説明

コネクタ付き光伝送体、光コネクタ、光コネクタの組立方法

【課題】光ファイバコード又は光ファイバケーブルである光伝送体の端末に光コネクタを組み立てる場合に、光伝送体端末から延びる光ファイバとフェルールから後側に延出する光ファイバとの融着接続が容易であり、しかも融着補強部とフェルールとの間の内蔵光ファイバの光特性を長期安定維持可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】フェルール40側の光ファイバ43と光ファイバコード2側の光ファイバ2aとの融着接続部3を補強チューブ21とその内側の樹脂22とで覆った融着補強部20をフェルール40に一体的に形成してなる融着補強部付きフェルール40Aを、スリーブ状のハウジング30に前後動可能に収納されるスライダ60前端のキー66によってハウジング30に軸線回り方向の所望の向きで挿入して収納できるコネクタ付き光伝送体1、光コネクタ、光コネクタの組立方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバコード又は光ファイバケーブルであり、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の先端に光コネクタが組み立てられた現場組立型のコネクタ付き光伝送体、光コネクタ、光コネクタの組立方法に関し、特に融着接続を採用したコネクタ付き光伝送体、光コネクタ、光コネクタの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバの先端に光コネクタを組み立てる作業を、接続現場にて行うことができる構造の一例として、前記光ファイバと、フェルールに内挿された内蔵光ファイバとを、融着により接続するものがある(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1には、光ファイバ同士の融着接続部を樹脂などの補強体で補強した融着補強部をコネクタハウジング内に収容した構造の光コネクタが開示されている。この構造は、融着接続部をコネクタハウジングで保護することができる。
特許文献2には、フェルールに形成されたスロットに融着接続部が配置された構造の光コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−82257号公報
【特許文献2】米国特許第5748819号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の光コネクタの融着補強部は、内蔵光ファイバのフェルール後側(突き合わせ用の先端面とは反対の側)に突出させた部分と光ファイバとを融着接続した融着接続部に熱収縮性チューブを被せて補強したものであり、フェルールからその後側に離隔した位置に設けられている。また、光コネクタのハウジングの内側空間は、熱収縮性チューブ内側に設けられて融着接続部を埋め込む補強用樹脂(熱可塑性樹脂)の偏在などに起因する融着補強部の大きさや形状のばらつきに対応して融着補強部を収納可能、かつスリーブ状のハウジングの軸線方向に移動可能に収納するために、想定される融着補強部のサイズに対して若干大きめに形成されることになり、ハウジング内で融着補強部はフリー(揺動可能)な状態で収納されることが多い。このため、融着補強部の揺動によって内蔵光ファイバに引っ張り、曲げ等の荷重が繰り返し作用して内蔵光ファイバをいためる可能性があり、長期信頼性に欠けるといった問題がある。
【0005】
特許文献2の光コネクタでは、フェルールに近い位置での融着作業が必要となる。このため、融着作業に汎用の放電電極を使用すると、フェルールに悪影響が及ぶおそれがあることから、一般的な融着接続器が使用できず、融着作業が容易でなくなるという不都合があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、融着接続作業が容易であり、しかもハウジング内の融着補強部とフェルールとの間の光ファイバ(内蔵光ファイバ)や融着接続部内の光ファイバの光特性を長期にわたって安定に維持でき(長期信頼性を向上)るコネクタ付き光伝送体、光コネクタ、光コネクタの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1に係る発明は、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の先端に光コネクタが組み立てられたコネクタ付き光伝送体であって、前記光コネクタは、スリーブ状のプラグフレームにストップリングを取り付けて組み立てられたスリーブ状のハウジング内に、フェルールと、このフェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの前記フェルールの先端側の接合端面とは反対の後端側に設けられた後側延出筒部から延出された部分と前記光伝送体の端末に口出しされた光ファイバとの融着接続部が前記フェルールの前記後側延出筒部に外挿固定され前記フェルールから後側に延出する熱収縮性の補強チューブの内側にて樹脂中に埋め込まれた融着補強部と、この融着補強部に外挿して前記ハウジングの軸線に沿う方向である前後方向に移動自在かつ軸回り方向の回転を規制して設けられたスリーブ状のスライダと、このスライダの後側に配置され前記スライダを介して前記フェルールをコネクタ前側へ弾性付勢するスプリングとを具備し、前記スライダはその前端が前記フェルールのフランジ部に該フランジ部の後側から当接可能に配置されているとともに、該前端に突設されたキーを前記フェルールのフランジ部に形成されたキー溝に挿入して、前記フェルールのフランジ部と前記スプリングとの間に介在配置され、前記フェルール及び前記スライダは、前記ハウジングを組み立ててその内側に収納する際に、前記融着補強部に外挿した前記スライダのキーを前記フェルールのフランジ部のキー溝に挿入した状態で、前記プラグフレームにその後端部から挿入可能とされていることを特徴とするコネクタ付き光伝送体を提供する。
第2の発明は、前記スライダは、その後端部である後側筒部が前記ストップリングに前記ハウジングの前後方向に移動可能に挿入され、この後側筒部に前記ストップリングに形成されている抜け止め用係合部に係合されることで該後側筒部の前記ストップリングから前側への抜け出しを規制する抜け止め用係合突起が突設され、前記スプリングは前記スライダの後側に配置して前記ストップリング内に収納されていることを特徴とする第1の発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第3の発明は、前記スライダには、前記キーがひとつだけ突設されていることを特徴とする第1又は2の発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第4の発明は、前記プラグフレームの後端部の周方向の一箇所のみに、前記ストップリングの外周に突設されたキーが挿入可能なキー収納凹所が形成されており、前記ストップリングは前記キーを前記プラグフレームの前記キー収納凹所に挿入して前記プラグフレームに内嵌めして取り付けられていることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第5の発明は、前記フェルールは、その接合端面が、前記内蔵光ファイバの光軸に直交する仮想垂直面に対して7〜9度傾斜するように斜め研磨された傾斜面とされていることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第6の発明は、前記内蔵光ファイバが偏波保持光ファイバであることを特徴とする第1〜5のいずれかの発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第7の発明は、前記光伝送体の端末に口出しされた抗張力体が、前記ストップリングの後端部に突設されているねじ筒部と該ねじ筒部の外周に螺着された螺着スリーブ部材との間に挟み込むようにして固定され、前記ねじ筒部及び前記螺着スリーブ部材の内側に前記光伝送体端末から延出された光ファイバが通されていることを特徴とする第1〜6のいずれかの発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第8の発明は、さらに、前記ハウジングの外側に前後方向の可動範囲を確保してスライド移動可能に設けられたスリーブ状のつまみを具備することを特徴とする第1〜7のいずれかの発明のコネクタ付き光伝送体を提供する。
第9の発明は、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の先端に組み立てられる光コネクタであって、フェルールと、このフェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの前記フェルールの先端側の接合端面とは反対の後端側に設けられた後側延出筒部から延出された部分と前記光伝送体の端末に口出しされた光ファイバとの融着接続部を収納するための熱収縮性の補強チューブと、前記補強チューブの一端を前記フェルールの後側延出筒部に外挿固定しかつ前記補強チューブの内側に設けた樹脂中に前記融着接続部を埋め込んで形成される融着補強部が前記フェルールと一体化した融着補強部付きフェルールの前記融着補強部に外挿されるスリーブ状のスライダと、このスライダの後側に配置され前記スライダを介して前記フェルールをコネクタ前側へ弾性付勢するためのスプリングと、スリーブ状のプラグフレームにストップリングを取り付けてスリーブ状に組み立てられることで前記融着補強部付きフェルール、前記スライダ、前記スプリングを収納するハウジングとを具備し、前記スライダは、融着補強部付きフェルールの前記融着補強部に外挿した状態で、前記ハウジングの軸線に沿う方向である前後方向に移動自在かつ軸回り方向の回転を規制して、前記フェルールのフランジ部と前記スプリングとの間に介在配置されるようになっており、該スライダの前記フェルールのフランジ部に該フランジ部の後側から当接可能に配置される前端には、前記フランジ部に形成されたキー溝に挿入されるキーが突設されており、前記フェルール及び前記スライダは、前記ハウジングを組み立ててその内側に収納する際に、前記融着補強部に外挿した前記スライダのキーを前記フェルールのフランジ部のキー溝に挿入した状態で、前記プラグフレームにその後端部から挿入可能とされていることを特徴とする光コネクタを提供する。
第10の発明は、前記スライダは、その前端とは反対側の後端部が前記ストップリングに前記ハウジングの前後方向に移動可能として挿入され、該後端部に前記ストップリングに形成されている抜け止め用係合部に係合されることで前記ストップリングから前側への抜け出しを規制する抜け止め用係合突起が突設され、前記ストップリングに対して抜け止めして設けられており、前記融着補強部付きフェルールを組み立てた後、前記ストップリングと前記スライダと該スライダの後側に配置して前記ストップリング内に収納された前記スプリングとからなるばね圧印加ユニットの前記ストップリングを前記プラグフレームに取り付けることで前記ハウジングが組み立てられ、このハウジング内に融着補強部付きフェルール、前記スライダ、前記スプリングが収納されるようになっていることを特徴とする第9の発明の光コネクタを提供する。
第11の発明は、前記スライダには、前記キーがひとつだけ突設されていることを特徴とする第9又は10の発明の光コネクタを提供する。
第12の発明は、前記プラグフレームの後端部の周方向の一箇所のみに、前記ストップリングの外周に突設されたキーが挿入可能なキー収納凹所が形成されており、前記ストップリングは前記キーを前記プラグフレームの前記キー収納凹所に挿入して前記プラグフレームに内嵌めして取り付けられるようになっていることを特徴とする第9〜11のいずれかの発明の光コネクタを提供する。
第13の発明は、前記フェルールは、その接合端面が、前記内蔵光ファイバの光軸に直交する仮想垂直面に対して7〜9度傾斜するように斜め研磨された傾斜面とされていることを特徴とする第9〜12のいずれかの発明の光コネクタを提供する。
第14の発明は、前記内蔵光ファイバが偏波保持光ファイバであることを特徴とする第9〜13のいずれかの発明の光コネクタを提供する。
第15の発明は、さらに、前記ストップリングの後端部に突設されているねじ筒部の外周に螺着されることで該ねじ筒部との間に前記光伝送体の端末に口出しされた抗張力体を挟み込むようにして固定するための前記螺着スリーブ部材を具備し、前記ねじ筒部に前記抗張力体を固定した前記光伝送体端末から延出する光ファイバが前記ねじ筒部及び前記螺着スリーブ部材の内側に挿通されるようになってことを特徴とする第9〜14のいずれかの発明の光コネクタを提供する。
第16の発明は、さらに、前記ハウジングの外側に外挿されて前後方向の可動範囲を確保してスライド移動可能に設けられるスリーブ状のつまみを具備することを特徴とする第9〜15のいずれかの発明の光コネクタを提供する。
第17の発明は、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に、フェルールとプラグフレームにストップリングを取り付けることで組み立てられて前記フェルールを収納するハウジングとを備える光コネクタを組み立てる組立方法であって、前記フェルールに内挿固定されている内蔵光ファイバの前記フェルールの先端側の接合端面とは反対の後端側に設けられた後側延出筒部から延出された部分と前記光伝送体の端末に口出しした光ファイバとを融着接続する融着接続工程と、この融着接続工程の後、前記内蔵光ファイバと前記光伝送体の光ファイバとの融着接続部に熱収縮性の補強チューブを外挿するとともに、前記補強チューブの一端を前記フェルールの後側延出筒部に外挿し、前記補強チューブ内に前記融着接続部と熱可塑性樹脂とを収納した状態で前記熱可塑性樹脂を加熱溶融した後、前記熱可塑性樹脂を降温により固化させることで、固化した前記熱塑性樹脂中に前記融着接続部を埋め込むとともに、前記補強チューブの一端を前記後側延出筒部に固着させることで、前記融着接続部を前記熱可塑性樹脂及び前記補強チューブによって補強してなる融着補強部を形成して該融着補強部が前記フェルールと一体化されている融着補強部付きフェルールを組み立てる融着補強部形成工程と、この融着補強部形成工程の後、前記融着補強部にスリーブ状のスライダを外挿し該スライダの片端に突設されているキーを前記フェルールのフランジ部に形成されたキー溝に挿入した状態で、前記フェルール及び前記スライダを前記プラグフレームにその後端部から挿入するとともに、前記融着補強部付きフェルールを前記スライダを介してコネクタ前側へ弾性付勢するためのスプリングが前記スライダの前記フェルール側の前端とは反対の後端側に配置されるようにして、前記プラグフレームに前記ストップリングを取り付けてハウジングを組み立て、該ハウジング内に、前記融着補強部付きフェルールと前記スライダと前記スプリングとを収納し、前記スライダの前記ハウジングに対する軸回り方向の回転を規制するハウジング組立工程とを具備することを特徴とする光コネクタの組立方法を提供する。
第18の発明は、前記ハウジング組立工程では、前記ストップリングと、前記スライダと、このスライダの前記ストップリングに該ストップリングの軸線方向に移動自在に挿入された後端部の後側に配置して前記ストップリング内に収納された前記スプリングとを具備し前記スライダが前記ストップリングから前側への抜け出しを規制するべく前記ストップリングに対して抜け止めされかつ前記ストップリングに対する軸回り方向の回転が規制されてなるばね圧印加ユニットを用い、このばね圧印加ユニットの前記スライダを前記融着補強部に外挿し該スライダの前記ストップリングから突出された端部に突設されている前記キーを前記フェルールのフランジ部に形成されたキー溝に挿入した状態で前記フェルール及び前記スライダを前記プラグフレームにその後端部から挿入するとともに、前記プラグフレームに前記ストップリングを取り付けてハウジングを組み立てることを特徴とする第17の発明の光コネクタの組立方法を提供する。
第19の発明は、前記スライダには、前記キーがひとつだけ突設されていることを特徴とする第17又は18の発明の光コネクタの組立方法を提供する。
第20の発明は、前記プラグフレームの後端部の周方向の一箇所のみに、前記ストップリングの外周に突設されたキーが挿入可能なキー収納凹所が形成されており、前記ストップリングは前記キーを前記プラグフレームの前記キー収納凹所に挿入して前記プラグフレームに内嵌めして取り付けられるようになっていることを特徴とする第17〜19のいずれかの発明の光コネクタの組立方法を提供する。
