説明

ケラチンへの局所薬剤デリバリーにおける表面活性タンパク質の組成物、使用及び使用方法

本発明は、表面活性タンパク質、特に分類I及び分類IIのハイドロフォビンの、局所適用した医薬品での使用を提供する。本発明は、特に、1つ以上の種々の病気又は疾患を治療するために、動物又は人体の爪の表面中に及び/又は該表面を介して、患者(動物及びヒトを含む)に対する活性成分の予防的及び/又は治療的な有効量の爪を介したデリバリーを達成するために貫入を高めるための局所適用された製剤学的生成物に関する。本発明の関連する実施態様も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、局所に適用された医薬品における(特に高い)表面活性タンパク質の使用を提供する。本発明は、特に、1つ以上の種々の病気又は疾患を治療するために、動物又は人体の爪の角質化した表面中に及び/又は該表面を通して、患者(動物及びヒトを含む)に対する活性成分の予防的及び/又は治療的な有効量の爪を介したデリバリーを達成するために浸透を高めるための局所適用された製剤学的生成物に関する。
【0002】
発明の背景
ハイドロフォビンは、約100〜150個のアミノ酸を有する表面活性タンパク質の種類である。ハイドロフォビンの自己集合は、立体構造変化を伴う。モノマー分類I及び分類IIのハイドロフォビンは、ベータ−シート構造に富んでいる。前記ハイドロフォビンは、糸状菌、例えばシゾフィラム・コムーネ(スエヒロタケ:Schizophyllum commune)又はテルコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)の特徴がある。現在までに、それらは、特に、浸透を阻害すること、又は(活性成分を、例えば物質の表面に結合して、そして例えば髪等上に該活性成分を固定する)付着マトリックスとして働くことを期待されている表面上に安定な層を形成することが記載されている。これは、記載されている(例えばWO 2004/000880を参照)。ケラチンを含有する物質、粘膜及び歯の治療を可能にする化粧品組成物も記載されているが、しかしさらにここで作用の主張されている形式は、単に、人体のケラチン表面、例えば髪、皮膚及び爪に対するハイドロフォビンの高い親和力(WO 2006/136607)、並びにケラチンの表面に対する標的及びケラチンの表面上での長期間の効果を可能にする、表面で成分の濃度を高めるためのあらゆる活性又は他の成分に対してそれらを高める効果に関する。水分付加及び皮膚鎮静特性又は染色が、ここでの背景にある。浸透依存の製剤学的効果は、記載又は示唆されていない。特に、高められた活性を示す例が提供される。実際、改良された結合のように半直感的に見えるアプローチは、それが要求される場合、特に、ケラチン層の外側又は下の治療が所望される場合に、その場で利用可能であるより少ない遊離活性成分をもたらす。これは、US 2003/0217419によっても確認されており、そこでは、髪上のハイドロフォビンが、数度のシャンプー洗浄に耐える化粧品付着を得ることを可能にすることが記載されている。
【0003】
多くの場合において、薬剤(活性成分)の、患者の体、特に爪のケラチン表面中への及びケラチン表面を介した浸透を改良することが所望され、その結果、製剤学的有効濃度が要求された部位で達せられうる。
【0004】
発明の詳細な説明
しかしながら、驚くべきことに、実際、表面活性タンパク質、例えばハイドロフォビンは、動物又は人体の爪表面を介する活性成分のための浸透増強剤として使用されうることが見出されている。
【0005】
本発明は、従って、第一の実施態様において、患者(動物及びヒトを含む)に、該患者のケラチン表面中へ及び/又はケラチン表面を通して、少なくとも1つの活性成分の予防的又は(特に)治療的有効量の爪を介したデリバリーを達成させる浸透増強剤として、表面活性タンパク質の使用に関し、その際、該使用は、該表面活性タンパク質を、さらに1つ以上の活性成分を含有する医薬品と混合することを含む。
【0006】
第二の実施態様において、本発明は、活性成分と直接接触を要求する場所で、患者における疾患の治療のための医薬品の配合のための表面活性タンパク質の使用に関し、その際該表面活性タンパク質は、患者(動物及びヒトを含む)に、該患者の爪を含むケラチン表面中に及び/又は該ケラチン表面を通して、少なくとも1つの活性成分の予防的又は(特に)治療的有効量の爪を介したデリバリーを達成させるための浸透増強剤として作用する。
【0007】
第三の実施態様において、本発明は、特に治療を必要とする患者(動物及びヒトを含む)に、該患者の爪を含むケラチン表面中に及び/又は該ケラチン表面を通して、少なくとも1つの活性成分の予防的又は(特に)治療的有効量の爪を介したデリバリーを達成させるための浸透増強剤としての表面活性タンパク質を使用する方法に関し、該使用は、該表面活性タンパク質と、医薬品と共に1つ以上の活性成分並びに場合により1つ以上の製剤学的に認容性のキャリヤー及び/又は成分とを混合することを含む。
【0008】
第四の実施態様において、本発明は、少なくとも1つの該活性成分の予防的又は(特に)治療的有効量の爪を介したデリバリーを達成させるための、患者に、該患者の爪を含むケラチン表面中に及び/又は該ケラチン表面を通して、少なくとも1つの活性成分の浸透を高める方法に関し、その際該使用は、該表面活性タンパク質と、医薬品と共に1つ以上の活性成分並びに場合により1つ以上の製剤学的に認容性のキャリヤー及び/又は成分とを混合すること、並びに典型的に前記患者に得られた医薬品を投与することを含む。
【0009】
第五の実施態様において、本発明は、医薬品に関し、その際、表面活性タンパク質の形で、特に浸透増強剤を使用せずにほとんど治療できない、又は全く治療できない患者において使用するために少なくとも1つの製剤学的に活性の成分及び浸透増強剤を含有し、爪中に及び/又は爪を介して、少なくとも1つの他の製剤学的に認容性のキャリヤーと共に該活性成分のデリバリーを増加することを含む。
【0010】
前記第一から第五の実施態様、及び特定の(例えば好ましい)それらの実施態様も、本明細書において、本発明の又は本発明によって製造もしくは使用される医薬品であり、又は医薬品、それらの使用又はそれらの製造である。
【0011】
本発明の又は本発明によって製造もしくは使用される局所的に適用されるべき医薬品は、特に(a)少なくとも1つの(製剤学的な)活性成分及び(b)非刺激性の浸透増強剤を含む。
【0012】
本発明は、特に、爪(又は蹄)を含む動物又は人体のケラチン表面を介した;及びさらにかかるケラチン表面の下の膜、体腔の膜を介した、並びに場合によりあらゆる前記の近くの体組織、器官及び/又は機構中への、活性成分の治療的有効量の高めたデリバリーのための、かかる局所適用された医薬品、それらの使用又はそれらの製造に関する。
【0013】
特定の一実施態様において、本発明は、患者の足指爪及び/又は指の爪において病気にかかった又は感染した爪床、爪母基並びに/又は爪板に対する予防的又は(特に)治療的に有効な少なくとも1つの活性成分の量の高めたデリバリーのための、かかる局所適用された医薬品、それらの製造又はそれらの使用に関し、その際、病気又は感染は、感染症、特に真菌症、より特に爪真菌症;又は炎症、ガン、感染又は変性である。
【0014】
発明の詳細な説明
一般名、記号及び表現は、有利には、好ましい実施態様のための例である本発明の特定の実施態様(側面)を定義するために、本開示において使用された全てのより一般的な表現の1、又は2又はそれ以上に置き換えられてよい、次の定義において与えられた意味を有する。
【0015】
表皮由来の爪は、主に高次ジスルフィド結合したケラチンを含み、かつ角質層より約100倍厚く、従って薬物デリバリーに対するさらにより困難な障壁を提供する。しかしながら、爪の水浸透率は、角質層の水浸透率よりも約10倍高い。一方で、爪は、皮膚の角質層よりも非常に少ない水を有する。
【0016】
