説明

ケーブル及びその製造方法

【課題】内部に複数の収容路を有するケーブルにおいて、光ファイバ心線またはメタル電線を高い実装密度で収納すること、並びに製造コストを下げることを可能にする。
【解決手段】本発明によるケーブル(光ケーブル1aで例示)は、軸に垂直な断面において中心から放射状に延びる形状となる複数の仕切を有する仕切部材12と、その仕切部材12の外周を覆う外被10とを備え、仕切部材12と外被10とにより長さ方向に連続する複数の収納路が形成され、複数の収納路のそれぞれに複数本の光ファイバ心線11が収納される。そして、この光ケーブル1aは、仕切部材12と光ファイバ心線11とが、共に外被10に対して撚られており、仕切部材12は樹脂製とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の収納路のそれぞれに光ファイバ心線またはメタル電線を収納したケーブル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信の需要増大とデータ通信サービス(FTTH:Fiber To The Home)網の拡大に伴い、光ケーブルは多心化、細径化が求められている。
そのため、例えば特許文献1には、複数の収納路のそれぞれに光ファイバ心線を収納した光ケーブルが提案されている。
【0003】
図4は、特許文献1に記載の光ケーブルを示す断面図である。図4で示す光ケーブル3は、断面が十字状の介在物である十字介在32により4分割された空間のそれぞれに1本ずつの光ファイバ心線33を収納し、その周りに押さえテープ31が巻かれ、さらにその周囲にケーブル外被30が施されてなる。
【0004】
このように、特許文献1に記載の光ケーブル3では、1つの十字介在32につき4本の光ファイバ心線しか内包することができず、より多くの光ファイバ心線を内包させることはできない。
ところが、実際にはより多くの光ファイバ心線を1本の光ケーブルに収納する必要が生じることもあるため、スロット型のスペーサを用いる光ケーブルも提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
図5は、従来のスロット型の光ケーブル並びにその製造方法を説明するための図である。図5(A)で示すスロット型の光ケーブル4は、複数の収容溝(スロット溝)42aを有するスロットスペーサ42を用い、複数の収容溝42a内に、光ファイバテープ心線44が複数積層して収容している。
【0006】
ここで収容溝42aは、所定の間隔で且つ軸方向に螺旋状またはSZ状に形成されており、一般的には長手方向に数十cm〜1m程度のピッチで一方向またはSZ方向に反転して撚られている。また、スロットスペーサ42の材質としては一般的に高密度ポリエチレン(HDPE)が用いられる。スロットスペーサ42の中心には抗張力体43も設けられる。そして、光ケーブル4は、収容溝42a内に光ファイバテープ心線44が収容された状態でその周囲に押さえ巻き41が巻かれ、さらにその周囲にケーブル外被40が施されてなる。
【0007】
このような光ケーブル4は、図5(B)に示すようにして製造される。まず、スロットサプライ28から溝が既に一方向またはSZ方向に撚られているスロットスペーサ42を供給すると共に、複数のファイバサプライ29をスロットスペーサ42を中心に回転させながら複数のファイバサプライ29からそれぞれ積層した光ファイバテープ心線44を供給して、スロットスペーサ42の収容溝42aに各ファイバサプライ29を収容させながら、それらを集合させる。
集合後、図示しない押さえ巻き機により押さえ巻き41が施されたものを、クロスヘッド23に入れ、ホッパー24から供給したコンパウンド樹脂によりケーブル外被40を形成することで、光ケーブル4をなす。そして、その光ケーブル4を冷却装置25に供給し、ケーブル外被40の冷却を行って、巻き取りキャプスタン26を介して巻き取りボビン27に巻き取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平1−145609号公報
【特許文献2】特開平7−218785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、特許文献1に記載の光ケーブルでは1つの十字介在につき4本より多くの光ファイバ心線を収納することができない。
一方で特許文献2に記載されたようなスロット型の光ケーブルでは、多くの光ファイバ心線を収納できるものの、収容溝が長手方向に撚られた状態で形成されるため、その断面形状をきれいに製造するためには製造線速を速くすることができない。
また、長手方向に撚られた溝に光ファイバ心線を挿入するには、その溝を検知する必要があり、設備が複雑になる。
