説明

ゲーム装置、ゲームプログラム

【課題】敵キャラクターがゲーム画面中に表示されているか否かに関係なく、プレイヤーキャラクターに対して何れの方向から敵キャラクターからの攻撃があるかを攻撃が実際にされる前に認識させる。
【解決手段】CPU20は、ゲーム空間中におけるプレイヤーキャラクターと敵キャラクターの動作を制御し、モニタ24においてゲーム空間を表現するゲーム画面を表示する。CPU20は、敵キャラクターがプレイヤーキャラクターを攻撃の対象としていることが検知された場合に、ゲーム空間中におけるプレイヤーキャラクターと敵キャラクターとの相対的な位置関係に基づいて、敵キャラクターからの攻撃の方向を表す攻撃予知表示をゲーム画面に付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム空間中のプレイヤーキャラクターと敵キャラクターとが武器を用いて戦闘を行うコンピュータゲームに好適なゲーム装置、ゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム空間中のプレイヤーキャラクターと敵キャラクターとが武器を用いて戦闘を行うコンピュータゲームでは、敵キャラクターの位置を知ることによって、敵からの攻撃を回避したり、あるいは敵キャラクターへの攻撃に優位な位置にプレイヤーキャラクターを移動させるといったことが可能となる。特に敵キャラクターによって攻撃のためにプレイヤーキャラクターが狙われている状況では、直ちに回避動作をしたり、反撃に移る必要が有る。
【0003】
従来のゲーム装置においては、例えば一人称画面を表示している場合、敵キャラクターからの攻撃を受けた時に、攻撃を受けた方向にヒットエフェクトを表示したり、レーダー表示によって敵キャラクターのいる方向を表示することによって、プレイヤーキャラクターに対する敵キャラクターのいる方向が分かるようにしているものが多い。
【0004】
また、敵キャラクターから攻撃があった場合に、複数のプレイヤーキャラクターのうちどのプレイヤーキャラクターに対して攻撃されているかを表示するゲーム装置が考えられている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されたゲーム装置では、敵側キャラクターによる攻撃が、プレイヤーキャラクターに命中する攻撃である場合には、このプレイヤーキャラクターに対応する識別色を用いて武器(火矢や爆弾など)を表示する。これにより、プレイヤーキャラクターが攻撃を受けていることを認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−035408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、特許文献1に記載された従来技術では、敵側キャラクターによるプレイヤーキャラクターに対する攻撃があった場合に、プレイヤーキャラクターに対応する識別色を用いて武器等を表示することで、何れのプレイヤーキャラクターが狙われているかを識別することができる。
【0007】
しかしながら、従来技術においては、ゲーム画面中に表示されている敵キャラクターにより攻撃があった場合に武器等を識別色によって表示するものであるため、ゲーム画面中に表示されていない敵キャラクターからの攻撃については知ることができなかった。また、敵キャラクターから攻撃がされて、武器等(火矢や爆弾など)がプレイヤーキャラクターに到達するまでの表示色を変更するものであって、敵キャラクターの攻撃前に事前に対応することができなかった。
【0008】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、敵キャラクターがゲーム画面中に表示されているか否かに関係なく、プレイヤーキャラクターに対して何れの方向から敵キャラクターからの攻撃があるかを攻撃が実際にされる前に認識させることが可能なゲーム装置、ゲームプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、ゲーム空間中におけるプレイヤーキャラクターと敵キャラクターの動作を制御するキャラクター制御手段と、前記ゲーム空間を表現するゲーム画面を表示する表示手段と、前記キャラクター制御手段により制御される前記敵キャラクターが前記プレイヤーキャラクターを攻撃の対象としていることを検知する検知手段と、前記検知手段により前記プレイヤーキャラクターが攻撃の対象とされていることが検知された場合に、前記ゲーム空間中における前記プレイヤーキャラクターと前記敵キャラクターとの相対的な位置関係に基づいて、前記敵キャラクターからの攻撃の方向を表す攻撃予知表示を、前記表示手段により表示されるゲーム画面に付加する攻撃予知表示手段とを具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、敵キャラクターがゲーム画面中に表示されているか否かに関係なく、プレイヤーキャラクターに対して何れの方向から敵キャラクターからの攻撃があるかを攻撃が実際にされる前に認識させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態におけるゲーム装置10の概略構成を示す図。
