説明

ゲーム機及びそのコンピュータプログラム

【課題】弾の飛ぶ方向を柔軟に制御することができるゲーム機を提供する。
【解決手段】ガンコントローラ6によって指示された方向D1に基づいて、弾の飛ぶ方向を決定する方向決定部13において、ガンコントローラ6によって指示された方向D1における敵オブジェクト103の位置を検出し、検出された敵オブジェクト103の位置と、ガンコントローラ6によって指示された方向D1に基づいて弾が飛ぶ方向と、のずれを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標物に対して弾を撃ち、その成否によって進行するゲームを実行するゲーム機等に関する。
【背景技術】
【0002】
目標物、例えば敵キャラクタに対して弾を撃ち、敵キャラクタを倒しながらゲームが進行していくシューティングゲームを実行するゲーム機が周知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−253724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シューティングゲームでは、プレイヤが狙った位置がある程度の大きさを有するカーソルで示され、カーソルの中心に向かって弾が飛んでいく。プレイヤが初心者の場合、目標物を狙って打ったつもりでもカーソル中心から目標物がずれていることが多く、弾が当たらずにゲームの興趣がそがれることがある。一方、上級者においては難易度が高い方が好まれるため、弾の飛ぶ方向を柔軟に制御することが求められている。
【0005】
そこで、本発明は弾の飛ぶ方向を柔軟に制御することができるゲーム機及びそのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲーム機は、入力装置(6)によって指示された方向(D1)に基づいて、弾の飛ぶ方向を決定する方向決定手段(13)を有するゲーム機(1)であって、前記方向決定手段には、前記入力装置によって指示された方向における目標物(103)の位置を検出する位置検出手段(14)と、前記位置検出手段により検出された目標物の位置と、前記入力装置によって指示された方向に基づいて弾が飛ぶ方向と、のずれを制御するずれ制御手段(15)と、が設けられていることにより上記課題を解決する。
【0007】
本発明のゲーム機によれば、プレイヤが入力装置によって弾を撃つ方向として指示した方向に対して撃つべき目標物の位置がずれている場合に、目標物の位置と、入力装置によって指示された方向とに基づいて実際に弾が飛ぶ方向を決定することでずれを制御する。例えば、プレイヤが目標物を撃つべく狙った方向に対して目標物がずれている場合に、目標物の位置に向くように弾の射出方向を制御したり、入力装置によって指示された方向に目標物が存在してもあえて弾が外れるように制御したりできる。よって、目的に合わせて実際に弾の飛ぶ方向を柔軟に制御できるので、プレイヤにゲームプレイの満足感を付与したり、ゲームの興趣を高めたりすることができる。なお、ここで用いられる「方向」には、「位置」の概念も含まれる。本発明において弾が飛ぶ「方向」のずれを制御しているが、照準として弾が飛ぶ「位置」と考えることもできる。従って、3次元空間のみならず2次元空間にも本発明が適用可能である。
【0008】
本発明のゲーム機の一形態において、前記ずれ制御手段は、前記目標物の位置と前記入力装置によって指示された方向とに基づいて前記目標物の位置する方向を基準方向(D2)として設定し、基準方向に基づいて弾の飛ぶ方向を決定することでずれを解消するように制御してもよい。この形態によれば、プレイヤが目標物を狙って指示した方向と、目標物の位置する方向とがずれている場合に、目標物の位置する方向を基準方向と定め、基準方向に弾が射出されるように制御する。これにより、プレイヤが指示した方向に弾を撃てば目標物から外れてしまう場合でも、目標物に弾を命中させることができ、プレイヤに弾が命中する満足感を付与することができる。
【0009】
