説明

コネクタ及び防水コネクタ

【課題】キャビティにおけるコンタクトのガタツキを効果的に抑制できるコネクタを提供する。
【解決手段】リテーナ片24には、コンタクト保持部9に対する嵌合が未完了である半嵌合状態のコンタクト7の先端7mに対して当接し、コンタクト保持部9に対する嵌合が完了した嵌合状態のコンタクト7の先端7mを通り過ぎて手前側隙間h2内に挿入される押出部33が形成されている。また、リテーナ片24は、押圧片21による移動によってコンタクト7とハウジング4の内壁面9aとの間に形成された隙間hのうち、挿入方向Fにおいて押圧片21よりも奥側の隙間である奥側隙間h1に収容される第1支持側壁部32aと、挿入方向Fにおいて押圧片21よりも手前側の隙間である手前側隙間h2に収容される押出部33とを含んで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及び防水コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、本願の図13に示すように、端子受け入れキャビティ50が形成されたコネクタ本体51と、端子受け入れキャビティ50に挿入可能な端子52とを備えた電気コネクタ53を開示している。コネクタ本体51には、剛性フロア54から端子受け入れキャビティ50内に延びる係止尖端55が形成されている。また、可撓性ビーム56が、剛性フロア54の反対側に形成されている。この可撓性ビーム56には隆起部である端子保持突出部57が形成されており、端子保持突出部57は、係止尖端55とほぼ向かい合った所定位置のところで、剛性フロア54に向かって延びている。この構成で、電気コネクタ53の組み立てに際し、端子52が係止尖端55に乗り上げると、端子52の上面58が端子保持突出部57と係合し、可撓性ビーム56が上方に撓み、係止尖端55と端子保持突出部57との間の端子52の移動を受け入れる。その後、端子52の上面58に加わっている可撓性ビーム56の弾性力によって端子52が再度、剛性フロア54に押し付けられ、端子52はコネクタ本体51の端子受け入れキャビティ50に着座する。このとき、係止尖端55が端子52の剛性係止縁部59と係合し、これによって、端子52が端子受け入れキャビティ50から外れることがないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−5310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示の電気コネクタ53は、端子受け入れキャビティ50における端子52のガタツキについて、改善の余地が残されている。
【0005】
本願発明の目的は、キャビティにおけるコンタクトのガタツキを効果的に抑制できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の観点によれば、コンタクトと、前記コンタクトが挿入可能なキャビティが形成され、前記キャビティに挿入された前記コンタクトを保持するハウジングと、コンタクト挿入方向と反対の方向で前記キャビティに挿入可能な支持片と、を備えたコネクタであって、前記ハウジングは、前記キャビティに挿入された前記コンタクトを前記コンタクト挿入方向に対して略直交する方向へ移動させる押圧片と、前記押圧片による前記移動によって前記コンタクトが当接する当接部と、前記当接部に当接した前記コンタクトを係止する係止部と、を有し、前記支持片は、前記押圧片による前記移動によって前記コンタクトと前記ハウジングの内壁面との間に形成された隙間に挿入されれ、前記支持片には、前記ハウジングに対する嵌合が未完了である半嵌合状態の前記コンタクトの先端に対して当接し、前記ハウジングに対する嵌合が完了した嵌合状態の前記コンタクトの前記先端を通り過ぎて挿入される、嵌合状態検知部が形成されている、ことを特徴とするコネクタが提供される。
好ましくは、前記支持片は、前記押圧片による前記移動によって前記コンタクトと前記ハウジングの前記内壁面との間に形成された前記隙間のうち、前記コンタクト挿入方向において前記押圧片よりも奥側の隙間である第1の隙間に収容される第1支持部と、前記コンタクト挿入方向において前記押圧片よりも手前側の隙間である第2の隙間に収容される第2支持部とを含んで構成されている。
好ましくは、前記支持片の前記第2支持部と前記押圧片のうち少なくとも何れか一方には、前記第2支持部が前記コンタクト挿入方向と反対の方向で前記コンタクトと前記押圧片の間を通過する際に前記押圧片を前記コンタクトから離れる方向へ退避させるための傾斜面が形成されている。
好ましくは、前記支持片には、前記支持片を前記キャビティに挿入する前の前記押圧片の状態と、前記支持片を前記キャビティに挿入した後の前記押圧片の状態とが略同じ状態となるように、前記第1支持部と前記第2支持部の間で前記押圧片を収容可能な押圧片収容空間が形成されている。
好ましくは、前記支持片には、前記押圧片と前記ハウジングの前記内壁面との間に形成される隙間に収容される先細り部が形成されている。
