説明

コネクタ

【課題】コネクタハウジングの形状の簡素化を図る。
【解決手段】両コネクタハウジング10,20が離脱した状態、及び両コネクタハウジング10,20が半嵌合の状態では、短絡端子40が一対の端子金具24を短絡させる短絡状態を保持し、両コネクタハウジング10,20が正規の嵌合状態に到達すると、ロックアーム12がロック位置へ弾性復帰することにより、短絡端子40が一対の端子金具24の短絡を解除する短絡解除状態に変位する。ロックアーム12には、ロックアーム12がロック位置へ弾性復帰するときに短絡端子40に直接当接して短絡端子40を短絡解除状態へ変位させる解除部15が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のエアバッグの駆動回路を構成するコネクタでは、コネクタを構成する2つのコネクタハウジングを離脱して回路を開成したときには、エアバッグの誤作動を防止するために、エアバッグ側のコネクタハウジングに設けられている端子金具同士を短絡させておく構造が採用されいる。
【0003】
このような短絡機能を備えたコネクタとしては、特許文献1に記載されているものがある。このコネクタは、第1コネクタハウジングに一対の端子金具と両第1端子金具を短絡させる短絡端子とを設け、第2コネクタハウジングには、両コネクタハウジングを嵌合状態にロックするたろの弾性撓み可能なロックアームを形成している。
【0004】
両コネクタハウジングを離脱した状態では、一対の端子金具は短絡端子により短絡状態に保持されている。また、両コネクタハウジングを嵌合する過程において、両コネクタハウジングが正規嵌合に至らない半嵌合の状態では、ロックアームがロック解除位置に弾性撓みするので、短絡端子は両端子金具を短絡する状態に保持される。そして、両コネクタハウジングが正規の嵌合状態に到達すると、ロックアームがロック位置に弾性復帰し、このロックアームの弾性復帰動作に連動して短絡端子が両端子金具から解離する短絡解除位置に変位させられる。これにより、両端子金具が短絡状態から解放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−250226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のコネクタでは、第1コネクタハウジングに短絡端子と対応するように弾性撓み可能なアーム部を形成し、ロックアームが弾性復帰したときには、ロックアームがアーム部を押し、このアーム部が短絡端子を短絡解除位置へ移動させるようになっている。このように上記のコネクタでは、ロックアームと短絡端子との間にアーム部を介在させていたので、第1コネクタハウジングの形状が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタハウジングの形状の簡素化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、第1コネクタハウジングと、第1コネクタハウジングに形成された弾性撓み可能なロックアームと、前記第1コネクタハウジングと嵌合可能な第2コネクタハウジングと、前記第2コネクタハウジングに設けられた一対の端子金具と、前記第2コネクタハウジングに設けられ、前記一対の端子金具を短絡させる短絡状態と前記一対の端子金具の短絡を解除する短絡解除状態との間での変位が可能な短絡端子とを備え、前記両コネクタハウジングを離脱した状態では、前記短絡端子が前記一対の端子金具を短絡させる短絡状態を保持し、前記両コネクタハウジングを嵌合する過程において、前記両コネクタハウジングが正規嵌合に至らない半嵌合の状態では、前記ロックアームがロック解除位置へ弾性撓みし、前記短絡端子が前記一対の端子金具を短絡させる短絡状態を保持し、前記両コネクタハウジングが正規の嵌合状態に到達すると、前記ロックアームがロック位置へ弾性復帰することにより、前記短絡端子が前記一対の端子金具の短絡を解除する短絡解除状態に変位するようになっているコネクタにおいて、前記ロックアームには、前記ロックアームがロック位置へ弾性復帰するときに前記短絡端子に直接当接して前記短絡端子を短絡解除状態へ変位させる解除部が形成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記短絡端子が、前記一対の端子金具と個別に導通可能であって、常には互いに接触状態を保つ2つの短絡金具によって構成されており、前記ロックアームがロック位置へ弾性復帰したときには、少なくとも一方の前記短絡金具が前記解除部によって弾性変位させられることにより、前記一対の短絡金具が離間するようになっているところに特徴を有する。