説明

コネクタ

【課題】固定部に対して可動部が開位置と閉位置との間において変位自在となるように取り付けられたタイプのコネクタであって、電磁波や静電気に対するシールド性を高めたコネクタを提供すること。
【解決手段】回動部300は、これを覆うシールドにより形成され回動部300の回動方向に平行な方向に延びる係合面322と、係合面322に形成された係合孔324と、を有する。固定部200は、これを覆うシールドにより形成され、回動部300の係合面322と係合する係合片270を有する。係合片270は、開位置にある回動部300の係合面322に当接することにより、固定部200のシールドと回動部300のシールドとを電気的に接続する。係合片270は、係合面322に形成された係合孔324に係合することにより、回動部300を閉位置において静止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、固定部及びこの固定部に変位自在に取り付けられた可動部の2つのハウジング部を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
固定部及びこの固定部に回動自在に取り付けられた回動部の2つのハウジング部を備えた従来技術に係るコネクタとして、米国特許第7,244,129号(特許文献1)に開示されたものが知られている。
【0003】
図25は、回動部が開位置に位置した状態における従来技術に係るコネクタを示す斜視図である。図26は、回動部が閉位置に位置した状態における従来技術に係るコネクタを示す斜視図である。
コネクタ10は、シャシー12に固定された固定部14と、シャシー12に対して回動自在に取り付けられた回動部(フレーム)16と、を含む。固定部14は、回動部16に対向する面の上に固定された複数の端子14aを有する。回動部16は、その長手方向に延びる回動軸の周りに矢印Aに示す方向に回動する。この回動部16には、固定部14に対向する位置に相手コネクタ(図示せず)を受け入れるための凹部16aが形成されている。
【0004】
コネクタ10に相手コネクタを接続するときには、回動部16が固定部14から離れる方向に回動させられ図25に示す開位置に移動する。この状態において、回動部16に形成された凹部16aに相手コネクタが挿入される。挿入された相手コネクタの端子(図示せず)は、固定部14に形成された端子14aに接続される。
一方、コネクタ10を使用しないときには、回動部16が固定部14に近づく方向に回動させられ図26に示す閉位置に移動する。これにより、固定部14と回動部16とが折りたたまれ、コネクタ10全体により占められるスペースが縮小する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,244,129号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術に係るコネクタにあっては、電磁波や静電気に配慮した対策がほとんどなされていないため、相手コネクタとの間において信号を正確かつ高速に伝達することが困難である。この問題は、高周波信号を伝達する際に特に顕著となる。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、固定部に対して可動部が開位置と閉位置との間において変位自在となるように設けられたタイプのコネクタであって、電磁波や静電気に対するシールド性を高めたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様に係るコネクタは、端子を収容する収容領域を有し、導電性のシールドにより覆われた第1のハウジングであって、前記シールドにより形成された第1係合部を有する第1のハウジングと、導電性のシールドにより覆われ、前記第1のハウジングの前記収容領域を閉じる閉位置と該収容領域を開放する開位置との間において変位自在となるように設けられた第2のハウジングであって、前記シールドにより形成された第2係合部を有する第2のハウジングと、を具備し、前記第2のハウジングが前記閉位置にあるときに、前記第1のハウジングの前記第1係合部と前記第2のハウジングの前記第2係合部とが係合し、前記第2のハウジングが前記開位置にあるときに、前記第1のハウジングの前記第1係合部と前記第2のハウジングの前記第2係合部とが接触する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の別の態様に係るコネクタは、端子を収容する収容領域を有し、導電性のシールドにより覆われた第1のハウジングと、該第1のハウジングの前記収容領域を閉じる閉位置と該収容領域を開放する開位置との間において変位自在となるように設けられ、導電性のシールドにより覆われた第2のハウジングと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、固定部に対して可動部が開位置と閉位置との間において変位自在となるように取り付けられたタイプのコネクタにおいて、可動部及び固定部に対してこれらの外面を少なくとも部分的に覆うシールドを形成することにより、電磁波や静電気に対するシールド性を高めたコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、基板に取り付けられた本発明の実施の形態に係るコネクタであって回動部が開位置に位置している状態におけるコネクタを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したコネクタを示す側面図である。