【0010】
さらに、収容溝と収容溝との間を仕切る部分(リブ)において最も薄い部分の厚みは、リブの形状を保ちリブが倒れないようにするために1mm以上に設定されているが、このようにリブが厚くなってしまうと、その分だけ光ファイバ心線の実装密度が低くなってしまう。リブを薄くするとスロットが傾き易く寸法精度が良くない。
そして、これらの問題は、光ファイバ心線のみを収納した光ケーブルに限らず、光ファイバ心線及びメタル電線を収納したケーブルやメタル電線のみを収納したケーブルでも同様に生じる。
【0011】
本発明は、上述した実状に鑑みてなされたもので、内部に複数の収容路を有するケーブルにおいて、光ファイバ心線またはメタル電線を高い実装密度で収納すること、並びに収容路を仕切る仕切部材を速い線速で製造して製造コストを下げることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるケーブルの製造方法は、軸に垂直な断面において中心から放射状に延びる複数の仕切を有する仕切部材と、その仕切部材の外周を覆う外被とを備え、仕切部材と外被とにより長さ方向に連続して形成される複数の収納路のそれぞれに複数本の光ファイバ心線またはメタル電線が収納されたケーブルを製造する方法である。そして、この製造方法は、仕切部材が樹脂製であり、複数本の光ファイバ心線またはメタル電線を撚られていない仕切部材を挿入した後、それらを共に撚りながら集合し、それを外被で被覆することを特徴とする。
【0013】
また、仕切部材の中心に抗張力線が設けられていても、外被に抗張力線が設けられていてもよい。また、ケーブルを支持するための支持線がケーブルに沿って設けられていてもよい。さらに、本発明のケーブルは、仕切部材と光ファイバ心線またはメタル電線とが、共に外被に対してSZ方向に撚られていることが好ましい。さらに、仕切部材の先端が外被に埋め込まれていることが好ましい。
【0014】
本発明によるケーブルは、軸に垂直な断面において中心から放射状に延びる複数の仕切を有する仕切部材と、その仕切部材の外周を覆う外被とを備え、仕切部材と外被とにより長さ方向に連続する複数の収納路が形成され、複数の収納路のそれぞれに複数本の光ファイバ心線またはメタル電線が収納される。そして、このケーブルは、仕切部材と光ファイバ心線またはメタル電線とが、共に外被に対して撚られており、仕切部材は樹脂製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内部に複数の収容路を有するケーブルにおいて、光ファイバ心線またはメタル電線を高い実装密度で収納すること、並びに製造コストを下げることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る光ケーブルの構成例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る光ケーブルの他の構成例を示す断面図である。
【図3】本発明による光ケーブルの製造方法の一例を説明するための図である。
【図4】従来の光ケーブルを示す断面図である。
【図5】従来のスロット型の光ケーブル並びにその製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図により本発明の実施の形態について、光ケーブルを例に挙げて説明する。図1及び図2は本発明に係る光ケーブルの構成例を示す断面図であり、図1(A)、図1(B)、図2(A)、図2(B)はそれぞれ異なる構成例を示している。
【0018】
図1(A)で例示するように、本発明による光ケーブル1aは、仕切部材12と仕切部材12の外周を覆うケーブル外被(シースとも言う)10とを備える。仕切部材12は中心から放射状に延びる複数の仕切を有する。この仕切として仕切板を例に挙げて説明するが、スロットのように溝を刳って形成してもよい。光ケーブル1aは、仕切部材12とケーブル外被10とにより長さ方向に連続する複数の収納路(収納空間)が形成されており、各収納路のそれぞれに複数本の光ファイバ心線11が収納される。
【0019】
また、仕切部材12は、中心から均等に放射状に延びるように仕切板を設けることが好ましく、この場合、これら複数の収納路も断面積が均等になる。よって、この場合には、基本的に各収納路に収納される光ファイバ心線11の本数は同じとする。例えば各収納路に収納された光ファイバ心線11は15本(合計60本)である例を挙げているが、これより多くの本数を収納するようにしてもよいし、例えば各収納路に6本ずつ(合計24本)など、より少ない本数を収納するようにしてもよい。しかし、各収納路の断面積が同じであるか否かに関わらず、各収納路に収納される光ファイバ心線11の本数は同じでなくても、複数本入っていればよい。また、各収納路には光ファイバ心線をテープ状にまとめた光ファイバテープ心線を収納することもできる。
