説明

コアシェル粒子及びその製造方法

【課題】金属粒子の表面に金属酸化物粒子が好適に被覆されたコアシェル粒子を製造する方法を提供する。
【解決手段】コア粒子となる金属粒子と、シェル源の金属酸化物粒子とが分散したスラリー状の噴霧液を噴霧し、該噴霧された液滴を加熱して噴霧乾燥を行い、噴霧乾燥後に得られた粒子を捕集する。前記噴霧乾燥にあたり、該噴霧液中の金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるような液性の状態で噴霧液が提供されることにより、金属粒子表面に金属酸化物粒子が均一に付着、被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属粒子と金属酸化物粒子とからなるコアシェル粒子、及びその製造方法に関する。特に、積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストに利用されるコアシェル粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気機器の小型化・高機能化に伴い、他のコンデンサに比べて小型且つ高容量である積層セラミックコンデンサが多用されている。積層セラミックコンデンサは、導電性粉末を含む内部電極層と誘電体層(セラミック層)とを交互に積層、焼成することによって作成される。また、かかる内部電極層および誘電体層は、積層セラミックコンデンサをさらに小型化させるために多層化、薄層化が強く求められている。
【0003】
近年、製造コストの削減を目的として、上記内部電極層の導電性粉末にニッケル(Ni)などの安価な卑金属が用いられている。しかし、卑金属粒子を用いてなる導電性粉末を含む内部電極層では、当該内部電極層に隣接する誘電体層との熱収縮率の差が大きくなりやすい。このため、上記薄層化に伴って、内部電極層にクラックが生じやすくなる虞がある。かかる内部電極層のクラック発生を防止する技術として、内部電極層の導電性粉末に、卑金属粒子を金属酸化物(典型的には誘電体層を構成する金属酸化物)で被覆したコアシェル粒子を用いることが提案されている。かかるコアシェル粒子を用いてなる導電性粉末を含む内部電極層では、単なる卑金属粒子を用いてなる内部電極層に比べて、上記誘電体層との熱収縮率の差が小さくなり得るので、クラックの発生が抑制され得る。
【0004】
積層セラミックコンデンサの内部電極層形成用の導電性粉末を改良することによって、上記クラックの発生を抑制する技術の一例が、特許文献1および2に開示されている。特許文献1では、表面の少なくとも一部に複合酸化物を有するニッケル粉末とその製造方法が開示されている。一方、特許文献2では、チタン酸バリウムで表面修飾されたニッケル微粉とその製造方法が開示されている。なお、当該技術分野に関わるその他の文献として特許文献3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−124602号公報
【特許文献2】特開2001−131602号公報
【特許文献3】特開平6−96989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献1および2に開示されているニッケル粉末は、上述した内部電極層等のクラック発生を十分に抑制することができるコアシェル粒子ではない。すなわち、上記文献1で開示されたニッケル粉末は、(a)熱分解性のニッケル化合物の1種又は2種以上と、(b)熱分解性のカルシウム化合物、ストロンチウム化合物及びバリウム化合物の1種又は2種以上と、(c)熱分解性のチタン化合物及びジルコニウム化合物の1種又は2種以上と、を含む溶液を微細な液滴にし、その液滴を上述した化合物の分解温度より高い温度で加熱するというプロセスで製造される。一方、上記文献2に開示されたニッケル微粉は、可溶性チタン化合物と可溶性バリウム化合物とを含む溶液を調製し、当該溶液とニッケル粉末とを接触させたものを乾燥するというプロセスで製造される。
これらの製造方法によって製造された粒子では、上述したチタン酸バリウムなどの金属酸化物が凝集する虞がある。金属酸化物粒子が凝集すると、金属粒子の表面全体に亘って均質に金属酸化物粒子を被覆させることが難しくなる。
【0007】
本発明は、かかる問題点を鑑みてなされたものであり、金属粒子の表面全体に亘って金属酸化物粒子が均質に被覆されたコアシェル粒子を製造できるコアシェル粒子の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる製造方法によって得られるコアシェル粒子を提供することを他の目的とする。さらに、そのようなコアシェル粒子を用いた積層セラミックコンデンサの内部電極形成用材料(典型的にはペースト状に調製された材料)、及び、該材料を用いてなる内部電極層を備えた積層セラミックコンデンサを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を実現するべく、本発明によって、コア粒子となる金属粒子(本明細書中において、粒子とは、微粒子、粉体を包含する。以下同じ。)と、該金属粒子の表面の少なくとも一部に金属酸化物粒子が被覆されたシェルとから構成されるコアシェル粒子を製造する方法が提供される。本発明により提供されるコアシェル粒子の製造方法は、
(1)コアとなる金属粒子とシェル源の金属酸化物粒子とが分散したスラリー状の噴霧液を用意すること;
(2)噴霧液を噴霧し、該噴霧された液滴を加熱して噴霧乾燥を行うこと;および
(3)噴霧乾燥後に得られた粒子を捕集すること;
を包含している。ここで、本発明は、上記噴霧乾燥にあたり、該噴霧液中の金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるような液性の状態で噴霧液が提供されることを特徴とする。
【0009】
本発明者は、異なる2種の粒子の混合系において、各々の粒子の表面電荷(例えばゼータ電位)に着目し、かかる電位差を制御することによりコアとなる金属粒子の表面をシェル源の金属酸化物粒子で均質に被覆することができると想到し、本発明を創作した。
本発明のコアシェル粒子の製造方法では、上記噴霧乾燥にあたり、噴霧液中の金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるような液性の状態で噴霧液が提供されることを特徴とする。本発明によると、噴霧乾燥中での金属粒子と金属酸化物粒子との表面電荷が互いに異符号になっているので、噴霧液中で金属粒子と金属酸化物粒子とがお互いに引き寄せ合う。この結果、噴霧乾燥を行う前の噴霧液の液中で、金属粒子の表面に好適に金属酸化物の付着を生じさせることができる。このため、かかる噴霧液を噴霧乾燥すると、金属粒子の表面全体に亘って金属酸化物粒子が均質に被覆された好適なコアシェル粒子を得ることができる。
【0010】
また、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法の好ましい一つの態様では、噴霧液は、噴霧乾燥にあたり、該噴霧液中の金属粒子または金属酸化物粒子のうちのどちらか一方のゼータ電位が正となり、且つ他方のゼータ電位が負となるようなpHの状態で提供される。
