説明

コネクタ装置

【課題】ハウジングに配線板状部材が差し込まれるコネクタ装置であって、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を、その係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができ、かつ、製造コストの低減を図れるもとで行えるものを提供する。
【解決手段】ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に対する係止と係止の解除とを行う係合部材25を備え、係合部材が、ハウジングに固定される基部27とそれから互いに独立して伸びる第1及び第2の可動アーム状部28,29とを有し、第1の可動アーム状部に,フレキシブル印刷配線基板を係止する係止部35が形成されているとともに、第2の可動アーム状部に、操作部37と、操作部に移動操作が加えられるとき、第1の可動アーム状部を押圧して変位させ、係止部によるフレキシブル印刷配線基板に対する係止を解除する押圧部38とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)やフレキシブル平板状ケーブル(FFC)等の配線板状部材が装着されるもとで、装着された配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続されるコンタクトと、装着された配線板状部材に対する係止及び係止解除を行う係合部材と、を備えたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等の配線板状部材は、各種の電気部品が取り付けられる主配線基板への取付けが、当該主配線基板に電気的接続がなされて固定されるコネクタ装置が用いられて行われることが多いものとされる。このような配線板状部材の主配線基板への取付けにあたって用いられるコネクタ装置は、配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続される導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板状部材に設けられた接触端子部を主配線基板に設けられた配線端子に電気的に接続する。
【0003】
従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置であって第1の類型に属するものは、配線板状部材が差し込まれる差込み部を形成するものとされて主配線基板に配される、例えば、絶縁材料によって形成されたハウジングを有している。そして、そのハウジング内に配列配置されて設けられて主配線基板に設けられた配線端子に連結され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれるとき、その配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトと、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータとを備えている。
【0004】
斯かる従来の第1の類型に属するコネクタ装置に備えられるアクチュエータは、複数のコンタクトの夫々に係合し、回動せしめられるとき複数のコンタクトの夫々における作動部を変位させて、複数のコンタクトに、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続された状態、もしくは、複数の接触端子部との接触接続から解放された状態をとらせるもの、または、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に当接し、回動せしめられるとき、配線板状部材を押圧して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトに夫々接触接続された状態におく、もしくは、配線板状部材に対する押圧を解除して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトとの接触接続から解放された状態におくものとされる。そして、複数のコンタクトと配線板状部材に設けられた複数の接触端子部とが相互接触接続されることにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【0005】
さらに、従来提案されている配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置であって第2の類型に属するものは、上述のようなハウジングを有し、上述のような複数のコンタクトを備えるとともに、外部からの電磁波ノイズに対するシールド効果を得るため、ハウジングを部分的もしくは全体的に覆うものとして配されて主配線基板に設けられた接地端子に連結される導電性シェルを備えているが、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータは備えていない。斯かる従来の第2の類型に属するコネクタ装置にあっては、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、自動的に、ハウジング内に設けられた複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに適正に差し込まれるだけで、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【0006】
このような従来提案されているコネクタ装置にあっては、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータを備えたもの及び斯かるアクチュエータを備えていないもののいずれの場合にも、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、主配線基板に配されたハウジングに差込み部を通じて差し込まれて、ハウジングに配された複数のコンタクトが、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続され、それにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれるにあたり、配線板状部材がハウジングから不所望に抜脱するような事態が回避されなくてはならない。当然のことながら、ハウジングに配された複数のコンタクトがハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続された状態が適正に維持されるためには、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材が、その状態を安定に維持することができ、ハウジングから不所望に抜脱されるような事態をまねかないものとされることが必要とされるのである。
【0007】
そのため、上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトとハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータとを備えた第1の類型に属するコネクタ装置であって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えたものが従来提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトを備え、さらに導電性シェルを備えているが、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータは備えていない第2の類型に属するコネクタ装置であって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する係止手段を備えたものも従来提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。
【0008】
特許文献1に示されるコネクタ装置(フレキシブル基板用コネクタ)にあっては、ハウジング(2) における複数のコンタクト(6) の配列方向の両端側壁(5) に一対の補強金具(20)が夫々取り付けられており、各補強金具には、ハウジングに差込み部(開口部(3))を通じて差し込まれた配線板状部材(フレキシブル基板(30)) に当接して配線板状部材にそれを押し上げる方向の押圧力を作用させる、もしくは、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材における係合部(係合孔又は切欠き部(32)) に係合する状態をとる係止手段(弾性支持片(25)) が形成されている。そして、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータ(加圧部材(12)) が、ハウジングに対して起き上がった位置からハウジングに対して伏した位置へと回動されるとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、アクチュエータによって、補強金具に形成された係止手段とは反対側から当該係止手段に向かって押圧される。
【0009】
それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、アクチュエータと補強金具に形成された係止手段とによって押圧挟持されることにより係止され、もしくは、補強金具に形成された係止手段が配線板状部材における係合部に係合することにより係止される。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【0010】
