説明

コア/シース構造を有する接着剤物品

本発明は、様々な基材を結合させるか、または剛化させるために特に適する、繊維状ウェブを含む細長いコアと接着剤組成物を含むシースとを備えた接着剤物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長いコアと接着剤組成物を含むシースとを含む接着剤物品に関する。細長いコアは、特定の実施形態において不織繊維状ウェブであってもよい繊維状ウェブを含む。こうした接着剤物品は、接着剤物品が結合する基材内および基材間の応力を分配および伝達するために設計することが可能であり、および/または良好な空隙充填特性を提供することが可能である。従って、接着剤物品は、例えば自動車中の部品を結合させるか、または剛化させる際に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
自動車生産において用いられる接着剤およびシーラーは、それらの結合強さおよび弾性に応じて構造、半構造および非構造として分類される。それらは、多くの異なる化学薬品によって強度を増進する異なる空隙充填能力、引張強度および弾性率の通常は均質ペースト、液体およびテープである。自動車用途において構造接着剤および半構造接着剤に関する需要が増加している。これは、接着剤による接合が溶接または化学固定の方法より低コストで効率的であることが判明しているからである。接着剤の結合は車両のアルミニウムのため、および複合材または他のハイブリッド構造のためにも必須である。
【0003】
構造接着剤および半構造接着剤は、車体部品に追加の剛性性能、疲労性能および衝撃性能を提供するためにしばしば用いられ、同じ基材厚さに関して溶接、ろう付けまたは鋲締などの他の接合方法で得られるよりも高い強度特性、剛性特性または疲労特性が必要とされる車両におけるストライカーピン補強材、ドアハンドル補強材および他のタイプの補強ブラケットなどの補強材を結合させる際に用いてもよい。
【0004】
テープ接着剤は長年にわたって用いられてきたが、それらの使用には多くの限界がある。先ず、同じ平面で圧縮と伸びをうまく収めることが困難なためにテープの平面にある曲折部に平坦なテープを被着させることが難しいことである。従って、曲折構造には、直線テープ細片が被着される表面上で直線テープ細片の向きを徐々に変える一連の直線テープ細片をぴったりと合わせることがしばしば必要とされる。
【0005】
更に、良好な空隙充填特性を有するテープを提供することは困難である。自動車工業で用いられる接着剤は、接合プロセス中に部品間の許容振動を吸収するとともに炉サイクル中の差異のある膨張などの動きを許容することができるべきである。しばしば、隙間は2または3mmほど大きさが異なることがあり得る。結合させた部品の性能を落とさずまたフラッタリングもなく空隙を橋架けするために、大量の液型接着剤またはペースト型接着剤をしばしば必要とする。空隙充填のために用いられる接着剤のコストを限定するために、それぞれの接着剤はしばしば高度に充填される。これは、最適とは言えない重量および低下した車両効率につながる。PVCのような環境により望ましくないポリマーベースもコストを最少にするためにしばしば用いられる。
【0006】
空隙充填特性を提供するために、例えばベークサイクル中に熱活性化される微小中空球または発泡剤を導入した発泡接着剤が開発されてきた。このアプローチに関わる問題は、こうした接着剤の多方向膨張および不均一膨張を制御することが困難であることである。従って、どれだけの接着剤を被着させる必要があるかということと車両中の接着剤の最終的な向きがどのように膨張に影響を及ぼそうとしているのかとを決定するのがしばしば難しい。更に、その発泡構造のゆえに、接着剤の強度または接着剤の基材への結合などの接着剤の性能が損なわれる場合がある。発泡性接着剤は、高価なクリップまたは二次接着剤および固定によって所定の位置に保たれて、キャスティングまたは押出としてしばしば利用される。
【0007】
それらの取扱いに関して発生する欠点に加えて、容認できる空隙充填特性を有する発泡接着剤は、発泡接着剤を被着させる基材への十分な結合強さを有するとは限らない場合がある。最後に、特に自動車用途において、油性表面の前処理の必要性を避けるために、接着剤は基材の油性表面に適合する必要があり得る。
【0008】
例えば自動車工業で用いられる時にクロージャパネル外皮に接触している正味接着剤の大きな塊の塗布に関わる更なる問題は硬化/重合中の接着剤の収縮である。結果として、接着剤の輪郭は外皮上の虚影として見分けがつく場合がある。非常に小さい収縮は目視可能であり、見過しは車両の外観および知覚される値に影響を及ぼす。
【0009】
特に自動車工業における用途に関して、硬化済み/重合済み接着剤系の最適な物理的特性を保持しつつ種々の空隙を充填する能力を有する接着剤系を提供することが従って望ましい。更に、接着剤系は、取扱うとともに被着させるために便利であるのがよく、クリーニングまたは表面の被覆などの前処理を必要とせずに潤滑された表面などの基材としての様々な表面に対する高い結合強さを有するのがよい。最後に、硬化した接着剤は、塗装ライン処理工程中に行われるホスフェート洗浄などの、結合させた製品を供してもよい多くの化学処理に適合するのがよい。
【0010】
繊維状ウェブによって強化されている接着剤テープは、接着剤材料と繊維状ウェブを組み合わせた構造結合テープに関する米国特許出願公開第2002/0182955A1号明細書、構造結合のための接着剤フィルムに関するDE第19931241 A1号明細書および強化された感圧接着剤テープに関する特開平10−245534号公報で開示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、細長いコアを含む細長い接着剤物品を提供することにより上で論じた困難および問題の幾つかに対処している。このコアは繊維状ウェブを含み、接着剤組成物を含むシースを備えている。コアの最少径は1mm以上、好ましくは2mm以上または3mm以上である。
【0012】
上のシステムの1つの利点は、変わりやすい体積を占めるために使用され得るコアが含む繊維状材料の圧縮性と、シースの中に含まれる接着剤組成物によって達成される結合強さとの組み合わせであり得る。液体、発泡性材料またはペーストの代わりに圧縮性材料を使用すると、種々の形状への接着剤物品の取扱いおよび被着を促進する場合がある。更に、圧縮性物品は応力を分散させ、および/または振動を減少させる場合がある。接着剤およびコア材料の異なるタイプを選択することを経由して、多様な用途に適用するために適する接着剤物品を設計することが可能である。
【0013】
従って、第1の態様において、本発明は、本発明による細長い接着剤物品によって2つ以上の基材の間の空隙を結合させ、効率的に充填することに関する。接着剤物品は、接合部における圧縮によって所定の位置に留まるように設計するか、または初期に達成された粘着性のレベルによって単純に設計することが可能である。こうした物品の手による被着は速く、且つ便利である。
【0014】
接着剤物品は、発泡接着剤を必要とせずに接着剤シースが複雑な断面に結合できるように、好ましくは圧縮性を提供する。更に、硬化/重合し得るか、または活性化すると結合を別段にもたらす活性化性接着剤組成物をシースが含む場合、接着剤の得られた結合の剛性は、初期圧縮性の減少または損失、従って、著しい強度の結合構造につながる。
【0015】
更に、コアは、結合されるべき基材間に接着剤物品を挿入した後に剛化および/または架橋させることができる初期圧縮性繊維状ウェブを含んでもよい。従って、硬化した接着剤物品の圧縮強度および剪断強度ならびにその制動特性を最適化し得る。
【0016】
得られた接合構造体は、基材間の結合の完成表面を横切って荷重を分配するとともに構造接着剤テープまたは半構造接着剤テープにより作られた接合部の両端で典型的に見られる応力の集中を最小化することにより基材間のフラッタリング防止特性および空隙充填特性ならびに強化されたエネルギー伝達を提供し得る。接着剤物品の更なる機能は、基材間の変わりやすい空隙を充填する能力である。特に可逆的に圧縮可能な接着剤物品は、炉サイクル中の差異のある膨張などの、接着剤物品を結合させる基材の動きを許容する。更なる特性は、変動性の体積を占める一方で、液体充填系またはペースト充填系が絞り出ることがないという能力を含み得る。更に、本発明による接着剤物品は遮音および防振を提供し得る。
【0017】
本発明の技術に関する追加の用途は、基材上でまたは2つ以上の基材間で本発明による一連の接着剤物品を形成することにより得ることができる軽量の剛化構造体または制動構造体の製造である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の接着剤物品は、シースがその上に提供される細長いコアの存在のゆえに細長い形を有する。一般に、物品は4以上または6以上など少なくとも2の、幅に対する長さの比として定義されるアスペクト比を有し、ここで長さは長手軸であり、幅は断面の最大寸法である。特定の実施形態において、接着剤物品は20以上などの少なくとも10のアスペクト比を有する。
【0019】
長手軸に対し垂直の接着剤物品の断面の形状に関する例は、円形形状、正方形などの角形状、長方形形状または六角形形状、あるいは楕円形状である。しばしば、接着剤物品は円柱または角柱の形を取り、円柱形状は特に好ましい。コア中心に未充填部分を有するコア材料を用いる場合、管状構造も得てよい。概して、接着剤物品は、その長手軸が基材の表面に対して平行に基材に被着される。
【0020】
十分な空隙充填を確保するために、一般に長手軸に対し垂直であるコアの最小径は、1mm以上または2mm以上、例えば4mm以上または6mm以上であるのがよい。接着剤物品の用途に応じて20mm以上などの10mm以上の、長手軸に対し垂直の最小径を有するコアが適する。殆どの目的のために、2〜30mmのコアの径を有する接着剤物品の円柱形状が用いられ得る。
【0021】
接着剤物品の長さは特に制限がない。接着剤物品を数メートルの長さで提供してもよく、それから適切な長さの接着剤物品片を使用時に切り取ることが可能である。便利な取扱いを確保するために、接着剤物品は、例えば5cmから100cmまで異なる長さで前もって切断した片で製造することができよう。長さは必要ならばより短い長さに更に切断することもできよう。
【0022】
本発明による接着剤物品は、細長い接着剤物品の長手軸に対し垂直の少なくとも1つの方向で好ましくは圧縮性である。
【0023】
本発明による接着剤物品は、接着剤によって2つの基材を結合させる時に典型的に加えられる圧力下で、50%以上などの少なくとも30%、なお好ましくは少なくとも70%以上、または90%以上でさえも圧縮性であってよい。
【0024】
より好ましくは、本発明による接着剤物品は、可逆的に圧縮することが可能であり、不織繊維状ウェブの厚さ方向に沿って少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%または30%さえもの回復可能な変形を示す。本発明の文脈において、所定の%だけ物品の厚さの縮小を引き起こすために必要である荷重の除去後に物品が元の厚さの少なくとも90%に戻る場合、接着剤物品は可逆的に圧縮性であるとみなされる。
【0025】
