説明

ケイ皮酸エステルタイプのUV−Bスクリーニング剤、ジベンゾイルメタンタイプのUV−Aスクリーニング剤、及びs−トリアジン誘導体を含む組成物;光安定化方法

【課題】本出願人は驚くべきことに、以下に詳細に規定されるであろう、保護されたパラ−アミノベンザルマロネート基とパラ−アミノベンザルマロンアミド基とから選択される二つの置換基と、一つのアミノベンゾエート置換基またはアミノベンズアミド置換基とを有する式(I)のs−トリアジン誘導体の新規なファミリーが、ケイ皮酸誘導体とジベンゾイルメタン誘導体の混合物の光化学的安定性(または光安定性)を実質的に改良し、かくして日光に対する曝露を通じて同じYV−B/UV−Aバランスを確保できることを発見した。
【解決手段】本発明は、ケイ皮酸エステルタイプのUV−Bスクリーニング剤、ジベンゾイルメタン誘導体タイプのUV−Aスクリーニング剤、及び特定式(I)の二つの保護されたパラ−アミノベンザルマロネート基と一つのパラ−アミノベンゾエート基を有するs−トリアジンの組み合わせを含む組成物、特に局所的使用のための化粧品組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ皮酸エステルタイプのUV−Bスクリーニング剤、ジベンゾイルメタン誘導体タイプのUV−Aスクリーニング剤、及び特定式(I)の二つの保護されたパラ−アミノベンザルマロネート基と一つのパラ−アミノベンゾエート基を有するs−トリアジンの組み合わせを含む組成物、特に局所的使用のための化粧品組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、ジベンゾイルメタン誘導体タイプのUV−Aスクリーニング剤の存在下で、ケイ皮酸エステルタイプの少なくとも一つのUV−Bスクリーニング剤を、紫外線に関して光安定化する方法であって、前記スクリーニング剤の混合物を、特定式(I)の二つの保護されたパラ−アミノベンザルマロネート基と一つのパラ−アミノベンゾエート基を有する少なくとも一つのs−トリアジンと組み合わせることからなる方法に関する。
【0003】
本発明はまた、化粧品的に許容可能な媒体中に、ケイ皮酸エステルタイプのUV−Bスクリーニング剤と、ジベンゾイルメタン誘導体タイプのUV−Aスクリーニング剤との組み合わせを含む組成物における、UV−B線に関して前記組成物の有効性を改良し、日光に対する曝露の間でのUV−A/UV−B保護におけるバランスを維持する目的のための、前記s−トリアジン化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
280nmから400nmの波長を有する光線はヒトの表皮の褐色化が可能であり、とりわけUV−B光線の名称で既知である280から320nmの波長を有する光線は、自然な日焼けの形成に有害であり得る紅斑及び皮膚火傷を引き起こすことが既知である。これらの理由及び美的な理由のため、かくして皮膚の色を制御する目的で、この自然な日焼けを制御するための手段について一定の需要が存在する;かくしてこのUV−B線を遮蔽することは有利である。
【0005】
皮膚の褐色化を引き起こす、320から400nmの間の波長を有するUV−A線は、特に敏感肌及び日光線に継続的に曝露される皮膚の場合に、皮膚の有害な変化をもたらすことがあり得ることも既知である。UV−A線は、特に皮膚の弾性の損失及びシワの出現をもたらし、早すぎる皮膚老化を引き起こす。それらは、ある被験者においては紅斑反応の誘導を促進し、またはこの反応を加速し、光毒性反応または光老化反応の原因とさえなり得る。かくして、皮膚の自然な弾性の維持といった美的理由または美容上の理由のため、例えばヒトの皮膚に対するUV−A線の効果を制御することがますます所望されている。かくして、UV−A線を遮蔽することも所望される。
【0006】
紫外線に対して皮膚及びケラチン物質の保護を提供する目的で、UV−A領域で活性である有機スクリーニング剤と、UV−B領域で活性である有機スクリーニング剤とを含む抗日光組成物の使用が一般的に実施されている。
【0007】
この点では、UV−Bスクリーニング剤の特に有利なファミリーは、現在ではケイ皮酸エステル、特に2−エチルヘキシルパラ−メトキシシンナメートからなり、これはこれらが高い基礎吸収を示すためである。UV−B領域で活性であるスクリーニング剤としてそれ自体周知の製品であるこれらのケイ皮酸エステル誘導体は、仏国特許出願FR-A-2 315 908に特に開示されている;更に、2−エチルヘキシルパラ−メトキシシンナメートは、DSM社により商標名"Parsol MCX"により現在市販されている。
【0008】
更にこの点では、UV−Aスクリーニング剤の特に有利なファミリーは、現在ではジベンゾイルメタン誘導体、特に4−(tert−ブチル)−4'−メトキシジベンゾイルメタンからなり、これはこれらが高い基礎吸収を示すためである。UV−A領域で活性であるスクリーニング剤としてそれ自体周知の製品であるこれらのジベンゾイルメタン誘導体は、仏国特許出願FR-A-2 326 405及びFR-A-2 440 933、並びに欧州特許出願EP-A-0 114 607に特に開示されている;更に、4−(tert−ブチル)−4'−メトキシジベンゾイルメタンは、DSM社により商標名"Parsol 1789"により現在市販されている。
【0009】
これらの二つのファミリーのスクリーニング剤の組み合わせは、UVスペクトル全体に対して広範で均衡なスクリーニング系を構築する点で非常に有利である。
【特許文献1】仏国特許出願FR-A-2 315 908
【特許文献2】仏国特許出願FR-A-2 326 405
【特許文献3】仏国特許出願FR-A-2 440 933
【特許文献4】欧州特許出願EP-A-0 114 607
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
不幸にも、ケイ皮酸エステルとジベンゾイルメタン誘導体の両者は、紫外線照射に比較的感受性である製品であり、つまりより特には、それらは紫外線照射の作用の下で多かれ少なかれ迅速に分解する不幸な傾向を示すことがわかっている。
【0011】
更に、ジベンゾイルメタン誘導体をケイ皮酸エステルと組み合わせることは、前記ケイ皮酸エステルに対する増大した不安定性を与えることが分かっている。
【0012】
二つのタイプのスクリーニング剤は、それ自体及び組み合わせると不安定であるため、量の損失により、UVバンドの全範囲を良好にカバーすることがもはや可能ではなく、かくして製剤のスクリーニングプロフィールは不均衡となり得、UVスペクトルの一部に対する皮膚または毛髪の非常に高い曝露がもたらされる可能性が生ずる。かくして、受けることが企図される紫外線の面における、ジベンゾイルメタン誘導体の存在下でのケイ皮酸エステルの安定性のこの実質的な欠如は、日光に長期間曝露される間の安定且つ一定の保護を保証することが不可能となっている。
【0013】
これらの条件下では保護の量は、一方では保護のレベルの全体的な低下により、他方ではUV−B領域における遮蔽の主な不均衡により大きく影響し得る。実際に、規則的で短い時間間隔で適用を繰り返すことは、保護のレベルの低下を正すことができる一方で、操作をしないことは、製剤のスクリーニングプロフィールにより経験される不均衡を補償することができる。
【0014】
本出願人は驚くべきことに、以下に詳細に規定されるであろう、保護されたパラ−アミノベンザルマロネート基とパラ−アミノベンザルマロンアミド基とから選択される二つの置換基と、一つのアミノベンゾエート置換基またはアミノベンズアミド置換基とを有する式(I)のs−トリアジン誘導体の新規なファミリーが、ケイ皮酸誘導体とジベンゾイルメタン誘導体の混合物の光化学的安定性(または光安定性)を実質的に改良し、かくして日光に対する曝露を通じて同じYV−B/UV−Aバランスを確保できることを発見した。
【0015】
この発見が、本発明の基礎を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かくして、本発明の主題の一つによれば、少なくとも以下のもの:
(a)ケイ皮酸エステルタイプの少なくとも一つのUV−Bスクリーニング剤;
(b)ジベンゾイルメタン誘導体タイプの少なくとも一つのUV−Aスクリーニング剤;及び
(c)その定義が以下に示されるであろう式(I)の少なくとも一つのs−トリアジン化合物
を含むことを特徴とする、生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも一つのUVスクリーニング系を含む組成物が提供される。
【0017】
本発明の別の主題は、ジベンゾイルメタン誘導体タイプのUV−Aスクリーニング剤の存在下で、ケイ皮酸エステル誘導体タイプの少なくとも一つのUV−Bスクリーニング剤の紫外線に関する化学的安定性を改良するための方法であって、このUVスクリーニング剤の混合物と、その定義が以下に示されるであろう式(I)の少なくとも一つのs−トリアジン化合物を組み合わせることよりなる方法に関する。
【0018】
最後に、本発明の別の主題は、生理学的に許容可能な媒体中に、ケイ皮酸エステル誘導体タイプの少なくとも一つのUV−Bスクリーニング剤と、少なくとも一つのジベンゾイルメタン誘導体とを含む組成物における、紫外線に関する前記UV−Bスクリーニング剤の化学的安定性を改良するための、その定義が以下に示されるであろう式(I)のs−トリアジン化合物の使用である。
【0019】
最後に、本発明の別の主題は、生理学的に許容可能な媒体中に、ケイ皮酸エステル誘導体タイプの少なくとも一つのUV−Bスクリーニング剤と、少なくとも一つのジベンゾイルメタン誘導体とを含む組成物における、紫外線に関する前記組成物の有効性を改良するための、その定義が以下に示されるであろう式(I)のs−トリアジン化合物の使用である。
【0020】
最後に、本発明の別の主題は、生理学的に許容可能な媒体中に、ケイ皮酸エステルタイプの少なくとも一つのUV−Bスクリーニング剤と、少なくとも一つのジベンゾイルメタン誘導体とを含む組成物における、日光に対する曝露の間のUV−A/UV−B保護のバランスを維持するための、その定義が以下に示されるであろう式(I)のs−トリアジン化合物の使用である。
【0021】
本発明の他の特徴点、態様、及び利点は、以下に記載される詳細な説明を読むことで明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の文脈では、用語「紫外線を遮蔽する系」は、紫外線を遮蔽する単一の有機または無機化合物のそれぞれ、あるいは紫外線を遮蔽するいくつかの有機または無機化合物の混合物、例えばUV−Aスクリーニング剤とUV−Bスクリーニング剤を含む混合物からなる、紫外線を遮蔽する試薬を意味するように解される。
【0023】
用語「化粧品的に許容可能」は、好ましい着色、好ましい臭気、及び好ましい感触を示し、この組成物を使用することから消費者が反対する傾向を有する許容できない不快感(ヒリヒリ感、突っ張り感、紅斑)を引き起こさない、皮膚及び/または表面身体成長部と適合可能であることを意味するように解される。
【0024】
本発明に係るケイ皮酸エステルは、好ましくは下式(A)に対応するものから選択される:
【化1】

