コネクタ装置
【課題】ハウジングに配線板状部材が差し込まれるコネクタ装置であって、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を、その係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができ、かつ、製造コストの低減を図れるもとで行えるものを提供する。
【解決手段】ハウジング１３に差し込まれた印刷配線基板１５に対する係止と係止の解除とを行う弾性係合部材２５を備え、弾性係合部材が、ハウジング内に固定される固定部２６Ｂとそれから伸びる弾性可動アーム状部２８Ｂとハウジングの外部へ突出する係止解除部３４とを有し、弾性可動アーム状部に係止部３２Ｂが設けられ、係止解除部が、係止部が印刷配線基板を係止するもとでハウジングから離隔せしめられる移動操作が加えられるとき、弾性可動アーム状部に印刷配線基板から離隔する弾性変位を生じさせて、係止部による印刷配線基板に対する係止を解除する。
【解決手段】ハウジング１３に差し込まれた印刷配線基板１５に対する係止と係止の解除とを行う弾性係合部材２５を備え、弾性係合部材が、ハウジング内に固定される固定部２６Ｂとそれから伸びる弾性可動アーム状部２８Ｂとハウジングの外部へ突出する係止解除部３４とを有し、弾性可動アーム状部に係止部３２Ｂが設けられ、係止解除部が、係止部が印刷配線基板を係止するもとでハウジングから離隔せしめられる移動操作が加えられるとき、弾性可動アーム状部に印刷配線基板から離隔する弾性変位を生じさせて、係止部による印刷配線基板に対する係止を解除する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板（ＦＰＣ）やフレキシブル平板状ケーブル（ＦＦＣ）等の配線板状部材が装着されるもとで、装着された配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続されるコンタクトと装着された配線板状部材に対する係止及び係止解除を行う係合部材とを備えたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
各種の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等の配線板状部材は、種々の電気部品が取り付けられる主配線基板への取付けが、当該主配線基板に電気的接続がなされて固定されるコネクタ装置が用いられて行われることが多いものとされる。このような配線板状部材の主配線基板への取付けにあたって用いられるコネクタ装置は、配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続される導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板状部材に設けられた接触端子部を主配線基板に設けられた配線端子に電気的に接続する。
【０００３】
従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置であって第１の類型に属するものは、例えば、絶縁材料によって形成され、配線板状部材が差し込まれる差込み部が設けられたものとされて主配線基板に配されるハウジングを有している。そして、そのハウジングに配列配置されて設けられて主配線基板に設けられた配線端子に連結され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、その配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトと、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータとを備えている。
【０００４】
斯かる従来の第１の類型に属するコネクタ装置に備えられるアクチュエータは、複数のコンタクトの夫々に係合し、回動せしめられるとき複数のコンタクトの夫々における作動部を変位させて、複数のコンタクトに、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続された状態、もしくは、複数の接触端子部との接触接続から解放された状態をとらせるもの、または、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に当接し、回動せしめられるとき、配線板状部材を押圧して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトに夫々接触接続された状態におく、もしくは、配線板状部材に対する押圧を解除して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトとの接触接続から解放された状態におくものとされる。そして、複数のコンタクトと配線板状部材に設けられた複数の接触端子部とが相互接触接続されることにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【０００５】
さらに、従来提案されている配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置であって第２の類型に属するものは、上述のようなハウジングを有し、上述のような複数のコンタクトを備えるとともに、外部からの電磁波ノイズに対するシールド効果を得るため、ハウジングを部分的もしくは全体的に覆うものとして配されて主配線基板に設けられた接地端子に連結される導電性シェルを、必要に応じて備えているが、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータは備えていない。斯かる従来の第２の類型に属するコネクタ装置にあっては、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、自動的に、ハウジング内に設けられた複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに適正に差し込まれるだけで、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【０００６】
このような従来提案されているコネクタ装置にあっては、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータを備えたもの及び斯かるアクチュエータを備えていないもののいずれの場合にも、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、主配線基板に配されたハウジングに差込み部を通じて差し込まれて、ハウジングに配された複数のコンタクトが、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続され、それにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれるにあたり、配線板状部材がハウジングから不所望に抜脱するような事態が回避されなくてはならない。当然のことながら、ハウジングに配された複数のコンタクトがハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続された状態が適正に維持されるためには、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材が、その状態を安定に維持することができ、ハウジングから不所望に抜脱されるような事態をまねかないものとされることが必要とされるのである。
【０００７】
そのため、上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトとハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータとを備えた第１の類型に属するコネクタ装置であって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えたものが従来提案されている（例えば、特許文献１参照。）。また、上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトを備え、さらに、導電性シェルを必要に応じて備えているが、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータは備えていない第２の類型に属するコネクタ装置であって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する係止手段を備えたものも従来提案されている（例えば、特許文献２及び特許文献３参照。）。
【０００８】
特許文献１に示されるコネクタ装置（フレキシブル基板用コネクタ）にあっては、ハウジング(2) における複数のコンタクト(6) の配列方向の両端側壁(5) に一対の補強金具(20)が夫々取り付けられており、各補強金具には、ハウジングに差込み部（開口部(3))を通じて差し込まれた配線板状部材（フレキシブル基板(30)) に当接して配線板状部材にそれを押し上げる方向の押圧力を作用させる、もしくは、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材における係合部（係合孔又は切欠き部(32)) に係合する状態をとる係止手段（弾性支持片(25)) が形成されている。そして、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータ（加圧部材(12)) が、ハウジングに対して起き上がった位置からハウジングに対して伏した位置へと回動されるとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、アクチュエータによって、補強金具に形成された係止手段とは反対側から当該係止手段に向かって押圧される。
【０００９】
それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、アクチュエータと補強金具に形成された係止手段とによって押圧挟持されることにより係止され、もしくは、補強金具に形成された係止手段が配線板状部材における係合部に係合することにより係止される。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【００１０】
その後、アクチュエータが、ハウジングに対して伏した位置からハウジングに対して起き上がった位置へと回動されるとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がアクチュエータにより押圧されなくなり、配線板状部材がアクチュエータと補強金具に形成された係止手段とによって押圧挟持された状態、もしくは、補強金具に形成された係止手段が配線板状部材における係合部に係合した状態が解除される。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【００１１】
また、特許文献２に示されるコネクタ装置（ロック付きＦＰＣ用コネクタ）にあっては、ハウジング（絶縁ハウジング(5))にそれに対してスライド可能に設けられた可動導電性シェル（イジェクトプレート(8))が備えられている。この可動導電性シェルは、ハウジングとの間に配されたコイルスプリング等の弾性部材(7) によって、ハウジングに対する配線板状部材 (ＦＰＣ基板(2))の差込み方向とは逆の方向に付勢されている。また、ハウジングにおける複数のコンタクト（コンタクトピン(4))の配列方向の両端部分に一対の可動係止手段（弾性係止爪(6) が夫々取り付けられており、各可動係止手段は、その先端部に、ハウジングに差込み部（開口部(3))を通じて差し込まれた配線板状部材における係合部（凹部(2d)) に係合する状態をとる係止部(6c)が形成されていて、配線板状部材に対するロック装置を構成している。
【００１２】
各可動係止手段には、可動導電性シェルにおける透孔内に配される突起を成すイジェクト係止片(6d)が形成されていて、このイジェクト係止片(6d)には、可動導電性シェルがスライドするとき、当該可動導電性シェルにおける透孔に形成されたテーパ部(8a)が係合する。
【００１３】
そして、各可動係止手段に形成されたイジェクト係止片が可動導電性シェルにおける透孔内に配されていて、当該透孔に形成されたテーパ部がイジェクト係止片に係合していないもとで、配線板状部材がハウジングに差込み部を通じて差し込まれると、可動係止手段に形成された係止部が、配線板状部材における係合部に係合して配線板状部材を係止する。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【００１４】
その後、可動導電性シェルが、それをハウジングに対する配線板状部材の差込み方向とは逆の方向に付勢している弾性部材の付勢力に抗して、ハウジングに対する配線板状部材の差込み方向に沿う方向にスライドせしめられると、スライドする可動導電性シェルにおける透孔に形成されたテーパ部が、可動係止手段に形成されたイジェクト係止片に係合して、そのイジェクト係止片を押圧し、可動係止手段をそれに形成された係止部の配線板状部材における係合部との係合状態を解除する方向に移動させる。それにより、可動係止手段に形成された係止部が配線板状部材における係合部との係合から解放され、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【００１５】
さらに、特許文献３に示されるコネクタ装置にあっては、ハウジング(11)の外面部を部分的に覆うものとして配された導電性シェル(14)に、ハウジング内に伸びて、ハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部(12)を通じて差し込まれた配線板状部材であるフレキシブル印刷配線基板(40)を係止する状態をとる係止手段（ロック部(20)) が形成されている。また、ハウジングには、それと一体的に形成されて移動可能とされ、一端部が導電性シェルの外方に突出するとともに、他端部が係止手段に係合する係止解除手段（ロック解除部(30)) が設けられている。
【００１６】
係止手段は、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部(43;44) に係合して配線板状部材を係止する係止部(23)と係止部を変位可能に支持する弾性アーム部(22)とを備えており、弾性アーム部に係止解除手段の他端部が係合する。
【００１７】
そして、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、配線板状部材における係合部に係止手段における係止部が係合して配線板状部材を係止し、それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【００１８】
その後、導電性シェルの外部に突出した係止解除手段の一端部をハウジング内に向けて押圧する押圧操作が行われると、係止解除手段の他端部が係止手段における弾性アーム部に係合してその弾性アーム部を変位させ、それに伴って、弾性アーム部より支持された係止部が配線板状部材における係合部との係合を解除する位置へと変位せしめられる。それにより、可動係止手段に形成された係止部が配線板状部材における係合部との係合から解放され、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１９】
【特許文献１】特開２００３−１００３７０号公報（３〜４頁，図１〜１０）
【特許文献２】特開２００９−２３１０６９号公報（３〜４頁，図１〜５）
【特許文献３】特開２０１１−４０２４６号公報（１１〜１６頁，図５〜１１，１５〜１７）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００２０】
上述のような、ハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板等の配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えた、配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置として従来提案されているものにあっては、係止手段の配線板状部材に対する係止への関与がハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータの回動操作に連動して行われる状態，係止手段による配線板状部材に対する係止解除がハウジングに対して移動可能に設けられた可動導電性シェルの移動に連動して行われる状態、あるいは、導電性シェルに形成された係止手段による配線板状部材に対する係止解除がハウジングに一体的に設けられた係止解除手段が押圧操作されることにより行われる状態がとられる。
【００２１】
そして、係止手段の配線板状部材に対する係止への関与がハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータの回動操作に連動して行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、ハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータを備えることが不可欠とされ、そのことが、コネクタ装置の製造コストを嵩ませる要因となる。それに加えて、係止手段を配線板状部材に対する係止あるいは係止解除に関与させるにあたっては、アクチュエータをハウジングに対して回動させる操作が不可欠とされ、斯かる操作を行うための不所望なスペースをコネクタ装置の周囲に設けることが必要とされる。
【００２２】