一般に、接着剤物品は、接着剤物品を基材に被着させる時に特定の向きを選択する必要がないように、長手軸に対し垂直のいかなる方向でも圧縮性であるべきである。しかし、後で1つ以上の好ましい向きで基材に被着させることが可能である、長手軸に対し垂直の異なる方向に異方性の圧縮性を有する接着剤物品を用いることが、特定の用途に望ましい場合がある。
【0026】
接着剤物品をその長手軸に対し垂直の1つ以上の方向で圧縮する時、他の方向の寸法変化は許容でき、図1で例示したように結合表面を増やすために望ましくさえあり得る。図1は、2つの基材(20)の間に置かれている非圧縮形態の円形断面を有する本発明による接着剤物品(10)を示している。基材(20)の平面に垂直に圧力を加えて結合を達成する時、接着剤物品は基材に接触しているその表面積が増加しつつ圧力に応答して圧縮される。
【0027】
接着剤物品およびそのコアは、好ましくは50%以上などの少なくとも30%、なお好ましくは少なくとも70%以上、または95%以上さえも長手軸に垂直の少なくとも1つまたはあらゆる方向で可逆的に圧縮性である。本発明の文脈において、圧縮性を決定するために用いられる荷重の除去後に物品が元の寸法の少なくとも90%に戻る場合、接着剤物品は可逆的に圧縮性であるとみなされる。従って、コアは、結合されるべき基材に接触しているシース中の接着剤に圧力を提供するスプリングとして機能し得る。
【0028】
更に、接着剤物品およびそのコアが長手軸に沿って可撓性であることが好ましい。すなわち、接着剤物品をその長手軸に沿って曲げることが可能であるべきである。従って、接着剤物品は、曲線またはコーナーなどの様々な形状で基材に便利に被着させることが可能である。
【0029】
様々な繊維状ウェブを本発明の背景におけるコアのために用いることが可能であり、例は不織繊維状ウェブを含む。繊維状ウェブを含むコアは本発明の目的のために適する。こうしたコアが接着剤物品の特性を多様な用途に適合させることを可能にするからである。従って、ウェブの密度またはウェブに含まれる繊維の向きを変えることにより、ウェブの圧縮性および長手軸に沿ったウェブの可撓性は影響を受け得る。更に、適する繊維および/または添加剤を選択することにより、接着剤物品を基材に被着させた後でさえウェブの特性を変えることが可能である。
【0030】
繊維特性は、用途の要件に応じて難燃性、帯電防止性、導電性、表面導電性、歪硬化性、熱収縮、耐衝撃性、高い耐熱性または低い耐熱性、高い引張強度または低い引張強度を含むことができよう。繊維の外観は、色の変化によって、または包装で製品アピールを最適化するか、あるいは特定のアイデンティテイまたは顧客用コードを提供して特定の用途のためにより良好な製品使用を理解させるために使用され得る反射特性の提供によって興味深い外観を提供するために最適化することも可能である。繊維は、ありそうな暴露経歴または本発明が用いられた物品の進行性の損傷を決定するために歪みまたは環境暴露あるいは温度暴露に応じて色を変えるように設計することもできよう。
【0031】
繊維は、本発明が用いた物品の改善されたリサイクル特性または取外し特性を可能にするために分解性(生物的、熱的、あるいは他の特定的または一般的な材料または混合物にさらすことによる)であるように設計することも可能である。用途に応じて、例えば、少なくとも1つの基材に被着させた後に接着剤物品からコアを除去することが望ましい場合がある。
【0032】
繊維状ウェブは、一般に10g/m2〜1kg/m2または〜500g/m2の範囲の坪量を有する。70g/m2以上または80g/m2以上などの50g/m2以上の坪量は好ましい。120g/m2以上または300g/m2以上などの100g/m2を上回る値は特に好ましい。
【0033】
繊維状ウェブの中で用いられる繊維のタイプは、それぞれの用途に応じて選択してもよい。典型的な例は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維、ポリスチレン繊維、ポリエーテル繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル繊維、ポリ塩化ビニルおよびポリ弗化ビニリデンなどのビニルポリマー繊維、ポリカプロラクタムなどのポリアミド、ポリウレタン、ナイロン繊維、ポリアラミド繊維(「ケブラー(Kevlar)」(登録商標)繊維)である。別法としてまたはそれに加えて、繊維状ウェブは、金属繊維、金属被覆高分子繊維、他の導電性材料で被覆された高分子繊維、または炭素繊維を含んでもよい。PET繊維およびポリアラミド繊維は好ましい例である。本発明の接着剤物品の中の繊維状ウェブを提供するために、上の繊維タイプの2種以上のブレンドも用いてよい。
【0034】
一般に、繊維状ウェブの繊維は少なくとも1デニール(den)の径を有する。10den以上または15den以上などの5denを上回る値は好ましい。好ましくは、繊維は50den以下などの100den以下の径を有するのがよい。
【0035】
好ましくは、上で定義された繊維は、ステープルファイバーとして繊維状ウェブの中に存在する。更に、ウェブは、繊維状ウェブに更なる強度を与えるために用いられる熱ボンド繊維を含んでもよい。
【0036】
こうした熱ボンド繊維は技術上知られており、こうした繊維の典型的な例は複合繊維(「ビコ(Bico)」繊維としても知られている)である。一般に、これらの熱ボンド繊維は典型的には1〜20denの範囲内の繊維径を有する。ステープルファイバー対熱ボンド繊維の比率は5〜95%の範囲内、より典型的には10〜50%の範囲内、例えば約30%であることが可能である。
【0037】
所望の繊維構造を有する繊維状ウェブは、カーディングおよびクロスラッピング(CCL)などの技術上知られている方法によって、または「ランド(Rando)」ウェッビングによって得てもよい。カーディングおよびクロスラッピングプロセスにおいて、プレオープン繊維をカードにフィードし、カードはロールの間でプレオープン繊維をコーミングすることにより繊維をオープンさせる。その後、繊維をベルトの上に置く。繊維は長さ方向に向いたプレウェブを形成させる。その後、ウェブをクロスラッパーに通し、一次元機械方向配向プレウェブを層にして、制御された厚さおよび重量を与える。このプロセスはクロスウェブ方向に部分的に繊維を配列させる。その後、通常はウェブを熱ボンド炉に通して繊維を互いに熱ボンドし、CCLウェブ一体性を与える。「ランド:ウェバー(Rando Webber)」は、短繊維を不織布に加工するために一般に用いられる加工装置の商用例である。プレオープンされブレンドされた繊維を「ランド(Rando)」のフィード区画にフィードする。その後、装置は、典型的には、装置が「リッカリン(Lickerin)」に選択的にフィードするにつれて繊維を更に混転する。その後、「リッカリン(Lickerin)」から繊維を真空収集表面上にブローし、ポストウェブ加工(熱ボンディング)のために機械から繊維を運び去る。
【0038】
本発明におけるコア材料としても適する繊維状ウェブは、垂直ラッピングまたは垂直クロスラッピング(VCL)として知られている技術によって得ることが可能である。垂直クロスラッピングは、カード繊維状ウェブを垂直に折り畳むことにより波形繊維状ウェブをもたらす。VCLプロセスで出発製品として用いられるカードウェブにおいてy−方向に初期的に配向される繊維は、本プロセスから生じる繊維状ウェブのz−方向(すなわち厚さ方向)に向けて配向させることが可能である。熱ボンド繊維は垂直クロスラップウェブの波形構造を安定化するのを助ける。これらの熱ボンド繊維は、典型的には、例えば、ウェブを熱ボンド炉に通すことによりラッピングプロセス後に活性化される。垂直クロスラッピングの適する技術は技術上確立されており、VCLウェブを得るためにしばしば用いられる装置は、「ストルト(Struto)」または「ウェーブメーカー(Wavemaker)」という商品名で入手できる。こうした技術は、米国特許第6,602,581号明細書およびその特許の中で引用された文献でも開示されている。接着剤物品のコアがこうした垂直クロスラップウェブを含む場合、ウェブのy−軸はコアの長手軸に配向されるべきである。従って、接着剤物品の長手軸に垂直の高度に可逆性の圧縮性を示すとともにこの長手軸に沿って容易に曲げられ得る接着剤物品を得ることが可能である。
【0039】
繊維状ウェブを含むコアを用いることにより、本発明の接着剤物品は、初期に柔らかい圧縮可能な状態から、接着剤物品を所望の位置に被着させた後に高い強度、耐衝撃性および耐圧縮性を提供するより堅い状態またはより剛い状態に変わるように特に設計することが可能である。
【0040】
繊維状ウェブのこうした剛化は種々の方法によって達成することが可能である。例えば、繊維状ウェブは、熱、化学線照射または電子ビーム照射に対して活性化されると、繊維から繊維の固定またはマトリックス中の繊維の固定を引き起こして、繊維状ウェブの低い圧縮性または圧縮性の損失を引き起こす組成物を含んでもよい。こうした組成物は、例えば粉末の形態を取って、または熱ボンド繊維などの繊維の形態を取ってウェブに含まれ得る。
【0041】
一実施形態において、繊維状ウェブは、活性化すると繊維構造を互いに結合するか互いに流れて、繊維の周りに連続で安定なマトリックスを形成させる熱硬化性組成物または熱可塑性組成物の粉末を装填することが可能である。適する組成物は活性化性接着剤組成物の文脈で以下に記載されるものである。未装填繊維状ウェブの重量を基準にして一般に5重量%以上の量でこれらの材料を用いることが十分である。
【0042】
一実施形態において、上で定義されたものなどの熱ボンド繊維も本発明の接着剤物品が基材に被着された後に繊維状ウェブの剛性を増すために用いてよい。必要ならば、異なる融点を有する熱ボンド繊維を繊維状ウェブに含めてもよい。従って、熱ボンド繊維の1つのタイプ(低い溶融温度)は垂直ラッピング後にウェブを安定化させるために機能してもよく、もう1つのタイプ(高い溶融温度)は接着剤物品の使用の場所でウェブを更に剛化するために機能してもよい。
【0043】
本発明による接着剤物品において、コアは接着剤組成物を含むシースを備えている。シースはコアの表面に接触している別個の層を形成させてもよいか、またはコアはシースを構成する材料に部分的に埋め込まれてもよい。他方、コアは、その圧縮性を維持するためにシースの材料に一般に完全には浸透しないのがよい。シースは、コアの長手軸に垂直の方向にコアの径の典型的には50%または30%以下、好ましくは20%または10%以下、特に好ましくは2%以下だけコアに延在する。
【0044】
概して、シースは、0.05mm〜0.5mm、好ましくは0.1mm〜0.3mmの厚さを有する。
【0045】
シースに含まれる接着剤組成物に関する例は、活性化性接着剤組成物または感圧接着剤組成物あるいは両方の組み合わせである。しばしば、これらの接着剤組成物は、接着剤物品が被着される時にコアの圧縮性および/または可撓性を妨げないように非活性化状態で十分な可撓性を有する。
【0046】