本願発明の他の観点によれば、上記コネクタと、前記ハウジング内への湿気の侵入を防止するシーリングと、を含んで構成される、防水コネクタが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、押圧片による移動によってコンタクトとハウジングの内壁面との間に形成された隙間が支持片によって消失するので、キャビティにおける前記コンタクトのガタツキを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【図2】図2は、図1の2−2線矢視におけるコネクタの断面斜視図である。
【図3】図3(a)はコンタクトの斜視図である。図3(b)はコンタクトの概略側面図である。図3(c)はハウジングの部分断面図である。
【図4】図4(a)はハウジングにコンタクトを挿入する前の状態を示す図である。図4(b)はハウジングにコンタクトを挿入している途中の状態を示す図である。図4(c)はハウジングにコンタクトを挿入し終えた状態を示す図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)はフロントリテーナの断面斜視図である。図5(c)はフロントリテーナの部分断面図である。
【図6】図6(a)はハウジングにフロントリテーナを装着する前の状態を示す図である。図6(b)はハウジングにフロントリテーナを装着し終えた状態を示す図である。
【図7】図7(a)はハウジングにフロントリテーナを装着する前の状態を示す図である。図7(b)は押圧片にフロントリテーナが突き当たった状態を示す図である。
【図8】図8(a)及び図8(b)は第2実施形態に係るフロントリテーナの断面斜視図である。図8(c)はフロントリテーナの部分断面図である。
【図9】図9(a)はハウジングにフロントリテーナを装着する前の状態を示す図である。図9(b)及び図9(c)はハウジングにフロントリテーナを装着している途中の状態を示す図である。図9(d)はハウジングにフロントリテーナを装着し終えた状態を示す図である。
【図10】ハウジングにフロントリテーナを装着し終えた状態のコネクタの断面斜視図である。
【図11】図11(a)はハウジングにフロントリテーナを装着する前の状態を示す図である。図11(b)はコンタクトにフロントリテーナが突き当たった状態を示す図である。図11(c)はフロントリテーナによってコンタクトがハウジングから押し出された状態を示す図である。
【図12】図12は、第3実施形態に係るコンタクトの斜視図である。
【図13】図13は、特許文献1の図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図1〜図7を参照しつつ、本願発明の第1実施形態を説明する。
【0010】
(コネクタ1)
図1に示す本実施形態のコネクタ1は、例えば4輪自動車や2輪自動車の電気系統の配線に用いられるものであって、フロントリテーナ2と、シーリング3と、ハウジング4と、グロメット5と、リアカバー6と、複数のコンタクト7(リセプタクルコンタクト)を主たる構成として備えている。本明細書において「先端側」は原則として図1に示すように「コネクタ1の先端側」を意味するものとし、「基端側」は原則として「コネクタ1の基端側」を意味するものとする。
【0011】
ハウジング4は、複数のコンタクト7を保持するものである。図2に示すようにハウジング4は、コンタクト7が挿入可能なキャビティ8が形成されたコンタクト保持部9と、コンタクト保持部9を環状に包囲するアウターカバー10と、グロメット5及びリアカバー6を収容するハウジング本体11と、から構成されている。そして、コンタクト保持部9の外周側にはシーリング3が装着されると共に、コンタクト保持部9の先端には図1に示すフロントリテーナ2が装着されるようになっている。図2においてシーリング3は湿気や汚染物がコンタクト保持部9のキャビティ8に先端側から侵入することを防止する。グロメット5は湿気や汚染物がコンタクト保持部9のキャビティ8に基端側から侵入することを防止すると共に、コンタクト7に接続された電線12がハウジング4との接触によって損傷するのを防止する。リアカバー6は、グロメット5をハウジング本体11に収容された状態で保持する。
【0012】
(コンタクト7)
次に、図3(a)及び図3(b)を参照しつつ、コンタクト7について説明する。図3(a)に示すように本実施形態のコンタクト7は、板金加工により形成されており、図示しないオスコンタクトのタブが挿入されるコンタクト本体13と、電線12の導体14をコンタクト7に対して接触させるためのコンダクタバレル15と、電線12の絶縁体16をコンタクト7に対して固定するためのインシュレーショングリップ17と、コンタクト本体13とコンダクタバレル15を連結する連結部18とによって構成されている。
【0013】
コンタクト本体13は、図3(a)に示すように断面略角筒形状であって、底壁部13aと、一対の側壁部13bと、底壁部13aと対向するビード13cと、インシュレーショングリップ17とビード13cを挟んで反対側の先端壁部13dと、先端壁部13dと対向する基端壁部13eとから構成されている。
【0014】
