説明

グローブボックス装置

【課題】グローブボックス装置において、構成部品を少なくして構造を簡略化することによってコストの低減を図るとともに操作フィーリングを高め、しかも操作ハンドルの意匠面およびシリンダ錠間の隙間を小さくして外観性を高める。
【解決手段】操作ハンドル21にシリンダ錠22のシリンダ体23が固定され、スライド作動に応じてロック機構25のロック状態およびアンロック状態を切換えるスライド部材26の一端およびシリンダ錠22のロータ24間に、該ロータ24が解錠位置にあるときにスライド部材26をロック作動位置からアンロック作動位置側にスライドさせるべく操作ハンドル21とともに回動するロータ24の回動力をスライド部材26に伝達するもののロータ24が施錠位置にあるときにはロック作動位置にあるスライド部材26およびロータ24間の動力伝達を遮断する連結部材53が介装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックス装置に関し、特に、リッドのロック状態およびアンロック状態を切換えるシリンダ錠を備えるグローブボックス装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ボックス本体の開口部を覆うリッドに取付けられるベース部材に、水平方向に回動操作可能な操作ハンドルが支承され、操作ハンドルとは別の固定部分に設けられるシリンダ錠の施・解錠操作によって伝動機構を作動せしめ、その伝動機構の作動状態に応じて操作ハンドルの操作力のロック機構への伝達・遮断を切換えるようにしたグローブボックス装置が、たとえば下記特許文献1等により既に知られている。
【特許文献1】特開2004−76449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが上記特許文献1で開示されたものでは、伝動機構の構成部品が多く、しかも構造が複雑であり、コスト高になり易い。しかも構成部品が多いことに起因して、操作ハンドルの操作力をロック機構に伝達するのに作動遅れが生じ、操作荷重が急激に立ち上がることになって操作フィーリングが優れているとは言い難い。
【0004】
また操作ハンドルとは別の固定部分にシリンダ錠が設けられており、閉鎖位置にある操作ハンドルの意匠面にシリンダ錠の先端部を臨ませる構成とした場合には、可動部分である操作ハンドルの意匠面と、シリンダ錠の先端部との間にずれが生じ易く、しかも操作ハンドル操作時の干渉を避けるために意匠面には大きめの開口部が設けられることが必要であるので、隙間が目立ってしまうことになり易い。このため従来のものでは各部品の寸法精度をあげて隙間が極力目立たないようにする工夫が必要であった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、構成部品を少なくして構造を簡略化することによってコストの低減を図るとともに操作フィーリングを高め、しかも操作ハンドルの意匠面およびシリンダ錠間の隙間を小さくして外観性を高めたグローブボックス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ボックス本体の開口部を開閉可能なリッドに取付けられるベース部材と、該ベース部材に回動可能に支承される操作ハンドルと、施錠位置および解錠位置間で回動するロータがシリンダ体に回動可能に挿入されて成るとともに前記操作ハンドルに前記シリンダ体が固定されるシリンダ錠と、ロック作動位置およびアンロック作動位置間でのスライド動作を可能としたスライド部材を有するとともに該スライド部材のスライド動作に応じて前記リッドの閉鎖状態を維持するロック状態ならびに前記リッドの開放を許容するアンロック状態を切換えるロック機構と、前記ロータが解錠位置にあるときに前記操作ハンドルを開放側に回動操作したときには前記スライド部材をロック作動位置からアンロック作動位置側にスライドさせるべく前記操作ハンドルとともに回動する前記ロータの回動力を前記スライド部材に伝達するものの前記ロータが施錠位置にあるときにはロック作動位置にある前記スライド部材および前記ロータ間の動力伝達を遮断するようにして前記ロータおよび前記スライド部材間に介装される連結部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記スライド部材および前記ベース部材間に、前記スライド部材をその長手方向一端側のロック作動位置に向けて付勢する戻しばねが設けられ、前記ロータの外面に一端を対向させるとともに前記操作ハンドルの回動軸線と同一軸線まわりに回動することを可能として前記ベース部材に支承される前記連結部材の他端が、前記スライド部材がロック作動位置にある状態では前記ベース部材に設けられた規制部および前記スライド部材の一端間に挟まれるようにして該スライド部材の一端に対向配置され、前記ロータの外面には、該ロータが解錠位置にあるときに前記連結部材の一端に当接する駆動当接面と、前記ロータが施錠位置にあるときに前記連結部材の一端に当接することを回避する逃げ凹部とが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記請求項1記載の発明によれば、シリンダ錠のシリンダ体が操作ハンドルに固定されるので、操作ハンドルの意匠面およびシリンダ錠間の隙間を小さくして外観性を高めることができる。しかもシリンダ錠のロータが解錠位置にあるときには、操作ハンドルとともに回動するシリンダ錠のロータの回動力が連結部材を介してスライド部材に伝達されてロック機構がアンロック状態となり、前記ロータが施錠位置にあるときには、操作ハンドルとともに回動するシリンダ錠のロータの回動力は連結部材を介してスライド部材に伝達されることはなく、操作ハンドルの回動操作力をスライド部材に伝達するための構成部品を連結部材のみとして構成部品を少なくし、構造を単純化することでコスト低減を図るとともに、操作ハンドルの操作力をロック機構に伝達するのに作動遅れが生じないようにして、操作フィーリングの向上を図ることができる。
【0009】
また請求項2記載の発明によれば、前記ロータが解錠位置にあるときに連結部材の一端に当接する駆動当接面と、前記ロータが施錠位置にあるときに前記連結部材の一端に当接することを回避する逃げ凹部とが設けられる前記ロータの外面に設けられるだけの単純な構造で、操作ハンドルの回動力のスライド部材への伝達・遮断をシリンダ錠の解錠・施錠操作に応じて切換えることができる。しかもリッドの閉鎖状態では、戻しばねでロック作動位置側に付勢されるスライド部材の一端と、ベース部材に設けられる規制部との間に連結部材の他端が挟まれるものであり、戻しばねのばね力が作用することでスライド部材および連結部材がベース部材の規制部に押しつけられており、スライド部材および連結部材のがたつきを抑え、がたつき音の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図10は本発明の一実施例を示すものであり、図1はグローブボックスの正面図、図2はベース部材、操作ハンドルおよびロック機構をリッドの正面側から見た図、図3はスライド部材がロック作動位置にある状態でのベース部材、操作ハンドルおよびロック機構を図2とは反対側から見て一部を切欠いた図、図4は図2の4−4線断面図、図5はリッドの開放状態での図2の5−5線断面図、図6はリッドの閉鎖状態での図5に対応した断面図、図7はシリンダ錠のロータが解錠位置にある状態での図4の7矢示部拡大図、図8はシリンダ錠のロータが解錠位置にある状態で操作ハンドルを開放操作したときの図7に対応した図、図9はシリンダ錠のロータが施錠位置にあるときの操作ハンドルの非操作状態での図8に対応した図、図10はシリンダ錠のロータが施錠位置にある状態で操作ハンドルを開放操作したときの図9に対応した図である。
【0012】
先ず図1において、たとえば左ハンドルである乗用車両の車室内前部に配置されるインストルメントパネル15に、該インストルメントパネル15と一体であるボックス本体16と、水平軸線まわりに上下に回動するようにしてボックス本体16の開口部を開閉可能なリッド17とを備えるグローブボックス18が、助手席19の前方に位置するようにして設けられる。
【0013】
図2〜図4を併せて参照して、合成樹脂から成るリッド17には、その内部に収容されるようにして左右方向に延びる合成樹脂製のベース部材20が取付けられており、このベース部材20の左右方向一端側(この実施例では左端側)には操作ハンドル21が回動可能に支承され、施錠位置および解錠位置間で回動するロータ24がシリンダ体23に回動可能に挿入されて成るシリンダ錠22の前記シリンダ体23が前記操作ハンドル21に固定される。またロック作動位置およびアンロック作動位置間でのスライド動作を可能としたスライド部材26を有するとともに該スライド部材26のスライド動作に応じて前記リッド17の閉鎖状態を維持するロック状態ならびに前記リッド17の開放を許容するアンロック状態を切換えるロック機構25が前記ベース部材20に配設されており、前記シリンダ錠22のロータ24およびスライド部材26間には、前記ロータ24が解錠位置にあるときに前記操作ハンドル21を開放側に回動操作したときには前記スライド部材26をロック作動位置からアンロック作動位置側にスライドさせるべく前記操作ハンドル21とともに回動する前記ロータ24の回動力を前記スライド部材26に伝達するものの前記ロータ24が施錠位置にあるときにはロック作動位置にある前記スライド部材26および前記ロータ24間の動力伝達を遮断する連結部材27が介装される。
