説明

コネクタ

【課題】端子金具のがたつきを回避する。
【解決手段】コネクタハウジング1の一側面に開口Kが設けられ、内部のキャビティ5が露出されている。キャビティ5内には抜け止め部8が形成され、開口Kの上方から収容される雌端子金具7を係止させて後方へ抜けないようになっている。カバー部材2にはカバー部15が備えられ、コネクタハウジング1の後方から開口Kの平面方向に沿ってスライドされる。カバー部15によって開口Kが閉じられると、カバー部15の薄肉部36が係止壁19の下側に潜り込んでカバー部15が上方へ外れ止めされた状態となる。また、コネクタハウジング1のロックアーム28がカバー部材2の係止縁に係止することによってコネクタハウジング1にカバー部材2が装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1のように、コネクタハウジングの上面を開放し内部のキャビティ全体が露出されるようにしたコネクタが知られている。このコネクタにおいては、端子金具を上方からキャビティ内へ収容した後に、上方からカバーが被せ付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−272799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、コネクタハウジングの上方からカバーを被せ付けてロックを掛けるようにすると、そのロック構造は一般的には次のような構造となる。すなわち、カバーの周縁に内外方向へ撓み可能なロック片が垂下し、これらがコネクタハウジング側の外面に突設されたロック突部に係止する、という構造を採るのが一般的である。
【0005】
しかし、このように、ロック片を撓み変形させつつロックを掛ける構造は、ロック片とロック突部との間に上下方向のクリアランスが生じる。このため、装着後にカバーが上下方向にがたつき易い。すると、内部に収容されている端子金具の押さえが不十分となり、端子金具が内部で傾いた収納姿勢となる可能性がある。特に、端子金具の先端が正規位置からずれてしまうと、コネクタハウジングの前面から相手側のタブ状端子金具が進入した場合に、端子金具同士の円滑な接続動作に支障を来たすことが懸念される。こうした懸念の主たる原因は、そもそもカバーをコネクタハウジングに対して上方から被せ付けるようにした構成にある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、内部に収容されている端子金具のがたつきを有効に規制することができるコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、端子金具を収容するためのキャビティが設けられたコネクタであって、前記キャビティを全長に亘って露出させるよう少なくとも一側面が開口し、この開口を通して前記端子金具を前記キャビティ内に収容可能とするコネクタハウジングと、前記コネクタハウジング内に撓み不能に形成され前記端子金具に係止して同端子金具を長さ方向後方へ抜け止めする抜け止め部と、前記開口を、その平面方向に沿って開閉するよう前記コネクタハウジングに装着されるカバー部とを備えてなる構成としたところに特徴を有する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記コネクタハウジングにおいて前記端子金具の長手方向前方に位置する前面壁には、前記端子金具の接続相手であるタブ状端子の挿通孔と同挿通孔周りに配された誘い込み面とが形成される一方、前記開口において前記端子金具の長手方向に沿って対向する壁面には、端子金具の長手方向後方から長手方向前方へと前記カバー部の開閉時のスライド動作を案内するガイド部が形成されるとともに、前記カバー部は前記前面壁の内面側であって前記誘い込み面と対応する領域と重複する部位に当接してカバー部の前進位置が規制されるようになっているところに特徴を有する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記前面壁の内面側には、前記端子金具の先端部の上部を押さえ込んで前記端子金具の先端部の浮き上がりを規制する規制壁が内方へ張出し形成されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記カバー部は、前記コネクタハウジングにおける前記カバー部周りの壁面とほぼ面一の状態で前記コネクタハウジングに装着されるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、端子金具はコネクタハウジングの開口を通してキャビティ内に収容される。この状態で、抜け止め部に係止することで、端子金具は長手方向後方への抜け止めがなされる。その後、カバー部は開口の平面方向に沿ってスライドして開口が閉じられる。
