コネクタおよびその製造方法
【課題】機器の公差および振動を吸収できるコネクタを提供する。
【解決手段】第1機器に接続される第1端子部42Aを有する樹脂製の第1ハウジング11と、第2機器に接続される第2端子部42Bを有する樹脂製の第2ハウジング25と、を備えるコネクタ10は、第1ハウジング11および第2ハウジング25を、インサート成形または二色成形により形成されたゴム製の連結部30により連結し一体化したことを特徴とする。本発明のコネクタ10の製造方法は第1ハウジング11および第2ハウジング25を、インサート成形または二色成形により、ゴム製の連結部30で連結し一体化する一体化工程を含むことを特徴とする。
【解決手段】第1機器に接続される第1端子部42Aを有する樹脂製の第1ハウジング11と、第2機器に接続される第2端子部42Bを有する樹脂製の第2ハウジング25と、を備えるコネクタ10は、第1ハウジング11および第2ハウジング25を、インサート成形または二色成形により形成されたゴム製の連結部30により連結し一体化したことを特徴とする。本発明のコネクタ10の製造方法は第1ハウジング11および第2ハウジング25を、インサート成形または二色成形により、ゴム製の連結部30で連結し一体化する一体化工程を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車には、モータやインバータなど種々の機器が搭載されている。これらの機器はハーネスにより接続されるのが一般的であるが、接続される2つの機器が近い位置に搭載されていると、各機器を締結するための大きなスペースが必要である。
そこで、特許文献1においては、モータとインバータとを一体化した構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−215355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に提案の構成において、モータとインバータとは連結部材(交流端子)により接続され、連結部材は各機器に対して不動に固定されている。したがって、上記のような構成では、機器の製造公差や取付公差を吸収するのが困難であるとともに、2つの機器の相対振動などに起因する連結部材や機器の破壊の発生も懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、機器の公差および振動を吸収できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものとして本発明は、第1機器に接続される第1端子部を有する樹脂製の第1ハウジングと、第2機器に接続される第2端子部を有する樹脂製の第2ハウジングと、を備えるコネクタであって、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを、インサート成形または二色成形により形成されたゴム製の連結部により連結し一体化したことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1機器に接続される第1端子部を有する樹脂製の第1ハウジングと、第2機器に接続される第2端子部を有する樹脂製の第2ハウジングと、を備えるコネクタの製造方法であって、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを、インサート成形または二色成形により、ゴム製の連結部で連結し一体化する一体化工程を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明においては、第1ハウジングと第2ハウジングとを連結する連結部がゴム製であるので、第1端子部に接続された第1機器と第2端子部に接続された第2機器の製造公差や取付公差を吸収し、機器の振動を吸収する。その結果、本発明によれば、機器の公差および振動を吸収できるコネクタを提供することができる。
【0009】
また、本発明では、二色成形またはインサート成形により連結部が各ハウジングと一体化されているので、連結部と各ハウジングとが接着剤を介して接合される場合よりも強固に接合されており、接合部における強度および防水シール性能が優れている。
【0010】
本発明は以下の構成としてもよい。
一端部に前記第1端子部を有するとともに、他端部に前記第2端子部を有する接続部材を備えていてもよい。このような構成とすると、1つの接続部材により2つの機器間の接続が可能となるので、簡易な構成とすることができ、製造コストを低減することができる。
【0011】
