コネクタ
【課題】接続の際の作業性が向上し、接続後の緩みも防止できるコネクタを提供する。
【解決手段】プラグインコネクタ1は、ピンプラグ10とレセプタクル20により構成され、ピンプラグ10のカバーナット16を締め込むことによりピンプラグ10とレセプタクル20とが接続される。カバーナット16は、内周面に雌ねじを有し、接続側の端面16bには、周方向に90°離間した4つのカバーナット突起部16aが設けられる。レセプタクル20のソケットカバー25には、接続側の端部に前記の雌ねじと螺合する雄ねじが設けられるとともにフランジ27が設けられ、フランジ27には、周方向に90°離間した4つのフランジ突起部27aが設けられる。カバーナット16の締め込みが完了する若干前でカバーナット突起部16aがフランジ27aを乗り越える。その後カバーナット16を回転して締め込みを完了する。
【解決手段】プラグインコネクタ1は、ピンプラグ10とレセプタクル20により構成され、ピンプラグ10のカバーナット16を締め込むことによりピンプラグ10とレセプタクル20とが接続される。カバーナット16は、内周面に雌ねじを有し、接続側の端面16bには、周方向に90°離間した4つのカバーナット突起部16aが設けられる。レセプタクル20のソケットカバー25には、接続側の端部に前記の雌ねじと螺合する雄ねじが設けられるとともにフランジ27が設けられ、フランジ27には、周方向に90°離間した4つのフランジ突起部27aが設けられる。カバーナット16の締め込みが完了する若干前でカバーナット突起部16aがフランジ27aを乗り越える。その後カバーナット16を回転して締め込みを完了する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続の際の作業性が向上し、接続後の緩みも防止できるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置等に電力を供給するケーブル等を接続する際、プラグインコネクタが用いられる場合がある。プラグインコネクタは、例えばケーブルが接続されたピンプラグ等の雄側コネクタをレセプタクルやソケットプラグ等の雌側コネクタに挿入して接続するものである。
【0003】
このようなコネクタにおいて、確実に接続が行われていることは重要である。特許文献1には、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの接続時に、プラグコネクタに設けたカップリングリングを回転させ、カップリングリングの内周面のねじをレセプタクルコネクタのねじに嵌合させて接続を行なうコネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−280369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のコネクタでは、プラグコネクタ側の波形環状ばねのロック用突起がプラグコネクタ側に設けたフランジのロック用凹みに嵌り込み、この際のクリック音と乗り上げ感により嵌合の完了を知ることができる。
【0006】
しかしながら、このコネクタは、ロック用突起がロック用凹みに嵌った時点でカップリングリングの回転が止まるので、作業者は、カップリングリング等の締め込み感を得ることができない。また、ロック用凹み等がカップリングリングの内部に設けられているので、正確に嵌合したことを確認することが難しい。
【0007】
最後の締め込み感は、コネクタの接続作業が最後まで完了したことを作業者が感覚的に納得する上で重要であり、電力供給設備へのケーブル等接続作業を確実なものとする。
さらに、このようなコネクタにおいては、電力供給設備を正常に維持する上で、接続後のカップリングリング等の緩みが防止されることも重要である。
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、接続の際の作業性が向上し、接続後の緩みも防止できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達するための第1の発明は、雄側コネクタと雌側コネクタを接続してなるコネクタであって、雄側コネクタと雌側コネクタの一方に雄ねじとフランジが設けられるとともに、他方に雌ねじを内周面に有するカバーナットが設けられ、前記雄側コネクタと前記雌側コネクタの接続の際、前記カバーナットが、前記雌ねじと前記雄ねじを螺合しつつ締め込まれて前記フランジに向かって進み、前記カバーナットの接続側の端面には接続側に向かって突出するカバーナット突起部が設けられるとともに、前記フランジには接続側に向かって突出するフランジ突起部が設けられ、前記カバーナットの締め込みの際、カバーナットを完全に締め込む前に、前記カバーナット突起部が前記フランジ突起部を乗り越えて、雄側コネクタと雌側コネクタの接続が行われることを特徴とするコネクタである。
【0010】
かかるコネクタでは、カバーナットを回転させることにより雄側コネクタと雌側コネクタを接続するが、このときカバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越える。カバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越えた際の感触により、作業者は、所定の位置までカバーナットを締め込んだ事を容易に知ることができ、さらにその後カバーナットを回転させて締め込むことができ、カバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越えていることは側面から容易に視認できる。また、カバーナットの緩みは、カバーナット突起部がフランジ突起部に係止することにより防止される。
【0011】
前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部の高さと位置は、前記雄側コネクタと前記雌側コネクタの接続の際、前記カバーナットの締め込みを完了する若干前よりで、前記フランジ突起部と前記カバーナット突起部の先端面同士が当接するように形成されることが望ましい。
【0012】
かかるコネクタでは、カバーナットの締め込みを完了する若干前でカバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越える。作業者はその際の感触により接続に充分な位置までカバーナットを回転したことを容易に知ることができるとともに、その後最後に若干カバーナットを回転し締め込み感を得て作業を正確に完了することができる。
【0013】
本発明のコネクタでは、同じ数の複数の前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部が、前記カバーナットと前記フランジの周方向にそれぞれ等間隔で設けられることが望ましい。
【0014】
かかるコネクタでは、複数のカバーナット突起部が、対応するフランジ突起部を同時に乗り越える。カバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越える際には、カバーナットが螺合しつつその端面が接続側と逆側に若干後退し、前に戻ろうとする力によりカバーナット突起部とフランジ突起部に負荷がかかるが、上記の構成とすることで、複数の位置で上記の端面をバランスよく後退させ、各突起部にかかる負荷を分散させ損傷を回避することができる。
【0015】
また、前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部は、カバーナットの回転方向にある一対の側面および先端面と、これら側面と先端面の間に設けた斜面を有することが望ましい。
【0016】
かかるコネクタでは、カバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越える際、斜面同士が接した状態でカバーナット突起部がフランジ突起部を乗り上げることができるので、乗り越え時の損傷を回避することができる。また、斜面を両側に有するのでカバーナットを逆回転させ取り外すことも可能である。側面はカバーナットの緩み止めのための係止壁としても機能する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、接続の際の作業性が向上し、接続後の緩みも防止できるコネクタ等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ピンプラグ10とレセプタクル20の接続を示す図
【図2】ピンプラグ10とレセプタクル20を接続したプラグインコネクタ1を示す図
【図3】カバーナット突起部16aについて示す図
【図4】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の嵌合を示す図
【図5】フランジ突起部27aについて示す図
【図6】カバーナット16の締め込みを示す図
【図7】カバーナット16の締め込み時のカバーナット突起部16aとフランジ突起部27aについて示す図
【図8】ピンプラグ10が傾いている場合のカバーナット16の締め込みを示す図
【図9】カバーナット突起部16aとフランジ突起部27aの別の例を示す図
【図10】緩み防止用のカバーについて示す図
【図11】ソケットエンドキャップ100について示す図
【図12】ピンプラグ10とソケットプラグ30の接続を示す図
【図13】ピンプラグ10とソケットプラグ30を接続したプラグインコネクタ2を示す図