図3(b)には、説明の便宜上、コンタクト7を側面視で概略的に示している。図3(b)に、コンタクト7の上面7aと、基端面7bと、底面7cと、先端7mとを示す。上面7aはビード13cの外側の面に相当する。基端面7bは基端壁部13eの外側の面に相当し、コンタクト7の長手方向に対して略直交する面である。底面7cは、コンタクト本体13の底面7d(底壁部13aの外側の面)と、連結部18の底面7eと、コンダクタバレル15の底面7fとによって構成されている。本実施形態においてコンタクト7の底面7cは、図3(b)に示すようにランスや凹みのない平面状となっている。
【0015】
(コンタクト保持部9)
次に、図3(c)を参照しつつ、コンタクト保持部9について説明する。図3(c)において挿入方向F(コンタクト挿入方向)は、例えば図4(a)に示すようにキャビティ8に対するコンタクト7の挿入方向を意味する。
【0016】
図3(c)に示すようにコンタクト保持部9には、コンタクト7が挿入可能なキャビティ8が形成されている。そして、コンタクト保持部9の内壁面9aには、上突部19と、下突部20とが形成されている。上突部19と下突部20は、キャビティ8を挟んで対向している。下突部20の先端側には押圧片21が形成されている。押圧片21の基端側端部は下突部20に接続されており、押圧片21の先端部21bは自由端となっている。即ち、押圧片21は、下突部20によって支持されて先端側に延びる片持ち梁である。押圧片21も下突部20と同様、上突部19とキャビティ8を挟んで対向している。つまり、上突部19は、押圧片21の基端側端部と下突部20の先端側端部の双方に対してキャビティ8を挟んで対向している。
【0017】
上突部19の下突部20側の壁面には、上ガイド面19aが形成されている。また、上突部19の先端側端部には係止部22が形成されている。この係止部22は、挿入方向Fに対して略直交する係止壁面22aを有する。
【0018】
下突部20の上突部19側の壁面には、第1下ガイド面20aが形成されている。
【0019】
押圧片21は、キャビティ8に挿入されたコンタクト7を挿入方向Fに対して略直交する方向へ移動させるものであって、図3(c)に示す無負荷状態において若干斜め上方に向かって下突部20から先端側へ延びる。押圧片21の上突部19側の壁面には第2下ガイド面21aが形成されている。また、押圧片21の先端部21bには先端側へ向かうにつれて斜め下向きに傾斜する傾斜面21c(ガイド面)が形成されている。そして、若干斜め上方に向かって延びる押圧片21と、コンタクト保持部9の内壁面9aとの間には押圧片隙間gが形成されている。
【0020】
上突部19より先端側のコンタクト保持部9の壁部には当接部(受容部)23が形成されている。この当接部23は、押圧片21による移動によってコンタクト7が当接するものである。詳しくは、当接部23は、押圧片21による移動によってコンタクト7のコンタクト本体13が当接するものである。ここで、「当接する」とは、「接する」を意味する。当接部23は、上突部19に対して挿入方向Fにおいて隣り合っており、上突部19よりも先端側に位置している。そして、前記の係止部22は、図4(c)に示すように当接部23に当接したコンタクト7を挿入方向Fと反対の方向へ抜けないように係止する。
【0021】
加えて、コンタクト保持部9には、コンタクト7をキャビティ8に挿入するためのコンタクト挿入開口9bと、図示しないオスコンタクトのタブや図1に示すフロントリテーナ2のリテーナ片24(支持片)を挿入方向Fとは反対の方向でキャビティ8に挿入するためのフロント開口9cとが形成されている。
【0022】
(キャビティ8へのコンタクト7の挿入)
次に、図4(a)及び図4(b)、図4(c)を参照しつつ、キャビティ8へのコンタクト7の挿入について説明する。ここで、図4(a)等に示すように、キャビティ8へコンタクト7を挿入する際は、予め図1に示すフロントリテーナ2をハウジング4から取り外しておく。換言すれば、フロントリテーナ2は、キャビティ8へコンタクト7を挿入し終えてからハウジング4に装着するものである。
【0023】
先ず、図4(a)及び図4(b)に示すように、コンタクト保持部9の上突部19に対してコンタクト7の上面7aが接触し、コンタクト保持部9の下突部20や押圧片21に対してコンタクト7の底面7cが接触する向きでコンタクト7をコンタクト挿入開口9bからキャビティ8に徐々に挿入していく。
【0024】
すると、先ず、コンタクト7の底面7cが下突部20の第1下ガイド面20aに接触し、コンタクト7が下突部20の第1下ガイド面20aによってガイドされる。次に、コンタクト7の上面7aが上突部19の上ガイド面19aに接触し、コンタクト7が上突部19の上ガイド面19aによってガイドされる。即ち、このとき、コンタクト7は、下突部20の第1下ガイド面20aと、上突部19の上ガイド面19aとによって挟まれながらガイドされる。
【0025】
続けてコンタクト7をキャビティ8に挿入していくと、コンタクト7の底面7cと押圧片21の第2下ガイド面21aとが接触し、押圧片21は、やがてコンタクト7の挿入に伴って図4(b)に示すように押し倒され、押圧片隙間gが略消失する。図4(b)に示すように押圧片21がコンタクト7に押し倒されると、押圧片21は、自己弾性復元力によってコンタクト本体13を挿入方向Fと略直交する方向、即ち紙面上方へ向けて押圧する。この自己弾性復元力は、コンタクト本体13を介して上突部19によって受け止められる。
