説明

ゲルカード上の試料を自動分析するための器械

【課題】ゲルカード上の血液試料の自動分析のために使用できる新規の設備を提供する。
【解決手段】ゲルカード上の試料を自動分析するための器械は、キャビネット内に垂直の積み重ね式に配置される複数の別個の区画と、ゲルカードの垂直移送用の手段と、直交する座標軸X、Y、Zに沿って移動することによって前記垂直積み重ね区画またはフロアのうち少なくとも2つにおいて前記区画の横断面全体を移動可能である、カード及びピペットプローブを移動するためのユニットを移送するための手段と、試料、試薬、カード、洗浄液及び廃液のような必要な材料を無作為にロード(荷積み)及びアンロード(荷降し)するために、手動操作と同時に自動操作を実行可能な制御手段と、を備えた、単一の運搬可能な構造を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲルカード上の血液試料の自動分析のために使用できる新規の設備を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
この設備は、分析が完全にすなわち器械への試料の挿入から分析結果の取得まで実施できるようにすることを目的としている。
【0003】
本発明による器械は、連続操作のための手段を持つが、器械の通常の自動操作と同時に手動で試料、試薬及び/またはカードの挿入、廃液、洗浄液及び使用済みカード用容器の配置または取外し、または設備の他の種類の作業も実施できるようにすることを特徴とし、それによって、特定の器械に必要とされる手動の取り扱いと同時に様々なタイプの分析を行うことができるので高い生産性が得られる。
【0004】
試薬、試料、カード、使用済みカード及び廃液へ無作為にアクセスすることができる。
【0005】
本発明による器械の1つの特徴は、その構造が装置の様々なフロアを持つ垂直コラムの形を取ることである。装置のフロアはまとまって器械のすべての機能を果たし、器械を非常にコンパクトな配列体にし、水平投影において最小限の空間しか占めない。この配列体は研究所または臨床センターにおける空間の使用と言う観点から明らかな利点をもたらし、また、器械とこれを使用する者との間の関係において優れた人間工学を与える。使用者は器械に対して1つの位置から器械に必要なすべての操作を実行することができる。
【0006】
Orto Diagnostic Systems Inc. 社によるPE0628822号及び出願者によるPE00402773号など、ゲルカード上の試料の分析結果を自動的に取得するための多数の形式の器械が、現在知られている。しかし、これらの既知の器械は本発明による設備のように連続的かつ無作為に使用することはできず、また、その構造は中心軸の周りを回転する試料と試薬用の支持体のセットを基盤とする極性タイプ(polar type)のものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による器械においては、ゲルカードは、X、Y、Z座標軸に沿ってフロアの表面積全体をカバーする移送装置によって自身のフロア上を移動するか、または上部フロア(この上で、試薬、試料及びゲルカードがピペット操作される)と器械の中間フロア(カード及び試薬を支える)(またはその逆)との間を昇降させるための装置によって移動する。フロア間を昇降させるための装置は、準備された試料を受け入れかつ保温期間中必要な時間試料のカードを支持するためのカードキャリアである。明らかに、この装置は各フロア上を垂直に移動する能力も有する。
【0008】
下部フロアは洗浄液、廃液及び使用済みカード用容器ならびに基本的にピペットプローブの外側及び内側洗浄を制御するように設計された流体装置及び希釈が実施されるウェル( well ;槽)を保持する。
【0009】
器械はコンピュータ及びタッチスクリーンを備える制御手段を組み込んでおり、使用されるソフトウェアに従った器械の自動制御及び分析結果または器械のその他の操作データの表示の両方を可能にする。
【0010】
洗浄装置は、基本的に、それぞれ2つの洗浄液及びリンス液用の下部フロアに配置される2つのタンク、並びに洗浄液を送り込んでピペットプローブ及び攪拌希釈装置の洗浄段階後に洗浄液を吸い出すためのポンプ装置を備える。
【0011】
保守及び清浄のための取り扱いを単純にして吊り下げ遠心分離機を単純に取り外すことによって底から外せるようにするために、ゲルカードは吊り下げ遠心分離機において遠心分離される。カードは遠心分離機の上部カバーの窓から挿入される。
【0012】
