説明

ゲーム装置、ゲーム処理方法、ならびに、プログラム

【課題】プレイヤーの指示対象となるキャラクターが移動する様子をプレイヤーに把握しやすくする。
【解決手段】仮想空間内には、キャラクターに対する相対的な位置が固定される視点が設定される。ゲーム装置200において、視線方向設定部201は、仮想空間内における視線の方向を設定する。画像生成部202は、設定される視点の位置から、設定される視線の方向へ、仮想空間を見た様子を表す画像を生成する。経路取得部203は、キャラクターの状態が準備モードである間、キャラクターの現在位置から目標点を移動し、目標点が移動した経路を取得する。移動部204は、キャラクターの状態が移動モードである間、取得された経路に沿ってキャラクターを目標点まで移動する。視線方向設定部201は、キャラクターの状態が準備モードである間、視点の位置から目標点の位置への方向に、視線の方向を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤーの指示対象となるキャラクターが移動する様子をプレイヤーに把握しやすくするために好適なゲーム装置、ゲーム処理方法、ならびに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム状況に応じて仮想空間内を視点の位置が移動したり視線の方向が移動したりするゲームがある。視点の位置や視線の方向を変化させると、プレイヤーにとって、より理解しやすく、よりリアルに感じられる映像表現が可能になる。例えば特許文献1には、野球ゲームにおいて、カメラの視線がボールに追随したとしても映像が見やすいように工夫がなされているゲーム装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−82188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、仮想空間内を移動するキャラクターオブジェクト(以下「キャラクター」という。)に追随するように視点と視線を動かす場合において、その視点の位置から視線の方向へ見た様子を表す画像をリアルタイムで描こうとすると、キャラクターの移動の仕方によっては、プレイヤーにとって見づらい画像になってしまうことがあった。例えば、キャラクターが複雑な経路に沿って動いたり、キャラクターが比較的長い時間移動し続けたりする場合には、現在キャラクターが仮想空間内のどこにあるのか、キャラクターがどのような経路で移動しているのか、といった状況が、プレイヤーにとって把握しづらくなってしまうことがあった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するものであり、プレイヤーの指示対象となるキャラクターが移動する様子をプレイヤーに把握しやすくするために好適なゲーム装置、ゲーム処理方法、ならびに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0007】
本発明の第1の観点に係るゲーム装置は、視線方向設定部、画像生成部、経路取得部、移動部を備える。
視線方向設定部は、仮想空間内における視線の方向を設定する。
画像生成部は、仮想空間内に配置され移動可能なキャラクターに追随して移動する視点から、設定された視線の方向へ、仮想空間を見た様子を表す画像を生成する。
経路取得部は、キャラクターの状態が準備モードである間、仮想空間内においてキャラクターの現在位置から目標点を移動し、当該目標点が移動した経路を取得する。
移動部は、キャラクターの状態が移動モードである間、取得された経路に沿ってキャラクターを目標点まで移動する。
また、視線方向設定部は、キャラクターの状態が準備モードである間、視点から目標点への方向に、視線の方向を設定する。
【0008】
本発明のゲーム装置にて実行される典型的なゲームは、プレイヤーが操作するキャラクター(プレイヤーキャラクター)が3次元仮想空間内を移動し、プレイヤーキャラクターから見た様子を表す画像が表示されるゲーム(いわゆる一人称視点のゲーム)や、プレイヤーキャラクターを上から見下ろしたり背後から見たりした様子を表す画像が表示されるゲーム(いわゆる三人称視点のゲーム)である。視点の位置は、プレイヤーキャラクターを中心とするローカル座標系において不変である。例えば、プレイヤーがプレイヤーキャラクターを移動させる指示を入力すると、モニターには、移動しているプレイヤーキャラクターから仮想空間を見た様子を表す画像が逐次表示される。
【0009】
プレイヤーキャラクターの状態には、準備モードと移動モードがある。準備モードとは、プレイヤーキャラクターを移動させる目標となる場所(以下「目標点」という。)と、目標点まで移動させる経路と、をプレイヤー等が設定するためのモードである。移動モードとは、準備モードで設定された目標点に向かって、準備モードで設定された経路を通ってプレイヤーキャラクターを移動させるモードである。これらのモードは、例えばプレイヤーの指示入力に応じて切り替わる。若しくは、ゲーム装置が所定のアルゴリズムでモードを切り替えてもよい。
【0010】
準備モードでは、仮想空間内に目標点が配置される。目標点は、プレイヤーキャラクターの現在位置を出発点として仮想空間内を移動する。例えば、目標点は、時間経過とともにプレイヤーキャラクターの現在位置から少しずつ離れるように移動していく。目標点が移動する軌跡が、プレイヤーキャラクターが移動する経路となる。目標点が移動する距離と向き、目標点が移動する速度あるいは加速度、目標点が移動する時間等は、本発明によって限定されない。経路の形状は任意である。
【0011】
また、準備モードでは、プレイヤーキャラクターは任意の位置に静止している。すなわち、視点の位置も静止している。視線の方向は、視点の位置から目標点の位置への方向に設定される。すなわち、準備モードにおいて、視線の方向は、目標点を追いかけるように移動する。簡単に言えば、準備モードにおけるカメラワークは、ある場所にカメラを固定したまま向きを変えて撮影する(“パン”する)動きである。
【0012】
準備モードから移動モードに切り替わると、プレイヤーキャラクターは、準備モードで設定された目標点に向かって、準備モードで設定された経路に沿って、移動する。移動モードでは、プレイヤーキャラクターに追随するように、視点の位置も移動する。例えば、プレイヤーキャラクターが静止している場合、もしくは、プレイヤーキャラクターが移動するときの加速度がゼロの場合、視点の位置は、プレイヤーキャラクターの位置に対して相対的に固定されてもよい。例えば、プレイヤーキャラクターが移動している場合、もしくは、プレイヤーキャラクターが移動するときの加速度がゼロでない場合、視点の位置は、相対的に固定されるとしたときの位置から所定範囲内で変化することがあってもよい。
【0013】
本発明では、プレイヤーキャラクターが移動を開始する前に、プレイヤーキャラクターが移動する目標点と、プレイヤーキャラクターが移動する経路とが設定され、プレイヤーに提示される。その後、プレイヤーキャラクターは経路に沿って目標点まで移動する。従って、プレイヤーは、プレイヤーキャラクターがどこをどのように移動していくのかを事前に確かめることができるので、仮に目標点までの経路が複雑になったり経路の長さが長くなったとしても、移動中のプレイヤーキャラクターの位置や姿勢等を容易に把握できるようになる。プレイヤーには、プレイヤーキャラクターがこれからどのように移動することになるのかといった心構えの機会が与えられるので、プレイヤーは、画面の変化に付いて行きやすくなる。本発明によれば、プレイヤーキャラクターが移動する様子をプレイヤーが把握しやすくなる。