前記接続部材の前記一端部と前記他端部との間に、弾性変形可能な屈曲部を設けてもよい。このような構成とすると、接続部材の屈曲部が、2つのハウジング間で撓み変形することで機器の公差を吸収することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機器の公差および振動を吸収できるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は実施形態1のコネクタの斜視図である。
【図2】図2はコネクタの正面図である。
【図3】図3は図2のA−A断面図である。
【図4】図4は図2のB−B断面図である。
【図5】図5は第2ハウジングを連結する前の第1ハウジングを示す斜視図である。
【図6】図6は第2ハウジングの斜視図である。
【図7】図7は第1ハウジングと第2ハウジングを連結した状態を示す斜視図である。
【図8】図8はコネクタの裏側に取り付けられる蓋部材を示す斜視図である。
【図9】図9は接続部材の斜視図である。
【図10】図10はリテーナの斜視図である。
【図11】図11はリテーナの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1のコネクタ10を図1ないし図11によって説明する。以下の説明において、図2の上方を上とし、下方を下とする。
本実施形態のコネクタ10は、電気自動車やハイブリッド車等の車体(図示せず)に配設されて、この車体に配設されたインバータ(第1機器の一例)と、モータ(第2機器の一例)とを電気的に接続する。
【0015】
コネクタ10は、図1および図2に示すようにインバータ(の端子)と接続される第1端子部を有する合成樹脂製の第1ハウジング11と、モータ(の端子)と接続される第2端子部を有する合成樹脂製の第2ハウジング25とを上下方向にそれぞれ備える。
【0016】
第1ハウジング11には、図1および図5に示すように、略方形状の第1開口部12と長円形状の第2開口部18が設けられている。第1開口部12にはインバータ側コネクタが取り付けられるようになっている。第2開口部18には連結部30を介して第2ハウジング25が設けられている。
【0017】
第1ハウジング11の外側面には、図3および図5に示すように、第1開口部12の開口縁に沿って一対のリブ16,16が形成されており、この一対のリブ16,16の間には、第1開口部12には水の浸入を防止する防水シール部材17が取り付けられている。また、第1ハウジング11の外側面には第2開口部18の開口縁に沿って外側に突出形成された突部22が設けられており、この突部22を挟むように連結部30が接合されている。
【0018】
第1ハウジング11の内側面のうち、第1開口部12の下側の端面(下端面13)から、第2開口部18の上側の端面(上端面19)に至る部分には内側に突出する凸部20が形成されている(図3を参照)。凸部20には、図4および図5に示すように、第1開口部12の下端面13を3つに仕切る仕切突部21が、第2開口部18の上端面19に至って突出形成されている。仕切突部21により仕切られた第1開口部12の下端面13には3つのバスバー40(接続部材の一例)が載置されている。
【0019】
また、第1開口部12の下端面13の左右の端部は、図5に示すように、段付き形状をなしており、第1開口部12の下端面13から上方に突出した段差部14の端面には、リテーナ35(後述する)を係止する係止爪15が設けられている。
【0020】
第2ハウジング25は筒状形状をなしており、相手方のコネクタ(モータ側のコネクタ)のフード部に挿入可能とされる。第2ハウジング25は第2開口部18に沿った形状をなしており、長円形状に開口している。第2ハウジング25内は、仕切壁26により3つの領域に仕切られており、各領域には、バスバー40の他端部40Bがそれぞれ配されている(図2および図6を参照)。
【0021】
第2ハウジング25の外周縁には溝部27が形成され、この溝部27には、第2ハウジング25内への水の浸入を防止するシール部材28が取り付けられている。第2ハウジング25の連結部30側の端部には連結部30が接合される連結突部29が突出形成されている。
【0022】
第1ハウジング11から第2ハウジング25に至って配されるバスバー40は、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属からなる板材を所定形状にプレス加工してなる。バスバー40の表面には、スズ、ニッケル等に金属がメッキされていてもよい。
【0023】
バスバー40は図3および図9に示すように、コ字状に屈曲した形状をなしており、弾性変形可能となっている。バスバー40の一端部40Aと他端部40Bとの間には、4つの屈曲部(図3における上から順に第1屈曲部41A、第2屈曲部41B、第3屈曲部41C、第4屈曲部41Dとする)が形成されている。
【0024】