本発明による器械のもう1つの有利な特徴は、その構成要素の多くの多重的性質に起因しており、より大きな分析能力による連続運転を可能にし、試薬、試料、カード、使用済みカード及び廃液に無作為にアクセスできるようにする。
【0013】
理解が容易にできるように、本発明による器械の例として好ましい実施形態の図面が添付される。この例は、本発明の範囲を限定することなく本発明の詳細な説明の基本となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】操作位置にある本発明による器械の前面図である。
【図2】内部の構成要素の一部のレイアウトが分かるようにフロントカバー及び構成要素の一部を取り除いた器械の前面図である。
【図3】内部の構成要素の全体的レイアウトを示す器械の側面図である。
【図4】試料、試薬及び希釈液を保持する上部フロアに関する平面図である。
【図5】器械の中間フロアの平面図であり、ゲルカード用の支持体及び加熱及びリフト装置を示す。
【図6】器械の下部フロアの平面図である。下部フロアは、反応用の液体を保持し、使用済みカード及びピペットプローブ洗浄を制御するための流体用組立品を受けるためのものである。
【図7】遠心分離機、読取り機及び加熱保温器の配列体の図である。
【図8】加熱装置及びエレベータの前面図である。
【図9】器械において実施される希釈のための二重自己攪拌装置又はウェルの断面図である。
【図10】器械において実行される希釈のための二重自己攪拌装置またはウェルの平面図である。
【図11】ピペットプローブを支えるユニットの斜視図である。
【図12】バーコード読取り装置を組み込む図11と同様の斜視図である。
【図13】遠心分離機、カード運搬ヘッド及び中間フロアの配列体が示される断面詳細図である。
【図14】上部フロアの別の詳細図である。
【図15】下部フロア及び遠心分離機の詳細図である。
【図16】遠心分離機のうちの1つの平面図である。
【図17】図16の平面A−Aに沿って見た断面図である。
【図18】外部洗浄位置においてピペットプローブを洗浄するための配列体を詳細に示した図である。
【図19】ピペットプローブの内部洗浄を示す図18と同様の詳細図である。
【図20】ピペットプローブを支えるユニットの支持構造の下方からの斜視図である。
【図21】ゲルカードの「ラック」用の支持体またはボックスの斜視図である。
【図22】反応物及び希釈液を保持する要素の一部及び軌道攪拌手段を示す縦断面図である。
【図23】図22に示される品目の斜視図である。
【図24】試薬の支持体の平面図である。
【図25】図24の試薬用支持体の斜視図である。
【図26】加熱装置の側面図である。
【図27】ゲルカード加熱装置の平面図である。
【図28】下部フロアの廃物を収集するためのバッファ(buffer)装置の斜視図である。
【図29】閉鎖状態のタッチスクリーンの斜視図である。
【図30】開放状態のタッチスクリーンの斜視図である。
【図31】収納位置にある器械の前面からアクセスできる作業面の図である。
【図32】使用位置にある器械の前面からアクセスできる作業面の図である。
【図33】器械の圧力を制御する流体装置の図である。
【図34】器械の操作の流れ図である。
【図35】器械の操作の流れ図である。
【図36】試薬スタンドの斜視図である。
【図37】クランプホルダの斜視図であり、レーザー及びバー検出器を示す。
【図38】図37のユニットの図であり、クランプを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
器械の全体的構造は、図1、2及び3に示されるように単一のキャビネットにおいて重ねられた複数のフロアを配分したものとなっている。単一のキャビネットは前面を有し、これに様々な制御装置及びハンドリング装置が配置される。図1は、様々な液体用及び廃物収集用容器のための下部フロア1を示す。下部フロアは、前面からアクセスでき個数を変更可能な一連のボックス2を備える。最初の2つのボックスは洗浄液のビンを保持するためのボックスであり、その後に使用済みカード用の容器が続き、最後の2つのボックスは廃液用ボックスである。このフロア1には設備の流体装置を制御するための電子ユニットも在る。下で詳細に示されるように、中間フロア3において、この器械は、そのオリジナルの支持体上にあるカードを挿入するための多数のボックス(参照番号4で示される)並びに各々12枚のカード用の遠心分離機、保温器及び読取り機を含む。ボックスは各々直角のガイドによって支持される。ガイドはボックスが開けられるとき振動が生じないようにする。ボックスは電気安全ロックによって開閉される。安全ロックの操作のためには器械を制御するソフトウェアにアクセスしなければならない。同様に、器械は、任意のモジュールからカードを移送するためにクランプを持つ直線移動のアームを含み、アームはX、Y、Z方向の移動能力を持つ。1組の保温器は、下で詳細に説明するように、中間フロアと上部フロアとの間でカードを移送するために垂直に移動することができる。上部フロア5は、下で詳細に示すように、試薬の導入用の2つのボックス6及び試料の挿入用の4つのボックス7、並びに希釈用の二重ウェル及び試料及び試薬をピペットでカード上に移動するために座標上を直線的に移動するアームを含む。制御装置及び折りたたみ作業面8及びスクリーン9など付属要素へも器械前面からアクセスできる。これらは同様に器械本体内部に引き入れることができる。
