説明

ケイ素及びポリシリルシアメルレート並びにシアヌレート、それらの製造方法及びそれらの使用

本発明は、オリゴマー及びポリマーのs−トリアジン及びs−ヘプタジン誘導体の新規ファミリー、並びに中間体としての(例えばSi/(M)/C/N/(O)セラミックを生産するための前駆体として)、例えば気体を貯蔵するための触媒担体のようなメソ多孔質材料としての又はクロマトグラフィ用の固定相としての、防炎剤としての、プラスチック添加物としての、或いは他の有機/無機機能性材料のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴマー及びポリマーのs−トリアジン並びにs−ヘプタジン誘導体の新たな化合物類、並びに中間体としての(例えばSi/(M)/C/N/(O)セラミックの製造用の前駆体化合物(前駆体)として)、例えば気体を貯蔵する触媒担体のようなメソ多孔質材料としての又はクロマトグラフィ用の固定相としての、防炎剤としての、プラスチック添加物としての、或いは他の有機/無機機能性材料のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ロシア刊行物であるA.S. Gordetsov, Yu. I. Dergunov, N.K. Gavrilova, 「メラム、メレム及びシアメルル酸の有機スズ誘導体の合成(Synthesis of organotin derivatives of melam, melem, and cyamelluric acid)」, Khimiya Elementoorgan. Soedin. (Gor'kii), 8(1980), 59-61 (CAN 97:39048)では、メレム及びジ(n−ブチル)−トリメチルシリルアミンからのトリス(トリメチルシリル)メレムC(NHSiMeの合成が記載されている。Yu. I. Dergunov, A.S. Gordetsov, I.A., Vostokov, E.N. Boitsov, 「シアメルル酸のシリル化及びスタンニル化(Silylation and stannylation of cyameluric acid)」, Zhurnal Obshchei Khimii, 46(1976), 1653-4では、トリス(トリメチルシリル)シアメルル酸エステルC(OSiMeが記載されている。
【0003】
多数の特許において、耐火性又は難燃性合成配合物用の構成成分としてのヘプタジン誘導体の使用が特許請求されている。s−トリアジン誘導体は、上述のs−ヘプタジン誘導体よりも実質的に良好であると研究されている。応用分野の例は、エレクトロニクス産業、プラスチック産業、木工業及びテキスタイル産業に存在する。さらに、s−トリアジン環は、種々の薬理学的に活性な物質において見出されている。文献から、下記の3つのケイ素含有化合物が既知である:シアヌル酸(C(OH))の分子シリルエステル:(C(OSiMe(SiMe)))、(C(OSiMeH))及び(C(OSiMe)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日まで、C−O−Si又はC−O−Si構造単位に基づく一次元、二次元及び三次元的に伸長された共有結合性オリゴマー又はポリマー並びにフレームワークは知られていない。
【0005】
したがって、本発明の課題は、初めてこのような系を利用可能なものにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、特許請求の範囲において特徴付けられる実施形態により解決される。
【0007】
特に、本発明は、ケイ素シアヌレートである[Si(C、ケイ素シアメルレートである[Si(C、シリルシアヌレートである[Si(R1.5(C)]、シリルシアメルレートである[Si(R1.5(C)]、シルセスキシアヌレートである[Si(R)(C)]及びシルセスキシアメルレートである[Si(R)(C)]
(式中、
nは、1〜∞、好ましくは1〜50,000の整数を表し、
及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルキル残基、(C〜C)シクロアルキル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルケニル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルキニル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C)アルコキシ残基、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ナフチル、ナフトキシ又はピリジル(これらはそれぞれ、直鎖又は分岐鎖(C〜C)アルキル残基、(C〜C)シクロアルキル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C)アルコキシ残基、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、ニトロ、シアノ、ベンジル、4−メトキシベンジル、4−ニトロベンジル、フェニル及び4−メトキシフェニルからなる群βからそれぞれ独立して選択される1〜5個の置換基で置換され得る)からなる群αから選択される)
