説明

コネクタ端子の接続構造

【課題】端子の構造の単純化により、コスト削減とコネクタの小型化・薄型化を図れるようにしたコネクタ端子の接続構造を提供する。
【解決手段】オスコネクタハウジング1Aの内部に、電線接続部61の外側面にコネクタ嵌合方向に平行な摺動接触面61bを有する第1端子60が収容されると共に、オスコネクタハウジングに、摺動接触面を外部に臨ませるガイド溝25が形成されている。メスコネクタハウジング110の開口の内部に、コネクタ嵌合時に前記ガイド溝に沿って挿入されることで、第1端子に弾性接触する線バネ状の第2端子160が設けられており、該第2端子に、コネクタの嵌合に伴い第1端子の摺動接触面61bに摺動接触するへの字状のバネ部161が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オスコネクタ側のコネクタ端子とメスコネクタ側のコネクタ端子の接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オスコネクタ側のコネクタ端子とメスコネクタ側のコネクタ端子を接続する場合、通常は、メス端子とオス端子を嵌合する構造を採用しており、メス端子の前部に、オス端子を挿入するボックス部を設け、そのボックス部の内部に、挿入されて来たオス端子をボックス部の内壁との間に挟持するバネ片を設けた構成を採っている。
【0003】
図9はボックス部付きのメス端子の一例を示している(例えば、特許文献1参照)。このメス端子500は、前部にバネ片510を内装したボックス部501を設けると共に、ボックス部501の後側に、電線の先端の露出導体に接続する導体接続部502と電線の被覆付き部分に接続する被覆接続部503を設けた構造をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2003−187893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図9の従来例のように前部にボックス部501を有したメス端子500を採用する場合、どうしても端子の構造が複雑になる上、端子の寸法が大きくなってしまい、そのため、コネクタのコストが高くなると共に、コネクタの小型化や薄型化に限界を生じてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、端子の構造の単純化により、コスト削減とコネクタの小型化・薄型化を図れるようにしたコネクタ端子の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、オスコネクタハウジングに収容された第1コネクタ端子とメスコネクタハウジングに収容された第2コネクタ端子の接続構造において、前記オスコネクタハウジングの内部に、前記第1コネクタ端子として、電線接続部の外側面に前記オスコネクタハウジングとメスコネクタハウジングの嵌合方向に平行な摺動接触面を有する第1端子が収容されると共に、該オスコネクタハウジングに、前記摺動接触面を外部に臨ませるガイド溝が前記オスコネクタハウジングとメスコネクタハウジングの嵌合方向に沿って形成され、前記メスコネクタハウジングの開口の内部に、前記第2コネクタ端子として、前記オスコネクタハウジングとメスコネクタハウジングの嵌合時に前記ガイド溝に沿って挿入されることで、前記1端子に弾性接触する線バネ状の第2端子が設けられ、該第2端子に、前記オスコネクタハウジングとメスコネクタハウジングの嵌合に伴い前記第1端子の摺動接触面に摺動接触するへの字状のバネ部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のコネクタ端子の接続構造であって、前記第2端子は、基端が前記メスコネクタハウジングの開口の奥壁に固定され、先端が自由端として前方に延ばされ、該先端に前記への字状のバネ部が形成された線バネ状端子として設けられ、かつ、前記バネ部が前記第1端子の摺動接触面に摺動接触することで前記第2端子が撓んだときに、前記バネ部の先端に設けられた当接部が前記メスコネクタハウジングの開口内の内側壁に当接することで、前記第2端子が両端支持バネとしてバネ力を発生するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のコネクタ端子の接続構造であって、前記オスコネクタハウジングが、矩形板状の第1ハウジングと該第1ハウジングの板面に重ね合わせられる矩形板状の第2ハウジングとで構成されると共に、前記第1ハウジングと第2ハウジングがヒンジを介して回動可能に一体に連結され、更に前記第1ハウジングと第2ハウジングの少なくとも一方に前記第1ハウジングと第2ハウジングを重ね合わせた状態でロックするロック手段が一体に設けられると共に、前記第1ハウジングと第2ハウジングの重ね合わせ面に、前記第1端子及び該第1端子から延びる電線の先端付近を収容するキャビティが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、オスコネクタハウジングの内部に、電線接