【0016】
図2は、カバーの一部を取り除いて器械の全体的構造を詳細に示す。例えば、洗浄液を入れるため及び廃液及び使用済みカードを受けるための各種の取外し可能な容器2が下部フロアに示される。器械を移動するために器械は車輪を備えることが分かる(図1には車輪が図示されるが、図2及び3は部分的に分解された器械の図なので、車輪は図示されない)。
【0017】
図2は、座標軸に沿って上部ガイド11間を移動して中間フロアの横断面全体をカバーすることができるユニット10を示す。中間フロアにおいてユニットは個々のカードの移動のために様々な品目と一緒に移動する。これについては下で詳細に説明する。図2は、また保温器リフト装置用の垂直ガイド12の1つを示す。このユニットはカード上のラベルを読むためのバーコード読取り機及びボックス内の支持体におけるカードの存在を検出するためのレーザーセンサも備える。
【0018】
図2は、同様に、上部ユニット13を示す。上部ユニットはユニット10と同様、上部ガイド14上をX座標軸及びY座標軸に沿って移動して器械の横断面積全体をカバーすることができ、試料及び試薬をカード上にピペットで移動できるようにし、カードを読み取れるようにする。このために、器械の上部15には電子及び流体用組立品の各種の制御要素が含まれる。このユニットは、試料とカードとの間の間隔と同じ間隔を持つ2つのピペットプローブを含む。両方の抽出を同時に行うことができる。
【0019】
図4は器械の上部フロアの平面図であり、攪拌を必要とする試薬及び希釈液用の2つのボックス6、及び試料用の4つのボックス7、並びに4つの試料加熱保温器16を示す。加熱器16は各々図2及び3に示されるガイド12付きのリフト装置と関連付けられる。各保温器内で、カードは対向する磁石によって支持される。磁石は磁気によるクランプ留めを可能にし、ピペット操作中カードが動かないようにする。上部フロアには、希釈用の二重ウェル17、並びに図4の平面図では図示されないピペットユニット及びアームがある。図4は、また攪拌を必要としない希釈液及び試薬用の支持体セット18及び攪拌を必要とする試薬用の1組の容器19の個別配列体も示す。下で詳細に説明するように容器のために軌道攪拌装置が配置され、これらすべてが取外し可能なフロントボックス6内部にある。
【0020】
図5は保温器16及び垂直移動のためのガイド12(中間フロアと上部フロアとの間のリフト機能を果たすため)及び「ラック」または標準支持体20に組み込まれるカード用のボックス4を示す。
【0021】
図6は下部フロアの平面図を示す。下部フロアには洗浄液のビン、廃液のビン及び使用済みカード用の容器が入る各種のボックスが収容される。液体用容器またはビンの数は変更可能であるが、図示される状況においては、容器またはビン2用の合計4つのボックス、並びに使用済みカード用の中央ボックスがある。中央ボックスは、廃棄物用ボックスが取り外される時、バッファ(buffer)機能として使用済みカードを受け入れるように設計される中央容器21を持つ。すなわち中央容器を使用位置にするか、または下に詳細に示すように手動でこれを回転させることができる。下部フロアの後部22は器械用の流体装置並びに電子制御装置を収容するためのものである。
【0022】
図7において下から見た図で示される中間フロアには、例として示される器械において2つの遠心分離機23がある。遠心分離機は各々、ゲルカードを遠心分離するために多数の放射状溝を有する(図示される例においては各遠心分離に12個の溝)。ゲルカード用加熱器16及びカード読取り機本体142(読取り装置38と共に)がこの図に示される。
【0023】
図8は加熱及びリフト組立品を示す。すなわち中間フロアから上部フロアへ持ち上げられるゲルカード用の保温器及びリフト装置を示す。組立品は各々、ガイド12及び前記ガイドに沿って駆動され案内される加熱器16を備える。ガイド及び加熱器はフレキシブル接続によって電気的に接続される。
【0024】
