説明

ケーブル保持装置

【課題】 金型成型する必要がなく、ケーブルへのストレスを軽減することができ、しかもケーブルの動きを抑制することが可能なケーブル保持装置の提供。
【解決手段】 形状が安易に変形でき、かつ部材の表面接触抵抗が比較的大きいゴムやシリコン等の板状部材で構成された保持部材1を折り曲げて光ケーブル2を保持する。その保持部材1はケーブル取付部材3の収納部4に収納され、収納部4に設けた蓋体5を閉じ、ロック部材5aとロック部材4bを用いて蓋体5が開かないように固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル保持装置に関し、特に光ケーブル等のケーブル保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は従来のケーブル保持装置の一例の構成を示す斜視図である。同図を参照すると従来のケーブル保持装置の一例は、ケーブル取付部材51と、ケーブルクランプ52と、ケーブル取付部材51に設けたケーブルクランプ保持部53と、開閉自在な蓋体54とにより構成されている。
【0003】
ケーブルクランプ52には貫通口52aと、押え具52bとが設けられ、ケーブル、一例として光ケーブル55が貫通口52aに挿入され、その後押え具52bで光ケーブル55を押圧することにより、光ケーブル55をケーブルクランプ52に固定していた。
【0004】
このケーブルクランプ52は硬質のモールドで形成され、金型成型されていた。この光ケーブル55を固定したケーブルクランプ52はケーブル取付部材51に設けられたケーブルクランプ保持部53に取り付けられ、蓋体54を閉じることにより光ケーブル55をケーブル取付部材51へ取り付けていた。
【0005】
一方、この種の従来技術の他の例として、クランプ2でケーブル4を支持するクランプ装置が開示されている。またこのクランプ2は柔軟な樹脂で構成されると記載されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
また他の一例として、クランプが湾曲壁部22と保護部材2とから構成され、クランプの内側に保護部材2が接合され、保護部材2の凹部17にケーブルを取り付けるケーブルクランプが開示されている。また保護部材2は可撓性の材料で構成されると記載されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0007】
また他の一例として、蝶番式の筐体部61,62でケーブルCを挟み、係合用突起部t1、t2を係合させてケーブルCを保持する保持部材60が開示されている。また保持部材60はゴムで生成が可能と記載されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平2−297503号公報(第2頁左側欄第9行〜右側欄第9行、図1および図2)
【特許文献2】特開2004−242478号公報(段落0026、図9)
【特許文献3】特開2002−281628号公報(段落0055,0060、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、図6に示す従来のケーブル保持装置は、ケーブルクランプ52が金型成型品であるため、金型製作に高価な費用を要するという欠点があった。また、押え具52bで光ケーブル55を押圧するため、光ケーブル55にストレスがかかるという欠点もあった。
【0010】
一方、特許文献1記載の発明はケーブルルートを確保することを目的としており、ケーブル保持を目的とするものではない。したがって、ケーブルを押したり引いたりすると、ケーブルはその動きに合わせて動いてしまうが、本発明ではケーブル保持部材の表面接触抵抗が効いてケーブルが動くことはない。
【0011】
また特許文献2記載の発明は、保護部材2が湾曲壁部22に嵌め込まれる構成であるため、保護部材2の大きさが湾曲壁部22によって制限され、したがってケーブルの太さも制限されるという欠点がある。
【0012】
また特許文献3記載の発明は、特許文献1記載の発明と同様に筐体部61,62でケーブルCを保持できれば十分であるため、ケーブルを押したり引いたりすると、ケーブルはその動きに合わせて動いてしまうという欠点がある。
【0013】
そこで本発明の目的は、金型成型する必要がなく、ケーブルへのストレスを軽減することができ、しかもケーブルの動きを抑制することが可能なケーブル保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために本発明によるケーブル保持装置は、ケーブルを保持するケーブル保持装置であって、折り曲げ可能でかつ表面接触抵抗を利用して前記ケーブルを保持する保持部材を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、保持部材を折り曲げてケーブルを保持するとともに、保持部材の表面接触抵抗を利用してケーブルの動きを抑制する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記構成を含むことにより、金型成型する必要がなく、ケーブルへのストレスを軽減することができ、しかもケーブルの動きを抑制することが可能となる。
【0017】
具体的に説明すると、ケーブルを保持部材で挟み込むことによって、保持部材がケーブルに密着し、保持部材の表面接触抵抗によりケーブルの動きを抑制する。これによりケーブルが保持される。
【0018】
