コネクタ
【課題】信号線用コンタクトに隣接した接地用コンタクト間の電位を同一にし、隣接する信号線用コンタクト間のクロストークを低減するようにした高速デファレンシャル信号用コネクタとしてのカードエッジコネクタを提供する。
【解決手段】複数の信号線用コンタクト及び複数の接地用コンタクトが、互いに平行に、少なくとも1列に配列される雌コネクタとしてのカードエッジコネクタにおいて、前記信号線コンタクトと前記接地用コンタクトは、高速信号が往復する2つの信号線用コンタクトを2つの接地用コンタクトで挟むように配列されるとともに、1列に配列された前記複数の接地用コンタクトは全て、コモンコンタクトにより電気的に接続されている。
【解決手段】複数の信号線用コンタクト及び複数の接地用コンタクトが、互いに平行に、少なくとも1列に配列される雌コネクタとしてのカードエッジコネクタにおいて、前記信号線コンタクトと前記接地用コンタクトは、高速信号が往復する2つの信号線用コンタクトを2つの接地用コンタクトで挟むように配列されるとともに、1列に配列された前記複数の接地用コンタクトは全て、コモンコンタクトにより電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板などに設けられた雌側コネクタであるカードエッジコネクタに関し、特に、クロストーク低減構造を備えたカードエッジコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示されるように、一方に雄コネクタとしてのプラグコネクタを設け、他方に雌コネクタとしてのカードエッジコネクタを設けてプリント配線板同士を電気的に接続することはよく知られている。
【0003】
このようなコネクタにおいては、クロストークを抑制するために、コンタクトの配置がコプレナ構造であって、接地用コンタクト(G)が往復の信号用コンタクト(S)を挟む配置、すなわち、G−S−S−G配置にすることが好ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−149643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、信号伝送が高速化されることにより、隣接信号間のクロストークがより問題となってきている。特に、高速伝送ではより高い周波数領域までわずかなクロストーク量に抑える必要がある。
【0006】
デファレンシャル信号を伝送するコネクタは、上述したように、G−S−S−G配置のように2つの信号線用コンタクトの両側に、接地用コンタクトを配置する構造が一般的である。そして、2つの信号線用コンタクトの組が隣接する場合、G−S−S−G−S−S−G配置のように2つの信号線用コンタクトは、1つの共通の接地用コンタクトによってのみ隔てられている。
【0007】
プリント配線板上に配線される接地線は、プリント配線板内部の接地用コモンプレーンなどで相互接続されており、電位も同じになるように構成されている。ところが、コネクタ内部における複数のコンタクトそれぞれが両端でのみプリント配線板に接続されている場合、接地用コンタクトは、プリント配線板内部に設けられている接地用コモンプレーンとの距離を置いて配置されることになる。したがって、各接地用コンタクトは、互いに異なる電位をもってしまうとともに、各接地用コンタクトのもつ電位は、プリント配線板上の接地線の電位とも異なる電位をもつことになる。それにより、各接地用コンタクトは、数GHzの周波数成分を持つ高周波信号に対するシールド効果が低下してしまうことになる。結果として、隣接信号線用コンタクトあるいは1つ離れた信号線用コンタクト間とのクロストークが増大してしまうという問題が発生する恐れが生じている。
【0008】
本願発明の目的は、このような問題点に鑑み、信号線用コンタクトに隣接した接地用コンタクト間の電位を同一にし、隣接する信号線用コンタクト間のクロストークを低減するようにした高速デファレンシャル信号用コネクタとしてのカードエッジコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本願発明に係るカードエッジコネクタは、複数の信号線用コンタクト及び複数の接地用コンタクトが、互いに平行に、少なくとも1列に配列される雌コネクタとしてのカードエッジコネクタにおいて、前記信号線コンタクトと前記接地用コンタクトは、高速信号が往復する2つの信号線用コンタクトを2つの接地用コンタクトで挟むように配列されるとともに、1列に配列された前記複数の接地用コンタクトが全て、コモンコンタクトにより電気的に接続されていることを特徴とする。
【0010】
また、コモンコンタクトは、複数用意され、コモンコンタクトそれぞれが2つの信号線を挟む2つの接地用コンタクトを電気的に接続するように構成されていてもよいし、同時に複数の接地用コンタクトを電気的に接続し得るように構成されていてもよい。
【0011】
さらに、コモンコンタクトが、同時に複数の接地用コンタクトを電気的に接続し得るように構成されている場合、コモンコンタクトを保持するホルダを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、このようにコモンコンタクトで全ての接地用コンタクトを電気的に接続することにより、プリント配線板間をつなぐ接地用コンタクトが全て同じ電位に保持され得る。それにより、シールド効果が従来装置よりも優れて接地用コンタクトを挟んで配置されている信号線用コンタクトを通る信号間のクロストークを低減することが可能となり、さらには、信号線用コンタクトを通る信号によるノイズの発生も抑制し得る。
また、コモンコンタクトは、簡単な構造で、組み立てが容易であり、複数の接地用コンタクトを確実に連結し、電気的に接続することが可能となるとともに、製造に際し、材料を無駄にすることもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願発明の第1の実施例に係るカードエッジコネクタを備えたプリント配線基板とプラグコネクタを備えたプリント配線基板の接続機構を前方右斜め上から見た斜視図である。
【図2】図1に示される接続機構の断面図であり、(a)は、プラグコネクタがカードエッジコネクタに挿入される直前の状態を示す断面図であり、(b)は、プラグコネクタが挿入され、電気的接続が完了した状態を示す断面図である。
【図3】カードエッジコネクタへのコンタクトの組立を説明するための図であって、図1に示されるカードエッジコネクタに信号用コンタクトが組み込まれる状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図4】図3の状態に続いて、カードエッジコネクタに接地用コンタクトが組み込まれる状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図5】図4の状態に続いて、組立が完了し、接地用コンタクトがコモンコンタクトにより接続された状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図6】第1の実施例のコモンコンタクトの詳細を示す図であり、(a)は、該コモンコンタクトの前方右斜め上から見た斜視図であり、(b)は、接地用コンタクトがコモンコンタクトにより連結された状態を詳細に示す前方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図7】第1の実施例に係るカードエッジコネクタの断面図であって、信号線用コンタクトが配置されるスリットに沿って上下方向に切断した断面図である。
【図8】本願発明の第2の実施例に係るカードエッジコネクタを後方右斜め上から見た斜視図である。
【図9】カードエッジコネクタへのコンタクトの組立を説明するための図であって、図8に示されるカードエッジコネクタに接地用コンタクトが組み込まれる状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図10】カードエッジコネクタへのコンタクトの組立を説明するための図であって、図9の状態に続いて、カードエッジコネクタに信号用コンタクトが組み込まれる状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図11】カードエッジコネクタへのコンタクトの組立を説明するための図であって、図10の状態に続いて、接地用コンタクトがコモンコンタクトにより接続された状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図12】第2の実施例のコモンコンタクト及びホルダの詳細を示す前方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図13】図12のコモンコンタクトにより接地用コンタクトが接続された状態を詳細に示す部分斜視図である。
【図14】第2の実施例に係るカードエッジコネクタの断面図であって、接地用コンタクトが配置されるスリットに沿って上下方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願発明に係るカードエッジコネクタの好ましい実施態様について図面を用いて説明する。
【0015】
(第1の実施例)
図1ないし7には、本願発明に係るカードエッジコネクタの第1の実施例が示されている。なお、本実施例の説明において、「左」及び「右」は、それぞれ、図1において、+x方向及び−x方向を、「前」及び「後」は、それぞれ+y方向及び−y方向を、「上」及び「下」は、それぞれ、+z方向及び−z方向を指す。
【0016】
図1ないし3に示されるように、本発明の第1の実施例に係るカードエッジコネクタ10は、第1プリント配線板70に取り付けられている。また、該カードエッジコネクタ10内に挿入されるプラグコネクタ80が第2プリント配線板90に取り付けられている。プラグコネクタ80がカードエッジコネクタ10内に挿入される。具体的には、プラグコネクタ80のブレード81がカードエッジコネクタ10のプラグコネクタ収容空間19a内に挿入される。それにより、ブレード81の上下面それぞれに配置されている外部接点としての第1及び第2パッド82a、82bが、対応するカードエッジコネクタ10の第1及び第2信号線用コンタクト20、50や第1及び第2接地用コンタクト30、60と接触する。結果として、第1及び第2プリント配線板70及び90が、電気的に接続され、それにより、第1及び第2プリント配線板70及び90の間の高速伝送による信号のやりとりが可能となる。この場合、カードエッジコネクタ10側の第1及び第2接地用コンタクト30、60及びそれに対応するプラグコネクタ80側の第1及び第2パッドは、それぞれ、信号が往復する2つの信号線用コンタクトまたは2つのパッドを挟んで配置されている。なお、本実施例では、プラグコネクタ80の第1パッド82a及びカードエッジコネクタ10の第1信号線用コンタクト20を介して信号が高速伝送され、第2パッド82b及び第2信号線用コンタクト50を介しては、電源などの信号が低速で伝送されるものとする。
【0017】
本実施例に係るカードエッジコネクタ10は、概略、本体11、複数のコモンコンタクト40、複数の第1信号線用コンタクト20、複数の第2信号線用コンタクト50、複数の第1接地用コンタクト30及び複数の第2接地用コンタクト60を備えている。
【0018】
本体11は、電気的に絶縁性の合成樹脂から形成され、その外郭は、概略、直方体をなし、本実施例では左右方向に細長く延在している。本体11の前方側には、プラグコネクタ80が挿入される収容凹部19(図2(a)、図7参照)、及び複数の第2信号線用コンタクト50及び複数の第2接地用コンタクト60それぞれが収容される複数の第2スリット15が形成される。また、本体11の後方側には、複数の第1信号線用コンタクト20及び複数の第1接地用コンタクト30それぞれが収容される複数の第1スリット12が形成される。
【0019】
収容凹部19は、前方に向って開放され、カードエッジコネクタ10の左右方向水平に延在し、プラグコネクタ80が挿入され得るように水平な扁平状のプラグコネクタ収容空間19aを画定している。該プラグコネクタ収容空間19aの垂直断面形状は、図7に良く示されるように、プラグコネクタ80の垂直断面形状に類似するように形成されることが好ましい。また、収容凹部19の前方開口部19bは、プラグコネクタ80の挿入を円滑に案内するために、前方に向ってテーパ状に拡開していることが好ましい。
【0020】