爪真菌症は、指の爪又は足指爪の爪板及び爪床のカビ感染であり、かつ50%までの爪疾患の原因である。爪真菌症の罹患率は、成人人口において約6〜8%である。爪真菌症の全ての形において、爪は、様々に変形しかつゆがめられるようになる。爪真菌症は、菌類の3つの主な分類:皮膚真菌、酵母菌、及び非皮膚真菌型によって生じ、かつ治療することが最も困難なカビ感染の1つである。成長するために爪がとる長い期間、爪板の硬さ、及び爪床と爪板との間の感染プロセスの位置は、それらの組織に影響するカビ剤の根絶に干渉する主な要因である。爪真菌症の治療は、大抵、局所抗カビ剤の使用又は口腔治療である。口腔治療は、副作用、例えば肝臓毒を有し、一方で局所治療は、爪板の低い浸透率によって制限される。爪に対する局所薬剤デリバリーは、軟膏、クリーム、ローション、ゲル、スプレー、硬膏、パッチ、包帯等によってであってよい。
【0017】
爪真菌症の薬物治療のターゲティングは、その感染が爪内に含まれるために挑戦的であり、かつヒトの爪の非常に限定された障壁によって到達するのが困難である。爪板は、親水性ゲル膜としてふるまい、かつこの治療タイプの有効性を制限する、局所薬剤の浸透に対する主な障壁である。爪板中に薬物の十分な量を送達するために、薬物に対する爪板の浸透率が高められる必要がある。
【0018】
爪の化学組成物及び試験証拠は、水経路が、爪中への薬物浸透において優位な役割を果たすことを示唆する。水は、爪のための主な可塑剤であるように見える。水和される場合、硬い爪板は、より軟らかくかつより可撓性があるようになる。爪の水和は、多くの要因、例えば溶液のpH及びある化学物質によって影響を受ける。
【0019】
局所的に適用された製剤学的組成物の調合物に対する重大な問題は、その組織が、調合物によって、又はその成分によって損傷を受けない又は刺激されない用に適用されるべきであるその組織と生体適合性があることを確実にしている。これは、特に、浸透増強剤であるべきと知られている多くの局所付形剤が、皮膚及び膜の刺激剤でもあるべきと知られているために、問題である。一般に、浸透増強剤は、2つの大きな群に分けられる(Current medicinal chemistry ISSN 0929−8673:2005, vol. 12, no19, pp.2273−2291を参照):
(i)小さな極性溶剤、例えばエタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、及び
(ii)極性頭基及び疎水性鎖を含有する両親媒性化合物、例えば脂肪酸及びアルコール、1−ドデシルアゼパン−2−オン(Azone)、2−ノニル−1,3−ジオキソラン(SEPA 009)、並びにドデシル−2−ジメチルアミノプロパノエート(DDAIP)。両親媒性化合物は、ケラチン表面上に吸着することも公知であり、かつヘアトリートメントにおいて使用されうる。
【0020】
低沸点溶剤、例えばエタノールは、該溶剤が冒された爪表面から急速に蒸発するような浸透剤としての一時的な活性を有するのみである。極性溶剤は、刺激剤であってもよく、かつ爪板を損傷しうる。かかる浸透増強剤は、爪ケラチンマトリックスの化学改質剤との組合せで使用されてよく、例えば
(a)角質溶媒剤、例えば尿素及びサリチル酸がしばしば軟らかい爪板に使用される。
例えば、サリチル酸、尿素及び塩酸グアニジン、例えば三次構造を破壊してよく、ケラチンにおける二次結合(例えば水素結合)が可能である物質を含み、従って、爪を介した浸透を促進する。
(b)ケラチンにおいてジスルフィド架橋を破壊する作用を及ぼす硫黄を含有する化合物、例えばメルカプタン化合物、スルフィット及びビスルフィット;
(c)本質的にアニオンタイプの界面活性剤が、ケラチンと相互に作用することができることが公知である。
【0021】
爪板の化学的又は身体的な内部環境を変化する増強剤を使用する欠点は、永久的な損傷を生じること、すなわち、そのプロセスが不可逆性であることである。
【0022】
同様の問題は、ケラチン化表面を含む皮膚中への又は皮膚を介した薬物デリバリーに関して存在する。
【0023】
本発明の範囲内で、浸透を高める(すなわち、浸透増強剤として作用する)請求された表面活性タンパク質を含有する医薬品の局所デリバリーは、噴霧によって、又はパッチを介して、及び軟膏、クリーム、ローション、ゲル、スプレー、プラスター、包帯等によって適用されうる。
【0024】
本発明によって含まれる特定の実施態様は、本発明によって適用される抗炎症医薬品、それらの使用又は製造である。抗炎症薬は、鎮痛、解熱、高い投与量で抗炎症作用を有する薬剤である(それらは、痛み、熱及び炎症を低減する)。局所的な抗炎症薬は、柔組織の損傷、捻挫、挫傷及び外傷によって生じた痛みの軽減において有効である。ケトプロフェン、フェルビナク、イブプロフェン及びピロキシカムは、有効性及び他の以下で上げる物を解決する例である。
【0025】
浸透増強剤は、皮膚又は粘膜表面の障壁性を克服する手助けもしてよく、かつ医薬品に添加された活性剤の経皮吸収を容易にする。浸透増強剤に関する代わりの名称は、例えば透過増強剤、吸着促進剤及び加速剤が存在する。
【0026】
皮膚モデルは、しばしば物質の皮膚刺激作用、並びに皮膚吸収及び/又は浸透を試験するために使用される。種々の皮膚モデルと摘出されたヒト及び動物の皮膚との比較(Schmook et al.2001 , Comparison of human skin or epidermis models with human and animal skin in in−vitro percutaneous absorption, Int. J. Pharmaceutics 215, 51−56)は、浸透研究のために使用される化合物に依存し、かつ同等物が、浸透増強剤による浸透率及びそれらの調整を研究するために十分である浸透障壁を提供しうることを示した。
【0027】
浸透増強剤は、角質層における分子と相互に作用して、その浸透性を改質して、治療的に有効な割合でのデリバリーを達成する。かかる浸透増強剤は、薬物での前処置によって、又は附随してもしくは一緒に皮膚に適用されうる。しかしながら、生成物中への浸透増強剤の組み込みは、皮膚膜の健康に関して安全な物によって軽減されている。従って、安全な及び効果的な方法でケラチン障壁を克服することは、未だに経皮性の及び特に爪を介した局所的な治療の障害が残っている。
【0028】
いくつかの有用な浸透増強剤は、非イオン界面活性剤を含有し、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、グリセリルトリオレエート、及びイソプロピルミリステートを含む群から選択される1つ以上を含有する。公知の初期のリストに関しては、("Pharmaceutical Skin Penetration Enhancement", Marcel Dekker, New York 1993, pages 229−24)を参照する。WO 2006/103638 A2は、テルビナフィンの局所配合物中の付形剤としての非イオン界面活性剤を記載しており、かつUS 6455592は、爪を介した抗真菌剤の浸透を高めるための、浸水背浸透剤、すなわちジプロピレングリコールジメチルエーテルを開示している。
【0029】
医薬品において使用される物質としての浸透増強剤は、1組の質的基準を満たす。該浸透増強剤は、毒性;皮膚に対して刺激、アレルギー又は敏感であってならず、かつそれらは、適した浸透作用を及ぼすために要求される濃度で医薬品に不活性であるべきであり、それらの作用は、すぐに、予測して及び可逆的であるべきであり、かつそれらは、医薬品中に容易に組み込まれるべきである。多くの研究されている化学薬品は、ヒトの皮膚上への使用に関して、毒性があり、又は刺激がありすぎる。
【0030】
本発明は、従ってさらに、活性成分(薬剤)の浸透を高めるための共デリバリー、及び浸透の低い割合を有する薬剤と表面活性タンパク質との組合せを提供する。
【0031】
