説明

ケーブルコネクタ

【課題】小型で低価格であると同時に丈夫で頑丈なケーブル連結部を備えたケーブルコネクタを提供する。
【解決手段】ケーブルコネクタが、外シェルに取り付けられたコネクタハウジングを有する。シール(26)が、少なくとも部分的に、外シェル(18)とコネクタハウジング(24)との間に配置されている。シールド(28)が、少なくとも部分的に、シールと隣接してコネクタハウジングの周囲に配置されている。一つの例示の方法では、コネクタハウジングは外シェルに取り外し可能に取り付けられている。別の例示の方法では、シールは一体形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ケーブルの互いに一直線状をなした二つの部分を連結するため、又は一つの部分をヘッダに連結するため、様々な産業でケーブルコネクタが広範に使用されている。ケーブルは、多くの様々な大きさ及び形体(形状)で提供される。例えば、多芯形体(多芯形状)では、各ケーブルは一つ以上の端子を有する。単芯形体(単芯形状)では、各ケーブルは端子を一つしか持たない。多くの場合、これらの及び他の形体のケーブルを様々な大きさの穴に通さなければならず、場合によっては異なる大きさのケーブルに連結しなければならない。多くの場合、このようなケーブルを使用するデバイスでは空間が制限されており、ケーブルは、多くの場合、穴に嵌着する上で大き過ぎる。
【背景技術】
【0002】
ケーブルコネクタの構成要素の数が、ケーブルコネクタの大きさに直接影響する。第一に、各ケーブルコネクタは、一体成形されたコネクタハウジングを備えた外シェルと、シールドと、シェルと、二つのシール(すなわち、周囲シールと、ケーブルシール)とを備えている。両シールは、ケーブルコネクタ内に封入されており、ケーブルの周囲に配置される。両シールを設けることにより、ケーブルコネクタの、構成要素の数、大きさ、及び費用が増大する。更に、コネクタを外シェルと一体成形することにより、ケーブルコネクタの大きさが大きくなり、成型を行う上での選択肢及び材料の選択の幅が狭まる。更に、コネクタハウジングを外シェルと一体成形することにより、シールドの有効性が低下する。これは、シールドに追加のスロットを設ける必要があるためである。これにより、望ましからぬ信号漏れを阻止し損なってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、小型で低価格であると同時に丈夫で頑丈なケーブル連結部を提供するケーブルコネクタが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの例示の方法では、ケーブルコネクタは、外シェルに取り外し可能に取り付けられたコネクタハウジングを含む。シールが、少なくとも部分的に外シェルとコネクタハウジングとの間に配置されている。シールドが、少なくとも部分的に、シールと隣接してコネクタハウジングの周囲に配置されている。別の例示の方法では、シールは一体の形状(一体の形体)を有する。
【0005】
以上の説明は、添付図面の以下の詳細な説明から更に完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1部分及び第2部分を持つケーブルの分解斜視図である。
【図2】図2は、第1部分が第2部分に電気的に接続された組み立てた状態の図1のケーブルコネクタの断面斜視図である。
【図3】図3は、ヘッダを持つケーブルコネクタの分解斜視図である。
【図4】図4は、多芯形体のケーブルコネクタの分解斜視図である。
【図5】図5は、単芯形体のケーブルコネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ケーブルコネクタは、外シェル内に配置された、コネクタハウジングと、シールと、シールドとを含む。一実施例では、シールは一体形状を有し、これによりケーブル間の空間を小さくでき、シールしなければならない有効表面積を大幅に減少し、コネクタの信頼性を向上する。これにより周囲シールリテーナ及びケーブルシールリテーナの必要性がなくなるばかりでなく、構成要素の大きさや数、及びケーブルコネクタの費用が低減する。のみならず、コネクタハウジングは、外シェルに取り外し可能に取り付けられている。このような形状により、ケーブルコネクタの大きさが小さくなり、必要なスロットの数を減少することによってシールドの有効性が向上し、材料の選択の幅が大きくなる。従って、結果的に得られたケーブルコネクタは小さく且つ安価であり、頑丈で丈夫である。
【0008】