本体11の前方側に設けられる複数の第2スリット15はいずれも、少なくとも前方及び収容凹部19で画定されるプラグコネクタ収容空間19aに向って開放している。すなわち、第2スリット15は、収容凹部19の下に形成される。複数の第2スリット15は、具体的には、前後方向に延在する。複数の第2スリット15は、互いに平行に且つ等間隔に、上記水平なプラグコネクタ収容空間19aに対して直角をなすように形成される。また、各第2スリット15の垂直断面形状は、収容される第2信号線用コンタクト50または第2接地用コンタクト60の垂直断面形状に類似し、概略、L字形をなすように形成される。したがって、第2スリット15は、概略前方に向って開放する垂直部分と概略プラグコネクタ収容空間19aに向って(すなわち、上方に向って)開放する水平部分を備えている。複数の第2スリット15それぞれの垂直部分には、収容される第2信号線用コンタクト50または第2接地用コンタクト60をスリット15内で固定するための固定用圧入孔16及び17が2つ形成されている。該2つの固定用圧入孔16、17は、互いに平行に、概略水平に形成されている。
【0021】
次に、本体11の後方側に設けられる複数の第1スリット12はいずれも、前方、後方及びプラグコネクタ収容空間19aに向って開放している。すなわち、各第1スリット12の一部は、本体11の上方を前後方向に貫通している。複数の第1スリット12は、また、上記複数の第2スリット15に対向して対をなすように形成される。各第1スリット12は、具体的には、上記第2スリット15と同様、前後方向に延在し、互いに平行に且つ等間隔に、上記水平なプラグコネクタ収容空間19aに対して直角をなすように形成される。また、各第1スリット12の垂直断面形状も、収容される第1信号線用コンタクト20または第1接地用コンタクト30の垂直断面形状に類似し、概略、L字形をなすように形成される。したがって、第1スリット12は、概略後方に向って開放する垂直部分と概略プラグコネクタ収容空間19aに向って(すなわち、下方に向って)開放する水平部分を備えている。さらに、本実施例では、複数の第1スリット12それぞれの垂直部分には、収容される第1信号線用コンタクト20または第1接地用コンタクト30をスリット12内で固定するための固定用圧入孔13及び14が形成される。該2つの固定用圧入孔13、14は、互いに平行に、概略水平に形成されている。本実施例においては、複数の第1スリット12のうち、第1接地用コンタクトが収容される第1スリット12Aと第1信号線用コンタクトが収容される第1スリット12Bとでは、以下に説明する嵌合凹部が設けられる点においてのみその構成が異なる。すなわち、第1接地用コンタクトが収容されるスリット12Aのそれぞれの垂直部分には、さらに、図3に示されるように、後述するコモンコンタクト40の第1及び第2脚部42、43の一部が嵌め込まれる第1及び第2嵌合凹部18a、18bが形成される。第1及び第2嵌合凹部18a及び18bにより、コモンコンタクト40の第1及び第2脚部42、43が嵌合し得る嵌合空間が形成される。第1嵌合凹部18aと第2嵌合凹部18bは、第1スリット12の垂直部分を挟んで対をなして形成され、それぞれは、後方及び第1スリット12に向って開放するように形成される。第1及び第2嵌合凹部18a、18bそれぞれの高さ(上下方向の長さ)L2は、同じであり、コモンコンタクト40の高さH1に等しいか、それより若干大きい長さを有するように設定される。また、第1及び第2嵌合凹部18a、18bにより形成される嵌合空間の幅(左右方向の長さ)をW2とすると、幅W2は、コモンコンタクト40の第1脚部42の幅S2または第2脚部43の幅S3(S2=S3)に等しいか、それらより若干大きい長さを有するように設定される。さらに、2つの嵌合空間の間隔をW1とすると、該間隔W1がコモンコンタクト40の幅S1に等しいかそれより若干小さい長さを有するように設定される。
【0022】
次に、本実施例における複数の第2信号線用コンタクト50は、いずれも導電性の金属薄板から概略S字形に打ち抜き形成される。各第2信号線用コンタクト50は、図7に示されるように、上から、接点部51、弾性変形部52、固定部53及び端子部54を備える。
【0023】
接点部51は、本実施例では、上方に向って凸状に湾曲した形状をなし、プラグコネクタ収容空間19a内に突出するように形成され、対応するプラグコネクタ80の外部接点としての第2パッド82bに所望の接触圧で接触し得る。
【0024】
弾性変形部52は、本実施例では、固定部53から前方に向って延びだし、概略C字形に湾曲して後方且つ上方に向って延在し、接点部51に連続するように形成され、弾性変形することで接点部51に所望の接触圧を提供する。
【0025】
固定部53は、本実施例では、接点部51及びこれに続く弾性変形部52を該固定部53の前方側に支持するように形成され、上下方向に垂直に延在する。固定部53は、さらに、固定部53に直角をなして該固定部53から弾性変形部52とは反対側に(後方側に)突出する2つの圧入突起55、56を備えている。2つの圧入突起55、56は、上下方向に適宜の間隔を有して配置される。2つの圧入突起55、56は、カードエッジコネクタ10の本体11の第2スリット15に設けられている固定用圧入孔16及び17内に圧入され、カードエッジコネクタ10に対して信号線用コンタクト50を保持する。
【0026】
端子部54は、固定部53に支持される弾性変形部52の下方に形成され、すなわち、固定部53から前方、下方に向って延在するように形成され、プリント配線板70の外部接点(不図示)に接続され得る。具体的には、接点部54とプリント配線板70の外部接点は、半田付けされ、プリント配線板70の電気回路に電気的に接続される。
【0027】
次に、複数の第2接地用コンタクト60(図7参照)は、上記第2信号線用コンタクト50と同様、いずれも導電性の金属薄板から概略S字形に打ち抜き形成される。各第2接地用コンタクト60は、上記第2信号線用コンタクト60とほぼ同様の構造を備えているので説明を省略する。なお、第2接地用コンタクト60の接点部から固定部までの長さは、第2信号線用コンタクト50のそれと同じであってもよいし、それよりも若干長く又は短く設定されてもよい。
【0028】
他方、本実施例における複数の第1信号線用コンタクト20はいずれも、導電性の金属薄板から概略L字形に打ち抜き形成されており、それぞれは、図7に示されるように、上から、接点部21、弾性変形部22、固定部23及び端子部24を備える。
【0029】
接点部21は、本実施例では、下方に向って凸状に湾曲した形状をなし、プラグコネクタ収容空間19a内に突出するように形成され、対応するプラグコネクタ80の外部接点としての第1パッド82aに所望の接触圧で接触し得る。ここで、第1信号線コンタクト20は、プラグコンタクト80のブレード81の上面側に設けられている第1パッド82aに接触する。他方、第2信号線用コンタクト50は、プラグコンタクト80のブレード81の下面側に設けられている第2パッド82bに接触する。したがって、第1信号線用コンタクト20の接点部21は、プラグコネクタ収容空間19aに対して上方から突出し、第2信号線用コンタクト50の接点部51は、プラグコネクタ収容空間19aに対して下方から突出することが理解されるであろう。
【0030】
弾性変形部22は、本実施例では固定部23から概略L字形に湾曲して前方に且つ若干下方に向って延在し、接点部21に連続するように形成されており、弾性変形することで接点部21に所望の接触圧を提供する。
【0031】
固定部23は、本実施例では、接点部21及びこれに続く弾性変形部22が固定部23に対して前方側に配置されるように該固定部23の上方で支持するように形成される。固定部23は、上述したように、接点部21をプラグコネクタ収容空間19a内に上方から突出させるために、第2信号線用コンタクト50の固定部53の上下方向の長さより大きい長さを有して上下方向に垂直に延在する。固定部23は、また、該固定部23に直角をなし、該固定部53から弾性変形部52と同じ側に(前方側に)突出する2つの圧入突起25、26を備えている。2つの圧入突起25、26は、上下方向に、上記第2信号線用コンタクト50の2つの圧入突起55、56の間隔より大きい間隔L1を有して配置される。2つの圧入突起55、56は、それぞれ、本体11の第1スリット12に設けられている、対応する固定用圧入孔13及び14内に圧入され、カードエッジコネクタ10に対して第1信号線用コンタクト20を保持する。
【0032】
端子部24は、固定部53から後方、下方に向って延在するように形成され、プリント配線板70の外部接点(不図示)に接続され得る。具体的には、上記第2信号線用コンタクト50の場合と同様に、接点部24とプリント配線板70の外部接点は、半田付けされ、プリント配線板70の電気回路に電気的に接続される。
【0033】
第1信号線用コンタクト20は、さらに、図3及び7に示されるように、固定部23の後方側に、逃げ凹部27が設けられている。逃げ凹部27は、図5に示されるように、カードエッジコネクタが組み立てられたとき、接地用コンタクト30間を連結するコモンコンタクト40が信号線用コンタクト20に接触しないように設けられるものである。したがって、逃げ凹部27は、設計上許容されるのであれば設けなくてもよい。
【0034】
次に、本実施例における複数の第1接地用コンタクト30は、上記第1信号線コンタクト20と同様、いずれも導電性の金属薄板から概略L字形に打ち抜き形成される。各第1接地用コンタクト30は、逃げ凹部27を除いて、上記第1信号線用コンタクト20と実質的に同じ構造を備えているので説明を省略する。しかしながら、上記第1信号線コンタクト20の説明において、付番の20番台を30番台に置きかえて読むことで、第1接地用コンタクト30の構造が容易に理解されるであろう。なお、第1接地用コンタクト30の接点部21から固定部23までの長さは、第1信号線用コンタクト20のそれと同じであってもよいし、それよりも若干長く又は短く設定されていてもよい。
【0035】
次に、本発明の特徴点である、本実施例に係るカードエッジコネクタ10を構成するコモンコンタクト40について、図6(a)、(b)を参照して説明する。コモンコンタクト40は、カードエッジコネクタ10に設置される複数の第1接地用コンタクト30の電位を合わせるために、これらの間を連結する部材である。本実施例におけるコモンコンタクトは、導電性の金属薄板から打ち抜かれた後、曲げ加工されることにより形成される。
【0036】
本実施例に係るコモンコンタクト40は、2つおきに配置される第1スリット12Aに収容される第1接地用コンタクト30の間を連結し、これらの間を電気的に接続する。より具体的には、本実施例に係るコモンコンタクト40は、任意の第1スリット12A内に配置される第1接地用コンタクト30と該第1スリット12Aの左右に配置される第1接地用コンタクト30との2つの接地用コンタクトのみを連結する。本実施例では、したがって、複数のコモンコンタクト40が用意され、カードエッジコネクタ10に組み込まれる全ての第1接地用コンタクト30が電気的に接続される。このように構成することにより、2つのプリント配線基板70、90間に配置される全ての第1接地用コンタクト30及び接地用コンタクト(パッド)82aで形成される接地用導線の途中で該接地用導線の電位が同じくなる。それにより、プラグコネクタ80及びカードエッジコネクタ10の2つのコネクタ領域における接地用導線によるシールド効果の低下を防止し、クロストークを低減するとともに、ノイズが放射されることを防止する。
【0037】
本実施例に係るコモンコンタクト40は、平坦な本体41、該本体41の左右両端部から折り曲げられて形成される第1及び第2の脚部42及び43を備えている。本体41は、高さ(上下方向の長さ)H1及び幅(左右方向の長さ)S1を有するほぼ矩形状の板体として形成されている。
【0038】
第1の脚部42は、本体41の左端部から該本体41に対して直角をなすように前方に折り曲げられた折り曲げ部42b及び該折り曲げ部42bから外側(左側)に折り返された折り返し部42aを有する。第1の脚部42は、その下端面から高さH2を有する折り曲げ部42bが、本体41の左端部下側から前方に向って延在し、所定の位置でU字形に折り返され、折り返し部42aが後方に延在する。折り返し部42aは、折り曲げ部42bと同じ高さH2を有するとともに、該折り曲げ部42bと平行であって、該折り曲げ部42bと間隔S2を介して挟持部42cを形成するように折り曲げ部42bから後方に折り返される。挟持部42cには、第1接地用コンタクト30の固定部33が嵌め込まれる。言い換えれば、折り曲げ部42bと折り返し部42aとで固定部33を挟持する。第1の脚部42の高さH2は、本体41の高さH1のほぼ1/2であり(H2=1/2×H1)、第1の脚部42の折り曲げ部42bと折り返し部42aとの間の間隔S2は、第1接地用コンタクト30の板厚にほぼ等しい。なお、第1の脚部42の下端面は、図6(a)に示されるように、本体41の下端面と面一である。
【0039】