【図2】表示装置17において表示されるゲーム画面17aの一例を示す図。
【図3】本実施形態におけるゲーム装置10のシステム構成を示すブロック図。
【図4】攻撃予知表示処理において管理される予知経験値データの一例を示す図。
【図5】攻撃予知表示に用いられる予知表示パターンデータの一例を示す図。
【図6】本実施形態におけるゲーム装置10の攻撃予知表示処理について示すフローチャート。
【図7】ゲーム空間中におけるプレイヤーキャラクターと敵キャラクターとの相対的な位置関係の一例を示す図。
【図8】プレイヤーキャラクターから見たゲーム空間を表すゲーム画面の例を示す図。
【図9】攻撃予知表示がされたゲーム画面の一例を示す図。
【図10】別の形態の攻撃予知表示がされたゲーム画面の一例を示す図。
【図11】三人称画面において攻撃予知表示がされたゲーム画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるゲーム装置10の概略構成を示す図である。ゲーム装置10は、ゲームセンターなどの遊戯施設に設置される業務用として構成されているものとする。
【0013】
図1に示すように、ゲーム装置10は、電算装置12、攻撃用コントローラ14、移動用コントローラ16、及び表示装置17により構成されている。
【0014】
電算装置12は、ゲーム装置10全体の制御を行うもので、攻撃用コントローラ14及び移動用コントローラ16から入力される操作データに応じてゲーム処理を実行し、表示装置17においてゲーム空間を表現するゲーム画面を表示する。電算装置12の詳細な構成については後述する(図5参照)。
【0015】
攻撃用コントローラ14と移動用コントローラ16は、ゲーム中にプレイヤーによって並行して操作されるコントローラである。攻撃用コントローラ14と移動用コントローラ16は、プレイヤーによる各種操作による指示を入力して電算装置12に出力する。攻撃用コントローラ14は、主に攻撃方向と攻撃の実行を指示するためのコントローラである。移動用コントローラ16は、ゲーム空間における移動を指示するためのコントローラである。電算装置12は、攻撃用コントローラ14と移動用コントローラ16からの指示に応じた処理を実行する。
【0016】
表示装置17は、電算装置12の制御のもとでゲーム画面を表示する。本実施形態におけるゲーム装置10では、ゲーム空間にいるプレイヤーが見ている状況を表す一人称画面が表示されるものとする。
【0017】
図2は、表示装置17において表示されるゲーム画面17aの一例を示す図である。
本実施形態におけるゲーム装置10では、プレイヤーキャラクターの視点から見た一人称画面を表示しており、ゲーム画面中に他のプレイヤー(あるいはコンピュータ)によって制御されているキャラクターが表示されている。図2に示すゲーム画面の例では、戦闘を行うゲームにおける兵士を表すキャラクターが表示されており、例えばチームメイトA,Bの2人のキャラクターが表示されている。
【0018】
また、ゲーム画面には、移動用コントローラ16のメッセージボタン16aが押された場合にメッセージ選択ウィンドウCが表示される。メッセージ選択ウィンドウCには、ゲームに参加している他のプレイヤーに対して送信可能なメッセージの一覧が表示されている。メッセージ選択ウィンドウCに表示されるメッセージには、特定のプレイヤー(例えば1人)に送信するメッセージ、複数のプレイヤー(例えば、チームメイト全員)に送信するメッセージなどが予め用意されている。例えば、図2のメッセージ選択ウィンドウCに表示された「お前はここに残れ」は、1人のプレイヤーに送信するメッセージであり、「[ALL]突撃!!」は、チームメイト全員に送信するメッセージである。メッセージ選択ウィンドウCに表示されるメッセージは、プレイヤーが事前に設定することが可能であるものとして、敵のプレイヤー(個人、複数)宛のメッセージを設定することもできるものとする。
【0019】