本発明の接着剤物品を用いる1つの可能な接合プロセスは、接着剤物品を1つの表面に被着させ、その後、正確な高さに接合部を圧縮しつつ第2の表面を第1の表面に接触するようにもっていくことからなる。部品が良好な初期位置または取扱い強度を達成することを可能にするために、活性化性接着剤が結合している表面への初期粘着性を有することは一般に望ましいが必須ではない。例えば剛化または他の理由で、単一表面に接着剤物品を被着させることも可能である。この場合、活性化性接着剤が、すべりなしで容易に位置決めすることを可能にするための粘着性レベルを有することが望ましいであろうが必須ではない。特定量のすべりが必要とされ得る用途などの粘着性が活性化性接着剤において好まれない別の用途が存在する。シースの中で用いられる活性化性接着剤が唯一の粘着性表面を有する接着剤物品を提供することも可能であるか、または粘着性の特定の領域を別段に非粘着性であるが活性化性の接着剤の中で断続的に用いることも可能である。
【0047】
本発明の接着剤物品は、感圧接着剤と組み合わせて活性化性接着剤をシースの中に含めることにより、初期接着剤特性と高い結合強さの両方を備えさせてもよい。例えば、活性化性接着剤組成物および感圧接着剤は多数の別個のドメインの形を取ってシースの中に存在してもよい。この場合、前記ドメインの各々は接着剤層の表面の一部を形成する。あるいは、感圧接着剤組成物は米国特許第5,593,759号明細書で開示されたように活性化性接着剤組成物上で薄層を形成してもよく、感圧接着剤組成物および活性化性接着剤組成物は米国特許第5,585,178号明細書で開示されたようにシース中に分配されてもよい。
【0048】
本発明の文脈で用いられる「活性化性接着剤組成物」という用語は、結合、特に永続結合を形成させるために活性化を必要とする接着剤組成物を意味する。「活性化」は、接着剤組成物が熱にさらされるか、または例えばUV、可視光またはe−ビームを照射されて結合を形成させることを意味する。ASTM D−1002−94に準拠して測定して一般には少なくとも2MPa、好ましくは少なくとも6.9MPa、より好ましくは少なくとも15MPaの剪断強度を有する構造結合が形成されるべきである。構造結合は、ASTM D−1876下で概説された方法に準拠して試験した時に、好ましくは少なくとも50N/25mm、より好ましくは少なくとも100N/25mmのT剥離強度を有する。活性化性接着剤組成物は感圧接着剤特性をもってもよいか、またはもたなくてもよく、存在する時、これらは、永続結合または構造結合を形成させる際に用いられる典型的な活性化サイクルを通して保持してもよい。本発明の接着剤物品のために用いてもよい感圧接着剤を有する例示的な活性化性接着剤組成物は、米国特許第5,086,088号明細書または国際公開第92/20754号パンフレットで開示されている。
【0049】
活性化すると、活性化性接着剤組成物は架橋または硬化し得る。すなわち、いわゆる熱硬化性接着剤。あるいは接着剤組成物は溶融することが可能であり、よって表面を濡らし、冷却すると結合を形成させる。なお更に、活性化性接着剤組成物は、以下で記載するようないわゆるハイブリッド材料よりなってもよい。
【0050】
本明細書で用いられる「熱硬化性」という用語は、結合すると化学変化をもたらすとともに材料の硬度の増加をもたらす硬化反応を受ける材料を意味する。本明細書で用いられる「熱硬化された」という用語は、硬化された熱硬化性材料を意味する。熱硬化性材料は、熱、UV、可視または赤外線などの化学線あるいはマイクロ波またはX線エネルギーの利用によって一般に結合され得る。
【0051】
本明細書で用いられる「熱可塑性」という用語は、熱を加えると物理的変化を受ける材料を意味する。すなわち、材料は結合すると流れ、冷却すると初期の非流れ状態に戻る。熱可塑性材料は、典型的には熱を加えることにより結合される。
【0052】
「ハイブリッド材料」という用語は、少なくとも2種の成分の組み合わせである材料を意味する。ここで、少なくとも2種の成分は溶融相の中で適合性(溶融相は、少なくとも2種の成分の組み合わせが液体である場合である)であり、少なくとも2種の成分は相互侵入高分子網目または半相互侵入高分子網目を形成し、少なくとも1種の成分は熱の付加後または光の照射などの硬化の他の手段によって不融性(すなわち、成分が溶解も溶融もできない)になる。ハイブリッド材料は以下でより詳しく説明する。ハイブリッド材料は、熱、UV、可視または赤外線などの化学線あるいはマイクロ波またはX線エネルギーの利用によって一般に結合され得る。
【0053】
本発明の目的に関して、ハイブリッド材料は、本明細書で定義された熱硬化性材料および熱可塑性材料の類を相互に除く。換言すると、熱硬化性と任意のあらゆる添加剤または熱可塑性材料と任意のあらゆる添加剤は、それらが本明細書で定義されたハイブリッド材料の定義を満たさないなら非ハイブリッド材料とみなされる。
【0054】
本発明において用いるための例示的な活性化性組成物は、米国特許出願公開第2002/0182955A1号明細書で接着剤材料と呼ばれたもの、米国特許第6,057,382号明細書の硬化性組成物または以下において記載されたものである。
【0055】
適する熱硬化性材料には、エポキシド、ウレタン、シアネートエステル、ビスマレイミド、ニトリルフェノールを含むフェノールおよびそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0056】
適するエポキシドには、少なくとも2つの1,2−環式エーテルを含むものが挙げられる。こうした化合物は、飽和または不飽和、脂肪族、芳香族またはヘテロ環式であることが可能であるか、またはそれらの組み合わせを含むことが可能である。適するエポキシドは室温で固体または液体であってもよい。
【0057】
少なくとも2個のエポキシド基を含む化合物(すなわちポリエポキシド)は好ましい。エポキシド化合物の組み合わせは用いてもよい。2未満の官能基を有するエポキシドは、混合物の全体的なエポキシド官能基が少なくとも2である限り組み合わせで用いてもよい。高分子エポキシドには、末端エポキシ基を有する線状ポリマー(例えばポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(例えばポリブタジエンポリエポキシド)およびエポキシ側基を有するポリマー(例えばグリシジルメタクリレートポリマーまたはコポリマー)が挙げられる。エポキシド官能基に加えて、しかしエポキシド官能基と本質的に非反応性である官能基を有する材料、例えば、エポキシド官能基とアクリル官能基の両方を含む材料を用いることも本発明の範囲内である。
【0058】
多様な商用エポキシドが入手可能であり、リー(Lee)およびネビル(Neville)著「エポキシ樹脂ハンドブック(Handbook of Epoxy Resins)」、ニューヨーク州のマグローヒル・ブック・カンパニー(McGraw Hill Book Company(New York))(1967)、ブルーイン(P.F.Bruins)著「エポキシ樹脂技術(Epoxy Resin Technology)」、ニューヨーク州のジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley & Sons(New York))(1968)およびメイ(C.A.May)編「エポキシ樹脂:化学および技術、第二版(Epoxy Resins:Chemistry and Technology,2nd Edition)」ニューヨーク州のマーセル・デッカー(Marcel Dekker,Inc.(New York))(1988)に記載されている。本発明において用いることが可能である芳香族ポリエポキシド(すなわち、少なくとも1個の芳香族環構造、例えばベンゼン環、および少なくとも2個のエポキシド基を含む化合物)には、ビスフェノールAタイプ樹脂またはビスフェノールFタイプ樹脂およびそれらの誘導体などの多価フェノールのポリグリシジルエーテル、芳香族ポリグリシジルアミン(例えば、ベンゼンアミン、ベンゼンジアミン、ナフタレンアミンまたはナフタレンジアミンのポリグリシジルアミン)、フェノールホルムアルデヒドレゾール樹脂またはノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、フルオレン型樹脂のポリグリシジル誘導体、および芳香族カルボン酸のグリシジルエステル、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステルおよびピロメリット酸テトラグリシジルエステルならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましい芳香族ポリエポキシドは、例えば、「エポン(EPON)」828および「エポン(EPON)」1001Fという商品名でテキサス州ヒューストンのシェル・ケミカル(Shell Chemical Inc.(Houston,Tex))から市販されているビスフェノールAのジグリシジルエーテルのシリーズ、オランダ国ぺミスのシェル・ケミカル(Shell Chemical Inc.(Pemis,The Netherlands))から入手できる、例えば「エピコート(Epikote)」232および「エピコート(Epikote)」1001という商品名でシェル・ケミカル(Shell Chemical Inc.)から市販されている市販されているビスフェノールAとビスフェノールFのジグリシジルエーテルのシリーズおよびそれらのブレンドなどの多価フェノールのポリグリシジルエーテルである。他の有用な市販芳香族エポキシドには、ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル(Dow Chemical(Midland,Mich))から入手できるビスフェノールエポキシドの「DER」シリーズおよびエポキシノボラック樹脂の「DEN」シリーズ、「エポンHPTレジン(EPON HPT Resin)」1079という商品名でテキサス州ヒューストンのシェル・ケミカル(Shell Chemical Inc.(Houston,Tex))から入手できるフルオレンビスフェノールのジグリシジルエーテル、「MY0500」という商品名でニューヨーク州ブリュースターのチバ・パフォーマンス・ポリマーズ(Ciba Performance Polymers(Brewster,NY))から市販されているp−アミノフェノールのトリグリシジル誘導体、「MY−720」という商品名でニューヨーク州ブリュースターのチバ・パフォーマンス・ポリマーズ(Ciba Performance Polymers(Brewster,NY))から市販されているメチレンジアニリンのテトラグリシジル誘導体である。難燃性エポキシド、例えば、「DER580」という商品名でミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル(Dow Chemical(Midland,Mich))から市販されている難燃性臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルも用いてよい。熱硬化性材料に関連して本明細書で用いられる「誘導体」という用語は、基分子の熱硬化性結合を妨害しない追加の置換基を有する基分子を意味する。
【0059】