その後、アクチュエータが、ハウジングに対して伏した位置からハウジングに対して起き上がった位置へと回動されるとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がアクチュエータにより押圧されなくなり、配線板状部材がアクチュエータと補強金具に形成された係止手段とによって押圧挟持された状態、もしくは、補強金具に形成された係止手段が配線板状部材における係合部に係合した状態が解除される。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【0011】
また、特許文献2に示されるコネクタ装置(ロック付きFPC用コネクタ)にあっては、ハウジング(絶縁ハウジング(5))にそれに対してスライド可能に設けられた可動導電性シェル(イジェクトプレート(8))が備えられている。この可動導電性シェルは、ハウジングとの間に配されたコイルスプリング等の弾性部材(7) によって、ハウジングに対する配線板状部材 (FPC基板(2))の差込み方向とは逆の方向に付勢されている。また、ハウジングにおける複数のコンタクト(コンンタクトピン(4))の配列方向の両端部分に一対の可動係止手段(弾性係止爪(6))が夫々取り付けられており、各可動係止手段は、その先端部に、ハウジングに差込み部(開口部(3))を通じて差し込まれた配線板状部材における係合部(凹部(2d)) に係合する状態をとる係止部(6c)が形成されていて、配線板状部材に対するロック装置を構成している。
【0012】
各可動係止手段には、可動導電性シェルにおける透孔内に配される突起を成すイジェクト係止片(6d)が形成されていて、このイジェクト係止片(6d)には、可動導電性シェルがスライドするとき、当該可動導電性シェルにおける透孔に形成されたテーパ部(8a)が係合する。
【0013】
そして、各可動係止手段に形成されたイジェクト係止片が可動導電性シェルにおける透孔内に配されていて、当該透孔に形成されたテーパ部がイジェクト係止片に係合していないもとで、配線板状部材がハウジングに差込み部を通じて差し込まれると、可動係止手段に形成された係止部が、配線板状部材における係合部に係合して配線板状部材を係止する。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【0014】
その後、可動導電性シェルが、それをハウジングに対する配線板状部材の差込み方向とは逆の方向に付勢している弾性部材の付勢力に抗して、ハウジングに対する配線板状部材の差込み方向に沿う方向にスライドせしめられると、スライドする可動導電性シェルにおける透孔に形成されたテーパ部が、可動係止手段に形成されたイジェクト係止片に係合して、そのイジェクト係止片を押圧し、可動係止手段をそれに形成された係止部の配線板状部材における係合部との係合状態を解除する方向に移動させる。それにより、可動係止手段に形成された係止部が配線板状部材における係合部との係合から解放され、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【0015】
さらに、特許文献3に示されるコネクタ装置にあっては、ハウジング(11)の外面部を部分的に覆うものとして配された導電性シェル(14)に、ハウジング内に伸びて、ハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部(12)を通じて差し込まれた配線板状部材であるフレキシブル印刷配線基板(40)を係止する状態をとる係止手段(ロック部(20)) が形成されている。また、ハウジングには、それと一体的に形成されて移動可能とされ、一端部が導電性シェルの外方に突出するとともに、他端部が係止手段に係合する係止解除手段(ロック解除部(30)) が設けられている。
【0016】
係止手段は、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部(43;44) に係合して配線板状部材を係止する係止部(23)と係止部を変位可能に支持する弾性ア−ム部(22)とを備えており、弾性ア−ム部に係止解除手段の他端部が係合する。
【0017】
そして、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、配線板状部材における係合部に係止手段における係止部が係合して配線板状部材を係止し、それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【0018】
その後、導電性シエルの外部に突出した係止解除手段の一端部をハウジング内に向けて押圧する押圧操作が行われると、係止解除手段の他端部が係止手段における弾性ア−ム部に係合してその弾性ア−ム部を変位させ、それに伴って、弾性ア−ム部より支持された係止部が配線板状部材における係合部との係合を解除する位置へと変位せしめられる。それにより、可動係止手段に形成された係止部が配線板状部材における係合部との係合から解放され、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2003−100370号公報(3〜4頁,図1〜10)
【特許文献2】特開2009−231069号公報(3〜4頁,図1〜5)
【特許文献3】特開2011−40246号公報(11〜16頁,図5〜11,15〜17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述のような、ハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板等の配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えた、配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置として、従来提案されているものにあっては、係止手段の配線板状部材に対する係止への関与がハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータの回動操作に連動して行われる状態,係止手段による配線板状部材に対する係止解除がハウジングに対して移動可能に設けられた可動導電性シェルの移動に連動して行われる状態、あるいは、導電性シェルに形成された係止手段による配線板状部材に対する係止解除がハウジングに一体的に設けられた係止解除手段が押圧操作されることにより行われる状態がとられる。
【0021】
そして、係止手段の配線板状部材に対する係止への関与がハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータの回動操作に連動して行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、ハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータを備えることが不可欠とされ、そのことが、コネクタ装置の製造コストを嵩ませる要因となる。それに加えて、係止手段を配線板状部材に対する係止あるいは係止解除に関与させるにあたっては、アクチュエータをハウジングに対して回動させる操作が不可欠とされ、斯かる操作を行うための不所望なスペースをコネクタ装置の周囲に設けることが必要とされる。
【0022】
また、ハウジングに対して移動可能とされた可動導電性シェルが備えられ、係止手段による配線板状部材に対する係止解除が可動導電性シェルの移動に連動して行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、可動導電性シェルがハウジングに対して移動可能とされるので、コネクタ装置の主配線基板への固定のために導電性シェルを利用することができず、別途、コネクタ装置を主配線基板に固定するための部材(ホールドダウン部材)を備えることが必要とされ、そのことが、コネクタ装置の製造コストを嵩ませる要因となる。さらに、ハウジングに対して可動導電性シェルを移動可能とするための機構が必要とされて、そのことが構成の複雑化をまねき、コネクタ装置の製造コストをなお一層嵩ませることになってしまう。
【0023】
さらに、導電性シェルに形成された係止手段による配線板状部材に対する係止解除がハウジングに一体的に設けられた係止解除手段が押圧操作されることにより行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、係止手段がハウジングの外面部を部分的に覆う導電性シェルに形成されるのに対して、係止解除手段がハウジングに一体的に設けられるので、導電性シェル及びハウジングの両方についての構成の複雑化がまねかれてしまう。また、導電性シェルは通常金属材料によって形成され、また、ハウジングは通常絶縁材料によって形成されるので、係止手段が金属材料製とされ、一方、係止解除手段は絶縁材料製とされることになり、その結果、ハウジングに一体的に設けられて移動可能とされる係止解除手段が、導電性シェルに形成される係止手段に比して耐久性において劣るものとなることが考えられる。