また、ハウジングに対して移動可能とされた可動導電性シェルが備えられ、係止手段による配線板状部材に対する係止解除が可動導電性シェルの移動に連動して行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、可動導電性シェルがハウジングに対して移動可能とされるので、コネクタ装置の主配線基板への固定のために導電性シェルを利用することができず、別途、コネクタ装置を主配線基板に固定するための部材（ホールドダウン部材）を備えることが必要とされ、そのことが、コネクタ装置の製造コストを嵩ませる要因となる。さらに、ハウジングに対して可動導電性シェルを移動可能とするための機構が必要とされて、そのことが構成の複雑化をまねき、コネクタ装置の製造コストをなお一層嵩ませることになってしまう。
【００２３】
さらに、導電性シェルに形成された係止手段による配線板状部材に対する係止解除がハウジングに一体的に設けられた係止解除手段が押圧操作されることにより行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、係止手段がハウジングの外面部を部分的に覆う導電性シェルに形成されるのに対して、係止解除手段がハウジングに一体的に設けられるので、導電性シェル及びハウジングの両方についての構成の複雑化がまねかれてしまう。また、導電性シェルは通常金属材料によって形成され、また、ハウジングは通常絶縁材料によって形成されるので、係止手段が金属材料製とされ、一方、係止解除手段は絶縁材料製とされることになり、その結果、ハウジングに一体的に設けられて移動可能とされる係止解除手段が、導電性シェルに形成される係止手段に比して耐久性において劣るものとなることが考えられる。
【００２４】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングとハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトとを備えたコネクタ装置であって、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータ、あるいは、ハウジングに対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、導電性シェルとハウジングとに夫々係止手段と係止解除手段とを設ける必要がなく、それにより、部品点数の減少による製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができるもとで、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止及びその係止の解除を、簡単な構成をもって確実かつ容易に行えることになるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【００２５】
本願の特許請求の範囲における請求項１から請求項７までのいずれかに記載された発明（以下、本願発明という。）に係るコネクタ装置は、板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、ハウジングにその長手方向に沿って配列配置され、配線基板に設けられた配線端子に連結される状態をとり、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、ハウジングに取り付けられて、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、複数のコンタクトが複数の接触端子部に接触接続された状態を維持すべく配線板状部材に対する係止を行う係止状態とその係止を解除する係止解除状態とを選択的にとる弾性係合部材とを備えて成り、弾性係合部材が、ハウジングに固定される固定部と、ハウジングの長手方向となる方向の両端部において固定部から夫々伸びる第１及び第２の弾性可動アーム状部と、ハウジングにおける長手方向に伸びて第１及び第２の弾性可動アーム状部を相互連結する可動連結部とを有し、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して配線板状部材を係止する係止部が設けられ、かつ、可動連結部に、ハウジングの外部へと突出し、ハウジングから離隔せしめられる移動操作が係合部により配線板状部材が係止されたもとで加えられるとき、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に配線板状部材から離隔する弾性変位を生じさせて、係止部による配線板状部材に対する係止を解除する係止解除部が設けられていることを特徴とするものとされる。
【００２６】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項２に記載された本願発明に係るコネクタ装置にあっては、弾性係合部材が有する可動連結部に設けられた係止解除部が、ハウジングの長手方向に伸びるものとされている。
【００２７】
また、本願の特許請求の範囲における請求項３に記載された本願発明に係るコネクタ装置にあっては、弾性係合部材が金属材料によって一体的に構成されて、弾性係合部材が有する固定部が、ハウジングにおける板状部材差込み部が開口する第１の端面部に対向する第２の端面部の内側に固定され、弾性係合部材が有する第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々が、固定部からハウジングにおける第１の端面部に向かって伸びる揺動変位可能部を成すものとされる。
【００２８】
上述のような本願発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材が配線基板上に配されるハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれると、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトが差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続されるとともに、ハウジングに取り付けられた弾性係合部材が、ハウジング内において、差し込まれた配線板状部材を係止し、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する。そして、弾性係合部材が配線板状部材を係止したもとで、弾性係合部材に所定の操作が加えられると、配線板状部材を係止した弾性係合部材が、ハウジング内において、配線板状部材に対する係止を解除して、配線板状部材のハウジングからの抜脱を可能とする。
【００２９】
弾性係合部材は、ハウジングに固定される固定部とハウジングにおける長手方向の両端部において固定部から夫々伸びる第１及び第２の弾性可動アーム状部とハウジングにおける長手方向に伸びて第１及び第２の弾性可動アーム状部を相互連結する可動連結部とを有しており、例えば、金属材料によって一体的に構成される。斯かるもとで、弾性係合部材の第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々には、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における、例えば、係合切欠き部もしくは係合孔とされる係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部が設けられ、また、弾性係合部材の可動連結部には、ハウジングの外部へと突出する係止解除部が設けられる。そして、係止解除部は、それをハウジングから離隔せしめる移動操作が係合部により配線板状部材が係止されたもとで加えられるとき、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に配線板状部材から離隔する弾性変位を生じさせて、係止部による配線板状部材に対する係止を解除する。
【００３０】
さらに、弾性係合部材の可動連結部に設けられる係止解除部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項２に記載された本願発明に係るコネクタ装置の場合のように、ハウジングの長手方向に沿って伸びるものとされる。
【００３１】
また、弾性係合部材にあっては、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項３に記載された本願発明に係るコネクタ装置の場合のように、金属材料によって一体的に構成されるもとで、固定部がハウジングにおける板状部材差込み部が開口する第１の端面部に対向する第２の端面部に固定され、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々が固定部からハウジングにおける第１の端面部に向かって伸びる揺動変位可能部を成す。
【発明の効果】
【００３２】
本願発明に係るコネクタ装置においては、上述のように、ハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対しての、ハウジングに取り付けられた弾性係合部材による、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止、及び、配線板状部材のハウジングからの抜脱を可能とするための係止の解除を行うにあたり、例えば、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータ、あるいは、ハウジングに対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、ハウジングの外面部を覆う導電性シェルとハウジングとに夫々係止手段と係止解除手段とを設けることが必要とされず、それにより、部品点数の減少による製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができる。
【００３３】
また、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う弾性係合部材が、ハウジングに固定される固定部と、固定部から伸びる第１及び第２の弾性可動アーム状部と、ハウジングにおける長手方向に伸びて第１及び第２の弾性可動アーム状部を相互連結する可動連結部と、を有しており、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々には、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における、例えば、係合切欠き部もしくは係合孔とされる係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部が設けられ、また、可動連結部には、ハウジングの外部へと突出する係止解除部が設けられる。そして、係止解除部は、それをハウジングから離隔せしめる移動操作が係合部により配線板状部材が係止されたもとで加えられるとき、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に配線板状部材から離隔する弾性変位を生じさせて、係止部による配線板状部材に対する係止を解除する。従って、弾性係合部材は、配線板状部材を係止する係止部と係止部による配線板状部材に対する係止を解除する操作部及び押圧部とを含む全体を、例えば、金属材料をもって一体的に形成することができる、簡単で容易に得ることができる構成を有していることになる。
【００３４】
そして、このような本願発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材をハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込むだけで、配線板状部材に対しての弾性係合部材の係止部による係止を行うことができ、それとともに、配線板状部材に対しての係止部による係止の解除を、ハウジングの外部へと突出する弾性係合部材の係止解除部に、それをハウジングから離隔せしめる移動操作を加えるだけで行うことができるので、配線板状部材についての弾性係合部材による係止及び係止解除を極めて簡単な操作によって行うことができるとともに、斯かる操作のために部材の周囲に不所望なスペースを設けることが必要とされない。
【００３５】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項２に記載された本願発明に係るコネクタ装置にあっては、弾性係合部材の可動連結部に設けられる係止解除部がハウジングの長手方向に沿って伸びるものとされるので、配線板状部材についての弾性係合部材による係止を解除するための係止解除部に対する移動操作が極めて行い易いものとされる。
【００３６】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項３に記載された本願発明に係るコネクタ装置にあっては、弾性係合部材が、金属材料によって一体的に構成されるもとで、固定部がハウジングにおける板状部材差込み部が開口する第１の端面部に対向する第２の端面部に固定され、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々が固定部からハウジングにおける第１の端面部に向かって伸びる揺動変位可能部を成すものとされる。それにより、斯かる弾性係合部材にあっては、全体の小型化を図ることができるもとで、係止部による配線板状部材に対する係止に寄与する弾性力と係止部による配線板状部材に対する係止の解除に寄与する弾性力とを、揺動変位可能部を成す第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々の設定によって調整することができるので、係止部による配線板状部材に対する係止をより確実にすることができるとともに、係止部による配線板状部材に対する係止の解除をより容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００３７】
【図１】本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれが配された配線基板の部分及びそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す斜視図である。
【図２】本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれが配された配線基板の部分と共に示す平面図である。
【図３】本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれが配された配線基板の部分と共に示す正面図である。
【図４】図３におけるIV−IV線断面を示す断面図である。
【図５】本願発明に係るコネクタ装置の一例が備える弾性係合部材を示す斜視図である。
【図６】本願発明に係るコネクタ装置の一例が備える弾性係合部材を示す斜視図である。
【図７】本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板の部分と共に示す断面図である。
【図８】本願発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングに対するフレキシブル印刷配線基板の差込みが開始された状態を示す断面図である。
【図９】本願発明に係るコネクタ装置の一例が備える弾性係合部材が、コネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板を係止した状態を示す断面図である。
【図１０】本願発明に係るコネクタ装置の一例が備える弾性係合部材が、コネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板に対する係止を解除した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００３８】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【００３９】
図１（斜視図）は、本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれが配された電子機器の配線基板の部分及びそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板の部分と共に示し、図２（平面図）及び図３（正面図）は、本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれが配された電子機器の配線基板の部分と共に示す。
【００４０】
図１，図２及び図３において、本願発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置１０は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成され、電子機器の配線基板１１における部品等搭載面１２上に配されたハウジング１３を備えている。ハウジング１３には、その正面側端面部１３Ｆに板状部材差込み部１４が設けられており、板状部材差込み部１４からハウジング１３の内部へと板状部材収容空間が伸びている。
【００４１】
ハウジング１３が配線基板１１における部品等搭載面１２上に配されることにより、コネクタ装置１０の全体が配線基板１１に取り付けられたものとされる。その際、ハウジング１３における正面側端面部１３Ｆとそれに対向する背面側端面部１３Ｒとに挟まれた一対の対向外面部のうちの一方が配線基板１１の部品等搭載面１２に対接する外面部とされて他方が解放された外面部とされる。以下においては、配線基板１１の部品等搭載面１２に対接するハウジング１３の一外面部を下方外面部１３Ｄといい、それに対向するハウジング１３の他外面部を上方外面部１３Ｕという。そして、正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４を通じて、例えば、フレキシブル印刷配線基板１５が、配線板状部材を成すものとして、ハウジング１３にその内部へと差し込まれる。