図1は、ケーブル14の第1部分12をケーブル14の第2部分16に電気的に接続する例示のケーブルコネクタ10の分解斜視図である。ケーブル14の各部分は同様の構成要素を有する。例えば、両部分は、ケーブル14の周囲に配置されており且つこのケーブル14から少なくとも部分的に離間した外シェル18を含む。各ケーブル14は、少なくとも一つの端子20と、この端子20の周囲にかしめられた(クリンプ止めされた)フェルール22を含む。以下に更に詳細に論じるように、コネクタハウジング24が、端子20の周囲に配置されており、外シェル18に取り外し可能に取り付けられている。図示のように、第1部分12のコネクタハウジング24は「雌」形状(「雌」形体)を有し、第2部分16のコネクタハウジング24は「雄」形状(「雄」形体)を有する。シール26が、外シェル18とコネクタハウジング24との間に少なくとも部分的に配置されている。一実施例では、シール26は一体形状を有し、これにより、別体の周囲シール26のリテーナ及びケーブル14のシール26リテーナを不要にする。シールド28が、シール26と隣接してコネクタハウジング24の周囲に少なくとも部分的に配置されている。シールド28は、他のケーブル14又は電子デバイスが、ケーブル14と干渉しないようにし、また、このケーブル14が他のケーブル14又は電子デバイスと干渉しないようにする。
【0009】
図2は、第1部分12が第2部分16に電気的に接続された、ケーブルコネクタ10の例示の断面斜視図である。詳細には、第1部分12の外シェル18及びコネクタハウジング24は、第2部分16の外シェル18及びコネクタハウジング24内に、各部分の端子20が互いに電気的導通状態にあるように、夫々摺動可能に配置されている。端子20が電気的導通状態にある場合には、電力又は通信信号を、ケーブル14の第1の部分12と第2の部分16との間に自由に通すことができる。
【0010】
上文中に論じたように、コネクタハウジング24は、外シェル18に取り外し可能に取り付けられている。一実施例では、各コネクタハウジング24には、外シェル18の凹所部分32にスナップ嵌めするクリップ30が一体成形されていてもよい。クリップ30は、第1部分12を第2部分16に連結している間、コネクタハウジング24を外シェル18に保持するが、クリップ30は、必要な場合にコネクタハウジング24を外シェル18から取り外すことができるようにするばねのような特性を有する。このようにして、第1及び第2の部分12及び16を互いから外すことができる。
【0011】
ケーブルコネクタ10は、更に、外シェル18と一体成形された少なくとも一つのフェルールストッパ34を含んでいてもよい。フェルールストッパ34は、フェルール22と係合し、ケーブル14がケーブルコネクタ10内で連結解除しないようにする。詳細には、フェルールストッパ34により、ケーブル14を引っ張ったときにフェルール22をシールド28に底付きさせ(すなわち、フェルール22がシールド28の底に達し)、これにより応力解放及びシール保護を提供する。従って、一方又は両方のケーブル14を引っ張った場合に、端子20は、第1及び第2の部分12及び16間の電気的導通を連結解除したり切ったりし難い。従って、フェルールストッパ34を外シェル18に一体成形することにより、ケーブル14に作用する応力や歪みを低減するばかりでなく、更に頑丈で丈夫なケーブルコネクタ10を提供する。
【0012】
図1及び図2に示す実施例では、第1及び第2の部分12及び16は互いに一直線状をなしている、即ち互いにインラインをなしている。しかしながら図3を参照すると、インライン連結を形成する代わりに、ケーブル14はヘッダ36に連結することもできる。このヘッダ36は、表面又は壁に取り付けることができる。一実施例では、第2部分16の外シェル18は、第2部分16のシール26及びシールド28の周囲に配置されたヘッダ36を含んでいてもよい。従って、ヘッダ36は、第1部分12と噛み合う前にシールされており、シールド28は環境から保護されている。
【0013】
上述の実施例におけるのと同様に、シール26及びシールド28は、コネクタハウジング24の周囲に配置されており、第1部分12は、夫々のコネクタハウジング24を介してヘッダ36に電気的に接続される。例えば、図3に示すように、第2部分16のコネクタハウジング24は「雄」形状(「雄」形体)を有し、この「雄」形状は、「雌」形状(「雌」形体)を持つ第1部分12のコネクタハウジング24の周囲に摺動可能に配置される。第1部分12をヘッダ36に電気的に接続するとき、第1部分12の端子20と、ヘッダ36のコネクタハウジング24内に配置された端子20とが、電気的に導通する。更に、端子20をヘッダ36内に配置したので、コントローラハウジング内に回路を構成する上での融通性を提供し、バスバー(母線)技術を適用できる。
【0014】
次に図4及び図5を参照すると、ケーブル14は、多芯形体(多芯形状)を備えていてもよいし、単芯形体(単芯形状)を備えていてもよい。多芯形体の場合には、多数の端子20が一本のケーブル14を通って延び、単芯形体の場合には、各ケーブル14が一本の端子20を有する。図4は、多芯形体のケーブル14の例示の図であり、図5に示す実施例は、単芯形体のケーブル14を示す。
【0015】
