説明

ゲームプログラム、ゲーム装置及びゲーム方法

【課題】 キャラクタを移動させるときの指示を容易に実行できるようにする。
【解決手段】 本ゲームプログラムによって実現されるゲームでは、指示手段をキャラクタに接触させたときにキャラクタ70a,70b,70cが選択される。また、指示手段をモニタ上で動かしたときの動作方向が認識される。そして、選択機能により選択されたキャラクタ70a,70b,70cが指示手段の動作方向に移動させられる。すると、キャラクタ70a,70b,70cの移動状態がモニタに表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラム、特に、タッチパネル式のモニタに移動可能なキャラクタが表示されるゲームをコンピュータに実現させるためのゲームプログラムに関する。また、このゲームプログラムによって実現されるゲーム装置及びゲーム方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から種々のビデオゲームが提案されている。種々のビデオゲームは、ゲーム機本体とは独立した入力部たとえばコントローラの各種入力釦やゲーム機本体に一体に設けられた各種入力釦を操作することにより、モニタに表示されたキャラクタに各種の指示を与えることができるようになっている。たとえば、一般的なゲーム装置は、モニタと、モニタとは別体のゲーム機本体と、ゲーム機本体とは別体のコントローラを有している。コントローラには、複数の入力釦が配置されている。また、携帯型のゲーム装置は、ゲーム機本体と、ゲーム機本体の略中央部に設けられた液晶モニタと、液晶モニタの両側に配置された複数の入力釦とを有している。このようなゲーム装置では、複数の入力釦の少なくともいずれか1つを操作することによって、モニタに表示されたキャラクタに各種の指示を与えることができるようになっている。
【0003】
このように、キャラクタへの指示が入力釦から行われるビデオゲームの1つとして、モニタに選手キャラクタを表示させて競技を行わせる対戦ビデオゲームたとえば野球ゲームが知られている。この野球ゲームにおいて、プレイヤが守備選手にボールを捕球させるためにボールの移動方向に守備選手を移動させる場合、プレイヤが上下左右の方向指示釦を選択的かつ継続的に押すことにより、プレイヤは、所望の方向たとえばボールの移動方向に野手キャラクタを移動させることができるようになっている。そして、この野手キャラクタがボールキャラクタに到達すると、野手キャラクタがボールを捕球することができるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の野球ゲームにおいては、プレイヤが野手キャラクタにボールを捕球させるために、プレイヤが上下左右の方向指示釦を選択的かつ連続的に押すと、野手キャラクタが押された方向指示釦の方向に移動するようになっている。たとえば、プレイヤが野手キャラクタを右方向に移動させようとする場合、右方向指示釦が連続的又は継続的に押されることになる。また、たとえば、プレイヤが野手キャラクタを右斜め上方に移動させようとする場合、右方向指示釦と上方向指示釦とが選択的かつ連続的に押されることになる。
【0005】
プレイヤが野手キャラクタを右方向に移動させようとする場合は、プレイヤは右方向指示釦を継続的に押し続ければ済むので、プレイヤは、野手キャラクタを所望の方向に移動させやすい。しかしながら、プレイヤが野手キャラクタを右斜め上方に移動させようとする場合は、プレイヤは右方向指示釦と上方向指示釦とを選択的かつ継続的に押さなければならないので、野手キャラクタを所望の位置へ正確に移動させにくい。このときにプレイヤが野手キャラクタを所望の位置へ正確に移動させようとすればするほど、右方向指示釦と上方向指示釦とを押し代える回数が増えてしまうおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、キャラクタを移動させるときの指示を容易に実行できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係るゲームプログラムは、タッチパネル式のモニタに移動可能なキャラクタが表示されるゲームを実現可能なコンピュータに、以下の機能を実現させるためのプログラムである。
【0008】
(1)指示手段をキャラクタに接触させたときにキャラクタを選択する選択機能。
【0009】
(2)指示手段をモニタ上で動かしたときの動作方向を認識する動作方向認識手段。
【0010】
(3)選択機能により選択されたキャラクタを指示手段の動作方向に移動させる移動実行機能。
【0011】
(4)キャラクタの移動状態をモニタに表示する移動状態表示機能。
【0012】