バスバー40は、図3に示すように、その第1屈曲部41Aと第2屈曲部41Bとの間の領域が第1開口部12の下端面13(凸部20)に載置され、その第2屈曲部41Bと第3屈曲部41Cとの間の領域が第1ハウジング11内において凸部20に沿って上下方向に配されている。詳しくは、バスバー40は、第1開口部12の下端面13において第1ハウジング11の外側方向(図示左方向)に略垂直に屈曲(第2屈曲部41B)して第1開口部12から外側に突出したのち、上方に略垂直に屈曲される(第1屈曲部41A)。また、バスバー40は第2開口部18よりも少し下がったところで、第1ハウジング11の外側方向に略垂直に屈曲した(第3屈曲部41C)のち、連結部30と第2ハウジング25の接合部30Bに対応する位置で下方に略垂直に屈曲されている(第4屈曲部41D)。
【0025】
バスバー40の一端部40A(図示上側の端部)および他端部40B(図示下側の端部)には、それぞれ円形の端子接続孔42A,42Bが形成されている。バスバー40の一端部40A側の端子接続孔42Aは、インバータ側のコネクタ端子が接続される第1端子部42Aである。バスバー40の他端部40B側の端子接続孔42Bには、モータ側のコネクタ端子が接続される第2端子部42Bである。
【0026】
第1ハウジング11の第1開口部12の下端面13に載置されたバスバー40は、リテーナ35により、図3に示すように、第1ハウジング11の凸部20との間に所定の間隔(概ね2mm程度)をあけて保持される。
【0027】
リテーナ35は、第1開口部12の下端面13に載置されたバスバー40の上に重なるように取り付けられている。リテーナ35の上面の内側面には第1開口部12の仕切突部21が嵌めこまれる一対のリブ36,36が、2組設けられている。
【0028】
リテーナ35の側面のうち第1開口部12の段差部14に対向する位置に配される側面には、段差部14に設けた係止爪15を受け入れて係止する方形状の係止孔37Aが形成されている。リテーナ35の係止孔37Aが形成されている係止部37の両側には係止部37を撓み変形可能とするスリット37B,37Bが形成されている。
【0029】
リテーナ35の側面のうち、コネクタ10の蓋部材31側に配される面には、図11に示すように、仕切突部21を嵌めこみ可能な溝38が形成されている。
【0030】
コネクタ10の蓋部材31は、第1ハウジング11の凸部20に対応する位置が外側方向に突出した形状をなしている。蓋部材31には、外周縁に沿ってシール部材32がはめこまれており、コネクタ10内への水の浸入を防止している。
【0031】
さて、第1ハウジング11の第2開口部18の突部22と、第2ハウジング25の連結突部29との間には、筒状の連結部30が形成されている。連結部30は第2開口部18の突部22を挟むように第1ハウジング11と接合されるとともに、連結突部29を挟むように第2ハウジング25に接合されている。
【0032】
連結部30は、ゴム材料から構成されており、二色成形またはインサート成形により形成される。連結部30を構成するゴム材料としては、シリコン系のゴムなど、シール部材17,28,32の材料などとして公知のものを用いることができる。
【0033】
次に、本実施形態のコネクタ10の製造方法について説明する。
第1ハウジング11および第2ハウジング25をそれぞれ連結部30に接合して一体化する(一体化工程、図5〜図7を参照)。具体的には、第1ハウジング11及び第2ハウジング25の材料(合成樹脂材料)と連結部30の材料(シリコンゴム)とを、所定の金型に流し込んで成形し(二色成形)、第1ハウジング11および第2ハウジング25を連結部30に接合して一体化する。あるいは第1ハウジング11及び第2ハウジング25と連結部30のいずれか一方を作製しておいて、インサート成形により、第1ハウジング11と第2ハウジング25とをそれぞれ連結部30により接合して一体化する。
【0034】
上記一体化工程と同時または前後して、各部品(バスバー40、蓋部材31、リテーナ35)を作製する。バスバー40の作製工程においては、金属板材にプレス加工を施した後、曲げ加工を施して、図9に示すような形状のものを3つ作製する。
【0035】
第1ハウジング11の第1開口部12の開口縁のリブ16,16間、第2ハウジング25の溝部27、および蓋部材31に、それぞれシール部材17,28,32を取り付けておく。
【0036】
次に、3つのバスバー40を図3における右側から取り付けて、第1屈曲部41Aと第2屈曲部41Bとの間の領域を第1ハウジング11の第1開口部12の下端面13に載置する。
【0037】