【図3】図3は、図1に示したコネクタを示す底面図である。
【図4】図4は、図1に示したコネクタであって回動部が閉位置に位置している状態におけるコネクタを示す斜視図である。
【図5】図5は、図1に示したコネクタ100における回動部300の構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5に示した回動部300を示す側面図である。
【図7】図7は、図5に示した回動部300を示す背面図である。
【図8】図8は、図1に示したコネクタ100における固定部200の構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8に示した固定部200を示す上面図である。
【図10】図10は、図8に示した固定部200を示す側面図である。
【図11】図11は、図1に示したコネクタ100における開位置に位置する回動部300を覆うシールド320及び固定部200を覆うシールド260の構成のみを取り出して概念的に示した斜視図である。
【図12】図12は、図11に示したシールド320及びシールド260を示す側面図である。
【図13】図13は、図11に示したシールド320及びシールド260を示す底面図である。
【図14】図14は、図13のB−B線断面図である。
【図15】図15は、図11に示したシールド320及びシールド260を示す背面図である。
【図16】図16は、図1に示したコネクタ100における閉位置に位置する回動部300を覆うシールド320及び固定部200を覆うシールド260の構成のみを取り出して概念的に示した斜視図である。
【図17】図17は、図1に示したコネクタ100であって回動部300が開位置に位置している状態におけるコネクタ100を示す斜視図である。
【図18】図18は、図17に示したコネクタ100を示す側面図である。
【図19】図19は、図17に示したコネクタ100を示す底面図である。
【図20】図20は、図19のA−A線断面図である。
【図21】図21は、図1に示したコネクタ100であって回動部300が閉位置に位置している状態におけるコネクタ100を示す斜視図である。
【図22】図22は、図21に示したコネクタ100を示す側面図である。
【図23】図23は、図1に示したコネクタ100を示す底面図である。
【図24】図24は、図23のA−A線断面図である。
【図25】図25は、回動部が開位置に位置した状態における従来技術に係るコネクタを示す斜視図である。
【図26】図26は、回動部が閉位置に位置した状態における従来技術に係るコネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るコネクタについて添付図面を参照して説明する。なお、図面における同一の構成要素に対しては同一の参照符号が付されている。
【0013】
1.概要
以下、固定部に対して可動部が開位置と閉位置との間において変位自在となるように設けられたタイプのコネクタとして、固定部に対して回動部(可動部)が開位置と閉位置との間において「回動自在」となるように設けられたコネクタを一例として挙げて説明する。
図1は、基板に取り付けられた本発明の実施の形態に係るコネクタであって回動部が開位置に位置している状態におけるコネクタを示す斜視図である。図2は、図1に示したコネクタを示す側面図である。図3は、図1に示したコネクタを示す底面図である。図4は、図1に示したコネクタであって回動部が閉位置に位置している状態におけるコネクタを示す斜視図である。
【0014】
本実施の形態に係るコネクタ100は、主に、基板Sに固定される固定部200(第1のハウジング)、及び、固定部200に回動自在となるように取り付けられた回動部300(第2のハウジング)の2つのハウジング部により構成される。
固定部200には、複数の端子202を収容する収容領域Rが形成されている。これらの端子202は、固定部200の収容領域Rの内部から固定部200の外部にまで延びている。すなわち、各端子202は、その一端が収容領域R内に位置し、その他端が基板Sに設けられた対応する貫通穴S1を通って基板Sに半田付けされるものとされている。
【0015】
コネクタ100に相手コネクタ(図示せず)が接続されるときには、回動部300が固定部200から離れる方向(以下「正転方向」という。)に回動させられ図1に示す開位置に位置することにより、固定部200の収容領域Rに嵌合口OPを介して相手コネクタが挿入される。この状態において、相手コネクタの端子(図示せず)が固定部200の収容領域Rに配置された対応する端子202と電気的に接続される。その際には収容領域Rに延びるシールド片266が相手コネクタのシールドに接触する。
