説明

ゲル状外用組成物

【課題】高アルコール配合で、かつ、べたつきが抑制されたゲル状外用組成物を提供すること。
【解決手段】下記(1)〜(5)の成分を含有することを特徴とする、ゲル状外用組成物を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
(1)エタノールを、組成物の20〜50質量%、
(2)疎水変性アルキルセルロースを、組成物の0.1〜1質量%、
(3)カルボキシビニルポリマー又はその塩を、組成物の0.1〜0.5質量%、
(4)非水溶性成分、
(5)水。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料等の外用組成物として用いることが可能なゲル状組成物に関する発明である。本発明のゲル状組成物は、ボディー用化粧料としての使用に適している。
【背景技術】
【0002】
ゲル状外用組成物は、ゼリー又はジェルと呼称される剤形で、外観状態が均一で、通常は透明ないし半透明を示しており、使用に際しては一般に瑞々しい感触を与えるものである。かつては、水性ジェルの特徴である瑞々しくさわやかな使用感を活かして、サマー用化粧下地等に利用されてきた。最近では、各種の製剤技術が開発され、多種の水性・油性ジェルが提供され、水分補給、保湿以外の機能、すなわち、血行促進、洗浄・メーク落し等の機能も付加されている。
【0003】
水性ジェルは、水分を多量含んでいるため、肌への水分補給、保湿効果、清涼効果の基剤ベースや、ライトメーク用クレンジング剤等の基剤ベースとして利用される。使用感は、瑞々しく、さっぱりし、清涼感が感じられるため、夏期や脂性肌用の製品として利用される。
【0004】
油性ジェルは、油分を多く含んでいるため、肌への水分補給、化粧水等との組み合わせ使用で、保湿効果の維持のため、冬期や乾燥肌用に用いられる。また、ハードメークとの馴染みが良いため、活性剤の種類と量を適宜選んで、水洗性にし、メーク落し用としても用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−322045号公報
【特許文献2】特開2004−75604号公報
【特許文献3】特開平3−151330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゲル状外用組成物には、上記の剤形以外に、アルコールを多量に配合したタイプ(高アルコール配合タイプ)が認められる。この形態のジェルは、清涼感を伴い、主に整髪料において認められる。仮に、これをボディー用への適用を考えると、増粘剤であるカルボキシビニルポリマーの配合量が多く、皮膜感やべたつきが強過ぎて、不適当である。
【0007】
特に、ボディー用化粧料では、強い香りが好まれることも多いため、香料の配合量が増大する傾向にあり、また、メントールなどの清涼剤が配合されることも多い。それ故、製剤中のエタノール濃度を高くして、これらの成分の溶解又は分散状態の確保を行う傾向にある。エタノール濃度が高いと、使用時にエタノールが最初に気散し、肌上に残った増粘剤等がべたつきの原因となることが多い。
【0008】
本発明の課題は、高アルコール配合で、かつ、べたつきが抑制されたゲル状外用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題の解決に向けて検討を行った結果、下記のゲル状外用組成物を提供することにより、これを解決し得ることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(5)の成分を含有することを特徴とする、ゲル状外用組成物(以下、本発明の組成物ともいう)、を提供する発明である。
(1)エタノールを、組成物の20〜50質量%、
(2)疎水変性アルキルセルロースを、組成物の0.1〜1質量%、
(3)カルボキシビニルポリマー又はその塩を、組成物の0.1〜0.5質量%、
(4)非水溶性成分、
(5)水 。
【0011】
ここで「非水溶性成分」とは、香料成分、油脂、清涼剤、油溶性薬剤、ペプチド等の、水に難溶性の成分全般を意味する。上述したように、ボディー用途では、香料成分や清涼剤、さらに、油溶性薬剤を、非水溶性成分として配合することが多い。
【0012】
本発明の組成物には、さらに、非イオン性界面活性剤を配合することが、非水溶性成分の安定的配合の観点から好ましい。また、当該非イオン性界面活性剤を、HLB値が7以上の非イオン性界面活性剤とすることにより、非水溶性成分を系において、容易に可溶化することが可能である。なお、ポリオキシエチレンは「POE」と、ポリオキシプロピレンは「POP」と略記することもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組成物は、エタノールを積極的に配合した系に油分を比較的多量に配合しても、その乾きに伴う、増粘剤等によるべたつきが十分に抑制されることを効果的な特徴とするゲル状外用組成物である。この本発明の組成物の特徴は、ボディー用化粧料として用いることに適している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[必須配合成分]