かかる態様によれば、噴霧乾燥にあたり、該噴霧液中の金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となる好ましい液性の状態の噴霧液を容易に提供することができる。
【0011】
また、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法の好ましい一つの態様では、噴霧液の液滴は、炉内温度が段階的に変化するように設定されている噴霧乾燥炉内を、低温側から高温側に向けて輸送されながら加熱される。
金属粒子と金属酸化物粒子は、噴霧されて液滴となった噴霧液中で分散する。この際、各々の粒子が十分に分散するまでにはある程度の時間を要する。上記態様によれば、各々の粒子が液滴中で十分に分散してから液滴が乾燥されるので、好適なコアシェル粒子をより効率よく作製することができる。
【0012】
また、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法のさらに好ましい一つの態様は、上記炉内温度が、100℃以上1000℃以下の範囲内で変化するように設定されていることを特徴とする。かかる態様によれば、好適なコアシェル粒子をさらに効率よく作製することができる。
【0013】
また、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法のさらに好ましい一つの態様は、金属粒子100質量部に対して、金属酸化物粒子が1質量部〜100質量部の割合で噴霧液に含まれることを特徴とする。かかる態様によれば、好適なコアシェル粒子をより効率よく作製することができる。
【0014】
また、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法のさらに好ましい一つの態様では、金属酸化物粒子として、金属粒子の平均粒子径に対して2分の1以下の平均粒子径を有するものを用いる。
かかる態様によれば、金属粒子の表面に金属酸化物粒子が緻密に配置されやすくなるので、より好適なコアシェル粒子を作製することができる。
なお、本明細書中において「平均粒子径」は、電子顕微鏡による観察(例えば走査型電子顕微鏡の画像処理)を行うことによって測定、算出した平均粒子径をいう。
【0015】
また、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法のさらに好ましい一つの態様では、金属粒子としてニッケル粒子を用いるとともに、金属酸化物粒子としてチタン酸バリウム粒子を用いる。
かかる態様によれば、ニッケル粒子の表面全体に亘ってチタン酸バリウム粒子が均質に被覆されたNi/BTコアシェル粒子を得ることができる。
【0016】
また、本発明は、他の側面として、ここで開示される製造方法により製造されるコアシェル粒子を提供する。該コアシェル粒子は、金属粒子の表面全体に亘って金属酸化物粒子が均質に被覆されている。
【0017】
また、例えばここで開示されるコアシェル粒子の典型例として、コア粒子となるニッケル粒子と、シェル源として該ニッケル粒子の表面の少なくとも一部を被覆するチタン酸バリウムと、から構成されるコアシェル粒子(以下、説明の便宜上、「Ni/BTコアシェル粒子」と称する。)が挙げられる。該Ni/BTコアシェル粒子は、熱機械分析(TMA)に基づいて測定した熱収縮率の挙動がチタン酸バリウム粒子の熱収縮率挙動に近似するという特徴を有している。
【0018】
また、本発明は、他の側面として、上述したコアシェル粒子を、ペースト状(スラリー状、インク状を包含する。以下同じ。)になるように所定の分散媒体に分散させてなる導体形成用組成物(以下、「導体ペースト」という。)を提供する。この導体ペーストと、金属酸化物からなる誘電体層とを積層させると、電子部品の内部電極層を作製することができる。かかる内部電極層は導体ペーストと誘電体層との熱収縮率の差が小さくなっているので、内部電極層を焼成する際に生じ得るクラックの発生を抑制することができる。
【0019】
また、本発明は、他の側面として、上述した導体形成用組成物(導体ペースト)を用いて形成された内部電極層を備える積層セラミックコンデンサを提供する。かかる積層セラミックコンデンサでは、内部電極層の熱収縮が抑制されているため、焼成時における内部電極層のクラック発生の抑制や、内部電極層の薄層化が実現可能となる。したがって、本発明によると、積層セラミックコンデンサの小型化を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来のコアシェル粒子の製造方法において、噴霧液中の金属粒子及び金属酸化物粒子の状態を模式的に示した図。
【図2】従来のコアシェル粒子の製造方法にて製造された粒子を模式的に示した図。
【図3】本発明の一実施形態にかかるコアシェル粒子の製造方法において、噴霧液中の金属粒子及び金属酸化物粒子の状態を模式的に示した図。
【図4】本発明の一実施形態にかかるコアシェル粒子の製造方法で製造されたコアシェル粒子を模式的に示した図。
【図5】本発明の一実施形態にかかる積層セラミックコンデンサを模式的に示した部分断面図である。
【図6】本発明の一実施形態において、噴霧乾燥を行うために用いる噴霧乾燥装置を模式的に示した図。
【図7】サンプル1のSEM写真。
【図8】サンプル2のSEM写真。
【図9】サンプル3のSEM写真。
【図10】サンプル4のSEM写真。
【図11】サンプル5のSEM写真。
【図12】サンプル6のSEM写真。
【図13】サンプル7のSEM写真。
【図14】サンプルAのSEM写真。
【図15】サンプルBのSEM写真。
【図16】サンプル2及び4のXRD結果を示した図。
【図17】サンプル4の噴霧液中におけるNi粒子及びBT微粒子のゼータ電位の測定結果を示したグラフ。
【図18】サンプル2の噴霧液中におけるNi粒子及びBT微粒子のゼータ電位の測定結果を示したグラフ。
【図19】TMA熱収縮挙動を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している以外の事項であって本発明の実施に必要な事柄(積層セラミックコンデンサの製造プロセスなど)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。すなわち、本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0022】
本発明のコアシェル粒子の製造方法は、噴霧乾燥において、噴霧液中の金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるような液性の状態で噴霧液が提供されることによって特徴づけられるものであり、上記製造方法における他のプロセスは、種々の基準に照らして任意に決定することができる。
【0023】
ここで開示される製造方法によって得られるコアシェル粒子は、コア粒子となる金属粒子と、該金属粒子の表面の少なくとも一部を被覆するシェルとなる金属酸化物粒子とから実質的に構成される。
【0024】