【００４２】
ハウジング１３には、各々が弾性導電材料で形成された複数のコンタクト１６が、配線基板１１の部品等搭載面１２に沿う方向となるハウジング１３の長手方向に沿って配列配置されて設けられている。複数のコンタクト１６は、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板１５に配列配置された複数の接触端子部１７に接触接続される信号用コンタクトとして設けられているが、他のフレキシブル印刷配線基板における複数の信号接続端子部及び接地接続部に接触接続される信号用及び接地用コンタクトとして用いられてもよい。
【００４３】
図２、さらには、図３におけるIV−IV線断面をあらわす図４に示されるように、複数のコンタクト１６の夫々は、ハウジング１３に固定される固定部２１と、固定部２１からハウジング１３の内部へと伸びる屈曲アーム部２２と、固定部２１からハウジング１３の外部へと伸びる接続端子部２３とを有している。屈曲アーム部２２には、その先端部分に接点部２４が形成されている。接続端子部２３は、ハウジング１３が配された配線基板１１に設けられた配線端子に、例えば、半田付けにより接続される。そして、複数のコンタクト１６は、例えば、ハウジング１３の背面側端面部１３Ｒ側から、ハウジング１３の内部へと押圧挿入されて、各々の固定部２１がハウジング１３の背面側端面部１３Ｒに固定される。
【００４４】
このようなもとで、ハウジング１３に板状部材差込み部１４を通じて差し込まれるフレキシブル印刷配線基板１５は、それにおける複数の接触端子部１７がハウジング１３に配列配置された複数のコンタクト１６に夫々対応する位置をとる状態におかれる。そして、複数のコンタクト１６の夫々における接点部２４が、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７のうちの対応するものに接触接続される。それにより、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７が、複数のコンタクト１６を介して、ハウジング１３が配された配線基板１１に設けられた配線端子に連結される。フレキシブル印刷配線基板１５には、複数の接触端子部１７の配列方向における両側縁部に切欠き係合部１８Ａ及び１８Ｂが夫々形成されている。
【００４５】
また、コネクタ装置１０は、ハウジング１３における板状部材差込み部１４が設けられた正面側端面部１３Ｆ側に、ハウジング１３の長手方向に伸びる、例えば、金属材料によって形成された弾性係合部材２５を備えている。この弾性係合部材２５は、その長手方向をハウジング１３の長手方向と同方向としており、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板１５が板状部材差込み部１４を通じてハウジング１３に差し込まれたとき、フレキシブル印刷配線基板１５に対する係止を行う係止状態とその係止を解除する係止解除状態とを選択的にとるためのものとして、ハウジング１３に取り付けられている。
【００４６】
弾性係合部材２５は、例えば、弾性金属板材に打抜き屈曲加工が施されて一体形成され、各々が弾性係合部材２５を単体で示す図５（斜視図）及び図６（斜視図）に示されるように、ハウジング１３における背面側端面部１３Ｒの内側に固定される一対の固定部２６Ａ及び２６Ｂと、固定部２６Ａ及び２６Ｂを相互連結する第１の固定連結部２７と、固定部２６Ａ及び２６Ｂから夫々伸びる一対の弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂと、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂを相互連結する可動連結部２９と、固定部２６Ａ及び２６Ｂから夫々伸びてハウジング１３が配される配線基板１１に設けられた導体部分に接続される一対の基板接続アーム状部３０Ａ及び３０Ｂと、基板接続アーム状部３０Ａ及び３０Ｂを相互連結するとともにハウジング１３が配される配線基板１１に設けられた導体部分に接続される第２の固定連結部３１とを有している。一対の基板接続アーム状部３０Ａ及び３０Ｂと第２の固定連結部３１とは、それらの全体で基板接続部を構成している。
【００４７】
固定部２６Ａ及び２６Ｂは、弾性係合部材２５における長手方向（ハウジング１３の長手方向と同方向）の両端部に夫々配されており、それゆえ、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂは、弾性係合部材２５における長手方向の両端部において、固定部２６Ａ及び２６Ｂから夫々伸びており、また、基板接続アーム状部３０Ａ及び３０Ｂも、弾性係合部材２５における長手方向の両端部において、固定部２６Ａ及び２６Ｂから夫々伸びている。さらに、第１の固定連結部２７，可動連結部２９及び第２の固定連結部３１の夫々は、弾性係合部材２５の長手方向に沿って伸びている。
【００４８】
弾性可動アーム状部２８Ａは、固定部２６Ａから伸びて基板接続アーム状部３０Ａに所定の距離をおいて対向するものとして配されていて、弾性可動アーム状部２８Ａには、板状部材差込み部１４を通じてハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における切欠き係合部１８Ａに係合してフレキシブル印刷配線基板１５を係止する係止部３２Ａが、基板接続アーム状部３０Ａに向かって突出するものとして屈曲形成されており、さらに、ハウジング１３への板状部材差込み部１４を通じたフレキシブル印刷配線基板１５の差込み方向に沿って下降傾斜することになる傾斜面を形成する傾斜面部３３Ａが係止部３２Ａに連なるものとして設けられている。そして、弾性可動アーム状部２８Ａは、それに屈曲形成された係止部３２Ａ及び係止部３２Ａに連なる傾斜面部３３Ａを伴って、基板接続アーム状部３０Ａに近接あるいは離隔する揺動を弾性をもって行う、固定部２６Ａからハウジング１３における正面側端面部１３Ｆに向かって伸びる揺動変位可能部を形成している。
【００４９】
また、弾性可動アーム状部２８Ｂは、固定部２６Ｂから伸びて基板接続アーム状部３０Ｂに所定の距離をおいて対向するものとして配されていて、弾性可動アーム状部２８Ｂには、板状部材差込み部１４を通じてハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における切欠き係合部１８Ｂに係合してフレキシブル印刷配線基板１５を係止する係止部３２Ｂが、基板接続アーム状部３０Ｂに向かって突出するものとして屈曲形成されており、さらに、ハウジング１３への板状部材差込み部１４を通じたフレキシブル印刷配線基板１５の差込み方向に沿って下降傾斜することになる傾斜面を形成する傾斜面部３３Ｂが係止部３２Ｂに連なるものとして設けられている。そして、弾性可動アーム状部２８Ｂは、それに屈曲形成された係止部３２Ｂ及び係止部３２Ｂに連なる傾斜面部３３Ｂを伴って基板接続アーム状部３０Ｂに近接あるいは離隔する揺動を弾性をもって行う、固定部２６Ｂからハウジング１３における正面側端面部１３Ｆに向かって伸びる揺動変位可能部を形成している。
【００５０】
弾性可動アーム状部２８Ａに設けられた傾斜面部３３Ａ及び弾性可動アーム状部２８Ｂに設けられた傾斜面部３３Ｂには、板状部材差込み部１４を通じてハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５の先端部分が当接係合する。
【００５１】
可動連結部２９には、弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａ及び弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止を解除すべく操作される係止解除部３４が設けられている。係止解除部３４は、可動連結部２９からその長手方向の全体に亙って伸び、ハウジング１３における上方外面部１３Ｕからハウジング１３の外部へと突出することになるものとされている。従って、係止解除部３４は、ハウジング１３の長手方向に沿って伸びるものとされていることになる。
【００５２】
なお、基板接続部を構成する基板接続アーム状部３０Ａには、それから突出してハウジング１３に係合する係合突起部３５Ａが設けられており、また、同様に基板接続部を構成する基板接続アーム状部３０Ｂには、それから突出してハウジング１３に係合する係合突起部３５Ｂが設けられている。これらの係合突起部３５Ａ及び３５Ｂは、弾性係合部材２５がハウジング１３に取り付けられるにあたり、弾性係合部材２５のハウジング１３に対する堅固な固定に貢献する。
【００５３】
このように構成された弾性係合部材２５が、ハウジング１３に取り付けられたときには、弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａ及びそれに連なる傾斜面部３３Ａと弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂ及びそれに連なる傾斜面部３３Ｂとが、ハウジング１３の正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４からハウジング１３の内部へと伸びる板状部材収容空間内となる位置に配され、また、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂを相互連結する可動連結部２９に設けられた係止解除部３４が、ハウジング１３における上方外面部１３Ｕからその外方に突出するものとされる。
【００５４】
弾性係合部材２５が取り付けられたハウジング１３は、配線基板１１における部品等搭載面１２上に配され、複数のコンタクト１６の夫々の接続端子部２３が配線基板１１に設けられた配線端子に接続され、また、弾性係合部材２５における一対の基板接続アーム状部３０Ａ及び３０Ｂと第２の固定連結部３１とにより構成される基板接続部が配線基板１１に設けられた導体部分に接続されて、コネクタ装置１０の全体が配線基板１１に取り付けられる状態におかれる。
【００５５】
そして、フレキシブル印刷配線基板１５がハウジング１３に板状部材差込み部１４を通じて差し込まれるときには、先ず、ハウジング１３内における板状部材収容空間内となる位置に配された傾斜面部３３Ａ及び３３Ｂにフレキシブル印刷配線基板１５の先端部が当接し、その後、フレキシブル印刷配線基板１５の更なる差込みに伴って、板状部材収容空間内となる位置に配された係止部３２Ａ及び３２Ｂが、フレキシブル印刷配線基板１５における切欠き係合部１８Ａ及び１８Ｂに夫々係合してフレキシブル印刷配線基板１５を係止する。そして、係止部３２Ａ及び３２Ｂがフレキシブル印刷配線基板１５における切欠き係合部１８Ａ及び１８Ｂに夫々係合してフレキシブル印刷配線基板１５を係止しているもとで、ハウジング１３における上方外面部１３Ｕからその外方に突出するものとされた係止解除部３４に、ハウジング１３から離隔せしめられる移動操作が加えられると、係止解除部３４は、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂの夫々に係止部３２Ａ及び３２Ｂにより係止されたフレキシブル印刷配線基板１５から離隔する弾性変位を生じさせ、それにより、係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止を解除する。
【００５６】
斯かる構成のもとで、各々が揺動変位可能部を形成する弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂが夫々具える弾性力は、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂの夫々の設定によって個別に設定され、夫々が個別に最適なものとされ得る。それにより、係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止をより確実にすることと係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止の解除をより容易にすることとが両立される。
【００５７】
弾性係合部材２５における係止解除部３４のハウジング１３の外部への突出は、ハウジング１３における板状部材差込み部１４が設けられた正面側端面部１３Ｆ側における上方外面部１３Ｕの一部が切り取られて形成された切欠き部１３Ｃから、係止解除部３４が、ハウジング１３の長手方向に伸びるものとして、上方外面部１３Ｕの上方に飛び出す状態をもってなされる。それにより、係止解除部３４に対するそれをハウジング１３から離隔させる移動操作は、極めて行い易く、確実に行うことができるものとされる。
【００５８】
このようなもとで、コネクタ装置１０のハウジング１３が、その下方外面部１３Ｄを配線基板１１における部品等搭載面１２に対接させて、配線基板１１に取り付けられたもとで、フレキシブル印刷配線基板１５が板状部材差込み部１４を通じてハウジング１３に差し込まれる際には、上述の図１に示されるように、フレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７が配列配置された部分の先端部が、ハウジング１３の正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４に対向する位置に配される。そして、フレキシブル印刷配線基板１５は、それにおける複数の接触端子部１７がコネクタ装置１０のハウジング１３に配列配置された複数のコンタクト１６に夫々対応する位置をとる状態におかれる。
【００５９】
このとき、コネクタ装置１０のハウジング１３における長手方向の両端部のうちの一方においては、図７に詳細に示されるように、弾性係合部材２５における固定部２６Ｂが設けられた端部が、固定部２６Ｂがハウジング１３における背面側端面部１３Ｒの内側に固定され、その固定部２６Ｂから伸びる弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂ及びそれに連なる傾斜面部３３Ｂが、ハウジング１３の正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４からハウジング１３の内部へと伸びる板状部材収容空間内に臨み、また、固定部２６Ｂから伸びる基板接続アーム状部３０Ｂが、配線基板１１における部品等搭載面１２に当接するものとされて、配されている。そして、フレキシブル印刷配線基板１５は、それにおける切欠き係合部１８Ｂが弾性係合部材２５の弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂに対応する位置をとる。
【００６０】
同様に、コネクタ装置１０のハウジング１３における長手方向の両端部のうちの他方においても、弾性係合部材２５における固定部２６Ａが設けられた端部が、固定部２６Ａがハウジング１３における背面側端面部１３Ｒの内側に固定され、その固定部２６Ａから伸びる弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａ及びそれに連なる傾斜面部３３Ａが、ハウジング１３の正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４からハウジング１３の内部へと伸びる板状部材収容空間内に臨み、また、固定部２６Ａから伸びる基板接続アーム状部３０Ａが、配線基板１１における部品等搭載面１２に当接するものとされて、配されている。そして、フレキシブル印刷配線基板１５は、それにおける切欠き係合部１８Ａが弾性係合部材２５の弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａに対応する位置をとる。
【００６１】
このとき、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂを相互連結する可動連結部２９に設けられた係止解除部３４が、ハウジング１３の上方外面部１３Ｕに形成された切欠き部１３Ｃを通じてハウジング１３の外部へと突出している。
【００６２】
その後、図８に示されるように、フレキシブル印刷配線基板１５は、コネクタ装置１０のハウジング１３に、その正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４を通じて差し込まれる。その際には、先ず、フレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７が配列配置された部分を挟む一対の側端縁部の夫々の先端部が、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに設けられた傾斜面部３３Ｂが形成する傾斜面、及び、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａに設けられた傾斜面部３３Ａが形成する傾斜面に夫々当接する。
【００６３】
続いて、フレキシブル印刷配線基板１５における一対の側端縁部は、フレキシブル印刷配線基板１５のハウジング１３に対する差込み移動に伴って、夫々、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに設けられた傾斜面部３３Ｂが形成する傾斜面及び弾性可動アーム状部２８Ａに設けられた傾斜面部３３Ａが形成する傾斜面による案内を受けて、弾性可動アーム状部２８Ｂ及び２８Ａを弾性係合部材２５における基板接続アーム状部３０Ｂ及び３０Ａから夫々離隔する方向（上方）に弾性変位させつつ進み、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂ及び２８Ａに夫々屈曲形成された係止部３２Ｂ及び３２Ａが、当該一対の側端縁部を夫々乗り越える状態がとられる。
