コネクタ、当該コネクタに用いられるソケットおよびヘッダ
【課題】ソケットとヘッダとの嵌合力をより高めることのできるコネクタおよび当該コネクタに用いられるソケット、ヘッダを得る。
【解決手段】コネクタCは、コンタクト12およびソケット側保持金具30が配設されたソケット本体11を有するソケット10と、ポスト22およびヘッダ側保持金具40が配設されたヘッダ本体21を有するヘッダ20とを備えている。そして、ソケット側保持金具30およびヘッダ側保持金具40に、ソケット10とヘッダ20との嵌合状態を保持するロック機構を設けた。
【解決手段】コネクタCは、コンタクト12およびソケット側保持金具30が配設されたソケット本体11を有するソケット10と、ポスト22およびヘッダ側保持金具40が配設されたヘッダ本体21を有するヘッダ20とを備えている。そして、ソケット側保持金具30およびヘッダ側保持金具40に、ソケット10とヘッダ20との嵌合状態を保持するロック機構を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、当該コネクタに用いられるソケットおよびヘッダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとして、ハウジングに複数のコンタクトおよび保持金具を配設したソケットと、ハウジングに複数のコンタクトおよび保持金具を配設したヘッダと、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、ソケットとヘッダとを相互に嵌合させることで、対応するコンタクト同士を接触導通し、各コンタクトが接続された回路基板の導体パターン同士を電気的に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−270099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、保持金具は、それぞれの回路基板上に固定するために設けられているだけである。そのため、ソケットとヘッダとの嵌合力を高めることができず、落下の衝撃などといったように、大きな外力によってヘッダとソケットとの嵌合が安易に解除されてしまうおそれがある。
【0006】
このことは、特にコンタクトの数が少ない場合や、コンタクト同士の接圧が低い場合に顕著である。
【0007】
そこで、本発明は、ソケットとヘッダとの嵌合力をより高めることのできるコネクタおよび当該コネクタに用いられるソケット、ヘッダを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にあっては、第1の回路基板の端子に接続されるコンタクトおよび第1の回路基板上に固定するためのソケット側保持金具が配設されたソケット本体を有するソケットと、第2の回路基板の端子に接続されるポストおよび第2の回路基板上に固定するためのヘッダ側保持金具が配設されたヘッダ本体を有するヘッダとを備え、前記ソケットと前記ヘッダとを嵌合させることで前記コンタクトと前記ポストとが接触するコネクタであって、前記ソケット側保持金具および前記ヘッダ側保持金具に、前記ソケットと前記ヘッダとの嵌合状態を保持するロック機構が設けられていることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ソケット側保持金具およびヘッダ側保持金具に、ソケットとヘッダとの嵌合状態を保持するロック機構を設けている。そのため、ソケットとヘッダとの嵌合力をより高めることができ、大きな外力によってヘッダとソケットとの嵌合が安易に解除されてしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかるソケットを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態にかかるソケットに含まれるソケットコンタクトの斜視図であって、(a)は内側方向から見た図、(b)は外側方向から見た図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態にかかるソケットを一部分解して示す分解斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態にかかるヘッダを示す斜視図である。
【図6】図6は、図5のB−B断面図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態にかかるヘッダに含まれるヘッダコンタクトの斜視図であって、(a)は内側方向から見た図、(b)は外側方向から見た図である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態にかかるヘッダを一部分解して示す分解斜視図である。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態にかかるヘッダ本体にヘッダ側保持金具を圧入した状態を示す平面図である。
【図10】図10は、本発明の第1実施形態にかかるソケットとヘッダとの嵌合状態を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の第1実施形態にかかるヘッダ側保持金具とソケット側保持金具のロック機構によるロック状態を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施形態にかかるソケットを示す斜視図である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態にかかるヘッダ側保持金具とソケット側保持金具のロック機構によるロック状態を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の第3実施形態にかかるソケットを示す斜視図である。
【図15】図15は、本発明の第3実施形態にかかるヘッダ側保持金具とソケット側保持金具のロック機構によるロック状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、ソケットおよびヘッダの幅方向をX方向、ソケットおよびヘッダの長手方向をY方向、ソケットとヘッダの挿抜方向(ソケットおよびヘッダの厚さ方向)をZ方向として説明する。
【0012】
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態にかかるコネクタCは、図1に示すソケット10と、図5に示すヘッダ20とによって構成されている。
【0014】
ソケット10は、図1に示すように、絶縁性の合成樹脂によって平面視で全体的に矩形(長方形)状に型成形されたソケットハウジング(ソケット本体)11を備えている。このソケットハウジング11には、複数のソケットコンタクト(コンタクト)12が、対向した長辺に沿ってY方向に所定ピッチPをもって配設されている。また、ソケットハウジング11のY方向(長手方向)両端には、図示せぬ第1の回路基板上に固定するためのソケット側保持金具30が配設されている。
【0015】
ソケットハウジング11は、その周縁部に沿って略矩形環状に連続的に形成される周壁部13と、中央部において周壁部13から所定間隔をあけて形成される略矩形状の島部14とを備えている。そして、これら周壁部13と島部14との間にヘッダ20を嵌合する嵌合溝部15が形成されている。
