説明

コネクタ装置及びコネクタの逆接続検知方法

【課題】コネクタの逆接続を検知すること。
【解決手段】複数の第1の接続部を有し、いずれか1つの第1の接続部と少なくとも1つの他の第1の接続部とが結線され、第1の接続部群が形成される第1のコネクタ10と、第1のコネクタ10の各第1の接続部にそれぞれ対応する第2の接続部を有する第2のコネクタ20とを備え、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが逆接続され、かつ、結線に電力が供給された場合に、第1の接続部群を介して、第2の接続部群を構成しない他の第2の接続部に電力が供給されるコネクタ装置1であって、第2の接続部群の接続部及び第2の接続部群を構成しない第2の接続部のグランドとの接続切替を制御する制御部と、制御部からのスイッチング素子Qa、Qb´の切り替えによって得られる電圧の結果に基づいて、第1のコネクタ10及び第2のコネクタ20の逆接続を検知する逆接続検知部3とを具備するコネクタ装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの逆接続状態を検知するコネクタ装置及びコネクタ逆接続検知方法である。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、空気調和機における冷媒流量の調整は、ステッピングモータにより電子膨張弁(以下、EEVと省略する。EEV;Electronic Expansion Value)を駆動させることにより行っている。仮に、EEVが動作不良に陥った場合は、空気調和機は不冷不暖となり、顧客からのクレームとなる可能性が高い。そのため、EEVの動作不良を把握するために、空気調和機のEEV配線接続部には、腐食等による断線を検知する装置を設けており、これによりEEVの配線の異常を検知している。例えば、特開平8−96894号公報には、電気回路のコネクタの抜けを検知する技術について開示されている。
【特許文献1】特開平8−96894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の電気回路のコネクタ抜け検知装置では、量産ユニットにおいてEEVの基板側のコネクタを、基板に対し正規の向きと逆向きに付けてしまう誤実装が発生した場合に、この逆付け状態を異常として検知できないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、コネクタの逆接続を検知できるコネクタ装置及びコネクタの逆接続検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、複数の第1の接続部を有し、いずれか1つの第1の接続部と少なくとも1つの他の第1の接続部とが結線されることで第1の接続部群が形成される第1のコネクタと、第1のコネクタの各前記第1の接続部にそれぞれ対応する第2の接続部を有する第2のコネクタとを備え、該第1のコネクタと該第2のコネクタとが正常に接続され、かつ、該結線に電力が供給された場合に、該第1の接続部群を構成する第1の接続部に対応する第2の接続部で構成される第2の接続部群に該電力が供給され、また、第1のコネクタと第2のコネクタとが逆接続され、かつ、該結線に電力が供給された場合に、該第1の接続部群を介して、前記第2の接続部群を構成しない他の第2の接続部に電力が供給されるコネクタ装置であって、前記第2の接続部群を構成する前記第2の接続部のうち、少なくとも1つの第2の接続部とグランドとの接続を切り替える第1の切替手段と、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが接続され、かつ、該結線に電力が供給されている状態において、該第1の切替手段を作動させ、該第2の接続部とグランドとを接続する第1の制御手段と、前記第2の接続部群を構成しない第2の接続部のうち、少なくとも1つの第2の接続部とグランドとの接続を切り替える第2の切替手段と、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが接続され、かつ、該結線に電力が供給されている状態において、該第2の切替手段を作動させ、該第2の接続部とグランドとを周期的に接続及び開放する第2の制御手段と、前記第2の接続部からの出力に基づいて、第1のコネクタ及び第2のコネクタの逆接続を検知する逆接続検知手段とを具備するコネクタ装置を提供する。
【0006】