次に第1開口部12の下端面13に載置されたバスバー40の上にリテーナ35を取り付けると、リテーナ35の上面のリブ36,36間に仕切突部21が嵌り込み、リテーナ35の側面の溝38に仕切突部21が嵌り込む。リテーナ35の係止部37は第1開口部12の係止爪15と当接すると内側方向に撓むが、リテーナ35の係止孔37Aに第1開口部12の係止爪15が配されると係止部37が弾性復帰し、リテーナ35が係止される。そして、バスバー40はリテーナ35により、第1ハウジング11の凸部20との間に所定間隔をあけた状態で保持される。次に、コネクタ10の裏側に、蓋部材31を取り付けると本実施形態のコネクタ10が完成する。
【0038】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態においては、第1ハウジング11と第2ハウジング25とを連結するゴム製の連結部30が、第1端子部に接続された第1機器と第2端子部に接続された第2機器の製造公差や取付公差を吸収するとともに、機器の振動を吸収する。その結果、本実施形態によれば、機器の公差および振動を吸収できるコネクタ10を提供することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、二色成形またはインサート成形により連結部30が第1ハウジング11および第2ハウジング25と一体化されているので、連結部30と各ハウジング11,25とが接着剤を介して接合される場合よりも強固に接合されており、接合部30A,30Bにおける強度および防水シール性能が優れている。
【0040】
また、本実施形態によれば、一端部40Aに第1端子部を有するとともに、他端部40Bに第2端子部を有するバスバー40を備えているから、1つのバスバー40により2つの機器間の接続が可能となるので、簡易な構成とすることができ、製造コストを低減することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、バスバー40の一端部40Aと他端部40Bとの間に、弾性変形可能な屈曲部を設けているから、バスバー40の屈曲部が、2つのハウジング11,25間で撓み変形することで機器の公差を吸収することができる。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、一端部に第1端子部を有し、他端部に第2端子部を有するバスバーを備えるものを示したが、第1端子部のみを有するバスバーと第2端子部のみを有するバスバーと、これら2つのバスバーを接続する接続部材を備えるような構成としてもよい。
(2)上記実施形態では一端部と他端部との間に弾性変形可能な屈曲部を設けたバスバーを備えるものを示したが、バスバーは弾性変形可能な屈曲部を有さないものであってもよい。
(3)上記実施形態ではリテーナを備える構成を示したが、リテーナを備えないものであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…コネクタ
11…第1ハウジング
25…第2ハウジング
30…連結部
30A…(第1ハウジングと連結部との)接合部
30B…(第2ハウジングと連結部との)接合部
40…バスバー(接続部材)
40A…一端部
40B…他端部
41A…第1屈曲部
41B…第2屈曲部
41C…第3屈曲部
41D…第4屈曲部
42A…一端部側の端子接続孔(第1端子部)
42B…他端部側の端子接続孔(第2端子部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車には、モータやインバータなど種々の機器が搭載されている。これらの機器はハーネスにより接続されるのが一般的であるが、接続される2つの機器が近い位置に搭載されていると、各機器を締結するための大きなスペースが必要である。
そこで、特許文献1においては、モータとインバータとを一体化した構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−215355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に提案の構成において、モータとインバータとは連結部材(交流端子)により接続され、連結部材は各機器に対して不動に固定されている。