【0020】
図1(A)の例では、仕切部材12はその断面が十字形状であり、4つの収納路に仕切るための4枚の仕切板を有する。無論、仕切部材12の断面は十字形状に限ったものではなく、ケーブル外被10とにより形成される空間が2つ以上となればよい。よって、中心から放射状に延びる仕切板の数は3つでも、5つ以上であってもよい。また、仕切板の数が2つであっても、つまりほぼケーブル外被10の内側の直径分の長さをもつ1枚の仕切板であっても、ケーブル外被10とにより形成される空間が2つとなるため問題ない。
【0021】
図1(A)に示す光ケーブル1aは、仕切部材12の隣り合う仕切板の間の空間に光ファイバ心線11を収納して、樹脂の押出し成形によりケーブル外被10を施すことにより、形成される。つまり、仕切部材12の隣り合う仕切板とケーブル外被10とにより囲まれる空間が光ファイバ心線11の収納路となり、各収納路に複数本の光ファイバ心線11が収納される。
複数の収納路に分けて光ファイバ心線11を収納することができるため、識別性が良くなる。例えば収納路ごとに数本〜十数本の光ファイバ心線11でなる1ユニットを入れるようにすればよく、また、ユニット内の光ファイバ心線11は色やマークを付与することで識別できる。
【0022】
そして、本発明では、光ケーブル1aは、仕切部材12により仕切られた空間に光ファイバ心線11が入れられて仕切部材12が撚られており、これにより光ケーブル1aを曲げ易くすることができる。図示しないが、仕切部材12を光ファイバ心線11と共にケーブル外被10に対して一定方向に螺旋状に撚りながら集合してもよいし、仕切部材12を光ファイバ心線11と共にケーブル外被10に対してSZ方向に撚りながら集合してもよい。SZ方向に撚ることで、光ケーブル1aを容易に8の字巻きすることができるようになる。
【0023】
ここで、光ケーブル1aのケーブル外被10が仕切部材12の外接円になっているため、仕切部材12がケーブル外被10と接することで仕切部材12の撚りが保持される。また、ケーブル外被10が仕切部材12の仕切板の先端の外接円となるのではなく、図1(A)で図示するように、仕切部材12の仕切板の先端がケーブル外被10に埋め込んだ状態になるようにケーブル外被10を施すことで、仕切部材12を撚った状態を強固に保持することができる。仕切部材12とケーブル外被10とのずれを防止することもできる。
また、各収納路において光ファイバ心線11を収納した際にできる隙間にはヤーンやケブラ等を入れて埋めるようにしてもよい。
【0024】
さらに本発明では、仕切部材12は樹脂製で、複数の仕切板の厚みが0.5mm以下であることが好ましい。光ケーブル1aのサイズの一例としては、各仕切板は厚みDaが0.25mm、高さ(Db/2)が1.3mm、ケーブル外被10はポリ塩化ビニル(PVC)製で、厚み0.5mm、外径(つまり光ケーブル1aの外径)が3.8mm、といったサイズが挙げられる。仕切部材は、LDPEのような軟質材料の方が、一方向またはSZに撚りやすく望ましい。一方、HDPEのような硬質材料は撚りにくい。
【0025】
また、仕切部材12の材質は、HDPEであってもよいが、HDPEよりも軟質な低密度ポリエチレン(LDPE)などの材質であることが好ましい。これにより、仕切板が折れ曲がっても仕切板が破損することがなく光ファイバ心線11に損傷を与えることがない。仕切部材12の仕切板は軟質であること、つまり柔軟性を有する材質からなることが好ましく、その弾性率は500MPa以下であることが好ましい。さらに、仕切板がLDPEを20%以上含有するようにすることで、柔軟性をもたせてもよい。
但し、上述のように厚さDaを0.5mm以下にすると硬質なHDPEやフッ素系樹脂も使用しても仕切板が完全に折れて塑性変形してしまうことが少なくなるため、問題ない。
【0026】
以上のように、本発明に係る光ケーブル1aでは、仕切部材12の仕切板が薄く、光ケーブル1a内の空間がその分大きいため、光ファイバ心線11の本数が同じであれば光ケーブル1aを細径化でき、ケーブル径が同じであればより多くの光ファイバ心線11を収納することができる。つまり、本発明によれば、収納空間を仕切る部分の厚みを薄くしているため、従来の光ケーブルに比べて光ファイバ心線を格段に高い実装密度で収納することができる。
【0027】
