説明

コネクタの結合確認装置

【課題】コネクタの連結結合の確認をきわめて簡単な構成の結合確認リングにより行い、さらに連結結合解除をするために、結合確認リングを外さなければできないようにして、結合確認も結合解除も確実に確認し、簡単な構成により安全なコネクタの結合確認装置を提供することを目的とする。
【解決手段】雄コネクタ1の外側に前方に押し込みスライドすることにより雌コネクタ2と連結結合し、後方に引き込みスライドすることにより雌コネクタ2との連結結合を解除する接続スリーブ11を設け、接続スリーブ11の前方押し込み状態の雌コネクタ2との連結結合位置のこの接続スリーブ11の後端に近接して雄コネクタ1に結合確認リング30を着脱自在に設けてあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路や光通信において配線を接続するためのコネクタの結合確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配線用のコネクタは雌コネクタと雄コネクタとから構成され、両者をワンタッチで連結結合させるコネクタは公知であり、両者の連結結合が確実に結合されているかどうかを確認する結合確認装置も知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平3−17115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公知のコネクタの結合確認装置は、常時確認部材がコネクタに装備され、コネクタの結合確認は確認部材の変形により行われている。しかも、この確認部材の変形は、一旦コネクタの連結結合がなされると、そのまま維持され、その後連結結合が解除されても、その確認は行われないという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、コネクタの連結結合の確認をきわめて簡単な構成の結合確認リングにより行い、さらに連結結合解除をするために、結合確認リングを外さなければできないようにして、結合確認も結合解除も確実に確認し、簡単な構成により安全なコネクタの結合確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明コネクタの結合確認装置は、雄コネクタの外側に、前方に押し込みスライドすることにより雌コネクタと連結結合し、後方に引き込みスライドすることにより雌コネクタとの連結結合を解除する接続スリーブを設け、接続スリーブの前方押し込み状態の雌コネクタとの連結結合位置のこの接続スリーブの後端に近接して雄コネクタに結合確認リングを装着してあることを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明コネクタの結合確認装置は、雄コネクタの外側に、前方に押し込みスライドすることにより雌コネクタと連結結合し、後方に引き込みスライドすることにより雌コネクタとの連結結合を解除する接続スリーブを設け、接続スリーブの前方押し込み状態の雌コネクタとの連結結合位置のこの接続スリーブの後端に近接して雄コネクタに結合確認リングを着脱自在に設けてあることを特徴とするものである。
【0007】
さらに、本発明コネクタの結合確認装置は、上記結合確認リングが雄コネクタの上記接続スリーブの外径の延長線上より内側に位置付けられていることを特徴とするものである。
【0008】
上記雄コネクタが、中心コンタクトの外側に絶縁体を嵌装し、この絶縁体の外側にシェル本体を嵌装し、このシェル本体に円筒状であって間隔を置いて軸方向に沿うスリットを形成した内側シェルを圧入して設け、この内側シェルの外側にスライド可能な接続スリーブを設けてあり、上記雌コネクタが、中心コンタクトの外側に絶縁体を嵌装し、絶縁体の外側にシェル本体を嵌装してあり、上記雄コネクタの内側シェルの開放端に外側の膨出部と内側の膨出部を設け、上記接続スリーブの内側に内側シェルの外側の膨出部と協働して内側シェルの開放端を内向きに変位するカム面を設けてあり、雌コネクタの外表面に上記雄コネクタの内側シェルの内側の膨出部を受け入れる凹溝を設けてあることを特徴とするものである。
上記結合確認リングが一部を開放したリングであり、弾性を有する材料からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコネクタ結合確認装置は、雄コネクタの外側に、前方に押し込みスライドすることにより雌コネクタと連結結合し、後方に引き込みスライドすることにより雌コネクタとの連結結合を解除する接続スリーブを設け、接続スリーブの前方押し込み状態の雌コネクタとの連結結合位置のこの接続スリーブの後端に近接して雄コネクタに結合確認リングを装着してあることを特徴とするから、該結合確認リングを装着しっぱなしの状態でも、コネクタの連結結合の確認をきわめて簡単な構成の結合確認リングにより行うことができ、さらに、簡単な構成によるコネクタの結合確認装置を提供できる効果を有する。
【0010】