から成る群から選択される少なくとも1つの構造単位を含むオリゴマー又はポリマーを提供するものである。
【0008】
本発明の化合物類の、又はそれに由来するフレームワークの構造形成単位は、s−ヘプタジンフラグメント(即ちシアメルレート基[C3−)(1)及び/又は類似体であるs−トリアジンフラグメント(即ちシアヌレート構造単位[C3−)(2)であり、これらは、ケイ素含有基、好ましくはSiO4−x4面体(x=2、3又は4であり、R及びR’はそれぞれ、上記R及びRと同様に定義され、特に直鎖又は分岐鎖(C〜C)アルキル残基、(C〜C)シクロアルキル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C)アルケニル残基、無置換又は置換C〜C10アリール残基から選択される)を介して架橋により結合されるか、或いは伸長される(図1を参照)。
【0009】
本発明による化合物類の例は、理想的なポリマー化学量論を想定して、以下の:
ケイ素シアメルレート及びケイ素シアヌレート:それぞれSi(CI及びSi(CII、
シルセスキ化合物:[RSi(C)]III及び[RSi(C)]IV
[(RSi)(CV及び[(RSi)(C]VI、並びに
I〜VIの任意の組合せである。
【0010】
本発明の実施形態では、Si[△R、R−Si[△R又はRSi[△R(△=(C)シアヌレート又は(C)シアヌレートであり、式中、R及びRは、上記の通りに定義され、Rは、それぞれR及びRと同様に定義される)に対応する、第1世代の、又はそこから派生される高次世代のケイ素を中心とする樹状化合物であるオリゴマー又はポリマーが生産される。
【0011】
本発明のさらなる実施形態では、[△(SiR]、[R(C)(SiR]又は[R(C)(SiR](△=Cシアヌレート又はNシアヌレートであり、式中、R、R、R及びR、それぞれ独立して、上記R及びRと同様に定義される)に対応する、第1世代の、又はそこから派生される高次世代のシアヌレート又はシアメルレートを中心とする樹状化合物であるオリゴマー又はポリマーが製造される。
【0012】
本発明の状況では、デンドリマーは、規定の分岐を伴う高次のオリゴマーからポリマーまでの化合物を意味する。デンドリマーは、シアヌレート又はシアメルレートを中心とするか、或いは相応してケイ素を中心とする開始コアを保有し、そこから分岐単位が生じて、空間のあらゆる方向に伸長する。コア官能性の開始コア周囲では、分岐単位は、対応する球体を形成して、これが世代と呼ばれる。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態では、誘導体化されたシリルシアヌレートである([Si(R)−R−Si(R)]1.5[C])又は誘導体化されたシリルシアメルレートである[Si(R)−R−Si(R)]1.5[C])(式中、n、R及びRは上記の通りに定義され、R及びRは、それぞれ独立して、上記R及びRと同様に定義され、Rは、SiR基、カルコゲン原子、特に酸素原子、(C〜C)アルキレン基、特にメチレン、(C〜C10)アリーレン基、特にフェニレン、又はRX架橋(X=第3又は第5主族の元素であり、Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルキル残基、(C〜C)シクロアルキル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルケニル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルキニル残基、或いは直鎖又は分岐鎖(C〜C)アルコキシ残基から選択される)を表す)であるオリゴマー又はポリマーが製造される。
【0014】
本発明によるオリゴマー又はポリマーは、特に適切な溶媒(好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジアルキルエーテル、石油エーテル、ヘキサン分画、ベンゼン、トルエン及びメシチレン)中のコロイド懸濁液(ゾル、ゲル)の形態であり得る。
【0015】
本発明の別の目的は、シアヌル酸及び/又はシアメルル酸と、テトラアルキルオルトシリケートとの或いは1個、2個又は3個の置換基を有する対応するアルコキシシランとの反応工程を含む、本発明によるオリゴマー又はポリマーの製造方法に関する。
【0016】
代替的には、本発明によるオリゴマー又はポリマーは、トリス(トリアルキルシリル)シアヌレート及び/又はトリス(トリアルキルシリル)シアメルレートと、四塩化ケイ素との或いは1個、2個又は3個の置換基を有する対応するクロロシランとの反応工程を含む方法によって製造することができる。
【0017】
上記プロセスに続いて、任意に対応するハロゲン若しくはアルコキシ末端基含有誘導体の加水分解又はアンモニア分解による重合或いは架橋を行うことができる。
【0018】