また、ゲーム画面には、攻撃用コントローラ14に対するプレイヤーの操作によって指示される攻撃の対象とする位置(方向)を示すサイトDが表示されている。サイトDは、プレイヤーが銃(あるいはその他の武器)で狙っている照準位置を表すポインタであり、攻撃用コントローラ14の向きを変更する操作に応じて追随するように表示位置(指示位置)が変更される。キャラクター情報ウィンドウEは、サイトDがキャラクターの表示位置(一定範囲内)に合わされている場合に表示されるもので、キャラクターに関する情報が表示される。図2に示す例では、キャラクターBの名前と生命力(ライフ)を表す数値が表示されている。プレイヤーは、キャラクター情報ウィンドウEが表示されることで、サイトDをキャラクターに重ね合わされている(特定のキャラクターを指示している)ことを確認することができる。
【0020】
図3は、本実施形態におけるゲーム装置10のシステム構成を示すブロック図である。
図3に示すように、ゲーム装置10は、攻撃用コントローラ14、移動用コントローラ16、CPU20、RAM21、HDD(ハードディスク装置)22、画像処理部23、モニタ24(表示装置17)、音声処理部25、スピーカ26、カード読取書込装置27、ランプ28、硬貨認識装置29、スタートボタン30、及び通信装置31が設けられている。
【0021】
CPU20は、RAM21にロードされたプログラムを実行することにより各種機能を実現し、各部を制御することによりゲームを実行する。CPU20は、ゲームプログラムを実行することで、複数のプレイヤーが同時に参加するマルチプレイゲームを実行する。本実施形態では、例えば通信装置31、ネットワーク18を通じて接続された他のゲーム装置41でプレイされるゲームの状況を示すゲームデータを受信して、このゲームデータをもとにして複数のプレイヤーに対応するキャラクター(プレイヤーキャラクター、敵キャラクター)をゲーム空間を表現するゲーム画面中に表示し、各キャラクターの動作を制御してゲームを進行させる。なお、ゲームデータには、ゲーム画面中に表示されるキャラクターに関するキャラクター情報が含まれているものとする。キャラクター情報には、例えば、キャラクター名、チーム名の他、キャラクター(兵士)の種類やゲーム中におけるキャラクターの状態(生命力を表すライフ値など)を示す属性情報などが含まれているものとする。CPU20は、キャラクター情報をもとにして、ゲーム中における自キャラクターの状態を管理しながらゲームを制御し、ゲームデータを通信装置31を介して出力する。
【0022】
また、ゲームデータには、他のゲーム装置41においてプレイヤーの操作データとして、サイトによって攻撃の対象として狙っている位置(方向)を示すデータが含まれているものとする。CPU20は、動作が制御される敵キャラクターがプレイヤーキャラクターを攻撃の対象としていることを操作データをもとに検知した場合に、ゲーム空間中におけるプレイヤーキャラクターと敵キャラクターとの相対的な位置関係に基づいて、敵キャラクターからの攻撃の方向を表す攻撃予知表示をゲーム画面に付加する攻撃予知表示処理を実行する。
【0023】
なお、マルチプレイゲームでは、他のゲーム装置41のプレイヤーに対応するキャラクターだけでなく、ゲームプログラムに従ってCPU20によって動作が制御されるキャラクターがゲーム空間に存在していても良い。このキャラクターがプレイヤーキャラクターに対して攻撃を与える場合には、同様にして、プレイヤーキャラクターを攻撃の対象として狙っていることを検知した場合に攻撃予知表示を付加することができる。
【0024】
RAM21は、基本プログラムの他、ゲームを実行するためのゲームプログラムや、ゲームの実行に必要となる各種データが記憶される。RAM21には、ネットワーク18、通信装置31を通じて受信されるゲームデータ(操作データ、キャラクターの状態を示す属性情報などを含む)や、攻撃予知表示処理において用いられる予知経験値データ(図4参照)や予知表示パターンデータ(図5参照)などが記憶される。
【0025】
HDD22は、基本プログラムやゲームプログラムなどの各種プログラムや各種データが記録される。
【0026】
画像処理部23は、CPU20の制御のもとで、ゲーム画面を表示するための表示制御を行う。モニタ24(表示装置17)は、画像処理部23の制御によりゲーム画面を表示させる。
【0027】
音声処理部25は、CPU20の制御のもとで、ゲームの実行状況に応じた効果音、メッセージ、BGM(back ground music)等を出力するための音声処理を行う。スピーカ26は、音声処理部25の制御により、効果音、メッセージ、BGM等の音声を出力する。
【0028】
カード読取書込装置27は、記録媒体が設けられたカード(例えばICカード)に対するデータの書込みや読み取りを行う。カードに対しては、例えばゲーム装置10を利用するプレイヤーに対して発行されたユーザIDなどプレイヤーに関するデータやゲーム結果などのデータが記録される。
【0029】
ランプ28は、プレイヤーにゲームの進行状況を伝えるため、ゲーム演出等のために点灯/点滅されるランプである。