このプログラムによって実現されるゲームでは、選択機能において、指示手段をキャラクタに接触させたときにキャラクタが選択される。動作方向認識手段においては、指示手段をモニタ上で動かしたときの動作方向が認識される。移動実行機能においては、選択機能により選択されたキャラクタが指示手段の動作方向に移動させられる。移動状態表示機能においては、キャラクタの移動状態がモニタに表示される。
【0013】
このゲームプログラムでは、指示手段をキャラクタに接触させたときにキャラクタが選択される。そして、指示手段をモニタ上で動かしたときに動作方向が認識され、選択されたキャラクタが指示手段の動作方向に移動させられる。このとき、キャラクタの移動状態がモニタに表示される。
【0014】
たとえば、タッチパネル式のモニタにおいて野球ゲームを実現し、プレイヤが守備選手を移動させる場合を考える。この場合、上記のようなプログラムでは、指示手段を野手キャラクタに接触させることにより、プレイヤは、移動させる野手キャラクタを選択することができる。そして、プレイヤが指示手段をモニタ上で動かすと、プレイヤは、野手キャラクタに動作方向たとえばボールの移動方向を指示することができる。すると、プレイヤは、選択された野手キャラクタを指示手段の動作方向に移動させることができる。このときの野手キャラクタの移動状態はモニタに表示される。このように、プレイヤは、指示手段をモニタ上で動かすという操作だけで、野手キャラクタを指示手段の動作方向に移動させることができる。これにより、プレイヤは、キャラクタを移動させるときの指示を容易に実行することができる。
【0015】
請求項2に係るゲームプログラムは、請求項1のゲームプログラムにおいて、移動状態表示機能で、キャラクタの移動方向およびキャラクタの移動先の少なくともいずれか1つが、表示子としてモニタにさらに表示される。
【0016】
ここでは、キャラクタの移動方向およびキャラクタの移動先の少なくともいずれか1つが、表示子としてモニタに表示されるようになっている。このため、たとえば、野球ゲームでは、プレイヤが野手キャラクタに動作方向を指示すると、野手キャラクタが移動する方向が、たとえば矢印等でモニタに表示される。また、野手キャラクタの移動先が、たとえば丸印等でモニタに表示される。これにより、プレイヤは、野手キャラクタの移動方向や移動先を視覚的に確認することができる。
【0017】
請求項3に係るゲームプログラムは、請求項1又は2のゲームプログラムにおいて、コンピュータに、以下の機能をさらに実現させるためのプログラムである。
【0018】
(5)指示手段をモニタ上で動かしたときの動作速度を認識する動作速度認識機能。
【0019】
このプログラムによって実現されるゲームでは、動作速度認識機能において、指示手段をモニタ上で動かしたときの動作速度が認識される。そして、移動実行機能において、キャラクタが動作速度に応じて指示手段の動作方向に移動させられる。
【0020】
ここでは、指示手段をモニタ上で動かしたときの動作速度が認識され、この動作速度に応じてキャラクタが指示手段の動作方向に移動させられる。このため、たとえば、野球ゲームでは、プレイヤが指示手段をモニタ上で早く動かすと、野手キャラクタを指示手段の動作方向に早く移動させることができ、プレイヤが指示手段をモニタ上でゆっくりと動かすと、野手キャラクタを指示手段の動作方向にゆっくりと移動させることができる。これにより、プレイヤは、移動させたい野手キャラクタを極力早く判断して、移動させたい方向に指示手段を動作させる必要があり、野手キャラクタを移動させるときにスピード感を味わうことができる。
【0021】
請求項4に係るゲームプログラムは、請求項1から3のいずれかのゲームプログラムにおいて、コンピュータに、以下の機能をさらに実現させるためのプログラムである。
【0022】
(6)指示手段をモニタ上で動かしたときの軌跡を認識する軌跡認識機能。
【0023】
このプログラムによって実現されるゲームでは、軌跡認識機能において、指示手段をモニタ上で動かしたときの軌跡が認識される。そして、移動実行機能において、キャラクタが軌跡に沿うように、キャラクタは指示手段の動作方向に移動させられる。
【0024】
ここでは、指示手段をモニタ上で動かしたときの軌跡が認識され、キャラクタが軌跡に沿うようにキャラクタは指示手段の動作方向に移動させられる。このため、たとえば、野球ゲームでは、プレイヤが指示手段によって野手キャラクタに動作方向を指示したときの軌跡に沿うように、野手キャラクタを指示手段の動作方向に移動させることができる。これにより、プレイヤは、野手キャラクタを所望のルートで移動先まで移動させることができる。
【0025】
請求項5に係るゲームプログラムは、請求項4のゲームプログラムにおいて、移動状態表示機能で、キャラクタの軌跡がモニタにさらに表示される。
