胞をクローニングし(0.5細胞/ウェル)、クローンを、放射活性取り込み試験でSGLT発現について調査した。
【0122】
BHK細胞におけるSGLT2の構築および発現
SGLT2発現ベクター(KL224)を構築するために、SLC5A2遺伝子(NM_003041と相同)を、cDNAライブラリーから標準的なPCR技術を用いて増幅し、ネオマイシンを選択マーカーとして含むPCI−neo発現ベクター(Promega)中にNheI/XhoI部位にわたりクローニングした。このベクターにおいて、転写には、ヒトサイトメガロウイルスのエンハンサー/プロモーターおよびSV40ポリアデニル化シグナルを用いる。
【0123】
最終的なベクターKL224を、選択マーカーとしてジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を含む追加のベクターと共に、細胞中に導入した。10%ウシ胎仔血清(FCS)および20mMのグルタミンを添加したDMEM培地(GIBCO/BRL)中で培養したBHK21細胞(ATCC CCL−10)へのトランスフェクションを、5〜20μgの未切断プラスミドを10個の細胞に対して用い、Graham, F.L. and van der Ebb, A.J. (1973), Virology 52: 456に従って、リン酸カルシウムトランスフェクションを用いて行った。好適なトランスフェクタントを、1mg/mlのG418(GIBCO/BRL)および20〜5000nMのメトトレキセートを最終濃度として含む培地中で選択し、そこではネオマイシン遺伝子を発現し、dhfr遺伝子を過剰発現した細胞のみが増殖できた。2〜3週間にわたる増殖の後、細胞をクローニングし(0.5細胞/ウェル)、クローンを、放射活性取り込み試験でSGLT発現について調査した。
【0124】
SGLT1/2活性測定の方法
14C−α−メチル−D−グルコピラノシド(AMG)の、例えば、対応するcRNAを注射したXenopus卵母細胞における取り込みは、原理的に記載されている(例えばWen-Sen Lee et al. (1994), J. Biol. Chem. 269, 12032-12039; Guofeng You et al. (1995), J. Biol. Chem. 270, 29365-29371)。
【0125】
96ウェルの細胞に基づくアッセイを開発し、HTS要件に適合させた:
BHK細胞(SGLT1またはSGLT2でトランスフェクトした)を、96ウェルマイクロタイタープレート(Cultureplates, Perkin Elmer)中に播種した。少なくとも24時間後、培地を除去し、細胞層を、アッセイ緩衝液(140mMのNaCl、2mMのKCl、1mMのCaCl、1mMのMgCl、10mMのHEPES、5mMのTris、1MのKOHを用いてpH7.4に調整)で洗浄した。40μlのアッセイ緩衝液、50μlのAMG(SGLT1については50μM、SGLT2については2mM)を化合物の存在下または不在下で加えた後、細胞を、100μlの合計容積において37℃にて90分間インキュベートした。上清を、吸引により除去し、廃棄した。細胞を洗浄し、50μlの水を加えることにより溶解した。室温にて10分後、200μlのMicrsoscint 40 (Perkin Elmer)を加えた。放射活性を、Topcountマイクロプレートシンチレーションカウンター(Perkin Elmer)で計測した。非特異的な取り込みが、ナトリウム非含有アッセイ緩衝液(266mMのスクロース、2mMのKCl、1mMのCaCl、1mMのMgCl、10mMのHEPES、5mMのTris、1MのKOHを用いてpH7.4に調整)において決定された。
【0126】
本明細書中、すべての温度を℃で示す。以下の例において、「慣用の精製操作(work-up)」は、以下のことを意味する:所要に応じて水を加え、pHを所要に応じて、最終生成物の構成に依存して2〜10の値に調整し、混合物を、酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させ、生成物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、および/または結晶化により精製する。シリカゲル上でのRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール9:1。
質量分析法(MS):EI(電子衝撃イオン化)M
FAB(高速原子衝撃)(M+H)
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)(他に示さない限り)
【0127】
LC−MSおよびHPLC条件
以下の例において示すM+Hデータは、LC−MS測定からの測定結果である:
以下の特徴を有するHewlett Packard HP 1100シリーズシステム:イオン源:エレクトロスプレー(ポジティブモード);スキャン:100〜1000m/e;フラグメンテーション電圧:60V;ガス温度:300℃;DAD:220nm。
【0128】
流速:2.4ml/min。DAD後のMSへの流速を0.75ml/minに下げるため、スプリッターを用いる。
カラム:Chromolith SpeedROD RP-18e 50-4.6
溶媒:Merck KgaAからのLichrosolvグレード
溶媒A:HO(0.01%のTFA)
溶媒B:ACN(0.008%のTFA)
【0129】
例1
6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−1−(4−メトキシフェニル)インダン(「A1」)の調製を、以下のスキームと同様にして行う:
【化13】