【0024】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングとハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトとを備えたコネクタ装置であって、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータ、あるいは、ハウジングに対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、導電性シェルとハウジングとに夫々係止手段と係止解除手段とを設ける必要がなく、それにより、構成の簡略化と部品点数の減少とによる製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができるもとで、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止及びその係止の解除を、確実かつ容易に行えることになるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項7までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係るコネクタ装置は、板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられ、配線基板に設けられた配線端子に連結される状態をとり、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、ハウジングに取り付けられて、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、複数のコンタクトが複数の接触端子部に接触接続された状態を維持すべく配線板状部材に対する係止を行う係止状態とその係止を解除する係止解除状態とを選択的にとる係合部材とを備えて成り、係合部材が、ハウジングに固定される基部とそれから互いに独立して伸びる第1及び第2の可動アーム状部とを有し、第1の可動アーム状部に、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部が形成されているとともに、第2の可動アーム状部に、ハウジングの外部へと突出する操作部と、第1の可動アーム状部に向かって突出し、操作部に移動操作が加えられるとき、第1の可動アーム状部を押圧して変位させ、係止部による配線板状部材に対する係止を解除する押圧部と、が形成されていることを特徴とするものとされる。
【0026】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、係合部材が金属材料によって一体的に構成され、第1の可動アーム状部が基部から第1の折返し屈曲部を介して伸びる第1の弾性揺動可能部を成すとともに、第2の可動アーム状部が基部から第2の折返し屈曲部を介して伸びる第2の弾性揺動可能部を成し、第2の可動アーム状部に形成された押圧部が第1の可動アーム状部における係止部に近接した部分に向かって突出している。
【0027】
また、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、ハウジングの外面部の一部におけるハウジングの外部に突出する係合部材における操作部の周囲に、凹部が形成されている。
【0028】
上述のような本発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材が配線基板上に配されるハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれると、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続されるとともに、ハウジングに取り付けられた係合部材が、ハウジング内において、差し込まれた配線板状部材を係止し、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する。そして、係合部材が配線板状部材を係止したもとで、係合部材に所定の操作が加えられると、配線板状部材を係止した係合部材が、ハウジング内において、配線板状部材に対する係止を解除して、配線板状部材のハウジングからの抜脱を可能とする。
【0029】
斯かるもとで、係合部材は、ハウジングに固定される基部とその基部から互いに独立して伸びる第1及び第2の可動アーム状部とを有しており、第1の可動アーム状部には、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における、例えば、係合切欠き部もしくは係合孔とされる係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部が形成され、また、第2の可動アーム状部には、ハウジングの外部へと突出する操作部と第1の可動アーム状部に向かって突出する押圧部とが形成される。そして、係止部がハウジングに差し込まれた配線板状部材を係止したもとで、操作部に移動操作が加えられると、押圧部が、第1の可動アーム状部を押圧して変位させ、それにより、係止部による配線板状部材に対する係止を解除する。
【0030】
さらに、係合部材は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、第1の可動アーム状部が基部から第1の折返し屈曲部を介して伸びる第1の揺動可能部を成すとともに、第2の可動アーム状部が基部から第2の折返し屈曲部を介して伸びる第2の揺動可能部を成し、第2の可動アーム状部に形成された押圧部が第1の可動アーム状部における係止部に近接した部分に向かって突出するものとして、金属材料により一体的に構成される。
【0031】
また、ハウジングの外面部の一部には、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、係合部材の第2の可動アーム状部に形成されてハウジング外に突出する操作部の周囲に凹部が形成される。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るコネクタ装置においては、上述のように、ハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対しての、ハウジングに取り付けられた係合部材による、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止、及び、配線板状部材のハウジングからの抜脱を可能とするための係止の解除を行うにあたり、例えば、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータ、あるいは、ハウジングに対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、ハウジングの外面部を覆う導電性シェルとハウジングとに夫々係止手段と係止解除手段とを設けることが必要とされず、それにより、構成の簡略化と部品点数の減少とによる製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができる。
【0033】
また、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う係合部材が、ハウジングに固定される基部とその基部から互いに独立して伸びる第1及び第2の可動アーム状部とを有しており、第1の可動アーム状部には、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部が形成され、また、第2の可動アーム状部には、ハウジングの外部へと突出する操作部と第1の可動アーム状部に向かって突出する押圧部とが形成されて、係止部がハウジングに差し込まれた配線板状部材を係止したもとで、操作部に移動操作が加えられると、押圧部が、第1の可動アーム状部を押圧して変位させ、それにより、係止部による配線板状部材に対する係止を解除する。従って、係合部材は、配線板状部材を係止する係止部と係止部による配線板状部材に対する係止を解除する操作部及び押圧部とを含む全体が一体に形成される、簡単で容易に得ることができる構成を有していることになる。
【0034】
そして、このような本発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材をハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込むだけで、配線板状部材に対しての係合部材の係止部による係止を行うことができ、それとともに、配線板状部材に対しての係止部による係止の解除を、ハウジングの外部へと突出する係合部材の操作部に、例えば、押圧操作とされる移動操作を加えるだけで行うことができるので、配線板状部材についての係合部材による係止及び係止解除を極めて簡単な操作によって行うことができるとともに、斯かる操作のために部材の周囲に不所望なスペースを設けることが必要とされない。
【0035】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、係合部材が、第1の可動アーム状部が基部から第1の折返し屈曲部を介して伸びる第1の弾性揺動可能部を成すとともに、第2の可動アーム状部が基部から第2の折返し屈曲部を介して伸びる第2の弾性揺動可能部を成し、第2の可動アーム状部に形成された押圧部が第1の可動アーム状部における係止部に近接した部分に向かって突出するものとして、金属材料により一体的に構成される。それにより、斯かる係合部材にあっては、全体の小型化を図ることができるもとで、係止部による配線板状部材に対する係止に寄与する弾性力と係止部による配線板状部材に対する係止の解除に寄与する弾性力とを、第1及び第2の可動アーム状部の夫々の設定によって個別に設定することができるので、係止部による配線板状部材に対する係止をより確実にすることと係止部による配線板状部材に対する係止の解除をより容易にすることとを両立させることができる。
【0036】
それに加えて、操作部に移動操作が加えられたとき、押圧部が、第1の可動アーム状部における係止部に近接した部分に当接する状態のもとに、第1の可動アーム状部を押圧して変位させることになり、それゆえ、操作部に対する移動操作の操作量を必要最小限とすることができ、また、第1の可動アーム状部にねじれ等の変形を生じさせる虞を回避することができる。