第21の発明は、前記フェルールは、その接合端面が、前記内蔵光ファイバの光軸に直交する仮想垂直面に対して7〜9度傾斜するように斜め研磨された傾斜面とされていることを特徴とする第17〜20のいずれかの発明の光コネクタの組立方法を提供する。
第22の発明は、前記内蔵光ファイバが偏波保持光ファイバであることを特徴とする第19〜21のいずれかの発明の光コネクタの組立方法を提供する。
第23の発明は、前記光伝送体の端末に口出しされた抗張力体が、前記ストップリングの後端部に突設されているねじ筒部と該ねじ筒部の外周に螺着された螺着スリーブ部材との間に挟み込むようにして固定され、前記ねじ筒部及び前記螺着スリーブ部材の内側に前記光伝送体端末から延出された光ファイバが通されていることを特徴とする第17〜22のいずれかの発明の光コネクタの組立方法を提供する。
第24の発明は、さらに、前記ストップリングの後端部に突設され前記光伝送体端末から延出する光ファイバが内挿されるねじ筒部にその外周に螺着可能な螺着スリーブ部材をねじ込んで、前記ねじ筒部と前記螺着スリーブとの間に、前記光伝送体の端末に口出しされた抗張力体を挟み込むようにして固定して前記ストップリングに前記光伝送体を引き留める光伝送体引き留め工程を具備することを特徴とする第17〜23のいずれかの発明の光コネクタの組立方法を提供する。
第25の発明は、さらに、前記ハウジング組立工程にて組み立てた前記ハウジングの外側にスリーブ状のつまみを外挿して前後方向の可動範囲を確保してスライド移動可能に設けるつまみ取り付け工程を有することを特徴とする第17〜24のいずれかの発明の光コネクタの組立方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバと光伝送体の光ファイバとの融着接続部が補強チューブの内側に設けられた樹脂中に埋め込まれてなる融着補強部を光コネクタのハウジング内に収納するが、前記融着補強部は、その補強チューブの一端をフェルールの後端部の筒状の後側延出筒部に外挿固定することによりフェルールと一体化される。これにより、従来技術(例えば特許文献1)のようにハウジング内での融着補強部の揺動によって内蔵光ファイバをいためるといった不都合は生じず、内蔵光ファイバの光特性を長期にわたって安定維持できる。その結果、長期信頼性の向上を容易に実現できる。
また、光伝送体端末(先端)への光コネクタの組み立てにあたり、前記内蔵光ファイバのフェルールから後側への延出長によって、前記内蔵光ファイバと光伝送体の光ファイバとの融着接続作業をフェルールから離隔した位置にて行うことができるから、汎用の放電電極を使用した融着接続であっても良好な作業性を容易に確保できる。
また、本発明では、プラグフレームとストップリングとによって構成されるハウジング内に該ハウジングの軸線回り方向の回転を規制(回り止め)して収納されるスライダの前端に突設されたキーをフェルールのフランジ部に形成されているキー溝に挿入して、スライダに対して融着補強部付きフェルールを回り止めした状態で、プラグフレームに挿入する作業を行えるため、これにより融着補強部付きフェルール及びスライダをプラグフレームの軸線回り方向の所望の向きで挿入することを容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る1実施形態であるコネクタ付き光ファイバコード(コネクタ付き光伝送体)の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のコネクタ付き光ファイバコード(コネクタ付き光伝送体)の光コネクタ付近の構造を示す断面図であって、(a)は融着補強部付きフェルールがハウジングに対する前側移動限界位置にある状態、(b)は融着補強部付きフェルールが前側移動限界位置からプッシュバックした状態を示す。
【図3】図1のコネクタ付き光ファイバコードの光コネクタの構成を示す分解斜視図である。
【図4】図3の光コネクタのばね圧印加機構の構成を示す分解斜視図である。
【図5】図4のばね圧印加機構の構成を示す断面図である。
【図6】本発明に係る光コネクタの組立方法における融着接続工程を説明する図である。
【図7】本発明に係る光コネクタの組立方法における融着補強部形成工程を説明する図である。
【図8】本発明に係る光コネクタの組立方法におけるハウジング組立工程を説明する図である。
【図9】図1のコネクタ付き光ファイバコードの光コネクタのフェルールの構造を示す正面図(接合端面側から見た図)である。
【図10】光ファイバコードの構成を示す図であり、その端末に光ファイバ、抗張力体を延出(口出し)させた状態を示す斜視図である。
【図11】(a)、(b)は、本発明に係るコネクタ付き光伝送体の光コネクタのフェルールの後側延出筒部の別態様を説明する図である。
【図12】融着部補強スリーブの構造の一例を説明する断面図である。
【図13】図1のコネクタ付き光ファイバコード(コネクタ付き光伝送体)の光コネクタについて、フェルールを、斜め研磨された接合端面を有するフェルールに変更した構成を説明する断面図であって、(a)は融着補強部付きフェルールがハウジングに対する前側移動限界位置にある状態、(b)は融着補強部付きフェルールが前側移動限界位置からプッシュバックした状態を示す。
【図14】光伝送体の別態様を説明する図であって、光ファイバケーブルの構成を示す斜視図である。
【図15】(a)は補強チューブの別態様を説明する断面斜視図、(b)は融着部補強スリーブの別態様を説明する断面斜視図である。
【図16】図4のばね圧印加機構のストップリングにスライダの後側移動限界位置を設定するストッパ用突起を設けた構成の一例を示す図であって、(a)は側断面図、(b)は前記ストップリングを本体スリーブ側から見た構造を示すモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施したコネクタ付き光伝送体、光コネクタ、光コネクタの組立方法について、図面を参照して説明する。
まず、図1〜図5等を参照して、本発明に係る1実施形態であるコネクタ付き光ファイバコード1(コネクタ付き光伝送体)の構成を説明する。
図1および図2(a)、(b)に示すように、このコネクタ付き光ファイバコード1は、光ファイバコード2(光伝送体)の端末に、光コネクタ10が組み立てられたものである。
【0011】
なお、以下の説明において、図2(a)、(b)における左方を「前」または「先端方向」、右方を「後」としていうことがある。つまり、このコネクタ付き光ファイバコード1において、フェルール40(後述)が設けられている側が前側、反対側が後側である。また、フェルール40について、キャピラリ部41の先端の接合端面41aの側が前側、反対側が後側である。
【0012】
図10に示すように、光ファイバコード2は、光ファイバ心線等の光ファイバ2aと、光ファイバ2aの長手方向に沿って延在するように縦添えされた線状の抗張力体2bとが、ポリエチレン等の樹脂からなるチューブ状の外被2c(外装被覆)内に収容された構造のものであり、例えば一般的な光ファイバコードを例示できる。図示例の光ファイバコード2は、光ファイバ2aとして単心の光ファイバ心線を1本のみ外被2c内に収納している。なお、光ファイバ2aとしては光ファイバ素線を用いることも可能である。
抗張力体2bとしては例えばアラミド繊維が好適に用いられるが、抗張力体2bとして用いられる抗張力繊維としては前記アラミド繊維の他、例えばガラス繊維、炭素繊維なども使用できる。
【0013】
図2(a)、図3、図4に示すように、光コネクタ10は、光ファイバ2aをコネクタ接続可能に成端するものであって、スリーブ状(具体的には角筒状)のプラグフレーム31と該プラグフレーム31に取り付けられてその後側に突出状態に設けられたスリーブ状のストップリング32とからなるスリーブ状のハウジング30内に、フェルール40と、このフェルール40に内挿固定された光ファイバ43(以下、内蔵光ファイバとも言う)の前記フェルール40から後側に延出された部分に前記光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2aを融着接続した融着接続部3を樹脂製の補強チューブ21及びその内側に充填された熱可塑性樹脂22(以下、単に樹脂とも言う)によって補強した融着補強部20と、フェルール40をハウジング30に対してコネクタ前側(図2(a)、(b)において左側)に弾性付勢するためのスプリング50(具体的にはコイルスプリング)と、前記融着補強部20に外挿して前記ハウジング30の軸線方向(前後方向)にスライド移動可能に設けられたスリーブ状のスライダ60(後述)とを備えている。
【0014】
また、図示例の光コネクタ10は、さらに、前記ハウジング30の外側に外挿して該ハウジング30の軸線方向(前後方向)の可動範囲を確保してスライド移動可能に組み付けられたスリーブ状のつまみ34と、前記ハウジング30の後端部(ストップリング32の後端部。具体的には後述のねじ筒部32b)の外周に螺着されたスリーブ状部材であり光ファイバコード2端末に口出しされた抗張力体2bを前記ねじ筒部32bとの間に挟み込むようにして固定した螺着スリーブ部材35と、前記ハウジング30の後端部に装着されたブーツ11とを具備している。
【0015】
なお、プラグフレーム31、ストップリング32、つまみ34、スライダ60はここではそれぞれプラスチック製の一体成形品、螺着スリーブ部材35は金属製の一体成形品であるが、これらプラグフレーム31、ストップリング32、つまみ34、スライダ60、螺着スリーブ部材35の材質は適宜選択し得るものであり、上述のものに限定されない。
【0016】
ここで説明する光コネクタ10は単心用の光コネクタである。
図2(a)、図3等に示すように、フェルール40は、円筒状のキャピラリ部41と、このキャピラリ部41の先端の接合端面41aとは反対側の後端部41bに外挿固定された金属製のフランジ部品42と、前記キャピラリ部41を貫通するファイバ孔41c(微細孔)に内挿された内蔵光ファイバ43とを具備して構成されている。
キャピラリ部41の形成材料としては、例えば、ジルコニア等のセラミック、ガラスを採用できる。これらの材料は使用環境に応じて選択使用することができる。このキャピラリ部41としては、SC形光コネクタ(JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiberCoupling optical fiber connector)やMU形光コネクタ(JIS C 5973に制定されっるF14形光コネクタ。MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)のフェルールに用いられているものと同様のものを採用できる。
【0017】
図2(a)、図3等に示すように、前記フランジ部品42は、キャピラリ部41の後端部41bに外挿固定されたリング状のフランジ部42aと、このフランジ部42aから後側に延びる円筒状の後側延出筒部42bとを具備している。
前記フランジ部42aは、後側延出筒部42bの前端に該後側延出筒部42bから外側に張り出すように突出されている。このフランジ部42aは、フェルール40のフランジ部として機能するものである。
【0018】
前記後側延出筒部42bには、融着補強部20の補強チューブ21の片端が外挿固定されており、これにより、融着補強部20はフェルール40と一体的に形成されている。
この融着補強部20が一体化されたフェルール40を、以下、融着補強部付きフェルール40Aとも言う。前記融着補強部20は、フェルール40から後側に延出する細長形状に形成されている。
【0019】
図3に示すように、前記キャピラリ部41は、前記ファイバ孔41cと同心状の外周面を有する円筒状に形成されている。図2(a)に示すように、前記前記後側延出筒部42bの前記キャピラリ部41よりも後側に位置する部分の内側は、前記ファイバ孔41cの軸線と一致しファイバ孔41cと連通する孔状(以下、内孔部とも言う)になっている。
【0020】
図2(a)に示すように、前記内蔵光ファイバ43は、前記キャピラリ部41を貫通するファイバ孔41c(微細孔)に内挿固定された部分と、キャピラリ部41後端から延出され前記後側延出筒部42bの内孔部内に収納された部分と、フェルール40の後端、すなわち前記後側延出筒部42bから後側に突出(延出)された部分とを有している。
【0021】
図2(a)に示すように、前記内蔵光ファイバ43は単心の光ファイバであり、長手方向中央部が被覆材で覆われた被覆部43aとされ、この被覆部43aの両側に被覆材が無く裸光ファイバが口出しされた部分である裸光ファイバ部が延出された構成とされている。
前記被覆部43aは前記後側延出筒部42b(すなわち後側延出筒部42bの内孔部)に収納されている。また被覆部43aはその片端(後端)が前記後側延出筒部42bから後側に突出するようにして設けられている。
フェルール40の前記キャピラリ部41のファイバ孔41cには、前記被覆部43aから両側に延びる裸光ファイバ部のうちの片方(内挿ファイバ部43b)が内挿固定されている。また、前記被覆部43aから内挿ファイバ部43bとは反対側の裸光ファイバ部である融着用延出部43cはフェルール40から後側に延出されている。
【0022】
前記内蔵光ファイバ43は、接着剤を用いて前記キャピラリ部41のファイバ孔41cに内挿された前記内挿ファイバ部43bを接着固定して設けられている。但し、内蔵光ファイバ43は、例えば、被覆部43aのフランジ部品42に対する接着固定のみ、あるいは、被覆部43aのフランジ部品42に対する接着固定及び前記キャピラリ部41に対する前記内挿ファイバ部43bの接着固定の両方を適用しても良い。
また、内蔵光ファイバ43としては、例えば前記被覆部43aが存在せず、その全長が裸光ファイバである構成であっても良い。また、キャピラリ部41のファイバ孔41c及び前記後側延出筒部42bの内孔部に収納される部分の全体が被覆部とされた構成も採用可能である。
【0023】
図2(a)に示すように、前記融着補強部20は、具体的には、前記内蔵光ファイバ43の融着用延出部43c後端と、光ファイバコード2の光ファイバ2a(ここでは単心の光ファイバ心線)の先端部の被覆を除去して口出しした裸光ファイバ2dの先端との融着接続部3を、前記ハウジング30内に設けられている補強チューブ21の内側に充填された樹脂22(熱可塑性樹脂)中に埋め込んだものである。
【0024】
この融着補強部20は、前記補強チューブ21として熱収縮チューブを用いて形成される。具体的には、図7、図8、図12等に示すように、熱収縮チューブである補強チューブ21の収縮温度よりも低い温度で溶融する熱可塑性樹脂22からなるチューブ22a(以下、熱可塑性樹脂チューブとも言う)を前記補強チューブ21の内側に収納した二重管構造の融着部補強スリーブ24を採用している。
そして、融着補強部20は、前記融着補強スリーブ24をその内側に前記融着接続部3を収納した状態で加熱収縮させるとともに、補強チューブ21内側の前記熱可塑性樹脂22(熱可塑性樹脂チューブ22a)を加熱溶融させた後、降温により、溶融状態の熱可塑性樹脂22を固化させることで、この熱可塑性樹脂22中に前記融着接続部3を埋め込んで一体化して形成される。
なお、融着部補強スリーブとしては二重管構造のものに限定されず、例えば補強チューブ21内面に、塗膜層、成形等によって被着状態で熱可塑性樹脂層を形成したものであっても良い。
【0025】
前記補強チューブ21としては、熱収縮性の樹脂からなるものが使用され、例えば100〜160℃で収縮するポリオレフィンなどが使用できる。
【0026】
また、熱可塑性樹脂22としては、ホットメルト樹脂(ホットメルト接着剤)を好適に使用できる。ホットメルト樹脂としては、例えば、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリアミド、エチレン―アクリル酸エステル共重合体などを挙げることができる。
また、この熱可塑性樹脂22としては、補強チューブ21の収縮温度において軟化することが好ましい。この軟化温度は、例えば100〜160℃である。
【0027】
図2(a)に示すように、前記補強チューブ21はその片端(前端)がフェルール40のフランジ部品42の前記後側延出筒部42bに外挿固定され、反対側の端部(後端)が光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2aの被覆材2eによって被覆された被覆部の先端部に外挿固定されている。このため、この光コネクタ10、コネクタ付き光ファイバコード1にあっては、前記融着補強部20は、その前端が前記フェルール40と一体化され、後端が光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2aと一体化されている。
【0028】