【0014】
視線方向設定部は、キャラクターの状態が移動モードである間、キャラクターに対する相対的な視線の方向を固定するように設定してもよい。
【0015】
すなわち、移動モードでは、視線の方向は、視点の位置からプレイヤーキャラクターの位置への方向に設定される。簡単に言えば、移動モードにおけるカメラワークは、プレイヤーキャラクターを追いかけながらプレイヤーキャラクターを撮影する動きである。本発明によれば、プレイヤーキャラクターが移動する様子を、より分かりやすく、よりリアルに表現することができる。
【0016】
ゲーム装置は、プレイヤーからの指示に基づいて、キャラクターの状態を準備モード又は移動モードに設定するモード設定部を更に備えてもよい。
【0017】
すなわち、プレイヤーは、任意のタイミングで準備モードと移動モードとを切り替えることができる。例えば、プレイヤーが入力装置の所定のボタンを押し続けている間に準備モードになり、そのボタンを離すと移動モードになる。例えば、プレイヤーが入力装置の所定のボタンを押すと、準備モードと移動モードとが切り替わる。本発明によれば、目標点を所望の位置に設定することができ、経路を所望の形に設定することができる。なお、ゲーム装置は、プレイヤーからの指示にかかわらず、所定のアルゴリズムで準備モードと移動モードとを切り替えることも可能である。
【0018】
画像は、所定の時間間隔で画像生成部により生成されてもよい。
そして、ゲーム装置は、画像生成部によって画像が生成されるごとに、生成される画像を表示する表示部を更に備えてもよい。
【0019】
本発明によれば、プレイヤーキャラクターが移動する様子を表すアニメーション画像が表示される。プレイヤーは、プレイヤーキャラクターが移動する様子を容易に把握できるようになる。
【0020】
経路取得部は、キャラクターの状態が準備モードである間、プレイヤーからの指示に基づく方向へ、目標点を移動してもよい。
【0021】
本発明によれば、プレイヤーは、プレイヤーキャラクターを所望の方向に動かす指示を分かりやすく入力することができ、且つ、プレイヤーキャラクターが移動する様子を把握しやすくなる。
【0022】
当該仮想空間内には仮想的な引力場が定義されてもよい。
そして、移動部は、当該引力場に基づいて、目標点の移動速度を変化させてもよい。
【0023】
本発明によれば、プレイヤーキャラクターが移動する様子をプレイヤーが把握しやすくなるだけでなく、一般には見ることが困難な引力場の存在を分かりやすく表現することができる。
【0024】
本発明のその他の観点に係るゲーム処理方法は、視線方向設定部、画像生成部、経路取得部、移動部を有するゲーム装置にて実行されるゲーム処理方法であって、視線方向設定ステップ、画像生成ステップ、経路取得ステップ、移動ステップを備える。
視線方向設定ステップでは、視線方向設定部が、仮想空間内における視線の方向を設定する。
画像生成ステップでは、画像生成部が、仮想空間内に配置され移動可能なキャラクターに追随して移動する視点から、設定された視線の方向へ、仮想空間を見た様子を表す画像を生成する。
経路取得ステップでは、キャラクターの状態が準備モードである間、経路取得部が、仮想空間内においてキャラクターの現在位置から目標点を移動し、当該目標点が移動した経路を取得する。
移動ステップでは、キャラクターの状態が移動モードである間、移動部が、取得された経路に沿ってキャラクターを目標点まで移動する。
また、視線方向設定ステップでは、キャラクターの状態が準備モードである間、視線方向設定部が、視点から目標点への方向に、視線の方向を設定する。
【0025】
本発明によれば、プレイヤーキャラクターが移動する様子をプレイヤーが把握しやすくなる。
【0026】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを、視線方向設定部、画像生成部、経路取得部、移動部として機能させる。
視線方向設定部は、仮想空間内における視線の方向を設定する。
画像生成部は、仮想空間内に配置され移動可能なキャラクターに追随して移動する視点から、設定された視線の方向へ、仮想空間を見た様子を表す画像を生成する。
経路取得部は、キャラクターの状態が準備モードである間、仮想空間内においてキャラクターの現在位置から目標点を移動し、当該目標点が移動した経路を取得する。
移動部は、キャラクターの状態が移動モードである間、取得された経路に沿ってキャラクターを目標点まで移動する。
また、視線方向設定部は、キャラクターの状態が準備モードである間、視点から目標点への方向に、視線の方向を設定する。
【0027】
本発明によれば、コンピュータを上述のように動作するゲーム装置として機能させることができる。
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、プレイヤーの指示対象となるキャラクターが移動する様子をプレイヤーに把握しやすくするために好適なゲーム装置、ゲーム処理方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のゲーム装置が実現される典型的な情報処理装置の概要構成を示す図である。
【図2】ゲーム装置の機能的な構成を説明するための図である。
【図3】プレイヤーキャラクター、敵キャラクター、その他のオブジェクトが配置される仮想空間を表す図である。
【図4】(a)と(b)は、視点の位置と視線の方向を説明するための図である。
【図5】準備モードにおいて、目標点を移動する処理を説明するための図である。
【図6】準備モードにおいて、目標点を移動する処理を説明するための図である。
【図7】準備モードにおいて、目標点を移動する処理を説明するための図である。
【図8】移動モードにおいて、プレイヤーキャラクターを移動する処理を説明するための図である。
【図9】ゲーム処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】実施形態2において、ゲーム装置の機能的な構成を説明するための図である。
【図11】(a)と(b)は、実施形態3において、目標点を移動して経路を取得する処理を説明するための図である。
【図12】実施形態4の準備モードにおいて、目標点を移動する処理を説明するための図である。
【図13】目標点を移動して経路を取得する処理を説明するための図である。
【図14】準備モードにおいて、目標点を移動する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施形態を説明するが、以下の実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0031】
(実施形態1)