【0037】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、ハウジングの外面部の一部が、係合部材の第2の可動アーム状部に形成されてハウジング外に突出する操作部の周囲に凹部が形成されたものとされることにより、例えば、押圧操作とされる移動操作が行われる係合部材における操作部のハウジング外への突出量を、操作部がハウジングにおける凹部周囲の外面部を越えないもの、もしくは、若干越える程度のものとすることができ、しかも、そのようにしたもとにおいても、操作部に対する移動操作を行い易い状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す斜視図である。
【図2】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す平面図である。
【図3】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す正面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面を示す断面図である。
【図5】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材を示す平面図である。
【図7】本発明に係るコネクタ装置の一例の断面を本発明に係るコネクタ装置の一例に装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す図である。
【図8】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングに対するフレキシブル印刷配線基板の差込みが開始された状態を示す断面図である。
【図9】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材が、コネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板を係止した状態を示す断面図である。
【図10】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材が、コネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板に対する係止を解除し、フレキシブル印刷配線基板がハウジングから抜脱された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明を実施するための形態は、以下に述べられる本発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0040】
図1(斜視図)は、本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板の部分と共に示し、図2(平面図)及び図3(正面図)は、本発明に係るコネクタ装置の一例を示す。
【0041】
図1,図2及び図3において、本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング11を備えている。ハウジング11には、その正面側端面部に板状部材差込み部12が設けられており、板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと板状部材収容空間が伸びている。
【0042】
ハウジング11は、例えば、図示されていない主配線基板に配され、それにより、コネクタ装置10の全体が主配線基板に取り付けられたものとされる。その際、ハウジング11における正面側端面部とそれに対向する背面側端面部とに挟まれた一対の対向外面部のうちの一方が主配線基板に対接する外面部とされて他方が開放された外面部とされる。以下においては、主配線基板に対接するハウジングの一外面部を下方外面部といい、それに対向するハウジングの他外面部を上方外面部という。そして、正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12を通じて、例えば、フレキシブル印刷配線基板13が、配線板状部材を成すものとして、ハウジング11に差し込まれる。
【0043】
ハウジング11における正面側端面部には、ハウジング11の長手方向(左右方向)において板状部材差込み部12を挟む一対の突出柱状部14及び15が設けられており、さらに、板状部材差込み部12に沿って伸びて突出柱状部14及び15を相互連結する突出連結部16が設けられている。突出柱状部14及び15には、相互対向する傾斜面部14a及び15aが形成されており、さらに、突出連結部16にも傾斜面部16aが形成されている。これらに傾斜面部14a,15a及び16aは、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれる際に、フレキシブル印刷配線基板13を板状部材差込み部12へと案内する役割を果たす。
【0044】
ハウジング11には、その内部に、各々が弾性導電材料で形成された複数のコンタクト17が、ハウジング11の長手方向に沿って配列配置されて設けられている。複数のコンタクト17は、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13に配列配置された複数の接触端子部18に接触接続される信号用コンタクトとして設けられているが、他のフレキシブル印刷配線基板における複数の信号接続端子部及び接地接続部に接触接続される信号用及び接地用コンタクトとして用いられてもよい。
【0045】
図2、さらには、図3におけるIV−IV線断面をあらわす図4に示されるように、複数のコンタクト17の夫々は、ハウジング11に固定される固定部21と、固定部21からハウジング11の内部へと伸びる屈曲アーム部22と、固定部21からハウジング11の外部へと伸びる接続端子部23とを有している。屈曲アーム部22には、その先端部分に接点部24が形成されている。接続端子部23は、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に、例えば、半田付けにより接続される。そして、複数のコンタクト17は、例えば、ハウジング11の背面側端面部側から、ハウジング11の内部へと押圧挿入されて、各々の固定部21がハウジング11の背面側端面部に固定される。
【0046】
このようなもとで、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるフレキシブル印刷配線基板13は、それにおける複数の接触端子部18がハウジング11に配列配置された複数のコンタクト17に夫々対応する位置をとる状態におかれる。そして、複数のコンタクト17の夫々における接点部24が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部18のうちの対応するものに接触接続される。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部18が、複数のコンタクト17を介して、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に連結される。
【0047】
また、コネクタ装置10は、ハウジング11における長手方向の両端部、即ち、板状部材差込み部12をハウジング11の長手方向において挟む一対の端部に夫々設けられた、例えば、金属材料によって形成された一対の係合部材25及び26を備えている。係合部材25及び26は、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたとき、フレキシブル印刷配線基板13に対する係止を行う係止状態とその係止を解除する係止解除状態とを選択的にとるためのものとして、ハウジング11の端部に取り付けられている。
【0048】
係合部材25は、例えば、弾性金属板材に打抜き屈曲加工が施されて一体形成され、図5(斜視図)及び図6(平面図)に示されるように、ハウジング11に固定される基部27と基部27から互いに独立して伸びる第1の可動アーム状部28と第2の可動アーム状部29とを有している。第1の可動アーム状部28は、基部27から第1の折返し屈曲部30を介して伸びており、基部27に所定の距離をおいて対向するものとして配されていて、基部27に近接あるいは離隔する揺動を弾性をもって行う第1の弾性揺動可能部を形成している。また、第2の可動アーム状部29は、基部27から第2の折返し屈曲部31を介して伸びており、基部27に所定の距離をおいて対向するものとして配されていて、基部27に近接あるいは離隔する揺動を弾性をもって行う第2の弾性揺動可能部を形成している。
【0049】
第1の折返し屈曲部30及び第2の折返し屈曲部31は、各々の屈曲方向を互いに逆方向として基部27に連結されており、それにより、第1の可動アーム状部28が第1の折返し屈曲部30から伸びる方向と第2の可動アーム状部29が第2の折返し屈曲部31から伸びる方向とは、互いに逆方向とされている。
【0050】
そして、基部27には、ハウジング11に圧入される一対の圧入突起部32とハウジング11の正面側端面部からその外部へと伸びることになる半田付け部33とが設けられている。一対の圧入突起部32は、夫々がハウジング11に圧入されることにより、ハウジング11に対して基部27を固定する。また、半田付け部33は、例えば、ハウジング11の背面側端面部からその外部に突出するコンタクト17の接続端子部23がハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に半田付けされるもとで、ハウジング11の正面側端面部側において主配線基板に設けられた導体部分に半田付けされ、それにより、主配線基板に対するその上に配されたハウジング11の堅固な固定に貢献する。
【0051】
