説明

ゲーム機、それに用いられる制御方法及び、コンピュータプログラム

【課題】ゲーム中の選択肢を増やすとともに、遊技価値の消費も促すことができるゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム機1は、ゲーム状況に応じて蓄積され、所定の状況をゲーム中に付与するために消費されるブースト量を利用するゲーム機であって、ブースト量を消費することにより、所定の状況としてゲーム中のプレイヤキャラクタPCの移動速度が上昇する状況を付与する。また、ゲーム機1は、ゲームのプレイ期間の基準として機能するエネルギー量をコインの消費と引き換えに増加させるとともに、所定の減少条件が満たされた場合にはエネルギー量を減少させる。そして、ゲーム機1は、所定の減少条件の一つとして所定の移行操作の実行という条件が満たされた場合には、エネルギー量の減少量をプレイヤキャラクタPCの移動速度が上昇する状況を付与するために利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム状況に応じて蓄積され、所定の状況をゲーム中に付与するために消費される状況付与量を利用するゲーム機、それに用いられる制御方法及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム中のアイテムを模したフィギュアを使用してプレイ可能なゲームを提供するゲームシステムが存在する。そのようなゲームシステムであって、使用に伴ってフィギュアの利用可能数が減少する一方で、その利用可能数を遊技価値の投入により増加することができるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−160012号公報
【特許文献2】特表2008−501400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のゲームシステムでは、フィギュアの利用可能数が遊技価値の投入により増加する。このため、利用可能数を全て消費しても新しいフィギュアを取得し直す必要がない。また、実際に使用されたフィギュアに愛着を持つプレイヤも存在する。これらにより、特許文献1のゲームシステムでは、フィギュアを所有するプレイヤに対してゲームへの動機づけを図っている。一方で、愛着のあるフィギュアはゲームのプレイ結果に良い影響を与えるかもしれないが、ゲーム状況を変化させるものではない。従って、遊技価値を投入してもゲームの興趣性は変化しない。また、遊技価値の消費は促される可能性はあるが、ゲーム中の選択肢を増やすものではない。更に、フィギュアを所有していないプレイヤには、無関係である。
【0005】
そこで、本発明は、ゲーム中の選択肢を増やすとともに、遊技価値の消費も促すことができるゲーム機、それに用いられる制御方法及び、コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲーム機は、ゲーム状況に応じて蓄積され、所定の状況をゲーム中に付与するために消費される状況付与量を利用するゲーム機であって、前記状況付与量を消費することにより、前記所定の状況を前記ゲーム中に付与する状況付与手段(15)と、前記ゲームでプレイ期間の基準として機能するプレイ期間基準量を遊技価値の消費と引き換えに増加させるとともに、所定の減少条件が満たされた場合には前記プレイ期間基準量を減少させる基準量増減制御手段(15)と、を備え、前記状況付与手段は、前記所定の減少条件の一つとして所定の利用条件が満たされた場合には、前記基準量増減制御手段が減少させる前記プレイ期間基準量の減少量を前記所定の状況を付与するために利用するものである。
【0007】
本発明によれば、所定の利用条件が満たされれば、所定の状況を付与するためにプレイ期間基準量が利用される。このため、状況付与量が全て消費され、所定の状況が付与される余地がない場合でも、プレイ期間基準量を利用して、所定の状況を付与することができる。つまり、失われた選択肢がもう一度選択可能になる。これにより、プレイ期間基準量は減少するが、遊技価値の消費によりその減少を補うことができる。従って、ゲーム中の選択肢を増やすとともに、遊技価値の消費も促すことができる。