【００６４】
このとき、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂは、一旦、揺動を生じて、基板接続アーム状部３０Ｂから離隔する位置へと変位し、その後、自らの弾性復元力によって元の位置に戻る。それにより、図９に示されるように、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂが、フレキシブル印刷配線基板１５に設けられた切欠き係合部１８Ｂに係合する状態が得られる。
【００６５】
同様に、図示は省略されているが、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａも、一旦、揺動を生じて、基板接続アーム状部３０Ａから離隔する位置へと変位し、その後、自らの弾性復元力によって元の位置に戻る。それにより、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａが、フレキシブル印刷配線基板１５に設けられた切欠き係合部１８Ａに係合する状態が得られる。
【００６６】
このようにして、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂが切欠き係合部１８Ｂに係合するとともに弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａが切欠き係合部１８Ａに係合する状態が得られると、フレキシブル印刷配線基板１５のハウジング１３への差込みが完了し、フレキシブル印刷配線基板１５は、ハウジング１３に対する正規の差込み位置をとり、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２及び弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａにより係止されて、ハウジング１３からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれる。即ち、フレキシブル印刷配線基板１５は、ハウジング１３に板状部材差込み部１４を通じて適正に差し込まれるだけで、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２及び弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａにより係止されて、ハウジング１３からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれることになる。
【００６７】
フレキシブル印刷配線基板１５がハウジング１３への板状部材差込み部１４を通じての差込みを完了して正規の差込み位置をとるもとにおいては、ハウジング１３に配列配置された複数のコンタクト１６が、各々の屈曲アーム部２２の先端部分に形成された接点部２４をハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７に夫々弾性当接させて、複数の接触端子部１７に夫々接触接続された状態におかれる。それにより、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７が、複数のコンタクト１６を介して、ハウジング１３が配された配線基板１１に設けられた配線端子に連結される。斯かる状態は、フレキシブル印刷配線基板１５がハウジング１３に板状部材差込み部１４を通じて適正に差し込まれるだけで得られる。
【００６８】
その後、図１０に示されるように、弾性係合部材２５において、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂを相互連結する可動連結部２９に設けられて、ハウジング１３の上方外面部１３Ｕに形成された切欠き部１３Ｃを通じてハウジング１３の外部に突出する係止解除部３４に、それをハウジング１３から離隔させる移動操作が加えられると、それに伴って可動連結部２９がハウジング１３の上方外面部１３Ｕの外方に向かって移動する。それにより、弾性可動アーム状部２８Ｂ及び２８Ａの夫々が、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５から離隔する弾性変位を生じるものとされ、それに伴って、弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂ及び弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａが、夫々ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５に設けられた切欠き係合部１８Ｂ及び１８Ａに係合しなくなり、フレキシブル印刷配線基板１５に対する係止を解除する。即ち、係止解除部３４は、それにハウジング１３から離隔させる移動操作が加えられるとき、弾性可動アーム状部２８Ｂ及び２８Ａの夫々にハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５から離隔する弾性変位を生じさせて、弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂ及び弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止を解除するのである。
【００６９】
このようにして、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂ及び弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止が解除されることにより、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５が、ハウジング１３から適正に抜脱され得る状態におかれる。
【００７０】
そして、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５がハウジング１３から適正に抜脱され、弾性係合部材２５における係止解除部３４にそれをハウジング１３から離隔させる移動操作が加えられなくなると、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂの夫々は、自らの弾性復元力によって元の位置に戻り、それに伴って、弾性係合部材２５における可動連結部２９及び係止解除部３４も元の位置に戻る。
【００７１】
なお、上記の例にあっては、フレキシブル印刷配線基板１５が一対の切欠き係合部１８Ａ及び１８Ｂが設けられたものとされているが、フレキシブル印刷配線基板１５は、一対の切欠き係合部１８Ａ及び１８Ｂに代えて、一対の係合孔が設けられたものとされてもよく、斯かる場合にも、上述と同様にして、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂに夫々屈曲形成された係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止及び係止の解除が行われる。
【００７２】
上述のようなコネクタ装置１０にあっては、ハウジング１３にそれに設けられた板状部材差込み部１４を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５に対しての、ハウジング１３に取り付けられた弾性係合部材２５に設けられた係止部３２Ａ及び３２Ｂによる、フレキシブル印刷配線基板１５のハウジング１３からの不所望な抜脱を阻止するための係止、及び、フレキシブル印刷配線基板１５のハウジング１３からの抜脱を可能とするための係止の解除を行うにあたり、例えば、ハウジング１３に対して回動可能とされるアクチュエータ、あるいは、ハウジング１３に対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、ハウジング１３の外面部を覆う導電性シェルとハウジング１３とに夫々係止手段と係止解除手段とを設けることが必要とされず、それにより、部品点数の減少による製造コストの低減を図ることができ、しかも、フレキシブル印刷配線基板１５に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができる。
【００７３】
また、コネクタ装置１０が用いられてそれにおけるハウジング１３に配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板１５が差し込まれるもとにあっては、コネクタ装置１０が、ハウジング１３に配列配置された複数のコンタクト１６に加えて、ハウジング１３に固定される固定部２６Ａ及び２６Ｂと、係止部３２Ａ及びそれに連なる傾斜面部３３Ａと係止部３２Ｂ及びそれに連なる傾斜面部３３Ｂとが夫々形成された弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂと、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂを相互連結する可動連結部２９と、可動連結部２９に設けられた係止解除部３４とを含んで一体形成された弾性係合部材２５を備えるものとされることにより、フレキシブル印刷配線基板１５をハウジング１３に板状部材差込み部１４を通じて差し込むだけで、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７が、複数のコンタクト１６を介して、ハウジング１３が配された配線基板１１に設けられた配線端子に連結されるとともに、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５を弾性係合部材２５に設けられた一対の係止部３２Ａ及び３２Ｂによって適正かつ確実に係止することができ、さらに、弾性係合部材２５における係止解除部３４にハウジング１３から離隔させる移動操作を加えるだけで、斯かる操作のために弾性係合部材２５の周囲に不所望なスペースを設けることが必要とされることなく、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止部３２Ａ及び３２Ｂによる係止を要かつ確実に解除することができる。そして、弾性係合部材２５は、例えば、金属材料をもって一体に形成することができる、簡単で容易に得ることができる構成を有したものとされる。
【００７４】
また、コネクタ装置１０においては、弾性係合部材２５における可動連結部２９に設けられる係止解除部３４が、ハウジング１３の長手方向に沿って伸びるものとされるので、フレキシブル印刷配線基板１５についての弾性係合部材２５に設けられた係止部３２Ａ及び３２Ｂによる係止を解除するための係止解除部３４に対する移動操作が極めて行い易いものとされる。
【００７５】
さらに、コネクタ装置１０においては、弾性係合部材２５における固定部２６Ａ及び２６Ｂがハウジング１３における背面側端面部１３Ｒの内側に固定され、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂが、夫々固定部２６Ａ及び２６Ｂからハウジング１３における正面側端面部１３Ｆに向かって伸びる揺動変位可能部を成すものとされる。それにより、弾性係合部材２５にあっては、全体の小型化を図ることができるもとで、係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止に寄与する弾性力とフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止の解除に寄与する弾性力とを、揺動変位可能部を成す弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂの夫々の設定によって調整することができるので、係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止をより確実にすることができるとともに、係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止の解除をより容易にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【００７６】
以上のような本願発明に係るコネクタ装置は、例えば、フレキシブル印刷配線基板等とされる配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、ハウジングに設けられ、配線板状部材がハウジングに差し込まれたとき、配線板状部材に対する係止状態と係止解除状態とを選択的にとる弾性係合部材とを備えたコネクタ装置であって、構成の簡略化と部品点数の減少とによる製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができるもとで、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止及びその係止の解除を、簡単な構成をもって確実かつ容易に行えることになるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【００７７】
１０・・・コネクタ装置， １１・・・配線基板， １２・・・部品等搭載面， １３・・・ハウジング， １３Ｆ・・・正面側端面部， １３Ｒ・・・背面側端面部， １３Ｕ・・・上方外面部， １３Ｄ・・・下方外面部， １４・・・板状部材差込み部， １５・・・フレキシブル印刷配線基板， １６・・・コンタクト， １７・・・接触端子部， ２１・・・（コンタクト１６の）固定部， ２２・・・屈曲アーム部， ２３・・・接続端子部， ２４・・・接点部， ２５・・・弾性係合部材， ２６Ａ，２６Ｂ・・・（弾性係合部材２５の）固定部， ２７・・・第１の固定連結部， ２８Ａ，２８Ｂ・・・弾性可動アーム状部， ２９・・・可動連結部， ３０Ａ，３０Ｂ・・・基板接続アーム状部， ３１・・・第２の固定連結部， ３２Ａ，３２Ｂ・・・係止部， ３３Ａ，３３Ｂ・・・傾斜面部， ３４・・・係止解除部， ３５Ａ，３５Ｂ・・・係合突起部
【技術分野】
【０００１】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板（ＦＰＣ）やフレキシブル平板状ケーブル（ＦＦＣ）等の配線板状部材が装着されるもとで、装着された配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続されるコンタクトと装着された配線板状部材に対する係止及び係止解除を行う係合部材とを備えたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
各種の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等の配線板状部材は、種々の電気部品が取り付けられる主配線基板への取付けが、当該主配線基板に電気的接続がなされて固定されるコネクタ装置が用いられて行われることが多いものとされる。このような配線板状部材の主配線基板への取付けにあたって用いられるコネクタ装置は、配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続される導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板状部材に設けられた接触端子部を主配線基板に設けられた配線端子に電気的に接続する。
【０００３】
従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置であって第１の類型に属するものは、例えば、絶縁材料によって形成され、配線板状部材が差し込まれる差込み部が設けられたものとされて主配線基板に配されるハウジングを有している。そして、そのハウジングに配列配置されて設けられて主配線基板に設けられた配線端子に連結され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、その配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトと、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータとを備えている。
【０００４】
斯かる従来の第１の類型に属するコネクタ装置に備えられるアクチュエータは、複数のコンタクトの夫々に係合し、回動せしめられるとき複数のコンタクトの夫々における作動部を変位させて、複数のコンタクトに、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続された状態、もしくは、複数の接触端子部との接触接続から解放された状態をとらせるもの、または、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に当接し、回動せしめられるとき、配線板状部材を押圧して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトに夫々接触接続された状態におく、もしくは、配線板状部材に対する押圧を解除して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトとの接触接続から解放された状態におくものとされる。そして、複数のコンタクトと配線板状部材に設けられた複数の接触端子部とが相互接触接続されることにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【０００５】