図9及び10は希釈を実施するための二重装置または「ウェル」を示す。ウェルは、中間弾性ブロックまたは「サイレントブロック」25、二重ウェルのセット28の中に軌道攪拌を生じる偏心質量27を支えるボディ26を持つキャリアボディ17を備える。この二重ウェル28は、液体用の取入れ口31及び底部の排出口32を備えるキャビティ29及び30を有する。ボディ17は下部固定ベースに取り付けられる。
【0025】
図11にはピペットユニット13が詳細に示される。その構造は上部フロアの上部のガイド(すなわち、図2及び3に示されるガイド14)上を動く上部カード33によって分かる。図2及び3に示されるガイド14はユニット13が座標軸X、Yのセットに沿って動くことができるように構成される。すなわち、器械の横断面の表面積全体をカバーするように構成される。または同様に、保温器16の中に配置されるどのカードにもまたは支持体6及び7の中の希釈液、試薬または試料用のどの容器にもアクセスできるようにするために、図4に示される上部フロアの全表面積をカバーするように構成される。ユニット13は2つのピペットプローブ34を有する。2つのプローブは、垂直ガイド36上を案内されるユニット35の作用によって個別に垂直に動く。ユニットは、また、ピペットプローブ洗浄器37も有する。これについては下で詳細に説明する。同様に、2つのバーコード検出器(そのうち1つが54として図20に示される)及び試料チューブ及びボックス内の試薬/希釈液のビンの存在を検出するためのレーザー検出器(図示せず)を備える。
【0026】
図13は中間フロア3の詳細を示す。この図において、中間区画のフロア40から吊り下げられる遠心分離機23のうち1台が示される。
【0027】
図から分かるように、遠心分離機は吊り下げられるので、器械の下部フロアを介してこれにアクセスすることができる。遠心分離機は単に中間フロア40に取り付けられるだけなので、これを取り外すのは容易である。これは遠心分離機の取り付け及び整備を大幅に単純化する。遠心分離機の中のカードへのアクセスはフロア40のウィンドウ(図5において番号41及び42で示される)を介して行われる。
【0028】
図14は上部フロア5の詳細を示しており、希釈液及び試薬用容器の支持体18、19並びにガイド14に沿って中間フロアの表面積全体にわたって動くユニット13が示されている。
【0029】
図15は、図13及び14と同様の下部フロアの図を示し、遠心分離機23及び洗浄液、廃液などを入れるための容器2の1つが示されている。
【0030】
図16及び17はそれぞれ遠心分離機の平面図及び断面図を示しており、遠心分離機23が上部カバー43を有することが分かる。上部カバーを介して遠心分離機を取り付けることができ、上部カバーは遠心分離機を吊り下げて、開口41を介してアクセスできるようにする。開口41はゲルカード用の運搬クランプを支える移動ヘッド10によって上部からゲルカードを着脱できるようにする。カード支持体が回転中心軸に対して放射状に配置されるように遠心分離機が吊り下げ式に取り付けられることが断面図から分かる。
【0031】
図18及び19は2本のピペットプローブ34の各々の洗浄の詳細を示す。ガイド導管に沿って移動するピペットプローブはブロック37内部に達し、ブロック37内部で多少大きい直径を持つ管状エリア44が排出口46及び47のうち1つを介して洗浄液を受け入れる。洗浄液はピペットプローブの外面を洗浄し、出口開口45によって吸引される。外部洗浄サイクルの後、ピペットプローブは図19に示される配列体において内部洗浄される。図19においては、ピペットプローブ34は上方に移動しており、管状部44から離れるので、内部を洗浄することができる。必要であればこのサイクルを繰り返すことができる。
【0032】
図20は、図2において番号14で示される1組のガイドから吊り下げられる、ピペットプローブを支えるためのユニット(番号13で示される)の取付けを示す。ガイドは、基本的に、ユニット13が長手方向に移動するためのガイドとなるクロス部材48及びクロス部材48が移動するためのガイドとなる別のクロス部材49を備える。これによって直交する2つの軸の移動が可能となり、ユニット13がピペット操作のために上部フロアの任意の地点に移動できるようにする。
【0033】
この図は、ピペットプローブからの排出口50及び51並びに案内・洗浄ブロック37及びピペットプローブ操作装置52及び53を示す。
【0034】
読取り装置囲い込み内部には、バーコード読取り機54および読取り支援のためのそのミラー144もある。レーザー存在検出器143も図示される。このように、同一の読取り・検出部分がバーコード読取り機及び近接することによって作用するレーザー存在検出器を含む。
【0035】