【0130】
1a)テトラヒドロフラン(1M溶液)中の、臭化4−メトキシフェニルマグネシウム溶液6.4ml(6.4mmol)を、10mlの無水テトラヒドロフラン中の、0.9g(4.26mmol)の6−ブロモ−1−インダノン溶液に、窒素下で−20℃にて滴加する。その後、反応溶液を、12時間にわたり室温に加温し、次に45mlの10%塩化アンモニウム溶液を加え、最後に、混合物を、各回において20mlの塩化メチレンで2回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した後、粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 4:1)によって精製し、1.1gの6−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)インダン−1−オールを淡黄色油として得る。LC/MS:302(M+H−18(水))。
【0131】
次に、この油を、20mlの塩化メチレンに溶解し、溶液を−20℃に冷却し、0.8ml(5mmol)のトリエチルシランを加えた後に、0.53ml(4.2mmol)の三フッ化ホウ素/ジエチルエーテル複合体を加える。その後、反応溶液を、室温に加温し、室温にて4時間撹拌し、次に20mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液および20mlの飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄する。塩化メチレン溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した後、粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 95:5)によって精製し、0.52gの6−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)インダンを無色油として得る;
【0132】
【数1】

【0133】
1b)2.05mlのtert−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M)を、15mlの乾燥ジエチルエーテル中の、0.53g(1.75mmol)の6−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)インダン溶液に、窒素の下で−78℃にて加え、混合物を、この温度にて2時間撹拌する。次に、5mlのジエチルエーテル中の、0.9g(1.9mmol)の2,3,4,6−テトラキス−O−(トリメチルシリル)−D−グルコピラノンを溶液を、この溶液に−78℃にて滴加し、その後、反応混合物を、−78℃にてさらに3時間撹拌し、次に5mlのメタノール中の、0.41mlのメタンスルホン酸溶液を加え、最後に、反応混合物を、12時間にわたり室温に加温する。
【0134】
10mlの10%炭酸水素ナトリウム溶液を氷冷しながら加え、相分離させた後に、水相を、各回において20mlの酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した後、粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)によって精製し、0.25gの6−(1−メトキシ−D−グルコピラノース−1−イル)−1−(4−メトキシフェニル)インダンを無色油として得る。LC/MS:439(M+Na)。
【0135】
1c)0.32ml(3.4mmol)の無水酢酸を、15mlのテトラヒドロフラン中の、0.22g(0.53mmol)の6−(1−メトキシ−D−グルコピラノース−1−イル)−1−(4−メトキシフェニル)インダン、0.66mlのN−エチルジイソプロピルアミンおよび6.5mgの4−(ジメチルアミノ)ピリジン溶液に、−5℃にて加える。次に、反応混合物を放置して室温に到達させ、さらに12時間撹拌し、次に溶媒を真空において除去し、残留物を10mlの酢酸エチル中に吸収させ、得られた溶液を10mlの水および10mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を除去することにより、0.32gの6−(1−メトキシ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−グルコピラノース−1−イル)−1−(4−メトキシフェニル)インダンが帯黄色油として得られる。LC/MS:607(M+Na)。
【0136】
次に、この油を20mlの塩化メチレンに溶解し、溶液を−40℃に冷却し、0.29mlのトリエチルシランおよび10μlの水を加えた後、0.15mlの三フッ化ホウ素/ジエチルエーテル複合体を加える。その後、反応溶液を−30℃にてさらに2時間撹拌し、次に室温に加温し、さらに12時間撹拌する。その後、塩化メチレン溶液を10mlの水および10mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、次に塩化メチレン溶液を蒸発乾固させ、粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 7:3)によって精製し、0.23gの6−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イル)−1−(4−メトキシフェニル)インダンをC−1に関する1/1エピマー混合物として得る;無色油;LC/MS:555(M+H)。
【0137】
1d)2mlの水、6mlのメタノールおよび6mlのテトラヒドロフラン中の、80mg(0.144mmol)の6−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イル)−1−(4−メトキシフェニル)インダン、4mgの水酸化リチウム溶液を、室温にて12時間撹拌する。その後、反応溶液を蒸発乾固させ、残留物を、5mlの10%硫酸水素カリウム溶液中に吸収させ、水溶液を、各回において10mlの酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した後に、生成物を、ジエチルエーテル/石油エーテルを用いて結晶化させ、34mgの「A1」をC−1に関する1/1エピマー混合物として得る;無色結晶;
【0138】
【数2】