【0026】
ここでは、キャラクタの軌跡がモニタに表示されるので、たとえば、野球ゲームでは、プレイヤの指示した軌跡すなわちルートを視覚的に確認することができる。
【0027】
請求項6に係るゲームプログラムは、請求項1から5のいずれかのゲームプログラムにおいて、選択機能で、指示手段を複数のキャラクタに接触させることによって、複数のキャラクタを選択可能になっている。
【0028】
ここでは、指示手段を複数のキャラクタに接触させることによって、複数のキャラクタを選択可能になっている。このため、たとえば、野球ゲームでは、プレイヤが、指示手段によって、複数のキャラクタに容易に移動指示をすることができるようになる。
【0029】
請求項7に係るゲーム装置は、タッチパネル式のモニタに移動可能なキャラクタが表示されるゲームを実現可能なゲーム装置である。このゲーム装置は、選択手段と、動作方向認識手段と、移動実行手段と、移動状態表示手段とを備えている。選択手段においては、指示手段をキャラクタに接触させたときにキャラクタが選択される。動作方向認識手段においては、指示手段をモニタ上で動かしたときの動作方向が認識される。移動実行手段においては、選択手段により選択されたキャラクタが指示手段の動作方向に移動させられる。移動状態表示手段においては、キャラクタの移動状態がモニタに表示される。
【0030】
請求項8に係るゲーム方法は、タッチパネル式のモニタに移動可能なキャラクタが表示されるゲームを実現可能なゲーム方法である。このゲーム方法は、選択ステップと、動作方向認識ステップと、移動実行ステップと、移動状態表示ステップとを備えている。
選択ステップにおいては、指示手段をキャラクタに接触させたときにキャラクタが選択される。動作方向認識ステップにおいては、指示手段をモニタ上で動かしたときの動作方向が認識される。移動実行ステップにおいては、選択手段により選択されたキャラクタが指示手段の動作方向に移動させられる。移動状態表示ステップにおいては、キャラクタの移動状態がモニタに表示される。
【発明の効果】
【0031】
本発明では、指示手段をキャラクタに接触させたときにキャラクタが選択される。そして、指示手段をモニタ上で動かしたときに動作方向が認識され、選択されたキャラクタが指示手段の動作方向に移動させられる。このとき、キャラクタの移動状態がモニタに表示される。これにより、プレイヤは、指示手段をモニタ上で動かすという操作だけで、キャラクタを指示手段の動作方向に移動させることができる。すなわち、プレイヤは、キャラクタを移動させるときの指示を容易に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
〔ゲーム装置の構成〕
図1は、本発明に係るゲームプログラムを適用しうるコンピュータの一例としての携帯ゲーム機1の外観図である。また、図2は、携帯ゲーム機1の一例としての制御ブロック図である。
【0033】
携帯ゲーム機1は、図1に示すように、主に、本体2と、液晶モニタ部3と、入力部4と、カートリッジ装着部5と、通信部(図示しない)とを有している。本体2は、上部筐体2aと下部筐体2bとを有している。上部筐体2aと下部筐体2bとは、互いに開閉自在に連結されている。液晶モニタ部3は、上部筐体2aに設けられた上部液晶モニタ3aと、下部筐体2bに設けられた下部液晶モニタ3bとからなっている。ここでは、たとえば、上部液晶モニタ3aが非タッチパネル式のモニタになっており、下部液晶モニタ3bがタッチパネル式のモニタになっている。非タッチパネル式のモニタは液晶パネルからなっており、タッチパネル式のモニタは液晶パネルとタッチパネルとからなっている。タッチパネル式のモニタでは、液晶パネルの表示面とタッチパネルのデータ入力面とは、積層一体型に構成されている。入力部4は、下部筐体2bの左側中央部に配置された十字状の方向指示釦4aと、下部筐体2bの左側上部に左右に配置されたセレクト釦4bおよびスタート釦4cと、下部筐体2bの右側中央部に配置された指示釦4dと、下部筐体2bの右側上部に配置された電源釦4eと、下部筐体2bの左右の隅角部に配置されたL釦4fおよびR釦4gとからなっている。カートリッジ装着部5は下部筐体2bの下部に設けられている。このカートリッジ装着部5には、たとえばゲーム用カートリッジが装着可能になっている。通信部は、本体2たとえば上部筐体2aに内蔵されている。この通信部においては、たとえば、ローカルワイヤレスネットーワーク機能や、ワイヤレスLANによるインターネット接続機能等が提供される。なお、ゲーム機1には、音量調整用釦やイヤホンジャック等も設けられているが、これらについては説明を省略する。
【0034】