このような構成によれば、第1のコネクタで結線がされている接続部と対応する第2のコネクタの接続部をそれぞれ接続し、第2の接続部に接続されている制御手段を制御することによって、第1の接続部を介して第2の接続部に供給する電力を制御する。第1のコネクタと第2のコネクタとが、正しく接続されている場合には、第2のコネクタの接続部群と第1のコネクタの接続部群の結線とが合致するため、第2のコネクタ上の接続部群の制御は、第2のコネクタの接続部群以外の第2の接続部には影響を与えない。これにより、第2の接続部群の1つの第1の切替手段をグランドに接続した場合であっても、第2の接続部群を構成しない第2の接続部は、第1の切替手段による切り替えによらず、第2の切替手段を制御した結果の出力を得ることができる。このように、逆接続検知手段は、第2の接続部からの出力に基づいて、第1のコネクタ及び第2のコネクタの逆接続を検知することができる。また、第2の接続部から得られる出力とは、例えば電圧のパルスであり、このパルスを逆接続検知手段に入力することにより、コネクタの接続が逆接続か否かを判定する。
【0007】
本発明は、複数の第1の接続部を有し、いずれか1つの第1の接続部と少なくとも1つの他の第1の接続部とが結線されることで第1の接続部群が形成される第1のコネクタと、第1のコネクタの各前記第1の接続部にそれぞれ対応する第2の接続部を有する第2のコネクタとを備え、該第1のコネクタと該第2のコネクタとが正常に接続され、かつ、該結線に電力が供給された場合に、該第1の接続部群を構成する第1の接続部に対応する第2の接続部で構成される第2の接続部群に該電力が供給され、また、第1のコネクタと第2のコネクタとが逆接続され、かつ、該結線に電力が供給された場合に、該第1の接続部群を介して、前記第2の接続部群を構成しない他の第2の接続部に電力が供給されるコネクタ装置に適用されるコネクタの逆接続検知方法であって、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが接続され、かつ、該結線に電力が供給されている状態において、第2の接続部群を構成する前記第2の接続部のうち、少なくとも1つの第2の接続部をグランドと接続させ、かつ、前記第2の接続部群を構成しない第2の接続部のうち、少なくとも1つの第2の接続部とグランドとを周期的に接続及び開放させて、このときの出力に応じて第1のコネクタ及び第2のコネクタの逆接続状態を検知するコネクタの逆接続検知方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コネクタの逆接続状態を検知することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明に係るコネクタ装置を空気調和機のEEVのステッピングモータの駆動制御用コネクタに適用する場合の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
〔第1の実施形態〕
図1は、本実施形態に係るコネクタ装置1の概略構成を示した図である。
コネクタ装置1は、第1のコネクタ10、第2のコネクタ20、切替部(切替手段)2、逆接続検知部(逆接続検知手段)3、CPU6、電力供給部7、を備えている。第1のコネクタ10側にはEEVステッピングモータが接続されている。また、第2のコネクタ20側には、切替部2、CPU6、電力供給部7等が設けられた基板が接続されている。
第1のコネクタ10が第2のコネクタ20に正常に接続されることにより、第2のコネクタ20側に設けられた電力供給部7から第1のコネクタ10を介してEEVステッピングモータに電力が供給され、EEVステッピングモータは駆動可能な状態とされる。
【0011】
第1のコネクタ10は複数の第1の接続部を有し、いずれか1つの第1の接続部と少なくとも1つの他の第1の接続部とが結線され、第1の接続部群が形成されている。
第2のコネクタ20は、第1のコネクタ10の各第1の接続部にそれぞれ対応する第2の接続部を備えており、第1の接続部群に対応する接続部群を第2の接続部群とする。
【0012】
具体的には、第1のコネクタ10及び第2のコネクタ20は、対となる6個の接続部をそれぞれ備えている。この6つの接続部のうち、2つは電力供給用の接続部として用いられ、4つの接続部は、ステッピングモータの駆動用に使用されるとともに、後述するコネクタの逆接続検知用に用いられる。
第1のコネクタ10において、電力供給以外に用いられる4つの端子は、1つおきに互いに結線されている。具体的には、接続部AとA´とが接続され、接続部BとB´とが接続されることで、2つの接続部群が形成されている。接続部AとA´とからなる接続部群は、電力供給用の接続部Dに接続されており、接続部BとB´とからなる接続部群は、電力供給用の接続部Cに接続されている。また、第2のコネクタ20において、第1のコネクタ10の各接続部に対応する接続部(以下「第2の接続部」という。)には、それぞれ第1の接続部と同じ符号が付されている。つまり、第1の接続部A、B、A´、B´、C、Dと対応する第2の接続部は、それぞれ第2の接続部A、B、A´、B´、C、Dである。