コア粒子となる金属粒子は、導電性粉末として使用できるものが好ましく、例えば、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの貴金属や、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの卑金属、さらに上述したような金属を含んだ合金などを用いることができる。なお、製造コストを考慮した場合、貴金属よりも卑金属(例えばニッケル)の粒子の方が該金属粒子として特に好ましく用いることができる。また、本発明を特に限定するものではないが、金属粒子の形状は略球形が好ましく、その平均粒子径は、例えば、10nm〜500nmが適当であり、好ましくは50nm〜200nm、より好ましくは約100nmであるとよい。
【0025】
一方、シェルとなる金属酸化物粒子は、誘電体として使用できるものが好ましく、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)などを用いることができ、特にチタン酸バリウムを好ましく用いることができる。また、本発明を特に限定するものではないが、金属酸化物粒子も球状のものが好ましく、その平均粒子径は、例えば、1nm〜100nmが適当であり、好ましくは10nm〜50nm、より好ましくは約20nmであるとよい。また、金属酸化物粒子と上記金属粒子との平均粒子径を比較した場合に、金属酸化物粒子の平均粒子径が金属粒子の平均粒子径の2分の1以下、好ましくは3分の1以下、より好ましくは4分の1以下(例えば、10分の1以上4分の1以下)であることが好ましい。
【0026】
なお、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法で用いられる材料たる金属粒子および金属酸化物粒子、それ自体の作製方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。該作成方法として、例えば、周知の還元析出法、気相反応法、ガス還元法などを用いることができる。さらに、上述した金属粒子および金属酸化物粒子は、一般に市販されているものを用いることもできる。
【0027】
次に、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法の各製造プロセスを説明する。かかるコアシェル粒子の製造方法では、先ず、コア粒子となる上記金属粒子とシェル源となる上記金属酸化物粒子とが分散したペースト状の噴霧液を用意する。この際、金属粒子と金属酸化物粒子とを分散させる分散媒は、金属粒子と金属酸化物粒子とを分散させることができればよく、種々の液体を用いることができる。ここで、分散媒の一例として、酢酸ブチル、エタノール、アセトン、酢酸エチルなどを挙げることができる。これらの中でも、金属粒子と金属酸化物粒子の分散性と、後述する噴霧乾燥に適した粘度とを考慮すると、特に酢酸ブチルを好ましく用いることができる。
また、上記噴霧液を用意するにあたり、金属粒子100質量部に対して、上記金属酸化物粒子が1質量部〜200質量部の割合で含まれているとよく、より好ましくは1質量部〜100質量部、さらに好ましくは1質量部〜50質量部(例えば3質量部〜30質量部、特には3質量部〜25質量部)の割合で含まれているとよい。
なお、噴霧液は、上述のように各材料から調整することによって用意してもよいし、所望の条件で予め調製されたものを購入するなどの方法で用意してもよい。
【0028】
次に、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法では、噴霧液を噴霧し、該噴霧された液滴を加熱して噴霧乾燥を行う。なお、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法では、上記噴霧乾燥にあたり、噴霧液中の金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるような液性の状態で噴霧液を提供することを特徴とする。以下、かかる特徴について、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法における噴霧液中の粒子の状態を、従来のコアシェル粒子の製造方法における噴霧液中の粒子の状態と対比しながら説明する。
なお、本明細書中における「粒子の表面電荷」とは、粒子自体の表面に帯電している電気のみを指すものではなく、粒子と分散媒との界面付近に形成された電気二重層のすべり面の電荷(その電位を「ゼータ電位」として表すことができる。)を含む概念である。
【0029】
従来のコアシェル粒子の製造方法では、噴霧液中において、コアとなる金属粒子およびシェル源となる金属酸化物粒子の表面電荷が共に同符号となっている。このため、従来のコアシェル粒子の製造方法では、調製した噴霧液中で金属粒子と金属酸化物粒子とが互いに反発し合う。このような液性の状態の噴霧液を噴霧乾燥すると、噴霧液中の分散媒の蒸発に伴って粒子同士が付着するが、金属粒子と金属酸化物粒子とが互いに反発しているため、金属粒子同士や金属酸化物粒子同士での凝集が生じる虞がある。すなわち、従来の製造方法では、金属粒子の表面を金属酸化物粒子が均質に被覆した好適なコアシェル粒子を製造することが難しくなっている。
【0030】
一方、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法は、噴霧液中の金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるように噴霧液の液性が調整されることを特徴としている。かかる特徴によって、調製した噴霧液中で金属粒子と金属酸化物粒子とがお互いに引き寄せ合い、金属粒子表面の露出した箇所に金属酸化物粒子が付着する。この場合、噴霧乾燥を行う前に金属粒子の表面が金属酸化物粒子に覆われているので、噴霧乾燥することによって金属粒子の表面を金属酸化物粒子が均質に被覆した好適なコアシェル粒子を製造することができる。
【0031】
かかる事象を、金属粒子にニッケル粒子N、金属酸化物粒子にチタン酸バリウム粒子BTを用いた場合を例に挙げて詳しく説明する。図1に示すように、従来のコアシェル粒子の製造方法では、ニッケル粒子Nの表面電荷Neおよびチタン酸バリウム粒子BTの表面電荷BTeは、噴霧液中で両方ともマイナスになっている。このため、ニッケル粒子Nとチタン酸バリウム粒子BTとが噴霧液中で反発し合い、噴霧乾燥した際に同種類の粒子同士で凝集する虞がある(図2参照)。この場合、コアとなる金属粒子(ニッケル粒子N)の表面が露出してしまうので、金属粒子の表面を金属酸化物粒子が均質に被覆した好適なコアシェル粒子が作製されたとは言い難い。
これに対して、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法では、図3に示すように、ニッケル粒子Nの表面電荷Neがプラスになり、チタン酸バリウム粒子BTの表面電荷BTeがマイナスになるように噴霧液の液性を調整する。これによって、噴霧液中でニッケル粒子Nとチタン酸バリウム粒子BTとがお互いに引き寄せ合い、ニッケル粒子N表面の露出した箇所にチタン酸バリウム粒子BTが付着する。この場合、噴霧乾燥を行う前にニッケル粒子Nの表面がチタン酸バリウム粒子BTに覆われているので、噴霧乾燥することによってニッケル粒子Nの表面をチタン酸バリウム粒子BTが均質に被覆した好適なコアシェル粒子を製造することができる(図4参照)。