前記補強チューブ21内側の樹脂22中には、前記融着接続部3とともに、前記内蔵光ファイバ43の前記フェルール40から後側に延出された部分(すなわち後側延出筒部42bから後側に延出された部分)である融着用延出部43c、及び光ファイバコード2の光ファイバ2a先端に口出しされた裸光ファイバ2dの口出し長全体も埋め込まれて、該融着補強部20の補強チューブ21と樹脂22とによって保護されている。
【0029】
このコネクタ付き光ファイバコード1の光コネクタ10は、図3、図8に示すように、ストップリング32とスライダ60とスプリング50とによって組み立てたばね圧印加ユニット33を用いて組み立てることができる。
図7に示すように融着補強部付きフェルール40Aを組み立てた後、図8に示すように、光ファイバコード2に外挿しておいた前記ばね圧印加ユニット33の前記ストップリング32をプラグフレーム31に内嵌めして取り付けることで、前記プラグフレーム31とストップリング32とからなる前記ハウジング30を組み立てることができる。また、ハウジング30の組み立てと同時に、ハウジング30内に融着補強部付きフェルール40Aと、スライダ60と、スプリング50とが収納される。そして、ストップリング32後端のねじ筒部32bへの螺着スリーブ部材35の螺着による光ファイバコード2の抗張力体2bのハウジング30への固定、つまみ34、ブーツ11の装着を行って、光コネクタ10全体を組み立てることができる。
【0030】
図3に示すように、前記プラグフレーム31は、角筒状に形成されたプラスチック製の一体成形品である。このプラグフレーム31は、角筒状の筒状胴体31nの片端(前端)に、光コネクタ10を光コネクタアダプタ、光コネクタレセプタクルといったコネクタ嵌合ハウジングに挿入、嵌合したときに前記コネクタ嵌合ハウジング内の弾性係合爪が係脱可能に係合される係合突起31p等が形成された係合ハウジング部31mを具備する構成となっている。つまり、このプラグフレーム31は、その前端部が前記係合ハウジング部31mとされ、係合ハウジング部31m以外の部分が前記筒状胴体31nとされた構成になっている。前記筒状胴体31nは、その軸線方向に沿って延在する長筒状に形成されている。
【0031】
図示例の光コネクタ10のプラグフレーム31の前記係合ハウジング部31mは、SC形光コネクタのプラグフレームの前記コネクタ嵌合ハウジング内の弾性係合爪と係脱可能に係合される前端部と同様の構成になっている。図示例の係合ハウジング部31mにはその両側に突設された前記係合突起31p及び該係合突起31pに係合する前記弾性係合爪が入り込む凹所31qが形成されている。
また、つまみ34はSC形光コネクタに用いられるつまみと同様の構成のものを採用している。プラグフレーム31の前記係合ハウジング部31mとつまみ34とは、SC形光コネクタ用のコネクタ嵌合ハウジングに対してSC形光コネクタと同様のスライドロック機構を構成している。この光コネクタ10の前端部はSC形光コネクタと同様の構成になっている。
【0032】
なお、プラグフレーム31の前記係合ハウジング部31m、つまみ34としては、SC形光コネクタと同様の構成のものに限定されず、例えばMU形光コネクタのプラグフレーム、つまみと同様の構成のものを採用することも可能である。
【0033】
図2(a)に示すように、プラグフレーム31の前端部(係合ハウジング部31m)の内面側には、前記フェルール40のフランジ部42aが当接されるストッパ突起31aが突設されている。
前記融着補強部付きフェルール40Aは、前記ハウジング30にその軸線方向(前後方向)に移動可能として収納されており、前記フェルール40のフランジ部品42がプラグフレーム31の前記ストッパ突起31aにその後側から当接することで、先端方向(コネクタ前側)へのそれ以上の移動が規制される。フェルール40のフランジ部品42がプラグフレーム31の前記ストッパ突起31aにその後側から当接する位置が、融着補強部付きフェルール40Aのハウジング30に対する前側移動限界位置である。
【0034】
前記ストッパ突起31aはプラグフレーム31の内周全周に張り出すように突設されている。また、前記フェルール40のキャピラリ部41は、プラグフレーム31の前端部(前記ストッパ突起31aを含む)の内側の内孔であるキャピラリ挿通穴に内挿されている。
【0035】
図3、図4に示すように、ストップリング32は、角筒状の本体スリーブ32aと、この本体スリーブ32aの片端(後端)から後方に延びる円筒状のねじ筒部32bとを有する。
図4、図5に示すように、このストップリング32は、前記ねじ筒部32bの角孔状の内孔と前記前記本体スリーブ32aの丸孔状の内孔とが同軸上に形成され互いに連通されたスリーブ状になっている。
【0036】
図3、図5、図8に示すように、前記ばね圧印加ユニット33は、ストップリング32と、このストップリング32の本体スリーブ32aに該本体スリーブ32aの軸線方向に移動可能に挿入されたスライダ60と、このスライダ60の後側に配置して前記ストップリング32の本体スリーブ32a内に収納されたスプリング50とによって構成されている。
図2(a)に示すように、この光コネクタ10において、前記融着補強部付きフェルール40Aの融着補強部20は、その後端がストップリング32の後端部に達する長さに形成されている。前記スライダ60及び前記スプリング50は前記融着補強部20に外挿して、前記融着補強部付きフェルール40Aのフェルール40のフランジ部42aの後側に配置した状態で前記ハウジング30内に収納されている。
【0037】
図4、図5に示すように、前記スプリング50は具体的にはコイルスプリングであり、既述のように前記ストップリング32の本体スリーブ32a内に収納されている。図5に示すように、このスプリング50の外径は、前記ねじ筒部32bの内径よりも大きい。
前記ストップリング32においてねじ筒部32bの内孔は、本体スリーブ32aの角孔状の内孔よりも若干狭い(細い)丸孔状になっている。ストップリング32は、本体スリーブ32aの内周面とねじ軸部32bの内周面との間に位置する段差面が、前記スプリング50の軸線方向片端が当接されるスプリング受け面32dとされている。スプリング50は、本体スリーブ32aの内周面によって、その軸線が本体スリーブ32aの軸線と平行となる向きで支持された状態で本体スリーブ32a内に収納されている。また、スプリング50は、その片端がストップリング32内の前記スプリング受け面32dに当接されることで、ストップリング32から後側への抜け出しが規制されている。
【0038】
このストップリング32は、本体スリーブ32aをプラグフレーム31に内挿し、本体スリーブ32aの後端部の両側に突設されている係合突起32g(図3参照)をプラグフレーム31後端の両側の壁部に形成されている係合窓31c(図3参照)に嵌め込んでプラグフレーム31に係合させることで、プラグフレーム31からの引き抜きを規制して、プラグフレーム31に組み付けられている。また、図1に示すように、ストップリング32は、本体スリーブ32aの後端部外周に突設されているフランジ部32cをプラグフレーム31の後端面に当接させてプラグフレーム31に取り付けられており、これにより、プラグフレーム31に対して該プラグフレーム31の軸線方向への変位を規制して組み付けられている。
【0039】
図3、図4に示すように、ストップリング32の前記係合突起32gは、角筒状の本体スリーブ32aのその内孔を介して対向し互いに並行に延在する2組、計4面の側壁部のうちの1組の後端部に突設されている。また、前記係合突起32gは、前記側壁部の後端部に互いに並行に形成された一対の長孔32g1の間に設けられており、前記側壁部における長孔32g1付近の弾性変形によって本体スリーブ32a内側に向かって若干の押し込みが可能となっている。
【0040】
図2(a)、図3に示すように、図示例のプラグフレーム31の内孔は、筒状胴体31nの内側部分が角孔、その前側の係合ハウジング部31m内側部分が丸孔とされている。
図2(a)に示すように、前記ストップリング収納孔部31oは、その断面寸法が係合ハウジング部31m内側の内孔部分に比べて若干拡張された角孔とされており、ストップリング32の本体スリーブ32aは前記プラグフレーム31の筒状胴体31n内に収納されている。以下、筒状胴体31nの内側の内孔部分をストップリング収納孔部31oとも言う。
【0041】
前記ストップリング32は、光ファイバコード2端末に光コネクタ10を組み立てる際に、図2(a)に示すように前記本体スリーブ32aをプラグフレーム31の後端からプラグフレーム31内孔に挿入して、本体スリーブ32aの後端部の両側に突設されている係合突起32g(図3参照)をプラグフレーム31後端の両側の壁部に形成されている係合窓31c(図3参照)に嵌め込んでプラグフレーム31に係合させることで、プラグフレーム31に組み付けられる。ストップリング32の本体スリーブ32aの外周面はストップリング収納孔部31o内面(内周面)に略一致する形状に形成されているため、ストップリング32はプラグフレーム31に対してがたつくことなく嵌め込むようにして取り付けられる。
【0042】
図3、図4に示すように、スライダ60はスリーブ状に形成されている。
このスライダ60は、円筒状に形成された前側筒部61と、この前側筒部61の後側に設けられた角筒状の後側筒部62(後端部)とを具備し、前記後側筒部62を前記ストップリング32の本体スリーブ32a内に該本体スリーブ32aの軸線方向(ストップリング32の軸線方向。光コネクタ10においてハウジング前後方向)に移動可能として挿入してハウジング30に対してコネクタ前後方向(ハウジング前後方向)にスライド移動自在に設けられている。
【0043】
このスライダ60の内孔は、前記ストップリング32のねじ筒部32bの内側空間(内孔)と内径が略同等の断面円形の貫通孔63とされている。
【0044】
図4等に示すように、前記後側筒部62は、前記ストップリング32の本体スリーブ32aの内周面に略一致する形状の外周面を有する外観角筒状に形成されている。スライダ60は、後側筒部62が前記本体スリーブ32aの内周面に摺接しながら前記ストップリング32に対して前記ハウジング30の前後方向に移動(前後動)する。また、スライダ60は、角筒状の前記後側筒部62を前記本体スリーブ32aの角孔状の内孔に挿入したことにより、前記ストップリング32に対して該ストップリング32の軸線回り方向の回転変位が規制されている。つまり、このスライダ60にあっては、前記後側筒部62自体が、ストップリング32に対する該ストップリング32の軸線回り方向の回転変位を規制するための回り止め部として機能する。
【0045】
なお、スライダのストップリングに対する軸回り方向の回転変位を規制(回り止め)するための構成としては、例えば、スライダの後側筒部外周及びストップリング内面の一方に形成したキー又はキー溝を他方に形成したキー溝又はキーに挿入する構成等も採用可能である。
【0046】
図2(a)、(b)等に示すように、前記スライダ60は、その前端の端面(先端面65)が、前記フェルール40のフランジ部42aに該フランジ部42aの後側から当接可能である。この光コネクタ10にあっては、プラグフレーム31のストッパ突起31a(図2(a)参照)に当接された前記フェルール40のフランジ部42aにその後側からスライダ60(具体的にはその先端面65)が当接する当接位置が、スライダ60のハウジング30に対する前側への移動限界位置となっている。
【0047】
図5に示すように、スライダ60は、その後端面69(後側筒部62の後端面)がスプリング50に前側から当接されている。スライダ60の後端面69は、その全周にわたってスプリング50の前端に当接されている。
【0048】
図2(a)に示すように、この光コネクタ10では、フェルール40がスライダ60を介してスプリング50の弾性によってコネクタ前側へ弾性付勢されることで、フェルール40のフランジ部42aがプラグフレーム31のストッパ突起31aに押圧、当接されるようになっている。すなわち、スライダ60を介してスプリング50のばね圧をフェルール40に作用させることができる。このため、フェルール40にハウジング30に対するコネクタ後側への押し込み力が作用していないときには、図2(a)に示すようにフェルール40のフランジ部42aがプラグフレーム31のストッパ突起31aに当接され、融着補強部付きフェルール40Aが前側移動限界位置に配置される。
【0049】
また、図2(b)に示すように、他の光コネクタとのコネクタ接続時には、フェルール40のフランジ部42aによってコネクタ後側へ向かって押圧されたスライダ60が前記スプリング50を押し縮めながらコネクタ後側方向へ変位することで、融着補強部付きフェルール40Aのプッシュバック(ハウジング30に対するコネクタ後側方向への変位)が実現される。このとき、スプリング50のばね圧を、フェルール40(具体的にはキャピラリ部41)と接続相手側の光コネクタのフェルール91との間の突き合わせ力として作用させることができる。
【0050】
なお、この光コネクタ10では、スライダ60がハウジング30に対する前側移動限界位置にあるときでも、後側筒部62がストップリング32(詳細には本体スリーブ32a)内に挿入された状態が保たれ、スライダ60がストップリング32から前側へ脱落しないようになっている。このため、スプリング50がストップリング32から前側へ抜け出すことはなく、ストップリング32内に収納された状態が保たれる。
【0051】
また、図2(a)に示すように、図示例では、融着補強部付きフェルール40Aが前側移動限界位置にあるとき、該融着補強部付きフェルール40Aの融着補強部20の後端部はハウジング30の後端部(ストップリング32の後端部)の内側に位置し、融着補強部20全長がハウジング30内に収納されるようになっている。
【0052】
この光コネクタ10では、前記スライダ60は前記融着補強部20の周囲を取り囲むように配置されるため、前記ハウジング30とこのスライダ60とによって、融着補強部20を2重に保護することができ、光コネクタ10への衝突物の衝突等に対してより確実な保護を実現できる。
【0053】
また、この光コネクタ10では、スライダ60がハウジング30を補強する補強材としても機能するため、いわゆるサイドプル(光コネクタ10後端から延出する光伝送体(ここでは光ファイバコード2)にハウジング30の軸線に対する傾斜角度が大きい方向の引っ張り力が作用すること)に対するハウジング30の変形(撓み変形)を抑えることができ、この点でも、融着補強部20の保護に有利である。
【0054】
ハウジング30において、プラグフレーム31内にストップリング32の本体スリーブ32aが内挿されている箇所は、プラグフレーム31と本体スリーブ32aとが互いに重なり合った二重壁構造になっている点、さらに前記スライダ60も含めて三重壁構造になっている箇所が存在する点も、サイドプルに対するハウジング30の撓み変形の抑制に有効に寄与する。
スリーブ状のつまみ34が、ストップリング32後端のねじ筒部32bを除くハウジング30の長手方向の広範囲を収納するようにして設けられている構成であることも、サイドプルに対するハウジング30の撓み変形の抑制に有効に寄与する。
【0055】
図8、図9に示すように、前記フェルール40は、リング状のフランジ部42aの外周に形成されたキー収納溝42dに、プラグフレーム31内に突設されている回り止めキー31dを収納しており、これにより、ハウジング30に対する軸回り回転(回転変位)が規制(回り止め)されている。
【0056】
図9に示すように、フェルール40のフランジ部42aのキー収納溝42dは、フランジ部42aにおいてキャピラリ部41を介して両側の2箇所に形成されている。図8に示すように、プラグフレーム31の回り止めキー31dはプラグフレーム31の内孔の軸線を介して対向する両側の内面から突出された突起状になっている。前記回り止めキー31dは、プラグフレーム31の前記ストッパ突起31aの付近にてその後側に形成されている。前記フェルール40は、前記キー収納溝42dに前記回り止めキー31dを収納した状態のまま、前記回り止めキー31dに対してスライド移動しながらハウジング30に対して前後方向に移動可能となっている。
【0057】
また、図2(a)、図8に示すように、前記スライダ60の前側筒部61の先端(前端)の端面65(以下、先端面とも言う)に突設されている突爪66(以下、キーとも言う)は、フェルール40のリング状のフランジ部42aの外周に形成された切り欠き状のキー溝42cに挿入されており、スライダ60に対するフェルール40の軸回り回転を規制する回り止め突起として機能している。このキー溝42cは、前記フランジ部42a外周の周方向の1箇所のみに形成されている。図9に示すように、このキー溝42cの形成位置は、前記フランジ部42a外周においてその両側の一対のキー収納溝42dの間隔方向に直交する両側に位置する部分の片方である。