第2の脚部43は、本体41の右端部から該本体41に対して直角をなすように前方に折り曲げられた折り曲げ部43b及び該折り曲げ部43bから外側(右側)に折り返された折り返し部43aを有する。第2の脚部43は、その上端面から高さH3を有する折り曲げ部43bが、本体41の右端部上側から前方に向って延在し、所定の位置でU字形に折り返され、折り返し部43aが後方に延在する。折り返し部43aは、折り曲げ部43bの高さH2と同じ高さH3を有するとともに、該折り曲げ部43bと平行であって、該折り曲げ部43bと間隔S3を介して挟持部43cを形成するように折り曲げ部43b先端から後方にさらに折り返される。挟持部43cには、第1接地用コンタクト30の固定部33が嵌め込まれる。言い換えれば、折り曲げ部43bと折り返し部43aとで固定部33を挟持する。第2の脚部43の高さH3は、上述したように、折り曲げ部43bの高さと同じであり、本体41の高さH1のほぼ1/2である(H2=H3=1/2×H1)。また、第2の脚部43の折り曲げ部43bと折り返し部43aとの間に形成される挟持部43cの間隔S3は、第1接地用コンタクト30の板厚にほぼ等しい(S2=S3)。以上の説明及び図6(a)から理解されるように、第2の脚部43は、本体41に対して第1の脚部42の点対称の位置に配置される。
【0040】
コモンコンタクト40をこのように形成することにより、簡単な構造で、組み立てが容易であり、複数の第1接地用コンタクト30を確実に連結し、電気的に接続することが可能となるとともに、製造に際し、材料を無駄にすることもない。
【0041】
なお、第1の脚部42の下端面は、図6(a)に示されるように、本体41の下端面と面一である。また、本実施例では、第1の脚部42が本体41の左端部下側に設けられ、第2の脚部43が本体41の右端部上側に設けられているが、これに限定されるものではなく、第1の脚部42が左端部上側に設けられ、第2の脚部43が右端部下側に設けられていてもよい。
【0042】
上述した構成を備えるコモンコンタクト40により、2つの第1接地用コンタクト30、30の間が連結される。図6(b)に示されるように、本実施例に係るコモンコンタクト40は、2つの第1信号線用コンタクト20A、20Bを挟んで配置される2つの第1接地用コンタクト30A、30Bを連結する。より具体的には、図6(b)に示されるように、コモンコンタクト40の第2脚部43が、第1接地用コンタクト30Aの固定部33Aに設けられる2つの圧入突起35Aと36Aとの間で、上下方向垂直に延在する固定部33Aを挟持する。すなわち、固定部33Aは、第2脚部43を構成する折り曲げ部43bと折り返し部43aとで形成される挟持部43c内に嵌め込まれ、それにより、第1接地用コンタクト30Aとコモンコンタクト40は電気的に接続される。また、コモンコンタクト40の第1脚部42は、上記第2脚部と同様に、2つの第1信号線用コンタクト20A、20Bを挟んで配置される第1接地用コンタクト30Bの固定部33Bを挟持する。このとき、第1脚部42は、第1接地用コンタクト30Bとさらにその向こう側(左側)に配置される第1接地用コンタクト(不図示)とを連結するコモンコンタクト40の第2脚部43の下に配置される。この2つの脚部42及び43の配置態様は、第1接地用コンタクト30Aにおける2つのコモンコンタクト40それぞれの第1脚部42と第2脚部43の配置と同様である。なお、図6(b)において、付番32A、34Aは、それぞれ、第1接地用コンタクト30Aの弾性変形部及び端子部を示す。
【0043】
次に、図3ないし5を用いて、本実施例に係るカードエッジコネクタ10への第1信号線用コンタクト20及び第1接地用コンタクト30の組み込みについて簡単に説明する。なお、ここで説明する組み立て方法は、ほんの一例にすぎず、例えば、第1接地用コンタクト30とコモンコンタクト40を予め組み立てておいて、カードエッジコネクタ10の本体11に装着するようにしてもよい。
【0044】
先ず、図3に示されるように、第1スリット12の対応するスリット12B内に第1信号線用コンタクト20が挿入され、カードエッジコネクタ10の本体11に固定される。第1信号線用コンタクト20は、2つが1組となって、右端(図3では左端)にある接地用コンタクト30が収容される予定の1つのスリット12Aを空けて、その左側に隣接する2つのスリット12B内にそれぞれ挿入される。次の1組は、再び、第1接地用コンタクト30が収容される予定の1つのスリット12Aを空けて、その左側に隣接する2つのスリット12B内にそれぞれ挿入される。以下、これを繰り返して、第1信号線用コンタクト20が全て対応するスリット12b内に挿入され、それにより、第1信号線用コンタクト20のカードエッジコネクタ10の本体11への設置が完了する。なお、左端にあるスリット12Aに第1接地用コンタクト30が収容されるように、第1スリット12が本体11に形成される。
【0045】
次に、図4に示されるように、複数のコモンコンタクト40が所定のスリット12Aに設けられた対をなす第1及び第2嵌合凹部18a、18bにより形成される嵌合空間を介してカードエッジコネクタ10の本体11に設置される。各コモンコンタクト40の第1及び第2脚部42、43が、図6に示される配置をなして嵌合空間内に挿入されることで、複数のコモンコンタクト40が本体11に保持される。この状態において、複数の第1接地用コンタクト30が、対応する第1スリット12Aに挿入され、カードエッジコネクタ10の本体11に固定される。このとき、同時に、第1接地用コンタクト30それぞれの固定部33がコモンコンタクト40の第1及び第2脚部42、42に挟持される。
【0046】
このようにして、図5に示されるように、第1信号線用コンタクト20及び第1接地用コンタクト30が、対応する第1スリット12A、12B内にG−S−S−G配置で収容される。また、収容された第1接地用コンタクト30は、複数の本実施例に係るコモンコンタクト40により、全て、電気的に接続された状態でカードエッジコネクタ10の本体11に設置される。
【0047】
このように複数のコモンコンタクト40で全ての第1接地用コンタクト30を連結することにより、プリント配線板間をつなぐ接地用コンタクトが全て同じ電位に保持される。それにより、シールド効果が従来装置よりも優れて接地用コンタクトを挟んで配置されている信号線用コンタクトを通る信号間のクロストークを低減し得る。さらには、従来装置のように、信号線用コンタクトを通る信号によるノイズの発生も抑制し得る。
【0048】
本実施例では、信号が往復する2つの第1信号線用コンタクトを通って信号が高速で伝送されるため、隣接する2つの第1信号線用コンタクトを挟む第1接地用コンタクトにのみコモンコンタクトを設けるように説明してきた。しかしながら、第2信号線用コンタクトを通って信号が高速で伝送される場合、隣接する2つの第2信号線用コンタクトを挟む第2接地用コンタクトにコモンコンタクトを設けるようにする必要がある。この場合、第2信号線用コンタクト及び第2接地用コンタクトは、例えば、後述する第2の実施例のように形成することで、第2接地用コンタクトをコモンコンタクトで連結することが可能となる。
【0049】
(第2の実施例)
図8ないし14には、本願発明に係るカードエッジコネクタの第2の実施例が示されている。本実施例は、上記第1の実施例と比べてコモンコンタクトの構成が異なり、それにともなって、第1信号線用コンタクト及び第1接地用コンタクトの構成及びコモンコンタクトによる第1接地用コンタクトの連結構造が異なる。以下、その相違点を中心に説明する。本実施例においても、上記第1の実施例と同様、信号が高速伝送されるのは、第1信号線用コンタクトのみであるものとする。
【0050】
なお、本実施例の説明において、「左」及び「右」は、それぞれ、図8において、+x方向及び−x方向を、「前」及び「後」は、それぞれ+y方向及び−y方向を、「上」及び「下」は、それぞれ、+z方向及び−z方向を指す。
【0051】
本実施例においても、本発明の第2の実施例に係るカードエッジコネクタ110は、第1実施例と同様に、第1プリント配線板(不図示)に取り付けられている。また、該カードエッジコネクタ110内には、第2プリント配線板(不図示)に取り付けられているプラグコネクタ80が挿入されることでプリント配線板間が電気的に接続されることも第1の実施例と同様である。また、カードエッジコネクタ110内における信号線用コンタクト(S)及び接地用コンタクト(G)の配置も第1の実施例と同様、G−S−S−G配置である。
【0052】
本実施例に係るカードエッジコネクタ110は、概略、本体111、コモンコンタクト140、ホルダ145、複数の第1信号線用コンタクト120、複数の第2信号線用コンタクト150、複数の第1接地用コンタクト130及び複数の第2接地用コンタクト160を備えている。
【0053】
最初に、本実施例に係るカードエッジコネクタ110の本体111について説明する。
【0054】
本体111は、本実施例においても上記第1の実施例と同様、電気的に絶縁性の合成樹脂から形成され、その外郭は、概略、直方体をなし、左右方向に細長く延在している。
【0055】
本実施例においては、本体111が、上記第1の実施例と比べて、コンタクトを収容するスリットに設けられた圧入孔の構成及びホルダ145取り付けのための構造が異なるのみでその他の構造は全く同じである。
【0056】
本実施例では、本体111の後方側に設けられた、第1信号線用コンタクト120及び第1接地用コンタクト130が収容される複数の第1スリット112には、1つの固定用圧入孔118Aが形成される。該固定用圧入孔118Aは、各第1スリット112内で第1信号線用コンタクト120または第1接地用コンタクト130を本体111に固定するために、複数の第1スリット112それぞれの垂直部分に、概略水平方向に延在するように形成されている。圧入孔118Aは、後述する第1信号線用コンタクト120の固定部123の第1水平圧入部123bの上面と第2水平部123dの下面との間の距離L3にほぼ等しい高さ(上下方向の長さ)を有する。また、圧入孔118Aは、第1垂直部123aの前端面と第2垂直部123cの前端面との間の距離L5にほぼ等しい深さ(前後方向の長さ)を有する。すなわち、圧入孔118Aは、垂直断面で、高さL3、深さL5を有する概略矩形状をなしている。
【0057】
また、圧入孔118Aを通って後述するホルダ145が組み込めるように、本体111の隣接する第1スリット112間を仕切る仕切り壁112aには、切欠凹部112bが形成されている。該切欠凹部112bは、後方に向って開放し、本体111を左右方向に横断するように形成されている。切欠凹部112bは、ホルダ145の高さH21とほぼ等しい高さ及びホルダ145の奥行T21から第1接地用コンタクト130の固定部133の第1垂直部133aの幅(前後方向の長さ)を差し引いた長さに相当する深さを有する。すなわち、切欠凹部112bは、垂直断面で、高さH21、深さ[T21−(L6−L5)]を有する概略矩形状をなしている。
【0058】
また、本体111の前方側に設けられた、第2信号線用コンタクト150及び第2接地用コンタクト160が収容される複数の第2スリット115には、少なくとも1つの圧入孔118Bが形成される。該固定用圧入孔118Bは、各第2スリット115内で第2信号線用コンタクト150または第2接地用コンタクト160を本体111に固定するために、複数の第2スリット115それぞれの垂直部分に、概略水平に形成されている。
【0059】
本実施例における本体111のその他の構造は、上記第1の実施例における本体11の構造と実質的に同じであるので説明を省略する。しかしながら、本実施例における本体111のその他の構造は、上記第1の実施例における本体11の説明において、その付番に100を加えて読むことで、本実施例における本体111の構造が容易に理解されるであろう。
【0060】
次に、上記第1の実施例と構造を異にする本実施例に係る第1信号線用コンタクト120について説明する。本実施例における複数の第1信号線用コンタクト120それぞれは、導電性の金属薄板から概略S字形をなして打ち抜き形成されており、図10に示されるように、上から、接点部121、弾性変形部122、固定部123及び端子部124を備える。
【0061】
本実施例では、固定部123の構造が上記第1の実施例における第1信号線用コンタクト20と異なるのみで、その他の構成は第1の実施例とほぼ同じである。本実施例における固定部123は、上記第1の実施例のように弾性変形部22から端子部24に至るまで上下に垂直に延在していない。図10に示されるとおり、本実施例の固定部123は、前方に向って概略C字状に突出している。具体的には、本実施例の固定部123は、第1垂直部123a、第1水平圧入部123b、垂直圧入部123c、第2水平圧入部123d及び端子部124に続く第2垂直部123eを含む。
【0062】