【0012】
このように、請求項1の発明に係るカバー部は開口の平面方向である端子金具の長手方向に沿ってスライドし、全体の装着がなされるため、ガイド部におけるスライド方向と直交する方向のクリアランスをできるだけ小さくすることができる。したがって、端子金具がキャビティ内でかだつくのをカバー部が確実に規制することができるため、相手端子金具との接続動作を円滑に行わせることができる。
【0013】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、スライドカバー部の閉じ方向を端子金具の長手方向後方から前方へ向かう方向とし、コネクタハウジングの前面壁に当接させることによって前進位置を規制するようになっている。こうすることで、前面壁の前面に設けられる誘い込み面を確保することができるため、相手端子金具に対する誘い込み機能を確実に果たすことができる。また、カバー部に対する前進位置の規制部位を、前面壁の内面側において誘い込み面が形成される領域の投影範囲内に設定することができたため、コネクタをコンパクト化することができる。
【0014】
<請求項3の発明>
請求項3の発明においては、端子金具は、先端を、規制壁の下方へ潜らせつつキャビティ内に収容される。これにより、カバー部を閉じる前の状態で端子金具の先端は規制壁によって押さえられ浮き上がりが規制される。したがって、カバー部の閉じ操作を円滑に行なうことができる。
【0015】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、カバー部は周りの壁面とほぼ面一の状態でコネクタハウジングに装着されるため、コネクタ全体のコンパクト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コネクタハウジングの平面図
【図2】同じく底面図
【図3】同じく正面図
【図4】カバー部材の平面図
【図5】同じく側面図
【図6】同じく正面図
【図7】カバー部材とコネクタハウジングとを示す側断面図
【図8】カバー部材をコネクタハウジングに装着した状態を示す側断面図
【図9】同じく平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
以下、図面にしたがって実施形態1の説明を行なうが、以下の説明において、前後方向の称呼は図1における左方を前方、右方を後方とし、上下方向の称呼は図7における上下方向を基準に行なう。
【0018】
本実施形態では、自動車の自動変速機用シフトレバー装置内に組み込まれるコネクタを例示する。コネクタはコネクタハウジング1とカバー部材2とを備えて構成されている。まず、コネクタハウジング1について説明する。
【0019】
コネクタハウジング1は合成樹脂材によって一体に形成されている。コネクタハウジング1は、雌端子金具を収容するための本体部3と、その後端側に一体に形成されカバー部材2側との接続のための連結部4とからなっている。本体部3はその一側面(上面)に開口Kを有し、内部のキャビティ5全体を露出させている。
【0020】
本体部3内の底面であって幅方向中央部には、前後方向に沿って仕切り壁6が立設され、本体部3の全長に亘って形成されている。本体部3の内部はこの仕切り壁6によって幅方向へ二室に仕切られ、それぞれは雌端子金具7を収容するためのキャビティ5となっている。両雌端子金具7は開口Kを通してキャビティ5内へ収容可能となる。
【0021】
ここで、雌端子金具7について説明すると、雌端子金具7は前部側に角筒部7Aを有しており、角筒部7Aは接続相手となるタブ状端子(図示しない)が内部に挿入されると相互に電気的な導通が採られる。また雌端子金具7の後部側には電線との接続を行うためのバレル部7Bが形成され、角筒部7Aとの間は連絡部7Cによって接続されている。