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記端子金具は、前記第2コネクタハウジングに対して後方から取り付けられるようになっており、前記短絡金具には、前記端子金具に接触する端子用接触部が、前記第2コネクタハウジングへの取付部から前方へ片持ち状に延出した形態で形成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
<請求項1の発明>
ロックアームの弾性復帰動作は、ロックアームから、直接、短絡端子に伝達されるので、ロックアームと短絡端子との間にアーム部等の伝達手段を介在させる場合に比べると、コネクタハウジングの形状の簡素化を図ることができる。
【0012】
<請求項2の発明>
短絡端子を単一部品とし、短絡解除の際に短絡端子の全体を変位させる場合には、短絡端子を変位させるために確保すべきスペースが大きくなり、コネクタの大型化が懸念される。その点、本発明では、短絡端子を2つの短絡金具によって構成し、その少なくとも一方の短絡金具のみを変位させるようにしてるので、短絡解除のための変位動作に必要なスペースが小さくて済む。
【0013】
<請求項3の発明>
短絡金具を第2コネクタハウジングに取り付けた状態で、端子金具を第2コネクタハウジングに取り付ける際には、端子金具の取り付け方向と端子接触部の延出方向とがほぼ同じ方向なので、端子接触部が端子金具との接触によって変形を来すことがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1において両コネクタハウジングが正規嵌合した状態をあらわす断面図
【図2】両コネクタハウジングが半嵌合の状態をあらわす断面図
【図3】第2コネクタハウジングの断面図
【図4】第2コネクタハウジングの断面図
【図5】第1コネクタハウジングの平面図
【図6】第1コネクタハウジングの正面図
【図7】第2コネクタハウジングの正面図
【図8】短絡端子と雄端子金具との位置関係をあらわす正面図
【図9】固定側短絡金具の平面図
【図10】固定側短絡金具の正面図
【図11】可動側短絡金具の平面図
【図12】可動側短絡金具の正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図12を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、互いに嵌合可能な第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とを備えて構成されている。
【0016】
第1コネクタハウジング10は、合成樹脂製であり、全体としてブロック状をなす。第1コネクタハウジング10内には一対の雌端子金具11が収容されている。第1コネクタハウジング10には、その上面に沿うようにロックアーム12が一体に形成されている。ロックアーム12は、全体として板状をなし、その前後方向における略中央の支持部13を介して第1コネクタハウジング10の上面に支持されている。ロックアーム12は、常には、第1コネクタハウジング10の上面と平行をなすロック位置(図1を参照)に保持されているが、前端側を上方(第1コネクタハウジング10から離間する方向)へ変位させるうよに姿勢を斜めに傾けたロック解除位置(図2を参照)へシーソー状に弾性撓みし得るようになっている。
【0017】
ロックアーム12の前端に近い位置には、ロックアーム12を上下に貫通した形態のロック孔14が形成されている。同じくロックアーム12の前端に近い位置には、その下面から下方へ突出した形態の解除部15が形成されている。ロック孔14と解除部15は、ロックアーム12の幅方向中央位置から側方へ片寄った位置に配置されており、換言するとロック孔14と解除部15は幅方向(左右方向)に並ぶように配置されている。このロック孔14と解除部15は、前後方向(両コネクタハウジング10,20の嵌合方向と平行な方向)において、第1コネクタハウジング10の前端部と対応するように配置されている。第1コネクタハウジング10の前端部には、その上面を切欠した形態の短絡用作動空間16が形成されている。この短絡用作動空間16は、第1コネクタハウジング10の前端面にも開放されている。この短絡用作動空間16内では、ロックアーム12の解除部15により短絡端子40を短絡状態と短絡解除状態との間で変位する動作が行われる。
