説明

コネクタ

【課題】 端子金具間の微摺動摩耗を防止する。
【解決手段】 雄側ハウジング10は、雄端子金具11と、雄端子金具11のタブ11aを包囲するフード部12を有する。雌側ハウジング20は、雌端子金具21と、フード部12に外嵌される筒状嵌合部29を有する。筒状嵌合部29の内周面奥端部に、フード部12の外周面に当接することで、フード部12と筒状嵌合部29の相対変位を規制する規制突部32A,32B,32Cを設けたので、両ハウジング10,20の相対変位に起因する端子金具11,21間の微摺動摩耗を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、雄端子金具のタブを包囲するフード部を有する雄側ハウジングと、雌端子金具を備える雌側ハウジングとからなり、雌側ハウジングをフード部に嵌入することで雌端子金具とタブとを接続させるコネクタについて開示されている。
【特許文献1】特開平5−182712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種のコネクタでは、雌側ハウジングの外周とフード部の内周との間に、寸法公差や組付け公差を考慮してクリアランスを確保しているため、両ハウジングが嵌合した状態において両ハウジングが僅かながらガタ付きを生じることは避けられないが、このガタ付きは、端子金具間の微摺動摩耗の原因となるため、その対策が望まれていた。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子金具間の微摺動摩耗を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、雄端子金具を収容するとともに前記雄端子金具のタブを包囲するフード部を有する雄側ハウジングと、雌端子金具を収容する雌側ハウジングとを備えてなり、前記雌側ハウジングを前記フード部に嵌入することで前記雌端子金具と前記タブとを接続させるようにしたコネクタにおいて、前記雌側ハウジングに、前記フード部に外嵌される筒状嵌合部を設け、前記フード部の外周面先端部と前記筒状嵌合部の内周面奥端部のうち少なくともいずれか一方に、相手側の周面に当接することで、前記フード部と前記筒状嵌合部の相対変位を規制する規制突部を設けた構成としたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記規制突部を、前記筒状嵌合部のみに設けたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記筒状嵌合部の上面にロックアームが設けられているとともに、前記フード部の外周上面に前記ロックアームに係止されるロック部が設けられているコネクタであって、前記フード部の外周における左右両側面に、前記両ハウジングの嵌合方向に沿ったガイドリブを設け、前記筒状嵌合部の内周に、前記両ハウジングの嵌合方向に沿い、且つ前記ガイドリブの嵌合を可能とするガイド溝を設け、前記ガイドリブの先端部上面と前記ガイド溝の奥端部上面のうち少なくともいずれか一方に前記規制突部を設け、前記フード部の外周下面壁の先端部と前記筒状嵌合部の内周下面壁の奥端部のうち少なくともいずれか一方に前記規制突部を設けたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記規制突部を前記筒状嵌合部の奥端部に設け、前記筒状嵌合部の奥端部に、前記規制突部を挟む位置に配され、且つ前記筒状嵌合部の内周から外周に連通する形態の一対の切欠部を形成したところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記筒状嵌合部の外周に、前記一対の切欠部の間の領域を凹ませた形態の肉抜き部を設けたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
フード部の外周面先端部と筒状嵌合部の内周面奥端部のうち少なくともいずれか一方に、相手側の周面に当接することで、フード部と筒状嵌合部の相対変位を規制する規制突部を設けたので、両ハウジングの相対変位に起因する端子金具間の微摺動摩耗を防止することができる。
【0011】
<請求項2の発明>