さらに、従来提案されている配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置であって第２の類型に属するものは、上述のようなハウジングを有し、上述のような複数のコンタクトを備えるとともに、外部からの電磁波ノイズに対するシールド効果を得るため、ハウジングを部分的もしくは全体的に覆うものとして配されて主配線基板に設けられた接地端子に連結される導電性シェルを、必要に応じて備えているが、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータは備えていない。斯かる従来の第２の類型に属するコネクタ装置にあっては、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、自動的に、ハウジング内に設けられた複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに適正に差し込まれるだけで、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【０００６】
このような従来提案されているコネクタ装置にあっては、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータを備えたもの及び斯かるアクチュエータを備えていないもののいずれの場合にも、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、主配線基板に配されたハウジングに差込み部を通じて差し込まれて、ハウジングに配された複数のコンタクトが、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続され、それにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれるにあたり、配線板状部材がハウジングから不所望に抜脱するような事態が回避されなくてはならない。当然のことながら、ハウジングに配された複数のコンタクトがハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続された状態が適正に維持されるためには、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材が、その状態を安定に維持することができ、ハウジングから不所望に抜脱されるような事態をまねかないものとされることが必要とされるのである。
【０００７】
そのため、上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトとハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータとを備えた第１の類型に属するコネクタ装置であって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えたものが従来提案されている（例えば、特許文献１参照。）。また、上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトを備え、さらに、導電性シェルを必要に応じて備えているが、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータは備えていない第２の類型に属するコネクタ装置であって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する係止手段を備えたものも従来提案されている（例えば、特許文献２及び特許文献３参照。）。
【０００８】
特許文献１に示されるコネクタ装置（フレキシブル基板用コネクタ）にあっては、ハウジング(2) における複数のコンタクト(6) の配列方向の両端側壁(5) に一対の補強金具(20)が夫々取り付けられており、各補強金具には、ハウジングに差込み部（開口部(3))を通じて差し込まれた配線板状部材（フレキシブル基板(30)) に当接して配線板状部材にそれを押し上げる方向の押圧力を作用させる、もしくは、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材における係合部（係合孔又は切欠き部(32)) に係合する状態をとる係止手段（弾性支持片(25)) が形成されている。そして、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータ（加圧部材(12)) が、ハウジングに対して起き上がった位置からハウジングに対して伏した位置へと回動されるとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、アクチュエータによって、補強金具に形成された係止手段とは反対側から当該係止手段に向かって押圧される。
【０００９】
それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、アクチュエータと補強金具に形成された係止手段とによって押圧挟持されることにより係止され、もしくは、補強金具に形成された係止手段が配線板状部材における係合部に係合することにより係止される。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【００１０】
その後、アクチュエータが、ハウジングに対して伏した位置からハウジングに対して起き上がった位置へと回動されるとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がアクチュエータにより押圧されなくなり、配線板状部材がアクチュエータと補強金具に形成された係止手段とによって押圧挟持された状態、もしくは、補強金具に形成された係止手段が配線板状部材における係合部に係合した状態が解除される。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【００１１】
また、特許文献２に示されるコネクタ装置（ロック付きＦＰＣ用コネクタ）にあっては、ハウジング（絶縁ハウジング(5))にそれに対してスライド可能に設けられた可動導電性シェル（イジェクトプレート(8))が備えられている。この可動導電性シェルは、ハウジングとの間に配されたコイルスプリング等の弾性部材(7) によって、ハウジングに対する配線板状部材 (ＦＰＣ基板(2))の差込み方向とは逆の方向に付勢されている。また、ハウジングにおける複数のコンタクト（コンタクトピン(4))の配列方向の両端部分に一対の可動係止手段（弾性係止爪(6) が夫々取り付けられており、各可動係止手段は、その先端部に、ハウジングに差込み部（開口部(3))を通じて差し込まれた配線板状部材における係合部（凹部(2d)) に係合する状態をとる係止部(6c)が形成されていて、配線板状部材に対するロック装置を構成している。
【００１２】
各可動係止手段には、可動導電性シェルにおける透孔内に配される突起を成すイジェクト係止片(6d)が形成されていて、このイジェクト係止片(6d)には、可動導電性シェルがスライドするとき、当該可動導電性シェルにおける透孔に形成されたテーパ部(8a)が係合する。
【００１３】
そして、各可動係止手段に形成されたイジェクト係止片が可動導電性シェルにおける透孔内に配されていて、当該透孔に形成されたテーパ部がイジェクト係止片に係合していないもとで、配線板状部材がハウジングに差込み部を通じて差し込まれると、可動係止手段に形成された係止部が、配線板状部材における係合部に係合して配線板状部材を係止する。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【００１４】
その後、可動導電性シェルが、それをハウジングに対する配線板状部材の差込み方向とは逆の方向に付勢している弾性部材の付勢力に抗して、ハウジングに対する配線板状部材の差込み方向に沿う方向にスライドせしめられると、スライドする可動導電性シェルにおける透孔に形成されたテーパ部が、可動係止手段に形成されたイジェクト係止片に係合して、そのイジェクト係止片を押圧し、可動係止手段をそれに形成された係止部の配線板状部材における係合部との係合状態を解除する方向に移動させる。それにより、可動係止手段に形成された係止部が配線板状部材における係合部との係合から解放され、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【００１５】
さらに、特許文献３に示されるコネクタ装置にあっては、ハウジング(11)の外面部を部分的に覆うものとして配された導電性シェル(14)に、ハウジング内に伸びて、ハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部(12)を通じて差し込まれた配線板状部材であるフレキシブル印刷配線基板(40)を係止する状態をとる係止手段（ロック部(20)) が形成されている。また、ハウジングには、それと一体的に形成されて移動可能とされ、一端部が導電性シェルの外方に突出するとともに、他端部が係止手段に係合する係止解除手段（ロック解除部(30)) が設けられている。
【００１６】
係止手段は、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部(43;44) に係合して配線板状部材を係止する係止部(23)と係止部を変位可能に支持する弾性アーム部(22)とを備えており、弾性アーム部に係止解除手段の他端部が係合する。
【００１７】
そして、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、配線板状部材における係合部に係止手段における係止部が係合して配線板状部材を係止し、それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【００１８】
その後、導電性シェルの外部に突出した係止解除手段の一端部をハウジング内に向けて押圧する押圧操作が行われると、係止解除手段の他端部が係止手段における弾性アーム部に係合してその弾性アーム部を変位させ、それに伴って、弾性アーム部より支持された係止部が配線板状部材における係合部との係合を解除する位置へと変位せしめられる。それにより、可動係止手段に形成された係止部が配線板状部材における係合部との係合から解放され、ハウジングに差し込まれた配線板状部材がハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１９】
【特許文献１】特開２００３−１００３７０号公報（３〜４頁，図１〜１０）
【特許文献２】特開２００９−２３１０６９号公報（３〜４頁，図１〜５）
【特許文献３】特開２０１１−４０２４６号公報（１１〜１６頁，図５〜１１，１５〜１７）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００２０】
上述のような、ハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板等の配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えた、配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置として従来提案されているものにあっては、係止手段の配線板状部材に対する係止への関与がハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータの回動操作に連動して行われる状態，係止手段による配線板状部材に対する係止解除がハウジングに対して移動可能に設けられた可動導電性シェルの移動に連動して行われる状態、あるいは、導電性シェルに形成された係止手段による配線板状部材に対する係止解除がハウジングに一体的に設けられた係止解除手段が押圧操作されることにより行われる状態がとられる。
【００２１】
そして、係止手段の配線板状部材に対する係止への関与がハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータの回動操作に連動して行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、ハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータを備えることが不可欠とされ、そのことが、コネクタ装置の製造コストを嵩ませる要因となる。それに加えて、係止手段を配線板状部材に対する係止あるいは係止解除に関与させるにあたっては、アクチュエータをハウジングに対して回動させる操作が不可欠とされ、斯かる操作を行うための不所望なスペースをコネクタ装置の周囲に設けることが必要とされる。
【００２２】
また、ハウジングに対して移動可能とされた可動導電性シェルが備えられ、係止手段による配線板状部材に対する係止解除が可動導電性シェルの移動に連動して行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、可動導電性シェルがハウジングに対して移動可能とされるので、コネクタ装置の主配線基板への固定のために導電性シェルを利用することができず、別途、コネクタ装置を主配線基板に固定するための部材（ホールドダウン部材）を備えることが必要とされ、そのことが、コネクタ装置の製造コストを嵩ませる要因となる。さらに、ハウジングに対して可動導電性シェルを移動可能とするための機構が必要とされて、そのことが構成の複雑化をまねき、コネクタ装置の製造コストをなお一層嵩ませることになってしまう。
【００２３】
さらに、導電性シェルに形成された係止手段による配線板状部材に対する係止解除がハウジングに一体的に設けられた係止解除手段が押圧操作されることにより行われる状態がとられる従来のコネクタ装置の場合には、係止手段がハウジングの外面部を部分的に覆う導電性シェルに形成されるのに対して、係止解除手段がハウジングに一体的に設けられるので、導電性シェル及びハウジングの両方についての構成の複雑化がまねかれてしまう。また、導電性シェルは通常金属材料によって形成され、また、ハウジングは通常絶縁材料によって形成されるので、係止手段が金属材料製とされ、一方、係止解除手段は絶縁材料製とされることになり、その結果、ハウジングに一体的に設けられて移動可能とされる係止解除手段が、導電性シェルに形成される係止手段に比して耐久性において劣るものとなることが考えられる。
【００２４】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングとハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトとを備えたコネクタ装置であって、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータ、あるいは、ハウジングに対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、導電性シェルとハウジングとに夫々係止手段と係止解除手段とを設ける必要がなく、それにより、部品点数の減少による製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができるもとで、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止及びその係止の解除を、簡単な構成をもって確実かつ容易に行えることになるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【００２５】
本願の特許請求の範囲における請求項１から請求項７までのいずれかに記載された発明（以下、本願発明という。）に係るコネクタ装置は、板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、ハウジングにその長手方向に沿って配列配置され、配線基板に設けられた配線端子に連結される状態をとり、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、ハウジングに取り付けられて、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、複数のコンタクトが複数の接触端子部に接触接続された状態を維持すべく配線板状部材に対する係止を行う係止状態とその係止を解除する係止解除状態とを選択的にとる弾性係合部材とを備えて成り、弾性係合部材が、ハウジングに固定される固定部と、ハウジングの長手方向となる方向の両端部において固定部から夫々伸びる第１及び第２の弾性可動アーム状部と、ハウジングにおける長手方向に伸びて第１及び第２の弾性可動アーム状部を相互連結する可動連結部とを有し、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して配線板状部材を係止する係止部が設けられ、かつ、可動連結部に、ハウジングの外部へと突出し、ハウジングから離隔せしめられる移動操作が係合部により配線板状部材が係止されたもとで加えられるとき、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に配線板状部材から離隔する弾性変位を生じさせて、係止部による配線板状部材に対する係止を解除する係止解除部が設けられていることを特徴とするものとされる。
【００２６】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項２に記載された本願発明に係るコネクタ装置にあっては、弾性係合部材が有する可動連結部に設けられた係止解除部が、ハウジングの長手方向に伸びるものとされている。