【0139】
例2
6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−1S−(4−メトキシフェニル)インダン(「A2」)および6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−1R−(4−メトキシフェニル)インダン(「A3」)の調製
110mgの1/1エピマー混合物1c)をキラル相上のカラムクロマトグラフィーによって分離することにより、2種の光学的に活性なテトラアセテートである、6−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イル)−1S−(4−メトキシフェニル)インダンおよび6−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース−1−イル)−1R−(4−メトキシフェニル)インダンが得られ、その加水分解により、1d)と同様にして、35mgの6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−1S−(4−メトキシフェニル)インダン(「A2」)(LC/MS:409(M+Na))および55mgの6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−1R−(4−メトキシフェニル)インダン(「A3」)(LC/MS:409(M+Na))が得られる。
【0140】
例3
6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−1−(4−エトキシフェニル)インダン(「A4」)
【化14】

「A4」を、1a)〜1d)と同様にして得る;LC/MS:423(M+Na)。
【0141】
例4
7−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン(「A5」)
【化15】

7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オンから開始する例1a)〜1d)と同様の手順により、「A5」が白色粉末として得られる;LC/MS:423(M+Na)。
【0142】
例5
7−(1−メトキシ−D−グルコピラノース−1−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−3,4−ジヒドロナフタレン(「A6」)
【化16】

5a)7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オンおよび臭化4−メトキシフェニルマグネシウムから例1a)と同様にして得られた0.55g(1.65mmol)の7−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オール、ならびに20mlのテトラヒドロフラン中の、0.2mlのトリフルオロ酢酸溶液を、50℃にて12時間加温し、その後蒸発乾固させる。10mlの飽和炭酸水素ナトリウムを残留物に加え、水性混合物を、各回において10mlの酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した後、粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル 酢酸エチル 9:1)によって精製し、0.54gの7−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−3,4−ジヒドロナフタレンを得る;LC/MS:338(M+Na)。
【0143】
5b)例1b)と同様にして、7−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−3,4−ジヒドロナフタレンおよび2,3,4,6−テトラキス−O−(トリメチルシリル)−D−グルコピラノンにより、化合物「A6」が帯黄色樹脂として得られる;LC/MS:451(M+Na)。
【0144】
例6
5−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−3−(4−メトキシフェニル)ベンゾフラン(「A7」)および5−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−2−(4−メトキシフェニル)ベンゾフラン(「A8」)
【化17】

【0145】
6a)24gの炭酸カリウムを、400mlのアセトニトリル中の、20g(0.115mol)の4−ブロモフェノールおよび26.5g(0.115mol)の2−ブロモ−4’−メトキシアセトフェノン溶液に加え、反応混合物を、還流下で5時間加熱する。その後、沈殿物を濾別し、濾液を蒸発乾固させ、残留物を10mlの水中に吸収させ、水溶液を、各回において10mlの酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機相を、10mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を除去した後、残留物を50mlのジエチルエーテルで粉末にし、得られた結晶性生成物を、真空において吸引により濾別し、35.5gの2−(4−ブロモフェノキシ)−1−(4−メトキシフェニル)エタノンをベージュ色固体として得る。
【0146】
6b)900mlのキシレン中の、35.5g(0.11mol)の2−(4−ブロモフェノキシ)−1−(4−メトキシフェニル)エタノン6a)および75gのポリリン酸の混合物を、160℃にて15時間加熱し、次に室温に冷却し、キシレン溶液を、粘着性の沈殿物からデカンテーションして除去し、フラスコ沈殿物を、各回において50mlのキシレンでさらに2回洗浄する。合わせたキシレン相を、50mlの飽和塩化ナトリウム溶液および50mlの水で連続的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。次に、キシレンの量を、真空中で約100mlに減少させ、沈殿した5−ブロモ−2−(4−メトキシフェニル)ベンゾフラン(6b)/2)(5gの無色結晶;融点188.6℃)を濾別する。次に、濾液を蒸発乾固させ、徐々に結晶化する粘性の残留物を、10mlのメタノールで粉末にし、得られた結晶を、真空において吸引により濾別し、19.2gの5−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)ベンゾフラン(6b)/1)を帯黄色固体として得る(融点86.8℃);
【0147】
【数3】

