説明

ゲームプログラム及びゲーム機

【課題】スピード以外の要素で競うことが可能な三次元仮想空間内の所定のコースを移動体が移動するゲームのゲームプログラム及びゲーム機を提供する。
【解決手段】三次元仮想空間内の所定のコースをレーシングカーCが移動するゲームのゲームプログラム31Aは、ゲーム機1を、コースを移動するレーシングカーCの映像を表示するモニタ3と、表示されたレーシングカーCの映像に基づいてプレイヤPがレーシングカーCを操作する操作部35と、コースに設けられた所定のエリアAにレーシングカーCが到達したことを検知する検知手段22と、検知手段22の出力に応じて、レーシングカーCの位置、速度、及びレーシングカーCの移動方向とコースの方向との角度θの各々のデータを含むレーシングカーCの状況データを取得する状況取得手段23と、取得したレーシングカーCの状況データに基づいて、ゲームの得点を付与する得点付与手段25と、して機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元仮想空間内の所定のコースを移動体が移動するゲームのゲームプログラム及びゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のレーシングカーが同時にスタートして、所定のコースの走行順位及びラップタイムを競うカーレースゲーム機が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のカーレースゲーム機は、複数のレーシングカー間の通過時間差から、レーシングカーのエンジン出力やタイヤグリップを変更して、通過時間差を小さくすることで、遊戯者の操作レベルにかかわらず各レーシングカーが接近して走行するものである。
【特許文献1】特開2000−61141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載のカーレースゲーム機は、走行順位及びラップタイムというスピードを競うゲームを提供するにすぎず、ありふれたものであった。
【0004】
本発明の課題は、スピード以外の要素で競うことが可能な三次元仮想空間内の所定のコースを移動体が移動するゲームのゲームプログラム及びゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
請求項1の発明は、三次元仮想空間内の所定のコースを移動体(C)が移動するゲームのゲームプログラム(31A、231A)であって、コンピュータ(1,201)を、前記コースを移動する前記移動体の映像を表示する表示手段(3)と、前記表示手段に表示された前記移動体の映像に基づいてプレイヤ(P)が前記移動体を操作する操作手段(35)と、前記コースに設けられた所定のエリア(A)に前記移動体が到達したことを検知する検知手段(22)と、前記検知手段の出力に応じて、前記移動体の位置(CO)、速度(v)、及び前記移動体の移動方向(v)と前記コースの方向(L3)との角度(θ)の各々のデータを含む前記移動体の状況データを取得する取得手段(23)と、前記取得手段が取得した前記移動体の状況データに基づいて、前記ゲームの得点を付与する得点付与手段(25)と、して機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のゲームプログラム(31A、231A)において、前記コンピュータ(1,201)を、前記所定のエリア(A3)の中の最適ポイント(O3)と、前記移動体(C)の最適角度(θ3)とを記憶する最適データ記憶手段(32)と、前記取得手段(23)により取得した前記移動体の状況データに基づき、前記最適ポイントと前記移動体の前記位置との距離差、及び前記最適角度と前記移動体の前記角度との角度差を算出する算出手段(24)と、して機能させ、前記得点付与手段(25)を、前記算出手段が算出した前記距離差及び前記角度差が小さいほど前記得点を多く付与するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のゲームプログラム(31A,231A)において、前記コンピュータ(1,201)を、前記取得手段(23)により取得した前記移動体(C)の状況データに基づいて画像データを生成する画像生成手段(26)として機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のゲームプログラム(31A)において、前記コンピュータ(1)を、前記三次元仮想空間内において、前記移動体が移動する条件に関する条件データと前記条件データに対応する得点の付与率に関する得点条件データとを複