両ハウジングの嵌合過程では、正規嵌合の手前まで規制突部とフード部との干渉に起因する嵌合抵抗が発生しないので、嵌合作業性がよい。
【0012】
<請求項3の発明>
フード部又は筒状嵌合部の上面壁にはロックアームとロック部が存在するので、この上面壁に規制部を設けることはスペース的に困難な場合が考えられる。しかし、本発明によれば、ガイドリブ又はガイド溝に設けた左右一対の規制突部と、フード部又は筒状嵌合部の下面壁に設けた規制突部とにより、両ハウジングの上下方向への相対変位を規制することができる。
【0013】
<請求項4の発明>
切欠部を形成したことにより、筒状嵌合部のうち規制突部が設けられている部分は弾性的に変位し得る状態となっている。これにより、両ハウジングの嵌合過程において規制突部がフード部に当接するときには、規制突部がフード部から逃げる方向へ弾性変位し、規制突部とフード部との干渉に起因する嵌合抵抗が低減される。
【0014】
<請求項5の発明>
肉抜き部を設けることにより、筒状嵌合部のうち規制突部の形成されている領域が、肉薄となって弾性変位し易くなるとともに、雌側ハウジングが軽量化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図12を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、複数の雄端子金具11を収容する雄側ハウジング10と、複数の雌端子金具21を収容する雌側ハウジング20とを備えて構成される。
雄側ハウジング10は、合成樹脂製であり、前方(雌側ハウジング20に対する嵌合方向と同方向)に突出するフード部12を有する。フード部12内には、雄端子金具11の前方へ突出する細長いタブ11aが収容され、タブ11aはフード部12で包囲されることにより異物の干渉等から保護される。フード部12の上面壁の外面には、幅方向における中央であり、且つフード部12の前後方向におけるほぼ中央の位置から上方(外方)へ突出するロック部13が形成されている。また、フード部12の上面壁の外面には、ロック部13の左右両側の位置においてフード部12の前端から後端に至る全長に亘って前後方向(両ハウジング10,20の嵌合方向と平行な方向)へ延びるリブ状突部14が形成されている。さらに、フード部12の左右両側壁の外側面には、フード部12の前端から後端に至る全長に亘って前後方向(両ハウジング10,20の嵌合方向と平行な方向)へ延びる略方形断面のガイドリブ15が左右対称に形成されている。
【0016】
フード部12の外周には、後述する雌側ハウジング20の規制突部32A,32B,32Cと同様に、ハウジング10,20間の径方向(両ハウジング10,20の嵌合方向と交差する方向)のガタ付きを規制するための複数(本実施形態では5つ)の補助突部16A,16B,16Cが形成されている。これら5つの補助突部16A,16B,16Cは、いずれも、フード部12の後端部(両ハウジング10,20の嵌合過程において正規嵌合に至る直前で雌側ハウジング20の筒状嵌合部29の前端と対応する位置)に配されている。
【0017】
フード部12の下面壁のうち平板状の領域においては、幅方向中央位置に前後方向に細長い1つの補助突部16Aが形成されている。フード部12の左右両側面壁においては、ガイドリブ15よりも下方であってフード部12の上下方向におけるほぼ中央高さの位置に、側面視略方形をなす補助突部16Bが、左右対称に一対形成されている。左右両ガイドリブ15の略水平且つ平坦な(フード部12の下面壁と略ホ平行な)上面にも、前後方向に細長い補助突部16Cが左右対称に形成されている。これらの補助突部16A,16B,16Cのフード部12の外面からの突出寸法は、フード部12と筒状嵌合部29の間に寸法公差及び組付け公差を考慮して確保されるクリアランス23よりも僅かに大きい寸法となっている。また、各補助突部16A,16B,16Cの突出端面(外面)はいずれも平坦面となっている。さらに、各補助突部16A,16B,16Cの前端には、夫々、両ハウジング10,20の嵌合方向に対して傾斜したガイド面17A,17B,17Cが形成されている。
【0018】