一方、コネクタ100が使用されないときには、回動部300が、固定部200に近づく方向(以下「逆転方向」という。)に回動させられ図4に示す閉位置に位置してロックされる。
【0016】
2.コネクタ100の具体的な構成
2−1.回動部300の構成
次に、回動部300の構成について、図5〜図7を参照して説明する。
図5は、図1に示したコネクタ100における回動部300の構成を示す斜視図である。図6は、図5に示した回動部300を示す側面図である。図7は、図5に示した回動部300を示す背面図である。
【0017】
回動部300は、主に、板状のベース部302と、ベース部302の前端に傾斜した連絡部304を介して設けられた前壁部306と、ベース部302の後端に結合された回動形成部308と、ベース部302の両端に結合された側壁部310と、により形成されている。各部は、好ましくは絶縁材料により形成されている。
【0018】
前壁部306は、回動部300が(図4に示した)閉位置に位置したときに固定部200の嵌合口OPを覆う形状となるように形成されている。なお、本実施の形態では、一例として、前壁部306の中央部分には切り欠き306aが形成されている。回動部300が閉位置に位置するときに、作業者が切り欠き306aに指を挿入して回動部300を正転方向に容易に回動させることができるし、相手コネクタがロック操作片を有する場合には、該切り欠きを通じで該ロック操作片を逃がすことが出来る。
前壁部306とベース部302との間は、両者に対して例えば略45度の角度だけ傾斜して延びる板状の連絡部304によって結合されている。
【0019】
回動形成部308は、主に、回動部300の長手方向に沿って延びる回動軸308aと、後述する固定部200の停止面242と当接してそれ以上の正転方向への回動を阻止する(これにより、回動部300の開位置を定める)停止面308bと、により構成される。
【0020】
側壁部310は、回動部の回動方向(変位方向)に平行な方向に延びる板状の絶縁材料により形成されている。
【0021】
また、回動部300の外面は、少なくとも部分的にシールド320により覆われている。具体的には、ベース部302、連絡部304、前壁部306及び側壁部310の各々の外面は、少なくとも部分的にシールド320により覆われている。回動部300に対するシールド320の取り付けを容易にするために、回動部300においてシールド320により覆われる部分は、その部分に隣接する部分に対して窪んだ凹部として形成されている。この凹部の形状と一致するようにシールド320の形状が形成されている。これにより、回動部300にシールド320を容易に取り付けることができる。
【0022】
シールド320は、導電性の材料により板状に形成されている。
特に、シールド320のうち側壁部310の外面を覆う部分322は、後述する固定部200の係合片270と係合する係合面322として機能する。さらに、この係合面322には、後述する固定部200の係合片270と係合する係合孔324が形成されている。
【0023】
2−2.固定部200の構成
次に、固定部200の構成について、図8〜図10を参照して説明する。
図8は、図1に示したコネクタ100における固定部200の構成を示す斜視図である。図9は、図8に示した固定部200を示す上面図である。図10は、図8に示した固定部200を示す側面図である。
【0024】
固定部200は、大まかにいえば、全体として略直方体形状を有する絶縁材料の中央部分に、略直方体形状を有する凹部すなわち上述した収容領域Rが形成された形状を有するベース部210により構成される。換言すれば、ベース部210は、側壁部220、230と、後壁部240と、底壁部250と、により形成され、各部によって囲まれた凹部すなわち収容領域Rを有するものである。
【0025】
収容領域Rの内部には、上述したように複数の端子202が配置されている。これらの端子202は、後壁部240を貫通して収容領域Rの外部にまで延びている。
【0026】
側壁部220は、その後端付近において、回動部300の回動軸308aを回動自在に支持する回動支持部222を形成している。回動支持部222は、回動部300の回動軸308aの外周面に当接する回動支持面222aと、回動部300の回動軸308aを回動支持面222aに向かう方向に付勢された金属バネ222bと、により構成される。また、回動支持面222aの上方には、この回動支持面222aに連続的に繋がり、前方に向かって上昇する案内面222cが形成されている。
側壁部230もまた側壁部220と同様の構成を有する。
【0027】
これにより、回動部300の回動軸308aを側壁部220の案内面222c(側壁部230の案内面232c)に当接させた状態で回動部300を下方に押圧することにより、回動軸308aが、金属バネ222b(金属バネ232b)を案内面222c(案内面232c)から離れる方向に押し広げ、金属バネ222b(金属バネ232b)と案内面222c(案内面232c)との間を通って下降し、その下方にある回動支持面222a(回動支持面232a)と当接する。この状態では、押し広げられていた金属バネ222b(金属バネ232b)は、回動支持面222a(回動支持面232a)に向かう方向に付勢されるように構成されていることにより、回動軸308aを回動支持面222a(回動支持面232a)に向かう方向に押圧する。これにより、回動軸308aは、回動支持面222a(回動支持面232a)と金属バネ222b(金属バネ232b)との間に挟まれた状態で回動することができる。