表面活性タンパク質は、有利には、両親媒性を有するタンパク質、特に(特に疎水性又は親水性の)表面上に層を形成することができるタンパク質である。可能なタンパク質の中で、馬の泡汗からのラテリンのようなタンパク質(例えばJ.G. Bealey et al.、Biochem J. 1986 May 1 ; 235(3): 645−650を参照)、ホスホリパーゼC、アミロイド又はアミロイド様タンパク質、例えばアミロイド−β、β−カゼイン、アラサンと言われるアシネトバクター・ラジオレジステンス(Acinetobacter radioresistens)KA53の生物乳化剤、ストレプトマイセス・セリカラー(S. coelicolor)A3(2)及びストレプトマイセス・テンダエ(S. tendae)からのSapB、糖脂質輸送タンパク質、チャプリン(Claassen et al.、Genes Dev. 1714−1726、2003; Elliot et al.、Genes Dev. 17、1727−1740)又は、本発明の特定の実施態様において、通常ハイドロフォビンと言われる分類、特にハイドロフォビン分類1及び/又は分類2からのタンパク質である。
【0032】
ハイドロフォビンは、ナノスケール構造を有する膜中での界面で自己アセンブリする小さな真菌の表面活性タンパク質である。薬剤の局所適用のための浸透増強剤としての表面活性タンパク質、有利にはハイドロフォビンの潜在使用は、以前に記載されていない。
【0033】
本発明による多数の種々のハイドロフォビンの混合物を使用することもできることが理解されるべきである。
【0034】
本発明の記載内容において、"ハイドロフォビン"という用語は、以下に、特に一般構造式(I)
【化1】

[式中、Xは20個の天然アミノ酸(Phe、Leu、Ser、Tyr、Cys、Trp、Pro、His、Gln、Arg、Ile、Met、Thr、Asn、Lys、Val、Ala、Asp、Glu、Gly)のいずれかであってよい]のポリペプチドとして理解されるべきである。ここでXは、同一又は異なってよい。それぞれの場合においてXに隣接する指数は、アミノ酸の数を示し、Cは、システイン、アラニン、セリン、グリシン、メチオニン又はトレオニンであり、その際Cによって示される少なくとも4つのアミノ酸(C1〜C8)はシステインであり、かつ指数n及びmは、それぞれ互いに独立して、0〜500、有利には15〜300の整数である。それらの物質及びそれらの調合物は、例えば最初に挙げられた文献、例えば特にハイドロフォビンの開示に関してここで参照によって含まれる、WO 06/103230又はWO 2006/136607から公知である。
【0035】
1〜C8を示したアミノ酸は、有利にはシステインであるが、該アミノ酸は、同様の立体構造の他のアミノ酸によって、例えばアラニン、セリン、トレオニン、メチオニン又はグリセリンによって置き換えられてもよい。あらゆる事象において、少なくとも4、有利には少なくとも5、特に少なくとも6、及びよりとくに少なくとも7のC1〜C8の位置は、システインからなる。本発明によるタンパク質において、システインは、低減された形で存在し、又は他のものとジスルフィド架橋を形成しうる。特に、架橋の分子内形成、特に少なくとも1つ、有利には2つ、特に有利には3つ及びよりとくに有利には4つの分子内ジスルフィド架橋を有するものが好ましい。前記の同様の立体構造のアミノ酸によるシステインの置換の場合に、他のものと分子内ジスルフィド架橋を形成することができるC位置は、有利には対で置換される。
【0036】
システイン、セリン、アラニン、グリセリン、メチオニン又はトレオニンがXで示された位置においても使用される場合に、一般式における個々のC位置の数は、従って変化しうる。
【0037】
本発明を実施するために、一般式(II)
【化2】

[式中、X、C及びXに隣接する指数は、前記で定義されたものであり、指数n及びmは0〜300の数であり、かつタンパク質は、さらに前記の接触角度における変化によって区別される]のハイドロフォビンの使用が好ましい。
【0038】
特に、式(III)
【化3】

[式中、X、C及びXに隣接する指数は、前記で定義されたものであり、指数n及びmは0〜200の数であり、かつタンパク質は、さらに前記の接触角度における変化によって区別され、かつさらに、Cによって示される少なくとも6つのアミノ酸はシステインである]のハイドロフォビンの使用が好ましい。特に有利には、全てのアミノ酸Cはシステインである。
【0039】
残基Xn及びXmは、ハイドロフォビンに自然に結合もしているペプチド配列であってよい。1つ又は2つの残基は、しかしながら、ハイドロフォビンに自然に結合していないペプチド配列であってもよい。それらは残基Xn及び/又はXmも含む。ハイドロフォビンにおいて自然に生じるペプチド配列が、ハイドロフォビンにおいて自然に生じないペプチド配列によって延長される。
【0040】
例えば、HA*(溶解性タグYaadに連結させたHisタグしたハイドロフォビンDewA、BASFによって供給される;製造に関しては例えばWO 2006/082251を参照)である。
【0041】
本発明によって使用されるタンパク質は、さらに、例えばグリコシル化、アシル化(例えばアセチル化)によって、又は化例えばグルタルジアルデヒドでの学架橋によって、それらのポリペプチド配列において改質されてもよい。
【0042】
本発明によって使用されるタンパク質の性質は、表面がタンパク質で被覆されている場合に、表面特性における変化がある。表面特性における変化は、表面がタンパク質と接触する前に及び接触した後に水滴の接触角度を測定することによって、及び2つの測定の差異を確認することによって試験的に測定されうる。
【0043】
式(I)によるポリペプチド又は本発明によるよりあらゆるハイドロフォビンは、従ってさらに、室温でガラス表面を被覆した後に、それらが、それぞれ、被覆されていないガラス表面での同様のサイズの水滴の接触角度と比較することによって、およそ、通常少なくとも20°の、他の発明の実施態様において少なくとも25°、他の発明の実施態様において少なくとも30℃、及びさらに他の発明の実施態様において35°、例えば35〜65°の水滴の接触角度における増加をもたらす特性によって特徴づけられる。接触角度の測定のための方法は、当業者に公知である。例えば、前記接触角度は、ガラス(Sueddeutsche Glasからの窓ガラス、Mannheim、Germany)上で測定され、試験されるべきハイドロフォビンの100μg/mlの濃度を使用して、80℃で、水中で0.1%Tween20を有するpH4の酢酸ナトリウム50ml中でインキュベートし、被覆後に蒸留水で洗浄し、そして10分間80℃で蒸留水中で1%ナトリウムドデシルスルフェート溶液中でインキュベートし、続いて蒸留水で洗浄してよい。試料を空気中で乾燥し、液滴又は50μlの接触角度(程度)を測定する。接触角度の測定を、製造説明書によるDataphysics Contact Angle System OA 15+、Software SCA20.2.0 (Nov. 2002)に対して実施する。
【0044】
本発明の実施のために適したハイドロフォビンは、例えば、WO 06/103230又はWO 2006/13660のものであり、特にハイドロフォビンのその開示に関して参照を持って本明細書に組込まれたものとする。それらは、それらの一部のみ又は誘導体であってもよい。他の1つと結合されるべき、及びハイドロフォビンに自然に結合していない、対応する適したポリペプチド配列と結合されるべき同一又は異なる構造の多数の、有利には2又は3のハイドロフォビンのためにも可能である。少なくとも水滴の接触角度における増加のそれらの特性を、又はより明確に、実施例において記載されている方法によってケラチン化表面を介した浸透を高めるためのそれらの特性を維持することが重要である。
【0045】