【0058】
既述のように、前記スライダ60は、角筒状の後側筒部62をストップリング32の本体スリーブ32aの角孔状の内孔に挿入してストップリング32に対して軸回り回転を規制しかつ該ストップリング32の軸線方向へのスライド移動を許容して設けられている。前記フェルール40及び融着補強部付きフェルール40Aは、前記キー溝42cに前記スライダ60前端のキー66が挿入されて回り止めされている構成により、スライダ60を介してストップリング32に対する軸回り回転を規制して設けられている。また、前記フェルール40及び融着補強部付きフェルール40Aは、既述のように、前記フェルール40のフランジ部42aの前記キー収納溝42dにプラグフレーム31内側の前記回り止めキー31dを収納した構成によりプラグフレーム31に対しても軸回り回転を規制(回り止め)して設けられており、ハウジング30全体に対する軸回り回転を規制して設けられている。
【0059】
図5において、スライダ60は、その後端がストップリング32の本体スリーブ32a内に突設されたストッパ用突起(図5においては図示略)に当接する位置がハウジング30に対する後側への移動限界位置となっている。
図16(a)、(b)に前記ストッパ用突起32i(以下、スライダ用ストッパ突起とも言う)の一例を示す。
【0060】
図16(a)、(b)に示すスライダ用ストッパ突起32iは、ストップリング32の本体スリーブ32a内側にて該本体スリーブ32aの角孔状の内孔の断面視4隅の位置に突設された突起である。また、図示例のスライダ用ストッパ突起32iは、長筒状の本体スリーブ32aの長手方向(軸線方向)中央部から後端まで延在する突条となっている。
スライダ60は、その後端面がスライダ用ストッパ突起32iの前端に当接する位置がハウジング30に対する後側移動限界位置となっている。
なお、スライダ用ストッパ突起の具体的形状等は適宜変更可能である。
【0061】
図4に示すように、図示例のスライダ60はプラスチック製の一体成形品であり、その後側筒部62は、具体的には、互いに並行に延在する板状の一対の側壁部67を、一対の湾曲壁部68によって橋絡した構成の概略角筒状になっている。一対の湾曲壁部68は、前記後側筒部62の長手方向(軸線方向)全長にわたって該後側筒部62の前記一対の側壁部67の間隔方向に直交する両側に突出する突条を形成する断面アーチ形に形成されている。スライダ60は、前記湾曲壁部68が後側筒部62の両側に形成する突条を、ストップリング32の本体スリーブ32aの内面に形成された円弧溝32jに本体スリーブ32aの長手方向(軸線方向)にスライド移動可能に挿入して、ストップリング32に対してその軸線方向にスライド移動可能に設けられている。
【0062】
図3、図4に示すように、前記スライダ60は、前記後側筒部62の外周面に突設された係合突起64(抜け止め用係合突起)を前記ストップリング32の本体スリーブ32aの前端部に形成された係合用窓32eに入り込ませている。
ばね圧印加ユニット33は、光ファイバコード2端末に光コネクタ10を組み立てる際に、図3に示すように予め組み立た状態で光ファイバコード2に外挿しておき(ストップリング32、スライダ60、スプリング50を光ファイバコード2に外挿状態にする)、ストップリング32をプラグフレーム31に内嵌めして取り付ける(ストップリング32の係合突起32gをプラグフレーム31の係合窓31cに嵌め込む)ことで、プラグフレーム31に組み付けられる。前記係合突起64は、ばね圧印加ユニット33のプラグフレーム31に対する組み付け前に、ストップリング32の本体スリーブ32aからのスライダ60の脱落を防止(抜け止め)して、スライダ60の後側筒部62が本体スリーブ32aに挿入された状態を保つ機能を果たすものである。
【0063】
プラグフレーム31に対する組み付け前のばね圧印加ユニット33において、前記スライダ60は、ストップリング32の前記係合用窓32eに入り込ませた前記係合突起64が、ストップリング32の本体スリーブ32aにおいて係合用窓32eの前側に位置する部分である抜け止め用係合部32hにその後側から当接(係合)することで前記本体スリーブ32aからの脱落が規制される。
以下、前記係合突起64を抜け止め用係合突起とも言う。
【0064】
ばね圧印加ユニット33のプラグフレーム31に対する組み付けは、内蔵光ファイバ43の融着用延出部43cと光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2a先端との融着接続及び融着補強部20の形成によって融着補強部付きフェルール40Aを組み立てた後、図8に示すようにばね圧印加ユニット33を融着補強部付きフェルール40Aの融着補強部20に外挿して融着補強部付きフェルール40Aのフェルール40のフランジ部42aの後側に配置した状態で、スライダ60をストップリング32の本体スリーブ32aとともにプラグフレーム31内に挿入し、ストップリング32の係合突起32gをプラグフレーム31の係合窓31cに入り込ませてプラグフレーム31に係合させることで実現される。
ばね圧印加ユニット33は、前記抜け止め用係合突起64によってスライダ60がストップリング32の本体スリーブ32aから脱落しないように抜け止めされているため、プラグフレーム31に対する組み付けが完了するまで、ストップリング32内にスプリング50を収納した状態を確実に保つことができ、また、プラグフレーム31への組み付けによって前記ハウジング30内にスライダ60とスプリング60とを収納する作業を効率良く行える。
【0065】
なお、ばね圧印加ユニット33をプラグフレーム31に組み付けると、融着補強部付きフェルール40Aのフェルール40もプラグフレーム31に挿入され、フェルール40のフランジ部42aが、プラグフレーム31の前端部内側のストッパ突起31aとスライダ60との間に配置される。
【0066】
ここで、ばね圧印加ユニット33について説明する。
なお、このばね圧印加ユニット33について、ストップリング32の軸線方向(長手方向)において前記本体スリーブ32aから突出されているスライダ60の先端(キー66が突設されている端部)の側を前、反対側を後、として説明する。
【0067】
図4、図5に示すように、前記ばね圧印加ユニット33は、ストップリング32の本体スリーブ32aにスプリング50を内挿した後、スライダ60の後側筒部62を前記本体スリーブ32aに挿入して、スライダ60の後端面69によって前記スプリング50をストップリング32の本体スリーブ32aの内孔の孔奥のスプリング受け面32dに押さえ込むとともに、前記スライダ60の抜け止め用係合突起64を前記係合用窓32eに入り込ませ(図3参照)、スライダ60をストップリング32に対して抜け止めして組み立てられる。
【0068】
前記抜け止め用係合突起64は、そのスライダ60後側(スライダ60の後側筒部62の後端面の側)から前側(キー66が突設されている側)に行くに従って後側筒部62外周面からの突出寸法が次第に大きくなるテーパ部64bを後端側に有しているため、スライダ60をストップリング32に押し込んで前記抜け止め用係合突起64をストップリング32の前記係合用窓32eに入り込ませる作業を楽に行うことができる。また、前記抜け止め用係合突起64は、前記テーパ部64bの前側にスライダ60の軸線に垂直に形成された前端係合面64c(図4参照)がストップリング32の抜け止め用係合部32hに当接されることで、ストップリング32から前側へのスライダ60の抜け止めの機能を果たす。
【0069】
スライダ60の前記抜け止め用係合突起64は、スライダ60の内孔(貫通孔63)を介して後側筒部62の両側の側壁部67に突設されている。また、各抜け止め用係合突起64は、前記側壁部67の後端部(スライダ60の後端部)に互いに並行に形成された一対の長孔64aの間に設けられており、前記側壁部67の前記長孔64a付近に位置する部分の弾性変形によって後側筒部62内側に向かって若干の押し込みが可能となっている。
【0070】
前記抜け止め用係合突起64は、前記ストップリング32の角筒状の本体スリーブ32aの4側壁のうちの互いに平行な一対の側壁にそれぞれ形成された係合用窓32eに対応するべく、スライダ60の前記後側筒部62の両側に突設されているが、抜け止め用係合突起64、係合用窓32eの形成数はこれに限定されるものでは無く、適宜変更可能である。例えば、スライダ60としては、前記抜け止め用係合突起64が前記後側筒部62の外周の1箇所のみに突設されている構成も採用可能である。
【0071】
図3、図8に示すように、前記抜け止め用係合突起64はストップリング32の係合用窓32eに前後動可能に挿入されている。前記抜け止め用係合突起64は、スライダ60のストップリング32に対する前後動に伴い前記係合用窓32e内を前後方向に移動する。
【0072】
図8に示すように、プラグフレーム31に対する組み付け前のばね圧印加ユニット33において、スライダ60は、抜け止め用係合突起64が、ストップリング32の本体スリーブ32aの前記抜け止め用係合部32hにその後側から当接(係合)する位置がストップリング32に対する前側への移動限界位置(前側移動限界位置)であり、該スライダ60の後端面がストップリング32の本体スリーブ32a内に突設されているスライダ用ストッパ突起(例えば図16(a)、(b)のスライダ用ストッパ突起32i)の前端に当接する位置がストップリング32に対する後側移動限界位置となっている。
【0073】
また、プラグフレーム31に対する組み付け前のばね圧印加ユニット33において、スプリング50は、図5に示すようにストップリング32に抜け止めされたスライダ60(具体的には後端面69)とストップリング32の本体スリーブ32aの内孔の孔奥のスプリング受け面32dとの間にて若干弾性圧縮させた状態で収納される。このため、スライダ60にストップリング32後側への押し込み力が作用していないとき、スライダ60はスプリング50の弾性付勢力によって前側移動限界位置、すなわち抜け止め用係合突起64がストップリング32の抜け止め用係合部32hに当接する位置に配置される。
【0074】
但し、このばね圧印加ユニット33におけるスライダ60の前記後側移動限界位置は、前記抜け止め用係合突起64(より詳しくはテーパ部64b)が、ストップリング32の本体スリーブ32aにおいて係合用窓32eの後側に位置する部分に当接せず、該部分から前側に離隔した位置に配置されるように設定されている。
図8に示すように、スライダ60のストップリング32に対する前後方向の可動範囲Lは、係合用窓32eの前後方向寸法よりも小さく設定されている。
【0075】
上述のように、スライダ60が後側移動限界位置にあるとき前記抜け止め用係合突起64がストップリング32の本体スリーブ32aにおいて係合用窓32eの後側に位置する部分に当接しないようになっている構成であれば、前記抜け止め用係合突起64のテーパ部64bが本体スリーブ32aにおける係合用窓32eの後側に位置する部分に押圧されて前記抜け止め用係合突起64がスライダ60内側に押し込まれ係合用窓32eから抜け出すといったことが生じず、前記抜け止め用係合突起64が係合用窓32eに入り込んだ状態を確実に保つことができる。
【0076】
組み立ての完了した光コネクタ10にあっても、ハウジング30内でのスライダ60の前後動に伴い前記抜け止め用係合突起64が前記係合用窓32e内を前後方向に移動するようになっている。
但し、組み立て状態の光コネクタ10にあっては、スライダ60の前端面がプラグフレーム31のストッパ突起31aに当接したフェルール40のフランジ部42aに後側から当接する位置がスライダ60の前側移動限界位置である。組み立て状態の光コネクタ10においてスライダ60が前側移動限界位置にあるとき、抜け止め用係合突起64はストップリング32の抜け止め用係合部32hに当接せず、抜け止め用係合部32hから僅かに後側に離隔した位置に配置される。
【0077】
なお、本発明は、組立状態の光コネクタ10におけるスライダ60の前側移動限界位置が、前記抜け止め用係合突起64がストップリング32の抜け止め用係合部32hに当接する位置とされている構成も含む。例えば、プラグフレーム31のストッパ突起31aに当接したフェルール40のフランジ部42aにスライダ60の前端面が当接すると同時に、スライダ60の抜け止め用係合突起64がストップリング32の抜け止め用係合部32hに当接する構成等も採用可能である。
【0078】
図2(a)等に示すように、このコネクタ付き光ファイバコード1において、光ファイバコード2は、その端末(外被2c先端)が、光コネクタ10のストップリング32の後側に配置されている。そして、既述のように前記端末から口出しされた抗張力体2bがストップリング32後端のねじ筒部32bと、その外周に螺着された螺着スリーブ部材35との間に挟み込まれて固定されていることで光コネクタ10のハウジング30に引き留められている。
【0079】
図2(a)、図3等に示すように、前記螺着スリーブ部材35は、前記ねじ筒部32bの外周に螺着される螺着リング部35aと、この螺着リング部35aの片端(後端)から延出され、前記ねじ筒部32bに螺着された前記螺着リング部35aの後側に配置される後側スリーブ部35bとからなる円筒状部材である。
図2(a)等に示すように、前記後側スリーブ部35bは、その内径が螺着リング部35aの内径及び前記ねじ筒部32bの外径に比べて径小に形成されている。そして、この螺着スリーブ部材35は、前記光ファイバコード2端末から延出する前記抗張力体2bをストップリング32後端のねじ筒部32bに螺着した螺着リング部35aと前記ねじ筒部32b外周との間に挟み込むようにして固定するとともに、前記抗張力体2bの前記光ファイバコード2端末と前記ねじ筒部32b外周との間に延在する部分のねじ筒部32b側の端部を、該螺着スリーブ部材35内側にて前記螺着リング部35aの内周面と前記後側スリーブ部35bの内周面との間に形成されている段差面35cによって前記ねじ筒部32bの後端面に押さえ込むようにして固定している。
【0080】
図2(a)等に示すように、このコネクタ付き光ファイバコード1において、光ファイバコード2端末に口出しされている光ファイバ2aは、ストップリング32後端のねじ筒部32bの内側に通されてハウジング30内に内挿されている。
また、図示例のコネクタ付き光ファイバコード1において、光ファイバコード2端末は、前記螺着スリーブ部材35の後側スリーブ部35b内に配置されている。
【0081】
図2(a)等に示すように、光コネクタ10の後端部に設けられたブーツ11は、ゴム等によって形成された柔軟なスリーブ状部材であり、その片端を前記螺着スリーブ部材35の後側スリーブ部35bに外嵌めして取り付けられている。このブーツ11には、その内側を貫通するブーツ貫通孔11aの片端(前端)を拡張した形状の拡張孔部11bが形成されており、前記ブーツ11は、前記拡張孔部11bが形成されているリング状の端部(前端部)である嵌合リング部11cを前記後側スリーブ部35bに外嵌めして取り付けられている。前記光ファイバコード2は前記ブーツ11の内側に通されており、前記螺着スリーブ部材35の後側スリーブ部35bから後側に延出する前記ブーツ11の後端から延出するように設けられている。
【0082】
なお、図2(a)、図3等に示すように、螺着スリーブ部材35の後側スリーブ部35bの外周には、該後側スリーブ部35bに外嵌めしたブーツ11に食い込ませることで、ブーツ11の後側への抜け出しを規制する係止突起35dが突設されている。前記ブーツ11は前記嵌合リング部11cに前記係止突起35dを食い込ませて後側スリーブ部35bに外嵌めされている。
また、図2(a)等に示すように、図示例では、前記後側スリーブ部35bに外嵌めしたブーツ11の嵌合リング部11cの端面(前端面)を、前記螺着スリーブ部材35の螺着リング部35a外周面と該螺着リング部35aに比べて外径が径小の後側スリーブ部35bの外周面との間の段差面に後側から当接させており、これによりブーツ11のハウジング30に対する前側への変位を規制している。
【0083】
図2(a)、図4等に示すように、前記光コネクタ10は、前記光ファイバコード2に外挿して前記ブーツ11内側に内挿して設けられた保護チューブ36を具備している。
図2(a)、図3、図4等に示すように、この保護チューブ36は、例えばポリエチレン等の合成樹脂によって形成された柔軟なチューブ本体36aの片端の外周にフランジ部36bを突設した構成になっており、前記光ファイバコード2に外挿したチューブ本体36aを前記ブーツ11内側に内挿し、フランジ部36bを前記ブーツ11の拡張孔部11b内に収納して、前記ブーツ11に対して後側への抜け出しを規制して設けられている。