なお、このように回動軸308aが支持された状態において、回動部300を上方に移動させれば、回動部300を固定部200から取り外すこともできる。
【0028】
また、側壁部220及び側壁部230には、それぞれ、回動部300の対応する側壁部310を収容可能な収容領域224及び収容領域234が形成されている。これらの収容領域224、234は、回動部300の回動方向(変位方向)に平行な方向に後方から前方に向けて延びる溝状に延びる空間として形成されている。これにより、側壁部220における収容領域224を囲む内壁224a(側壁部230における収容領域234を囲む内壁234a)は、回動部300の対応する側壁部310を覆うシールド320の係合面322に対向することになる。溝状の収容領域224及び234に側壁部310を収容し、回動可能とすることで、回動部材を有するコネクタであっても相手コネクタの側壁方向のこじりに対して強度を保つことが出来る。
【0029】
また、後壁部240の両端には、回動部300における対応する回動形成部308の停止面308bと当接する停止面242が形成されている。これらの停止面242は、回動部300の停止面308bと当接することにより、それ以上の正転方向における回動部300の回動を阻止する。これにより、停止面242は、回動部300の開位置を定めるように機能する。
【0030】
さらにまた、固定部200のベース部210の側面及び底面は、少なくとも部分的にシールド260により覆われている。具体的には、ベース部210における側壁部220、230、後壁部240及び底壁部250の側面及び底面は、少なくとも部分的にシールド260により覆われている。
【0031】
2−3.シールド320及びシールド260の具体的な構成
次に、上述した回動部300を覆うシールド320及び固定部200を覆うシールド260に関連したさらに具体的な構成について、さらに図11〜図16を参照して説明する。
図11は、図1に示したコネクタ100における開位置に位置する回動部300を覆うシールド320及び固定部200を覆うシールド260の構成のみを取り出して概念的に示した斜視図である。図12は、図11に示したシールド320及びシールド260を示す側面図である。図13は、図11に示したシールド320及びシールド260を示す底面図である。図14は、図13のB−B線断面図である。図15は、図11に示したシールド320及びシールド260を示す背面図である。図16は、図1に示したコネクタ100における閉位置に位置する回動部300を覆うシールド320及び固定部200を覆うシールド260の構成のみを取り出して概念的に示した斜視図である。
【0032】
まず、回動部300を覆うシールド320に着目すると、シールド320における回動部300の前壁部306を覆う部分326には、略L字状の断面形状を有する埋没部326aが形成されている。この埋没部326aの形状に合致するように、回動部300の前壁部306には、挿入孔(図示せず)が形成されている。この埋没部326aを前壁部306の挿入孔に挿入することにより、シールド320を回動部300に簡単に固定することができる。
【0033】
また、シールド320における回動部300の前壁部306を覆う部分には、例えば埋没部326aの隣に切り欠き326bが形成されている。この切り欠き326bは、埋没部326aの折り曲げ形状を正確に形成するために設けられている。
可動部300の側壁部310を覆うシールド320の係合面322には逆U字状の切り欠きによって係止部323が設けられており、該係止部を折り曲げ変形されることで、可動部300とシールド320の一体化が行なわれる。
【0034】
図11〜図16から明らかなように、シールド320は、1枚の金属板を折り曲げることにより形成されたものである。これは、シールド320が容易に製造することができるものであることを意味する。
【0035】
次に、固定部200を覆うシールド260に着目すると、シールド260における側壁部220の側面を覆う部分262には、略U字状の切り込みが施され、このU字状部分262aが内側に位置するように曲げられている。このU字状部分262aの形状に合致するように、固定部200の側壁部220の側面には、このU字状部分262aを受け入れる挿入孔(図示せず)が形成されている。このU字状部分262aを側壁部220の挿入孔に挿入することにより、シールド260を固定部200に簡単に固定することができる。
部分262に形成されたものと同様のU字状部分が、シールド260における側壁部230の側面を覆う部分263、及び、シールド260における後壁部240の側面を覆う部分264にも形成されている。
