説明

ゲル化剤及びゲル状組成物

【課題】特徴的な粘弾性を有し、室温程度の温度領域でも安定性、安全性が高くかつ皮膚に塗布したときでも皮膚への刺激が低いゲル化剤の提供。
【解決手段】HLBが18のショ糖脂肪酸エステル、並びに炭素数が5以上のアルキル鎖を有する1価アルコール及び/又はアルキル鎖の炭素数が8以上の飽和又は不飽和脂肪酸を含有するゲル化剤であって、水性媒体に添加することにより増粘又はゲル化したゲル状組成物が得られる。ゲル状組成物は洗浄剤、化粧料、医薬品等に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲル化剤及びゲル状組成物、特にHLBが18のショ糖脂肪酸エステルを用いたゲル化剤及びゲル状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤、化粧品、医薬品等の分野においては、そのハンドリング性の向上や剤型保持の為に種々の高分子、無機化合物、界面活性剤等がゲル化剤として用いられている。例えば、高分子としては多糖類、カゼイン等の天然高分子、ポリオキシエチレン、アクリル酸ポリマー等の合成高分子が、また、無機化合物としては、モンモリロナイトをはじめとする各種粘土鉱物やシリカなどが、さらには、界面活性剤として、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性の界面活性剤が、ゲル化剤の目的・効果に応じて適宜選択使用されている。
【0003】
このようなゲル化剤を医薬品、化粧品に利用する場合、これらは人体に使用するために高い安全性を要求されることは当然ながら、同時に外用として皮膚に対して使用されるものの場合には、使用したときの感触、すなわち使用性のよさなどが要求される。また、シャンプーやボディソープ等の身体洗浄剤として用いる場合も安全性が高い方が好ましく、使用感の優れたものが求められている。このため、上記の目的で使用されるゲル化剤は、高い安全性、好ましい使用性、及び良好な増粘ゲル化能をあわせ持つことが要求されるが、従来のゲル化剤には上記3点を充分に満たすものは知られていなかった。
【0004】
例えば、高分子系のものは安全性が比較的高く、少量の添加で良好な増粘ゲル化能を発揮するが、皮膚に使用した場合は高分子特有の「ぬめり感」を生じ、好ましくない使用感を有する。また、粘土鉱物はチキソロピ−性が高く、さっぱりとした使用感であり使用性の点では好ましいが、離液が起こりやすく不安定である。界面活性剤系のものとしては、種々のものが用いられているが、安全性に問題があったり、塩濃度やpH等の液組成の影響を受けやすかったり、塗布時の伸びが不十分であったりした。
特許文献1〜3には、ショ糖脂肪酸ジエステルを含有するゲル化剤が示されているが、皮膚上に塗布したときの使用感が十分でなかった。
【0005】
このため、安全性、使用性及び増粘ゲル化能に優れたゲル化剤又はゲル状組成物の開発が望まれていた。
一方、使用性に優れたものとして、界面活性剤分子によって、Worm-like ミセル(ひも状ミセル)と呼ばれる長いひも状のミセルが形成され、それらが互いに絡み合うことによって高粘性を示す、粘弾性流体とよばれる系がある(非特許文献1)。粘弾性流体は、大きな粘性と大きな弾性を合わせ持っており、例えばサリチル酸セチルピリジニウムの様な、強固に結合した対イオンの存在下での4級アンモニウム塩型界面活性剤の水溶液に関する研究が多くなされている(非特許文献2)。また、他のカチオン性界面活性剤である、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドも多量の塩の存在下で粘弾性的な挙動を示す(非特許文献3)。しかし、これらの粘弾性流体は安全性の面から医薬品、化粧品の用途に十分に適しているとはいえなかった。
【0006】
また、特許文献4には、アニオン性界面活性剤を必須成分とし両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、電解質、水溶性高分子を含む、粘弾性界面活性剤水溶液を用いた頭髪・皮膚用洗浄剤が示されている。その中で、身体洗浄剤の使用に際して好ましい粘弾性挙動について述べられており、容器からの取り出しおよび皮膚上への塗布における粘弾性挙動が議論されている。弾性は大きすぎると塗布が難しくなり好ましくない。一方、粘性が高すぎると、容器の取り出し口から残った液がいつまでも糸を引いてたれる状態になる。適切な溶液挙動は弾性と粘性のバランスが取れている場合にのみ得られる。好ましい流動挙動と塗布挙動は、粘弾性流体の剪断弾性率G0が50Paから500Paであり、動的貯蔵弾性率G’と動的損失弾性率G”が一致する周波数の範囲が、0.1rad・s-1以上60rad・s-1以下である場合に得られるとされている。 また、発明者らは、このうち特にG0が100Pa以上であり、動的貯蔵弾性率G’と動的損失弾性率G”が一致する周波数の範囲が、0.01付近、詳しくは0.001rad・s-1以上1rad・s-1以下である場合に、特徴的な粘弾性を示すゲル状組成物を得ることができることを見出した。
【0007】
さらに、特許文献5には、特定範囲のHLBのショ糖脂肪酸エステル又は/及びポリグリセリン脂肪酸エステルと、特定範囲のHLBの界面活性剤を併用し、使用感の優れた粘弾性挙動を示す増粘ゲル化剤について述べているが、ここで得られた増粘ゲル組成物は、その優れた粘弾性が室温程度(30℃以下)の温度領域で保存すると経時的に粘弾性が失われ、安定な粘弾性が得られなかった。