第1の可動アーム状部28には、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれた配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部34に係合してフレキシブル印刷配線基板13を係止する係止部35が、第1の可動アーム状部28から第2の可動アーム状部29側に向かって突出するものとして形成されている。係止部35は、ハウジング11への板状部材差込み部12を通じたフレキシブル印刷配線基板13の差込み方向に沿って上昇傾斜することになる傾斜面35aを形成しており、傾斜面35aを形成する部分を、フレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部34に係合させる。フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたとき、係止部35が形成する傾斜面35aは、それに当接するフレキシブル印刷配線基板13の端縁部36を係止部35を乗り越させるように案内する。
【0052】
第2の可動アーム状部29には、第1の可動アーム状部28から離隔する方向に伸びてハウジング11の外部へと突出することになる操作部37と、第1の可動アーム状部28における係止部35に近接した部分に向かって突出する押圧部38と、が形成されている。操作部37は、平板状を成すものとされており、必要に応じて、基部27に向かう方向に移動すべく押圧される移動操作がハウジング11外から加えられる。そして、操作部37に移動操作が加えられるときには、第2の可動アーム状部29が基部27に近接する揺動を行って変位し、それにより、押圧部38が、第1の可動アーム状部28における係止部35に近接した部分に当接して、第1の可動アーム状部28を押圧する。その結果、第1の可動アーム状部28が基部27に近接する揺動を行って変位し、それに伴って、第1の可動アーム状部28に形成された係止部35が、基部27に近接するように変位する。
【0053】
このように構成された係合部材25が、一対の圧入突起部32がハウジング11に圧入されてハウジング11の端部に取り付けられたときには、第1の可動アーム状部28に形成された係止部35が、ハウジング11の正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと伸びる板状部材収容空間内となる位置に配され、また、第2の可動アーム状部29に形成された操作部37が、ハウジング11における上方外面部からその外方に突出するものとされる。
【0054】
それにより、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたときには、板状部材収容空間内となる位置に配された係止部35がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部34に係合してフレキシブル印刷配線基板13を係止する。そして、係止部35がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部34に係合してフレキシブル印刷配線基板13を係止しているもとで、ハウジング11における上方外面部からその外方に突出するものとされた操作部37に移動操作が加えられると、係止部35が、基部27に近接するように変位して、フレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部34との係合を止め、フレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する。
【0055】
斯かる構成のもとで、第1の弾性揺動可能部を形成する第1の可動アーム状部28が具える弾性力と第2の弾性揺動可能部を形成する第2の可動アーム状部29が具える弾性力とは、第1の可動アーム状部28及び第2の可動アーム状部29の夫々の設定によって個別に設定される。例えば、係止部35によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止に寄与することになる第1の可動アーム状部28が具える弾性力が、係止部35によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止の解除に寄与することになる第2の可動アーム状部29が具える弾性力より大とされ、それにより、係止部35によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止をより確実にすることと係止部35によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止の解除をより容易にすることとが両立される。
【0056】
また、係合部材26も、例えば、弾性金属板材に打抜き屈曲加工が施されて一体形成され、係合部材25とは鏡面対称を成す構成を有するものとされる。従って、係合部材26は、係合部材25が有する基部27と第1の可動アーム状部28と第2の可動アーム状部29とに夫々相当する、ハウジング11に固定される基部とその基部から互いに独立して伸びる第1の可動アーム状部と第2の可動アーム状部とを有している。係合部材26における第1の可動アーム状部は、基部から、係合部材25における第1の折返し屈曲部30に相当する、第1の折返し屈曲部を介して伸びていて第1の弾性揺動可能部を形成しており、また、係合部材26における第2の可動アーム状部は、基部から、係合部材25における第2の折返し屈曲部31に相当する、第2の折返し屈曲部を介して伸びていて第2の弾性揺動可能部を形成している。
【0057】
そして、係合部材26における基部には、係合部材25における一対の圧入突起部32及び半田付け部33に夫々相当する、ハウジング11に圧入される一対の圧入突起部及びハウジング11の正面側端面部からその外部へと伸びることになる半田付け部39が設けられている。係合部材26における一対の圧入突起部は、夫々がハウジング11に圧入されることにより、ハウジング11に対して係合部材26における基部を固定する。また、係合部材26における半田付け部39は、例えば、ハウジング11の背面側端面部からその外部に突出するコンタクト17の接続端子部23がハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に半田付けされるもとで、ハウジング11の正面側端面部側において主配線基板に設けられた導体部分に半田付けされ、それにより、主配線基板に対するその上に配されたハウジング11の堅固な固定に貢献する。
【0058】
係合部材26における第1の可動アーム状部には、係合部材25における係止部35に相当する、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれた配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部40に係合してフレキシブル印刷配線基板13を係止する係止部41(図4)が、第1の可動アーム状部から第2の可動アーム状部側に向かって突出するものとして形成されている。係止部41には、係合部材25における係止部35が形成する傾斜面35aに相当する、ハウジング11への板状部材差込み部12を通じたフレキシブル印刷配線基板13の差込み方向に沿って上昇傾斜することになる傾斜面41a(図4)を形成しており、傾斜面41aを形成する部分を、フレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部40に係合させる。フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたとき、係止部41が形成する傾斜面41aは、それに当接するフレキシブル印刷配線基板13の端縁部42を係止部41を乗り越させるように案内する。
【0059】
係合部材26における第2の可動アーム状部には、係合部材25における操作部37及び押圧部38に夫々相当する、第1の可動アーム状部から離隔する方向に伸びてハウジング11の外部へと突出することになる操作部43及び第1の可動アーム状部における係止部41に近接した部分に向かって突出する押圧部が形成されている。操作部43は、平板状を成すものとされており、必要に応じて、係合部材26における基部に向かう方向に移動すべく押圧される移動操作がハウジング11外から加えられる。そして、操作部43に移動操作が加えられるときには、係合部材26における第2の可動アーム状部が基部に近接する揺動を行って変位し、それにより、係合部材26における押圧部が、係合部材26における第1の可動アーム状部における係止部41に近接した部分に当接してその第1の可動アーム状部を押圧する。その結果、係合部材26における第1の可動アーム状部に形成された係止部41が、係合部材26における基部に近接するように変位する。
【0060】
このように構成された係合部材26が、一対の圧入突起部がハウジング11に圧入されてハウジング11の端部に取り付けられたときには、係合部材26における第1の可動アーム状部に形成された係止部41が、ハウジング11の正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと伸びる板状部材収容空間内となる位置に配され、また、係合部材26における第2の可動アーム状部に形成された操作部43が、ハウジング11における上方外面部からその外方に突出するものとされる。
【0061】