【0022】
両キャビティ5内には雌端子金具7を長手後方後方へ移動するのを規制するための抜け止め部8が配置されている。すなわち、一つの抜け止め部8は仕切り壁6の長手方向中央部において一つのキャビティ5内へ向けて突出し、他の一つはもう一つのキャビティ5を構成する側壁9において同様にして形成されている。両抜け止め部8は仕切り壁6と同一高さをもって形成されている。両抜け止め部8の前端面は雌端子金具7の長手方向に対して直交する切り立った面8Aとなっていて、雌端子金具7の角筒部7Aの後端であって連絡部7Cとの段差部分に係止することができ、これによって電線が引っ張られても、同方向への雌端子金具7の移動が規制可能となる。
【0023】
仕切り壁6、および他の抜け止め部8が形成された部分の側壁9の高さは、本体部3の長手方向の両側壁面3Aおよび前面壁10よりも低い高さをもって形成されている。後述するカバー部は、仕切り壁6等の上面に沿って水平にスライドされることから、両キャビティ5は仕切り壁6の高さと等しい高さをもって形成されることになる。また、この高さは角筒部7Aの高さ(キャビティ5への収容方向に沿った寸法)とほぼ同じか僅かに高い程度に形成されている。さらに、キャビティ5のうち抜け止め部8より前部側は雌端子金具7の角筒部7Aの側面形状に適合して形成され、角筒部7A全体をほぼ隙間なく収容可能である。さらにまた、キャビティ5における抜け止め部8に対応する長さ領域は連絡部7C及びバレル部7Bの一部と充分なクリアランスをもって収容できる幅寸法に形成され、それより後部側の長さ領域は拡幅されてバレル部7Bの残部及び電線端部に対する逃がし部11となっている。
【0024】
一方、本体部3の前面壁10には前記タブ状端子を挿通するためのタブ挿通孔12が各キャビティ5に対応して貫通している。そして、それぞれはキャビティ5内に雌端子金具7が収容されている状態で、角筒部7Aの前端面の開口と整合するように形成されている。また、前面壁10の前面には両タブ挿通孔12を取り囲むようにして四面の誘い込み面13が形成されている。各誘い込み面13はタブ挿通孔12へ向けて窄むようなテーパ状に形成され、タブ状端子を各誘い込み面13のテーパ面に沿ってタブ挿通孔12へと誘導することができる。
【0025】
前面壁10の内面側(キャビティ5と対向する側)の上縁には、雌端子金具7の先端の浮き上がりを規制するための規制壁14が水平にかつキャビティ5の幅範囲に亘って張出し形成されている。また、この規制壁14の下面は仕切り壁6の上面の高さとほぼ等しく形成されている。さらに、規制壁14の先端面(後端縁)はカバー部15の閉じ操作時において、カバー部15の先端と当接してその前進位置を規制するストッパ部16となっている。このストッパ部16が設けられている高さは、図7に示すように、誘い込み面13が設けられている高さ範囲と重複する範囲内に設定されている。また、前面壁10の上面で規制壁14に対応する幅領域は下向きに凹む円弧面17が形成されている。この円弧面17は図示しないシフトレバーのシャフトの外周面形状に適合する曲率をもって形成されている。
【0026】
次に、コネクタハウジング1に対するカバー部材2の閉じ動作を案内するためのガイド部Gの構造について説明する。ガイド部Gは、本実施形態では支持段差面18と係止壁19とを含んで構成される。
【0027】
より具体的に説明すると、両キャビティ5における幅方向外側に位置する壁面のうち底面から立ち上がる部分は底面に対して直角に起立して形成されている。このうち、その上端に連続する部分で長手方向の後半部にはカバー部材2の幅方向両側縁部を支持する支持段差面18が水平にかつ仕切り壁6とほぼ同一高さをもって形成されている。両支持段差面18の外縁は僅かな高さをもって直角に立ち上がり、そこから上り勾配をなす傾斜案内面20が形成されている。両傾斜案内面20は、カバー部15の幅方向両側縁部をその勾配に沿って支持段差面18へと誘導することができる。この傾斜案内面20より前部側は同傾斜案内面20より一段高く形成され、その境界部分には図1に示すように、後方へ向けて拡開する一対の誘導テーパ面21が形成されている。両誘導テーパ面21はカバー部15の先端に摺接可能であり、これによってカバー部15が幅方向へ位置ずれして装着されようとした場合の位置矯正をすることができる。両誘導テーパ面21の前部側にはストレート案内部22が連続している。ストレート案内部22は前方へ向けて所定長さ範囲に亘って形成されている。両ストレート案内部22よりさらに前部側には、カバー部15が上方へ外れないようにするための係止壁19が内方へ向けて張出しており、前面壁10の内面へと接続されている。