第1垂直部123aは、弾性変形部122から続いて垂直方向下方に延在し、第1水平圧入部123bは、第1垂直部123aに対して直角をなし、該第1垂直部123a下端から前方に延びている。垂直圧入部123cは、第1水平圧入部123bに対して直角をなし、該水平第1圧入部123b前端から垂直方向下方に延在し、第2水平圧入部123dは、垂直圧入部123cに対して直角をなし、該垂直圧入部123c下端から後方に延びている。さらに、第2垂直部123eは、第2水平圧入部123dに対して直角をなし、該第2水平圧入部123d後端から垂直方向下方に延在し、端子部124に続く。したがって、本実施例では、第1信号線用コンタクト120は、第1及び第2水平圧入部123b、123dと垂直圧入部123cとで、後述するホルダ145を収容するためのホルダ収容凹部127を形成している。なお、少なくとも第1垂直部123aの後端面と第2垂直部123eの後端面は、上下方向に同じ垂直面上にあることが好ましい。本実施例では、第1垂直部123aの前端面と垂直圧入部123cの前端面との間の距離をL5とし、第1垂直部123a(または、第2垂直部123e)の後端面と垂直圧入部123cの前端面との間の距離をL6とする。また、第1水平圧入部123bの上面と第2水平圧入部123dの下面との間の距離をL3とし、第1水平圧入部123bの下面と第2水平圧入部123dの上面との間の距離をL4とする。
【0063】
次に、本実施例に係る第1接地用コンタクト130について説明する。複数の第1接地用コンタクト130は、上記第1信号線コンタクト120と同様、いずれも導電性の金属薄板から概略S字形をなして打ち抜き形成される。各第1接地用コンタクト130は、固定部133の垂直圧入部133cの後端面に2つの接触突起135、136を備えている点及び距離L4が第1信号線用コンタクト120より若干小さく設定される点でのみ上記第1の信号線用コンタクト120の構造と異なる。該2つの接触突起135、136は、コモンコンタクト140に接触するように形成されており、垂直圧入部133cの後端面から後方に向って突出している。また、距離L4が第1信号線用コンタクト120より若干小さく設定されるのも、第1接地用コンタクト130がコモンコンタクト140に接触することを可能とするためである。
【0064】
各第1接地用コンタクト130は、上記接触用突起135、136を除いて、その他の構造は、上記第1信号線用コンタクト20と実質的に同様の構造を備えているので説明を省略する。しかしながら、上記第1信号線コンタクト20の説明において、付番の120番台を130番台に置きかえて読むことで、本実施例における第1接地用コンタクト130のその他の構造は容易に理解されるであろう。なお、本実施例では、第1接地用コンタクト130の接点部121から固定部123までの長さが、第1信号線用コンタクト120のそれよりも若干長く設定されていてもよい。また、第1垂直部123a(または、第2垂直部124e)の後端面と第2垂直部123cの前端面との間の距離を第1信号線用コンタクトのL5より若干大きく設定してもよい。
【0065】
次に、本実施例に係る第2接地用コンタクト160について説明する。本実施例における複数の第2接地用コンタクト160は、いずれも導電性の金属薄板から概略L字形をなして打ち抜き形成される。各第2接地用コンタクト160は、図14に示されるように、上から、接点部161、弾性変形部162、固定部163及び端子部164を備える。
【0066】
接点部161は、本実施例では、上方に向って凸状に湾曲した形状をなし、プラグコネクタ収容空間119a内に突出するように形成され、対応するプラグコネクタ(不図示)の外部接点としての第2パッド(不図示)に所望の接触圧で接触し得る。
【0067】
弾性変形部162は、本実施例では、固定部163から上方に向って延びだし、概略L字形に湾曲して前方に且つ若干下方に向って延在し、接点部161に連続するように形成されており、弾性変形することで接点部161に所望の接触圧を提供する。
【0068】
固定部163は、本実施例では、L字形に延在する弾性変形部162の垂直部分に連続するように、上下方向に垂直に延在する。固定部163は、また、固定部163に直角をなして該固定部163から接点部161と同じ側に(後方側に)突出する1つの圧入突起165を備えている。圧入突起165は、さらに、上下方向に該圧入突起165から突出する2つの停止突起166a、166bを備えている。圧入突起165は、本体111の第2スリット115に設けられている固定用圧入孔118b内に圧入され、2つの停止突起166a、166bとともにカードエッジコネクタ110に対して第2接地用コンタクト160を確実に保持する。なお、本実施例では、圧入突起165が1つであるが、上記第1実施例のように2つ設けられてもよい。その場合、停止突起166a、166bは省略され得る。
【0069】
端子部164は、本実施例では、固定部163から前方、下方に向って延在するように形成され、プリント配線板(不図示)の外部接点に半田付けされ、プリント配線板の電気回路に電気的に接続される。
【0070】
次に、複数の第2信号線用コンタクト150(図14参照)は、上記第2接地用コンタクト160と同様、いずれも導電性の金属薄板から概略S字形に打ち抜き形成される。各第2信号線用コンタクト150は、上記第2接地用コンタクト160とほぼ同様の構造を備えているので説明を省略する。なお、第2信号線用コンタクト150の接点部から固定部までの長さは、第2接地用コンタクト160のそれと同じであってもよいし、それよりも若干長く又は短く設定されてもよい。
【0071】
次に、本発明の特徴点である、本実施例に係るカードエッジコネクタ10を構成するコモンコンタクト140及びホルダ145について、図12を参照して説明する。本実施例におけるコモンコンタクト140は、カードエッジコネクタ110に設置される複数の第1接地用コンタクト130の電位を合わせるために、これらの間を一括して電気的に接続する部材である。また、本実施例におけるホルダ145は、コモンコンタクト140を保持し、第1接地用コンタクト130に電気的に接触させるための部材である。
【0072】
このようなコモンコンタクト140を備えることにより、上記第1の実施例と同様に、本実施例においても、プラグコネクタ及びカードエッジコネクタの2つのコネクタ領域における接地用導線によるシールド効果の低下を防止することが可能となる。それにより、信号線間のクロストークを低減するとともに、ノイズが放射されることを防止する。
【0073】
本実施例におけるコモンコンタクト140は、導電性の金属薄板から打ち抜かれた後、曲げ加工されることにより形成される。本実施例に係るコモンコンタクト140は、左右方向に延在する細長い本体141及び第1接地用コンタクト130に接触し得る一対の第1及び第2脚部142、143を備えている。第1脚部142は、本体141からほぼ垂直に上方に延び、概略L字形に折り曲げられ、後方に向ってほぼ水平に延在するとともに、上に向って若干凸状に湾曲して形成されることが好ましい。第2脚部143は、第1脚部142に対して対をなすように、本体141からほぼ垂直に下方に伸び、概略L字形に折り曲げられ、後方に向ってほぼ水平に延在するとともに、下に向って若干凸状に湾曲して形成されることが好ましい。1組の対をなす第1及び第2脚部142、143は、図12に示されるように、間隔S11をおいて、且つ各組が互いに平行に配列されように、複数組配置されている。本実施例では、2つのコモンコンタクト140が示されているが、1つにまとめられていてもよいし、複数設けられてもよい。本実施例に係るコモンコンタクトは、また、図12に示されるように、高さ(上下方向の長さ)H11、奥行き(前後方向の長さ)T11を有する。
【0074】
コモンコンタクト140は、このように形成されることで、組み立てられたとき、図13に示されるように、第1及び第2脚部142、143の垂直部分が、第1接地用コンタクト130の固定部133の垂直圧入部133cの後端面に接触し得る。同様に、第1脚部142の水平部分が、第1水平圧入部133bの下端面に、及び第2脚部143の水平部分が第2水平圧入部133dの上端面に接触し得る。それにより、コモンコンタクト140は、複数の第1接地用コンタクト130を電気的に接続し、結果として、複数の第1接地用コンタクト130の電位を同じにすることができる。
【0075】
次に、コモンコンタクト140を保持するホルダ145は、電気的に絶縁性の合成樹脂から概略左右方向に細長い直方体に形成される。ホルダ145は、図12に示されるように、垂直断面で、高さ(上下方向の長さ)H21、奥行(前後方向の長さ)T21を有する矩形状をなしている。
【0076】
ホルダ145には、コモンコンタクト140の細長い本体141を収容するために、該ホルダ145の後面に、後方に向って開放し、左右方向に延在する細長い溝146が形成される。また、コモンコンタクト140の第1脚部142を収容するために、該細長い溝146から上方に延び、さらに、ホルダ145の上面で後方に向って延在する第1収容溝147が形成される。同様に、コモンコンタクト140の第2脚部143を収容するために、第1収容溝147に対して対をなして、該細長い溝146から下方に延び、さらに、ホルダ145の下面で後方に向って延在する第2収容溝148が形成される。ホルダ145がこのような構成を備えることから、ホルダ145の高さH21及び奥行T21が、それぞれ、コモンコンタクト140の高さH11及び奥行T11にほぼ等しい(H21≒H11、T21≒T11)ことが理解される。さらにいえば、ホルダ145の高さは、第1信号線用コンタクト120のホルダ収容凹部127の高さL4にほぼ等しい。もちろん、ホルダ145の左右方向の長さは、コモンコンタクト140の左右方向の長さにほぼ等しい。
【0077】
次に、図9ないし11を用いて、本実施例におけるカードエッジコネクタ110への第1信号線用コンタクト120及び第1接地用コンタクト130の組み込みについて簡単に説明する。
先ず、本実施例では、第1接地用コンタクト130が、図9に示されるように、第1スリット112の対応するスリット112A内に挿入され、カードエッジコネクタ110の本体111に固定される。第1接地用コンタクト130は、右端(図9では左端)から2つおきに配置される接地用コンタクト130が収容されるべきスリット12A内に挿入される。第1接地用コンタクト130が全て対応するスリット12b内に挿入されると、続いて、図10に示されるように、第1信号線用コンタクト120が挿入される。第1信号線用コンタクト120は、上記第1の実施例と同様に、対をなして第1スリット112のうちの対応する2つの隣接するスリット112B内に挿入される。第1信号線用コンタクト120の装着が完了すると、ホルダ145に取付けられたコモンコンタクト140がカードエッジコネクタ110に装着される。ホルダ145は、第1信号線用コンタクト120及び第1接地用コンタクト130それぞれのホルダ収容凹部127、137及び仕切り壁125の切欠凹部112bにより形成された左右方向に延在する収容空間内に嵌め込まれ、固定される。それにより、ホルダ145に保持されているコモンコンタクト140は、対応する複数の第1接地用コンタクト130に同時に接触することが可能となる。
【0078】
このようにして、図11に示されるように、第1信号線用コンタクト120及び第1接地用コンタクト130が、対応する第1スリット112A、112B内にG−S−S−G配置で収容される。また、収容された第1接地用コンタクト130は、本実施例に係るコモンコンタクト140により、全て、電気的に接続された状態でカードエッジコネクタ110の本体111に設置される。
【0079】
このように複数のコモンコンタクト40で全ての第1接地用コンタクト30を連結することにより、プリント配線板間をつなぐ接地用コンタクトが全て同じ電位に保持される。それにより、本実施例においても、上記第1の実施例と同じ作用効果を奏することが可能となる。
【符号の説明】
【0080】
10、110 カードエッジコネクタ(雌コネクタ)
20、120 第1信号線用コンタクト
30、130 第1接地用コンタクト
40、140 コモンコンタクト
50、150 第2信号線用コンタクト
60、160 第2接地用コンタクト
70、90 プリント配線板
80 プラグコネクタ(雄コネクタ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板などに設けられた雌側コネクタであるカードエッジコネクタに関し、特に、クロストーク低減構造を備えたカードエッジコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示されるように、一方に雄コネクタとしてのプラグコネクタを設け、他方に雌コネクタとしてのカードエッジコネクタを設けてプリント配線板同士を電気的に接続することはよく知られている。
【0003】
このようなコネクタにおいては、クロストークを抑制するために、コンタクトの配置がコプレナ構造であって、接地用コンタクト(G)が往復の信号用コンタクト(S)を挟む配置、すなわち、G−S−S−G配置にすることが好ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−149643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、信号伝送が高速化されることにより、隣接信号間のクロストークがより問題となってきている。特に、高速伝送ではより高い周波数領域までわずかなクロストーク量に抑える必要がある。
【0006】