【0013】
第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが正常に接続され、かつ、第1のコネクタの結線に電力が供給された場合に、第1の接続部群を構成する第1の接続部A、A´(B、B´)に対応する第2の接続部で構成される第2の接続部群A、A´(B、B´)に電力が供給されるようになっている。
また、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが逆接続され、かつ、結線に電力が供給された場合に、該第1の接続部群A、A´(B、B´)を介して、前記第2の接続部群を構成しない他の第2の接続部B、B´(A、A´)に電力が供給されるようになっている。
【0014】
ステッピングモータ5は、1−2相励磁方式の4相ステッピングモータであり、4個のコイルφ1〜4を備えている。ステッピングモータ5の第1のコネクタには接続部が6個備えられており、この6個の接続部のうち、接続部A、B、A´、B´には、それぞれコイルφ1〜4が接続されている。
【0015】
切替部2は、第2の接続部A、A´、B、B´にそれぞれ対応する複数のスイッチング素子Qa、Qa´、Qb、Qb´を備える。各スイッチング素子Qa、Qa´、Qb、Qb´は、グランドと接続可能とされており、オン状態とされることで対応する第2の接続部とグランドとを接続し、オフ状態とされることで、第2の接続部を開放状態とする。
また、それぞれのスイッチング素子Qa、Qa´、Qb、Qb´と、第2のコネクタにおける各接続部A、B、A´、B´とが接続されている電線上の電圧はそれぞれVa、Va´、Vb、Vb´として示す。
【0016】
電力供給部7は、例えば、αボルトの電源である。
【0017】
逆接続検知部(逆接続検知手段)3は、第2の接続部の出力に基づいて、第1のコネクタ10及び第2のコネクタ20の逆接続を検知する。例えば、逆接続検知部3には、公知のステッピングモータの電線の断線を検知する断線検知回路が用いられる。切替部2の切り替えに基づいて、第1のコネクタ10を介して第2の接続部の電圧を制御し、この時に得られる電圧のパルスを監視し、このパルスに基づいて逆接続検知部3からCPUのポートP5に出力される電圧に、パルスが検出されれば、第1のコネクタ10及び第2のコネクタ20の接続が正常であると判断し、一方、パルスが検出されない場合には、第1のコネクタ10及び第2のコネクタ20の接続が逆接続であると判断する。
【0018】
具体的には、逆接続検知部3において、第2のコネクタ20の接続部Aとスイッチング素子Qaとの電圧Vaが入力される電線は、直列に接続されたコンデンサC1とダイオードD1が接続されている。また、コンデンサC1の出力側には並列に抵抗R1が接続されており、R1の出力側はグランドに接続されている。ダイオードD1の出力側は、抵抗R5が接続されている。同様に、第2のコネクタ20の接続部B´とスイッチング素子Qb´との電圧Vb´が入力される電線には、直列に接続されたコンデンサC4とダイオードD4が接続されている。また、コンデンサC4の出力側には並列に抵抗R4が接続されており、R4の出力側はグランドに接続されている。抵抗R5の入力側において、ダイオードD4の出力側と上述のダイオードD1の出力側とが並列に接続されている。
【0019】
抵抗R5の出力側は、トランジスタQ1のベース部と接続されるとともに、トランジスタQ1のエミッタ側との間に抵抗R6が接続され、グランドに接続されている。また、トランジスタQ1のコレクタ側は、βボルトの電圧がかけられており、抵抗R7を介してトランジスタQ1と接続されている。トランジスタQ1のコレクタ側は、CPU6のポートP5と接続され、このポートP5にて、トランジスタQ1のコレクタ側の電圧が検知される。
【0020】
図1は、第1のコネクタ10及び第2のコネクタ20を正しい向きで接続した場合の図である。図2は、コネクタを図1で示すように接続し、第1のコネクタ10及び第2のコネクタ20の接続状態を見るために、第1のスイッチング素子Qa及び第2のスイッチング素子Qb´を切り替えた場合の、各部における電圧変化を示した図である。
【0021】