本発明において有用な代表的な脂環式ポリエポキシド(すなわち、1個以上の炭素環および少なくとも2個のエポキシド基を含む環式化合物も脂環式化合物として知られている)には、ビニルシクルヘキセンジオキシド(「ERL−4206」)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(「ERL−4221」、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート(「ERL−4201」)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(「ERL−4289」)およびジペンテンジオキシド(「ERL−4269」)などの「ERL」という商品名でコネチカット州ダンベリーのユニオン・カーバイド(Union Carbide Corp.(Danbury,Conn))から市販されている脂環式エポキシドのシリーズが挙げられる。
【0060】
代表的な脂肪族ポリエポキシド(すなわち、炭素環がなく、少なくとも2個のエポキシド基を含む化合物)には、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ブタン、グリセロールなどの脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールおよび1,4−ブタンジオールなど、リノレイン酸ダイマーのジグリシジルエーテル、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、「オキシロン(OXIRON)」2001という商品名でペンシルバニア州フィラデルフィアのFMC Corp.(Philadelphia,Pa))から入手できるもの)または「ポリビーディー(Poly bd)」という商品名でペンシルバニア州フィラデルフィアのエルフ・アトケム(Elf Atochem(Philadelphia,Pa))から入手できるもの)、エポキシ化脂肪族ポリウレタンおよびエポキシシリコーン、例えば、脂環式エポキシドまたはグリシジルエーテル基を有するジメチルシロキサンが挙げられる。
【0061】
フィルム形態で市販されている適するエポキシド系結合性層の例には、「AF42」、「AF111」、「AF126−2」、「AF−163−2」、「AF3109−2」、「AF191」、「AF2635」、「AF3002」、「AF3024」および「AF3030FST」という「AF」呼称を有するものを含む「3Mスコッチウェルド・ストラクチュラル・アドフェシブ・フィルム(3M Scotch−Weld Structural Adhesive Film)という商品名でミネソタ州セントポールのミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing Company(「3M」)(St.Paul,MN)から入手できるものが挙げられる。
【0062】
一実施形態において、熱硬化性活性化性接着剤は、室温で固体である可融性エポキシドプレポリマー(Bステージ樹脂とは異なって溶融し流れることが可能である)を含み、より好ましくは、室温で固体または液体であってもよい第2のエポキシド成分を更に含む。適する固体可融性エポキシドプレポリマーには、室温で固体である上述したものが挙げられる。
【0063】
例示的な活性化性接着剤組成物は、ビスフェノールA単独のジグリシジルエーテルを含む固体可融性エポキシドプレポリマー、あるいはビスフェノールAまたはビスフェノールFのジグリシジルエーテルと組み合わせた固体可融性エポキシドプレポリマー、あるいはそれらのブレンドを含んでもよい。活性化性接着剤組成物は任意のいずれかの成分の添加後に室温で固体であり、より好ましくは(単一エポキシドまたは多エポキシドを含む)エポキシド材料は室温で固体である。
【0064】
本明細書で用いられる「ウレタン材料」という用語は、本明細書で「イソシアネート」と呼ばれる少なくとも2個のイソシアネート基(−N=C=O)を含む化合物と少なくとも2個の活性水素含有基を含む化合物の反応生成物から製造されたポリマーに適用する。活性水素含有基の例には、第一アルコール、第二アルコール、フェノールおよび水、ならびに第一アミンおよび第二アミン(イソシアネートと反応してウレア連結を形成させる)が挙げられる。多様なイソシアネート末端材料および適切な共反応物は周知されており、多くは市販されている(例えば、ギュンタ・オレテル(Gunter Oertel)著「ポリウレタンハンドブック(Polyurethane Handbook)」、ミュンヘンのハンザーパブリッシャー(Hanser Publisher(Munich))を参照すること)。
【0065】
ウレタン材料に基づく貯蔵安定性結合性層を調製するために、遮断されているイソシアネートまたは活性水素含有化合物のいずれかを用いることが好ましい。本明細書で用いられる「遮断」という用語は、例えば熱によって、または水とのなどの更なる反応によって遮断基が除去されるような時間まで反応性官能基が利用できないように第2の化合物(すなわち「遮断基」)と反応させた化合物に関連する。遮断イソシアネートの例には、フェノール、メチルエチルケトキシムおよびイプシロンカプロラクタムと共反応されたものが挙げられる。遮断活性水素含有化合物の例には、アルデヒドまたはケトン遮断アミン(ケチミンとして知られている)、アルデヒド遮断アミノアルコール(オキサゾリジンとして知られている)、および塩化ナトリウムなどの塩と錯化されたアミンが挙げられる。
【0066】
遮断イソシアネートを用いる時、適する共反応物の例には、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、エチレンオキシド封止ポリ(オキシプロピレン)グリコールおよびポリ(オキシテトラメチレン)グリコールなどのポリエーテルポリオール、ジアミノポリ(オキシプロピレン)グリコール、芳香族アミン末端ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、スチレンアクリロニトリルグラフトポリオール、ポリ(オキシエチレン)ポリオール;、ポリグリコールアジペート、ポリエチレンテレフタレートポリオールおよびポリカプロラクトンポリオールなどのポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリチオエーテルポリオール、シリコーンカルビノールポリオール、ポリブチレンオキシドポリオール、アクリルポリオール、カルボキシ官能性ポリプロピレンオキシドポリオール、カルボキシ官能性ポリエステルポリオール、および芳香族アミン末端ポリ(テトラヒドロフラン)が挙げられる。適するウレタン樹脂には、「アデカレジン(Adeka Resin)」QR−9276という商品名で日本国東京都の旭電化工業株式会社(Asahi Denka Kogyo K.K.(Tokyo,Japan))から入手できるものなどの遮断ウレタン、および「ルタポックス(Rutapox)」 VE2306という商品名でドイツ国デュースブルグのルトガーズ・ベークライト(Rutgers Bakelite GmbH(Duisburg,Germany))から入手できるものなどのウレタン変性エポキシドが挙げられる。
【0067】
適するシアネートエステル材料(モノマーおよびオリゴマー)は米国特許第5,143,785号明細書に記載されたものを含む2個以上の−OCN官能基を有する材料が挙げられる。この特許は本明細書に引用して援用する。適するシアネートエステル化合物の例には、1,3−および1,4−ジシアナトベンゼン、2−t−ブチル−1,4−ジシアナトベンゼン、2,4−ジメチル−1,3−ジシアナトベンゼン、2,5−ジ−t−ブチル−1,4−ジシアナトベンゼン、テトラメチル−1,4−ジシアナトベンゼン、4−クロロ−1,3−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、2,2−または4,4−ジシアナトビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジシアナトビフェニル、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,8−、2,6−または2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−シアナトフェニル)メタン、(ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェノキシフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−シアナトフェニル)ケトン、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフィットおよびトリス(4−シアナトフェニル)ホスフェートが挙げられる。フェノールホルムアルデヒド初期縮合物とハロゲン化シアナイドの反応によって得られるポリシアネート化合物も適する。
【0068】
適する他の材料には、米国特許第3,962,184号明細書に記載されたフェノール樹脂から誘導されたシアン酸エステル、米国特許第4,022,755号明細書に記載されたノボラック樹脂から誘導されたシアネート化ノボラック樹脂、米国特許第4,026,913号明細書に記載されたビスフェノール型ポリカーボネートオリゴマーから誘導されたシアン化ビスフェノール型ポリカーボネートオリゴマー、米国特許第3,959,900号明細書に記載されたシアナト末端ポリアリーレンエーテル、米国特許第4,740,584号明細書に記載されたオルト水素原子のないジシアネートエステル、米国特許第4,709,008号明細書に記載されたジシアネートとトリシアネートの混合物、米国特許第4,528,366号明細書に記載された多環式脂肪族炭化水素を含むポリ芳香族シアネート、米国特許第3,733,349号明細書に記載されたフルオロカーボンシアネートならびに米国特許第4,195,132号明細書および米国特許第4,116,946号明細書に記載された他のシアネート組成物が挙げられる。これらの特許のすべては本明細書に引用して援用する。例示的な市販材料は、「クアトレックス(Quatrex)」7187という商品名でニューヨーク州のブリュースターのチバ・パフォーマンス・ポリマーズ(Ciba Performance Polymers(Brewster,NY))から市販されているシアネートエステルである。
【0069】
適するフェノール樹脂は、「エンサイクロペディア・オブ・ポリマーサイエンス・アンド・エンジニアリング(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」、第11巻,ジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley & Sons,Inc.(New York),1988)、頁45−92に一般的に記載されている。フェノール系樹脂は、アルフォンサス(Alphonsus V.Pocius著「接着および接着剤技術:序説(Adhesion and Adihesive Technology:An Introduction)」、ハンザーパブリッシャーズ(Hanser Publishers(ニューヨーク(NY)、1997)、頁185−188に一般的に記載されている。単板からホットプレス貼合わせ製品を調製するために適するシートに含浸させるために使用できる好ましいフェノール樹脂は米国特許第1,960,176号明細書で論じられている。この特許は本明細書に引用して援用する。適するフェノール樹脂は、レゾールフェノール樹脂およびノボラックフェノール樹脂を含むフェノールとホルムアルデヒドの反応生成物として製造された材料である。フェノールの例には、フェノール、レゾルシノール、パラ置換フェノール、クレゾールおよびビスフェノールAとビスフェノールAのモノグリシジルエーテルの反応生成物が挙げられる。例示的なフェノール系結合性層には、「フェノリック・グルーフィルム(Phenolic Glue Film)」という商品名でノースカロライナ州ハイポイントのディノオーバーレイズ(Dyno Overlays Inc.(High Point,N.C.))から市販されている約2部の樹脂対1部のティッシュペーパの比で熱硬化性フェノール樹脂を含浸したティッシュペーパが挙げられる。