本発明のゲーム機の一形態において、前記方向決定手段は、前記入力装置によって指示された方向上の基点を中心とした所定の大きさの着弾領域(104)を生じさせ、前記位置検出手段は、前記着弾領域内に目標物が存在するときにその目標物の位置を検出してもよい。この形態によれば、入力装置によって指示された方向に基づいて着弾領域が決定し、着弾領域内に目標物が存在すればその目標物の位置を検出し、目標物の位置する方向と指示された方向とのずれを制御する。着弾領域は指示された方向に基づいて決定しているので着弾領域内の目標物はプレイヤが狙いを定めている可能性が高いのでその目標物の位置する方向とのずれを制御することにより、弾が飛ぶ方向を柔軟に制御することができる。
【0010】
着弾領域を生じさせている形態において、前記位置検出手段は、プレイヤが弾を撃ったときの前記着弾領域内に存在する目標物の位置を検出してもよい。この形態によれば、プレイヤが弾を撃つときに目標物が存在している位置へ向けて弾が射出される。弾は、そのときに目標物が存在している位置に飛んでいくだけであり、弾の射出後に目標物が移動した場合には、弾が命中しないこともある。また、着弾領域を生じさせている形態において、前記位置検出手段は、前記着弾領域内に複数の目標物が存在する場合に、プレイヤが操作するキャラクタの位置(P)に対し最も近い目標物の位置を検出してもよい。この形態によれば、着弾領域内に複数の目標物が存在する場合には、プレイヤの操作するキャラクタに最も近い目標物が選択されるので、弾が自然に当たるように演出することができる。
【0011】
着弾領域を生じさせている形態において、前記方向決定手段は、前記着弾領域の大きさをプレイヤの習熟度を示すゲームデータに基づいて変更してもよい。この形態によれば、プレイヤの習熟度によって着弾領域の大きさを変更することにより、プレイヤに応じた難易度をより細かく設定できゲームの興趣を高めることができる。
【0012】
目標物の位置する方向を基準方向として決定した形態において、前記方向決定手段には、弾の飛ぶ方向が確率分布で表わされた集弾率を前記基準方向に演算する集弾率演算手段(16)がさらに設けられていてもよい。この形態によれば、基準方向に対して集弾率を演算することにより、弾の飛ぶ方向が基準方向からずれて射出される。ゲームの状況によって異なる集弾率を基準方向に演算することにより、ゲーム性が多様化しゲームの興趣を高めることができる。
【0013】
本発明のコンピュータプログラムは、ゲーム機(1)のコンピュータ(10)を、入力装置(6)によって指示された方向(D1)に基づいて、弾の飛ぶ方向を決定する方向決定手段として機能させ、前記方向決定手段にて、前記入力装置によって指示された方向における目標物(103)の位置を検出する位置検出手段、及び前記位置検出手段により検出された目標物の位置と、前記入力装置によって指示された方向に基づいて弾が飛ぶ方向とのずれを制御するずれ制御手段、としてさらに機能させるように構成されたものである。本発明のプログラムをゲーム機のコンピュータで実行することにより、そのゲーム機を本発明のゲーム機として機能させることができる。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように本発明によれば、プレイヤが入力装置によって弾を撃つ方向として指示した方向に対して撃つべき目標物の位置がずれている場合に、目標物の位置と、入力装置によって指示された方向とに基づいて実際に弾が飛ぶ方向を決定することでずれを制御する。目的に合わせて実際に弾の飛ぶ方向を柔軟に制御できるので、プレイヤにゲームプレイの満足感を付与したり、ゲームの興趣を高めたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一形態に係るゲーム機のブロック図。
【図2】方向決定部の機能ブロック図。
【図3】モニタに表示されるゲーム画面の一例を示す図。
【図4】図3のメイン画像に対応する仮想3次元空間を示す図。