図2(a)は、第1のスイッチング素子Qaをオフからオンに変化させたことを示しており、図2(b)は、スイッチング素子Qaがオフからオンに変化すると、電圧Vaがグランドに接続されることとなるため、Vaは0ボルトとなっている。図2(c)は、第2のスイッチング素子Qb´をオフとオンの状態を繰り返した場合を示しており、Vb´は第1の結線に対応している回路から電力が供給されていることから、電圧Vb´の波形は図2(d)に示すように、スイッチング素子Qb´がオフからオン状態になるとグランドに接続され、電圧Vb´はαボルトから0ボルトとなる。スイッチング素子Qb´がオンからオフ状態になると、グランド接続から開放され、電圧Vb´は0ボルトからαボルトに変化する。このように、第2の接続部群と第2の接続部群を構成しない第2の接続部とは接続されていないため、スイッチング素子Qaの制御に関わらずスイッチング素子Qb´の制御に応じて、Vb´の電圧が変化する。また、本実施形態においては、CPU6のポートP2及びP3から制御信号は送信せず、スイッチング素子Qa´及びQbはオフ状態としておく。
【0022】
続いて、図2(d)のようにαボルトと0ボルトとを描くパルスの通りに、Vb´の電圧がかけられると、コンデンサC4の出力側の電圧Vb2´には、図2(e)に示すように微分パルス波形が発生する。さらに、この電圧Vb2´は、ダイオードD4を介すと正の成分だけが検出されることとなるため、電圧Vb2´は、図2(f)のようになる。トランジスタQ1のベース側に、図2(f)に示す正の電圧のパルスが入力されると、CPU6のポートP5には、図2(g)に示すような電圧のパルスが検出される。
【0023】
このように、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが正しく接続されている場合には、第2の接続部群の電圧を0ボルトとした場合であっても、第2の接続部群を構成しない第2の接続部の電圧を変化させることが可能であり、この電圧のパルスを逆接続検知部3に入力すると、CPU6のポートP5には、電圧のパルスが現れる。
【0024】
図3は、第1のコネクタ及び第2のコネクタを正しい向きと逆向きで接続した場合の図である。図4は、コネクタを図3で示すように接続し、第1のスイッチング素子Qa及び第2のスイッチング素子Qb´を切り替えた場合の電圧変化を示した図である。
【0025】
図3に示すように、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが逆接続され、かつ、結線に電力が供給された場合に、第1の接続部群を介して、第2の接続部群を構成しない他の第2の接続部に電力が供給されている。
【0026】
図4(a)は、第1のスイッチング素子Qaをオフからオンに変化させたことを示しており、図4(b)に示すように、電圧Vaは、スイッチング素子Qaがオフからオンに変化すると、グランドに接続されることとなり、電圧Vaは0ボルトとなっている。
図4(c)は、第2のスイッチング素子Qb´をオフとオンの状態を繰り返した場合を示しており、このときの電圧Vb´を図4(d)で示す。ここで、図3では第1の接続部群は第2の接続部群を構成しない第2の接続部と接続されており、第2のコネクタの接続部B´は、第1のコネクタのA´と接続され、第1のコネクタの接続部A´の電力供給用であった第1のコネクタの接続部Dとも接続されている。図3において第1のコネクタの接続部Dは、第2のコネクタの接続部Aと接続されているため、電圧Vaと電圧Vb´は等しくなる。このように、図3に示すような逆接続をした場合には、図4(d)に示すようにスイッチング素子Qb´のオン・オフ接続によらず、スイッチング素子Qaをオン状態にすると電圧Vb´は、0ボルトとなる。
【0027】
続いて、Vb´が上述のように0ボルトであるため、図4(e)に示すように、逆接続検知部3におけるコンデンサの出力での電圧も0ボルトのままとなり、図4(f)の電圧も0ボルトとなる。その結果、逆接続検知部3のトランジスタQ1のコレクタ側の電圧であるCPUポートP5に入力される電圧は、図4(g)に示すようにβボルトのままで、電圧のパルスは検出されない。
【0028】
このように、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが逆接続されている場合には、第2の接続部群と、第2の接続部群を構成しない第2の接続部が接続されてしまい、第2の接続部群の電圧を0ボルトとした場合に、第2の接続部群を構成しない第2の接続部の電圧も0ボルトとなってしまい、結果として、CPU6のポートP5には電圧のパルスが現れない。
【0029】
図3を用いて、本実施形態の作用について説明する。
第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが逆接続されると、第2のコネクタ20に接続されているαボルトの電圧は、第1のコネクタを介して、第1の接続部群である第1の接続部Aにαボルトの電圧が供給されるとともに、第1の接続部群に結線されている第1の接続部群の他の接続部にも同様にαボルトの電圧が供給される。そうすると、第1のコネクタ10を介して、第2のコネクタに接続されている第2の接続部B´及び第2のコネクタ20の接続部Aにαボルトの電圧が供給される。