【0008】
以上より、上記のような粘弾性挙動を有するゲル状組成物については、室温程度の温度領域においても安定に使用感が良好なものとして医薬品、化粧品の用途としての開発が望まれていた。
【特許文献1】特開平5−279651号公報
【特許文献2】特開平7−26244号公報
【特許文献3】特開平7−26245号公報
【特許文献4】米国特許第596550号明細書
【特許文献5】特開2005−82650号公報
【非特許文献1】Current Opinion in Colloid & Interface Science 6 (2001) 451−456
【非特許文献2】H.Hoffmann and H.Rehage, in Surfuctant Solutions, Surfactant Science Series, vol.22, R.Zana, Ed., New York, 1987, p.209
【非特許文献3】A.Khatory et al, Langumuir, vol.9, p.1456 (1993)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、ゲル化剤及びゲル状組成物を身体洗浄剤、化粧料、医薬品等に用いる場合は、高い安全性と、皮膚への低刺激性、及び良好な増粘ゲル化能が要求されていたが、従来技術ではその全てを併せもつ十分なゲル化剤を得ることが出来なかった。特に従来のゲル化剤及びゲル状組成物はイオン性界面活性剤を用いたことにより皮膚への刺激が強いことが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定範囲のHLBのショ糖脂肪酸エステルと皮膚への刺激が少ない考えられる特定の1価アルコール又は、特定の脂肪酸とを併用することによって、上記の優れた粘弾性挙動を示すゲル化能を有するゲル化剤を見いだした。
【発明の効果】
【0011】
本発明のゲル化剤を用いることにより、特徴的な粘弾性を有し皮膚に塗布したときでも皮膚への刺激が低く、かつ安全性が高いゲル状組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明につき、詳細に説明する。
(1)ゲル化剤
ゲル化剤とは、これが添加される水性媒体を増粘およびゲル化させる剤である。本発明のゲル化剤は以下の(a)成分であるHLBが18のショ糖脂肪酸エステル、(b−1)成分である炭素数が5以上のアルキル鎖を有する1価アルコール及び/又は(b−2)成分であるアルキル鎖の炭素数が8以上の飽和又は不飽和脂肪酸を含有する。
【0013】
尚、本発明において、成分であるショ糖エステルのHLBは、下記のグリフィンの式によって定義する。
【0014】
(数1)
HLB=(親水基部の分子量/界面活性剤の分子量)×20
【0015】
<(a)成分:ショ糖脂肪酸エステル>
本発明で使用されるショ糖脂肪酸エステルは、HLBが18のものである。HLBが低すぎると水への溶解性が低下し、沈殿が生じる場合があり、HLBが高すぎるとミセル形成能が低下し、ゲル化が起こらない場合がある。
ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また直鎖状脂肪酸でも分岐状脂肪酸でもよく、さらにはヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。構成脂肪酸の炭素数は、通常6以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上であり、通常22以下、好ましくは18以下、さらに好ましくは16以下である。構成脂肪酸の炭素数が少なすぎるとミセル形成能が低下し、増粘ゲル化が起こらない場合があり、多すぎると、融点が高くなり低温での安定性が低下する場合がある。これらの脂肪酸は2種以上併用してもよい。
【0016】
具体的には、これらの脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルのモノエステル含量は90〜100%である。モノエステル含量が少なくジエステル以上の成分が多いと、ひも状ミセルよりもラメラ液晶が形成しやすくなり、増粘ゲル化が起こらない場合があり、増粘ゲル化が起こっても好ましい粘弾性挙動が得られない。
【0017】
<(b-1)成分:1価アルコール>
本発明で使用されるアルコールは、水酸基を1つもつ1価のものであって、炭素数が5以上18以下、好ましくは5以上9以下である。炭素数が多すぎると系のクラフト点が上昇し、固体が析出する場合がある。
1価アルコールのアルキル鎖の構造は飽和鎖状でも不飽和鎖状でもよく、また直鎖状でも分岐状でもよい。これらのアルコールは2種類以上併用してもよい。
具体的には、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、イソステアリルアルコール、オクタデセノール、オクタデセジエノール等が挙げられる。
【0018】
<(b-2)成分:脂肪酸>
本発明で使用される脂肪酸は、炭素数が8以上18以下である。炭素数が多すぎると系のクラフト点が上昇し、固体が析出する場合がある。
脂肪酸のアルキル鎖の構造は飽和鎖状でも不飽和鎖状でもよく、また直鎖状でも分岐状でもよい。これらの脂肪酸は2種類以上併用してもよい。