本発明の別の目的は、クロマトグラフィ用の固定相としての、微孔質フィルタ材料としての、液体及び気体用の貯蔵媒体としての、不均一触媒用の触媒及び/又は触媒担体としての、防炎剤としての(特に、プラスチック、テキスタイル、木製品、紙、板紙、石膏、絶縁材及び複合建築材用)、ポリマー発泡体の製造のための、或いは光学特性、音響特性、磁気特性又は(光)電子特性が使用される材料及び構成部品の製造のための、本発明によるオリゴマー又はポリマーの使用である。
【0019】
さらに、特に本発明によるオリゴマー又はポリマーが上述するようにコロイド懸濁液(ゾル、ゲル)の形態である場合、本発明によるオリゴマー又はポリマーは、コーティング、成形体及び粉末、エアロゲル及びキセロゲルを製造するためのゾル−ゲル手順において使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、構成成分A(SiO4−x4面体)及びB(s−ヘプタジン基又はs−トリアジン基)を組み合わせることによる本発明によるオリゴマー又はポリマーの構築について記載する。
【0021】
本発明によるオリゴマー又はポリマーの構成の原理は、図1から明らかである。本発明による方法を使用して、複雑なクロロシラン、例えばα,ω−ジクロロシラン又はClRSi−R−SiRCl型(式中、R及びRは、上記の通りに定義され、R及びRは、R及びRと同様に定義される一方で、Rは、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルケニル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルキニル残基、或いは無置換又は置換(C6〜10)アリーレン残基(ここで、1個の置換基又は数個の置換基は、群βから選択される)から選択される)の架橋クロロシランからポリマーを製造することも可能である(図2を参照)。図2は、種々の官能化されたクロロシランの使用による本発明によるポリマーの修飾を示す。
【0022】
製造方法に応じて、ポリマーは、本発明によるポリマーの基本構造又は特性に著しく影響を与えることなく、相当量の末端基(例えば、クロロ−及びトリメチルシロキシ基)を含有することができる。本発明によるポリマーの化学構造及び形態は、使用する合成条件に依存する。適切に選択した条件下で、ゲルが形成して、これはキセロゲル又はエアロゲルへ変換することができる。後者は、非常に高い比表面積、並びにマイクロ範囲(2nm未満)及び/又はメソ範囲(2〜50nm)の孔により特徴付けられる。
【0023】
遷移金属−酸素多面体がイオン相互作用を介して多重歯状の(multitoothed)通常硬質の芳香族リガンドにより連結される非常に多孔質のフレームワーク構造、いわゆる「金属有機フレームワーク」(MOF)は、ここ数年で集中的に研究されており、また強烈な商業的関心の対象でもある。MOFは、合成化学における触媒として、またセンサ材料として気体を貯蔵するのに使用することができる。今日、工業的なパイロット設備がすでに機能を果たしている。これらの用途の幾つかにおいて、本発明によるフレームワークは、それらの高い熱安定性に起因して、例えば合成反応中のより高温に持ちこたえることにより、MOFよりも優れている場合がある。
【0024】
本発明によるポリマーは概して、無色(白色)及び不透明であり、本発明によるポリマーは、着色構成成分の標的組込みにより修飾され得る。ポリマーは加水分解を受ける傾向にあり、したがって生分解性の無機−有機材料の形成に適している。
【0025】
本発明によるポリマーは、原理上種々の経路により合成することができる。本発明によるケイ素シアヌレート又はケイ素シアメルレートに対応する適切な出発物質は、例えば、可溶性金属シリケート、アルコキシシラン又はシロキシシランと反応させることができる酸素ハロゲン化物CCl、C又はCである。さらに、「オルト酸」であるシアヌル酸C及びシアメルル酸C、並びにそれらのアルキルアンモニウム塩は、アルコキシシラン又はクロロシランと反応させることができる。
【0026】
特に好適な反応は、ポリ(s−ヘプタジンシロキサン)又はポリ(s−トリアジンシロキサン)がトリス(トリアルキルシリル)シアメルル酸エステル、例えば(C(OSiMe)又はトリス(トリアルキルシリル)シアヌル酸エステル、例えば(C(OSiMe)から交換反応により合成されるものである。典型的な結果及び関連する反応式は以下で実施例において見出すことができる。
【0027】
生成物は高収率で製造される。さらに、適切な条件下で(希釈は過度でなく、攪拌なし)、ゾル−ゲルプロセスが現象論的に起きることは注目に値する。該プロセスでは、均質な溶液は、いわゆるゲル点で比較的急激に凝固する。続いて、熟成プロセスが起こり、これは通常、連続する縮合反応及びシネレシスを特徴とする。遊離体、調製サイズ並びに圧力条件及び温度条件に応じて、反応時間がかなり変化する。本発明によれば、本発明によるオリゴマー又はポリマーはまた、純粋な形態(結晶を含む)で生産され得る。
【0028】