【図14】フランジ突起部38aについて示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明のコネクタ等の実施形態について説明する。まず、第1の実施形態のコネクタについて説明する。
【0020】
図1、図2に示すように、第1の実施形態のコネクタであるプラグインコネクタ1は、雄側コネクタであるピンプラグ10と雌側コネクタであるレセプタクル20からなり、ピンプラグ10をレセプタクル20に挿入することで接続される。本実施形態のプラグインコネクタ1は、大電流用のプラグインコネクタであり、レセプタクル20が図示されていない筐体等に取り付けられる、いわゆるパネルマウントタイプのものである。
【0021】
ピンプラグ10は、ピン11、ピンキャップ12、スプリングピン13、ピンカバー本体14、ピンプラグキー突起部15、カバーナット16、接続完了位置溝17、カバーキャップ18、キー確認用マーク19等を有する。
【0022】
ピン11は一本設けられており、その接続側の端部は略円柱状に形成されている。
なお、接続側とは、ピンプラグ10を構成する各部材についてはピンプラグ10をレセプタクル20に挿入し接続する際にレセプタクル20に向かう側を指し、レセプタクル20を構成する各部材についてはピンプラグ10をレセプタクル20に挿入し接続する際にピンプラグ10に向かう側を指すものとする。ピンプラグ10をソケットプラグ30に挿入し接続するプラグインコネクタの例についても後ほど説明するが、その際の接続側についても同様である。
【0023】
ピン11の接続側の先端には、頭部12aと軸部12bを有するピンキャップ12が、軸部12bをピン11の軸方向に挿入するようにして設けられている。ピンキャップ12は、ピン11の接続側の端部およびピンキャップ12の軸部12bを貫通するように設けられた穴にスプリングピン13を差し込むことによりピン11に固定される。
また、ピン11の接続側と逆側の端部には、電線ケーブル40が圧着され接続される。
【0024】
ピンカバー本体14は、略円筒状の形状を有し、ピン11の軸方向の周囲に設けられる。ピンカバー本体14の接続側の端部の外周面には、ピンプラグキー突起部15が設けられる。
【0025】
ピンプラグキー突起部15は、後述する図4に示すように、ピンカバー本体14の周方向に沿って180°離間して2つ設けられている。これら2個のピンプラグキー突起部15は一組をなしている。ピンプラグキー突起部15の一組を構成するピンプラグキー突起部15の数や離間角度等の位置パターンはこれに限らず、例えば120°離間させた3個、あるいは90°(270°)離間させた2個を一組として設ける場合などもある。
【0026】
また、ピンカバー本体14の外周面には、接続完了位置溝17とキー確認用マーク19が設けられる。接続完了位置溝17は後述するピンプラグ10とレセプタクル20の接続時にカバーナット16の締め込み完了を視認容易とするものである。キー確認用マーク19は、ピンプラグキー突起部15と対応する周方向の位置に設けられ、ピンプラグキー突起部15の位置を視認容易とし接続時の位置合わせを行い易くするものである。
【0027】
カバーナット16は、略円筒状の形状を有し、ピンカバー本体14の周囲に設けられる。カバーナット16の接続側の端部の内周面はピンカバー本体14から離れている。当該内周面には雌ねじが形成されている。カバーナット16の接続側とは反対側の端部には内側に突出する係止部16cが設けられている。この係止部16cは、カバーナット16の締め込みが完了するときにピンカバー本体14の外周に設けたつば部14aに当接するように設けられている。
【0028】
そして、本実施形態では、カバーナット16の接続側の端面に接続側に向かって突出するカバーナット突起部16aが設けられている。
図3(a)はカバーナット16の接続側の端面を示す図である。ピン11等の図示は省略している。本実施形態では、図3(a)に示すように、カバーナット突起部16aは、カバーナット16の周方向に90°の等間隔で4個設けられる。
【0029】
図3(b)はカバーナット突起部16aを示す図である。カバーナット突起部16aは、カバーナット16の接続側の端面16bから垂直に立ち上がる、カバーナット16の周方向の一対の側面161と、端面16bに平行な先端面162とを有し、各側面161と先端面162による角部はそれぞれ面取りされ一対の斜面163が形成されている。
【0030】
カバーキャップ18は、略円筒状の形状を有し、ピン11の接続側と逆側の端部と電線ケーブル40の端部を覆うように設けられる。
【0031】
レセプタクル20は、ソケット21、バンドコンタクト22、ソケットキャップ23、ボルト24、ソケットカバー本体25、取付部26、フランジ27、キー溝部28、キー確認用マーク29等を有し、取付部26を介して図示されていない筐体等に取り付けられる。
【0032】
ソケット21は、接続側の端部が略円筒状に形成されたものである。ソケット21の接続側の端部の内周面には、ピン11との接触を確実にするためのバンドコンタクト22が設けられる。ソケット21の接続側の先端には、ソケットキャップ23が設けられる。ソケット21の接続側と逆側の端部はボルト24と連続しており、ボルト24にはナット24aやワッシャー24bを用いて図示されていないブスバー等が取り付けられる。
【0033】
ソケットカバー本体25は、略円筒状の形状を有し、ソケット21の軸方向の周囲に設けられる。ソケットカバー本体25の接続側の端部の内周面は、ソケット21から離れている。ソケット21とソケットカバー本体25との間には、ピンプラグ10のピンカバー本体14が挿入される。
【0034】
また、ソケットカバー本体25の接続側の先端部の外周面には、ピンプラグ10のカバーナット16の雌ねじと螺合する雄ねじが設けられる。
【0035】
さらに、ソケットカバー本体25の外周面に取付部26が設けられる。取付部26は、ねじ等を用いて図示されていない筐体等にレセプタクル20を取り付けるための板状の部材である。
【0036】
ソケットカバー本体25の内周面にはキー溝部28が複数設けられる。このキー溝部28は、ピンプラグ10とレセプタクル20の接続時、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15が嵌合可能な溝である。
【0037】
図4は、図2の線A−Aにおける断面図であり、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の嵌合状態を示す。なお、図4において、ピン11やソケット21等の図示は省略している。
【0038】
図4に示すように、ソケットカバー本体25の内周面には、ピンプラグキー突起部15の一組が嵌るように周方向に180°離間させて2つ設けたキー溝部28の一組を、周方向の角度をずらして28a〜28eの複数組配置する。ピンプラグキー突起部15の一組がキー溝部28のいずれか一組に嵌ることにより周方向の位置決めが行われる。なお、キー溝部28の一組を構成するキー溝部28の数や離間角度等の位置パターンは、ピンプラグキー突起部15の一組の位置パターンと対応するように定めるもので、これに限ることはない。キー溝部28の組の数も上記したものに限ることはない。
【0039】
ソケットカバー本体25の外周面には、キー溝部28とピンプラグキー突起部15の位置合わせを行うためのキー確認用マーク29が形成される。キー確認用マーク29の周方向の位置は、キー溝部28の各組28a〜28eの周方向の位置に対応する。
【0040】
他のパターンのピンプラグキー突起部15の組を有するピンプラグ10と、これに対応するキー溝部28のパターンを有するレセプタクル20によるプラグインコネクタ1を別に用意する場合、一方のコネクタのレセプタクル20のキー溝部28は、他方のコネクタのピンプラグ10のピンプラグキー突起部15が嵌らないように配置される。
接続可能な(ピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンが対応する)ピンプラグ10とレセプタクル20の組合せを他と識別するため、レセプタクル20のソケットカバー本体25の周囲には識別リング60が設けられる。上記の組合せごとに異なる色を設定し、接続可能なピンプラグ10には、識別リング60と同じ色の図示されていない識別カバーを設けることで他と識別しても良い。識別カバーは、例えばカバーキャップ18の接続側と逆側の端部を囲むように設けることができる。
【0041】
そして、本実施形態では、ソケットカバー本体25の外周面にフランジ27が設けられる。フランジ27は、ソケットカバー本体25の先端部の雄ねじより接続側とは逆側に位置する。フランジ27には、接続側に向かって突出するフランジ突起部27aが設けられる。
【0042】
図5(a)はソケットカバー本体25を接続側から見た図である。ソケット21等の図示は省略している。フランジ突起部27aは、カバーナット突起部16aに対応させて、フランジ27の周方向に90°の等間隔で4個設けられる。
【0043】
図5(b)はフランジ突起部27aを示す図である。フランジ突起部27aは、カバーナット突起部16aと同様、フランジ27の接続側の端面27bから垂直に立ち上がる、フランジ27の周方向の一対の側面271と、端面27bに平行な先端面272とを有し、各側面271と先端面272による角部はそれぞれ面取りされ一対の斜面273が形成されている。
【0044】
次に、ピンプラグ10とレセプタクル20の接続について説明する。