【0030】
次に、CPU6の第1の制御部による制御信号がポートP4から出力され、第1のスイッチング素子Qaがオフからオンに切り替えられ、第2の接続部群である第2の接続部Aがグランドに接続され、第2の接続部Aと第1のスイッチング素子Qa間の電圧Vaは0ボルトとされる。一方、CPU6の第2の制御部による制御信号がポートP1から出力され、第2のスイッチング素子Qb´がオフからオン及びオンからオフにと周期的な切り替えが行われる。
【0031】
第2のスイッチング素子Qb´がオフからオンになった場合、第2の接続部B´はグランドと接続されるため、Vb´の電圧は0ボルトとされる。また、第2のスイッチング素子Qb´がオンからオフになった場合、グランドとの接続は解放される。このとき、第2の接続部B´は、第1のコネクタの第1の接続部群である第1の接続部A´と接続されている。第1の接続部A´は、電力供給用であった第1の接続部Dと接続されているため、第2のコネクタの第2の接続部Aとも接続されていることとなる。その結果、Vb´は、Vaの電圧0ボルトと等しくなる。即ち、第1のコネクタと第2のコネクタの接続が逆接続であり、第2の接続部群と、第2の接続部群を構成しない第2の接続部が接続されてしまう場合には、スイッチング素子Qb´を周期的にオフとオンを繰り返しても、Vb´はずっと0ボルトのままとなる。
【0032】
Vb´の電圧が0ボルトである場合は、逆接続検知部3のコンデンサC4の出力側の電圧も変化せず、微分パルスは発生しないため、ダイオードD4の出力側の電圧Vdにも、変化がない。この結果、CPU6のポートP5に入力される電圧は、トランジスタQ1に入力されているβボルトのまま変化せず電圧のパルスが発生しないことから、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20の接続は逆接続であると検知される。
【0033】
以上説明してきたように、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが接続された場合に、電力が供給され、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが正しく接続されている場合には、第2の接続部群にかかる電圧と第2の接続部群を構成しない第2の接続部にかかる電圧は異なるため、第2の接続部群にかかる電圧を0ボルトにしても、CPU6のポートP5には電圧のパルスが現れる。一方、逆接続をした場合には、第2の接続部群を構成する第2の接続部(例えば、A、A´)にかかる電圧と第2の接続部群を構成しない第2の接続部(例えば、B、B´)にかかる電圧が同じとなってしまうため、第2の接続部群の電圧を0ボルトにすると第2の接続部群を構成しない第2の接続部の電圧も0ボルトとなり、結果としてCPU6は、電圧のパルスを得ることはできない。これにより、第2の接続部群にかかる電圧と第2の接続部群を構成しない第2の接続部の電圧を制御し、逆接続検知部において電圧のパルスが出現するか否かにより、コネクタの接続が正しいか否かを判断することが可能となる。このように、コネクタ装置の逆接続を検知することによって、空気調和機の設計ミスや製造ミスをすみやかに発見できる。また、ステッピングモータの断線検知を行う場合にも使用される断線検知回路を流用するため、工場における検査工程の工数も削減することが可能となる。
【0034】
なお、本実施形態に係るステッピングモータは、1−2相励磁方式の4相ステッピングモータを使用したが、これに限られない。例えば、2相励磁方式のステッピングモータを用いることとしてもよい。
【0035】
また、本実施形態においては、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20の逆接続を検知するために、CPU6のポートP1及びP4から切替部2を制御するための制御信号を出力していたが、これに限られない。第2の接続部群が接続される第2の接続部と、第2の接続部群以外の第2の接続部との切り替えを行えば良いため、例えば、ポートP1とP2を用いることとしてもよいし、ポートP2とP3を用いることとしてもよい。
【0036】
また、本実施形態においては、第1のコネクタが基板に対して正規の向きと逆向きに接続された場合に、これをコネクタの逆付け状態として逆接続検知することとしていたが、これに限られない。例えば、基板に対する第1のコネクタの向きは正常であり、第2のコネクタが差し込まれる向きも正常であるが、第2のコネクタが接続されている内部のステッピングモータの回路が逆向きで接続されている場合に逆接続を検知することとしてもよい。
【0037】