数個記憶する条件記憶手段(33)と、前記条件記憶手段から前記条件データを選択する条件選択手段(21)と、して機能させ、前記得点付与手段(25)を、前記条件選択手段により選択された前記条件データに対応する前記得点条件データに基づき前記得点を付与するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項5の発明は、請求項4に記載のゲームプログラム(31A)において、前記コンピュータ(1)を、前記取得手段(23)により取得した前記移動体(C)の状況データ及び前記条件選択手段(21)により選択された前記条件データに基づいて画像データを生成する画像生成手段(26)として機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項6の発明は、請求項3に記載のゲームプログラム(231A)において、前記コンピュータ(201)を、画像の演出に関する複数の演出データを記憶する演出データ記憶手段(234)と、前記得点付与手段(25)により付与された得点に応じて、前記演出データ記憶手段に記憶された前記演出データを選択する演出選択手段(227)と、して機能させ、前記画像生成手段(26)を、前記取得手段(23)により取得した前記移動体(C)の状況データ及び前記演出選択手段により選択された前記演出データに基づいて画像データを生成するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項7の発明は、請求項3、請求項5及び請求項6に記載のゲームプログラム(31A,231A)において、前記所定のエリア(A)は、前記三次元仮想空間内に配置された仮想カメラ(V)の撮影画角に対応し、前記画像生成手段(26)を、前記検知手段(22)の出力に応じて前記仮想カメラが撮影したような擬似撮影画像を生成するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項8の発明は、請求項7に記載のゲームプログラム(31A,231A)において、前記所定のエリア(A)の中の最適ポイントと、前記移動体(C)の最適角度とは、前記擬似撮影画像における前記移動体の写り具合に応じて定められていること、を特徴とするゲームプログラムである。
【0007】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のゲームプログラム(31A,231A)を記憶するプログラム記憶手段(31)と、前記ゲームプログラムを実行する制御手段(20)と、を備えるゲーム機(1,201)である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、所定のエリアに移動体が到達したことを検知して、取得した移動体の位置、速度、及び移動体の移動方向とコースの方向との角度の各々のデータを含む移動体の状況データに基づいて、ゲームの得点を付与する。よって、三次元仮想空間内の所定のコースを移動体が移動するゲームにおいて、所定のエリアに到達した際の移動体の状況という、スピード以外の要素に基づいて得点を付与する、今までにない新しいゲームを提供できる。
【0009】
(2)本発明は、所定のエリアの中の最適なポイントと、移動体の位置との距離差等を算出して、その差が小さいほど得点を多く付与するので、最適なコース取りをした移動体に多くの得点を付与するゲームを提供できる。
【0010】
(3)本発明は、移動体の状況データに基づいて画像データを生成するので、例えば、最適なコース取りをした場合には、臨場感の溢れる格好の良い画像が生成できる。結果的に、生成した画像が格好の良いものであれば、得点でも高得点が狙えるので、プレイヤに、画像と得点との両方の満足感を与えることができる。
【0011】
(4)本発明は、三次元仮想空間内の複数の条件データと、複数の条件データの各々に対応する得点の付与率に関する得点条件データとを記憶し、条件データを選択して得点を付与するので、例えば、条件データとしてゲームの背景画像のデータを変化させて、得点を変化させることができる。よって、変化に富んだゲームを提供できる。また、条件データに基づいて画像データを生成するので、変化に富んだ画像を提供できる。
【0012】
(5)本発明は、画像の演出に関する複数の演出データを記憶し、付与された得点に応じて、演出データを選択して、演出データに基づいて画像を生成する。よって、付与された得点により、変化に富んだ画像が生成できるので、面白味のある画像を提供できる。
【0013】