図1は、プログラムを実行することにより、本発明のゲーム装置の機能を果たす典型的な情報処理装置100の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0032】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェース104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)ドライブ107と、画像処理部108と、音声処理部109と、NIC(Network Interface Card)110と、を備える。
【0033】
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ107に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態のゲーム装置が実現される。
【0034】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0035】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0036】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0037】
インターフェース104を介して接続されたコントローラ105は、プレイヤーがダンスゲームやサッカーゲームなどのゲームの実行の際に行う操作入力を受け付ける。インターフェース104には、複数のコントローラ105が接続されていてもよい。
【0038】
インターフェース104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、ゲームのプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、ネットワークを用いたゲームのチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。プレイヤーは、コントローラ105を介して操作入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0039】
DVD−ROMドライブ107に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ107は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0040】
画像処理部108は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部108が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部108が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部108に接続されるモニター(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0041】
画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0042】
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0043】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。
【0044】
また、ゲームの画像などの情報をDVD−ROMに用意しておき、これをフレームメモリに展開することによって、ゲームの様子などを画面に表示することができるようになる。
【0045】
音声処理部109は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカー(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカーから出力させる。
【0046】
音声処理部109では、DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカーに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0047】
NIC 110は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0048】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ107に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0049】
次に、上記構成を有する情報処理装置100により実現される、本実施形態のゲーム装置200の機能的な構成について説明する。
【0050】
図2は、本実施形態のゲーム装置200の機能的な構成を示す図である。ゲーム装置200は、視線方向設定部201、画像生成部202、経路取得部203、移動部204を備える。
【0051】
図3は、ゲーム装置200にて実行される仮想空間内におけるゲームを表す画面の構成例を示す図である。仮想空間には、プレイヤーが操作するプレイヤーキャラクターオブジェクト(以下「プレイヤーキャラクター」という。)310、敵キャラクターオブジェクト(以下「敵キャラクター」という。)320、地形や建物等を表すオブジェクト330が配置される。
【0052】
図4(a)と図4(b)は、仮想空間内に配置されるプレイヤーキャラクター310と、視点410の位置と、視線420の方向と、を表す図である。視点410の位置は、仮想空間内を撮影する仮想カメラの位置であり、視線420の方向は、仮想カメラが向いている方向である。簡単に言えば、ゲーム装置200は、この仮想カメラで撮影した画像を生成するのである。
【0053】
視点410の位置は、仮想空間全体に対して定義されるグローバル座標系(図4(a),(b)ではX−Y−Z座標系で表される)における座標値で表される。視線420の方向は、グローバル座標系におけるベクトルで表される。
【0054】
プレイヤーキャラクター310の位置は、グローバル座標系における座標値で表される。例えば、プレイヤーキャラクター310が移動していない場合や、プレイヤーキャラクター310が移動するときの加速度がゼロの場合には、視点410の位置は、プレイヤーキャラクター310に対して相対的に固定される。プレイヤーキャラクター310を中心とするローカル座標系(図4(a),(b)ではP−Q−R座標系で表される)における視点410の位置は、プレイヤーキャラクター310の位置が変わらない場合には、不変である。
【0055】
プレイヤーキャラクター310が移動する場合には、ローカル座標系における視点410の位置が変わることがある。静止しているプレイヤーキャラクター310が移動し始めるとき、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310が移動を開始した後の所定時間、視点410の位置を静止したままにする。所定時間が経過すると、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310に対して相対的に固定される位置に視点410を配置し、プレイヤーキャラクター310に追随するように、視点410を移動する。視点410の位置は、プレイヤーキャラクター310が静止している際に相対的に固定される位置から所定範囲内で変化する。このようにすれば、ゲーム装置200は、プレイヤーキャラクター310が移動し始めるときに慣性の影響で仮想カメラが動き出すタイミングが遅れるような演出を行うことができ、よりリアリティが増す効果がある。