【0026】
続けて図4(b)において二点鎖線で示すようにコンタクト7をキャビティ8に挿入していくと、やがてコンタクト7の上面7aと上突部19の上ガイド面19aが対向する図4(b)の関係が解消され、図4(c)に示すように自己弾性復元力によってコンタクト7は挿入方向Fに対して略直交する方向である移動方向Eへ移動する。この結果、コンタクト本体13は、図4(c)に示すように当接部23に対して当接すると共に、押圧片21とコンタクト保持部9の内壁面9aとの間の押圧片隙間gが再び発現する。コンタクト本体13が当接部23に当接すると、コンタクト7の基端面7bと係止部22の係止壁面22aが挿入方向Fにおいて対向し、コンタクト7の基端面7bと係止部22の係止壁面22aが当接し、コンタクト7は係止部22によって係止された状態となる。
【0027】
また、図4(c)に示すように、コンタクト7の移動方向Eにおける移動によって、コンタクト7の底面7c(図4(b)参照)とコンタクト保持部9の内壁面9aとの間には隙間hが形成される。以降、この隙間hのうち、挿入方向Fにおいて押圧片21よりも奥側の隙間を奥側隙間h1(隙間、第1の隙間)と称し、挿入方向Fにおいて押圧片21よりも手前側の隙間を手前側隙間h2(第2の隙間)と称する。奥側隙間h1は、当接部23とコンタクト本体13を挟んで反対側に形成されている。奥側隙間h1は、コンタクト7の底面7cと、コンタクト保持部9の内壁面9aとの間に形成されている。手前側隙間h2は、コンタクト7と下突部20との間に形成されている。手前側隙間h2は、コンタクト7の底面7cと、下突部20の第1下ガイド面20aとの間に形成されている。そして、奥側隙間h1について詳しく言えば、本実施形態において奥側隙間h1は、コンタクト7の移動方向Eにおける移動前から既にコンタクト7の底面7cとコンタクト保持部9の内壁面9aとの間に存在している若干の隙間h3(図4(b)参照)が移動によって拡大することで形成されている。
【0028】
ここで、図4(b)及び図4(c)を参照しつつ、押圧片21の圧縮状態(第1の状態)と半圧縮状態(第2の状態)について説明する。押圧片21の圧縮状態とは、コンタクト7の移動方向Eにおける移動以前の状態を意味する。具体的には、押圧片21の圧縮状態は、図4(b)に示すように押圧片21がコンタクト7によって押し倒されて先端部21bがコンタクト保持部9の内壁面9a側に向かい、強大な自己弾性復元力が押圧片21内に蓄えられた状態である。従って、図4(a)に示される押圧片21は、圧縮状態ではなく無負荷状態である。一方で、押圧片21の半圧縮状態とは、コンタクト7の移動方向Eにおける移動以降の状態を意味する。具体的には、押圧片21の半圧縮状態は、図4(c)に示すように押圧片21がコンタクト7を押し上げ、一度略消失した押圧片隙間gが再び発現した状態である。
【0029】
次に、図4(b)及び図4(c)を参照しつつ、コンタクト7の移動未完了位置(第1の位置)と移動完了位置(第2の位置、嵌合状態)について説明する。コンタクト7の移動未完了位置とは、コンタクト7の移動方向Eにおける移動以前の位置を意味する。具体的には、コンタクト7の移動未完了位置は、図4(b)において実線及び二点鎖線で例示するように、上突部19と押圧片21によってコンタクト7の少なくとも一部が挿入方向Fと直交する方向において挟まれているときのコンタクト7の位置である。コンタクト7が移動未完了位置に位置するとき、ハウジング4に対するコンタクト7の嵌合は未完了であるから、このときのコンタクト7の状態を半嵌合状態と称する。一方で、コンタクト7の移動完了位置とは、コンタクト7の移動方向Eにおける移動以降の位置を意味する。具体的には、コンタクト7の移動完了位置は、図4(c)において実線で示すように、コンタクト本体13が当接部23に対して当接しているときのコンタクト7の位置である。コンタクト7が移動完了位置に位置するとき、ハウジング4に対するコンタクト7の嵌合は完了していることから、このときのコンタクト7の状態を嵌合状態と称する。
【0030】
(フロントリテーナ2)
次に、図5(a)及び図5(b)、図5(c)を参照しつつ、フロントリテーナ2について説明する。
【0031】
図5(a)に示すようにフロントリテーナ2は、図2に示すハウジング4のコンタクト保持部9を先端側から覆うフロントパネル25と、フロントパネル25の外周縁から基端側に延びる環状のリテーナカバー26と、フロントパネル25の基端側壁面25aから基端側に延びる複数のリテーナ片24とを備えて構成されている。図5(b)に示すように、フロントパネル25には、オスコンタクトのタブが挿入可能なタブ挿入孔25bが各リテーナ片24に対で形成されている。
【0032】
各リテーナ片24は、図6(a)及び図6(b)に示すように、挿入方向Fと反対の方向でキャビティ8に挿入可能なものであって、図5(b)及び図5(c)に示すように、角柱部27と、先細り部28(押圧片状態検知部)と、先細り部28を挟む一対の補強壁部29とから構成されている。
【0033】