ハイドロフォビンの製造は、遺伝子工学法により実施されてもよく、この場合に核酸配列、特にDNA配列であって本発明の意味合いにおけるハイドロフォビンをコードするものが宿主生物中に挿入されて、この核酸配列の遺伝子発現により所望のタンパク質が生産される。この遺伝子発現は、異種(heterologous)又は同種(homologous)の宿主株いずれかの中で実施されることができる。かかる方法は、主に当業者に公知であり、例えばWO 06/082251において開示されている。
【0046】
組み換えハイドロフォビンを製造することが可能である。
【0047】
調合物の該方法のための適した宿主生物(生成生物)は、原核生物(古細菌を含む)又は真核生物、特にハロバクリア及メタノコックスを含むバクテリア、真菌、昆虫細胞、植物細胞及び哺乳動物細胞、特に有利には大腸菌、バチリス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチリス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzea)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、シュードモナス種、乳酸桿菌、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、トリコデルマ・リーゼイ、SF9(及び関連する細胞)であってよい。
【0048】
生成されたタンパク質は、融合タンパク質の形で直接使用されるか、又は融合相手を分離又は除去した後に、"純粋"なハイドロフォビンの形で使用されうる。
【0049】
前記ハイドロフォビンは、グリコシル化もしくはアシル化、又は遺伝子工学法による他の改質された形で、適した宿主系(例えば真核生物起源)を使用して得られてもよい。
【0050】
代わりに又はさらに、自然に生じたハイドロフォビンは、適した方法によって天然源から単離される。Wosten et. al., Eur.J Cell Bio.63, 122−129 (1994)又はWO 96/41882に例示の方法を参照。
【0051】
天然源から単離されたハイドロフォビンの中では、分類Iに属するもの、例えばスエヒロタケからのCFTH1、SC4、ABH3、EAS,又は(特定の実施態様において)SC3、又はトリコデルマ・リーゼイ(新名:ハイポクレア・ジェコリナ)からのHBF IIが挙げられ、並びに分類IIに属するもの、例えばHFBII、トリコデルマ・リーゼイ(受入番号P79073[GenBank]);HFBIトリコデルマ・リーゼイ(受入番号P52754[GenBank]);SRHI、トリコデルマ・ハルツイアヌム(Trichoderma harzianum)(受入番号Y11841[GenBank]);トリコデルマ・ハルツイアヌム(受入番号P52755[GenBank]);TRI1、TRI2、及びTRI3、TH1クラビセプス・フシホルミス(Claviceps fusiformis)(受入番号Q9UVI4)の3つのセグメント;CPPHI_1、CPPH1_2、CPPH_3、CPPH_4、及びCPPH_5、cpph1クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)(受入番号AJ418045[GenBank])の5つのセグメント;CRYPA、Cryparinクリホネクトリア・パラジチカ(Cryphonectria parasitica)(受入番号P52753[GenBank]);CU、Cerato−ulmin オプヒオストマ・ウルミ(Ophiostoma ulmi)(受入番号Q06153[GenBank]);MAG、Magnaporin マグナポリス・グリセア(Magnaporthe grisea)(受入番号AF126872[GenBank]);HCF5、クラドスプリウム・フルブム(Cladosporium fulvum)AJ133703[GenBank];HCF6、C.fulvum(受入番号CAC27408[GenBank](例えばWosten、Han A.B.:Hydrophobins:Multipurpose Proteins、Annual Review of Microbiology、Publication Date:01−JAN−01 ; Wessels J. G. H. (1994) Annu. Rev. Phytopathol 32:413−437; Wosten H. A. B. (2001) Annu. Rev. Microbiol 55:625−646を参照;及びそれぞれ本明細書で挙げられたものを参照)が挙げられてよい。SC3の単離のために、例えばWessels、J. G. H. (1997) Advances in Microbial Physiology 38、1− 45; Wosten、H. A. B.、de Vries、O. M. H.、and Wessels、J. G. H. (1993) Plant Cell 5、1567−74; Lugones、L. G.、Wosten、H. A. B.、及びWessels、J. G. H. (1998) Microbiology 144(Pt 8)、2345−53を参照する。トリコデルマ・リーゼイのハイドロフォビンHFBIIの単離のために、Nakari−Setala、T.、Aro、N.、llmen、M.、Kalkkinen、N. and Penttila、M. 1997、Differential expression of the vegetative and spore−bound hydrophobins of Tricoderma reesei、Cloning and characterization of the hfb2 (for HFB22) gene. Eur. J. Biochem. 248、pp.415−423を参照する。
【0052】
可能な好ましい組換えハイドロフォビンは、HA*(溶解性タグYaadに連結させたHisタグしたハイドロフォビンDewA、BASFによって供給される;製造に関しては例えばWO 2006/082251を参照)である。
【0053】
"少なくとも1つの活性成分の予防的又は(特に)治療的に有効な量の(例えば、経皮、真皮、膜内外、筋骨格、爪を介した、爪周囲を介した及び/又は爪周囲を経由した)デリバリーを達せさせる浸透増強剤"は、特に、表面活性タンパク質の存在が、表面活性タンパク質を有さない別法の同一の組成物で達成されるよりも、時間ごとのケラチン化表面を通過する活性成分のより高い濃度及び/又は活性成分のより多い量を導くことを意味する。これは、例えば以下の実施例において記載されている方法によって測定されうる。
【0054】
"有効"は、使用される場合に、予防的及び/又は治療的、有利には治療的活性を意味する。
【0055】
予防的効果は、特に、少なくとも1つの活性成分が、該少なくとも1つの活性成分の存在なしの状態と比較して、疾患又は疾病の形成を妨げる又は遅延することを意味する。
【0056】
治療的効果は、少なくとも1つの活性成分が、特に、疾病もしくは疾患の1つ以上のもしくは全ての症状を減らし、又は部分的なもしくは完全な治癒でさえも導くことを意味する。
【0057】
患者は、動物、例えば爬虫類もしくは鳥類、又は特に哺乳動物、例えばヒトであってよい。
【0058】
"ケラチン化表面"として、特に爪及び隣接皮膚が挙げられ、より有利には爪である。"爪"は、獣医学の予防及び治療において蹄を含む。
【0059】