ピンプラグ10をレセプタクル20に接続する際には、ピンカバー本体14とソケットカバー本体25の外周面の周方向に配置されているキー確認用マーク19とキー確認用マーク29の位置を合わせることで、ピンプラグキー突起部15の一組がキー溝部28のいずれか一組の位置に合わせられ、ピンプラグキー突起部15をキー溝部28に沿ってガイドさせつつピン11をソケット21の内周面に沿って挿入すると、ピン11がソケット21のバンドコンタクト22に接触し両者間で通電が可能な状態となる。
【0045】
そして、カバーナット16を回転させて内周面の雌ねじをソケットカバー本体25の外周面に設けられた雄ねじと螺合させつつ締め込むと、ピンプラグ10がレセプタクル20に固定され、外れなくなる。
【0046】
図6にカバーナット16の締め込みについて示す。図6(a)に示すカバーナット16とフランジ27が離れた状態から、カバーナット16を周方向に回転させる(回転方向は図6の下方向に対応する)と、カバーナット16は接続側(フランジ27側)に向かって前進し、図6(b)に示すようにカバーナット16とフランジ27が近接する。この時、カバーナット突起部16aとフランジ突起部27aが周方向に近接する。
【0047】
カバーナット16を更に回転させると、図6(c)に示すように、カバーナット16とフランジ27が更に近接するとともに、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える。
【0048】
この際、図7(a)に示すように、まずカバーナット突起部16aの一方の斜面163がフランジ突起部27aの一方の斜面273に接触する。そのままカバーナット16を周方向に回転させる(回転方向は図7の下方向に対応する)と、斜面163と斜面273が接触した状態で、カバーナット突起部16aが斜面273を乗り上がるように移動する。これに伴い、カバーナット突起部16aの近傍では、カバーナット16の端面16bが接続側と逆側に若干後退する。
【0049】
そして、図7(b)に示すようにカバーナット突起部16aがフランジ突起部27aに乗り上がり、カバーナット突起部16aの先端面162とフランジ突起部27aの先端面272同士が接する。
【0050】
さらにカバーナット16を回転させると、図7(c)に示すように、カバーナット突起部16aの他方の斜面163とフランジ突起部27aの他方の斜面273が接触しつつ、カバーナット突起部16aが斜面273を降りるように移動し、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える。
カバーナット突起部16aとフランジ突起部27aはそれぞれ90°の等間隔で4つ設けられているので、全てのカバーナット突起部16aは対応するフランジ突起部27aを同時に乗り越える。
【0051】
作業者は、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越えた感触により、接続に充分な位置までカバーナット16を締め込んだことを知ることができる。
【0052】
図7(d)または図6(d)に示すように、この後作業者はさらにカバーナット16を若干回転させて、カバーナット16の締め込みを完了する。このとき図2に示すようにピンプラグ10に設けた接続完了位置溝17が見える状態となっており、ピンプラグ10とレセプタクル20との接続が完了したことが視覚的にも確認できる。また、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越えていることが側面からも容易に視認できる。
【0053】
以上のようなカバーナット突起部16aやフランジ突起部27aの位置、大きさ、高さ、形状その他は、雄ねじや雌ねじの位置やピッチ等の形状などを考慮し定めることができる。
すなわち、カバーナット突起部16aが、フランジ突起部27aを図7に示したように当接して乗り越えた後、次のフランジ突起部27aに当接する前に、カバーナット16の締め込みが完了するように、カバーナット突起部16aおよびフランジ突起部27aの位置、大きさ、高さ、形状等を決める。
この実施形態では、カバーナット突起部16a、フランジ突起部27aをそれぞれ90度間隔で設けたので、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aに一度当接し乗り越えた後、カバーナット16を90度(詳細には、突起部16a、27aの幅に相当する角度分90度より小さい角度)回転する前にカバーナット16が完全に締め込まれるように、突起部16a、27aの大きさ、高さ、形状等を決める。
例えば、突起部16a、27aの高さ寸法Hは、H=P×α/360°を基準とし、カバーナット16やソケットカバー本体25の材質、突起部16a、27aが当接し乗り越える時の感触等を勘案して調整した寸法とすることが望ましい。ここで、αは、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを図7に示したように当接して乗り越えた後、次のフランジ突起27aに当接するまでに、カバーナット16が回転する角度であり、Pは、カバーナット16およびソケットカバー本体25に設けたねじのピッチである。
【0054】
本実施形態では、ピンプラグ10とレセプタクル20の接続時、カバーナット16を締め込んだ際、締め込みを完了する若干前でカバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える。
このように突起部を設けることにより、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越えた際の感触により、作業者は、接続に充分な位置までカバーナット16を締め込んだことを容易に知ることができる。その後さらに、作業者は、最後に若干カバーナット16を回転し締め込み感を得て作業を正確に完了することができる。カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越えていることは、側面から容易に視認できる。また、カバーナット16の緩みが、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aに係止することにより防止される。
【0055】
また、フランジ突起部27aとカバーナット突起部16aは、それぞれ90°の等間隔で4つ設けられる。従って、4つのカバーナット突起部16aが、対応するフランジ突起部27aを同時に乗り越える。カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える際には、カバーナット16が螺合しつつその端面16bが接続側と逆側に若干後退し、前に戻ろうとする力によりフランジ突起部27aとカバーナット突起部16aに負荷がかかるが、上記の構成により複数の位置で端面16bをバランスよく後退させ、各突起部にかかる負荷を分散させ損傷を防ぐことができる。
【0056】
また、プラグインコネクタ1の接続時には、ピンプラグ10の電線ケーブル40がピンプラグ10の軸外に振られた状態であることもあり、ケーブルに引っ張られたピンプラグ10が若干傾いた状態で接続しなければならない場合もある。
図8(a)はこのようなケースを模式的に示す図で、ピンプラグ10の傾きにより、カバーナット16とフランジ27間の間隔が右側で狭くなっている。なお、図において左右のカバーナット突起部16a、フランジ突起部27aはカバーナット16、フランジ27の周方向の側面が示されており、図の右側ではカバーナット突起部16aがフランジ突起部27aよりも後方にある。
【0057】
上記のケースにおいて、カバーナット16を図8(a)のBで示す方向に回転させると、図8(b)に示すように、右側のカバーナット突起部16aがフランジ突起部27aに乗り上げる際、カバーナット16とフランジ27間の間隔が右側で広がる。このときにカバーナット16およびピンプラグ10に働く力、および前述したピンプラグ10のピンプラグキー突起部15とレセプタクル20のキー溝部28との嵌合によって、ピンプラグ10の傾きが矯正される。
本実施形態のプラグインコネクタ1では、カバーナット突起部16aとフランジ突起部27aを、周方向に90°の等間隔で4つ設けているので、ピンプラグ10が上下左右のいずれに傾いている場合でも、傾き方向のフランジ突起部27aへのカバーナット突起部16aの乗り上げと、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28との嵌合により、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える際に傾きが矯正され、カバーナット16の締め込みを適正に行うことができると共に、ピンプラグ10の傾きも矯正されてピンプラグ10のレセプタクル20への挿入を適正に行うことができる。なお、カバーナット突起部16aやフランジ突起部27aを設ける数は4つに限らず、例えば5つ以上等間隔に設けても、同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、フランジ突起部27aとカバーナット突起部16aは、カバーナット16の回転方向にある一対の側面および先端面と、これら側面と先端面の間に設けた斜面を有する構成であるので、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える際、斜面同士が接した状態でカバーナット突起部16aがフランジ突起部27aに乗り上がることができ、乗り越え時の損傷を回避することができる。また、斜面を両側に有するのでカバーナット16を締め込み方向と逆の方向に回転させ取り外すことも可能であるが、突起部側面はカバーナット16が締め込み方向と逆の方向に回転することによる緩みを防止するための係止壁として機能するので、人為的にでないとカバーナット16を外すことはできない。