【0070】
レゾールフェノール樹脂は、アルカリ触媒作用されることと1:1以上のホルムアルデヒド対フェノールの比を有することとによって特徴付けられる。ホルムアルデヒド対フェノールのモル比は、典型的には約1:1〜約3:1の範囲内である。レゾールフェノール樹脂を調製するために適するアルカリ触媒の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、有機アミンまたは炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0071】
ノボラックフェノール樹脂は、酸触媒作用されることと1:1未満のホルムアルデヒド対フェノールのモル比を有することとによって特徴付けられる。ホルムアルデヒド対フェノールの比は、典型的には約0.4:1〜約0.9:1の範囲内である。ノボラックフェノール樹脂を調製するために適する酸触媒の例には、硫酸、塩酸、燐酸、シュウ酸またはp−トルエンスルホン酸が挙げられる。ノボラックフェノール樹脂は典型的には熱硬化性樹脂でなく熱可塑性樹脂であるとみなされるけれども、ノボラックフェノール樹脂は他の化学薬品(例えば、ヘキサメチレンテトラアミン)と反応して熱硬化性樹脂を形成させることが可能である。
【0072】
市販されている有用なレゾールフェノール樹脂またはノボラックフェノール樹脂の例は、イリノイ州ブルーアイランドのBTLスペシャルティレジンズ・コーポレーション(BTL Specialty Resins Corporation(Blue Island,IL))製の「バルカム(Varcum)」、オハイオ州コロンバスのアシュランド・ケミカル・カンパニー(Ashland Chemical Company(Columbus,OH))製の「アロフェン(Arofene)」、コネチカット州ダンベリーのユニオン・カーバイド(Union Carbide(Danbury,CT))製の「ベークライト(Bakelite)」およびミズーリ州セントルイスのモンサント・ケミカル・カンパニー(Monsanto Chemical Company(St.Louis,Mo))製の「レジノックス(Resinox)」が挙げられる。
【0073】
適するニトリルフェノール材料には、ノボラックフェノール樹脂系材料にブタジエンニトリルエラストマーを含めることにより製造された材料が挙げられる。フィルム状で市販されている適するニトリルフェノール系結合性層の例には、「3Mスコッチウェルド・ストラクチュラルアドヘシブフィルム(3M Scotch−Weld Structural Adhesive Film)」という商品名でミネソタ州セントポールのミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing Company(「3M」)(St.Paul,MN)から入手でき、「AF10」、「AF30」、「AF31」および「AF32」という「AF」呼称を有する層が挙げられる。
【0074】
N,N’−ビスマレイミドモノマーおよびポリマーとしても知られている適するビスマレイミド材料の例には、1,2−エタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,4−ベンゼンジアミン、4,4’−メチレンビス(ベンゼンアミン)、2−メチル−1,4−ベンゼンジアミン、3,3’−メチレンビス(ベンゼンアミン)、3,3’−スルホニルビス(ベンゼンアミン)、4,4’−スルホニル−ビス(ベンゼンアミン)、3,3’−オキシ−ビス(ベンゼンアミン)、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンアミン)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサンアミン)、1,3−ベンゼンジメタンアミン、1,4−ベンゼンジメタンアミンおよび4,4’−シクロヘキサン−ビス(ベンゼンアミン)およびそれらの混合物のN,N’−ビス−マレイミドが挙げられる。他のN,N’−ビスマレイミドおよびそれらの運転プロセスは、米国特許第3,562,223号明細書、米国特許第3,627,780号明細書、米国特許第3,839,358号明細書および米国特許第4,468,497号明細書に記載されている。これらの特許のすべては本明細書に引用して援用する。市販ビスマレイミド材料の代表的な例には、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン(「コンピミドレジン(COMPIMIDE Resin)」MDAB)および2,4’−ビスマレイミドトルエン(「コンピミドレジン(COMPIMIDE Resin)」TDAB)などの「コンピミド(COMPIMIDE)」という商品名でテキサス州ヒューストンのシェルケミカル(Shell Chemical(Houston,Tex))から、および「キューボンド(Q−Bond)」という商品名でカリフォルニア州サンディエゴのデクスター/クオンタム(Dexter/Quantum(San Diego,CA))から入手できる材料のシリーズが挙げられる。
【0075】
熱硬化性結合性層は、好ましくは熱硬化性材料と硬化剤または複数種の硬化剤を含む。「硬化剤」という用語は、従来から硬化剤として見なされている材料のみでなく、硬化性材料の反応に触媒作用し、反応を加速させる材料ならびに硬化剤と触媒または促進剤の両方として機能し得る材料も含むように広く用いられる。2種以上の硬化剤を組み合わせて用いることも可能である。
【0076】
本発明において用いるために好ましい熱活性化硬化剤は潜在性熱反応性を示す。すなわち、それらは、より高い温度で(好ましくは少なくとも80℃の温度で)主として反応するか、または化学線の照射などの活性化工程後のみより低い温度で反応する。これは、室温(約23±3℃)でまたは硬化剤を活性化せずに穏やかに暖めて(すなわち、硬化剤のための反応温度より低い温度で)接着剤組成物を容易に混合し被覆することを可能にする。当業者は、熱硬化性材料の類ごとにどの硬化剤が適切であるかを容易に理解するであろう。
【0077】
エポキシド重合のために適する硬化剤には、多塩基酸およびそれらの無水物、窒素含有硬化剤;、アルミニウム、硼素、アンチモンおよびチタンのクロロ−、ブロモ−およびフルオロ−含有ルイス酸、プロトン性酸またはルイス酸の光化学活性化発生剤および上述したフェノール材料が挙げられる。例示的な多塩基酸およびそれらの無水物には、シュウ酸、フタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アルキル置換コハク酸、酒石酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水ピロメリット酸などのジカルボン酸、トリカルボン酸およびより高級のカルボン酸ならびに重合酸、例えば、ドデセン二酸および10,12−エイコサジエン二酸などの少なくとも10個の炭素原子を含むものが挙げられる。
【0078】
窒素含有硬化剤には、例えば、ジシアンジアミド、イミダゾール(例えばヘキサキス(イミダゾール)ニッケルフタレート)、イミダゾレート、ジヒドラジド(例えば、アジピン酸ジヒドラジドおよびイソフタル酸ジヒドラジド)、ウレアおよびメラミンならびにカプセル化脂肪族アミン(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、テトラメチルピペラミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,2−ジアミノ−2−メチル−プロパン、2,3−ジアミノ−2−メチル−ブタン、2,3−ジアミノ−2−メチル−ペンタン、2,4−ジアミノ−2,6−ジメチル−オクタン、ジブチルアミンおよびジオクチルアミン)が挙げられる。本明細書で用いられる「カプセル化」という用語は、熱を加えるまで硬化剤として機能することを妨げる材料によってアミンを取り囲むことを意味する。ポリマー結合アミンまたはポリマー結合イミダゾールも用いてよい。ピリジン、ベンジルアミン、ベンジルジメチルアミンおよびジエチルアニリンも熱活性化硬化剤として有用である。
【0079】
窒素含有硬化剤の例には、「アミキュア(Amicure)」CG−1200、「アミキュア(AMICURE)」CG−1400、「アンキャミン(Ancamine)」2337、「アンキャミン(Ancamine)」2441、「アンキャミン(Ancamine)」2014という商品名でペンシルバニア州アレンタウンのエアープロダクツ(Air Products(Allentown,PA))から市販されているもの、「アンキャミン(Ancamine)」4338Sおよび「アンキャミン(Ancamine)」4339Sという商品名で日本国東京都の旭電化工業株式会社(Asahi Denka Kogyo K.K.(Tokyo,Japan))から市販されているもの、「オミキュア(Omicure)」U−52および「オミキュア(Omicure)」U−410ならびに「オミキュア(Omicure)」シリーズの他の材料などの商品名でニュージャージー州のメープルシェードのCVCスペシャルティ・ケミカルズ(CVC Specialty Chemicals(Mapleshade,N.J.))から市販されているもの、「インテリマ(Intellimer)」7001、「インテリマ(Intellimer)」7002、「インテリマ(Intellimer)」7004および「インテリマ(Intellimer)」7024という商品名でカリフォルニア州メンロパークのランデック(Landec(Menlo Park(CA))から市販されているもの、「クレゾール(Curezol)」という商品名で入手できる材料のシリーズとしてエアープロダクツ(Air Products)によって販売され日本国のシコクファイン・ケミカルズ(Shikoku Fine Chemicals(Japan))から市販されているもの、および「アジキュア(Ajicure)」という商品名で入手できる材料のシリーズとしてニュージャージー州ティーネックのアジノモト・カンパニー(Ajinomoto Company Inc.(Teaneck,N.J.))から市販されているものが挙げられる。
【0080】