(6)本発明は、所定のエリアを三次元仮想空間内に配置された仮想カメラの撮影画角に対応させて、移動体の検知により仮想カメラが撮影したような擬似撮影画像を生成する。よって、移動体が最適な移動をした場合に、ベストショットの画像が生成できるので、プレイヤによる移動体の移動技術と、移動体を対象にした画像とを連動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、スピード以外の要素で競うことが可能な三次元仮想空間内の所定のコースを移動体が移動するゲームのゲームプログラム及びゲーム機を提供するという目的を、三次元仮想空間内の所定のコースを移動体が移動するゲームのゲームプログラムが、コンピュータを、コースを移動する移動体の映像を表示する表示手段と、表示手段に表示された移動体の映像に基づいてプレイヤが移動体を操作する操作手段と、コースに設けられた所定のエリアに移動体が到達したことを検知する検知手段と、検知手段の出力に応じて、移動体の位置、速度、及び移動体の移動方向とコースの方向との角度の各々のデータを含む移動体の状況データを取得する取得手段と、取得手段が取得した移動体の状況データに基づいて、ゲームの得点を付与する得点付与手段と、して機能させることによって実現した。
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
図1は、第1実施形態に係るゲーム機1の外観を示す図である。
ゲーム機1は、例えば、ゲームセンタの所定の場所に設置される大型の装置であり、プレイヤPが、カーレース等の運転シミュレーションに関するゲームを行うことが可能なビデオゲーム機である。ゲーム機1は、筐体2と、座部9とから構成される。筐体2は、モニタ3と、電飾4と、スピーカ5と、ペダル6と、ハンドル7と、コイン投入口8と、シフトレバー11とを備える。
【0016】
モニタ3は、筐体2の上部に、プレイヤPに対面するように配置されている。モニタ3は、プレイヤPが操作するレーシングカーC(移動体)の映像等のプレイの内容を表示する。
モニタ3の上方には、左右に電飾4が配置され、モニタ3の上方中央には、スピーカ5が配置されている。電飾4は、プレイヤPのプレイに応じて発光し、スピーカ5は、プレイヤPのプレイに合わせて効果音等の音声を出力する。
【0017】
ペダル6は、筐体2の下方に配置されている。ペダル6は、アクセルペダル6A及びブレーキペダル6Bを含み、右から左に向かってこの順番に配置されている。ペダル6は、プレイヤPが足で押下したり、押下した状態を解除したりすることで、レーシングカーCの移動速度を決定する操作入力装置である。
ハンドル7は、プレイヤPが手に握って回転させることで、レーシングカーCの移動方向を決定するための操作入力装置である。ハンドル7は、モニタ3の下方中央であって、プレイヤPが座した際の胸の高さあたりの位置に配置されている。
ハンドル7の左方には、コイン投入口8とシフトレバー11とが配置されている。プレイヤPが、コイン投入口8に所定のコインを投入することで、プレイを開始できる。シフトレバー11は、プレイヤPが左手で握って操作することで、レーシングカーCのギアを変えるための操作入力装置である。
【0018】
座部9は、筐体2のモニタ3に対面するように配置されている。座部9は、プレイヤPがプレイを行う際に座るためのものであり、レーシングカーCの運転席をイメージしている。座部9には、サイドブレーキ10が設けられている。
サイドブレーキ10は、プレイヤPが座部9に座して、左手で操作ができる位置に配置されている操作入力装置である。サイドブレーキ10は、プレイヤPが上方向に引き上げることで、レーシングカーCのタイヤをロックさせて、レーシングカーCの速度を急速に減速させる。また、サイドブレーキ10は、プレイヤPが上方に引き上げられた状態から元の位置に戻すことで、ブレーキの状態を解除する。
このように、プレイヤPは、モニタ3を見ながら、ペダル6、ハンドル7、サイドブレーキ10、シフトレバー11を操作することで、運転シミュレーションゲームを行うことができる。
【0019】
図2は、第1実施形態に係るゲーム機1の機能ブロックを示す図である。ゲーム機1は、図1で説明したモニタ3、電飾4、スピーカ5、コイン投入口8の他、制御部20、記憶部30、操作部35、通信インタフェース部39を備えており、その各々がバスライン19を介して接続されている。バスライン19は、ゲーム機1内でアドレス信号やデータを伝送するラインである。
【0020】
制御部20は、記憶部30に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