【0059】
なお、カバーナット突起部16aを設ける間隔は前記した例に限らず、図9(a)に示すように180°の等間隔で2つ設けてもよい。このとき、カバーナット突起部16aに対応させて、図9(b)に示すようにフランジ突起部27aも180°の等間隔で2つ設けておく。また、カバーナット突起部16aやフランジ突起部27aは1個のみ設けてもよく、複数設ける場合でもカバーナット突起部16aやフランジ突起部27aの位置関係を必ずしも対応させる必要はないが、本実施形態のように、カバーナット突起部16aやフランジ突起部27aを90°の等間隔で4つ設けることにより、上記した効果が得られる。
【0060】
なお、本実施形態のプラグインコネクタ1においては、カバーナット16が他と接触し回転するなどして緩むトラブルを防ぐため、カバーナット16およびフランジ27の周囲に緩み防止用のカバーを遊嵌させつつ取り付けることができる。他と接触した場合でも、緩み防止用のカバーのみが回転し、カバーナット16の緩みを防ぐことが出来る。
【0061】
図10(a)〜(c)は上記の緩み防止用のカバーの一例を示す図である。各(a)〜(c)図において、左図はそれぞれカバー70、80、90を側面から見た図、右図はそれぞれ左図の線C−C、D−D、E−Eにおける断面図である。
図10(a)に示すように、周方向の一端に嵌合突起73を、他端に嵌合穴75を設けた一対の半割円筒体70aでカバーナット16等の周囲を挟んで一方の半割円筒体70aの嵌合突起73を他方の半割体70aの嵌合穴75に嵌め込んで取り付け、緩み防止用のカバー70として用いることができる。カバー70には、取り付け後もカバーナット16を視認可能とするための穴部77が形成されている。
この他、図10(b)に示すように、一端に嵌合突起83を設けた半割円筒体80aと、一端に嵌合穴85を設けた半割円筒体80bの他端同士をヒンジピン82にてヒンジ接続したカバー80を用い、これら一対の半割円筒体80a、80bでカバーナット16等の周囲を包みつつ嵌合突起83を嵌合穴85に嵌め込んで取り付けてもよい。カバー70と同様、カバー80にも穴部87が形成される。
また、図10(c)に示すように、弾性をもつ素材により形成した、略C字状の外周部を有するカバー90を用い、周方向の両端部93を広げつつカバーナット16等の周囲に嵌め込んで取り付けることもできる。カバー70、80と同様、カバー90にも穴部97が形成される。
【0062】
さらに、図11に示すように、レセプタクル20の不使用時には、ゴミの侵入を防止するための蓋としてソケットエンドキャップ100を取り付けることができる。ソケットエンドキャップ100は内周面に雌ねじが形成されるとともに、カバーナット突起部16aと同様にソケットエンドキャップ突起部100aが設けられ、図6、図7と同様の手順によりレセプタクル20に締め込まれる。
【0063】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態のコネクタについて説明する。
図12、図13に示すように、この実施形態のコネクタであるプラグインコネクタ2は雄側コネクタであるピンプラグ10と雌側コネクタであるソケットプラグ30からなり、ピンプラグ10をソケットプラグ30に挿入することで接続される。本実施形態のプラグインコネクタ2は、大電流用のプラグインコネクタであり、電線ケーブル50が接続されたソケットプラグ30にピンプラグ10を接続する、いわゆるインラインタイプのものである。
【0064】
ピンプラグ10については、第1の実施形態と略同一の構成を有するので、図等には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0065】
ソケットプラグ30は、ソケット31、バンドコンタクト32、ソケットキャップ33、ソケットカバー本体34、キー溝部35、カバーキャップ36、キー確認用マーク37、フランジ38等を有する。
【0066】
ソケット31はソケット21と同様であり、バンドコンタクト22やソケットキャップ23と同様のバンドコンタクト32、ソケットキャップ33が設けられる。ただし、ソケット31の接続側と逆側の端部には電線ケーブル50が圧着され接続される。
【0067】
ソケットカバー本体34もソケットカバー本体25と同様であり、キー溝部28やキー確認用マーク29と同様のキー溝部35、キー確認用マーク37が設けられる。ただし、取付部26は省略される。
【0068】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様、ソケットカバー本体34の外周面にフランジ38が設けられ、フランジ38にフランジ突起部38aが設けられる。
【0069】
図14(a)はソケットカバー本体34を接続側からみた図である。ソケット31等の図示は省略している。第1の実施形態と同様、フランジ突起部38aは、フランジ38の周方向に90°の等間隔で4個設けられる。
【0070】
図14(b)はフランジ突起部38aを示す図である。フランジ突起部38aは、前記したフランジ突起部27aと同様、フランジ38の接続側の端面38bから垂直に立ち上がる、フランジ38の周方向の一対の側面381と、端面38bに平行な先端面382とを有し、各側面381と先端面382による角部はそれぞれ面取りされ一対の斜面383が形成されている。
【0071】
カバーキャップ36は、略円筒状の形状を有し、ソケット31の接続側と逆側の端部で、ソケット31および電線ケーブル50の軸方向の周囲に設けられる。
【0072】
ピンプラグ10とソケットプラグ30の接続については、図6や図7等を用いて説明した第1の実施形態と同様の手順で行うことができ、前記した第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、先に述べた緩み防止用のカバーやソケットエンドキャップ100も、第1の実施形態と同様に取り付けることができる。さらに、ソケットプラグ30には、第1の実施形態と同様に、接続可能なピンプラグ10とソケットプラグ30の組み合わせを他と識別するため、図示されていない識別カバーを設けても良い。ソケットプラグ30の識別カバーは、対応するピンプラグ10の識別カバーと同じ色とし、例えばカバーキャップ36の接続側と逆側の端部を囲むように設けることができる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るコネクタ等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、各実施形態では、雄側コネクタであるピンプラグ10にカバーナット16およびカバーナット突起部16aを設け、雌側コネクタであるレセプタクル20やソケットプラグ30にフランジ27、38およびフランジ突起部27a、38aを設けるものとして説明したが、その逆とすることも可能である。
また、各実施形態は、大電流用のプラグインコネクタを用いて説明したが、これに限ることはなく、別の種類のコネクタでも前述のカバーナット16およびカバーナット突起部16a、フランジ27、38およびフランジ突起部27a、38aの構成を適宜用いることが可能である。カバーナット16およびカバーナット突起部16a、フランジ27、38およびフランジ突起部27a、38aの構成以外の各構成も、前述したものに限られることはなく、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0074】
1、2………プラグインコネクタ
10………ピンプラグ
11………ピン
14………ピンカバー本体
15………ピンプラグキー突起部
16………カバーナット
16a………カバーナット突起部
20………レセプタクル
21、31………ソケット
25、34………ソケットカバー本体
27、38………フランジ
27a、38a………フランジ突起部
28、35………キー溝部
30………ソケットプラグ
40、50………電線ケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続の際の作業性が向上し、接続後の緩みも防止できるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置等に電力を供給するケーブル等を接続する際、プラグインコネクタが用いられる場合がある。プラグインコネクタは、例えばケーブルが接続されたピンプラグ等の雄側コネクタをレセプタクルやソケットプラグ等の雌側コネクタに挿入して接続するものである。
【0003】
このようなコネクタにおいて、確実に接続が行われていることは重要である。特許文献1には、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの接続時に、プラグコネクタに設けたカップリングリングを回転させ、カップリングリングの内周面のねじをレセプタクルコネクタのねじに嵌合させて接続を行なうコネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−280369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のコネクタでは、プラグコネクタ側の波形環状ばねのロック用突起がプラグコネクタ側に設けたフランジのロック用凹みに嵌り込み、この際のクリック音と乗り上げ感により嵌合の完了を知ることができる。