携帯ゲーム機1は、図2に示すように、制御装置10を内部に有している。制御装置10は、マイクロプロセッサを利用したCPU(Central Processing Unit)11と、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、画像処理回路14と、サウンド処理回路15と、通信制御回路20とが、バス16を介してそれぞれ接続されている。
【0035】
CPU11は、ゲームプログラムからの命令を解釈し、各種のデータ処理や制御を行う。ROM12は、ゲーム機1の基本的な制御(たとえば起動制御)に必要なプログラム等を格納する。RAM13は、CPU11に対する作業領域を確保する。画像処理回路14は、CPU11からの描画指示に応じて液晶モニタ部3を制御して、上部液晶モニタ3aおよび下部液晶モニタ3bの少なくともいずれか一方に所定の画像を表示する。また、画像処理回路14にはタッチ入力検出回路14aが含まれている。タッチパネルに指示手段たとえばタッチペンや指等を直接的に接触させたときに、接触位置の座標データがタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、接触位置がCPU11に認識される。また、液晶パネルに表示された対象物の位置において、タッチパネルに指示手段を直接的に接触させると、対象物の座標データがタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、対象物がCPUに認識される。サウンド処理回路15は、CPU11からの発音指示に応じたアナログ音声信号を生成してスピーカ22に出力する。通信制御回路20は、通信部に含まれており、ゲーム機1を他のゲーム機等にワイヤレスで接続するために用いられる。通信制御回路20は、バス16を介してCPU11に接続されている。通信制御回路20は、CPU11からの命令に応じて、ゲーム機1をローカルワイヤレスネットーワーク又はワイヤレスLANによるインターネットに接続するための接続信号を制御し発信する。
【0036】
バス16には、制御装置10とは別体の外部記憶装置17が接続される。たとえば、外部記憶装置17には本体2たとえば下部筐体2bに着脱自在に装着されるゲーム用カートリッジ等がある。外部記憶装置17の内部には、記憶媒体としてのROM18と、書き換え可能なユーザ用メモリとしてのメモリ19が設けられる。ROM18には、コンピュータとしてのゲーム機1を機能させるためのゲームプログラムと、ゲームプログラムの実行に必要な各種データとが予め記録されている。この各種データには、各種キャラクタ画像データたとえば各種パネル画像データや属性画像データ等が含まれている。メモリ19には、たとえばフラッシュメモリのような書き換え可能なメモリが使用される。このメモリ19には、たとえば、ゲームのセーブデータ等が必要に応じて記録される。なお、外部記憶装置17の記憶媒体には、半導体記憶素子に限らず、磁気記憶媒体、光学式記憶媒体、光磁気記憶媒体等の各種の記憶媒体を使用してもよい。なお、バス16と各要素との間には必要に応じてインターフェース回路が介在しているが、ここではそれらの図示は省略した。
【0037】
以上のような構成のゲーム機1では、外部記憶装置17のROM18に記録されたゲームプログラムがロードされ、ロードされたゲームプログラムがCPU11で実行されることにより、プレイヤは様々なジャンルのゲームを液晶モニタ部3上で遊戯することができる。また、通信制御回路20を介して、ワイヤレスネットワークにゲーム機1を接続したり、他のゲーム機と通信ケーブル等を介して接続したりすることで、他のゲーム機との間でデータのやり取りや対戦型のゲームを行うことができる。
【0038】
〔ゲーム装置における各種処理概要〕
本ゲーム機1において実行されるゲームは、たとえば野球ゲームである。図3は、本発明で主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
【0039】
本ゲーム機1では、タッチパネル式のモニタに移動可能なキャラクタが表示される。このゲーム機1は、主に、選択手段50と、動作方向認識手段51と、移動実行手段52と、移動状態表示手段53と、動作速度認識手段54と、軌跡認識手段55とを備えている。
【0040】
選択手段50は、指示手段を野手キャラクタに接触させたときに野手キャラクタを選択する機能によって実現される手段である。選択手段50では、タッチパネル用の液晶パネルに表示された野手キャラクタの位置において、指示手段たとえばタッチペンや指等をタッチパネルに接触させると、野手キャラクタの座標データがタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給される。これにより、指示手段で指示した野手キャラクタの位置がCPU11に認識され、野手キャラクタがCPU11によって認識された状態になる。このような選択手段50では、指示手段を複数の野手キャラクタに連続的に接触させることにより、複数の野手キャラクタが選択された状態すなわち複数の野手キャラクタがCPU11によって認識された状態にすることができる。