【0008】
プレイ期間基準量は、所定の状況を付与するために、どのように利用されてもよい。例えば、本発明のゲーム機の一態様において、前記状況付与手段は、前記所定の利用条件が満たされた場合に、前記プレイ期間基準量の減少量に応じて前記状況付与量を増加させることにより、前記減少量を前記所定の状況を付与するために利用してもよい。この場合、プレイ期間基準量が所定の状況を付与するために、直接消費されない。このため、例えば、プレイヤの操作に基づいて、状況付与量が消費され、所定の状況が付与される場合には、所定の状況を付与する時期や場所等をプレイヤに選択させることができる。
【0009】
本発明のゲーム機の一態様において、プレイヤの操作を受け付ける操作部(8)を更に備え、前記基準量増減制御手段及び、前記状況付与手段は、前記操作部に所定の移行操作が実行された場合に前記所定の利用条件が満たされたと判断してもよい。プレイ期間基準量は、プレイ期間の基準として機能するため、その減少はプレイ期間の減少を招く。従って、プレイ期間基準量の減少は避けるべきとも考えられる。この場合、所定の状況を付与するために、プレイ期間基準量を減少させるか否かがプレイヤの操作に基づいて決定される。従って、プレイ期間基準量を減少させるか否をプレイヤに判断させることができる。つまり、プレイ期間の減少を招いても所定の状況を付与するか否かをプレイヤに判断させることができる。これにより、プレイ期間基準量を減少させるか否かの判断にゲームの熟練度が反映される一方で、遊技価値の消費により、その熟練度の差を埋めることができる。
【0010】
本発明のゲーム機の一態様において、ゲーム画面(35)を表示する表示装置(4)を更に備え、前記ゲーム画面には、前記状況付与量の残量を示す状況付与量ゲージ(BG)と、前記プレイ期間基準量の残量を示すプレイ期間ゲージ(EG)とが表示されていてもよい。この場合、状況付与量及び、プレイ期間基準量の残量をプレイヤに容易に認識させることができる。
【0011】
ゲーム画面に状況付与量ゲージ及びプレイ期間ゲージが表示される態様において、これらの各ゲージは、どのような態様でもよい。例えば、本発明のゲーム機の一態様において、前記プレイ期間ゲージとして、外周に沿う方向に残量が増減する円形のゲージが採用されていてもよい。
【0012】
所定の減少条件として、各種の条件が採用されてよい。例えば、本発明のゲーム機の一態様において、前記基準量増減制御手段は、前記プレイ期間基準量が前記ゲームをプレイ可能な時間として機能するように、前記所定の減少条件の一つとしてプレイ時間を採用し、前記ゲームのプレイ中に所定の単位時間が経過する毎に前記所定の減少条件が満たされたと判断することにより、前記プレイ時間の経過に伴って前記プレイ期間基準量を減少させてもよい。
【0013】
所定の状況として、各種の状況が付与されてよい。例えば、本発明のゲーム機の一態様において、前記ゲームは、所定の領域内を移動可能なキャラクタ(PC)が出現するように構成され、前記状況付与手段は、前記所定の状況として、当該所定の状況の付与前に比べて前記キャラクタの移動速度が上昇する状況を付与してもよい。
【0014】
本発明の制御方法は、ゲーム状況に応じて蓄積され、所定の状況をゲーム中に付与するために消費される状況付与量を利用するゲーム機に組み込まれるコンピュータ(15)に、前記状況付与量を消費することにより、前記所定の状況を前記ゲーム中に付与する状況付与工程と、前記ゲームでプレイ期間の基準として機能するプレイ期間基準量を遊技価値の消費と引き換えに増加させるとともに、所定の減少条件が満たされた場合には前記プレイ期間基準量を減少させる基準量増減制御工程と、を実行させるとともに、更に、前記状況付与工程にて、前記所定の減少条件の一つとして所定の利用条件が満たされた場合には、前記基準量増減制御工程にて減少させる前記プレイ期間基準量の減少量を前記所定の状況を付与するために利用する工程を実行させるものである。
【0015】