【0016】
ソケットコンタクト12は、図3に示すように、所定厚さを持った帯状の金属材を湾曲成形することにより形成されている。このソケットコンタクト12の先端部12aには、第1屈曲部12B1から上方に屈曲した先端側を内方に屈曲させた第2屈曲部12B2が形成されており、基端部12bには、逆U字状に屈曲させた第3屈曲部12B3が形成されている。そして、第3屈曲部12B3のさらに先端側が平坦な接続端子部12Tとなっている。
【0017】
本実施形態では、ソケットコンタクト12は、図2に示すように、ソケットハウジング11に対して、第2屈曲部12B2が嵌合溝部15内に突出するように取り付けられている。このとき、周壁部13の内部に形成された凹部13H1に第3屈曲部12B3が嵌合されるとともに、島部14の下面に形成された凹部13H2に第1屈曲部12B1が嵌合されている。
【0018】
この状態で、ソケットコンタクト12の接続端子部12Tが周壁部13の根元側(下縁)から外方に突出し、それら接続端子部12Tが、第1の回路基板の導体パターン(端子)に半田付けにより接続される。
【0019】
一方、ヘッダ20は、図5に示すように、絶縁性の合成樹脂によって全体的にソケットハウジング11と略相似の矩形(長方形)状に型成形されたヘッダハウジング(ヘッダ本体)21を備えている。このヘッダハウジング21には、複数のヘッダコンタクト(ポスト)22が、対向した長辺に沿ってY方向にソケットコンタクト12のピッチPと等しいピッチPをもって配設されている。また、ヘッダハウジング21のY方向(長手方向)両端には、図示せぬ第2の回路基板上に固定するためのヘッダ側保持金具40が配設されている。
【0020】
ヘッダハウジング21は、その周縁部に沿って略矩形環状に連続的に形成される周壁部23を備え、その周壁部23の内方に凹部24が形成されている(図10,11参照)。
【0021】
ヘッダコンタクト22は、図7に示すように、ソケットコンタクト12と同様に所定厚さを持った帯状の金属材を屈曲形成することにより形成されている。このヘッダコンタクト22の先端部22aには、第4屈曲部22B1から上方に立ち上げた先端側を後退する方向に逆U字状に屈曲させて第5屈曲部22B2が形成される一方、基端部22bには、略平坦な接続端子部22Tが形成されている。
【0022】
そして、ヘッダコンタクト22は、第5屈曲部22B2を周壁部23の先端部(図6の下側)に跨ぐように嵌合させるとともに、基端部22bを周壁部23の根元部(図6の上側)に貫通させるようにした状態で、ヘッダハウジング21に取り付けられる。
【0023】
この状態で、ヘッダコンタクト22の接続端子部22Tが周壁部23の下縁から外方に突出し、それら接続端子部22Tが、第2の回路基板の導体パターン(端子)に半田付けにより接続される。
【0024】
図10は、ソケットとヘッダの嵌合状態を示す断面図である。この図10に示すように、ヘッダハウジング21の周壁部23をソケットハウジング11の嵌合溝部15に挿入して嵌合することで、ヘッダ20がソケット10に嵌合される。このとき、ソケットコンタクト12の第3屈曲部12B3の先端部12a側の外側面F1(図3参照)が、ヘッダコンタクト22の第5屈曲部22B2の先端部22a側の外側面F2(図6参照)に弾発的に接触する。そして、ソケットコンタクト12の第2屈曲部12B2の外側面F3(図3参照)が、ヘッダコンタクト22の第4屈曲部22B1と第5屈曲部22B2との間の平坦な外側面F4(図7参照)に弾発的に接触する。その結果、ソケットコンタクト12とヘッダコンタクト22とが電気的に接続され、ひいては、第1の回路基板の導体パターンと第2の回路基板の導体パターンとが相互に電気的に接続されることとなる。
【0025】
ここで、図1に示すように、ソケットハウジング11のY方向の両端部にはソケット側保持金具30が取り付けられている。そして、このソケット側保持金具30の取付片部32aを第1の回路基板に半田付けすることにより、ソケットコンタクト12の接続端子部12Tが半田付けされたことと相俟って、ソケット10が第1の回路基板に対して強固に結合されるようになっている。
【0026】
また、図5に示すように、ヘッダハウジング21のY方向の両端部にはヘッダ側保持金具40が取り付けられている。そして、このヘッダ側保持金具40の取付片部41bを第2の回路基板に半田付けすることにより、ヘッダコンタクト22の接続端子部22Tが半田付けされたことと相俟って、ヘッダ20が第2の回路基板に対して強固に結合されるようになっている。
【0027】
本実施形態では、ソケット側保持金具30は、所定厚さの金属板をプレス成形して形成されたものである。このソケット側保持金具30は、ソケットハウジング11のX方向(幅方向:短辺方向)に延在する側板部31と、側板部31の両端部下側をソケットハウジング11のY方向(長辺方向)中央側に向かって略直角に折曲した底側本体部32と、を備えている。また、底板部32の両端部をソケットハウジング11のX方向(短辺方向)両側から突出させることで回路基板への取付片部32aが形成されている。そして、側板部31のX方向(幅方向:短辺方向)中央部には、Y方向内側に向けて延在する係合片(ソケット側のロック機構)31cが設けられている。
【0028】
このソケット側保持金具30は、ソケットハウジング11を型成形する際にインサート成形されるようになっている。このとき、ソケット側保持金具30は、側板部31がソケットハウジング11の周壁部13の外壁面(11E1,11E2)に沿って露出された状態で、ソケットハウジング11に取り付けられる。
【0029】
すなわち、側板部31がソケットハウジング11の長辺方向の端面(外壁面)11E1,11E2に沿って当該端面11E1,11E2と略面一となる状態で露出されるとともに、底板部32がソケットハウジング11の底面(外壁面)11Bに露出される。このように、ソケット側保持金具30の側板部31および底板部32をソケットハウジング11の外表面に沿って露出させれば、ソケット側保持金具30によってソケットハウジング11の周壁部13が二分されてしまうことがなくなる。その結果、周壁部13の剛性および強度の向上を図ることができる。
【0030】
また、本実施形態では、ソケット側保持金具30は、係合片31cの先端が周壁部13の内側に露出するようにインサート成形される。具体的には、ソケット側保持金具30は、係合片31cが周壁部13の上部を貫通して当該周壁部13の内側に露出するようにインサート成形される。
【0031】
また、第1の回路基板に半田付けされる取付片部32aが、ソケットハウジング11の幅方向(短手方向)両端面11S1,11S2から外方に所要量突出するようにインサート成形される。
【0032】
さらに、ソケット側保持金具30は、周壁部13の内部に食い込むアンカー部31a,32bを備えている。具体的には、アンカー部31aは、側板部31のX方向両端部を内側(ソケットハウジング11の長辺方向中央側)に折曲させることで形成されており、アンカー部32bは、底板部32をY方向内側に突設させて上方に折曲することで形成されている。これらアンカー部31a,32bは、双方とも、ソケット側保持金具30をソケットハウジング11に対してインサート成形した際に、ソケットハウジング11内に食い込んで埋設されるようになっている。このとき、アンカー部31aとアンカー部32bは、相異なる方向に伸びている。