【0056】
視点410は、プレイヤーキャラクター310と共に仮想空間内を移動する。視点410は、例えば、ヒト型のプレイヤーキャラクター310の頭上後方の所定の位置に固定される。CPU 101は、画像処理部108を制御して、視点410の位置から視線420の方向に見た仮想空間の様子を所定の投影面430に投影して得られる画像を生成し、図3に示すように、生成した画像をモニターに表示させる。図3に示す画像は、“三人称視点”からプレイヤーキャラクター310の周辺を俯瞰した画像である。
【0057】
視点410の位置をプレイヤーキャラクター310(より正確には、プレイヤーキャラクター310の目)と同じ位置に固定してもよい。この場合には、CPU 101は、“一人称視点”の画像(プレイヤーキャラクター310から見た画像)を生成することになる。
【0058】
プレイヤーキャラクター310の状態には、準備モードと、移動モードと、戦闘モードと、ニュートラルモードと、がある。準備モードは、プレイヤーキャラクター310がこれから移動する目標となる点(以下「目標点」という。)と、現在位置から目標点まで移動する経路と、をプレイヤーが設定するためのモードである。移動モードは、プレイヤーキャラクター310が準備モードで設定された経路に沿って目標点まで移動するモードである。戦闘モードは、プレイヤーキャラクター310が敵キャラクター320と戦うモードである。ニュートラルモードは、準備モード、移動モード、戦闘モードのいずれでもないその他のモードである。
【0059】
例えば、プレイヤーは、コントローラ105の所定キーを押圧することにより、プレイヤーキャラクター310の状態を切り替えることができる。プレイヤーは、まず、プレイヤーキャラクター310を準備モードに設定し、画面に表示される指示マーク340を十字キーで動かす。目標点が移動した軌跡が、プレイヤーキャラクター310が移動する経路となる。プレイヤーは、プレイヤーキャラクター310を移動させる経路を任意に設定できる。その後、プレイヤーは、準備モードから移動モードに切り替える。すると、プレイヤーキャラクター310は、現在位置から、設定された目標点まで、設定された経路に沿って移動する。プレイヤーキャラクター310が目標点まで移動し終わると、プレイヤーキャラクター310の状態はニュートラルモードになる。目標点と経路の設定の仕方の詳細については後述する。
【0060】
次に、ゲーム装置200の機能的な各構成の詳細について説明する。
視線方向設定部201は、プレイヤーキャラクター310の状態が準備モードに設定されている場合に、視点410から目標点への方向に、視線420の方向を設定する。また、視線方向設定部201は、準備モード以外のモードにおいて、図4(a)に示すように、視点410からプレイヤーキャラクター310への方向に、視線420の方向を固定する。CPU 101が視線方向設定部201として機能する。
【0061】
あるいは、視線方向設定部201は、準備モード以外のモードに設定されている場合に、図4(b)に示すように、視点410から、プレイヤーキャラクター310の前方(Y1方向)に所定距離Lだけ離れた位置440への方向に、視線420の方向を固定してもよい。プレイヤーキャラクター310の前方とは、プレイヤーキャラクター310の顔又は目が向いている方向のことである。
【0062】
なお、CPU 101は、いずれのモードにおいても、プレイヤーによるコントローラ105の十字キー等の押圧操作を検知し、押圧されたキーに対応付けられる方向に視線420の方向を移動させるようにしてもよい。
【0063】
CPU 101は、視点410の位置と、視線420の方向と、を表す情報をRAM 103に記憶する。また、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の位置を表す情報と、敵キャラクター320の位置を表す情報をRAM 103に記憶する。CPU 101は、視点410の位置と、視線420の方向と、プレイヤーキャラクター310の位置と、敵キャラクター320の位置と、を随時更新する。
【0064】
画像生成部202は、プレイヤーキャラクター310に対する相対的な位置が固定されている視点410から、視線方向設定部201により設定された視線420の方向へ、この仮想空間を見た様子を表す画像を、生成する。CPU 101と画像処理部108が協働して画像生成部202として機能する。
【0065】
CPU 101は、画像処理部108を制御して、例えば垂直同期割り込み(VSYNC)のような定期的なタイミングで、仮想空間を見た様子を表す画像を繰り返し生成する。その結果、ゲーム装置200は、プレイヤーキャラクター310や敵キャラクター320の位置や姿勢等が時間経過と共に変化する様子を表すアニメーション画像を生成することができる。
【0066】
経路取得部203は、プレイヤーキャラクター310の状態が準備モードに設定されている場合に、目標点をプレイヤーキャラクター310の現在位置から移動させ、目標点が移動した経路を取得する。CPU 101と画像処理部108が協働して経路取得部203として機能する。
【0067】
ここで、経路取得部203が目標点と経路を設定する処理を、図3,図5〜図7を用いて詳しく説明する。
【0068】
例えば、図3に示すように指示マーク340が配置されているときに、プレイヤーキャラクター310がニュートラルモードから準備モードになると、図5に示すように、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の現在位置から、指示マーク340が示す位置に向かって、目標点550を徐々に移動させる。
【0069】
典型的には、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の現在位置から目標点550の位置までの距離が時間の経過と共に大きくなるように、プレイヤーキャラクター310の現在位置から、プレイヤーからの指示に基づく指示マーク340の位置への方向に、目標点550を移動する。つまり、目標点550は、プレイヤーキャラクター310の現在位置からだんだんと遠ざかって移動していく。
【0070】
指示マーク340は、準備モードにおいて、プレイヤーが画面内における目標点550の位置の移動先を指示するための目印である。CPU 101は、指示マーク340によって示される仮想空間内の位置440を特定し、特定した位置440に近づくように目標点550を移動する。
【0071】
本実施形態では、プレイヤーキャラクター310は、地面570もしくはオブジェクト330の表面(例えば図5の“A”と書かれた面(A面)、“B”と書かれた面(B面)、“C”と書かれた面(C面)など)を移動することができるようになっている。CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の現在位置から、指示マーク340が示す位置440に向かって、地面570上もしくはオブジェクト330の表面上で、目標点550を移動する。
【0072】