【0018】
第2コネクタハウジング20は、合成樹脂製であり、端子保持部21と、端子保持部21の前端外周縁から前方へ筒状に突出したフード部22とを一体に形成したものである。端子保持部21内には左右一対のキャビティ23H,23Lが形成され、各キャビティ23H,23L内には後方から雄端子金具24(本発明の構成要件である端子金具)が挿入されている。各雄端子金具24の前端のタブは、端子保持部21の前端面から突出してフード部22により包囲されている。一対のキャビティ23H,23Lは、互いに異なる高さに形成されており、したがって、このキャビティ23H,23Lに挿入される一対の雄端子金具24も、互いに高さが異なっている。
【0019】
また、第2コネクタハウジング20内におけるキャビティ23H,23Lよりも上方に位置には、端子保持部21の前端面に開放された収容空間25が形成されている。収容空間25は、高低差のある一対の個別空間26H,26Lと、1つの共用空間27とから構成されている。一対の個別空間26H,26Lは、一対のキャビティ23H,23Lの上方に位置し、各キャビティ23H,23Lと個別に連通している。共用空間27は、一対の個別空間26H,26Lの間に配置され、両個別空間26H,26Lに連通している。収容空間25の奥端部には、横長のスリット状をなし高低差のある上下一対の取付孔28H,28Lが形成されている。
【0020】
フード部22を構成する上面壁には、上方へ突出した形態のロック突起29が形成されている。このロック突起29は、両コネクタハウジング10,20を嵌合する過程では、ロックアーム12の前端と干渉するようになっているとともに、両コネクタハウジング10,20が正規嵌合したときにはロックアーム12のロック孔14と係止されるようになっている。同じく、フード部22の上面壁には、その前端縁から後方へ切欠した形態の切欠部30が形成されている。この切欠部30は、フード部22の内部と外部とを連通させるものであり、幅方向においてロックアーム12の解除部15と対応している。
【0021】
また、第2コネクタハウジング20には、フード部22の上面壁よりも上方の空間を包囲する形態の保護壁31が形成されている。保護壁31とフード部22の上面壁とによって囲まれた空間は、前後方向に貫通した形態のロック用作動空間32となっている。このロック用作動空間32内では、ロック突起29とロックアーム12との係止動作及び解離動作が行われるようになっている。また、両コネクタハウジング10,20の嵌合過程及び両コネクタハウジング10,20が正規嵌合した状態では、短絡用作動空間16とロック用作動空間32が切欠部30を介して連通するようになっている。
【0022】
第2コネクタハウジング20には、短絡端子40が取り付けられている。短絡端子40は、雄端子金具24とは別体部品である固定側短絡金具41Fと、同じく雄端子金具24とは別体部品である可動側短絡金具41Mとの2つの短絡金具41F,41Mによって構成されている。
【0023】
固定側短絡金具41Fは、抜止片43が形成された板状の取付部42と、取付部42から前方へ片持ち状に延出した形態の固定側接触部44Fと、取付部42から前方へ片持ち状に延出した形態の端子用接触部45とから構成されている。固定側接触部44Fは、取付部42に対して面一状をなし、両コネクタハウジング10,20の嵌合方向と平行に直線状に延びている。端子用接触部45は、幅方向においては固定側接触部44Fと並ぶように配置され、固定側接触部44Fよりも低い位置(雄端子金具24に近い位置)に配置されている。この端子用接触部45の延出方向は、両コネクタハウジング10,20の嵌合方向及びキャビティ23H,23Lへの雄端子金具24の挿入方向に対して斜めの方向である。端子用接触部45の延出端部には、端子用接点部46が形成されている。
【0024】
可動側短絡金具41Mは、抜止片43が形成された板状の取付部42と、取付部42から前方へ片持ち状に延出した形態の可動側接触部44Mと、取付部42から前方へ片持ち状に延出した形態の端子用接触部45とから構成されている。端子用接触部45は、幅方向においては可動側接触部44Mと並ぶように配置され、可動側接触部44Mよりも低い位置(雄端子金具24に近い位置)に配置されている。この端子用接触部45の延出方向は、両コネクタハウジング10,20の嵌合方向及びキャビティ23H,23Lへの雄端子金具24の挿入方向に対して斜めの方向である。端子用接触部45の延出端部には、端子用接点部46が形成されている。