本発明の状況では、対応する化合物はまた、末端基含有オリゴマー又はポリマーとして存在し得る。さらに、本発明によるオリゴマー又はポリマーの対応する組合せが包含される。
【0029】
ここで、本発明は以下の非限定的な実施例においてより詳述される。
[実施例]
【0030】
反応は全て、シュレンク及びグローブボックス技法を用いて保護気体下で実施される。市販の(Aldrich)クロロシランを使用した。シアメルル酸及びシアヌル酸のトリメチルシリルエステルは、Y.I. Drgunov, I.A. Vostokov, A.S. Gordetsov, V.A. Gal'perin, シアヌル酸のシリル化及びスタンニル化(Silylation and stannylation of cyanuric acid), Zhurnal Obshchei Khimii (1976), 46(7), 1573-6. b)、Yu. I. Dergunov, A.S. Gordetsov, I.A. Vostokov, E.N. Boitsov, シアメルル酸のシリル化及びスタンニル化(Silylation and stannylation of cyameluric acid), Zhurnal Obshchei Khimimi, 46(1976), 1653-4に従って合成した。
【0031】
図3は、以下の実施例1〜実施例7の基礎となる一般的な(理想的な)反応について記載しており、ここでは△=C、Cであり、R=CHであり、x=0、1、2である。
【実施例1】
【0032】
△=C、x=0、ゾル−ゲル反応として
磁気攪拌棒を伴う2つのシュレンクフラスコ(25mL)それぞれで、C(OSiMe 346mg(1mmol)を無水THF 5mL中に溶解させた。SiCl 88μL(0.77mmol)を該溶液に滴下して、さらに攪拌することなく室温(調製1A)又は45℃(調製1B)で、密閉容器を保管した。
【0033】
およそ24時間後、調製1Bはゲルへと凝固した。さらに2日後、ゲル体のわずかな収縮及び液相の分泌(シネレシス)が観察された。
【0034】
調製1Aの場合、反応調製物の濁りが3日後に現れて、6日後に硬いゲルが得られ、それは翌日シネレシスを呈した。
【実施例2】
【0035】
△=C、x=1、ゾル−ゲル反応として
磁気攪拌棒を伴う2つのシュレンクフラスコ(25mL)それぞれで、C(OSiMe 173mg(0.5mmol)を無水THF 4mL中に溶解させた。CHSiCl 58μL(0.5mmol)を該溶液に滴下して、さらに攪拌することなく室温(調製2A)又は45℃(調製2B)で、密閉容器を保管した。
【0036】
調製2Aの場合、反応調製物の濁りが3時間後に現れて、6日後に流動性のゲルが得られ、それは翌日高シネレシスを呈した。
【0037】
調製2Bの場合、反応調製物の濁りが1時間後に現れて、1日後に硬いゲルが得られ、それは翌日高シネレシスを呈した。
【実施例3】
【0038】
△=C、x=2、ゾル−ゲル反応として
磁気攪拌棒を伴うシュレンクフラスコ(25mL)で、C(OSiMe 173mg(0.5mmol)を無水THF 4mL中に溶解させた。(CHSiCl 95μL(0.079mmol)を該溶液に添加して、さらに攪拌することなく室温で、密閉容器を保管した。
【0039】
3時間後、反応調製物の濁りが現れて、6日後にゾルは凝固していなかった。
【実施例4】
【0040】
△=C、x=0、粉末としての製造
磁気攪拌棒を伴うシュレンクフラスコ(100mL)で、C(OSiMe 1g(2.3mmol)を無水THF中に溶解させた。該溶液に、SiCl 0.39mL(3.4mmol)を室温で添加して、反応混合物を還流させながら55時間沸騰させた。次に、白みがかった懸濁液を還元して、反応副生成物及び溶媒残留物を100℃、真空中で除去した。生成物は、ベージュ色固体であった。理論収量の113%の収率;IR(cm−1KBrペレット):448(m),791(m),1015(m);1099(s),1160(m),1261(m),1460(vs),1655(vs),2961(m)。
【0041】
熱分解:得られた生成物の350mgを、石英ガラス管中で550℃にて2時間保管した。黒色固体292mgを回収した(重量損失16%)。この物質のX線粉末ディフラクトグラムは、2.82Å、3.62Å、4.13Å及び4.96Åで新たな相の広範な反射を示し、ここでは4.96Åが最大強度を有するピークである。熱処理後のCフラグメントの存在は、IRスペクトルにおける1633、1448及び800cm−1での特徴的なバンドから検出された。さらに、未熱分解状態で見られるように、強力なSi−O−Cバンドが1095cm−1で見られた。
【実施例5】
【0042】
△=C、x=0、ゾル−ゲル反応として
磁気攪拌棒を伴う2つのシュレンクフラスコ(25mL)中で、C(OSiMe 525mg(1.2mmol)を、それぞれ無水THF 7mL及び5mL中に溶解させた。該溶液に、それぞれSiCl 102μL(0.89mmol)及び350μL(3mmol)を滴下した。次に、2つの調製物を、さらに攪拌することなく室温で又は45℃で保管した。
【0043】