【0033】
また、本実施形態では、ヘッダ側保持金具40も、所定厚さの金属板をプレス成形して形成されたものである。このヘッダ側保持金具40は、ヘッダハウジング21のX方向(幅方向:短辺方向)に延在する側板部41と、側板部41のX方向中央部を下方に延設させることで形成した延設部42と、を備えている。また、側板部41の両端部をY方向内側に折曲させるとともに、X方向内側に折曲させることで、平面視略C字状のアーム部41aが形成されている。そして、アーム部41aのY方向中央部をX方向外側に突出させることで回路基板への取付片部41bが形成されている。また、延設部42には、Y方向外側(ヘッダ20とソケット10とが嵌合した状態でソケット側保持金具30と対向する側)に突出する係合突部42aが形成されている。この係合突部42aは、ダボ加工や半抜き加工等によって形成することができる。
【0034】
そして、本実施形態では、このヘッダ側保持金具40は、圧入によりヘッダハウジング21に取り付けられている。すなわち、ヘッダハウジング21を型成形する際に、ヘッダハウジング21のY方向両端に圧入溝25を形成し、当該圧入溝25にヘッダ側保持金具40を圧入することで、ヘッダ側保持金具40をヘッダハウジング21に取り付けている(図8および図9参照)。このとき、ヘッダ側保持金具40は、側板部41がヘッダハウジング21の周壁部23の外壁面(21E1,21E2)に沿って露出された状態で、ヘッダハウジング21に取り付けられる。
【0035】
さらに、本実施形態では、ソケット側保持金具30およびヘッダ側保持金具40にロック機構を設け、ソケット10とヘッダ20とを嵌合させた際に、嵌合状態を保持できるようにしている。
【0036】
具体的には、図11に示すように、ヘッダ20をソケット10に嵌合させた状態で、ヘッダ側保持金具40に形成した係合突部42aとソケット側保持金具30に形成した係合片31cとが係合するようにした。すなわち、互いに嵌合したヘッダ20およびソケット10が抜去方向(Z方向において互いに離間する方向)に移動した際に係合突部42aと係合片31cとを係合させ、ヘッダ20およびソケット10の抜去方向への移動を規制するようにしている。
【0037】
このように、本実施形態では、側板部41、延設部42および係合突部42aがソケット側保持金具30およびヘッダ側保持金具40のうちいずれか一方に設けられたロック機構(ヘッダ側のロック機構)に相当する。そして、係合片31cが他方に設けられたロック機構(ソケット側のロック機構)に相当する。
【0038】
さらに、本実施形態では、係合突部42aを有するロック機構の少なくとも係合突部42aが形成された部位にばね性を持たせるようにしている。
【0039】
具体的には、図9に示すように、圧入溝25のX方向中央部にヘッダ側保持金具40の厚さよりも幅広の拡幅部25aを設け、圧入したヘッダ側保持金具40とヘッダハウジング21との間に隙間Sが形成されるようにしている。すなわち、本実施形態では、ヘッダ側保持金具40のうち側板部41のX方向中央部および延設部42とヘッダハウジング21との間に隙間Sが形成されるようにしている。
【0040】
このような隙間Sを設けることで、ロック機構の中央部(側板部41のX方向中央部および延設部42とヘッダハウジング21)を、ヘッダハウジング(係合突部を有するロック機構が設けられる側の本体)21から離間するように配設している。そのため、側板部41のX方向中央部および延設部42がY方向内側(ヘッダ20とソケット10との嵌合状態でソケット側保持金具30と対向する側の反対側)に弾性変形できるようになる。すなわち、本実施形態では、隙間Sを設けることで、側板部41のX方向中央部および延設部42にばね性を持たせるようにしている。
【0041】
このように、本実施形態では、側板部41のX方向中央部および延設部42が係合突部42aを有するロック機構の少なくとも係合突部42aが形成された部位に相当する。
【0042】
さらに、本実施形態では、側板部41のX方向両端部(中央部に係合突部が形成されたロック機構の両端部)を、圧入溝25に圧入することでヘッダハウジング(係合突部を有するロック機構が設けられる側の本体)21に固定している。
【0043】
かかる構成とすることで、ソケット10とヘッダ20とを嵌合させる際に、側板部41のX方向中央部および延設部42がY方向内側に弾性変形し、係合突部42aが係合片31cを乗り越え、係合突部42aと係合片31cとが係合することとなる。こうして、互いに嵌合したヘッダ20およびソケット10が抜去方向に移動した際には、係合突部42aと係合片31cとの係合により、ヘッダ20およびソケット10の抜去方向への移動が規制されるようにしている。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、ソケット側保持金具30およびヘッダ側保持金具40に、ソケット10とヘッダ20との嵌合状態を保持するロック機構を設けている。そのため、ソケット10とヘッダ20との嵌合力をより高めることができ、落下の衝撃などといったように、大きな外力によってヘッダ20とソケット10との嵌合が安易に解除されてしまうのを抑制することができる。
【0045】
したがって、本実施形態によれば、嵌合力をより高めることのできるソケット10およびヘッダ20を得ることができる。
【0046】
そのため、ソケットやヘッダに配設されるコンタクトやポストの数が少ないコネクタ、ソケットとヘッダとを嵌合した状態でコンタクトとポストとの接圧が低いコネクタの場合であっても、ソケットとヘッダとの嵌合力をより高めることができるようになる。
【0047】
また、本実施形態によれば、係合突部42aを有するロック機構の少なくとも係合突部42aが形成された部位(側板部41のX方向中央部および延設部42)にばね性を持たせるようにしている。したがって、ソケット10とヘッダ20とを嵌合させる際に、側板部41のX方向中央部および延設部42を弾性変形させることができ、係合突部42aと係合片31cとの係合および解除をよりスムーズに行うことができるようになる。
【0048】
また、本実施形態によれば、側板部41のX方向両端部(中央部に係合突部が形成されたロック機構の両端部)を、圧入溝25に圧入することでヘッダハウジング(係合突部を有するロック機構が設けられる側の本体)21に固定している。したがって、ロック機構の位置ずれを抑制することができ、より安定して係合突部42aと係合片31cとの係合状態を保持することが可能となる。すなわち、ソケット10とヘッダ20とを嵌合させた際に、より確実に係合突部42aと係合片31cとを係合させることができるようになる。
【0049】
(第2実施形態)
本実施形態にかかるコネクタCは、上記第1実施形態とほぼ同様の構成をしており、ソケット10Aとヘッダ20とを備えている。そして、ヘッダハウジング21の周壁部23をソケットハウジング11の嵌合溝部15に挿入して嵌合することで、ヘッダ20がソケット10Aに嵌合されるものである。
【0050】