したがって、上記のような構成では、機器の製造公差や取付公差を吸収するのが困難であるとともに、2つの機器の相対振動などに起因する連結部材や機器の破壊の発生も懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、機器の公差および振動を吸収できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものとして本発明は、第1機器に接続される第1端子部を有する樹脂製の第1ハウジングと、第2機器に接続される第2端子部を有する樹脂製の第2ハウジングと、を備えるコネクタであって、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを、インサート成形または二色成形により形成されたゴム製の連結部により連結し一体化したことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1機器に接続される第1端子部を有する樹脂製の第1ハウジングと、第2機器に接続される第2端子部を有する樹脂製の第2ハウジングと、を備えるコネクタの製造方法であって、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを、インサート成形または二色成形により、ゴム製の連結部で連結し一体化する一体化工程を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明においては、第1ハウジングと第2ハウジングとを連結する連結部がゴム製であるので、第1端子部に接続された第1機器と第2端子部に接続された第2機器の製造公差や取付公差を吸収し、機器の振動を吸収する。その結果、本発明によれば、機器の公差および振動を吸収できるコネクタを提供することができる。
【0009】
また、本発明では、二色成形またはインサート成形により連結部が各ハウジングと一体化されているので、連結部と各ハウジングとが接着剤を介して接合される場合よりも強固に接合されており、接合部における強度および防水シール性能が優れている。
【0010】
本発明は以下の構成としてもよい。
一端部に前記第1端子部を有するとともに、他端部に前記第2端子部を有する接続部材を備えていてもよい。このような構成とすると、1つの接続部材により2つの機器間の接続が可能となるので、簡易な構成とすることができ、製造コストを低減することができる。
【0011】
前記接続部材の前記一端部と前記他端部との間に、弾性変形可能な屈曲部を設けてもよい。このような構成とすると、接続部材の屈曲部が、2つのハウジング間で撓み変形することで機器の公差を吸収することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機器の公差および振動を吸収できるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は実施形態1のコネクタの斜視図である。
【図2】図2はコネクタの正面図である。
【図3】図3は図2のA−A断面図である。
【図4】図4は図2のB−B断面図である。
【図5】図5は第2ハウジングを連結する前の第1ハウジングを示す斜視図である。
【図6】図6は第2ハウジングの斜視図である。
【図7】図7は第1ハウジングと第2ハウジングを連結した状態を示す斜視図である。
【図8】図8はコネクタの裏側に取り付けられる蓋部材を示す斜視図である。
【図9】図9は接続部材の斜視図である。
【図10】図10はリテーナの斜視図である。
【図11】図11はリテーナの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1のコネクタ10を図1ないし図11によって説明する。以下の説明において、図2の上方を上とし、下方を下とする。
本実施形態のコネクタ10は、電気自動車やハイブリッド車等の車体(図示せず)に配設されて、この車体に配設されたインバータ(第1機器の一例)と、モータ(第2機器の一例)とを電気的に接続する。
【0015】
コネクタ10は、図1および図2に示すようにインバータ(の端子)と接続される第1端子部を有する合成樹脂製の第1ハウジング11と、モータ(の端子)と接続される第2端子部を有する合成樹脂製の第2ハウジング25とを上下方向にそれぞれ備える。
【0016】
第1ハウジング11には、図1および図5に示すように、略方形状の第1開口部12と長円形状の第2開口部18が設けられている。第1開口部12にはインバータ側コネクタが取り付けられるようになっている。第2開口部18には連結部30を介して第2ハウジング25が設けられている。
【0017】
第1ハウジング11の外側面には、図3および図5に示すように、第1開口部12の開口縁に沿って一対のリブ16,16が形成されており、この一対のリブ16,16の間には、第1開口部12には水の浸入を防止する防水シール部材17が取り付けられている。また、第1ハウジング11の外側面には第2開口部18の開口縁に沿って外側に突出形成された突部22が設けられており、この突部22を挟むように連結部30が接合されている。
【0018】