【0148】
6c)例1b)〜1d)と同様にして、5−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)−ベンゾフラン6b)/1および2,3,4,6−テトラキス−O−(トリメチルシリル)−D−グルコピラノンにより、化合物「A7」が茶色固体として得られる;
【0149】
【数4】

【0150】
6d)例1b)〜1d)と同様にして、5−ブロモ−2−(4−メトキシフェニル)−ベンゾフラン6b)/2および2,3,4,6−テトラキス−O−(トリメチルシリル)−D−グルコピラノンにより、化合物「A8」が無色結晶として得られる;
【0151】
【数5】

【0152】
例7
5−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン(「A9」)
【化18】

【0153】
7a)10.5mlのトリエチルシランを、5.0g(16.5mmol)の5−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)ベンゾフラン6b)/1および100mlのトリフルオロ酢酸の懸濁液に加え、均一な溶液が徐々に得られる。次に、反応混合物を、室温にて30時間撹拌し、次に真空において蒸発させ、残留物を、30mlの水中に吸収させ、各回において30mlの酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を、10mlの10%炭酸水素ナトリウム溶液、10mlの飽和塩化ナトリウム溶液および10mlの水で連続的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒をロータリーエバポレーター中で除去した後、粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル 95:5)によって精製し、4.3gの5−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロベンゾフランを無色結晶として得る;
【0154】
【数6】

【0155】
7b)例1b)〜1d)と同様にして、5−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン7a)および2,3,4,6−テトラキス−O−(トリメチルシリル)−D−グルコピラノンにより、化合物「A9」が茶色固体として得られる;
【0156】
【数7】

【0157】
例8
5−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン(「A10」)および5−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−3−(4−エトキシフェニル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン(「A11」)
【化19】

【0158】
8a)35.3g(264.6mmol)の三塩化アルミニウムを、90mlの塩化メチレン中の、10ml(80.2mmol)の4−ブロモアニソールおよび18.5ml(232.6mmol)の塩化クロロアセチル溶液に、30℃より低い温度にて分割して加え、得られた反応混合物を、還流下で6時間加熱する。その後、100mlの氷水を、反応混合物に氷冷しながら慎重に加え、有機相を分離し、水相を各回において50mlの塩化メチレンで2回洗浄し、合わせた有機相を、次に50mlの水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。乾燥剤を濾別し、溶媒を除去することにより、11.7gの1−(5−ブロモ−2−ヒドロキシフェニル)−2−クロロエタノンがベージュ色固体として得られる;融点79℃(文献値、融点80〜82℃)。
【0159】
8b)350mlのメタノール中の、8.34g(33.4mmol)の1−(5−ブロモ−2−ヒドロキシフェニル)−2−クロロエタノンおよび3.3g(40.1mmol)の無水酢酸ナトリウム溶液を、65℃にて1時間加熱し、その後蒸発乾固させ、残留物を50mlの水中に吸収させ、水性混合物を、各回において50mlの塩化メチレンで2回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した後、粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/塩化メチレン 7:3)によって精製し、2.14gの5−ブロモベンゾフラン−3−オンを黄色固体として得る;LC/MS:214(M+H)。
【0160】
8c)4.95ml(n−ヘキサンに溶解した15%溶液)のn−ブチルリチウムを、−78℃に冷却した35mlのテトラヒドロフラン中の、1.03ml(7.23mmol)の4−ブロモフェネトール溶液に、窒素下で加え、混合物を、−78℃にて1時間撹拌する。その後、1.4g(6.6mmol)の5−ブロモベンゾフラン−3−オン溶液を、温度が−70℃より高温に上昇しない速度にて滴加し、撹拌を、−78℃にて1時間継続し、次に混合物を、放置して室温に到達させ、室温にてさらに15時間撹拌し、最後に10mlの1N塩酸を加え、撹拌を、さらに1時間継続する。
【0161】
20mlの水を加えた後に、テトラヒドロフランを真空において除去し、残留する水性混合物を、各回において10mlのジエチルエーテルで3回抽出する。合わせた有機相を10mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒をロータリーエバポレーター中で除去し、粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 98:2)によって精製し、0.95gの5−ブロモ−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフランを無色油として得る;
【0162】
【数8】