【００２７】
また、本願の特許請求の範囲における請求項３に記載された本願発明に係るコネクタ装置にあっては、弾性係合部材が金属材料によって一体的に構成されて、弾性係合部材が有する固定部が、ハウジングにおける板状部材差込み部が開口する第１の端面部に対向する第２の端面部の内側に固定され、弾性係合部材が有する第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々が、固定部からハウジングにおける第１の端面部に向かって伸びる揺動変位可能部を成すものとされる。
【００２８】
上述のような本願発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材が配線基板上に配されるハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれると、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトが差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続されるとともに、ハウジングに取り付けられた弾性係合部材が、ハウジング内において、差し込まれた配線板状部材を係止し、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する。そして、弾性係合部材が配線板状部材を係止したもとで、弾性係合部材に所定の操作が加えられると、配線板状部材を係止した弾性係合部材が、ハウジング内において、配線板状部材に対する係止を解除して、配線板状部材のハウジングからの抜脱を可能とする。
【００２９】
弾性係合部材は、ハウジングに固定される固定部とハウジングにおける長手方向の両端部において固定部から夫々伸びる第１及び第２の弾性可動アーム状部とハウジングにおける長手方向に伸びて第１及び第２の弾性可動アーム状部を相互連結する可動連結部とを有しており、例えば、金属材料によって一体的に構成される。斯かるもとで、弾性係合部材の第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々には、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における、例えば、係合切欠き部もしくは係合孔とされる係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部が設けられ、また、弾性係合部材の可動連結部には、ハウジングの外部へと突出する係止解除部が設けられる。そして、係止解除部は、それをハウジングから離隔せしめる移動操作が係合部により配線板状部材が係止されたもとで加えられるとき、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に配線板状部材から離隔する弾性変位を生じさせて、係止部による配線板状部材に対する係止を解除する。
【００３０】
さらに、弾性係合部材の可動連結部に設けられる係止解除部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項２に記載された本願発明に係るコネクタ装置の場合のように、ハウジングの長手方向に沿って伸びるものとされる。
【００３１】
また、弾性係合部材にあっては、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項３に記載された本願発明に係るコネクタ装置の場合のように、金属材料によって一体的に構成されるもとで、固定部がハウジングにおける板状部材差込み部が開口する第１の端面部に対向する第２の端面部に固定され、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々が固定部からハウジングにおける第１の端面部に向かって伸びる揺動変位可能部を成す。
【発明の効果】
【００３２】
本願発明に係るコネクタ装置においては、上述のように、ハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対しての、ハウジングに取り付けられた弾性係合部材による、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止、及び、配線板状部材のハウジングからの抜脱を可能とするための係止の解除を行うにあたり、例えば、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータ、あるいは、ハウジングに対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、ハウジングの外面部を覆う導電性シェルとハウジングとに夫々係止手段と係止解除手段とを設けることが必要とされず、それにより、部品点数の減少による製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができる。
【００３３】
また、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う弾性係合部材が、ハウジングに固定される固定部と、固定部から伸びる第１及び第２の弾性可動アーム状部と、ハウジングにおける長手方向に伸びて第１及び第２の弾性可動アーム状部を相互連結する可動連結部と、を有しており、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々には、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における、例えば、係合切欠き部もしくは係合孔とされる係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部が設けられ、また、可動連結部には、ハウジングの外部へと突出する係止解除部が設けられる。そして、係止解除部は、それをハウジングから離隔せしめる移動操作が係合部により配線板状部材が係止されたもとで加えられるとき、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に配線板状部材から離隔する弾性変位を生じさせて、係止部による配線板状部材に対する係止を解除する。従って、弾性係合部材は、配線板状部材を係止する係止部と係止部による配線板状部材に対する係止を解除する操作部及び押圧部とを含む全体を、例えば、金属材料をもって一体的に形成することができる、簡単で容易に得ることができる構成を有していることになる。
【００３４】
そして、このような本願発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材をハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込むだけで、配線板状部材に対しての弾性係合部材の係止部による係止を行うことができ、それとともに、配線板状部材に対しての係止部による係止の解除を、ハウジングの外部へと突出する弾性係合部材の係止解除部に、それをハウジングから離隔せしめる移動操作を加えるだけで行うことができるので、配線板状部材についての弾性係合部材による係止及び係止解除を極めて簡単な操作によって行うことができるとともに、斯かる操作のために部材の周囲に不所望なスペースを設けることが必要とされない。
【００３５】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項２に記載された本願発明に係るコネクタ装置にあっては、弾性係合部材の可動連結部に設けられる係止解除部がハウジングの長手方向に沿って伸びるものとされるので、配線板状部材についての弾性係合部材による係止を解除するための係止解除部に対する移動操作が極めて行い易いものとされる。
【００３６】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項３に記載された本願発明に係るコネクタ装置にあっては、弾性係合部材が、金属材料によって一体的に構成されるもとで、固定部がハウジングにおける板状部材差込み部が開口する第１の端面部に対向する第２の端面部に固定され、第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々が固定部からハウジングにおける第１の端面部に向かって伸びる揺動変位可能部を成すものとされる。それにより、斯かる弾性係合部材にあっては、全体の小型化を図ることができるもとで、係止部による配線板状部材に対する係止に寄与する弾性力と係止部による配線板状部材に対する係止の解除に寄与する弾性力とを、揺動変位可能部を成す第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々の設定によって調整することができるので、係止部による配線板状部材に対する係止をより確実にすることができるとともに、係止部による配線板状部材に対する係止の解除をより容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００３７】
【図１】本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれが配された配線基板の部分及びそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す斜視図である。
【図２】本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれが配された配線基板の部分と共に示す平面図である。
【図３】本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれが配された配線基板の部分と共に示す正面図である。
【図４】図３におけるIV−IV線断面を示す断面図である。
【図５】本願発明に係るコネクタ装置の一例が備える弾性係合部材を示す斜視図である。
【図６】本願発明に係るコネクタ装置の一例が備える弾性係合部材を示す斜視図である。
【図７】本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板の部分と共に示す断面図である。
【図８】本願発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングに対するフレキシブル印刷配線基板の差込みが開始された状態を示す断面図である。
【図９】本願発明に係るコネクタ装置の一例が備える弾性係合部材が、コネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板を係止した状態を示す断面図である。
【図１０】本願発明に係るコネクタ装置の一例が備える弾性係合部材が、コネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板に対する係止を解除した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００３８】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【００３９】
図１（斜視図）は、本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれが配された電子機器の配線基板の部分及びそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板の部分と共に示し、図２（平面図）及び図３（正面図）は、本願発明に係るコネクタ装置の一例をそれが配された電子機器の配線基板の部分と共に示す。
【００４０】
図１，図２及び図３において、本願発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置１０は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成され、電子機器の配線基板１１における部品等搭載面１２上に配されたハウジング１３を備えている。ハウジング１３には、その正面側端面部１３Ｆに板状部材差込み部１４が設けられており、板状部材差込み部１４からハウジング１３の内部へと板状部材収容空間が伸びている。
【００４１】
ハウジング１３が配線基板１１における部品等搭載面１２上に配されることにより、コネクタ装置１０の全体が配線基板１１に取り付けられたものとされる。その際、ハウジング１３における正面側端面部１３Ｆとそれに対向する背面側端面部１３Ｒとに挟まれた一対の対向外面部のうちの一方が配線基板１１の部品等搭載面１２に対接する外面部とされて他方が解放された外面部とされる。以下においては、配線基板１１の部品等搭載面１２に対接するハウジング１３の一外面部を下方外面部１３Ｄといい、それに対向するハウジング１３の他外面部を上方外面部１３Ｕという。そして、正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４を通じて、例えば、フレキシブル印刷配線基板１５が、配線板状部材を成すものとして、ハウジング１３にその内部へと差し込まれる。
【００４２】
ハウジング１３には、各々が弾性導電材料で形成された複数のコンタクト１６が、配線基板１１の部品等搭載面１２に沿う方向となるハウジング１３の長手方向に沿って配列配置されて設けられている。複数のコンタクト１６は、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板１５に配列配置された複数の接触端子部１７に接触接続される信号用コンタクトとして設けられているが、他のフレキシブル印刷配線基板における複数の信号接続端子部及び接地接続部に接触接続される信号用及び接地用コンタクトとして用いられてもよい。
【００４３】
図２、さらには、図３におけるIV−IV線断面をあらわす図４に示されるように、複数のコンタクト１６の夫々は、ハウジング１３に固定される固定部２１と、固定部２１からハウジング１３の内部へと伸びる屈曲アーム部２２と、固定部２１からハウジング１３の外部へと伸びる接続端子部２３とを有している。屈曲アーム部２２には、その先端部分に接点部２４が形成されている。接続端子部２３は、ハウジング１３が配された配線基板１１に設けられた配線端子に、例えば、半田付けにより接続される。そして、複数のコンタクト１６は、例えば、ハウジング１３の背面側端面部１３Ｒ側から、ハウジング１３の内部へと押圧挿入されて、各々の固定部２１がハウジング１３の背面側端面部１３Ｒに固定される。
【００４４】
このようなもとで、ハウジング１３に板状部材差込み部１４を通じて差し込まれるフレキシブル印刷配線基板１５は、それにおける複数の接触端子部１７がハウジング１３に配列配置された複数のコンタクト１６に夫々対応する位置をとる状態におかれる。そして、複数のコンタクト１６の夫々における接点部２４が、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７のうちの対応するものに接触接続される。それにより、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７が、複数のコンタクト１６を介して、ハウジング１３が配された配線基板１１に設けられた配線端子に連結される。フレキシブル印刷配線基板１５には、複数の接触端子部１７の配列方向における両側縁部に切欠き係合部１８Ａ及び１８Ｂが夫々形成されている。
【００４５】
また、コネクタ装置１０は、ハウジング１３における板状部材差込み部１４が設けられた正面側端面部１３Ｆ側に、ハウジング１３の長手方向に伸びる、例えば、金属材料によって形成された弾性係合部材２５を備えている。この弾性係合部材２５は、その長手方向をハウジング１３の長手方向と同方向としており、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板１５が板状部材差込み部１４を通じてハウジング１３に差し込まれたとき、フレキシブル印刷配線基板１５に対する係止を行う係止状態とその係止を解除する係止解除状態とを選択的にとるためのものとして、ハウジング１３に取り付けられている。
【００４６】
弾性係合部材２５は、例えば、弾性金属板材に打抜き屈曲加工が施されて一体形成され、各々が弾性係合部材２５を単体で示す図５（斜視図）及び図６（斜視図）に示されるように、ハウジング１３における背面側端面部１３Ｒの内側に固定される一対の固定部２６Ａ及び２６Ｂと、固定部２６Ａ及び２６Ｂを相互連結する第１の固定連結部２７と、固定部２６Ａ及び２６Ｂから夫々伸びる一対の弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂと、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂを相互連結する可動連結部２９と、固定部２６Ａ及び２６Ｂから夫々伸びてハウジング１３が配される配線基板１１に設けられた導体部分に接続される一対の基板接続アーム状部３０Ａ及び３０Ｂと、基板接続アーム状部３０Ａ及び３０Ｂを相互連結するとともにハウジング１３が配される配線基板１１に設けられた導体部分に接続される第２の固定連結部３１とを有している。一対の基板接続アーム状部３０Ａ及び３０Ｂと第２の固定連結部３１とは、それらの全体で基板接続部を構成している。
【００４７】