制御部20は、主な構成として、条件選択手段21、検知手段22、状況取得手段23、差分算出手段24、得点付与手段25及び画像生成手段26を備えている。
条件選択手段21は、レーシングカーCが移動するコースを含んだ、モニタ3に表示される三次元仮想空間の条件を選択する制御部である。三次元仮想空間の条件とは、例えば、日中や夜間といった時間の条件、晴れ、曇り、雨といった天候の条件、アスファルト、砂漠、湿地といったコースの路面の条件等をいう。この条件の選択は、例えば、条件選択手段21がゲームの開始時にランダムに行ってもよいし、複数のコースを順番にプレイする場合に、その前のプレイにおけるゲームの得点に連動して、条件選択手段21が選択してもよい。
【0021】
検知手段22は、レーシングカーCが、コースに設けられた所定のエリアに到達したことを検知する制御部である。エリアは、コース内に複数箇所設けられていてもよい。エリアは、コースの長手方向に垂直な方向であって、コースを横断する所定の幅の領域である。
状況取得手段23は、検知手段22が検知した時点でのレーシングカーCの位置と、速度と、向きとを取得する制御部である。レーシングカーCの位置は、座標により表される。レーシングカーCの速度は、検知手段22が検知してから短時間(例えば、0.1秒)に移動したレーシングカーCの位置と、その時間とによって算出できる。レーシングカーCの向きは、レーシングカーCの移動方向と、コースの方向との角度により表される。
【0022】
差分算出手段24は、レーシングカーCの状況と、最適ポイント及び最適角度との差分を算出する制御部である。最適ポイントとは、所定のエリア内に設けられ、所定のエリアを撮影する定点(固定)カメラ(仮想カメラ)からレーシングカーCを撮影した場合に得られる画像を生成したときに、レーシングカーCが最も格好良く撮影されるポイントをいう。差分算出手段24は、差分として、最適ポイントの位置と、レーシングカーCの中心位置との距離差、最適角度と、レーシングカーCの角度との角度差を算出する。
得点付与手段25は、ゲームの得点を付与する制御部である。
画像生成手段26は、レーシングカーCの速度及び角度のデータを用いて、レーシングカーCを含む画像を生成する制御部である。
これらの各制御手段の処理の詳細は、後述する。
【0023】
記憶部30は、制御部20で実行されるゲームプログラム31Aを記憶するプログラム記憶部31、最適データ記憶部32、条件記憶部33を備える。ゲームプログラム31Aの実行により、電飾4による発光や、スピーカ5による音声出力が適宜行われる。記憶部30を実現するものとして、電気的、磁気的、光学的、電磁的に実現するものを含んでよい。より具体的には、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リードオンリー・メモリ(ROM)等を含む半導体記憶装置、磁気ディスク等が含まれる。
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御部等を備えた情報処理装置をいい、ゲーム機1は、記憶部30、制御部20等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0024】
操作部35は、図1で説明したペダル6、ハンドル7、サイドブレーキ10、シフトレバー11の操作入力装置を含み、プレイヤPがレーシングカーCの操作を行うための装置である。
通信インタフェース部39は、ゲーム機1を、例えば、図示しないインターネット等の通信ネットワークに接続するためのものであり、通信ネットワークに接続されたサーバに、生成した画像を送信するためのインタフェースである。
【0025】
次に、ゲーム内容について説明する。
図3は、第1実施形態に係るコースレイアウト例及びカメラVによるコースの撮影例を示す図である。
図4は、第1実施形態に係る最適ポイントを説明するための図である。
図5は、第1実施形態に係る最適データ記憶部32及び条件記憶部33を示す図である。
図6は、第1実施形態に係る画像生成処理により生成される画像の例を示す図である。
【0026】
まず、図3(a)は、レーシングカーCが走行するコースレイアウトを示す。レーシングカーCは、ゲーム開始時に地点Sに配置され、アクセルペダル6A(図1参照)をプレイヤPが踏み込むことで、スタートと同時に矢印の方向に進む。また、エリアA(A1〜A3)は、得点が付与されるエリアを示す。エリアA1〜A3を通過するレーシングカーCの画像を生成するための、ビューポイントとしてのカメラV(V1〜V3)が、それぞれ図3(a)に示す位置に配置されている。