【0163】
8d)例7aと同様にして、5−ブロモ−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン、トリフルオロ酢酸およびトリエチルシランにより、5−ブロモ−3−(4−エトキシフェニル)−2,3−ジヒドロベンゾフランが無色油として得られる;
【数9】

【0164】
8e)例1b)〜1d)と同様にして、5−ブロモ−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン8c)および2,3,4,6−テトラキス−O−(トリメチルシリル)−D−グルコピラノンにより、化合物「A10」が白色固体として得られる;LC/MS:401(M+H)。
8f)例1b)〜1d)と同様にして、5−ブロモ−3−(4−エトキシフェニル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン8d)および2,3,4,6−テトラキス−O−(トリメチルシリル)−D−グルコピラノンにより、化合物「A11」が淡い茶色の固体として得られる;LC/MS:403(M+H)。
【0165】
例9
6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−1−(4−エトキシフェニル)インドール(「A12」)
【化20】

【0166】
9a)15mlのジメチルスルホキシド中の、1.0g(5mmol)の6−ブロモ−1H−インドール、1.06g(4.15mmol)の4−ヨードフェネトール、1.45gの炭酸カリウム、38.1mgのヨウ化銅(I)および42mgのL−プロリン溶液を、120℃にて15時間加熱する。次に、反応混合物を室温に冷却し、30mlの水を加え、混合物を各回において20mlの酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒をロータリーエバポレーター中で除去し、粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル 98:2)によって精製し、0.74gの6−ブロモ−1−(4−エトキシフェニル)−1H−インドールを褐色を帯びた樹脂として得る;LC/MS:317(M+H)。
【0167】
9b)例1b)〜1d)と同様にして、6−ブロモ−1−(4−エトキシフェニル)−1H−インドールおよび2,3,4,6−テトラキス−O−(トリメチルシリル)−D−グルコピラノンにより、化合物「A12」が白色固体として得られる;LC/MS:400(M+H)。
【0168】
例10
6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−3S−(4−メトキシフェニル)インダン(「A13」)および6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−3R−(4−メトキシフェニル)インダン(「A14」)の調製
700mgの1/1エピマー混合物7b)(「A9」)のキラル相上のカラムクロマトグラフィーによる分離により、270mgの6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−3S−(4−メトキシフェニル)インダン(「A13」)(LC/MS:411(M+Na))および134mgの6−(β−D−グルコピラノース−1−イル)−3R−(4−メトキシフェニル)インダン(「A14」)、(LC/MS:411(M+Na))が得られる。
【0169】
薬理学的データ
レセプターへの親和性
【表1】

【0170】
以下の例は、医薬組成物に関する:
例A:注射バイアル
100gの式Iで表される活性化合物および5gのリン酸水素二ナトリウムを3lの2回蒸留水に溶解した溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアル中に移し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性化合物を含む。
【0171】
例B:座剤
20gの式Iで表される活性化合物の100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターとの混合物を溶融し、型中に注入し、放冷する。各々の座剤は20mgの活性化合物を含む。
【0172】
例C:溶液
1gの式Iで表される活性化合物、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、940mlの2回蒸留水中に溶液を調製する。pHを6.8に調整し、溶液を1lにし、照射により滅菌する。この溶液を点眼剤の形態で用いることができる。
【0173】
例D:軟膏
500mgの式Iで表される活性化合物を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0174】
例E:錠剤
1kgの式Iで表される活性化合物、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用の方法で圧縮して錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性化合物を含むようにする。
【0175】
例F:被覆錠剤
例Eと同様にして錠剤を圧縮し、その後慣用の方法でスクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料の被膜で被覆する。
【0176】
例G:カプセル
2kgの式Iで表される活性化合物を、硬質ゼラチンカプセル中に慣用の方法で導入して、各々のカプセルが20mgの活性化合物を含むようにする。
【0177】
例H:アンプル
1kgの式Iで表される活性化合物を60lの2回蒸留水に溶解した溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に移し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々のアンプルは、10mgの活性化合物を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中
Xは、
【化2】