硬貨認識装置29は、ゲームを利用するための対価とする硬貨(例えば100円)が筐体本体に設けられた硬貨投入口から投入されたことを認識してCPU20に通知する。スタートボタン30は、ゲーム開始の指示を入力するためのボタンである。
通信装置31は、ネットワーク18を介して接続される他のゲーム装置との通信を制御する。ネットワーク18は、例えばLANやインターネット等の公衆網などを含み、サーバ40、その他の複数のゲーム装置41…を相互に接続する。
【0030】
サーバ40は、ネットワーク18を介して接続された複数のゲーム装置10,41…との間で実行されるマルチプレイゲームを制御するもので、各ゲーム装置10,41…において実行されるゲーム状況を示すデータを受信して、ゲーム空間内における各キャラクターの動作を制御する。また、サーバ40は、ゲーム空間内で実行されているゲームの状況を示すゲームデータをゲーム装置に送信し、各ゲーム装置においてマルチプレイゲームを実行させる。
【0031】
図4は、攻撃予知表示処理において管理される予知経験値データの一例を示す図である。
予知経験値データは、攻撃予知表示処理によってゲーム画面に攻撃予知表示が付加されることに伴って、プレイヤーキャラクターに対して集計されるデータである。予知経験値データには、回避時間、回避回数、敵補足時間、敵補足継続時間、攻撃予知表示回数、…などの複数の経験項目についてのデータが含まれている。回避時間は、攻撃予知表示によって敵に狙われていることを感知してから回避できるまでに要した時間であり、例えば平均時間が設定される。回避回数は、攻撃予知表示によって敵に狙われていることを感知してから回避できた回数である。敵補足時間は、攻撃予知表示によって敵に狙われていることを感知してから、攻撃しようとしている敵キャラクターを補足(ゲーム画面中に敵キャラクターを表示させる)までに要した時間であり、例えば平均時間が設定される。敵補足継続時間は、攻撃予知表示されて敵キャラクターを補足してからの継続時間であり、例えば平均時間が設定される。攻撃予知表示回数は、攻撃予知表示がされた回数である。なお、前述した予知経験値データは一例であって、その他のデータを経験値として集計しても良い。複数の経験項目についてのデータを総合して、プレイヤーキャラクターに対する予知レベルが算出される。
【0032】
図5は、攻撃予知表示に用いられる予知表示パターンデータの一例を示す図である。
予知表示パターンデータでは、予知経験値データをもとに算出される予知レベルに応じて、攻撃予知表示に用いる予知表示パターンが設定されている。例えば、予知レベルが高いほど敵キャラクターが狙っている方向(位置)を精度良く検知できるものとし、予知レベルに応じた予知表示パターンが用意されているものとする。
【0033】
また、予知表示パターンデータには、予知表示パターンだけでなく、予知レベルに応じて付加する付加データが設定されている。例えば、予知レベルが高くなるほど、敵キャラクターに関するデータを付加データとしてプレイヤーに提供されるようにする。敵キャラクターに関するデータには、敵キャラクターが使用している武器の種類、敵キャラクターのレベルなどがある。これらのデータをプレイヤーに提供する方法としては、例えば武器の種類やレベルをイメージ化して、予知表示パターンと共に表示するようにしても良いし、テキスト(文字)や音声によって出力するようにしても良い。
【0034】
次に、本実施形態におけるゲーム装置10の攻撃予知表示処理について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
CPU20は、ゲーム処理の実行中において、ゲーム処理中に攻撃用コントローラ14及び移動用コントローラ16に対するプレイヤーの操作に応じたプレイヤーキャラクターの動作制御、他のゲーム装置41からのゲームデータに応じた敵キャラクターの動作制御を行う。CPU20は、ゲーム空間を表現するゲーム画面中に、プレイヤーキャラクターや敵キャラクターなどを動作制御に応じて表示させる。
【0035】
この間にCPU20は、ネットワーク18を介して入力されたゲーム装置41におけるプレイヤー操作に応じたゲームデータを受信して、このゲームデータをもとにしてゲーム空間中の敵キャラクターが攻撃対象として狙っている位置、すなわちゲーム装置41においてサイトDが合わされているゲーム空間における位置(方向)を検出する(ステップA1)。なお、ゲーム装置41におけるプレイヤー操作により制御される敵キャラクターだけでなく、プログラムに従いCPU20により動作が制御される敵キャラクターが存在する場合には、この敵キャラクターが攻撃の対象としている方向についても同様に検出するものとする。
【0036】