図3(b)は、カメラV3から撮影された画像として生成される、エリアA3を含むコースの画像例を示す。カメラV3は、エリアA3にレーシングカーCが、最適な位置、最適な速度、かつ最適な向きで到達した場合に、最も格好の良いレーシングカーCの画像が生成できる位置に配置されている。格好の良い画像とは、例えば、レーシングカーCの画像が中心位置に大きく配置された、臨場感の溢れる画像をいう。
なお、以降の図4から図6では、エリアA3について説明するが、エリアA3を除く他のエリアAについても同様である。
【0027】
図4(a)は、エリアA3の最適ポイントO3及び最適角度θ3を示す図である。最適ポイントO3は、エリアA3内に設けられた点で示す位置であり、座標で示される。また、最適角度θ3は、コースの長手方向に並行する線L3と、最適方向ベクトルv3とに挟まれた角度である。
制御部20は、レーシングカーCがエリアA3に到達したことを検知して、図4(b)に示すように、レーシングカーCの中心COの位置と、レーシングカーCの角度θとを取得する。中心COは、レーシングカーCの中心の位置(所定の位置)を示し、座標で示される。また、角度θは、線L3と、レーシングカーCの方向ベクトルvとに挟まれた角度である。制御部20は、最適ポイントO3と、レーシングカーCの中心COとから距離差を算出し、最適角度θ3とレーシングカーCの角度θとから角度差を算出する。そして、制御部20は、算出した距離差及び角度差により、付与する得点を変化させる。
【0028】
図5(a)は、最適データ記憶部32を示し、エリア、取得時間、最適ポイント及び最適角度、得点の各項目を有する。最適データ記憶部32は、エリアA毎に、カメラVからの画像として、レーシングカーCの写り具合に応じて定められており、レーシングカーCの最適な画像が生成できる値を予め格納している。取得時間は、検知手段22によりレーシングカーCを検知してから、レーシングカーCの状況データを取得するまでの時間を格納する。取得時間は、レーシングカーCの最適な移動速度から、予め決定される。最適データ記憶部32は、例えば、エリアA3において取得したレーシングカーCの状況が、最適ポイントO3及び最適角度θ3の場合に、1000点の得点が付与されることを示す。また、最適ポイントO3より0.1m離れる毎に50点が減点され、最適角度θ3より1度ずれる毎に30点減点されることを示す。
【0029】
また、図5(b)は、条件記憶部33を示し、条件と、条件に対応した得点付与率とが記憶されている。条件は、レーシングカーCが走行するコースや、コースを含む空間(三次元仮想空間)の条件であり、天候、時間、路面状況等に関するものである。得点付与率は、条件に応じて加算する割合である。例えば、レーシングカーCが夜間走行する場合には、算出した得点に0.05を乗じた得点を加算する。夜間は、日中よりも視界が悪く、プレイヤPが最適ポイントO3を通過するように運転することが、日中走行する場合よりも難しいことを考慮したものである。
【0030】
このように、ゲーム機1は、条件記憶部33を用いることで、ゲームの背景画像が異なる場合に、付与する得点を変化させることができる。よって、ゲーム機1は、条件により得点が変化し、また、それに対応して変化に富んだ画像を提供できる。
【0031】
図6は、カメラV3からの画像として生成したレーシングカーCの画像例を示す。図6(a)は、エリアA3の最適ポイントO3を最適角度θ3で到達したレーシングカーCを表す。レーシングカーCは、画像の中心位置に大きく配置されている。他方、図6(b)及び(c)は、最適ポイントO3から離れた位置で、エリアA3に到達したレーシングカーCを表す。図6(b)は、レーシングカーCの画像が小さく表示されている。これは、レーシングカーCの速度が、最適な場合に比較して遅いことによる。また、図6(c)は、レーシングカーCの画像が中心位置より右側に寄って表示されている。これは、レーシングカーCのコース取りが、最適な場合に比較して運転席から見て左側であったことによる。得点付与手段25により付与される得点は、例えば、図6(a)が1000点であり、図6(b)の方が、図6(c)よりも距離差が大きい場合には、図5(a)の最適データ記憶部32を用いて、例えば、図6(b)が750点、図6(c)が850点と算出される。
【0032】
このように、ゲーム機1は、エリアA3での最適なポイントと、レーシングカーCの位置との距離差を算出して、その差が小さいほど得点を多く付与するので、最適なコース取りをしたレーシングカーCに、より多くの得点を付与することができる。
また、ゲーム機1は、レーシングカーCの状況データに基づいて画像データを生成するので、最適なコース取りをした場合には、臨場感の溢れる格好の良い画像が生成できる。結果的に、生成した画像が格好の良いものであれば、得点でも高得点が狙えるので、プレイヤPに、画像と得点との両方の満足感を与えることができる。