【図5】制御ユニットが実行する方向決定処理ルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一形態に係るゲーム機のブロック図を示している。本形態のゲーム機は、プレイヤがその操作対象に設定されたキャラクタ(プレイヤキャラクタと呼ぶことがある。)を操作して仮想的なゲーム空間を探索し、所定のミッションを遂行できるか否かを競うアクションタイプのゲームを提供するものである。ゲーム機は、商業施設等に設置される商用のゲーム機として構成されていてもよいし、家庭用ゲーム機として構成されていてもよい。ゲーム機1は、制御ユニット10を有している。制御ユニット10は、マイクロプロセッサとその動作に必要な主記憶装置(RAM、ROM)等の周辺装置とを組み合わせたコンピュータユニットである。制御ユニット10は、ゲームの入力装置2、モニタ(一例として液晶ディスプレイ装置)3、スピーカユニット4、及び外部記憶装置5とそれぞれ接続されている。その他にも制御ユニット10には各種の周辺装置が接続され得るが、それらの図示は省略する。
【0018】
入力装置2は、プレイヤの操作を受け付ける複数の操作部(不図示)を含み、それらの操作部の操作に対応した信号を制御ユニット10に出力する。入力装置2は、拳銃を模したガンコントローラ6を含んでいる。ガンコントローラ6は、プレイヤに与えられる武器を象徴する入力装置として設けられている。プレイヤは、モニタ3の画面に適宜に表示される標的にガンコントローラ6の銃口6aを向け、トリガレバー6bを操作することにより、その標的を銃撃することができる。ガンコントローラ6には、銃口6aがモニタ3の画面上のどの位置に向けられているかを検出する照準検出センサ7が装備されている。
【0019】
照準検出センサ7には、公知の様々なセンサを利用することができる。一例として、観察対象(モニタ3)の周囲の複数箇所から観察者(プレイヤ)に向けて照射される赤外光を、観察者側に設けられた受光部で受光して、その受光状況から受光部が向けられている方向を検出する方式のセンサを照準検出センサ7として用いることができる。あるいは、モニタ3の周囲にカメラを設置し、そのカメラが撮影した画像を処理することにより、銃口6aが向けられている方向を検出してもよい。さらには、ジャイロセンサ、地磁気センサ、加速度センサ等の各種センサを利用して銃口6aが向けられている方向を検出してもよい。
【0020】
外部記憶装置5は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、EEPROMといった不揮発性の記憶媒体を含む記憶装置である。外部記憶装置5には、制御ユニット10の基本的な制御を実現するためのオペレーティングシステムの他に、ゲームを所定の手順で実行するためのアプリケーションソフトウエアとしてのゲームプログラム11、及びそのゲームプログラム11が適宜に参照するゲームデータ12が記録されている。制御ユニット10がゲームプログラム11を読み取って実行することにより、制御ユニット10にはゲームの実行に必要な各種の論理的装置が生成され、ゲーム機1で実行されるゲームの進行に必要な各種の演算処理を実行する。その論理的装置の一つとして、制御ユニット10には方向決定部13が生成される。図2に方向決定部13の機能ブロック図を示す。方向決定部13は、ガンコントローラ6が向けられた方向に基づいて弾の飛ぶ方向を決定するものであり、位置検出部14、基準方向決定部15及び集弾率演算部16を含んでいる。方向決定部13、位置検出部14、基準方向決定部15及び集弾率演算部16の詳細は後述する。
【0021】
図3は、モニタ3に表示されるゲーム画面の一例を示す図である。ゲーム画面100には、プレイヤキャラクタPCが移動する場として設定された屋内等のゲーム空間の様子を示すメイン画像101が表示される。メイン画像101には、柱や箱等の設置物102がゲーム空間に設置され、その空間内を目標物としての敵オブジェクト103が移動する。敵オブジェクト103として、人間、動物、乗り物等様々なものが対象となる。敵オブジェクト103は、所持する武器にてプレイヤキャラクPCを攻撃するように制御ユニット10によって操作される。あるいは、ゲーム機1とネットワークを介して接続された他のゲーム機のプレイヤにより敵オブジェクト103が操作されてもよい。プレイヤキャラクタPCは、メイン画像101に表示されてもよいし、表示が省略されてもよい。
【0022】