図5(c)に示すように角柱部27は、フロントパネル25の基端側壁面25aから基端側に向かって延びて形成されており、第1支持面27aを有している。先細り部28は、角柱部27の先端部27bから基端側に向かって延びて形成されており、先端部28aに向かって次第に先細る形状となっている。角柱部27の底面27cと、先細り部28の底面28bとは同一面となっている。各補強壁部29は、第2支持面29aを有している。第1支持面27aと第2支持面29aは同一面となっている。一対の補強壁部29と先細り部28とによって図5(a)及び図5(b)、図5(c)に示すように溝24aが形成されている。
【0034】
(キャビティ8へのリテーナ片24の挿入)
次に、図6(a)及び図6(b)を参照しつつ、キャビティ8へのリテーナ片24の挿入について説明する。ここでは、コンタクト7は予めキャビティ8へ完全に挿入されており、即ち、コンタクト7は図4(b)に示す移動未完了位置から図4(c)に示す移動完了位置に移動しており、押圧片21は図4(b)に示す圧縮状態から図4(c)に示す半圧縮状態に切り替わっているとする。
【0035】
図6(a)及び図6(b)に示すようにフロントリテーナ2のリテーナ片24をフロント開口9cからキャビティ8へ挿入する。即ち、フロントリテーナ2のリテーナ片24をキャビティ8に形成された隙間hの奥側隙間h1に挿入する。すると、図6(a)に示す奥側隙間h1は図6(b)に示すようにリテーナ片24の角柱部27によって略消失する。これにより、コンタクト7のコンタクト本体13は当接部23と角柱部27によって挿入方向Fと略直交する方向に挟まれ、もって、キャビティ8におけるコンタクト7のガタツキが効果的に抑制されることになる。なお、このとき、半圧縮状態にある押圧片21の先端部21bは、フロントリテーナ2のリテーナ片24に対して干渉することなく、リテーナ片24の溝24a内に収容される。即ち、リテーナ片24の先細り部28は押圧片21とコンタクト保持部9の内壁面9aとの間に形成された押圧片隙間gに収容される。
【0036】
次に、図7(a)及び図7(b)を参照しつつ、キャビティ8へのリテーナ片24の挿入について説明する。ここでは、コンタクト7はキャビティ8へ完全には挿入されておらず、即ち、コンタクト7は図4(b)に示す移動未完了位置にあり、押圧片21は図4(b)に示す圧縮状態となっているとする。図6(b)及び図7(b)を比較して判る通り、キャビティ8へ挿入されるリテーナ片24の軌跡は略同一とされている。
【0037】
即ち、図7(a)及び図7(b)に示すようにフロントリテーナ2のリテーナ片24をフロント開口9cからキャビティ8へ挿入していく。すると、図7(b)に示すようにリテーナ片24の先細り部28の先端部28aが、圧縮状態にある押圧片21の先端部21bに対して突き当たり、キャビティ8へのリテーナ片24の更なる挿入が禁止される。従って、このリテーナ片24の先細り部28の先端部28aが不完全な挿入位置で停止されることにより、コネクタ1の組立作業者は、コンタクト7が移動未完了位置にあることを知ることができる。この場合、組立作業者は、一旦フロントリテーナ2のリテーナ片24をキャビティ8から抜き取り、キャビティ8に挿入されているすべてのコンタクト7を再度、奥へと強く押し込み、改めてキャビティ8へのリテーナ片24の挿入を試みればよい。
【0038】
(まとめ)
(1)以上説明したように本実施形態においてコネクタ1は、図1〜図6に示すように、以下のように構成されている。即ち、コネクタ1は、コンタクト7と、コンタクト7が挿入可能なキャビティ8が形成され、キャビティ8に挿入されたコンタクト7を保持するハウジング4と、挿入方向Fと反対の方向でキャビティ8に挿入可能なリテーナ片24とを備える。ハウジング4は、キャビティ8に挿入されたコンタクト7を挿入方向Fに対して略直交する方向としての移動方向Eへ移動させる押圧片21と、押圧片21による移動によってコンタクト7が当接する当接部23と、当接部23に当接したコンタクト7を係止する係止部22とを有する。リテーナ片24は、図6(a)及び図6(b)に示すように、押圧片21による移動によってコンタクト7とハウジング4の内壁面9aとの間に形成された奥側隙間h1に挿入される。◆以上の構成によれば、図6(a)及び図6(b)に示すように、押圧片21による移動によってコンタクト7とハウジング4の内壁面9aとの間に形成された奥側隙間h1がリテーナ片24によって消失するので、キャビティ8におけるコンタクト7のガタツキを効果的に抑制することができる。
【0039】
(2)また、リテーナ片24には、図7(b)に示すようにコンタクト7の移動以前の圧縮状態にある押圧片21に対して当接し、図6(b)に示すようにコンタクト7の移動以降の半圧縮状態にある押圧片21とコンタクト保持部9の内壁面9aとの間に形成される押圧片隙間gに収容される先細り部28が形成されている。◆即ち、コンタクト7は、図4(b)及び図4(c)に示すように、押圧片21によって移動し当接部23に当接することで初めて係止部22によって係止されるようになっている。また、移動に伴って押圧片21は圧縮状態から半圧縮状態へと状態を変化させる。従って、図6(b)及び図7(b)に示すように、以上の構成で、リテーナ片24をキャビティ8に挿入する際に、先細り部28が押圧片21に対して突き当たったか否かを確認することで押圧片21の状態を検知し、押圧片21の状態を検知することでコンタクト7の移動以前か以降かを判断し、コンタクト7の移動以前か以降かを判断することでコンタクト7が係止部22によって係止され得る状態になっているかを把握することができる。即ち、端的に言えば、以上の構成で、リテーナ片24をキャビティ8に挿入する際に、先細り部28が押圧片21に対して突き当たったか否かを確認することで、コンタクト7が係止部22によって係止され得る状態になっているかを把握することができ、所謂コンタクト7の半嵌合状態を把握することができる。