次に、雌側ハウジング20について説明する。雌側ハウジング20は、合成樹脂製であり、全体としてブロック状をなし、雌側ハウジング20の略前半部分がフード部12内に嵌入されるようになっている。雌側ハウジング20の内部には、雌端子金具21を後方から挿入するための前後方向に細長い複数のキャビティ22が形成されている。各キャビティ22の下面壁には、前方(雄側ハウジング10に対する嵌合方向と同方向)へ片持ち状に延出する弾性撓み可能なランス23が形成されている。雌側ハウジング20の外周におけるランス23と対応する領域には、ゴム製のシールリング24が取り付けられている。雌側ハウジング20には、その前方からリテーナ25が組み付けられている。リテーナ25は、合成樹脂製であって、シールリング24が前方へ離脱するのを規制するための抜止部25aと、キャビティ22の内壁における前端部分を構成するキャビティ構成部25bと、ランス23が雌端子金具21から解離する方向への変位を規制するための変位規制部25cとを有する。
【0019】
雌側ハウジング20には、その外周上面に沿って前後方向に延びるロックアーム26が形成されている。ロックアーム26は、その長さ方向中央において脚部27に介して雌側ハウジング20の上面に支持され、この支持部27を支点として前傾姿勢と後傾姿勢とに弾性変形し得るようになっている。また、ロックアーム26の前端部には、両ハウジング10,20が正規嵌合した状態において、フード部12のロック部13に係止されるロック孔28が形成されている。
【0020】
さらに、雌側ハウジング20には、その略前半領域を包囲する形態の筒状嵌合部29が一体に形成されている。筒状嵌合部29は、後端を雌側ハウジング20の外周に連ねるとともに、前方(雄側ハウジング10への嵌合方向と同方向)へ開放した形態とされ、両ハウジング10,20が正規嵌合した状態では、この筒状嵌合部29の内周と雌側ハウジング20の外周との隙間にフード部12が嵌入されるようになっている。換言すると、筒状嵌合部29はフード部12を包囲するようになっている。また、この筒状嵌合部29の左右両側壁の内面には、フード部12のガイドリブ15と対応する左右一対のガイド溝30が形成されている。尚、筒状嵌合部29の上面壁のうちロックアーム26の形成されている領域は、ロックアーム26との干渉を回避するための切欠部31が形成されている。
【0021】
雌端子金具21は、前端部に角筒状の接続部21aを有し、この接続部21a内には前方からタブ11aが挿入されるようになっている。また、接続部21aの後端には、雌端子金具21がキャビティ22内の正規位置まで挿入された状態においてランス23と係止することで、キャビティ22に対して抜止め状態に保持される係止部21bが形成されている。雌端子金具21の後端部の電線圧着部21cには、電線35が圧着により接続されている。雌端子金具21が正規挿入された状態では、接続部21a内に設けた弾性接触片(図示せず)とタブ11aとが弾性的に接触するが、この接触部分は、シールリング24及びランス23よりも前方に位置する。
【0022】
さて、上記した筒状嵌合部29の内面には、両ハウジング10,20が正規嵌合した状態において、ハウジング10,20間の径方向(両ハウジング10,20の嵌合方向と交差する方向)のガタ付きを規制するための複数(本実施形態では6つ)の規制突部32A,32B,32Cが形成されている。これら6つの規制突部32A,32B,32Cは、いずれも、筒状嵌合部29の奥端部即ち後端部(両ハウジング10,20の嵌合過程において正規嵌合に至る直前で雄側ハウジング10のフード部12の前端部と対応する位置)に配されている。
【0023】
筒状嵌合部29の下面壁における平板状領域には、前後方向に細長い左右対称な一対の規制突部32Aが上向きに突出形成されている。筒状嵌合部29の左右両側面壁には、前後方向に細長い一対の規制突部32Bが左右対称に内向きに突出形成されている。左右両ガイド溝30の上面には、前後方向に細長い一対の規制突部32Cが左右対称に下向きに突出形成されている。これらの規制突部32A,32B,32Cの筒状嵌合部29の内面からの突出寸法は、フード部12と筒状嵌合部29の間に寸法公差及び組付け公差を考慮して確保されるクリアランス23よりも僅かに大きい寸法となっている。また、各規制突部32A,32B,32Cの突出端面(外面)はいずれも平坦面となっている。さらに、各規制突部32A,32B,32Cの前端には、夫々、両ハウジング10,20の嵌合方向に対して傾斜したガイド面33A,33B,33Cが形成されている。