固定部２６Ａ及び２６Ｂは、弾性係合部材２５における長手方向（ハウジング１３の長手方向と同方向）の両端部に夫々配されており、それゆえ、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂは、弾性係合部材２５における長手方向の両端部において、固定部２６Ａ及び２６Ｂから夫々伸びており、また、基板接続アーム状部３０Ａ及び３０Ｂも、弾性係合部材２５における長手方向の両端部において、固定部２６Ａ及び２６Ｂから夫々伸びている。さらに、第１の固定連結部２７，可動連結部２９及び第２の固定連結部３１の夫々は、弾性係合部材２５の長手方向に沿って伸びている。
【００４８】
弾性可動アーム状部２８Ａは、固定部２６Ａから伸びて基板接続アーム状部３０Ａに所定の距離をおいて対向するものとして配されていて、弾性可動アーム状部２８Ａには、板状部材差込み部１４を通じてハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における切欠き係合部１８Ａに係合してフレキシブル印刷配線基板１５を係止する係止部３２Ａが、基板接続アーム状部３０Ａに向かって突出するものとして屈曲形成されており、さらに、ハウジング１３への板状部材差込み部１４を通じたフレキシブル印刷配線基板１５の差込み方向に沿って下降傾斜することになる傾斜面を形成する傾斜面部３３Ａが係止部３２Ａに連なるものとして設けられている。そして、弾性可動アーム状部２８Ａは、それに屈曲形成された係止部３２Ａ及び係止部３２Ａに連なる傾斜面部３３Ａを伴って、基板接続アーム状部３０Ａに近接あるいは離隔する揺動を弾性をもって行う、固定部２６Ａからハウジング１３における正面側端面部１３Ｆに向かって伸びる揺動変位可能部を形成している。
【００４９】
また、弾性可動アーム状部２８Ｂは、固定部２６Ｂから伸びて基板接続アーム状部３０Ｂに所定の距離をおいて対向するものとして配されていて、弾性可動アーム状部２８Ｂには、板状部材差込み部１４を通じてハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における切欠き係合部１８Ｂに係合してフレキシブル印刷配線基板１５を係止する係止部３２Ｂが、基板接続アーム状部３０Ｂに向かって突出するものとして屈曲形成されており、さらに、ハウジング１３への板状部材差込み部１４を通じたフレキシブル印刷配線基板１５の差込み方向に沿って下降傾斜することになる傾斜面を形成する傾斜面部３３Ｂが係止部３２Ｂに連なるものとして設けられている。そして、弾性可動アーム状部２８Ｂは、それに屈曲形成された係止部３２Ｂ及び係止部３２Ｂに連なる傾斜面部３３Ｂを伴って基板接続アーム状部３０Ｂに近接あるいは離隔する揺動を弾性をもって行う、固定部２６Ｂからハウジング１３における正面側端面部１３Ｆに向かって伸びる揺動変位可能部を形成している。
【００５０】
弾性可動アーム状部２８Ａに設けられた傾斜面部３３Ａ及び弾性可動アーム状部２８Ｂに設けられた傾斜面部３３Ｂには、板状部材差込み部１４を通じてハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５の先端部分が当接係合する。
【００５１】
可動連結部２９には、弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａ及び弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止を解除すべく操作される係止解除部３４が設けられている。係止解除部３４は、可動連結部２９からその長手方向の全体に亙って伸び、ハウジング１３における上方外面部１３Ｕからハウジング１３の外部へと突出することになるものとされている。従って、係止解除部３４は、ハウジング１３の長手方向に沿って伸びるものとされていることになる。
【００５２】
なお、基板接続部を構成する基板接続アーム状部３０Ａには、それから突出してハウジング１３に係合する係合突起部３５Ａが設けられており、また、同様に基板接続部を構成する基板接続アーム状部３０Ｂには、それから突出してハウジング１３に係合する係合突起部３５Ｂが設けられている。これらの係合突起部３５Ａ及び３５Ｂは、弾性係合部材２５がハウジング１３に取り付けられるにあたり、弾性係合部材２５のハウジング１３に対する堅固な固定に貢献する。
【００５３】
このように構成された弾性係合部材２５が、ハウジング１３に取り付けられたときには、弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａ及びそれに連なる傾斜面部３３Ａと弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂ及びそれに連なる傾斜面部３３Ｂとが、ハウジング１３の正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４からハウジング１３の内部へと伸びる板状部材収容空間内となる位置に配され、また、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂを相互連結する可動連結部２９に設けられた係止解除部３４が、ハウジング１３における上方外面部１３Ｕからその外方に突出するものとされる。
【００５４】
弾性係合部材２５が取り付けられたハウジング１３は、配線基板１１における部品等搭載面１２上に配され、複数のコンタクト１６の夫々の接続端子部２３が配線基板１１に設けられた配線端子に接続され、また、弾性係合部材２５における一対の基板接続アーム状部３０Ａ及び３０Ｂと第２の固定連結部３１とにより構成される基板接続部が配線基板１１に設けられた導体部分に接続されて、コネクタ装置１０の全体が配線基板１１に取り付けられる状態におかれる。
【００５５】
そして、フレキシブル印刷配線基板１５がハウジング１３に板状部材差込み部１４を通じて差し込まれるときには、先ず、ハウジング１３内における板状部材収容空間内となる位置に配された傾斜面部３３Ａ及び３３Ｂにフレキシブル印刷配線基板１５の先端部が当接し、その後、フレキシブル印刷配線基板１５の更なる差込みに伴って、板状部材収容空間内となる位置に配された係止部３２Ａ及び３２Ｂが、フレキシブル印刷配線基板１５における切欠き係合部１８Ａ及び１８Ｂに夫々係合してフレキシブル印刷配線基板１５を係止する。そして、係止部３２Ａ及び３２Ｂがフレキシブル印刷配線基板１５における切欠き係合部１８Ａ及び１８Ｂに夫々係合してフレキシブル印刷配線基板１５を係止しているもとで、ハウジング１３における上方外面部１３Ｕからその外方に突出するものとされた係止解除部３４に、ハウジング１３から離隔せしめられる移動操作が加えられると、係止解除部３４は、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂの夫々に係止部３２Ａ及び３２Ｂにより係止されたフレキシブル印刷配線基板１５から離隔する弾性変位を生じさせ、それにより、係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止を解除する。
【００５６】
斯かる構成のもとで、各々が揺動変位可能部を形成する弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂが夫々具える弾性力は、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂの夫々の設定によって個別に設定され、夫々が個別に最適なものとされ得る。それにより、係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止をより確実にすることと係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止の解除をより容易にすることとが両立される。
【００５７】
弾性係合部材２５における係止解除部３４のハウジング１３の外部への突出は、ハウジング１３における板状部材差込み部１４が設けられた正面側端面部１３Ｆ側における上方外面部１３Ｕの一部が切り取られて形成された切欠き部１３Ｃから、係止解除部３４が、ハウジング１３の長手方向に伸びるものとして、上方外面部１３Ｕの上方に飛び出す状態をもってなされる。それにより、係止解除部３４に対するそれをハウジング１３から離隔させる移動操作は、極めて行い易く、確実に行うことができるものとされる。
【００５８】
このようなもとで、コネクタ装置１０のハウジング１３が、その下方外面部１３Ｄを配線基板１１における部品等搭載面１２に対接させて、配線基板１１に取り付けられたもとで、フレキシブル印刷配線基板１５が板状部材差込み部１４を通じてハウジング１３に差し込まれる際には、上述の図１に示されるように、フレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７が配列配置された部分の先端部が、ハウジング１３の正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４に対向する位置に配される。そして、フレキシブル印刷配線基板１５は、それにおける複数の接触端子部１７がコネクタ装置１０のハウジング１３に配列配置された複数のコンタクト１６に夫々対応する位置をとる状態におかれる。
【００５９】
このとき、コネクタ装置１０のハウジング１３における長手方向の両端部のうちの一方においては、図７に詳細に示されるように、弾性係合部材２５における固定部２６Ｂが設けられた端部が、固定部２６Ｂがハウジング１３における背面側端面部１３Ｒの内側に固定され、その固定部２６Ｂから伸びる弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂ及びそれに連なる傾斜面部３３Ｂが、ハウジング１３の正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４からハウジング１３の内部へと伸びる板状部材収容空間内に臨み、また、固定部２６Ｂから伸びる基板接続アーム状部３０Ｂが、配線基板１１における部品等搭載面１２に当接するものとされて、配されている。そして、フレキシブル印刷配線基板１５は、それにおける切欠き係合部１８Ｂが弾性係合部材２５の弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂに対応する位置をとる。
【００６０】
同様に、コネクタ装置１０のハウジング１３における長手方向の両端部のうちの他方においても、弾性係合部材２５における固定部２６Ａが設けられた端部が、固定部２６Ａがハウジング１３における背面側端面部１３Ｒの内側に固定され、その固定部２６Ａから伸びる弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａ及びそれに連なる傾斜面部３３Ａが、ハウジング１３の正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４からハウジング１３の内部へと伸びる板状部材収容空間内に臨み、また、固定部２６Ａから伸びる基板接続アーム状部３０Ａが、配線基板１１における部品等搭載面１２に当接するものとされて、配されている。そして、フレキシブル印刷配線基板１５は、それにおける切欠き係合部１８Ａが弾性係合部材２５の弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａに対応する位置をとる。
【００６１】
このとき、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂを相互連結する可動連結部２９に設けられた係止解除部３４が、ハウジング１３の上方外面部１３Ｕに形成された切欠き部１３Ｃを通じてハウジング１３の外部へと突出している。
【００６２】
その後、図８に示されるように、フレキシブル印刷配線基板１５は、コネクタ装置１０のハウジング１３に、その正面側端面部１３Ｆに設けられた板状部材差込み部１４を通じて差し込まれる。その際には、先ず、フレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７が配列配置された部分を挟む一対の側端縁部の夫々の先端部が、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに設けられた傾斜面部３３Ｂが形成する傾斜面、及び、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａに設けられた傾斜面部３３Ａが形成する傾斜面に夫々当接する。
【００６３】
続いて、フレキシブル印刷配線基板１５における一対の側端縁部は、フレキシブル印刷配線基板１５のハウジング１３に対する差込み移動に伴って、夫々、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに設けられた傾斜面部３３Ｂが形成する傾斜面及び弾性可動アーム状部２８Ａに設けられた傾斜面部３３Ａが形成する傾斜面による案内を受けて、弾性可動アーム状部２８Ｂ及び２８Ａを弾性係合部材２５における基板接続アーム状部３０Ｂ及び３０Ａから夫々離隔する方向（上方）に弾性変位させつつ進み、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂ及び２８Ａに夫々屈曲形成された係止部３２Ｂ及び３２Ａが、当該一対の側端縁部を夫々乗り越える状態がとられる。
【００６４】
このとき、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂは、一旦、揺動を生じて、基板接続アーム状部３０Ｂから離隔する位置へと変位し、その後、自らの弾性復元力によって元の位置に戻る。それにより、図９に示されるように、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂが、フレキシブル印刷配線基板１５に設けられた切欠き係合部１８Ｂに係合する状態が得られる。
【００６５】
同様に、図示は省略されているが、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａも、一旦、揺動を生じて、基板接続アーム状部３０Ａから離隔する位置へと変位し、その後、自らの弾性復元力によって元の位置に戻る。それにより、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａが、フレキシブル印刷配線基板１５に設けられた切欠き係合部１８Ａに係合する状態が得られる。
【００６６】
このようにして、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂが切欠き係合部１８Ｂに係合するとともに弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａが切欠き係合部１８Ａに係合する状態が得られると、フレキシブル印刷配線基板１５のハウジング１３への差込みが完了し、フレキシブル印刷配線基板１５は、ハウジング１３に対する正規の差込み位置をとり、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２及び弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａにより係止されて、ハウジング１３からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれる。即ち、フレキシブル印刷配線基板１５は、ハウジング１３に板状部材差込み部１４を通じて適正に差し込まれるだけで、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２及び弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａにより係止されて、ハウジング１３からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれることになる。
【００６７】
フレキシブル印刷配線基板１５がハウジング１３への板状部材差込み部１４を通じての差込みを完了して正規の差込み位置をとるもとにおいては、ハウジング１３に配列配置された複数のコンタクト１６が、各々の屈曲アーム部２２の先端部分に形成された接点部２４をハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７に夫々弾性当接させて、複数の接触端子部１７に夫々接触接続された状態におかれる。それにより、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７が、複数のコンタクト１６を介して、ハウジング１３が配された配線基板１１に設けられた配線端子に連結される。斯かる状態は、フレキシブル印刷配線基板１５がハウジング１３に板状部材差込み部１４を通じて適正に差し込まれるだけで得られる。
【００６８】
その後、図１０に示されるように、弾性係合部材２５において、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂを相互連結する可動連結部２９に設けられて、ハウジング１３の上方外面部１３Ｕに形成された切欠き部１３Ｃを通じてハウジング１３の外部に突出する係止解除部３４に、それをハウジング１３から離隔させる移動操作が加えられると、それに伴って可動連結部２９がハウジング１３の上方外面部１３Ｕの外方に向かって移動する。それにより、弾性可動アーム状部２８Ｂ及び２８Ａの夫々が、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５から離隔する弾性変位を生じるものとされ、それに伴って、弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂ及び弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａが、夫々ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５に設けられた切欠き係合部１８Ｂ及び１８Ａに係合しなくなり、フレキシブル印刷配線基板１５に対する係止を解除する。即ち、係止解除部３４は、それにハウジング１３から離隔させる移動操作が加えられるとき、弾性可動アーム状部２８Ｂ及び２８Ａの夫々にハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５から離隔する弾性変位を生じさせて、弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂ及び弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止を解除するのである。