それにより、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたときには、板状部材収容空間内となる位置に配された係止部41がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部40に係合してフレキシブル印刷配線基板13を係止する。そして、係止部41がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部40に係合してフレキシブル印刷配線基板13を係止しているもとで、ハウジング11における上方外面部からその外方に突出するものとされた操作部43に移動操作が加えられると、係止部41が、係合部材26における基部に近接するように変位して、フレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部40との係合を止め、フレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する。
【0062】
斯かる構成をとる係合部材26においても、第1の弾性揺動可能部を形成する第1の可動アーム状部が具える弾性力と第2の弾性揺動可能部を形成する第2の可動アーム状部が具える弾性力とは、第1の可動アーム状部及び第2の可動アーム状部の夫々の設定によって個別に設定される。例えば、係止部41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止に寄与することになる第1の可動アーム状部が具える弾性力が、係止部41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止の解除に寄与することになる第2の可動アーム状部が具える弾性力より大とされ、それにより、係止部41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止をより確実にすることと係止部41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止の解除をより容易にすることとが両立される。
【0063】
図1に示されるように、係合部材25における操作部37のハウジング11の外部への突出は、ハウジング11の係合部材25が設けられた端部における上方外面部の一角から操作部37が飛び出す状態をもってなされる。そして、当該ハウジング11の端部における上方外面部の一角には、ハウジング11の外部へと突出する操作部37の周囲に凹部44が形成されている。それにより、例えば、押圧操作とされる移動操作が行われる操作部37のハウジング11外への突出量は、操作部37がハウジング11における凹部44の周囲の外面部を若干越える程度のものとされており、このようにされたもとにおいても、操作部37に対する移動操作は行い易いものとされる。なお、操作部37のハウジング11外への突出量は、操作部37がハウジング11における凹部44の周囲の外面部を越えないものとされてもよい。
【0064】
同様に、係合部材26における操作部43のハウジング11の外部への突出も、ハウジング11の係合部材26が設けられた端部における上方外面部の一角から操作部43が飛び出す状態をもってなされる。そして、当該ハウジング11の端部における上方外面部の一角にも、ハウジング11の外部へと突出する操作部43の周囲に凹部45が形成されている。それにより、例えば、押圧操作とされる移動操作が行われる操作部43のハウジング11外への突出量は、操作部43がハウジング11における凹部45の周囲の外面部を若干越える程度のものとされており、このようにされたもとにおいても、操作部43に対する移動操作は行い易いものとされる。なお、操作部43のハウジング11外への突出量も、操作部43がハウジング11における凹部45の周囲の外面部を越えないものとされてもよい。
【0065】
このようなもとで、コネクタ装置10のハウジング11が、その下方外面部を主配線基板に対接させて主配線基板に取り付けられたもとで、フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれる際には、上述の図1に示されるように、フレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部18が配列配置された部分の先端部が、ハウジング11の正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12に対向する位置に配される。そして、フレキシブル印刷配線基板13は、それにおける複数の接触端子部18がコネクタ装置10のハウジング11に配列配置された複数のコンタクト17に夫々対応する位置をとる状態におかれる。
【0066】
このとき、コネクタ装置10のハウジング11における係合部材25が取り付けられた端部においては、図7に詳細に示されるように、係合部材25が、その基部27がハウジング11に固定され、その第1の可動アーム状部28に形成された係止部35が形成する傾斜面35aが、ハウジング11の正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと伸びる板状部材収容空間内に臨み、その第2の可動アーム状部29に形成された操作部37がハウジング11の上方外面部に設けられた凹部44からハウジング11の外部へと突出し、その基部27から伸びる半田付け部33がハウジング11の正面側端面部からその外部へと突出する状態をもって配されている。そして、フレキシブル印刷配線基板13は、それにおける切欠き係合部34が係合部材25の第1の可動アーム状部28に形成された係止部35に対応する位置をとる。
【0067】
同様に、コネクタ装置10のハウジング11における係合部材26が取り付けられた端部においても、係合部材26が、その基部がハウジング11に固定され、その第1の可動アーム状部に形成された係止部41が形成する傾斜面41aが、ハウジング11の正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと伸びる板状部材収容空間内に臨み、その第2の可動アーム状部に形成された操作部43がハウジング11の上方外面部に設けられた凹部45からハウジング11の外部へと突出し、その基部から伸びる半田付け部39がハウジング11の正面側端面部からその外部へと突出する状態をもって配されている。そして、フレキシブル印刷配線基板13は、それにおける切欠き係合部40が係合部材26の第1の可動アーム状部に形成された係止部41に対応する位置をとる。
【0068】
その後、図8に示されるように、フレキシブル印刷配線基板13は、コネクタ装置10のハウジング11に、その正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12を通じて差し込まれる。その際には、先ず、フレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部18が配列配置された部分を挟む一対の端縁部36及び42が、係合部材25における第1の可動アーム状部28に形成された係止部35が形成する傾斜面35a及び係合部材26における第1の可動アーム状部に形成された係止部41が形成する傾斜面41aに夫々当接する。
【0069】
続いて、フレキシブル印刷配線基板13における端縁部36及び42は、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11に対する差込み移動に伴って、夫々、係止部35が形成する傾斜面35a及び係止部41が形成する傾斜面41aによる案内を受けて係止部35及び係止部41を乗り越える。このとき、係合部材25の第1の可動アーム状部28及び係合部材26の第1の可動アーム状部は、第1の可動アーム状部28については図8に示されるように、一旦、揺動を生じて、係合部材25の基部27及び係合部材26の基部に夫々近接する位置へと変位し、その後、自らの弾性復元力によって元の位置に戻る。それにより、図9に示されるように、係合部材25における係止部35が、フレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部34に係合してフレキシブル印刷配線基板13を係止するとともに、係合部材26における係止部41が、フレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部40に係合してフレキシブル印刷配線基板13を係止する状態が得られる。
【0070】
斯かる際、係合部材25における第1の可動アーム状部28が、基部27から第1の折返し屈曲部30を介して伸び、第1の折返し屈曲部30に連なって設けられて係止部35が形成された第1の弾性揺動可能部分を形成しており、また、係合部材26における第1の可動アーム状部が、係合部材26における基部から第1の折返し屈曲部を介して伸び、その第1の折返し屈曲部に連なって設けられて係止部41が形成された第1の弾性揺動可能部分を形成していることにより、次のような作用効果が得られる。
【0071】
即ち、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたとき、係合部材25における第1の可動アーム状部28が第1の折返し屈曲部30を揺動支点として揺動し、また、係合部材26における第1の可動アーム状部も第1の折返し屈曲部を揺動支点として揺動することになる。それにより、係合部材25における第1の可動アーム状部28及び係合部材26における第1の可動アーム状部の夫々の揺動により生じる弾性復元力が、係合部材25における第1の折返し屈曲部30及び係合部材26における第1の折返し屈曲部が設けられない場合に比して大なるものとされ、係止部35及び41がフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部34及び40に夫々係合する際に明瞭なクリック感が得られるとともに、係止部35及び41によるフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの抜脱阻止がより効果的に行われる。
【0072】