アルミニウム、硼素、アンチモンおよびチタンの例示的なクロロ−、ブロモ−およびフルオロ−含有ルイス酸には、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三弗化硼素、五弗化アンチモンおよび四弗化チタンなどが挙げられる。好ましくは、これらのルイス酸は、熱硬化性材料の潜伏時間を増やすために遮断されていてもよい。代表的な遮断ルイス酸には、米国特許第4,503,211号明細書に記載されたように、BF3−モノエチルアミンおよびHSbF5 X(式中、Xはハロゲン、−OHまたは−OR1であり、R1は脂肪族または芳香族のアルコール、アニリンまたはそれらの誘導体の残基である)の付加体が挙げられる。この特許は本明細書に引用して援用する。
【0081】
エポキシド重合のために適する光化学活性化硬化剤には、重合に触媒作用を及ぼすために酸を発生させるカチオン光触媒が挙げられる。「酸」という用語がプロトン性酸またはルイス酸のいずれかを含むことが可能であることが理解されるべきである。これらのカチオン光触媒は、金属またはメタロイドのオニウムカチオンおよびハロゲン含有錯体アニオンを有するメタロセン塩を含むことが可能である。他の有用なカチオン光触媒には、米国特許第4,751,138号明細書(例えば、欄6行65〜欄9行45)に更に記載されている金属またはメタロイドの有機金属錯体カチオンとハロゲン含有錯体アニオンを有するメタロセン塩が挙げられる。有用な光触媒の他の例には、有機金属塩およびオニウム塩、例えば、米国特許第4,985,340号明細書(例えば、欄4行65〜欄14行50)および欧州特許出願第306,161号明細書および同第306,162号明細書に記載されたものが挙げられる。なお他のカチオン光触媒には、欧州特許出願第109,581号明細書に記載されている、金属が周期律第IVB族、V13族、VIB族、V1113族およびVIIIB族の元素から選択される有機金属錯体のイオン塩が挙げられる。適する光化学活性化硬化剤は、「イルガキュア(Irgacure)」261という商品名でニューヨーク州ホーソンのチバ・ガイギー(Ciba−Geigy(Hawthorne(NY))から市販されている硬化剤である。
【0082】
ウレタン材料のために適する硬化剤には、エポキシドと共に用いるために記載された窒素含有硬化剤(ウレアを与えるための非遮断化反応後に遮断イソシアネート基と反応できる)および例えば遮断イソシアネートと反応できるヒドロキシル官能基(例えばフェノール)またはチオール官能基を含む材料が挙げられる。プロトン性酸またはルイス酸の光化学活性化発生剤は、これらの反応を強化するために用いることが可能である。
【0083】
シアネートエステル材料のために適する硬化剤には、エポキシドと共に用いるために記載された窒素含有硬化剤および熱活性化または光化学活性化され得る硬化剤が挙げられる。こうした硬化剤の例には、シクロペンタジエニル基(C55)およびシクロペンタジエニル基の誘導体を含む有機金属化合物が挙げられる。適する硬化剤には、シクロペンタジエニル鉄ジカルボニルダイマー([C55Fe(CO)22)、ペンタメチルシクロペンタジエニル鉄ジカルボニルダイマー([C5(CH35Fe(CO)22)、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(C54(CH3)Mn(CO)3)、シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(C55Mn(CO)3)が挙げられる。それらのすべては、マサチューセッツ州ニューベリーポートのストレム・ケミカル・カンパニー(Strem Chemical Company(Newburyport,MA))から入手できる。適する他の硬化剤には、シクロペンタジエニル鉄メシチレンカチオンのヘキサフルオロホスフェート塩(C55(メシチレン)Fe+PF6-)およびシクロペンタジエニル鉄メシチレンカチオンのトリフルオロメタンスルホネート塩(C55(メシチレン)Fe+(CF3SO3-))が挙げられる。それらの両方は、米国特許第4,868,288号明細書に記載された方法によって調製してもよい。この特許は本明細書に引用して援用する。
【0084】
フェノール材料およびニトリルフェノール材料のために適する硬化剤には、ヘキサメチレンテトラアミン(ホルムアルデヒドの潜在源)および有機酸(例えば、燐酸、パラトルエンスルホン酸およびサリチル酸)と金属酸化物(例えば、酸化亜鉛および酸化マグネシウム)の組み合わせが挙げられる。
【0085】
ビスマレイミド材料のために適する硬化剤には、エポキシドと共に用いるために記載された窒素含有硬化剤およびアリルフェノールの潜在源が挙げられる。
【0086】
別の実施形態において、活性化性接着剤組成物は熱可塑性材料に基づいてもよい。適する熱可塑性材料には、例えば、ポリエステル、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィンおよびそれらの誘導体が挙げられる。熱可塑性材料に関して本明細書で用いられる「誘導体」という用語は、架橋反応または重合反応に向けて反応性でない追加の置換基を有する基分子を意味する。熱可塑性材料は、本来、典型的には硬化剤を必要としない。
【0087】
活性化性接着剤組成物の更なる実施形態として、ハイブリッド材料は、少なくとも2種の成分が溶融相(溶融相は、少なくとも2種の成分の組み合わせが液体である場合である)中で適合性である少なくとも2種の成分の組み合わせである。少なくとも2種の成分は相互侵入高分子網目または半相互侵入高分子網目を形成し、少なくとも1種の成分は熱の付加後または光の照射などの硬化の他の手段によって不融性(すなわち、成分が溶解も溶融もできない)になる。第1の成分は架橋性材料であり、第2の成分は(a)熱可塑性材料、(b)熱可塑性材料を形成させることが可能であるモノマー、オリゴマーまたはポリマー(および必要ないずれかの硬化剤)、(c)熱硬化性材料、すなわち熱硬化性材料を形成させることが可能であるモノマー、オリゴマーまたはプレポリマー(および必要ないずれかの硬化剤)である。第2の成分は、第2の成分が第1の成分と反応性でないように選択される。しかし、例えば、結合したハイブリッド材料の凝集強度を増す目的のために架橋性材料と第2の成分の一方または両方と反応し得る第3の成分を添加することが望ましい場合がある。
【0088】
適する第1の成分には、熱硬化性材料、例えば、上述した熱硬化性材料および上述したポリアクリレートおよびウレタンなどの架橋性エラストマーが挙げられる。
【0089】
熱可塑性である適する第2の成分には、上述した熱可塑性材料が挙げられる。著しい架橋反応を受けずに熱可塑性材料を形成させ得るモノマー、オリゴマーまたはポリマー(および必要ないずれかの硬化剤)により現場(in−situ)で形成され得る適する熱可塑性樹脂は当業者に容易に明らかであろう。第2の成分(a)を導入している例示的なハイブリッド材料は、例えば、PCT/EP第98/06323号明細書、米国特許第5,709,948号明細書および米国特許出願第09/070,971号明細書に記載されている。これらの特許のすべては本明細書に引用して援用する。第2の成分(b)を導入している例示的なハイブリッド材料は、例えば、米国特許第5,086,088号明細書に記載されている。この特許は本明細書に引用して援用する。米国特許第5,086,088号明細書の実施例1は、現場(in−situ)で形成された熱可塑性材料の例を例示している。
【0090】
熱硬化性である適する第2の成分には、上述した熱硬化性材料が挙げられる。第2の成分(c)を導入している例示的なハイブリッド材料は米国特許第5,494,981号明細書に記載されている。この特許は本明細書に引用して援用する。
【0091】
特定の好ましい活性化性接着剤組成物は米国特許第6,506,494号明細書で開示されたエポキシ系組成物である。従って、この実施形態において、活性化性接着剤組成物は、
A)活性化潜在硬化剤系にさらされた時に硬化したエポキシ樹脂に硬化されることができるエポキシ樹脂と、
B)(a)熱可塑性高分子材料よりなるカプセル壁を有する多数の周囲温度安定性不透過性マイクロカプセル内のコアとして実質的に含まれる、ジシアンジアミドおよびその誘導体から選択された潜在硬化剤を含む少なくとも1種のエポキシ樹脂混和性の第1の硬化剤と(b)潜在促進剤を含むか、または金属イミダゾレート化合物である少なくとも1種のエポキシ樹脂潜在第2の硬化剤とを含む、前記エポキシ樹脂を硬化させるのに十分な量の潜在硬化剤系と含む。
金属イミダゾレートは式MLmの化合物であってもよい。
式中、Mは、Ag(I)、Cu(I)、Cu(II)、Cd(II)、Zn(II)、Hg(II)、Ni(II)およびCo(II)の群から選択された金属である。
Lは式
【化1】

のイミダゾレートである。
式中、R1、R2およびR3は、水素原子、典型的には1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基または典型的には6〜18個、好ましくは6〜12個の炭素原子を有するアリール基から選択され、mは、前記硬化性エポキシ樹脂内で均一に混合された前記エポキシ樹脂を硬化させるために活性化された時に十分な量のMの原子価であり、ここで、マイクロカプセル壁は第2の硬化剤から第1の硬化剤を単離する。
【0092】
上で記載された例示的な活性化性接着剤組成物は、本発明の接着剤物品のシースの中で単独で、または活性化性接着剤組成物の2種以上の適合性代表物と組み合わせて用いてもよい。
【0093】
本発明の権利請求の対象とする接着剤物品のシース中に存在してもよい感圧接着剤は、好ましくはアクリル系感圧接着剤であるが、他の感圧接着剤も考慮されており、用いてもよい。こうした他の感圧接着剤には、例えば、サタス(D.Satas)編「感圧接着剤技術ハンドブック(第三版)(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(third edition))」、米国ロードアイランド州ウォーウィックのサタス・アンド・アソーシエーツ(Satas and Associates,Warwick,RI))、1989、それぞれ頁550−556および423−442で開示されたシリコーンに基づく感圧接着剤またはポリオレフィンに基づく感圧接着剤が挙げられる。
【0094】
適する感圧接着剤の特定の例には、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルエーテル;、天然ゴム、ポリイソプレンおよびポリブタジエンなどのジエンゴム、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブチルゴム、ブタジエンアクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー;、スチレンイソプレンブロックコポリマーおよびスチレンイソプレンスチレン(SIS)ブロックコポリマー、エチレンプロピレンジエンポリマーおよびスチレンブタジエンポリマーなどのブロックコポリマー、ポリ−アルファ−オレフィン、非晶質ポリオレフィン、シリコーン;、エチレン酢酸ビニル、エチルアクリレートおよびエチルメタクリレートなどのエチレン含有コポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドンコポリマー、ポリエステル、ならびに上の混合物またはブレンドの一般組成物に基づく接着剤が挙げられるが、それらに限定されない。感圧接着剤組成物は、粘着性付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、拡散材料、硬化剤、繊維、フィラメントおよび溶媒に限定されないが、それらを含む添加剤を含んでもよい。