【0084】
前記フランジ部36bは、前記ブーツ11の拡張孔部11b内に収納された前記螺着スリーブ部材35の後側スリーブ部35bの後側に配置して拡張孔部11b内に嵌め込むようにして収納されている。そして、このフランジ部36aは、その外周部が、前記ブーツ11のブーツ貫通孔11aにおける前記拡張孔部11bの内周面と該拡張孔部11b以外の部分(主孔部11d)の内周面との間に形成された段差面11eによって前記後側スリーブ部35bの後端面に押さえ込まれている。
【0085】
図1、図4に示すように、前記保護チューブ36のチューブ本体36aは、その長手方向(軸線方向)寸法が、ブーツ11のブーツ貫通孔11aの主孔部11dの長手方向(軸線方向)寸法よりも長く、ブーツ11後端から延出されている。前記光ファイバコード2は前記チューブ本体36a内側にチューブ本体36aに対して該チューブ本体36aの軸線方向に移動可能として通されており、前記チューブ本体36aの後端から延出されている。この保護チューブ36は、ブーツ11後端付近にて光ファイバコード2に小さい湾曲半径での急激な曲げや屈曲が与えられることを抑え、光ファイバコード2内の光ファイバ2aの曲げによる曲げ損失の発生を回避するために設けられる。
【0086】
図2(a)に示すように、前記保護チューブ36のチューブ本体36aの外径はブーツ11のブーツ貫通孔11aの主孔部11dの内径よりも小さく、チューブ本体36aはブーツ11に遊挿されている。
また、保護チューブ36は光ファイバコード2に固定されておらず、光ファイバコード2は保護チューブ36に対してその軸線方向に若干の移動を可能として内挿されている。
【0087】
図示例のコネクタ付き光ファイバコード1の光コネクタ10にあっては、前記融着補強部付きフェルール40Aは、その融着補強部20がハウジング30内の前記スライダ60、スプリング50に対して前後方向に移動自在に内挿された状態で、前記ハウジング30に前後方向に移動可能に収納されている。
そして、このコネクタ付き光ファイバコード1にあっては、例えば、図2(b)に示すようにコネクタ接続作業によって光コネクタ10のフェルール40がハウジング30後側に押し込まれたとき(プッシュバックしたとき)には、フェルール40のみならず、融着補強部付きフェルール40A全体がハウジング30に対して後側に移動(プッシュバック)する。
【0088】
ここでは、前記光ファイバコード2として、外被2c内側における抗張力体2bの収納密度が比較的低く(光ファイバ2aに作用する拘束力が弱い)、外被2c内側における外被2c軸線方向への光ファイバ2aの移動が容易ないわゆるルースコードを採用しており、光ファイバコード2端末に口出しされている光ファイバ2aの光ファイバコード2内(外被2c内)への押し込みを弱い押し込み力によって行うことが可能である。
そして、このコネクタ付き光ファイバコード1にあっては、コネクタ接続時の融着補強部付きフェルール40A全体のハウジング30に対するプッシュバックに伴い、光ファイバコード2端末に口出しされている光ファイバ2aのうち光ファイバコード2端末と融着補強部3との間に位置する部分が光ファイバコード2内(外被2c内)に押し込まれるようになっている。
また、プッシュバックされた前記融着補強部付きフェルール40Aが、ハウジング30後側への押し込み力が解除され、スプリング50の弾性付勢力により前側移動限界位置に復帰するときには、融着補強部付きフェルール40Aのハウジング30に対する前側への移動に伴い光ファイバコード2内(外被2c内)から光ファイバ2aが引き出されることとなる。
【0089】
この光コネクタ10にあっては、スライダ60の前記前側筒部61の先端面65が、フェルール40のフランジ部42aにその後側から当接されており、スライダ60を介してスプリング50のばね圧をフェルール40に印加できる。図2(a)、(b)に示すように、例えば、この光コネクタ10のコネクタ接続の際にフェルール40がハウジング30に押し込まれ(ハウジング30に対して後側へ移動)るとスライダ60も後側に移動されてスプリング50が圧縮変形される。この光コネクタ10にあっては、ばね圧印加ユニット33のスプリング50によって前記スライダ60を前記フェルール40側へ弾性付勢することができるため、これによりスライダ60を介してスプリング50のばね圧をフェルール40に印加して、コネクタ接続時のフェルール同士の突き合わせ力を確保できる。
【0090】
すなわち、前記スライダ60は、前記フェルール40のフランジ部42aと前記フェルール40から後方へ離隔した位置に設けられた前記スプリング50との間に介装されており、この光コネクタ10は、前記スプリング50の付勢力が前記スライダ60を介して前記フェルール40に伝達されるように構成されている。スライダ60は、前記スプリング50の付勢力を前記フェルール40に伝達する付勢力伝達部材として機能する。
【0091】
既述のように、この光コネクタ10において前記スライダ60は、その先端面65がプラグフレーム31のストッパ突起31aに当接したフェルール40のフランジ部42aに当接する位置(光コネクタ10におけるスライダ60の前側移動限界位置)と、ストップリング32のスライダ用ストッパ突起(例えば図16(a)、(b)に例示したスライダ用ストッパ突起32i)にスライダ50の後端が当接する位置(光コネクタ10におけるスライダ60の後側移動限界位置)との間でハウジング30に対して前後方向に移動可能である。融着補強部付きフェルール40Aは、プラグフレーム31のストッパ突起31aにフェルール40のフランジ部42aが当接する位置がハウジング30に対する前側移動限界位置、フェルール40のフランジ部42aが後側移動限界位置にあるスライダ60の先端面65に当接する位置がハウジング30に対する後側移動限界位置である。
融着補強部付きフェルール40Aのハウジング30に対する前後方向の可動量は、スライダ60のストップリング32に対する前後方向の可動量によって決まる。
【0092】
次に、光ファイバコード2端末に光コネクタ10を組み立てる組立方法(光コネクタの組立方法)について説明する。この組立方法により、光ファイバコード2端末に光コネクタ10を組み立てることで、コネクタ付き光ファイバコード(コネクタ付き光伝送体)が得られることは言うまでも無い。このため、この組立方法は、換言すれば、コネクタ付き光伝送体の組立方法とも言うことができる。
【0093】
この組立方法は、フェルール40の内蔵光ファイバ43の融着用延出部43cと前記光ファイバコード2端末から延出する光ファイバ2aとを融着接続する融着接続工程(図6)を行った後、融着補強部20を形成して融着補強部付きフェルール40Aを組み立てる融着補強部形成工程(図7参照)を行い、次いで、前記プラグフレーム31に前記ストップリング32を取り付けてハウジング30を組み立てることで、前記ハウジング30内に融着補強部付きフェルール40A及び前記スプリング50を収納するハウジング組立工程を行う。また、ハウジング組立工程の後、ストップリング32後端のねじ筒部32bに螺着スリーブ部材35を螺着して光ファイバコード2の抗張力体2bをハウジング30に固定する光伝送体引き留め工程と、前記螺着スリーブ部材35にブーツ11を外嵌めして固定(装着)するブーツ装着工程と、プラグフレーム31の外側につまみ34を組み付けるつまみ取り付け工程とを行って、光コネクタ10全体を組み立てる。
【0094】
図6に示すように、融着接続工程では、フェルール40の内蔵光ファイバ43の融着用延出部43cと、前記光ファイバコード2端末から延出する光ファイバ2a(ここでは単心の光ファイバ心線)の先端部の被覆を除去して口出しした裸光ファイバ2dとを、例えば放電電極を用いたアーク放電式の融着接続機により、融着接続する。
【0095】
この融着接続工程では、内蔵光ファイバ43の融着用延出部43cのフェルール40後端からの延出長によって、融着のための放電エネルギーがフェルール40のキャピラリ部41の特性に影響を与えない程度に放電電極とフェルール40との間の距離を確保して行うことができる。また、汎用の放電電極を使用して良好な作業性を確保して融着作業を行うことが可能である。
なお、この融着接続作業は、融着部補強スリーブ24、ストップリング32、スプリング50、スライダ60、ブーツ11を予め光ファイバコード2に外挿しておき、作業の邪魔にならない位置に配置した状態で行う。
【0096】
融着補強部形成工程では、図3、図7、図12に示すように、前記補強チューブ21の内面側に前記熱可塑性樹脂22が設けられたもの(融着部補強スリーブ24)を好適に用いることができる。
この融着部形成工程では、まず、図6に示すように前記光ファイバコード2に該光ファイバコード2の長手方向に移動自在に外挿しておいた融着部補強スリーブ24をフェルール40側に移動して、図7に示すようにフェルール40の内蔵光ファイバ43と光ファイバコード2の光ファイバ2aとの融着接続部3に被せ(外挿する)て前記融着部補強スリーブ24内に前記融着接続部3を収納するとともに、前記融着部補強スリーブ24の一端を前記フェルール40の後側延出筒部42bに外挿し、融着部補強スリーブ24の他端を光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2aの被覆部に外挿した状態とする。
【0097】
次いで、補強チューブ21及びその内容物(融着接続部3と熱可塑性樹脂)を加熱し、補強チューブ21の内側の前記熱可塑性樹脂22(熱可塑性樹脂チューブ22a)を加熱溶融するとともに熱収縮チューブである補強チューブ21を熱収縮させる。この加熱は、補強チューブ21の熱収縮温度及び熱可塑性樹脂の溶融温度よりも高い温度まで加熱する。
【0098】
補強チューブ21及びその内容物全体の加熱により補強チューブ21の熱収縮及び熱可塑性樹脂の加熱溶融後は、例えば常温放置等によって冷却(降温)して、熱可塑性樹脂を固化させる。これにより固化した前記熱可塑性樹脂22中に前記融着接続部3が埋め込み状態で一体化された融着補強部20が形成される。
【0099】
融着補強部20の前記補強チューブ21内側の樹脂22中には、前記融着接続部3とともに、前記内蔵光ファイバ43の融着用延出部43c、及び光ファイバコード2の光ファイバ2a先端に口出しされた裸光ファイバ2dの口出し長全体も埋め込まれる。また、前記補強チューブ21の一端(前端)がフェルール40のフランジ部品42の前記後側延出筒部42bに固着され、前記補強チューブ21の他端(後端)が前記光ファイバコード2端末に口出しされている光ファイバ2aの被覆材2eによって被覆されている被覆部の先端部に固着される。
この結果、前記フェルール40と、光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2aとが前記融着補強部20を介して一体的に連結される。
【0100】
フェルール40の後側延出筒部42bに対する補強チューブ21の固着(固定)は、例えば熱収縮チューブである補強チューブ21がその熱収縮によって後側延出筒部42bを締め付けることによる締め付け固定であるが、これに限定されず、フェルール40の後側延出筒部42bと補強チューブ21の該後側延出筒部42bに外挿した部分(一端。前端部)との間に介在させた溶融状態の熱可塑性樹脂22の固化による接着固定であっても良い。
【0101】
また、図7等に示すように、前記フェルール40の前記後側延出筒部42bの外周面には、前記補強チューブ21の前記後側延出筒部42bからの引き抜き抵抗を増大するための溝42g(凹部)が形成されている。図示例の後側延出筒部42bには、具体的には、該後側延出筒部42bの長手方向(軸線方向)の複数箇所に、この後側延出筒部42bの周方向に延在する環状の溝42g(環状溝)が形成されており、この後側延出筒部42bに対する補強チューブ21の固着は、補強チューブ21自体の加熱収縮による後側延出筒部42bへの締め付け固定のみによっても実現できるが、前記溝42g内に加熱溶融状態の熱可塑性樹脂22が入り込めば、この溝42gに入り込んだ熱可塑性樹脂22の固化による接着固定も後側延出筒部42bに対する補強チューブ21の固着力の確保に有効に機能させることができ、後側延出筒部42bに対して強固に固着させることができる。
すなわち、この後側延出筒部42bに対する補強チューブ21の固着は、補強チューブ21自体の加熱収縮による締め付け固定、及び補強チューブ21と後側延出筒部42bとの間に入り込んだ熱可塑性樹脂22による接着固定の両方を併用した固着が可能である。
【0102】
補強チューブ21の前記後側延出筒部42bからの引き抜き抵抗を増大するために後側延出筒部42bの外周面に形成する凹部としては、前記環状溝42gに限定されず、例えば、図11(a)に示すような螺旋溝42eであっても良い。また、図11(b)に示すように、後側延出筒部42bの外周面に、その多数箇所に点在するように窪み42f(凹部)を形成した構成としても良い。また、凹部では無く、後側延出筒部42bの外周面に1又は複数の凸部を突設することも有効である。
なお、図中、図11(a)の後側延出筒部42bに符号42b1、図11(b)の後側延出筒部42bに符号42b2を付記した。
【0103】
このように後側延出筒部42bの外周面に凹部や凸部を設けた構成であれば、機械的に補強チューブ21の後側延出筒部42bからの引き抜き抵抗を向上させることができるとともに、後側延出筒部42bと補強チューブ21との間への熱可塑性樹脂22の介在が容易となり、この熱可塑性樹脂22による固着力の確保の点でも有利である。
【0104】
一方、光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2aの被覆部先端部に対する補強チューブ21の固着(固定)についても、補強チューブ21がその熱収縮によって光ファイバコードの光ファイバ2aの被覆部先端部を締め付けることによる締め付け固定、及び/又は光ファイバコードの光ファイバ2aの被覆部先端部と前記補強チューブ21の被覆部先端部に外挿した部分(他端。後端部)との間に介在させた溶融状態の熱可塑性樹脂22の固化による接着固定、を採用可能である。
図2(a)、図7等に示した図示例では、光ファイバコード2の光ファイバ2aの被覆部先端部に対する補強チューブ21の固着(固定)は、光ファイバコード2の光ファイバ2aの被覆部先端部と該被覆部先端部に外挿した補強チューブ21の端部(後端部)内周面との間に入り込ませた溶融状態の熱可塑性樹脂22の固化による接着固定を採用している。
【0105】
補強チューブ21の内面全体を覆うように熱可塑性樹脂が設けられた構成の融着部補強スリーブ24の使用は、溶融状態の熱可塑性樹脂22を、フェルール40の後側延出筒部42bと補強チューブ21の前記後側延出筒部42bに外挿した部分(一端)との間、及び光ファイバコード2の光ファイバ2aの被覆部先端部と該被覆部先端部に外挿した補強チューブ21他端との間にそれぞれ介在させることに有利であることは言うまでも無い。
また、融着部補強スリーブとしては、その両端部に熱可塑性樹脂が設けられていない部分を有する構成のものを採用することも可能である。この融着部補強スリーブは、補強チューブ21の両端部の内面が融着部補強スリーブの両端部の内面となっている構成のものである。
【0106】
この融着補強部形成工程では、融着部補強スリーブ24を使用することで、この融着部補強スリーブ24を融着接続部3に外挿するだけで補強チューブ21の内側に融着接続部3と熱可塑性樹脂とを収納した状態を簡単に得ることができるが、本発明は、融着部補強スリーブ24を使用せず、融着補強部形成工程にて補強チューブ21内に別途熱可塑性樹脂を収納することも含む。補強チューブ21内に収納する熱可塑性樹脂としては、例えば棒状に成形されたものや、粒状のもの等も採用可能である。但し、上述のように補強チューブ21の内面側に熱可塑性樹脂層22aを設けた構成の融着部補強スリーブ24を使用する構成であれば、熱可塑性樹脂の収納作業の手間を解消できるため現場作業上、好ましい。
【0107】
また、図7等に示すように、この融着補強部形成工程においては、光ファイバコード2端末に光ファイバ2aとともに口出しされた前記抗張力体2bを、補強チューブ21の外側に引き出しておく。
【0108】
図7、図12に示すように、ここで例示した融着部補強スリーブ24は、補強チューブ21としてその長手方向全長にわたって棒状の補強芯材23が埋め込まれた構成のものを採用している(図7、図12以外では補強芯材23の図示を省略している)。図12に示すように、前記補強チューブ21は、その肉厚に前記補強芯材23が1本だけ埋め込まれた構成になっている。
【0109】