[式中、
及びRは互いに独立に、直鎖状または分枝状C−C24アルキル基、とりわけ直鎖状または分枝状C−Cアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソブチル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、及び2−エチルヘキシルである]。
【0025】
式(A)のケイ皮酸エステル誘導体としては、特に以下のものが挙げられる:
−DSM社により商標名"Parsol MCX"で特に市販されている、エチルヘキシルメトキシシンナメートまたはシノキセート;
−イソプロピルメトキシシンナメート;
−Symrise社により商標名"Neo Heliopan E 1000"で市販されている、イソアミルメトキシシンナメート;
−ジイソプロピルメトキシシンナメート。
【0026】
ケイ皮酸エステル(類)は、組成物の全重量に対して好ましくは0.01から20重量%、より好ましくは0.1から10重量%、更により好ましくは0.1から8重量%までの含量で、本発明に係る組成物中に存在できる。
【0027】
ジベンゾイルメタン誘導体として、特に以下のものが制限を企図することなく挙げられる:
−2−メチルジベンゾイルメタン;
−4−メチルジベンゾイルメタン;
−4−イソプロピルジベンゾイルメタン;
−4−(tert−ブチル)ジベンゾイルメタン;
−2,4−ジメチルジベンゾイルメタン;
−2,5−ジメチルジベンゾイルメタン;
−4,4'−ジイソプロピルジベンゾイルメタン;
−4,4'−ジメトキシジベンゾイルメタン;
−4−(tert−ブチル)−4'−メトキシジベンゾイルメタン;
−2−メチル−5−イソプロピル−4'−メトキシジベンゾイルメタン;
−2−メチル−5−(tert−ブチル)−4'−メトキシジベンゾイルメタン;
−2,4−ジメチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン
−2,6−ジメチル−4−(tert−ブチル)−4'−メトキシジベンゾイルメタン。
【0028】
上述のジベンゾイルメタン誘導体としては、Merck社により"Eusolex 8020"の名称で市販され、下式に対応する4−イソプロピルジベンゾイルメタンの使用が特に挙げられよう。
【化2】

【0029】
DSM社により商標名"Parsol 1789"で市販されている、4−(tert−ブチル)−4'−メトキシジベンゾイルメタンまたはブチルメトキシジベンゾイルメタンの使用がとりわけ好ましい;このスクリーニング剤は下式に対応する:
【化3】

【0030】
ジベンゾイルメタン誘導体(類)は、組成物の全重量に対して好ましくは0.01から20重量%、より好ましくは0.1から10重量%、更により好ましくは0.1から6重量%の含量で、本発明に係る組成物中に存在できる。
【0031】
本発明に係るs−トリアジン化合物は、以下の一般式(I)に対応する:
【化4】

[式中、
Xは同一または異なり、−O−または−NR−を表す;
は同一または異なり、式(II)の基を表す:
【化5】

{式中、
及びRは同一または異なり、直鎖状または分枝状C−Cアルキル基を表す;
及びRは、1、2、または3の直鎖状または分枝状C−Cアルキル基で任意に置換されたC−C環を形成できる;
、R、及びRは同一または異なり、水素原子あるいは直鎖状または分枝状C−Cアルキル基を表す;
nは0または1の値を有する;
mは0または1の値を有する;
但し、
(i)n=1でRが水素を表す場合、mは0に等しくRが水素以外である;
(ii)R及びRがC−C環を形成する場合、n+mの合計は2以外である;
は水素またはC−Cアルキル基を表す};
は直鎖状または分枝状で、任意に置換されたC−C20アルキル基、1から3の直鎖状または分枝状C−Cアルキル基で任意に置換されたC−C12シクロアルキル基、−(CHCHR−O)基、または−CH−CH(OH)−CH−O−R基を表す;
は水素またはメチルを表す;
は水素またはC−Cアルキル基を表す;
q=1−20
COXR基は、アミノ基に対してオルト、メタ、またはパラ位置であることができる;
は飽和または不飽和の直鎖状または分枝状C−C20アルキル基、OH基、あるいは直鎖状または分枝状C−C20アルコキシ基を表す;
pは0、1、または2に等しい]。
【0032】
上式(I)では、アルキル基は特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−アミル、イソアミル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、及びtert−オクチル気から選択できる。特に好ましいアルキル基はメチル基である。
【0033】
シクロアルキル基は特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチル基から選択できる。特に好ましいシクロアルキル基はシクロヘキシル基である。これらの基は、好ましくはメチル、イソプロピル、及びtert−ブチルから選択されるC−Cアルキル基で置換できる。
【0034】
式(I)の好ましい化合物としては、以下の二つの条件を組み合わせたものが挙げられるであろう:
(a)n=m=0;及び
(b)R,R,RがC−Cアルキル基、とりわけメチルを表し、またはRが水素を表し、R及びRが一つまたは二つのアルキル基によって任意に置換されたC−C環、とりわけシクロヘキシルを形成する。
【0035】
式(I)の好ましい化合物としては、以下の二つの条件を組み合わせたものも挙げられるであろう:
(a)n=1であり、Rがアルキル、特にメチルを表し、またはm=1であり、Rがアルキル、特にメチルを表す;及び
(b)R及びRがC−Cアルキル、とりわけメチルを表す。
【0036】
とりわけ好ましい式(I)の化合物としては、下式(1)から(10)の化合物から選択されるものが挙げられるであろう:
【化6a】

【化6b】

【化6c】

【化6d】

【0037】
これらの化合物の中では、式(1)の2,4−ビス(ジネオペンチル4'−アミノベンザルマロネート)−6−(ブチル4"−アミノベンゾエート)−s−トリアジンがとりわけ挙げられるであろう。
【0038】
式(I)の誘導体は、以下のスキーム(A)によって得ることができる:
【化7】