図21はゲルカードを保持するための支持体(この支持体は図5においては番号4によって示される)の斜視図を示し、カード支持体20のうちの2つの配列体を示す。支持体20からのカードの取り出しは図2に示されるユニット10によって行われる。ユニットはゲルカードの移送及びその後の解放のためのクランプを有する。この移動は基本的に支持体20と保温器との間で行われ、そこから器械の上部フロアに移動される。ここで、ピペットプローブは分析のために試料を挿入することができる。器械の操作全体はその電子コントローラによって自動的に制御される。コントローラは図示されないが器械の上部に組み込まれ、格納式タッチスクリーン9(図29及び30において詳細に示される)を介してアクセス可能であることが好ましい。これらの図において、スクリーンがフレーム55及びスクリーン自体56(フレームに対して折り曲げられる)及びスクリーン前部部材9によって形成される折り畳み式組立品を備えることが分かる。前部部材9が器械内部から引き出されると、スクリーン56が出てきて、情報を読み取れるようにし、器械と命令を交換できるようにする。この点に関して、器械の特性は、自動操作を中断せずにカード、試薬、液体またはその他の器械の構成要素へアクセスすることを阻害することなく器械が完全に自動的に操作できるようにする。
【0036】
図4に関して説明したように、試料、試薬及び希釈液用の支持体は上部フロアに含まれる。図22及び23に示されるように支持体19は2つの偏心質量57及び58(図22)の力を受けて、試料、試薬及び希釈液の一部例えば支持体19上に配置されるものを軌道攪拌することができる。偏心質量は支持体19従ってその上に配置される容器を軌道変位させる。攪拌時間は、器械用のマイクロコントローラによって制御される。
【0037】
図24及び25はそれぞれ希釈液及び試薬を配置するための支持体18の平面図及び斜視図である。空間は、ここに収容される容器に適するサイズを持つ。この場合には、大きいほうの直径のキャビティ59及び対になった小さいほうの直径のキャビティ60が図示される。支持体土台19によって生成される攪拌を受けるとき支持体18に取り付けられている容器を側方に制止するために中間壁の間に重ね板ばねの配列体61が挿入される。1つのキャビティ59及び2つのキャビティ60から成る1組のための保持ばねが、番号62、63及び64で表される。好ましくは、この保持要素は上部ハンドル65と結合される。
【0038】
図26及び27は、熱伝導を良くするためにアルミニウムで作られる保温器を示す。保温器はキャビティ66の中に複数のカードを収容するためのものであり、カードを加熱するためにペルティエユニット67に組み込まれる手段を有する。ペルティエユニットは、幅広のU字型部品141を介して保温器またはカード支持体16に物理的に取り付けられる。U字型部品は様々なキャビティ66への熱の流れが同じになるようにするために側面にウィンドウ68を備えて、加熱装置67と前記キャビティ66との間の熱の流れの差を補償する。
【0039】
図28は、器械における分析工程の終了後、主ボックスを空にするために主ボックスが取り外されたときの使用済みカード用バッファ収集器21の斜視図である。この収集器21は底部に袋形ボディ69を有し、装置70を貫通する長手軸の周りを回転する。装置はその上面に長手方向の溝71を有する。主ボックスが所定の位置にないとき、カード移送器は廃棄すべきカードをこの溝の中に貯める。器械は廃棄物用主ボックスが開けられると主ボックスによって起動される傾斜ドアを有する。その後ドアは閉じて、組立品はボックスとして作用する。廃棄物用主ボックスが器械に挿入されると、ボックスはレバーとして作用して、傾斜ドアを開くので、カードは主ボックスに落ちる。
【0040】
図31及び32は図1に示される格納式プラットフォームすなわち作業面9を詳細に示す。この作業面は前面8及び支持フレーム74と関連付けられる上面72を有する。このようにして、操作者はノート取りまたはその他の細々した目的のためにプラットフォームまたは作業面を簡単に使用できる。
【0041】
図33は、器械内の流体装置の一部の要素の配列体を模式的に示している。流体装置は容器から一定の圧力で流体を供給するためのものである。図33は少量ずつ供給しなければならない液体用の容器75、チューブ78及び79を介して比例弁77に接続されるポンプ76(共通分配点80へ一定の圧力で液体を供給する。共通分配点は対応する電動弁82を介して各種出口回路81へ通じる)。センサ83は共通点80において圧力値を捕捉して、これを電子制御装置84へ送る。制御装置は比例弁77を制御する。
【0042】