具体的には、ヘキサン酸、ペプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘプタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸などが挙げられる。
【0019】
<ゲル化剤の混合比率>
(a)成分、(b)成分との混合比率は、(b)成分/((a)成分+(b)成分)が、重量%で、通常1%以上、好ましくは5%以上であり、通常15%以下、好ましくは10%以下である。
【0020】
<ゲル化剤の調製方法>
本発明のゲル化剤は、必ずしも均一化しておく必要はないが、均一化しておいた方がゲル状組成物を調製することが容易であり、調製時間を短縮することができる。ゲル化剤の均一化は、各成分を撹拌混合することによって行うことができる。常温では粘度が高すぎて混合が困難な場合は、加温して流動性を高めた状態で撹拌混合してもよい。また、粉体状の成分と液状の成分を混合する場合には、先に粉体状の成分を水やアルコール等の適当な溶媒に溶解した後、液状の成分をそこへ添加して撹拌混合した後、溶媒を留去して調製してもよい。
【0021】
(2)ゲル状組成物
本発明のゲル状組成物は、増粘又はゲル化した組成物であって、ゲル化剤及び水性成分を含む。ゲル化剤と水性成分の好ましい混合比率は、ゲル化剤/(ゲル化剤+水性成分)が、重量%で、通常0.01%以上、好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは1%以上であり、通常70%以下、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下である。
【0022】
<水性成分>
本発明のゲル状組成物に含まれる水性成分とは、通常は水を意味するが、水とエタノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等のアルコールとの混合液としてもよい。水とアルコールとの混合液の場合には、混合比率には特に制限は無いが、水の含有量は、溶媒中、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。
【0023】
<その他の成分>
本発明のゲル状組成物は、その用途に応じて、その他の成分を含有してもよい。例えば、洗浄剤用途に用いられる場合には、洗浄力を充分に発揮するために、キレート剤を配合してもよい。このキレート剤を用いることで、カルシウム、マグネシウム等を含有する硬水中でスケールの発生による硬水水溶液の白濁を防げるばかりでなく、硬水中での洗浄力、起泡力、泡の感触を保つことができる。このようなキレート剤としては、特に限定されず従来と同様のものが用いられ、具体的にはクエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、グルタミン酸塩、ピロリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、グルコン酸塩、ニトリロトリ酢酸塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体塩、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体塩、無水マレイン酸−オレフィン共重合体塩、無水マレイン酸−メタクリル酸共重合体の塩、無水マレイン酸−酒石酸縮合体、ゼオライト、トリポリリン酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレンジアミン等が例示される。これらの中でも特に、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、グルタミン酸塩、ピロリン酸塩等は、人体への安全性が高く、環境汚染が無く、ゲル状組成物を構成する水、アルコール等と相溶性が高く、洗浄力、汚れ分散力、起泡力、泡の感触も優れているので好適に用いられる。これらの群より選ばれる一種または二種以上のキレート剤は、通常0.01〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、本発明のゲル状組成物に含有される。
【0024】
この他にも、本発明のゲル状組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、通常の洗浄剤組成物に慣用される添加成分の中から任意のものを選択して添加してもよい。このような添加成分としては、例えば、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、あるいはカルボキシベタイン型、イミダゾリニウム型、スルホベタイン型、アミノ酸系界面活性剤などの人体に対して穏和な界面活性剤、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の無機ビルダー、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の流動性向上剤、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤、さらには香料、着色剤、保湿剤、殺菌剤、酵素、抗炎症剤などが挙げられる。
【0025】
<ゲル状組成物の調製方法>