[式中、R、X、R、R、及びpは上式(I)の定義を有する]。
【0039】
上記反応は、0℃から250℃の間、とりわけ5℃から150℃の間の温度で、溶媒(例えば、トルエン、キシレン、または1,2−ジクロロエタン)の存在下で任意に実施できる。それらはまた、50から150℃の温度で、50から150ワットの電力で、10から30分の期間で、溶媒(例えば、トルエン、キシレン、または1,2−ジクロロエタン)の存在下または不存在下で、あるいは10%のグラファイトの存在下または不存在下で、マイクロウェーブを使用しても実施できる。
【0040】
式(III)の化合物は、本出願人の特許出願EP 0 507 691に例えば開示された既知の方法によって調製できる。
【0041】
式(I)の化合物は、組成物の全重量に対して0.01から20重量%の間、好ましくは0.1から10重量%の間の割合で、本発明の組成物中に一般的に存在する。
【0042】
更に、本発明に係る組成物は、水溶性または脂溶性、あるいは一般的に使用される化粧品溶媒中に不溶性である、UV−A及び/またはUV−B領域で活性な他の付加的な有機または無機UVスクリーニング剤を含むことができる。
【0043】
加的な有機スクリーニング剤は、特にアントラニレート、サリチル酸誘導体、カンファー誘導体、本発明のもの以外のトリアジン誘導体、例えば特許出願US 4 367 390、EP 863 145、EP 517 104、EP 570 838、EP 796 851、EP 796 851、EP 775 698、EP 878 469、EP 933 376、EP 507 691、EP 507 692、EP 790 243、及びEP 944 624に開示されたもの、ベンゾフェノン誘導体、β,β−ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、本発明のもの以外のベンザルマロネート誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、イミダゾリン、ビス−ベンゾアゾリル誘導体、例えば特許EP 669 323及びUS 2 463 264に開示されたもの、p−アミノ安息香酸(PABA)誘導体、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、例えば特許出願US 5 237 071、US 5 166 355、GB 2 303 549、DE 197 26 184、及びEP 893 119に開示されたもの、スクリーニングポリマー及びスクリーニングシリコーン、例えば特許出願WO 93/04665に特に開示されたもの、α−アルキルスチレンから由来するダイマー、例えば特許出願DE 19855649に開示されたもの、4,4−ジアリールブタジエン、例えば特許出願EP 0 967 200、DE 19746654、DE 19755649、EP-A-1 008 586、EP 1 133 980、及びEP 133 981に開示されたもの、並びにこれらの混合物から選択される。
【0044】
付加的な有機スクリーニング剤の例として、INCI名で以下に記載されるものが挙げられる:
【0045】
パラ−アミノ安息香酸誘導体:
PABA;
エチルPABA;
エチルジヒドロキシプロピルPABA;
ISP社により"Escalol 507"の名称で特に市販されている、エチルヘキシルジメチルPABA;
グリセリルPABA;
BASF社により"Uvinul P25"の名称で市販されている、PEG−25PABA
【0046】
サリチル酸誘導体:
Rona/EM Industries社により"Eusolex HMS"の名称で市販されている、ホモサレート;
Haarmann and Reimer社により"Neo Heliopan OS"の名称で市販されている、エチルヘキシルサリチレート;
Scher社により"Dipsal"の名称で市販されている、ジプロピレングリコールサリチレート;
Haarmann and Reimer社により"Neo Heliopan TS"の名称で市販されている、TEAサリチレート
【0047】
β,β−ジフェニルアクリレート誘導体:
BASF社により商標名"Uvinul N539"で特に市販されている、オクトクリレン;
BASF社により商標名"Uvinul N35"で特に市販されている、エトクリレン
【0048】
ベンゾフェノン誘導体:
BASF社により商標名"Uvinul 400"で市販されている、ベンゾフェノン−1;
BASF社により商標名"Uvinul D50"で市販されている、ベンゾフェノン−2;
BASF社により商標名"Uvinul M40"で市販されている、ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン;
BASF社により商標名"Uvinul MS40"で市販されている、ベンゾフェノン−4;
ベンゾフェノン−5;
Norquay社により商標名"Helisorb 11"で市販されている、ベンゾフェノン−6;
American Cyanamid社により商標名"Spectra-Sorb UV-24"で市販されている、ベンゾフェノン−8;
BASF社により商標名"Uvinul DS-49"で市販されている、ベンゾフェノン−9;
ベンゾフェノン−12;
BASF社により商標名"Uvinul A Plus"で市販されている、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート
【0049】
ベンジリデンカンファー誘導体:
Chimex社により"Mexoryl SD"の名称で製造されている、3−ベンジリデンカンファー;
Merck社により"Eusolex 6300"の名称で市販されている、4−メチルベンジリデンカンファー;
Chimex社により"Mexoryl SL"の名称で製造されている、ベンジリデンカンファースルホン酸;
Chimex社により"Mexoryl SO"の名称で製造されている、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート;
Chimex社により"Mexoryl SX"の名称で製造されている、テレフタリリデンジカンファースルホン酸;
Chimex社により"Mexoryl SW"の名称で製造されている、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー
【0050】
フェニルベンズイミダゾール誘導体:
Merck社により商標名"Eusolex 232"で特に市販されている、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸;
Haarmann and Reimer社により商標名"Neo Heliopan AP"で市販されている、二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート
【0051】
トリアジン誘導体:
Ciba-Geigy社により商標名"Tinosorb S"の名称で市販されている、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;
BASF社により商標名"Uvinul T150"で特に市販されている、エチルヘキシルトリアゾン;
Sigma 3V社により商標名"Uvasorb HEB"で市販されている、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン
【0052】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:
Rhodia Chimie社により"Silatrizole"の名称で市販されている、ドロメトリゾールトリシロキサン;
Fairmount Chemical社により商標名"Mixxim BB/100"で固体形態として、またはCiba Specialty Chemicals社により商標名"Tinosorb M"で水性分散物中の微粉化形態で市販されている、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール
【0053】
アントラニル酸誘導体:
Haarmann and Reimer社により商標名で市販されている、メチルアントラニレート
【0054】
イミダゾリン誘導体:
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート
【0055】
ベンザルマロネート誘導体:
ベンザルマロネート官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えばHoffmann-LaRoche社により商標名"Parsol SLX"で市販されている、ポリシリコーン−15
【0056】
4,4−ジアリールブタジエン誘導体:
1,1−ジカルボキシ(2,2'−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン
及びそれらの混合物。
【0057】
好ましい付加的な有機UVスクリーニング剤は、以下のものから選択される:
エチルヘキシルサリチレート;
ホモサレート;
オクトクリレン;
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸;
二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート;
ベンゾフェノン−3;
ベンゾフェノン−4;
ベンゾフェノン−5;
n−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート;
4−メチルベンジリデンカンファー;
テレフタリリデンジカンファースルホン酸;
アニソトリアジン;
エチルヘキシルトリアゾン;
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン;
メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール;
ドロメトリゾールトリシロキサン;
ポリシリコーン−15;
1,1−ジカルボキシ(2,2'−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン;
及びそれらの混合物。
【0058】
付加的な無機光保護剤は、顔料、より好ましくは処理されていてもいなくても良い金属酸化物から形成される一般的に5nmから100nmの間、好ましくは10nmから50nmの間の主要粒子の平均径を有する顔料、例えば酸化チタン(非晶質、またはルチル及び/またはアナターゼ形態の結晶質)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、または酸化セリウムから形成される顔料から選択される。
【0059】
処理された顔料は、例えばCosmetics & Toiletries, 1990年2月, Vol. 105, pp. 53-64に記載されたような化合物、例えばアミノ酸、ビーズワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、若しくはアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタンまたはアルミニウムアルコキシド)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、アルミナ、またはグリセロールを使用して、化学的、電気的、機械化学的、及び/または機械的性質の一つ以上の表面処理を受けている顔料である。
【0060】
処理された顔料は、とりわけ以下のもので処理された酸化チタンであることができる:
−シリカとアルミナ、例えばTayca社製の"Microtitanium Dioxide MT 500 SA"及び"Microtitanium Dioxide MT 100 SA"の製品、並びにTioxide社製の"Tioveil Fin"、"Tioveil OP"、"Tioveil MOTG"、及び"Tioveil IPM"の製品;
−アルミナとステアリン酸アルミニウム、例えばTayca社製の"Microtitanium Dioxide MT 100 T"の製品;
−アルミナとラウリン酸アルミニウム、例えばTayca社製の"Microtitanium Dioxide MT 100 S"の製品;
−酸化鉄とステアリン酸鉄、例えばTayca社製の"Microtitanium Dioxide MT 100 F"の製品;
−シリカ、アルミナ、及びシリコーン、例えばTayca社製の"Microtitanium Dioxide MT 100 SAS"、"Microtitanium Dioxide MT 600 SAS"、及び"MIcrotitanium Dioxide MT 500 SAS"の製品;
−ヘキサメタリン酸ナトリウム、例えばTayca社製の"Microtitanium Dioxide MT 150 W"の製品;
−オクチルトリメトキシシラン、例えばDegussa社製の"T-805"の製品;
−アルミナとステアリン酸、例えばKemira社製の"UVT-M160"の製品;
−アルミナとグリセロール、例えばKemira社製の"UVT-M212"の製品;
−アルミナとシリコーン、例えばKemira社製の"UVT-M262"の製品。
【0061】
シリコーンで処理された他の酸化チタン顔料は、好ましくは個々の粒子の平均径が25から40nmの間である、オクチルトリメチルシランで処理されたTiO、例えばDegussa Silices社により商標名"T 805"で市販されている製品、個々の粒子の平均径が21nmである、ポリジメチルシロキサンで処理されたTiO、例えばCardre社により商標名"70250 Cardre UF TiO2Sl3"で市販されている製品、個々の粒子の平均径が25nmである、ポリジメチルヒドロシロキサンで処理されたアナターゼ/リチルTiO、例えばColor Techniques社により商標名"Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobic"で市販されている製品である。
【0062】
非被覆酸化チタン顔料は、例えば商標名"Microtitanium Dioxide MT 500 B"または"Microtitanium Dioxide MT600 B"でTayca社により、"P 25"の名称でDegussa社により、"Oxyde de titane transparent PW"の名称でWacker社により、"UFTR"の名称でMiyoshi Kasei社により、"ITS"の名称でTomen社により、及び"Tioveil AQ"の名称でTioxide社により市販されている。
【0063】
非被覆酸化亜鉛顔料は、例えば以下のものである:
−Sunsmart社により"Z-cote"の名称で市販されているもの;
−Elementis社により"Nanox"の名称で市販されているもの;
−Nanophase Technologies社により"Nanogard WCD 2025"の名称で市販されているもの。
【0064】
被覆酸化亜鉛顔料は、例えば以下のものである:
−Toshibi社により"Oxide zinc CS-5"の名称で市販されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンで被覆されたZnO);
−Nanophase Technologies社により"Nanogard Zinc Oxide FN"の名称で市販されているもの(Finsolv TN、C12−C15アルキルベンゾエート中の40%分散物として);
−Daito社により"Daitopersion Zn-30"及び"Daitopersion Zn-50"の名称で市販されているもの(30%または50%のシリカとポリメチルヒドロシロキサンで被覆された酸化亜鉛を含むオキシエチレン化ポリジメチルシロキサン/シクロポリメチルシロキサン中の分散物);
−Daikin社により"NFD Ultrafine ZnO"の名称で市販されているもの(シクロペンタシロキサン中の分散物としての、パーフルオロアルキルのホスフェートとパーフルオロアルキルエチルに基づくコポリマーで被覆されたZnO);
−Shin-Etsu社により"SPD-Z1"の名称で市販されているもの(シクロメチルシロキサン中に分散されたシリコーングラフトアクリルポリマーで被覆されたZnO);
−ISP社により"Escalol Z100"の名称で市販されているもの(エチルヘキシルメトキシシンナメート/PVP−ヘキサデセンコポリマー/メチコーン混合物中に分散されたアルミナで処理されたZnO);
−Fuji Pigment社により"Fuji ZnO-SMS-10"の名称で市販されているもの(シリカとポリメチルシルセスキオキサンで被覆されたZnO);
−Elementis社により"Nanox Gel TN"の名称で市販されているもの(ヒドロキシステアリン酸重縮合物でC12−C15アルキルベンゾエート中に55%で分散されたZnO)。
【0065】
非被覆酸化セリウム顔料は、Rhone-Poulenc社により"Colloidal Cerium Oxide"の名称で市販されている。
非被覆酸化鉄顔料は、例えば"Nanogard WCD 2002 (FE 45B)"、"Nanogard Iron FE 45 BL AQ"、"Nanogard FE 45R AQ"、または"Nanogard WCD 2006 (FE 45R)"の名称でArnaud社により、あるいは"TY-220"の名称でMitsubishi社により市販されている。
【0066】
被覆酸化鉄顔料は、例えば"Nanogard WCD 2008 (FE 45B FN)"、"Nanogard WCD 2009 (FE 45B 556)"、"Nanogard FE 45 BL 345"、または"Nanogard FE 45 BL"の名称でArnaud社により、あるいは"Oxyde de fer transparent"の名称でBASF社により市販されている。
【0067】
金属酸化物の混合物、特に二酸化チタンと二酸化セリウムとの混合物、例えば"Sunveil A"の名称でIkeda社により市販されている、等重量のシリカで被覆された二酸化チタンとシリカで被覆された二酸化セリウムとの混合物、二酸化チタンと、アルミナ、シリカ、及びシリコーンで被覆された二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、例えばKemira社により市販されている"M 261"の製品、アルミナ、シリカ、及びグリセロールで被覆された二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、例えばKemira社により市販されている"M 211"の製品も挙げられる。
【0068】
ナノ顔料は、そのまま、または顔料のペースト形態で、つまり例えば文献GB-A-2 206 339に開示されたように分散剤との混合物として、本発明に係る組成物中に導入することができる。
【0069】
付加的な光保護剤は一般的に、組成物の全重量に対して0.01から20重量%の範囲、好ましくは組成物の全重量に対して0.1から10重量%の範囲の割合で、本発明に係る組成物中に存在する。
【0070】
本発明に係る組成物はまた、皮膚の人工的な日焼け及び/または褐色化のための試薬、とりわけジヒドロキシアセトン(DHA)を含むことができる。それらは好ましくは、組成物の全重量に対して0.1から10重量%の範囲の量で存在する。
【0071】
本発明に係る組成物は、脂肪物質、有機溶媒、イオン性または非イオン性の親水性または親油性増粘剤、軟化剤、湿潤剤、不透明化剤、安定化剤、保湿剤、シリコーン、消泡剤、香料、防腐剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両イオン性、または両性界面活性剤、活性成分、フィラー、ポリマー、噴射剤、塩基性化または酸性化剤、あるいは化粧品及び/または皮膚科学の分野で一般的に使用されるいずれかの他の成分から特に選択される一般的な化粧品アジュバントを更に含むことができる。
【0072】
脂肪物質は、オイルまたはワックスまたはそれらの混合物からなることができる。用語「オイル」は、環境温度で液体である化合物を意味するように解される。用語「ワックス」は、環境温度で個体または実質的に固体であり、一般的に35℃より高温の融点を有する化合物を意味するように解される。
【0073】
オイルとして、鉱物オイル(流動パラフィン)、植物オイル(スイートアーモンド、マカダミア、クロフサスグリ種、またはホホバオイル)、構成オイル、例えばパーヒドロスクアレン、脂肪アルコール、脂肪酸、または脂肪エステル(例えばWitco社により商標名"Finsolv TN"で市販されているC12−C15アルキルベンゾエート、オクチルパルミテート、イソプロピルラノレート、またはカプリン酸/カプリル酸のトリグリセリドを含むトリグリセリド)、あるいはオキシエチレン化またはオキシプロピレン化脂肪エステル及びエーテル、シリコーンオイル(シクロメチコーン、ポリジメチルシロキサンまたはPDMS)、フッ素化オイル、またはポリアルキレンが挙げられる。
【0074】
ワックス状化合物として、パラフィンワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、または水素化ヒマシオイルが挙げられる。
【0075】
有機溶媒として、低級アルコール及びポリオールが挙げられる。後者はグリコール及びグリコールエーテル、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、またはジエチレングリコールから選択できる。
【0076】
親水性増粘剤として、カルボキシビニルポリマー、例えばカルボポール(カーボマー)及びペニュレン(アクリレート/C10−C30アルキルアクリレートコポリマー)、ポリアクリルアミド、例えばSeppic社によりSepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13−14イソパラフィン/ラウレス7)またはSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルメチルラウレートコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)の名称で市販されている架橋化コポリマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の任意に架橋化及び/または中和されたポリマー及びコポリマー、例えば商標名"Hostacerin AMPS"の下でHoechst社により市販されているポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(CTFA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ポリサッカリド、特にゴム、例えばキサンタンゴム、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0077】
親油性増粘剤として、変性クレー、例えばヘクトライト及びその誘導体、例えばベントンの名称で市販されている製品が挙げられる。
【0078】
活性成分としては、以下のものが挙げられる:
−汚染に打ち勝つための試薬、及び/またはフリーラジカルに打ち勝つための試薬;
−脱色剤、及び/または色素沈着剤;
−アンチグリケーション試薬;
−NO−シンターゼインヒビター;
−真皮または表皮巨大分子の合成を刺激する試薬、及び/またはそれらの分解を防止する試薬;
−線維芽細胞の増殖を刺激する試薬;
−ケラチノサイトの増殖を刺激する試薬;
−筋弛緩剤;
−引き締め剤;
−皮膚剥離剤;
−保湿剤;
−抗炎症剤;
−細胞のエネルギー代謝に作用する試薬;
−殺虫剤;
−サブスタンスPまたはサブスタンスCRGPアンタゴニスト。
【0079】
もちろん当業者は上述の付加的な任意の化合物(類)及び/またはそれらの量を選択するのに注意を払い、本発明に係る組成物に固有に結び付く有利な特性が、考慮される添加(類)により負に影響されない、または実質的に負に影響されないようにするであろう。
【0080】
本発明に係る組成物は、当業者に周知の方法に従って、特に水中油型または油中水型のエマルションの調製を企図する方法に従って調製できる。それらは特に単純なまたは複雑な(O/W、W/O、O/W/O、またはW/O/W)エマルションの形態で、例えばクリームまたは乳液で、あるいはゲルまたはクリームゲルの形態で、ローション、パウダー、または固体スティックの形態で提供でき、エアゾールとして任意に実装でき、フォームまたはスプレーの形態で提供できる。
【0081】
好ましくは本発明に係る組成物は、水中油型または油中水型エマルションの形態で提供される。
【0082】
エマルションは一般的に、単独でまたは混合物として使用される両親媒性、アニオン性、カチオン性、または非イオン性の乳化剤から選択される少なくとも一つの乳化剤を含む。乳化剤は、得られるエマルション(W/OまたはO/Wエマルション)に従って適切に選択される。
【0083】
W/Oエマルションの調製のために使用できる乳化界面活性剤として、例えばソルビタン、グリセロール、または糖アルキルエステル若しくはエーテル、シリコーン界面活性剤、例えばジメチコーンコポリオール、例えばDow Corning社により"DC 5225"の名称で市販されているシクロメチコーンとジメチコーンコポリオールとの混合物、及びアルキルジメチコーンコポリオール、例えばDow Corning社により"Dow Corning 5200 Formulation Aid"の名称で市販されているラウリルメチコーンコポリオール、セチルジメチコーンコポリオール、例えばGoldschmidt社によりAbil EM 90Rの名称で市販されている製品、及びGoldschmidt社によりAbil WE O9の名称で市販されているセチルジメチコーン、ポリグリセロール(4mol)イソステアレート、及びヘキシルラウレートの混合物が挙げられる。それらに対して、ポリオールアルキルエステルから成る群から有利には選択できる一つ以上の共乳化剤を添加することも可能である。ポリオールアルキルエステルとして特に、グリセロール及び/またはソルビタンのエステル、たとえばポリグリセロールイソステアレート、例えばGoldschmidt社によりIsolan GI 34の名称で市販されている製品、ソルビタンイソステアレート、例えばICI社によりArlacel 987の名称で市販されている製品、グリセロールソルビタンイソステアレート、例えばICI社によりArlacel 986の名称で市販されている製品、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0084】
O/Wエマルションの乳化剤として例えば、非イオン性乳化剤、例えば脂肪酸とグリセロールとのオキシアルキレン化(とりわけポリオキシエチレン化)エステル、脂肪酸とソルビタンとのオキシアルキレン化エステル、オキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/またはオキシプロピレン化)脂肪酸エステル、オキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/またはオキシプロピレン化)脂肪アルコールエーテル、糖エステル、例えばスクロースステアレート、脂肪酸と糖とのエーテル、特にアルキルポリグルコシド(APG)、例えばデシルグルコシド及びラウリルグルコシド、例えばそれぞれHenkel社によりPlantaren 2000及びPlantaren 1200の名称で市販されている製品、任意にセテアリールアルコールとの混合物としてのセテアリールグルコシド、例えばSeppic社によりMontanov 68の名称で、Goldschmidt社によりTegocare CG90の名称で、及びHenkel社によりEmulgade KE3302の名称で市販されている製品、並びにアラキジルグルコシド、例えばSeppic社によりMontanov 202の名称で市販されている、アラキジルアルコールとベヘニルアルコールとアラキジルグルコシドとの混合物の形態のものが挙げられる。本発明の特定の実施態様によれば、上述のようなアルキルポリグルコシドと対応する脂肪アルコールとの混合物は、例えば文献WO-A-92/06778に開示されているように自己乳化組成物の形態で存在できる。
【0085】
エマルションが含まれる場合、その水性相は、既知の方法によって調製された非イオン性ベシクル分散物を含むことができる(Bangham, Standish and Watkins, J. Mol. Biol., 13, 238 (1965), FR 2 315 991、及びFR 2 416 008)。
【0086】
本発明に係る組成物は、特に皮膚、唇、及び/または毛髪の保護及び/またはケア、及び/または皮膚及び/または唇のメイクアップのために、頭皮を含む皮膚、唇、および/または毛髪の数多くの処理、特に美容処理における応用を有する。
【0087】
本発明の別の主題は、皮膚、唇、爪、毛髪、睫毛、眉毛、及び/または頭皮の美容処理用製品、特にケア製品及びメイクアップ製品の製造における、上述の本発明に係る組成物の使用からなる。
【0088】
本発明に係る化粧品組成物は例えば、液体から半液体の稠度を有する、例えば乳液、比較的滑らかなクリーム、クリームゲル、またはペーストの、顔及び/または身体のケア製品及び/または日光保護製品として使用できる。それらは任意にエアゾールに実装でき、フォームまたはスプレー形態で提供できる。
【0089】
本発明に係る蒸発可能な流体ローションの形態の本発明に係る組成物は、加圧装置によって粒子の形態で皮膚または毛髪に適用される。本発明に係る装置は当業者に周知であり、非エアゾールポンプまたは「アトマイザー」、噴射剤を含むエアゾール容器、噴射剤として圧縮空気を使用するエアゾールポンプを含む。後者は特許US 4 077 441及びUS 4 850 517に開示されている(この記載の内容の挿入部分を形成する)。
【0090】
本発明に係るエアゾールに実装された組成物は一般的に、従来の噴射剤、例えばフッ化水素化化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n−ブタン、プロパン、またはトリクロロフルオロメタンを含む。それらは好ましくは、組成物の全重量に対して15から50重量%の範囲の量で存在する。
【0091】
本発明の説明する具体的だが非制限的な態様の実施例が、以下に示されるであろう
【実施例】
【0092】
実施例1:式(1)の2,4−ビス(ジネオペンチル4'−アミノベンザルマロネート)−6−(ブチル4"−アミノベンゾエート)−s−トリアジンの調製
【化8】