【0040】
また、先細り部28は、図6(b)に示すように、コンタクト7の移動以降の半圧縮状態にある押圧片21と、ハウジング4の内壁面9aとの間の押圧片隙間gに挿入可能に形成されている。◆以上の構成によれば、コンタクト7の移動以降の半圧縮状態にある押圧片21に対してすれ違う先細り部28を、構造上シンプルに実現することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、図8〜11を参照しつつ、本願発明の第2実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜、省略する。また、第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0042】
(フロントリテーナ2)
本実施形態においてリテーナ片24は、図8(b)に示すように、角柱部30と、先細り部31と、角柱部30及び先細り部31を挟む一対の支持側壁部32と、押出部33(コンタクト位置検知部、第2支持部)とから構成されている。そして、押出部33は、先細り部31よりも基端側であって、先細り部31から若干離れて形成されている。即ち、先細り部31と押出部33との間には図8(a)及び図8(b)に示すように押圧片収容空間34が形成されている。
【0043】
図8(c)に示すように角柱部30は、フロントパネル25の基端側壁面25aから基端側に向かって延びて形成されている。先細り部31は、角柱部30の先端部30bから基端側に向かって延びて形成されており、先端部31aに向かって次第に先細る形状となっている。角柱部30の底面30cと、先細り部31の底面31bとは同一面となっている。各支持側壁部32は、先細り部31よりも先端側の第1支持側壁部32a(第1支持部)と、角柱部30と押出部33の間に位置する第2支持側壁部32bとから構成されている。押出部33は、図9(c)や図11(c)の圧縮状態にある押圧片21を乗り越えられるよう図8(c)においてリテーナ片24の上端24b寄りに形成されると共に、基端側壁面25aへ向かうにつれて先細り部31の底面31bに近づくように傾斜する傾斜面33aを有している。この傾斜面33aは、図3(c)及び図9(b)に示すように、先端部21bの傾斜面21cと対向可能に形成されている。
【0044】
(キャビティ8へのリテーナ片24の挿入)
次に、図9(a)〜図9(d)を参照しつつ、キャビティ8へのリテーナ片24の挿入について説明する。ここでは、コンタクト7は予めキャビティ8へ完全に挿入されており、即ち、コンタクト7は図4(b)に示す移動未完了位置から図4(c)に示す移動完了位置に移動しており、押圧片21は図4(b)に示す圧縮状態から図4(c)に示す半圧縮状態に切り替わっているとする。
【0045】
図9(a)及び図9(b)に示すようにフロントリテーナ2のリテーナ片24をフロント開口9cからキャビティ8へ挿入する。即ち、フロントリテーナ2のリテーナ片24をキャビティ8に形成された隙間hの奥側隙間h1に挿入する。このとき、図9(b)に示すように、リテーナ片24の押出部33は、コンタクト保持部9に対する嵌合が完了した嵌合状態のコンタクト7の先端7mを通り過ぎて奥側隙間h1内に挿入される。するとすぐに、図9(b)に示すように、リテーナ片24の押出部33が押圧片21の先端部21bに突き当たる。このとき、押出部33には図8(c)に示すように傾斜面33aが形成されており、押圧片21の先端部21bには図3(c)に示すように傾斜面21cが形成されている。従って、図9(b)の状態から更にリテーナ片24をキャビティ8に挿入していくと、図8(c)に示す傾斜面33aと図3(c)に示す傾斜面21cとが接触し、図9(c)に示すように押圧片21は押出部33によって押し倒された圧縮状態となり、押出部33はコンタクト7と押圧片21との間に挿入される。
【0046】
続けてリテーナ片24をキャビティ8に挿入していくと、図9(d)に示すように押出部33は押圧片21を完全に乗り越えて、コンタクト7と下突部20の間に形成されている手前側隙間h2に挿入される。また、押圧片21は、押圧片収容空間34内に収容され、押圧片21の状態は、図9(a)及び図9(b)に示される押圧片21の状態と略同じ状態となる。
【0047】
参考までに、図9(d)に対応する断面斜視図を図10に示す。
【0048】
次に、図11(a)〜図11(c)を参照しつつ、キャビティ8へのリテーナ片24の挿入について説明する。ここでは、コンタクト7はキャビティ8へ完全には挿入されておらず、即ち、コンタクト7は図4(b)に示す移動未完了位置にあり、押圧片21は図4(b)に示す圧縮状態となっているとする。また、図9(b)及び図11(b)を比較して判る通り、キャビティ8へ挿入されるリテーナ片24の軌跡は略同一とされている。