【0032】
また、金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるように噴霧液の液性を調整する方法としては、種々の方法を用いることができ、特に限定されない。この噴霧液の液性を調整する方法の好ましい一つの態様として、噴霧乾燥にあたり、噴霧液のpHを調整して、噴霧液中の金属粒子または金属酸化物粒子のうちのどちらか一方のゼータ電位が正となり、且つ他方のゼータ電位が負となるように噴霧液の液性を調整することができる。かかる態様によると、金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるように液性が調整された噴霧液を、噴霧乾燥に容易に提供することができる。
例えば、金属粒子としてニッケル粒子(以下、Ni粒子)、金属酸化物粒子としてチタン酸バリウム微粒子(以下、BT微粒子)を用いた場合、噴霧液のpHはアルカリ性(例えばpH8〜pH12、好ましくはpH9〜pH11、より好ましくはpH10程度)に調整するとよい。これによって、Ni粒子のゼータ電位がプラスになり、BT微粒子のゼータ電位がマイナスのまま維持することができる。
なお、かかるpH調整の方法は、特に制限されず、例えば、共アルカリ性の溶液(例えば、アンモニア水など)を分散媒に加えるとよい。
【0033】
次に、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法では、上述のように液性が調整された噴霧液を噴霧し、該噴霧された液滴を加熱して噴霧乾燥を行う。かかる噴霧乾燥では、例えば、上記噴霧液を霧化し、微細な液滴にした後に該液滴を乾燥させる噴霧乾燥炉の内部に噴霧する。そして、霧化した噴霧液を適当な温度(例えば、最高加熱温度が400℃以上、典型的には400℃〜1000℃程度)で加熱する。
【0034】
また、本発明のより好ましい態様として、噴霧液滴は、炉内温度が段階的に変化するように設定されている噴霧乾燥炉内を、低温側から高温側に向けて輸送されながら加熱されるとよい。例えば、50℃以上1000℃以下、好ましくは50℃以上900℃以下、より好ましくは、50℃以上700℃以下(例えば100℃以上500℃以下)の範囲内で段階的に昇温している噴霧乾燥炉内を、低温側から高温側に向けて輸送するとよい。この場合、噴霧液中で各粒子が十分に分散してから液滴を乾燥させることができる。
【0035】
上述した噴霧乾燥によって、噴霧液中の分散媒が蒸発し、噴霧液中に分散していた粒子が生成される。ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法では、上述したように、噴霧液中の金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるような液性の状態で、噴霧液が噴霧乾燥に提供されている。したがって、かかるコアシェル粒子の製造方法では、噴霧液を噴霧乾燥する前に、金属粒子の表面が金属酸化物粒子によって覆われているので、噴霧液中の分散媒が蒸発することによって金属粒子の表面全体に亘って均質に金属酸化物粒子が被覆された好適なコアシェル粒子が生成される。
【0036】
そして、ここで開示されるコアシェル粒子の製造方法では、次に、上記噴霧乾燥後に得られた粒子を捕集する。かかる粒子を捕集する方法は、従来の方法を用いることができ、本発明を特に限定するものではない。例えば、生成された粒子をフィルタの目でトラップするなどの方法で、粒子を捕集することができる。
【0037】
以上、本発明の好適な実施形態となる、コアシェル粒子の製造方法について説明した。上述のように、かかる製造方法では、噴霧乾燥にあたり、噴霧液中の金属粒子の表面電荷と金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるような液性の状態で噴霧液を提供することによって、金属粒子の表面全体に亘って均質に金属酸化物粒子が被覆された好適なコアシェル粒子を製造することができる。
【0038】
また、本発明は、他の側面として、上述した製造方法により製造されるコアシェル粒子(微粒子群、すなわち粉体を含む。)を提供する。
【0039】
上述したように、このコアシェル粒子では、コア粒子となる金属粒子として、例えば、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの貴金属や、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの卑金属、さらに上述したような金属を含んだ合金などが好ましく用いられる。一方、シェルとなる金属酸化物粒子として、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)などが好ましく用いられる。
これらの中でも、コア粒子となる金属粒子としてニッケル粒子を用い、該ニッケル粒子の表面の少なくとも一部を被覆するシェルとしてチタン酸バリウム粒子を用いてなるNi/BTコアシェル粒子は、積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストに好ましく用いることができる。
また、かかるコアシェル粒子の粒径は、100nm〜1000nm、好ましくは、200nm〜800nm、典型的には400nm程度が好ましい。
また、後に実施例にて詳しく説明するが、かかるNi/BTコアシェル粒子では、Ni粒子の表面がBT微粒子によって均質に被覆されているので、熱機械分析(TMA)に基づく熱収縮率の挙動がBT微粒子(チタン酸バリウム粒子)と実質的に同じであるという特徴を有している。
【0040】
また、本発明は、他の側面として、上記コアシェル粒子をペースト状になるように、所定の分散媒体に分散させてなる導体形成用組成物(以下、「導体ペースト」と称する。)を提供する。
【0041】
ここでは、上記コアシェル粒子を使用する以外は、従来と同様の材料を採用して、導体ペーストを調整することができる。この導体ペーストは、上述したコアシェル粒子と、従来の導体ペーストに用いられている有機ビヒクル(媒質)などを含む流動体である。
上記有機ビヒクルは、有機バインダ及び有機溶剤などから構成されている。ここで、上記有機ビヒクルの構成成分として使用され得る有機バインダは、焼成時の脱バインダ処理(典型的には酸化雰囲気中での250℃〜500℃の加熱処理)によって蒸発除去(脱脂)することができるものを好ましく用いることができる。かかる観点から有機バインダには、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子や、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブラチール等を好適に用いることができる。
一方、上記有機ビヒクルの他の構成成分として使用され得る有機溶剤には、例えば、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤や、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤や、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、ターピネオール等の高沸点有機溶媒等を用いることができる。