【0093】
第1段階:2,4−ジクロロ−6−(ブチル4'−アミノベンゾエート)−s−トリアジンの調製
塩化シアヌリル(20.7g, 0.112mol)を反応器中の250mlのアセトンに0-5℃で溶解する。70mlのアセトンに溶解したブチルパラ−アミノベンゾエート(21.7g, 0.112mol)の溶液を、1時間掛けて0-5℃でそこに滴下する。その後70mlの水に溶解した二炭酸ナトリウム(9.4g, 0.112mol)をそこに加える。異種混合物を2時間0-5℃の温度で放置する。形成された沈降物を濾過し、次いで水とアセトンで洗浄する。真空下での乾燥後、37.2g(97%の収率)の2,4−ジクロロ-6-(ブチル4'−アミノベンゾエート)−s−トリアジンを白色のパウダーの形態で得る。
UV(エタノール/DMSO)λmax=298nm、E1%=940
以下の段階でそのまま使用される。
【0094】
第2段階:実施例1の誘導体の調製
60mlのトルエン中の懸濁物における前記生成物(7.41g, 0.0213mol)とジネオペンチルパラ−アミノベンザルマロネート(14.66g, 0.0422mol)の混合物を、窒素でパージしながら7時間30分還流で加熱する。混合物を冷却し、ジクロロメタンを添加する。飽和二炭酸ナトリウムで有機相を洗浄し、次いで水で洗浄する。有機相を乾かし、次いで減圧下で濃縮する。得られた橙色のオイル(17.8g)をシリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc、85:15)で分離にかける。実施例1の誘導体の淡黄色の塊の形態で、精製分画を回収する(8.72g, 43%の収率)。
UV(エタノール):λ=370nm、E1%=623;λmax=347nm、E1%=847;λ=300nm、E1%=432
【0095】
実施例2:式(2)の2,4−ビス(ジネオペンチル4'−アミノベンザルマロネート)−6−(アミル4"−アミノベンゾエート)−s−トリアジンの調製
【化9】