【0025】
可動側接触部44Mは、第2コネクタハウジング20に取り付けられていない状態では、取付部42から斜め上方へ延出している。そして、可動側接触部44Mの延出端部(前端部)には、短絡用接点部47が上方へ突出した形態で形成されている。同じく可動側接触部44Mの延出端部には、短絡用接点部47よりも前方に延出する被押圧部48が形成されている。被押圧部48は、短絡用接点部47が形成されている部分よりも一段高くなっている。
【0026】
固定側短絡金具41Fは、雄端子金具24よりも前に予め第2コネクタハウジング20に取り付けられる。取り付けに際しては、固定側短絡金具41Fは収容空間25内に挿入され、その取付部42が高い側の取付孔28Hに差し込まれ、抜止片43を取付孔28Hの内壁に係止させることによって第2コネクタハウジング20に取り付けられている。
【0027】
固定側短絡金具41Fを取り付けた状態では、固定側接触部44Fは、収容空間25のうち共用空間27内に配置され、その共用空間27の天井面に対して下から当接又は接近して下から対向した状態に配置されている。そして、固定側接触部44Fの前端部は、切欠部30内に突出し、フード部22の外面側(上側)へ露出されている。また、端子用接触部45は、高い側の個別空間26H内に配置され、高低差のある一対のキャビティ23H,23Lのうち高い側のキャビティ23H内に進出している。
【0028】
可動側短絡金具41Mは、固定側短絡金具41Fと同様、雄端子金具24よりも前に予め第2コネクタハウジング20に取り付けられる。取り付けに際にしては、可動側短絡金具41Mは収容空間25内に挿入され、その取付部42が低い側の取付孔28Lに差し込まれ、抜止片43を取付孔28Lの内壁に係止させることによって第2コネクタハウジング20に取り付けられている。
【0029】
可動側短絡金具41Mを取り付けた状態では、可動側接触部44Mは、収容空間25のうち共用空間27内に配置され、幅方向において固定側接触部44Fと同じ位置に配置される。そして、可動側接触部44Mは、固定側接触部44Fの下方に位置し、その短絡用接点部47が固定側接触部44Fの前端部下面に対し弾性的に接触している。このとき、可動側接触部44Mは自由状態に比べて下方(ロックアーム12の弾性撓み時における解除部15の変位方向と概ね平行な方向)へ弾性撓みしているので、その弾性復元力により、短絡用接点部47では所定の接触圧が確保されている。
【0030】
また、可動側接触部44Mの被押圧部48は、固定側接触部44Fの前端よりも更に前方であって、固定側接触部44Fの前端部よりも上方(ロックアーム12に近い側)に配置され、切欠部30においてフード部22の外面側(上側)へ露出されている。また、端子接触部は、低い側の個別空間26H内に配置され、低い側のキャビティ23L内に進出している。
【0031】
固定側短絡金具41Fと可動側短絡金具41Mを第2コネクタハウジング20に取り付けた後、雄端子金具24が後方からキャビティ23H,23L内に挿入される。雄端子金具24を挿入する過程では、雄端子金具24の上面と端子用接触部45の端子用接点部46とが摺接する。このとき、雄端子金具24の取り付け方向と端子用接触部45の延出方向とがほぼ同じ方向となっているので、端子用接触部45が雄端子金具24との接触によって変形を来すことがない。
【0032】
一対の雄端子金具24が正規挿入された状態では、各雄端子金具24に固定側短絡金具41Fと可動側短絡金具41Mが個別に導通可能に接触し、可動側短絡金具41Mと固定側短絡金具41Fとが導通可能に接触している。つまり、短絡端子40は短絡状態となっている。したがって、両コネクタハウジング10,20が未嵌合の状態(離脱した状態)では、短絡端子40(可動側短絡金具41Mと固定側短絡金具41F)を介して一対の雄端子金具24が短絡状態に保持される。
【0033】
両コネクタハウジング10,20を嵌合する際には、第1コネクタハウジング10をフード部22内に嵌入していく。嵌合の過程では、図2に示すように、ロックアーム12の前端がロック突起29と干渉するので、ロックアーム12はロック解除位置へ弾性撓みさせられる。このとき、解除部15は、被押圧部48よりも高い位置に変位するので、解除部15が被押圧部48の真上に位置するまで嵌合が進んでも、被押圧部48は固定側接触部44Fに弾性接触した状態を保つ。このように、両コネクタハウジング10,20が正規の嵌合状態に至らない半嵌合の状態でも、短絡端子40は短絡状態を維持するので、未嵌合のときと同様に、一対の雄端子金具24は短絡端子40を介して短絡状態に保持される。