デファレンシャル信号を伝送するコネクタは、上述したように、G−S−S−G配置のように2つの信号線用コンタクトの両側に、接地用コンタクトを配置する構造が一般的である。そして、2つの信号線用コンタクトの組が隣接する場合、G−S−S−G−S−S−G配置のように2つの信号線用コンタクトは、1つの共通の接地用コンタクトによってのみ隔てられている。
【0007】
プリント配線板上に配線される接地線は、プリント配線板内部の接地用コモンプレーンなどで相互接続されており、電位も同じになるように構成されている。ところが、コネクタ内部における複数のコンタクトそれぞれが両端でのみプリント配線板に接続されている場合、接地用コンタクトは、プリント配線板内部に設けられている接地用コモンプレーンとの距離を置いて配置されることになる。したがって、各接地用コンタクトは、互いに異なる電位をもってしまうとともに、各接地用コンタクトのもつ電位は、プリント配線板上の接地線の電位とも異なる電位をもつことになる。それにより、各接地用コンタクトは、数GHzの周波数成分を持つ高周波信号に対するシールド効果が低下してしまうことになる。結果として、隣接信号線用コンタクトあるいは1つ離れた信号線用コンタクト間とのクロストークが増大してしまうという問題が発生する恐れが生じている。
【0008】
本願発明の目的は、このような問題点に鑑み、信号線用コンタクトに隣接した接地用コンタクト間の電位を同一にし、隣接する信号線用コンタクト間のクロストークを低減するようにした高速デファレンシャル信号用コネクタとしてのカードエッジコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本願発明に係るカードエッジコネクタは、複数の信号線用コンタクト及び複数の接地用コンタクトが、互いに平行に、少なくとも1列に配列される雌コネクタとしてのカードエッジコネクタにおいて、前記信号線コンタクトと前記接地用コンタクトは、高速信号が往復する2つの信号線用コンタクトを2つの接地用コンタクトで挟むように配列されるとともに、1列に配列された前記複数の接地用コンタクトが全て、コモンコンタクトにより電気的に接続されていることを特徴とする。
【0010】
また、コモンコンタクトは、複数用意され、コモンコンタクトそれぞれが2つの信号線を挟む2つの接地用コンタクトを電気的に接続するように構成されていてもよいし、同時に複数の接地用コンタクトを電気的に接続し得るように構成されていてもよい。
【0011】
さらに、コモンコンタクトが、同時に複数の接地用コンタクトを電気的に接続し得るように構成されている場合、コモンコンタクトを保持するホルダを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、このようにコモンコンタクトで全ての接地用コンタクトを電気的に接続することにより、プリント配線板間をつなぐ接地用コンタクトが全て同じ電位に保持され得る。それにより、シールド効果が従来装置よりも優れて接地用コンタクトを挟んで配置されている信号線用コンタクトを通る信号間のクロストークを低減することが可能となり、さらには、信号線用コンタクトを通る信号によるノイズの発生も抑制し得る。
また、コモンコンタクトは、簡単な構造で、組み立てが容易であり、複数の接地用コンタクトを確実に連結し、電気的に接続することが可能となるとともに、製造に際し、材料を無駄にすることもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願発明の第1の実施例に係るカードエッジコネクタを備えたプリント配線基板とプラグコネクタを備えたプリント配線基板の接続機構を前方右斜め上から見た斜視図である。
【図2】図1に示される接続機構の断面図であり、(a)は、プラグコネクタがカードエッジコネクタに挿入される直前の状態を示す断面図であり、(b)は、プラグコネクタが挿入され、電気的接続が完了した状態を示す断面図である。
【図3】カードエッジコネクタへのコンタクトの組立を説明するための図であって、図1に示されるカードエッジコネクタに信号用コンタクトが組み込まれる状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図4】図3の状態に続いて、カードエッジコネクタに接地用コンタクトが組み込まれる状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図5】図4の状態に続いて、組立が完了し、接地用コンタクトがコモンコンタクトにより接続された状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図6】第1の実施例のコモンコンタクトの詳細を示す図であり、(a)は、該コモンコンタクトの前方右斜め上から見た斜視図であり、(b)は、接地用コンタクトがコモンコンタクトにより連結された状態を詳細に示す前方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図7】第1の実施例に係るカードエッジコネクタの断面図であって、信号線用コンタクトが配置されるスリットに沿って上下方向に切断した断面図である。
【図8】本願発明の第2の実施例に係るカードエッジコネクタを後方右斜め上から見た斜視図である。
【図9】カードエッジコネクタへのコンタクトの組立を説明するための図であって、図8に示されるカードエッジコネクタに接地用コンタクトが組み込まれる状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図10】カードエッジコネクタへのコンタクトの組立を説明するための図であって、図9の状態に続いて、カードエッジコネクタに信号用コンタクトが組み込まれる状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図11】カードエッジコネクタへのコンタクトの組立を説明するための図であって、図10の状態に続いて、接地用コンタクトがコモンコンタクトにより接続された状態を示す、カードエッジコネクタを後方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図12】第2の実施例のコモンコンタクト及びホルダの詳細を示す前方右斜め上から見た部分斜視図である。
【図13】図12のコモンコンタクトにより接地用コンタクトが接続された状態を詳細に示す部分斜視図である。
【図14】第2の実施例に係るカードエッジコネクタの断面図であって、接地用コンタクトが配置されるスリットに沿って上下方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願発明に係るカードエッジコネクタの好ましい実施態様について図面を用いて説明する。
【0015】
(第1の実施例)
図1ないし7には、本願発明に係るカードエッジコネクタの第1の実施例が示されている。なお、本実施例の説明において、「左」及び「右」は、それぞれ、図1において、+x方向及び−x方向を、「前」及び「後」は、それぞれ+y方向及び−y方向を、「上」及び「下」は、それぞれ、+z方向及び−z方向を指す。
【0016】
図1ないし3に示されるように、本発明の第1の実施例に係るカードエッジコネクタ10は、第1プリント配線板70に取り付けられている。また、該カードエッジコネクタ10内に挿入されるプラグコネクタ80が第2プリント配線板90に取り付けられている。プラグコネクタ80がカードエッジコネクタ10内に挿入される。具体的には、プラグコネクタ80のブレード81がカードエッジコネクタ10のプラグコネクタ収容空間19a内に挿入される。それにより、ブレード81の上下面それぞれに配置されている外部接点としての第1及び第2パッド82a、82bが、対応するカードエッジコネクタ10の第1及び第2信号線用コンタクト20、50や第1及び第2接地用コンタクト30、60と接触する。結果として、第1及び第2プリント配線板70及び90が、電気的に接続され、それにより、第1及び第2プリント配線板70及び90の間の高速伝送による信号のやりとりが可能となる。この場合、カードエッジコネクタ10側の第1及び第2接地用コンタクト30、60及びそれに対応するプラグコネクタ80側の第1及び第2パッドは、それぞれ、信号が往復する2つの信号線用コンタクトまたは2つのパッドを挟んで配置されている。なお、本実施例では、プラグコネクタ80の第1パッド82a及びカードエッジコネクタ10の第1信号線用コンタクト20を介して信号が高速伝送され、第2パッド82b及び第2信号線用コンタクト50を介しては、電源などの信号が低速で伝送されるものとする。
【0017】
本実施例に係るカードエッジコネクタ10は、概略、本体11、複数のコモンコンタクト40、複数の第1信号線用コンタクト20、複数の第2信号線用コンタクト50、複数の第1接地用コンタクト30及び複数の第2接地用コンタクト60を備えている。
【0018】
本体11は、電気的に絶縁性の合成樹脂から形成され、その外郭は、概略、直方体をなし、本実施例では左右方向に細長く延在している。本体11の前方側には、プラグコネクタ80が挿入される収容凹部19(図2(a)、図7参照)、及び複数の第2信号線用コンタクト50及び複数の第2接地用コンタクト60それぞれが収容される複数の第2スリット15が形成される。また、本体11の後方側には、複数の第1信号線用コンタクト20及び複数の第1接地用コンタクト30それぞれが収容される複数の第1スリット12が形成される。
【0019】
収容凹部19は、前方に向って開放され、カードエッジコネクタ10の左右方向水平に延在し、プラグコネクタ80が挿入され得るように水平な扁平状のプラグコネクタ収容空間19aを画定している。該プラグコネクタ収容空間19aの垂直断面形状は、図7に良く示されるように、プラグコネクタ80の垂直断面形状に類似するように形成されることが好ましい。また、収容凹部19の前方開口部19bは、プラグコネクタ80の挿入を円滑に案内するために、前方に向ってテーパ状に拡開していることが好ましい。
【0020】
本体11の前方側に設けられる複数の第2スリット15はいずれも、少なくとも前方及び収容凹部19で画定されるプラグコネクタ収容空間19aに向って開放している。すなわち、第2スリット15は、収容凹部19の下に形成される。複数の第2スリット15は、具体的には、前後方向に延在する。複数の第2スリット15は、互いに平行に且つ等間隔に、上記水平なプラグコネクタ収容空間19aに対して直角をなすように形成される。また、各第2スリット15の垂直断面形状は、収容される第2信号線用コンタクト50または第2接地用コンタクト60の垂直断面形状に類似し、概略、L字形をなすように形成される。したがって、第2スリット15は、概略前方に向って開放する垂直部分と概略プラグコネクタ収容空間19aに向って(すなわち、上方に向って)開放する水平部分を備えている。複数の第2スリット15それぞれの垂直部分には、収容される第2信号線用コンタクト50または第2接地用コンタクト60をスリット15内で固定するための固定用圧入孔16及び17が2つ形成されている。該2つの固定用圧入孔16、17は、互いに平行に、概略水平に形成されている。
【0021】
次に、本体11の後方側に設けられる複数の第1スリット12はいずれも、前方、後方及びプラグコネクタ収容空間19aに向って開放している。すなわち、各第1スリット12の一部は、本体11の上方を前後方向に貫通している。複数の第1スリット12は、また、上記複数の第2スリット15に対向して対をなすように形成される。各第1スリット12は、具体的には、上記第2スリット15と同様、前後方向に延在し、互いに平行に且つ等間隔に、上記水平なプラグコネクタ収容空間19aに対して直角をなすように形成される。また、各第1スリット12の垂直断面形状も、収容される第1信号線用コンタクト20または第1接地用コンタクト30の垂直断面形状に類似し、概略、L字形をなすように形成される。したがって、第1スリット12は、概略後方に向って開放する垂直部分と概略プラグコネクタ収容空間19aに向って(すなわち、下方に向って)開放する水平部分を備えている。さらに、本実施例では、複数の第1スリット12それぞれの垂直部分には、収容される第1信号線用コンタクト20または第1接地用コンタクト30をスリット12内で固定するための固定用圧入孔13及び14が形成される。該2つの固定用圧入孔13、14は、互いに平行に、概略水平に形成されている。本実施例においては、複数の第1スリット12のうち、第1接地用コンタクトが収容される第1スリット12Aと第1信号線用コンタクトが収容される第1スリット12Bとでは、以下に説明する嵌合凹部が設けられる点においてのみその構成が異なる。すなわち、第1接地用コンタクトが収容されるスリット12Aのそれぞれの垂直部分には、さらに、図3に示されるように、後述するコモンコンタクト40の第1及び第2脚部42、43の一部が嵌め込まれる第1及び第2嵌合凹部18a、18bが形成される。第1及び第2嵌合凹部18a及び18bにより、コモンコンタクト40の第1及び第2脚部42、43が嵌合し得る嵌合空間が形成される。第1嵌合凹部18aと第2嵌合凹部18bは、第1スリット12の垂直部分を挟んで対をなして形成され、それぞれは、後方及び第1スリット12に向って開放するように形成される。第1及び第2嵌合凹部18a、18bそれぞれの高さ(上下方向の長さ)L2は、同じであり、コモンコンタクト40の高さH1に等しいか、それより若干大きい長さを有するように設定される。また、第1及び第2嵌合凹部18a、18bにより形成される嵌合空間の幅(左右方向の長さ)をW2とすると、幅W2は、コモンコンタクト40の第1脚部42の幅S2または第2脚部43の幅S3(S2=S3)に等しいか、それらより若干大きい長さを有するように設定される。さらに、2つの嵌合空間の間隔をW1とすると、該間隔W1がコモンコンタクト40の幅S1に等しいかそれより若干小さい長さを有するように設定される。