【0049】
即ち、図11(a)及び図11(b)に示すようにフロントリテーナ2のリテーナ片24をフロント開口9cからキャビティ8へ挿入していく。すると、図11(b)に示すようにリテーナ片24の押出部33が、図3(a)及び図3(b)に示したコンタクト7のコンタクト本体13の底壁部13aに対して突き当たる。換言すれば、リテーナ片24の押出部33が、コンタクト7の先端7mに対して当接する。続けてリテーナ片24をキャビティ8へ挿入していくと、コンタクト7は、図11(b)に示すように係止部22によって全く係止されていないので、リテーナ片24の押出部33に押されて図11(c)に示すように挿入方向Fと反対の方向へ押し出される。従って、コンタクト7がキャビティ8から押し出されたという現象を目視で確認することをもって、コネクタ1の組立作業者は、コンタクト7が移動未完了位置にあったことを知ることができる。この場合、組立作業者は、一旦フロントリテーナ2のリテーナ片24をキャビティ8から抜き取り、キャビティ8に挿入されているすべてのコンタクト7を再度、奥へと強く押し込み、改めてキャビティ8へのリテーナ片24の挿入を試みればよい。
【0050】
(まとめ)
(3)以上説明したように本実施形態においてコネクタ1は、以下のように構成されている。リテーナ片24には、図8〜図11に示すように、コンタクト保持部9に対する嵌合が未完了である半嵌合状態のコンタクト7の先端7mに対して当接し、コンタクト保持部9に対する嵌合が完了した嵌合状態のコンタクト7の先端7mを通り過ぎて手前側隙間h2内に挿入される押出部33が形成されている。◆以上の構成で、リテーナ片24をキャビティ8に挿入する際に、押出部33がコンタクト7の先端7mに対して当接してコンタクト7が挿入方向Fと反対の方向へ押し出されたか否かを確認することで、コンタクト7が係止部22によって係止され得る状態(嵌合状態)になっているかを把握することができる。
【0051】
(4)また、リテーナ片24は、図9(a)及び図9(d)に示すように、押圧片21による移動によってコンタクト7とハウジング4の内壁面9aとの間に形成された隙間hのうち、挿入方向Fにおいて押圧片21よりも奥側の隙間である奥側隙間h1に収容される第1支持側壁部32aと、挿入方向Fにおいて押圧片21よりも手前側の隙間である手前側隙間h2に収容される押出部33とを含んで構成されている。◆以上の構成によれば、押圧片21による移動によってコンタクト7とハウジング4の内壁面9aとの間に形成された隙間hに、リテーナ片24が、挿入方向Fにおいて広範囲に亘って収容されることとなるので、この分、キャビティ8におけるコンタクト7のガタツキを一層効果的に抑制することができる。
【0052】
(5)また、リテーナ片24の押出部33と押圧片21の双方には、図3(c)及び図8(c)、図9(b)、図9(c)に示すように、押出部33が挿入方向Fと反対の方向でコンタクト7と押圧片21の間を通過する際に押圧片21をコンタクト7から離れる方向へ退避させるための傾斜面33a及び傾斜面21cが夫々形成されている。◆以上の構成によれば、押出部33がコンタクト7と押圧片21の間を通過する際、押圧片21がコンタクト7から離れる方向へ積極的に退避しようとするので、押出部33がコンタクト7と押圧片21の間をスムーズに通過できるようになる。
【0053】
なお、第2実施形態では、リテーナ片24の押出部33と押圧片21の双方に傾斜面33aと傾斜面21cを夫々形成することとしたが、これに代えて、押出部33と押圧片21のうち何れか一方にのみ傾斜面33a又は傾斜面21cを形成することとしてもよい。
【0054】
(6)また、リテーナ片24には、図8(b)及び図8(c)、図9(d)に示すように、押圧片21とコンタクト保持部9の内壁面9aとの間に形成される押圧片隙間gに収容される先細り部31が形成されている。◆以上の構成によれば、押圧片21がコンタクト7から離れる方向へ変形するのが抑制されるので、キャビティ8におけるコンタクト7のバタツキを効果的に抑制できる。
【0055】
(7)また、リテーナ片24には、図9(a)及び図9(d)に示すように、リテーナ片24をキャビティ8に挿入する前の押圧片21の状態と、リテーナ片24をキャビティ8に挿入した後の押圧片21の状態とが略同じ状態となるように、第1支持側壁部32aと押出部33の間で押圧片21を収容する押圧片収容空間34が形成されている。◆以上の構成によれば、挿入前から挿入後の状態に移動する際に発生する圧縮状態を押圧片収容空間34にて解放するため、押圧片に対して必要以上の負荷を発生させることがなく、応力の軽減が可能となる。
【0056】
なお、リテーナ片24をキャビティ8に挿入したことによって、押圧片21が圧縮状態となり押圧片21の内部の応力が上昇したままとなると、所謂応力緩和現象によって、リテーナ片24をキャビティ8から引き抜いたときに押圧片21が図9(a)に示す半圧縮状態に戻らなくなる。これに対し、押圧片収容空間34の存在によれば、リテーナ片24をキャビティ8に挿入したことによる押圧片21の内部の応力の上昇が抑えられるので上記の問題を回避できる。