【００６９】
このようにして、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ｂに屈曲形成された係止部３２Ｂ及び弾性可動アーム状部２８Ａに屈曲形成された係止部３２Ａによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止が解除されることにより、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５が、ハウジング１３から適正に抜脱され得る状態におかれる。
【００７０】
そして、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５がハウジング１３から適正に抜脱され、弾性係合部材２５における係止解除部３４にそれをハウジング１３から離隔させる移動操作が加えられなくなると、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂの夫々は、自らの弾性復元力によって元の位置に戻り、それに伴って、弾性係合部材２５における可動連結部２９及び係止解除部３４も元の位置に戻る。
【００７１】
なお、上記の例にあっては、フレキシブル印刷配線基板１５が一対の切欠き係合部１８Ａ及び１８Ｂが設けられたものとされているが、フレキシブル印刷配線基板１５は、一対の切欠き係合部１８Ａ及び１８Ｂに代えて、一対の係合孔が設けられたものとされてもよく、斯かる場合にも、上述と同様にして、弾性係合部材２５における弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂに夫々屈曲形成された係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止及び係止の解除が行われる。
【００７２】
上述のようなコネクタ装置１０にあっては、ハウジング１３にそれに設けられた板状部材差込み部１４を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５に対しての、ハウジング１３に取り付けられた弾性係合部材２５に設けられた係止部３２Ａ及び３２Ｂによる、フレキシブル印刷配線基板１５のハウジング１３からの不所望な抜脱を阻止するための係止、及び、フレキシブル印刷配線基板１５のハウジング１３からの抜脱を可能とするための係止の解除を行うにあたり、例えば、ハウジング１３に対して回動可能とされるアクチュエータ、あるいは、ハウジング１３に対して移動可能とされる可動導電性シェル等が不要とされ、さらには、ハウジング１３の外面部を覆う導電性シェルとハウジング１３とに夫々係止手段と係止解除手段とを設けることが必要とされず、それにより、部品点数の減少による製造コストの低減を図ることができ、しかも、フレキシブル印刷配線基板１５に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができる。
【００７３】
また、コネクタ装置１０が用いられてそれにおけるハウジング１３に配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板１５が差し込まれるもとにあっては、コネクタ装置１０が、ハウジング１３に配列配置された複数のコンタクト１６に加えて、ハウジング１３に固定される固定部２６Ａ及び２６Ｂと、係止部３２Ａ及びそれに連なる傾斜面部３３Ａと係止部３２Ｂ及びそれに連なる傾斜面部３３Ｂとが夫々形成された弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂと、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂを相互連結する可動連結部２９と、可動連結部２９に設けられた係止解除部３４とを含んで一体形成された弾性係合部材２５を備えるものとされることにより、フレキシブル印刷配線基板１５をハウジング１３に板状部材差込み部１４を通じて差し込むだけで、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５における複数の接触端子部１７が、複数のコンタクト１６を介して、ハウジング１３が配された配線基板１１に設けられた配線端子に連結されるとともに、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５を弾性係合部材２５に設けられた一対の係止部３２Ａ及び３２Ｂによって適正かつ確実に係止することができ、さらに、弾性係合部材２５における係止解除部３４にハウジング１３から離隔させる移動操作を加えるだけで、斯かる操作のために弾性係合部材２５の周囲に不所望なスペースを設けることが必要とされることなく、ハウジング１３に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止部３２Ａ及び３２Ｂによる係止を要かつ確実に解除することができる。そして、弾性係合部材２５は、例えば、金属材料をもって一体に形成することができる、簡単で容易に得ることができる構成を有したものとされる。
【００７４】
また、コネクタ装置１０においては、弾性係合部材２５における可動連結部２９に設けられる係止解除部３４が、ハウジング１３の長手方向に沿って伸びるものとされるので、フレキシブル印刷配線基板１５についての弾性係合部材２５に設けられた係止部３２Ａ及び３２Ｂによる係止を解除するための係止解除部３４に対する移動操作が極めて行い易いものとされる。
【００７５】
さらに、コネクタ装置１０においては、弾性係合部材２５における固定部２６Ａ及び２６Ｂがハウジング１３における背面側端面部１３Ｒの内側に固定され、弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂが、夫々固定部２６Ａ及び２６Ｂからハウジング１３における正面側端面部１３Ｆに向かって伸びる揺動変位可能部を成すものとされる。それにより、弾性係合部材２５にあっては、全体の小型化を図ることができるもとで、係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止に寄与する弾性力とフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止の解除に寄与する弾性力とを、揺動変位可能部を成す弾性可動アーム状部２８Ａ及び２８Ｂの夫々の設定によって調整することができるので、係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止をより確実にすることができるとともに、係止部３２Ａ及び３２Ｂによるフレキシブル印刷配線基板１５に対する係止の解除をより容易にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【００７６】
以上のような本願発明に係るコネクタ装置は、例えば、フレキシブル印刷配線基板等とされる配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、ハウジングに設けられ、配線板状部材がハウジングに差し込まれたとき、配線板状部材に対する係止状態と係止解除状態とを選択的にとる弾性係合部材とを備えたコネクタ装置であって、構成の簡略化と部品点数の減少とによる製造コストの低減を図ることができ、しかも、配線板状部材に対する係止及び係止の解除を行う手段の耐久性を向上させることができるもとで、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止及びその係止の解除を、簡単な構成をもって確実かつ容易に行えることになるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【００７７】
１０・・・コネクタ装置， １１・・・配線基板， １２・・・部品等搭載面， １３・・・ハウジング， １３Ｆ・・・正面側端面部， １３Ｒ・・・背面側端面部， １３Ｕ・・・上方外面部， １３Ｄ・・・下方外面部， １４・・・板状部材差込み部， １５・・・フレキシブル印刷配線基板， １６・・・コンタクト， １７・・・接触端子部， ２１・・・（コンタクト１６の）固定部， ２２・・・屈曲アーム部， ２３・・・接続端子部， ２４・・・接点部， ２５・・・弾性係合部材， ２６Ａ，２６Ｂ・・・（弾性係合部材２５の）固定部， ２７・・・第１の固定連結部， ２８Ａ，２８Ｂ・・・弾性可動アーム状部， ２９・・・可動連結部， ３０Ａ，３０Ｂ・・・基板接続アーム状部， ３１・・・第２の固定連結部， ３２Ａ，３２Ｂ・・・係止部， ３３Ａ，３３Ｂ・・・傾斜面部， ３４・・・係止解除部， ３５Ａ，３５Ｂ・・・係合突起部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、
該ハウジングに該ハウジングの長手方向に沿って配列配置され、上記配線基板に設けられた配線端子に連結される状態をとり、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、
上記ハウジングに取り付けられて、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、上記複数のコンタクトが上記複数の接触端子部に接触接続された状態を維持すべく上記配線板状部材に対する係止を行う係止状態と上記係止を解除する係止解除状態とを選択的にとる弾性係合部材と、
を備えて成り、
上記弾性係合部材が、上記ハウジングに固定される固定部と、上記ハウジングの長手方向となる方向の両端部において上記固定部から夫々伸びる第１及び第２の弾性可動アーム状部と、上記長手方向に伸びて上記第１及び第２の弾性可動アーム状部を相互連結する可動連結部とを有し、上記第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して上記配線板状部材を係止する係止部が設けられ、かつ、上記可動連結部に、上記ハウジングの外部へと突出し、上記ハウジングから離隔せしめられる移動操作が上記係合部により上記配線板状部材が係止されたもとで加えられるとき、上記第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に上記配線板状部材から離隔する弾性変位を生じさせて、上記係止部に上記配線板状部材に対する係止を解除させる係止解除部が設けられていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項２】
上記係止解除部が、上記ハウジングの長手方向に沿って伸びるものとされていることを特徴とする請求項１記載のコネクタ装置。
【請求項３】
上記弾性係合部材が、金属材料によって一体的に構成されて、上記固定部が上記ハウジングにおける上記板状部材差込み部が開口する第１の端面部に対向する第２の端面部の内側に固定され、上記第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々が上記固定部から上記ハウジングにおける第１の端面部に向かって伸びる揺動変位可能部を成すことを特徴とする請求項１記載のコネクタ装置。
【請求項４】
上記第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に、上記係止部に連なり、上記ハウジングへの上記板状部材差込み部を通じた配線板状部材の差込み方向に沿って下降傾斜する傾斜面を形成する傾斜面部が設けられることを特徴とする請求項３記載のコネクタ装置。
【請求項５】
上記弾性係合部材が、金属材料によって一体的に構成され、上記固定部から伸びて上記配線基板に接続される基板接続部を有していることを特徴とする請求項１記載のコネクタ装置。
【請求項６】
上記基板接続部が、部分的に上記第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に対向配置されていることを特徴とする請求項５記載のコネクタ装置。
【請求項７】
上記基板接続部が、上記ハウジングにおける第１の端面部から上記ハウジングの外部に臨んで上記配線基板に設けられた導体部分に接続される部分を有し、上記複数のコンタクトの夫々の一端部が、上記ハウジングにおける第２の端面部から上記ハウジングの外部に突出して上記配線基板に設けられた配線端子に接続される接続端子部を成すことを特徴とする請求項５記載のコネクタ装置。
【請求項１】
板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、
該ハウジングに該ハウジングの長手方向に沿って配列配置され、上記配線基板に設けられた配線端子に連結される状態をとり、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、
上記ハウジングに取り付けられて、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、上記複数のコンタクトが上記複数の接触端子部に接触接続された状態を維持すべく上記配線板状部材に対する係止を行う係止状態と上記係止を解除する係止解除状態とを選択的にとる弾性係合部材と、
を備えて成り、
上記弾性係合部材が、上記ハウジングに固定される固定部と、上記ハウジングの長手方向となる方向の両端部において上記固定部から夫々伸びる第１及び第２の弾性可動アーム状部と、上記長手方向に伸びて上記第１及び第２の弾性可動アーム状部を相互連結する可動連結部とを有し、上記第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して上記配線板状部材を係止する係止部が設けられ、かつ、上記可動連結部に、上記ハウジングの外部へと突出し、上記ハウジングから離隔せしめられる移動操作が上記係合部により上記配線板状部材が係止されたもとで加えられるとき、上記第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に上記配線板状部材から離隔する弾性変位を生じさせて、上記係止部に上記配線板状部材に対する係止を解除させる係止解除部が設けられていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項２】
上記係止解除部が、上記ハウジングの長手方向に沿って伸びるものとされていることを特徴とする請求項１記載のコネクタ装置。
【請求項３】
上記弾性係合部材が、金属材料によって一体的に構成されて、上記固定部が上記ハウジングにおける上記板状部材差込み部が開口する第１の端面部に対向する第２の端面部の内側に固定され、上記第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々が上記固定部から上記ハウジングにおける第１の端面部に向かって伸びる揺動変位可能部を成すことを特徴とする請求項１記載のコネクタ装置。
【請求項４】
上記第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に、上記係止部に連なり、上記ハウジングへの上記板状部材差込み部を通じた配線板状部材の差込み方向に沿って下降傾斜する傾斜面を形成する傾斜面部が設けられることを特徴とする請求項３記載のコネクタ装置。
【請求項５】
上記弾性係合部材が、金属材料によって一体的に構成され、上記固定部から伸びて上記配線基板に接続される基板接続部を有していることを特徴とする請求項１記載のコネクタ装置。
【請求項６】
上記基板接続部が、部分的に上記第１及び第２の弾性可動アーム状部の夫々に対向配置されていることを特徴とする請求項５記載のコネクタ装置。
【請求項７】
上記基板接続部が、上記ハウジングにおける第１の端面部から上記ハウジングの外部に臨んで上記配線基板に設けられた導体部分に接続される部分を有し、上記複数のコンタクトの夫々の一端部が、上記ハウジングにおける第２の端面部から上記ハウジングの外部に突出して上記配線基板に設けられた配線端子に接続される接続端子部を成すことを特徴とする請求項５記載のコネクタ装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２０１３−８５４４（Ｐ２０１３−８５４４Ａ）
【公開日】平成２５年１月１０日（２０１３．１．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１４０２３８（Ｐ２０１１−１４０２３８）
【出願日】平成２３年６月２４日（２０１１．６．２４）
【出願人】（５９２０２８８４６）第一精工株式会社 (94)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年１月１０日（２０１３．１．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年６月２４日（２０１１．６．２４）
【出願人】（５９２０２８８４６）第一精工株式会社 (94)
【Ｆターム（参考）】
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