説明

コネクタ

【課題】隣接して配置されるコンタクト間のインピーダンス不整合を抑制する基板接続用のコネクタを提供する。
【解決手段】プリント基板に固定され、該固定ハウジングを貫通する開口部が形成される固定ハウジング、固定ハウジングの開口部内に配置され、固定ハウジングに対して浮動可能に設けられている浮動ハウジング、固定ハウジングと浮動ハウジングとの間に架設され、列状に配列される複数のコンタクトを備え、コンタクトは、接続対象物と電気的に接続される接点部、プリント基板に固定される端子部、固定ハウジングと浮動ハウジングとの間に形成される空間内に配置される変形部を有し、コンタクトの変形部は、第1ばね部、第2ばね部、および反転部を含み、反転部に保持され、反転部および隣接する反転部との間を隔てる隔壁部材をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の間を電気的に接続する基板接続用コネクタに関し、特に、基板接続用コネクタを構成する基板接続用のソケットタイプのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1および2などに開示されるように、プリント配線板やプリント回路板などのプリント基板に取り付けられ、該プリント基板間を電気的に接続するために用いられる基板接続用のコネクタ(「基板対基板コネクタ」とも言う。)が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されるコネクタは、第1のプリント配線板に取り付けられたプラグタイプの雄型コネクタと、第2のプリント配線板に取り付けられたソケットタイプの雌型コネクタ路を備えている。雄型コネクタおよび雌型コネクタには、それぞれ、対応する複数のコンタクトが設けられている。雄型コネクタが雌型コネクタに組み付けられることで、第1および第2のプリント配線板が電気的に接続される。
【0004】
特許文献2に開示されるコネクタは、特許文献1に開示されるようにプラグタイプの雄型コネクタをソケットタイプの雌型コネクタに組み付けるに際し、組み付け位置の誤差を吸収するために、雌型コネクタがフローティング構造を備えている。具体的には、雌型コネクタに設けられる複数のコンタクトそれぞれは、プリント配線板に接続される接続部、雄型コンタクトに接触する接触部、接続部と接触部との間に配置され前後方向および幅方向に弾性変形可能な屈曲部を備えている。また、雌型コネクタの複数のコンタクトは、それぞれ互いに平行に配置されている。雌型コネクタは固定ハウジングと可動ハウジングを備える。雌型コネクタの複数のコンタクトそれぞれは、接続部側を固定ハウジングに固定され、屈曲部を介して、接触部側で可動ハウジングを支持している。したがって、雌型コネクタの可動ハウジングは、前後方向および幅方向に移動可能に構成される。例えば、雄型コネクタを雌型コネクタに嵌合する時、コンタクトの配置位置や寸法のばらつきにより、雄型コネクタと雌型コネクタとの間の組み付け位置の誤差を生じる。雌型コネクタに可動ハウジングを設けることにより、このような誤差を吸収し、雄型コネクタおよび雌型コネクタそれぞれのコンタクトの接続を確実にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−055306号公報
【特許文献2】特開2008−108560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示されるコネクタにおいては、上述したように、雌型コネクタに前後方向および幅方向に弾性変形可能な屈曲部を有するコンタクトが複数互いに平行に配列されている。しかしながら、前後方向および幅方向に弾性変形可能とするため、雌型コネクタに配列される複数のコンタクトの間には、単に空間が存在するだけで、仕切り部材のような部材が設けられていない。したがって、隣接するコンタクトの屈曲部間には、空気層が存在するだけであり、言い換えれば、複数のコンタクトの屈曲部は、空気層に対して露出している状態にある。
【0007】
このように、コンタクトの屈曲部が空気層に対して露出していることで、コンタクトに信号が伝送されると、屈曲部近傍においてインピーダンス不整合が生じる原因となる。
【0008】