プレイヤがガンコントローラ6をゲーム画面100へ向けると、照準検出センサ7が検出した照準位置(不図示)を中心として所定の大きさの着弾領域としてのカーソル104が表示される。カーソル104の大きさは、プレイヤキャラクタPCが使用する武器ごとに異なるように設定されている。カーソル104内に敵オブジェクト103が存在していれば、敵オブジェクト103の位置が検出され、敵オブジェクト103に向けて弾が射出される。このとき弾は、基準方向D2(図4参照)のパラメータに対して集弾率を演算して得られる弾の射出方向に向けて発射される。基準方向D2は、弾の射出方向の基準となる方向であり、詳細は後述する。
【0023】
集弾率は、カーソル104の大きさと同様、武器ごとに異なる値が設定されている。集弾率は、基準方向D2を中心として弾の飛ぶ方向の分布で示され、弾の命中しやすさに影響している。集弾率が低い場合には、基準方向D2に対して弾の飛ぶ方向がばらけるように分布し、集弾率が高い場合には、基準方向D2に対して弾の飛ぶ方向が集まるように分布している。さらに、集弾率は、プレイヤキャラクタPCの操作状況、例えば、移動中であるか否か、しゃがんでいるか否かといったプレイヤのおかれた状況や、視点が固定されているか否かといった操作モードによっても値が変わる。移動中である場合には、プレイヤキャラクタPCが止まっている場合に比べ、集弾率が低くなり、しゃがんでいる場合には狙いやすくなるため、集弾率が高くなるように設定される。また、視点が固定されている場合には、狙いやすくなるため集弾率が高くなるように設定される。
【0024】
メイン画像101は仮想3次元空間をプレイヤの視点から表示した画像である。図4に、図3のメイン画像101に対応する仮想3次元空間を示す。メイン画像101に示されたカーソル104は平面的に表示されているが、実際には、キャラクタプレイヤPCの所持する武器、つまりガンコントローラ6の銃口6aの3次元空間における位置Pと、位置Pを基点として、銃口6aが向けられた方向D1に沿った軸線を中心として放射状に広がるカーソル104が所定の大きさで定められる。カーソル104内に敵オブジェクト103が存在すれば、敵オブジェクト103に向けて基準方向D2が決定される。基準方向D2の決定を含め、弾の射出方向は方向決定部13で決定される。ガンコントローラ6の銃口6aが向けられた方向D1が、入力装置によって指示された方向に相当する。
【0025】
図5は、方向決定処理ルーチンを示すフローチャートである。方向決定処理は、ゲーム実行中に繰り返される処理ルーチンであり、プレイヤが撃つ弾の射出方向を決定する。制御ユニット10は、まずステップS1でカーソル104内に敵オブジェクト103が存在しているか否かを判断する。敵オブジェクト103が存在しない場合には、制御ユニット10はステップS2に進み、通常処理を実行する。敵オブジェクト103が存在しない場合には、通常処理として、ガンコントローラ6が向けられた方向D1を基準方向D2として決定する。そして、制御ユニット10は、ステップS5へ進む。プレイヤが弾を撃つと、基準方向D2を中心に、使用している武器や操作状況によって定まる集弾率に応じて弾の飛ぶ方向が決定される。
【0026】
ステップS1でカーソル104内に敵オブジェクト103が存在する場合、制御ユニット10はステップS3に進み、敵オブジェクト103の位置を検出する。敵オブジェクト103の位置として、予め敵オブジェクト103ごとに定められた目標位置がカーソル104内に存在しているときにその目標位置を検出するようにしてもよいし、敵オブジェクト103の一部がカーソル104内に入った場合に、その一部に対する中心位置を演算して検出するようにしてもよい。位置の検出はゲームの仕様に応じて適宜に変更してよい。ここで検出される敵オブジェクト103の位置は、弾を撃ったときの状況に基づいて検出される。また、カーソル104内に複数の敵オブジェクト103が存在する場合には、プレイヤキャラクタPCに対し最も近い位置にいる敵オブジェクト103の位置が選択される。なお、これに限られず、カーソル104内に複数存在する場合にいずれの敵オブジェクト103が選択されてもよい。
【0027】