少なくとも1つの活性成分は、例えば、抗生物質、例えば抗菌剤(例えば、アミノグリコシド抗生物質、例えばストレプトマイシン、フラマイセチン、パロマイシンのカナマイシン、セファロスポリン、例えばセファロリジン、セホジジム、セホキシチン又はセファクロル、クロラムフェニコール、例えばホスホマイシン、リンコマイシン抗生物質、例えばクリンダマイシン、マクロライド抗生物質、例えばエリスロマイシン、ペニシリン抗生物質、例えばアモキシシリン又はアンピシリン、ポリペプチド抗生物質、例えばアムホマイキシン、バシトラシン又はチロスリシン、グリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシン、テトラサイクリン、例えばクロロテトラサイクリン又はドキシサイクリン、ステロイド抗生物質、例えばフシジン酸、又はヌクレオシド代謝拮抗物質)、抗ウィルス(例えばインターフェロン、環状アミン、例えばアマンチジン、チオセミカルバゾン、例えばメチサゾン、ビグアニド、例えばモロキシジン、又はヌクレオシド代謝拮抗物質、例えばイドクスウリジン又はジドブジン)、又は(特に爪の治療のための)抗真菌剤(抗カビ剤)、例えばアンホテリシンB、ニスタチン、グリセオフルビン、エコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、フルコナゾール、トルナフテート、トルシクラート、アモロルフィン、クロコナゾール、フェンチコナゾール、オモコナゾール、セルタコナゾール、ナフチフィン、テルビナフィン、ウンデシレン酸も(例えばZn塩として)、サリチル酸、シアン化カリウム、フェノール、アルデヒド、トリフェニルメタン染料、スルフル、サルファ)、例えば爪の爪真菌症に対する活性から;抗炎症薬(例えば非ステロイドの抗炎症薬又はグリココルチコイド等)、抗リウマチ(例えば抗リウマチ症又は治療に基づく)、鎮痛薬(特に、皮膚を介した治療の場合において、例えば周囲鎮痛薬、例えばアニリン誘導体、例えばパラセタモール、アントラニル酸誘導体、例えばフルフェナム酸、メフェナム酸又はニフルム酸、フェニルアルキル酸誘導体、例えばアセメタシン、インドメタシン、イブプロフェン、フェルビナク、ケトプロフェン又はナプロキセン、オキシカム、例えばテノキシカム又はピロキシカム、ピラゾール誘導体、例えばフェナゾール又はメタミゾール、サリチル酸誘導体、例えばサリチルアミド、アセチルサリチル酸又はジフルニサル)、解熱剤及び、特に高い投与量での、痛み、熱及び/又は炎症を低減する抗炎症成分;局所抗炎症薬は、柔組織の損傷、捻挫、挫傷及び外傷によって生じた痛みの軽減において有効である;抗乾癬、例えば、グルココルチコイド、例えばフルチカゾン又はモメタゾン、角質溶解薬、例えばサリチル酸、ビタミンD類似体、例えばカルシポトリオール又はタカルシトール、メトトレキサート、レチノイド又はシクロスポリンA、増殖抑制剤、例えばアンチメラノーマ剤、例えば化学療法剤又は抗体、それぞれ、アクネに対する治療又は予防、例えばレチノイド、例えばアリトレチノイン、イソトレチノイン又はトレチノイン、エリスロマイシン、クリンダマイシン又はアゼライン酸、テトラサイクリン、抗脂漏薬、例えば抗アンドロゲン物質、例えば酢酸シプロテロン、又はエストロゲン、例えばメストラノール、内因性又は外因性湿疹、例えばアトピー性湿疹又はトピック湿疹に対する作用剤、例えば抗ヒスタミン、グルココルチコイド、ベンゾジアゼピン、抗アレルギー剤等、又は特に目の場合において、コンタクト又は特に結膜炎に対する作用剤、例えば抗アレルギー剤から選択されうる。
【0060】
活性成分との直接接触を要求する位置は、例えば、爪の場合において、患者の足指爪及び/又は指の爪において爪自体もしくは爪のすぐ周り、例えば爪床、爪母基、及び/又は爪板、又は動物の場合において、患者の鉤爪又は蹄等であってよい。
【0061】
"処置の要求において"(治療という用語が予防又は(有利には)治療的処置の双方を含む場合に)は、特に、患者が、予防的(例えば疾病又は疾患の発生に対して予期された又は公知の罹病性の点で)又は治療的(疾病又は疾患、例えば少なくとも1つのその症状の攻撃後)に、患者の健康状態を維持又は改善するための処置を要求することを意味する。
【0062】
本発明又は本発明の実施態様によって使用される又は製造される医薬品は、特に、局所調合物、例えば軟膏、チンキ、クリーム(O/Wエマルション)、リッチクリーム(W/Oエマルション)、ローション、泡、ゲル、例えばヒドロゲル又はリポゲル、ペースト、スプレー、固体エアロゾル、シャンプー、石鹸、プラスター、パッチ、包帯、溶液、エマルション、懸濁液等を意味し、所望される場合に、経皮的系のための適用、例えばマスク、圧迫ガーゼ、パッドを含む。実際に、局所的に適用されうるあらゆる通常の組成物は、本発明において有用であってよい。
【0063】
前記の局所調合物の製造において、さらに局所調合物の製剤学的配合の当業者に通常の添加剤、例えば防腐剤、増粘剤及び/又は香料等を含有する付形剤及び/又はキャリヤー材料が使用されうる。さらに、通常の抗酸化剤又は通常の抗酸化剤の混合物が、前記活性剤を含有する局所調合物中に組み込まれてよい。それらの調合物中に使用されてよい通常の抗酸化剤の中には、N−メチル−α−トコフェロールアミン、トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、エトキシキンなどである。本発明に従って使用される活性剤を含有するクリームを基礎とする医薬品は、脂肪酸アルコール、半固体石油炭化水素、エチレングリコール及び乳化剤からなる。
【0064】
少なくとも1つの活性剤、及び本発明による表面活性タンパク質を含有する軟膏調合物は、半固体石油炭化水素の混合物と活性材料の溶剤分散液との混合物を含む。本発明において使用するための活性成分を含有するクリーム組成物は、有利には、湿潤剤の水相、粘度安定剤及び水、脂肪酸アルコールの油相、半固体石油炭化水素及び乳化剤、並びに水性安定剤−緩衝液で分散させた活性剤から形成されたエマルションを含む。安定剤は、局所調合物に添加されてよい。あらゆる通常の安定剤が、本発明によって使用されうる。脂肪酸アルコールは、安定剤としての機能を構成している。該脂肪酸成分は、少なくとも14個の炭素原子を含有する長鎖飽和脂肪酸の還元から由来する。また、一般に髪のための局所調合物において使用される通常の香料及びローションは、本発明によって使用されうる。さらに、所望される場合に、通常の乳化剤が、本発明の局所調合物において使用されうる。代わりに、標準ゲルキャリヤーを使用するゲルが使用されてよい。
【0065】
クリームは、50%より多い水を含有する水中油系エマルションでる。油性基剤として、特に、脂肪族アルコール、例えばラウリルアルコール、セチルアルコール又はステアリルアルコール、脂肪酸、例えばパルミチン酸又はステアリン酸、固体蝋に対する液体、例えばイソプロピルミリステート、羊毛脂、又は蜜蝋、及び/又は炭化水素、例えばワセリン(ペトロラタム)又はパラフィン油がある。好適な乳化剤は、主に親水性を有する表面活性物質、例えば非イオン乳化剤、例えばポリアルコールの脂肪酸エステル又はそれらのエチレンオキシド付加物、例えばポリグリセリン酸脂肪酸エステル又はポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレン脂肪族アルコールエステル又は脂肪酸エステル、又は対応するイオン乳化剤、例えば脂肪族アルコール界面活性剤のアルカリ金属塩、例えば大抵脂肪族アルコール、例えばセチルアルコール又はステアリルアルコールの存在で使用されるナトリウムラウリルスルフェート、ナトリウムセチルスルフェート又はナトリウムステアリルスルフェートである。水性相への添加は、特に、クリーム、例えばポリアルコール、例えばグリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール及び/又はポリエチレングリコールの乾燥を低減する作用剤、防腐剤、及び香料である。
【0066】
ペーストは、分泌−吸収粉末構成成分、例えば金属酸化物、例えば酸化チタン又は酸化亜鉛、タルク及び/又はケイ酸アルミニウムを有するクリーム及び湿潤剤であり、その目的は、あらゆる存在する湿分又は分泌物を結合するためである。
【0067】
泡は、加圧された容器から投与され、かつエアロゾル形での液体水中油型エマルションであり、その際それらは、炭化水素をハロゲン化させる推進薬、例えばクロロ−フルオロ−低級アルカン、例えばジクロロジフルオロメタン及びジクロロテトラフルオロエタン、又は有利には非ハロゲン化ガス状炭化水素、空気、N2O又は二酸化炭素として使用される。油相として、特に、前記の軟膏及びクリーム下で使用される油相、同様に前記の添加剤が使用される。
【0068】