ここで、敵キャラクターが狙っている位置(方向)がプレイヤーキャラクターと一致している場合、すなわちゲーム装置41においてプレイヤーキャラクターに対してサイトが合わされている場合には(ステップA2、Yes)、
図7には、ゲーム空間中におけるプレイヤーキャラクターと敵キャラクターとの相対的な位置関係の一例を示している。
図7に示す例では、プレイヤーキャラクターの前方に例えばチームメイト(仲間)A,Bの2人のキャラクターが存在している。従って、プレイヤーキャラクターから見たゲーム空間を表すゲーム画面(一人称画面)では、図8に示すように、チームメイト(仲間)A,Bのキャラクターが表示される(プレイヤーキャラクターの視界に入っている)。
【0037】
また、この時、図7に示すように、敵キャラクターは、プレイヤーキャラクターの右側から攻撃をするために、プレイヤーキャラクターに対してサイト(照準)を合わせているものとする。敵キャラクターは、プレイヤーキャラクターの視界には入らないためゲーム画面には表示されていない。通常では、ゲーム画面中に存在しない敵キャラクターの動作を把握することがでないが、本実施形態におけるゲーム装置10では、攻撃予知表示処理における所定の条件を満たした場合に攻撃予知表示をゲーム画面に付加することにより、敵キャラクターにより狙われていることをプレイヤーに認識させることができる。
【0038】
CPU20は、予知経験値データをもとにして、プレイヤーの予知レベルを算出する(ステップA4)。例えば、図4に示す複数の経験項目のそれぞれの値をもとに、所定の演算式によって予知レベルを算出する。例えば、図4に示す予知経験値データでは、回避時間、敵補足時間については時間が短いほど予知レベルが高く、敵補足時間については時間が長いほど予知レベルが高くなるようにする。また、回避回数、攻撃予知表示回数については、回数が多いほど予知レベルが高くなるようにする。また、経験項目毎に異なる重み付けをして予知レベルを算出するようにしても良いし、全ての経験項目のデータを用いなくても良い。
【0039】
ここで、CPU20は、予知経験値データをもとに算出された予知レベルが、攻撃予知表示の対象とするレベルであるかを判別する(ステップA4)。すなわち、予知レベルが予め決められたレベルより低い場合には、敵キャラクターにより狙われていたとしても攻撃予知表示がされないものとする。プレイヤーキャラクターがゲーム中で経験を重ねることによって攻撃予知表示を可能とする。
【0040】
また、予知レベルが高いほど、ゲーム空間における、プレイヤーキャラクターから遠くにいる敵キャラクターから狙われている場合にも攻撃予知表示がされるようにする。この場合、予知レベルと、攻撃予知表示の対象とするプレイヤーキャラクターと敵キャラクターとの距離との対応が予め設定されているものとする。CPU20は、現在のプレイヤーキャラクターの予知レベルに対して設定された距離と、プレイヤーキャラクターを狙っている敵キャラクターとの距離とを比較して、攻撃予知表示の対象であるかを判別する。
【0041】
CPU20は、予知レベルが攻撃予知表示の対象とすると判別すると(ステップA4、Yes)、予知レベルに応じた攻撃予知表示パターンを算出する(ステップA5)。CPU20は、予知表示パターンデータに設定された予知レベルに対応する予知表示パターンを用いて、ゲーム空間中におけるプレイヤーキャラクターと敵キャラクターとの相対的な位置関係に基づいて、敵キャラクターからの攻撃の方向を表す、ゲーム画面中に付加する攻撃予知表示パターンを生成する。このため、ゲーム処理が進行されてプレイヤーキャラクターの予知レベル(経験値データ)が変化するのに伴って、攻撃予知パターンを変更することになる。ゲーム画面中に付加する攻撃予知表示パターンの具体例については後述する(図9〜図11)。
【0042】
CPU20は、プレイヤーキャラクターが敵キャラクターに狙われていることを検知してからの時間を計測している。そして、敵キャラクターによって狙われている状態が予知レベルに応じた一定時間が経過したか、すなわち攻撃予知表示の発動に必要な時間が経過したかを判別する。例えば、予知レベルが高いほど、狙われている時間が短い段階で攻撃予知表示がされるようにする。
【0043】
予知レベルに応じた一定時間が経過する前に敵キャラクターによるプレイヤーキャラクターに対するサイトが外れた場合(ステップA7、Yes)、CPU20は、攻撃予知表示が不要となったものと判別する。
【0044】
一方、敵キャラクターによって狙われている時間が予知レベルに応じた一定時間を経過すると(ステップA6、Yes)、CPU20は、ステップA5において生成した攻撃予知表示パターンをゲーム画面中に付加する(ステップA8)。
【0045】