【0006】
しかしながら、このコネクタは、ロック用突起がロック用凹みに嵌った時点でカップリングリングの回転が止まるので、作業者は、カップリングリング等の締め込み感を得ることができない。また、ロック用凹み等がカップリングリングの内部に設けられているので、正確に嵌合したことを確認することが難しい。
【0007】
最後の締め込み感は、コネクタの接続作業が最後まで完了したことを作業者が感覚的に納得する上で重要であり、電力供給設備へのケーブル等接続作業を確実なものとする。
さらに、このようなコネクタにおいては、電力供給設備を正常に維持する上で、接続後のカップリングリング等の緩みが防止されることも重要である。
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、接続の際の作業性が向上し、接続後の緩みも防止できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達するための第1の発明は、雄側コネクタと雌側コネクタを接続してなるコネクタであって、雄側コネクタと雌側コネクタの一方に雄ねじとフランジが設けられるとともに、他方に雌ねじを内周面に有するカバーナットが設けられ、前記雄側コネクタと前記雌側コネクタの接続の際、前記カバーナットが、前記雌ねじと前記雄ねじを螺合しつつ締め込まれて前記フランジに向かって進み、前記カバーナットの接続側の端面には接続側に向かって突出するカバーナット突起部が設けられるとともに、前記フランジには接続側に向かって突出するフランジ突起部が設けられ、前記カバーナットの締め込みの際、カバーナットを完全に締め込む前に、前記カバーナット突起部が前記フランジ突起部を乗り越えて、雄側コネクタと雌側コネクタの接続が行われることを特徴とするコネクタである。
【0010】
かかるコネクタでは、カバーナットを回転させることにより雄側コネクタと雌側コネクタを接続するが、このときカバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越える。カバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越えた際の感触により、作業者は、所定の位置までカバーナットを締め込んだ事を容易に知ることができ、さらにその後カバーナットを回転させて締め込むことができ、カバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越えていることは側面から容易に視認できる。また、カバーナットの緩みは、カバーナット突起部がフランジ突起部に係止することにより防止される。
【0011】
前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部の高さと位置は、前記雄側コネクタと前記雌側コネクタの接続の際、前記カバーナットの締め込みを完了する若干前よりで、前記フランジ突起部と前記カバーナット突起部の先端面同士が当接するように形成されることが望ましい。
【0012】
かかるコネクタでは、カバーナットの締め込みを完了する若干前でカバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越える。作業者はその際の感触により接続に充分な位置までカバーナットを回転したことを容易に知ることができるとともに、その後最後に若干カバーナットを回転し締め込み感を得て作業を正確に完了することができる。
【0013】
本発明のコネクタでは、同じ数の複数の前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部が、前記カバーナットと前記フランジの周方向にそれぞれ等間隔で設けられることが望ましい。
【0014】
かかるコネクタでは、複数のカバーナット突起部が、対応するフランジ突起部を同時に乗り越える。カバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越える際には、カバーナットが螺合しつつその端面が接続側と逆側に若干後退し、前に戻ろうとする力によりカバーナット突起部とフランジ突起部に負荷がかかるが、上記の構成とすることで、複数の位置で上記の端面をバランスよく後退させ、各突起部にかかる負荷を分散させ損傷を回避することができる。
【0015】
また、前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部は、カバーナットの回転方向にある一対の側面および先端面と、これら側面と先端面の間に設けた斜面を有することが望ましい。
【0016】
かかるコネクタでは、カバーナット突起部がフランジ突起部を乗り越える際、斜面同士が接した状態でカバーナット突起部がフランジ突起部を乗り上げることができるので、乗り越え時の損傷を回避することができる。また、斜面を両側に有するのでカバーナットを逆回転させ取り外すことも可能である。側面はカバーナットの緩み止めのための係止壁としても機能する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、接続の際の作業性が向上し、接続後の緩みも防止できるコネクタ等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ピンプラグ10とレセプタクル20の接続を示す図
【図2】ピンプラグ10とレセプタクル20を接続したプラグインコネクタ1を示す図
【図3】カバーナット突起部16aについて示す図
【図4】ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の嵌合を示す図
【図5】フランジ突起部27aについて示す図
【図6】カバーナット16の締め込みを示す図
【図7】カバーナット16の締め込み時のカバーナット突起部16aとフランジ突起部27aについて示す図
【図8】ピンプラグ10が傾いている場合のカバーナット16の締め込みを示す図
【図9】カバーナット突起部16aとフランジ突起部27aの別の例を示す図
【図10】緩み防止用のカバーについて示す図
【図11】ソケットエンドキャップ100について示す図
【図12】ピンプラグ10とソケットプラグ30の接続を示す図
【図13】ピンプラグ10とソケットプラグ30を接続したプラグインコネクタ2を示す図
【図14】フランジ突起部38aについて示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明のコネクタ等の実施形態について説明する。まず、第1の実施形態のコネクタについて説明する。
【0020】
図1、図2に示すように、第1の実施形態のコネクタであるプラグインコネクタ1は、雄側コネクタであるピンプラグ10と雌側コネクタであるレセプタクル20からなり、ピンプラグ10をレセプタクル20に挿入することで接続される。本実施形態のプラグインコネクタ1は、大電流用のプラグインコネクタであり、レセプタクル20が図示されていない筐体等に取り付けられる、いわゆるパネルマウントタイプのものである。
【0021】
ピンプラグ10は、ピン11、ピンキャップ12、スプリングピン13、ピンカバー本体14、ピンプラグキー突起部15、カバーナット16、接続完了位置溝17、カバーキャップ18、キー確認用マーク19等を有する。
【0022】
ピン11は一本設けられており、その接続側の端部は略円柱状に形成されている。
なお、接続側とは、ピンプラグ10を構成する各部材についてはピンプラグ10をレセプタクル20に挿入し接続する際にレセプタクル20に向かう側を指し、レセプタクル20を構成する各部材についてはピンプラグ10をレセプタクル20に挿入し接続する際にピンプラグ10に向かう側を指すものとする。ピンプラグ10をソケットプラグ30に挿入し接続するプラグインコネクタの例についても後ほど説明するが、その際の接続側についても同様である。
【0023】
ピン11の接続側の先端には、頭部12aと軸部12bを有するピンキャップ12が、軸部12bをピン11の軸方向に挿入するようにして設けられている。ピンキャップ12は、ピン11の接続側の端部およびピンキャップ12の軸部12bを貫通するように設けられた穴にスプリングピン13を差し込むことによりピン11に固定される。
また、ピン11の接続側と逆側の端部には、電線ケーブル40が圧着され接続される。
【0024】
ピンカバー本体14は、略円筒状の形状を有し、ピン11の軸方向の周囲に設けられる。ピンカバー本体14の接続側の端部の外周面には、ピンプラグキー突起部15が設けられる。
【0025】
ピンプラグキー突起部15は、後述する図4に示すように、ピンカバー本体14の周方向に沿って180°離間して2つ設けられている。これら2個のピンプラグキー突起部15は一組をなしている。ピンプラグキー突起部15の一組を構成するピンプラグキー突起部15の数や離間角度等の位置パターンはこれに限らず、例えば120°離間させた3個、あるいは90°(270°)離間させた2個を一組として設ける場合などもある。
【0026】
また、ピンカバー本体14の外周面には、接続完了位置溝17とキー確認用マーク19が設けられる。接続完了位置溝17は後述するピンプラグ10とレセプタクル20の接続時にカバーナット16の締め込み完了を視認容易とするものである。キー確認用マーク19は、ピンプラグキー突起部15と対応する周方向の位置に設けられ、ピンプラグキー突起部15の位置を視認容易とし接続時の位置合わせを行い易くするものである。