また、本発明のゲーム機用のコンピュータプログラムは、ゲーム状況に応じて蓄積され、所定の状況をゲーム中に付与するために消費される状況付与量を利用するゲーム機に組み込まれるコンピュータ(15)を、前記状況付与量を消費することにより、前記所定の状況を前記ゲーム中に付与する状況付与手段及び、前記ゲームでプレイ期間の基準として機能するプレイ期間基準量を遊技価値の消費と引き換えに増加させるとともに、所定の減少条件が満たされた場合には前記プレイ期間基準量を減少させる基準量増減制御手段として機能させるように構成され、更に、前記状況付与手段を、前記所定の減少条件の一つとして所定の利用条件が満たされた場合には、前記基準量増減制御手段が減少させる前記プレイ期間基準量の減少量を前記所定の状況を付与するために利用する手段として機能させるように構成されたものである。本発明の制御方法或いはゲーム機用のコンピュータプログラムを実行することにより、本発明のゲーム機を実現することができる。
【0016】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
以上、説明したように、本発明によれば、状況付与量が全て消費され、所定の状況が付与される余地がない場合でも、プレイ期間基準量を利用して、所定の状況を付与することができる。つまり、失われた選択肢がもう一度選択可能になる。一方で、減少したプレイ期間基準量は、遊技価値の消費により補うことができる。これらにより、ゲーム中の選択肢を増やすとともに、遊技価値の消費も促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一形態に係るゲーム機の外観を概略的に示す図。
【図2】ゲーム機の機能ブロック図。
【図3】ゲーム機が提供するゲーム画面の一例を示す図。
【図4】移行処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るゲーム機の一形態について説明する。図1は、本発明の一形態に係るゲーム機の外観を概略的に示す図である。図1に示すように、ゲーム機1は、筐体2を備えている。筐体2には、コントロールパネル3と、表示装置としてのモニタ4と、スピーカ5とが設けられている。モニタ4は、筐体2の前面側に、表示面が傾けられるようにして配置されている。スピーカ5は、モニタ4の上方に配置されている。また、コントロールパネル3は、モニタ4の下方に配置されている。なお、ゲーム機1には、他にも、ボリューム操作スイッチ、電源スイッチ、電源ランプといった通常の業務用のゲーム機が備えている各種の入力装置及び出力装置が設けられているが、図1ではそれらの図示を省略している。
【0020】
コントロールパネル3には、方向を選択可能な操作部としての方向選択操作部8と、コイン投入口10とが設けられている。方向選択操作部8には、操作の決定等に利用されるボタン8aが設けられている。コイン投入口10は、遊技価値としてのコインの投入を受け付ける。なお、コントロールパネル3には、その他にも各種操作に利用される操作部が設けられていているが、それらの図示を省略している。
【0021】
一方、筐体2の前面には、コイン排出口11が設けられている。コイン排出口11からは、コインが排出される。なお、遊技価値は、コイン等の有体物に限定されない。例えば、遊技価値として電子通貨等が利用されてもよい。この場合、コイン投入口10及びコイン排出口11に替えて、電子情報を記憶可能な記憶媒体及び、それに記憶された電子情報を読み取り可能な読み取り装置が利用されてもよい。
【0022】
図2を参照して、ゲーム機1の構成について、更に説明する。図2は、ゲーム機1の機能ブロック図である。ゲーム機1の筐体2の内部には、コンピュータとしての制御ユニット15が設けられている。そして、コントロールパネル3、モニタ4、及びスピーカ5は、制御ユニット15に接続されている。
【0023】
制御ユニット15は、制御主体としてのゲーム制御部17と、そのゲーム制御部17からの出力に従って動作する表示制御部18及び、音声出力制御部19とを備えている。ゲーム制御部17は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサの動作に必要な内部記憶装置(一例としてROM及びRAM)等の各種の周辺装置とを組み合わせたユニットとして構成されている。
【0024】