【0041】
動作方向認識手段51は、指示手段をモニタ上で動かしたときの動作方向を認識する機能によって実現される手段である。動作方向認識手段51では、液晶パネルに表示された野手キャラクタの位置において指示手段たとえばタッチペンや指等をタッチパネルに接触させた状態で移動させると、指示手段の接触位置の座標データがタッチペンの移動に応じてタッチ入力検出回路14aからCPU11へと連続的に供給される。そして、移動前後の接触位置の座標データに基づいて、指示手段の動作方向がCPU11によって計算処理される。そして、指示手段の動作方向がCPU11に認識される。
【0042】
動作速度認識手段54は、指示手段をモニタ上で動かしたときの動作速度を認識する機能によって実現される手段である。動作速度認識手段54では、指示手段たとえばタッチペンや指等をタッチパネルに接触させた状態で移動させたときに、CPU11に供給された接触位置の座標データと移動時の時間データとに基づいて、モニタ上での指示手段の動作速度がCPU11により計算処理される。このようにして、指示手段の動作速度は、CPU11に認識されRAM13に格納される。
【0043】
軌跡認識手段55は、指示手段をモニタ上で動かしたときの軌跡を認識する機能によって実現される手段である。軌跡認識手段55では、指示手段たとえばタッチペンや指等をタッチパネルに接触させた状態で移動させたときに、CPU11に連続的に供給された接触位置の座標データに基づいて、モニタ上での指示手段の軌跡がCPU11により計算処理される。そして、指示手段の軌跡がCPU11に認識される。
【0044】
移動実行手段52は、選択手段50により選択された野手キャラクタを指示手段の動作方向に移動させる機能によって実現される手段である。移動実行手段52では、野手キャラクタがCPU11によって認識された状態にあるキャラクタを、指示手段たとえばタッチペンや指等の動作方向に移動させるための指示信号がCPU11から画像処理回路14へと発行される。
【0045】
また、移動実行手段52は、野手キャラクタを動作速度に応じて指示手段の動作方向に移動させる機能によって実現される手段である。この移動実行手段52では、CPU11に計算処理されRAM13に格納された動作速度に応じて、CPU11によって認識された状態にある野手キャラクタを、指示手段たとえばタッチペンや指等の動作方向に移動させるための指示信号がCPU11から画像処理回路14へと発行される。
【0046】
さらに、移動実行手段52は、選択手段50により選択された野手キャラクタを軌跡に沿うように指示手段の動作方向に移動させる機能によって実現される手段である。この移動実行手段52では、CPU11によって認識された状態にある野手キャラクタを、CPU11に計算処理された軌跡に沿うように指示手段たとえばタッチペンや指等の動作方向に移動させるための指示信号が、CPU11から画像処理回路14へと発行される。
【0047】
移動状態表示手段53は、野手キャラクタの移動状態をモニタに表示する機能によって実現される手段である。移動状態表示手段53では、CPU11からの指示信号を受け付けた画像処理回路14によって、野手キャラクタの移動状態がモニタ3たとえば下側のモニタ3bに表示される。より詳細に説明すると、野手キャラクタの移動状態は、下側のモニタ3bのタッチパネル用の液晶パネルに表示される。
【0048】
また、移動状態表示手段53は、キャラクタの移動方向およびキャラクタの移動先の少なくともいずれか1つを表示子としてモニタに表示する機能によって実現される手段でもある。この移動状態表示手段53では、指示手段たとえばタッチペンや指等の動作方向および移動後の接触位置の座標データに基づいて、キャラクタの移動方向およびキャラクタの移動先の少なくともいずれか1つが、画像処理回路14によって、ROM18に格納された表示子でモニタ3たとえば下側のモニタ3bに表示される。より詳細に説明すると、キャラクタの移動方向およびキャラクタの移動先の少なくともいずれか1つが、表示子で、下側のモニタ3bのタッチパネル用の液晶パネルに表示される。
【0049】
さらに、移動状態表示手段53は、キャラクタの軌跡をモニタに表示する機能によって実現される手段でもある。この移動状態表示手段53では、CPU11に認識された指示手段の軌跡に基づいて、野手キャラクタが移動する状態を示す軌跡が、画像処理回路14によってモニタ3たとえば下側のモニタ3bに表示される。より詳細に説明すると、野手キャラクタが移動する状態を示す軌跡は、下側のモニタ3bのタッチパネル用の液晶パネルに表示される。