チンキ及び溶液は、一般に、水性エタノールベースであり、所望の場合に、蒸発を低減するための湿潤剤として、特にポリアルコール、例えばグリセロール、グリコール及び/又はポリエチレングリコール、並びにエタノールによって皮膚から除去される脂肪物質のための代替品として、脂肪回復物質、例えば耐分子量ポリエチレングリコールを有する脂肪酸エステル、すなわち水性混合物中に可溶性である親油性物質、並びに必要な場合に、他の付形剤及び添加剤が添加される。
【0069】
湿潤剤は、例えば多価アルコール、特にジオール又はトリオール、例えばペンタンジオール、例えば1,2−ペンタンジオールが存在してよい。
【0070】
pH調節剤も、例えばpHを有利には4.5〜6.0の範囲で、より有利には4.8〜5.5で、20〜25℃で維持することも可能である。
【0071】
本発明による局所投与のための医薬品は、前記活性成分と、通常かかる調合物において使用される非毒性の、治療的に不活性の固体又は液体キャリヤーと混合することによって製造されうる。前記調合物は、有利には、組成物の全質量に対して、活性成分の、0.1〜30質量%、特に0.1〜10.0質量%、有利には0.3〜8.0質量%を含有する。
【0072】
前記表面活性タンパク質は、有利には、一般に、本発明によって、医薬品0.001〜5質量%、例えば0.01〜2質量%、例えば0.02〜1質量%又は1〜5質量%の量で使用(添加)され/存在する。既に、本発明によって使用され/存在する表面活性タンパク質の活性を高めた高い浸透を示す非常に低い量が、十分である。
【0073】
残りは、キャリヤー材料及び/又は他の添加剤を含有する1つ以上の製剤学的に認容性の付形剤、例えば前記のような物であってよい。
【0074】
適用されるべき投与量は、前記位置及び治療されるべき疾患又は障害に依存する−例えば、0.1〜50mgの量が、1回又は数回、例えば1日3回まで、接触されるべき範囲のcm2ごとに適用されてよい。適用された投与量は、治療されるべき患者の種族、サイズ、性、体重及び他の特定の特徴によっても変動してよい。
【0075】
局所的な医薬品の配合(製造)は、かかる局所調合物を得るための、例えば成分を混合するための標準方法を含む。少なくとも1つの表面活性タンパク質及び少なくとも1つの活性成分は、混合物に添加され、又は混合され、必ずしもさらなる製剤学的キャリヤー又は付形剤が、存在する必要がないが、1つ以上のかかるキャリヤー材料又は付形剤が、最終生成物を得るためにも添加されてよいことを意味する。成分の添加の順序は、大抵重要であり、その際有利な順序は、当業者に公知であり、又は簡単に導き出せる。
【0076】
局所投与は、例えば爪である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】A、試験管内での皮膚モデルを介したカフェイン浸透の相対的な増大を示す図;B、維持媒体におけるカフェイン回収の絶対値を示す図。
【図2】爪を介して浸透したテルビナフィン(Terbinafine)の累加平均量を示す図(実施例1a)。
【0078】
省略形:
w/w 質量比として示される百分率又は量
v/v 体積ごとの百分率又は量
w/v 体積あたりの質量による百分率又は量(液相の密度が1g/mlである場合のw/wと同一)。
【0079】
以下の実施例は、本発明を、その範疇を制限することなく説明するために提供する。
【0080】
ハイドロフォビンの製造
一般的手順**
ハイドロフォビンの製造_/**
スエヒロタケ(SC3)からの分類Iハイドロフォビン及びトリコデルマ・リーゼイ(HFBII)からの分類IIハイドロフォビンを、本発明の目的のために使用した。該ハイドロフォビンに関するタンパク質配列を、NCBI/Gene Bank:SC3,:受入番号P16933(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=protein&val=1710860);HFB II:受入番号CAA72636(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/1903325)から得た。
【0081】
アミノ酸配列を核酸配列に翻訳した。大腸菌(E. coli)に向けたコドン利用の最適化後に、このcDNAsを合成した(Sloning BioTechnology, Pucheim, ドイツ国)。ハイドロフォビンの拡散配列を、T7−RNA−ポリメラーゼを有するpETベクター中にクローンし、そして当業者に公知の方法(Sambrook, et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989); Maniatis et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual (1982); DNA Cloning:A Practical Approach, vol. I & II (D. Glover, ed.))で、発現宿主の大腸菌BL21中に形質転換した。
【0082】
前記の最適化したハイドロフォビンcDNAを含有する発現ベクターで形質転換した大腸菌BL21(DE3)の発酵を、10リットルの規模において16時間ZYM−5052培地(25mM Na2HPO4、25mM KH2PO4、50mM NH4Cl、5mM Na2SO4、20mM MgSO4、5g/l グリセロール、0.5g/l グルコース、2g/l アルファ−ラクトース一水和物、5g/l 酵母エキス、及び10g/l NZ−アミン(Sigma社から購入)を用いて、100μg/mlアンピシリン又は25μg/mlカナマイシンそれぞれの存在下で実施した。このバイオマスの回収後に、この沈殿した細胞を液体窒素中で凍結させ、−80℃で貯蔵した。沈殿した細胞の解凍したアリコートの超音波処理後に、この放出された封入体を、30秒間のこの細胞ホモジェナートの沸騰により可溶化させ、かつ、2h600rpmで20℃で撹拌した。
【0083】
細胞デブリを、10分間の遠心分離により沈殿させ、このタンパク質含有上清を0.22μmを有するフィルターを通じて透過させた。この濾過物をニッケルセファロース(GE Healthcare)に対するアフィニティクロマトグラフィにより分離し、この溶出した分画をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析した。このハイドロフォビン含有分画を蓄積し、引き続きこのハイドロフォビン含有溶液を10kDaのカットオフ膜を有するSlide−A−Lyzer (Pierce)中で透析により水に対して脱塩する(16時間にわたる3リットルの水中の30mlの溶出物)。このタンパク質濃度をBCAアッセイ(Pierce)を用いて決定する。このハイドロフォビン溶液を液体窒素中で迅速凍結させ、凍結乾燥した。
【0084】
実施例1−爪での浸透率の研究
調合物及び緩衝液の製造
1つの増強剤、トリコデルマ・リーゼイのHFBII(Nakari−Setala, T., Aro, N., llmen, M., Kalkkinen, N. and Penttila, M. 1997, Differential expression of the vegetative and spore−bound hydrophobins of Tricoderma reesei, Cloning and characterization of the hfb2 gene. Eur. J. Biochem. 248, pp.415−423を参照して単離)、H*A(溶解性タグYaadに融合させたHisタグしたハイドロフォビンDewA、BASFによって提供される;WO 2006/082251を参照して製造)、及び対象の活性成分としてのカフェイン、並びに水を、純水の代わりに水中で20%(v/v)エタノールを含有する同様の調合物に対して評価した。エタノールは、水中でほとんど溶けない物質のためのポテンシャル溶剤であり、かつ微生物成長を妨げるために、良好な又は同様の浸透性が所望される。浸透性試験のために、それぞれの増強剤を、溶剤として水を含有する調合物中で、及び並行して溶剤として水中で20%(v/v)エタノールを含有する調合物中で使用した。それぞれ、増強剤の濃度は、1%(w/v)のドクセートナトリウム塩を除いて5%(w/v又はv/v)であり、ハイドロフォビン0.02〜0.1%であった。全ての調合物は、対象の活性成分として、2%(w/v)の濃度でカフェインを含んだ。このカフェイン濃度に関して、この溶液はほぼ飽和していた。これは、勾配が可能な最も高い濃度によってより早く定常状態に達することを意図していた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、pH7.4で製造した。pH及びpBSのオスモル濃度の双方は、フランツ型拡散セル(Franz Diffusion Cell)の受容容器において、血液の生理学的状態を模擬実験した(全身の緩衝液系)。調合物のために使用した水及びPBSを、新たに製造し、二重蒸留及び濾過した。