表示制御部18は、ゲーム制御部17から与えられる画像データに応じた画像をフレームバッファに描画し、その描画した画像に対応する映像信号をモニタ4に出力することにより、モニタ4上に所定の画像を表示させる。音声出力制御部19は、ゲーム制御部17から与えられる音声再生データに応じた音声再生信号を生成して、スピーカ5に出力することにより、スピーカ5から所定の音声(楽曲等を含む)を再生させる。
【0025】
ゲーム制御部17には、外部記憶装置20が接続されている。外部記憶装置20には、DVDROM、CDROM等の光学式記憶媒体、或いはEEPROM等の不揮発性半導体メモリといった、電源の供給がなくても記憶を保持可能な記憶媒体が使用される。
【0026】
外部記憶装置20には、ゲームプログラム22と、ゲームデータ23とが記憶されている。ゲームプログラム22は、ゲーム機1にて所定の手順に従ってアクションゲームを実行するために必要なコンピュータプログラムである。
【0027】
ゲーム機1が起動されると、ゲーム制御部17はその内部記憶装置に記憶されたオペレーションプログラムを実行してゲーム機1として動作するために必要な各種の処理を実行する。続いて、ゲーム制御部17は、ゲームプログラム22に従ってアクションゲームを実行するための環境を設定する。ゲームプログラム22がゲーム制御部17にて実行されることにより、ゲーム制御部17には状況管理部24が生成される。
【0028】
状況管理部24は、所定の状況をゲーム中に付与する等、ゲーム状況を管理するための処理を実行する。状況管理部24は、コンピュータハードウェアとコンピュータプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置である。なお、ゲームプログラム22には各種モジュールが含まれ、ゲーム制御部17にはこれらの各モジュールに基づいて、状況管理部24の他にもゲームの実行に必要な各種の論理的装置が生成されるが、それらの図示は省略した。
【0029】
ゲームデータ23には、効果音データ26及び、画像データ27が含まれている。効果音データ26は、プレイヤの操作或いはゲーム状況に応じてスピーカ5から出力させるべき複数種類の効果音を、効果音毎にユニークなコードと対応付けて記録したデータである。画像データ27は、各種オブジェクト、アイコン及び、ゲーム内に出現させるべきキャラクタ等をモニタ4に表示させるためのデータである。なお、ゲームデータ23には、その他にもゲームプログラム22に従ってゲームを実行する際に参照されるべき各種のデータが含まれるが、それらの図示は省略した。
【0030】
次に、ゲーム機1にて実行されるアクションゲームについて説明する。ゲーム機1は、遊技価値としてのコインを消費することにより、複数のプレイヤにて、プレイが可能なアクションゲームを提供する。複数のプレイヤは、例えば、互いに情報の送受信が可能なように接続された複数のゲーム機1をそれぞれ利用して、共通のアクションゲームに参加することができる。
【0031】
図3は、ゲーム機1が提供するゲーム画面の一例を示す図である。図3に示すように、ゲーム画面35には、各プレイヤに対応するプレイヤキャラクタPCの画像と、敵キャラクタACの画像とが含まれる。プレイヤキャラクタPC及び敵キャラクタACは、仮想3次元空間として演出された所定の領域としてのフィールド内に配置される。そして、各プレイヤは、ゲーム画面35中のプレイヤキャラクタPCを介して仮想3次元空間のフィールド内を移動しつつ、遭遇した敵キャラクタACとバトルを行う。バトルを通じて、プレイヤには得点等が与えられる。図3の例では、4台のゲーム機1が利用され、それらのゲーム機1のプレイヤにそれぞれ対応する4つのプレイヤキャラクタPCが一つの敵キャラクタACとバトル中の状態を示している。
【0032】
一方、ゲーム画面35には、プレイヤキャラクタPCのステータス、使用可能なアイテム等を示す各種情報も含まれる。このような情報として、例えば、ゲーム画面35には、プレイ期間ゲージとしてのエネルギーゲージEG及び、状況付与量ゲージとしてのブーストゲージBGの表示が含まれる。ブーストゲージBGは、状況付与量としてのブースト量の残量を示すために使用される。ブースト量は、ゲーム中に、所定の状況を付与するために消費される。具体的には、走行選択操作が実行されることにより、プレイヤキャラクタPCの移動方法が歩行から走行に切り替えられる。走行とは、プレイヤキャラクタPCの移動速度が上昇することを意味する。つまり、ブースト量の消費に伴って、所定の状況として、当該所定の状況の付与前と比べてプレイヤキャラクタPCの移動速度が上昇する状況が付与される。