本発明の目的は、取り付け位置の誤差を吸収するフローティング構造を有し、フローティング機能を維持するとともに、隣接して配置されるコンタクト間のインピーダンス不整合を抑制する基板接続用のコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る基板接続用のコネクタは、プリント基板に対して固定される固定ハウジングであって、該固定ハウジングを貫通する開口部が形成される固定ハウジングと、該固定ハウジングの開口部内に配置され、固定ハウジングに対して浮動可能に設けられている浮動ハウジングと、固定ハウジングと浮動ハウジングとの間に架設されるとともに、列状に配列される複数のコンタクトと、を備え、複数のコンタクトそれぞれは、浮動ハウジングに配置され、接続対象物と電気的に接続される接点部、固定ハウジングに配置され、プリント基板に固定される端子部、および接点部と端子部との間に設けられ、固定ハウジングの開口部と浮動ハウジングとの間に形成される空間内に配置される変形部を有し、コンタクトの変形部は、第1ばね部、第2ばね部、および第1ばね部と第2ばね部とを連結する反転部を含み、反転部に保持され、反転部および隣接する反転部との間を隔てる隔壁部材をさらに備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る基板接続用のコネクタの隔壁部材は、列状に配置される複数のコンタクトに対し、1つおきに保持されていてもよいし、列状に配置される複数のコンタクトに対し、1つ保持されていてもよい。
【0011】
また、本発明に係る基板接続用のコネクタの隔壁部材は、隣接するコンタクトそれぞれの反転部間に配置される隔壁部および反転部に保持される保持部を含んでいてもよいし、第1ばね部と第2ばね部の一部を覆うよう下方に向かって広がり突出している隔壁部をさらに含んでいてもよい。
【0012】
さらに、本発明に係る基板接続用のコネクタのコンタクトは、端子部と第1ばね部とを連結する第1連結部、接点部と第2ばね部とを連結する第2連結部を含み、第1連結部および第2連結部は、それぞれ、固定ハウジングおよび浮動ハウジングに埋め込まれていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上述のように構成されることで、取り付け位置の誤差を吸収するというフローティング機能を維持しつつ、隣接するコンタクト間のインピーダンス不整合を生じさせるという不都合を解消することができる。本発明は、また、構造が簡単であり、製造も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る基板接続用のコネクタを構成するソケットタイプの第1コネクタの斜視図である。
【図2】本発明に係る基板接続用のコネクタを構成するプラグタイプの第2コネクタの斜視図である。
【図3】図2に示される第1コネクタを図1に示される第2コネクタに嵌め込んだ状態にある基板接続用のコネクタの要部断面斜視図である。
【図4】図1に示される第1コネクタのシェル部材を取り外した状態の部分拡大上面図である。
【図5】図4に示される第1コネクタのV−V線に沿う断面図である。
【図6】図1に示される第1コネクタに用いられる隔壁部材を示し、(a)は、第1の実施例の斜視図であり、(b)は、第2の実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜6を用いて、本発明に係る基板接続用のコネクタの好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0016】
なお、本明細書の説明において、用語「左」及び「右」は、図3に示される座標において、それぞれ、+x方向及び−x方向を指し、用語「前」及び「後」は、それぞれ、図3に示される+y方向及び−y方向を指し、用語「上」及び「下」は、それぞれ、図3に示される+z方向及び−z方向を指すものとする。
【0017】
本発明に係る基板接続用コネクタは、概略、雌型コネクタとしてのソケットタイプの第1コネクタ10(図1参照)と、該第1コネクタ10内に嵌め込まれる雄型コネクタとしてのプラグタイプの第2コネクタ40(図2参照)とから構成される。第1および第2コネクタ10および40は、相対向するとともに互いに対して略平行に配置される第1および第2プリント基板(不図示)にそれぞれ実装されている。
【0018】
第1コネクタ10は、図1および3〜5に示されるように、概略、固定ハウジング11、浮動ハウジング21、複数の第1コンタクト30、シェル部材29および隔壁部材60を含んでいる。