図34及び35は各々、本発明による工程図を示しており、様々な操作段階が示される。図34は器械の充填から結果の検討及び表示まで工程全般を示しており、図34は工程中のいつでも実施可能な内容の管理を図式的に示している。
【0043】
本発明による工程及び器械のもっとも重要な特徴の1つは、同時発生する可能性のある操作を必要に応じてずらしながら異なる工程を同時に実施するために、器械の自動操作と器械の手動介在による操作とを組み合わせることができることにある。
【0044】
図34は器械のロード(荷積み)/アンロード(荷降し)工程85を示す。ロード/アンロード工程85は試料のロード/アンロード工程86を含むことができる。その後、次の試料配置及び同一性確認の段階87が実施され、その後自動89または手動90で作業負荷(working load)88が割り当てられる。その後作業負荷を開始するための準備工程91が行われる。このとき、リソース及び未完了の作業が存在する状態で、読取り機92によって表示される連続並行的に起こる工程が開始され、連続並行的に起こる時間差(オフセット)作業が実施される。作業負荷を開始するための準備には、試薬の攪拌93、複合読取り装置を用いるマイクロチューブの無欠性のチェック94、保温器の準備95及び保温器の充填工程96が含まれる。この後、保温器(保温器において加工段階96が実施される)が持ち上げられ、事前に定められた手順及びパラメータに従ってその後のピペット操作工程97が実施される。この中には、例えば、血清の少量毎供給工程97、試料特に赤血球の希釈及び均質化98、反応赤血球の少量毎供給99、他の試薬の少量毎供給及びピペットプローブ及び希釈ウェルの洗浄101が含まれる。次に、段階102において、保温器が器械の中間フロアに下げられ、段階103において時間105及び温度106など様々な制御パラメータ104に従って保温が行われる。次に、段階107において保温器から遠心分離機へカードが移送され、その後遠心分離108される。この時、様々なパラメータ109特に速度110、時間111、加速112及び制動113が考慮される。次に、段階114においてカードは遠心分離機から読取りヘッドへ移送され、読取り115が実施され、その後ウェルにおけるカードの凝固の認識116、マイクロチューブが無傷であるかのチェック117、少量毎供給された量のチェック118、試料の反応例えば脂肪血、溶血などのチェック、及び結果の判読120の副段階が実施される。その後、カードは処理122のために段階121へ戻るか、または副段階123における手動チェックのために操作者へ戻される。最後に、段階124において結果の検討及び公表が行われる。再検討125及び印字126はそれぞれ合格127、処理128、修正129及び繰り返し130の副段階に関係し、手動介在は131で表され、プリンタによる印字は132で表される。
【0045】
図35は容器の取り扱い133を示している。容器の取り扱いは工程のどの時点でも実施することができ、副段階135におけるタイプ、ロット及び使用期限など試薬の同一性確認及び配置位置を含めて試薬のロード及びアンロード134、タイプ及び使用期限などカードの同一性確認及び配置位置137を含めて副段階136におけるカードのロード及びアンロード、洗浄液の充填138、廃液の排出139及び使用済みカード140の排出など、多数の副段階を含むことができる。
【0046】
図36は、五の目形配列体のキャビティ151及び152を持つ試薬用ラックを示す。
【0047】
図37及び38は、クランプ153、レーザー存在検出器154及びバーコード読取り機155を持つカードキャリアユニット10の斜視図である。
【0048】
説明及び添付図面は非限定的例なので、本特許出願を読んで理解した後に当業者が導き出すことができる修正及び変更は本発明の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルカード上の試料を自動分析するための器械であって、
キャビネット内に垂直の積み重ね式に配置される複数の別個の区画と、
ゲルカードの垂直移送用の手段と、
直交する座標軸X、Y、Zに沿って移動することによって前記垂直積み重ね区画またはフロアのうち少なくとも2つにおいて前記区画の横断面全体を移動可能である、カード及びピペットプローブを移動するためのユニットを移送するための手段と、
試料、試薬、カード、洗浄液及び廃液のような必要な材料を無作為にロード(荷積み)及びアンロード(荷降し)するために、手動操作と同時に自動操作を実行可能な制御手段と、を備えた、
単一の運搬可能な構造を有することを特徴とする、ゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項2】