第1ハウジング11の内側面のうち、第1開口部12の下側の端面(下端面13)から、第2開口部18の上側の端面(上端面19)に至る部分には内側に突出する凸部20が形成されている(図3を参照)。凸部20には、図4および図5に示すように、第1開口部12の下端面13を3つに仕切る仕切突部21が、第2開口部18の上端面19に至って突出形成されている。仕切突部21により仕切られた第1開口部12の下端面13には3つのバスバー40(接続部材の一例)が載置されている。
【0019】
また、第1開口部12の下端面13の左右の端部は、図5に示すように、段付き形状をなしており、第1開口部12の下端面13から上方に突出した段差部14の端面には、リテーナ35(後述する)を係止する係止爪15が設けられている。
【0020】
第2ハウジング25は筒状形状をなしており、相手方のコネクタ(モータ側のコネクタ)のフード部に挿入可能とされる。第2ハウジング25は第2開口部18に沿った形状をなしており、長円形状に開口している。第2ハウジング25内は、仕切壁26により3つの領域に仕切られており、各領域には、バスバー40の他端部40Bがそれぞれ配されている(図2および図6を参照)。
【0021】
第2ハウジング25の外周縁には溝部27が形成され、この溝部27には、第2ハウジング25内への水の浸入を防止するシール部材28が取り付けられている。第2ハウジング25の連結部30側の端部には連結部30が接合される連結突部29が突出形成されている。
【0022】
第1ハウジング11から第2ハウジング25に至って配されるバスバー40は、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属からなる板材を所定形状にプレス加工してなる。バスバー40の表面には、スズ、ニッケル等に金属がメッキされていてもよい。
【0023】
バスバー40は図3および図9に示すように、コ字状に屈曲した形状をなしており、弾性変形可能となっている。バスバー40の一端部40Aと他端部40Bとの間には、4つの屈曲部(図3における上から順に第1屈曲部41A、第2屈曲部41B、第3屈曲部41C、第4屈曲部41Dとする)が形成されている。
【0024】
バスバー40は、図3に示すように、その第1屈曲部41Aと第2屈曲部41Bとの間の領域が第1開口部12の下端面13(凸部20)に載置され、その第2屈曲部41Bと第3屈曲部41Cとの間の領域が第1ハウジング11内において凸部20に沿って上下方向に配されている。詳しくは、バスバー40は、第1開口部12の下端面13において第1ハウジング11の外側方向(図示左方向)に略垂直に屈曲(第2屈曲部41B)して第1開口部12から外側に突出したのち、上方に略垂直に屈曲される(第1屈曲部41A)。また、バスバー40は第2開口部18よりも少し下がったところで、第1ハウジング11の外側方向に略垂直に屈曲した(第3屈曲部41C)のち、連結部30と第2ハウジング25の接合部30Bに対応する位置で下方に略垂直に屈曲されている(第4屈曲部41D)。
【0025】
バスバー40の一端部40A(図示上側の端部)および他端部40B(図示下側の端部)には、それぞれ円形の端子接続孔42A,42Bが形成されている。バスバー40の一端部40A側の端子接続孔42Aは、インバータ側のコネクタ端子が接続される第1端子部42Aである。バスバー40の他端部40B側の端子接続孔42Bには、モータ側のコネクタ端子が接続される第2端子部42Bである。
【0026】
第1ハウジング11の第1開口部12の下端面13に載置されたバスバー40は、リテーナ35により、図3に示すように、第1ハウジング11の凸部20との間に所定の間隔(概ね2mm程度)をあけて保持される。
【0027】
リテーナ35は、第1開口部12の下端面13に載置されたバスバー40の上に重なるように取り付けられている。リテーナ35の上面の内側面には第1開口部12の仕切突部21が嵌めこまれる一対のリブ36,36が、2組設けられている。
【0028】
リテーナ35の側面のうち第1開口部12の段差部14に対向する位置に配される側面には、段差部14に設けた係止爪15を受け入れて係止する方形状の係止孔37Aが形成されている。リテーナ35の係止孔37Aが形成されている係止部37の両側には係止部37を撓み変形可能とするスリット37B,37Bが形成されている。
【0029】
リテーナ35の側面のうち、コネクタ10の蓋部材31側に配される面には、図11に示すように、仕切突部21を嵌めこみ可能な溝38が形成されている。
【0030】
コネクタ10の蓋部材31は、第1ハウジング11の凸部20に対応する位置が外側方向に突出した形状をなしている。蓋部材31には、外周縁に沿ってシール部材32がはめこまれており、コネクタ10内への水の浸入を防止している。
【0031】