前記補強芯材23は、例えば、SUS304等のステンレス鋼等からなる棒状の抗張力体であって、融着補強部20に外部から掛かる張力を負担して、融着補強部20の内部の光ファイバ(内挿光ファイバ43の融着用延出部43c、及び光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2a)及び融着接続部3に作用する張力を緩和し、この張力に起因する光ファイバや融着接続部3の破断防止に有効に寄与する。前記補強芯材23は、融着補強部20に作用する曲げ応力に対する折れや曲げの防止にも有効に寄与することは言うまでもない。
なお、補強芯材23は図12に例示したような断面円形の丸棒状のものに限定されない。例えば、その断面形状は、正方形、長方形等の矩形状、楕円状、円筒状、角筒状等を採用可能である。
【0110】
融着補強部20の折れや曲げの防止の点では、図7に示すように、融着補強部形成工程にて、融着部補強スリーブ24の前記補強チューブ21としてその長手方向全長にわたって埋め込まれた補強芯材23の長手方向両端が該補強チューブ21の長手方向両端に位置する構成のものを用い、前記補強チューブ21の一端のフェルール40の後側延出筒部42bへの外挿固定によって前記補強芯材23も後側延出筒部42bに固定することが好ましい。
この構成は、融着補強部20の前端部(フェルール40側の端部)、特に、融着補強部20における補強チューブ21の前端(一端)をフェルール40の後側延出筒部42bに外挿固定した箇所とその後側部分との境界部の剛性確保、折れ防止に有効に寄与する。
【0111】
次にハウジング組立工程を説明する。
ハウジング組立工程では、融着補強部形成工程の後、前記プラグフレーム31に前記ストップリング32を嵌合してハウジング30を組み立てることで、前記ハウジング30内に融着補強部付きフェルール40A、スプリング50、スライダ60を収納する。
【0112】
ここで説明するハウジング組立工程は、図8に示すように、前記ストップリング32と、ストップリング32に対して抜け止めして設けられた前記スライダ60と、前記ストップリング32内に収納された前記スプリング50(図5参照)とからなるばね圧印加ユニット33を用いるものである。
図3、図5に示すように、ばね圧印加ユニット33は、ストップリング32とスライダ60とスプリング50とを用いて組み立てた状態で図3に示すように光ファイバコード2に外挿し、融着補強部形成工程が完了するまで該融着補強部形成工程の邪魔にならないように光ファイバコード2端末から離隔した位置に配置しておく。このばね圧印加ユニット33は、ストップリング32全体、スライダ60、スプリング50を光ファイバコード2に外挿状態として、組み立て状態で光ファイバコード2に外挿され光ファイバコード2の長手方向に移動自在に設けられる。
【0113】
そして、ハウジング組立工程は、融着補強部形成工程の完了後、まず、ばね圧印加ユニット33を光ファイバコード2及び融着補強部20に沿ったスライド移動によってフェルール40側に移動して、前記スライダ60を融着補強部付きフェルール40Aの融着補強部20に外挿し(スプリング50も融着補強部20に外挿する)、ストップリング32から突出されている前記スライダ60の前端(突端)に突設されているキー66を前記融着補強部付きフェルール40Aのフェルール40のフランジ部42aに形成されたキー溝42cに挿入する。これにより、図8に示すように融着補強部付きフェルール40Aの融着補強部20をばね圧印加ユニット33内に収納し、前記融着補強部付きフェルール40Aをスライダ60を介してストップリング32に対して回り止めした構成のフェルール付き組立ユニット12を組み立てる。そして、このフェルール付き組立ユニット12の状態を保ったまま、前記フェルール40及びストップリング32の本体スリーブ32aをプラグフレーム31内に該プラグフレーム31の後端側から挿入し、前記ストップリング32を前記プラグフレーム31に嵌合(ストップリング32の係合突起32gをプラグフレーム31の係合窓31cに嵌め込むことを含む)して取り付ける。前記プラグフレーム31に対するストップリング32の嵌合完了によってハウジング30が組み立てられ、このハウジング30内に融着補強部付きフェルール40A、スプリング50、スライダ60が収納された状態となる。ハウジング30の組み立て完了によってハウジング組立工程が完了する。
【0114】
既述のように前記ばね圧印加ユニット33は、スライダ60が前記ストップリング32に対してストップリング32の前側へ脱落しないように抜け止めして設けられているため、フェルール付き組立ユニット12を組み立てて該フェルール付き組立ユニット12の前記フェルール40及びストップリング32の本体スリーブ32aをプラグフレーム31内に挿入する際に、スライダ60や融着補強部付きフェルール40Aがストップリング32から脱落してしまうといった不都合を生じることがない。このため、融着補強部付きフェルール40Aのフェルール40のフランジ部42aがスライダ60前端に保持された状態を安定に保ったまま、プラグフレーム31への挿入作業を効率良く進めることができる。
【0115】
また、前記ばね圧印加ユニット33にあってはスライダ60の脱落防止によってストップリング32からのスプリング50の脱落も規制されているため、フェルール付き組立ユニット12のストップリング32をプラグフレーム31に取り付け(組み付け)てハウジング30を組み立てるだけで、ばね圧印加ユニット33を構成するスプリング50、スライダ60のハウジング30内への収納を完了できる。すなわち、ストップリング32をプラグフレーム31に取り付け(組み付け)てハウジング30を組み立てると同時に、スプリング50、スライダ60を一括してハウジング30内に収納できるため、スプリング50、スライダ60を個々にハウジング30内に収納する場合に比べて、ハウジング30の組み立ての作業性向上の点で有利である。これにより、現場での光ファイバコード2端末への光コネクタ10の組み立て作業を楽に行える。
【0116】
また、図示例の光コネクタ10のハウジング30を組み立てるハウジング組立工程では、フェルール付き組立ユニット12の前記フェルール40及びストップリング32の本体スリーブ32aをプラグフレーム31に挿入してプラグフレーム31内に収納するときに、フェルール40のフランジ部42aのキー収納溝42d(図3参照)にプラグフレーム31内の回り止めキー31dが収納されるようにする。
【0117】
図8に示すように、フェルール付き組立ユニット12は、ストップリング32に回り止めして設けられたスライダ60の前端に突設されているキー66を、スライダ60の前端側に配置された融着補強部付きフェルール40Aの前記フェルール40のフランジ部42aのキー溝42cに挿入して、前記融着補強部付きフェルール40Aをスライダ60を介してストップリング32に対して回り止めした構成になっているため、ストップリング32をその内孔の軸線回りに回転操作して、フェルール40のフランジ部42aのキー収納溝42dをプラグフレーム31内の回り止めキー31d(図3参照)に位置合わせする作業を容易に行える。
【0118】
さらに、図8に示すように、前記光コネクタ10のプラグフレーム31には、その後端部の周方向の1箇所のみに、ストップリング32の本体スリーブ32aの後端部の外周に突設されているキー32fが挿入可能な切欠部31b(本発明に係るキー収納凹所)が形成されており、前記ストップリング32は前記キー32fを前記プラグフレーム31後端の前記切欠部31bにプラグフレーム31後側から嵌め込み、前記本体スリーブ32aをプラグフレーム31に内嵌めしてプラグフレーム31に取り付けられる。
【0119】
ストップリング32のキー32fは、本体スリーブ32aの後端部の外周の周方向の1箇所のみに突設されており、ストップリング32は前記キー32fをプラグフレーム31後端の前記切欠部31bに挿入できる向きでのみ、プラグフレーム31に対する嵌合、取り付け(組み付け)、すなわち、ストップリング32の係合突起32gをプラグフレーム31の係合窓31cに嵌め込むことでプラグフレーム31に対して結合して取り付けることが可能である。
【0120】
そして、この光コネクタ10は、その組み立て作業(具体的にはハウジング組立工程)にあたって、ストップリング32の前記キー32fがプラグフレーム31後端の前記切欠部31bに挿入可能な向きで、フェルール付き組立ユニット12のフェルール40及び前記ストップリング32の前記本体スリーブ32aをスライダ60とともに前記プラグフレーム31に挿入することで、フェルール40のフランジ部42aのキー収納溝42dにプラグフレーム31内の回り止めキー31d(図3参照)を収納できるようになっている。このため、フェルール付き組立ユニット12のストップリング32をプラグフレーム31に挿入、嵌合して取り付けハウジング30を組み立てる作業において、該組み立て作業を行う作業者がプラグフレーム31内の回り止めキー31d(図3参照)を目視しなくても、フェルール付き組立ユニット12のストップリング32の前記キー32fをプラグフレーム31後端の前記切欠部31bに対応させるだけで、プラグフレーム31に挿入したフェルール40のフランジ部42aのキー収納溝42dにプラグフレーム31内の回り止めキー31dを収納することができる。
【0121】
この光コネクタ10の組み立て作業(具体的にはハウジング組立工程)にあっては、フェルール付き組立ユニット12の融着補強部付きフェルール40Aのフェルール40及びストップリング32をプラグフレーム31に挿入したとき、ストップリング32のキー32fがプラグフレーム31後端の前記切欠部31bに挿入されないことで、該組み立て作業を行う作業者が、フェルール付き組立ユニット12の前記フェルール40及びストップリング32の本体スリーブ32aのプラグフレーム31に対する挿入向きが誤りであることを簡単に把握できる。また、ストップリング32のキー32fがプラグフレーム31後端の前記切欠部31bに挿入されていない場合は、プラグフレーム31にストップリング32を結合させること、すなわち図示例ではストップリング32の係合突起32gをプラグフレーム31の係合窓31cに嵌め込むことができず、ハウジング30を組み立てることができない。このため、前記フェルール40がそのフランジ部42aのキー収納溝42dにプラグフレーム31内の回り止めキー31dを収納しない向きでプラグフレーム31に挿入された状態のままハウジング30が組み立てられてしまうことを確実に防止できる。
【0122】
前記ストップリング32のキー32fは、プラグフレーム31に対するストップリング32の取り付け、融着補強部付きフェルール40Aのフェルール40のプラグフレーム31への挿入が所望の向き(フェルール40をそのフランジ部42aのキー収納溝42dにプラグフレーム31内の回り止めキー31dを収納できる向き)で行われるようにし、誤った向きで行われることを防止するための誤挿入防止キーとして機能する。
【0123】
スライダ60の前端に突設されているキー66が1つだけであり、ストップリング32(詳細には本体スリーブ32a)の外周の1箇所のみに前記キー32fが突設されており、しかもプラグフレーム31後端にストップリング32の前記キー32fが挿入可能な切欠部31bが該プラグフレーム31の後端の周方向の1箇所のみに形成されている構成であれば、融着補強部付きフェルール40Aのストップリング32に対する該ストップリング32の軸線回り方向の取り付け向き、及びストップリング32のプラグフレーム31に対する該プラグフレーム31の軸線回り方向の取り付け向きが特定されるため、フェルール40をそのフランジ部42aのキー収納溝42dにプラグフレーム31内の回り止めキー31dを収納する向きで挿入して組み込むことを確実に実現できる。
前記フェルール40のフランジ部42aのキー溝42cが前記フランジ部42aの外周の周方向の1箇所のみに形成されていることも、フェルール40をそのフランジ部42aのキー収納溝42dにプラグフレーム31内の回り止めキー31dを収納する向きでプラグフレーム31に挿入することに有効に寄与する構成であることは言うまでもない。
【0124】
光ファイバコード2端末は、組み立てられたハウジング30の後側、すなわちストップリング32のねじ筒部32bの後側に離隔した位置に配置されるようにする。また、光ファイバコード2端末から延出されている抗張力体2bは、ストップリング32から外側に引き出した状態とする。
【0125】
ハウジング組立工程が完了したら、図2(a)に示すように、前記ストップリング32後端のねじ筒部32b外周に螺着スリーブ部材35の螺着リング部35aを螺着して、前記ねじ筒部32bと前記螺着スリーブ部材35との間に前記抗張力体2bを挟み込むようにして固定し、ハウジング30(詳細にはストップリング32)に光ファイバコード2を引き留める光伝送体引き留め工程と、ストップリング32後端の前記ねじ筒部32b外周に螺着した螺着スリーブ部材35の後側スリーブ部35bにブーツ11の嵌合リング部11cを外嵌めして装着するブーツ装着工程と、ハウジング組立工程にて組み立てたハウジング30のプラグフレーム31につまみ34を外挿して、既述のようにハウジング30に対して前後方向の可動範囲を確保してスライド移動可能に取り付けるつまみ取り付け工程とを行う。
【0126】
ここでは光伝送体引き留め工程の後に、螺着スリーブ部材35の後側スリーブ部35bにブーツ11を装着するブーツ装着工程を行う場合を例に説明するが、本発明は、ブーツ装着工程にて螺着スリーブ部材35にブーツ11を固定したブーツ付き螺着スリーブ部材を組み立てた後、このブーツ付き螺着スリーブ部材の螺着スリーブ部材35をストップリング32後端の前記ねじ筒部32b外周に螺着して記抗張力体2bを固定する光伝送体引き留め工程を行う構成も採用可能である。
また、つまみ取り付け工程はハウジング組立工程の完了後であればいつ実施しても良い。
【0127】
図3に示すように螺着スリーブ部材35の螺着リング部35aの内周面には、前記ストップリング32後端のねじ筒部32b外周に螺着するために、前記ねじ筒部32b外周に突設されている外ねじ部32b1(ねじ山)に対応するねじ溝35eが形成されている。
光伝送体引き留め工程では、予め光ファイバコード2に外挿して光ファイバコード2端末から離隔した位置に配置しておいた螺着スリーブ部材35を光ファイバコード2に沿ってハウジング30側に移動させ、図2(a)に示すようにその螺着リング部35aをハウジング30のストップリング32後端のねじ筒部32b外周に螺着することで、前記ねじ筒部32b外周に配置しておいた前記抗張力体2b先端部を前記螺着スリーブ部材35の螺着リング部35aと前記ねじ筒部32b外周との間に挟み込むようにして固定するとともに、前記抗張力体2bの前記光ファイバコード2端末と前記ねじ筒部32b外周との間に延在する部分のねじ筒部32b側の端部を、螺着スリーブ部材35内側の段差面35cによって前記ねじ筒部32b後端面に押さえ込むようにして固定する。螺着スリーブ部材35は、段差面35cが抗張力体2bを前記ねじ筒部32b後端面に確実に押さえ込むようにねじ筒部32bに対してしっかりと締め付ける。
【0128】
従来、光コネクタのハウジングに対する光ファイバコードの引き留めは、コード端末に口出した抗張力体をハウジング後端と該ハウジング後端に外挿したかしめリング(金属リング)との間に配置し、前記かしめリングををかしめ工具を用いてかしめて抗張力体を固定するかしめ固定が広く行われている。これに対して、前記光コネクタ10は、光ファイバコード2先端に組み立てる際に、光ファイバコード2端末に口出しされた抗張力体2bをストップリング32後端のねじ筒部32b外周に配置した状態で、螺着スリーブ部材35の螺着リング部35aを前記ねじ筒部32b外周に螺着するだけで前記ねじ筒部32bに抗張力体2bを簡単に固定できる。このため、この光コネクタ10の場合は、かしめリングを用いたかしめ固定の場合のように工具を使用することなく、ハウジング30に光ファイバコード2を引き留める作業を簡単に行うことができる。
【0129】
また、この螺着スリーブ部材35を用いた抗張力体2bの固定は、螺着リング部35aと前記ねじ筒部32b外周との間での挟み込みによる固定の他、抗張力体2bを螺着スリーブ部材35内側の段差面35cによって前記ねじ筒部32b後端面に押さえ込む固定も行うものであり、いわば二重の固定によって、前記抗張力体2b及び光ファイバコード1をハウジング30に引き留める引き留め力を高めることができる。
なお、前記ストップリング32後端のねじ筒部32b外周への螺着スリーブ部材35の螺着による抗張力体2bの固定は、必ずしも螺着スリーブ部材35内側の段差面35cによって前記ねじ筒部32b後端面に押さえ込む固定を必須とするものではなく、この段差面35cによる固定を省略することも可能である。