プレイヤーキャラクターを操作しているプレイヤーは、攻撃予知表示がされることにより、敵キャラクターによって攻撃対象として狙われていることを、敵キャラクターが実際に攻撃をする前に知ることができる。また、敵キャラクターがゲーム画面に表示されていなくても攻撃予知表示がされるので、敵キャラクターが近く(予知レベルによって感知できる範囲が異なる)に存在し、またその方向も認識することができる。
【0046】
CPU20は、ゲーム処理が終了するまで(ステップA9)、前述のようにして、プレイヤーキャラクターが敵キャラクターによって狙われたことを検知した場合に、プレイヤーキャラクターの予知レベルに応じて攻撃予知パターンを表示する。
【0047】
図9には、攻撃予知表示がされたゲーム画面の一例を示している。
図9に示す攻撃予知表示では、プレイヤーキャラクターがチームメイトA,Bを見ている状態において、図7に示すゲーム画面中に表示されていない敵キャラクターにより狙われていることを表現している。図9では、敵キャラクターがプレイヤーキャラクターの右側にいるため、右側から攻撃されようとしていることを表現するように、ゲーム画面の右から左に光が走るような攻撃予知表示パターン50を表示させている。
【0048】
なお、プレイヤーキャラクターの左側から敵キャラクターに狙われている場合には、ゲーム画面の左から右に走るような攻撃予知表示パターンを表示させ、同様にして、前から狙われている場合にはゲーム画面の上から下、後から狙われている場合にはゲーム画面の下から上に走るような攻撃予知表示パターンを表示させる。
【0049】
図9に示す攻撃予知表示パターンでは、予知レベルが低いために攻撃の方向として前後左右の4方向としているが、予知レベルが高いほど狙っている方向を詳細に表現するように攻撃予知表示パターンを付加する。
【0050】
また、図9に示す攻撃予知表示パターン50は、敵キャラクターが狙っている方向に合わせてゲーム画面を光が走るように表示するものであるが、プレイヤーが狙われている方向を認識することができれば他の形態により表示することが可能である。
【0051】
図10には、別の形態の攻撃予知表示がされたゲーム画面の一例を示している。
一人称画面によるゲーム画面ではプレイヤーキャラクターが表示されていない。このため、図9に示す攻撃予知表示の形態では、プレイヤーキャラクターの何れの部分が敵キャラクターによって狙われているかまで表現することができない。これに対応するために、CPU20は、予知レベルが予め決められたレベルより上位にあって、プレイヤーキャラクターの何れの部分が敵キャラクターによって狙われているかを表現するために、図10に示す形態によって攻撃予知表示を行う。
【0052】
図10に示すゲーム画面の例では、攻撃予知表示をする際に、プレイヤーキャラクターに対応するオブジェクトを一時的に表示する。以下、このオブジェクトを代替プレイヤー表示51と称する。
【0053】
図10に示す代替プレイヤー表示51は、例えば半透明化した球状をしており、その表面の敵キャラクターによって狙われている位置を他の部分と異なる攻撃予知表示パターン52によって表示している。代替プレイヤー表示51を半透明化することで、本来のゲーム画面の視認を大幅に妨げず、また全方位からの敵キャラクターによって狙われている方向を表現することができる。図10に示す攻撃予知表示パターン52では、プレイヤーキャラクターの斜め右後ろのほぼ水平な方向から敵キャラクターによって狙われていることを表している。敵キャラクターによってサイトDの中心位置が合わされている部分の表示色を最も濃くし、その部分から離れるに従って表示色を薄くすることによって、狙われている詳細な位置を直感的に認識できるようにしている。別の表示パターンを用いることも可能である。
【0054】
なお、代替プレイヤー表示51と攻撃予知表示パターン52は、所定の時間のみ表示する(予知レベルに応じて表示時間を変更しても良い)、あるいはプレイヤーキャラクターに対する動作(視界の変更、移動など)が指示されるまで表示するようにできる。
【0055】
また、図10に示す例では、半透明化した球状の代替プレイヤー表示51を表示するとしているが、別の形状のオブジェクトを代替プレイヤー表示51として表示することも可能である。
【0056】
図11には、三人称画面において攻撃予知表示がされたゲーム画面の一例を示している。
戦闘を行うゲームでは、前述した図9及び図10のように一人称画面によるゲーム画面を表示するものだけでなく、図11に示すような三人称画面を表示するものがある。
【0057】