次のステップS4で制御ユニット10は、ステップS3で検出した位置から基準方向D2を算出する。銃口6aの位置Pと敵オブジェクト103の位置とを結んで基準方向D2を算出する。これにより、カーソル104内で基準方向D2が決定される。制御ユニット10は、ステップS5に進み、ステップS4で設定された基準方向D2に対し集弾率を演算する。例えば、散弾銃のような武器の場合、基準方向D2を中心として位置Pからの方向が広がった分布をもつ集弾率が設定され、ライフルのような武器の場合、基準方向D2に集まった分布をもつ集弾率が設定されている。集弾率は基準方向を中心に弾の飛ぶ方向の確率分布で表わされる。これら使用する武器ごとに設定された集弾率にプレイヤの操作状況を加味した集弾率がプレイヤの撃つ弾に対して演算される。集弾率により、武器や操作状況による弾の射出方向のブレが表現される。そして、制御ユニット10はステップS5で演算された結果に基づき、ステップS6で弾の射出方向を決定する。ステップS5で基準方向D2を中心として集弾率が演算された結果、基準方向D2を中心とした方向(実際には、集弾率が演算されているので基準方向D2を中心にブレが生じ、基準方向D2には一致しない可能性がある。)に向かって弾が射出される。そして、制御ユニット10は今回の処理を終了する。
【0028】
上述した処理によれば、カーソル104内に敵オブジェクト103が存在していれば(ステップS1)敵オブジェクト103の位置を検出(ステップS3)し、その位置に基づいて基準方向D2を決定する(ステップS4)。そして、基準方向D2を中心として集弾率を演算(ステップS5)し、その結果に基づいて弾の射出方向を決定する(ステップS6)。カーソル104内に敵オブジェクト103が存在しない場合、通常処理(ステップS2)が実行され、決定された方向を中心として集弾率が演算され(ステップS5)、弾の射出方向が決定する(ステップS6)。ステップS5及びステップS6は、ゲーム実行中、プレイヤがガンコントローラ6の銃口6aをゲーム画面100に向け、トリガレバー6bを操作する際に実行され、ステップS1〜ステップS4の処理は、トリガレバー6bの操作の有無にかかわらず射撃すべきゲーム実行中に常に処理されている。なお、方向決定処理の処理タイミングは、ここで説明した処理タイミングに限定されない。例えば、トリガレバー6bの操作時に全てのステップS1〜S6の処理を実行する等、ゲーム設計や処理能力等に応じて適宜のタイミングで処理するようにしてよい。
【0029】
方向決定処理において、ステップS3が位置検出部14に、ステップS2及びステップS4が基準方向決定部15に、ステップS5が集弾率演算部16にそれぞれ相当する。図2の機能ブロック図で説明すると、ガンコントローラ6が向けられた方向D1のパラメータと位置検出部14で決定された敵オブジェクト103の位置情報とを参照して、基準方向決定部15にて基準方向D2を決定し、集弾率演算部16にてその基準方向D2のパラメータと弾を撃つときの条件、つまり、使用している武器や操作状況とから決定される集弾率とを演算して弾の射出方向が決定する。ステップS3が位置検出手段として、ステップS4(基準方向決定部)がずれ制御手段として、ステップS5が集弾率演算手段としてそれぞれ機能する。
【0030】
従来、カーソル104内には存在するがカーソル104の中心からずれている敵オブジェクト103がいる状態で弾を撃ったときは、ガンコントローラ6が向く方向、つまり、カーソル104の中心の照準位置に向かう方向に基準方向D2が設定されていたため、命中する確率が低かった。本形態においては、基準方向D2が敵オブジェクト103の位置に向けて決定されるため命中する確率が高くなる。特にプレイヤが初心者の場合、カーソル104の中心から外れて敵オブジェクト103が位置していても、撃った弾は敵オブジェクト103の方向に向かうため、敵オブジェクト103を撃つ満足感が得られ、ゲームの興趣がそがれない。