続部の外側面にコネクタ嵌合方向に平行な摺動接触面を有する第1端子を収容すると共に、オスコネクタハウジングに前記摺動接触面を外部に臨ませるガイド溝を形成し、一方、メスコネクタハウジングの開口の内部に、コネクタ嵌合時に前記ガイド溝に沿って挿入されることで、第1端子に弾性接触する線バネ状の第2端子を設け、その第2端子に、コネクタの嵌合に伴い第1端子の摺動接触面に摺動接触するへの字状のバネ部を設けているので、第1端子及び第2端子をボックス部を持たない非常に単純な形状に形成することができ、コネクタのコスト削減とコネクタの小型化・薄型化を図ることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、コネクタ嵌合時に第2端子を両端支持バネとして機能させることができるので、第1端子と第2端子の間に強い接触圧を生じさせることができ、電気接続の信頼性向上を図ることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、オスコネクタハウジングを、ヒンジで連結された第1ハウジングと第2ハウジングとで構成し、両ハウジングの板面を重ね合わせることで、重ね合わせ面に設けたキャビティに第1端子を収容するようにしているので、端子を固定しておくランスが不要であり、コネクタの薄型化と小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の接続構造を得るためのオスコネクタの組み立て途中の状態を示す斜視図である。
【図2】同オスコネクタの組み立て完了状態を示す斜視図である。
【図3】同オスコネクタの側断面図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【図5】図3のB−B矢視断面図である。
【図6】(a)は前記オスコネクタに用いる第1端子としての圧着端子の構成を示す斜視図、(b)はその代替品としての圧接端子の構成を示す斜視図である。
【図7】オスコネクタとメスコネクタを嵌合した状態を示す外観斜視図である。
【図8】図7のオスコネクタとメスコネクタを嵌合した状態を示す側断面図である。
【図9】従来のメス端子の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は実施形態の接続構造を得るためのオスコネクタの組み立て途中の状態を示す斜視図、図2は同オスコネクタの組み立て完了状態を示す斜視図、図3は同オスコネクタの側断面図、図4は図3のA−A矢視断面図、図5は図3のB−B矢視断面図、図6(a)は前記オスコネクタに用いる第1端子としての圧着端子の構成を示す斜視図、図6(b)はその代替品としての圧接端子の構成を示す斜視図、図7はオスコネクタとメスコネクタを嵌合した状態を示す外観斜視図、図8は図7のオスコネクタとメスコネクタを嵌合した状態を示す側断面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施形態の接続構造で用いるオスコネクタ1は、合成樹脂の一体成形品よりなるオスコネクタハウジング1Aと、複数の各電線70の先端に取り付けられた複数の第1端子60とから構成されている。オスコネクタハウジング1Aは、左右方向に長い矩形帯板状の第1ハウジング10と、この第1ハウジング10の上側の板面と下側の板面にそれぞれ重ね合わせられる矩形板状の第2ハウジング20A、20Bとから構成されている。
【0017】
ここで、下側の第2ハウジング20Bは、第1ハウジング10とほぼ同じサイズの帯板状に形成されているが、上側の第2ハウジング20Aは、第1ハウジング10の左右方向の中央にスペースを空けて2枚に分割して配設されている。そして、その第1ハウジング10の上側の板面の中央のスペースに、第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bとで構成したオスコネクタハウジング1Aを、図7及び図8に示すように、メスコネクタ100のメスコネクタハウジング110の開口112内に嵌合させたときに、メスコネクタハウジング110側のロック部119とロックするロック突起(ロック部)19を有したロックアーム18が設けられている。
【0018】
第1ハウジング10と上側及び下側の第2ハウジング20A、20Bは、半筒状の肉薄壁よりなるヒンジ29により、それぞれ回動可能に一体に連結されている。ヒンジ29は、オスコネクタハウジング1Aの前端に位置するように、第1ハウジング10及び第2ハウジング20A、20Bの前端縁に配置されており、それにより、第1ハウジング10に対して第2ハウジング20A、20Bが、ヒンジ29を支点にして後端側を開閉するように連結されている。
【0019】