【0036】
さらに、シールド260は、回動部300を覆うシールド320の係合面322に対向して配置され、係合面322に向かう方向に付勢されることにより、係合面322を押圧する係合片270を含む。係合片270は、図12にその全体が表現されているように、主に、例えば、固定部200のハウジングに固定される固定部272と、固定部272に連続的に結合した中間部274と、中間部274に連続的に結合され、略へ字状に湾曲した接触部276と、により実現することができるものである。
【0037】
特に中間部274が内側に(すなわち係合面322に)向かって湾曲させられていることにより、接触部276は、常に係合面322を押圧するように係合面322に当接している。よって、回動部300が図11に示すように開位置にあるときには、係合片270の接触部276は、係合面322に当接している。これにより、シールド320とシールド260とが電気的に接続される。
【0038】
この状態から回動部300が逆転方向に回動すると、係合片270の接触部276は、係合面322を押圧しつつ係合面322の上を摺動する。回動部300が逆転方向に回動し続けると、係合片270の接触部276は、図16に示すように、係合面322に形成された係合孔324に係合する。これにより、回動部300は、同図に示す閉位置において静止させられる(ロックされる)。この後、ある一定以上の力により回動部300が正転方向に回転させられると、係合片270の接触部276と係合面322の係合孔324との係合が解除される。これにより、接触部276は、回動部300の回動に伴って、係合面322の上を摺動する。
【0039】
以上のように形成されたシールド260もまた、シールド320と同様に、1枚の金属板を折り曲げることにより形成されたものである。これは、シールド260が容易に製造することができるものであることを意味する。
【0040】
次に、シールド260に含まれた係合片270が固定部200のベース部210とどのように組み合わせられるのかについて、その一例をさらに図17〜図24を参照して説明する。
【0041】
図17は、図1に示したコネクタ100であって回動部300が開位置に位置している状態におけるコネクタ100を示す斜視図である。図18は、図17に示したコネクタ100を示す側面図である。図19は、図17に示したコネクタ100を示す底面図である。図20は、図19のA−A線断面図である。
【0042】
図21は、図1に示したコネクタ100であって回動部300が閉位置に位置している状態におけるコネクタ100を示す斜視図である。図22は、図21に示したコネクタ100を示す側面図である。図23は、図1に示したコネクタ100を示す底面図である。図24は、図23のA−A線断面図である。
【0043】
特に、先に用いた図9、図19、図20、図23及び図24を参照すると、側壁部220における収容領域224の内壁224a側には、係合片270を収容する収容領域224bが形成されている。同様に、側壁部230における収容領域234の内壁234a側にも、係合片270を収容する収容領域234bが形成されている。これら収容領域224b及び収容領域234bは、鉛直方向に延びて形成されており、それぞれ、側壁部220及び側壁部230を貫通している。
さらに、収容領域224b及び収容領域234bには、それぞれ、鉛直方向に延びる幅広の切り込み224c及び切り込み234bが形成されている。これらの切り込み224c及び切り込み234bもまた、それぞれ、側壁部220及び側壁部230を貫通している。
【0044】
このような構成を有する側壁部220(側壁部230)に対して、図12に示した係合片270が側壁部220(側壁部230)の底面から挿入される。係合片270のうち固定部272は、その奥行き方向における長さが収容領域224c(収容領域234c)の奥行き方向における長さよりも僅かに大きい程度であるため、図20及び図24に示すように、収容領域224c(収容領域234c)内に固定される。係合片270のうち接触部276及び中間部274は、その奥行き方向における長さが収容領域224c(収容領域234c)の奥行き方向における長さよりも小さいため、図20及び図24に示すように、収容領域224b(収容領域234b)の内部において(図20及び図24において水平方向に)弾性変形することができる。
【0045】
これにより、回動部300が図20に示すように開位置に位置しているときには、係合片270の接触部276は、回動部300の係合面322を押圧し、回動部300が図24に示すように閉位置に位置しているときには、係合片270の接触部276は、回動部300の係合面322に形成された係合孔324と係合することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、一例として回動部(可動部)が開位置と閉位置との間において固定部に回動自在となるように設けられた場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、可動部が開位置と閉位置との間において固定部に変位自在となるように設けられたコネクタに適用することが可能なものである。本発明において「可動部が変位自在となるように固定部に設けられる」という概念には、例えば「可動部が、回動自在、スライド自在、着脱自在等となるように固定部に設けられる」という概念も含まれる。この場合、係合片と係合する(シールドにより形成された)係合面は、一例として、可動部が変位する方向に平行な方向に延びるように設けることができる。
