説明

コネクタ

【課題】ケーブルの末端に設けられたコネクタにおいて、簡易な構造により、防水構造の耐久性を改善する。
【解決手段】コネクタ10は、端子18と被覆材14のそれぞれを一体に覆う一次樹脂成形部材20を有する。この一次樹脂成形部材20と被覆材14の第一接合部分28には、ここを封止する第一シーリング材24が配置される。この第一シーリング材24は、二次樹脂成形部材22により、一次樹脂成形部材20とともに一体に覆われる。二次樹脂成形部材22により、第一接合部分28からの第一シーリング材24の剥離が抑制されるので、防水構造の耐久性が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの末端に設けられるコネクタに関し、特にその防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
導体と、これを被覆する被覆材を含むケーブルの末端に設けられ、このケーブルを別のケーブルまたは電気機器と電気的に接続するコネクタが知られている。コネクタは、被覆材から突出して露出した導体と接合される端子を有し、この端子が接続対象となる電気機器や別のケーブルに設けられた端子に接合して電気的な接続が達成される。防水、防塵などの目的により、端子と、これに隣接する被覆材の部分を樹脂製の成形部品で一体に覆ったコネクタが知られている。
【0003】
下記特許文献1には、端子を収容する樹脂成形部品と、この樹脂成形部品に隣接するケーブルの部分を、別の樹脂成形部品で覆い、防水する技術が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−138794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコネクタにおいては、ケーブル側から、被覆材と樹脂成形部材との隙間を通って、コネクタ内部に水等が浸入する可能性があった。このような水等の浸入を防止する場合、被覆材と樹脂成形部材との接合部分にシーリング材を配置し、ここを封止する方法がある。しかし、自動車の車体にケーブルが用いられる場合など、ケーブルが振動を受ける条件の下では、樹脂成形部材に対しケーブルが移動しようとするので、これらの接合部分からシーリング材が剥れてしまい、防水性能が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ケーブルの末端に設けられたコネクタであって、簡易な構造により、防水構造の耐久性を改善することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、導体と、これを被覆する被覆材を含むケーブルの末端に設けられたコネクタであって、前記被覆材より突出した導体と接合する端子と、前記端子と前記被覆材のそれぞれの隣接部分を一体に覆う一次樹脂成形部材と、前記一次樹脂成形部材と前記被覆材の接合部分に配置され、ここを封止する第一封止部材と、前記一次樹脂成形部材の前記被覆材側端部と、前記第一封止部材と一体に覆う前記二次樹脂成形部材とを有することを特徴とする。
【0008】
また、前記第一封止部材を液状のシール材料にすることができる。
【0009】
さらに、前記二次樹脂成形部材と前記被覆材の接合部分に配置され、ここを封止する第二封止部材を有することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコネクタによれば、ケーブルの末端に設けられたコネクタであって、簡易な構造により、防水構造の耐久性を改善することができるコネクタを提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図に従って説明する。一例として、電気機器を接続対象とするケーブルを挙げ、このケーブルの末端に設けられるコネクタについて説明する。なお、本発明は、電気機器を接続対象とするコネクタに限らず、ケーブル同士を接続するコネクタにも適用することができる。
【0012】
図1は、本実施形態のコネクタ10の断面図である。図2は、電気機器38に固定されるコネクタ10を示す断面図である。図1においては、ケーブル12の一方の末端に設けられたコネクタ10の構成が示されているが、他方の末端の構成も同様とすることができる。
【0013】
コネクタ10は、導体16と、これを被覆する被覆材14を含むケーブル12に設けられる。コネクタ10は、被覆材14から突出して露出した導体16と接合する端子18を有する。端子18には、ボルト(図示せず)が貫通する孔18aが形成されている。この孔18aにボルトを貫通させ、このボルトにより端子18と電気機器38の端子(図示せず)とを接合することにより、コネクタ10を介してケーブル12、特にその導体16と電気機器38との電気的な接続が達成される。
【0014】
また、コネクタ10は、端子18と、これに、図の紙面を貫く方向において並べて配置される端子(図示せず)との間を仕切る間仕切板34を有する。この間仕切板34は、絶縁性を有する材質であり、例えば樹脂製である。これにより、端子18と、これに隣接する端子との絶縁距離を短くすることができる。
【0015】
また、コネクタ10は、一次樹脂成形部材20と、これを一体に覆う二次樹脂成形部材22とを有する。これらの成形部材は、金型に絶縁性の樹脂を加圧して射出、充填する加工法、いわゆる射出成形により成形される。一次成形樹脂部材20は、端子18と被覆材14のそれぞれの隣接部分を一体に覆い、この部分の対絶縁性、防水性及び防塵性を向上させている。さらに、一次樹脂成形部材20は、導体16の露出している部分と、端子18の導体16に結合している部分を覆っている。導体16の露出している部分が全て一次樹脂成形部材20で覆われることにより、導体16の露出している部分も同様に、耐絶縁性等が確保されている。