【0096】
第1段階:2,4−ジクロロ−6−(アミル4'−アミノベンゾエート)−s−トリアジンの調製
塩化シアヌリル(14.7g, 0.0796mol)を反応器中で10℃で200mlのジオキサンに溶解する。60mlのジオキサンに溶解したアミルパラ−アミノベンゾエート(16.5g, 0.0796mol)の溶液と、30mlの水に溶解した炭酸カリウム(5.5g, 0.0398mol)の溶液を、1時間で10℃でそこに同時に滴下する。異種混合物を2時間10℃の温度で放置する。約300mlの水を添加し、形成された沈降物を濾過し、次いで水で洗浄する。真空下での乾燥後、26.4g(93%の収率)の2,4−ジクロロ-6-(アミル4'−アミノベンゾエート)−s−トリアジンを白色のパウダーの形態で得て、以下の段階でそのまま使用する。
【0097】
第2段階:実施例2の誘導体の調製
前記生成物(0.103g, 0.29×10-3mol)、ジネオペンチルパラ−アミノベンザルマロネート(0.2g, 0.58×10-3mol)、及び二炭酸ナトリウム(0.049g, 0.58×10-3mol)の最初に混合した混合物を、150℃の温度で10分間150ワットの電力下でCEM Discoverマイクロウェーブシステムに放置する。非晶質の固体の形態をジクロロメタンで抽出する。有機相を水で3回洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮する。得られた黄色のオイルをシリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc、80:20)で分離にかける。実施例2の誘導体の淡黄色のペーストの形態で、精製分画を回収する(36mg, 15%の収率)。
UV(エタノール):λ=375nm、E1%=610;λmax=347nm、E1%=834;λ=300nm、E1%=425
【0098】
実施例3:式(3)の2,4−ビス(ジネオペンチル4'−アミノベンザルマロネート)−6−(2−エチルヘキシル4"−アミノベンゾエート)−s−トリアジンの調製
【化10】