そして、CPU 101は、目標点550が移動した軌跡を、プレイヤーキャラクター310が移動する経路500に設定する。
【0073】
図5において、プレイヤーキャラクター310の現在位置から徐々に遠ざかるように、地面570上で目標点550を移動していくと、目標点550はオブジェクト330の“B面”に突き当たる。すると、CPU 101は、地面570上ではなく“B面”上で、目標点550を移動する。つまり、図6に示すように、まるで蔦が壁に沿って上に伸びていくかのように、経路500が設定される。
【0074】
目標点550が“B面”の端まで到達すると、CPU 101は、“B面”に隣り合う面であって目標点550の進行方向にある面(図5では“A面”)に沿って更に目標点550を移動する。目標点550が“A面”の端まで到達すると、CPU101は、“A面”に隣り合う面であって目標点550の進行方向にある面(図5では“B面”の対面)上で、目標点550を移動する。
【0075】
目標点550が“B面”の対面の端まで到達すると、CPU 101は、図7に示すように、まるで地を這うかのように、地面570上で目標点550を移動し、経路500を設定する。
【0076】
経路500は、線分の組み合わせで表される形状に設定されてもよいし、任意の形状をした曲線で設定されてもよい。CPU 101は、視点410の位置からの距離が長くなる(視点410から遠くなる)ほど、経路500を表す線を細く描くとよい。
【0077】
CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の状態が準備モードに設定されている場合に、目標点550を移動して経路500を求める。そして、準備モードから移動モードに変わると、CPU 101は、準備モードから移動モードに切り替わったときの目標点550の位置を、プレイヤーキャラクター310の移動先の位置に設定し、準備モードから移動モードに切り替わったときに描かれていた経路500に沿って、プレイヤーキャラクター310の位置を移動する。
【0078】
なお、画像生成部202は、経路取得部203によって取得された経路500を含む画像を生成することが望ましい。生成される画像に経路500を表す線を含めることにより、プレイヤーは、プレイヤーキャラクター310の移動が始まる前に、プレイヤーキャラクター310がこれから移動することになる道筋を予め知ることができ、プレイヤーキャラクター310の移動中であっても、プレイヤーキャラクター310の位置や姿勢を把握しやすくなる。
【0079】
本実施形態のように、プレイヤーキャラクター310が地面570の上だけでなくオブジェクト330の側面を登ったり降りたりでき、その都度視線の向きが変わるゲームでは、プレイヤーは、画面の変化に付いていけず、プレイヤーキャラクター310の位置や姿勢を把握しづらくなってしまう恐れがある。しかし、上記のように、プレイヤーキャラクター310が移動を開始する前に、プレイヤーが予め経路500を見ることができるようにすれば、プレイヤーは方向感覚を損なわずにプレイヤーキャラクター310を目で追ってゲームを進めることが容易になる。
【0080】
また、プレイヤーキャラクター310が地面570の上だけを移動するゲームにおいても、プレイヤーキャラクター310が移動を開始する前に、プレイヤーが予め経路500を見ることができるようにすれば、仮に経路500の形状が複雑になったり経路500が長くなったりしたとしても、プレイヤーはゲーム感覚を損なわずにプレイヤーキャラクター310を目で追ってゲームを進めることが容易になる。
【0081】
移動部204は、プレイヤーキャラクター310の状態が移動モードに設定されている場合に、経路取得部203によって取得された経路500に沿って、プレイヤーキャラクター310を目標点550まで移動する。CPU 101が移動部204として機能する。
【0082】
図8は、経路500上を移動しているプレイヤーキャラクター310を、視点410の位置から視線420の方向へ俯瞰した様子を表す画面の例である。上述のように、移動モードでは、ローカル座標系における視点410の位置は固定され、且つ、ローカル座標系における視線420の方向は視点410の位置からプレイヤーキャラクター310の位置(もしくはプレイヤーキャラクター310から所定距離だけ離れた位置)への方向に固定される。そのため、図8に示すように、地面570に対して垂直に立っている“B面”上をプレイヤーキャラクター310が移動しているときには、グローバル座標系における視線420の方向は、地面570から“B面”の上方(空)を見上げるような向きになる。
【0083】
CPU 101は、設定された経路500に沿ってプレイヤーキャラクター310を移動する。プレイヤーキャラクター310の移動中に、プレイヤーキャラクター310の位置から所定距離範囲内に敵キャラクター320が存在すると、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の状態を移動モードから戦闘モードに切り替える。
【0084】
戦闘モードでは、プレイヤーは、敵キャラクター320を攻撃するコマンドや、敵キャラクター320による攻撃を防御するコマンド等を入力する。CPU 101は、入力されたコマンドに基づいて、プレイヤーキャラクター310と敵キャラクター320のそれぞれに対応付けられる“ライフ”パラメータを変化させる。CPU 101は、プレイヤーキャラクター310と敵キャラクター320とのうち“ライフ”パラメータが先に所定値以下になった方を「負け」、他方を「勝ち」とし、戦闘を終了する。プレイヤーキャラクター310が勝つと、プレイヤーのスコアに所定のポイントが加算される。戦闘が終了すると、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310を移動モードに戻す。
【0085】
CPU 101は、プレイヤーキャラクター310が目標点550まで到達すると、プレイヤーキャラクター310の移動を終了し、ニュートラルモードに設定する。ニュートラルモードでは、視線420の方向は、視点410の位置からプレイヤーキャラクター310の位置への方向、若しくは、視点410の位置からプレイヤーキャラクター310の位置から所定距離だけ離れた位置への方向である。
【0086】
なお、画像生成部202は、プレイヤーキャラクター310の移動中においても、経路取得部203によって取得された経路500を含む画像を生成することが望ましい。生成される画像に経路500を表す線を含めることにより、プレイヤーは、プレイヤーキャラクター310がこれから移動することになる道筋、及び/又は、プレイヤーキャラクター310が今まで通ってきた道筋を簡単に知ることができる。
【0087】
次に、本実施形態の上記各部が実行するゲーム処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。以下の説明では、ゲーム処理を開始する時点において、プレイヤーキャラクター310がニュートラルモードに設定されているものとする。
【0088】
まず、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の状態が準備モードに設定されたか否かを判別する(ステップS901)。プレイヤーは、例えばコントローラ105の所定キーを押圧することにより、ニュートラルモードから準備モードに変更することができる。