を示し、
ここで、6員環の芳香環は、Hal、OR、NR、CN、COOR、CONR、−OCOA、NRCORおよび/またはNRSOAによって単置換または二置換されていてもよく、
Rは、Carb、ArまたはHetを示し、
、Rは、各々、互いに独立してHまたはAを示し、
Carbは、3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを示し、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるか、またはHal、A、ベンジル、OR、NR、NO、CN、CONR、NRCOA、OCOA、NRCONR、NRSOA、CHO、COA、SONR、S(O)Aおよび/または−(CR−COORによって単置換、二置換、三置換、四置換もしくは五置換されており、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、Hal、A、ベンジル、OR、NR、NO、CN、CONR、NRCOA、OCOA、NRCONR、NRSOA、CHO、COA、SONR、S(O)A、−(CR−COOR、=S、=NRおよび/または=O(カルボニル酸素)によって単置換、二置換または三置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
Aは、1〜10個のC原子を有し、ここで1つ、2つまたは3つのCH基は、互いに独立してO、S、SO、SO、NR、−C≡C−によって、および/または−CH=CH−基によって置き換えられていてもよく、かつ/またはここで、さらに1〜7個のH原子が、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよい、非分枝状または分枝状アルキル、
あるいは3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1、2または3を示し、
pは、0、1または2を示す、
で表される化合物ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項2】
、Rが、各々、互いに独立してHまたはメチルを示す、
請求項1に記載の化合物ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項3】
Rが、Arを示す、
請求項1または2に記載の化合物ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項4】
Arが、非置換であるかまたはHal、Aおよび/またはORによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示す、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項5】
Aが、1〜6個のC原子を有し、ここで1〜7個のH原子がFおよび/またはClによって置き換えられていてもよい、非分枝状または分枝状アルキルを示す、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項6】
Xが、
【化3】

を示し、
Rが、Arを示し、
が、HまたはAを示し、
Arが、非置換であるかまたはHal、Aおよび/またはORによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Aが、1〜6個のC原子を有し、ここで1〜7個のH原子がFおよび/またはClによって置き換えられていてもよい、非分枝状または分枝状アルキルを示し、
Halが、F、Cl、BrまたはIを示す、
請求項1に記載の化合物ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項7】
以下の群
【表1】

から選択される、請求項1に記載の化合物ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物およびそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体を調製するための方法であって、
を、式II
【化4】

式中
Xは、請求項1において示した意味を有し、
は、ヒドロキシル保護基を示す、
で表される化合物から切断し、
かつ/または
式Iで表される塩基または酸を、その塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の式Iで表される少なくとも1種の化合物および/またはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物、ならびに任意に賦形剤および/または補助剤を含む、医薬。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の式Iで表される少なくとも1種の化合物および/またはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物、ならびに少なくとも1種の他の医薬活性化合物を含む、医薬。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物および/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、塩または溶媒和物の、1型および2型糖尿病を処置するための医薬を調製するための使用。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物および/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体の、血糖を低下させるための医薬を調製するための使用。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物および/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体ならびに他の医薬活性成分の、1型および2型糖尿病を処置するための医薬を調製するための使用。
【請求項14】
(a)有効量の請求項1〜7のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物および/またはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物、
ならびに
(b)有効量の他の医薬活性化合物
の個別のパックからなる、セット(キット)。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物および/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体ならびに他の医薬活性化合物の、血糖を低下させるための医薬を調製するための使用。

【公表番号】特表2011−516511(P2011−516511A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503354(P2011−503354)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001946
【国際公開番号】WO2009/124638
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】