(1)非水溶性成分
非水溶性成分は、特に限定されず、上記のように、香料成分、油脂、清涼剤、油溶性薬剤、ペプチドなどから選択された、一種、又は、二種以上の異なる成分が挙げられる。香料成分としては、例えば、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、シトロール、メチルイオノンベンジルアセテート、メチルデヒドロジャスモネー卜、フェニルエチルアルコール、ムスクケトン、サンダロール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、TEC、シトロネロールなどが挙げられる。清涼剤としては、メントール、乳酸メンチルなどのメントール誘導体、カンファー、カンファー誘導体などが挙げられる。また、これらの清涼剤を含有する、ユーカリ油、ハッカ(薄荷)油などの精油類も好適に非水溶性成分として用いられる。その他、精油類としては、ベルガモット油、クローブ油、ゼラニウム油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ローズマリー油、ティートリー油、イランイラン油などが挙げられる。また、油溶性の生薬類も用いることができる。その他、油溶性の紫外線吸収剤、油溶性の薬剤、油溶性ビタミン、ペプチド類などが挙げられる。本発明の組成物における非水溶性成分の配合量の範囲は、当該成分の種類によっても変動するものであり、厳密に規定されるものではないが、例えば、上記の香料成分や清涼剤(精油を含む)の配合量は、組成物の0.01〜1.5質量%程度が好ましく、0.3〜1質量%がより好ましく、0.4〜0.8質量%が最も好ましい。その他の非水溶性成分もこれに準じて配合することができる。
【0015】
(2)疎水変性アルキルセルロース
本組成物に配合される疎水変性アルキルセルロースは、一般式(I)で示される疎水変性アルキルセルロースである。
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、Rは、結合基R−Rであり、Rは、同一でも異なってもよく、−[CH2CH(CH3)O]−、−[CH2CH2O]−、及び、−[CH2CH(OH)CH2O]−から選ばれる1種以上の基(式中、rは、0〜4の整数である)であり、Rは、炭素原子数が12〜28の炭化水素基、水素原子、及び、炭素原子数が1〜4のアルキル基から選ばれる1種以上の基であり、少なくとも1カ所のRは、炭素原子数が12〜28の炭化水素基である。Aは、基−(CH2−(tは、1〜3の整数)であり、sは、100〜10000の数である。]
【0018】
疎水変性アルキルセルロース(I)は、水溶性セルロースエーテル誘導体に、疎水性基である長鎖アルキル基を導入したものであり、本発明の組成物には、当該成分を1種以上配合することができる。
【0019】
疎水変性アルキルセルロース(I)の製造方法は、概ね、基となる水溶性セルロースエーテル誘導体、具体的には、メチルセルロース(R、すなわち、結合基R−Rのうち、Rのrは0でRは存在せず、Rは水素原子又はメチル基である)、エチルセルロース(前記と同じくRは存在せず、Rは水素原子又はエチル基である)、プロピルセルロース(前記と同じくRは存在せず、Rは水素原子又はプロピル基である)、ブチルセルロース(前記と同じくRは存在せず、Rは水素原子又はブチル基である)、ヒドロキシエチルセルロース(結合基R−Rのうち、Rは、基−[CH2CH2O]−(r=0または1、化合物中の少なくとも1つのRでのrは1以上)であり、Rは水素原子である)、ヒドロキシプロピルセルロース(結合基R−Rのうち、Rは、基−[CH2CH(CH3)O]−(r=0〜5、好適には0〜3の整数、化合物中の少なくとも1つのRでのrは1以上)であり、Rは水素原子である)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(結合基R−Rのうち、Rは、基−[CH2CH(CH3)O]−(r=0〜5、好適には0〜3の整数、化合物中の少なくとも1つのRでのrは1以上)であり、Rは水素原子又はメチル基である)等に対して、長鎖アルキル基の導入用化合物、具体的には、下記の長鎖アルキルグリシジルエーテル(I’):
【0020】
【化2】

【0021】
[R’は、炭素原子数が10〜28、好適には12〜22のアルキル基である。]を、アルカリ触媒の存在下で接触させて、所望の疎水変性アルキルセルロース(I)を得ることができる。
【0022】
なお、この反応により、一部のRとして導入される、基−CH2CH(OH)CH2OR’の疎水変性アルキルセルロース(I)における含有量は、疎水変性アルキルセルロース(I)に対して0.1〜5.0質量%程度である。このような含有率とするために、上記水溶性セルロースエステル誘導体と長鎖アルキルグリシジルエーテルの反応の際のモル比や、反応時間、アルカリ触媒の種類等を適宜選択して、疎水変性アルキルセルロースの製造を行うことができる。上記反応後、反応物の中和・濾過・洗浄・乾燥・篩分等の精製工程を行うことにより、本発明の組成物への配合に適した疎水変性アルキルセルロース(I)を製造することができる。なお、長鎖アルキル基の導入方法は、上記の限りでない。