5分以内のうちに、両方の場合で硬いゲルが得られた。シネレシスは、調製物を或る特定温度で6時間保持した後に起き、室温ではシネレシスはおよそ1日後に起きた。ゲル体は、数日間で収縮を受けた。
【実施例6】
【0044】
△=C、x=1、ゾル−ゲル反応として
磁気攪拌棒を伴うシュレンクフラスコ(25mL)中で、C(OSiMe 220mg(0.5mmol)を無水THF 4mL中に溶解させた。該溶液に、CHSiCl 59μL(0.5mmol)を滴下して、さらに攪拌することなく室温で、密閉容器を保管した。
【0045】
硬いゲルが、5分後には得られた。シネレシスは、およそ3日後に続いて起きた。
【実施例7】
【0046】
△=C、x=2、粉末としての製造
磁気攪拌棒を伴うシュレンクフラスコ(100mL)中で、C(OSiMe 1g(2.3mmol)を無水THF中に溶解させた。該溶液に、(CHSiCl 0.41mL(3.4mmol)を室温で添加して、反応混合物を還流させながら30時間沸騰させた。次に、白みがかった懸濁液を還元して、反応副生成物及び溶媒残留物を100℃、真空中で除去し、ここで淡褐色固体を形成した(理論収量の105%の収率)。
【0047】
IR(cm−1、KBrペレット):802(vs),1090(vs),1261(vs),1454(m),1653(vs),2957(m)。
元素分析:
【0048】
【表1】

【0049】
この物質のX線粉末ディフラクトグラムは、3.16Å、3.69Å、4.09Å、4.98Å及び7.49Åで最大強度を有する新たな相の広範な反射を示した。
【実施例8】
【0050】
△=C、x=2、ゾル−ゲル反応として
磁気攪拌棒を伴うシュレンクフラスコ(25mL)で、C(OSiMe 114mg(0.026mmol)を無水THF 2mL中に溶解させた。該溶液に、(CHSiCl 47μL(0.39mmol)を滴下して、さらに攪拌することなく室温で、密閉容器を保管した。
【0051】
1時間後、反応調製物の濁りが現れて、6日後にゾルは凝固していなかった。
【実施例9】
【0052】
(C)(Si(CHCl)の加水分解的カップリングによる{(ClSi(CH(Si(CHO)1.5−(x/2)(C)}からのトリス(クロロジメチルシリル)シアメルレートの層の調製:
反応式は図4に記載する。
【0053】
磁気攪拌棒を伴うシュレンクフラスコ(50mL)で、(CHSiCl 12mL(99mmol)を、C(OSiMe 1g(2.3mmol)に室温で添加した後、反応混合物を還流させながら10時間沸騰させた。次に、過剰のクロロシラン及び(CHSiClを100℃、真空中で除去した。該プロセスにおいて、白色固体が得られる(理論収量の68.4%の収率)。融点:206℃;分解は330℃で起きる。
【0054】
0.1ppm未満のHOを有する保護気体ボックス中で、得られた生成物のうち少量をTHF中で微粉砕した。そのようにして得られる懸濁液を単結晶Kbrプレートへ塗布した。このプレートを除去し、湿潤環境空気と接触して起こり、且つ上記スキームで描写される加水分解性重合が、FT−IR分光法により観察される。該プロセスにおいて、およそ1080cm−1にあるSi−O−Si振動バンドは、40分以内に強度が増大した。
【実施例10】
【0055】
△=C、x=2、ゾル−ゲル反応として
磁気攪拌棒を伴うシュレンクフラスコ(25mL)で、C(OSiMe 114mg(0.026mmol)を無水THF 2mL中に溶解させた。該溶液に、(CHSiCl 47μL(0.39mmol)を滴下して、さらに攪拌することなく室温で、密閉容器を保管した。1時間後、反応調製物の濁りが現れて、6日後にゾルは凝固していなかった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、構成成分A(SiO4−x4面体)及びB(s−ヘプタジン基又はs−トリアジン基)を組み合わせることによる本発明によるオリゴマー又はポリマーの構築について記載する。
【図2】図2は、種々の官能化されたクロロシランの使用による本発明によるポリマーの修飾を示す。
【図3】図3は、上記の実施例1〜実施例7の基礎となる一般的な(理想的な)反応について記載しており、ここでは△=C、Cであり、R=CHであり、x=0、1、2である。
【図4】(C)(Si(CHCl)の加水分解的カップリングによる{(ClSi(CH(Si(CHO)1.5−(x/2)(C)}からのトリス(クロロジメチルシリル)シアメルレートの層の調製の反応式を図4に記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素シアヌレートである[Si(C、ケイ素シアメルレートである[Si(C、シリルシアヌレートである[Si(R1.5(C)]、シリルシアメルレートである[Si(R1.5(C)]、シルセスキシアヌレートである[Si(R)(C)]及びシルセスキシアメルレートである[Si(R)(C)]
(式中、
nは、1〜∞、好ましくは1〜50,000の整数を表し、