【0033】
ブースト量は、走行選択操作に伴って、一定量消費される。また、一定量の消費に伴って、プレイヤキャラクタPCの移動速度が上昇する状況が一定時間付与される。一定量及び一定時間として、各種の量又は時間が採用されてよい。そして、ブーストゲージBGの値がゼロになった場合、つまりブースト量がゼロになった場合には、プレイヤキャラクタPCは走行できない。走行ができない場合、つまりプレイヤキャラクタPCの移動速度を上げることができない場合、フィールド内の敵キャラクタACを見つける可能性が低くなる。この場合、得られる得点等が低くなりやすい。また、敵キャラクタACから逃避し辛くもなる。
【0034】
一方、ブースト量は、ゲーム状況に応じて蓄積される。具体的には、ゲームの進行、つまり時間経過とともに徐々に増加する。但し、増加速度(増加量/増加に必要な時間)は、走行に伴う消費速度(一定量/一定時間)よりも遅い。従って、プレイヤキャラクタPCをゲーム中継続して走行させ続けることはできない。このため、プレイヤキャラクタPCを走行させるという選択には、プレイヤの適切な判断が要求され、熟練度が反映される。なお、ブースト量が蓄積されるゲーム状況は、時間経過に限定されない。例えば、所定の操作が実行されることにより、或いはゲーム中の所定のアイテムを取得することにより、ブースト量が蓄積されてもよい。
【0035】
エネルギーゲージEGは、プレイ期間基準量としてのエネルギー量の残量を示すために使用される。プレイヤは、エネルギー量がゼロになるまで、フィールド内でプレイヤキャラクタPCを操作できる。つまり、プレイヤは、エネルギー量がゼロになるまで、ゲームをプレイできる。
【0036】
エネルギー量は、コインの消費に伴って増加する。つまり、エネルギー量は、コインで購入される。ゲーム画面35には、更に、購入ボタンBBが表示される。購入ボタンBBは、コインを消費してエネルギー量を増加させるために使用される。また、エネルギー量は、所定の減少条件を満たした場合に減少する。具体的には、所定の減少条件として、時間が採用されている。つまり、エネルギー量は、所定の単位時間が経過する毎に所定の減少条件が満たされ、減少する。要するに、エネルギー量は、時間経過に伴って徐々に減少する。従って、エネルギー量は、プレイ可能時間に対応する。つまり、プレイヤは、まずコインを消費してエネルギー量を購入することにより、ゲームのプレイを開始する。そして、プレイを開始した後には、プレイヤは、コインを追加的に消費してエネルギー量を増加させることにより、ゲームの終了を延期させることができる。図3の例では、プレイ可能時間の残時間を容易に認識させるために、エネルギーゲージEGは、円形に形成されている。また、エネルギーゲージEGのエネルギー量の残量は、時計の時間経過に対応するように、外周に沿って右回り方向に増加し、左回り方向に減少する。
【0037】
また、所定の減少条件には、所定の操作としての所定の移行操作が実行された場合という所定の利用条件が含まれる。つまり、所定の移行操作が実行された場合には、所定の減少条件の一つとしての所定の利用条件が満たされたと判断され、エネルギー量のうちの所定量がブースト量に移行する。具体的には、所定の移行操作が実行された場合には、エネルギー量が減少する一方で、ブースト量が増加する。このため、プレイヤは、ブースト量が少なく走行できないような場合に、エネルギー量を消費して、ブースト量を増加させることができる。
【0038】