また、第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bにはそれぞれ一体に、第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bを重ね合わせた状態でロックするロック突起13とロック孔23(ロック手段)とが設けられている。ここでは、ロック突起13が第1ハウジング10の上下の板面に突設され、ロック孔23が第2ハウジング20A、20Bに貫通して設けられている。ロック突起13とロック孔23の組は、1枚の第2ハウジング20A、20Bについて、安定してロックできるようにそれぞれ2組ずつ、第1ハウジング10の板面上の端子配列領域11A、11Bを挟む位置に配置されている。なお、第1ハウジング10の上側の板面上の端子配列領域11Aは、ロックアーム18の両側に分けて設けられており、下側の板面の端子配列領域11Bは、第1ハウジング10の左右方向のほぼ全域にわたって設けられている。
【0020】
一方、電線70の先端に取り付けられた第1端子(第1コネクタ端子)60は、図6(a)に示すように、前半部に断面長方形の圧着部(電線接続部)61を有し、後半部に、電線70の被覆のついた部分に加締められた円筒状の被覆加締部62を有している。圧着部61は、図5に示すように、フラットな底板61cの上に電線70の導体71を載せ、その状態で底板61cの両側縁から立ち上がる一対の圧着片61d、61dを内側に曲げることで、導体71を包み込むように圧着した部分であり、圧着部61の上面61aには圧着片61dの合わせ部による凹凸があるが、底板61cの下面61bは凹凸のない平滑面となっている。この下面61bは、電線接続部の外側面の摺動接触面に相当する部分であり、組み立て状態においてコネクタ嵌合方向に平行な面となる。また、被覆加締部62は、圧着部61より幅は小さいが、高さ(直径)が大きく形成されており、端子60の正面から見ると、圧着部61の上面61a及び下面61bよりも上下に出っ張っている。
【0021】
また、図1に示すように、第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bの重ね合わせ面には、各電線70の先端に取り付けられた複数の第1端子60及び電線70の先端付近を収容するべく、端子60ごとにキャビティ12、22が形成されている。これらキャビティ12、22は、第1ハウジング10の板面上の各端子配列領域11A、11Bとそれに対応する第2ハウジング20A、20B上の領域にそれぞれ設けられており、第1ハウジング10及び第2ハウジング20A、20Bの左右方向に一定の間隔で配列されている。
【0022】
各キャビティ12、22は、第1ハウジング10及び第2ハウジング20A、20Bの前部に第1端子60を収容する収容部を配し、後部に第1端子60から後方へ延びる電線70を収容する収容溝をそれぞれ配した形状に形成されており、ヒンジ29の付いている側と反対側(後方)に向かって電線70が延びるように設定されている。
【0023】
この場合、図3に示すように、第1ハウジング10側のキャビティ12は、電線70と第1端子60の被覆加締部62の断面の略半分を収容する凹部として形成されている。また、第2ハウジング20A、20B側のキャビティ22は、第1端子60の圧着部61の断面全部と、被覆加締部62及び電線70の断面の略半分を収容する凹部として形成されている。従って、第1端子60を収容する収容部は、主に第2ハウジング20A、20B側のキャビティ22によって確保され、電線70を収容する収容溝は、第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bの各キャビティ12、22に振り分けて確保されている。
【0024】
特に、図4に示すように、第2ハウジング20A(20Bも同様)のキャビティ22の前側の部分(第1端子60の収容部に相当する部分)のうちの更に前半部分は、第1端子60の圧着部61を丸ごと収容することのできる端子前半部収容部22aとして形成されており、その端子前半部収容部22aの周縁には、該端子前半部収容部22aに第1端子60の圧着部61を嵌め込んだ際に、その脱落を止める爪27が形成されている。なお、これらの爪27は、後述するガイド溝25の両側縁に設けた型抜き溝26(図2、図5参照)を利用して成形されている。
【0025】
また、図3、図4に示すように、第1ハウジング10及び第2ハウジング20A、20Bのキャビティ12、22のうち、第1端子60の被覆加締部62を収容する部分の前後には、第1端子60と係合することで第1端子60の前後方向の移動を阻止する係止壁(係止部)12a、24が設けられている。
【0026】
また、図2、図7、図8に示すように、各第2ハウジング20A、20Bの前部外面には、オスコネクタ1とメスコネクタ100を嵌合する前後方向(コネクタ嵌合方向)に沿ったガイド溝25が設けられている。これらのガイド溝25の内部には、メスコネクタ100側の第2端子160のバネ部161が乗り越える誘導壁28が設けられている。
【0027】