【0016】
一次樹脂成形部材20と被覆材14とが接合する第一接合部分28には、一次樹脂成形部材20と被覆材14との隙間を封止する第一シーリング材24が配置される。二次樹脂成形部材22は、一次樹脂成形部材20とともに第一シーリング材24も覆うように成形される。第一シーリング材24は、粘性を有する液状のシール材料、例えばシリコーンからなる。第一シーリング材24は、これの接着力と、二次樹脂成形部材22が成形されるときの圧力とにより、二次樹脂成形部材22と第一接合部分28とに隙間なく密着し、ここを封止する。これにより、ケーブル12側から被覆材14と二次樹脂成形部材22の隙間を通ってくる水が、さらにコネクタ12の内部、すなわち端子18側へ浸入することを防止することができる。
【0017】
二次樹脂成形部材22は、径方向に張り出す板状のフランジ部42を有する。このフランジ部42を、電気機器38の端子を収容するハウジング40の端部に当接させて、ここをネジなどの締め付け金具(図示せず)で固定することにより、コネクタ10が電気機器38に固定される。また、二次樹脂成形部材22には、これの外周側から、環状のゴムリング32が装置されている。ゴムリング32は、コネクタ10が電気機器38に固定されるとき、ハウジング40の内周壁に隙間なく嵌合し、ここを封止する。これにより、外部からハウジング40と二次樹脂成形部材22との隙間を通って、水が浸入することを防止することができる。
【0018】
また、二次樹脂成形部材22と被覆材14とが接合する第二接合部分30には、二次樹脂成形部材22と被覆材14との隙間を封止する第二シーリング材26が配置される。第二シーリング材26は、第一シーリング材24と同様に、粘性を有する液状のシール材料、例えばシリコーンからなる。第二シーリング材26には、外部からの接触による第二シーリング材26の損傷を保護する目的により、保護テープ36が第二シーリング材26の外周に巻き付けられている。第二シーリング材26は、これの接着力により、第二接合部分30に隙間なく密着し、ここを封止する。これにより、ケーブル12側から被覆材14と二次樹脂成形部材22の隙間に、水が浸入することを防止することができる。
【0019】
本実施形態のコネクタ10によれば、二次樹脂成形部材22が一次樹脂成形部材20とケーブル12とを一体に覆っているので、一次樹脂成形部材20とケーブル12の相対変位が抑えられる。したがって、ケーブル12が振動を受ける条件の下で用いられても、第一接合部分28からの第一シーリング材24の剥離が抑制され、防水構造の耐久性が改善される。
【0020】
また、本実施形態のコネクタ10によれば、一次樹脂成形部材20の被覆材14側端部と被覆材14により段差が形成されるので、第一接合部分28に第一シーリング材24を配置するとき、粘性を有する液状のシール材料である第一シーリング材24を、その段差に沿って容易に付着させることができる。
【0021】
さらに、本実施形態のコネクタ10によれば、ケーブル12側からの水の浸入を第一及び第二シーリング材24,26により封止する二重防水構造が構成されるので、耐久性の向上が図られる。
【0022】
上記実施形態においては、第一及び第二シーリング材24,26が粘性を有する液状のシール材料である場合について説明したが、ゴム製のリングを用いることもできる。
【0023】
上記実施形態では、二次樹脂成形部材22が一次樹脂成形部材20の全体を覆う場合について説明したが、この構成に限定されない。二次樹脂成形部材22が、一次樹脂成形部材20の被覆材14側端部と、第一シーリング材24とを一体に覆うのであれば、一次樹脂成形部材20を部分的に覆うように成形されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係るコネクタを示す断面図である。
【図2】電気機器に固定されるコネクタを示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 コネクタ、12 ケーブル、14 被覆材、16 導体、18 端子、20 一次樹脂成形部材、22 二次樹脂成形部材、24 第一シーリング材、26 第二シーリング材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と、これを被覆する被覆材を含むケーブルの末端に設けられたコネクタであって、
前記被覆材より突出した導体と接合する端子と、
前記端子と前記被覆材のそれぞれの隣接部分を一体に覆う一次樹脂成形部材と、
前記一次樹脂成形部材と前記被覆材の接合部分に配置され、ここを封止する第一封止部材と、
前記一次樹脂成形部材の前記被覆材側端部と、前記第一封止部材と一体に覆う前記二次樹脂成形部材と、
を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記第一封止部材は、液状のシール材料であることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコネクタであって、
前記二次樹脂成形部材と前記被覆材の接合部分に配置され、ここを封止する第二封止部材を有することを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−269858(P2008−269858A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108832(P2007−108832)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】