【0099】
第1段階:2,4−ジクロロ−6−(2−エチルヘキシル4'−アミノベンゾエート)−s−トリアジンの調製
塩化シアヌリル(18.4g, 0.1mol)を反応器中の150mlのアセトンに0-5℃で溶解する。二炭酸ナトリウム(10.6g, 0.1mol)をそこに加え、150mlのアセトンに溶解した2−エチルヘキシルパラ−アミノベンゾエート(24.9g, 0.1mol)の溶液を、10分間掛けて10℃未満の温度ででそこに滴下する。その後異種混合物を3時間研究室温度で放置する。形成された沈降物を濾過し、次いで水で洗浄する。真空下での乾燥後、38gの灰白色の固体を得る。1,2-ジクロロエタンからのこの固体の再結晶後、25.2g(63%の収率)の2,4−ジクロロ-6-(2-エチルヘキシル4'−アミノベンゾエート)−s−トリアジンを白色のパウダーの形態で得る。
UV(エタノール/DMSO)λmax=291nm、E1%=732
以下の段階でそのまま使用される。
【0100】
第2段階:実施例3の誘導体の調製
35mlのトルエン中の懸濁物における前記生成物(1.14g, 2.87×10-3mol)とジネオペンチルパラ−アミノベンザルマロネート(2.2g, 6.33×10-3mol)の混合物を、窒素でパージしながら10時間30分還流で加熱する。混合物を冷却し、ジクロロメタンを添加する。飽和二炭酸ナトリウムで有機相を洗浄し、次いで水で洗浄する。有機相を乾かし、次いで減圧下で濃縮する。得られた橙色のオイル(2.6g)をシリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc、85:15)で分離にかける。実施例3の誘導体の淡黄色の塊の形態で、精製分画を回収する(1.17g, 40%の収率)。
UV(エタノール):λ=370nm、E1%=575;λmax=342nm、E1%=880;λ=300nm、E1%=448
【0101】
実施例4:式(4)の2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(4"-アミノ-(tert-オクチル)ベンズアミド)-s-トリアジンの調製
【化11】

【0102】
第1段階:4-ニトロ-N-(tert-オクチル)ベンズアミドの調製
tert-オクチルアミン(51.7g, 0.4mol)及びトリエチルアミン(61.2ml, 0.44mol)を、反応器中の260mlのジクロロエタンに導入する。混合物を70℃に加熱し、次いで4-ニトロベンゾイルクロリド(77.9g, 0.42mol)を小分けで50分添加する。混合物を4時間還流で加熱する。混合物の氷冷水に注ぐ;ジクロロメタンで抽出を実施し、乾燥を実施し、溶媒を蒸発させる。得られたベージュの沈降物を、イソプロピルエーテルとエタノール(比10:1)の混合物を再結晶化する。真空下で乾燥後、84.6g(76%の収率)の4-ニトロ-N-(tert-オクチル)ベンズアミドを、灰白色のパウダーの形態で得て、以下の段階でそのまま使用する。
【0103】
第2段階:4-アミノ-N-(tert-オクチル)ベンズアミドの調製
200mlの酢酸エチルに溶解した4-ニトロ-N-(tert-オクチル)ベンズアミド(30g, 0.108mol)を、70-75℃の温度で1時間15分間、触媒として50%の水を含む4.8gの10%白金担持木炭の存在下で、500mlの水素発生器中で水素化する(水素圧:8-10バール)。濾過、溶媒の濃縮、真空下での乾燥の後、20.4g(収率:76%)の4-アミノ-N-(tert-オクチル)ベンズアミドを、明黄色のパウダーの形態で得て、以下の段階でそのまま使用する。
【0104】
第3段階:N-(tert-オクチル)-4-[(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの調製
塩化シアヌリル(3.7g, 0.0201mol)を反応器中で10℃で70mlのジオキサンに溶解する。100mlのジオキサンに溶解した前記段階由来の生成物(5g, 0.0201mol)の溶液と、20mlの水に溶解した炭酸カリウム(1.4g, 0.03mol)の溶液を、1時間で10℃でそこに同時に滴下する。異種混合物を2時間10℃の温度で放置する。約300mlの水を添加し、形成された沈降物を濾過し、次いで水で洗浄する。真空下での乾燥後、7.4g(93%の収率)のN-(tert-オクチル)-4−[(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドを白色のパウダーの形態で得て、以下の段階でそのまま使用する。
【0105】
第4段階:実施例4の誘導体の調製
前記生成物(0.29g, 0.732×10-3mol)、ジネオペンチルパラ−アミノベンザルマロネート(0.5g, 1.44×10-3mol)、及び二炭酸ナトリウム(0.14g, 1.44×10-3mol)の最初に混合した混合物を、60℃の温度で4分間300ワットの電力下で、次いで110℃の温度で15分間CEM Discoverマイクロウェーブシステムに放置する。形成された非晶質の固体をジクロロメタンで抽出する。有機相を水で3回洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮する。得られた橙色のオイルをシリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc、75:25)で分離にかける。淡黄色のオイルの形態で精製分画を回収し、固化して実施例4の誘導体の淡黄色のパウダーの形態で得る。
UV(エタノール):λmax=351nm、E1%=763;λ=298nm、E1%=369
【0106】
実施例5:式(5)の2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(4"-アミノ-(tert-ブチル)ベンズアミド)-s-トリアジンの調製
【化12】