三人称画面を表示する場合、CPU20は、ゲーム画面中のプレイヤーキャラクターFに対して、直接、攻撃予知表示パターン55を付加する。図11に示す攻撃予知表示パターン55は、プレイヤーキャラクターの右腕後ろ方向から、敵キャラクターによってサイトDの中心位置が合わされている例であり、図10に示す攻撃予知表示パターン52と同様にして、サイトDが合わされている部分の表示色を最も濃くし、その部分から離れるに従って表示色を薄くしている。
【0058】
このように、三人称画面を表示する場合には、プレイヤーキャラクターFに対して直接的に攻撃予知表示パターン55を付加することによって、敵キャラクターによって狙われている位置、方向を詳細に認識することができる。
【0059】
なお、図11に示す三人称画面における攻撃予知表示パターン55は、通常、一人称画面を表示するゲームにおいて、攻撃予知表示する時にのみゲーム画面を一人称画面から三人称画面に切り替えて、表示するようにしても良い。
【0060】
また、前述した説明では、予知レベルに応じて攻撃予知表示パターンを変更するとしているが、パターンを変更するだけでなく、色、パターンの大きさ、動きなどを変更するようにしても良い。
【0061】
次に、予知経験値データの更新について説明する。
予知経験値データに含まれる攻撃予知表示回数については、CPU20は、攻撃予知表示処理において攻撃表示処理をした場合に、自動的に更新(+1)する。
【0062】
また、予知経験値データに含まれる回避時間、回避回数、敵補足時間、敵補足継続時間については、CPU20は、攻撃予知表示に反応して、プレイヤーがプレイヤーキャラクターに対して所定の操作をした場合に更新する。
【0063】
例えば、敵補足時間は、攻撃予知表示によって敵に狙われていることを感知してから、攻撃しようとしている敵キャラクターを補足(ゲーム画面中に敵キャラクターを表示させる)までに要した時間である。CPU20は、攻撃予知表示をすると共に時間の計測を開始し、その後、プレイヤーによる攻撃用コントローラ14及び移動用コントローラ16の操作によって、プレイヤーキャラクターを狙っていた敵キャラクターがゲーム画面中に表示されたか(プレイヤーキャラクターの視界に入ったか)を判別する。CPU20は、予め決められた時間内に、敵キャラクターがゲーム画面中に表示されたことが判別されると、測定していた攻撃予知表示してからの経過時間をもとに敵補足時間のデータを更新する。ここでは、敵補足時間を平均値としており、測定された経過時間と、それまでに記録されていた敵補足時間のデータが示す時間とから平均値を算出し、最新の敵補足時間を示すデータとして記憶しておく。
【0064】
回避時間や敵補足継続時間についても同様にして、プレイヤーキャラクターに対する操作結果に応じてデータを更新する。回避回数については、例えば攻撃予知表示によって敵に狙われていることを感知してから、プレイヤーキャラクターを移動させるなどして、予め決められた時間内に狙われている状態を回避できた場合に更新(+1)する。
【0065】
CPU20は、ゲーム処理の実行中において、予知経験値データを前述のようにして継続して更新する。従って、ゲームの進行に応じてプレイヤーキャラクターの経験値が変化していき、それに伴って予知レベルも変化していく。攻撃予知表示は、予知レベルに応じて攻撃予知パターンが変更されるため、例えば、経験値が上がるほど、プレイヤーキャラクターにとってより優位な攻撃予知表示がされるようになり、ゲーム上優位となるように利用することができる。
【0066】
なお、前述した説明では、表示についてのみ説明しているが、敵キャラクターによってサイトが合わされた場合に狙われていることを表す音を出力するようにしても良い。この場合、前述と同様にして、プレイヤーの予知経験値レベルに応じて、音を出力させるか否かを判定し、また音を出力する際には予知経験値レベルに応じた種類の音を出力するようにしても良い。例えば、予知経験値レベルが高いプレイヤーに対しては、敵キャラクターによって狙われていることを明確に認知できるような音を出力し、予知経験値レベルが低いプレイヤーに対しては、かすかに聞こえる音を出力するといったことが可能である。
【0067】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0068】
また、実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、コンピュータに実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)をコンピュータ内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、コンピュータ内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【符号の説明】
【0069】