このような構造のオスコネクタ1を組み立てる場合は、まず、図1に示すように、各第2ハウジング20A、20Bの各キャビティ22に、電線70の先端に取り付けた第1端子60と電線70の先端付近をそれぞれ挿入する。その際、図4に示すように、各第1端子60の圧着部61を、キャビティ22の端子前半部収容部22aに丸ごと嵌め込むことにより、爪27の働きにより、第1端子60を第2ハウジング20A、20Bに仮固定しておくことができる。その仮固定の状態にしたとき、第1端子60の被覆加締部62の断面の略半分は、端子前半部収容部22aの後側に連続する空間に嵌まり、被覆加締部62の後端がキャビティ22の係止壁24に当たることで、第1端子60が後方へ抜けないように位置決め固定される。また、第1端子60の後側に延びる電線70の断面の略半分は、キャビティ22の後半部の半円状の収容溝に嵌まった状態となる。
【0028】
次にその状態で、各第2ハウジング20A、20Bを電線70及び端子60ごと、ヒンジ29を支点にして第2ハウジング20A、20Bを回動させることにより、第1ハウジング10の上側の板面と下側の板面に重ね合わせる。そうすると、ロック突起13がロック孔23に係合することで、第2ハウジング20A、20Bと第1ハウジング10がロックされる。また、電線70及び第1端子60の被覆加締部62の断面の残りの略半分が、第1ハウジング10側のキャビティ12に収まり、被覆加締部62の前端が係止壁12aに係合することで、前方へ移動しないように位置決めされる。これにより、オスコネクタ1の組み立てが完成する。
【0029】
以上のように、このオスコネクタ1では、オスコネクタハウジング1Aを、ヒンジ29で連結された第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bとで構成し、両ハウジング10、20A、20Bの板面を重ね合わせることで、重ね合わせ面に設けたキャビティ12、22に第1端子60や電線70の先端部を収容するようにしているので、第1端子60を固定しておくランスが不要であり、オスコネクタ1の薄型化と小型化を図ることができる。
【0030】
また、第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bを連結するヒンジ29と反対側に電線70が延びるようにしているので、電線70の先端に取り付けた第1端子60をキャビティ22に収容し、第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bをヒンジ29を支点にして閉じる方向に回動させて重ね合わせるだけで、電線70が邪魔になることなく、オスコネクタ1を容易に組み立てることができる。また、ヒンジ29が前端にあることで、ヒンジ29によってオスコネクタハウジング1Aの前端の隙間(第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bの重ね合わせ面の隙間)を塞ぐことができるので、異物がキャビティ12、22内に侵入するのを極力防ぐことができる。
【0031】
また、第1ハウジング10に対する第2ハウジング20A、20B側の重ね合わせ面だけに、第1端子の圧着部(前半部)61を丸ごと収容する端子前半部収容部22aを設けておき、その端子前半部収容部22aの周縁に爪27を設けて、収容した第1端子60の脱落止めをするようにしているので、いったん収容した第1端子60が外れる心配がなく、容易に第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bを重ね合わせてオスコネクタ1を組み立てることができる。
【0032】
また、第1ハウジング10の上側の板面に重ね合わせる第2ハウジング20Aを2枚に分割し、第1ハウジング10の板面上のその分割スペースにメスコネクタ100と固定するためのロックアーム18を配置しているので、第2ハウジング20Aの外面にロックアームを設けるのと比べて、オスコネクタ1全体の薄型化が可能となる。
【0033】
次に、図7及び図8を参照して、オスコネクタ1とセットで用いられるメスコネクタ100について説明する。
【0034】
このメスコネクタ100は、回路基板200上に直付けされるタイプのもので、前方に開放した開口112を有する合成樹脂成形品よりなるメスコネクタハウジング110と、該メスコネクタハウジング110に装着された複数の線バネ状の第2端子(第2コネクタ端子)160とから構成されている。
【0035】
メスコネクタハウジング110の開口112の内側面のうち天井壁と底壁には、前後方向に沿った溝114が設けられており、各溝114に第2端子160の前半部が収容されている。第2端子160は、長さ方向の中間部がメスコネクタハウジング110の後壁(開口112の奥壁)に埋設されることでメスコネクタハウジング110と一体化されており、長さ方向の後半部が後足部165として、メスコネクタハウジング110の外部にL字形に屈曲した形で引き出されている。そして、各第2端子160の後足部165の先端を回路基板200のランド201等に半田付けすることで、メスコネクタ100が回路基板200上に実装されるようになっている。
【0036】