【0130】
前記ブーツ装着工程では、予め光ファイバコード2に外挿して光ファイバコード2端末から離隔した位置に配置しておいたブーツ11を光ファイバコード2に沿って移動させて、前記ブーツ11の嵌合リング部11cを螺着スリーブ部材35の後側スリーブ部35bにその後側から外嵌めして装着する。
【0131】
つまみ取り付け工程は、つまみ34を、ハウジング30にその前側から押し込むようにして外挿し、プラグフレーム31の外側に組み付ける。つまみ34の内面側には、プラグフレーム31の外周に突設されているつまみ用ストッパ突起31e(図3参照)に後側から係合する抜け止め用突部(図示略)が突設されており、つまみ34はプラグフレーム31前側から押し込んで前記抜け止め用突部を、プラグフレーム31の前記つまみ用ストッパ突起31eから後側に乗り越えさせることでプラグフレーム31の外側に組み付けられる。図1、図3に示すように、つまみ34の前記抜け止め用突部は、つまみ34においてその前端部の両側に開口された窓孔34aの後側に位置する部分の内面に突設されている。
【0132】
つまみ34は、プラグフレーム31に対して前後方向の可動範囲を確保して、長筒状のプラグフレーム31の長手方向に沿ってスライド移動自在に組み付けられる。このつまみ34は、前記抜け止め用突部がプラグフレーム31の前記つまみ用ストッパ突起31eに当接する位置がハウジング30に対する前側移動限界位置、該つまみ34において前記窓孔34aの前側に位置する部分である係合片部34bがプラグフレーム31の前端部の両側に突設されている係合突起31pに該係合突起31pの前側から当接する位置がハウジング30に対する後側移動限界位置である。
前記窓孔34aは、つまみ34が前側移動限界位置にあるときに、プラグフレーム31の係合突起31p及び凹所31qを露出させるように形成されている。
【0133】
本発明に係る光コネクタ10、コネクタ付き光ファイバコード1によれば、フェルール40に内挿固定された内蔵光ファイバ43と光伝送体(ここでは光ファイバコード2)の光ファイバ2aとの融着接続部3を前記補強チューブ21とその内側を満たすように充填状態とされた前記樹脂22とによって補強してなる融着補強部20を前記フェルール40と一体化してなる融着補強部付きフェルール40Aをハウジング30内に収納した構成であり、フェルール40と融着接続部3との間の光ファイバ(本実施形態においては内蔵光ファイバの融着用延出部43c)は融着接続部3とともに融着補強部20によって保護、補強され、しかもフェルール40と一体化されている。すなわち、融着補強部20がフェルール40と一体化されているため、例えば特許文献1記載の技術のようにフェルールとは別体となっている融着補強部が光コネクタのハウジング内にて揺動しやすい構成とは異なり、融着補強部20のフェルール40やハウジング30に対する揺動が生じにくい。このため、特許文献1記載の技術のようにフェルールとは別体となっている融着補強部の揺動によってフェルールと融着補強部との間に延在する光ファイバをいためるといった問題を解消でき、内蔵光ファイバ43の光特性の劣化を防ぐことができる。その結果、内蔵光ファイバ43の光特性を長期にわたって安定維持できるため、長期信頼性を向上できる。
【0134】
既述のように、前記光コネクタ10は、その組み立て(特にハウジング組立工程)にあたり、フェルール40をそのフランジ部42aのキー収納溝42dにプラグフレーム31内の回り止めキー31dを収納する向きでプラグフレーム31に挿入することを容易かつ確実に実現できる構成である。このため、例えば図13(a)、(b)に示すように、フェルール40として、そのキャピラリ部41先端に、斜め研磨によって、内蔵光ファイバ43の光軸に垂直の仮想垂直面に対して7〜9度程度傾斜する傾斜面である接合端面41dが形成されているものを採用した場合に、融着補強部付きフェルール40Aのフェルール40をばね圧印加ユニット33のスライダ60前端のキー66によってストップリング32に対して回り止めした状態でプラグフレーム31に挿入することで、フェルール40の前記接合端面41dが確実に所望の向きとなるようにして、プラグフレーム31内へのフェルール40の挿入、組み込みを行うことができる。
なお、図13(a)、(b)に示す光コネクタに符号10Aを付記する。
本発明に係る光コネクタのフェルールが、斜め研磨あるいはAPC研磨された接合端面を有するものである場合、接続相手側の光コネクタのフェルール91としても、斜め研磨された接合端面91aを有するものを採用する。
また、図13(a)、(b)に示す光コネクタ10Aのフェルールの斜め研磨された接合端面は、内蔵光ファイバ43の光軸に垂直の仮想垂直面に対して7〜9度程度傾斜する傾斜面(平坦面)であるが、本発明に係る光コネクタのフェルールの接合端面は、APC研磨(APC:Angled Physical Contact)された接合端面であっても良い。本発明に係る光コネクタのフェルールがAPC研磨された接合端面を有するものである場合、接続相手側の光コネクタのフェルール91としても、APC研磨された接合端面を有するものを採用する。
【0135】
また、図1〜図4等に示す光コネクタ10は、キャピラリ部41先端に、内蔵光ファイバ43の光軸に垂直の接合端面41aが形成されている構成のフェルール40を採用したものを例示しているが、この光コネクタ10にあっては、内蔵光ファイバ43としてPANDAファイバ(PANDA:Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)等の偏波保持光ファイバを採用できる。そして、この場合、前記フェルール付き組立ユニット12を組み立てて融着補強部付きフェルール40Aのフェルール40をばね圧印加ユニット33のスライダ60前端のキー66によってストップリング32に対して回り止めした状態でプラグフレーム31に挿入することで、偏波保持光ファイバの偏波面が確実に所望の向きとなるようにして、プラグフレーム31内へのフェルール40の挿入、組み込みを行うことができる。
なお、この場合、光ファイバコード2の光ファイバ2aには特に限定はなく、例えば偏波保持光ファイバ、偏波保持性能を有していない一般的なSMファイバ等を採用できる。
【0136】
図13(a)、(b)に示す光コネクタ10Aについても、内蔵光ファイバ43として偏波保持光ファイバを採用することが可能である。また、光ファイバコード2の光ファイバ2aには特に限定はなく、例えば偏波保持光ファイバ、偏波保持性能を有していない一般的なSMファイバ等を採用できることも光コネクタ10と同様である。
【0137】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、その主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでも無い。
(1)本発明に係る光伝送体としては、光ファイバとこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる構成のものであれば良く、光ファイバコード2に限定されない。例えば、図14に示すように、光ファイバ4aと、この光ファイバ4の両側に配置され光ファイバ4aに沿って延在する抗張力体4bとが被覆材4c(外装被覆)中に埋め込まれている構成の光ファイバケーブル4等も採用可能である。このような構成の光ファイバケーブル4としては、光ドロップケーブル、光インドアケーブル等を挙げることができる。光ファイバ4aとしては光ファイバ心線、光ファイバ素線等が用いられる。抗張力体4bとしては、例えばアラミド繊維、FRP等の引っ張り強度や弾力性に優れた抗張力部材(抗張力繊維)が採用される。
【0138】
(2)融着部補強スリーブとしては、図15(a)に示す融着部補強スリーブ25のように、熱可塑性樹脂製の内チューブ25aを収納する外チューブ25b(可撓性の樹脂製チューブである補強チューブ。例えば熱収縮チューブ)に、抗張力体としてアラミド繊維、FRP等の引っ張り強度や弾力性に優れた抗張力部材(抗張力繊維25c)を外チューブ25bの長手方向に沿って(縦添え)埋め込んだ構成のものや、図15(b)に示す融着部補強スリーブ26のように、熱可塑性樹脂製の内チューブ26aと該内チューブ26aを収納する外チューブ26b(可撓性の樹脂製チューブである補強チューブ。例えば熱収縮チューブ)との間に、抗張力体として、アラミド繊維、FRP等の引っ張り強度や弾力性に優れた抗張力部材(抗張力繊維26c)が内チューブ26a及び外チューブ26bの長手方向に沿って(縦添え)延在するように介在配置されている構成のものも採用できる。
【0139】
図15(a)の融着部補強スリーブ25において抗張力繊維25cは外チューブ25bの断面全周にわたって多数本設けられている。図15(b)の融着部補強スリーブ26において抗張力繊維26cは、内チューブ26aと外チューブ26bとの間にその周方向全周にわたって多数本設けられている。
融着補強部に曲げ応力が与えられた際に、曲げ応力による融着補強部の湾曲の外周側には引っ張り力が作用するが、上述の補強チューブのように該補強チューブに縦添えされた抗張力体(抗張力繊維)が該補強チューブの周方向全周にわたって設けられている構成であれば、曲げ応力による融着補強部の湾曲の外周側に作用した引っ張り力を抗張力体(特に融着補強部の湾曲の外周側に位置する抗張力体)が負担することで、内部の光ファイバに加わる引っ張り力を緩和することができる。融着補強部の曲げを緩和できることも言うまでもない。
【0140】
(3)上述の実施形態では、融着補強部形成工程にて、光ファイバコード2端末に光ファイバ2aとともに口出しされた前記抗張力体2bを、補強チューブ21内の外側に引き出しておき、この抗張力体2bをストップリング32後端のねじ筒部32bに螺着した螺着スリーブ部材35によって前記ねじ筒部32bに固定する構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、融着補強部形成工程にて、光伝送体端末に口出しされた前記抗張力体2bを融着部補強スリーブ24内側に内挿して、前記内蔵光ファイバ43の融着用延出部43c、光伝送体端末に口出しされた光ファイバ、前記内蔵光ファイバ(その後端)と光伝送体の光ファイバとの融着接続部とともに補強チューブ21の内側の樹脂22(熱可塑性樹脂)中に埋め込んで固着する構成や、さらに、融着部補強スリーブ24内側に内挿した前記抗張力体2bの先端部を、前記補強チューブ21の一端と前記フェルール40の後側延出筒部42bとの間に介在配置して、前記後側延出筒部42bと前記補強チューブ21との間に挟み込むようにして固定する構成も採用可能である。このように、光伝送体端末に口出しした抗張力体を補強チューブ内側の樹脂中に埋め込む構成の場合は、補強スリーブの前記フェルールの後側延出筒部に外挿固定される一端(前端)とは反対の他端(後端)を光伝送体端末の外側(光伝送体の先端部の外側。つまり光伝送体の外被の先端部の外側)に外挿固定することが好ましい。光伝送体端末への補強スリーブの外挿固定は、既述の光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2aへの補強チューブ21の固着と同様に、熱収縮チューブである補強チューブの加熱収縮による締め付け固定及び/又は光伝送体端末と該光伝送体端末に外挿した補強チューブとの間に入り込ませた加熱溶融状態の熱可塑性樹脂の固化による接着固定によって実現できる。
また、本発明は、光ファイバコード端末に口出しした抗張力体をかしめリングを用いてハウジング後端部にかしめ固定する構成も採用可能である。
【0141】
(4)光コネクタのハウジングとしては、SC形光コネクタ、MU形光コネクタ等と同様の係合ハウジング部を具備するプラグフレームと該プラグフレームの外側に前後方向にスライド移動可能に設けられたつまみとによってスライドロック機構を構成するものに限定されず、例えばLC形光コネクタ(ルーセント社商標)のハウジングのように、光コネクタアダプタ等のコネクタ嵌合ハウジングに係脱可能に係合するラッチが突設され、コネクタ嵌合ハウジングに対する嵌合状態の解除のためのつまみを設けないで使用される構成のものも採用可能である。
【0142】
(5)上述の実施形態では、プラグフレーム31後端に形成された切欠部31bを、ストップリング32に突設されているキー32fが挿入されるキー収納凹所として機能させる構成を例示したが、本発明はプラグフレーム31後端をその後端面から切り込むように切り欠かれた切欠部31bに限定されず、例えばプラグフレーム31後端内周面に形成された溝(キー溝)であっても良い。すなわち、例えばプラグフレーム31後端に切欠部31bにかえてキー溝を形成することも可能である。
【0143】
(6)上述の実施形態では、ストップリング32に回り止めして設けられたスライダ60の前端に1つだけ突設されているキー66を、フェルール40のフランジ部42aの外周の一箇所のみに形成されたキー溝42cに挿入して、融着補強部付きフェルール40Aをスライダ60を介してストップリング32に回り止めし、ストップリング32の外周に1つだけ突設されたキー32fをプラグフレーム31後端の周方向1箇所のみに形成されたキー収納凹所(図示例では切欠部31b)に挿入して、融着補強部付きフェルールのプラグフレーム31に対する挿入向き(プラグフレーム31の軸線回り方向における挿入向き)を特定する構成を例示したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、フェルール40のフランジ部42aの外周に形成するキー溝42cの数、及びプラグフレーム31後端に形成するキー収納凹所の数の一方又は両方が複数である構成、さらに、これらキー溝42cやキー収納凹所の形成数に対応して、スライダ60前端に突設するキー66の数、及び/又はストップリング32の外周に突設するキー32fの数を複数にした構成も採用可能である。フェルール40のフランジ部42aの外周に形成するキー溝42cの数、及び/又はプラグフレーム31後端に形成するキー収納凹所の数を複数にした場合、例えばキー溝42cやキー収納凹所への着色や刻印等によって、融着補強部付きフェルールのプラグフレーム31に対する挿入向きを判別可能とすることができる。融着補強部付きフェルールのプラグフレーム31に対する挿入向きを判別可能とするために、スライダ60前端に突設するキー66、及び/又はストップリング32の外周に突設するキー32fに着色や刻印等を施すことも可能であることは言うまでもない。
また、例えば、フェルール40のフランジ部42aの外周の周方向の複数箇所に形成した全てのキー溝に対して、スライダ前端の周方向の複数箇所に突設された全てのキーが、特定の組み合わせでのみ挿入可能になっている構成、プラグフレーム31後端の周方向の複数箇所に形成された全ての切欠部31bに対して、ストップリング32の周方向の複数箇所に突設された全てのキー32fが、ストップリング32をプラグフレーム31に対してその軸線回り方向の特定の向きにしたときのみ挿入可能になっている構成なども採用できる。
【0144】
(7)本発明では、ばね圧印加ユニットを利用せず、スライダを融着補強部付きフェルールとともにプラグフレームに挿入し、フェルールのフランジ部のキー収納溝42d(図8)にプラグフレーム31内側の回り止めキー31d(図8)を収納して、融着補強部付きフェルール及びスライダをプラグフレームに対して回り止めしてから、プラグフレームに対するストップリングの取り付け(プラグフレームとストップリングとからなるハウジングの組み立て時にスプリングを収納することを含む)を行うことも可能である。
プラグフレームとして、その軸線方向にスライド移動自在、かつ軸線回り方向の回転を規制(回り止め)して前記スライダを収納可能な構成のスリーブ状のものを採用することも可能である。プラグフレームに対するスライダの回り止めは、例えばプラグフレーム内面及びスライダ外面の一方に形成したキー溝への、プラグフレーム内面及びスライダ外面の他方に突設したキーの挿入等によって実現できる。
【符号の説明】
【0145】
1…コネクタ付き光伝送体(コネクタ付き光ファイバコード)、2…光伝送体(光ファイバコード)、2a…光ファイバ、2b…抗張力体(抗張力繊維)、2c…外装被覆(外被)、2d…裸光ファイバ、3…融着接続部、4…光伝送体(光ファイバケーブル)、4a…光ファイバ、4b…抗張力体、4c…外装被覆(被覆材)、
10、10A…光コネクタ、11…ブーツ、12…フェルール付き組立ユニット、