【0089】
準備モードに設定されていないと判別した場合(ステップS901;NO)、CPU 101は、ステップS901の処理を繰り返す。
【0090】
準備モードに設定されたと判別した場合(ステップS901;YES)、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の現在位置から指示マーク340が示す位置の方向へ、目標点550の位置を移動する(ステップS902)。
【0091】
例えば、CPU 101は、単位時間あたり、仮想空間内における所定距離ΔL1だけ、目標点550を移動する。目標点550の移動速度は一定でもよいし可変でもよい。
【0092】
CPU 101は、目標点550が移動した軌跡を、プレイヤーキャラクター310が移動する経路500として取得する(ステップS903)。
【0093】
また、CPU 101は、視点410の位置からプレイヤーキャラクター310の位置への方向に、視線420の方向を設定する(ステップS904)。
【0094】
例えば、視線420の方向を表すベクトルと、投影面430と、の交点が投影面430の中央になるようにすると、図5,6,7に示すように、モニターに表示される画面の中央に目標点550が配置される。
【0095】
次に、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の状態が移動モードに設定されたか否かを判別する(ステップS905)。プレイヤーは、例えばコントローラ105の所定キーを押圧することにより、準備モードから移動モードに変更することができる。
【0096】
移動モードに設定されていないと判別した場合(ステップS905;NO)、CPU 101は、ステップS902乃至S905の処理を繰り返し実行する。つまり、移動モードに設定されている間、目標点550は、指示マーク340の位置に基づいて、移動し続ける。
【0097】
移動モードに設定されたと判別した場合(ステップS905;YES)、CPU 101は、ステップS903で取得された経路500に沿って、プレイヤーキャラクター310の位置を移動する(ステップS906)。
【0098】
例えば、CPU 101は、単位時間当たり、仮想空間内における所定距離ΔL2だけ、プレイヤーキャラクター310を移動する。プレイヤーキャラクター310の移動速度は一定でもよいし可変でもよい。
【0099】
なお、CPU 101は、ステップS905で“YES”と判別するまで繰り返しステップS902乃至S905の処理を実行するが、この繰り返しの最後に実行されたステップS902の処理で移動した目標点550の位置が最終目的位置となり、最後に実行されたステップS903の処理で取得された経路500が最終経路となる。
【0100】
CPU 101は、プレイヤーキャラクター310が目標点550(最終目的位置)に到達したか否かを判別する(ステップS908)。
【0101】
プレイヤーキャラクター310が目標点550に到達していないと判別した場合(ステップS908;NO)、CPU 101は、ステップS906乃至S908の処理を繰り返し実行する。すなわち、プレイヤーキャラクター310は、目標点550に到達するまで移動し続ける。
【0102】
ここで、移動モードに設定されている間に、プレイヤーキャラクター310から所定距離範囲内に敵キャラクター320が入ってきた場合、プレイヤーキャラクター310の状態は戦闘モードに切り替わり、プレイヤーキャラクター310と敵キャラクター320との戦いが始まる。そして、プレイヤーキャラクター310が戦いに勝つと、移動モードに戻り、プレイヤーキャラクター310の移動が再開される。なお、プレイヤーキャラクター310が戦いに負けた場合には、このゲーム処理を終了してもよいし、ゲームを終了してもよい。
【0103】
一方、プレイヤーキャラクター310が目標点550に到達したと判別した場合(ステップS908;YES)、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の移動を終了し、プレイヤーキャラクター310の状態をニュートラルモードに設定する(ステップS909)。
【0104】
以上説明したゲーム処理は、プレイヤーキャラクター310の状態がニュートラルモードである任意のタイミングで開始される。プレイヤーが、プレイヤーキャラクター310の状態をニュートラルモードから準備モードへ、準備モードから移動モードへ、と変えることを繰り返すことにより、プレイヤーキャラクター310を仮想空間内で自由自在に移動させることができる。
【0105】
本実施形態によれば、プレイヤーキャラクター310(プレイヤーの指示対象となるキャラクター)の移動開始前において、プレイヤーは、プレイヤーキャラクター310がこれから移動することになる経路500を予め明確に把握できる。そして、プレイヤーは、プレイヤーキャラクター310の移動開始前や移動中において経路500が分かるので、プレイヤーキャラクター310の位置や姿勢等の様子を容易に把握しやすくなる。
【0106】
なお、本実施形態において、プレイヤーキャラクター310の状態として、準備モードと移動モードの2つのみが存在するように構成してもよい。例えば、戦闘ゲーム以外の他のジャンルのゲームに本発明を適用する場合には、戦闘モードを省略できる。また、プレイヤーキャラクター310が目標点550まで移動し終わった後、直ちに次の新たな目標点550と経路500をプレイヤーに指定させるように構成する場合には、ニュートラルモードを省略できる。
【0107】
(実施形態2)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。図10に示すように、本実施形態のゲーム装置200は、モード設定部1001と表示部1002を更に備える。
【0108】
モード設定部1001は、プレイヤーキャラクター301の状態を、準備モード、移動モード、戦闘モード、ニュートラルモードのいずれかに設定する。ただし、上述のように戦闘モードとニュートラルモードを省略することもできる。CPU 101がモード設定部1001として機能する。
【0109】
例えば、CPU 101は、プレイヤーによるコントローラ105の所定キーへの押圧操作がなされている間(所定キーを指で押している間)、プレイヤーキャラクター310の状態を準備モードに設定して目標点550を移動し、プレイヤーによるコントローラ105の所定キーへの押圧操作が無くなった後(所定キーから指を離した後)、プレイヤーキャラクター310の状態を移動モードに設定してプレイヤーキャラクター310を移動させてもよい。
【0110】
例えば、CPU 101は、プレイヤーによるコントローラ105の所定キーへの押圧操作を検知し、押圧されたキーに対応付けられるいずれかのモードに設定してもよい。
【0111】
あるいは、CPU 101は、プレイヤーからの指示にかかわらず、モードを変化させてもよい。例えば、CPU 101は、ニュートラルモードに設定されてから所定時間T1が経過すると、準備モードに変更してもよい。この場合、ある場所にプレイヤーキャラクター310が静止し続けることにより、事実上ゲームが停止してしまうことを避けることができる。
【0112】