【0028】
なお、図2に示すように、本体部3の下面前部には前記係止壁19を成形するための一対の型抜き孔23と、規制壁14を成形するための一対の型抜き孔24とが開口している。
コネクタハウジング1の連結部4は、本体部3の後端面から下方へほぼ直角に屈曲して形成された縦壁25を有している。縦壁25は本体部3より広幅に形成され、本体部3から幅方向外方へ張り出すようにして形成されている。縦壁25の外面からは連結片26が後方へ向けて水平に延出している。連結片26は上向きのチャンネル状に形成され、その上面の高さは本体部3の下面とほぼ同じ高さとなっている。連結片26の後端縁からは二条のスリット27が、それぞれ縦壁25近くまで切り込まれている。このことによって、両スリット27によって挟まれ間の領域にはロックアーム28が上下方向へ撓み可能に形成され、先端部にはカバー部材2へロックを掛けるための爪部28Aが下向きに突出している。
【0029】
次に、カバー部材2について説明すると、カバー部材2も合成樹脂材によって形成され、カバー部材2はシフトレバー側への装着のためのホルダー部29と前記したコネクタハウジング1の開口Kを閉止するカバー部15とからなっている。ホルダー部29は中央にシフトレバーのシャフト(図示しない)を挿通可能な貫通孔30が形成されている。また、ホルダー部29の幅方向両側縁には後方へ向けて一対の連結アーム31が撓み可能に形成され、また上縁の幅方向中央部寄りには撓み可能な係止爪32が形成され、カバー部材2及びコネクタハウジング1は、これら連結アーム31及び係止爪32によってシフトレバー側への固定がなされる。また、カバー部材2の下部であって係止爪32とは貫通孔30を挟んで反対側には前後方向に開口する連結枠33が形成され、この連結枠33内へはコネクタハウジング1の連結部4が嵌合可能である。連結枠33の下部後端縁における幅方向中央部には係止縁34が切欠き形成され、コネクタハウジング1のロックアーム28が係止可能となっている。ロックアーム28が係止縁34に係止したときには、コネクタハウジング1の縦壁25が連結枠33の周枠部分の前面に当接可能である(図8参照)。
【0030】
カバー部15は、連結枠33の真上位置で貫通孔30の孔縁から前方へ向けて突出して形成されている。その付け根部分の両側には補強片35が設けられ、貫通孔30の孔縁に接続されており、内周面はシフトレバーのシャフトの外周面に適合して湾曲した形状となっている。カバー部15のうち補強片35より前部側はほぼ平板状に形成され、コネクタハウジング1の開口Kに整合して閉止できる長さと幅寸法をもって形成されている。カバー部15における巾方向中央部に位置する基部15Aの上面は、シフトレバーのシャフトの外周面形状と適合する円弧面が全長に亘って形成され、基部15Aの幅方向両側縁部は外方へ水平な平坦面15Bが形成されている。また、カバー部15の先端部における幅方向両側縁部は所定幅分だけ薄肉となるようにしてあり、こうすることで形成された両薄肉部36は下面側は周囲の面と面一をなし、上面側に高さ方向への段差を持つようになっている。そして、カバー部材2がコネクタハウジング1に対して正規状態で装着されると、両薄肉部36によって幅方向から挟まれた領域はコネクタハウジング1の両係止壁19及び前面壁10との間で囲まれた空間内に適合して入り込むとともに、両薄肉部36は両係止壁19の下面側に潜り込み、カバー部15の先端部が上方へ持ち上がらないように係止する。また、両薄肉部36の前端はカバー部15の先端縁よりやや後方へ引っ込んだ位置となるようにしてある。カバー部材2がコネクタハウジング1に対して正規装着されたときに、両薄肉部36の先端は両キャビティ5の前端部で幅方向外側のコーナ部に形成されたストッパ段部37に突き当たるようになっている(図8、図9参照)。
【0031】