【0095】
低表面エネルギーまたは油性表面を有する基材に予備的に結合させるために活性化性接着剤と組み合わせて用いてもよい感圧接着剤には、例えばEP第1318181号明細書で開示されたアクリル酸またはメタクリル酸の1種以上のアルキルエステルとビニルエステルのアクリルコポリマーに基づく感圧接着剤、あるいは(i)アクリル酸またはメタクリル酸の1種以上のアルキルエステルと、ルイス塩基官能基を有する1種以上の共重合性モノマーと、任意に1種以上の架橋剤と、(ii)1種以上の粘着性付与樹脂とを含む前駆体組成物から得ることができる反応生成物を含む感圧接着剤を開示しているEP第1245656号明細書で開示された感圧接着剤が挙げられる。油性表面への接着のために特に有用であり得るなお更なる感圧接着剤は国際公開第95/13331号パンフレットで開示されている。
【0096】
市販されている適する感圧接着剤には、VHBという商品名でスリーエム・カンパニー(3M Company)から市販されている感圧接着剤が挙げられる。
【0097】
一般に、本発明による接着剤物品の製造は、(i)繊維状ウェブを含むコアを提供する工程と、(ii)接着剤組成物を含むシースをコアに被着させる工程とを含む。
【0098】
シースに含まれる接着剤組成物は、少なくとも1つの主接着剤表面を含むテープまたはフィルムとして配合してもよい。接着剤組成物はテープまたはフィルムの両方の主面上に存在してもよい。こうした形態において、接着剤をコアの周りに巻き付けて、本発明による接着剤物品のシースを備えることが可能である。好ましくは、テープまたはフィルムに含まれる接着剤組成物は、コアに接着させるとともに取扱いおよび塗布のために十分に安定であるシース/コア構造を備えるために少なくとも片側で十分な初期粘着性レベルを有する。
【0099】
あるいは、接着剤組成物は流体として配合してもよく、コアの表面上にそういうものとして被覆して、コアを完全にまたは部分的に覆うシースを備えてもよい。被覆のために適する方法は限定されておらず、例えば、噴霧、ロール塗布、押出、共押出、流し塗り、ミクロ繊維化によって接着剤組成物の溶液または懸濁液を被着させる方法または乾燥の工程または被着された組成物の更なる化学変化または物理変化をもたらすために熱処理または放射線照射などの更なる処理を任意に伴うか、またはこうした工程または処理が後に続く液体接着剤またはペースト接着剤などのビーズの塗布による方法を含む。
【0100】
上で記載されたように、接着剤物品の圧縮性および/または可撓性はシースを組織化することによって改善してもよい。例えば、不連続方式でコアの表面に沿って広げるようにシースを形成してもよい。こうしたシースは、接着剤物品の外周の周りに完全に延在してもよいか、または延在しなくてもよい穴、切れ目または他の開口を提供してもよい。
【0101】
こうした組織化シースの一実施形態は、接着剤物品の外周の周りまたは外周の少なくとも主部分の周りに完全に延在するシース材料の別個のループを含むシースであろう。例えば、こうしたループは、所定の距離でコアの周りに上述したテープとして配合された接着剤組成物の細片を巻き付けることにより便利に得てもよい。ループの幅およびループ間の距離の幅は、必要に応じて独立して選択してもよい。例えば、テープの幅は5〜30mmの範囲であってもよく、ループ間の距離は2〜20mmの範囲であってもよい。ループは、接着剤物品の長手軸に垂直の方向で外周の周りに被着させてもよいか、またはループは長手軸に向けて傾斜されていてもよく、よって連続螺旋構造または不連続螺旋構造をもたらす。
【0102】
従って、こうした組織化シースの特定の実施形態は、接着剤組成物を含む少なくとも1つの螺旋を含むシースであろう。この少なくとも1つの螺旋はコアの少なくとも一部に沿って長手方向に延在する。シースは、コアの少なくとも一部に沿って長手方向に延在する第1の螺旋に逆方向に巻き付けられている接着剤組成物を含む少なくとも1つの第2の螺旋も含んでもよい。好ましくは、少なくとも1つの第1の螺旋および少なくとも1つの第2の螺旋はコアの同じ部分に沿って少なくとも部分的に長手方向に延在して、逆方向に巻き付けられた二重螺旋を形成させる。好ましくは、螺旋/複数の螺旋は、コアの表面の一部が覆われないまま残るように別個の巻き付け間で特定量の空間を有するべきである。例えば、こうした螺旋は、別個の巻き付け間の所定の距離でコアの周りに上述した液体接着剤またはペースト接着剤のテープとして配合された細片を巻き付けることにより、あるいは液体接着剤またはペースト接着剤のビーズの塗布によって便利に得てもよい。巻き付けの幅および巻き付け間の距離の幅は必要に応じて独立して選択してもよい。例えば、巻き付けの幅は5〜30mmの範囲であってもよく、巻き付け間の距離は2〜20mmの範囲であってもよい。
【0103】
可撓性を増すためのシースの組織化の更なる方法は、異なる厚さでシースを塗布することを含む。例えば、より厚く、より可撓性のないシースを有する接着剤物品の区画は少ない量のシース材料を有する区画と互い違いにしてもよい。更なる実施形態において、シースは、その長手軸にそって接着剤物品の曲げを容易にするために被着される溝を含んでもよい。
【0104】
上で記載されたシースを組織化する異なる方法が相互に排他的ではなく、1つの接着剤物品において組み合わせて用いることが可能であることは理解されるべきである。
【0105】
コアおよびシースに加えて、本発明の接着剤物品は1つ以上の剥離ライナーを備えて、接着剤層の外面を保護してもよい。典型的には、剥離ライナーは剥離材料で被覆されたフィルム基材または紙基材を含む。
【0106】
必要ならば接着剤物品を被着させる基材と接着剤物品との間の結合を形成させるために活性化させる方法は接着剤層中に存在する接着剤組成物に応じて異なり、様々な用途のために適切に選択することが可能である。一般に、接着剤組成物は、非常に少ない質量の接着剤しか存在しないので、正味接着剤系よりも遙かに迅速に均一に活性化され、結合する。接着剤の非常に薄い外面のみが硬化/重合し、これは、基材の表面を損なわせ得る低い正常収縮力をもたらさない。従って、空隙充填系の大部分が硬化/重合しないので、正味体積減少が存在しないという事実のゆえに小さい読み過ししか存在しない。硬化も低い質量のゆえに完全に均一である。
【0107】
例えば、熱活性化接着剤において、硬化温度に迅速に到達する。更に、典型的には発熱はない。従って、接着剤の過熱または炭化の可能性は無視できる。更に、コア材料が多孔質である場合、自動車工業において結合されるべき部品上に存在するプレ電着洗浄溶液などのあらゆる残留液は接着剤を通して迅速に排出され、あらゆる残留水分は熱活性化中に迅速に蒸発する。
【0108】
本発明の接着剤物品は、結合特性、充填特性、制動特性、シール特性または剛化特性を必要とする様々な用途のために適する。
【0109】
従って、本発明は基材に本発明による接着剤物品を結合させることを含む結合の方法を更に提供する。一般に、結合させる用途において、接着剤物品は第1の基材と第2の基材に結合させて、前記第1の基材と第2の基材を互いに結合させる。しばしば、本発明による接着剤物品を用いる接合プロセスは、表面に物品を被着させ、その後、正しい高さに接合部を圧縮しつつ第2の表面を物品に接触させるようにもっていくことを含む。
【0110】
本発明による接着剤物品は、例えばコーナーに曲げやすく被着させ適合させてもよい。接着剤物品は有益な空隙充填能力を有し、0.2または0.1mmさえもの下限と20mm、30mmあるいは40または50mmさえもの上限との間の範囲の空隙に容易に適合し得る。本発明の接着剤物品は、接合されるべき基材の間で不均一な距離を有する接合部において特に利点を有する。こうした場合、接着剤物品は、より高い距離の領域にある重要な空隙を埋め、補助し得る。低い距離の領域において、コアは、より高い結合強さの領域を達成するようにより圧縮される。
【0111】
特定の用途のために、結合が第1の基材と第2の基材とに確立された後、例えば熱の作用によってコアを除去することができる接着剤物品を提供することが可能である。こうした特性は、例えば、中空軽量接着剤構造体を提供するため、またはリサイクルの目的のために用いることができよう。
【0112】
剛化、制動または絶縁目的のために本発明による接着剤物品を利用することも可能である。従って、本発明は、基材の剛性を強化するか、基材を制動するか、または基材の絶縁特性を改善する方法であって、基材に本発明による接着剤物品を結合させることを含む方法を更に提供する。これらの目的のために単一基材または2つ以上の基材に本発明による接着剤物品を被着させることが可能である。
【0113】
基材の上または基材の間に、本発明による接着剤物品は、ハニカムコアに似た低重量で高い剛性、制動および/または絶縁特性を提供する模様を形成させてもよい。例えば、互いに平行に配置されたか、または他の所望のいずれかの構成の複数の接着剤物品は配列を形成してもよい。あるいは、接着剤物品は、同じ目的のために幾分密なS曲線で基材の上または基材の間に配置してもよい。従って、例えば、高い剛性は、本発明による接着剤物品を用いることにより最低重量増加で得られる場合がある。この利点は、自動車およびバンなどの輸送車両の例えばフード、ドアまたは屋根上で性能を強化し、傷を減らし、振動を減らすことである。
【0114】
例えば、本発明による接着剤物品は、金属シートまたは金属パネル、プラスチック材料または複合材料などの様々な基材を結合させるために用いることが可能である。特定の実施形態において、接着剤物品は、航空機、船舶、バスまたは列車などの輸送車両の部品に、特に道路上で用いるための自動車、バス、トラックまたは他の自動車などの自動車の部品に結合させるために用いられる。更なる実施形態において、接着剤物品は、こうした輸送車両、特に道路上で用いるための自動車の部品を互いに結合させるために用いられる。なお更に、接着剤物品は前述した車両の空隙充填目的のために適切に用いてもよい。
【0115】
接着剤物品の形態を取った用途は、例えば、液体接着剤配合物またはペースト接着剤配合物の用途と比べて容易で安全な取扱いを確実にする。
【0116】
本発明による接着剤物品は、金属、プラスチックまたは複合材料のシートまたはパネルなどの基材に被着させることが可能であり、繊維状ウェブは、繊維の連結、溶融または他のいずれかの形の化学硬化などの上述した方法のいずれかによって堅くすることが可能である。こうした接着剤物品の効果は、接着剤物品を被着させた基材を更に剛化することであろう。
【0117】
最後に、本発明の接着剤物品で達成され得る高い剛性であるが過負荷下での容易な変形の特性は、例えば、車両が歩行者に衝突する状況で有用であり得る。剛化剤として本発明により適切に選択された接着剤物品を用いると、日々の正常パネル剛性は保持されるが、衝突の場合、より高い変形レベルを達成する場合がある。
【実施例】
【0118】
実施例の調製のために用いた材料
a)構造エポキシフィルム接着剤