また、本発明のコネクタ結合確認装置は、雄コネクタの外側に、前方に押し込みスライドすることにより雌コネクタと連結結合し、後方に引き込みスライドすることにより雌コネクタとの連結結合を解除する接続スリーブを設け、接続スリーブの前方押し込み状態の雌コネクタとの連結結合位置のこの接続スリーブの後端に近接して雄コネクタに結合確認リングを着脱自在に設けてあることを特徴とするから、コネクタの連結結合の確認をきわめて簡単な構成の結合確認リングにより行うことができ、さらに連結結合解除のためには結合確認リングを外さなければできないから、結合解除も確実に確認して簡単な構成によるコネクタの結合確認装置を提供できる効果を有する。
【0011】
さらに、本発明のコネクタ結合確認装置は、上記結合確認リングが雄コネクタの上記接続スリーブの外径の延長線上より内側に位置付けられていることを特徴とするものであるから、結合確認リングが上記接続スリーブの外径より外側に突出することがなく、この結合確認リングが偶然に何かに当たって外れることがなく、安全性を高めた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明コネクタの結合確認装置の結合状態の斜面図である。
【図2】本発明コネクタの結合確認装置の結合解除状態の斜面図である。
【図3】雄コネクタの実施例の半断面図である。
【図4】雌コネクタの実施例の半断面図である。
【図5】両コネクタの結合の半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面に示した実施例により本発明の詳細を説明する。
図1乃び図2に本発明コネクタの結合確認装置を示してあり、図中符号1が雄コネクタであり、符号2が雌コネクタである。雄コネクタ1の外側には、後述する実施例で説明する接続スリーブ11を設けてあり、この接続スリーブ11を前方に押し込みスライドすることにより雄コネクタ1と雌コネクタ2とを連結結合するようにしてあり、これら両コネクタの連結結合状態で、接続スリーブ11を後方に引き込みスライドすることにより雄コネクタ1と雌コネクタ2との連結結合を解除するようにしてある。
【0014】
上記接続スリーブ11の前方押し込み状態の雌コネクタ2との連結結合位置のこの接続スリーブ11の後端に近接した雄コネクタ1にリング状の凹溝19を設けてあり、両コネクタの連結結合状態で、この結合状態を確認する結合確認リング30を上記凹溝19に装着して設けてある。この結合確認リング30は、リングの一部を除去して開放部31を構成したリングであり、この開放部31から凹溝19に嵌め込むようにして着脱自在にしてあり、そのために、この結合確認リング30は弾性を有する材料からなり、好ましくは硬質弾性プラスチックで形成してある。この結合確認リング30に上記開放部31の反対側に取手部32を突出して設けてある。
【0015】
上記請求項1に示した両コネクタの連結結合状態で結合確認リング30を上記凹溝19に装着してある状態は、両コネクタの連結結合或いは連結結合解除の状態のテストを終えて、連結結合状態が維持されている状態が通常である。
上記請求項2に示した結合確認リング30を着脱自在にしてあることは、上記した両コネクタの連結結合あるいは連結結合解除状態のテストを行う際に、結合確認リング30を装着したり外したりするときに行うことである。
【0016】
多数のコネクタが集合して配備されることがあり、このような状態において上記請求項3に示すように、結合確認リング30が雄コネクタ1の接続スリーブ11の外径の延長線上より内側に位置付けてあることにより、この結合確認リング30が接続スリーブ11の外径の延長線上より外側に突出することなく、種々の作業に際して、この結合確認リング30が邪魔になることなく、偶然に外されるおそれなく安全である。
また、多数のコネクタが集合して配備される状態において、配線の種類を確認するためにこの結合確認リング30を着色し、色分けすることが便利な場合がある。
【0017】
図3に雄コネクタ1の一実施例の半断面図を示してあり、図3に示す通り、中央コンタクト3の外側に絶縁体4を嵌装してあり、この絶縁体4の外側にシェル本体5を嵌装してある。このシェル本体5は図3に示すように筒状であり、このシェル本体5の外側に、第二のシェル部材6が嵌装してある。この第二のシェル部材6に上記凹溝19を有する。
【0018】
図中8が内側シェルで、この内側シェル8は円筒状であって、間隔を置いて、望ましくは等間隔のスリット9を雄コネクタの軸方向に沿うように形成してあり、このスリット9は内側シェル8の後端にまでは達しないように形成してある。即ち、この内側シェル8の後端にはスリット9は形成されていない。そして、このスリット9の形成されていない内側シェル8の後端をシェル本体5の外側に圧入構成してあり、保持金具10により保持してある。上記内側シェル8の開放端には、外側の膨出部12と内側の膨出部13を設けてある。
【0019】
この内側シェル8の外側に接続スリーブ11をスライド可能に設けてある。この接続スリーブ11は、保持金具10の外側にスライド可能に嵌装支持されている。この接続スリーブ11の前端は内側に折曲した折曲前端15を形成し、その僅か後方位置に内向きに傾斜するカム面16を有し、折曲前端15とカム面16との間に形成された凹部17に内側シェル8の前端の外側膨出部12を受容するようにしてある。