なお、エネルギー量のブースト量への移行は、エネルギー量が一定量以上の場合に限定されてもよい。一定量として、例えば、エネルギー量が移行された後にゲームを一定時間以上プレイ可能な量が採用されてよい。つまり、エネルギー量の移行後にゲームを一定時間以上プレイ可能な一定量以上残っていない場合には、所定の移行操作が実行されても移行が実行されなくてよい。また、所定の減少条件には、その他にも各種の条件が利用されてよい。例えば、所定の条件として、武器の購入等の他の選択操作、或いは、敵キャラクタACから攻撃を受けた場合等のゲーム状況等が利用されてもよい。つまり、エネルギー量は、武器の強化や購入、ゲーム中のその他の選択肢の増加及び強化等のために使用され、それに伴い減少してよい。また、エネルギー量は、敵キャラクタACからの攻撃を受けた場合に減少してもよい。この場合、プレイ期間基準量は、プレイ時間の経過に伴って減少しなくてもよい。つまり、プレイ期間基準量は、敵キャラクタACからの攻撃を許容出来る量として機能することにより、プレイ期間の基準を示してもよい。
【0039】
次に、ゲーム制御部17が実行する移行処理ルーチンについて説明する。ゲーム制御部17は、エネルギー量をブースト量に移行するために、つまりエネルギー量を減少させる一方で、ブースト量を増加させるために移行処理ルーチンを実行する。なお、ゲーム制御部17は、ゲームを実行するために、移行処理ルーチンの他にも各種のルーチンを実行するが、それらは周知のルーチンにより実現されるため、詳細な説明を省略する。
【0040】
図4は、ゲーム制御部17が実行する移行処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図である。図4のルーチンは、状況管理部24が、その実行を担当する。状況管理部24は、所定の移行操作が実行された場合に、図4のルーチンを実行する。図4のルーチンが開始されると、状況管理部24は、まずステップS11にて、エネルギー量の残量が一定量以上か否か判別する。一定量として、例えば、ブースト量への移行に伴ってエネルギー量が減少した場合に、ゲームを一定時間以上プレイ可能な量が利用される。つまり、ステップS11では、エネルギー量をブースト量に移行した後にゲームを一定時間以上プレイ可能か否かが判別される。この判別が否定的結果の場合、つまりエネルギー量をブースト量に移行した後のプレイ可能時間が一定時間未満である場合には、状況管理部24は、移行の処理をスキップして、今回のルーチンを終了する。
【0041】
一方、ステップS11の判別が肯定的結果の場合、つまりエネルギー量をブースト量に移行した後もゲームを一定時間以上プレイ可能な場合には、状況管理部24は、ステップS12に進む。ステップS12において、状況管理部24は、エネルギー量を所定量消費する。つまり、エネルギーゲージEGの残量を所定量減少させる。続くステップS13において、状況管理部24は、ブースト量を増加させる。つまり、ブーストゲージBGの残量を増加させる。なお、ステップS12におけるエネルギー量の減少量と、ステップS13におけるブースト量の増加量とは同じ比率でもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
状況管理部24は、ステップS13の処理を終えると、今回のルーチンを終了する。これにより、プレイヤの所定の移行操作に伴って、一定量以上のエネルギー量が残っている場合に、エネルギー量の消費と引き換えにブースト量が増加される。また、ブースト量の増加に伴って走行という選択が可能になる。
【0043】
以上に説明したように、この形態によれば、所定の移行操作に基づいて、エネルギー量をブースト量に移行することができる。このため、走行という移動方法の選択ができない状況から走行可能な状況にゲーム状況を変化させることができる。これにより、失われた走行という選択肢を復活させることができるので、必要に応じて、選択肢を増やすことができる。つまり、エネルギー量を利用して、ゲームの選択肢を増やすことができる。エネルギー量は、プレイ可能時間に対応するため、エネルギー量の減少は、プレイ可能時間の減少にもつながる。従って、無計画にエネルギー量をブースト量に移行することはできない。従って、プレイヤには、エネルギー量の維持とブースト量を利用した走行という選択肢の増加との間の優劣の判断が要求される。つまり、エネルギー量のブースト量への移行には、プレイヤの熟練度が反映される。これらにより、ゲームの興趣性を向上させることができる。
【0044】