【0023】
また、上記の水溶性セルロースエーテル誘導体のうち、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースが好ましく、特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを選択することが好適である(これにより、疎水性アルキルセルロース(I)のRが、水素原子、メチル基、「R:−[CH2CH(CH3)O]−、R:水素原子」である結合基R−R、及び、「R:−CH2CH(OH)CH2O−、R:R’」である結合基R−R、の4種の基となり、基Aのtが1となり、当該Aはメチレン基となる)。さらに、長鎖アルキルグリシジルエーテル(I’)のR’は、ステアリル基(−C1837)またはセチル基(−C1633)であることが好適である(これにより、基−CH2CH(OH)CH2OR’は、基−CH2CH(OH)CH2O−C1837または−CH2CH(OH)CH2O−C1633となる)。
【0024】
疎水変性アルキルセルロース(I)の最も好適な態様である、疎水基R’をステアリル基とした疎水性ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、サンジェロースの商品名で大同化成工業株式会社から市販されており、このような市販品を本発明の組成物の配合成分として用いることも可能である。(サンジェロース90L、90M、90H、60L、60M、60H)
【0025】
本発明の組成物における疎水変性アルキルセルロース(I)の配合量は、組成物の0.1〜1質量%が好ましく、0.3〜0.8質量%がより好ましく、0.4〜0.6質量%が最も好ましい。この配合量が組成物の0.1質量%未満であると、配合量に見合った効果の向上は期待できず、1質量%を超えて配合すると所望のべたつきの抑制効果を発揮することが困難となる。
【0026】
(3)カルボキシビニルポリマー又はその塩
本発明の組成物に配合されるカルボキシビニルポリマーは、ポリアクリル酸架橋重合体であり、カルボマーという日本化粧品表示名称(以下、表示名ともいう)で知られている。具体的には、ペンタエリスチルアリルエーテル、スクロースアリルエーテル又はプロピレンアリルエーテルで架橋したアクリル酸の重合体であり、乳化安定剤や親水性増粘剤として提供されている。本発明の組成物には、当該カルボキシビニルポリマー自体、そのカルシウム塩(一部カリウム塩)(カルボマー(Ca/K))、カリウム塩(カルボマーK)、ナトリウム塩(カルボマーNa)、トリエタノールアミン塩(カルボマーTEA)等のカルボキシビニルポリマーの塩を用いることができる。市販品としては、シンタレンK(和光純薬工業社製)、Carbopol934,934P、940,941,974,980,981,2980,5984,EDT2050(日光ケミカルズ社)等が例示される。
【0027】
本発明の組成物におけるカルボキシビニルポリマー又はその塩の配合量は、組成物の0.1〜0.5質量%が好ましく、0.1〜0.4質量%がさらに好ましく、0.1〜0.3質量%が最も好ましい。この配合量が組成物の0.5質量%を超えると、皮膜感やべたつきを伴う傾向が認められ、0.1質量%未満であると、ゲル状組成物として相応しい粘度を実現することが困難となる。
【0028】
(4)エタノールと水
前述したようにエタノールは、好適には組成物の20〜50質量%、さらに好適には25〜45質量%、最も好適には30〜40質量%の範囲で、具体的な製品の特徴に応じて適切な量を自由に選択することができる。また、水は、水道水であっても、精製水であっても、イオン交換水であっても良く、他の全ての配合成分の残量として配合することが可能である。
【0029】
[選択的配合成分]
(5)非イオン性界面活性剤
本発明の組成物に非イオン性界面活性剤を配合することは好適な態様の一つである。配合可能な非イオン性界面活性剤の種類は特に限定されず、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0030】
本発明の組成物が可溶化された状態とすることは、好適な態様である。よって、可溶化剤として非イオン性界面活性剤を配合することが可能である。非イオン性界面活性剤は、具体的には、HLB値が7以上の非イオン性界面活性剤、特に、HLB値が8〜14の非イオン性界面活性剤が好ましい。本発明の組成物に配合し得る、特に好適な非イオン性界面活性剤として、POE・POP-アルキルエーテル類、その中でも、PPG−20デシルテトラデセス−10(表示名:一般名は、POE(10)・POP(20)2−デシルテトラデシルエーテル)が挙げられる。
【0031】