ここで、本実施形態のコネクタCが上記第1実施形態のコネクタCと主に異なる点は、図12,13に示すように、ソケット側保持金具30の係合片31cに、ヘッダ側保持金具40の係合突部42aの挿入をガイドするガイド部31dを設けたことにある。
【0051】
すなわち、係合片31cがソケット側保持金具30およびヘッダ側保持金具40のうち少なくともいずれか一方に設けられたロック機構に相当し、側板部41、延設部42および係合突部42aが相手側のロック機構に相当する。
【0052】
本実施形態では、係合片31cは、周壁部13の先端部(図12の上側)を外側から内側にかけて跨ぐように形成されており、係合片31cの先端が下方を向くように周壁部13のY方向内側に延設されている。そして、係合片31cの周壁部13のY方向内側上部に対応する部位には、内側かつ上方に凸の湾曲部が形成されており、この湾曲部がガイド部31dになっている。すなわち、ヘッダ20とソケット10Aとを嵌合させる前に互いに離間は位置した状態において、係合片31cのヘッダ20が位置する側(ヘッダ挿入側)にガイド部31dが設けられている。
【0053】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、ソケット側保持金具30の係合片31cに、ヘッダ側保持金具40の係合突部42aの挿入をガイドするガイド部31dを設けている。そのため、ソケット10とヘッダ20とを嵌合させる際に、ヘッダ側保持金具40の挿入が容易になり、係合突部42aと係合片31cとの係合をよりスムーズに行うことができるようになる。
【0055】
(第3実施形態)
本実施形態にかかるコネクタCは、上記第2実施形態とほぼ同様の構成をしており、ソケット10Bとヘッダ20とを備えている。そして、ヘッダハウジング21の周壁部23をソケットハウジング11の嵌合溝部15に挿入して嵌合することで、ヘッダ20がソケット10Bに嵌合されるものである。
【0056】
ここで、本実施形態のコネクタCが上記第2実施形態のコネクタCと主に異なる点は、図14,15に示すように、ソケット側保持金具30の係合片31cの下端部(図15の下側)31fを、ソケットハウジング11内に埋設させたことにある。
【0057】
すなわち、ソケット側保持金具30の係合片31c(ロック機構)の一部である係合片31cの下端部31fを、ソケットハウジング11内に埋設させている。言い換えると、係合片31cのソケット10Bとヘッダ20との挿抜方向(Z方向)におけるガイド部31dが設けられた側とは反対側(図15の下側)を、当該係合片(ロック機構)31cが設けられる側の本体であるソケットハウジング11内に埋設している。
【0058】
また、本実施形態では、係合片31cの下端部31fがソケットハウジング11内に埋設されているため、係合片31cのY方向内側に露出している略中央部に、係合突部42aを係合させる係合凹部31eを形成している。
【0059】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、ソケット側保持金具30の係合片31cの下端部(ロック機構の一部)31fを、ソケットハウジング11内に埋設させるようにしている。その結果、ソケット側保持金具30がソケットハウジング11から外れにくくなり、ソケット10とヘッダ20との嵌合力をより一層高めることができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0062】
例えば、上記各実施形態では、ソケットやヘッダの形状が矩形状のものを例示したが、それ以外の形状であっても本発明を適用することができる。
【0063】
また、上記各実施形態では、ヘッダ側保持金具に係合突起を設けたものを例示したがソケット側保持金具に係合突起を設けるようにしてもよい。
【0064】
また、ヘッダ側保持金具およびソケット側保持金具の両方に係合突起を設け、それぞれの係合突起を係合させるようにしてもよい。また、それぞれの係合突起に係合する係合凹部を相手側の保持金具に設けるようにしてもよい。
【0065】
このように、ヘッダ側保持金具およびソケット側保持金具の両方に係合突起を設ける場合、いずれか一方の保持金具にばね性を持たせてもよいし、両方の保持金具がばね性を持つようにしてもよい。
【0066】
また、ヘッダ側のロック機構にガイド部を設けることも可能である。
【0067】
また、上記第2実施形態にあっても、係合片に、係合突部を係合させる係合凹部を形成することができる。
【0068】
また、コンタクトやポスト、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 ソケット
11 ソケットハウジング(ソケット本体)
12 ソケットコンタクト(コンタクト)
20 ヘッダ
21 ヘッダハウジング(ヘッダ本体)
22 ヘッダコンタクト(ポスト)
30 ソケット側保持金具
31 側板部
31c 係合片(ソケット側のロック機構)
31d ガイド部
40 ヘッダ側保持金具
41 側板部(ヘッダ側のロック機構)
42 延設部(ヘッダ側のロック機構)
42a 係合突部(ヘッダ側のロック機構)
C コネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、当該コネクタに用いられるソケットおよびヘッダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとして、ハウジングに複数のコンタクトおよび保持金具を配設したソケットと、ハウジングに複数のコンタクトおよび保持金具を配設したヘッダと、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、ソケットとヘッダとを相互に嵌合させることで、対応するコンタクト同士を接触導通し、各コンタクトが接続された回路基板の導体パターン同士を電気的に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−270099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、保持金具は、それぞれの回路基板上に固定するために設けられているだけである。そのため、ソケットとヘッダとの嵌合力を高めることができず、落下の衝撃などといったように、大きな外力によってヘッダとソケットとの嵌合が安易に解除されてしまうおそれがある。
【0006】
このことは、特にコンタクトの数が少ない場合や、コンタクト同士の接圧が低い場合に顕著である。
【0007】