また、本実施形態においては、このコネクタ逆接続の検知を、工場の検査段階において行うものとしていたが、これに限られない。例えば、基板に第2のコネクタを設置後に、第1のコネクタを接続し、運転チェックモードとして運転開始前の段階において行うこととしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態に係るコネクタ装置の概略構成を示した図である。
【図2】第1のコネクタ及び第2のコネクタを正規の向きで接続した場合を示した図である。
【図3】本実施形態に係るコネクタ装置の第1のコネクタを正規の向きと逆向きに接続した場合の概略構成を示した図である。
【図4】第1のコネクタ及び第2のコネクタを正規の向きと逆向きで接続した場合を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
1 コネクタ装置
2 切替部
3 逆接続検知部
5 ステッピングモータ
7 電力供給部
10 第1のコネクタ
20 第2のコネクタ
Qa、Qa´、Qb、Qb´ スイッチング素子
Q1 トランジスタ
C1〜C4 コンデンサ
R1〜R7 抵抗
D1〜D4 ダイオード
P1〜P5 CPUのポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の接続部を有し、いずれか1つの第1の接続部と少なくとも1つの他の第1の接続部とが結線されることで第1の接続部群が形成される第1のコネクタと、
第1のコネクタの各前記第1の接続部にそれぞれ対応する第2の接続部を有する第2のコネクタとを備え、
該第1のコネクタと該第2のコネクタとが正常に接続され、かつ、該結線に電力が供給された場合に、該第1の接続部群を構成する第1の接続部に対応する第2の接続部で構成される第2の接続部群に該電力が供給され、また、第1のコネクタと第2のコネクタとが逆接続され、かつ、該結線に電力が供給された場合に、該第1の接続部群を介して、前記第2の接続部群を構成しない他の第2の接続部に電力が供給されるコネクタ装置であって、
前記第2の接続部群を構成する前記第2の接続部のうち、少なくとも1つの第2の接続部とグランドとの接続を切り替える第1の切替手段と、
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが接続され、かつ、該結線に電力が供給されている状態において、該第1の切替手段を作動させ、該第2の接続部とグランドとを接続する第1の制御手段と、
前記第2の接続部群を構成しない第2の接続部のうち、少なくとも1つの第2の接続部とグランドとの接続を切り替える第2の切替手段と、
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが接続され、かつ、該結線に電力が供給されている状態において、該第2の切替手段を作動させ、該第2の接続部とグランドとを周期的に接続及び開放する第2の制御手段と、
前記第2の接続部からの出力に基づいて、第1のコネクタ及び第2のコネクタの逆接続を検知する逆接続検知手段と
を具備するコネクタ装置。
【請求項2】
複数の第1の接続部を有し、いずれか1つの第1の接続部と少なくとも1つの他の第1の接続部とが結線されることで第1の接続部群が形成される第1のコネクタと、第1のコネクタの各前記第1の接続部にそれぞれ対応する第2の接続部を有する第2のコネクタとを備え、該第1のコネクタと該第2のコネクタとが正常に接続され、かつ、該結線に電力が供給された場合に、該第1の接続部群を構成する第1の接続部に対応する第2の接続部で構成される第2の接続部群に該電力が供給され、また、第1のコネクタと第2のコネクタとが逆接続され、かつ、該結線に電力が供給された場合に、該第1の接続部群を介して、前記第2の接続部群を構成しない他の第2の接続部に電力が供給されるコネクタ装置に適用されるコネクタの逆接続検知方法であって、
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが接続され、かつ、該結線に電力が供給されている状態において、第2の接続部群を構成する前記第2の接続部のうち、少なくとも1つの第2の接続部をグランドと接続させ、かつ、前記第2の接続部群を構成しない第2の接続部のうち、少なくとも1つの第2の接続部とグランドとを周期的に接続及び開放させて、このときの出力に応じて第1のコネクタ及び第2のコネクタの逆接続状態を検知するコネクタの逆接続検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−55934(P2010−55934A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219650(P2008−219650)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】