非イオン性界面活性剤を本発明の組成物に配合する場合の配合量は、配合する非イオン性界面活性剤の種類、配合の具体的な目的や、組成物の形態等に応じて自由に選択可能であり、特に限定されるものではない。例えば、非イオン性界面活性剤が、HLB値が7以上の非イオン性界面活性剤であり、組成物が可溶化したゲル状組成物の形態を採る場合には、当該非イオン性界面活性剤を、組成物の0.05〜0.5質量%の範囲で配合するのが好適であり、0.1〜0.3質量%が特に好適である。この配合量が組成物の0.05質量%未満であると、非水溶性成分を十分に可溶化することが困難であり、0.5質量%を超えて配合すると、かえって使用感を損なう傾向となり、配合量の増加に見合った効果は認められない。
【0032】
(6)その他の配合成分
本発明の組成物には、本発明の効果を実質的に妨げない質的・量的範囲内で、化粧料等の外用組成物に配合される一般的成分、特に、水溶性の成分を必要に応じて配合することができる。例えば、非イオン性界面活性剤以外の界面活性剤、親水性紫外線吸収剤、親水性薬剤、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール(多価アルコールは、疎水変性アルキルセルロースの湿潤剤として用いることができる)、キサンタンガム等のカルボキシビニルポリマー以外の増粘剤、酸化防止剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤などが例示可能である。
【0033】
[組成物の形態]
本発明の組成物は、通常の外用組成物の製造工程に従って製造することが可能である。すなわち、配合成分を常温で単純混合することにより製造することが可能である。ただし、疎水変性アルキルセルロースは、予め膨潤させて熱水分散させて、室温まで冷却された状態で他の成分と混合することが好適である。また、本発明の組成物が可溶化型の場合には、予め調製した可溶化相(通常は、水相とアルコール相を別々に調製し、アルコール相に水相を徐々に添加することによって調製することができる)と湿潤させた疎水変性アルキルセルロースを混合して製造することもできる。本発明の組成物が乳化形態でも、同様に予め調製した乳化相と膨潤させた疎水変性アルキルセルロースを混合して製造することも可能である。可溶化相と乳化相の調製は、通常の可溶化組成物と乳化組成物の製造方法に従って行うことができる。
【0034】
また、本発明の組成物は、ゲル状外用組成物であり、外用(頭皮・頭髪を含む)の化粧料、医薬品、医薬部外品のいずれにでも適用することができる。剤形は、基本的にはジェル形態である。用途は、毛髪用、顔用、ボディー用など、特に限定されないものの、エチルアルコールの配合量の相対的な多さと、本発明の目的からすると、さっぱりした使用感を素直に体感可能なボディー用途は、好適な用途の一つとして挙げることができる。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例により、本発明を具体的に説明するが、これは本発明の範囲の限定を意図するものではない。また、配合量は、特に断らない限り、配合対象に対する質量%である。
【0036】
[試験方法]
以下に、本発明の効果を検証するために行った試験方法を開示する。
【0037】
(1)粘度の測定
粘度の測定は、単一円筒型回転粘度計(ビスメトロン粘度計)のVS−A1型(芝浦システム株式会社)を使用して行った。測定温度は30℃である。評価は、以下の基準による。
<評価基準>
○:15,000mPa・s以上
×:15,000mPa・s未満
【0038】
(2)使用性(べたつきの評価)
10名の女性パネルの腕に、試験品を塗布した際のべたつき感の実使用テストを行った。評価基準は下記の通りである。
<評価基準>
○:10名中8名以上がべたつかないと評価した。
△:10名中5名以上7名以下がべたつくと評価した。
×:10名中8名以上がべたつくと評価した。
【0039】
[試験例]
下記表1と表2に示す処方の試験品(実施例1〜4と比較例1〜3)を常法に従い調製した。すなわち、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを、DPG(ジプロピレングリコール)で湿潤させて、精製水の一部を用いた熱水に分散させ、冷却後、残りの配合成分を混合して各試験品を調製した。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
この結果により、本発明の組成物の配合成分と配合量の要件を満たした実施例は、粘度と使用性の双方について良好な結果が得られたが、配合成分の配合量の要件を満たさない比較例は、粘度又は使用性に問題が認められた。
【0043】
以下、本発明の組成物の処方例を、実施例として開示する。
[実施例5] 美白用ボディージェル
配合成分 配合量(質量%)
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
カルボマー 0.4
キサンタンガム 0.2
エタノール 20
メントール 0.05
アスコルビルグルコシド 1
DPG 5
グリセリン 1
AMP 0.45
EDTA−2Na 0.05
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.17