【0024】
筒状嵌合部29の左右両側面壁に形成した規制突部32Bは、フード部12の左右両側壁の補助突部16Bに対して左右方向に対応する。左右両ガイド溝30の上面に形成した規制突部32Cは、フード部12のガイドリブ15の補助突部16Cに対して上下方向に対応する。筒状嵌合部29の下面壁に形成した規制突部32Aは、フード部12の下面壁に対して上下方向に対応する。また、筒状嵌合部29の下面壁には、幅方向中央に位置することでフード部12の下面壁の補助突部16Aに対して上下に対応する遊動規制部34が、筒状嵌合部29の前端から後端(奥端)に至る全領域に亘って連続して前後方向に細長く形成されている。
【0025】
次に、本実施形態の作用を説明する。
両ハウジング10,20を嵌合する過程では、フード部12が雌側ハウジング20と筒状嵌合部29との隙間に嵌入するが、正規嵌合に至る手前まで、筒状嵌合部29の後端部の規制突部32A,32B,32Cとフード部12とは接触しない。これにより、フード部12の外周と筒状嵌合部29の内周との間には充分なクリアランス23が確保され、フード部12(雄側ハウジング10)と筒状嵌合部29(雌側ハウジング20)とが嵌合方向と交差する方向(上下左右)へ相対変位し得るようになっている。したがって、規制突部32A,32B,32Cと補助突部16A,16B,16Cを設けたことに起因するハウジング10,20間の嵌合抵抗は発生しない。
【0026】
尚、上記のようにフード部12と筒状嵌合部29との間のクリアランス23によって両ハウジング10,20の間で大きくガタ付くことが懸念されるが、本実施形態では、筒状嵌合部29の内周にフード部12側へ突出する遊動規制部34を形成したことにより、クリアランス23が実質的に減少した状態となっているので、嵌合抵抗を発生させることなく両ハウジング10,20間のガタ付きが抑えられている。
【0027】
両ハウジング10,20の嵌合が正規嵌合状態の手前まで進むと、まず、フード部12の前端がシールリング24に接触してシールリング24を径方向に弾性撓みさせるため、シールリング24の弾性復元力に起因する嵌合抵抗が発生する。この後、更に両ハウジング10,20の嵌合が進むと、フード部12の前端と各規制突部32A,32B,32Cのガイド面33A,33B,33Cとが当接し、これとほぼ同時に補助突部16A,16B,16Cのガイド面17A,17B,17Cと筒状嵌合部29の前端とが当接し、この当接によって僅かな嵌合抵抗が発生する。この状態から更に両ハウジング10,20の嵌合が進む過程では、フード部12の外面が規制突部32A,32B,32Cの内面に摺接するとともに、筒状嵌合部29の内面が補助突部16A,16B,16Cの外面に摺接し、この摺接に起因する嵌合抵抗(摺動抵抗)が発生する。この摺動に起因する嵌合抵抗が発生している間は、両ハウジング10,20の嵌合方向と交差する方向への相対変位(ガタ付き)は規制される。
【0028】
そして、両ハウジング10,20の嵌合が正規位置まで進んだ嵌合完了状態でも、規制突部32A,32B,32Cとフード部12との当接及び補助突部16A,16B,16Cと筒状嵌合部29との当接によって、ハウジング間における径方向(嵌合方向と交差する方向)へのガタ付き(相対変位)が規制される。規制突部32A,32B,32Cとフード部12との当接位置は、フード部12とシールリング24との当接領域とほぼ同じであり、詳しくはフード部12とシールリング24との当接位置よりも僅かに筒状嵌合部29の奥側の位置となっている。同じく規制突部32A,32B,32Cとフード部12との当接位置は、雌端子金具21とタブ11aとの接触位置よりも筒状嵌合部29の奥方(タブ11aの前端よりも更に先方)の位置であり、ランス23と雌端子金具21との係止位置よりも筒状嵌合部29の奥方(タブ11aの前端よりも更に先方)の位置である。また、規制突部32A,32B,32Cとフード部12との当接位置は、ロックアーム26の前端26Fがフード部12の上面壁におけるロック部13よりも後方において径方向中央側へ押圧する位置から更にタブ11aの前方へずれた位置となっている。
【0029】