【0022】
次に、本実施例における複数の第2信号線用コンタクト50は、いずれも導電性の金属薄板から概略S字形に打ち抜き形成される。各第2信号線用コンタクト50は、図7に示されるように、上から、接点部51、弾性変形部52、固定部53及び端子部54を備える。
【0023】
接点部51は、本実施例では、上方に向って凸状に湾曲した形状をなし、プラグコネクタ収容空間19a内に突出するように形成され、対応するプラグコネクタ80の外部接点としての第2パッド82bに所望の接触圧で接触し得る。
【0024】
弾性変形部52は、本実施例では、固定部53から前方に向って延びだし、概略C字形に湾曲して後方且つ上方に向って延在し、接点部51に連続するように形成され、弾性変形することで接点部51に所望の接触圧を提供する。
【0025】
固定部53は、本実施例では、接点部51及びこれに続く弾性変形部52を該固定部53の前方側に支持するように形成され、上下方向に垂直に延在する。固定部53は、さらに、固定部53に直角をなして該固定部53から弾性変形部52とは反対側に(後方側に)突出する2つの圧入突起55、56を備えている。2つの圧入突起55、56は、上下方向に適宜の間隔を有して配置される。2つの圧入突起55、56は、カードエッジコネクタ10の本体11の第2スリット15に設けられている固定用圧入孔16及び17内に圧入され、カードエッジコネクタ10に対して信号線用コンタクト50を保持する。
【0026】
端子部54は、固定部53に支持される弾性変形部52の下方に形成され、すなわち、固定部53から前方、下方に向って延在するように形成され、プリント配線板70の外部接点(不図示)に接続され得る。具体的には、接点部54とプリント配線板70の外部接点は、半田付けされ、プリント配線板70の電気回路に電気的に接続される。
【0027】
次に、複数の第2接地用コンタクト60(図7参照)は、上記第2信号線用コンタクト50と同様、いずれも導電性の金属薄板から概略S字形に打ち抜き形成される。各第2接地用コンタクト60は、上記第2信号線用コンタクト60とほぼ同様の構造を備えているので説明を省略する。なお、第2接地用コンタクト60の接点部から固定部までの長さは、第2信号線用コンタクト50のそれと同じであってもよいし、それよりも若干長く又は短く設定されてもよい。
【0028】
他方、本実施例における複数の第1信号線用コンタクト20はいずれも、導電性の金属薄板から概略L字形に打ち抜き形成されており、それぞれは、図7に示されるように、上から、接点部21、弾性変形部22、固定部23及び端子部24を備える。
【0029】
接点部21は、本実施例では、下方に向って凸状に湾曲した形状をなし、プラグコネクタ収容空間19a内に突出するように形成され、対応するプラグコネクタ80の外部接点としての第1パッド82aに所望の接触圧で接触し得る。ここで、第1信号線コンタクト20は、プラグコンタクト80のブレード81の上面側に設けられている第1パッド82aに接触する。他方、第2信号線用コンタクト50は、プラグコンタクト80のブレード81の下面側に設けられている第2パッド82bに接触する。したがって、第1信号線用コンタクト20の接点部21は、プラグコネクタ収容空間19aに対して上方から突出し、第2信号線用コンタクト50の接点部51は、プラグコネクタ収容空間19aに対して下方から突出することが理解されるであろう。
【0030】
弾性変形部22は、本実施例では固定部23から概略L字形に湾曲して前方に且つ若干下方に向って延在し、接点部21に連続するように形成されており、弾性変形することで接点部21に所望の接触圧を提供する。
【0031】
固定部23は、本実施例では、接点部21及びこれに続く弾性変形部22が固定部23に対して前方側に配置されるように該固定部23の上方で支持するように形成される。固定部23は、上述したように、接点部21をプラグコネクタ収容空間19a内に上方から突出させるために、第2信号線用コンタクト50の固定部53の上下方向の長さより大きい長さを有して上下方向に垂直に延在する。固定部23は、また、該固定部23に直角をなし、該固定部53から弾性変形部52と同じ側に(前方側に)突出する2つの圧入突起25、26を備えている。2つの圧入突起25、26は、上下方向に、上記第2信号線用コンタクト50の2つの圧入突起55、56の間隔より大きい間隔L1を有して配置される。2つの圧入突起55、56は、それぞれ、本体11の第1スリット12に設けられている、対応する固定用圧入孔13及び14内に圧入され、カードエッジコネクタ10に対して第1信号線用コンタクト20を保持する。
【0032】
端子部24は、固定部53から後方、下方に向って延在するように形成され、プリント配線板70の外部接点(不図示)に接続され得る。具体的には、上記第2信号線用コンタクト50の場合と同様に、接点部24とプリント配線板70の外部接点は、半田付けされ、プリント配線板70の電気回路に電気的に接続される。
【0033】
第1信号線用コンタクト20は、さらに、図3及び7に示されるように、固定部23の後方側に、逃げ凹部27が設けられている。逃げ凹部27は、図5に示されるように、カードエッジコネクタが組み立てられたとき、接地用コンタクト30間を連結するコモンコンタクト40が信号線用コンタクト20に接触しないように設けられるものである。したがって、逃げ凹部27は、設計上許容されるのであれば設けなくてもよい。
【0034】
次に、本実施例における複数の第1接地用コンタクト30は、上記第1信号線コンタクト20と同様、いずれも導電性の金属薄板から概略L字形に打ち抜き形成される。各第1接地用コンタクト30は、逃げ凹部27を除いて、上記第1信号線用コンタクト20と実質的に同じ構造を備えているので説明を省略する。しかしながら、上記第1信号線コンタクト20の説明において、付番の20番台を30番台に置きかえて読むことで、第1接地用コンタクト30の構造が容易に理解されるであろう。なお、第1接地用コンタクト30の接点部21から固定部23までの長さは、第1信号線用コンタクト20のそれと同じであってもよいし、それよりも若干長く又は短く設定されていてもよい。
【0035】
次に、本発明の特徴点である、本実施例に係るカードエッジコネクタ10を構成するコモンコンタクト40について、図6(a)、(b)を参照して説明する。コモンコンタクト40は、カードエッジコネクタ10に設置される複数の第1接地用コンタクト30の電位を合わせるために、これらの間を連結する部材である。本実施例におけるコモンコンタクトは、導電性の金属薄板から打ち抜かれた後、曲げ加工されることにより形成される。
【0036】
本実施例に係るコモンコンタクト40は、2つおきに配置される第1スリット12Aに収容される第1接地用コンタクト30の間を連結し、これらの間を電気的に接続する。より具体的には、本実施例に係るコモンコンタクト40は、任意の第1スリット12A内に配置される第1接地用コンタクト30と該第1スリット12Aの左右に配置される第1接地用コンタクト30との2つの接地用コンタクトのみを連結する。本実施例では、したがって、複数のコモンコンタクト40が用意され、カードエッジコネクタ10に組み込まれる全ての第1接地用コンタクト30が電気的に接続される。このように構成することにより、2つのプリント配線基板70、90間に配置される全ての第1接地用コンタクト30及び接地用コンタクト(パッド)82aで形成される接地用導線の途中で該接地用導線の電位が同じくなる。それにより、プラグコネクタ80及びカードエッジコネクタ10の2つのコネクタ領域における接地用導線によるシールド効果の低下を防止し、クロストークを低減するとともに、ノイズが放射されることを防止する。
【0037】
本実施例に係るコモンコンタクト40は、平坦な本体41、該本体41の左右両端部から折り曲げられて形成される第1及び第2の脚部42及び43を備えている。本体41は、高さ(上下方向の長さ)H1及び幅(左右方向の長さ)S1を有するほぼ矩形状の板体として形成されている。
【0038】
第1の脚部42は、本体41の左端部から該本体41に対して直角をなすように前方に折り曲げられた折り曲げ部42b及び該折り曲げ部42bから外側(左側)に折り返された折り返し部42aを有する。第1の脚部42は、その下端面から高さH2を有する折り曲げ部42bが、本体41の左端部下側から前方に向って延在し、所定の位置でU字形に折り返され、折り返し部42aが後方に延在する。折り返し部42aは、折り曲げ部42bと同じ高さH2を有するとともに、該折り曲げ部42bと平行であって、該折り曲げ部42bと間隔S2を介して挟持部42cを形成するように折り曲げ部42bから後方に折り返される。挟持部42cには、第1接地用コンタクト30の固定部33が嵌め込まれる。言い換えれば、折り曲げ部42bと折り返し部42aとで固定部33を挟持する。第1の脚部42の高さH2は、本体41の高さH1のほぼ1/2であり(H2=1/2×H1)、第1の脚部42の折り曲げ部42bと折り返し部42aとの間の間隔S2は、第1接地用コンタクト30の板厚にほぼ等しい。なお、第1の脚部42の下端面は、図6(a)に示されるように、本体41の下端面と面一である。
【0039】
第2の脚部43は、本体41の右端部から該本体41に対して直角をなすように前方に折り曲げられた折り曲げ部43b及び該折り曲げ部43bから外側(右側)に折り返された折り返し部43aを有する。第2の脚部43は、その上端面から高さH3を有する折り曲げ部43bが、本体41の右端部上側から前方に向って延在し、所定の位置でU字形に折り返され、折り返し部43aが後方に延在する。折り返し部43aは、折り曲げ部43bの高さH2と同じ高さH3を有するとともに、該折り曲げ部43bと平行であって、該折り曲げ部43bと間隔S3を介して挟持部43cを形成するように折り曲げ部43b先端から後方にさらに折り返される。挟持部43cには、第1接地用コンタクト30の固定部33が嵌め込まれる。言い換えれば、折り曲げ部43bと折り返し部43aとで固定部33を挟持する。第2の脚部43の高さH3は、上述したように、折り曲げ部43bの高さと同じであり、本体41の高さH1のほぼ1/2である(H2=H3=1/2×H1)。また、第2の脚部43の折り曲げ部43bと折り返し部43aとの間に形成される挟持部43cの間隔S3は、第1接地用コンタクト30の板厚にほぼ等しい(S2=S3)。以上の説明及び図6(a)から理解されるように、第2の脚部43は、本体41に対して第1の脚部42の点対称の位置に配置される。
【0040】
コモンコンタクト40をこのように形成することにより、簡単な構造で、組み立てが容易であり、複数の第1接地用コンタクト30を確実に連結し、電気的に接続することが可能となるとともに、製造に際し、材料を無駄にすることもない。
【0041】
なお、第1の脚部42の下端面は、図6(a)に示されるように、本体41の下端面と面一である。また、本実施例では、第1の脚部42が本体41の左端部下側に設けられ、第2の脚部43が本体41の右端部上側に設けられているが、これに限定されるものではなく、第1の脚部42が左端部上側に設けられ、第2の脚部43が右端部下側に設けられていてもよい。
【0042】
上述した構成を備えるコモンコンタクト40により、2つの第1接地用コンタクト30、30の間が連結される。図6(b)に示されるように、本実施例に係るコモンコンタクト40は、2つの第1信号線用コンタクト20A、20Bを挟んで配置される2つの第1接地用コンタクト30A、30Bを連結する。より具体的には、図6(b)に示されるように、コモンコンタクト40の第2脚部43が、第1接地用コンタクト30Aの固定部33Aに設けられる2つの圧入突起35Aと36Aとの間で、上下方向垂直に延在する固定部33Aを挟持する。すなわち、固定部33Aは、第2脚部43を構成する折り曲げ部43bと折り返し部43aとで形成される挟持部43c内に嵌め込まれ、それにより、第1接地用コンタクト30Aとコモンコンタクト40は電気的に接続される。また、コモンコンタクト40の第1脚部42は、上記第2脚部と同様に、2つの第1信号線用コンタクト20A、20Bを挟んで配置される第1接地用コンタクト30Bの固定部33Bを挟持する。このとき、第1脚部42は、第1接地用コンタクト30Bとさらにその向こう側(左側)に配置される第1接地用コンタクト(不図示)とを連結するコモンコンタクト40の第2脚部43の下に配置される。この2つの脚部42及び43の配置態様は、第1接地用コンタクト30Aにおける2つのコモンコンタクト40それぞれの第1脚部42と第2脚部43の配置と同様である。なお、図6(b)において、付番32A、34Aは、それぞれ、第1接地用コンタクト30Aの弾性変形部及び端子部を示す。