【0057】
(第3実施形態)
以下、図12を参照しつつ、本願発明の第3実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が第1実施形態及び第2実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0058】
第1実施形態及び第2実施形態において、コンタクト7は、図3(a)に示すように断面略角筒状のコンタクト本体13を有することとした。しかし、これに代えて、コンタクト7のコンタクト本体13は、図12に示すように、断面略円筒状に形成してもよい。
【0059】
なお、コネクタ1は、図1に示すように防水コネクタとして利用してもよいし、防水以外の用途であるコネクタとして利用してもよい。また、コンタクト7は、メスコンタクトであってもよいし、オスコンタクトであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 コネクタ(防水コネクタ)
2 フロントリテーナ
3 シーリング
4 ハウジング
7 コンタクト
8 キャビティ
9 コンタクト保持部
9a 内壁面
13 コンタクト本体
21 押圧片
21c 傾斜面
22 係止部
23 当接部
24 リテーナ片(支持片)
28 先細り部(押圧片状態検知部)
31 先細り部
32 支持側壁部
32a 第1支持側壁部(第1支持部)
33 押出部(第2支持部、嵌合状態検知部)
33a 傾斜面
34 押圧片収容空間
E 移動方向
F 挿入方向(コンタクト挿入方向)
g 押圧片隙間
h 隙間
h1 奥側隙間(隙間、第1の隙間)
h2 手前側隙間(第2の隙間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトと、
前記コンタクトが挿入可能なキャビティが形成され、前記キャビティに挿入された前記コンタクトを保持するハウジングと、
コンタクト挿入方向と反対の方向で前記キャビティに挿入可能な支持片と、
を備えたコネクタであって、
前記ハウジングは、
前記キャビティに挿入された前記コンタクトを前記コンタクト挿入方向に対して略直交する方向へ移動させる押圧片と、
前記押圧片による前記移動によって前記コンタクトが当接する当接部と、
前記当接部に当接した前記コンタクトを係止する係止部と、
を有し、
前記支持片は、前記押圧片による前記移動によって前記コンタクトと前記ハウジングの内壁面との間に形成された隙間に挿入され、
前記支持片には、
前記ハウジングに対する嵌合が未完了である半嵌合状態の前記コンタクトの先端に対して当接し、
前記ハウジングに対する嵌合が完了した嵌合状態の前記コンタクトの前記先端を通り過ぎて挿入される、
嵌合状態検知部が形成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記支持片は、
前記押圧片による前記移動によって前記コンタクトと前記ハウジングの前記内壁面との間に形成された前記隙間のうち、前記コンタクト挿入方向において前記押圧片よりも奥側の隙間である第1の隙間に収容される第1支持部と、前記コンタクト挿入方向において前記押圧片よりも手前側の隙間である第2の隙間に収容される第2支持部とを含んで構成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記支持片の前記第2支持部と前記押圧片のうち少なくとも何れか一方には、前記第2支持部が前記コンタクト挿入方向と反対の方向で前記コンタクトと前記押圧片の間を通過する際に前記押圧片を前記コンタクトから離れる方向へ退避させるための傾斜面が形成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のコネクタであって、
前記支持片には、前記支持片を前記キャビティに挿入する前の前記押圧片の状態と、前記支持片を前記キャビティに挿入した後の前記押圧片の状態とが略同じ状態となるように、前記第1支持部と前記第2支持部の間で前記押圧片を収容可能な押圧片収容空間が形成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のコネクタであって、
前記支持片には、
前記押圧片と前記ハウジングの前記内壁面との間に形成される隙間に収容される先細り部が形成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のコネクタと、
前記ハウジング内への湿気の侵入を防止するシーリングと、
を含んで構成される、防水コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−109269(P2012−109269A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−40175(P2012−40175)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2010−98756(P2010−98756)の分割
【原出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】