また、CPU 101は、準備モードに設定されてから所定時間T2が経過すると、移動モードに変更してもよい。この場合にも、ある場所にプレイヤーキャラクター310が静止し続けることにより、事実上ゲームが停止してしまうことを避けることができる。また、目標点550を移動し続けた結果、経路500が非常に長くなってしまったり経路500の形状が複雑に入り組んでしまったりすることにより、プレイヤーが経路500を把握できなくなってしまうことがないようにすることができる。
【0113】
表示部1002は、画像生成部202によって仮想空間を表す画像が生成されるごとに、この画像をモニターに表示する。CPU 101と画像処理部108が協働して表示部1002として機能する。
【0114】
例えば、VSYNC割り込み処理において、画像生成部202が仮想空間を表す画像を生成してフレームバッファに描画し、表示部1002がフレームバッファに描画された画像をモニターに表示する。モニターには、仮想空間を表すアニメーション画像が表示される。
【0115】
ただし、画像生成部202が画像を生成するタイミングと表示部1002が画像を表示するタイミングは、いずれもVSYNC割り込みのタイミングに限定されるわけではなく、任意に設定することができる。
【0116】
準備モードにおいて、モニターには、プレイヤーキャラクター310の位置から目標点550が徐々に移動していき、経路500が伸びていく様子が表示される。プレイヤーが、所望の場所に目標点550が移動したタイミングで、プレイヤーキャラクター310を移動モードに設定すれば、プレイヤーキャラクター310の移動が開始される。プレイヤーは、プレイヤーキャラクター310が移動し始める前に目標点550と経路500を目視で確認できるので、移動を開始した後でも、プレイヤーキャラクター310がどこを移動しているのか、把握し易くなる。プレイヤーキャラクター310がどのようなルートで移動するのかを事前に把握できると、プレイヤーはプレイヤーキャラクター310を目で追いかけやすくなるので、プレイヤーがなるべく画面に“酔う”ことがないようにすることができる。
【0117】
(実施形態3)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。本実施形態は、準備モードにおける目標点の移動の仕方のバリエーションを提示するものである。
【0118】
図11(a)は、プレイヤーキャラクター310とオブジェクト330が配置される仮想空間を表す図である。例えば、はじめにプレイヤーキャラクター310が面1101上に存在し、現在位置からオブジェクト330に対して進入角度θで面1102に向かって目標点550が移動すると、CPU 101は、面1102上において、Z軸から角度φ1(=θ)だけ傾いた方向へ目標点550を移動する。
【0119】
また、CPU 101は、面1103上において、Y軸から角度φ2(=θ)だけ傾いた方向へ目標点550を移動する。更に、CPU 101は、面1104(面1102の対面)上において、X軸から角度φ3(=θ)だけ傾いた方向へ目標点550を移動する。そして、CPU 101は、面1101上において、Y軸から角度φ4(=θ)だけ傾いた方向へ目標点550を移動する。
【0120】
簡単に言うと、図11(b)に示すように、目標点550は、オブジェクト330の展開図上を直線的に移動することになる。
【0121】
本実施形態では、θ=φ1=φ2=φ3=φ4としたが、これらの角度の決め方は任意である。
【0122】
例えば、図11(a)において、Z軸の負の方向への重力ベクトルGが設定されるような仮想的な重力場を定義するとき、目標点550の移動方向ベクトルのZ成分が重力ベクトルGと逆の向きである場合には、CPU 101は目標点550の移動速度を小さくする。つまり、面1102を上るときには、目標点550はゆっくり移動する。
【0123】
一方、目標点550の移動方向ベクトルのZ成分が重力ベクトルGと同じ向きである場合には、CPU 101は目標点550の移動速度を大きくする。つまり、面1104を下りるときには、目標点550は速く移動する。
【0124】
目標点550の移動速度に変化を持たせることにより、プレイヤーキャラクターが移動する様子がプレイヤーにとって把握しやすくなるだけでなく、一般に目に見えない重力場の広がりをプレイヤーに分かりやすく提示することができるようになる。
【0125】
また、CPU 101は、仮想的な重力場に基づいて、目標点550の移動速度だけでなく、プレイヤーキャラクター310の移動速度を変化させてもよい。
【0126】
ここでは重力場を例にとって説明したが、CPU 101は、磁場、電場、その他の引力場の影響を考慮して、目標点550が移動する速度や加速度、あるいは、目標点550が移動する方向(角度、角速度、角加速度)等を変えることができる。
【0127】
(実施形態4)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。上記実施形態では、準備モードにおいて目標点550は指示マーク340に向かって移動するが、指示マーク340を省略した実施形態を採用することもできる。本実施形態では、プレイヤーが指示マーク340を動かして目標点550の移動方向を指示するのではなく、プレイヤーが目標点550の移動方向を直接指示する操作体系となっている。
【0128】
図12は、準備モードにおいて、CPU 101が目標点550を移動する処理を説明するための図である。上記各実施形態と異なり、画面には指示マーク340が表示されない。
【0129】
本実施形態では、プレイヤーキャラクター310の状態が準備モードになると、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の現在位置を出発点として目標点550を移動する。例えば、CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の正面方向(プレイヤーキャラクター310がヒト型キャラクターの場合には顔又は目が向いている方向)に、所定の速度で直進する。
【0130】
準備モードでは、プレイヤーは、コントローラ105の十字キーを用いて、目標点550を移動させる向きを随時変えることができる。例えば図12において、プレイヤーがコントローラ105の“右”ボタンを押圧すると、目標点550は画面の右方向に向きを変えて移動する。
【0131】
図13(a)は、図12から経路500と目標点550を抜き出した図である。CPU 101は、プレイヤーキャラクター310の状態が準備モードになったときのプレイヤーキャラクター310の位置1200から、速度ベクトルVAが示す方向へ、目標点550を移動する。
【0132】
ここで、例えば右に移動方向を変える指示が入力されると、CPU 101は、X方向(プレイヤーキャラクター310から見て右方向)への変位ベクトルVBを設定する。変位ベクトルVBの長さは任意である。そして、CPU 101は、速度ベクトルVAと変位ベクトルVBとの和である合成ベクトルVCを求め、求めた合成ベクトルVCの向きを、目標点550の新たな移動方向とする。その結果、経路500は、例えば図13(b)に示すように、徐々に右に曲がるような形状となる。
【0133】