そこで、本発明は、ソケットとヘッダとの嵌合力をより高めることのできるコネクタおよび当該コネクタに用いられるソケット、ヘッダを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にあっては、第1の回路基板の端子に接続されるコンタクトおよび第1の回路基板上に固定するためのソケット側保持金具が配設されたソケット本体を有するソケットと、第2の回路基板の端子に接続されるポストおよび第2の回路基板上に固定するためのヘッダ側保持金具が配設されたヘッダ本体を有するヘッダとを備え、前記ソケットと前記ヘッダとを嵌合させることで前記コンタクトと前記ポストとが接触するコネクタであって、前記ソケット側保持金具および前記ヘッダ側保持金具に、前記ソケットと前記ヘッダとの嵌合状態を保持するロック機構が設けられていることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ソケット側保持金具およびヘッダ側保持金具に、ソケットとヘッダとの嵌合状態を保持するロック機構を設けている。そのため、ソケットとヘッダとの嵌合力をより高めることができ、大きな外力によってヘッダとソケットとの嵌合が安易に解除されてしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかるソケットを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態にかかるソケットに含まれるソケットコンタクトの斜視図であって、(a)は内側方向から見た図、(b)は外側方向から見た図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態にかかるソケットを一部分解して示す分解斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態にかかるヘッダを示す斜視図である。
【図6】図6は、図5のB−B断面図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態にかかるヘッダに含まれるヘッダコンタクトの斜視図であって、(a)は内側方向から見た図、(b)は外側方向から見た図である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態にかかるヘッダを一部分解して示す分解斜視図である。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態にかかるヘッダ本体にヘッダ側保持金具を圧入した状態を示す平面図である。
【図10】図10は、本発明の第1実施形態にかかるソケットとヘッダとの嵌合状態を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の第1実施形態にかかるヘッダ側保持金具とソケット側保持金具のロック機構によるロック状態を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施形態にかかるソケットを示す斜視図である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態にかかるヘッダ側保持金具とソケット側保持金具のロック機構によるロック状態を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の第3実施形態にかかるソケットを示す斜視図である。
【図15】図15は、本発明の第3実施形態にかかるヘッダ側保持金具とソケット側保持金具のロック機構によるロック状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、ソケットおよびヘッダの幅方向をX方向、ソケットおよびヘッダの長手方向をY方向、ソケットとヘッダの挿抜方向(ソケットおよびヘッダの厚さ方向)をZ方向として説明する。
【0012】
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態にかかるコネクタCは、図1に示すソケット10と、図5に示すヘッダ20とによって構成されている。
【0014】
ソケット10は、図1に示すように、絶縁性の合成樹脂によって平面視で全体的に矩形(長方形)状に型成形されたソケットハウジング(ソケット本体)11を備えている。このソケットハウジング11には、複数のソケットコンタクト(コンタクト)12が、対向した長辺に沿ってY方向に所定ピッチPをもって配設されている。また、ソケットハウジング11のY方向(長手方向)両端には、図示せぬ第1の回路基板上に固定するためのソケット側保持金具30が配設されている。
【0015】
ソケットハウジング11は、その周縁部に沿って略矩形環状に連続的に形成される周壁部13と、中央部において周壁部13から所定間隔をあけて形成される略矩形状の島部14とを備えている。そして、これら周壁部13と島部14との間にヘッダ20を嵌合する嵌合溝部15が形成されている。
【0016】
ソケットコンタクト12は、図3に示すように、所定厚さを持った帯状の金属材を湾曲成形することにより形成されている。このソケットコンタクト12の先端部12aには、第1屈曲部12B1から上方に屈曲した先端側を内方に屈曲させた第2屈曲部12B2が形成されており、基端部12bには、逆U字状に屈曲させた第3屈曲部12B3が形成されている。そして、第3屈曲部12B3のさらに先端側が平坦な接続端子部12Tとなっている。
【0017】
本実施形態では、ソケットコンタクト12は、図2に示すように、ソケットハウジング11に対して、第2屈曲部12B2が嵌合溝部15内に突出するように取り付けられている。このとき、周壁部13の内部に形成された凹部13H1に第3屈曲部12B3が嵌合されるとともに、島部14の下面に形成された凹部13H2に第1屈曲部12B1が嵌合されている。
【0018】
この状態で、ソケットコンタクト12の接続端子部12Tが周壁部13の根元側(下縁)から外方に突出し、それら接続端子部12Tが、第1の回路基板の導体パターン(端子)に半田付けにより接続される。
【0019】
一方、ヘッダ20は、図5に示すように、絶縁性の合成樹脂によって全体的にソケットハウジング11と略相似の矩形(長方形)状に型成形されたヘッダハウジング(ヘッダ本体)21を備えている。このヘッダハウジング21には、複数のヘッダコンタクト(ポスト)22が、対向した長辺に沿ってY方向にソケットコンタクト12のピッチPと等しいピッチPをもって配設されている。また、ヘッダハウジング21のY方向(長手方向)両端には、図示せぬ第2の回路基板上に固定するためのヘッダ側保持金具40が配設されている。
【0020】
ヘッダハウジング21は、その周縁部に沿って略矩形環状に連続的に形成される周壁部23を備え、その周壁部23の内方に凹部24が形成されている(図10,11参照)。
【0021】
ヘッダコンタクト22は、図7に示すように、ソケットコンタクト12と同様に所定厚さを持った帯状の金属材を屈曲形成することにより形成されている。このヘッダコンタクト22の先端部22aには、第4屈曲部22B1から上方に立ち上げた先端側を後退する方向に逆U字状に屈曲させて第5屈曲部22B2が形成される一方、基端部22bには、略平坦な接続端子部22Tが形成されている。
【0022】
そして、ヘッダコンタクト22は、第5屈曲部22B2を周壁部23の先端部(図6の下側)に跨ぐように嵌合させるとともに、基端部22bを周壁部23の根元部(図6の上側)に貫通させるようにした状態で、ヘッダハウジング21に取り付けられる。
【0023】
この状態で、ヘッダコンタクト22の接続端子部22Tが周壁部23の下縁から外方に突出し、それら接続端子部22Tが、第2の回路基板の導体パターン(端子)に半田付けにより接続される。
【0024】