【0034】
そして、両コネクタハウジング10,20が正規の嵌合状態に到達すると、図1に示すように、ロックアーム12の前端部がロック突起29を通過し終わるので、ロックアーム12は、それ自身の弾性復元力によりロック位置へ弾性復帰する。これにより、ロック孔14がロック突起29に係止するので、この係止作用により、正規嵌合された両コネクタハウジング10,20は離脱規制状態にロックされる。
【0035】
両コネクタハウジング10,20が正規嵌合されて、ロックアーム12が弾性復帰するのに伴い、解除部15が、下方へ変位して被押圧部48の上面を押圧する。これにより、被押圧部48が解除部15と一体となって下方へ変位し、可動側接触部44Mの短絡用接点部47が固定側接触部44Fの下面から離間する。つまり、上下に重なるように接触していた可動側接触部44Mと固定側接触部44Fが非導通の状態となる。
【0036】
このように短絡端子40が短絡状態から短絡解除状態へ変位することにより、一対の雄端子金具24の短絡状態が解除される。尚、短絡が解除されるときには、可動側短絡金具41Mが弾性撓みするだけであって、固定側短絡金具41Fは殆ど変形は生じない、また、短絡端子40による短絡が解除されても、可動側短絡金具41Mと固定側短絡金具41Fは、夫々、対応する雄端子金具24に接触した状態を保つ。
【0037】
また、嵌合状態の両コネクタハウジング10,20を離脱する際には、ロックアーム12の後端部の解除操作部17を押し操作してロックアーム12をロック解除位置へ弾性撓みさせる。これにより、ロック孔14がロック突起29から解離して、両コネクタハウジング10,20のロック状態が解除されるので、ロックアーム12をロック解除位置に保持したままで、両コネクタハウジング10,20を引き離せばよい。
【0038】
また、ロックアーム12を弾性撓みさせると、解除部15が上方へ変位し、被押圧部48に対する上からの押圧作用が解除されるので、可動側接触部44Mが上方へ弾性復帰し、短絡用接点部47が固定側接触部44Fの下面に対して弾性的に当接する。これにより、短絡端子40は、短絡解除状態から短絡状態へと変位するので、一対の雄端子金具24は短絡状態となる。そして、両コネクタハウジング10,20を離間させた後は、ロックアーム12の解除部15が、短絡端子40に対して接触不能な距離まで離間するので、両コネクタハウジング10,20を離間した後は、ロックアーム12から手を離しても、一対の雄端子金具24は短絡状態に保持される。
【0039】
上述のように本実施形態においては、ロックアーム12に、ロックアーム12がロック位置へ弾性復帰したときに短絡端子40に直接当接して短絡端子40を短絡解除状態へ変位させる解除部15を形成した。これにより、ロックアーム12の弾性復帰動作は、ロックアーム12から、直接、短絡端子40に伝達されるので、ロックアーム12と短絡端子40との間にアーム部等の伝達手段を介在させる場合に比べると、コネクタハウジング10,20の形状の簡素化を図ることができる。
【0040】
また、短絡端子を単一部品とし、短絡解除の際に短絡端子の全体を変位させる場合には、短絡端子を変位させるために確保すべきスペースが大きくなり、コネクタの大型化が懸念される。その点に鑑み、本実施形態では、短絡端子40を、一対の雄端子金具24と個別に導通可能であって、常には互いに接触状態を保つ2つの短絡金具41F,41Mによって構成し、ロックアーム12がロック位置へ弾性復帰したときには、可動側短絡金具41Mが解除部15によって弾性変位させられることにより、一対の短絡金具41F,41Mが離間するようにした。このように、本実施形態によれば、短絡を解除するときに、短絡端子40の全体を変位させるのではなく、短絡端子40の一部(可動側短絡金具41Mの可動側接触部44M)のみを変位させるようにしてるので、短絡解除のための変位動作に必要なスペースが小さくて済む。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ロックアームが形成される第1コネクタハウジングに雌端子金具を取り付け、短絡端子が設けられる第2コネクタハウジングに雄端子金具を取り付けるようにしたが、ロックアーム側の第1コネクタハウジングに雄端子金具を取り付け、短絡端子側の第2コネクタハウジングに雌端子金具を取り付けても良い。
(2)上記実施形態では、短絡端子による短絡が解除される形態として、2つの短絡金具のうち一方の短絡金具のみが弾性変位して他方の短絡金具から離間するようにしたが、これに限らず、両方の短絡金具が弾性変位して互いに離間するようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、短絡端子による短絡が解除されるときに、2つの短絡金具がいずれも端子金具に接触した状態を保つようにしたが、これに限らず、少なくとも一方の短絡金具が端子金具から離間することによって短絡が解除されるようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、短絡端子を構成する2つの短絡金具を端子金具とは別体の部品としたが、短絡金具のうち少なくとも一方が端子金具に一体に形成されたものであってもよい。
(5)上記実施形態では、短絡端子を2つの短絡金具によって構成したが、短絡端子は、単一の部品であってもよい。この場合、短絡端子による短絡が解除される形態としては、短絡端子が一対の端子金具から離間する形態と、短絡端子がいずれか一方の端子金具のみから離間する形態のいずれであってもよい。
(6)上記実施形態では、短絡解除時の短絡金具の変位方向がロックアームの弾性復帰時の変位方向とほぼ同じ方向であったが、短絡金具の変位方向はロックアームの変位方向に対して交差する方向であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…第1コネクタハウジング
12…ロックアーム
15…解除部
20…第2コネクタハウジング
24…雄端子金具(端子金具)
40…短絡端子
41F…固定側端子金具
41M…可動側短絡金具
42…取付部
45…端子用接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタハウジングと、
第1コネクタハウジングに形成された弾性撓み可能なロックアームと、
前記第1コネクタハウジングと嵌合可能な第2コネクタハウジングと、
前記第2コネクタハウジングに設けられた一対の端子金具と、
前記第2コネクタハウジングに設けられ、前記一対の端子金具を短絡させる短絡状態と前記一対の端子金具の短絡を解除する短絡解除状態との間での変位が可能な短絡端子とを備え、
前記両コネクタハウジングを離脱した状態では、前記短絡端子が前記一対の端子金具を短絡させる短絡状態を保持し、
前記両コネクタハウジングを嵌合する過程において、前記両コネクタハウジングが正規嵌合に至らない半嵌合の状態では、前記ロックアームがロック解除位置へ弾性撓みし、前記短絡端子が前記一対の端子金具を短絡させる短絡状態を保持し、
前記両コネクタハウジングが正規の嵌合状態に到達すると、前記ロックアームがロック位置へ弾性復帰することにより、前記短絡端子が前記一対の端子金具の短絡を解除する短絡解除状態に変位するようになっているコネクタにおいて、
前記ロックアームには、前記ロックアームがロック位置へ弾性復帰するときに前記短絡端子に直接当接して前記短絡端子を短絡解除状態へ変位させる解除部が形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記短絡端子が、前記一対の端子金具と個別に導通可能であって、常には互いに接触状態を保つ2つの短絡金具によって構成されており、
前記ロックアームがロック位置へ弾性復帰したときには、少なくとも一方の前記短絡金具が前記解除部によって弾性変位させられることにより、前記一対の短絡金具が離間するようになっていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子金具は、前記第2コネクタハウジングに対して後方から取り付けられるようになっており、
前記短絡金具には、前記端子金具に接触する端子用接触部が、前記第2コネクタハウジングへの取付部から前方へ片持ち状に延出した形態で形成されている ことを特徴とする請求項2記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−287463(P2010−287463A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141017(P2009−141017)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】