同じく両ハウジング10,20が正規嵌合した状態では、雄端子金具11のタブ11aが雌端子金具21内に進入し、その接続部21a内において弾性接触部(図示せず)と接触し、もって両端子11,21が接続される。また、フード部12の前端部内周と雌側ハウジング20の外周との隙間がシールリング24によって液密状にシールされる。
【0030】
上述のように本実施形態においては、筒状嵌合部29の内周面奥端部に、フード部12の外周面に当接することで、フード部12と筒状嵌合部29の相対変位を規制する規制突部32A,32B,32Cを設けたので、両ハウジング10,20の相対変位に起因する端子金具間の微摺動摩耗を防止することができる。
【0031】
また、規制突部32A,32B,32Cを筒状嵌合部29のみに設け、両ハウジング10,20の嵌合過程では、正規嵌合の手前まで規制突部32A,32B,32Cとフード部12との干渉に起因する嵌合抵抗が発生しないようにしたので、嵌合作業性がよい。
【0032】
また、筒状嵌合部29の上面にロックアーム26が設けられ、フード部12の外周上面にロックアーム26に係止されるロック部13が設けられているため、筒状嵌合部29やフード部12の上面壁に規制部を設けることはスペース的に困難である。そこで、本実施形態では、フード部12の外周における左右両側面に両ハウジング10,20の嵌合方向に沿ったガイドリブ15を設けるとともに、筒状嵌合部29の内周に両ハウジング10,20の嵌合方向に沿い且つガイドリブ15の嵌合を可能とするガイド溝30を設け、ガイド溝30の奥端部上面に規制突部32Cを設け、筒状嵌合部29の内周下面壁の奥端部に規制突部32Aを設けた。これにより、ガイド溝30に設けた下向きの左右一対の規制突部32Cと、筒状嵌合部29の下面壁に設けた上向きの規制突部32Aとによって、両ハウジング10,20の上下方向への相対変位を規制することができる。
【0033】
また、左右方向については、左右両側壁に内向きに突出するように設けた一対の設けた一対の規制突部32Bによってハウジング10,20間の相対変位が規制されている。
【0034】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図13ないし図16を参照して説明する。本実施形態2は、上記実施形態1において両ハウジング10,20の嵌合時の嵌合抵抗を低減する手段を講じたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
筒状嵌合部29の左右一対の規制突部32Aが形成されている下面壁の奥端部(後端部)には、左右方向において一対の規制突部32Aの形成されている領域を除いた領域を切欠することによって3つの切欠部40が形成されている。これらの切欠部40は、各規制突部32Aを左右両側から挟むように位置し、且つ筒状嵌合部29の下面壁の内周から外周に連通する形態とされている。また、前後方向における切欠部40の形成領域は、規制突部32Aの前端よりも前方の位置から、規制突部32Aの後端よりも後方の位置(即ち、筒状嵌合部29の後端位置)に亘る範囲となっている。この切欠部40により、筒状嵌合部29の下面壁のうち規制突部32Aの形成されている領域(即ち、一対の切欠部40で挟まれた領域)は、筒状嵌合部29の径方向(即ち、両ハウジング10,20の嵌合方向と交差する方向)へ弾性撓み可能な弾性支持部41となっている。さらに、筒状嵌合部29の下面壁の後端部外周には、規制突部32Aと対応する領域(弾性支持部41)を凹ませた形態の肉抜き部42が形成されている。これにより、弾性支持部41の肉厚は、それよりも前方の領域よりも薄くなっている。
【0035】
本実施形態においては、規制突部32Aの形成されている筒状嵌合部29の奥端部に、規制突部32Aを挟む位置に配され、且つ筒状嵌合部29の内周から外周に連通する形態の一対の切欠部40を形成し、筒状嵌合部29のうち規制突部32Aが設けられている弾性支持部41は弾性的に変位し得るようにした。これにより、両ハウジング10,20の嵌合過程において規制突部32Aがフード部12に当接するときには、規制突部32Aがフード部12から逃げる方向へ弾性変位し、規制突部32Aとフード部12との干渉に起因する嵌合抵抗が低減される。