図10は、ソケットとヘッダの嵌合状態を示す断面図である。この図10に示すように、ヘッダハウジング21の周壁部23をソケットハウジング11の嵌合溝部15に挿入して嵌合することで、ヘッダ20がソケット10に嵌合される。このとき、ソケットコンタクト12の第3屈曲部12B3の先端部12a側の外側面F1(図3参照)が、ヘッダコンタクト22の第5屈曲部22B2の先端部22a側の外側面F2(図6参照)に弾発的に接触する。そして、ソケットコンタクト12の第2屈曲部12B2の外側面F3(図3参照)が、ヘッダコンタクト22の第4屈曲部22B1と第5屈曲部22B2との間の平坦な外側面F4(図7参照)に弾発的に接触する。その結果、ソケットコンタクト12とヘッダコンタクト22とが電気的に接続され、ひいては、第1の回路基板の導体パターンと第2の回路基板の導体パターンとが相互に電気的に接続されることとなる。
【0025】
ここで、図1に示すように、ソケットハウジング11のY方向の両端部にはソケット側保持金具30が取り付けられている。そして、このソケット側保持金具30の取付片部32aを第1の回路基板に半田付けすることにより、ソケットコンタクト12の接続端子部12Tが半田付けされたことと相俟って、ソケット10が第1の回路基板に対して強固に結合されるようになっている。
【0026】
また、図5に示すように、ヘッダハウジング21のY方向の両端部にはヘッダ側保持金具40が取り付けられている。そして、このヘッダ側保持金具40の取付片部41bを第2の回路基板に半田付けすることにより、ヘッダコンタクト22の接続端子部22Tが半田付けされたことと相俟って、ヘッダ20が第2の回路基板に対して強固に結合されるようになっている。
【0027】
本実施形態では、ソケット側保持金具30は、所定厚さの金属板をプレス成形して形成されたものである。このソケット側保持金具30は、ソケットハウジング11のX方向(幅方向:短辺方向)に延在する側板部31と、側板部31の両端部下側をソケットハウジング11のY方向(長辺方向)中央側に向かって略直角に折曲した底側本体部32と、を備えている。また、底板部32の両端部をソケットハウジング11のX方向(短辺方向)両側から突出させることで回路基板への取付片部32aが形成されている。そして、側板部31のX方向(幅方向:短辺方向)中央部には、Y方向内側に向けて延在する係合片(ソケット側のロック機構)31cが設けられている。
【0028】
このソケット側保持金具30は、ソケットハウジング11を型成形する際にインサート成形されるようになっている。このとき、ソケット側保持金具30は、側板部31がソケットハウジング11の周壁部13の外壁面(11E1,11E2)に沿って露出された状態で、ソケットハウジング11に取り付けられる。
【0029】
すなわち、側板部31がソケットハウジング11の長辺方向の端面(外壁面)11E1,11E2に沿って当該端面11E1,11E2と略面一となる状態で露出されるとともに、底板部32がソケットハウジング11の底面(外壁面)11Bに露出される。このように、ソケット側保持金具30の側板部31および底板部32をソケットハウジング11の外表面に沿って露出させれば、ソケット側保持金具30によってソケットハウジング11の周壁部13が二分されてしまうことがなくなる。その結果、周壁部13の剛性および強度の向上を図ることができる。
【0030】
また、本実施形態では、ソケット側保持金具30は、係合片31cの先端が周壁部13の内側に露出するようにインサート成形される。具体的には、ソケット側保持金具30は、係合片31cが周壁部13の上部を貫通して当該周壁部13の内側に露出するようにインサート成形される。
【0031】
また、第1の回路基板に半田付けされる取付片部32aが、ソケットハウジング11の幅方向(短手方向)両端面11S1,11S2から外方に所要量突出するようにインサート成形される。
【0032】
さらに、ソケット側保持金具30は、周壁部13の内部に食い込むアンカー部31a,32bを備えている。具体的には、アンカー部31aは、側板部31のX方向両端部を内側(ソケットハウジング11の長辺方向中央側)に折曲させることで形成されており、アンカー部32bは、底板部32をY方向内側に突設させて上方に折曲することで形成されている。これらアンカー部31a,32bは、双方とも、ソケット側保持金具30をソケットハウジング11に対してインサート成形した際に、ソケットハウジング11内に食い込んで埋設されるようになっている。このとき、アンカー部31aとアンカー部32bは、相異なる方向に伸びている。
【0033】
また、本実施形態では、ヘッダ側保持金具40も、所定厚さの金属板をプレス成形して形成されたものである。このヘッダ側保持金具40は、ヘッダハウジング21のX方向(幅方向:短辺方向)に延在する側板部41と、側板部41のX方向中央部を下方に延設させることで形成した延設部42と、を備えている。また、側板部41の両端部をY方向内側に折曲させるとともに、X方向内側に折曲させることで、平面視略C字状のアーム部41aが形成されている。そして、アーム部41aのY方向中央部をX方向外側に突出させることで回路基板への取付片部41bが形成されている。また、延設部42には、Y方向外側(ヘッダ20とソケット10とが嵌合した状態でソケット側保持金具30と対向する側)に突出する係合突部42aが形成されている。この係合突部42aは、ダボ加工や半抜き加工等によって形成することができる。
【0034】
そして、本実施形態では、このヘッダ側保持金具40は、圧入によりヘッダハウジング21に取り付けられている。すなわち、ヘッダハウジング21を型成形する際に、ヘッダハウジング21のY方向両端に圧入溝25を形成し、当該圧入溝25にヘッダ側保持金具40を圧入することで、ヘッダ側保持金具40をヘッダハウジング21に取り付けている(図8および図9参照)。このとき、ヘッダ側保持金具40は、側板部41がヘッダハウジング21の周壁部23の外壁面(21E1,21E2)に沿って露出された状態で、ヘッダハウジング21に取り付けられる。
【0035】
さらに、本実施形態では、ソケット側保持金具30およびヘッダ側保持金具40にロック機構を設け、ソケット10とヘッダ20とを嵌合させた際に、嵌合状態を保持できるようにしている。
【0036】
具体的には、図11に示すように、ヘッダ20をソケット10に嵌合させた状態で、ヘッダ側保持金具40に形成した係合突部42aとソケット側保持金具30に形成した係合片31cとが係合するようにした。すなわち、互いに嵌合したヘッダ20およびソケット10が抜去方向(Z方向において互いに離間する方向)に移動した際に係合突部42aと係合片31cとを係合させ、ヘッダ20およびソケット10の抜去方向への移動を規制するようにしている。
【0037】
このように、本実施形態では、側板部41、延設部42および係合突部42aがソケット側保持金具30およびヘッダ側保持金具40のうちいずれか一方に設けられたロック機構(ヘッダ側のロック機構)に相当する。そして、係合片31cが他方に設けられたロック機構(ソケット側のロック機構)に相当する。
【0038】
さらに、本実施形態では、係合突部42aを有するロック機構の少なくとも係合突部42aが形成された部位にばね性を持たせるようにしている。
【0039】
具体的には、図9に示すように、圧入溝25のX方向中央部にヘッダ側保持金具40の厚さよりも幅広の拡幅部25aを設け、圧入したヘッダ側保持金具40とヘッダハウジング21との間に隙間Sが形成されるようにしている。すなわち、本実施形態では、ヘッダ側保持金具40のうち側板部41のX方向中央部および延設部42とヘッダハウジング21との間に隙間Sが形成されるようにしている。