【0043】
次に、図3ないし5を用いて、本実施例に係るカードエッジコネクタ10への第1信号線用コンタクト20及び第1接地用コンタクト30の組み込みについて簡単に説明する。なお、ここで説明する組み立て方法は、ほんの一例にすぎず、例えば、第1接地用コンタクト30とコモンコンタクト40を予め組み立てておいて、カードエッジコネクタ10の本体11に装着するようにしてもよい。
【0044】
先ず、図3に示されるように、第1スリット12の対応するスリット12B内に第1信号線用コンタクト20が挿入され、カードエッジコネクタ10の本体11に固定される。第1信号線用コンタクト20は、2つが1組となって、右端(図3では左端)にある接地用コンタクト30が収容される予定の1つのスリット12Aを空けて、その左側に隣接する2つのスリット12B内にそれぞれ挿入される。次の1組は、再び、第1接地用コンタクト30が収容される予定の1つのスリット12Aを空けて、その左側に隣接する2つのスリット12B内にそれぞれ挿入される。以下、これを繰り返して、第1信号線用コンタクト20が全て対応するスリット12b内に挿入され、それにより、第1信号線用コンタクト20のカードエッジコネクタ10の本体11への設置が完了する。なお、左端にあるスリット12Aに第1接地用コンタクト30が収容されるように、第1スリット12が本体11に形成される。
【0045】
次に、図4に示されるように、複数のコモンコンタクト40が所定のスリット12Aに設けられた対をなす第1及び第2嵌合凹部18a、18bにより形成される嵌合空間を介してカードエッジコネクタ10の本体11に設置される。各コモンコンタクト40の第1及び第2脚部42、43が、図6に示される配置をなして嵌合空間内に挿入されることで、複数のコモンコンタクト40が本体11に保持される。この状態において、複数の第1接地用コンタクト30が、対応する第1スリット12Aに挿入され、カードエッジコネクタ10の本体11に固定される。このとき、同時に、第1接地用コンタクト30それぞれの固定部33がコモンコンタクト40の第1及び第2脚部42、42に挟持される。
【0046】
このようにして、図5に示されるように、第1信号線用コンタクト20及び第1接地用コンタクト30が、対応する第1スリット12A、12B内にG−S−S−G配置で収容される。また、収容された第1接地用コンタクト30は、複数の本実施例に係るコモンコンタクト40により、全て、電気的に接続された状態でカードエッジコネクタ10の本体11に設置される。
【0047】
このように複数のコモンコンタクト40で全ての第1接地用コンタクト30を連結することにより、プリント配線板間をつなぐ接地用コンタクトが全て同じ電位に保持される。それにより、シールド効果が従来装置よりも優れて接地用コンタクトを挟んで配置されている信号線用コンタクトを通る信号間のクロストークを低減し得る。さらには、従来装置のように、信号線用コンタクトを通る信号によるノイズの発生も抑制し得る。
【0048】
本実施例では、信号が往復する2つの第1信号線用コンタクトを通って信号が高速で伝送されるため、隣接する2つの第1信号線用コンタクトを挟む第1接地用コンタクトにのみコモンコンタクトを設けるように説明してきた。しかしながら、第2信号線用コンタクトを通って信号が高速で伝送される場合、隣接する2つの第2信号線用コンタクトを挟む第2接地用コンタクトにコモンコンタクトを設けるようにする必要がある。この場合、第2信号線用コンタクト及び第2接地用コンタクトは、例えば、後述する第2の実施例のように形成することで、第2接地用コンタクトをコモンコンタクトで連結することが可能となる。
【0049】
(第2の実施例)
図8ないし14には、本願発明に係るカードエッジコネクタの第2の実施例が示されている。本実施例は、上記第1の実施例と比べてコモンコンタクトの構成が異なり、それにともなって、第1信号線用コンタクト及び第1接地用コンタクトの構成及びコモンコンタクトによる第1接地用コンタクトの連結構造が異なる。以下、その相違点を中心に説明する。本実施例においても、上記第1の実施例と同様、信号が高速伝送されるのは、第1信号線用コンタクトのみであるものとする。
【0050】
なお、本実施例の説明において、「左」及び「右」は、それぞれ、図8において、+x方向及び−x方向を、「前」及び「後」は、それぞれ+y方向及び−y方向を、「上」及び「下」は、それぞれ、+z方向及び−z方向を指す。
【0051】
本実施例においても、本発明の第2の実施例に係るカードエッジコネクタ110は、第1実施例と同様に、第1プリント配線板(不図示)に取り付けられている。また、該カードエッジコネクタ110内には、第2プリント配線板(不図示)に取り付けられているプラグコネクタ80が挿入されることでプリント配線板間が電気的に接続されることも第1の実施例と同様である。また、カードエッジコネクタ110内における信号線用コンタクト(S)及び接地用コンタクト(G)の配置も第1の実施例と同様、G−S−S−G配置である。
【0052】
本実施例に係るカードエッジコネクタ110は、概略、本体111、コモンコンタクト140、ホルダ145、複数の第1信号線用コンタクト120、複数の第2信号線用コンタクト150、複数の第1接地用コンタクト130及び複数の第2接地用コンタクト160を備えている。
【0053】
最初に、本実施例に係るカードエッジコネクタ110の本体111について説明する。
【0054】
本体111は、本実施例においても上記第1の実施例と同様、電気的に絶縁性の合成樹脂から形成され、その外郭は、概略、直方体をなし、左右方向に細長く延在している。
【0055】
本実施例においては、本体111が、上記第1の実施例と比べて、コンタクトを収容するスリットに設けられた圧入孔の構成及びホルダ145取り付けのための構造が異なるのみでその他の構造は全く同じである。
【0056】
本実施例では、本体111の後方側に設けられた、第1信号線用コンタクト120及び第1接地用コンタクト130が収容される複数の第1スリット112には、1つの固定用圧入孔118Aが形成される。該固定用圧入孔118Aは、各第1スリット112内で第1信号線用コンタクト120または第1接地用コンタクト130を本体111に固定するために、複数の第1スリット112それぞれの垂直部分に、概略水平方向に延在するように形成されている。圧入孔118Aは、後述する第1信号線用コンタクト120の固定部123の第1水平圧入部123bの上面と第2水平部123dの下面との間の距離L3にほぼ等しい高さ(上下方向の長さ)を有する。また、圧入孔118Aは、第1垂直部123aの前端面と第2垂直部123cの前端面との間の距離L5にほぼ等しい深さ(前後方向の長さ)を有する。すなわち、圧入孔118Aは、垂直断面で、高さL3、深さL5を有する概略矩形状をなしている。
【0057】
また、圧入孔118Aを通って後述するホルダ145が組み込めるように、本体111の隣接する第1スリット112間を仕切る仕切り壁112aには、切欠凹部112bが形成されている。該切欠凹部112bは、後方に向って開放し、本体111を左右方向に横断するように形成されている。切欠凹部112bは、ホルダ145の高さH21とほぼ等しい高さ及びホルダ145の奥行T21から第1接地用コンタクト130の固定部133の第1垂直部133aの幅(前後方向の長さ)を差し引いた長さに相当する深さを有する。すなわち、切欠凹部112bは、垂直断面で、高さH21、深さ[T21−(L6−L5)]を有する概略矩形状をなしている。
【0058】
また、本体111の前方側に設けられた、第2信号線用コンタクト150及び第2接地用コンタクト160が収容される複数の第2スリット115には、少なくとも1つの圧入孔118Bが形成される。該固定用圧入孔118Bは、各第2スリット115内で第2信号線用コンタクト150または第2接地用コンタクト160を本体111に固定するために、複数の第2スリット115それぞれの垂直部分に、概略水平に形成されている。
【0059】
本実施例における本体111のその他の構造は、上記第1の実施例における本体11の構造と実質的に同じであるので説明を省略する。しかしながら、本実施例における本体111のその他の構造は、上記第1の実施例における本体11の説明において、その付番に100を加えて読むことで、本実施例における本体111の構造が容易に理解されるであろう。
【0060】
次に、上記第1の実施例と構造を異にする本実施例に係る第1信号線用コンタクト120について説明する。本実施例における複数の第1信号線用コンタクト120それぞれは、導電性の金属薄板から概略S字形をなして打ち抜き形成されており、図10に示されるように、上から、接点部121、弾性変形部122、固定部123及び端子部124を備える。
【0061】
本実施例では、固定部123の構造が上記第1の実施例における第1信号線用コンタクト20と異なるのみで、その他の構成は第1の実施例とほぼ同じである。本実施例における固定部123は、上記第1の実施例のように弾性変形部22から端子部24に至るまで上下に垂直に延在していない。図10に示されるとおり、本実施例の固定部123は、前方に向って概略C字状に突出している。具体的には、本実施例の固定部123は、第1垂直部123a、第1水平圧入部123b、垂直圧入部123c、第2水平圧入部123d及び端子部124に続く第2垂直部123eを含む。
【0062】
第1垂直部123aは、弾性変形部122から続いて垂直方向下方に延在し、第1水平圧入部123bは、第1垂直部123aに対して直角をなし、該第1垂直部123a下端から前方に延びている。垂直圧入部123cは、第1水平圧入部123bに対して直角をなし、該水平第1圧入部123b前端から垂直方向下方に延在し、第2水平圧入部123dは、垂直圧入部123cに対して直角をなし、該垂直圧入部123c下端から後方に延びている。さらに、第2垂直部123eは、第2水平圧入部123dに対して直角をなし、該第2水平圧入部123d後端から垂直方向下方に延在し、端子部124に続く。したがって、本実施例では、第1信号線用コンタクト120は、第1及び第2水平圧入部123b、123dと垂直圧入部123cとで、後述するホルダ145を収容するためのホルダ収容凹部127を形成している。なお、少なくとも第1垂直部123aの後端面と第2垂直部123eの後端面は、上下方向に同じ垂直面上にあることが好ましい。本実施例では、第1垂直部123aの前端面と垂直圧入部123cの前端面との間の距離をL5とし、第1垂直部123a(または、第2垂直部123e)の後端面と垂直圧入部123cの前端面との間の距離をL6とする。また、第1水平圧入部123bの上面と第2水平圧入部123dの下面との間の距離をL3とし、第1水平圧入部123bの下面と第2水平圧入部123dの上面との間の距離をL4とする。
【0063】
次に、本実施例に係る第1接地用コンタクト130について説明する。複数の第1接地用コンタクト130は、上記第1信号線コンタクト120と同様、いずれも導電性の金属薄板から概略S字形をなして打ち抜き形成される。各第1接地用コンタクト130は、固定部133の垂直圧入部133cの後端面に2つの接触突起135、136を備えている点及び距離L4が第1信号線用コンタクト120より若干小さく設定される点でのみ上記第1の信号線用コンタクト120の構造と異なる。該2つの接触突起135、136は、コモンコンタクト140に接触するように形成されており、垂直圧入部133cの後端面から後方に向って突出している。また、距離L4が第1信号線用コンタクト120より若干小さく設定されるのも、第1接地用コンタクト130がコモンコンタクト140に接触することを可能とするためである。
【0064】
各第1接地用コンタクト130は、上記接触用突起135、136を除いて、その他の構造は、上記第1信号線用コンタクト20と実質的に同様の構造を備えているので説明を省略する。しかしながら、上記第1信号線コンタクト20の説明において、付番の120番台を130番台に置きかえて読むことで、本実施例における第1接地用コンタクト130のその他の構造は容易に理解されるであろう。なお、本実施例では、第1接地用コンタクト130の接点部121から固定部123までの長さが、第1信号線用コンタクト120のそれよりも若干長く設定されていてもよい。また、第1垂直部123a(または、第2垂直部124e)の後端面と第2垂直部123cの前端面との間の距離を第1信号線用コンタクトのL5より若干大きく設定してもよい。
【0065】