【0027】
カバーナット16は、略円筒状の形状を有し、ピンカバー本体14の周囲に設けられる。カバーナット16の接続側の端部の内周面はピンカバー本体14から離れている。当該内周面には雌ねじが形成されている。カバーナット16の接続側とは反対側の端部には内側に突出する係止部16cが設けられている。この係止部16cは、カバーナット16の締め込みが完了するときにピンカバー本体14の外周に設けたつば部14aに当接するように設けられている。
【0028】
そして、本実施形態では、カバーナット16の接続側の端面に接続側に向かって突出するカバーナット突起部16aが設けられている。
図3(a)はカバーナット16の接続側の端面を示す図である。ピン11等の図示は省略している。本実施形態では、図3(a)に示すように、カバーナット突起部16aは、カバーナット16の周方向に90°の等間隔で4個設けられる。
【0029】
図3(b)はカバーナット突起部16aを示す図である。カバーナット突起部16aは、カバーナット16の接続側の端面16bから垂直に立ち上がる、カバーナット16の周方向の一対の側面161と、端面16bに平行な先端面162とを有し、各側面161と先端面162による角部はそれぞれ面取りされ一対の斜面163が形成されている。
【0030】
カバーキャップ18は、略円筒状の形状を有し、ピン11の接続側と逆側の端部と電線ケーブル40の端部を覆うように設けられる。
【0031】
レセプタクル20は、ソケット21、バンドコンタクト22、ソケットキャップ23、ボルト24、ソケットカバー本体25、取付部26、フランジ27、キー溝部28、キー確認用マーク29等を有し、取付部26を介して図示されていない筐体等に取り付けられる。
【0032】
ソケット21は、接続側の端部が略円筒状に形成されたものである。ソケット21の接続側の端部の内周面には、ピン11との接触を確実にするためのバンドコンタクト22が設けられる。ソケット21の接続側の先端には、ソケットキャップ23が設けられる。ソケット21の接続側と逆側の端部はボルト24と連続しており、ボルト24にはナット24aやワッシャー24bを用いて図示されていないブスバー等が取り付けられる。
【0033】
ソケットカバー本体25は、略円筒状の形状を有し、ソケット21の軸方向の周囲に設けられる。ソケットカバー本体25の接続側の端部の内周面は、ソケット21から離れている。ソケット21とソケットカバー本体25との間には、ピンプラグ10のピンカバー本体14が挿入される。
【0034】
また、ソケットカバー本体25の接続側の先端部の外周面には、ピンプラグ10のカバーナット16の雌ねじと螺合する雄ねじが設けられる。
【0035】
さらに、ソケットカバー本体25の外周面に取付部26が設けられる。取付部26は、ねじ等を用いて図示されていない筐体等にレセプタクル20を取り付けるための板状の部材である。
【0036】
ソケットカバー本体25の内周面にはキー溝部28が複数設けられる。このキー溝部28は、ピンプラグ10とレセプタクル20の接続時、ピンプラグ10のピンプラグキー突起部15が嵌合可能な溝である。
【0037】
図4は、図2の線A−Aにおける断面図であり、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28の嵌合状態を示す。なお、図4において、ピン11やソケット21等の図示は省略している。
【0038】
図4に示すように、ソケットカバー本体25の内周面には、ピンプラグキー突起部15の一組が嵌るように周方向に180°離間させて2つ設けたキー溝部28の一組を、周方向の角度をずらして28a〜28eの複数組配置する。ピンプラグキー突起部15の一組がキー溝部28のいずれか一組に嵌ることにより周方向の位置決めが行われる。なお、キー溝部28の一組を構成するキー溝部28の数や離間角度等の位置パターンは、ピンプラグキー突起部15の一組の位置パターンと対応するように定めるもので、これに限ることはない。キー溝部28の組の数も上記したものに限ることはない。
【0039】
ソケットカバー本体25の外周面には、キー溝部28とピンプラグキー突起部15の位置合わせを行うためのキー確認用マーク29が形成される。キー確認用マーク29の周方向の位置は、キー溝部28の各組28a〜28eの周方向の位置に対応する。
【0040】
他のパターンのピンプラグキー突起部15の組を有するピンプラグ10と、これに対応するキー溝部28のパターンを有するレセプタクル20によるプラグインコネクタ1を別に用意する場合、一方のコネクタのレセプタクル20のキー溝部28は、他方のコネクタのピンプラグ10のピンプラグキー突起部15が嵌らないように配置される。
接続可能な(ピンプラグキー突起部15とキー溝部28のパターンが対応する)ピンプラグ10とレセプタクル20の組合せを他と識別するため、レセプタクル20のソケットカバー本体25の周囲には識別リング60が設けられる。上記の組合せごとに異なる色を設定し、接続可能なピンプラグ10には、識別リング60と同じ色の図示されていない識別カバーを設けることで他と識別しても良い。識別カバーは、例えばカバーキャップ18の接続側と逆側の端部を囲むように設けることができる。
【0041】
そして、本実施形態では、ソケットカバー本体25の外周面にフランジ27が設けられる。フランジ27は、ソケットカバー本体25の先端部の雄ねじより接続側とは逆側に位置する。フランジ27には、接続側に向かって突出するフランジ突起部27aが設けられる。
【0042】
図5(a)はソケットカバー本体25を接続側から見た図である。ソケット21等の図示は省略している。フランジ突起部27aは、カバーナット突起部16aに対応させて、フランジ27の周方向に90°の等間隔で4個設けられる。
【0043】
図5(b)はフランジ突起部27aを示す図である。フランジ突起部27aは、カバーナット突起部16aと同様、フランジ27の接続側の端面27bから垂直に立ち上がる、フランジ27の周方向の一対の側面271と、端面27bに平行な先端面272とを有し、各側面271と先端面272による角部はそれぞれ面取りされ一対の斜面273が形成されている。
【0044】
次に、ピンプラグ10とレセプタクル20の接続について説明する。
ピンプラグ10をレセプタクル20に接続する際には、ピンカバー本体14とソケットカバー本体25の外周面の周方向に配置されているキー確認用マーク19とキー確認用マーク29の位置を合わせることで、ピンプラグキー突起部15の一組がキー溝部28のいずれか一組の位置に合わせられ、ピンプラグキー突起部15をキー溝部28に沿ってガイドさせつつピン11をソケット21の内周面に沿って挿入すると、ピン11がソケット21のバンドコンタクト22に接触し両者間で通電が可能な状態となる。
【0045】
そして、カバーナット16を回転させて内周面の雌ねじをソケットカバー本体25の外周面に設けられた雄ねじと螺合させつつ締め込むと、ピンプラグ10がレセプタクル20に固定され、外れなくなる。
【0046】
図6にカバーナット16の締め込みについて示す。図6(a)に示すカバーナット16とフランジ27が離れた状態から、カバーナット16を周方向に回転させる(回転方向は図6の下方向に対応する)と、カバーナット16は接続側(フランジ27側)に向かって前進し、図6(b)に示すようにカバーナット16とフランジ27が近接する。この時、カバーナット突起部16aとフランジ突起部27aが周方向に近接する。
【0047】
カバーナット16を更に回転させると、図6(c)に示すように、カバーナット16とフランジ27が更に近接するとともに、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える。
【0048】
この際、図7(a)に示すように、まずカバーナット突起部16aの一方の斜面163がフランジ突起部27aの一方の斜面273に接触する。そのままカバーナット16を周方向に回転させる(回転方向は図7の下方向に対応する)と、斜面163と斜面273が接触した状態で、カバーナット突起部16aが斜面273を乗り上がるように移動する。これに伴い、カバーナット突起部16aの近傍では、カバーナット16の端面16bが接続側と逆側に若干後退する。
【0049】
そして、図7(b)に示すようにカバーナット突起部16aがフランジ突起部27aに乗り上がり、カバーナット突起部16aの先端面162とフランジ突起部27aの先端面272同士が接する。
【0050】
さらにカバーナット16を回転させると、図7(c)に示すように、カバーナット突起部16aの他方の斜面163とフランジ突起部27aの他方の斜面273が接触しつつ、カバーナット突起部16aが斜面273を降りるように移動し、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える。
カバーナット突起部16aとフランジ突起部27aはそれぞれ90°の等間隔で4つ設けられているので、全てのカバーナット突起部16aは対応するフランジ突起部27aを同時に乗り越える。
【0051】
作業者は、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越えた感触により、接続に充分な位置までカバーナット16を締め込んだことを知ることができる。
【0052】