以上の説明は、例示を意図したものであって、限定を意図したものではない。以上の説明を読むことにより、当業者には、以上の例以外の多くの変形例のアプローチ又は用途が明らかになるであろう。本発明の範囲は、以上の説明によってでなく、添付の特許請求の範囲並びにその均等物の全範囲によって決定されるべきである。本明細書中で論じた技術において、将来、開発がなされるであろう。開示のシステム及び方法は、このような将来の例に組み込まれるであろう。簡単に述べると、本発明は変形及び変更が可能であり、添付の特許請求の範囲のみによって限定されるということは理解されるべきである。
【0016】
現在の実施例を特定的に図示し且つ説明したが、これらは最良の態様の例示に過ぎない。以下の特許請求の範囲に定義された精神及び範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲の要旨を実施する上で、本明細書中に説明した実施例に対する様々な変更を使用してもよいということは当業者には理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法及び装置及びそれらの均等物は、特許請求の範囲に含まれる。以上の説明は、本明細書中に説明したエレメントの全ての新規な及び自明でない組み合わせを含み、本願の又は後の出願の特許請求の範囲は、これらのエレメントの任意の新規な及び自明でない組み合わせに関するものと理解されるべきである。更に、上述の実施例は例示であって、本願又は後の出願において特許請求される全ての可能な組み合わせに対し、単一の特徴又はエレメントが重要であるのではない。
【0017】
特許請求の範囲で使用された全ての用語は、それらの最も広い妥当な構造で使用されることを意図したものであって、これに反する特段の記載のない限り、当業者が理解する通常の意味で使用される。詳細には、単数で示された用語は、特許請求の範囲においてこれに反する特段の記載のない限り、表示のエレメントが一つ又はそれ以上あるものと読まれるべきである。
【符号の説明】
【0018】
10 ケーブルコネクタ
12 第1部分
14 ケーブル
16 第2部分
18 外シェル
20 端子
22 フェルール
24 コネクタハウジング
26 シール
28 シールド
30 クリップ
32 凹所部分
34 フェルールストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルコネクタ(10)であって、
外シェル(18)と、
前記外シェル(18)に取り外し可能に取り付けられたコネクタハウジング(24)と、
前記外シェル(18)と前記コネクタハウジング(24)との間に少なくとも部分的に配置されたシール(26)と、
前記シール(26)と隣接して前記コネクタハウジング(24)の周囲に少なくとも部分的に配置されたシールド(28)とを備えた、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブルコネクタ(10)において、
前記シール(26)は一体形状を有する、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項3】
請求項1に記載のケーブルコネクタ(10)において、更に、
前記コネクタハウジング(24)内に配置された端子(20)を有するケーブル(14)を備えた、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項4】
請求項3に記載のケーブルコネクタ(10)において、更に、
前記端子(20)の周囲に配置されたフェルール(22)を備えた、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項5】
請求項4に記載のケーブルコネクタ(10)において、
前記フェルール(22)は、前記端子(20)にかしめられている、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項6】
請求項4に記載のケーブルコネクタ(10)において、
前記フェルール(22)は、前記シールド(28)上に少なくとも部分的に配置されている、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項7】
請求項3に記載のケーブルコネクタ(10)において、
前記ケーブル(14)は多芯形体を備えている、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項8】
請求項3に記載のケーブルコネクタ(10)において、
前記ケーブル(14)は単芯形体を備えている、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項9】
請求項1に記載のケーブルコネクタ(10)において、
前記コネクタハウジング(24)は、ヘッダ(36)内に摺動可能に配置されるように形成されている、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項10】
ケーブル(14)であって、