香料 適量
精製水 残余
【0044】
<製造方法>
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを、DPGで湿潤させて、精製水の一部を用いた熱水に分散させ、冷却後、残りの配合成分を混合して、美白用ボディージェルを調製する。
【0045】
[実施例6] 全身用ジェルクリーム
配合成分 配合量(質量%)
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.7
カルボマー 0.2
(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー 0.08
キサンタンガム 0.2
エタノール 35
メントール 0.3
テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 3
DPG 10
グリセリン 1
AMP 0.1
EDTA−2Na 0.05
香料 適量
精製水 残余
【0046】
<製造方法>
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを、DPGで湿潤させて、精製水の一部を用いた熱水に分散させ、冷却後、残りの配合成分を混合して、全身用ジェルクリームを調製する。
【0047】
[実施例7] 全身用クールボディージェル
配合成分 配合量(質量%)
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
カルボマー 0.25
キサンタンガム 0.2
エタノール 35
PPG−20デシルテトラデセス−10 0.2
メントール 0.5
ハッカ油 0.07
カフェイン 0.001
DPG 5
グリセリン 1
AMP 0.09
EDTA−2Na 0.05
香料 適量
精製水 残余
【0048】
<製造方法>
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを、DPGで湿潤させて、精製水の一部を用いた熱水に分散させ、冷却後、残りの配合成分を混合して、全身用クールボディージェルを調製する。
【0049】
[実施例8] スリミングジェル
配合成分 配合量(質量%)
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
カルボマー 0.25
キサンタンガム 0.2
エタノール 40
PPG−20デシルテトラデセス−10 0.2
メントール 0.5
乳酸メンチル 1
カフェイン 0.2
DPG 5
グリセリン 1
AMP 0.09
EDTA−2Na 0.05
香料 適量
精製水 残余
【0050】
<製造方法>
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを、DPGで湿潤させて、精製水の一部を用いた熱水に分散させ、冷却後、残りの配合成分を混合して、スリミングジェルを調製する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(5)の成分を含有することを特徴とする、ゲル状外用組成物。
(1)エタノールを、組成物の20〜50質量%、
(2)疎水変性アルキルセルロースを、組成物の0.1〜1質量%、
(3)カルボキシビニルポリマー又はその塩を、組成物の0.1〜0.5質量%、
(4)非水溶性成分、
(5)水 。
【請求項2】
疎水変性アルキルセルロースは、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項1に記載のゲル状外用組成物。
【請求項3】
さらに、非イオン性界面活性剤を、組成物の0.05〜0.5質量%含有する、請求項1又は2に記載のゲル状外用組成物。
【請求項4】
非イオン性界面活性剤は、HLB値が7以上の非イオン性界面活性剤である、請求項3に記載のゲル状外用組成物。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤は、POE・POP-アルキルエーテル類である、請求項4に記載のゲル状外用組成物。
【請求項6】
POE・POP-アルキルエーテル類は、PPG−20デシルテトラデセス−10である、請求項5に記載のゲル状外用組成物。
【請求項7】
非水溶性成分は、香料成分、油脂、清涼剤、油溶性薬剤、及び、ペプチドからなる群から選ばれる、1種の、又は、2種以上の異なる成分である、請求項1〜6のいずれかに記載のゲル状外用組成物。
【請求項8】
非水溶性成分が可溶化された可溶化組成物である、請求項1〜7のいずれかに記載のゲル状外用組成物。
【請求項9】
ボディー用化粧料である、請求項1〜8のいずれかに記載のゲル状外用組成物。

【公開番号】特開2011−201834(P2011−201834A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72848(P2010−72848)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】