【0014】
図5を併せて参照して、ロック機構25は、前記ベース部材20の左右方向他端側(この実施例では右端側)に固定される金属製のボディ30と、ボックス本体16側に設けられるストライカ31と、該ストライカ31に係合し得るラッチ32と、ストライカ31に係合して前記ラッチ32が回動するように該ラッチ32を回動可能に支承して前記ボディ30に装着される第1支軸33と、前記ボディ30および前記ラッチ32間に設けられるばね34と、ストライカ31に係合したラッチ32に係合して該ラッチ32の回動を阻止することによりリッド17の閉鎖状態を維持するロック作動位置(図2および図3で示す位置)ならびに前記ラッチ32との係合を解除して該ラッチ32の回動を許容することによりリッド17の開放を許容するアンロック作動位置間での直線的な移動を可能として前記ボディ30に装着される鋼板製のスライド部材26と、該スライド部材26およびベース部材20間に設けられる戻しばね35とを備える。
【0015】
ラッチ32には、ボディ30内に進入してきたストライカ31を係合させる係合溝32aが設けられており、ラッチ32が開放位置にある状態でリッド17を閉じ側に操作すると、ストライカ31でラッチ32が図6で示す閉鎖位置まで回動してストライカ31が係合溝32aに係合することになり、この状態でラッチ32の回動が阻止されることにより、リッド17が閉鎖状態でロックされる。
【0016】
前記第1支軸33を囲繞するばね34の両端はボディ30およびラッチ32に係合される。このばね34は、ラッチ32を図5で示す開放位置側すなわち図5および図6の時計方向に回動付勢するばね力を発揮するものであり、ボディ30には、ラッチ32の開放位置側への回動端を規制すべくラッチ32に当接可能な回動規制部36が設けられる。
【0017】
またラッチ32の左右一側でボディ30には、ボディ30内に進入してくるストライカ31に当接する板ばね37が固着されており、この板ばね37が発揮する弾発力により、ストライカ31がボディ30に衝撃的に接触することが防止される。
【0018】
スライド部材26は、第1支軸33の軸線と平行な方向に長く延びるものであり、ベース部材20と、該ベース部材20に固定される前記ボディ30とで長手方向のスライド動作を可能として支承される。このスライド部材26には、ストライカ31で閉鎖位置まで回動された状態にあるラッチ32に係合して該ラッチ32を閉鎖位置に保持するための係合突部38が側方に突出するようにして一体に突設される。
【0019】
而してスライド部材26は、図3および図6で示すように係合突部38をラッチ32に係合させるようにした長手方向一端側のロック作動位置と、図3の鎖線で示すように係合突部38をラッチ32に係合可能な位置から移動させるようにした長手方向他端側のアンロック作動位置との間でのスライド動作が可能である。
【0020】
スライド部材26の一端にはばね当接部39が設けられており、ベース部材20に突設された軸40を囲繞する捩じりばねである前記戻しばね35の両端部がベース部材20および前記ばね当接部39に当接、係合され、この戻しばね35のばね力によりスライド部材26はロック作動位置側に付勢される。
【0021】
図7において、操作ハンドル21は、前記スライド部材26の長手方向と直交して上下に延びる軸線を有する第2支軸43を介してベース部材20の左右方向一端側(この実施例では左端側)に回動可能に支承される金属製のハンドル主体44と、該ハンドル主体44に装着される合成樹脂製の意匠部材45とから成る。
【0022】
前記リッド17にはベース部材20の一部を臨ませる凹部46が設けられており、前記ハンドル主体44は、第2支軸43で支持される軸支部44aと、該軸支部44aから延出されて凹部46内に配置される支持腕部44bと、ベース部材20側に突出するようにして前記支持腕部44bの中間部に設けられる装着筒部44cと、慣性力で操作ハンドル21が開放側に回動することを阻止するために前記支持腕部44bとは反対側で前記軸支部44aに連なるカウンタウエイト部44dとを一体に有する。