各第2端子160は、オスコネクタ1の第1端子60に電気接続されるものであり、メスコネクタハウジング110の開口112内に収容された前半部の先端に、への字状に曲がったバネ部161を有すると共に、その更に先端に、メスコネクタハウジング110の天井壁と底壁にそれぞれ当接する当接部162を有している。バネ部161は、メスコネクタハウジング110の天井壁及び底壁に垂直な面内で該天井壁及び底壁から離れる方向にへの字状に凸に曲がっており、そのバネ部161の先端側の当接部162がメスコネクタハウジング110の天井壁及び底壁にそれぞれ当接し、バネ部161の基端側(第2端子160の長さ方向の中間部)が、メスコネクタハウジング110の後壁(奥壁112a)に埋め込まれていることで、両端支持バネとして強力なバネ性を発揮できるようになっている。
【0037】
この場合のバネ部161のバネ力の発揮方向は、メスコネクタハウジング110の天井壁及び底壁に垂直な方向であり、天井壁側の第2端子160のバネ部161は、天井壁に向かって押し付けられたとき、それと反対方向(天井壁から離れる方向)にバネ力を発揮する。また、底壁側の第2端子160のバネ部161は、底壁に向かって押し付けられたとき、それと反対方向(底壁から離れる方向)にバネ力を発揮するようになっている。
【0038】
これら第2端子160の前半部(バネ部161や当接部162を含む部分)は、オスコネクタハウジング1Aとメスコネクタハウジング110を嵌合させた際に、オスコネクタ1の第2ハウジング20A、20Bに設けたガイド溝25に沿って挿入されることで、オスコネクタハウジング1Aの内部の第1端子60と弾性接触し、特にバネ部161が、オスコネクタハウジング1Aとメスコネクタハウジング110の嵌合に伴い第1端子60の平滑な下面(摺動接触面)61aに摺動接触することで、第1端子60と第2端子160がそれぞれ電気的に接続される。
【0039】
また、オスコネクタハウジング1Aを構成する第1ハウジング10と第2ハウジング20A、20Bの前端縁に位置する半筒状の薄肉壁よりなるヒンジ29は、次のような機能を果たすことができるように形成されている。即ち、ヒンジ29は、図8に示すように、オスコネクタハウジング1Aとメスコネクタハウジング110が嵌合して、ロックアーム18のロック部19がメスコネクタハウジング110のロック部119に係合したときに、メスコネクタハウジング110の開口112内の奥壁112aに押圧し、それにより発生する図8中矢印C方向(コネクタ嵌合方向と反対方向)の弾性反力によって、ロックアーム18のロック部19とメスコネクタ100のロック部119との係合隙間を詰めることができるように形成されている。
【0040】
このオスコネクタ1とメスコネクタ100を嵌合した場合、ヒンジ29の弾力によってオス・メスコネクタのロック部19、119間のガタを吸収することができるので、オスコネクタ1とメスコネクタ100の端子60、160同士の接触部の微摺動摩耗を防止することができる。
【0041】
また、第2端子160のバネ部161を、第1端子60の圧着部61の平滑な下面(摺動接触面)61bに摺動接触させるようにしているので、第1端子60と第2端子160の電気接続を円滑に行うことができる。この場合、線バネ状の第2端子160は、オスコネクタハウジング1Aとメスコネクタハウジング110の嵌合に従ってガイド溝25に挿入されるので、左右に動きづらくなり、動くことで接触不良になるのを防止することができる。また、第2端子160がガイド溝25に収まることにより、隣の端子160間の絶縁性が高まる効果も得られる。
【0042】
また、バネ部161が第1端子60の圧着部61の下面(摺動接触面)61bに摺動接触することで第2端子160が撓んだときに、バネ部161の先端に設けられた当接部162がメスコネクタハウジング110の開口112内の内側壁(天井壁や底壁)に当接することで、第2端子160が両端支持バネとしてバネ力を発生するように構成されているので、第1端子60と第2端子160の間に強い接触圧を生じさせることができ、電気接続の信頼性向上を図ることができる。
【0043】
また、第1端子60は、圧着部61と被覆加締部62だけを持ちボックス部を持たない極めて単純な構造のものであり、また、第2端子160も、線状体にへの字状のバネ部161を形成しただけの極めて単純な構造のものであるから、コネクタの薄型化と小型化を図りながら、コネクタの大幅なコストダウンを図ることができる。
【0044】
なお、上記実施形態では、オスコネクタ1に装着する第1端子として、図6(a)に示す圧着端子60を例に挙げたが、図6(b)に示すように圧接端子65を第1端子として使用してもよい。
【0045】
この圧接端子65は、平坦な底壁66aと、該底壁66aの幅方向両側縁から起立する一対の側壁66b、66bを有した断面コ字状の端子本体(電線接続部)66の該一対の側壁66b、66bに前後2箇所の切り込み69を入れ、側壁66bの一部を内側に曲げて、曲がり片の先端縁同士を適当な隙間を持って対向させ、その対向する先端縁を圧接刃67、68としたものである。この圧接端子65では、断面コ字状の端子本体66の内側に、上方から電線70を圧入する。そうすると、前後の圧接刃67、68が被覆を切り破って、電線70の内部の導体(図示略)と接触し、それにより電線70と端子65が電気的且つ機械的に接続する。この圧接端子65においては、端子本体66の底壁66aの下面が、第2端子160のバネ部161が摺動接触する摺動接触面となる。