係合部材25における係止部35が切欠き係合部34に係合するとともに係合部材26における係止部41が切欠き係合部40に係合する状態が得られると、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差込みが完了し、フレキシブル印刷配線基板13は、ハウジング11に対する正規の差込み位置をとり、係合部材25における第1の可動アーム状部28に形成された係止部35及び係合部材26における第1の可動アーム状部に形成された係止部41により係止されて、ハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれる。即ち、フレキシブル印刷配線基板13は、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて適正に差し込まれるだけで、係合部材25における第1の可動アーム状部28に形成された係止部35及び係合部材26における第1の可動アーム状部に形成された係止部41により、ハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれることになる。
【0073】
このようにして、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11への板状部材差込み部12を通じての差込を完了して正規の差込み位置をとるもとにおいては、ハウジング11に配列配置された複数のコンタクト17が、各々の屈曲アーム部22の先端部分に形成された接点部24をハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部18に夫々弾性当接させて、複数の接触端子部18に夫々接触接続された状態におかれる。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部18が、複数のコンタクト17を介して、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に連結される。斯かる状態は、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて適正に差し込まれるだけで得られる。
【0074】
その後、図10に示されるように、係合部材25において、第2の可動アーム状部29に形成されて、ハウジング11の上方外面部に形成された凹部44からハウジング11の外部に突出する操作部37に、それをハウジング11の内部に押し込む押圧操作とされる移動操作が加えられると、第2の可動アーム状部29が基部27に近接する揺動を行って変位する。それにより、第2の可動アーム状部29に形成された押圧部38が、第1の可動アーム状部28における係止部35に近接した部分に当接して、第1の可動アーム状部28を押圧する。その結果、第1の可動アーム状部28が基部27に近接する揺動を行って変位し、それに伴って、第1の可動アーム状部28に形成された係止部35が、基部27に近接するように変位して、フレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部34との係合を止め、フレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する。即ち、係合部材25における第2の可動アーム状部29に形成されて、ハウジング11の上方外面部に形成された凹部44からハウジング11の外部に突出する操作部37は、それに押圧操作とされる移動操作が加えられるとき、第1の可動アーム状部28にそれに形成された係止部35によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除させるのである。
【0075】
同様に、係合部材26においても、第2の可動アーム状部に形成されて、ハウジング11の上方外面部に形成された凹部45からハウジング11の外部に突出する操作部43に、それをハウジング11の内部に押し込む押圧操作とされる移動操作が加えられると、第2の可動アーム状部が基部に近接する揺動を行って変位する。それにより、係合部材26における第2の可動アーム状部に形成された押圧部が、第1の可動アーム状部における係止部41に近接した部分に当接して、第1の可動アーム状部を押圧する。その結果、第1の可動アーム状部が基部に近接する揺動を行って変位し、それに伴って、第1の可動アーム状部に形成された係止部41が、基部に近接するように変位して、フレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部40との係合を止め、フレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する。即ち、係合部材26における第2の可動アーム状部に形成されて、ハウジング11の上方外面部に形成された凹部45からハウジング11の外部に突出する操作部43は、それに押圧操作とされる移動操作が加えられるとき、第1の可動アーム状部にそれに形成された係止部41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除させるのである。
【0076】
このようにして、係合部材25の第1の可動アーム状部28に形成された係止部35及び係合部材26の第1の可動アーム状部に形成された係止部41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止が解除されることにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13が、ハウジング11から適正に抜脱され得る状態におかれる。
【0077】
そして、係合部材25における操作部37及び係合部材26における操作部43に、押圧操作とされる移動操作が加えられなくなると、係合部材25の第2の可動アーム状部29及び係合部材26の第2の可動アーム状部の夫々は、自らの弾性復元力によって元の位置に戻り、それに伴って、係合部材25の第1の可動アーム状部28及び係合部材26の第1の可動アーム状部の夫々も、自らの弾性復元力によって元の位置に戻る。
【0078】
斯かる際、係合部材25における第2の可動アーム状部29が、基部27から第2の折返し屈曲部31を介して伸び、第2の折返し屈曲部31に連なって設けられて操作部37と押圧部38とが形成された第2の弾性揺動可能部分を形成しており、また、係合部材26における第2の可動アーム状部が、係合部材26における基部から第2の折返し屈曲部を介して伸び、その第2の折返し屈曲部に連なって設けられて操作部43と押圧部とが形成された第2の弾性揺動可能部分を形成していることにより、次のような作用効果が得られる。
【0079】
即ち、フレキシブル印刷配線基板13が係合部材25における係止部35及び係合部材26における係止部41によって係止されたもとで、係合部材25における操作部37及び係合部材26における操作部43に移動操作が加えられるとき、係合部材25における第2の可動アーム状部29が第2の折返し屈曲部31を揺動支点として揺動し、また、係合部材26における第2の可動アーム状部も第2の折返し屈曲部を揺動支点として揺動することになる。それにより、係合部材25における第2の可動アーム状部29及び係合部材26における第2の可動アーム状部の夫々の揺動により生じる弾性復元力が、係合部材25における第2の折返し屈曲部31及び係合部材26における第1の折返し屈曲部が設けられない場合に比して大なるものとされ、係合部材25における操作部37及び係合部材26における操作部43に押圧操作とされる移動操作が加えられなくなったときにおける元の位置への復元が確実に行われる。
【0080】
また、係合部材25における操作部37及び係合部材26における操作部43に押圧操作とされる移動操作が加えられるとき、係合部材25における押圧部38が第1の可動アーム状部28に当接してその第1の可動アーム状部28を押圧し、また、係合部材26における押圧部が第1の可動アーム状部に当接してその第1の可動アーム状部を押圧するが、その際、係合部材25における押圧部38が当接する第1の可動アーム状部28上の部位が、第1の可動アーム状部28における係止部35に近接した部分とされ、また、係合部材26における押圧部が当接する第1の可動アーム状部上の部位が、第1の可動アーム状部における係止部41に近接した部分とされる。それにより、係合部材25における操作部37及び係合部材26における操作部43に対する移動操作の操作量が必要最小限とされ、また、係合部材25における第1の可動アーム状部28及び係合部材26における第1の可動アーム状部の夫々にねじれ等の変形を生じさせる虞が回避される。
【0081】
なお、上述の例にあっては、フレキシブル印刷配線基板13が一対の切欠き係合部34及び40が設けられたものとされているが、フレキシブル印刷配線基板13は、一対の切欠き係合部34及び40に代えて、一対の係合孔が設けられたものとされてもよく、斯かる場合にも、上述と同様にして、係合部材25の第1の可動アーム状部28に形成された係止部35及び係合部材26の第1の可動アーム状部に形成された係止部41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止及び係止の解除が行われる。
【0082】
上述のようなコネクタ装置10が用いられてそれにおけるハウジング11に配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13が差し込まれるもとにあっては、フレキシブル印刷配線基板13をコネクタ装置10におけるハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込むだけで、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部18が、複数のコンタクト17を介して、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた信号端子部に連結されるとともに、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13が、係合部材25における第1の可動アーム状部28に形成された係止部35及び係合部材26における第1の可動アーム状部に形成された係止部41によって適正に係止され、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態を得ることができる。