また、上記導体ペーストには、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、重合禁止剤などの各種添加剤や、種々の酸化ガラス粉末を副成分として適宜添加することができる。これらの添加物は、従来の導体ペーストを調整する際に用いるものであればよく、詳細な説明は省略する。
【0042】
次に、上記導体ペーストを調整する手順について説明する。この導体ペーストは、コア粒子となる金属粒子の表面の少なくとも一部に金属酸化物粒子が被覆されたコアシェル粒子と、上述した有機ビヒクルとを混練(混和)することによって容易に調整することができる。ここで、当該導体ペーストの調整には非破壊分散を採用するとよい。かかる非破壊分散は、例えば、ジェットミル等の衝突型分散機のような非破壊型の分散機を用いて、コアシェル粒子と有機ビヒクルとを混練することによって実施できる。また、本発明を限定することを意図するものではないが、上記導体ペーストにおけるコアシェル粒子の含有率は、導体ペースト全体を100%とした場合に、30質量%〜70質量%(より好ましくは、40質量%〜60質量%)にするとよい。
【0043】
次に、本発明は、上述した導体形成用組成物(導体ペースト)を用いて形成された内部電極層を備える積層セラミックコンデンサも提供する。図5は、かかる積層セラミックコンデンサを模式的に示した断面図である。
図5に示すように、かかる積層セラミックコンデンサ200は、上記導体形成用組成物(導体ペースト)を用いてなる内部電極層220および誘電体層(セラミック層)210を交互に積層、焼成してなる電子部品本体250と、該電子部品本体250の外側に設けられた外部電極230とから構成されている。このとき、誘電体層210は、上述したコアシェル粒子の金属酸化物粒子で用いた金属酸化物(例えばチタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウムなど)を好ましく用いることが好ましい。
かかる積層セラミックコンデンサ200を構築するプロセスの概略を以下に述べる。先ず、上述の導体ペーストを、誘電体材料からなるグリーンシート上に塗布(印刷、転写を含む)する。
かかる導体ペースト塗布グリーンシートを複数枚作製した後、これらを積層、圧着することによって未焼成の積層チップを作製する。次いで、該積層チップを乾燥させた後に、所定の加熱条件(最高焼成温度が概ね1000℃〜1400℃、好ましくは1000℃〜1300℃、より好ましくは1000℃〜1200℃)で所定時間(最高焼成温度を維持する時間としては、例えば、10分〜2時間程度)加熱(焼成)する。これによって、内部電極層220と誘電体層210とが交互に積層した積層セラミックコンデンサ200の電子部品本体250が作成される。そして、この電子部品本体250の所望の箇所に外部電極形成用のペースト(上記導体ペーストと同じものでもよい)を塗布し、該外部電極形成用のペーストを焼成することによって外部電極230を形成する。このようにして、本発明の積層セラミックコンデンサ200を構築することができる。なお、上述した積層セラミックコンデンサ200の構築プロセスは、特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明を省略している。
【0044】
かかる積層セラミックコンデンサは、前述のように、内部電極層220の前駆物質である導体ペーストの構成材料にコア粒子となる金属粒子の表面を金属酸化物粒子が被覆したコアシェル粒子を用いている。以下の説明で詳しく述べるが、かかるコアシェル粒子を含む導体ペーストから作製された内部電極層220は、誘電体層210との熱収縮率の差が小さく、内部電極層220を薄層化させてもクラックが生じにくいため、小型化と耐久性の向上とを両立させた積層セラミックコンデンサ200を実現することができる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。また、上述したコアシェル粒子の製造方法における噴霧乾燥は、例えば、図6に模式的に示すような噴霧乾燥装置100を用いて行うことができる。噴霧乾燥装置100は、大まかにいって、上記噴霧液を噴霧する噴霧部10と、該噴霧された液滴を乾燥させる噴霧乾燥炉20とから構成されている。
【0046】
噴霧部10は、噴霧液を超音波によって噴霧する超音波噴霧器12と、当該超音波噴霧器12にキャリアーガスを供給するガス供給ユニット14とから構成されている。超音波噴霧器12は、従来公知の装置(オムロン社製、NE−U12型など)を用いることができ、例えば、周波数1.6MHz〜1.8MHzの超音波を生じさせることによって、噴霧液を霧化できるものが好ましい。ガス供給ユニット14は、例えば、流速0.2ml/min〜1.0ml/minでキャリアーガスを供給することができるものが好ましい。また、キャリアーガスには、金属粒子を酸化させない気体である不活性ガス(例えば、窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)など)を用いるとよい。さらに、キャリアーガスには、還元性気体(例えば、窒素(N)と水素(H)の混合気体など)を用いることもできる。
【0047】
噴霧乾燥炉20は、噴霧液を輸送させる内部空洞を有した輸送管22と、当該輸送管22の内部空洞を加熱するヒータ24とから構成されている。
輸送管22は、図6に示すように、内部空洞を有した筒状の部品であり、長手方向における一端が上記超音波噴霧器12に接続されている。特に限定するものではないが、輸送管22の長さtとしては、0.8m〜3m程度のものが適当であり、例えば1.2m〜2、0m程度のものを好ましく用いることができる。また、輸送管22の内径rとしては、5mm〜50mm程度のものが適当であり、例えば10mm〜20mm程度のものを好ましく用いることができる。
ヒータ24は、輸送管22の周方向を覆うように配置されている。このため、ヒータ24が発熱することによって、輸送管22の内部空洞が加熱される。また、図6に示す噴霧乾燥装置100では、ヒータ24は複数のヒータ部24a〜24eから構成されており、ヒータ部24a〜24eは輸送管22の長手方向に沿って連続して配置されている。複数のヒータ部24a〜24eのうち、第1ヒータ部24aは噴霧乾燥炉20(輸送管22)の入口側に配置されており、以下、噴霧乾燥炉20の出口側に向かって第2ヒータ部24b、第3ヒータ部24c、第4ヒータ部24d、第5ヒータ部24eの順に連続して配置されている。上記複数のヒータ部24a〜24eには電気加熱装置などを用いることができ、それぞれのヒータ部24a〜24eが独立して制御できるものであることが好ましい。これによって、噴霧乾燥炉20内部(輸送管22の内部空洞)の炉内温度を調整することができる。
【0048】