【0046】
また、上記実施形態では、ロック突起13を第1ハウジング10側に設け、ロック孔23を第2ハウジング20A、20B側に設けた場合を示したが、その逆に、第1ハウジング10側にロック孔を設け、第2ハウジング20A、20B側にロック突起を設けてもよいし、他のタイプのロック手段を設けてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、第1ハウジング10の上側と下側の両方に第2ハウジング20A、20Bを重ね合わせる場合を示したが、片側だけに第2ハウジングを重ね合わせるようにしてもよい。そのようにした場合は、第1ハウジング10も、第2ハウジングと同様に外側に露出することになるので、第1ハウジング10側に相手側の第2端子160を挿入するガイド溝25を設けてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、第2ハウジング20A、20B側のキャビティ22に、第1端子60の前半部(圧着部)61が丸ごと収容される端子前半部収容部22aを設けたが、第1ハウジング10側に第1端子60の前半部(圧着部)61が丸ごと収容されるようにしてもよい。その場合は、第2ハウジング20A、20Bが単純な蓋の役目をなすようになる。
【符号の説明】
【0049】
1 オスコネクタ
1A オスコネクタハウジング
10 第1ハウジング
12 キャビティ
13 ロック突起(ロック手段)
20A,20B 第2ハウジング
22 キャビティ
23 ロック孔(ロック手段)
29 ヒンジ
60 圧着端子(第1端子)
61 圧着部(電線接続部)
61b 下面(摺動接触面)
65 圧接端子(第1端子)
66 端子本体(電線接続部)
70 電線
100 メスコネクタ
110 メスコネクタハウジング
112 開口
112a 奥壁
160 第2端子
161 バネ部
162 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オスコネクタハウジングに収容された第1コネクタ端子とメスコネクタハウジングに収容された第2コネクタ端子の接続構造において、
前記オスコネクタハウジングの内部に、前記第1コネクタ端子として、電線接続部の外側面に前記オスコネクタハウジングとメスコネクタハウジングの嵌合方向に平行な摺動接触面を有する第1端子が収容されると共に、該オスコネクタハウジングに、前記摺動接触面を外部に臨ませるガイド溝が前記オスコネクタハウジングとメスコネクタハウジングの嵌合方向に沿って形成され、前記メスコネクタハウジングの開口の内部に、前記第2コネクタ端子として、前記オスコネクタハウジングとメスコネクタハウジングの嵌合時に前記ガイド溝に沿って挿入されることで、前記1端子に弾性接触する線バネ状の第2端子が設けられ、該第2端子に、前記オスコネクタハウジングとメスコネクタハウジングの嵌合に伴い前記第1端子の摺動接触面に摺動接触するへの字状のバネ部が設けられていることを特徴とするコネクタ端子の接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ端子の接続構造であって、
前記第2端子は、基端が前記メスコネクタハウジングの開口の奥壁に固定され、先端が自由端として前方に延ばされ、該先端に前記への字状のバネ部が形成された線バネ状端子として設けられ、かつ、前記バネ部が前記第1端子の摺動接触面に摺動接触することで前記第2端子が撓んだときに、前記バネ部の先端に設けられた当接部が前記メスコネクタハウジングの開口内の内側壁に当接することで、前記第2端子が両端支持バネとしてバネ力を発生するように構成されていることを特徴とするコネクタ端子の接続構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコネクタ端子の接続構造であって、
前記オスコネクタハウジングが、矩形板状の第1ハウジングと該第1ハウジングの板面に重ね合わせられる矩形板状の第2ハウジングとで構成されると共に、前記第1ハウジングと第2ハウジングがヒンジを介して回動可能に一体に連結され、更に前記第1ハウジングと第2ハウジングの少なくとも一方に前記第1ハウジングと第2ハウジングを重ね合わせた状態でロックするロック手段が一体に設けられると共に、前記第1ハウジングと第2ハウジングの重ね合わせ面に、前記第1端子及び該第1端子から延びる電線の先端付近を収容するキャビティが形成されていることを特徴とするコネクタ端子の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−154947(P2011−154947A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16687(P2010−16687)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】