【0083】
そして、コネクタ装置10にあっては、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に対しての、ハウジング11に取り付けられた係合部材25及び26による、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの不所望な抜脱を阻止するための係止、及び、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの抜脱を可能とするための係止の解除を行うにあたり、ハウジング11に対して回動可能とされるアクチュエータやハウジング11に対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、ハウジング11の外面部を覆う導電性シェルとハウジングとに夫々係止手段と係止解除手段とを設けることが必要とされず、それにより、構成の簡略化と部品点数の減少とによる製造コストの低減を図ることができ、しかも、係合部材25及び26を耐久性の向上が図られたものとすることができる。
【0084】
また、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に対する係止及び係止の解除を行う係合部材25及び26の夫々を、フレキシブル印刷配線基板13を係止する係止部と係止部によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する操作部及び押圧部とを含む全体が一体形成される、簡単で容易に得ることができる構成を有したものとすることができる。しかも、係合部材25及び26の夫々は、例えば、弾性金属板材に打抜き屈曲加工が施されて一体的に構成され、全体の小型化を図ることができるもとで、係止部35及び41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止に寄与する弾性力と係止部35及び41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止の解除に寄与する弾性力とを個別に設定することができるものとされるので、係止部35及び41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止をより確実にすることと係止部35及び41によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止の解除をより容易にすることとを両立させることができる。
【0085】
そして、このようなコネクタ装置10にあっては、フレキシブル印刷配線基板13をハウジング11にそれに設けられた板状部材差込み部12を通じて差し込むだけで、フレキシブル印刷配線基板13に対しての係合部材25における係止部35及び係合部材26における係止部41による係止を行うことができ、それとともに、フレキシブル印刷配線基板13に対しての係止部35及び41による係止の解除を、ハウジング11の外部へと突出する係合部材25における操作部37及び係合部材26における操作部43に、例えば、押圧操作とされる移動操作を加えるだけで行うことができるので、フレキシブル印刷配線基板13についての係合部材25及び26による係止及び係止の解除を極めて簡単な操作によって行うことができるとともに、斯かる操作のために部材の周囲に不所望なスペースを設けることが必要とされない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のような本発明に係るコネクタ装置は、例えば、フレキシブル印刷配線基板等とされる配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、ハウジングに設けられ、配線板状部材がハウジングに差し込まれたとき、配線板状部材に対する係止状態と係止解除状態とを選択的にとる係合部材とを備えたコネクタ装置であって、構成の簡略化と部品点数の減少とによる製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができるもとで、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止及びその係止の解除を、確実かつ容易に行えることになるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0087】
10・・・コネクタ装置, 11・・・ハウジング, 12・・・板状部材差込み部, 13・・・フレキシブル印刷配線基板, 17・・・コンタクト, 18・・・接触端子部, 21・・・(コンタクト17の)固定部, 22・・・屈曲アーム部, 23・・・接続端子部, 24・・・接点部, 25,26・・・係合部材, 27・・・基部, 28・・・第1の可動アーム状部, 29・・・第2の可動アーム状部, 30・・・第1の折返し屈曲部, 31・・・第2の折返し屈曲部, 32・・・圧入突起部, 33,39・・・半田付け部, 34,40・・・切欠き係合部, 35,41・・・係止部, 35a,41a・・・傾斜面, 36,42・・・端縁部, 37,43・・・操作部, 38・・・押圧部, 44,45・・・凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、
該ハウジングに配列配置されて設けられ、上記配線基板に設けられた配線端子に連結される状態をとり、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、
上記ハウジングに取り付けられて、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、上記複数のコンタクトが上記複数の接触端子部に接触接続された状態を維持すべく上記配線板状部材に対する係止を行う係止状態と上記係止を解除する係止解除状態とを選択的にとる係合部材と、
を備えて成り、
上記係合部材が、上記ハウジングに固定される基部と該基部から互いに独立して伸びる第1及び第2の可動アーム状部とを有し、上記第1の可動アーム状部に、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して上記配線板状部材を係止する係止部が形成されているとともに、上記第2の可動アーム状部に、上記ハウジングの外部へと突出する操作部と、上記第1の可動アーム状部に向かって突出し、上記操作部に移動操作が加えられるとき、上記第1の可動アーム状部を押圧して変位させ、上記係止部による上記配線板状部材に対する係止を解除する押圧部と、が形成されていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
上記係合部材が、金属材料によって一体的に構成され、上記第1の可動アーム状部が上記基部から第1の折返し屈曲部を介して伸びる第1の弾性揺動可能部を成すとともに、上記第2の可動アーム状部が上記基部から第2の折返し屈曲部を介して伸びる第2の弾性揺動可能部を成し、上記第2の可動アーム状部に形成された上記押圧部が上記第1の可動アーム状部における上記係止部に近接した部分に向かって突出していることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
上記第1の可動アーム状部に形成された上記係止部が、上記ハウジングへの上記板状部材差込み部を通じた配線板状部材の差込み方向に沿って上昇傾斜する傾斜面を有しており、該傾斜面を形成する部分を上記配線板状部材に設けられた係合部に係合させることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項4】
上記係合部材が、金属材料によって構成され、上記基部から上記ハウジングの外部へと伸びて上記配線基板に設けられた導体部分に半田付けされる半田付け部を有していることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項5】
上記複数のコンタクトの夫々の一端部が上記ハウジングにおける一対の対向端面部の一方から上記ハウジングの外部に突出して上記配線基板に設けられた配線端子に半田付けされ、上記半田付け部が上記ハウジングにおける一対の対向端面部の他方から上記ハウジングの外部に突出して上記配線基板に設けられた導体部分に半田付けされることを特徴とする請求項4記載のコネクタ装置。
【請求項6】
上記ハウジングの外面部の一部における該ハウジングの外部に突出する上記係合部材における上記操作部の周囲に、凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項7】
上記係合部材が、上記ハウジングにおける上記複数のコンタクトの配列方向の両端部の夫々に設けられることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−221859(P2012−221859A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88725(P2011−88725)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(592028846)第一精工株式会社 (94)
【Fターム(参考)】