【0040】
このような隙間Sを設けることで、ロック機構の中央部(側板部41のX方向中央部および延設部42とヘッダハウジング21)を、ヘッダハウジング(係合突部を有するロック機構が設けられる側の本体)21から離間するように配設している。そのため、側板部41のX方向中央部および延設部42がY方向内側(ヘッダ20とソケット10との嵌合状態でソケット側保持金具30と対向する側の反対側)に弾性変形できるようになる。すなわち、本実施形態では、隙間Sを設けることで、側板部41のX方向中央部および延設部42にばね性を持たせるようにしている。
【0041】
このように、本実施形態では、側板部41のX方向中央部および延設部42が係合突部42aを有するロック機構の少なくとも係合突部42aが形成された部位に相当する。
【0042】
さらに、本実施形態では、側板部41のX方向両端部(中央部に係合突部が形成されたロック機構の両端部)を、圧入溝25に圧入することでヘッダハウジング(係合突部を有するロック機構が設けられる側の本体)21に固定している。
【0043】
かかる構成とすることで、ソケット10とヘッダ20とを嵌合させる際に、側板部41のX方向中央部および延設部42がY方向内側に弾性変形し、係合突部42aが係合片31cを乗り越え、係合突部42aと係合片31cとが係合することとなる。こうして、互いに嵌合したヘッダ20およびソケット10が抜去方向に移動した際には、係合突部42aと係合片31cとの係合により、ヘッダ20およびソケット10の抜去方向への移動が規制されるようにしている。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、ソケット側保持金具30およびヘッダ側保持金具40に、ソケット10とヘッダ20との嵌合状態を保持するロック機構を設けている。そのため、ソケット10とヘッダ20との嵌合力をより高めることができ、落下の衝撃などといったように、大きな外力によってヘッダ20とソケット10との嵌合が安易に解除されてしまうのを抑制することができる。
【0045】
したがって、本実施形態によれば、嵌合力をより高めることのできるソケット10およびヘッダ20を得ることができる。
【0046】
そのため、ソケットやヘッダに配設されるコンタクトやポストの数が少ないコネクタ、ソケットとヘッダとを嵌合した状態でコンタクトとポストとの接圧が低いコネクタの場合であっても、ソケットとヘッダとの嵌合力をより高めることができるようになる。
【0047】
また、本実施形態によれば、係合突部42aを有するロック機構の少なくとも係合突部42aが形成された部位(側板部41のX方向中央部および延設部42)にばね性を持たせるようにしている。したがって、ソケット10とヘッダ20とを嵌合させる際に、側板部41のX方向中央部および延設部42を弾性変形させることができ、係合突部42aと係合片31cとの係合および解除をよりスムーズに行うことができるようになる。
【0048】
また、本実施形態によれば、側板部41のX方向両端部(中央部に係合突部が形成されたロック機構の両端部)を、圧入溝25に圧入することでヘッダハウジング(係合突部を有するロック機構が設けられる側の本体)21に固定している。したがって、ロック機構の位置ずれを抑制することができ、より安定して係合突部42aと係合片31cとの係合状態を保持することが可能となる。すなわち、ソケット10とヘッダ20とを嵌合させた際に、より確実に係合突部42aと係合片31cとを係合させることができるようになる。
【0049】
(第2実施形態)
本実施形態にかかるコネクタCは、上記第1実施形態とほぼ同様の構成をしており、ソケット10Aとヘッダ20とを備えている。そして、ヘッダハウジング21の周壁部23をソケットハウジング11の嵌合溝部15に挿入して嵌合することで、ヘッダ20がソケット10Aに嵌合されるものである。
【0050】
ここで、本実施形態のコネクタCが上記第1実施形態のコネクタCと主に異なる点は、図12,13に示すように、ソケット側保持金具30の係合片31cに、ヘッダ側保持金具40の係合突部42aの挿入をガイドするガイド部31dを設けたことにある。
【0051】
すなわち、係合片31cがソケット側保持金具30およびヘッダ側保持金具40のうち少なくともいずれか一方に設けられたロック機構に相当し、側板部41、延設部42および係合突部42aが相手側のロック機構に相当する。
【0052】
本実施形態では、係合片31cは、周壁部13の先端部(図12の上側)を外側から内側にかけて跨ぐように形成されており、係合片31cの先端が下方を向くように周壁部13のY方向内側に延設されている。そして、係合片31cの周壁部13のY方向内側上部に対応する部位には、内側かつ上方に凸の湾曲部が形成されており、この湾曲部がガイド部31dになっている。すなわち、ヘッダ20とソケット10Aとを嵌合させる前に互いに離間は位置した状態において、係合片31cのヘッダ20が位置する側(ヘッダ挿入側)にガイド部31dが設けられている。
【0053】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、ソケット側保持金具30の係合片31cに、ヘッダ側保持金具40の係合突部42aの挿入をガイドするガイド部31dを設けている。そのため、ソケット10とヘッダ20とを嵌合させる際に、ヘッダ側保持金具40の挿入が容易になり、係合突部42aと係合片31cとの係合をよりスムーズに行うことができるようになる。
【0055】
(第3実施形態)
本実施形態にかかるコネクタCは、上記第2実施形態とほぼ同様の構成をしており、ソケット10Bとヘッダ20とを備えている。そして、ヘッダハウジング21の周壁部23をソケットハウジング11の嵌合溝部15に挿入して嵌合することで、ヘッダ20がソケット10Bに嵌合されるものである。
【0056】
ここで、本実施形態のコネクタCが上記第2実施形態のコネクタCと主に異なる点は、図14,15に示すように、ソケット側保持金具30の係合片31cの下端部(図15の下側)31fを、ソケットハウジング11内に埋設させたことにある。
【0057】
すなわち、ソケット側保持金具30の係合片31c(ロック機構)の一部である係合片31cの下端部31fを、ソケットハウジング11内に埋設させている。言い換えると、係合片31cのソケット10Bとヘッダ20との挿抜方向(Z方向)におけるガイド部31dが設けられた側とは反対側(図15の下側)を、当該係合片(ロック機構)31cが設けられる側の本体であるソケットハウジング11内に埋設している。
【0058】
また、本実施形態では、係合片31cの下端部31fがソケットハウジング11内に埋設されているため、係合片31cのY方向内側に露出している略中央部に、係合突部42aを係合させる係合凹部31eを形成している。
【0059】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、ソケット側保持金具30の係合片31cの下端部(ロック機構の一部)31fを、ソケットハウジング11内に埋設させるようにしている。その結果、ソケット側保持金具30がソケットハウジング11から外れにくくなり、ソケット10とヘッダ20との嵌合力をより一層高めることができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0062】