【0023】
前記意匠部材45は、ハンドル主体44の支持腕部44bに軸支部44aとは反対側から嵌合、装着されるものであり、この意匠部材45には、支持腕部44bの先端部に弾発的に係合する係合部45aが設けられるとともに、前記ハンドル主体44の装着筒部44cに対応した円形の装着孔46が設けられる。
【0024】
また操作ハンドル21のハンドル主体44およびベース部材20間には、第2支軸43を囲繞するねじりばね47が設けられており、このねじりばね47のばね力により、操作ハンドル21は閉じ側に付勢され、ベース部材20には、操作ハンドル21が閉じ位置にあるときにハンドル主体44の支持腕部44bに当接して操作ハンドル21の閉じ位置を定める規制リブ48が一体に突設される。さらに規制リブ48よりも外方でベース部材20には、規制リブ48および前記支持腕部44b間に操作者の指が挟まれることを防止するための指挟み防止リブ49が一体に突設される。
【0025】
而して意匠部材45のハンドル主体44への装着にあたっては、ハンドル主体44が閉じ位置にある状態では意匠部材45に設けられる係合部45aが前記規制リブ48および指挟み防止リブ49と干渉して装着が不可能となるものであり、開放位置側に回動したハンドル主体44の支持腕部44bに軸支部44aとは反対側から意匠部材45を嵌合、装着するようにすればよい。
【0026】
シリンダ錠22のシリンダ体23は、ハンドル主体44に意匠部材45が装着された状態で装着孔46からハンドル主体44の装着筒部44cに回転不能として嵌合される。しかも装着筒部44cの外周には、該装着筒部44c内に両端部を突入させ得る略C字状の弾性係合部材50が装着されており、装着筒部44c内にシリンダ体23を嵌合することで弾性係合部材50の両端部がシリンダ体23の外周に弾発係合することにより、シリンダ体23が装着筒部44cに嵌合、固定される。
【0027】
ところでロータ24は、回動可能としてシリンダ体23に挿入されるとともにその前端を意匠部材25の外面に臨ませるようにして意匠部材25の装着孔46に挿入されるものであり、ロータ24は、該ロータ24に設けられるキー孔51に挿入されるキー(図示せず)による回動操作によって、図1および図2で示す解錠位置と、その解錠位置から略90度だけ図1および図2の時計方向に回動した施錠位置との間で回動可能であり、ロータ24内には、解錠位置および施錠位置間のロータ24の回動の許容・阻止をキー孔51への正規キーの挿入によるシリンダ体23への係脱によって切り換えるタンブラー52…が設けられる。
【0028】
前記ロータ24の一部外面はハンドル主体44および意匠部材45間で露出されており、このロータ24の露出部外面に一端を対向させる連結部材53が、前記ロータ24および前記スライド部材26間に介装される。
【0029】
この連結部材53は、前記ロータ24が解錠位置にあるときに操作ハンドル21を開放側に回動操作したときにはスライド部材26をロック作動位置からアンロック作動位置側にスライドさせるべく操作ハンドル21とともに回動するロータ24の回動力をスライド部材26に伝達するもののロータ24が施錠位置にあるときにはロック作動位置にある前記スライド部材26および前記ロータ24間の動力伝達を遮断する働きをする。
【0030】
この連結部材53は、前記操作ハンドル21の回動軸線と同一軸線まわりに回動することを可能としてベース部材20に支承されるものであり、操作ハンドル21をベース部材20に回動可能に支承する第2支軸43に連結部材53が回動可能に支承される。
【0031】
連結部材53の一端が対向する部分で前記ロータ24の外面には、該ロータ24が解錠位置にあるときに前記連結部材53の一端に当接する駆動当接面54と、前記ロータ24が施錠位置にあるときに前記連結部材53の一端に当接することを回避する逃げ凹部55とが設けられる。
【0032】
また連結部材53の他端は、前記スライド部材26の一端に対向するように配置されるものであり、図7で示すように、スライド部材26がロック作動位置にある状態ではベース部材20に設けられた規制部56およびスライド部材26の一端間に挟まれるようにして該スライド部材26の一端に対向配置される。
【0033】