さて、第1ハウジング11の第2開口部18の突部22と、第2ハウジング25の連結突部29との間には、筒状の連結部30が形成されている。連結部30は第2開口部18の突部22を挟むように第1ハウジング11と接合されるとともに、連結突部29を挟むように第2ハウジング25に接合されている。
【0032】
連結部30は、ゴム材料から構成されており、二色成形またはインサート成形により形成される。連結部30を構成するゴム材料としては、シリコン系のゴムなど、シール部材17,28,32の材料などとして公知のものを用いることができる。
【0033】
次に、本実施形態のコネクタ10の製造方法について説明する。
第1ハウジング11および第2ハウジング25をそれぞれ連結部30に接合して一体化する(一体化工程、図5〜図7を参照)。具体的には、第1ハウジング11及び第2ハウジング25の材料(合成樹脂材料)と連結部30の材料(シリコンゴム)とを、所定の金型に流し込んで成形し(二色成形)、第1ハウジング11および第2ハウジング25を連結部30に接合して一体化する。あるいは第1ハウジング11及び第2ハウジング25と連結部30のいずれか一方を作製しておいて、インサート成形により、第1ハウジング11と第2ハウジング25とをそれぞれ連結部30により接合して一体化する。
【0034】
上記一体化工程と同時または前後して、各部品(バスバー40、蓋部材31、リテーナ35)を作製する。バスバー40の作製工程においては、金属板材にプレス加工を施した後、曲げ加工を施して、図9に示すような形状のものを3つ作製する。
【0035】
第1ハウジング11の第1開口部12の開口縁のリブ16,16間、第2ハウジング25の溝部27、および蓋部材31に、それぞれシール部材17,28,32を取り付けておく。
【0036】
次に、3つのバスバー40を図3における右側から取り付けて、第1屈曲部41Aと第2屈曲部41Bとの間の領域を第1ハウジング11の第1開口部12の下端面13に載置する。
【0037】
次に第1開口部12の下端面13に載置されたバスバー40の上にリテーナ35を取り付けると、リテーナ35の上面のリブ36,36間に仕切突部21が嵌り込み、リテーナ35の側面の溝38に仕切突部21が嵌り込む。リテーナ35の係止部37は第1開口部12の係止爪15と当接すると内側方向に撓むが、リテーナ35の係止孔37Aに第1開口部12の係止爪15が配されると係止部37が弾性復帰し、リテーナ35が係止される。そして、バスバー40はリテーナ35により、第1ハウジング11の凸部20との間に所定間隔をあけた状態で保持される。次に、コネクタ10の裏側に、蓋部材31を取り付けると本実施形態のコネクタ10が完成する。
【0038】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態においては、第1ハウジング11と第2ハウジング25とを連結するゴム製の連結部30が、第1端子部に接続された第1機器と第2端子部に接続された第2機器の製造公差や取付公差を吸収するとともに、機器の振動を吸収する。その結果、本実施形態によれば、機器の公差および振動を吸収できるコネクタ10を提供することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、二色成形またはインサート成形により連結部30が第1ハウジング11および第2ハウジング25と一体化されているので、連結部30と各ハウジング11,25とが接着剤を介して接合される場合よりも強固に接合されており、接合部30A,30Bにおける強度および防水シール性能が優れている。
【0040】
また、本実施形態によれば、一端部40Aに第1端子部を有するとともに、他端部40Bに第2端子部を有するバスバー40を備えているから、1つのバスバー40により2つの機器間の接続が可能となるので、簡易な構成とすることができ、製造コストを低減することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、バスバー40の一端部40Aと他端部40Bとの間に、弾性変形可能な屈曲部を設けているから、バスバー40の屈曲部が、2つのハウジング11,25間で撓み変形することで機器の公差を吸収することができる。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、一端部に第1端子部を有し、他端部に第2端子部を有するバスバーを備えるものを示したが、第1端子部のみを有するバスバーと第2端子部のみを有するバスバーと、これら2つのバスバーを接続する接続部材を備えるような構成としてもよい。
(2)上記実施形態では一端部と他端部との間に弾性変形可能な屈曲部を設けたバスバーを備えるものを示したが、バスバーは弾性変形可能な屈曲部を有さないものであってもよい。