図14は、準備モードにおいて目標点550が移動することによって得られる経路500の一例を表す図である。目標点550は、準備モードの間、移動し続ける。十字キーの“右”ボタンが押圧されると、目標点550の進行方向は右側に傾く。十字キーの“左”ボタンが押圧されると、目標点550の進行方向は左側に傾く。プレイヤーは、経路500を自由に設定できる。
【0134】
また、CPU 101は、十字キーの“下”ボタンが押圧されると、目標点550を経路500に沿って逆戻りさせ、いわゆるUNDOができるようにしてもよい。そして、CPU 101は、十字キーの“上”ボタンが押圧されると、再び目標点550をプレイヤーキャラクター310の正面方向に移動させてもよい。
【0135】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。また、上述した実施形態の各構成要素を自由に組み合わせることも可能である。
【0136】
上記のゲーム装置200の全部又は一部としてコンピュータを動作させるためのプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0137】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【0138】
以上説明したように、本発明によれば、プレイヤーの指示対象となるキャラクターが移動する様子をプレイヤーに把握しやすくするために好適なゲーム装置、ゲーム処理方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0139】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェース
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 DVD−ROMドライブ
108 画像処理部
109 音声処理部
110 NIC
200 ゲーム装置
201 視線方向設定部
202 画像生成部
203 経路取得部
204 移動部
310 プレイヤーキャラクターオブジェクト(プレイヤーキャラクター)
320 敵キャラクターオブジェクト(敵キャラクター)
330 オブジェクト
340 指示マーク
410 視点
420 視線
430 投影面
440 位置(指示マークが示す仮想空間内における位置)
450 位置(プレイヤーキャラクターから所定距離だけ離れた位置)
500 経路
550 目標点
570 地面
1101〜1104 面
1200 位置(プレイヤーキャラクターの位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間内における視線の方向を設定する視線方向設定部と、
前記仮想空間内に配置され移動可能なキャラクターに追随して移動する視点から、前記設定された視線の方向へ、前記仮想空間を見た様子を表す画像を生成する画像生成部と、
前記キャラクターの状態が準備モードである間、前記仮想空間内において前記キャラクターの現在位置から目標点を移動し、当該目標点が移動した経路を取得する経路取得部と、
前記キャラクターの状態が移動モードである間、前記取得された経路に沿って前記キャラクターを前記目標点まで移動する移動部と、
を備え、
前記視線方向設定部は、前記キャラクターの状態が前記準備モードである間、前記視点から前記目標点への方向に、前記視線の方向を設定する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置であって、
前記視線方向設定部は、前記キャラクターの状態が前記移動モードである間、前記キャラクターに対する相対的な前記視線の方向を固定するように設定する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゲーム装置であって、
プレイヤーからの指示に基づいて、前記キャラクターの状態を前記準備モード又は前記移動モードに設定するモード設定部を更に備える、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゲーム装置であって、
前記画像は、所定の時間間隔で前記画像生成部により生成され、
前記画像生成部によって生成されるごとに、前記生成される画像を表示する表示部を更に備える、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゲーム装置であって、
前記経路取得部は、前記キャラクターの状態が前記準備モードである間、前記プレイヤーからの指示に基づく方向へ、前記目標点を移動する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゲーム装置であって、
当該仮想空間内には仮想的な引力場が定義され、
前記移動部は、当該引力場に基づいて、前記目標点の移動速度を変化させる、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
視線方向設定部、画像生成部、経路取得部、移動部を有するゲーム装置にて実行されるゲーム処理方法であって、
前記視線方向設定部が、仮想空間内における視線の方向を設定する視線方向設定ステップと、
前記画像生成部が、前記仮想空間内に配置され移動可能なキャラクターに追随して移動する視点から、前記設定された視線の方向へ、前記仮想空間を見た様子を表す画像を生成する画像生成ステップと、
前記キャラクターの状態が準備モードである間、前記経路取得部が、前記仮想空間内において前記キャラクターの現在位置から目標点を移動し、当該目標点が移動した経路を取得する経路取得ステップと、
前記キャラクターの状態が移動モードである間、前記移動部が、前記取得された経路に沿って前記キャラクターを前記目標点まで移動する移動ステップと、
を備え、
前記視線方向設定ステップでは、前記キャラクターの状態が前記準備モードである間、前記視線方向設定部が、前記視点から前記目標点への方向に、前記視線の方向を設定する、
ことを特徴とするゲーム処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
仮想空間内における視線の方向を設定する視線方向設定部、
前記仮想空間内に配置され移動可能なキャラクターに追随して移動する視点から、前記設定された視線の方向へ、前記仮想空間を見た様子を表す画像を生成する画像生成部、
前記キャラクターの状態が準備モードである間、前記仮想空間内において前記キャラクターの現在位置から目標点を移動し、当該目標点が移動した経路を取得する経路取得部、
前記キャラクターの状態が移動モードである間、前記取得された経路に沿って前記キャラクターを前記目標点まで移動する移動部、
として機能させ、
前記視線方向設定部は、前記キャラクターの状態が前記準備モードである間、前記視点から前記目標点への方向に、前記視線の方向を設定する、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−53748(P2011−53748A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199585(P2009−199585)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】