20、20A…融着補強部、21…補強チューブ、24…融着部補強スリーブ、22…熱可塑性樹脂、22a…熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂層)、23…補強芯材、25…融着部補強スリーブ、25a…熱可塑性樹脂(内チューブ)、25b…補強チューブ(熱収縮チューブ、外チューブ)、26…融着部補強スリーブ、26a…熱可塑性樹脂(内チューブ)、26b…補強チューブ(熱収縮チューブ、外チューブ)、
30…ハウジング、31…プラグフレーム、31b…キー収納凹所、32…ストップリング、32a…本体スリーブ、32b…ねじ筒部、32f…キー(誤挿入防止キー)、32h…抜け止め用係合部、33…ばね圧印加ユニット、34…つまみ、35…螺着スリーブ部材、
40…フェルール、40A…融着補強部付きフェルール、41…キャピラリ部、41a、41d…接合端面、42a…フランジ部、42b、42b1、42b2…後側延出筒部、42c…キー溝、42e…凹部(裸線溝)、42f…凹部、42g…凹部(環状溝)、43…内蔵光ファイバ、43c…融着用延出部、50…スプリング、60…スライダ、66…キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ(2a、4a)とこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体(2b、4b)とが外装被覆(2c、4c)によって覆われてなる光伝送体(2、4)の先端に光コネクタ(10、10A)が組み立てられたコネクタ付き光伝送体であって、
前記光コネクタは、スリーブ状のプラグフレーム(31)にストップリング(32)を取り付けて組み立てられたスリーブ状のハウジング(30)内に、フェルール(40)と、このフェルールに内挿固定された内蔵光ファイバ(43)の前記フェルールの先端側の接合端面(41a)とは反対の後端側に設けられた後側延出筒部(42b)から延出された部分と前記光伝送体(2、4)の端末に口出しされた光ファイバ(2a、4a)との融着接続部(3)が前記フェルールの前記後側延出筒部に外挿固定され前記フェルールから後側に延出する熱収縮性の補強チューブ(21)の内側にて樹脂中に埋め込まれた融着補強部と、この融着補強部に外挿して前記ハウジングの軸線に沿う方向である前後方向に移動自在かつ軸回り方向の回転を規制して設けられたスリーブ状のスライダ(60)と、このスライダの後側に配置され前記スライダを介して前記フェルールをコネクタ前側へ弾性付勢するスプリング(50)とを具備し、
前記スライダはその前端が前記フェルールのフランジ部(42a)に該フランジ部の後側から当接可能に配置されているとともに、該前端に突設されたキー(66)を前記フェルールのフランジ部に形成されたキー溝(42c)に挿入して、前記フェルールのフランジ部と前記スプリングとの間に介在配置され、
前記フェルール及び前記スライダは、前記ハウジングを組み立ててその内側に収納する際に、前記融着補強部に外挿した前記スライダのキーを前記フェルールのフランジ部のキー溝に挿入した状態で、前記プラグフレームにその後端部から挿入可能とされていることを特徴とするコネクタ付き光伝送体。
【請求項2】
前記スライダは、その後端部である後側筒部(62)が前記ストップリングに前記ハウジングの前後方向に移動可能に挿入され、この後側筒部に前記ストップリングに形成されている抜け止め用係合部(32h)に係合されることで該後側筒部の前記ストップリングから前側への抜け出しを規制する抜け止め用係合突起(64)が突設され、
前記スプリングは前記スライダの後側に配置して前記ストップリング内に収納されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ付き光伝送体。
【請求項3】
前記スライダには、前記キーがひとつだけ突設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ付き光伝送体。
【請求項4】
前記プラグフレームの後端部の周方向の一箇所のみに、前記ストップリングの外周に突設されたキー(32f)が挿入可能なキー収納凹所(31b)が形成されており、前記ストップリングは前記キーを前記プラグフレームの前記キー収納凹所に挿入して前記プラグフレームに内嵌めして取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ付き光伝送体。
【請求項5】
前記フェルールは、その接合端面が、前記内蔵光ファイバの光軸に直交する仮想垂直面に対して7〜9度傾斜するように斜め研磨された傾斜面とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコネクタ付き光伝送体。
【請求項6】
前記内蔵光ファイバが偏波保持光ファイバであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコネクタ付き光伝送体。
【請求項7】
前記光伝送体の端末に口出しされた抗張力体が、前記ストップリングの後端部に突設されているねじ筒部と該ねじ筒部の外周に螺着された螺着スリーブ部材との間に挟み込むようにして固定され、前記ねじ筒部及び前記螺着スリーブ部材の内側に前記光伝送体端末から延出された光ファイバが通されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコネクタ付き光伝送体。
【請求項8】
さらに、前記ハウジングの外側に前後方向の可動範囲を確保してスライド移動可能に設けられたスリーブ状のつまみを具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコネクタ付き光伝送体。
【請求項9】
光ファイバ(2a、4a)とこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体(2b、4b)とが外装被覆(2c、4c)によって覆われてなる光伝送体(2、4)の先端に組み立てられる光コネクタであって、
フェルール(40)と、このフェルールに内挿固定された内蔵光ファイバ(43)の前記フェルールの先端側の接合端面(41a)とは反対の後端側に設けられた後側延出筒部(42b)から延出された部分と前記光伝送体(2、4)の端末に口出しされた光ファイバ(2a、4a)との融着接続部(3)を収納するための熱収縮性の補強チューブ(21)と、前記補強チューブ(21)の一端を前記フェルールの後側延出筒部(42b)に外挿固定しかつ前記補強チューブの内側に設けた樹脂(22)中に前記融着接続部を埋め込んで形成される融着補強部(20)が前記フェルールと一体化した融着補強部付きフェルール(40A)の前記融着補強部に外挿されるスリーブ状のスライダ(60)と、このスライダの後側に配置され前記スライダを介して前記フェルールをコネクタ前側へ弾性付勢するためのスプリング(50)と、スリーブ状のプラグフレーム(31)にストップリング(32)を取り付けてスリーブ状に組み立てられることで前記融着補強部付きフェルール、前記スライダ、前記スプリングを収納するハウジング(30)とを具備し、
前記スライダは、融着補強部付きフェルール(40A)の前記融着補強部に外挿した状態で、前記ハウジングの軸線に沿う方向である前後方向に移動自在かつ軸回り方向の回転を規制して、前記フェルールのフランジ部と前記スプリングとの間に介在配置されるようになっており、該スライダの前記フェルールのフランジ部(42a)に該フランジ部の後側から当接可能に配置される前端には、前記フランジ部に形成されたキー溝(42c)に挿入されるキー(66)が突設されており、
前記フェルール及び前記スライダは、前記ハウジングを組み立ててその内側に収納する際に、前記融着補強部に外挿した前記スライダのキーを前記フェルールのフランジ部のキー溝に挿入した状態で、前記プラグフレームにその後端部から挿入可能とされていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項10】
前記スライダは、その前端とは反対側の後端部が前記ストップリングに前記ハウジングの前後方向に移動可能として挿入され、該後端部に前記ストップリングに形成されている抜け止め用係合部(32h)に係合されることで前記ストップリングから前側への抜け出しを規制する抜け止め用係合突起(64)が突設され、前記ストップリングに対して抜け止めして設けられており、
前記融着補強部付きフェルールを組み立てた後、前記ストップリングと前記スライダと該スライダの後側に配置して前記ストップリング内に収納された前記スプリングとからなるばね圧印加ユニットの前記ストップリングを前記プラグフレームに取り付けることで前記ハウジングが組み立てられ、このハウジング内に融着補強部付きフェルール、前記スライダ、前記スプリングが収納されるようになっていることを特徴とする請求項9記載の光コネクタ。
【請求項11】
前記スライダには、前記キーがひとつだけ突設されていることを特徴とする請求項9又は10記載の光コネクタ。
【請求項12】
前記プラグフレームの後端部の周方向の一箇所のみに、前記ストップリングの外周に突設されたキー(32f)が挿入可能なキー収納凹所(31b)が形成されており、前記ストップリングは前記キーを前記プラグフレームの前記キー収納凹所に挿入して前記プラグフレームに内嵌めして取り付けられるようになっていることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の光コネクタ。
【請求項13】
前記フェルールは、その接合端面が、前記内蔵光ファイバの光軸に直交する仮想垂直面に対して7〜9度傾斜するように斜め研磨された傾斜面とされていることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の光コネクタ。
【請求項14】
前記内蔵光ファイバが偏波保持光ファイバであることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の光コネクタ。
【請求項15】
さらに、前記ストップリングの後端部に突設されているねじ筒部の外周に螺着されることで該ねじ筒部との間に前記光伝送体の端末に口出しされた抗張力体を挟み込むようにして固定するための前記螺着スリーブ部材を具備し、前記ねじ筒部に前記抗張力体を固定した前記光伝送体端末から延出する光ファイバが前記ねじ筒部及び前記螺着スリーブ部材の内側に挿通されるようになってことを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の光コネクタ。
【請求項16】
さらに、前記ハウジングの外側に外挿されて前後方向の可動範囲を確保してスライド移動可能に設けられるスリーブ状のつまみを具備することを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の光コネクタ。
【請求項17】
光ファイバ(2a、4a)とこの光ファイバの長手方向に沿って延在する抗張力体(2b、4b)とが外装被覆(2c、4c)によって覆われてなる光伝送体の端末に、フェルール(40)とプラグフレームにストップリングを取り付けることで組み立てられて前記フェルールを収納するハウジング(30)とを備える光コネクタを組み立てる組立方法であって、
前記フェルール(40)に内挿固定されている内蔵光ファイバ(43)の前記フェルールの先端側の接合端面(41a)とは反対の後端側に設けられた後側延出筒部(42b)から延出された部分と前記光伝送体(2、4)の端末に口出しした光ファイバ(2a、4a)とを融着接続する融着接続工程と、
この融着接続工程の後、前記内蔵光ファイバと前記光伝送体の光ファイバとの融着接続部(3)に熱収縮性の補強チューブ(21)を外挿するとともに、前記補強チューブの一端を前記フェルールの後側延出筒部(42b)に外挿し、前記補強チューブ内に前記融着接続部と熱可塑性樹脂とを収納した状態で前記熱可塑性樹脂を加熱溶融した後、前記熱可塑性樹脂を降温により固化させることで、固化した前記熱塑性樹脂中に前記融着接続部を埋め込むとともに、前記補強チューブの一端を前記後側延出筒部に固着させることで、前記融着接続部を前記熱可塑性樹脂及び前記補強チューブによって補強してなる融着補強部(20)を形成して該融着補強部が前記フェルールと一体化されている融着補強部付きフェルールを組み立てる融着補強部形成工程と、
この融着補強部形成工程の後、前記融着補強部にスリーブ状のスライダ(60)を外挿し該スライダの片端に突設されているキー(66)を前記フェルールのフランジ部(42a)に形成されたキー溝(42c)に挿入した状態で、前記フェルール及び前記スライダを前記プラグフレームにその後端部から挿入するとともに、前記融着補強部付きフェルールを前記スライダを介してコネクタ前側へ弾性付勢するためのスプリング(50)が前記スライダの前記フェルール側の前端とは反対の後端側に配置されるようにして、前記プラグフレームに前記ストップリングを取り付けてハウジングを組み立て、該ハウジング内に、前記融着補強部付きフェルールと前記スライダと前記スプリングとを収納し、前記スライダの前記ハウジングに対する軸回り方向の回転を規制するハウジング組立工程とを具備することを特徴とする光コネクタの組立方法。
【請求項18】
前記ハウジング組立工程では、前記ストップリングと、前記スライダと、このスライダの前記ストップリングに該ストップリングの軸線方向に移動自在に挿入された後端部の後側に配置して前記ストップリング内に収納された前記スプリングとを具備し前記スライダが前記ストップリングから前側への抜け出しを規制するべく前記ストップリングに対して抜け止めされかつ前記ストップリングに対する軸回り方向の回転が規制されてなるばね圧印加ユニットを用い、このばね圧印加ユニットの前記スライダを前記融着補強部に外挿し該スライダの前記ストップリングから突出された端部に突設されている前記キー(66)を前記フェルールのフランジ部(42a)に形成されたキー溝(42c)に挿入した状態で前記フェルール及び前記スライダを前記プラグフレームにその後端部から挿入するとともに、前記プラグフレームに前記ストップリングを取り付けてハウジングを組み立てることを特徴とする請求項17記載の光コネクタの組立方法。
【請求項19】
前記スライダには、前記キーがひとつだけ突設されていることを特徴とする請求項17又は18記載の光コネクタの組立方法。
【請求項20】
前記プラグフレームの後端部の周方向の一箇所のみに、前記ストップリングの外周に突設されたキー(32f)が挿入可能なキー収納凹所(31b)が形成されており、前記ストップリングは前記キーを前記プラグフレームの前記キー収納凹所に挿入して前記プラグフレームに内嵌めして取り付けられるようになっていることを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の光コネクタの組立方法。
【請求項21】
前記フェルールは、その接合端面が、前記内蔵光ファイバの光軸に直交する仮想垂直面に対して7〜9度傾斜するように斜め研磨された傾斜面とされていることを特徴とする請求項17〜20のいずれかに記載の光コネクタの組立方法。
【請求項22】
前記内蔵光ファイバが偏波保持光ファイバであることを特徴とする請求項17〜21のいずれかに記載の光コネクタの組立方法。
【請求項23】
前記光伝送体の端末に口出しされた抗張力体が、前記ストップリングの後端部に突設されているねじ筒部と該ねじ筒部の外周に螺着された螺着スリーブ部材との間に挟み込むようにして固定され、前記ねじ筒部及び前記螺着スリーブ部材の内側に前記光伝送体端末から延出された光ファイバが通されていることを特徴とする請求項17〜22のいずれかに記載の光コネクタの組立方法。
【請求項24】
さらに、前記ストップリングの後端部に突設され前記光伝送体端末から延出する光ファイバが内挿されるねじ筒部にその外周に螺着可能な螺着スリーブ部材をねじ込んで、前記ねじ筒部と前記螺着スリーブとの間に、前記光伝送体の端末に口出しされた抗張力体を挟み込むようにして固定して前記ストップリングに前記光伝送体を引き留める光伝送体引き留め工程を具備することを特徴とする請求項17〜23のいずれかに記載の光コネクタの組立方法。
【請求項25】
さらに、前記ハウジング組立工程にて組み立てた前記ハウジングの外側にスリーブ状のつまみを外挿して前後方向の可動範囲を確保してスライド移動可能に設けるつまみ取り付け工程を有することを特徴とする請求項17〜24のいずれかに記載の光コネクタの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−107590(P2011−107590A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264987(P2009−264987)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】