例えば、上記各実施形態では、ソケットやヘッダの形状が矩形状のものを例示したが、それ以外の形状であっても本発明を適用することができる。
【0063】
また、上記各実施形態では、ヘッダ側保持金具に係合突起を設けたものを例示したがソケット側保持金具に係合突起を設けるようにしてもよい。
【0064】
また、ヘッダ側保持金具およびソケット側保持金具の両方に係合突起を設け、それぞれの係合突起を係合させるようにしてもよい。また、それぞれの係合突起に係合する係合凹部を相手側の保持金具に設けるようにしてもよい。
【0065】
このように、ヘッダ側保持金具およびソケット側保持金具の両方に係合突起を設ける場合、いずれか一方の保持金具にばね性を持たせてもよいし、両方の保持金具がばね性を持つようにしてもよい。
【0066】
また、ヘッダ側のロック機構にガイド部を設けることも可能である。
【0067】
また、上記第2実施形態にあっても、係合片に、係合突部を係合させる係合凹部を形成することができる。
【0068】
また、コンタクトやポスト、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 ソケット
11 ソケットハウジング(ソケット本体)
12 ソケットコンタクト(コンタクト)
20 ヘッダ
21 ヘッダハウジング(ヘッダ本体)
22 ヘッダコンタクト(ポスト)
30 ソケット側保持金具
31 側板部
31c 係合片(ソケット側のロック機構)
31d ガイド部
40 ヘッダ側保持金具
41 側板部(ヘッダ側のロック機構)
42 延設部(ヘッダ側のロック機構)
42a 係合突部(ヘッダ側のロック機構)
C コネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回路基板の端子に接続されるコンタクトおよび第1の回路基板上に固定するためのソケット側保持金具が配設されたソケット本体を有するソケットと、第2の回路基板の端子に接続されるポストおよび第2の回路基板上に固定するためのヘッダ側保持金具が配設されたヘッダ本体を有するヘッダとを備え、前記ソケットと前記ヘッダとを嵌合させることで前記コンタクトと前記ポストとが接触するコネクタであって、
前記ソケット側保持金具および前記ヘッダ側保持金具に、前記ソケットと前記ヘッダとの嵌合状態を保持するロック機構が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ソケット側保持金具および前記ヘッダ側保持金具のうちいずれか一方に設けられたロック機構は、他方に設けられたロック機構に係合する係合突部を有しており、
前記係合突部を有するロック機構の少なくとも係合突部が形成された部位にばね性を持たせたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記係合突部を有するロック機構は、当該ロック機構の中央部に前記係合突部が形成されており、両端部が当該ロック機構が設けられる側の本体に固定されているとともに、中央部が当該ロック機構が設けられる側の本体から離間するように配設されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ソケット本体の周壁部の内側に設けられる溝部に前記ヘッダ本体を挿入することで前記ソケットと前記ヘッダとを嵌合させており、
前記ソケット側保持金具および前記ヘッダ側保持金具のうち少なくともいずれか一方に設けられたロック機構には、前記ソケットと前記ヘッダとを嵌合させる際に、相手側のロック機構の挿入をガイドするガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ソケット側保持金具および前記ヘッダ側保持金具のうち少なくともいずれか一方に設けられたロック機構の一部が、当該ロック機構が設けられる側の本体に埋設されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のコネクタに用いられるソケット。
【請求項7】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のコネクタに用いられるヘッダ。
【請求項1】
第1の回路基板の端子に接続されるコンタクトおよび第1の回路基板上に固定するためのソケット側保持金具が配設されたソケット本体を有するソケットと、第2の回路基板の端子に接続されるポストおよび第2の回路基板上に固定するためのヘッダ側保持金具が配設されたヘッダ本体を有するヘッダとを備え、前記ソケットと前記ヘッダとを嵌合させることで前記コンタクトと前記ポストとが接触するコネクタであって、
前記ソケット側保持金具および前記ヘッダ側保持金具に、前記ソケットと前記ヘッダとの嵌合状態を保持するロック機構が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ソケット側保持金具および前記ヘッダ側保持金具のうちいずれか一方に設けられたロック機構は、他方に設けられたロック機構に係合する係合突部を有しており、
前記係合突部を有するロック機構の少なくとも係合突部が形成された部位にばね性を持たせたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記係合突部を有するロック機構は、当該ロック機構の中央部に前記係合突部が形成されており、両端部が当該ロック機構が設けられる側の本体に固定されているとともに、中央部が当該ロック機構が設けられる側の本体から離間するように配設されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ソケット本体の周壁部の内側に設けられる溝部に前記ヘッダ本体を挿入することで前記ソケットと前記ヘッダとを嵌合させており、
前記ソケット側保持金具および前記ヘッダ側保持金具のうち少なくともいずれか一方に設けられたロック機構には、前記ソケットと前記ヘッダとを嵌合させる際に、相手側のロック機構の挿入をガイドするガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ソケット側保持金具および前記ヘッダ側保持金具のうち少なくともいずれか一方に設けられたロック機構の一部が、当該ロック機構が設けられる側の本体に埋設されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のコネクタに用いられるソケット。
【請求項7】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のコネクタに用いられるヘッダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−164528(P2012−164528A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24201(P2011−24201)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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