さらに、ゲーム機1は、エリアAをカメラVの撮影画角に対応させて、予め定めた最適な移動をするレーシングカーCを、画像の中心にして撮影したような擬似撮影画像を生成することができる。よって、プレイヤPによるレーシングカーCの運転技術と、レーシングカーCの画像とを連動させることができる。
【0033】
次に、上述で説明した一連のゲーム内容について、フローチャートを用いて説明する。
図7は、第1実施形態に係るゲーム機1のフローチャートである。
前提として、レーシングカーCによるカーレースゲームが開始されており、コースに関する条件が、条件選択手段21により既に選択されているものとする。
ステップS1において、制御部20(検知手段22)は、レーシングカーCが所定のエリアAに到達したか否か、すなわち、到達したことを検知したか否かを判断する。レーシングカーCが所定のエリアAに到達した場合(ステップS1:YES)には、制御部20は、処理をステップS2に移す。他方、所定のエリアAに到達していない場合(ステップS1:NO)には、制御部20は、ステップS1の処理を繰り返す。
【0034】
ステップS2では、制御部20(状況取得手段23)は、最適データ記憶部32から該当のエリアAの取得時間を抽出して、レーシングカーCの到達を検知してから取得時間を経過後のレーシングカーCの中心COの位置と角度θとを取得する。
ステップS3では、制御部20は、最適データ記憶部32から該当のエリアAにおける最適ポイント及び最適角度を抽出する。
【0035】
ステップS4では、制御部20(差分算出手段24)は、上述の図4で説明した方法で、差分算出処理を行う。
ステップS5では、制御部20(得点付与手段25)は、上述の図5(a)で説明した最適データ記憶部32に基づき、付与する得点を算出する。また、図5(b)で説明した条件記憶部33のコースの条件に応じて、さらに付与する得点を算出して、加算する。
【0036】
ステップS6では、制御部20(画像生成手段26)は、ステップS2で取得したレーシングカーCの中心COの位置と角度θとから、カメラVから撮影したかのようなレーシングカーCの画像を生成する。生成された画像は、ステップS1でレーシングカーCの到達を検知したことに応じてカメラVが撮影したような擬似撮影画像である。また、制御部20(画像生成手段26)は、コースの条件に応じて、生成した画像に演出を施す。演出とは、例えば、動いている対象をカメラVで撮影したことによって、レーシングカーCのランプにブラー効果を演出することをいう。
【0037】
ステップS7では、制御部20は、レーシングカーCがコース上の全てのエリアAを通過したか否かを判断する。全てのエリアAを通過している場合(ステップS7:YES)には、制御部20は、本処理を終了する。他方、全てのエリアAを通過していない場合(ステップS7:NO)には、制御部20は、処理をステップS1に戻し、残りのエリアAについて上述の処理を繰り返す。
【0038】
このことにより、ゲーム機1は、エリアAにレーシングカーCが到達したことを検知して、取得したレーシングカーCの状況データに基づいて、ゲームの得点を付与する。よって、ゲーム機1は、カーレースのゲームにおいて、スピード以外の要素に基づいて得点を付与する、今までにない新しいゲームを提供できる。
【0039】
次に、ゲーム機1が生成した画像の使用例について説明する。
図8は、第1実施形態に係る生成した画像の活用例の一例を示す図である。図8に示すように、制御部20は、当該プレイを終了後に、生成した画像を得点と共にモニタ3に一覧表示する。そして、プレイヤPがハンドル7を操作することで、制御部20は、一覧表示された画像の選択箇所を移動させる。選択箇所を移動することでプレイヤPにより決定した画像は、例えば、プレイヤPを識別する識別データと共に、図示しないサーバに送信するようにしてもよい。そのようにすることで、サーバから、画像をパーソナルコンピュータ等にダウンロードしたり、画像にコメントをつけてWebで公開したりと、ゲーム中に取得したレーシングカーCの画像を、様々な場面で活用することができる。
【0040】
なお、コメントをつけるに際し、画像と共に、レーシングカーCのタイヤの種類や馬力等のスペックの情報をサーバに送信して、スペックの情報をコメントにして表示してもよい。また、ゲーム機1を、ゲーム開始時にプレイヤPのユーザ登録をさせるようにすることで、過去のプレイでプレイヤPが生成した画像をサーバからダウンロードして、ゲーム機1のデモンストレーションの画像等に用いることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用したゲーム機の第2実施形態について説明する。