【0107】
第1段階:N-(tert-ブチル)-4-ニトロベンズアミドの調製
60mlのメチレンクリリドに溶解した4-ニトロベンゾイルクリリド(18.9g, 0.1mol)を、0-5℃の温度で30分間、反応器中の170mlのジクロロメタンに溶解したtert-ブチルアミン(8.3g, 0.112mol)とトリエチルアミン(15.6ml, 0.112mol)の溶液に添加する。反応混合物の研究室温度に戻し、2時間攪拌しながら放置する。有機相を水で2回洗浄して乾燥する。減圧下での溶媒の除去の後、得られた固体をイソプロパノールから再結晶化する。17.1g(収率:77%)のN-(tert-ブチル)-4-ニトロベンズアミドを淡黄色のパウダーの形態で得て(M.p. 161-2℃)以下の段階でそのまま使用する。
【0108】
第2段階:4-アミノ-N-(tert-ブチル)ベンズアミドの調製
300mlのイソプロパノールに溶解した前記生成物(17.1g, 0.077mol)を、60℃の温度で30分間、触媒として3gの5%白金担持木炭の存在下で、1リットルの水素発生器中で水素化する(水素圧:7バール)。濾過、溶媒の濃縮、真空下での乾燥の後、13.2g(収率:89%)の4-アミノ-N-(tert-ブチル)ベンズアミドを、明灰色のパウダーの形態(M.p. 123-4℃)で得て、以下の段階でそのまま使用する。
【0109】
第3段階:N-(tert-ブチル)-4-[(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの調製
塩化シアヌリル(11.71g, 0.06mol)を反応器中で10℃で150mlのジオキサンに溶解する。60mlのジオキサンに溶解した前記段階由来の生成物(11.53g, 0.06mol)の溶液と、30mlの水に溶解した炭酸カリウム(6.3g, 0.03mol)の溶液を、1時間で10℃でそこに同時に滴下する。異種混合物を2時間10℃の温度で放置する。約300mlの水を添加し、形成された沈降物を濾過し、次いで水で洗浄する。真空下での乾燥後、18g(88%の収率)のN-(tert-ブチル)-4−[(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドを白色のパウダーの形態(M.p. 256-7℃)で得て、以下の段階でそのまま使用する。
【0110】
第4段階:実施例5の誘導体の調製
前記生成物(1.5g, 4.4×10-3mol)、ジネオペンチルパラ−アミノベンザルマロネート(3g, 8.8×10-3mol)、及び二炭酸ナトリウム(0.37g, 8.8×10-3mol)の最初に混合した混合物を、60℃の温度で4分間300ワットの電力下で、次いで150℃の温度で20分間CEM Discoverマイクロウェーブシステムに放置する。形成された非晶質の固体をジクロロメタンで抽出する。有機相を水で3回洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮する。得られた茶色のオイルをシリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc、60:40)で分離にかける。実施例5の誘導体の淡黄色のパウダーの形態で精製分画を回収する(0.7g, 17%の収率)。
UV(エタノール):λ=375nm、E1%=420;λmax=345nm、E1%=813;λ=299nm、E1%=420
【0111】
実施例6:式(6)の2,4-ビス(ジメチルブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(アミル4"-アミノベンゾエート)-s-トリアジンの調製
【化13】

【0112】
第1段階:1,3-ジメチルマロネートの調製
マロン酸(72.8g, 0.7mol)とアルコール2-メチル-4-ペンタノール(286g, 2.8mol)を、Dean & Stark装置に乗せた反応器中の1.8mlの濃縮硫酸の存在下で、200mlのトルエン中で2時間還流に供する。形成された水を共沸蒸留によって除去する。有機相を水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過を実施し、溶媒を蒸発させる。得られた生成物を20hPa下で147℃で蒸留する。160g(79%の収率)の1,3-ジメチルブチルマロネートを、無色のオイルの形態で得て、以下の段階でそのまま使用する。
【0113】
第2段階:1,3-ジメチルブチル4-ニトロベンザルマロネートの調製
p-ニトロベンズアルデヒド(49.9g, 0.33mol)と1,3-ジメチルブチルマロネート(90g, 0.33mol)を、還流コンデンサーに乗せたDean & Stark装置を備えた丸底フラスコ中の150mlのトルエン中に、窒素でパージしながら配置する。事前に調製した触媒である、4mlのトルエン中の懸濁物における酢酸(1.9ml)とピペリジン(3.3ml)をそこに加える。混合物を攪拌しながら7時間30分還流に供し、形成された水をDean & Stark装置により除去する。同量の触媒の二度の更なる添加が必要であった。冷却した反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出する。有機相を水で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮する。得られた赤茶色のオイルをシリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc 97:3)でクロマトグラフィーにかける。56.8g(43%の収率)の精製分画の1,3-ジメチルブチル4-ニトロベンザルマロネートが黄色のオイルの形態で回収され、以下の段階でそのまま使用される。
【0114】
第3段階:1,3-ジメチルブチル4-アミノベンザルマロネートの調製
前記段階で得られた誘導体(56.8g, 0.14mol)を、攪拌して窒素でパージしながら80mlの酢酸中に分散する。115mlの水をそこに添加する。混合物を50℃に加熱する、鉄(78.2g, 1.4mol)を、55℃の温度を越えないように少しずつそこに添加する(1時間の導入時間)。その後酢酸(115ml)を、55℃の温度を超えないように少しずつ添加する(2時間の導入時間)。混合物を55℃で更に1時間加熱する。冷却し、水を添加し、ジクロロメタンで2回抽出を実施する。有機相を水、飽和二炭酸ナトリウム、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。減圧下で濃縮後、赤茶色のオイルを得て、シリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc 85:15)を通過させて精製する。ヘプタンと1,2-ジクロロエタンの混合物から再結晶化する。22.5g(43%の収率)の精製分画の1,3-ジメチルブチル4-アミノベンザルマロネートを、橙色のオイルの形態で回収し、以下の段階でそのまま使用する。
【0115】
第4段階:実施例6の誘導体の調製
前記段階で得た生成物(0.5g, 1.32×10-3mol)、実施例2の第2段階で得た生成物(0.5g, 1.32×10-3mol)、及び二炭酸ナトリウム(0.11g, 1.32×10-3mol)の最初に混合した混合物を60℃の温度で4分間300ワットの電力下で、次いで110℃の温度で25分間CEM Discoverマイクロウェーブシステムに放置する。有機相を水で3回洗浄し、乾燥し、次いで減圧下で濃縮する。得られた橙色のオイルを、シリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc 80:20)で分離に供する。精製分画を黄色のオイルの形態で回収し、固化して明黄色の塊の形態で実施例6の誘導体を得る(0.4g,57%の収率)。
UV(エタノール):λ=370nm、E1%=500;λmax=337nm、E1%=800;λ=300nm、E1%=411
【0116】
実施例7:式(7)の2,4-ビス(ジメチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(アミル4"-アミノベンゾエート)-s-トリアジンの調製
【化14】

【0117】
第1段階:ジメチルマロネートの調製
マロン酸(22.2g, 0.213mol)とメタノール(70g, 0.448mol)を、Dean & Stark装置に乗せた反応器中の2mlの濃縮硫酸の存在下で、100mlのトルエン中で6時間還流に供する。形成された水を共沸蒸留によって除去する。有機相を水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。過剰なメタノールを真空下での蒸留により除去する(0.6hPa下で140℃)。残余物を還流下でイソプロパノール中の動物木炭で処理する。濾過、すすぎ、溶媒の蒸発の後、61.8g(76%の収率)のジメチルマロネートを、黄色のオイルの形態で得て、以下の段階でそのまま使用する。
【0118】
第2段階:ジメチル4-ニトロベンザルマロネートの調製
p-ニトロベンズアルデヒド(21.8g, 0.144mol)とジメチルマロネート(61g, 0.16mol)を、還流コンデンサーに乗せたDean & Stark装置を備えた丸底フラスコ中の100mlのトルエン中に、窒素でパージしながら配置する。事前に調製した触媒である、3mlのトルエン中の懸濁物における酢酸(0.92ml)とピペリジン(1.6ml)をそこに加える。混合物を攪拌しながら9時間還流に供し、形成された水をDean & Stark装置により除去する。同量の触媒の三度の更なる添加が必要であった。冷却した反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出する。有機相を水で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮する。得られた赤茶色のオイルをシリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc 95:5)でクロマトグラフィーにかける。37g(50%の収率)の精製分画のジメチル4-ニトロベンザルマロネートが黄色のオイルの形態で回収され、以下の段階でそのまま使用される。
【0119】
第3段階:ジメチル4-アミノベンザルマロネートの調製
前記段階で得られた誘導体(37g, 0.072mol)を、攪拌してアルゴンでパージしながら30mlの酢酸と45mlの水中に分散する。混合物を50℃に加熱する、鉄(24.4g, 0.437mol)を、55℃の温度を越えないように少しずつそこに添加する(30分間の導入時間)。その後酢酸(45ml)を、55℃の温度を超えないように少しずつ添加する(1時間30分の導入時間)。混合物を55℃で更に1時間加熱する。冷却し、水を添加し、ジクロロメタンで2回抽出を実施する。有機相を水、飽和二炭酸ナトリウム、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。減圧下で濃縮後、橙色のゴムを得て、シリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc 90:10)を通過させて精製する。8.6g(25%の収率)の精製分画のジメチル4-アミノベンザルマロネートを、黄色の固体の形態で回収し、以下の段階でそのまま使用する。
【0120】
第4段階:実施例7の誘導体の調製
前記生成物(2g, 4.1×10-3mol)、2.4-ジクロロ-6-(アミル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン(実施例2の第1段階)(0.73g, 2.05×10-3mol)、及び二炭酸ナトリウム(0.34g, 4.1×10-3mol)の最初に混合した混合物を130-140℃の温度で30分間300ワットの電力下でCEM Discoverマイクロウェーブシステムに放置する。形成された非晶質の固体を、ジクロロメタンで抽出する。有機相を水で3回洗浄し、乾燥し、次いで減圧下で濃縮する。得られた茶色のオイルを、シリカカラム(溶出液:ヘプタン/EtOAc 80:20)で分離に供する。精製分画を実施例7の誘導体の淡黄色のパウダーの形態で回収する(0.5g,16%の収率)。
UV(エタノール):λ=370nm、E1%=391;λmax=340nm、E1%=538;λ=300nm、E1%=313
【0121】
組成物実施例8〜10
【表1】