上述した噴霧乾燥装置100を用いて噴霧乾燥を行う手順を説明する。まず、噴霧乾燥装置100の噴霧部10に、噴霧液(図6中のL1)を供給する。これによって、噴霧液L1は噴霧部10の超音波噴霧器12によって霧化され、微細な噴霧液滴(図6中のL2)となる。この状態で、ガス供給ユニット14から超音波噴霧器12にキャリアーガスを供給すると、噴霧液滴L2が噴霧乾燥炉20(輸送管22)内に噴霧される。噴霧された噴霧液滴L2は、キャリアーガスの供給に伴い、噴霧乾燥炉20の上流側(即ち第1ヒータ部24a側)から下流側(即ち第5ヒータ部24e側)に向かって流動する。ここで、各々のヒータ部24a〜24eが噴霧乾燥炉20内部を加熱する温度を予め定めておく。
また、より好ましい態様では、噴霧乾燥を行う際に、上記ヒータ部24a〜24eのそれぞれを独立して制御し、噴霧乾燥炉20内部の温度を、噴霧乾燥炉20の上流側からから下流側に向かって段階的に昇温させるとよい。この場合、噴霧液滴L2は、上述のように設定された噴霧乾燥炉20の内部を、低温側から高温側に向けて輸送されながら加熱される。これによって、各粒子が噴霧液滴L2中で十分に分散してから液滴を乾燥することができる。
【0049】
さらに、ここで開示される噴霧乾燥装置100は、輸送管22の下流(第5ヒータ部24e側)に、フィルタ30が配置されている。噴霧乾燥炉20内で生成されたコアシェル粒子は、さらに下流に向けて流動して、フィルタ30に捕集される。このようにして、噴霧乾燥後に生成されたコアシェル粒子を容易に捕集することができる。
【0050】
以下、本発明に関する実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例は本発明を限定することを意図したものではない。
【0051】
〈Ni/BTコアシェル粒子の製造例(1)〉
平均粒子径が約100nmのNi粒子を、分散液全体に対して47質量%の割合になるように酢酸ブチル分散媒に分散さてなるNi粒子分散液を用意した。そして、この47質量%Ni粒子分散液に、酢酸ブチル分散媒をさらに加え、0.3質量%Ni粒子分散液を調製した。一方、上記平均粒子径が約20nmのチタン酸バリウム微粒子(以下、BT微粒子と称する。)を、分散液全体に対してBT微粒子が50質量%の割合になるように酢酸ブチル分散媒に分散させた50質量%BT微粒子分散液を用意した。そして、この50質量%BT微粒子分散液に酢酸ブチル分散媒をさらに加え、0.3質量%BT微粒子分散液を調製した。
次に、Ni粒子100質量部に対してBT微粒子が10質量部の割合で含まれるように、0.3質量%Ni粒子分散液と0.3質量%BT微粒子分散液とを混ぜ合わせ、噴霧液を調製した。
加えて、噴霧液中のNi粒子の表面電荷とBT微粒子の表面電荷とが互いに異符号となるように噴霧液のpHを調整した。ここでは、エタノールに溶かしたアンモニア水を噴霧液に添加し、調製時にpH6だった噴霧液のpHを約10に調整した。
次に、上述した図6に記載の噴霧乾燥装置100を用いて、上記噴霧液を噴霧乾燥した。ここでは、噴霧部10の超音波噴霧器12を用いて、周波数1.7MHzの超音波によって噴霧液を霧化した。そして、ガス供給ユニット14から超音波噴霧器12にキャリアーガス(Nガス、流速0.5l/min)を供給して、噴霧液滴を噴霧乾燥炉20内に噴霧した。そして、キャリアーガスとともに噴霧された噴霧液滴を、筒形状の噴霧乾燥炉20の上流側(即ち第1ヒータ部24a側)から下流側(即ち第5ヒータ部24e側)に向かって流動させた。この際、上流側から下流側に向かって、100℃から500℃までの範囲で段階的に昇温するように、噴霧乾燥炉20の各ヒータ24a〜24eの加熱温度を予め設定した。具体的には、噴霧液が噴霧部10から噴霧される前に、噴霧乾燥炉20の第1ヒータ部24aを100℃、第2ヒータ部24bを200℃、第3ヒータ部24cを300℃、第4ヒータ部24dを400℃、第5ヒータ部24eを500℃に設定しておいた。このように、段階的に昇温する環境下で噴霧液滴を熱処理することによって噴霧液滴中の分散媒を蒸発させ、コア粒子となるNi粒子と、Ni粒子の表面を被覆するシェルとなるBT微粒子とからなるNi/BTコアシェル粒子を生成した。
最後に、噴霧乾燥炉20内で生成したNi/BTコアシェル粒子をフィルタ30で捕集した。以下、上述した製造プロセスで得られたNi/BTコアシェル粒子をサンプル1とする。
【0052】
〈Ni/BTコアシェル粒子の製造例(2)〉
ここでは、Ni粒子100質量部に対してBT微粒子が25質量部の割合で含まれるように、0.3質量%Ni粒子分散液と0.3質量%BT微粒子分散液とを混ぜ合わせ、噴霧液を調製した。そして、調製した噴霧液をpH10になるように調整した後に、上記サンプル1と同様のプロセスで噴霧乾燥し、Ni/BTコアシェル粒子を生成した。以下、この製造プロセスで得られたNi/BTコアシェル粒子をサンプル2とする。
【0053】
〈Ni/BTコアシェル粒子の製造例(3)〉
ここでは、上記サンプル1と同様の製造プロセスで噴霧液を調製し、調製した噴霧液を噴霧乾燥した。ただし、ここでは、噴霧液のpHを調整せず、噴霧液をpH6のまま噴霧乾燥した。以下、かかる製造プロセスで得られたNi/BTコアシェル粒子をサンプル3とする。
【0054】
〈Ni/BTコアシェル粒子の製造例(4)〉
ここでは、Ni粒子100質量部に対してBT微粒子が25質量部の割合で含まれるように噴霧液を調製した。なお、ここでも噴霧液のpH調整を行っておらず、pH6の噴霧液を噴霧乾燥した。そして、その他の条件を上記サンプル1の製造プロセスと同じ条件に設定して、Ni/BTコアシェル粒子を生成した。以下、かかる製造プロセスで得られたNi/BTコアシェル粒子をサンプル4とする。
【0055】
〈Ni/BTコアシェル粒子の製造例(5)〉
ここでは、Ni粒子100質量部に対してBT微粒子が40質量部の割合で含まれるように噴霧液を調製した。なお、ここでも噴霧液のpH調整を行っておらず、pH6の噴霧液を噴霧乾燥した。そして、その他の条件を上記サンプル1の製造プロセスと同様の条件に設定して、Ni/BTコアシェル粒子を生成した。以下、かかる製造プロセスで得られたNi/BTコアシェル粒子をサンプル5とする。
【0056】
〈Ni/BTコアシェル粒子の製造例(6)〉
ここでは、Ni粒子100質量部に対してBT微粒子が50質量部の割合で含まれるように噴霧液を調製した。なお、ここでも噴霧液のpH調整を行っておらず、pH6の噴霧液を噴霧乾燥した。そして、その他の条件を上記サンプル1の製造プロセスと同様の条件に設定して、Ni/BTコアシェル粒子を生成した。以下、かかる製造プロセスで得られたNi/BTコアシェル粒子をサンプル6とする。
【0057】
〈Ni/BTコアシェル粒子の製造例(7)〉
ここでは、Ni粒子100質量部に対してBT微粒子が100質量部の割合で含まれるように、噴霧液を調製した。なお、ここでも噴霧液のpH調整を行っておらず、pH6の噴霧液を噴霧乾燥した。そして、その他の条件を上記サンプル1の製造プロセスと同様の条件に設定して、Ni/BTコアシェル粒子を生成した。以下、かかる製造プロセスで得られたNi/BTコアシェル粒子をサンプル7とする。
【0058】
〈Ni粒子の製造例(A)〉
ここでは、0.3質量%Ni粒子分散液を用意し、上述したNi/BTコアシェル粒子の製造プロセスと同様の条件で噴霧乾燥し、Ni粒子を得た。なお、ここでもpH調整を行っておらず、pH6のNi粒子分散液を噴霧乾燥した。以下、かかる製造プロセスで得られたNi粒子をサンプルAとする。