【0031】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、基準方向D2は、敵オブジェクト103の位置情報を参照して決定されているがこれに限られない。例えば、カーソル104内にいる敵オブジェクト103から外れるように基準方向D2を決定するようにしてもよい。プレイヤキャラクタPCの状況や使用中の武器の特性により、敵オブジェクト103の位置から所定の方向に所定の距離だけ離れた位置の位置情報を参照して決定するようにすればよい。その場合においても、ガンコントローラ6が向けられた方向D1と敵オブジェクト103の位置情報を参照して弾の射出方向を決定することができる。敵オブジェクト103の位置情報のみならず、移動速度、移動方向、弾の発射位置、弾の移動速度等から、着弾位置を予測して基準方向D2を決定するようにしてもよい。弾の射出方向を決定する際に、ステップS5で集弾率を演算したが、必ずしも集弾率を演算しなくともよい。演算しなければ、基準方向D2に向かって弾が射出される。入力装置としてガンコントローラ6で説明したが、これに限られない。例えば、十字キーを有するコントローラや、操作レバーを有するコントローラによって方向が指示されてもよい。各種形状の入力装置が適用可能である。
【0032】
上述した形態では、基準方向D2が示す方向又は位置をゲーム画面100上では表示していないが、これに限られず表示するようにしてもよい。例えば、図3のメイン画像101の敵オブジェクト103上に基準方向D2を示す小さな小カーソルを表示してもよい。表示すれば、敵オブジェクト103を捉えた感覚をプレイヤに付与することができる。小カーソルを表示する場合には、カーソル104内に敵オブジェクト103が入った場合に常に位置を検出するようにし、その位置に小カーソルを表示すればよい。また、本形態では、3次元空間内をプレイヤキャラクタPCが移動するシューティングゲームで説明したが、これに限られず、2次元空間で形成されるゲームにおいても適用が可能である。プレイヤの指示する狙うべき方向を含むカーソルを表示させ、カーソル内に敵オブジェクトが存在すればその敵オブジェクトの位置を基準方向として決定すればよい。その点では、3次元空間も2次元空間も本発明の実施にあたって変わりはない。
【0033】
また、カーソル104の大きさは適宜変更してもよい。例えば、まだゲームに慣れていないプレイヤは、ゲームにおけるレベルが低かったり、弾の命中率が低かったりするので、それらのデータが記載されたゲームデータ12に基づいてプレイヤの習熟度が低ければカーソル104が大きくなるように変更してもよい。その反対に、ゲームに慣れたプレイヤについてもゲームデータ12から割り出してカーソル104が小さくなるように変更してもよい。プレイヤの習熟度に応じてカーソル104の大きさを適宜変更可能である。カーソル104はプレイヤに示す弾の射出方向の目安であり、カーソル104で示す領域よりも小さい領域内をステップS1の敵オブジェクト103が存在するか否かの判断の対象としてもよいし、その反対にカーソル104で示す領域よりも大きい領域内をステップS1の判断の対象としてもよい。必ずしもプレイヤに対象となる領域を示す必要はなく、ゲーム画面100上に表示されていなくてもよい。その場合であっても、敵オブジェクト103が存在するか否かの判断の対象となる領域を設定してもよいし、あるいは、メイン画像101に表示される範囲全体を対象としてもよい。カーソル104及びカーソル104に示される領域から切り離された敵オブジェクト103が存在するか否かの判断の対象となる領域は、ゲームの難易度やプレイヤの習熟度等に応じて適宜に変更が可能である。
【0034】
方向決定処理のステップS3で、敵オブジェクト103の位置の検出について説明したが、この場合は敵オブジェクト103の位置を検出後、つまり、プレイヤがトリガレバー6bを操作した後に敵オブジェクト103が動いても敵オブジェクト103の方向に弾が追従することはなく弾が外れることもある。このような形態に限られず、例えば、敵オブジェクト103に対して弾が追従するようにしてもよい。弾が追従するタイプの武器の使用時や、ゲーム初心者を対象とした設定の場合、ステップS3で位置を検出した敵オブジェクト103の位置を検出し続け、その位置に基づいて弾の移動方向を変更するようにしてもよい。この場合においては、ステップS3でカーソル104内の敵オブジェクト103の検出のみを行うようにしてもよい。
【0035】