第2実施形態のゲーム機は、生成した画像に、得点に応じて演出を施すものである。
なお、以下の説明及び図面において、上述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0042】
図9は、第2実施形態に係るゲーム機201の機能ブロックを示す図である。ゲーム機201は、制御部220に、画像生成手段226と演出選択手段227とを備える。演出選択手段227は、付与された得点に応じて、生成する画像に演出を与える演出データを選択する制御部である。そして、画像生成手段226は、演出選択手段227で選択された演出データを用いて、画像を生成する。
演出データは、記憶部230に有する演出データ記憶部234に記憶されている。演出データは、得点に対応付けて、例えば、砂埃を発生させたり、レーシングカーCのランプの残像等を発生させたりして、レーシングカーCに対して躍動感を表現するエフェクトを発生させる演出を行うためのデータである。
【0043】
図10は、第2実施形態に係る画像生成処理により生成される画像の例を示す図である。図10(a)は、あるエリアAに到達したレーシングカーCを被写体として生成した画像である。画像生成手段226は、得点付与手段25(図9)によって付与された得点の大きさによって、図10(a)の画像に、例えば、タイヤから煙を発生させ、テールランプの残像を生じさせるようなエフェクトを施す。その結果、画像生成手段226は、図10(b)に示すような、躍動感のある画像を生成することができる。
【0044】
このように、ゲーム機1は、演出データ記憶部234により演出データを記憶し、付与された得点に応じて、演出データを選択して、演出データに基づいて画像を生成するので、付与された得点により、変化に富んだ面白味のある画像を提供できる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0046】
(変形形態)
(1)本実施形態において、カーレースの例を示したが、これに限定されない。例えば、飛行機や船舶、二輪車等の他の乗物がコースを移動するゲームでもよい。
【0047】
(2)本実施形態において、画像の活用例として、通信ネットワークを介してサーバにアップロードをする例を示したが、これに限定されない。例えば、ゲーム機に、記憶媒体に対して読み書き可能なリーダライタ等の装置を備えるようにして、記憶媒体に生成した画像を書込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1実施形態に係るゲーム機の外観を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るゲーム機の機能ブロックを示す図である。
【図3】第1実施形態に係るコースレイアウト例及びカメラによるコースの撮影例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る最適ポイントを説明するための図である。
【図5】第1実施形態に係る最適データ記憶部及び条件記憶部を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る画像生成処理により生成される画像の例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係るゲーム機のフローチャートである。
【図8】第1実施形態に係る生成した画像の活用例の一例を示す図である。
【図9】第2実施形態に係るゲーム機の機能ブロックを示す図である。
【図10】第2実施形態に係る画像生成処理により生成される画像の例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1,201 ゲーム機
3 モニタ
6 ペダル
7 ハンドル
10 サイドブレーキ
11 シフトレバー
20,220 制御部
21 条件選択手段
22 検知手段
23 状況取得手段
24 差分算出手段
25 得点付与手段
26,226 画像生成手段
30,230 記憶部
31 プログラム記憶部
31A,231A ゲームプログラム
32 最適データ記憶部
33 条件記憶部
35 操作部
39 通信インタフェース部
227 演出選択手段
234 演出データ記憶部
C レーシングカー
P プレイヤ
A,A1〜A3 エリア
V,V1〜V3 カメラ
L3 線
O3 最適ポイント
θ3 最適角度