【0059】
〈比較例の製造例(2)〉
ここでは、0.3質量%BT微粒子分散液を用意し、サンプル1と同様の条件で噴霧乾燥し、BT微粒子を得た。なお、ここでもpH調整を行っておらず、pH6のBT微粒子分散液を噴霧乾燥した。以下、かかる製造プロセスで得られたBT微粒子をサンプルBとする。
【0060】
上述したサンプル1〜7及びサンプルA、Bのそれぞれの製造条件を表1に纏める。
【0061】
【表1】

【0062】
〈各サンプルのSEM観察〉
上述の製造プロセスを経て得られたサンプル1〜7およびサンプルA、Bを走査型電子顕微鏡(FE−SEM、日立製作所、S3100H、S5000)で観察した。観察結果のSEM写真を図7〜15に示す。図7はサンプル1、図8はサンプル2、図9はサンプル3、図10はサンプル4、図11はサンプル5、図12はサンプル6、図13はサンプル7、図14はサンプルA、図15はサンプルBのSEM写真である。
図14及び図15を観察すると、SEM写真において、相対的に粒径が大きな粒子がNi粒子であり、粒径が小さな粒子がBT微粒子であることが確認できる。また、特に限定するものではないが、観察したNi/BTコアシェル粒子の形状が球形に近く、Ni粒子の表面にBT微粒子が緻密に配置されているほど、Ni粒子の表面にBT微粒子が好適に被覆されたNi/BTコアシェル粒子となる傾向にある。
【0063】
図9に示すように、サンプル3では、観察した粒子の形状が球形ではなく、Ni粒子が露出している箇所があり、Ni/BTコアシェル粒子としては不完全なものであった。また、図10に示すように、サンプル4も同様にNi/BTコアシェル粒子としては不完全なものであった。これに対して、図11に示すように、サンプル5では、粒子の形状が球形に近く、ニッケル粒子の表面にBT微粒子が緻密に配置されており、好適なNi/BTコアシェル粒子となっていた。また、図12および図13に示すように、サンプル6及びサンプル7も好適なNi/BTコアシェル粒子となっていた。かかる結果から、Ni粒子に対するBT微粒子の割合を過剰に多くすることによって好適なNi/BTコアシェル粒子を作製できると解される。
【0064】
次に、サンプル1を観察すると、図7に示すように、サンプル5〜7と同様、若しくはそれ以上に好適なNi/BTコアシェル粒子が作製されていた。上述したように、サンプル1では、Ni粒子に対するBT微粒子の割合がサンプル3と同じである。このことから、噴霧液の液性をアルカリ性(pH10)に調整すると、Ni粒子に対するBT微粒子の割合が低い場合でも好適なコアシェル粒子を作製できると解される。
さらに、図8に示すように、サンプル2も好適なNi/BTコアシェル粒子が作製されていた。このサンプル2とサンプル1とを比較すると、サンプル2の方がより好適なNi/BTコアシェル粒子であった。このことから、噴霧液の液性をアルカリ性に調整した上で、Ni粒子に対するBT微粒子の割合を多くすると、さらに好適なNi/BTコアシェル粒子を作製できると解される。
【0065】
〈サンプル2およびサンプル4のXRD(X線回折測定)〉
次に、上述の製造プロセスを経て得られたサンプル2とサンプル4に対して、XRDを行い、各々のサンプルのXRDにおけるピークを調べた。図16はサンプル2及びサンプル4のXRD結果を示している。また、図16にはサンプルA(Ni粒子)、サンプルB(BT微粒子)のXRD結果も併せて記載している。なお、発明者による事前の検討によって、好適なコアシェル粒子のXRD結果では、44.4°と52°に現れるNi粒子特有のピークが見られず、BT微粒子特有のピークのみが見られることが分かっている。これはNi粒子に達したX線がBT微粒子との境界で屈折して弱められるためと考えられる。
【0066】
サンプル4のXRD結果には、BT微粒子特有のピークに加えて、Ni粒子特有のピークが見られた。このことから、サンプル4は、Ni/BTコアシェル粒子としては不完全なものであると解される。一方、サンプル2のXRD結果には、Ni粒子特有のピークが見られず、BT微粒子特有のピークのみが見られた。このことから、サンプル2は、Ni粒子の表面がBT微粒子によって好適に被覆されており、好適なNi/BTコアシェル粒子であると解される。
【0067】
〈サンプル2およびサンプル4のゼータ電位測定〉
さらに、サンプル2およびサンプル4の前駆物質である噴霧液のゼータ電位を測定した。ここでは、ゼータ電位測定装置(Malvern Instruments Ltd, Zetasizer, Nano series, ZEN2600)を用いてサンプル2、4の表面電荷を測定し、レーザードップラー電気泳動法を用いて各々のサンプルのゼータ電位を測定した。レーザードップラー電気泳動法とは、測定対象の粒子の分散液に電場をかけた際の、粒子の移動度、電場の強さ、分散液の粘度、誘電率を測定し、測定結果からゼータ電位を測定する方法である。各サンプル2、4の上記測定の結果を図17、図18に示す。図17は、サンプル4の噴霧液中におけるNi粒子及びBT微粒子のゼータ電位の測定結果を示している。一方、図18は、サンプル2の噴霧液におけるNi粒子及びBT微粒子のゼータ電位の測定結果を示している。なお、図17及び図18において、横軸はゼータ電位を示しており、縦軸は1秒当たりのキロカウント単位での光子数を表す強度を示している。
【0068】
図17に示すように、pH6であるサンプル4の噴霧液中では、Ni粒子およびBT微粒子のゼータ電位の分布が同程度に重なっている。詳しくは、Ni粒子の平均ゼータ電位(ζNi)は−14.33mV程度であり、BT微粒子の平均ゼータ電位(ζBT)は−20.06mV程度であった。このように、サンプル4の噴霧液中におけるNi粒子とBT微粒子は、同符号の電荷を帯びていた。このため、サンプル4では噴霧液中のNi粒子とBT微粒子とがお互いに反発するので、Ni粒子同士で凝集してしまい、Ni粒子の表面がBT微粒子に被覆されにくい。
【0069】
一方、図18に示すように、pH10に調整されたサンプル2の噴霧液中では、ゼータ電位0mVを挟んで、正の電位側にNi粒子のゼータ電位(ζNi)のピークがあり、負の電位側にBT微粒子のゼータ電位(ζBT)のピークがある。詳しくは、Ni粒子の平均ゼータ電位(ζNi)は18.48mV程度であり、BT微粒子の平均ゼータ電位(ζBT)は−20.47mV程度であった。このように、サンプル2の噴霧液中では、Ni粒子とBT微粒子は異符号の電荷を帯びていた。このため、サンプル2では噴霧液中のNi粒子とBT微粒子とがお互いに引き寄せ合うので、噴霧乾燥を行った際にNi粒子の表面がBT微粒子に被覆されやすくなる。
【0070】
このように、Ni粒子とBT微粒子とが異符号のゼータ電位を帯びるように噴霧液の液性を調整することによって、BT微粒子によってNi粒子の表面が適切に被覆されたNi/BTコアシェル粒子を製造することができる。
【0071】
〈サンプル1を用いたペーストのTMA収縮挙動測定〉
次に、サンプル1を用いて作製したペースト1の熱収縮挙動を測定した。当該ペースト1には、粉体としてサンプル1が62.5質量%含まれており、溶質の有機ビヒクルが37.5%(エチルセルロース1.5%、ターピネオール36%)含まれている。また、このペースト1は、上述の各材料を秤量し、対向衝突分散機を用いて混練することによって作製されている。