【0122】
光安定性の測定方法
各製剤について、3の試験サンプルと3のコントロールサンプルを調製した。2mg/cm2の製剤を、へらを使用してポリ(メチルメタクリレート)シートに沈着させる。
【0123】
試験紙とを、9.51×10-3W/cm2のUV−A流量と5.43×10-3W/cm2のUV−B流量を有するキセノンランプを備えたHeraeus Suntestに38分間曝露する。コントロールシートは、暗所で同温(38-40℃)で同時間貯蔵する。
【0124】
各時間の最後で、50gのメタノールで各シートを浸液し、良好な抽出が得られるように15分間超音波にそれらを供することにより、スクリーニング剤を抽出する。得られた溶液をHPLCとUV分光光度計により分析する。
【0125】
試験された各製剤について、曝露後の残余のエチルヘキシルメトキシシンナメート濃度は、非曝露光学密度(OD)に対する曝露サンプル中の光学密度(OD)の比で与えられる。採用した位置は、エチルヘキシルメトキシシンナメートに対応する吸収最大:λmax=310nmである。
【0126】
得られた結果が以下の表1に要約されている:
【表2】

【0127】
ケイ皮酸エステルタイプのUV−Bスクリーニング剤の曝露下での損失は、ジベンゾイルメタンタイプのUV−Aスクリーニング剤の存在下で著しく悪化する。
【0128】
式(I)のトリアジンの添加は、UV−Bスクリーニング剤の化学的安定性を改良し、UV−A/UV−B保護のバランスを維持することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下のもの:
(a)ケイ皮酸エステル誘導体タイプの少なくとも一つのUV−Bスクリーニング剤;
(b)ジベンゾイルメタン誘導体タイプの少なくとも一つのUV−Aスクリーニング剤;及び
(c)下式(I):
【化1】

[式中、
Xは同一または異なり、−O−または−NR−を表す;
は同一または異なり、式(II)の基を表す:
【化2】

{式中、
及びRは同一または異なり、直鎖状または分枝状C−Cアルキル基を表す;
及びRは、1、2、または3の直鎖状または分枝状C−Cアルキル基で任意に置換されたC−C環を形成できる;
、R、及びRは同一または異なり、水素原子あるいは直鎖状または分枝状C−Cアルキル基を表す;
nは0または1の値を有する;
mは0または1の値を有する;
但し、
(i)n=1でRが水素を表す場合、mは0に等しくRが水素以外である;
(ii)R及びRがC−C環を形成する場合、n+mの合計は2以外である;
は水素またはC−Cアルキル基を表す};
は直鎖状または分枝状で、任意に置換されたC−C20アルキル基、1から3の直鎖状または分枝状C−Cアルキル基で任意に置換されたC−C12シクロアルキル基、−(CHCHR−O)基、または−CH−CH(OH)−CH−O−R基を表す;
は水素またはメチルを表す;
は水素またはC−Cアルキル基を表す;
q=1−20
COXR基は、アミノ基に対してオルト、メタ、またはパラ位置であることができる;
は飽和または不飽和の直鎖状または分枝状C−C20アルキル基、OH基、あるいは直鎖状または分枝状C−C20アルコキシ基を表す;
pは0、1、または2に等しい]
の少なくとも一つのs−トリアジン化合物
を含むことを特徴とする、生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも一つのUVスクリーニング系を含む組成物。
【請求項2】
式(I)の化合物が、以下の二つの条件を組み合わせたもの:
(a)n=m=0;及び
(b)R,R,RがC−Cアルキル基、とりわけメチルを表し、またはRが水素を表し、R及びRが一つまたは二つのアルキル基によって任意に置換されたC−C環、とりわけシクロヘキシルを形成する
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)の化合物が、以下の二つの条件を組み合わせたもの:
(a)n=1であり、Rがアルキル、特にメチルを表し、またはm=1であり、Rがアルキル、特にメチルを表す;及び
(b)R及びRがC−Cアルキル、とりわけメチルを表す
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
式(I)の化合物が、下式(1)から(10)の化合物:
【化3a】

【化3b】

【化3c】

【化3d】

から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
式(I)の化合物として、式(1)の2,4−ビス(ジネオペンチル4'−アミノベンザルマロネート)−6−(ブチル4"−アミノベンゾエート)−s−トリアジンが使用される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ケイ皮酸エステル誘導体が、下式(A):
【化4】

[式中、
及びRは互いに独立に、直鎖状または分枝状C−C24アルキル基、とりわけ直鎖状または分枝状C−Cアルキル基である]
に対応するものから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
式(A)のケイ皮酸エステル誘導体が、エチルヘキシルメトキシシンナメートまたはシノキセートである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ケイ皮酸エステル誘導体が、組成物の全重量に対して0.01から20重量%、より好ましくは0.1から10重量%、更により好ましくは0.1から8重量%までの含量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ジベンゾイルメタン誘導体が、下式:
【化5】

の4−(tert−ブチル)−4'−メトキシジベンゾイルメタンまたはブチルメトキシジベンゾイルメタンである、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ジベンゾイルメタン誘導体が、組成物の全重量に対して0.01から20重量%、より好ましくは0.1から10重量%、更により好ましくは0.1から6重量%までの含量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
式(I)の化合物が、組成物の全重量に対して0.01から20重量%の間、好ましくは0.1から10重量%の間の割合で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
水溶性または脂溶性、あるいは一般的に使用される化粧品溶媒中に不溶性である、UV−A及び/またはUV−B領域で活性な他の有機または無機光保護剤を更に含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ジベンゾイルメタン誘導体タイプのUV−Aスクリーニング剤の存在下で、ケイ皮酸エステル誘導体タイプの少なくとも一つのUV−Bスクリーニング剤の紫外線に関する化学的安定性を改良するための方法であって、このUVスクリーニング剤の混合物と、請求項1から12のいずれか一項に規定された式(I)の少なくとも一つのs−トリアジン化合物を組み合わせることよりなる方法。
【請求項14】
生理学的に許容可能な媒体中に、ケイ皮酸エステル誘導体タイプの少なくとも一つのUV−Bスクリーニング剤と、少なくとも一つのジベンゾイルメタン誘導体UV−Aスクリーニング剤とを含む、請求項1から13のいずれか一項に規定された組成物における、UV−B光線に関する前記組成物の有効性を改良するための、請求項1から13のいずれか一項に規定された式(I)のs−トリアジン化合物の使用。
【請求項15】
生理学的に許容可能な媒体中に、ケイ皮酸エステル誘導体タイプの少なくとも一つのUV−Bスクリーニング剤と、少なくとも一つのジベンゾイルメタン誘導体UV−Aスクリーニング剤とを含む、請求項1から14のいずれか一項に規定された組成物における、日光に対する曝露の間のUV−A/UV−B保護のバランスを維持するための、請求項1から14のいずれか一項に規定された式(I)のs−トリアジン化合物の使用。

【公開番号】特開2007−204476(P2007−204476A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−24490(P2007−24490)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】