【0050】
〔野球ゲームの概要〕
次に、本実施形態の野球ゲームの具体的な内容について説明する。
【0051】
この野球ゲームは、主に、打者キャラクタに打撃に関する指示をするバッティングシステムと、野手キャラクタに捕球や送球に関する指示をする守備システムと、投手キャラクタに投球に関する指示をする投球システムと、走者キャラクタに走塁に関する指示をする走塁システムとを備えている。これら各システムは、たとえばROM18に格納されたゲームプログラムによって実現され、ゲーム機1において実行処理される。
【0052】
以下では、本発明で主要な役割を果たす守備システムの概要を説明する。
【0053】
守備システムは、指示手段たとえばタッチペンや指等によって野手に移動の指示することで守備操作ができるようにするためのものである。
【0054】
本野球ゲームにおいて、プレイヤが守備選手を操作する場合、図4から図6に示すように、主に、守備キャラクタ70と、打者キャラクタ71とが、下側のタッチパネル式のモニタに表示される。たとえば、守備キャラクタ70には、投手キャラクタと、捕手キャラクタと、複数の野手キャラクタとが含まれる。
【0055】
たとえば、プレイヤが投手キャラクタからボールキャラクタ73を送出させて、相手プレイヤ又はAIプレイヤは、打者キャラクタ71を動作させた場合、打者キャラクタ71によって打ち返されたボールキャラクタ73が、フィールド内又はフィールド外に飛んでいく。このときに、プレイヤがタッチペンを守備キャラクタ70のいずれか1つのキャラクタに接触させると、このキャラクタが選択キャラクタとして選択される。そして、プレイヤが選択キャラクタにタッチペンを接触させて予測したボールキャラクタ73の移動先の方向に移動させると、選択キャラクタは、タッチペンを動作させた速度に応じて、タッチペンの軌跡に沿うようにタッチペンを動作させた方向に移動する。このとき、選択キャラクタの軌跡が、たとえば矢印付き破線表示子でモニタに表示される。そして、選択キャラクタの移動先が、たとえば丸印表示子でモニタに表示される。このように破線表示子と丸印表示子とがモニタに表示された状態で、選択キャラクタは予測されたボールキャラクタ73の移動先の方向に移動する。そして、選択キャラクタがボールキャラクタ73に到達したときに、選択キャラクタがボールを捕球する。なお、守備キャラクタ70の選択および移動は、投手キャラクタと、捕手キャラクタと、複数の野手キャラクタそれぞれとに対して、タッチペンにより行うことが可能になっている。そして、選択された各キャラクタに対して、各種表示子が表示されるようになっている。このように複数のキャラクタがタッチペンによって選択された場合は、複数のキャラクタのうち、最も早くボールキャラクタ73に到達したキャラクタが、ボールを捕球する。
【0056】
たとえば、図5に示すように、打者キャラクタ71によって打ち返されたボールキャラクタ73が三遊間に飛んでいった場合、プレイヤがタッチペンをショートの野手キャラクタ70aに接触させると、ショートの野手キャラクタ70aが選択される。そして、プレイヤがショートの野手キャラクタ70aにタッチペンを接触させてプレイヤが予測したボールキャラクタ73の移動先の方向に移動させると、ショートの野手キャラクタ70aが、タッチペンを動作させた速度に応じて、タッチペンの軌跡に沿うようにタッチペンを動作させた方向すなわち予測したボールキャラクタ73の移動先の方向に移動する。このとき、ショートの野手キャラクタ70aの移動軌跡が、矢印付き破線表示子でモニタに表示され、ショートの野手キャラクタ70aの移動先が、丸印表示子ででモニタに表示される。そして、ショートの野手キャラクタ70aがボールキャラクタ73に到達したときに、ショートの野手キャラクタ70aがボールを捕球する。
【0057】
たとえば、図6に示すように、打者キャラクタ71によって打ち返されたボールキャラクタ73が右中間に飛んでいった場合、まず、プレイヤがタッチペンをセンターの野手キャラクタ70bに接触させると、センターの野手キャラクタ70bが選択される。そして、プレイヤがセンターの野手キャラクタ70bにタッチペンを接触させて予測したボールキャラクタ73の移動先の方向に移動させると、センターの野手キャラクタ70bが、タッチペンを動作させた速度に応じて、タッチペンの軌跡に沿うようにタッチペンを動作させた方向すなわち予測したボールキャラクタ73の移動先の方向に移動する。このとき、センターの野手キャラクタ70bの移動軌跡が、矢印付き破線表示子でモニタに表示され、センターの野手キャラクタ70bの移動先が、丸印表示子でモニタに表示される。