該器械が、下部区画に洗浄液、廃液及び使用済みカードを収容するための容器を含む多数の取外し可能なボックスを有することを特徴とする、請求項1に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項3】
使用済みカード用の前記ボックスが使用済みカードを受け入れることができ、前記器械が中断なく作動できるようにするために前記使用済みカードを保持するために主収集容器が取り外されたときに限り作動するバッファ容器も含むことを特徴とする、請求項2に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項4】
中断なしに前記器械の連続運転ができるようにするために異なる分析工程の段階を、時間差をおいて連続並行的に実行するための電子制御手段を有することを特徴とする、請求項1に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項5】
前記器械の様々なフロア間を垂直移動するための前記手段が垂直ガイド及びゲルカード用の支持体を持つ各種の装置を備え、前記支持体を前記ガイド上で移動させて、実行すべき工程に従って様々なフロア間でこれを移送できるようにすることを特徴とする、請求項1に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項6】
前記ゲルカード用の前記支持体が保温器と同時に使用するための加熱手段を有することを特徴とする、請求項5に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項7】
前記ゲルカード用支持体用の前記加熱手段が前記支持体と関連付けられる下部加熱ユニットを備え、前記支持体がピペット操作時に前記ゲルカードが動かないようにするためのクランプをともなう前記ゲルカード用の複数の配置位置を有することを特徴とする、請求項6に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項8】
前記保温器ハウジング内の前記ゲルカードを保持するための前記クランプが、対面して配置され相互に吸引する磁気手段を備える複数の可動式カードを備え、該対のカードの間に配置される前記ゲルカードをクランプ留めすることを特徴とする、請求項7に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項9】
前記発熱ユニットと関連付けられる前記ゲルカード用の前記ハウジングを保持するボディが高い熱伝導率を有する材料で作られ、前記ゲルカードを均等に加熱するように側方にウィンドウを備えて前記発熱ユニットと前記ゲルカード用の前記様々なハウジングとの間の熱の経路を同じ形式にすることを特徴とする、請求項6に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項10】
該器械が複数のボックスを収容する中間区画を有し、前記ボックスを前面から取り出すことができ、前記ボックスが前記オリジナルのカード支持体を挿入できるようにし、前記カード用の移送クランプを支えるユニットによって任意のカードにアクセス可能であり、前記ユニットが直交するX、Y、Z座標軸に沿って移動して、前記器械の横断面全体をカバーすることができ、前記ゲルカード及び前記ゲルカード用の保温器支持体の両方にアクセスでき、前記ユニットの下部位置がその垂直移動ガイドに沿って実質的にボックス内に配置されるゲルカードの高さに一致し、前記ユニットがさらにカード上のラベル用のバーコード読取り機及び前記ボックスの前記支持体にカードがあるか否かを検出するためのレーザーセンサを備えることを特徴とする、請求項1に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項11】
前記中間区画が、結果を判読するための前記ゲルカード用の読取り装置を持つ固定的配列のボディを有し、前記ゲルカード用の前記移送クランプを支えるユニットによって前記ボディにアクセス可能であることを特徴とする、請求項10に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項12】
前記カード用の前記遠心分離機が前記器械内部の前記支持構造において前記ボックスの下に吊り下がり、保守、清浄及びその他の目的のために前記ボックスの底を介する着脱を実施するのを助けることを特徴とする、請求項1に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項13】