また、筒状嵌合部29の外周に、一対の切欠部40の間の領域、即ち規制突部32Aの形成されている弾性支持部41を凹ませた形態の肉抜き部42を設けたので、筒状嵌合部29のうち規制突部32Aの形成されている領域が、肉薄となって弾性変位し易くなるとともに、雌側ハウジング20が軽量化される。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では規制突部を筒状嵌合部のみに設けたが、本発明によれば、規制突部は、フード部の外周のみに設けても良く、フード部の外周と筒状嵌合部の内周の双方に設けてもよい。
(2)上記実施形態では防水タイプのコネクタについて説明したが、本発明は、非防水タイプのコネクタにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態1において両ハウジングを嵌合した状縦の断面図
【図2】雌側ハウジングの断面図
【図3】雄側ハウジングの断面図
【図4】雌側ハウジングの正面図
【図5】図4のA−A断面図
【図6】図4のB−B断面図
【図7】雄側ハウジングの正面図
【図8】図7のC−C断面図
【図9】雄側ハウジングの側面図
【図10】雄側ハウジングの底面図
【図11】フード部と筒状嵌合部の嵌合状態をあらわす概略図
【図12】ガイドリブとガイド溝の嵌合状態をあらわす断面図
【図13】実施形態2の雌側ハウジングの断面図
【図14】雌側ハウジングの側面図
【図15】雌側ハウジングの正面図
【図16】雌側ハウジングの背面図
【符号の説明】
【0038】
10…雄側ハウジング
11…雄端子金具
11a…タブ
12…フード部
13…ロック部
15…ガイドリブ
20…雌側ハウジング
21…雌端子金具
26…ロックアーム
29…筒状嵌合部
30…ガイド溝
32A,32B,32C…規制突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄端子金具を収容するとともに前記雄端子金具のタブを包囲するフード部を有する雄側ハウジングと、
雌端子金具を収容する雌側ハウジングとを備えてなり、
前記雌側ハウジングを前記フード部に嵌入することで前記雌端子金具と前記タブとを接続させるようにしたコネクタにおいて、
前記雌側ハウジングに、前記フード部に外嵌される筒状嵌合部を設け、
前記フード部の外周面先端部と前記筒状嵌合部の内周面奥端部のうち少なくともいずれか一方に、相手側の周面に当接することで、前記フード部と前記筒状嵌合部の相対変位を規制する規制突部を設けたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記規制突部を、前記筒状嵌合部のみに設けたことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記筒状嵌合部の上面にロックアームが設けられているとともに、前記フード部の外周上面に前記ロックアームに係止されるロック部が設けられているコネクタであって、
前記フード部の外周における左右両側面に、前記両ハウジングの嵌合方向に沿ったガイドリブを設け、
前記筒状嵌合部の内周に、前記両ハウジングの嵌合方向に沿い、且つ前記ガイドリブの嵌合を可能とするガイド溝を設け、
前記ガイドリブの先端部上面と前記ガイド溝の奥端部上面のうち少なくともいずれか一方に前記規制突部を設け、
前記フード部の外周下面壁の先端部と前記筒状嵌合部の内周下面壁の奥端部のうち少なくともいずれか一方に前記規制突部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記規制突部を前記筒状嵌合部の奥端部に設け、
前記筒状嵌合部の奥端部に、前記規制突部を挟む位置に配され、且つ前記筒状嵌合部の内周から外周に連通する形態の一対の切欠部を形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記筒状嵌合部の外周に、前記一対の切欠部の間の領域を凹ませた形態の肉抜き部を設けたことを特徴とする請求項4記載のコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−19187(P2006−19187A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197202(P2004−197202)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】