而してロータ24が解錠位置にあるときには図7で示すように、ロータ24の駆動当接面54が連結部材53の一端に対応する位置にあって連結部材53の一端が該駆動当接面54に当接しており、この状態で、操作ハンドル21を開放操作すると、図8で示すように、連結部材53はシリンダ錠22のロータ24とともに回動し、スライド部材26をロック作動位置からアンロック作動位置側にスライドさせる力が連結部材53からスライド部材26に伝達される。これによりスライド部材26は、その係合突部38を、図3の実線で示す位置から図3の鎖線で示す位置に移動させるようにしてスライド作動することになり、この状態では、ラッチ32がばね34のばね力によってストライカ31との係合を解除する側に回動することになり、ロック機構25がアンロック状態となる。
【0034】
この際、操作ハンドル21から手を離すことにより該操作ハンドル21がねじりばね47のばね力によって閉鎖位置に戻ると、スライド部材26はアンロック作動位置からロック作動位置に戻しばね35のばね力によって戻ろうとするが、既にラッチ32がアンロック作動位置側に戻っており、係合突部38がラッチ32の側面に当接することでスライド部材26はロック作動位置まで戻ることはない。而してリッド17を閉鎖位置側に戻すことでラッチ32がストライカ31との係合によって回動すると、スライド部材26は係合突部38をラッチ32に係合させてロック機構25をロック状態とすべくロック作動位置まで戻ることになる。
【0035】
またロータ24が施錠位置にあるときには図9で示すように、ロータ24の逃げ凹部55が連結部材53の一端に対応する位置にあり、この状態で、操作ハンドル21を開放操作すると、図10で示すように、ロータ24が操作ハンドル21とともに回動しても連結部材53の一端は逃げ凹部55内に入り込むだけであり、連結部材53は静止したままであり、ロック作動位置にあるスライド部材26および前記ロータ24間の動力伝達を遮断すべく連結部材53は静止したままである。
【0036】
次にこの実施例の作用について説明すると、シリンダ錠22のシリンダ体23が操作ハンドル21に固定されるので、操作ハンドル21の意匠面およびシリンダ錠22間の隙間を小さくして外観性を高めることができる。
【0037】
しかもロータ24が解錠位置にあるときに操作ハンドル21を開放側に回動操作したときにはスライド部材26をロック作動位置からアンロック作動位置側にスライドさせるべく操作ハンドル21とともに回動するロータ24の回動力をスライド部材26に伝達するもののロータ24が施錠位置にあるときにはロック作動位置にあるスライド部材26およびロータ24間の動力伝達を遮断する連結部材53がロータ24およびスライド部材26間に介装されるので、シリンダ錠22のロータ24が解錠位置にあるときには、操作ハンドル21とともに回動するシリンダ錠22のロータ24の回動力が連結部材53を介してスライド部材26に伝達されてロック機構25がアンロック状態となり、またロータ24が施錠位置にあるときには、操作ハンドル21とともに回動するシリンダ錠22のロータ24の回動力は連結部材53を介してスライド部材26に伝達されることはなく、操作ハンドル21の回動操作力をスライド部材26に伝達するための構成部品を連結部材53のみとして構成部品を少なくし、構造を単純化することでコスト低減を図るとともに、操作ハンドル21の操作力をロック機構25に伝達するのに作動遅れが生じないようにして、操作フィーリングの向上を図ることができる。
【0038】
また連結部材53は、操作ハンドル21の回動軸線と同一軸線まわりに回動することを可能としてベース部材20に支承されてロータ24およびスライド部材26間に介装され、ロータ24の外面には、該ロータ24が解錠位置にあるときに前記連結部材53の一端に当接する駆動当接面54と、前記ロータ24が施錠位置にあるときに前記連結部材53の一端に当接することを回避する逃げ凹部55とが設けられており、そのような単純な構造で、操作ハンドル21の回動力のスライド部材26への伝達・遮断をシリンダ錠22の解錠・施錠操作に応じて切換えることができる。
【0039】
しかもスライド部材26および前記ベース部材20間には前記スライド部材26をその長手方向一端側のロック作動位置に向けて付勢する戻しばね35が設けられ、連結部材53の他端は、スライド部材26がロック作動位置にある状態ではベース部材20に設けられた規制部56および前記スライド部材26の一端間に挟まれるようにして該スライド部材26の一端に対向配置されるので、リッド17の閉鎖状態では、戻しばね35のばね力が作用することでスライド部材26および連結部材53がベース部材20の規制部56に押しつけられており、スライド部材26および連結部材53のがたつきを抑え、がたつき音の発生を防止することができる。