また、本実施の形態では、固定部を覆うシールドに係合片が設けられ、可動部を覆うシールドに、係合面及びこの係合面上に形成された被係合部(例えば係合孔)が設けられる場合について説明したが、可動部を覆うシールドに係合片が設けられ、固定部を覆うシールドに係合面及び被係合部が設けられるようにしてもよい。
【0047】
このように、本発明に係るコネクタでは、固定部(第1のハウジング)及び可動部(第2のハウジング)のそれぞれの外面が少なくとも部分的にシールドにより覆われる。さらに、固定部を覆うシールドには第1係合部が形成され、可動部を覆うシールドには第2係合部が形成される。これら第1係合部と第2係合部とが係合することにより、可動部を閉位置において静止させる(ロックする)ことができ、開位置では、これら第1係合部と第2係合部とが弾性接触することにより、可動部を覆うシールドと固定部を覆うシールドとを電気的に接続することもできる。これを実現するための1つの実施の形態では、第1係合部及び第2係合部のうちの一方が、係合片として形成され、それらのうちの他方が、可動部の変位方向に平行な方向に延びる係合面と該係合面上に形成された被係合部とを含むものとして形成される。この実施の形態では、係合片と被係合部とが係合することにより、可動部は閉位置にロックされ、係合片が係合面上で位置すること(可動部が例えば開位置にあるとき)により、可動部を覆うシールドと固定部を覆うシールドとが電気的に接続される。これにより、電磁波や静電気に対するシールド性を高めたコネクタを提供することができる。
【符号の説明】
【0048】
S 基板
R 収容領域
P 嵌合口
100 コネクタ
200 固定部
210 ベース部
220、230 側壁部
224、234 収容領域
224b、234b 収容領域
224c、234c 切り込み
240 後壁部
250 底壁部
260 シールド
270 係合片
272 固定部
274 中間部
276 接触部
300 回動部(可動部)
308 回動形成部
308a 回動軸
308b 停止面
310 側壁部
320 シールド
322 係合面
324 係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を収容する収容領域を有し、導電性のシールドにより覆われた第1のハウジングであって、前記シールドにより形成された第1係合部を有する第1のハウジングと、
導電性のシールドにより覆われ、前記第1のハウジングの前記収容領域を閉じる閉位置と該収容領域を開放する開位置との間において変位自在となるように設けられた第2のハウジングであって、前記シールドにより形成された第2係合部を有する第2のハウジングと、
を具備し、
前記第2のハウジングが前記閉位置にあるときに、前記第1のハウジングの前記第1係合部と前記第2のハウジングの前記第2係合部とが係合し、
前記第2のハウジングが前記開位置にあるときに、前記第1のハウジングの前記第1係合部と前記第2のハウジングの前記第2係合部とが接触する、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第1係合部及び前記第2係合部のうちの一方が、係合片を含み、
前記第1係合部及び前記第2係合部のうちの他方が、前記第2のハウジングの変位方向に平行な方向に延びる係合面と該係合面上に形成された被係合部とを含む、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記係合片が前記被係合部と係合することにより、前記第2のハウジングを前記閉位置において静止させ、
前記係合片が前記係合面と接触することにより、前記第1のハウジングを覆う前記シールドと前記開位置にある前記第2のハウジングを覆う前記シールドとを電気的に接続する、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
端子を収容する収容領域を有し、導電性のシールドにより覆われた第1のハウジングと、
該第1のハウジングの前記収容領域を閉じる閉位置と該収容領域を開放する開位置との間において変位自在となるように設けられ、導電性のシールドにより覆われた第2のハウジングと、
を具備することを特徴とするコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2012−54187(P2012−54187A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197714(P2010−197714)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】