次に、本実施例に係る第2接地用コンタクト160について説明する。本実施例における複数の第2接地用コンタクト160は、いずれも導電性の金属薄板から概略L字形をなして打ち抜き形成される。各第2接地用コンタクト160は、図14に示されるように、上から、接点部161、弾性変形部162、固定部163及び端子部164を備える。
【0066】
接点部161は、本実施例では、上方に向って凸状に湾曲した形状をなし、プラグコネクタ収容空間119a内に突出するように形成され、対応するプラグコネクタ(不図示)の外部接点としての第2パッド(不図示)に所望の接触圧で接触し得る。
【0067】
弾性変形部162は、本実施例では、固定部163から上方に向って延びだし、概略L字形に湾曲して前方に且つ若干下方に向って延在し、接点部161に連続するように形成されており、弾性変形することで接点部161に所望の接触圧を提供する。
【0068】
固定部163は、本実施例では、L字形に延在する弾性変形部162の垂直部分に連続するように、上下方向に垂直に延在する。固定部163は、また、固定部163に直角をなして該固定部163から接点部161と同じ側に(後方側に)突出する1つの圧入突起165を備えている。圧入突起165は、さらに、上下方向に該圧入突起165から突出する2つの停止突起166a、166bを備えている。圧入突起165は、本体111の第2スリット115に設けられている固定用圧入孔118b内に圧入され、2つの停止突起166a、166bとともにカードエッジコネクタ110に対して第2接地用コンタクト160を確実に保持する。なお、本実施例では、圧入突起165が1つであるが、上記第1実施例のように2つ設けられてもよい。その場合、停止突起166a、166bは省略され得る。
【0069】
端子部164は、本実施例では、固定部163から前方、下方に向って延在するように形成され、プリント配線板(不図示)の外部接点に半田付けされ、プリント配線板の電気回路に電気的に接続される。
【0070】
次に、複数の第2信号線用コンタクト150(図14参照)は、上記第2接地用コンタクト160と同様、いずれも導電性の金属薄板から概略S字形に打ち抜き形成される。各第2信号線用コンタクト150は、上記第2接地用コンタクト160とほぼ同様の構造を備えているので説明を省略する。なお、第2信号線用コンタクト150の接点部から固定部までの長さは、第2接地用コンタクト160のそれと同じであってもよいし、それよりも若干長く又は短く設定されてもよい。
【0071】
次に、本発明の特徴点である、本実施例に係るカードエッジコネクタ10を構成するコモンコンタクト140及びホルダ145について、図12を参照して説明する。本実施例におけるコモンコンタクト140は、カードエッジコネクタ110に設置される複数の第1接地用コンタクト130の電位を合わせるために、これらの間を一括して電気的に接続する部材である。また、本実施例におけるホルダ145は、コモンコンタクト140を保持し、第1接地用コンタクト130に電気的に接触させるための部材である。
【0072】
このようなコモンコンタクト140を備えることにより、上記第1の実施例と同様に、本実施例においても、プラグコネクタ及びカードエッジコネクタの2つのコネクタ領域における接地用導線によるシールド効果の低下を防止することが可能となる。それにより、信号線間のクロストークを低減するとともに、ノイズが放射されることを防止する。
【0073】
本実施例におけるコモンコンタクト140は、導電性の金属薄板から打ち抜かれた後、曲げ加工されることにより形成される。本実施例に係るコモンコンタクト140は、左右方向に延在する細長い本体141及び第1接地用コンタクト130に接触し得る一対の第1及び第2脚部142、143を備えている。第1脚部142は、本体141からほぼ垂直に上方に延び、概略L字形に折り曲げられ、後方に向ってほぼ水平に延在するとともに、上に向って若干凸状に湾曲して形成されることが好ましい。第2脚部143は、第1脚部142に対して対をなすように、本体141からほぼ垂直に下方に伸び、概略L字形に折り曲げられ、後方に向ってほぼ水平に延在するとともに、下に向って若干凸状に湾曲して形成されることが好ましい。1組の対をなす第1及び第2脚部142、143は、図12に示されるように、間隔S11をおいて、且つ各組が互いに平行に配列されように、複数組配置されている。本実施例では、2つのコモンコンタクト140が示されているが、1つにまとめられていてもよいし、複数設けられてもよい。本実施例に係るコモンコンタクトは、また、図12に示されるように、高さ(上下方向の長さ)H11、奥行き(前後方向の長さ)T11を有する。
【0074】
コモンコンタクト140は、このように形成されることで、組み立てられたとき、図13に示されるように、第1及び第2脚部142、143の垂直部分が、第1接地用コンタクト130の固定部133の垂直圧入部133cの後端面に接触し得る。同様に、第1脚部142の水平部分が、第1水平圧入部133bの下端面に、及び第2脚部143の水平部分が第2水平圧入部133dの上端面に接触し得る。それにより、コモンコンタクト140は、複数の第1接地用コンタクト130を電気的に接続し、結果として、複数の第1接地用コンタクト130の電位を同じにすることができる。
【0075】
次に、コモンコンタクト140を保持するホルダ145は、電気的に絶縁性の合成樹脂から概略左右方向に細長い直方体に形成される。ホルダ145は、図12に示されるように、垂直断面で、高さ(上下方向の長さ)H21、奥行(前後方向の長さ)T21を有する矩形状をなしている。
【0076】
ホルダ145には、コモンコンタクト140の細長い本体141を収容するために、該ホルダ145の後面に、後方に向って開放し、左右方向に延在する細長い溝146が形成される。また、コモンコンタクト140の第1脚部142を収容するために、該細長い溝146から上方に延び、さらに、ホルダ145の上面で後方に向って延在する第1収容溝147が形成される。同様に、コモンコンタクト140の第2脚部143を収容するために、第1収容溝147に対して対をなして、該細長い溝146から下方に延び、さらに、ホルダ145の下面で後方に向って延在する第2収容溝148が形成される。ホルダ145がこのような構成を備えることから、ホルダ145の高さH21及び奥行T21が、それぞれ、コモンコンタクト140の高さH11及び奥行T11にほぼ等しい(H21≒H11、T21≒T11)ことが理解される。さらにいえば、ホルダ145の高さは、第1信号線用コンタクト120のホルダ収容凹部127の高さL4にほぼ等しい。もちろん、ホルダ145の左右方向の長さは、コモンコンタクト140の左右方向の長さにほぼ等しい。
【0077】
次に、図9ないし11を用いて、本実施例におけるカードエッジコネクタ110への第1信号線用コンタクト120及び第1接地用コンタクト130の組み込みについて簡単に説明する。
先ず、本実施例では、第1接地用コンタクト130が、図9に示されるように、第1スリット112の対応するスリット112A内に挿入され、カードエッジコネクタ110の本体111に固定される。第1接地用コンタクト130は、右端(図9では左端)から2つおきに配置される接地用コンタクト130が収容されるべきスリット12A内に挿入される。第1接地用コンタクト130が全て対応するスリット12b内に挿入されると、続いて、図10に示されるように、第1信号線用コンタクト120が挿入される。第1信号線用コンタクト120は、上記第1の実施例と同様に、対をなして第1スリット112のうちの対応する2つの隣接するスリット112B内に挿入される。第1信号線用コンタクト120の装着が完了すると、ホルダ145に取付けられたコモンコンタクト140がカードエッジコネクタ110に装着される。ホルダ145は、第1信号線用コンタクト120及び第1接地用コンタクト130それぞれのホルダ収容凹部127、137及び仕切り壁125の切欠凹部112bにより形成された左右方向に延在する収容空間内に嵌め込まれ、固定される。それにより、ホルダ145に保持されているコモンコンタクト140は、対応する複数の第1接地用コンタクト130に同時に接触することが可能となる。
【0078】
このようにして、図11に示されるように、第1信号線用コンタクト120及び第1接地用コンタクト130が、対応する第1スリット112A、112B内にG−S−S−G配置で収容される。また、収容された第1接地用コンタクト130は、本実施例に係るコモンコンタクト140により、全て、電気的に接続された状態でカードエッジコネクタ110の本体111に設置される。
【0079】
このように複数のコモンコンタクト40で全ての第1接地用コンタクト30を連結することにより、プリント配線板間をつなぐ接地用コンタクトが全て同じ電位に保持される。それにより、本実施例においても、上記第1の実施例と同じ作用効果を奏することが可能となる。
【符号の説明】
【0080】
10、110 カードエッジコネクタ(雌コネクタ)
20、120 第1信号線用コンタクト
30、130 第1接地用コンタクト
40、140 コモンコンタクト
50、150 第2信号線用コンタクト
60、160 第2接地用コンタクト
70、90 プリント配線板
80 プラグコネクタ(雄コネクタ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号線用コンタクト及び複数の接地用コンタクトが、互いに平行に、少なくとも1列に配列される雌コネクタとしてのカードエッジコネクタにおいて、
前記信号線コンタクトと前記接地用コンタクトは、高速信号が往復する2つの信号線用コンタクトを2つの接地用コンタクトで挟むように配列され、
1列に配列された前記複数の接地用コンタクトが全て、コモンコンタクトにより電気的に接続されていることを特徴とするカードエッジコネクタ。
【請求項2】
前記コモンコンタクトは複数用意され、該コモンコンタクトそれぞれは、前記2つの信号線を挟む2つの接地用コンタクトを電気的に接続するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項3】
前記コモンコンタクトは、同時に複数の接地用コンタクトを電気的に接続し得るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項4】
さらに、コモンコンタクトを保持するホルダを備えていることを特徴とする請求項3に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項5】
前記信号線用コンタクト及び前記接地用コンタクトは、ホルダが装着され得るホルダ収容凹部を有するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項6】
コモンコンタクトは、金属薄板から形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のカードエッジコネクタ。
【請求項1】
複数の信号線用コンタクト及び複数の接地用コンタクトが、互いに平行に、少なくとも1列に配列される雌コネクタとしてのカードエッジコネクタにおいて、
前記信号線コンタクトと前記接地用コンタクトは、高速信号が往復する2つの信号線用コンタクトを2つの接地用コンタクトで挟むように配列され、
1列に配列された前記複数の接地用コンタクトが全て、コモンコンタクトにより電気的に接続されていることを特徴とするカードエッジコネクタ。
【請求項2】
前記コモンコンタクトは複数用意され、該コモンコンタクトそれぞれは、前記2つの信号線を挟む2つの接地用コンタクトを電気的に接続するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項3】
前記コモンコンタクトは、同時に複数の接地用コンタクトを電気的に接続し得るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項4】
さらに、コモンコンタクトを保持するホルダを備えていることを特徴とする請求項3に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項5】
前記信号線用コンタクト及び前記接地用コンタクトは、ホルダが装着され得るホルダ収容凹部を有するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項6】
コモンコンタクトは、金属薄板から形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のカードエッジコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−159465(P2011−159465A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19205(P2010−19205)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
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