【0040】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】グローブボックスの正面図である。
【図2】ベース部材、操作ハンドルおよびロック機構をリッドの正面側から見た図である。
【図3】スライド部材がロック作動位置にある状態でのベース部材、操作ハンドルおよびロック機構を図2とは反対側から見て一部を切欠いた図である。
【図4】図2の4−4線断面図である。
【図5】リッドの開放状態での図2の5−5線断面図である。
【図6】リッドの閉鎖状態での図5に対応した断面図である。
【図7】シリンダ錠のロータが解錠位置にある状態での図4の7矢示部拡大図である。
【0042】

【図8】シリンダ錠のロータが解錠位置にある状態で操作ハンドルを開放操作したときの図7に対応した図である。
【図9】シリンダ錠のロータが施錠位置にあるときの操作ハンドルの非操作状態での図8に対応した図である。
【図10】シリンダ錠のロータが施錠位置にある状態で操作ハンドルを開放操作したときの図9に対応した図である。
【符号の説明】
【0043】
16・・・ボックス本体
17・・・リッド
20・・・ベース部材
21・・・操作ハンドル
22・・・シリンダ錠
23・・・シリンダ体
24・・・ロータ
25・・・ロック機構
26・・・スライド部材
35・・・戻しばね
53・・・連結部材
54・・・駆動当接面
55・・・逃げ凹部
56・・・規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス本体(16)の開口部を開閉可能なリッド(17)に取付けられるベース部材(20)と、該ベース部材(20)に回動可能に支承される操作ハンドル(21)と、施錠位置および解錠位置間で回動するロータ(24)がシリンダ体(23)に回動可能に挿入されて成るとともに前記操作ハンドル(21)に前記シリンダ体(23)が固定されるシリンダ錠(22)と、ロック作動位置およびアンロック作動位置間でのスライド動作を可能としたスライド部材(26)を有するとともに該スライド部材(26)のスライド動作に応じて前記リッド(17)の閉鎖状態を維持するロック状態ならびに前記リッド(17)の開放を許容するアンロック状態を切換えるロック機構(25)と、前記ロータ(24)が解錠位置にあるときに前記操作ハンドル(21)を開放側に回動操作したときには前記スライド部材(26)をロック作動位置からアンロック作動位置側にスライドさせるべく前記操作ハンドル(21)とともに回動する前記ロータ(24)の回動力を前記スライド部材(26)に伝達するものの前記ロータ(24)が施錠位置にあるときにはロック作動位置にある前記スライド部材(26)および前記ロータ(24)間の動力伝達を遮断するようにして前記ロータ(24)および前記スライド部材(26)間に介装される連結部材(53)とを備えることを特徴とするグローブボックス装置。
【請求項2】
前記スライド部材(26)および前記ベース部材(20)間に、前記スライド部材(26)をその長手方向一端側のロック作動位置に向けて付勢する戻しばね(35)が設けられ、前記ロータ(24)の外面に一端を対向させるとともに前記操作ハンドル(21)の回動軸線と同一軸線まわりに回動することを可能として前記ベース部材(20)に支承される前記連結部材(53)の他端が、前記スライド部材(26)がロック作動位置にある状態では前記ベース部材(20)に設けられた規制部(56)および前記スライド部材(26)の一端間に挟まれるようにして該スライド部材(26)の一端に対向配置され、前記ロータ(24)の外面には、該ロータ(24)が解錠位置にあるときに前記連結部材(53)の一端に当接する駆動当接面(54)と、前記ロータ(24)が施錠位置にあるときに前記連結部材(53)の一端に当接することを回避する逃げ凹部(55)とが設けられることを特徴とする請求項1記載のグローブボックス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−146384(P2007−146384A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338904(P2005−338904)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000155067)株式会社ホンダロック (164)
【Fターム(参考)】