図7(d)または図6(d)に示すように、この後作業者はさらにカバーナット16を若干回転させて、カバーナット16の締め込みを完了する。このとき図2に示すようにピンプラグ10に設けた接続完了位置溝17が見える状態となっており、ピンプラグ10とレセプタクル20との接続が完了したことが視覚的にも確認できる。また、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越えていることが側面からも容易に視認できる。
【0053】
以上のようなカバーナット突起部16aやフランジ突起部27aの位置、大きさ、高さ、形状その他は、雄ねじや雌ねじの位置やピッチ等の形状などを考慮し定めることができる。
すなわち、カバーナット突起部16aが、フランジ突起部27aを図7に示したように当接して乗り越えた後、次のフランジ突起部27aに当接する前に、カバーナット16の締め込みが完了するように、カバーナット突起部16aおよびフランジ突起部27aの位置、大きさ、高さ、形状等を決める。
この実施形態では、カバーナット突起部16a、フランジ突起部27aをそれぞれ90度間隔で設けたので、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aに一度当接し乗り越えた後、カバーナット16を90度(詳細には、突起部16a、27aの幅に相当する角度分90度より小さい角度)回転する前にカバーナット16が完全に締め込まれるように、突起部16a、27aの大きさ、高さ、形状等を決める。
例えば、突起部16a、27aの高さ寸法Hは、H=P×α/360°を基準とし、カバーナット16やソケットカバー本体25の材質、突起部16a、27aが当接し乗り越える時の感触等を勘案して調整した寸法とすることが望ましい。ここで、αは、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを図7に示したように当接して乗り越えた後、次のフランジ突起27aに当接するまでに、カバーナット16が回転する角度であり、Pは、カバーナット16およびソケットカバー本体25に設けたねじのピッチである。
【0054】
本実施形態では、ピンプラグ10とレセプタクル20の接続時、カバーナット16を締め込んだ際、締め込みを完了する若干前でカバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える。
このように突起部を設けることにより、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越えた際の感触により、作業者は、接続に充分な位置までカバーナット16を締め込んだことを容易に知ることができる。その後さらに、作業者は、最後に若干カバーナット16を回転し締め込み感を得て作業を正確に完了することができる。カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越えていることは、側面から容易に視認できる。また、カバーナット16の緩みが、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aに係止することにより防止される。
【0055】
また、フランジ突起部27aとカバーナット突起部16aは、それぞれ90°の等間隔で4つ設けられる。従って、4つのカバーナット突起部16aが、対応するフランジ突起部27aを同時に乗り越える。カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える際には、カバーナット16が螺合しつつその端面16bが接続側と逆側に若干後退し、前に戻ろうとする力によりフランジ突起部27aとカバーナット突起部16aに負荷がかかるが、上記の構成により複数の位置で端面16bをバランスよく後退させ、各突起部にかかる負荷を分散させ損傷を防ぐことができる。
【0056】
また、プラグインコネクタ1の接続時には、ピンプラグ10の電線ケーブル40がピンプラグ10の軸外に振られた状態であることもあり、ケーブルに引っ張られたピンプラグ10が若干傾いた状態で接続しなければならない場合もある。
図8(a)はこのようなケースを模式的に示す図で、ピンプラグ10の傾きにより、カバーナット16とフランジ27間の間隔が右側で狭くなっている。なお、図において左右のカバーナット突起部16a、フランジ突起部27aはカバーナット16、フランジ27の周方向の側面が示されており、図の右側ではカバーナット突起部16aがフランジ突起部27aよりも後方にある。
【0057】
上記のケースにおいて、カバーナット16を図8(a)のBで示す方向に回転させると、図8(b)に示すように、右側のカバーナット突起部16aがフランジ突起部27aに乗り上げる際、カバーナット16とフランジ27間の間隔が右側で広がる。このときにカバーナット16およびピンプラグ10に働く力、および前述したピンプラグ10のピンプラグキー突起部15とレセプタクル20のキー溝部28との嵌合によって、ピンプラグ10の傾きが矯正される。
本実施形態のプラグインコネクタ1では、カバーナット突起部16aとフランジ突起部27aを、周方向に90°の等間隔で4つ設けているので、ピンプラグ10が上下左右のいずれに傾いている場合でも、傾き方向のフランジ突起部27aへのカバーナット突起部16aの乗り上げと、ピンプラグキー突起部15とキー溝部28との嵌合により、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える際に傾きが矯正され、カバーナット16の締め込みを適正に行うことができると共に、ピンプラグ10の傾きも矯正されてピンプラグ10のレセプタクル20への挿入を適正に行うことができる。なお、カバーナット突起部16aやフランジ突起部27aを設ける数は4つに限らず、例えば5つ以上等間隔に設けても、同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、フランジ突起部27aとカバーナット突起部16aは、カバーナット16の回転方向にある一対の側面および先端面と、これら側面と先端面の間に設けた斜面を有する構成であるので、カバーナット突起部16aがフランジ突起部27aを乗り越える際、斜面同士が接した状態でカバーナット突起部16aがフランジ突起部27aに乗り上がることができ、乗り越え時の損傷を回避することができる。また、斜面を両側に有するのでカバーナット16を締め込み方向と逆の方向に回転させ取り外すことも可能であるが、突起部側面はカバーナット16が締め込み方向と逆の方向に回転することによる緩みを防止するための係止壁として機能するので、人為的にでないとカバーナット16を外すことはできない。
【0059】
なお、カバーナット突起部16aを設ける間隔は前記した例に限らず、図9(a)に示すように180°の等間隔で2つ設けてもよい。このとき、カバーナット突起部16aに対応させて、図9(b)に示すようにフランジ突起部27aも180°の等間隔で2つ設けておく。また、カバーナット突起部16aやフランジ突起部27aは1個のみ設けてもよく、複数設ける場合でもカバーナット突起部16aやフランジ突起部27aの位置関係を必ずしも対応させる必要はないが、本実施形態のように、カバーナット突起部16aやフランジ突起部27aを90°の等間隔で4つ設けることにより、上記した効果が得られる。
【0060】
なお、本実施形態のプラグインコネクタ1においては、カバーナット16が他と接触し回転するなどして緩むトラブルを防ぐため、カバーナット16およびフランジ27の周囲に緩み防止用のカバーを遊嵌させつつ取り付けることができる。他と接触した場合でも、緩み防止用のカバーのみが回転し、カバーナット16の緩みを防ぐことが出来る。
【0061】
図10(a)〜(c)は上記の緩み防止用のカバーの一例を示す図である。各(a)〜(c)図において、左図はそれぞれカバー70、80、90を側面から見た図、右図はそれぞれ左図の線C−C、D−D、E−Eにおける断面図である。
図10(a)に示すように、周方向の一端に嵌合突起73を、他端に嵌合穴75を設けた一対の半割円筒体70aでカバーナット16等の周囲を挟んで一方の半割円筒体70aの嵌合突起73を他方の半割体70aの嵌合穴75に嵌め込んで取り付け、緩み防止用のカバー70として用いることができる。カバー70には、取り付け後もカバーナット16を視認可能とするための穴部77が形成されている。
この他、図10(b)に示すように、一端に嵌合突起83を設けた半割円筒体80aと、一端に嵌合穴85を設けた半割円筒体80bの他端同士をヒンジピン82にてヒンジ接続したカバー80を用い、これら一対の半割円筒体80a、80bでカバーナット16等の周囲を包みつつ嵌合突起83を嵌合穴85に嵌め込んで取り付けてもよい。カバー70と同様、カバー80にも穴部87が形成される。
また、図10(c)に示すように、弾性をもつ素材により形成した、略C字状の外周部を有するカバー90を用い、周方向の両端部93を広げつつカバーナット16等の周囲に嵌め込んで取り付けることもできる。カバー70、80と同様、カバー90にも穴部97が形成される。
【0062】
さらに、図11に示すように、レセプタクル20の不使用時には、ゴミの侵入を防止するための蓋としてソケットエンドキャップ100を取り付けることができる。ソケットエンドキャップ100は内周面に雌ねじが形成されるとともに、カバーナット突起部16aと同様にソケットエンドキャップ突起部100aが設けられ、図6、図7と同様の手順によりレセプタクル20に締め込まれる。
【0063】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態のコネクタについて説明する。
図12、図13に示すように、この実施形態のコネクタであるプラグインコネクタ2は雄側コネクタであるピンプラグ10と雌側コネクタであるソケットプラグ30からなり、ピンプラグ10をソケットプラグ30に挿入することで接続される。本実施形態のプラグインコネクタ2は、大電流用のプラグインコネクタであり、電線ケーブル50が接続されたソケットプラグ30にピンプラグ10を接続する、いわゆるインラインタイプのものである。
【0064】
ピンプラグ10については、第1の実施形態と略同一の構成を有するので、図等には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0065】
ソケットプラグ30は、ソケット31、バンドコンタクト32、ソケットキャップ33、ソケットカバー本体34、キー溝部35、カバーキャップ36、キー確認用マーク37、フランジ38等を有する。
【0066】
ソケット31はソケット21と同様であり、バンドコンタクト22やソケットキャップ23と同様のバンドコンタクト32、ソケットキャップ33が設けられる。ただし、ソケット31の接続側と逆側の端部には電線ケーブル50が圧着され接続される。
【0067】
ソケットカバー本体34もソケットカバー本体25と同様であり、キー溝部28やキー確認用マーク29と同様のキー溝部35、キー確認用マーク37が設けられる。ただし、取付部26は省略される。
【0068】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様、ソケットカバー本体34の外周面にフランジ38が設けられ、フランジ38にフランジ突起部38aが設けられる。
【0069】
図14(a)はソケットカバー本体34を接続側からみた図である。ソケット31等の図示は省略している。第1の実施形態と同様、フランジ突起部38aは、フランジ38の周方向に90°の等間隔で4個設けられる。
【0070】
図14(b)はフランジ突起部38aを示す図である。フランジ突起部38aは、前記したフランジ突起部27aと同様、フランジ38の接続側の端面38bから垂直に立ち上がる、フランジ38の周方向の一対の側面381と、端面38bに平行な先端面382とを有し、各側面381と先端面382による角部はそれぞれ面取りされ一対の斜面383が形成されている。
【0071】
カバーキャップ36は、略円筒状の形状を有し、ソケット31の接続側と逆側の端部で、ソケット31および電線ケーブル50の軸方向の周囲に設けられる。
【0072】
ピンプラグ10とソケットプラグ30の接続については、図6や図7等を用いて説明した第1の実施形態と同様の手順で行うことができ、前記した第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、先に述べた緩み防止用のカバーやソケットエンドキャップ100も、第1の実施形態と同様に取り付けることができる。さらに、ソケットプラグ30には、第1の実施形態と同様に、接続可能なピンプラグ10とソケットプラグ30の組み合わせを他と識別するため、図示されていない識別カバーを設けても良い。ソケットプラグ30の識別カバーは、対応するピンプラグ10の識別カバーと同じ色とし、例えばカバーキャップ36の接続側と逆側の端部を囲むように設けることができる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るコネクタ等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、各実施形態では、雄側コネクタであるピンプラグ10にカバーナット16およびカバーナット突起部16aを設け、雌側コネクタであるレセプタクル20やソケットプラグ30にフランジ27、38およびフランジ突起部27a、38aを設けるものとして説明したが、その逆とすることも可能である。
また、各実施形態は、大電流用のプラグインコネクタを用いて説明したが、これに限ることはなく、別の種類のコネクタでも前述のカバーナット16およびカバーナット突起部16a、フランジ27、38およびフランジ突起部27a、38aの構成を適宜用いることが可能である。カバーナット16およびカバーナット突起部16a、フランジ27、38およびフランジ突起部27a、38aの構成以外の各構成も、前述したものに限られることはなく、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0074】
1、2………プラグインコネクタ
10………ピンプラグ
11………ピン
14………ピンカバー本体
15………ピンプラグキー突起部
16………カバーナット
16a………カバーナット突起部
20………レセプタクル
21、31………ソケット
25、34………ソケットカバー本体
27、38………フランジ
27a、38a………フランジ突起部
28、35………キー溝部
30………ソケットプラグ
40、50………電線ケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄側コネクタと雌側コネクタを接続してなるコネクタであって、
雄側コネクタと雌側コネクタの一方に雄ねじとフランジが設けられるとともに、他方に雌ねじを内周面に有するカバーナットが設けられ、前記雄側コネクタと前記雌側コネクタの接続の際、前記カバーナットが、前記雌ねじと前記雄ねじを螺合しつつ締め込まれて前記フランジに向かって進み、
前記カバーナットの接続側の端面には接続側に向かって突出するカバーナット突起部が設けられるとともに、前記フランジには接続側に向かって突出するフランジ突起部が設けられ、前記カバーナットの締め込みの際、カバーナットを完全に締め込む前に、前記カバーナット突起部が前記フランジ突起部を乗り越えて、雄側コネクタと雌側コネクタの接続が行われることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部の高さと位置は、前記雄側コネクタと前記雌側コネクタの接続の際、前記カバーナットの締め込みを完了する若干前で、前記フランジ突起部と前記カバーナット突起部の先端面同士が当接するように形成されることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
同じ数の複数の前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部が、前記カバーナットと前記フランジの周方向にそれぞれ等間隔で設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部は、カバーナットの回転方向にある一対の側面および先端面と、これら側面と先端面の間に設けた斜面を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項1】
雄側コネクタと雌側コネクタを接続してなるコネクタであって、
雄側コネクタと雌側コネクタの一方に雄ねじとフランジが設けられるとともに、他方に雌ねじを内周面に有するカバーナットが設けられ、前記雄側コネクタと前記雌側コネクタの接続の際、前記カバーナットが、前記雌ねじと前記雄ねじを螺合しつつ締め込まれて前記フランジに向かって進み、
前記カバーナットの接続側の端面には接続側に向かって突出するカバーナット突起部が設けられるとともに、前記フランジには接続側に向かって突出するフランジ突起部が設けられ、前記カバーナットの締め込みの際、カバーナットを完全に締め込む前に、前記カバーナット突起部が前記フランジ突起部を乗り越えて、雄側コネクタと雌側コネクタの接続が行われることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部の高さと位置は、前記雄側コネクタと前記雌側コネクタの接続の際、前記カバーナットの締め込みを完了する若干前で、前記フランジ突起部と前記カバーナット突起部の先端面同士が当接するように形成されることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
同じ数の複数の前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部が、前記カバーナットと前記フランジの周方向にそれぞれ等間隔で設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記カバーナット突起部と前記フランジ突起部は、カバーナットの回転方向にある一対の側面および先端面と、これら側面と先端面の間に設けた斜面を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−178250(P2012−178250A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39767(P2011−39767)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(508125184)古河パワーコンポーネンツ株式会社 (6)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(508125184)古河パワーコンポーネンツ株式会社 (6)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】
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