v3 最適方向ベクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元仮想空間内の所定のコースを移動体が移動するゲームのゲームプログラムであって、
コンピュータを、
前記コースを移動する前記移動体の映像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された前記移動体の映像に基づいてプレイヤが前記移動体を操作する操作手段と、
前記コースに設けられた所定のエリアに前記移動体が到達したことを検知する検知手段と、
前記検知手段の出力に応じて、前記移動体の位置、速度、及び前記移動体の移動方向と前記コースの方向との角度の各々のデータを含む前記移動体の状況データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記移動体の状況データに基づいて、前記ゲームの得点を付与する得点付与手段と、
して機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のゲームプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記所定のエリアの中の最適ポイントと、前記移動体の最適角度とを記憶する最適データ記憶手段と、
前記取得手段により取得した前記移動体の状況データに基づき、前記最適ポイントと前記移動体の前記位置との距離差、及び前記最適角度と前記移動体の前記角度との角度差を算出する算出手段と、
して機能させ、
前記得点付与手段を、前記算出手段が算出した前記距離差及び前記角度差が小さいほど前記得点を多く付与するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のゲームプログラムにおいて、
前記コンピュータを、前記取得手段により取得した前記移動体の状況データに基づいて画像データを生成する画像生成手段として機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記三次元仮想空間内において、前記移動体が移動する条件に関する条件データと前記条件データに対応する得点の付与率に関する得点条件データとを複数個記憶する条件記憶手段と、
前記条件記憶手段から前記条件データを選択する条件選択手段と、
して機能させ、
前記得点付与手段を、前記条件選択手段により選択された前記条件データに対応する前記得点条件データに基づき前記得点を付与するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のゲームプログラムにおいて、
前記コンピュータを、前記取得手段により取得した前記移動体の状況データ及び前記条件選択手段により選択された前記条件データに基づいて画像データを生成する画像生成手段として機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項6】
請求項3に記載のゲームプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
画像の演出に関する複数の演出データを記憶する演出データ記憶手段と、
前記得点付与手段により付与された得点に応じて、前記演出データ記憶手段に記憶された前記演出データを選択する演出選択手段と、
して機能させ、
前記画像生成手段を、前記取得手段により取得した前記移動体の状況データ及び前記演出選択手段により選択された前記演出データに基づいて画像データを生成するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項7】
請求項3、請求項5及び請求項6に記載のゲームプログラムにおいて、
前記所定のエリアは、前記三次元仮想空間内に配置された仮想カメラの撮影画角に対応し、
前記画像生成手段を、前記検知手段の出力に応じて前記仮想カメラが撮影したような擬似撮影画像を生成するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のゲームプログラムにおいて、
前記所定のエリアの中の最適ポイントと、前記移動体の最適角度とは、前記擬似撮影画像における前記移動体の写り具合に応じて定められていること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のゲームプログラムを記憶するプログラム記憶手段と、
前記ゲームプログラムを実行する制御手段と、
を備えるゲーム機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate