ゲーム装置、ゲーム制御方法、ゲーム制御プログラム
【課題】アナウンス内容にバリエーションを与えるだけでなく、前後のアナウンスに一貫性がある自然な流れの実況を実現する。
【解決手段】実況軸決定部301は、試合軸、予想軸、及び注目軸のそれぞれにつき、予め定められた複数の実況軸の候補の中から実況対象の試合に適合する試合軸、予想軸、及び注目軸をそれぞれ決定する。実況内容決定部302は、実況軸決定部301によって決定された実況軸の中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす実況軸を決定し、決定した実況軸に対応する実況データに基づいて、実況内容を決定する。実況内容報知部303は、実況内容決定部302で決定された実況内容をプレーヤに報知する。
【解決手段】実況軸決定部301は、試合軸、予想軸、及び注目軸のそれぞれにつき、予め定められた複数の実況軸の候補の中から実況対象の試合に適合する試合軸、予想軸、及び注目軸をそれぞれ決定する。実況内容決定部302は、実況軸決定部301によって決定された実況軸の中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす実況軸を決定し、決定した実況軸に対応する実況データに基づいて、実況内容を決定する。実況内容報知部303は、実況内容決定部302で決定された実況内容をプレーヤに報知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレーヤからの操作指令に基づき進行されるゲームの状況を実況する機能を備えたゲーム装置等に関するものであり、特に、ゲームの状況の実況に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野球ゲームやサッカーゲーム等のスポーツゲームやカーレースゲームなどでは試合の状況を実況することで、あたかも現実のテレビ中継を見ているかのような印象をプレーヤに与え、ゲームの興趣性を高めることが行われている。
【0003】
特許文献1には、複数プレーヤが参加するカーレースゲームにおいて、各プレーヤのレース状況をTV中継のように実況するものが開示されている。具体的には、複数の予め用意された実況内容を規定するデータの中からランダムに一つのデータを選んで実況を行うことで、同一ゲーム展開パターンでも異なるストーリーの実況を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3431333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現実世界の野球の実況では、試合状況が同一であっても、試合全体の流れから、或いは登場する選手によって、実況内容が異なることが多い。例えば、投手が大量失点をした場合に、通常の試合であれば、“A投手、不調です。投手交代でしょうか。”といったアナウンスも、首位攻防戦の試合の場合には、“A投手、この大切な試合でまさかの降板か!”といったアナウンスになる場合がある。あるいはまた、事前にエース対決で投手戦が予想されている場合には、“A投手、まさかの大量失点!これは予想を裏切る展開です!”というように異なるアナウンスになり、投手戦を予想していたアナウンス内容が、乱打戦を想定したアナウンスに変わることも現実の実況ではあり得る。
【0006】
しかしながら、従来のゲームでは、試合で発生するイベントが同じであれば、同一の実況を行なうものが一般的であり、リアル感のあるアナウンスは実現されていなかった。なお、前述の通り、特許文献1では、カーレースゲームを対象として、実況内容に複数のバリエーションが設けられている点が開示されているが、これは、単に複数の実況内容の候補の中からデータをランダムに選択するだけのものである。つまり、特許文献1に開示の実況は、ゲーム内で発生した個々の状況に対するアナウンスの内容にバリエーションを与えたものに過ぎず、やはり十分なリアル感のある実況を実現できるものではない。また、このように、個々の状況に対して都度、ランダムでアナウンス内容を変えた場合、前後のアナウンスのつながりが不自然になったり、同一キャラクタへの評価がアナウンス毎にずれてしまうことが想定される。野球ゲームの例で言えば、以下のようなアナウンスが考えられる。投手に対するアナウンスが行われる場合に、
1.試合開始時:「相手チームは全打線、強打者揃いです。さて、何回まで持ちこたえられるでしょうか?」
2.イニング4回時まで0点に抑えた場合:「さすがに素晴らしいピッチングですね。」
・ イニング5回時に連続ヒットを浴びた場合:「どうも投球が安定していません。」
上記例では、試合開始時には投手に対してネガティブなコメントを出していながら、イニング4回時には、同投手に対していつも通りの素晴らしい投球と評価し、直後のイニング5回時にはあたかも、今日は投球の調子が悪い、といった印象のアナウンスとなる。つまり、個々のイニングに対応するアナウンスは正しく見えるものの、全体を通して聞くと、同じ投手に対する評価が、イニングによって、互いの脈絡なく、分断された形で行われているので不自然なアナウンスになってしまう。
【0007】
そこで、本発明の目的は、アナウンス内容にバリエーションを与えるだけでなく、前後のアナウンスに一貫性がある自然な流れのアナウンスが可能なゲーム装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明によるゲーム装置は、プレーヤからの操作指令に基づき進行されるゲームの状況を実況する機能を備えたゲーム装置であって、ゲーム内容に対する着目点に基づき、予め設定された複数の実況軸候補の中から少なくともゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸と、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とを決定する実況軸決定部と、各実況軸に対応し、前記ゲーム場面に応じた実況内容が規定された実況データを記憶する実況データ記憶部と、前記実況軸決定部によって決定された実況軸の中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす1つの実況軸又は少なくとも前記ゲーム全体の実況軸を含む複数の実況軸を決定し、決定した実況軸に対応する実況データに基づいて、実況内容を決定する実況内容決定部と、前記実況内容決定部で決定された実況内容をプレーヤに報知する実況内容報知部とを備える。
【0009】
この構成によれば、ゲーム内容に対する着目点に応じて予め定められた複数の実況軸候補の中からゲーム場面に応じて変わることにないゲーム全体の実況軸と、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とが決定される。なお、着目点とは、野球ゲームの場合であれば、Aクラス争いや首位攻防戦、リーグ戦における試合回数(ペナントの序盤か終盤かなど)、対戦する両チームのリーグ内での順位、及び特別な試合情報(日本シリーズやクライマックスシリーズなど)といった、チーム状況や試合等を把握する所定の観点、あるいは先発投手の防御率やチーム内の平均打率、エース対決、投手戦といった選手情報等に関する観点、さらにまた、ゲーム中で、先発投手が好投を持続しているか、前回スタメン野手が全員安打しているか、リリーフ投手が充実しているかというようなゲーム状態等に関する観点を示している。
【0010】
そして、決定された実況軸の中からゲーム場面に応じた実況条件を満たす実況軸が決定され、その実況軸に対応する実況データに基づいて実況内容が決定され、決定された実況内容がプレーヤに報知される。
【0011】
このように本構成では、ゲーム内容に対する着目点に適合するような少なくとも2種類の実況軸が決定され、これらの実況軸に対応する実況データに従って実況内容が決定される。そのため、現実のアナウンサーのように複数の切り口で試合を実況するというような多面的な実況を実現することができ、リアル性に富んだ実況を実現することができる。
【0012】
また、少なくとも2種類のうち一方の実況軸はその試合を通じて変わることがない一貫したポイントに設定しているため、実況方針にぶれのない実況を実現することができる。
【0013】
例えば、野球ゲームの場合であれば、Aクラス争いや首位攻防戦といった対戦のポイントはその試合を通じて変わることはないので、これを一方の実況軸とする。つまり、本構成では試合を通じて変わることのない実況軸が定められているため、ぶれのない一貫性のある実況を実現し、リアル性に富んだ実況を実現することができる。試合を通じて変わらない実況軸としては、他にエース対決のような観点を採用することができる。
【0014】
また、一度決めた実況軸が全く変わらないとすると、実況軸がゲーム展開にそぐわなくなってしまい、却ってリアル性が低下してしまう虞がある。例えば、実際のアナウンサーは試合開始時に複数の切り口を定め、それに従って実況を進めるが試合展開によってはこれらの切り口のうち一部を変更することもある。そこで、本構成では、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸も定められているため、バリエーションに富んだ実況を実現することができる。
【0015】
また、本構成では、実況内容決定部が複数の実況軸を用いて実況内容を決定する場合、少なくとも、ゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸が用いられるよう設定しているので、以下のような効果を奏する。
【0016】
すなわち、ゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸に対応した内容と、個々のゲーム場面の内容とを併せた実況が行われるので、ゲーム全体を通じて、または前後の実況内容や実況表現に一貫性がある自然な流れのアナウンスが可能となる。
【0017】
例えば、野球ゲームにおいて、日本シリーズを模した試合が行われる場合、ペナントレースよりもファンの注目度や期待が大きいために、ホームランやヒット、アウト等の個々のプレイに対するアナウンスも、通常の試合に比して、重要な試合であることを意識させる表現が含まれ、個々の場面のアナウンスが互いに分断されたような印象のない自然な実況を実現することができる。
【0018】
(2)前記ゲーム全体の実況軸は、前記ゲーム場面によって変わることのない、ゲーム全体の実況方針に関する第1実況軸とゲーム展開の予測に関する第2実況軸とを含み、前記ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸は、ゲームにおいて発生したイベントに関する第3実況軸を含み、前記実況軸決定部は、前記第1〜第3実況軸のそれぞれにつき、予め定められた複数の実況軸候補の中から前記第1〜第3実況軸を決定することが好ましい。
【0019】
例えば現実のプロ野球中継において、アナウンサーはAクラス争いや首位攻防戦というような試合の位置づけから試合全体の実況方針を定めることがある。また、アナウンサーは試合開始時に両チームのエース同士が投げ合うため投手戦になるのではないかというように予め試合展開を予測して実況方針を定めることもある。そこで、本構成では、これらを再現するために、複数の実況軸の中からゲームに適した、ゲーム全体の実況方針に関する第1実況軸と、ゲーム展開の予測に関する第2実況軸とを決定し、実況のリアル性を高めている。
【0020】
また、現実のアナウンサーは、例えば、先発投手がパーフェクトピッチングを続けているような場合、そのことに着目して実況方針を転換し、更にパーフェクトピッチングの継続イニング数が増大するにつれて、転換した実況方針をより着目するようになる。本構成では、これを実現するためにゲームにおいて発生したイベントに関する第3実況軸を設定している。
【0021】
(3)前記実況内容決定部は、前記実況条件を満たす実況軸を前記第1〜第3実況軸の順で判定し、前記実況条件を満足する1つの実況軸又は少なくとも前記第1、第2実況軸のいれか一方を含む複数の実況軸に対応する実況データに基づいて実況内容を決定することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、ゲーム全体の実況方針に関する第1実況軸及びゲーム展開の予測に関する第2実況軸が、この順に優先して実況に使用され、第1実況軸及び第2実況軸が実況条件を満たさなかった場合は、ゲームにおいて発生したイベントに関する第3実況軸が実況に使用されるため、ゲーム場面によって変わることのない実況方針にぶれがない印象をプレーヤに与える実況を実現することができ、かつ、ゲーム内で発生するイベントに対応した柔軟性のある実況を実現することができる。
【0023】
また、本構成では、実況条件を満たすか否かの判定を第1〜第3実況軸の順で行っているが、実況条件を満たす実況軸が複数存在すれば、複数の実況軸を用いて実況内容を決定してもよく、この場合、少なくとも第1、第2実況軸のいずれか一方が含まれる。つまり、複数の実況軸を用いて実況内容を決定する場合、第1及び第2実況軸、第1及び第3実況軸、第2及び第3実況軸、又は第1〜第3実況軸を用いて実況内容が決定される。
【0024】
このように複数の実況軸が実況条件を満たすゲーム場面においては、ゲーム場面に応じて変わることのない第1実況軸又は第2実況軸により規定される実況内容が少なくとも用いられるため、ゲーム全体の流れを考慮した一貫性のある実況を行うことができる。また、第3実況軸に加えて他の実況軸が用いられる場合は、必ず第1実況軸又は第2実況軸が用いられるため、ゲーム全体の流れを考慮しつつゲーム場面に応じて適切な実況を行うことができる。
【0025】
(4)前記実況軸決定部は、前記第3実況軸の実況軸候補のそれぞれに対して優先度を設定し、前記優先度が高い所定個数の実況軸候補を前記第3実況軸として決定し、前記実況内容決定部は、前記第3実況軸において前記実況条件を満たす1又は複数の実況軸を前記優先度の高い順に判定することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、第3実況軸の実況軸候補のうち優先度の高い順に所定個数の実況軸候補が第3実況軸として決定されるため、ゲーム内容に適した第3実況軸を優先的に用いた実況を行うことができる。また、所定個数として複数個を採用することで、複数の第3実況軸を用いた実況が行われ、多面的な切り口の実況を実現することができる。
【0027】
実況軸決定部により決定された第3実況軸が複数個存在する場合、1つのゲーム場面に対して複数の第3実況軸が実況条件を満たすこともあり得る。この場合、実況条件を満たす全ての第3実況軸を用いて実況内容を決定してもよいし、優先度が高い順に所定個数の第3実況軸を用いて実況内容を決定してもよい。
【0028】
(5)前記着目点は、ゲームの進行中に変動し得るものであり、前記実況軸決定部は、前記ゲームの進行中に前記着目点が変更された場合、変更後の着目点に基づいて、前記第3実況軸の実況軸候補のそれぞれにつき、優先度を再設定し、優先度が高い所定個数の実況軸候補を前記第3実況軸として再決定することが好ましい。
【0029】
この構成によれば、例えば、第3実況軸としてタイトル争いをねらっている選手に着目した実況軸を用いて実況を行っている場合において、その選手が降板して着目点が変更されたような場合、その変更に応じて第3実況軸が再設定されるため、ゲーム展開の変動に応じて臨機応変に実況方針を変更することができる。
【0030】
(6)着目点を指定するためのプレーヤの入力指示を受け付ける着目点入力部を更に備え、前記実況軸決定部は、プレーヤにより指定された着目点に関連する前記第3実況軸の実況軸候補の優先度が高くなるように、前記第3実況軸の実況軸候補の優先度を設定することが好ましい。
【0031】
この構成によれば、プレーヤが気になる着目点を入力するとその着目点に関連する第3実況軸の実況軸候補が優先的に第3実況軸として決定される。そのため、プレーヤのニーズに応じた実況を行うことができる。
【0032】
(7)前記実況内容報知部は、音声、テキスト、及び画像のうち少なくともいずれか1つを用いて実況内容をプレーヤに報知することが好ましい。
【0033】
この構成によれば、実際のプロ野球中継のように音声のみの実況の他、テキストや画像を用いた実況も行われるため、実況内容をより確実にプレーヤに伝えることができる。
【0034】
(8)前記ゲームは、複数のチームによる試合をシミュレートしたゲームであり、
前記着目点は、ゲーム空間における試合の位置づけ、前記チームに関する情報、及びチームを構成する選手に関する情報を含むことが好ましい。
【0035】
この構成によれば、Aクラス争いや首位攻防戦といった試合の位置づけや、順位や連勝中といったチームに関する情報や、打率王争いをしているといった選手に関する情報に基づいて実況軸が決定されるため、ゲーム内容に応じた実況を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、ゲーム内容に対する着目点に適合するような少なくとも2種類の実況軸が決定され、これらの実況軸に対応する実況データに従って実況内容が決定される。そのため、現実のアナウンサーのように複数の切り口で試合を実況するというような多面的な実況を実現することができ、リアル性に富んだ実況を実現することができる。
【0037】
また、少なくとも2種類のうち一方の実況軸はその試合を通じて変わることがない一貫したポイントに設定しているため、実況方針にぶれのない、リアル性に富んだ実況を実現することができる。
【0038】
また、一度決めた実況軸が全く変わらないとすると、実況軸がゲーム展開にそぐわなくなってしまい、却ってリアル性が低下する虞があるが、本発明では、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸も定められているため、バリエーションに富んだ実況を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態によるゲーム装置の外観図である。
【図2】図1に示すゲーム装置の制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態によるゲーム装置の機能ブロック図である。
【図4】実況軸候補記憶部が記憶する実況軸テーブルのデータ構造の一例を示す概念図である。
【図5】“Aクラス争い”の“試合軸”に対応付けられた実況データの一部を示した概念図である。
【図6】“エース対決”の予想軸に対応付けられた実況データの一部を示した概念図である。
【図7】“完全試合中継中”の注目軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。
【図8】“タイトル争い選手”の注目軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。
【図9】汎用軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。
【図10】実況内容決定部の処理を説明するための概念図である。
【図11】ゲーム進行制御部によって進行される野球ゲームの概要を説明するための画面図である。
【図12】着目点の選択画面の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態によるゲーム装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】試合軸の決定の一例を示す説明図である。
【図15】予想軸の決定の一例を示す説明図である。
【図16】注目軸の決定の一例を示す説明図である。
【図17】実況内容の決定処理の一例を示す前半のフローチャートである。
【図18】実況内容の決定処理の一例を示す後半のフローチャートである。
【図19】注目軸を再設定する際の処理を示すフローチャートである。
【図20】実況内容の実例1を示した図である。
【図21】実例1の他のゲーム場面における実況内容の一例を示した図である。
【図22】実況内容の実例2を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明の実施の形態によるゲーム装置の外観図である。また、図1に示すゲーム装置1は、例えばスマートフォンにより構成されているが、本発明はこれに限定されず、タブレット端末、携帯電話、家庭用ゲーム機、アーケードゲーム機、パーソナルコンピュータ等の種々の機器により構成してもよい。
【0041】
ゲーム装置1は、図1に示すように、本体2、モニタ部3、基本操作部4、マイク5、及びスピーカ6を備えている。モニタ部3は、本体2に設けられ、液晶モニタ3aを有している。液晶モニタ3aは、例えば静電接触入力式のモニタ、すなわち、タッチパネル式のモニタにより構成されている。液晶モニタ3aは、表面全体に電界が形成されており、表面に指示手段(例えば指や導電性を有するペン等)を接触させると表面電荷が変化する。そして、この表面電荷の変化が捕捉され、液晶モニタ3a上の指やペン等の位置が検出される。ここで、液晶モニタ3aとしては、投影型のタッチパネルが用いられており、このタッチパネルでは多点同時検出が可能である。
【0042】
基本操作部4は、ホームボタン4a、ボリュームボタン4b、及びスリープボタン4cを備えている。ホームボタン4aは、本体2のタッチパネルの下部に設けられている。このホームボタン4aが押されると、ホーム画面が表示されたり、ゲーム装置1がスリープ状態から復帰したりする。ボリュームボタン4bは、本体2の側面上部に設けられている。ボリュームボタン4bの上部が押されると音量が増加し、ボリュームボタン4bの下部が押されると音量が減少する。スリープボタン4cは、本体2の上面に設けられている。スリープボタン4cが押されるとゲーム装置1がスリープ状態に移行する。
【0043】
マイク5は、音出力用の出力マイク5aと、音入力用の入力マイク5bとを備えている。出力マイク5aは、本体2のタッチパネルの上部に設けられている。ゲームを実行する時や、電話通信する時や、音楽を聞く時等には、出力マイク5aから音が出力される。入力マイク5bは、本体2に内蔵されており、本体2の下面に出力口が設けられている。電話通信する時や録音を行う時等には、この入力マイク5bから音声が入力される。
【0044】
スピーカ6は、本体2に内蔵されており、本体2の下面に出力口が設けられている。ゲームを実行する時や、音楽を聞く時や、録音を聞く時等には、このスピーカ6から音が出力される。なお、ゲーム装置1には、イヤホンジャック等も設けられているが、これらについては説明を省略する。
【0045】
図2は、図1に示すゲーム装置1の制御ブロック図である。ゲーム装置1は、図2に示すように、制御装置10、記憶装置17、及び通信部18が内部に設けられている。制御装置10は、マイクロプロセッサを利用したCPU(Central Processing Unit)11、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、画像処理回路14、及びサウンド処理回路15を備えている。これらは、バス16を介して相互に接続されている。
【0046】
CPU11は、ゲーム制御プログラムからの命令を解釈し、各種のデータ処理や制御を行う。ROM12は、ゲーム装置1の基本的な制御(たとえば起動制御)に必要なプログラム等を格納する。RAM13は、CPU11に対する作業領域を確保する。画像処理回路14は、CPU11からの描画指示に応じてモニタ部3を制御して、液晶モニタ3aに所定の画像を表示する。また、画像処理回路14にはタッチ入力検出回路14aが含まれている。液晶モニタ3aに指示手段を接触させたときに、接触信号がタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、接触位置がCPU11に認識される。また、液晶モニタ3aに表示された対象物の位置において、液晶モニタ3aに指示手段が接触されると、対象物の選択信号がタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、対象物がCPU11に認識される。
【0047】
サウンド処理回路15は、CPU11からの発音指示に応じたアナログ音声信号を生成して、出力マイク5a及び/又はスピーカ6に出力する。また、サウンド処理回路15は、入力マイク5bから音が入力されたときに、アナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。
【0048】
通信部18は、ゲーム実行時にデータ通信するための通信機能や、携帯電話として通信するための通信機能等を備えている。データ通信用の通信機能には、ローカルワイヤレスネットーワーク機能や、ワイヤレスLANによるインターネット接続機能等が含まれている。
【0049】
通信部18は、通信制御回路20及び通信インターフェイス21を備えている。通信制御回路20及び通信インターフェイス21は、バス16を介してCPU11に接続されている。また、通信制御回路20及び通信インターフェイス21は、CPU11からの命令に応じて、ゲーム装置1をローカルワイヤレスネットーワーク又はワイヤレスLANによるインターネットに接続するための接続信号を発信する。また、電話による通話時には、通信制御回路20及び通信インターフェイス21は、CPU11からの命令に応じて、ゲーム装置1を電話回線に接続するための接続信号を発信する。
【0050】
記憶装置17は、本体2に内蔵されており、バス16に接続される。たとえば、記憶装置17には、記憶媒体としてのハードディスクやフラッシュメモリドライブ等が用いられる。なお、バス16と各要素との間には必要に応じてインターフェイス回路が介在しているが、ここではそれらの図示は省略した。
【0051】
以上のような構成のゲーム装置1では、記憶装置17に格納されたゲーム制御プログラムがロードされ、ロードされたゲーム制御プログラムがCPU11で実行されることにより、プレーヤは様々なジャンルのゲームをモニタ部3上で遊戯することができる。また、通信制御回路20を介して、ワイヤレスネットワークにゲーム装置1を接続したり、他のゲーム機と通信ケーブル等を介して接続したりすることで、他のゲーム機との間でデータのやり取りや対戦型のゲームを行うことができる。
【0052】
ゲーム装置1において実行されるゲームとしては、例えば野球ゲームが挙げられる。野球ゲームを実行するためのゲーム制御プログラムは図示しない記憶装置に格納されており、野球ゲームが実行されるときには、このゲーム制御プログラムがRAM13にロードされ実行される。このようにして実行される野球ゲームでは、タッチパネル式の液晶モニタ3aに、指示手段を接触させることにより、各種の命令が指示される。
【0053】
本実施の形態で行われる野球ゲームは、日本のプロ野球のペナントレースを模擬しており、2リーグ制が採用され、各リーグには6つのチームが属している。したがって、プレーヤのチームは、まず、6つのチームが総当たりするリーグ戦において優勝争いを行う。そして、リーグ戦で3位以内に入ると、クライマックスシリーズに出場することができ、クライマックスシリーズで優勝すると、日本シリーズに進出することができる。そして、日本シリーズで別のリークの優勝チームと対戦し、勝利すると日本一になる。このように、本野球ゲームでは、プレーヤは日本一を目指して遊技を行う。
【0054】
図3は、本発明の実施の形態によるゲーム装置1の機能ブロック図である。図3に示すゲーム装置1は、実況軸決定部301、実況内容決定部302、実況内容報知部303、着目点入力部304、ゲーム場面検出部305、実況軸候補記憶部306、実況データ記憶部307、ゲーム進行制御部308、及び着目点情報記憶部309を備えている。
【0055】
実況軸決定部301は、ゲーム内容に対する着目点である着目点情報を着目点情報記憶部309から読み出し、読み出した着目点情報を用いて試合内容に適合する実況軸を予め設定された複数の実況軸の候補の中から決定する。ここで、実況軸としては、少なくともゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸とゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とが含まれる。
【0056】
ゲーム全体の実況軸としては、例えばゲーム全体の実況方針に関する試合軸(第1実況軸の一例)と、ゲーム展開の予測に関する予想軸(第2実況軸の一例)とが含まれる。ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸としては、例えばゲームにおいて発生したイベントに関する注目軸(第3実況軸の一例)が含まれる。
【0057】
ゲーム場面によって変わることがないとは、試合開始時に一度決定されると、試合が終了するまで変更されないことを指す。また、ゲーム場面に応じて変わり得るとは、試合開始時に一度決定された後であっても、その後、投手交代などによって着目点情報が変更された場合に変更されることがあることを指す。実況軸とは、実況方針を定める指標を指し、各実況軸には後述する実況データが対応付けられている。
【0058】
そして、実況軸決定部301は、試合軸、予想軸、及び注目軸のそれぞれにつき、予め定められた複数の実況軸の候補の中から実況対象の試合に適合する試合軸、予想軸、及び注目軸をそれぞれ決定する。具体的には、実況軸決定部301は、試合開始時において、着目点情報を用いて、試合軸、予想軸、及び注目軸の候補のそれぞれに優先度を設定し、優先度にしたがって、試合軸、予想軸、及び注目軸を決定する。ここで、優先度は、実況対象の試合に適合する実況軸の候補ほど大きな値が設定される。以下、優先度は0〜10の値をとるものとする。
【0059】
試合軸としては、例えば、開幕戦、首位攻防戦、Aクラス争い、シーズン序盤、シーズン中盤、シーズン終盤、日本シリーズ、及びクライマックスシリーズ等が含まれる。そして、これらの試合軸はそれぞれその内容に適した実況内容が規定された実況データが予め対応付けられている。したがって、例えば、試合軸として開幕戦が決定されたとすると、開幕戦の内容に適した実況内容がプレーヤに報知されることになる。
【0060】
以下、試合軸に対する優先度の設定方法の一例について説明する。開幕戦の試合軸において優先度は、リーグ戦における試合回数が1試合目である場合、例えば10が設定され、試合回数が1試合目以外である場合、例えば0が設定される。
【0061】
首位攻防戦の試合軸において優先度は、例えば対戦する両チームのリーグ内の順位が1位に近づくほど高い値が設定され、かつ、試合がリーグ戦の終盤に近づくにつれて高い値が設定される。
【0062】
Aクラス争いの試合軸において優先度は、対戦する両チームのリーグ内の順位が3位及び4位に近づくほど高い値が設定され、かつ、試合がリーグ戦の終盤に近づくにつれて高い値が設定される。
【0063】
シーズン序盤の試合軸において優先度は、試合がリーグ戦の終盤に近づくにつれて低く設定される。例えば、試合回数をn、リーグ戦の全試合回数をNmax(例えば、135)とすると、優先度は10×(Nmax−n)/Nmaxと設定される。
【0064】
シーズン中盤の試合軸において優先度は、試合回数がリーグ戦の中盤(全試合回数の中央値、例えば67)に近づくにつれて高く設定される。
【0065】
シーズン終盤の試合軸において優先度は、試合がリーグ戦の終盤に近づくにつれて高く設定される。例えば、優先度は10×(n/Nmax)と設定される。
【0066】
日本シリーズの試合軸において優先度は、試合が日本シリーズに該当する場合、10が設定される。また、クライマックスシリーズの試合軸において優先度は、試合がクライマックスシリーズに該当すれば10が設定される。
【0067】
このように、試合軸を決定する場合、着目点情報として、リーグ戦における試合回数、対戦する両チームのリーグ内での順位、及びゲーム空間での試合の位置づけを示す試合情報(日本シリーズやクライマックスシリーズなど)を用いて試合軸の各候補に対して優先度が設定される。そして、最大の優先度が設定された試合軸の候補が実況対象となる試合で使用される試合軸として決定される。
【0068】
現実のアナウンサーは、実況対象となる試合が開幕戦であるという情報や、シーズ終盤戦であるという情報や、対戦する両チームの順位についての情報に応じて試合全体を通じての大まかな実況方針を決定することがある。このようなアナウンサーによる実況方針を反映させるために、本実施の形態では試合軸を決定する。
【0069】
また、実況軸決定部301は、試合軸の決定手法と同様にして、試合開始時において、着目点情報に基づき、予測軸の候補に対して優先度を設定し、優先度が最大の予想軸の候補を実況に使用する予想軸として決定する。
【0070】
予想軸としては、例えば、エース対決、投手戦、及び打撃戦等が含まれている。以下、予想軸に各候補に対する優先度の設定の一例について説明する。エース対決の予想軸において優先度は、例えば、対戦する両チームの先発投手がエースである場合に10が設定される。ここで、エースとはチームを構成する投手のうち、防御率が最大の投手を指す。ここで、両エースの防御率が低くなるにつれて、エース対決の予想軸の優先度を低く設定してもよい。投手戦の予想軸において優先度は、例えば、両先発投手の防御率が近く、かつ、両チームの平均打率が低くなるほど大きな値が設定される。
【0071】
打撃戦の予想軸において優先度は、対戦する両チームの平均打率が高くなるにつれて高い値が設定され、先発投手の防御率が低くなるにつれて高い値が設定される。
【0072】
このように、予測軸を決定する場合、着目点情報として、先発投手の防御率やチーム内の平均打率といった選手情報を用いて予想軸の各候補に対して優先度が設定される。そして、最大の優先度が設定された予想軸の候補が実況対象の試合で使用される予想軸として決定される。
【0073】
現実のアナウンサーは、例えば、両チームのエースが登板した場合、投手戦になることを予想して実況を進める。また、両チームの平均打率が高いにも関わらず、両チームの先発投手の防御率が低ければ、打撃戦になることを予想して実況を進める。このような、対戦するチームの状態や登板する投手に応じて試合展開を予想して実況を行う現実のアナウンサーによる実況方針を反映するために、本実施の形態では予想軸を決定する。
【0074】
また、実況軸決定部301は、試合軸の決定手法と同様にして、試合開始時において、着目点情報に基づき、注目軸の候補に対して優先度を設定し、優先度が大きい順に最大3つの注目軸の候補を実況対象の試合で使用する注目軸として決定する。
【0075】
注目軸としては、例えば、タイトル争い選手、完全試合中継中、前回スタメン野手全員安打、先発好投中、リリーフ充実、選手に注目、チームに注目、勝敗に注目、記録に注目、及び監督に注目等が含まれる。タイトルとしては、例えば打率王、打点王、盗塁王、及びホームラン王が含まれる。
【0076】
打率王のタイトル争い選手において優先度は、例えば、対戦する両チームのうち少なくともいずれか一方のチームにおいて、リーグ内での打率が1位の選手がいる場合に10、2位の選手がいる場合には9というように、リーグ内での打率の順位が高い選手がいるほど高い値が設定される。他の打点王、盗塁王、及びホームラン王のタイトル争いについても、打率王と同様、順位が高い選手がいるほど高い優先度は高くなる。
【0077】
完全試合中継中の注目軸において優先度は、例えば、所定イニング(例えば3回)が終了したときに少なくとも一方の先発投手が全イニングを三者凡退に抑えている場合、注目軸の各候補につき優先度が再設定され、そのとき、例えば8の優先度が設定される。そして、更に所定イニング(例えば6回)が終了したときに少なくとも一方の投手が全イニングを三者凡退に抑えていれば、注目軸の各候補につき優先度が再設定され、そのとき、例えば9の優先度が設定される。このように、完全試合継続中の注目軸については、イニングが進むにつれて高い優先度が設定される。
【0078】
前回スタメン野手全員安打の注目軸において優先度は、例えば、対戦する両チームのうち一方のチームが一つ前の試合において、全野手がヒットを打った場合に設定され、ヒット数が多くなるにつれて高い値が設定される。
【0079】
先発好投中の注目軸において優先度は、例えば、完全試合継続中と同様に、少なくとも一方の先発投手が好投している場合に設定され、好投しているイニング数が増大するにつれて高い値が設定される。ここで、先発投手が好投しているとは、例えば先発投手が低い点(例えば1点)以内に抑えている場合が該当する。
【0080】
リリーフ充実の注目軸において優先度は、控え投手の防御率の平均値が高いほど高い値が設定される。選手に注目の注目軸において優先度は、例えば、有名選手がいる場合等に高い値が設定される。この優先度は、プレーヤが着目点として選手を入力した場合に所定の係数が乗じられて値が増大する。チームに注目の注目軸において優先度は、チームの順位が高くなるにつれて高い値が設定される。この優先度は、プレーヤが着目点としてチームを入力した場合、所定の係数が乗じられて値が増大する。
【0081】
勝敗に注目の注目軸において優先度は、例えば、対戦する両チームのうち少なくとも一方が最近の連勝又は連敗しており、連勝数又は連敗数が増大するにつれて高い値が設定される。
【0082】
記録に注目の注目軸において優先度は、例えば、チーム内において、新記録を打ち立てる可能性が高い選手がいる場合に設定され、その新記録の達成確立が増大するほど高い値が設定される。監督に注目の注目軸において優先度は、例えば、監督が有名監督である場合、高い値が設定される。この優先度は、プレーヤが着目点として監督を選択した場合、所定の係数が乗じられて値が増大する。
【0083】
このように、注目軸を決定する場合、着目点情報として、先発投手が好投を持続しているか、前回スタメン野手が全員安打しているか、リリーフ投手が充実しているかというようなチームの状態を用いて注目軸の各候補に対して優先度が設定される。そして、優先度が上から3位までの注目軸の候補が実況対象の試合で使用される予想軸として決定される。このように、複数の注目軸を用いることで、現実のアナウンサーが多面的な切り口で実況を行うことを再現することができ、実況内容に拡がりを持たせることができる。
【0084】
また、注目軸は、試合開始時のみならず、先発投手が完全試合を継続している、或いは好投を継続しているというように試合中において優先度が再設定されて再決定される。そのため、ゲーム展開の変動に対して実況方針を柔軟に変更することができる。例えば、試合開始時にタイトル争い選手の注目軸を決定した場合であっても、この選手が降板することもある。この場合、タイトル争い選手の注目軸にしたがった実況を行うことは好ましくない。そこで、本実施の形態では、注目軸については試合中であっても適宜変更できるようにしている。
【0085】
実況軸候補記憶部306は、本実施の形態で使用される試合軸、予想軸、及び注目軸の全候補を記憶する実況軸テーブルを記憶している。図4は実況軸候補記憶部306が記憶する実況軸テーブルのデータ構造の一例を示す概念図である。図4に示すように実況軸テーブルは、1つのレコードに1つの実況軸の候補が格納された二次元のデータ構造を持つテーブルであり、軸の種類、名称、属性、及び実況データアドレスのフィールドを備えている。なお、図4では、本実施の形態で使用される実況軸の全候補の一部を示している。
【0086】
軸の種類は実況軸が試合軸、予想軸、及び注目軸のいずれに該当するかを示している。名称は実況軸に付された名称であり、上述した、“Aクラス争い”、“エース対決”等が該当する。属性は注目軸の属性を示し、例えば、選手、監督、及びチームが含まれる。属性の利用形態については後述する。実況データアドレスは、実況軸に対応する実況データの格納先のメモリアドレスを示す。実況軸決定部301は、図4に示す実況軸テーブルに格納された実況軸の候補のそれぞれに対して優先度を設定し、優先度の高い順に1つの試合軸、1つの予想軸、及び最大3つの予想軸を決定する。そして、実況内容決定部302は、所定のゲーム場面が検出されると決定された試合軸、予想軸、及び予想軸の実況データアドレスから対応する実況データを参照するのである。なお、図4に示す実況軸テーブルは一例に過ぎず、図4のものに限定されない。
【0087】
実況データ記憶部307は、各実況軸に対応して設けられ、ゲーム場面に応じた実況内容が規定された実況データを記憶する。図5〜図9は、実況データの一例を示した概念図である。実況データは、ゲーム場面と実況内容とが対応付けられたテーブル形式のデータ構造を持つ。
【0088】
図5は、“Aクラス争い”の“試合軸”に対応付けられた実況データの一部を示した概念図である。“Aクラス争い”の試合軸では、対戦する両チームがAクラスに入ろうと競い合っている場合の実況内容が規定されている。なお、本実施の形態では、1リーグは6つのチームから構成されているため、1位〜3位をAクラス、4位〜6位をBクラスと規定している。
【0089】
図6は、“エース対決”の予想軸に対応付けられた実況データの一部を示した概念図である。“エース対決”の予想軸では、対戦する両チームの先発投手が共にエースである場合の実況内容が規定されている。
【0090】
図7は、“完全試合中継中”の注目軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。“完全試合中継中”の注目軸では、対戦する両チームの一方の投手が完全試合を継続している場合の実況内容が規定されている。完全試合とは、打者を一人も出塁させないことを指す。
【0091】
図8は、打率王の“タイトル争い選手”の注目軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。“タイトル争い選手”の注目軸では、打率王のタイトル争いを行っている選手に着目した実況内容が規定されている。
【0092】
図9は、汎用軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。汎用軸は試合軸、予想軸、及び注目軸のような着目点が特にない軸であり、対応する実況データには試合の状況を単に説明するための実況内容が規定されている。なお、図5〜図9に規定するゲーム場面や実況内容は一例に過ぎず、他のゲーム場面や実況内容を規定してもよい。
【0093】
図3に戻り、実況内容決定部302は、実況軸決定部301によって決定された実況軸の中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす1つの実況軸又は少なくともゲーム全体の実況軸を含む複数の実況軸を決定し、決定した実況軸に対応する実況データに基づいて、実況内容を決定する。具体的には、実況内容決定部302は、実況条件を満たす実況軸を試合軸、予想軸、及び注目軸の順で判定し、実況条件を満足した実況軸に対応する実況データに基づいて実況内容を決定する。
【0094】
ここで、実況内容決定部302は、実況軸決定部301により決定された試合軸、予想軸、及び注目軸のうち、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす実況軸が複数存在すれば、複数の実況軸に対応する実況データに基づいて実況内容を決定してもよい。本実施の形態では、複数の実況軸を用いる場合において注目軸が使用される場合、必ず試合軸及び予想軸の少なくともいずれか一方が使用されるように実況条件が規定されている。つまり、複数の実況軸を用いる場合として、試合軸及び予想軸、試合軸及び注目軸、予想軸及び注目軸を組み合わせた実況や、試合軸、予想軸、及び注目軸を組み合わせた実況が行われる。
【0095】
例えば、あるゲーム場面(例えば、試合開始時)において注目軸に加えて他の実況軸を用いて実況内容が決定される場合、同ゲーム場面において試合軸及び予想軸の少なくともいずれか一方の実況軸に対応する実況データに実況内容が規定されている。そして、この場合、注目軸の実況内容は試合軸及び予想軸の少なくともいずれか一方の実況内容を補足するような内容に規定されている。これにより厚みのある実況を実現することができる。また、注目軸に加えて他の実況軸を用いる場合、試合軸及び予想軸の少なくともいずれか一方が用いられるため、試合全体の流れを考慮に入れつつ、ゲーム場面に応じた実況を実現することができる。
【0096】
ここで、試合軸及び予想軸の実況データに例えば補強フラグを設定し、補強フラグの有無に応じて、予想軸及び注目軸を実況に用いるか否かを実況内容決定部302に決定させるようにしてもよい。例えば、あるゲーム場面において試合軸及び予想軸が実況条件を満たしていたとする。この場合、実況内容決定部302は、予想軸においてこのゲーム場面に対する補強フラグが“あり”と設定されていれば、試合軸に加えて予想軸の実況データを用いて実況内容を決定し、予想軸においてこのゲーム場面に対する補強フラグが“なし”と設定されていれば、試合軸の実況データを用いて実況内容を決定すればよい。
【0097】
また、あるゲーム場面において、試合軸、予想軸、及び注目軸が実況条件を満たしていたとする。この場合、実況内容決定部302は、予想軸に加えて注目軸にも補強フラグが“あり”に設定されていれば、試合軸及び予想軸に加えて注目軸の実況データを用いて実況内容を決定し、注目軸の補強フラグが“なし”に設定されていれば、試合軸及び予想軸の実況データを用いて実況内容を決定すればよい。なお、試合軸及び注目軸が実況条件を満たす場合、又は予想軸及び注目軸が実況条件を満たす場合も同様にして、注目軸の実況データを用いるか否かを判定すればよい。
【0098】
こうすることで、予想軸や注目軸において、あるゲーム場面に対して、試合軸の実況内容を補強するような内容を規定した場合、このゲーム場面に対する試合軸又は予想軸の補強フラグを“あり”に設定しておけば、試合軸及び予想軸のコンビネーション、試合軸及び注目軸のコンビネーション、予想軸及び注目軸のコンビネーション、又は試合軸、予想軸、及び注目軸のコンビネーションにより実況内容が決定されることになる。その結果、試合軸を補強するような実況を予想軸及び注目軸を用いて実現することができ、より内容の厚い実況を実現することができる。
【0099】
一方、予想軸において、あるゲーム場面に対して、試合軸の実況内容を補強せず、試合軸に対して矛盾する虞があるような実況内容を規定した場合は、このゲーム場面に対する補強フラグを“なし”に設定しておく。また、注目軸において、あるゲーム場面に対して、試合軸又は予想軸の実況内容を補強せず、試合軸又は予想軸に対して矛盾する虞があるような実況内容を規定した場合は、このゲーム場面に対する注目軸の補強フラグを“なし”に設定しておけば、試合軸のみ用いて実況内容が決定されることになる。これにより、あるゲーム場面において内容が矛盾する実況が行われることを防止することができる。
【0100】
また、実況内容決定部302は、試合軸、予想軸、及び注目軸のいずれもが実況条件を満足しないと判定した場合は、汎用軸に対応する実況データを用いて実況内容を決定する。なお、汎用軸に対応する実況データはゲーム場面検出部305が検出するゲーム場面の全てに対して実況内容が規定されている。そのため、試合軸、予想軸、及び注目軸のいずれもが実況条件を満たさない場合であっても、実況軸にしたがって実況内容を決定することができる。
【0101】
図10は、実況内容決定部302の処理を説明するための概念図である。ゲーム場面S1では、ゲーム場面検出部305により検出されたゲーム場面が試合軸の実況条件を満たしている。よって、試合軸に対応する実況データから実況内容が決定される。なお、ゲーム場面S1では試合軸が“×”と記されており、対応する実況内容が無言設定である。この場合、試合軸は実況条件を満たしているが対応する実況データの実況内容は無言であるため、プレーヤには何も報知されない。このように、無言設定を設けてあえて実況を行わないことで、ゲームに対する緊迫感を高めることができる。
【0102】
ゲーム場面S2ではゲーム場面検出部305により検出されたゲーム場面が試合軸の実況条件を満たしているため、試合軸に対応する実況データにしたがって実況内容が決定される。
【0103】
ゲーム場面S3、S4ではゲーム場面検出部305により検出されたゲーム場面が試合軸の実況条件を満たしていないが、予想軸の実況条件を満たしている。そのため、ゲーム場面S3、S4では予想軸に対応する実況データにしたがって実況内容が決定される。
【0104】
ゲーム場面S5、S6ではゲーム場面検出部305により検出されたゲーム場面は、試合軸、予想軸の実況条件を満たしていないが、注目軸の実況条件を満たしている。したがって、ゲーム場面S5、S6では注目軸に対応する実況データにしたがって実況内容が決定される。
【0105】
ゲーム場面S7ではゲーム場面検出部305により検出されたゲーム場面は、試合軸、予想軸、及び注目軸のいずれの実況条件も満たしていない。したがって、ゲーム場面S7では、汎用軸に対応する実況データにしたがって実況内容が決定される。このように、本実施の形態では、試合軸、予想軸、及び注目軸の順で実況条件を満たすか否かが判定されていることがわかる。
【0106】
なお、図10では、いずれか一つの実況軸が実況条件を満たす場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、あるゲーム場面において複数の実況軸が実況条件を満たすこともあり得る。この場合、少なくとも試合軸及び予想軸のいずれか一方が用いられるため、実況に一貫性を持たせることができる。また、試合軸及び予想軸に加えて注目軸を用いることで、試合全体の流れを考慮しつつ、ゲーム場面に適した実況を行うことができる。
【0107】
ここで、実況条件を満たすとは、実況軸に対応する実況データにおいて検出されたゲーム場面が規定されている場合を示す。例えば、実況軸決定部301により試合軸として“Aクラス争い”が決定され、ゲーム場面検出部305により試合開始時のゲーム場面が検出されたとする。この場合、図5に示す“Aクラス争い”の実況データにはゲーム場面として“試合開始時”が規定されているため、試合軸が実況条件を満たすと判定される。そして、図5に示す実況データにおいて“試合開始時”に対応する実況内容がプレーヤに報知する実況内容として決定される。なお、図5において、***(チーム名)の箇所には対戦しているチームの名が挿入されて実況内容が決定される。
【0108】
また、実況軸決定部301により予想軸として“エース対決”が決定され、ゲーム場面検出部305により4回開始時のゲーム場面が検出されたとする。この場合、図6に示す“エース対決”の実況データにはゲーム場面として“4回開始時”が規定されているため、予想軸が実況条件を満たすと判定される。
【0109】
注目軸についても試合軸及び予想軸と同様に実況条件を満たすか否かが判定される。但し、本実施の形態では、注目軸は最大3つ決定される。したがって、複数の注目軸が決定されている場合、注目軸については優先度が高い順に実況条件を満たすか否かが判定され、実況条件を満たす注目軸に対応する実況データを用いて実況内容が決定される。
【0110】
図3に戻り、ゲーム場面検出部305は、ゲーム進行制御部308により進行されるゲームのゲーム場面が所定のゲーム場面になったか否かを検出し、所定のゲーム場面を検出した場合、実況内容決定部302にトリガ信号を出力し、実況内容を決定する処理を行わせる。ここで、所定のゲーム場面としては、例えば、試合開始時、イニングの開始時、イニングの終了時、試合終了時、ホームラン発生時、ヒット発生時、得点時、及び盗塁時等のゲームにおいて実況するべき場面になった場合が該当する。
【0111】
着目点情報記憶部309は、実況軸決定部301が実況軸の候補に対して優先度を決定する際に使用される着目点情報を記憶している。具体的には、着目点情報としては、ゲームに登場する各チームのリーグ戦における試合回数、リーグ内での順位、試合情報、各選手の能力値、及び対戦履歴等が該当する。なお、各選手の能力値としては、打率、防御率、ホームラン数、打点、及び盗塁数等が採用される。対戦履歴としては、全チームの全対戦成績が含まれ、各試合の各イニングのおけるスコア等が含まれる。
【0112】
ゲーム進行制御部308は、図2に示すタッチ入力検出回路14aからの信号に基づきプレーヤからの入力指示を受け付け、受け付けた入力指示に従って、野球のルールにしたがってゲームを進行させる。図11は、ゲーム進行制御部308によって進行される野球ゲームの概要を説明するための画面図である。
【0113】
図11に示すように、本野球ゲームは、投手キャラクタCL2がボールオブジェクトBLを投げ、打者キャラクタCL1がボールオブジェクトBLをバットオブジェクトBTにより打ち返す野球ゲームである。
【0114】
この野球ゲームでは、プレーヤは攻撃側である場合、液晶モニタ3aをタッチして、外枠WK内に表示されたミートカーソルKを表示画面上で移動させ、ボールオブジェクトBLがホームベース付近に到達したときに、ボールオブジェクトBLにミートカーソルKを位置決めさせ、打撃コマンドを入力する。そうすると、バットオブジェクトBTがスイング表示されて、ボールオブジェクトBLが打ち返される。
【0115】
また、ゲーム進行制御部308は、試合が終了すると対戦結果から対戦履歴を作成し、着目点情報記憶部309に書き込む。また、ゲーム進行制御部308は、試合中において、先発選手についての情報や、選手交代があればその交代に関連する選手の情報や、現在のアウトカウント、ボールカウント、ストライクカウント及びスコア等の情報を着目点情報記憶部309に書き込む。これにより、実況軸決定部301は、着目点情報記憶部309を参照することで先発投手、選手交代があればそれに関連する選手、現在のスコアを認識し、認識した情報に基づいて、注目軸を再設定するべきか否かを判断することができる。
【0116】
着目点入力部304は、実況アナウンスに関する着目点を指定するためのプレーヤの入力指示を受け付ける。ここで、着目点入力部304は、例えば試合開始時において、プレーヤに対して着目点を選択するための選択画面を表示し、選択画面を介して着目点を選択させることで、プレーヤからの着目点の入力指示を受け付ける。本実施の形態では、プレーヤが選択できる着目点として、選手、監督、及びチームが含まれ、プレーヤはこれらの中から、任意でいずれか1つの着目点を入力する。着目点が選択されると、その点についての実況アナウンスの優先度が高くなるので、プレーヤは自分の好みのアナウンスを選択することができる。
【0117】
図12は、実況アナウンスに関する着目点の選択画面の一例を示す図である。図12に示すように着目点の選択画面には選手ボタン2101、監督ボタン2102、及びチームボタン2103が含まれている。プレーヤは、選手ボタン2101〜チームボタン2103のうちいずれかのボタンをタッチすることで着目点を入力することができる。なお、プレーヤは、着目点がない場合、選手ボタン2101〜チームボタン2103をタッチすることなく戻るボタン2104をタッチすればよい。
【0118】
ここで、実況軸決定部301は、着目点入力部304により着目点が入力された場合、入力された着目点に関連する注目軸の候補の優先度を高く設定する。プレーヤにより入力された着目点に対する関連性は、図4に示す属性によって示されている。例えば、着目点として選手が指定された場合、属性が選手の注目軸の候補の優先度が他の注目軸の候補に比べて相対的に高く設定される。同様に、着目点として監督又はチームが指定された場合、属性が監督又はチームの注目軸の候補の優先度が他の注目軸の候補に比べて相対的に高く設定される。
【0119】
具体的には、プレーヤにより着目点として選手が入力されると、属性が選手である注目軸の優先度に対して所定の係数が乗じられて例えば10や9等の高い値に設定される。同様に、プレーヤにより着目点として監督又はチームが入力された場合、属性が監督又はチームの注目軸の優先度が高い値に設定される。このように、好みの着目点をプレーヤに選択させることで、プレーヤが知りたい内容が実況され、プレーヤのゲームへの興味をより高めることができる。
【0120】
図4の例では、属性が選手の注目軸の候補としてタイトル争い選手がある。タイトル争い選手の注目軸に対応する実況データには、タイトル争いを行っている選手の情報や過去の実績等の実況内容が規定されている。したがって、着目点として選手を選択するとこの注目軸が実況に使用される可能性が高まり、プレーヤは試合中に選手の情報等を知ることができる。
【0121】
また、図4の例では、属性が監督の注目軸の候補として監督目線がある。監督目線の注目軸に対応する実況データには、例えば、“今日の対戦相手は投手陣が充実しているので、少ないチャンスを確実に拾って行きたい。”や、過去の監督のコメントを引き合いにして“試合前のコメント通り、スクイズで手堅く点を取りにきましたね”や、“今シーズンは投手陣の強化を図るとのコメントがありましたが、本試合でもリリーフ陣が大活躍です”というような監督目線の実況内容が規定されている。したがって、着目点として監督を選択するとこの注目軸が実況に使用される可能性が高まり、プレーヤは試合中に監督目線の実況を得ることができる。
【0122】
また、図4の例では、属性がチームの注目軸の候補としてチーム目線がある。チーム目線の注目軸に対応する実況データには、例えば、チームの過去の同様の試合や、最近のチームの状況、勝敗状況等をアナウンスする実況内容が規定されている。したがって、着目点としてチームを選択するとこの注目軸が実況に使用される可能性が高まり、プレーヤは試合中にチームについての情報を得ることができる。
【0123】
図3に戻り、実況内容報知部303は、実況内容決定部302で決定された実況内容をプレーヤに報知する。本実施の形態では、実況内容報知部303は、音声、テキスト、及び画像のうち少なくともいずれか1つを用いて実況内容をプレーヤに報知する。音声で実況内容が報知される場合、実況データに規定された実況内容がスピーカ6から音声で出力される。テキストで実況内容が報知される場合、実況データに規定された実況内容を示す文字列が液晶モニタ3aに表示される。画像で実況内容が報知される場合、実況データには規定された画像データが液晶モニタ3aに表示される。画像で実況内容を報知する場合、実況データにはゲーム場面に応じた画像データが規定されている。したがって、実況データに規定されたゲーム場面に対応する画像データが液晶モニタ部3aに表示されることになる。ここで、ゲーム場面に対応する画像データとしては、例えば、チームが得点した場合にホームインした選手や監督等の喜びの表情をアップにした画像データが採用される。また、音声、テキスト、及び画像を適宜組み合わせた実況を行うことで、実況内容をより確実にプレーヤに伝達することができる。
【0124】
図13は、本発明の実施の形態によるゲーム装置1が実況軸を決定する際の動作を示すフローチャートである。まず、ゲーム進行制御部308は、プレーヤによりゲーム開始の入力指示が行われると初期化処理を行う(S401)。ここで、初期化処理としては、プレーヤのチームの先発選手を決定したり、対戦チームを決定したり、対戦チームの先発メンバーを規定したり、リーグ戦での試合回数を特定する処理が含まれる。
【0125】
次に、実況軸決定部301は、対戦チームする両チームの先発選手等の情報から着目点情報記憶部309に記憶された着目点情報のうち優先度を設定するために必要となる着目点情報を特定する(S402)。
【0126】
次に、実況軸決定部301は、S402で特定された着目点情報のうち試合軸を設定するために必要となる着目点情報(例えばリーグ戦での試合回数、順位、試合情報)を特定し、これらの情報を用いて、図4に示す実況軸テーブルに規定された試合軸の各候補に対して優先度を設定する(S403)。次に、実況軸決定部301は、S403で優先度を設定した試合軸の各候補の中から優先度が最大の試合軸を試合に使用する試合軸として決定する(S404)。
【0127】
図14は、試合軸の決定の一例を示す説明図である。図14では、リーグ戦での試合回数が1回目、つまり開幕戦の場合の処理が示されている。したがって、開幕戦に対しては最大の優先度である10が設定されている。一方、首位攻防戦に対しては、リーグ内のどのチームも同率首位なので、開幕戦よりも低い優先度(例えば8)が設定されている。したがって、この場合、開幕戦が試合に使用される試合軸として決定される。
【0128】
次に、実況軸決定部301は、S402で特定された着目点情報のうち予想軸を設定するために必要となる着目点情報(例えば先発投手の防御率、チーム内の平均打率)を特定し、これらの情報を用いて、図4に示す実況軸テーブルに規定された予想軸の各候補に対して優先度を設定する(S405)。次に、実況軸決定部301は、S405で優先度を設定した予想軸の各候補の中から優先度が最大の予想軸を試合に使用する予想軸として決定する(S406)。
【0129】
図15は、予想軸の決定の一例を示す説明図である。図15では、対戦する両チームの先発投手がエースである場合の処理が示されている。したがって、エース対決に対しては高い優先度である9が設定されている。一方、投手戦に対しては、対戦する両チームの平均打率が比較的高いため、エース対決よりも低い優先度(例えば6)が設定されている。したがって、この場合、投手戦が試合に使用される予想軸として決定される。
【0130】
次に、実況軸決定部301は、S402で特定された着目点情報のうち注目軸を設定するために必要となる着目点情報(例えば前回スタメン野手が全員安打しているか、リリーフが充実しているか)を特定し、これらの情報を用いて、図4に示す実況軸テーブルに規定された注目軸の各候補に対して優先度を設定する(S407)。次に、実況軸決定部301は、S407で優先度を設定した予想軸の各候補の中から優先度が高い順に3つの注目軸の候補を試合に使用する注目軸として決定する(S408)。
【0131】
図16は、注目軸の決定の一例を示す説明図である。図16の右欄には注目軸の候補の一部が列記されている。これらの注目軸の各候補に対して、着目点情報に基づいて優先度が設定される。そして、図16の左欄に示すように、優先度が1位〜3位の注目軸の候補が試合に使用する注目軸として決定される。以上により試合開始時において、試合軸、予想軸、及び注目軸がそれぞれ決定される。
【0132】
なお、図13のフローチャートでは、優先度が1位〜3位の3つの注目軸を決定するようにしたが、例えば、優先度が閾値以下の注目軸の候補については優先度が3位以内であっても試合で使用する注目軸として決定しないようにしてもよい。
【0133】
図17は、実況内容の決定処理の一例を示す前半のフローチャートである。図18は、実況内容の決定処理の一例を示す後半のフローチャートである。まず、ゲーム場面検出部305により、ゲーム場面が実況するべき所定のゲーム場面になったことが検出されると(S501でYES)、実況内容決定部302は、検出されたゲーム場面に対して試合軸が実況条件を満たすか否かを判定する(S502)。一方、ゲーム場面が所定のゲーム場面になっていない場合(S501でNO)、処理がS501に戻される。
【0134】
そして、試合軸が実況条件を満たすと判定されると(S502でYES)、予想軸が実況条件を満たさないと判定され(S510でNO)、かつ、注目軸が実況条件を満たさないと判定された場合(S516でNO)、試合軸に対応する実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S503)。
【0135】
一方、注目軸が実況条件を満たすと判定されると(S516でYES)、試合軸及び注目軸に対応する実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S517)。
【0136】
一方、予想軸が実況条件を満たすと判定されると(S510でYES)、注目軸が実況条件を満たすか否かが判定され(S511)、注目軸が実況条件を満たさないと判定されると(S511でNO)、試合軸及び予想軸の実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S512)。
【0137】
一方、注目軸が実況条件を満たすと判定されると(S511でYES)、試合軸、予想軸、及び注目軸の実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S513)。
【0138】
一方、試合軸が実況条件を満たしていないと判定されると(S502でNO)、予想軸が実況条件を満たすか否か判定される(S504)。そして、予想軸が実況条件を満たすと判定されると(S504でYES)、注目軸が実況条件を満たすか否かが判定され(S514)、注目軸が実況条件を満たさないと判定された場合(S514でNO)、予想軸に対応する実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S505)。
【0139】
一方、注目軸が実況条件を満たすと判定された場合(S514でYES)、予想軸及び注目軸に対応する実況データから実況内容が決定される(S515)。
【0140】
一方、予想軸が実況条件を満たしていないと判定されると(S504でNO)、注目軸が実況条件を満たすか否か判定される(S506)。そして、注目軸が実況条件を満たすと判定されると(S506でYES)、注目軸に対応する実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S507)。
【0141】
一方、注目軸が実況条件を満たしていないと判定されると(S506でNO)、汎用軸の実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が特定される。ここで、S506、S511、S514、又はS516に示す注目軸が実況条件を満たすか否かについては、まず、優先度が1位の注目軸が実況条件を満たすか否かが判定され、満たさなければ、優先度が2位の注目軸が実況条件を満たすか否かが判定され、満たしていなければ、優先度が3位の注目軸が実況条件を満たすか否かが判定される。
【0142】
S509において、実況内容報知部303は、S503、S505、S507、S508、S512、S513、S515、S517のいずれかで特定された実況内容をプレーヤに報知する。以後、試合中は図17に示す処理が繰り返され、試合軸、予想軸、注目軸、汎用軸の順で実況条件が判定され、実況条件を満たす実況軸に対応する実況データにしたがった実況が行われる。
【0143】
図19は、注目軸を再決定する際の処理を示すフローチャートである。まず、実況軸決定部301は、着目点情報の変更を検出すると(S601でYES)、注目軸を再決定する必要があるか否かを判定する(S602)。ここで、着目点情報は、例えば、選手交代があった場合、得点が入った場合等に更新される。例えば、注目軸として、タイトル争いしている選手が使用されている場合において、その選手が交代した場合に再決定する必要があると判定される。また、所定イニング(例えば、3回)経過時に、例えば、先発投手が完全試合又は好投を継続している場合、注目軸を再決定する必要があると判定される。
【0144】
一方、着目点情報が変更されない場合(S601でNO)、又は注目軸を再決定する必要がないと判定された場合(S602でNO)、処理が終了される。次に、更新された着目点情報にしたがって注目軸の各候補に対して優先度が再設定される(S603)。例えば、所定イニング経過時に、先発投手が完全試合又は好投を継続しているような場合、完全試合継続中及び先発好投中の優先度が高く設定される。
【0145】
次に、S603で優先度が再設定された注目軸の各候補のうち、優先度が1位〜3位の注目軸が試合に使用する注目軸として再決定される(S604)。これにより、例えば、先発投手が好投を継続しているような場合、完全試合継続中や先発好投中が試合に使用する注目軸として決定される可能性が高まる。このように、注目軸を再決定することで、ゲーム展開に応じて適切な注目軸を用いた実況を行うことができ、実況のリアル性を増すことができる。
【0146】
次に、実況内容の実例について図20〜図22を用いて説明する。なお、図20〜図22において、軸実況とは本実施の形態における実況内容を示し、セリフありとは実況条件を満たすことを示している。図20は実況内容の実例1を示した図である。実例1では、試合軸としてAクラス争い、予想軸としてエース対決、注目軸として勝敗に注目が決定されている。
【0147】
そして、実例1では、実況開始時のゲーム場面において試合軸及び予想軸が実況条件を満たしているため、Aクラス争い及びエース対決の実況データにしたがって実況内容が決定されている。ここでは、“本日はAクラス争い、***(チーム名)対***(チーム名)の対決です。負けられない一戦、先発は共に球界を代表するエース、***(選手名)と***(選手名)です!この二人見たさに、球場は超満員となっています。もう言葉は要らないかもしれません。この対決をじっくりと楽しみましょう!”と実況される。
【0148】
一方、従来では、“***(チーム名)対***(チーム名)の第20回戦の模様をお伝えいたします。***(チーム名)の先発は***(選手名)、***(チーム名)の先発は***(選手名)となっています。まもなく、試合開始です。”というように実況されていた。
【0149】
このように、従来では、単に試合の内容を報知するだけであるが、本実施の形態では、Aクラス争いやエース対決というような文言が採用され、先発投手や対戦する両チームの順位等を考慮に入れた実況が行われていることが分かる。
【0150】
また、実例1ではゲーム場面が4回開始時において、予想軸が実況条件を満たしているため、予想軸にしたがって実況内容が決定されている。ここでは、“序盤終わって、ここまでは両エースとも素晴らしいピッチング!***(解説者名)さん、エースと一口に言いますが、エースに求められることって何でしょう?(解説者)まず勝つこと、ですよね。エースである以上、勝利することが絶対ですよ。なるほど、それがエースであることの条件なんですね。”と実況される。
【0151】
一方、従来では、“序盤終わって、0対0です。(解説者)序盤は完璧なピッチングと言ってもいいでしょう。はい、ここまでは文句のつけようのないマウンドとなっています”と実況されていた。
【0152】
このように、従来に比べて本実施の形態では、エースという文言が用いられ、エースによる投げ合いであることが強調された実況内容になっている。
【0153】
図21は、実例1の他のゲーム場面における実況内容の一例を示した図である。図21では、6回のウラ終了時のゲーム場面における実況内容が示されている。また、先発投手が被安打0、四死球0を継続しているため、完全試合継続中が新たに注目軸として追加されている。そして、注目軸の完全試合継続中が実況条件を満たしているため、完全試合継続中にしたがって実況内容が決定されている。
【0154】
ここでは、“6回終わって***(投手名)、パーフェクトピッチング継続中です!球場にいるお客さんもざわつき始めています。はたして、大記録達成はなるんでしょうか!”と実況されている。一方、従来では、“6回終わって0対0。試合は7回の表に入ります。”と実況されていた。
【0155】
このように、従来に比べて本実施の形態では、パーフェクトピッチング継続中というような文言が用いられ、先発投手が完全試合を達成できるか否かを考慮にいれた実況が行われている。
【0156】
図22は、実況内容の実例2を示した図である。実例2では、試合軸としてAクラス争い、予想軸としてエース対決、注目軸として勝敗に注目及びタイトル争い選手が用いられている。3回に先制ホームランを打った時のゲーム場面において試合軸が実況条件を満たしているため、Aクラス争いの実況データにしたがって実況内容が決定されている。ここでは、“ホームラン!負けられないこの試合、大きな、大きな1点が入りました!”と実況されている。一方、従来では、“ホームラン!このソロホームランで***(チーム名)が先制しています。”と実況されていた。
【0157】
このように、従来に比べて本実施の形態では、“負けられない試合”というような文言が採用され、Aクラス争いを考慮に入れた実況が行われている。
【0158】
また、実例2では、タイトル争いをしている選手がヒットを打ったときのゲーム場面において注目軸のタイトル争い選手(打率王)が実況条件を満たしているため、タイトル争い選手(打率王)の実況データにしたがって実況内容が決定されている。ここでは、“センター前ヒット!首位打者争い中の***(選手名)、ヒットで打率を上げています!”と実況されている。一方、従来では“センター前ヒット。この回2アウトから、ランナーが出ています。”と実況されていた。このように従来に比べて本実施の形態では、打率王が射程圏内にある選手がヒットを打った場合、そのことが分かるような実況が行われている。
【0159】
以上の例から分かるように、本実施の形態では、従来に比べて種々の切り口にしたがった多面的な実況が行われており、実況のリアル性が増していることが分かる。
【0160】
なお、上記実施形態では、野球ゲームを例にとり説明したが、実況アナウンスが採用され得るゲームであれば、分野を問わず適用が可能である。例えば、サッカー、テニス、バレーボール、バスケットボールといったスポーツ競技に関するゲームや、ボクシング、柔道、空手といった格闘技に関するゲーム、さらに、競馬ゲーム、解説付きの麻雀ゲーム、RPG等に適用可能である。
【0161】
例えば、競馬ゲームに対して、本発明を適用する場合を想定すると、以下のような対応関係をとってゲームに搭載することができる。
【0162】
ゲーム全体の実況方針に関する第1実況軸として、ジャパンカップ(G1)、地方競馬のいずれか、あるいはジャパンカップの中のいずれかのレースを選択することが考えられる。ゲーム展開の予測に関する第2実況軸としては、優勝馬または上位入賞馬のレース予想等が、またゲームにおいて発生したイベントに関する第3実況軸としては、追い上げる馬のごぼう抜きの数が所定数を超えた場合、あるいは落馬や大穴の発生等を選択することが考えられる。このような構成における実況アナウンスとしては、例えば以下のような流れを取り得る。
【0163】
例えば、第1実況軸として、ジャパンカップのレースとすることで、このゲームについては、特にファンの注目度や期待が大きいレースと位置づけられる。この点はゲーム全体のアナウンスに反映される。そして、第2実況軸として予想されていた優勝馬が振るわず、大穴の馬がトップに立つと、従来の実況であれば、「これは予想外!A馬がトップに躍り出ました。」といった実況が、本発明によれば、「B馬(優勝予想馬)が後退!全国のファンの悲鳴と怒号が沸き起こります!代わって、何とA馬がトップへ!」というように、レース全体(ジャパンカップ)の流れを汲みながら、ゲーム展開の予想が外れた場合のイベント(大穴)に関するアナウンスが行われる。
【0164】
逆に、優勝予想馬が予想通りにトップを走る場合には、従来の実況であれば、「予想通りの展開です。B馬(優勝予想馬)が強い。」といった実況が、本発明によれば、「全国のファンの夢と期待を背負って、B馬トップを疾走!予想通りの力強い走りです!」というように、やはりレース全体の流れを汲みながら、ゲーム展開の予想通りであった場合のアナウンスが行われる。
【0165】
さらにまた、トップを走っていたB馬(優勝予想馬)がゴール前で、他のC馬に抜かされる場合、従来の実況であれば、「C馬、怒涛の追い上げです!逆転なるか!」といった実況が、本発明によれば、「C馬、奇跡の逆転か!B馬ファンのG1制覇の夢、ここで散るのか!」となる。
【0166】
このいずれのアナウンスにおいても、試合全体を通して変わらない点(ジャパンカップ)を反映させるようにしているので、発生するイベントが異なっても、また、ゲーム内の時間が経過しても、一貫性のあるアナウンスの流れが維持され、自然でリアル感に満ちたゲームを実現できる。
【符号の説明】
【0167】
301 実況軸決定部
302 実況内容決定部
303 実況内容報知部
304 着目点入力部
305 ゲーム場面検出部
306 実況軸候補記憶部
307 実況データ記憶部
308 ゲーム進行制御部
309 着目点情報記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレーヤからの操作指令に基づき進行されるゲームの状況を実況する機能を備えたゲーム装置等に関するものであり、特に、ゲームの状況の実況に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野球ゲームやサッカーゲーム等のスポーツゲームやカーレースゲームなどでは試合の状況を実況することで、あたかも現実のテレビ中継を見ているかのような印象をプレーヤに与え、ゲームの興趣性を高めることが行われている。
【0003】
特許文献1には、複数プレーヤが参加するカーレースゲームにおいて、各プレーヤのレース状況をTV中継のように実況するものが開示されている。具体的には、複数の予め用意された実況内容を規定するデータの中からランダムに一つのデータを選んで実況を行うことで、同一ゲーム展開パターンでも異なるストーリーの実況を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3431333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現実世界の野球の実況では、試合状況が同一であっても、試合全体の流れから、或いは登場する選手によって、実況内容が異なることが多い。例えば、投手が大量失点をした場合に、通常の試合であれば、“A投手、不調です。投手交代でしょうか。”といったアナウンスも、首位攻防戦の試合の場合には、“A投手、この大切な試合でまさかの降板か!”といったアナウンスになる場合がある。あるいはまた、事前にエース対決で投手戦が予想されている場合には、“A投手、まさかの大量失点!これは予想を裏切る展開です!”というように異なるアナウンスになり、投手戦を予想していたアナウンス内容が、乱打戦を想定したアナウンスに変わることも現実の実況ではあり得る。
【0006】
しかしながら、従来のゲームでは、試合で発生するイベントが同じであれば、同一の実況を行なうものが一般的であり、リアル感のあるアナウンスは実現されていなかった。なお、前述の通り、特許文献1では、カーレースゲームを対象として、実況内容に複数のバリエーションが設けられている点が開示されているが、これは、単に複数の実況内容の候補の中からデータをランダムに選択するだけのものである。つまり、特許文献1に開示の実況は、ゲーム内で発生した個々の状況に対するアナウンスの内容にバリエーションを与えたものに過ぎず、やはり十分なリアル感のある実況を実現できるものではない。また、このように、個々の状況に対して都度、ランダムでアナウンス内容を変えた場合、前後のアナウンスのつながりが不自然になったり、同一キャラクタへの評価がアナウンス毎にずれてしまうことが想定される。野球ゲームの例で言えば、以下のようなアナウンスが考えられる。投手に対するアナウンスが行われる場合に、
1.試合開始時:「相手チームは全打線、強打者揃いです。さて、何回まで持ちこたえられるでしょうか?」
2.イニング4回時まで0点に抑えた場合:「さすがに素晴らしいピッチングですね。」
・ イニング5回時に連続ヒットを浴びた場合:「どうも投球が安定していません。」
上記例では、試合開始時には投手に対してネガティブなコメントを出していながら、イニング4回時には、同投手に対していつも通りの素晴らしい投球と評価し、直後のイニング5回時にはあたかも、今日は投球の調子が悪い、といった印象のアナウンスとなる。つまり、個々のイニングに対応するアナウンスは正しく見えるものの、全体を通して聞くと、同じ投手に対する評価が、イニングによって、互いの脈絡なく、分断された形で行われているので不自然なアナウンスになってしまう。
【0007】
そこで、本発明の目的は、アナウンス内容にバリエーションを与えるだけでなく、前後のアナウンスに一貫性がある自然な流れのアナウンスが可能なゲーム装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明によるゲーム装置は、プレーヤからの操作指令に基づき進行されるゲームの状況を実況する機能を備えたゲーム装置であって、ゲーム内容に対する着目点に基づき、予め設定された複数の実況軸候補の中から少なくともゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸と、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とを決定する実況軸決定部と、各実況軸に対応し、前記ゲーム場面に応じた実況内容が規定された実況データを記憶する実況データ記憶部と、前記実況軸決定部によって決定された実況軸の中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす1つの実況軸又は少なくとも前記ゲーム全体の実況軸を含む複数の実況軸を決定し、決定した実況軸に対応する実況データに基づいて、実況内容を決定する実況内容決定部と、前記実況内容決定部で決定された実況内容をプレーヤに報知する実況内容報知部とを備える。
【0009】
この構成によれば、ゲーム内容に対する着目点に応じて予め定められた複数の実況軸候補の中からゲーム場面に応じて変わることにないゲーム全体の実況軸と、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とが決定される。なお、着目点とは、野球ゲームの場合であれば、Aクラス争いや首位攻防戦、リーグ戦における試合回数(ペナントの序盤か終盤かなど)、対戦する両チームのリーグ内での順位、及び特別な試合情報(日本シリーズやクライマックスシリーズなど)といった、チーム状況や試合等を把握する所定の観点、あるいは先発投手の防御率やチーム内の平均打率、エース対決、投手戦といった選手情報等に関する観点、さらにまた、ゲーム中で、先発投手が好投を持続しているか、前回スタメン野手が全員安打しているか、リリーフ投手が充実しているかというようなゲーム状態等に関する観点を示している。
【0010】
そして、決定された実況軸の中からゲーム場面に応じた実況条件を満たす実況軸が決定され、その実況軸に対応する実況データに基づいて実況内容が決定され、決定された実況内容がプレーヤに報知される。
【0011】
このように本構成では、ゲーム内容に対する着目点に適合するような少なくとも2種類の実況軸が決定され、これらの実況軸に対応する実況データに従って実況内容が決定される。そのため、現実のアナウンサーのように複数の切り口で試合を実況するというような多面的な実況を実現することができ、リアル性に富んだ実況を実現することができる。
【0012】
また、少なくとも2種類のうち一方の実況軸はその試合を通じて変わることがない一貫したポイントに設定しているため、実況方針にぶれのない実況を実現することができる。
【0013】
例えば、野球ゲームの場合であれば、Aクラス争いや首位攻防戦といった対戦のポイントはその試合を通じて変わることはないので、これを一方の実況軸とする。つまり、本構成では試合を通じて変わることのない実況軸が定められているため、ぶれのない一貫性のある実況を実現し、リアル性に富んだ実況を実現することができる。試合を通じて変わらない実況軸としては、他にエース対決のような観点を採用することができる。
【0014】
また、一度決めた実況軸が全く変わらないとすると、実況軸がゲーム展開にそぐわなくなってしまい、却ってリアル性が低下してしまう虞がある。例えば、実際のアナウンサーは試合開始時に複数の切り口を定め、それに従って実況を進めるが試合展開によってはこれらの切り口のうち一部を変更することもある。そこで、本構成では、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸も定められているため、バリエーションに富んだ実況を実現することができる。
【0015】
また、本構成では、実況内容決定部が複数の実況軸を用いて実況内容を決定する場合、少なくとも、ゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸が用いられるよう設定しているので、以下のような効果を奏する。
【0016】
すなわち、ゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸に対応した内容と、個々のゲーム場面の内容とを併せた実況が行われるので、ゲーム全体を通じて、または前後の実況内容や実況表現に一貫性がある自然な流れのアナウンスが可能となる。
【0017】
例えば、野球ゲームにおいて、日本シリーズを模した試合が行われる場合、ペナントレースよりもファンの注目度や期待が大きいために、ホームランやヒット、アウト等の個々のプレイに対するアナウンスも、通常の試合に比して、重要な試合であることを意識させる表現が含まれ、個々の場面のアナウンスが互いに分断されたような印象のない自然な実況を実現することができる。
【0018】
(2)前記ゲーム全体の実況軸は、前記ゲーム場面によって変わることのない、ゲーム全体の実況方針に関する第1実況軸とゲーム展開の予測に関する第2実況軸とを含み、前記ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸は、ゲームにおいて発生したイベントに関する第3実況軸を含み、前記実況軸決定部は、前記第1〜第3実況軸のそれぞれにつき、予め定められた複数の実況軸候補の中から前記第1〜第3実況軸を決定することが好ましい。
【0019】
例えば現実のプロ野球中継において、アナウンサーはAクラス争いや首位攻防戦というような試合の位置づけから試合全体の実況方針を定めることがある。また、アナウンサーは試合開始時に両チームのエース同士が投げ合うため投手戦になるのではないかというように予め試合展開を予測して実況方針を定めることもある。そこで、本構成では、これらを再現するために、複数の実況軸の中からゲームに適した、ゲーム全体の実況方針に関する第1実況軸と、ゲーム展開の予測に関する第2実況軸とを決定し、実況のリアル性を高めている。
【0020】
また、現実のアナウンサーは、例えば、先発投手がパーフェクトピッチングを続けているような場合、そのことに着目して実況方針を転換し、更にパーフェクトピッチングの継続イニング数が増大するにつれて、転換した実況方針をより着目するようになる。本構成では、これを実現するためにゲームにおいて発生したイベントに関する第3実況軸を設定している。
【0021】
(3)前記実況内容決定部は、前記実況条件を満たす実況軸を前記第1〜第3実況軸の順で判定し、前記実況条件を満足する1つの実況軸又は少なくとも前記第1、第2実況軸のいれか一方を含む複数の実況軸に対応する実況データに基づいて実況内容を決定することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、ゲーム全体の実況方針に関する第1実況軸及びゲーム展開の予測に関する第2実況軸が、この順に優先して実況に使用され、第1実況軸及び第2実況軸が実況条件を満たさなかった場合は、ゲームにおいて発生したイベントに関する第3実況軸が実況に使用されるため、ゲーム場面によって変わることのない実況方針にぶれがない印象をプレーヤに与える実況を実現することができ、かつ、ゲーム内で発生するイベントに対応した柔軟性のある実況を実現することができる。
【0023】
また、本構成では、実況条件を満たすか否かの判定を第1〜第3実況軸の順で行っているが、実況条件を満たす実況軸が複数存在すれば、複数の実況軸を用いて実況内容を決定してもよく、この場合、少なくとも第1、第2実況軸のいずれか一方が含まれる。つまり、複数の実況軸を用いて実況内容を決定する場合、第1及び第2実況軸、第1及び第3実況軸、第2及び第3実況軸、又は第1〜第3実況軸を用いて実況内容が決定される。
【0024】
このように複数の実況軸が実況条件を満たすゲーム場面においては、ゲーム場面に応じて変わることのない第1実況軸又は第2実況軸により規定される実況内容が少なくとも用いられるため、ゲーム全体の流れを考慮した一貫性のある実況を行うことができる。また、第3実況軸に加えて他の実況軸が用いられる場合は、必ず第1実況軸又は第2実況軸が用いられるため、ゲーム全体の流れを考慮しつつゲーム場面に応じて適切な実況を行うことができる。
【0025】
(4)前記実況軸決定部は、前記第3実況軸の実況軸候補のそれぞれに対して優先度を設定し、前記優先度が高い所定個数の実況軸候補を前記第3実況軸として決定し、前記実況内容決定部は、前記第3実況軸において前記実況条件を満たす1又は複数の実況軸を前記優先度の高い順に判定することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、第3実況軸の実況軸候補のうち優先度の高い順に所定個数の実況軸候補が第3実況軸として決定されるため、ゲーム内容に適した第3実況軸を優先的に用いた実況を行うことができる。また、所定個数として複数個を採用することで、複数の第3実況軸を用いた実況が行われ、多面的な切り口の実況を実現することができる。
【0027】
実況軸決定部により決定された第3実況軸が複数個存在する場合、1つのゲーム場面に対して複数の第3実況軸が実況条件を満たすこともあり得る。この場合、実況条件を満たす全ての第3実況軸を用いて実況内容を決定してもよいし、優先度が高い順に所定個数の第3実況軸を用いて実況内容を決定してもよい。
【0028】
(5)前記着目点は、ゲームの進行中に変動し得るものであり、前記実況軸決定部は、前記ゲームの進行中に前記着目点が変更された場合、変更後の着目点に基づいて、前記第3実況軸の実況軸候補のそれぞれにつき、優先度を再設定し、優先度が高い所定個数の実況軸候補を前記第3実況軸として再決定することが好ましい。
【0029】
この構成によれば、例えば、第3実況軸としてタイトル争いをねらっている選手に着目した実況軸を用いて実況を行っている場合において、その選手が降板して着目点が変更されたような場合、その変更に応じて第3実況軸が再設定されるため、ゲーム展開の変動に応じて臨機応変に実況方針を変更することができる。
【0030】
(6)着目点を指定するためのプレーヤの入力指示を受け付ける着目点入力部を更に備え、前記実況軸決定部は、プレーヤにより指定された着目点に関連する前記第3実況軸の実況軸候補の優先度が高くなるように、前記第3実況軸の実況軸候補の優先度を設定することが好ましい。
【0031】
この構成によれば、プレーヤが気になる着目点を入力するとその着目点に関連する第3実況軸の実況軸候補が優先的に第3実況軸として決定される。そのため、プレーヤのニーズに応じた実況を行うことができる。
【0032】
(7)前記実況内容報知部は、音声、テキスト、及び画像のうち少なくともいずれか1つを用いて実況内容をプレーヤに報知することが好ましい。
【0033】
この構成によれば、実際のプロ野球中継のように音声のみの実況の他、テキストや画像を用いた実況も行われるため、実況内容をより確実にプレーヤに伝えることができる。
【0034】
(8)前記ゲームは、複数のチームによる試合をシミュレートしたゲームであり、
前記着目点は、ゲーム空間における試合の位置づけ、前記チームに関する情報、及びチームを構成する選手に関する情報を含むことが好ましい。
【0035】
この構成によれば、Aクラス争いや首位攻防戦といった試合の位置づけや、順位や連勝中といったチームに関する情報や、打率王争いをしているといった選手に関する情報に基づいて実況軸が決定されるため、ゲーム内容に応じた実況を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、ゲーム内容に対する着目点に適合するような少なくとも2種類の実況軸が決定され、これらの実況軸に対応する実況データに従って実況内容が決定される。そのため、現実のアナウンサーのように複数の切り口で試合を実況するというような多面的な実況を実現することができ、リアル性に富んだ実況を実現することができる。
【0037】
また、少なくとも2種類のうち一方の実況軸はその試合を通じて変わることがない一貫したポイントに設定しているため、実況方針にぶれのない、リアル性に富んだ実況を実現することができる。
【0038】
また、一度決めた実況軸が全く変わらないとすると、実況軸がゲーム展開にそぐわなくなってしまい、却ってリアル性が低下する虞があるが、本発明では、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸も定められているため、バリエーションに富んだ実況を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態によるゲーム装置の外観図である。
【図2】図1に示すゲーム装置の制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態によるゲーム装置の機能ブロック図である。
【図4】実況軸候補記憶部が記憶する実況軸テーブルのデータ構造の一例を示す概念図である。
【図5】“Aクラス争い”の“試合軸”に対応付けられた実況データの一部を示した概念図である。
【図6】“エース対決”の予想軸に対応付けられた実況データの一部を示した概念図である。
【図7】“完全試合中継中”の注目軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。
【図8】“タイトル争い選手”の注目軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。
【図9】汎用軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。
【図10】実況内容決定部の処理を説明するための概念図である。
【図11】ゲーム進行制御部によって進行される野球ゲームの概要を説明するための画面図である。
【図12】着目点の選択画面の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態によるゲーム装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】試合軸の決定の一例を示す説明図である。
【図15】予想軸の決定の一例を示す説明図である。
【図16】注目軸の決定の一例を示す説明図である。
【図17】実況内容の決定処理の一例を示す前半のフローチャートである。
【図18】実況内容の決定処理の一例を示す後半のフローチャートである。
【図19】注目軸を再設定する際の処理を示すフローチャートである。
【図20】実況内容の実例1を示した図である。
【図21】実例1の他のゲーム場面における実況内容の一例を示した図である。
【図22】実況内容の実例2を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明の実施の形態によるゲーム装置の外観図である。また、図1に示すゲーム装置1は、例えばスマートフォンにより構成されているが、本発明はこれに限定されず、タブレット端末、携帯電話、家庭用ゲーム機、アーケードゲーム機、パーソナルコンピュータ等の種々の機器により構成してもよい。
【0041】
ゲーム装置1は、図1に示すように、本体2、モニタ部3、基本操作部4、マイク5、及びスピーカ6を備えている。モニタ部3は、本体2に設けられ、液晶モニタ3aを有している。液晶モニタ3aは、例えば静電接触入力式のモニタ、すなわち、タッチパネル式のモニタにより構成されている。液晶モニタ3aは、表面全体に電界が形成されており、表面に指示手段(例えば指や導電性を有するペン等)を接触させると表面電荷が変化する。そして、この表面電荷の変化が捕捉され、液晶モニタ3a上の指やペン等の位置が検出される。ここで、液晶モニタ3aとしては、投影型のタッチパネルが用いられており、このタッチパネルでは多点同時検出が可能である。
【0042】
基本操作部4は、ホームボタン4a、ボリュームボタン4b、及びスリープボタン4cを備えている。ホームボタン4aは、本体2のタッチパネルの下部に設けられている。このホームボタン4aが押されると、ホーム画面が表示されたり、ゲーム装置1がスリープ状態から復帰したりする。ボリュームボタン4bは、本体2の側面上部に設けられている。ボリュームボタン4bの上部が押されると音量が増加し、ボリュームボタン4bの下部が押されると音量が減少する。スリープボタン4cは、本体2の上面に設けられている。スリープボタン4cが押されるとゲーム装置1がスリープ状態に移行する。
【0043】
マイク5は、音出力用の出力マイク5aと、音入力用の入力マイク5bとを備えている。出力マイク5aは、本体2のタッチパネルの上部に設けられている。ゲームを実行する時や、電話通信する時や、音楽を聞く時等には、出力マイク5aから音が出力される。入力マイク5bは、本体2に内蔵されており、本体2の下面に出力口が設けられている。電話通信する時や録音を行う時等には、この入力マイク5bから音声が入力される。
【0044】
スピーカ6は、本体2に内蔵されており、本体2の下面に出力口が設けられている。ゲームを実行する時や、音楽を聞く時や、録音を聞く時等には、このスピーカ6から音が出力される。なお、ゲーム装置1には、イヤホンジャック等も設けられているが、これらについては説明を省略する。
【0045】
図2は、図1に示すゲーム装置1の制御ブロック図である。ゲーム装置1は、図2に示すように、制御装置10、記憶装置17、及び通信部18が内部に設けられている。制御装置10は、マイクロプロセッサを利用したCPU(Central Processing Unit)11、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、画像処理回路14、及びサウンド処理回路15を備えている。これらは、バス16を介して相互に接続されている。
【0046】
CPU11は、ゲーム制御プログラムからの命令を解釈し、各種のデータ処理や制御を行う。ROM12は、ゲーム装置1の基本的な制御(たとえば起動制御)に必要なプログラム等を格納する。RAM13は、CPU11に対する作業領域を確保する。画像処理回路14は、CPU11からの描画指示に応じてモニタ部3を制御して、液晶モニタ3aに所定の画像を表示する。また、画像処理回路14にはタッチ入力検出回路14aが含まれている。液晶モニタ3aに指示手段を接触させたときに、接触信号がタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、接触位置がCPU11に認識される。また、液晶モニタ3aに表示された対象物の位置において、液晶モニタ3aに指示手段が接触されると、対象物の選択信号がタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、対象物がCPU11に認識される。
【0047】
サウンド処理回路15は、CPU11からの発音指示に応じたアナログ音声信号を生成して、出力マイク5a及び/又はスピーカ6に出力する。また、サウンド処理回路15は、入力マイク5bから音が入力されたときに、アナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。
【0048】
通信部18は、ゲーム実行時にデータ通信するための通信機能や、携帯電話として通信するための通信機能等を備えている。データ通信用の通信機能には、ローカルワイヤレスネットーワーク機能や、ワイヤレスLANによるインターネット接続機能等が含まれている。
【0049】
通信部18は、通信制御回路20及び通信インターフェイス21を備えている。通信制御回路20及び通信インターフェイス21は、バス16を介してCPU11に接続されている。また、通信制御回路20及び通信インターフェイス21は、CPU11からの命令に応じて、ゲーム装置1をローカルワイヤレスネットーワーク又はワイヤレスLANによるインターネットに接続するための接続信号を発信する。また、電話による通話時には、通信制御回路20及び通信インターフェイス21は、CPU11からの命令に応じて、ゲーム装置1を電話回線に接続するための接続信号を発信する。
【0050】
記憶装置17は、本体2に内蔵されており、バス16に接続される。たとえば、記憶装置17には、記憶媒体としてのハードディスクやフラッシュメモリドライブ等が用いられる。なお、バス16と各要素との間には必要に応じてインターフェイス回路が介在しているが、ここではそれらの図示は省略した。
【0051】
以上のような構成のゲーム装置1では、記憶装置17に格納されたゲーム制御プログラムがロードされ、ロードされたゲーム制御プログラムがCPU11で実行されることにより、プレーヤは様々なジャンルのゲームをモニタ部3上で遊戯することができる。また、通信制御回路20を介して、ワイヤレスネットワークにゲーム装置1を接続したり、他のゲーム機と通信ケーブル等を介して接続したりすることで、他のゲーム機との間でデータのやり取りや対戦型のゲームを行うことができる。
【0052】
ゲーム装置1において実行されるゲームとしては、例えば野球ゲームが挙げられる。野球ゲームを実行するためのゲーム制御プログラムは図示しない記憶装置に格納されており、野球ゲームが実行されるときには、このゲーム制御プログラムがRAM13にロードされ実行される。このようにして実行される野球ゲームでは、タッチパネル式の液晶モニタ3aに、指示手段を接触させることにより、各種の命令が指示される。
【0053】
本実施の形態で行われる野球ゲームは、日本のプロ野球のペナントレースを模擬しており、2リーグ制が採用され、各リーグには6つのチームが属している。したがって、プレーヤのチームは、まず、6つのチームが総当たりするリーグ戦において優勝争いを行う。そして、リーグ戦で3位以内に入ると、クライマックスシリーズに出場することができ、クライマックスシリーズで優勝すると、日本シリーズに進出することができる。そして、日本シリーズで別のリークの優勝チームと対戦し、勝利すると日本一になる。このように、本野球ゲームでは、プレーヤは日本一を目指して遊技を行う。
【0054】
図3は、本発明の実施の形態によるゲーム装置1の機能ブロック図である。図3に示すゲーム装置1は、実況軸決定部301、実況内容決定部302、実況内容報知部303、着目点入力部304、ゲーム場面検出部305、実況軸候補記憶部306、実況データ記憶部307、ゲーム進行制御部308、及び着目点情報記憶部309を備えている。
【0055】
実況軸決定部301は、ゲーム内容に対する着目点である着目点情報を着目点情報記憶部309から読み出し、読み出した着目点情報を用いて試合内容に適合する実況軸を予め設定された複数の実況軸の候補の中から決定する。ここで、実況軸としては、少なくともゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸とゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とが含まれる。
【0056】
ゲーム全体の実況軸としては、例えばゲーム全体の実況方針に関する試合軸(第1実況軸の一例)と、ゲーム展開の予測に関する予想軸(第2実況軸の一例)とが含まれる。ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸としては、例えばゲームにおいて発生したイベントに関する注目軸(第3実況軸の一例)が含まれる。
【0057】
ゲーム場面によって変わることがないとは、試合開始時に一度決定されると、試合が終了するまで変更されないことを指す。また、ゲーム場面に応じて変わり得るとは、試合開始時に一度決定された後であっても、その後、投手交代などによって着目点情報が変更された場合に変更されることがあることを指す。実況軸とは、実況方針を定める指標を指し、各実況軸には後述する実況データが対応付けられている。
【0058】
そして、実況軸決定部301は、試合軸、予想軸、及び注目軸のそれぞれにつき、予め定められた複数の実況軸の候補の中から実況対象の試合に適合する試合軸、予想軸、及び注目軸をそれぞれ決定する。具体的には、実況軸決定部301は、試合開始時において、着目点情報を用いて、試合軸、予想軸、及び注目軸の候補のそれぞれに優先度を設定し、優先度にしたがって、試合軸、予想軸、及び注目軸を決定する。ここで、優先度は、実況対象の試合に適合する実況軸の候補ほど大きな値が設定される。以下、優先度は0〜10の値をとるものとする。
【0059】
試合軸としては、例えば、開幕戦、首位攻防戦、Aクラス争い、シーズン序盤、シーズン中盤、シーズン終盤、日本シリーズ、及びクライマックスシリーズ等が含まれる。そして、これらの試合軸はそれぞれその内容に適した実況内容が規定された実況データが予め対応付けられている。したがって、例えば、試合軸として開幕戦が決定されたとすると、開幕戦の内容に適した実況内容がプレーヤに報知されることになる。
【0060】
以下、試合軸に対する優先度の設定方法の一例について説明する。開幕戦の試合軸において優先度は、リーグ戦における試合回数が1試合目である場合、例えば10が設定され、試合回数が1試合目以外である場合、例えば0が設定される。
【0061】
首位攻防戦の試合軸において優先度は、例えば対戦する両チームのリーグ内の順位が1位に近づくほど高い値が設定され、かつ、試合がリーグ戦の終盤に近づくにつれて高い値が設定される。
【0062】
Aクラス争いの試合軸において優先度は、対戦する両チームのリーグ内の順位が3位及び4位に近づくほど高い値が設定され、かつ、試合がリーグ戦の終盤に近づくにつれて高い値が設定される。
【0063】
シーズン序盤の試合軸において優先度は、試合がリーグ戦の終盤に近づくにつれて低く設定される。例えば、試合回数をn、リーグ戦の全試合回数をNmax(例えば、135)とすると、優先度は10×(Nmax−n)/Nmaxと設定される。
【0064】
シーズン中盤の試合軸において優先度は、試合回数がリーグ戦の中盤(全試合回数の中央値、例えば67)に近づくにつれて高く設定される。
【0065】
シーズン終盤の試合軸において優先度は、試合がリーグ戦の終盤に近づくにつれて高く設定される。例えば、優先度は10×(n/Nmax)と設定される。
【0066】
日本シリーズの試合軸において優先度は、試合が日本シリーズに該当する場合、10が設定される。また、クライマックスシリーズの試合軸において優先度は、試合がクライマックスシリーズに該当すれば10が設定される。
【0067】
このように、試合軸を決定する場合、着目点情報として、リーグ戦における試合回数、対戦する両チームのリーグ内での順位、及びゲーム空間での試合の位置づけを示す試合情報(日本シリーズやクライマックスシリーズなど)を用いて試合軸の各候補に対して優先度が設定される。そして、最大の優先度が設定された試合軸の候補が実況対象となる試合で使用される試合軸として決定される。
【0068】
現実のアナウンサーは、実況対象となる試合が開幕戦であるという情報や、シーズ終盤戦であるという情報や、対戦する両チームの順位についての情報に応じて試合全体を通じての大まかな実況方針を決定することがある。このようなアナウンサーによる実況方針を反映させるために、本実施の形態では試合軸を決定する。
【0069】
また、実況軸決定部301は、試合軸の決定手法と同様にして、試合開始時において、着目点情報に基づき、予測軸の候補に対して優先度を設定し、優先度が最大の予想軸の候補を実況に使用する予想軸として決定する。
【0070】
予想軸としては、例えば、エース対決、投手戦、及び打撃戦等が含まれている。以下、予想軸に各候補に対する優先度の設定の一例について説明する。エース対決の予想軸において優先度は、例えば、対戦する両チームの先発投手がエースである場合に10が設定される。ここで、エースとはチームを構成する投手のうち、防御率が最大の投手を指す。ここで、両エースの防御率が低くなるにつれて、エース対決の予想軸の優先度を低く設定してもよい。投手戦の予想軸において優先度は、例えば、両先発投手の防御率が近く、かつ、両チームの平均打率が低くなるほど大きな値が設定される。
【0071】
打撃戦の予想軸において優先度は、対戦する両チームの平均打率が高くなるにつれて高い値が設定され、先発投手の防御率が低くなるにつれて高い値が設定される。
【0072】
このように、予測軸を決定する場合、着目点情報として、先発投手の防御率やチーム内の平均打率といった選手情報を用いて予想軸の各候補に対して優先度が設定される。そして、最大の優先度が設定された予想軸の候補が実況対象の試合で使用される予想軸として決定される。
【0073】
現実のアナウンサーは、例えば、両チームのエースが登板した場合、投手戦になることを予想して実況を進める。また、両チームの平均打率が高いにも関わらず、両チームの先発投手の防御率が低ければ、打撃戦になることを予想して実況を進める。このような、対戦するチームの状態や登板する投手に応じて試合展開を予想して実況を行う現実のアナウンサーによる実況方針を反映するために、本実施の形態では予想軸を決定する。
【0074】
また、実況軸決定部301は、試合軸の決定手法と同様にして、試合開始時において、着目点情報に基づき、注目軸の候補に対して優先度を設定し、優先度が大きい順に最大3つの注目軸の候補を実況対象の試合で使用する注目軸として決定する。
【0075】
注目軸としては、例えば、タイトル争い選手、完全試合中継中、前回スタメン野手全員安打、先発好投中、リリーフ充実、選手に注目、チームに注目、勝敗に注目、記録に注目、及び監督に注目等が含まれる。タイトルとしては、例えば打率王、打点王、盗塁王、及びホームラン王が含まれる。
【0076】
打率王のタイトル争い選手において優先度は、例えば、対戦する両チームのうち少なくともいずれか一方のチームにおいて、リーグ内での打率が1位の選手がいる場合に10、2位の選手がいる場合には9というように、リーグ内での打率の順位が高い選手がいるほど高い値が設定される。他の打点王、盗塁王、及びホームラン王のタイトル争いについても、打率王と同様、順位が高い選手がいるほど高い優先度は高くなる。
【0077】
完全試合中継中の注目軸において優先度は、例えば、所定イニング(例えば3回)が終了したときに少なくとも一方の先発投手が全イニングを三者凡退に抑えている場合、注目軸の各候補につき優先度が再設定され、そのとき、例えば8の優先度が設定される。そして、更に所定イニング(例えば6回)が終了したときに少なくとも一方の投手が全イニングを三者凡退に抑えていれば、注目軸の各候補につき優先度が再設定され、そのとき、例えば9の優先度が設定される。このように、完全試合継続中の注目軸については、イニングが進むにつれて高い優先度が設定される。
【0078】
前回スタメン野手全員安打の注目軸において優先度は、例えば、対戦する両チームのうち一方のチームが一つ前の試合において、全野手がヒットを打った場合に設定され、ヒット数が多くなるにつれて高い値が設定される。
【0079】
先発好投中の注目軸において優先度は、例えば、完全試合継続中と同様に、少なくとも一方の先発投手が好投している場合に設定され、好投しているイニング数が増大するにつれて高い値が設定される。ここで、先発投手が好投しているとは、例えば先発投手が低い点(例えば1点)以内に抑えている場合が該当する。
【0080】
リリーフ充実の注目軸において優先度は、控え投手の防御率の平均値が高いほど高い値が設定される。選手に注目の注目軸において優先度は、例えば、有名選手がいる場合等に高い値が設定される。この優先度は、プレーヤが着目点として選手を入力した場合に所定の係数が乗じられて値が増大する。チームに注目の注目軸において優先度は、チームの順位が高くなるにつれて高い値が設定される。この優先度は、プレーヤが着目点としてチームを入力した場合、所定の係数が乗じられて値が増大する。
【0081】
勝敗に注目の注目軸において優先度は、例えば、対戦する両チームのうち少なくとも一方が最近の連勝又は連敗しており、連勝数又は連敗数が増大するにつれて高い値が設定される。
【0082】
記録に注目の注目軸において優先度は、例えば、チーム内において、新記録を打ち立てる可能性が高い選手がいる場合に設定され、その新記録の達成確立が増大するほど高い値が設定される。監督に注目の注目軸において優先度は、例えば、監督が有名監督である場合、高い値が設定される。この優先度は、プレーヤが着目点として監督を選択した場合、所定の係数が乗じられて値が増大する。
【0083】
このように、注目軸を決定する場合、着目点情報として、先発投手が好投を持続しているか、前回スタメン野手が全員安打しているか、リリーフ投手が充実しているかというようなチームの状態を用いて注目軸の各候補に対して優先度が設定される。そして、優先度が上から3位までの注目軸の候補が実況対象の試合で使用される予想軸として決定される。このように、複数の注目軸を用いることで、現実のアナウンサーが多面的な切り口で実況を行うことを再現することができ、実況内容に拡がりを持たせることができる。
【0084】
また、注目軸は、試合開始時のみならず、先発投手が完全試合を継続している、或いは好投を継続しているというように試合中において優先度が再設定されて再決定される。そのため、ゲーム展開の変動に対して実況方針を柔軟に変更することができる。例えば、試合開始時にタイトル争い選手の注目軸を決定した場合であっても、この選手が降板することもある。この場合、タイトル争い選手の注目軸にしたがった実況を行うことは好ましくない。そこで、本実施の形態では、注目軸については試合中であっても適宜変更できるようにしている。
【0085】
実況軸候補記憶部306は、本実施の形態で使用される試合軸、予想軸、及び注目軸の全候補を記憶する実況軸テーブルを記憶している。図4は実況軸候補記憶部306が記憶する実況軸テーブルのデータ構造の一例を示す概念図である。図4に示すように実況軸テーブルは、1つのレコードに1つの実況軸の候補が格納された二次元のデータ構造を持つテーブルであり、軸の種類、名称、属性、及び実況データアドレスのフィールドを備えている。なお、図4では、本実施の形態で使用される実況軸の全候補の一部を示している。
【0086】
軸の種類は実況軸が試合軸、予想軸、及び注目軸のいずれに該当するかを示している。名称は実況軸に付された名称であり、上述した、“Aクラス争い”、“エース対決”等が該当する。属性は注目軸の属性を示し、例えば、選手、監督、及びチームが含まれる。属性の利用形態については後述する。実況データアドレスは、実況軸に対応する実況データの格納先のメモリアドレスを示す。実況軸決定部301は、図4に示す実況軸テーブルに格納された実況軸の候補のそれぞれに対して優先度を設定し、優先度の高い順に1つの試合軸、1つの予想軸、及び最大3つの予想軸を決定する。そして、実況内容決定部302は、所定のゲーム場面が検出されると決定された試合軸、予想軸、及び予想軸の実況データアドレスから対応する実況データを参照するのである。なお、図4に示す実況軸テーブルは一例に過ぎず、図4のものに限定されない。
【0087】
実況データ記憶部307は、各実況軸に対応して設けられ、ゲーム場面に応じた実況内容が規定された実況データを記憶する。図5〜図9は、実況データの一例を示した概念図である。実況データは、ゲーム場面と実況内容とが対応付けられたテーブル形式のデータ構造を持つ。
【0088】
図5は、“Aクラス争い”の“試合軸”に対応付けられた実況データの一部を示した概念図である。“Aクラス争い”の試合軸では、対戦する両チームがAクラスに入ろうと競い合っている場合の実況内容が規定されている。なお、本実施の形態では、1リーグは6つのチームから構成されているため、1位〜3位をAクラス、4位〜6位をBクラスと規定している。
【0089】
図6は、“エース対決”の予想軸に対応付けられた実況データの一部を示した概念図である。“エース対決”の予想軸では、対戦する両チームの先発投手が共にエースである場合の実況内容が規定されている。
【0090】
図7は、“完全試合中継中”の注目軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。“完全試合中継中”の注目軸では、対戦する両チームの一方の投手が完全試合を継続している場合の実況内容が規定されている。完全試合とは、打者を一人も出塁させないことを指す。
【0091】
図8は、打率王の“タイトル争い選手”の注目軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。“タイトル争い選手”の注目軸では、打率王のタイトル争いを行っている選手に着目した実況内容が規定されている。
【0092】
図9は、汎用軸に対応する実況データの一部を示した概念図である。汎用軸は試合軸、予想軸、及び注目軸のような着目点が特にない軸であり、対応する実況データには試合の状況を単に説明するための実況内容が規定されている。なお、図5〜図9に規定するゲーム場面や実況内容は一例に過ぎず、他のゲーム場面や実況内容を規定してもよい。
【0093】
図3に戻り、実況内容決定部302は、実況軸決定部301によって決定された実況軸の中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす1つの実況軸又は少なくともゲーム全体の実況軸を含む複数の実況軸を決定し、決定した実況軸に対応する実況データに基づいて、実況内容を決定する。具体的には、実況内容決定部302は、実況条件を満たす実況軸を試合軸、予想軸、及び注目軸の順で判定し、実況条件を満足した実況軸に対応する実況データに基づいて実況内容を決定する。
【0094】
ここで、実況内容決定部302は、実況軸決定部301により決定された試合軸、予想軸、及び注目軸のうち、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす実況軸が複数存在すれば、複数の実況軸に対応する実況データに基づいて実況内容を決定してもよい。本実施の形態では、複数の実況軸を用いる場合において注目軸が使用される場合、必ず試合軸及び予想軸の少なくともいずれか一方が使用されるように実況条件が規定されている。つまり、複数の実況軸を用いる場合として、試合軸及び予想軸、試合軸及び注目軸、予想軸及び注目軸を組み合わせた実況や、試合軸、予想軸、及び注目軸を組み合わせた実況が行われる。
【0095】
例えば、あるゲーム場面(例えば、試合開始時)において注目軸に加えて他の実況軸を用いて実況内容が決定される場合、同ゲーム場面において試合軸及び予想軸の少なくともいずれか一方の実況軸に対応する実況データに実況内容が規定されている。そして、この場合、注目軸の実況内容は試合軸及び予想軸の少なくともいずれか一方の実況内容を補足するような内容に規定されている。これにより厚みのある実況を実現することができる。また、注目軸に加えて他の実況軸を用いる場合、試合軸及び予想軸の少なくともいずれか一方が用いられるため、試合全体の流れを考慮に入れつつ、ゲーム場面に応じた実況を実現することができる。
【0096】
ここで、試合軸及び予想軸の実況データに例えば補強フラグを設定し、補強フラグの有無に応じて、予想軸及び注目軸を実況に用いるか否かを実況内容決定部302に決定させるようにしてもよい。例えば、あるゲーム場面において試合軸及び予想軸が実況条件を満たしていたとする。この場合、実況内容決定部302は、予想軸においてこのゲーム場面に対する補強フラグが“あり”と設定されていれば、試合軸に加えて予想軸の実況データを用いて実況内容を決定し、予想軸においてこのゲーム場面に対する補強フラグが“なし”と設定されていれば、試合軸の実況データを用いて実況内容を決定すればよい。
【0097】
また、あるゲーム場面において、試合軸、予想軸、及び注目軸が実況条件を満たしていたとする。この場合、実況内容決定部302は、予想軸に加えて注目軸にも補強フラグが“あり”に設定されていれば、試合軸及び予想軸に加えて注目軸の実況データを用いて実況内容を決定し、注目軸の補強フラグが“なし”に設定されていれば、試合軸及び予想軸の実況データを用いて実況内容を決定すればよい。なお、試合軸及び注目軸が実況条件を満たす場合、又は予想軸及び注目軸が実況条件を満たす場合も同様にして、注目軸の実況データを用いるか否かを判定すればよい。
【0098】
こうすることで、予想軸や注目軸において、あるゲーム場面に対して、試合軸の実況内容を補強するような内容を規定した場合、このゲーム場面に対する試合軸又は予想軸の補強フラグを“あり”に設定しておけば、試合軸及び予想軸のコンビネーション、試合軸及び注目軸のコンビネーション、予想軸及び注目軸のコンビネーション、又は試合軸、予想軸、及び注目軸のコンビネーションにより実況内容が決定されることになる。その結果、試合軸を補強するような実況を予想軸及び注目軸を用いて実現することができ、より内容の厚い実況を実現することができる。
【0099】
一方、予想軸において、あるゲーム場面に対して、試合軸の実況内容を補強せず、試合軸に対して矛盾する虞があるような実況内容を規定した場合は、このゲーム場面に対する補強フラグを“なし”に設定しておく。また、注目軸において、あるゲーム場面に対して、試合軸又は予想軸の実況内容を補強せず、試合軸又は予想軸に対して矛盾する虞があるような実況内容を規定した場合は、このゲーム場面に対する注目軸の補強フラグを“なし”に設定しておけば、試合軸のみ用いて実況内容が決定されることになる。これにより、あるゲーム場面において内容が矛盾する実況が行われることを防止することができる。
【0100】
また、実況内容決定部302は、試合軸、予想軸、及び注目軸のいずれもが実況条件を満足しないと判定した場合は、汎用軸に対応する実況データを用いて実況内容を決定する。なお、汎用軸に対応する実況データはゲーム場面検出部305が検出するゲーム場面の全てに対して実況内容が規定されている。そのため、試合軸、予想軸、及び注目軸のいずれもが実況条件を満たさない場合であっても、実況軸にしたがって実況内容を決定することができる。
【0101】
図10は、実況内容決定部302の処理を説明するための概念図である。ゲーム場面S1では、ゲーム場面検出部305により検出されたゲーム場面が試合軸の実況条件を満たしている。よって、試合軸に対応する実況データから実況内容が決定される。なお、ゲーム場面S1では試合軸が“×”と記されており、対応する実況内容が無言設定である。この場合、試合軸は実況条件を満たしているが対応する実況データの実況内容は無言であるため、プレーヤには何も報知されない。このように、無言設定を設けてあえて実況を行わないことで、ゲームに対する緊迫感を高めることができる。
【0102】
ゲーム場面S2ではゲーム場面検出部305により検出されたゲーム場面が試合軸の実況条件を満たしているため、試合軸に対応する実況データにしたがって実況内容が決定される。
【0103】
ゲーム場面S3、S4ではゲーム場面検出部305により検出されたゲーム場面が試合軸の実況条件を満たしていないが、予想軸の実況条件を満たしている。そのため、ゲーム場面S3、S4では予想軸に対応する実況データにしたがって実況内容が決定される。
【0104】
ゲーム場面S5、S6ではゲーム場面検出部305により検出されたゲーム場面は、試合軸、予想軸の実況条件を満たしていないが、注目軸の実況条件を満たしている。したがって、ゲーム場面S5、S6では注目軸に対応する実況データにしたがって実況内容が決定される。
【0105】
ゲーム場面S7ではゲーム場面検出部305により検出されたゲーム場面は、試合軸、予想軸、及び注目軸のいずれの実況条件も満たしていない。したがって、ゲーム場面S7では、汎用軸に対応する実況データにしたがって実況内容が決定される。このように、本実施の形態では、試合軸、予想軸、及び注目軸の順で実況条件を満たすか否かが判定されていることがわかる。
【0106】
なお、図10では、いずれか一つの実況軸が実況条件を満たす場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、あるゲーム場面において複数の実況軸が実況条件を満たすこともあり得る。この場合、少なくとも試合軸及び予想軸のいずれか一方が用いられるため、実況に一貫性を持たせることができる。また、試合軸及び予想軸に加えて注目軸を用いることで、試合全体の流れを考慮しつつ、ゲーム場面に適した実況を行うことができる。
【0107】
ここで、実況条件を満たすとは、実況軸に対応する実況データにおいて検出されたゲーム場面が規定されている場合を示す。例えば、実況軸決定部301により試合軸として“Aクラス争い”が決定され、ゲーム場面検出部305により試合開始時のゲーム場面が検出されたとする。この場合、図5に示す“Aクラス争い”の実況データにはゲーム場面として“試合開始時”が規定されているため、試合軸が実況条件を満たすと判定される。そして、図5に示す実況データにおいて“試合開始時”に対応する実況内容がプレーヤに報知する実況内容として決定される。なお、図5において、***(チーム名)の箇所には対戦しているチームの名が挿入されて実況内容が決定される。
【0108】
また、実況軸決定部301により予想軸として“エース対決”が決定され、ゲーム場面検出部305により4回開始時のゲーム場面が検出されたとする。この場合、図6に示す“エース対決”の実況データにはゲーム場面として“4回開始時”が規定されているため、予想軸が実況条件を満たすと判定される。
【0109】
注目軸についても試合軸及び予想軸と同様に実況条件を満たすか否かが判定される。但し、本実施の形態では、注目軸は最大3つ決定される。したがって、複数の注目軸が決定されている場合、注目軸については優先度が高い順に実況条件を満たすか否かが判定され、実況条件を満たす注目軸に対応する実況データを用いて実況内容が決定される。
【0110】
図3に戻り、ゲーム場面検出部305は、ゲーム進行制御部308により進行されるゲームのゲーム場面が所定のゲーム場面になったか否かを検出し、所定のゲーム場面を検出した場合、実況内容決定部302にトリガ信号を出力し、実況内容を決定する処理を行わせる。ここで、所定のゲーム場面としては、例えば、試合開始時、イニングの開始時、イニングの終了時、試合終了時、ホームラン発生時、ヒット発生時、得点時、及び盗塁時等のゲームにおいて実況するべき場面になった場合が該当する。
【0111】
着目点情報記憶部309は、実況軸決定部301が実況軸の候補に対して優先度を決定する際に使用される着目点情報を記憶している。具体的には、着目点情報としては、ゲームに登場する各チームのリーグ戦における試合回数、リーグ内での順位、試合情報、各選手の能力値、及び対戦履歴等が該当する。なお、各選手の能力値としては、打率、防御率、ホームラン数、打点、及び盗塁数等が採用される。対戦履歴としては、全チームの全対戦成績が含まれ、各試合の各イニングのおけるスコア等が含まれる。
【0112】
ゲーム進行制御部308は、図2に示すタッチ入力検出回路14aからの信号に基づきプレーヤからの入力指示を受け付け、受け付けた入力指示に従って、野球のルールにしたがってゲームを進行させる。図11は、ゲーム進行制御部308によって進行される野球ゲームの概要を説明するための画面図である。
【0113】
図11に示すように、本野球ゲームは、投手キャラクタCL2がボールオブジェクトBLを投げ、打者キャラクタCL1がボールオブジェクトBLをバットオブジェクトBTにより打ち返す野球ゲームである。
【0114】
この野球ゲームでは、プレーヤは攻撃側である場合、液晶モニタ3aをタッチして、外枠WK内に表示されたミートカーソルKを表示画面上で移動させ、ボールオブジェクトBLがホームベース付近に到達したときに、ボールオブジェクトBLにミートカーソルKを位置決めさせ、打撃コマンドを入力する。そうすると、バットオブジェクトBTがスイング表示されて、ボールオブジェクトBLが打ち返される。
【0115】
また、ゲーム進行制御部308は、試合が終了すると対戦結果から対戦履歴を作成し、着目点情報記憶部309に書き込む。また、ゲーム進行制御部308は、試合中において、先発選手についての情報や、選手交代があればその交代に関連する選手の情報や、現在のアウトカウント、ボールカウント、ストライクカウント及びスコア等の情報を着目点情報記憶部309に書き込む。これにより、実況軸決定部301は、着目点情報記憶部309を参照することで先発投手、選手交代があればそれに関連する選手、現在のスコアを認識し、認識した情報に基づいて、注目軸を再設定するべきか否かを判断することができる。
【0116】
着目点入力部304は、実況アナウンスに関する着目点を指定するためのプレーヤの入力指示を受け付ける。ここで、着目点入力部304は、例えば試合開始時において、プレーヤに対して着目点を選択するための選択画面を表示し、選択画面を介して着目点を選択させることで、プレーヤからの着目点の入力指示を受け付ける。本実施の形態では、プレーヤが選択できる着目点として、選手、監督、及びチームが含まれ、プレーヤはこれらの中から、任意でいずれか1つの着目点を入力する。着目点が選択されると、その点についての実況アナウンスの優先度が高くなるので、プレーヤは自分の好みのアナウンスを選択することができる。
【0117】
図12は、実況アナウンスに関する着目点の選択画面の一例を示す図である。図12に示すように着目点の選択画面には選手ボタン2101、監督ボタン2102、及びチームボタン2103が含まれている。プレーヤは、選手ボタン2101〜チームボタン2103のうちいずれかのボタンをタッチすることで着目点を入力することができる。なお、プレーヤは、着目点がない場合、選手ボタン2101〜チームボタン2103をタッチすることなく戻るボタン2104をタッチすればよい。
【0118】
ここで、実況軸決定部301は、着目点入力部304により着目点が入力された場合、入力された着目点に関連する注目軸の候補の優先度を高く設定する。プレーヤにより入力された着目点に対する関連性は、図4に示す属性によって示されている。例えば、着目点として選手が指定された場合、属性が選手の注目軸の候補の優先度が他の注目軸の候補に比べて相対的に高く設定される。同様に、着目点として監督又はチームが指定された場合、属性が監督又はチームの注目軸の候補の優先度が他の注目軸の候補に比べて相対的に高く設定される。
【0119】
具体的には、プレーヤにより着目点として選手が入力されると、属性が選手である注目軸の優先度に対して所定の係数が乗じられて例えば10や9等の高い値に設定される。同様に、プレーヤにより着目点として監督又はチームが入力された場合、属性が監督又はチームの注目軸の優先度が高い値に設定される。このように、好みの着目点をプレーヤに選択させることで、プレーヤが知りたい内容が実況され、プレーヤのゲームへの興味をより高めることができる。
【0120】
図4の例では、属性が選手の注目軸の候補としてタイトル争い選手がある。タイトル争い選手の注目軸に対応する実況データには、タイトル争いを行っている選手の情報や過去の実績等の実況内容が規定されている。したがって、着目点として選手を選択するとこの注目軸が実況に使用される可能性が高まり、プレーヤは試合中に選手の情報等を知ることができる。
【0121】
また、図4の例では、属性が監督の注目軸の候補として監督目線がある。監督目線の注目軸に対応する実況データには、例えば、“今日の対戦相手は投手陣が充実しているので、少ないチャンスを確実に拾って行きたい。”や、過去の監督のコメントを引き合いにして“試合前のコメント通り、スクイズで手堅く点を取りにきましたね”や、“今シーズンは投手陣の強化を図るとのコメントがありましたが、本試合でもリリーフ陣が大活躍です”というような監督目線の実況内容が規定されている。したがって、着目点として監督を選択するとこの注目軸が実況に使用される可能性が高まり、プレーヤは試合中に監督目線の実況を得ることができる。
【0122】
また、図4の例では、属性がチームの注目軸の候補としてチーム目線がある。チーム目線の注目軸に対応する実況データには、例えば、チームの過去の同様の試合や、最近のチームの状況、勝敗状況等をアナウンスする実況内容が規定されている。したがって、着目点としてチームを選択するとこの注目軸が実況に使用される可能性が高まり、プレーヤは試合中にチームについての情報を得ることができる。
【0123】
図3に戻り、実況内容報知部303は、実況内容決定部302で決定された実況内容をプレーヤに報知する。本実施の形態では、実況内容報知部303は、音声、テキスト、及び画像のうち少なくともいずれか1つを用いて実況内容をプレーヤに報知する。音声で実況内容が報知される場合、実況データに規定された実況内容がスピーカ6から音声で出力される。テキストで実況内容が報知される場合、実況データに規定された実況内容を示す文字列が液晶モニタ3aに表示される。画像で実況内容が報知される場合、実況データには規定された画像データが液晶モニタ3aに表示される。画像で実況内容を報知する場合、実況データにはゲーム場面に応じた画像データが規定されている。したがって、実況データに規定されたゲーム場面に対応する画像データが液晶モニタ部3aに表示されることになる。ここで、ゲーム場面に対応する画像データとしては、例えば、チームが得点した場合にホームインした選手や監督等の喜びの表情をアップにした画像データが採用される。また、音声、テキスト、及び画像を適宜組み合わせた実況を行うことで、実況内容をより確実にプレーヤに伝達することができる。
【0124】
図13は、本発明の実施の形態によるゲーム装置1が実況軸を決定する際の動作を示すフローチャートである。まず、ゲーム進行制御部308は、プレーヤによりゲーム開始の入力指示が行われると初期化処理を行う(S401)。ここで、初期化処理としては、プレーヤのチームの先発選手を決定したり、対戦チームを決定したり、対戦チームの先発メンバーを規定したり、リーグ戦での試合回数を特定する処理が含まれる。
【0125】
次に、実況軸決定部301は、対戦チームする両チームの先発選手等の情報から着目点情報記憶部309に記憶された着目点情報のうち優先度を設定するために必要となる着目点情報を特定する(S402)。
【0126】
次に、実況軸決定部301は、S402で特定された着目点情報のうち試合軸を設定するために必要となる着目点情報(例えばリーグ戦での試合回数、順位、試合情報)を特定し、これらの情報を用いて、図4に示す実況軸テーブルに規定された試合軸の各候補に対して優先度を設定する(S403)。次に、実況軸決定部301は、S403で優先度を設定した試合軸の各候補の中から優先度が最大の試合軸を試合に使用する試合軸として決定する(S404)。
【0127】
図14は、試合軸の決定の一例を示す説明図である。図14では、リーグ戦での試合回数が1回目、つまり開幕戦の場合の処理が示されている。したがって、開幕戦に対しては最大の優先度である10が設定されている。一方、首位攻防戦に対しては、リーグ内のどのチームも同率首位なので、開幕戦よりも低い優先度(例えば8)が設定されている。したがって、この場合、開幕戦が試合に使用される試合軸として決定される。
【0128】
次に、実況軸決定部301は、S402で特定された着目点情報のうち予想軸を設定するために必要となる着目点情報(例えば先発投手の防御率、チーム内の平均打率)を特定し、これらの情報を用いて、図4に示す実況軸テーブルに規定された予想軸の各候補に対して優先度を設定する(S405)。次に、実況軸決定部301は、S405で優先度を設定した予想軸の各候補の中から優先度が最大の予想軸を試合に使用する予想軸として決定する(S406)。
【0129】
図15は、予想軸の決定の一例を示す説明図である。図15では、対戦する両チームの先発投手がエースである場合の処理が示されている。したがって、エース対決に対しては高い優先度である9が設定されている。一方、投手戦に対しては、対戦する両チームの平均打率が比較的高いため、エース対決よりも低い優先度(例えば6)が設定されている。したがって、この場合、投手戦が試合に使用される予想軸として決定される。
【0130】
次に、実況軸決定部301は、S402で特定された着目点情報のうち注目軸を設定するために必要となる着目点情報(例えば前回スタメン野手が全員安打しているか、リリーフが充実しているか)を特定し、これらの情報を用いて、図4に示す実況軸テーブルに規定された注目軸の各候補に対して優先度を設定する(S407)。次に、実況軸決定部301は、S407で優先度を設定した予想軸の各候補の中から優先度が高い順に3つの注目軸の候補を試合に使用する注目軸として決定する(S408)。
【0131】
図16は、注目軸の決定の一例を示す説明図である。図16の右欄には注目軸の候補の一部が列記されている。これらの注目軸の各候補に対して、着目点情報に基づいて優先度が設定される。そして、図16の左欄に示すように、優先度が1位〜3位の注目軸の候補が試合に使用する注目軸として決定される。以上により試合開始時において、試合軸、予想軸、及び注目軸がそれぞれ決定される。
【0132】
なお、図13のフローチャートでは、優先度が1位〜3位の3つの注目軸を決定するようにしたが、例えば、優先度が閾値以下の注目軸の候補については優先度が3位以内であっても試合で使用する注目軸として決定しないようにしてもよい。
【0133】
図17は、実況内容の決定処理の一例を示す前半のフローチャートである。図18は、実況内容の決定処理の一例を示す後半のフローチャートである。まず、ゲーム場面検出部305により、ゲーム場面が実況するべき所定のゲーム場面になったことが検出されると(S501でYES)、実況内容決定部302は、検出されたゲーム場面に対して試合軸が実況条件を満たすか否かを判定する(S502)。一方、ゲーム場面が所定のゲーム場面になっていない場合(S501でNO)、処理がS501に戻される。
【0134】
そして、試合軸が実況条件を満たすと判定されると(S502でYES)、予想軸が実況条件を満たさないと判定され(S510でNO)、かつ、注目軸が実況条件を満たさないと判定された場合(S516でNO)、試合軸に対応する実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S503)。
【0135】
一方、注目軸が実況条件を満たすと判定されると(S516でYES)、試合軸及び注目軸に対応する実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S517)。
【0136】
一方、予想軸が実況条件を満たすと判定されると(S510でYES)、注目軸が実況条件を満たすか否かが判定され(S511)、注目軸が実況条件を満たさないと判定されると(S511でNO)、試合軸及び予想軸の実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S512)。
【0137】
一方、注目軸が実況条件を満たすと判定されると(S511でYES)、試合軸、予想軸、及び注目軸の実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S513)。
【0138】
一方、試合軸が実況条件を満たしていないと判定されると(S502でNO)、予想軸が実況条件を満たすか否か判定される(S504)。そして、予想軸が実況条件を満たすと判定されると(S504でYES)、注目軸が実況条件を満たすか否かが判定され(S514)、注目軸が実況条件を満たさないと判定された場合(S514でNO)、予想軸に対応する実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S505)。
【0139】
一方、注目軸が実況条件を満たすと判定された場合(S514でYES)、予想軸及び注目軸に対応する実況データから実況内容が決定される(S515)。
【0140】
一方、予想軸が実況条件を満たしていないと判定されると(S504でNO)、注目軸が実況条件を満たすか否か判定される(S506)。そして、注目軸が実況条件を満たすと判定されると(S506でYES)、注目軸に対応する実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が決定される(S507)。
【0141】
一方、注目軸が実況条件を満たしていないと判定されると(S506でNO)、汎用軸の実況データから検出されたゲーム場面に対応する実況内容が特定される。ここで、S506、S511、S514、又はS516に示す注目軸が実況条件を満たすか否かについては、まず、優先度が1位の注目軸が実況条件を満たすか否かが判定され、満たさなければ、優先度が2位の注目軸が実況条件を満たすか否かが判定され、満たしていなければ、優先度が3位の注目軸が実況条件を満たすか否かが判定される。
【0142】
S509において、実況内容報知部303は、S503、S505、S507、S508、S512、S513、S515、S517のいずれかで特定された実況内容をプレーヤに報知する。以後、試合中は図17に示す処理が繰り返され、試合軸、予想軸、注目軸、汎用軸の順で実況条件が判定され、実況条件を満たす実況軸に対応する実況データにしたがった実況が行われる。
【0143】
図19は、注目軸を再決定する際の処理を示すフローチャートである。まず、実況軸決定部301は、着目点情報の変更を検出すると(S601でYES)、注目軸を再決定する必要があるか否かを判定する(S602)。ここで、着目点情報は、例えば、選手交代があった場合、得点が入った場合等に更新される。例えば、注目軸として、タイトル争いしている選手が使用されている場合において、その選手が交代した場合に再決定する必要があると判定される。また、所定イニング(例えば、3回)経過時に、例えば、先発投手が完全試合又は好投を継続している場合、注目軸を再決定する必要があると判定される。
【0144】
一方、着目点情報が変更されない場合(S601でNO)、又は注目軸を再決定する必要がないと判定された場合(S602でNO)、処理が終了される。次に、更新された着目点情報にしたがって注目軸の各候補に対して優先度が再設定される(S603)。例えば、所定イニング経過時に、先発投手が完全試合又は好投を継続しているような場合、完全試合継続中及び先発好投中の優先度が高く設定される。
【0145】
次に、S603で優先度が再設定された注目軸の各候補のうち、優先度が1位〜3位の注目軸が試合に使用する注目軸として再決定される(S604)。これにより、例えば、先発投手が好投を継続しているような場合、完全試合継続中や先発好投中が試合に使用する注目軸として決定される可能性が高まる。このように、注目軸を再決定することで、ゲーム展開に応じて適切な注目軸を用いた実況を行うことができ、実況のリアル性を増すことができる。
【0146】
次に、実況内容の実例について図20〜図22を用いて説明する。なお、図20〜図22において、軸実況とは本実施の形態における実況内容を示し、セリフありとは実況条件を満たすことを示している。図20は実況内容の実例1を示した図である。実例1では、試合軸としてAクラス争い、予想軸としてエース対決、注目軸として勝敗に注目が決定されている。
【0147】
そして、実例1では、実況開始時のゲーム場面において試合軸及び予想軸が実況条件を満たしているため、Aクラス争い及びエース対決の実況データにしたがって実況内容が決定されている。ここでは、“本日はAクラス争い、***(チーム名)対***(チーム名)の対決です。負けられない一戦、先発は共に球界を代表するエース、***(選手名)と***(選手名)です!この二人見たさに、球場は超満員となっています。もう言葉は要らないかもしれません。この対決をじっくりと楽しみましょう!”と実況される。
【0148】
一方、従来では、“***(チーム名)対***(チーム名)の第20回戦の模様をお伝えいたします。***(チーム名)の先発は***(選手名)、***(チーム名)の先発は***(選手名)となっています。まもなく、試合開始です。”というように実況されていた。
【0149】
このように、従来では、単に試合の内容を報知するだけであるが、本実施の形態では、Aクラス争いやエース対決というような文言が採用され、先発投手や対戦する両チームの順位等を考慮に入れた実況が行われていることが分かる。
【0150】
また、実例1ではゲーム場面が4回開始時において、予想軸が実況条件を満たしているため、予想軸にしたがって実況内容が決定されている。ここでは、“序盤終わって、ここまでは両エースとも素晴らしいピッチング!***(解説者名)さん、エースと一口に言いますが、エースに求められることって何でしょう?(解説者)まず勝つこと、ですよね。エースである以上、勝利することが絶対ですよ。なるほど、それがエースであることの条件なんですね。”と実況される。
【0151】
一方、従来では、“序盤終わって、0対0です。(解説者)序盤は完璧なピッチングと言ってもいいでしょう。はい、ここまでは文句のつけようのないマウンドとなっています”と実況されていた。
【0152】
このように、従来に比べて本実施の形態では、エースという文言が用いられ、エースによる投げ合いであることが強調された実況内容になっている。
【0153】
図21は、実例1の他のゲーム場面における実況内容の一例を示した図である。図21では、6回のウラ終了時のゲーム場面における実況内容が示されている。また、先発投手が被安打0、四死球0を継続しているため、完全試合継続中が新たに注目軸として追加されている。そして、注目軸の完全試合継続中が実況条件を満たしているため、完全試合継続中にしたがって実況内容が決定されている。
【0154】
ここでは、“6回終わって***(投手名)、パーフェクトピッチング継続中です!球場にいるお客さんもざわつき始めています。はたして、大記録達成はなるんでしょうか!”と実況されている。一方、従来では、“6回終わって0対0。試合は7回の表に入ります。”と実況されていた。
【0155】
このように、従来に比べて本実施の形態では、パーフェクトピッチング継続中というような文言が用いられ、先発投手が完全試合を達成できるか否かを考慮にいれた実況が行われている。
【0156】
図22は、実況内容の実例2を示した図である。実例2では、試合軸としてAクラス争い、予想軸としてエース対決、注目軸として勝敗に注目及びタイトル争い選手が用いられている。3回に先制ホームランを打った時のゲーム場面において試合軸が実況条件を満たしているため、Aクラス争いの実況データにしたがって実況内容が決定されている。ここでは、“ホームラン!負けられないこの試合、大きな、大きな1点が入りました!”と実況されている。一方、従来では、“ホームラン!このソロホームランで***(チーム名)が先制しています。”と実況されていた。
【0157】
このように、従来に比べて本実施の形態では、“負けられない試合”というような文言が採用され、Aクラス争いを考慮に入れた実況が行われている。
【0158】
また、実例2では、タイトル争いをしている選手がヒットを打ったときのゲーム場面において注目軸のタイトル争い選手(打率王)が実況条件を満たしているため、タイトル争い選手(打率王)の実況データにしたがって実況内容が決定されている。ここでは、“センター前ヒット!首位打者争い中の***(選手名)、ヒットで打率を上げています!”と実況されている。一方、従来では“センター前ヒット。この回2アウトから、ランナーが出ています。”と実況されていた。このように従来に比べて本実施の形態では、打率王が射程圏内にある選手がヒットを打った場合、そのことが分かるような実況が行われている。
【0159】
以上の例から分かるように、本実施の形態では、従来に比べて種々の切り口にしたがった多面的な実況が行われており、実況のリアル性が増していることが分かる。
【0160】
なお、上記実施形態では、野球ゲームを例にとり説明したが、実況アナウンスが採用され得るゲームであれば、分野を問わず適用が可能である。例えば、サッカー、テニス、バレーボール、バスケットボールといったスポーツ競技に関するゲームや、ボクシング、柔道、空手といった格闘技に関するゲーム、さらに、競馬ゲーム、解説付きの麻雀ゲーム、RPG等に適用可能である。
【0161】
例えば、競馬ゲームに対して、本発明を適用する場合を想定すると、以下のような対応関係をとってゲームに搭載することができる。
【0162】
ゲーム全体の実況方針に関する第1実況軸として、ジャパンカップ(G1)、地方競馬のいずれか、あるいはジャパンカップの中のいずれかのレースを選択することが考えられる。ゲーム展開の予測に関する第2実況軸としては、優勝馬または上位入賞馬のレース予想等が、またゲームにおいて発生したイベントに関する第3実況軸としては、追い上げる馬のごぼう抜きの数が所定数を超えた場合、あるいは落馬や大穴の発生等を選択することが考えられる。このような構成における実況アナウンスとしては、例えば以下のような流れを取り得る。
【0163】
例えば、第1実況軸として、ジャパンカップのレースとすることで、このゲームについては、特にファンの注目度や期待が大きいレースと位置づけられる。この点はゲーム全体のアナウンスに反映される。そして、第2実況軸として予想されていた優勝馬が振るわず、大穴の馬がトップに立つと、従来の実況であれば、「これは予想外!A馬がトップに躍り出ました。」といった実況が、本発明によれば、「B馬(優勝予想馬)が後退!全国のファンの悲鳴と怒号が沸き起こります!代わって、何とA馬がトップへ!」というように、レース全体(ジャパンカップ)の流れを汲みながら、ゲーム展開の予想が外れた場合のイベント(大穴)に関するアナウンスが行われる。
【0164】
逆に、優勝予想馬が予想通りにトップを走る場合には、従来の実況であれば、「予想通りの展開です。B馬(優勝予想馬)が強い。」といった実況が、本発明によれば、「全国のファンの夢と期待を背負って、B馬トップを疾走!予想通りの力強い走りです!」というように、やはりレース全体の流れを汲みながら、ゲーム展開の予想通りであった場合のアナウンスが行われる。
【0165】
さらにまた、トップを走っていたB馬(優勝予想馬)がゴール前で、他のC馬に抜かされる場合、従来の実況であれば、「C馬、怒涛の追い上げです!逆転なるか!」といった実況が、本発明によれば、「C馬、奇跡の逆転か!B馬ファンのG1制覇の夢、ここで散るのか!」となる。
【0166】
このいずれのアナウンスにおいても、試合全体を通して変わらない点(ジャパンカップ)を反映させるようにしているので、発生するイベントが異なっても、また、ゲーム内の時間が経過しても、一貫性のあるアナウンスの流れが維持され、自然でリアル感に満ちたゲームを実現できる。
【符号の説明】
【0167】
301 実況軸決定部
302 実況内容決定部
303 実況内容報知部
304 着目点入力部
305 ゲーム場面検出部
306 実況軸候補記憶部
307 実況データ記憶部
308 ゲーム進行制御部
309 着目点情報記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤからの操作指令に基づき進行されるゲームの状況を実況する機能を備えたゲーム装置であって、 ゲーム内容に対する着目点に基づき、予め設定された複数の実況軸候補の中から少なくともゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸と、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とを決定する実況軸決定部と、
各実況軸に対応し、前記ゲーム場面に応じた実況内容が規定された実況データを記憶する実況データ記憶部と、
前記実況軸決定部によって決定された実況軸の中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす1つの実況軸又は少なくとも前記ゲーム全体の実況軸を含む複数の実況軸を決定し、決定した実況軸に対応する実況データに基づいて、実況内容を決定する実況内容決定部と、
前記実況内容決定部で決定された実況内容をプレーヤに報知する実況内容報知部とを備えるゲーム装置。
【請求項2】
前記ゲーム全体の実況軸は、前記ゲーム場面によって変わることのない、ゲーム全体の実況方針に関する第1実況軸とゲーム展開の予測に関する第2実況軸とを含み、
前記ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸は、ゲームにおいて発生したイベントに関する第3実況軸を含み、
前記実況軸決定部は、前記第1〜第3実況軸のそれぞれにつき、予め定められた複数の実況軸候補の中から前記第1〜第3実況軸を決定する請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記実況内容決定部は、前記実況条件を満たす実況軸を前記第1〜第3実況軸の順で判定し、前記実況条件を満足する1つの実況軸又は少なくとも前記第1、第2実況軸のいずれか一方を含む複数の実況軸に対応する実況データに基づいて実況内容を決定する請求項2記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記実況軸決定部は、前記第3実況軸の実況軸候補のそれぞれに対して優先度を設定し、前記優先度が高い所定個数の実況軸候補を前記第3実況軸として決定し、
前記実況内容決定部は、前記第3実況軸において前記実況条件を満たす1又は複数の実況軸を前記優先度の高い順に判定する請求項3記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記着目点は、ゲームの進行中に変動し得るものであり、
前記実況軸決定部は、前記ゲームの進行中に前記着目点が変更された場合、変更後の着目点に基づいて、前記第3実況軸の実況軸候補のそれぞれにつき、優先度を再設定し、優先度が高い所定個数の実況軸候補を前記第3実況軸として再決定する請求項4記載のゲーム装置。
【請求項6】
着目点を指定するためのプレーヤの入力指示を受け付ける着目点入力部を更に備え、
前記実況軸決定部は、プレーヤにより指定された着目点に関連する前記第3実況軸の実況軸候補の優先度が高くなるように、前記第3実況軸の実況軸候補の優先度を設定する請求項4又は5記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記実況内容報知部は、音声、テキスト、及び画像のうち少なくともいずれか1つを用いて実況内容をプレーヤに報知する請求項1〜6のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記ゲームは、複数のチームによる試合をシミュレートしたゲームであり、
前記着目点は、ゲーム空間における試合の位置づけ、前記チームに関する情報、及びチームを構成する選手に関する情報を含む請求項1〜7のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項9】
プレーヤからの操作指令に基づき進行されるゲームの状況を実況する機能をゲーム装置が実行するゲーム制御方法であって、
前記ゲーム装置が、ゲーム内容に対する着目点に基づき、予め設定された複数の実況軸候補の中から少なくともゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸と、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とを決定する実況軸決定ステップと、
前記ゲーム装置が、前記実況軸決定ステップによって決定された実況軸の中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす1つの実況軸又は少なくとも前記ゲーム全体の実況軸を含む複数の実況軸を決定し、前記ゲーム場面に応じた実況内容が規定された実況データであって、決定した実況軸に対応する予め記憶された実況データに基づいて、実況内容を決定する実況内容決定ステップと、
前記ゲーム装置が、前記実況内容決定ステップで決定された実況内容をプレーヤに報知する実況内容報知ステップとを備えるゲーム制御方法。
【請求項10】
プレーヤからの操作指令に基づき進行されるゲームの状況を実況する機能をコンピュータに実現させるゲーム制御プログラムであって、
ゲーム内容に対する着目点に基づき、予め設定された複数の実況軸候補の中から少なくともゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸と、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とを決定する実況軸決定部と、
各実況軸に対応し、前記ゲーム場面に応じた実況内容が規定された実況データを記憶する実況データ記憶部と、
前記実況軸決定部によって決定された実況軸との中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす1つの実況軸又は少なくとも前記ゲーム全体の実況軸を含む複数の実況軸を決定し、決定した実況軸に対応する実況データに基づいて、実況内容を決定する実況内容決定部と、
前記実況内容決定部で決定された実況内容をプレーヤに報知する実況内容報知部としてコンピュータを機能させるゲーム制御プログラム。
【請求項1】
プレーヤからの操作指令に基づき進行されるゲームの状況を実況する機能を備えたゲーム装置であって、 ゲーム内容に対する着目点に基づき、予め設定された複数の実況軸候補の中から少なくともゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸と、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とを決定する実況軸決定部と、
各実況軸に対応し、前記ゲーム場面に応じた実況内容が規定された実況データを記憶する実況データ記憶部と、
前記実況軸決定部によって決定された実況軸の中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす1つの実況軸又は少なくとも前記ゲーム全体の実況軸を含む複数の実況軸を決定し、決定した実況軸に対応する実況データに基づいて、実況内容を決定する実況内容決定部と、
前記実況内容決定部で決定された実況内容をプレーヤに報知する実況内容報知部とを備えるゲーム装置。
【請求項2】
前記ゲーム全体の実況軸は、前記ゲーム場面によって変わることのない、ゲーム全体の実況方針に関する第1実況軸とゲーム展開の予測に関する第2実況軸とを含み、
前記ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸は、ゲームにおいて発生したイベントに関する第3実況軸を含み、
前記実況軸決定部は、前記第1〜第3実況軸のそれぞれにつき、予め定められた複数の実況軸候補の中から前記第1〜第3実況軸を決定する請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記実況内容決定部は、前記実況条件を満たす実況軸を前記第1〜第3実況軸の順で判定し、前記実況条件を満足する1つの実況軸又は少なくとも前記第1、第2実況軸のいずれか一方を含む複数の実況軸に対応する実況データに基づいて実況内容を決定する請求項2記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記実況軸決定部は、前記第3実況軸の実況軸候補のそれぞれに対して優先度を設定し、前記優先度が高い所定個数の実況軸候補を前記第3実況軸として決定し、
前記実況内容決定部は、前記第3実況軸において前記実況条件を満たす1又は複数の実況軸を前記優先度の高い順に判定する請求項3記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記着目点は、ゲームの進行中に変動し得るものであり、
前記実況軸決定部は、前記ゲームの進行中に前記着目点が変更された場合、変更後の着目点に基づいて、前記第3実況軸の実況軸候補のそれぞれにつき、優先度を再設定し、優先度が高い所定個数の実況軸候補を前記第3実況軸として再決定する請求項4記載のゲーム装置。
【請求項6】
着目点を指定するためのプレーヤの入力指示を受け付ける着目点入力部を更に備え、
前記実況軸決定部は、プレーヤにより指定された着目点に関連する前記第3実況軸の実況軸候補の優先度が高くなるように、前記第3実況軸の実況軸候補の優先度を設定する請求項4又は5記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記実況内容報知部は、音声、テキスト、及び画像のうち少なくともいずれか1つを用いて実況内容をプレーヤに報知する請求項1〜6のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記ゲームは、複数のチームによる試合をシミュレートしたゲームであり、
前記着目点は、ゲーム空間における試合の位置づけ、前記チームに関する情報、及びチームを構成する選手に関する情報を含む請求項1〜7のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項9】
プレーヤからの操作指令に基づき進行されるゲームの状況を実況する機能をゲーム装置が実行するゲーム制御方法であって、
前記ゲーム装置が、ゲーム内容に対する着目点に基づき、予め設定された複数の実況軸候補の中から少なくともゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸と、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とを決定する実況軸決定ステップと、
前記ゲーム装置が、前記実況軸決定ステップによって決定された実況軸の中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす1つの実況軸又は少なくとも前記ゲーム全体の実況軸を含む複数の実況軸を決定し、前記ゲーム場面に応じた実況内容が規定された実況データであって、決定した実況軸に対応する予め記憶された実況データに基づいて、実況内容を決定する実況内容決定ステップと、
前記ゲーム装置が、前記実況内容決定ステップで決定された実況内容をプレーヤに報知する実況内容報知ステップとを備えるゲーム制御方法。
【請求項10】
プレーヤからの操作指令に基づき進行されるゲームの状況を実況する機能をコンピュータに実現させるゲーム制御プログラムであって、
ゲーム内容に対する着目点に基づき、予め設定された複数の実況軸候補の中から少なくともゲーム場面に応じて変わることのないゲーム全体の実況軸と、ゲーム場面に応じて変わり得る実況軸とを決定する実況軸決定部と、
各実況軸に対応し、前記ゲーム場面に応じた実況内容が規定された実況データを記憶する実況データ記憶部と、
前記実況軸決定部によって決定された実況軸との中から、ゲーム場面に応じた実況条件を満たす1つの実況軸又は少なくとも前記ゲーム全体の実況軸を含む複数の実況軸を決定し、決定した実況軸に対応する実況データに基づいて、実況内容を決定する実況内容決定部と、
前記実況内容決定部で決定された実況内容をプレーヤに報知する実況内容報知部としてコンピュータを機能させるゲーム制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−111178(P2013−111178A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259018(P2011−259018)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]