及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルキル残基、(C〜C)シクロアルキル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルケニル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルキニル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C)アルコキシ残基、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ナフチル、ナフトキシ又はピリジル(これらはそれぞれ、直鎖又は分岐鎖(C〜C)アルキル残基、(C〜C)シクロアルキル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C)アルコキシ残基、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、ニトロ、シアノ、ベンジル、4−メトキシベンジル、4−ニトロベンジル、フェニル及び4−メトキシフェニルからなる群βからそれぞれ独立して選択される1〜5個の置換基で置換され得る)からなる群αから選択される)
から成る群から選択される少なくとも1つの構造単位を含む、オリゴマー又はポリマー。
【請求項2】
第1世代の、又はそこから派生される高次世代のケイ素を中心とする樹状化合物である請求項1に記載のオリゴマー又はポリマー。
【請求項3】
第1世代の、又はそこから派生される高次世代のシアヌレート又はシアメルレートを中心とする樹状化合物である、請求項1に記載のオリゴマー又はポリマー。
【請求項4】
誘導体化されたシリルシアヌレート([Si(R)−R−Si(R)]1.5[C])又は誘導体化されたシリルシアメルレート([Si(R)−R−Si(R)]1.5[C])
(式中、n、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、上記R及びRと同様に定義され、Rは、SiR基、カルコゲン原子、特に酸素原子、(C〜C)アルキレン基、特にメチレン、(C〜C10)アリーレン基、特にフェニレン、又はRX架橋(X=第3又は第5主族の元素であり、Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルキル残基、(C〜C)シクロアルキル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルケニル残基、直鎖又は分岐鎖(C〜C18)アルキニル残基、或いは直鎖又は分岐鎖(C〜C)アルコキシ残基から選択される)を表す)
である、請求項1に記載のオリゴマー又はポリマー。
【請求項5】
コロイド懸濁液の形態での請求項1〜4のいずれか1項に記載のオリゴマー又はポリマー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のオリゴマー又はポリマーの製造方法であって、シアヌル酸(cyanuric acid)及び/又はシアメルル酸(cyameluric acid)と、テトラアルキルオルトシリケートとの或いは1個、2個又は3個の置換基を有する対応するアルキルシロキサンとの反応工程を含む、オリゴマー又はポリマーの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のオリゴマー又はポリマーの製造方法であって、トリス(トリアルキルシリル)シアヌレート及び/又はトリス(トリアルキルシリル)シアメルレートと、四塩化ケイ素との或いは1個、2個又は3個の置換基を有する対応するクロロシランとの反応工程を含む、オリゴマー又はポリマーの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のオリゴマー又はポリマーの使用であって、クロマトグラフィ用の固定相としての、微孔質フィルタ材料としての、液体及び気体用の貯蔵媒体としての、不均一触媒用の触媒及び/又は触媒担体としての、防炎剤としての(特に、プラスチック、テキスタイル、木製品、紙、板紙、石膏、絶縁材及び複合建築材用)、ポリマー発泡体の製造のための、或いは光学特性、音響特性、磁気特性又は(光)電子特性が使用される材料及び構成部品の製造のための、オリゴマー又はポリマーの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−545862(P2008−545862A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515142(P2008−515142)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005501
【国際公開番号】WO2006/133849
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(308018051)ツィルム ベタイリグングズゲゼルシャフト エムベーハー ウント コンパニー パテンテ II カーゲー (1)
【Fターム(参考)】