また、スロット型の光ケーブルでは長手方向に一定方向の螺旋溝やSZ方向の螺旋溝を予め形成したスロットが必要であるため、製造時に断面形状を出すのが難しかったが、本発明では、光ケーブル1aの製造方法について後述するように仕切部材12の製造時に螺旋状やSZ方向に溝を入れる必要がないため、スロット型の光ケーブルに比べて収納路を形成するための部材(仕切部材12)の形状が安定し、仕切部材12の製造線速を大きくできる。本発明では、仕切部材12の仕切板が薄いため光ファイバ心線11と同じように回転させながら繰り出すことができ、光ケーブル1aの製造線速を小さくする必要がない。
【0028】
次に、図1(A)の構成例とは異なる他の構成例について図1(B)、図2(A)、及び図2(B)を参照しながら説明する。以下、これらの構成例について、基本的に図1(A)で示す光ケーブル1aと異なる点だけを説明し、同様の点についてはその説明を省略する。
【0029】
本発明では、図1(B)の光ケーブル1bで例示するように、仕切部材12の中心に抗張力線13が設けられていてもよい。抗張力線13としては、仕切部材12に、例えばアラミド繊維等の高張力繊維をプラスチックで補強した繊維強化プラスチック(FRP)を埋め込むようにすればよく、加えて仕切板の先端をケーブル外被10に埋め込むことで、ケーブル外被10の低温収縮を低減することができる。
【0030】
図1(B)で例示する光ケーブル1bでは、抗張力線13として直径0.5mmのFRP(使用糸のタイプがK29)が埋め込まれている。抗張力線13が埋め込まれた中心部分12aの直径Dcは0.8mmで、中心部分12aと仕切板部分との境界には円弧半径Rが0.125mmの円弧部分12bが設けられている。また、抗張力線13を鋼線とするなど、抗張力線13としては他の材質を採用してもよい。
【0031】
また、図2(A)で例示する光ケーブル1cや図2(B)で例示する光ケーブル1dのように、ケーブル外被14に1または複数本の抗張力線15が設けられていてもよい。ここで、光ケーブル1c,1dでは、ケーブル外被14として例えば難燃性ポリエチレンが用いられる。
また、光ケーブル1dのように、光ケーブル本体を支持するための支持線部17が、光ケーブル本体に沿ってケーブル外被14の一部分に設けられていてもよい。ここで、支持線部17と光ケーブル本体とは首部16により接続されている。支持線部17はその中心に鋼線18を設け、その周囲を被覆するなどによって構成しておくことで、光ケーブル1dを自己支持型とすることができる。
【0032】
以下、本発明に係る製造方法について、図3を参照しながら上述の光ケーブル1a,1bを例に挙げて説明するが、他の光ケーブル1c,1dや他の構成をもつ本発明の光ケーブルにおいても基本的な部分は同様に説明できる。図3は、上述した本発明の光ケーブルの製造方法の一例を説明するための図で、図中、1は光ケーブル1aまたは光ケーブル1bである。
【0033】
本発明に係る製造方法は、樹脂製で、複数の仕切板の厚みが0.5mm以下である仕切部材12(抗張力線13付きであってもよい)を用いるのが好ましい。
そして、本発明に係る製造方法は、図3で図示するような製造システム2を用いる。ここで、ケーブル内部を仕切るための仕切部材12は、撚り無しの状態(ストレートの状態)で事前に成形等により製造しておくものとして説明する。
【0034】
製造システム2は、仕切部材12を繰り出して供給する仕切部材サプライ21を1台備え、2以上の所定の本数の光ファイバ心線11を繰り出して供給するファイバサプライ22を複数台(この例では4つの収納路用に4台)備える。さらに、製造システム2は、コンパウンド樹脂を供給するホッパー24と、外被成形用のクロスヘッド23と、外被を冷却する冷却装置と、製造された光ケーブル1を巻き取るための巻き取りキャプスタン26、巻き取りボビン27とを備える。
【0035】
このような製造システム2において、まず、仕切部材サプライ21から仕切部材12(抗張力線13付きであってもよい)を供給すると共に、隣り合う仕切板の間の空間(収納路)に上記所定の本数の光ファイバ心線11が入るように複数のファイバサプライ22からそれぞれ上記所定本の光ファイバ心線11を供給して、それらを一緒に矢視の方向に所定の回転速度で回転させながら図示しない集線装置で集合させる。仕切部材12は撚り返しなしで繰り出し、集合点において光ファイバ心線11を収納路に挿入しながら、仕切部材12を繰り出す仕切部材サプライ21を回転させて仕切部材12を撚る。従来行われていたスロットの溝に光ファイバ心線を挿入する方法に比べて、この方法は格段に高速化が可能で生産性がよい。なお、SZ方向に回転させる場合にはピッチごとに回転の方向を変えればよい。
【0036】
続いて、集合後の仕切部材12及び光ファイバ心線11でなる集合コアを、クロスヘッド23に入れ、ホッパー24から供給したコンパウンド樹脂によりケーブル外被10を形成することで、光ケーブル1をなす。そして、その光ケーブル1を冷却装置25に供給し、ケーブル外被10の冷却を行って、巻き取りキャプスタン26を介して巻き取りボビン27に巻き取る。