一方で、エネルギー量は、コインの消費に伴って増加する。つまり、コインを利用して、ゲームの選択肢を増やすことができる。つまり、熟練度の差をコインの消費を利用して、解消することもできる。これにより、コインの消費を促すこともできる。つまり、この形態によれば、ゲーム中の選択肢を増やすとともに、コインの消費も促すことができる。
【0045】
以上の形態において、制御ユニット15が状況管理部24を通じて図4のルーチンを実行することにより、基準量増減制御手段及び、状況付与手段として機能する。
【0046】
本発明は上述の形態に限定されず、適宜の形態にて実施することができる。上述の形態では、所定の利用条件が満たされた場合に、プレイ期間基準量が減少する一方で状況付与量が増加することにより、プレイ期間基準量が所定の状況付与のために間接的に利用されているが、このような形態に限定されない。例えば、プレイ期間基準量が所定の状況付与のために、直接的に利用されてもよい。つまり、所定の利用条件が満たされた場合には、所定の状況付与のために、状況付与量の消費に替えて、プレイ期間基準量を消費してもよい。この場合、所定の利用条件が満たされることにより、すぐに所定の状況を付与することができる。一方で、プレイ期間基準量を間接的に利用する場合には、プレイ期間基準量の減少の時期と所定の状況付与の時期とを別にできる。これにより、計画的なプレイ期間基準量の減少及び、所定の状況の付与を実現することができる。
【0047】
上述の形態では、所定の利用条件として所定の操作が採用されているが、所定の利用条件は、このような形態に限定されない。例えば、ゲーム中で所定のアイテム等を取得したとき、所定の時期、プレイ期間基準量が所定の基準量以上の場合等の各種ゲーム状況が所定の利用条件として採用されてもよい。
【0048】
上述の形態では、プレイ期間基準量及び状況付与量は、ゲージを利用して表示されているが、このような形態に限定されない。例えば、プレイ期間基準量及び状況付与量は、数値、色彩の変化、或いは音声等を利用してプレイヤに案内されてもよい。
【0049】
上述の形態では、ゲーム機1では、アクションゲームが実行されているが、ゲーム機1で実行されるゲームは、このようなゲームに限定されない。例えば、シューティングゲーム、シミュレーションゲーム、ロールプレイングゲーム等の各種ゲームがゲーム機にて実行されてよい。また、上述の形態では、所定の状況として、ゲーム中のキャラクタの移動速度が上昇する状況が付与されているが、所定の状況は、このような形態に限定されない。例えば、キャラクタが敵からの攻撃を受けてもプレイ期間に影響を及ぼさないような状況、或いは、特別の得点が付与される等のボーナス状況等が所定の状況として付与されてよい。また、ゲーム機として、業務用、家庭用或いは、据置型、携帯型といった各種ゲーム機やパーソナルコンピュータ、或いは携帯電話等が利用されてよい。なお、家庭用のゲーム機等、物理的な遊技価値の投入ができないゲーム機では、遊技価値の消費として電子通貨(仮想的通貨を含む)が利用され、ネットワークを通じて遊技価値が消費されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ゲーム機
3 コントロールパネル
4 モニタ(表示装置)
8 方向選択操作部(操作部)
15 制御ユニット(コンピュータ、状況付与手段、基準量増減手段)
35 ゲーム画面
EG エネルギーゲージ(プレイ期間ゲージ)
BG ブーストゲージ(状況付与量ゲージ)
PC プレイヤキャラクタ(キャラクタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム状況に応じて蓄積され、所定の状況をゲーム中に付与するために消費される状況付与量を利用するゲーム機であって、
前記状況付与量を消費することにより、前記所定の状況を前記ゲーム中に付与する状況付与手段と、
前記ゲームでプレイ期間の基準として機能するプレイ期間基準量を遊技価値の消費と引き換えに増加させるとともに、所定の減少条件が満たされた場合には前記プレイ期間基準量を減少させる基準量増減制御手段と、を備え、