次に、プレイヤがタッチペンをライトの野手キャラクタ70cに接触させると、ライトの野手キャラクタ70cが選択される。そして、プレイヤがライトの野手キャラクタ70cにタッチペンを接触させて予測したボールキャラクタ73の移動先の方向に移動させると、ライトの野手キャラクタ70cが、タッチペンを動作させた速度に応じて、タッチペンの軌跡に沿うようにタッチペンを動作させた方向すなわち予測したボールキャラクタ73の移動先の方向に移動する。このとき、ライトの野手キャラクタ70cの移動軌跡が、矢印付き破線表示子でモニタに表示され、ライトの野手キャラクタの移動先70cが、丸印表示子でモニタに表示される。そして、センターの野手キャラクタ70bおよびライトの野手キャラクタ70cのいずれか一方がボールキャラクタ73に到達したときに、ボールキャラクタ73に到達した方の野手キャラクタ70b,70cがボールを捕球する。
【0058】
ここで、選択キャラクタたとえば野手キャラクタ等は、タッチペンを動作させた速度に応じて移動するようになっている。たとえば、タッチペンをモニタ上で動かしたときの動作速度が速かった場合は選択キャラクタは比較的速く移動し、タッチペンをモニタ上で動かしたときの動作速度が遅かった場合は選択キャラクタは比較的遅く移動するようになっている。
【0059】
〔守備システム実行時の各種処理フロー〕
本実施形態の野球ゲームにおける守備システムを、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0060】
プレイヤが守備選手を操作する場合、まず、下側のタッチパネル式のモニタには、守備キャラクタ70と打者キャラクタ71とが表示される(S1)。そして、ボールキャラクタ73が投手キャラクタから送出され(S2)、このボールキャラクタ73が打者キャラクタ71によって打ち返される(S3)。そして、打ち返されたボールキャラクタ73の移動状態が、モニタに表示される(S4)。
【0061】
次に、タッチペンが守備キャラクタ70のいずれか1つのキャラクタに接触したか否かが判別される(S5)。タッチペンが守備キャラクタ70のいずれか1つのキャラクタに接触したと判別された場合(S5でYes)、この守備キャラクタ70のいずれか1つのキャラクタが選択キャラクタとして選択される(S6)。この選択キャラクタにタッチペンを接触させて予測されたボールキャラクタ73の移動先の方向に移動させると(S7)、タッチペンの移動方向が認識される(S8)。そして、モニタ上で移動させたタッチペンの動作速度が認識される(S9)。そして、タッチペンをモニタ上で移動させたときの軌跡が認識される(S10)。すると、選択キャラクタは、タッチペンの動作速度に応じて、軌跡に沿うようにタッチペンの移動方向に移動させられる(S11)。このときの選択キャラクタの移動状態がモニタに表示される(S12)。また、選択キャラクタの移動軌跡がたとえば矢印付き破線表示子でモニタに表示され(S13)、選択キャラクタの移動先がたとえば丸印表示子でモニタに表示される(S14)。
【0062】
最後に、選択キャラクタがボールを捕球したか否かが判断される(S15)。選択キャラクタがボールを捕球していないと判断された場合(S15でNo)、タッチペンが選択キャラクタとは異なるキャラクタに接触したか否かが判別される(S16)。タッチペンが選択キャラクタとは異なるキャラクタに接触したと判別された場合(S16でYes)、この異なるキャラクタが次の選択キャラクタとして認識され(S6)、再度S7からS15までの処理が実行される。なお、タッチペンが選択キャラクタとは異なるキャラクタに接触したと判別され続けた場合(S16でYesが連続した場合)は、選択キャラクタとして選択可能な守備キャラクタ70がなくなったときに、タッチペンが選択キャラクタとは異なるキャラクタに接触しなかったと判別され(S16でNo)、これらの一連の捕球処理が終了する。また、選択キャラクタがボールを捕球したと判断された場合(S15でYes)も、一連の捕球処理が終了する。
【0063】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、ゲームプログラムを適用しうるコンピュータの一例としての携帯ゲーム機1を用いた場合の例を示したが、ゲーム装置は、前記実施形態に限定されず、モニタが別体に構成されたゲーム装置、モニタが一体に構成された業務用ゲーム装置、ゲームプログラムを実行することによってゲーム装置として機能するパーソナルコンピュータやワークステーションなどにも同様に適用することができる。
【0064】
(b) 本発明には、前述したようなゲームを実行するプログラムおよびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も含まれる。この記録媒体としては、カートリッジ以外に、たとえば、コンピュータ読み取り可能なフレキシブルディスク、半導体メモリ、CD−ROM、DVD、MO、ROMカセット、その他のものが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るゲームプログラムを適用しうるコンピュータの一例としての携帯ゲーム機の外観図。
【図2】前記携帯ゲーム機の一例としての制御ブロック図。
【図3】前記携帯ゲーム機の一例としての機能ブロック図。
【図4】野球ゲームにおける守備システムを説明するための基本図。
【図5】野球ゲームにおける守備システムを説明するための図(移動時の例1)。
【図6】野球ゲームにおける守備システムを説明するための図(移動時の例2)。
【図7】野球ゲームにおける守備システムを説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0066】
1 携帯ゲーム機
3 液晶モニタ
3b タッチパネル式のモニタ
4 入力部
50 選択手段
51 動作方向認識手段
52 移動実行手段
53 移動状態表示手段
54 動作速度認識手段
55 軌跡認識手段
70 守備キャラクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル式のモニタに移動可能なキャラクタが表示されるゲームを実現可能なコンピュータに、
指示手段をキャラクタに接触させたときに前記キャラクタを選択する選択機能と、
前記指示手段を前記モニタ上で動かしたときの動作方向を認識する動作方向認識機能と、
前記選択機能により選択された前記キャラクタを前記指示手段の動作方向に移動させる移動実行機能と、
前記キャラクタの移動状態を前記モニタに表示する移動状態表示機能と、
を実現させるためのゲームプログラム。
【請求項2】
前記移動状態表示機能では、前記キャラクタの移動方向および前記キャラクタの移動先の少なくともいずれか1つが、表示子として前記モニタにさらに表示される、
請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに、
前記指示手段を前記モニタ上で動かしたときの動作速度を認識する動作速度認識機能、
をさらに実現させ、
前記移動実行機能において、前記キャラクタが前記動作速度に応じて前記指示手段の動作方向に移動させられる、
請求項1又は2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに、
前記指示手段を前記モニタ上で動かしたときの軌跡を認識する軌跡認識機能、
をさらに実現させ、
前記移動実行機能において、前記キャラクタが前記軌跡に沿うように前記指示手段の動作方向に移動させられる、
請求項1から3のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記移動状態表示機能では、前記キャラクタの前記軌跡が前記モニタにさらに表示される、
請求項4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
選択機能では、指示手段を複数のキャラクタに接触させることによって、複数の前記キャラクタを選択可能である、
請求項1から5のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項7】
タッチパネル式のモニタに移動可能なキャラクタが表示されるゲームを実現可能なゲーム装置であって、
指示手段をキャラクタに接触させたときに前記キャラクタを選択する選択手段と、
前記指示手段を前記モニタ上で動かしたときの動作方向を認識する動作方向認識手段と、
前記選択手段により選択された前記キャラクタを前記指示手段の動作方向に移動させる移動実行手段と、
前記キャラクタの移動状態を前記モニタに表示する移動状態表示手段と、
を備えるゲーム装置。
【請求項8】
タッチパネル式のモニタに移動可能なキャラクタが表示されるゲームを実現可能なゲーム方法であって、
指示手段をキャラクタに接触させたときに前記キャラクタを選択する選択ステップと、
前記指示手段を前記モニタ上で動かしたときの動作方向を認識する動作方向認識ステップと、
前記選択手段により選択された前記キャラクタを前記指示手段の動作方向に移動させる移動実行ステップと、
前記キャラクタの移動状態を前記モニタに表示する移動状態表示ステップと、
を備えるゲーム方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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