続いて、上記のように構成された本実施形態の作用効果を具体的に説明する。まず、雌端子金具7をコネクタハウジング1内の両キャビティ5へ仮セットするための作業を行なう。この場合、電線の接続された雌端子金具7をコネクタハウジング1の開口Kの上方に位置させる。そして、角筒部7Aの先端部を規制壁14の下側へ潜り込ませた状態で、キャビティ5内に収容させる。これにより、雌端子金具7は角筒部7Aの後端が抜け止め部8によって係止されるため、全体は後方へ抜け止めされた状態に保持される。また、規制壁14によって角筒部7Aの先端が押さえ付けられた状態となっているため、雌端子金具7は先端の浮き上がりが規制される。かくして、雌端子金具7は仮セット状態に保持され、次になされるカバー部材2の装着までの間に雌端子金具7がキャビティ5から外れてしまう事態が回避される。
【0032】
この後、コネクタハウジング1にカバー部材2を装着する作業がなされる。まず、カバー部材2のカバー部15の先端を本体部3の開口K後端に位置させ、両薄肉部36を支持段差面18の後端上面に乗せる。このとき、カバー部15が幅方向へ多少位置ずれが生じていたとしても、いずれかの傾斜案内面20の傾斜によってカバー部15を正規位置へと導くことができる。こうして、カバー部15が正しく両支持段差面18上に乗せられれば、カバー部15を開口Kの平面方向に沿って、つまり支持段差面18及び仕切り壁6の各上面をスライドさせてゆく。カバー部15が前進する過程で薄肉部36は対応する両係止壁19の下方に進入し、さらに前進すると薄肉部36の先端はストッパ段部37に当接するとともに、カバー部15の先端は規制壁14の先端部(後端部)に当接する。これらの当接によって、カバー部15の前進位置が規定される。
【0033】
一方、カバー部15の前進に伴って、コネクタハウジング1の連結部4がカバー部材2の連結枠33の前方に位置する。カバー部15がさらに前進すると、連結部4はロックアーム28を撓み変形させながら連結枠33の内部に進入し、カバー部15が正規の前進位置に達した時点でロックアーム28は弾性復帰し連結枠33の係止縁に係止する。これにより、コネクタハウジング1はカバー部材2に対する取り付けがなされる。
【0034】
こうして、コネクタハウジング1はカバー部材2に対し、カバー部15によってコネクタハウジング1の開口Kが閉じられた状態で装着がなされる。そして、特に本実施形態ではカバー部15を開口Kの平面方向に沿う方向でスライドさせるようにしたから、カバー部15の下面をほぼキャビティ5の上面とほぼ同じ高さとすることができ、これによって、カバー部15と雌端子金具7の角筒部7Aとの間がほぼ隙間のない状態とすることができるため、雌端子金具7がキャビティ5内で高さ方向にがたつくのを有効に規制することができる。また、本実施形態の場合、角筒部7A周りは前面壁10の内面側、仕切り壁6、両側壁、抜け止め部8によってほぼ隙間なく取り囲まれるため、水平方向に関してもがたつくのを規制することができる。したがって、角筒部7Aとタブ挿通孔12との整合状態を確保することができるため、タブ状端子との接続動作を円滑なものとすることができる。
【0035】
また、本実施形態では開口Kを閉止するときのカバー部15のスライド方向を、コネクタハウジング1の後方側から前方へ向かう方向に設定した。このため、前面壁10の内面側を利用してカバー部15の先端を当接させて前進位置を規定することができる。したがって、前面壁10の前面に形成される誘い込み面13を四面前面を確保することができたため、タブ状端子の誘い込み機能を確実に発揮させることができる。また、その際にカバー部15が前面壁10に当接する位置は、つまりカバー部15が保持される高さは誘い込み面13が設けられている高さ範囲内であるため、コネクタ全体を高さ方向にコンパクト化することもできる。
【0036】
さらに、カバー部15はコネクタハウジング1におけるカバー部15周りの面とほぼ面一の状態にあり、カバー部15自体が無用な突起物となっていないため、このことによってもコネクタのコンパクト化が達成されている。さらにまた、撓み空間を必要としない抜け止め部8によって端子金具の抜け止めをするようにしたから、撓み空間を不要とする分、幅方向へのコンパクトも図られているのは言うまでもない。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では自動車用のシフトレバー装置内に組み込まれるコネクタを例示したが、用途は限定されるべきものではない。したがって、本実施形態のカバー部材2はシフトレバー側への装着のためのホルダー部29を有していたが、これに代え、カバー部材2は、カバー部15のみ有しホルダー部29を持たない形態のものであってもよい。