また、従来のケーブルクランプのようにケーブルにストレスを与えて保持する構造ではなく、密着による材料の表面抵抗でケーブルを保持する構造であるため、クランプ時にもケーブルを保護することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照しながら説明する。図1〜図3は本発明に係るケーブル保持装置に用いられる保持部材の一例の斜視図である。
【0020】
図1を参照すると、保持部材1は形状が安易に変形でき、かつ部材の表面接触抵抗が比較的大きい、一例としてゴムやシリコン等の板状部材を使用して構成されている。同図はケーブル、一例として光ケーブル2をこの保持部材1上に載置した場合を示している。
【0021】
図2は光ケーブル2を載置した保持部材1を折り曲げた状態を示している。図3はケーブル2と保持部材1とが密着するようにさらに保持部材1を折り曲げた状態を示している。
【0022】
図4および図5は本発明のケーブル取付部材3と保持部材1との関係を示す斜視図である。図4を参照すると、ケーブル取付部材3には保持部材1を収納する収納部4と、開閉自在な蓋体5とが含まれている。また、蓋体5の端部にロック部材5aが設けられ、収納部4の側面4aの上部にロック部材5aに対応するロック部材4bが設けられる。そして、収納部4に、ケーブル2を通して折り曲げた状態の保持部材1が収納される。
【0023】
図5を参照すると、同図には収納部4にケーブル2を通した保持部材1が収納された状態を示している。この状態で蓋体5を閉じ、ロック部材5aとロック部材4bを用いて蓋体5が開かないように固定する。
【0024】
保持部材1は比較的広い板状部材で構成されるため、ケーブル2を曲げた状態で保持部材1に保持させることが可能となる。
【0025】
さらに、保持部材1は従来のように湾曲壁部22に嵌め込まれる構成(特許文献2参照)ではなく、単体で構成されるため、大きさに関して従来例(特許文献2参照)よりも自由度を高くすることができる。したがって、細いケーブルから太いケーブルまで従来よりも広範囲なケーブルに対して適用が可能となる。また、このような枠(湾曲壁部22)を使用していないため、折り曲げた状態の保持部材1の厚さを薄くすることが可能となる。
【0026】
本発明では、ケーブル2と保持部材1とが密着した状態になっているが、従来のように押え具52bで光ケーブル55を押圧するような処理(図6参照)は施していない。本発明では、そのような処理を施さなくても、保持部材1が表面接触抵抗が比較的大きい部材で構成されているため、ケーブル2を引っ張るとケーブル2と保持部材1との接触抵抗が発生しケーブルの動きを抑制するという効果を奏する。また、光ケーブル55を押圧しないため光ケーブル55へのストレスを軽減することができるという効果も奏する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
光余長構造の出入り口で、ケーブルを保持する部分に本発明の適用が可能である。また、防水タイプ装置のケーブル引出し口部分に本発明の適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るケーブル保持装置に用いられる保持部材の一例の斜視図である。
【図2】本発明に係るケーブル保持装置に用いられる保持部材の一例の斜視図である。
【図3】本発明に係るケーブル保持装置に用いられる保持部材の一例の斜視図である。
【図4】本発明のケーブル取付部材3と保持部材1との関係を示す斜視図である。
【図5】本発明のケーブル取付部材3と保持部材1との関係を示す斜視図である。
【図6】従来のケーブル保持装置の一例の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 保持部材
3 ケーブル取付部材
4 収納部
4a 側面
4b ロック部材
5 蓋体
5a ロック部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを保持するケーブル保持装置であって、
折り曲げ可能でかつ表面接触抵抗を利用して前記ケーブルを保持する保持部材を含むことを特徴とするケーブル保持装置。
【請求項2】
前記保持部材上に前記ケーブルを載置し、前記保持部材を折り曲げて前記ケーブルと密着させることを特徴とする請求項1記載のケーブル保持装置。
【請求項3】
さらに前記ケーブルを取り付けるケーブル取付部材を含み、前記ケーブル取付部材は前記ケーブルを保持した状態の前記保持部材を収納する
収納部を含むことを特徴とする請求項1または2記載のケーブル保持装置。
【請求項4】
前記収納部は開閉自在な蓋体を含むことを特徴とする請求項3記載のケーブル保持装置。
【請求項5】
前記蓋体の端部と、前記収納部の側面上部とに一対のロック部材が設けられ、前記ロック部材で前記蓋体が開かないように固定されることを特徴とする請求項4記載のケーブル保持装置。
【請求項6】
光余長構造の出入り口で、ケーブルを保持する部分に用いられることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載のケーブル保持装置。
【請求項7】
防水タイプ装置のケーブル引出し口部分に用いられることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載のケーブル保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−311664(P2006−311664A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128814(P2005−128814)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】