また、被覆の工程(シース工程)は、図示したように集合コアをなす集合工程と同時進行で行うことで、光ファイバ心線11がずれて仕切部材12の仕切板等で外傷を受けることがないため好ましい。従来行われていたスロットの溝に光ファイバ心線を挿入する方法では、光ファイバ心線を溝に挿入する設備が複雑であったためにシースとのタンデム化が難しかった。しかし、本発明では光ファイバを仕切部材の収納路に入れる設備が簡易なため、集合工程と被覆の工程とをタンデムで(隣接した設備で途中で巻き取ることなく)実行することが可能である。集合工程を施した集合コアを巻き取るなどしてから、シース工程を施すなど、各工程を別々に施してもよい。
【0037】
このように、本発明に係る製造方法は、複数本の光ファイバ心線11を仕切部材12における仕切板で仕切られた複数の空間のそれぞれに収納するように、仕切部材12を光ファイバ心線11と共に撚りながら集合し、ケーブル外被10で被覆する。
なお、仕切部材12は事前に製造しておくものとして説明したが、仕切部材サプライ21の代わりに、仕切部材12の成形機および冷却装置を設けてもよい。但し、少なくともこの冷却装置からの繰り出しの部分は仕切部材サプライ21で説明したように回転可能に構成しておく必要がある。
【0038】
以上、光ファイバ心線を集合した光ケーブルの例について説明したが、光ファイバ心線以外にメタル電線を含むケーブルやメタル電線のみを含むケーブルでも、光ケーブルと同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1a〜1d…光ケーブル、2…製造システム、10,14…ケーブル外被、11…光ファイバ心線、12…仕切部材、12a…中心部分、12b…円弧部分、13…抗張力線(FRP)、15…抗張力線(鋼線)、18…鋼線、16…首部、17…支持線部、21…仕切部材サプライ、22…ファイバサプライ、23…クロスヘッド、24…ホッパー、25…冷却装置、26…巻き取りキャプスタン、27…巻き取りボビン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸に垂直な断面において中心から放射状に延びる複数の仕切を有する仕切部材と、該仕切部材の外周を覆う外被とを備え、前記仕切部材と前記外被とにより長さ方向に連続して形成される複数の収納路のそれぞれに複数本の光ファイバ心線またはメタル電線が収納されたケーブルの製造方法であって、
前記仕切部材は樹脂製であり、
前記複数本の光ファイバ心線またはメタル電線を撚られていない前記仕切部材に挿入した後、それらを共に撚りながら集合し、それを前記外被で被覆することを特徴とするケーブルの製造方法。
【請求項2】
前記仕切部材の中心に抗張力線を設けることを特徴とする請求項1に記載のケーブルの製造方法。
【請求項3】
前記外被に抗張力線を設けることを特徴とする請求項1に記載のケーブルの製造方法。
【請求項4】
前記ケーブルを支持するための支持線を前記ケーブルに沿って設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブルの製造方法。
【請求項5】
前記仕切部材と前記光ファイバ心線または前記メタル電線とが、共に前記外被に対してSZ方向に撚られていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブルの製造方法。
【請求項6】
前記仕切部材の先端が外被に埋め込まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のケーブルの製造方法。
【請求項7】
軸に垂直な断面において中心から放射状に延びる複数の仕切を有する仕切部材と、該仕切部材の外周を覆う外被とを備え、前記仕切部材と前記外被とにより長さ方向に連続する複数の収納路が形成され、該複数の収納路のそれぞれに複数本の光ファイバ心線またはメタル電線が収納され、
前記仕切部材と前記光ファイバ心線または前記メタル電線とが、共に前記外被に対して撚られており、
前記仕切部材は樹脂製であることを特徴とするケーブル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−185259(P2012−185259A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47298(P2011−47298)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】