10,41…ゲーム装置、12…電算装置、14…攻撃用コントローラ、16…移動用コントローラ、17…表示装置、17a…ゲーム画面、18…ネットワーク、20…CPU、21…RAM、22…HDD、23…画像処理部、24…モニタ、25…音声処理部、26…スピーカ、27…カード読取書込装置、28…ランプ、29…硬貨認識装置、30…スタートボタン、31…通信装置、40…サーバ、50,52,55…攻撃予知表示、51…代替プレイヤー表示、C…メッセージ選択ウィンドウ、D…サイト、E…キャラクター情報ウィンドウ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム空間中におけるプレイヤーキャラクターと敵キャラクターの動作を制御するキャラクター制御手段と、
前記ゲーム空間を表現するゲーム画面を表示する表示手段と、
前記キャラクター制御手段により制御される前記敵キャラクターが前記プレイヤーキャラクターを攻撃の対象としていることを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記プレイヤーキャラクターが攻撃の対象とされていることが検知された場合に、前記ゲーム空間中における前記プレイヤーキャラクターと前記敵キャラクターとの相対的な位置関係に基づいて、前記敵キャラクターからの攻撃の方向を表す攻撃予知表示を、前記表示手段により表示されるゲーム画面に付加する攻撃予知表示手段と
を具備したことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記攻撃予知表示手段により付加された攻撃予知表示に対する、前記プレイヤーキャラクターの動作内容を経験値データとして集計する経験値データ集計手段をさらに具備し、
前記攻撃予知表示手段は、前記経験値データ集計手段により集計された経験値データに基づいて、前記攻撃予知表示のパターンを変更することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記攻撃予知表示手段は、前記検知手段による検知が一定時間以上継続した場合に、前記攻撃予知表示を付加することを特徴とする請求項2記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記一定時間は、前記経験値データに応じて決定されることを特徴とする請求項3記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記プレイヤーキャラクターを含む三人称画面によるゲーム画面を表示するもので、
前記攻撃予知表示手段は、前記ゲーム画面中に表示される前記プレイヤーキャラクターに対して、前記攻撃予知表示を付加することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記プレイヤーキャラクターの視点から見た一人称画面によるゲーム画面を表示するもので、
前記攻撃予知表示手段は、前記プレイヤーキャラクターに対応するオブジェクトを表示し、前記オブジェクトに対して、前記攻撃予知表示を付加することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記キャラクター制御手段は、前記敵キャラクターに関するデータを管理しており、
前記攻撃予知表示手段は、前記攻撃予知表示と共に、前記経験値データに応じた前記敵キャラクターに関するデータを表す表示を付加することを特徴とする請求項2記載のゲーム装置。
【請求項8】
コンピュータを、
ゲーム空間中におけるプレイヤーキャラクターと敵キャラクターの動作を制御するキャラクター制御手段と、
前記ゲーム空間を表現するゲーム画面を表示する表示手段と、
前記キャラクター制御手段により制御される前記敵キャラクターが前記プレイヤーキャラクターを攻撃の対象としていることを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記プレイヤーキャラクターが攻撃の対象とされていることが検知された場合に、前記ゲーム空間中における前記プレイヤーキャラクターと前記敵キャラクターとの相対的な位置関係に基づいて、前記敵キャラクターからの攻撃の方向を表す攻撃予知表示を、前記表示手段により表示されるゲーム画面に付加する攻撃予知表示手段として機能させるためのゲームプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−207404(P2010−207404A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56867(P2009−56867)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)
【Fターム(参考)】