熱活性化性接着剤として、スリーエム・カンパニー(3M Company)(米国ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN/USA))から市販されている架橋性接着剤フィルムSAF6045を利用した。SAF6045は変性エポキシフィルムであり、0.4mmの公称厚さを有している。15分+10分の炉傾斜にわたって165℃でサンプルを硬化させた後に初期23℃で測定されたASTM 1002−94に準拠する典型的な重なり剪断値は、基材に応じて15.3MPa〜19.0MPaの間である。
【0119】
b)垂直クロスラッピング技術により製造された繊維状ウェブ(300g/m2重量)
用いた繊維状ウェブは、PET繊維タイプ101という商品名でインクイテックス(Inquitex SA)/Spainから入手できる15denのポリエチレンテレフタレート(PET)ステープルファイバーから構成された。PETステープルファーバーの典型的な長さは38〜42mmの間であり、繊維は80%の平均伸びを有していた。ウェブは、複合(BICO)繊維としても知られている熱ボンド繊維を更に含んでいた。複合繊維は、ドイツ国のタンガーディング(Tangerding(Germany))によって市販されている50mmの平均ステープル長さを有する、コポリマーポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンイソフタレート(シース)とホモポリマーポリエチレンテレフタレート(コア)から構成されたコア−シース繊維であった。
【0120】
不織ウェブを製造するために、15denの80%のPET繊維と20%の熱ボンドBICO繊維とを含む繊維ブレンドの小バッチ(100g)を手で混合した。その後、これらのバッチを一定速度で単一円柱形カードに手でフィードした。その後、カードウェブをクロスラップし、軽くニードルパンチし、その後、長さに沿って半分で折り畳んだ。その後、このプレウェブを用いて第2の単一円柱形カードをフィードし、前記カードは垂直クロスラッパー(VCL)にフィードされる用いられるウェブを提供した。
【0121】
所望の厚さを与えるために設定された「ストルト」マシン(チェコ共和国リベレック大学(Czech Republic at the University of Liberec)で開発された)および二重ベルトコレクタを有する140℃で設定された熱ボンド炉で垂直クロスラッピングプロセスを行った。「ストルト」プロセスは、繊維を垂直向きに押し込むために棒を用いている。こうしたプロセスは、z方向に高度に配向した製品を与えるループから外に方向を変える時点で繊維のエンドを押す。
【0122】
試験アセンブリの調製のために、片側研削スチールパネル(RS/14として英国BL49TPのボールトンのファーンワースのQパネル・カンパニー・エクスプレス・トレーディング・エステート(Q−Panel Company Express Trading Estate(Farnworth,Bolton,BL49TP,U.K.))から入手できる)を選択した。パネルは厚さ1.6mmであり、10.2mm×15.2mmの寸法を有していた。管状接着剤によるパネルの組み立前にクリーニングを行わなかった。従って、腐食発生を避けるために塗布されている油を有するパネルを供給されたまま用いた。油は180℃での炉ベークサイクルで蒸発する傾向がある。
【0123】
実施例の調製
実施例1
前述した垂直クロスラップ繊維状ウェブの細片(厚さ2cm、幅2cm)を15denの80%のPET繊維と4.4denの20%の「ビコ(Bico)」熱ボンド繊維から構成されているコア材料として選択した。
【0124】
非重なり技術を用いてこれらの繊維状ウェブ細片を熱活性化性接着剤フィルムにより細片の外側上に巻き付けて、接着剤テープの螺旋をもたらした。
【0125】
その後、2つの厚さ1.6mmの片側研削スチールパネルの間に材料を置いた。その後、こうして取得した試験アセンブリを手で互いに押し、23℃相対湿度50%で24時間にわたり試験前に状態調節した。
【0126】
状態調節後に、試験アセンブリを強制空気炉に入れ、以下のプログラムされた概要により温度を180℃に上げた。
・炉温度を10分で23℃から180℃まで傾斜をつけて上げる。
・その後、炉温度を180℃で30分にわたり保持する。
・30分後、炉のスイッチを切り、炉のドアを開け、サンプルを放置して冷えるまで炉に留めた。炉から試験アセンブリを取出した後、接着剤の硬化サイクルを完了とみなした。
【0127】
硬化した試験アセンブリを23℃相対湿度50%で24時間にわたり試験前に状態調節した。
【0128】
実施例2
実施例1に記載されたのと同じVCL繊維状ウェブを用いるが、逆方向に巻き付けられた二重螺旋構造において架橋性フィルム接着剤をコア材料の周りに巻き付けることにより第2のサンプル材料を調製した。この結果として、波を有する軸を成すクロスウェブカットを作ることにより不織布の細片をVCLシートから切断した。切断断面は幅20mmで長さ200mmであった。その後、巻出口から巻出口まで24mmのピッチを用いて螺旋模様にテープを巻き取ることにより、3M SAF6045エポキシフィルム接着剤(米国ミネソタ州セントポールのスリーエム・カンパニー(3M Company(St.Paul,MN/USA))から市販されている)を被着させた。同じテープを用いるが、第1のテープとは反対方向に被着させることにより巻取り手順を繰り返した。これは、可撓性不織コアの周りに交差模様で巻き取られた円柱形エポキシ接着剤をもたらした。不織チューブの得られた直径は約16mmであった。
【0129】
逆方向に巻き付けられた二重螺旋構造は非常に可撓性であり、高性能であることが可能であった。
【0130】
Q−パネル・カンパニー(Q−Panel Company)によって供給された片側ブラシ掛けタイプの102mm×152mm×0.254mmの寸法の薄い片側ブラシ掛けスチールパネルに長さ方向に、こうした形成された管状剛化剤を被着させた。このパネルを追加の表面調製を全くせずに受領したまま用い、接着剤をブラシ掛け表面に被着させた。23℃相対湿度50%で24時間にわたり試験アセンブリを状態調節した後に、試験アセンブリを強制空気炉に入れ、特定の傾斜上昇時間を全く用いずに176℃で20分にわたり硬化させた。炉はサンプルを炉に入れた時の温度であり、プログラムされた温度の傾斜上昇はなかった。
【0131】
この硬化状態で、実施例2の材料は、非常に強く、そして堅く変わり、応力外皮に抗するトップハット剛化剤またはより高価なダブラーの代替品などの単一側用途のために適する管状剛化系を提供した。
【0132】
3点曲げ試験
3点曲げ試験を実施例2の接着剤物品で行った。
【0133】
この試験を行うために、実施例2による逆方向に巻き付けられた接着剤物品をスチールパネルの長軸に沿って中心で長さ方向に結合させた。パネルを接着剤の両側でアルミニウム架台上に支持し、架台は30mmの高さを有していた。パネルとの接触は接着剤物品の各側で30mm×3mmであった。パネルがパネルの長軸に直角で4つの30mm端上で支持されたテーブルに似ているように、同じことをパネルの他側で行った。その後、これらの支持体を140mm離して置き、よって架台間で140mmの支間を残した。今、パネルの中心部分を押し下げて、たゆむ力を測定した。これは、パネルの長軸に直角で37mmの長さを有するパネルの中心に置かれた端寸法37mm×8mmの平坦なMDFプローブで行った。プローブを一定速度(1mm/分)で今下げ、要した力を通常の張力方法を用いて圧縮において測定した。試験結果を以下の表1に示している。
【0134】
【表1】

【0135】
強い構造結合を実施例1および2でもたらした。実施例2で行われた3点曲げ試験の結果は、6mmのたわみに至るまでパネルの剛性の明確な改善を更に示した。剛性のこの増加を達成するために用いられた接着剤物品が6.58gのみの重量であったことに気付くことは興味深いことである。これは、プレートが破壊前にほぼ70N(7000g)の負荷に耐えることを可能にした。破壊点に至るまで、パネルの剛性は選択されたパネル厚さに関して17倍だけ増加した。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】2つの基材の間に被着される本発明による接着剤物品の概略図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状ウェブを含む細長いコアを含む接着剤物品であって、前記コアが接着剤組成物を含むシースを備え、前記コアの最小径が1mm以上である、接着剤物品。
【請求項2】
前記接着剤物品がその長手軸に対し垂直な少なくとも1つの方向に圧縮可能である、請求項1に記載の接着剤物品。
【請求項3】
前記接着剤物品がその長手軸に沿って可撓性である、請求項2に記載の接着剤物品。
【請求項4】
前記シースが前記コアの表面に沿って不連続に延在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤物品。
【請求項5】
前記シースが穴、切れ目または他の開口を含む、請求項4に記載の接着剤物品。
【請求項6】
前記シースが前記コアの少なくとも一部に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの螺旋を含む、請求項3に記載の接着剤物品。
【請求項7】
前記コアが不織繊維状ウェブを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着剤物品。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着剤物品を製造する方法であって、(i)繊維状ウェブを含むコアを提供する工程と、(ii)接着剤組成物を含むシースをコアに被着させる工程とを含む方法。
【請求項9】
少なくとも1つの第1の基材と少なくとも1つの第2の基材に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着剤物品を結合させて、前記第1の基材と前記第2の基材を互いに結合させることを含む結合方法。
【請求項10】
前記第1の基材と前記第2の基材が、それらの間で0.2mm〜20mmの空隙を画定し、前記接着剤物品が前記空隙を充填する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
基材の剛性を強化する方法であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着剤物品を基材に結合させることを含む方法。
【請求項12】
輸送車両中の部品を結合させるか、または剛化させるための請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着剤物品の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−517140(P2008−517140A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537920(P2007−537920)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/036325
【国際公開番号】WO2006/044300
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】