【0085】
浸透研究
浸透試験のための健康な爪を、Institute of Anatomy of the University of Baselから、及びInstitute of Anatomy of the University of Freiburg, Germanyから得た。0.785cm2の拡散範囲を有するフランツ型拡散セル(SES GmbH−Analysesysteme, Bechenheim, Germany)を使用した。爪を、PBS中で1時間爪を浸すことによって完全に水和し、そして直径16mmを有する金属孔あけ機で切断した。続いて、その爪を、適した方法で拡散セル中に乗せた。爪の下のその受容容器を、PBS5mlで満たした。調合物(400μl)をその爪上に適用した。系統定数における温度を維持するために、ガラスセルを、32℃で保った水ジャケットによって調整した。その受容容器を、磁気攪拌機で400rpmで撹拌した。調合物のための開口部及び試料を取るための延長部を、パラフィルム(パラフィン蝋及びポリエチレンを含むフィルム、American National Can Company,USA)で覆った。試料400μlを、それぞれのセルから1日2回取り、そして同量の32℃に暖めたPBSに置き換えた。6日後に、試験を止めた。試料の濃度は、UV分光光度計で測定した。フラックス及び浸透計数を、48時間後の値で毛伊勢因子、この時間で定常状態とした。
【0086】
【表1】

増大要因は、純水又は水中で20%EtOHでの調整と比較して、固定した爪板を介したカフェインの促進された浸透を意味する。
【0087】
実施例1a−爪での浸透率の研究
他の浸透研究を、テルビナフィンを活性剤として使用したことを除いて実施例1と同様の試験構成に従って、前記の分類Iハイドロフォビン(ハイドロフォビンC)を使用して実施した。
【0088】
調合物:60%(v/v)エタノール/水溶液中で0.1%(w/v)ハイドロフォビン+10%(w/v)テルビナフィン;対照は60%(v/v)エタノール/水溶液中で10%(w/v)テルビナフィンの溶液である。3試料の処理を、それぞれの試験に関して平均した。結果(図2において示される)は、処理2〜10日後のハイドロフォビンによる明らかな増大を示す(10日後の蓄積量:対照溶液のみを使用した約83mg/cm2、及び約12mg/cm2)。
【0089】
実施例2(比較):皮膚での浸透率の研究
皮膚を介したカフェインの浸透を、ヒト表皮皮膚モデル(EST−1000,Cell Systems,St. Katharinen,Germany)を使用して測定した。ヒトの皮膚のための試験管内モデルは、14日間育て、かつ皮膚のような特性を有する強健な多層三次元細胞培養液からなる。EST−1000の細胞培養液を、基底膜を示す天然表皮、増殖ケラチノサイト及び無傷の障壁機能を有する角質層に類似する。
【0090】
その組織を、表面積0.63cm2及び孔サイズ0.4μmを有するポリカーボネート膜を有する細胞培養液インサート中へ提供した。前記膜を、細胞で完全に覆い、完全な分化後に無光沢の白色、乾燥した表面を示した。インサートを、無菌の鉗子の使用によって簡単に処理した。デリバリーの際に、皮膚インサートを、維持媒体1mlを含む6ウェル細胞培養皿のウェル中にそれぞれインサートを置くことによって平衡させた(Cell Systemsによって提供される)。平衡の4〜12時間後に、試験物質を、皮膚モデルの乾燥表面に適用した。皮膚モデルを介した皮膚培養物の表面上に適用された物質の浸透を、インサートを覆っている媒体のサンプリング、及び試験物質、この場合カフェインの濃度を検出することによって測定した。
【0091】
皮膚を介したカフェインの透過性を高めるためのハイドロフォビンの能力を試験するために、次の実験構成を選択した。カフェインを、Sigma社から購入し、そして10mg/ml(1%w/v)の濃度で適用した。SC3は、スエヒロタケからの112個のアミノ酸のハイドロフォビンであり、ATCC44200及びHBF II(図においてHBF2と名付けられるは、トリコデルマ・リーゼイ(新たな名前:ハイポクレア・ジェコリナ)ATCC 90557からの86個のアミノ酸のハイドロフォビンである。
【0092】
実験構成
対照:未処理の皮膚モデルへの50%EtOH/PBS中で1%カフェイン50μlの適用。
前被覆:それぞれ60分間、50μlの100μg/ml SC3又はHBF IIでの皮膚培養液の前処理、続いて、残っているハイドロフォビン溶液の除去、及び50%EtOH/PBS中での1%カフェイン50μlの適用。
混合物:それぞれ100μg/ml SC3又はHBF II、及び50%EtOH/PBS中での1%カフェインの混合物の適用、並びに皮膚モデル上への該混合物の50μlの適用。
【0093】
37℃及び5%CO2での細胞培養インキュベーター中でのインキュベーションの48時間以内に、媒体100μlを、それぞれのウェルから異なる間隔(表2及び図1において示される)でサンプリングし、そしてカフェインの濃度を、HPLC検出器で測定した。それぞれのサンプリングでの媒体移動を、100μlの新しい媒体に置き換えた。表2において示されるような維持媒体中でのカフェイン濃度は、それぞれ2つの独立した皮膚培養液の値を意味する。
【0094】
皮膚培養液の試験試料の細胞毒性を、皮膚モデル提供者の指示によってMTTアッセイによって測定した。皮膚モデルにおける細胞の生存度は、PBSのみで処理した培養液と比較して、溶剤(50%エタノール、0.002%SDS)に影響しなかった。対照培養液の約50%の生存度を、1%カフェイン又は1%カフェイン/ハイドロフォビン10g(SC3又はHFB II、それぞれ)が、皮膚培養液上に適用される場合に、ハイドロフォビン自体が200μg/mlの濃度で毒性ではないことを示すことを観察した。皮膚モデルの障壁機能は、上層のケラチノサイトが生きた細胞を含まないために、おそらく低減された細胞の生存度によって大いに影響を受けない。さらに、浸透の増強を、1%カフェインで処理した皮膚培養液と、1%カフェイン及びハイドロフォビン10μgで処理した培養液との比較によって測定し、双方は、試験の終わりで、48時間後に測定した同様の生存度を呈した。
【0095】
その結果は、SC3及びHFB IIの双方が、21.5%までだけのヒトの皮膚の試験管内モデルによってカフェイン(1% w/v)の浸透を高めることを示す(表2)。ハイドロフォビンとカフェインの混合物は、浸透増強剤としてのハイドロフォビンとの混合物中で皮膚に有効な薬剤の潜在調合物に有利である、ハイドロフォビンでの前被覆及びハイドロフォビンの適用の1時間後にカフェインの適用よりも優れた効果を高める浸透を有する。分類IIハイドロフォビンHFB IIは、分類IハイドロフォビンSC3よりも浸透増強の点でわずかにより効果がある。
【0096】
【表2】

【0097】