前記遠心分離機が、前記ゲルカードを支える前記クランプの前記キャリアユニットによって前記ゲルカードの1枚を出し入れするための開口を持つ上部カバーを備えることを特徴とする、請求項12に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項14】
前記ゲルカード用の前記オリジナルの支持体を支える前記取外し可能ボックスが、前記ボックス間に間隔を置いて配置されて、前記ゲルカードが前記遠心分離機と前記読取り機など他の装置との間でまたは前記カード処理ボックスへ垂直に移動できるようにすることを特徴とする、請求項1、12及び13に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項15】
該器械の前記上部区画が、前記上部区画に配置される全ての要素及び試薬及び試料容器のレベルにある高位置の前記保温器にアクセスできるようにするために前記器械の横断面積全体をカバーするように直交する座標軸X、YZに沿って移動できるユニットと、試薬の挿入のために前記前面から取り外せるボックスと、試料の挿入のために前記前面から取り外せるボックスと、試料を希釈するための二重容器と、を有することを特徴とする、請求項1に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項16】
前記上部区画において直交する座標軸に沿って移動できる前記ユニットが、2つのカードウェル、試薬容器、試料容器または希釈を行うために前記装置または二重ウェルの中へのピペット操作のために、取外し可能でかつ独立して制御可能なピペットプローブを有することを特徴とする、請求項15に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項17】
前記ユニットが、試薬及び試料の容器の存在を検出しかつ試料チューブの直径を測定するためのレーザー存在検出器、並びに各試薬または試料ボックスの両側に読取り機を配置して前記試薬及び前記試料のラベル上のコードを読み取れるように前記ユニットに対して相対的に垂直に移動できるボディと関連付けられるバーコード読取り機を含むことを特徴とする、請求項16に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項18】
該器械が前記上部区画の中に電源及び制御コンピュータを含めて全ての電気制御要素を含むブロックを備えることを特徴とする、請求項15記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項19】
試料の希釈を実施するための前記二重容器が希釈用の二重キャビティを持つ上部ボディを支える固定支持体を備え、前記キャビティの各々が自身の液体取入れ口及び排出口を有し、前記ボディが弾性ブロックによって前記固定支持体に取り付けられ、下に回転可能な偏心質量を有し、該偏心質量が前記希釈用キャビティを支持する上部ボディに対して軌道攪拌運動を与えることができることを特徴とする、請求項15に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項20】
前記ピペットプローブを支える前記可動ユニットが前記ピペットプローブを洗浄するためのブロックと関連付けられ、前記ブロックが前記ピペットプローブを取り囲む管状導管を備え、前記導管の各々に前記下部フロアから洗浄液及びリンス液が供給され、前記ブロックが使用済み洗浄液を排出口へ導くために前記使用済み洗浄液を収集するための取水導管より高い位置に配置される導管を有することを特徴とする、請求項16に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。
【請求項21】
前記器械において使用される液体の供給量及び圧力を制御するためのユニットを有し、前記器械が、導管が様々な電磁弁に分岐する点への供給導管を備え、該導管の中にインペラポンプが配置され、各ポンプに対する分岐として前記電磁弁への供給点における前記液体の圧力のセンサに接続される電子制御装置を介し比例弁に動力が供給され、その結果供給圧力が制御されることを特徴とする、請求項1に記載のゲルカード上の試料を自動分析するための器械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2009−288248(P2009−288248A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130955(P2009−130955)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(508377211)グリフォルス,ソシエダッド アノニマ (3)
【Fターム(参考)】