第1外シェル(18)を持つ第1部分(12)を備え、前記第1外シェル(18)は、第1コネクタハウジング(24)に取り外し可能に取り付けられており、第1シール(26)が、前記第1外シェル(18)と前記第1コネクタハウジング(24)との間に配置されており、、第1シールド(28)が、少なくとも部分的に前記第1コネクタハウジング(24)の周囲に前記第1シール(26)と隣接して配置されており、
第2外シェル(18)を持つ第2部分(16)を備え、前記第2外シェル(18)は、第2コネクタハウジング(24)に取り外し可能に取り付けられており、第2シール(26)が、前記第2外シェル(18)と前記第2コネクタハウジング(24)との間に配置されており、第2シールド(28)が、少なくとも部分的に前記第2コネクタハウジング(24)の周囲に前記第2シール(26)と隣接して配置されており、
前記第1部分(12)は前記第2部分(16)に電気的に接続される、ケーブル(14)。
【請求項11】
請求項10に記載のケーブル(14)において、
前記外シェル(18)は、前記第2外シェル(18)内に摺動可能に配置され、前記第1コネクタハウジング(24)は、前記第2コネクタハウジング(24)内に摺動可能に配置されている、ケーブル(14)。
【請求項12】
請求項10に記載のケーブル(14)において、
前記第1部分(12)及び前記第2部分(16)は、互いにインラインをなしている、ケーブル(14)。
【請求項13】
請求項10に記載のケーブル(14)において、
前記第2部分(16)は、前記第2シール(26)及び前記第2シールド(28)のうちの少なくとも一方の周囲に配置されたヘッダ(36)を含む、ケーブル(14)。
【請求項14】
請求項10に記載のケーブル(14)において、
第1ケーブル(14)が、前記第1部分(12)を通って延びており、第2ケーブル(14)が、前記第2部分(16)を通って延びている、ケーブル(14)。
【請求項15】
請求項14に記載のケーブル(14)において、
前記第1及び第2のケーブル(14)の少なくとも一方が、単芯形体を有する、ケーブル(14)。
【請求項16】
請求項14に記載のケーブル(14)において、
前記第1及び第2のケーブル(14)の少なくとも一方が、多芯形体を有する、ケーブル(14)。
【請求項17】
請求項10に記載のケーブル(14)において、
前記第1及び第2のシール(26)の少なくとも一方が、一体形状を有する、ケーブル(14)。
【請求項18】
請求項10に記載のケーブル(14)において、更に、
前記第1コネクタハウジング(24)内に配置された第1端子(20)と、
前記第2コネクタハウジング(24)内に配置された第2端子(20)とを備えており、前記第1端子(20)及び前記第2端子(20)は、前記第1部分(12)が前記第2部分(16)内に摺動可能に配置されているとき、電気的に導通している、ケーブル(14)。
【請求項19】
請求項18に記載のケーブル(14)において、更に、
前記第1端子(20)の周囲に配置された第1フェルール(22)と、前記第2端子(20)の周囲に配置された第2フェルール(22)とを備えている、ケーブル(14)。
【請求項20】
請求項19に記載のケーブル(14)において、
前記第1フェルール(22)及び前記第2フェルール(22)は、前記第1端子(20)及び前記第2端子(20)の夫々にかしめられている、ケーブル(14)。
【請求項21】
ケーブルコネクタ(10)であって、
外シェル(18)と、
前記外シェル(18)に少なくとも部分的に配置されたコネクタハウジング(24)と、
前記コネクタハウジング(24)の周囲に少なくとも部分的に配置されたシールド(28)と、
一体形状を有し、前記外シェル(18)と前記コネクタハウジング(24)との間に少なくとも部分的に配置されたシール(26)とを含む、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項22】
請求項21に記載のケーブルコネクタ(10)において、
前記シール(26)は、前記シールド(28)上に少なくとも部分的に配置されている、ケーブルコネクタ(10)。
【請求項23】
請求項21に記載のケーブルコネクタ(10)において、更に、
端子(20)を持つケーブル(14)を備えており、前記端子(20)は前記コネクタハウジング(24)内に配置される、ケーブルコネクタ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−62147(P2010−62147A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−199722(P2009−199722)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(599023978)デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (281)
【Fターム(参考)】