(3)上記実施形態ではリテーナを備える構成を示したが、リテーナを備えないものであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…コネクタ
11…第1ハウジング
25…第2ハウジング
30…連結部
30A…(第1ハウジングと連結部との)接合部
30B…(第2ハウジングと連結部との)接合部
40…バスバー(接続部材)
40A…一端部
40B…他端部
41A…第1屈曲部
41B…第2屈曲部
41C…第3屈曲部
41D…第4屈曲部
42A…一端部側の端子接続孔(第1端子部)
42B…他端部側の端子接続孔(第2端子部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機器に接続される第1端子部を有する樹脂製の第1ハウジングと、第2機器に接続される第2端子部を有する樹脂製の第2ハウジングと、を備えるコネクタであって、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを、インサート成形または二色成形により形成されたゴム製の連結部により連結し一体化したことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
一端部に前記第1端子部を有するとともに、他端部に前記第2端子部を有する接続部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記接続部材の前記一端部と前記他端部との間に、弾性変形可能な屈曲部を設けたことを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
第1機器に接続される第1端子部を有する樹脂製の第1ハウジングと、第2機器に接続される第2端子部を有する樹脂製の第2ハウジングと、を備えるコネクタの製造方法であって、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを、インサート成形または二色成形により、ゴム製の連結部で連結し一体化する一体化工程を含むことを特徴とするコネクタの製造方法。
【請求項5】
一端部に前記第1端子部を有するとともに、他端部に前記第2端子部を有する接続部材を備えることを特徴とする請求項4に記載のコネクタの製造方法。
【請求項6】
前記接続部材の前記一端部と前記他端部との間に、弾性変形可能な屈曲部を設けたことを特徴とする請求項5に記載のコネクタの製造方法。
【請求項1】
第1機器に接続される第1端子部を有する樹脂製の第1ハウジングと、第2機器に接続される第2端子部を有する樹脂製の第2ハウジングと、を備えるコネクタであって、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを、インサート成形または二色成形により形成されたゴム製の連結部により連結し一体化したことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
一端部に前記第1端子部を有するとともに、他端部に前記第2端子部を有する接続部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記接続部材の前記一端部と前記他端部との間に、弾性変形可能な屈曲部を設けたことを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
第1機器に接続される第1端子部を有する樹脂製の第1ハウジングと、第2機器に接続される第2端子部を有する樹脂製の第2ハウジングと、を備えるコネクタの製造方法であって、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを、インサート成形または二色成形により、ゴム製の連結部で連結し一体化する一体化工程を含むことを特徴とするコネクタの製造方法。
【請求項5】
一端部に前記第1端子部を有するとともに、他端部に前記第2端子部を有する接続部材を備えることを特徴とする請求項4に記載のコネクタの製造方法。
【請求項6】
前記接続部材の前記一端部と前記他端部との間に、弾性変形可能な屈曲部を設けたことを特徴とする請求項5に記載のコネクタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−252861(P2012−252861A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124091(P2011−124091)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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