本発明のゲル状組成物は、水性成分にゲル化剤及び必要に応じてその他の成分を均一に溶解することによって得られる。
【0026】
(3)ゲル状組成物を含有する洗浄剤、化粧料、医薬品
本発明のゲル状組成物は、洗浄剤、化粧料、医薬、食品、消臭剤、入浴剤、芳香剤、脱臭剤等として常温でゲル状を呈する各種製品に用いることができる。中でも洗浄剤、化粧料、医薬品の用途に適している。例えば、洗浄剤としては、食品用洗浄剤、食器洗浄剤、厨房用洗浄剤、洗顔料、ボディーソープ、シャンプー、リンス等が挙げられる。化粧料として、クリ−ム、乳液、ローション、クレンジング料、浴用化粧料、保湿化粧料、血行促進・マッサージ剤、パック化粧料、頭髪化粧料等が挙げられる。医薬品としては、軟膏剤、成形パップ剤、徐放製剤基材、ドラッグデリバリーシステム担体、電気泳動用ゲル等が挙げられ、ゲル状組成物は主に医薬品基剤として用いられる。
【0027】
(4)ゲル状組成物の動的粘弾性挙動
本発明で得られるゲル状組成物はMaxwell流体の挙動を示すものが好ましい。Maxwell流体ではその動的粘弾性において以下の式が成り立つ。
【0028】
(数2)
G’=G0ω2τ2/(1+ω2τ2
【0029】
(数3)
G”=G0ωτ/(1+ω2τ2
【0030】
ここで、ω(rad・s-1)は周波数、τ(s)は緩和時間、G0(Pa)は剪断弾性率、G’(Pa)は動的貯蔵弾性率、G”(Pa)は動的損失弾性率である。
【0031】
この式において、高周波数側すなわち剪断速度の速い領域ではωτ>1となり、G’とG0がほぼ等しくなる。また、G’=G”のとき、G0=2G’、τ=1/ωとなる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。尚、本発明は実施例に限定されるものではない。また、配合量は特に指定がない限り重量%で示す。
[ゲル状組成物の調製]
表1に示す組成の界面活性剤とアルコール、脂肪酸をゲル化剤として用いてゲル状組成物を調製した。ゲル状組成物は、(a)成分、(b)成分、水性成分を加えて撹拌混合することによって調製した。
【0033】
【表1】

【0034】
[増粘ゲル化の状態]
組成物を調整後、30℃の恒温槽で1日間静置し、固体析出の有無の評価と増粘ゲルの状態をRheometric Scientific F.E.Ltd社のARES1KFRTN1-FCOを用いて、25℃における静的粘度として剪断速度0における粘度(Pa・s)を測定した。また、これに基づき、増粘ゲルの状態を以下のように5段階で評価した。各実施例および各比較例の結果は、表1に示す通りである。
【0035】
静的粘度測定結果 目視観察 評価
100Pa・s以上 粘弾性ゲル状 ◎
10Pa・s以上100Pa・s未満 ゲル状 ○
固体析出のため測定不能 ゲル化するが固体析出 △
10Pa・s未満 ゲル化しない ×
相分離のため測定不能 組成物が分離 ××
【0036】
[動的粘弾性の測定]
実施例2,4,6,8に関しては、動的粘弾性を測定するために、Rheometric Scientific F.E.Ltd社のARES1KFRTN1-FCOを用いて、G’、G”を測定した。その結果をそれぞれ図1〜4に示す。
【0037】
[動的粘弾性特性]
実施例2,4,6,8は、G0が100Pa以上であり、かつ、図1〜4より、動的貯蔵弾性率G’と動的損失弾性率G”が一致する周波数の範囲が、0.01付近、詳しくは0.001rad・s-1以上1rad・s-1以下であり、G’、G”が低振動数側でMaxwellの理論式に則っている。即ち、実施例2,4,6,8は、良好かつ特徴的な動的粘弾性を示すゲル状組成物であることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例2の動的粘弾性を測定した図である。
【図2】実施例4の動的粘弾性を測定した図である。
【図3】実施例6の動的粘弾性を測定した図である。
【図4】実施例8の動的粘弾性を測定した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)HLBが18のショ糖脂肪酸エステル、並びに(b-1)炭素数が5以上のアルキル鎖を有する1価アルコール及び/又は(b-2)アルキル鎖の炭素数が8以上の飽和又は不飽和脂肪酸を含有するゲル化剤。
【請求項2】
(b-1)の1価アルコールのアルキル鎖が、直鎖又は分岐鎖である請求項1に記載のゲル化剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゲル化剤を含有するゲル状組成物。
【請求項4】
請求項3に記載のゲル状組成物を含有する洗浄剤。
【請求項5】
請求項3に記載のゲル状組成物を含有する化粧料。
【請求項6】
請求項3に記載のゲル状組成物を含有する医薬品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−43231(P2010−43231A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210181(P2008−210181)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(593204214)三菱化学フーズ株式会社 (45)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】