前記状況付与手段は、前記所定の減少条件の一つとして所定の利用条件が満たされた場合には、前記基準量増減制御手段が減少させる前記プレイ期間基準量の減少量を前記所定の状況を付与するために利用する、ことを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
前記状況付与手段は、前記所定の利用条件が満たされた場合に、前記プレイ期間基準量の減少量に応じて前記状況付与量を増加させることにより、前記減少量を前記所定の状況を付与するために利用する、請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
プレイヤの操作を受け付ける操作部を更に備え、
前記基準量増減制御手段及び、前記状況付与手段は、前記操作部に所定の移行操作が実行された場合に前記所定の利用条件が満たされたと判断する、請求項1又は2に記載のゲーム機。
【請求項4】
ゲーム画面を表示する表示装置を更に備え、
前記ゲーム画面には、前記状況付与量の残量を示す状況付与量ゲージと、前記プレイ期間基準量の残量を示すプレイ期間ゲージとが表示されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項5】
前記プレイ期間ゲージとして、外周に沿う方向に残量が増減する円形のゲージが採用されている、請求項4に記載のゲーム機。
【請求項6】
前記基準量増減制御手段は、前記プレイ期間基準量が前記ゲームをプレイ可能な時間として機能するように、前記所定の減少条件の一つとしてプレイ時間を採用し、前記ゲームのプレイ中に所定の単位時間が経過する毎に前記所定の減少条件が満たされたと判断することにより、前記プレイ時間の経過に伴って前記プレイ期間基準量を減少させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項7】
前記ゲームは、所定の領域内を移動可能なキャラクタが出現するように構成され、
前記状況付与手段は、前記所定の状況として、当該所定の状況の付与前に比べて前記キャラクタの移動速度が上昇する状況を付与する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項8】
ゲーム状況に応じて蓄積され、所定の状況をゲーム中に付与するために消費される状況付与量を利用するゲーム機に組み込まれるコンピュータに、
前記状況付与量を消費することにより、前記所定の状況を前記ゲーム中に付与する状況付与工程と、
前記ゲームでプレイ期間の基準として機能するプレイ期間基準量を遊技価値の消費と引き換えに増加させるとともに、所定の減少条件が満たされた場合には前記プレイ期間基準量を減少させる基準量増減制御工程と、を実行させるとともに、
更に、前記状況付与工程にて、前記所定の減少条件の一つとして所定の利用条件が満たされた場合には、前記基準量増減制御工程にて減少させる前記プレイ期間基準量の減少量を前記所定の状況を付与するために利用する工程を実行させる制御方法。
【請求項9】
ゲーム状況に応じて蓄積され、所定の状況をゲーム中に付与するために消費される状況付与量を利用するゲーム機に組み込まれるコンピュータを、
前記状況付与量を消費することにより、前記所定の状況を前記ゲーム中に付与する状況付与手段及び、前記ゲームでプレイ期間の基準として機能するプレイ期間基準量を遊技価値の消費と引き換えに増加させるとともに、所定の減少条件が満たされた場合には前記プレイ期間基準量を減少させる基準量増減制御手段として機能させるように構成され、
更に、前記状況付与手段を、前記所定の減少条件の一つとして所定の利用条件が満たされた場合には、前記基準量増減制御手段が減少させる前記プレイ期間基準量の減少量を前記所定の状況を付与するために利用する手段として機能させるように構成されたゲーム機用のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−42951(P2013−42951A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182998(P2011−182998)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】