【0038】
(2)また、カバー部15のロック構造は本実施形態のように連結部4に設定するものに限らず、コネクタハウジング1から連結部4を廃した上でコネクタハウジング1の適所にカバー部15に係止する構造を採用することも考えられる。その場合のロック構造は弾性係止の構造でなく、いわゆるセミロック式のものであってもよい。
【0039】
(3)上記実施形態では、キャビティ5は高さ方向に関しては一段のものを示したが、二段有するものであってもよい。その場合には上下の二面が開口Kするようにすればよい。また、専用のカバー部15を用いたが、カバー部15が他のコネクタハウジング1によって兼用される構成されるものであってもよい。この場合、複数のコネクタハウジング1が高さ方向に積み上げられ、上に積まれるコネクタハウジング1がカバー部15を兼ねた構造となる。
【0040】
(4)上記実施形態では規制壁14を設けたが、規制壁14は省略してもよい。その場合には、角筒部7Aの先端側が浮き上がるのを回避し得ないが、カバー部材2を前進させてゆく過程で、角筒部7Aの先端の浮き上がりを水平姿勢に矯正することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…コネクタハウジング
2…カバー部材
5…キャビティ
7…雌端子金具
8…抜け止め部
10…前面壁
15…カバー部
18…支持段差面(ガイド部)
19…係止壁(ガイド部)
K…開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具を収容するためのキャビティが設けられたコネクタであって、
前記キャビティを全長に亘って露出させるよう少なくとも一側面が開口し、この開口を通して前記端子金具を前記キャビティ内に収容可能とするコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジング内に撓み不能に形成され前記端子金具に係止して同端子金具を長さ方向後方へ抜け止めする抜け止め部と、
前記開口を、その平面方向に沿って開閉するよう前記コネクタハウジングに装着されるカバー部とを備えてなることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタハウジングにおいて前記端子金具の長手方向前方に位置する前面壁には、前記端子金具の接続相手であるタブ状端子の挿通孔と同挿通孔周りに配された誘い込み面とが形成される一方、
前記開口において前記端子金具の長手方向に沿って対向する壁面には、端子金具の長手方向後方から長手方向前方へと前記カバー部の開閉時のスライド動作を案内するガイド部が形成されるとともに、前記開口において前記端子金具の長手方向に沿って対向する壁面には、端子金具の長手方向後方から長手方向前方へと前記カバー部の開閉時のスライド動作を案内するガイド部が形成されるとともに、前記カバー部は前記前面壁の内面側であって前記誘い込み面と対応する領域と重複する部位に当接してカバー部の前進位置が規制されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記前面壁の内面側には、前記端子金具の先端部の上部を押さえ込んで前記端子金具の先端部の浮き上がりを規制する規制壁が内方へ張出し形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記カバー部は、前記コネクタハウジングにおける前記カバー部周りの壁面とほぼ面一の状態で前記コネクタハウジングに装着されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−222181(P2011−222181A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87773(P2010−87773)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】