また、ペースト1との比較対象として、粉体に上記サンプルA(Ni粒子)を用いて作製したペースト2と、Ni粒子とBT微粒子とを混ぜ合わせた粉体(個別の粉体を混ぜ合わせたものであり、Ni/BTコアシェル粒子ではない。)を用いて作製したペースト3を上記TMA収縮挙動測定に提供した。また、上記TMA収縮挙動測定には、チタン酸バリウムからなる誘電体も提供した。
【0072】
TMA収縮挙動測定では、先ず、それぞれの測定対象を円柱形(φ4mm、厚み1.5〜2.0mm)に形成し、95%Nと5%Hからなるガス雰囲気下に配置し、10℃/minで昇温した。そして、それぞれの測定対象の厚み方向の長さの変化を測定した。このようにして行ったTMA収縮挙動測定の結果を図19に示す。また、図19において、測定対象を加熱した温度を横軸で表し、測定対象の厚み方向の長さの変化に基づいて計算した測定対象の収縮率を縦軸で表している。
【0073】
図19に示すように、サンプル1を含むペースト1(P1)は、250℃付近でわずかに(約1%)収縮し、その後800℃付近に至るまでほとんど収縮しなかった。そして、800℃を超えると収縮し始め、1250℃に達した際には約6%収縮した。
また、サンプルA(Ni粒子)を含むペースト2(P2)は、250℃付近から収縮し始め、600℃付近で急激に収縮した。ペースト2の厚み方向の長さは、600℃付近で約11%収縮した。
また、Ni粒子とBT微粒子とを混ぜ合わせたペースト3(P3)は、250℃付近で一度収縮(約2%)し、その後800℃付近に至るまでほとんど収縮しなかった。そして、750℃を超えると急激に収縮し、1250℃に達した際には約10%収縮した。
【0074】
このことから、サンプル1を用いたペースト1は、他のペースト2、3と比べて熱収縮率が低いことが分かった。また、サンプル1からなるペースト1は、チタン酸バリウムからなる誘電体(図19中のD)の熱収縮率とほぼ同じであった。このことから、Ni粒子の表面がBT微粒子によって好適に被覆されたNi/BTコアシェル粒子であるサンプル1を用いてなるペースト1は、BT微粒子からなる誘電体との間の熱収縮率の差が小さいと解される。したがって、かかるペースト1を導電性ペーストとして誘電体層に塗布してなる積層セラミックコンデンサは、導電性ペーストの焼成時に生じ得るクラックを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
ここに開示される製造方法により製造されたコアシェル粒子は、種々の装置において電極層を形成するペースト組成物に用いることができる。例えば、積層セラミックコンデンサにおける内部電極層を形成するために用いられる導電性ペースト組成物に上記コアシェル粒子を用いることができる。この場合、かかるコアシェル粒子を含む内部電極層は、内部電極層を塗布する誘電体層との間で熱収縮率の差が小さいので、クラックを防止することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 噴霧部
12 超音波噴霧器
14 ガス供給ユニット
20 噴霧乾燥炉
22 輸送管
24 ヒータ
24a〜24e 各ヒータ部
30 フィルタ
100 噴霧乾燥装置
200 積層セラミックコンデンサ
210 誘電体
220 内部電極層
230 外部電極
250 電子部品本体
BT チタン酸バリウム粒子
BTe チタン酸バリウム粒子の表面電荷
L1 噴霧液
L2 噴霧液滴
N ニッケル粒子
Ne ニッケル粒子の表面電荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア粒子となる金属粒子と、該金属粒子の表面の少なくとも一部に金属酸化物粒子が被覆されたシェルとから構成されるコアシェル粒子を製造する方法であって:
前記金属粒子と前記シェル源の金属酸化物粒子とが分散したスラリー状の噴霧液を用意すること;
前記噴霧液を噴霧し、該噴霧された液滴を加熱して噴霧乾燥を行うこと;および
前記噴霧乾燥後に得られた粒子を捕集すること;
を包含しており、
ここで、前記噴霧乾燥にあたり、前記噴霧液は、該噴霧液中の前記金属粒子の表面電荷と前記金属酸化物粒子の表面電荷とが互いに異符号となるような液性の状態で提供される、コアシェル粒子の製造方法。
【請求項2】
前記噴霧乾燥にあたり、前記噴霧液は、該噴霧液中の前記金属粒子または前記金属酸化物粒子のうちのどちらか一方のゼータ電位が正となり、且つ他方のゼータ電位が負となるようなpHの状態で提供される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記液滴は、炉内温度が段階的に変化するように設定されている噴霧乾燥炉内を、低温側から高温側に向けて輸送されながら加熱される、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記炉内温度が、100℃以上1000℃以下の範囲内で変化するように設定されている、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記噴霧液には、前記金属酸化物粒子が前記金属粒子100質量部に対して1質量部〜100質量部の割合で含まれる、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記金属酸化物粒子として、前記金属粒子の平均粒子径に対して2分の1以下の平均粒子径を有するものを用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記金属粒子としてニッケル粒子を用いるとともに、前記金属酸化物粒子としてチタン酸バリウム粒子を用いる、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法により製造されたコアシェル粒子。
【請求項9】
コア粒子となるニッケル粒子と、該ニッケル粒子の表面の少なくとも一部にチタン酸バリウムが被覆されたシェルとから構成されるコアシェル粒子であって
熱機械分析(TMA)に基づいて測定した熱収縮率の挙動がチタン酸バリウム粒子の熱収縮率挙動に近似する、コアシェル粒子。
【請求項10】
請求項8または9に記載のコアシェル粒子を、ペースト状になるように、所定の分散媒体に分散させてなる導体形成用組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の導体形成用組成物を用いて形成された内部電極層を備える積層セラミックコンデンサ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−219802(P2011−219802A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88785(P2010−88785)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 1.粉体工学会発行、「粉体工学会誌」Vol.46,No.11、第11〜16ページ、平成21年11月10日発行
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】