より詳細に示している図1A及び図1Bも参照する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(動物及びヒトを含む)に、該患者の爪中へ及び/又は爪を介して、少なくとも1つの活性成分の予防的又は(特に)治療的有効量の爪を介したデリバリーを達成させる浸透相乗剤としての、表面活性タンパク質の使用において、該表面活性タンパク質と、さらに1つ以上の活性成分を含有する医薬品とを混合することを含む使用。
【請求項2】
前記表面活性タンパク質が、泡汗、ホスホリパーゼC、アミロイド又はアミロイド様タンパク質、アラサン、SapB、糖脂質輸送タンパク質、チャプリンもしくはタンパク質、又はハイドロフォビンの分類、特にハイドロフォビンの分類1及び/又は分類2から選択されるタンパク質の混合物からなる群から選択される1つ以上のタンパク質である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記表面活性タンパク質が、未改質又はグリコシル化、アセチル化又は架橋されていてよい、天然又は組換えハイドロフォビンから選択される1つ以上のタンパク質である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記表面活性タンパク質が、一般構造式(I)
【化1】

[式中、Xは20個の天然アミノ酸Phe、Leu、Ser、Tyr、Cys、Trp、Pro、His、Gln、Arg、Ile、Met、Thr、Asn、Lys、Val、Ala、Asp、Glu、Glyのいずれかであってよく、Xは、同一又は異なってよく、それぞれの場合においてXに隣接する指数は、アミノ酸の数を示し、Cは、システイン、アラニン、セリン、グリシン、メチオニン又はトレオニンであり、その際Cによって示される少なくとも4つのアミノ酸(C1〜C8)はシステインであり、かつ指数n及びmは、それぞれ互いに独立して、0〜500、有利には15〜300、さらに有利には15〜200の整数である]のポリペプチドから選択される1つ以上のタンパク質である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
1〜C8で示された前記アミノ酸が、システインである、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記ハイドロフォビンが、分類Iに属するもの、特にスエヒロタケからのCFTH1、SC4、ABH3、EASもしくはSC3、又は分類IIに属するもの、特にHFBII、HFBI、SRHI、QID3、TRI1、TRI2、及びTRI3、TH1の3つのセグメント、CPPHI_1、CPPH1_2、CPPH_3、CPPH_4、及びCPPH_5、cpph1の5つのセグメント、CRYPA、CU、MAG、HCF5、HCF6からなる群から選択される、請求項2から5までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記少なくとも1つの活性成分が、抗生物質、特に抗真菌剤、抗ウィルス剤又は特に抗真菌剤、例えばアンホテリシンB、ニスタチン、グリセオフルビン、エコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、フルコナゾール、トルナフテート、トルシクラート、アモロルフィン、クロコナゾール、フェンチコナゾール、オモコナゾール、セルタコナゾール、ナフチフィン、テルビナフィン、ウンデシレン酸も(例えばZn塩として)、サリチル酸、シアン化カリウム、フェノール、アルデヒド、トリフェニルメタン染料、スルフル、サルファ)、例えば爪の爪真菌症に対する活性からなる群から選択される1つ以上;抗炎症薬、抗リウマチ薬、鎮痛薬、解熱剤、抗炎症成分、角質溶解薬、増殖抑制剤、アクネに対する治療又は予防、内因性又は外因性湿疹に対する作用剤から選択される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
爪の治療のための組成物における、請求項1から7までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記表面活性タンパク質が、医薬品の質量に対して、0.001〜5%の量で組成物に添加される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記表面活性タンパク質が、室温でガラス表面を被覆した後に、それぞれ、覆されていないガラス表面での同様のサイズの水滴の接触角度と比較することによって、通常少なくとも20°の、例えば少なくとも25°、例えば少なくとも30℃、例えば少なくとも35°、例えば35〜65°の水滴の接触角度における増加をもたらす特性を有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
特に治療を必要とする患者に、該患者の爪中に及び/又は爪を介して、少なくとも1つの活性成分の予防的又は治療的有効量の爪を介したデリバリーを達成させるための浸透増強剤としての表面活性タンパク質を使用する方法において、該使用が、該表面活性タンパク質と、医薬品と共に1つ以上の活性成分並びに場合により1つ以上の製剤学的に認容性のキャリヤー及び/又は成分とを混合することを含み、有利には請求項1から10までのいずれか1項に記載の使用を含む、方法。
【請求項12】
少なくとも1つの該活性成分の予防的又は治療的有効量の爪を介したデリバリーを達成させるための、患者に、該患者の爪中に及び/又は爪を介して、少なくとも1つの活性成分の浸透を高める方法において、その際該使用が、有利には請求項11に記載の、該表面活性タンパク質と、医薬品と共に1つ以上の活性成分並びに場合により1つ以上の製剤学的に認容性のキャリヤー及び/又は成分とを混合すること、並びに該患者に得られた医薬品を局所投与することを含む、方法。
【請求項13】
特に浸透増強剤を使用せずにほとんど治療できない、又は全く治療できない患者において使用するための、少なくとも1つの製剤学的活性成分、及び医薬品の質量に対して0.001〜5%の表面活性タンパク質の形での浸透増強剤を含有し、爪表面中に及び/又は爪表面を介して、少なくとも1つの他の製剤学的に認容性のキャリヤーと共に該活性成分のデリバリーを増加することを含む医薬品であって、その際活性成分及び/又は表面活性タンパク質が、有利には請求項1から11までのいずれか1項において定義されている、医薬品。
【請求項14】
特に浸透増強剤を使用せずにほとんど治療できない、又は全く治療できない患者において使用するために、爪表面中に及び/又は爪表面を介して、少なくとも1つの他の製剤学的に認容性のキャリヤーと共に少なくとも1つの製剤学的に活性のある成分の爪を介したデリバリーにおいて使用するために、表面活性タンパク質の形で浸透増強剤を含有する医薬品であって、その際活性成分及び/又は表面活性タンパク質が、有利には請求項1から11までのいずれか1項において定義されている、医薬品。
【請求項15】
患者(動物及びヒトを含む)に、該患者の爪中に及び/又は爪を介して、少なくとも1つの該活性成分の予防的又は(特に)治療的有効量の爪を介したデリバリーを達成させる、浸透増強剤としての医薬品の製造のための表面活性タンパク質の使用において、該表面活性タンパク質と、さらに1つ以上の活性成分を含有する医薬品とを混合することを含む使用であって、その際該活性成分及び/又は表面活性タンパク質が、有利には請求項1から11までのいずれか1項において定義されている、使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−518669(P2012−518669A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551471(P2011−551471)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052125
【国際公開番号】WO2010/097344
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】