また、方向決定処理において、カーソル104の内外にいる敵オブジェクト103の位置を検出し、基準方向D2を決定(ステップS1〜ステップS4)した後に、集弾率が演算(ステップS5)され、弾の射出方向を決定(ステップS6)したがこれに限られない。例えば、ステップS5の処理を先に行うことで集弾率を演算して、これから決定されるべき基準方向D2に対するブレ具合を決定した後に、ステップS1〜ステップS4の処理を行うようにしてもよい。処理の順番についても適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 ゲーム機
6 ガンコントローラ(入力装置)
10 制御ユニット
13 方向決定部(方向決定手段)
14 位置検出部(位置検出手段)
15 基準方向決定部(ずれ制御手段)
16 集弾率演算部(集弾率演算手段)
103 敵オブジェクト(目標物)
104 カーソル(着弾領域)
D1 ガンコントローラが向けられた方向(入力装置によって指示された方向)
D2 基準方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置によって指示された方向に基づいて、弾の飛ぶ方向を決定する方向決定手段を有するゲーム機であって、
前記方向決定手段には、前記入力装置によって指示された方向における目標物の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された目標物の位置と、前記入力装置によって指示された方向に基づいて弾が飛ぶ方向と、のずれを制御するずれ制御手段と、が設けられているゲーム機。
【請求項2】
前記ずれ制御手段は、前記目標物の位置と前記入力装置によって指示された方向とに基づいて前記目標物の位置する方向を基準方向として設定し、基準方向に基づいて弾の飛ぶ方向を決定することでずれを解消するように制御する請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記方向決定手段は、前記入力装置によって指示された方向上の基点を中心とした所定の大きさの着弾領域を生じさせ、前記位置検出手段は、前記着弾領域内に目標物が存在するときにその目標物の位置を検出する請求項1又は2に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記位置検出手段は、プレイヤが弾を撃ったときの前記着弾領域内に存在する目標物の位置を検出する請求項3に記載のゲーム機。
【請求項5】
前記位置検出手段は、前記着弾領域内に複数の目標物が存在する場合に、プレイヤが操作するキャラクタの位置に対し最も近い目標物の位置を検出する請求項3又は4に記載のゲーム機。
【請求項6】
前記方向決定手段は、前記着弾領域の大きさをプレイヤの習熟度を示すゲームデータに基づいて変更する請求項3〜5のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項7】
前記方向決定手段には、弾の飛ぶ方向が確率分布で表わされた集弾率を前記基準方向に演算する集弾率演算手段がさらに設けられている請求項2〜6のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項8】
ゲーム機のコンピュータを、
入力装置によって指示された方向に基づいて、弾の飛ぶ方向を決定する方向決定手段として機能させ、
前記方向決定手段にて、前記入力装置によって指示された方向における目標物の位置を検出する位置検出手段、及び前記位置検出手段により検出された目標物の位置と、前記入力装置によって指示された方向に基づいて弾が飛ぶ方向とのずれを制御するずれ制御手段、としてさらに機能させるように構成されたコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−232(P2013−232A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132426(P2011−132426)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】