【0020】
図4に雌コネクタ2が示してあり、図4の半断面に示すように雌コネクタ2は、中心コンタクト21の外側に絶縁体22を嵌装してあり、この絶縁体22の外側にシェル本体23を嵌装してある。このシェル本体23の外側外周に凹溝25を設けてあり、この凹溝25に上記雄コネクタ1の内側シェル8の先端の内側膨出部13が嵌りこみ、協働するようにしてある。
【0021】
図3に示す雄コネクタ1は、雌コネクタ2に連結結合する前の状態が示してある。雄コネクタ1と雌コネクタ2とを連結結合するためには、雌コネクタ2に対してその外側に雄コネクタ1を嵌装するようにして連結する。即ち、雄コネクタ1の内側シェル8の外側膨出部12が接続スリーブ11の内側の凹部17に入り込んでいる状態であるから、内側シェル8の開口端は拡がった状態にある。従って、雌コネクタ2が雄コネクタ1の開口から挿入される状態で雄コネクタ1を雌コネクタ2に嵌装できる。
【0022】
このようにして、雄コネクタ1を雌コネクタ2に嵌装した状態で、接続スリーブ11をシェル本体5及び内側シェル8に対して、図3上右方向にスライドすると、即ち雄コネクタ1を前方にスライドすると、接続スリーブ11の内面のカム面16が内側シェル8の先端の外側の膨出部12を乗り越え、内側シェル8の開放端を内向きに締め込む働きをし、内側シェル8の開放端の内側の膨出部13が雌コネクタ2の凹溝25に嵌り込み、雄コネクタ1と雌コネクタ2とは連結結合する。
【0023】
この状態で雄コネクタ1の凹溝19が露呈し、この凹溝19に結合リング30を嵌め込み、雄コネクタ1と雌コネクタ2との連結結合が確実に行われていることを確認できるようにしたものである。
次にこの雄コネクタ1と雌コネクタ2との結合を解除するためには、上記結合リング30が嵌め込まれている状態では、雄コネクタを後方にスライドできないから解除ができない。従って、上記結合リング30を雄コネクタ1から除去した後、接続スリーブ11を後方にスライドして両コネクタの結合を解除する。
即ち、雄コネクタ1と雌コネクタ2との結合及び解除を確実に安全に行うことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 雄コネクタ
2 雌コネクタ
11 接続スリーブ
19 凹溝
30 結合リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄コネクタの外側に、前方に押し込みスライドすることにより雌コネクタと連結結合し、後方に引き込みスライドすることにより雌コネクタとの連結結合を解除する接続スリーブを設け、接続スリーブの前方押し込み状態の雌コネクタとの連結結合位置のこの接続スリーブの後端に近接して雄コネクタに結合確認リングを装着してあることを特徴とするコネクタの結合確認装置。
【請求項2】
雄コネクタの外側に、前方に押し込みスライドすることにより雌コネクタと連結結合し、後方に引き込みスライドすることにより雌コネクタとの連結結合を解除する接続スリーブを設け、接続スリーブの前方押し込み状態の雌コネクタとの連結結合位置のこの接続スリーブの後端に近接して雄コネクタに結合確認リングを着脱自在に設けてあることを特徴とするコネクタの結合確認装置。
【請求項3】
上記結合確認リングが雄コネクタの上記接続スリーブの外径の延長線上より内側に位置付けられていることを特徴とする上記請求項1又は2に記載のコネクタの結合確認装置。
【請求項4】
上記雄コネクタが、中心コンタクトの外側に絶縁体を嵌装し、この絶縁体の外側にシェル本体を嵌装し、このシェル本体に円筒状であって間隔を置いて軸方向に沿うスリットを形成した内側シェルを圧入して設け、この内側シェルの外側にスライド可能な接続スリーブを設けてあり、上記雌コネクタが、中心コンタクトの外側に絶縁体を嵌装し、絶縁体の外側にシェル本体を嵌装してあり、上記雄コネクタの内側シェルの開放端に外側の膨出部と内側の膨出部を設け、上記接続スリーブの内側に内側シェルの外側の膨出部と協働して内側シェルの開放端を内向きに変位するカム面を設けてあり、雌コネクタの外表面に上記雄コネクタの内側シェルの内側の膨出部を受け入れる凹溝を設けてあることを特徴とする上記請求項1乃至3の何れかに記載のコネクタの結合確認装置。
【請求項5】
上記結合確認リングが一部を開放したリングであり、弾性を有する材料からなる上記請求項1乃至4の何れかに記載のコネクタの結合確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−33623(P2013−33623A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168881(P2011−168881)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(593184396)小峰無線電機株式会社 (6)
【出願人】(000207894)株式会社ミライト (15)
【Fターム(参考)】