【0019】
固定ハウジング11は、例えば、9Tナイロン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの電気絶縁性の合成樹脂材料から形成される。固定ハウジング11は、概略長方体形状を有しており、上下方向に貫通する水平断面矩形状の開口部18が形成されている。開口部18内の中央部分には、後述する浮動ハウジング21が配置される。開口部18は、互いに直交している、前壁12、後壁13、左壁14および右壁15の4つの側壁により取り囲まれている。
【0020】
浮動ハウジング21は、固定ハウジング11と同様の電気絶縁性の合成樹脂材料から形成される。浮動ハウジング21は、第1コネクタ10の接続対象物である第2コネクタ40の挿入部43が挿入される(または、嵌め込まれる)水平断面矩形状の挿入孔27が形成される。該挿入孔27は、互いに直交している底壁22と4つの側壁、すなわち、前壁23、後壁24、左壁25および右壁26とにより取り囲まれ、上方に向かって開放されている。
【0021】
浮動ハウジング21は、固定ハウジング11の開口部18内に配置され、固定ハウジング11に対し浮動可能に形成されている。浮動ハウジング21は、固定ハウジング11と略同じ高さを有する水平断面矩形状の概略直方体形状を成していることが好ましい。浮動ハウジング21は、図3に示されるように、複数の第1コンタクト30を介して固定ハウジング11に対して浮動可能に支持される。このとき、固定ハウジング11の開口部18を取り囲む4つの側壁12、13、14、15の内側壁面とこれらの内側壁面それぞれに対向する浮動ハウジング21の4つの側壁23、24、25、26の外側壁面との間には、可動空間が形成される。該可動空間、特に、固定ハウジング11の左壁14と浮動ハウジング21の左壁25との間の可動空間20aおよび固定ハウジング11の右壁15と浮動ハウジング21の右壁26との間の可動空間20bには、後述する第1コンタクト30の変形部が配置される。
【0022】
第1コンタクト30は、ベリリウム銅またはリン青銅合金材料のような導電性の金属板から成形される。第1コンタクト30は、図3に示されるように、固定ハウジング11の左壁14と浮動ハウジング21の左壁25との間、および固定ハウジング11の右壁15と浮動ハウジング21の右壁26との間にそれぞれ架設される。複数の第1コンタクト30は、固定ハウジング11の左壁14または右壁15に沿って、列状に配列される。具体的には、複数の第1コンタクト30は、該左壁14または右壁15に対して直交し、且つ、互いに平行に2列をなして配列される。
【0023】
第1コンタクト30は、端子部31、第1連結部32、第1ばね部33、湾曲反転部34、第2ばね部35、第2連結部36および接点部37を備えている。
【0024】
第1コンタクト30の端子部31は、第1プリント基板の外部接点と接触する部材である。該端子部31は、固定ハウジング11の左壁14または右壁15の下部から外側に向かって突出するように略水平に配置され、半田付けなどのろう付けによって、第1プリント基板に固定される。第1連結部32は、端子部31と第1ばね部33とを連結する直線状の部材であり、固定ハウジング11の左壁14または右壁15にインサート成形により概略水平に保持される。直線状の第1ばね部33、円弧状の湾曲反転部34および直線状の第2ばね部35は、第1コンタクト30の変形部を構成する部材であり、可動空間20aまたは20b内に配置される。本実施形態では、第1コンタクト30の変形部は、湾曲反転部34を頂点とする概略逆V字形状を成している。第2連結部36は、第2ばね部35と接点部37とを連結する直線状の部材であり、浮動ハウジング21の左壁25または右壁26にインサート成形により概略水平に保持される。接点部37は、第1コネクタ10の接続対象物としての第2コネクタ40の第2コンタクト50の接点部54と接触する部材であり、図3に示されるように、第2連結部36と略直角をなすように、上方に向かって折り曲げられて形成されている。接点部37は、本実施形態では、その接触面が浮動ハウジング21の左壁25または右壁26の内側表面と面一であって、内側に向かって露出するように、インサート成形により埋め込まれている。
【0025】
上述したように、第1連結部32および第2連結部35は、それぞれ、固定ハウジング11の左壁14または右壁15および浮動ハウジング21の左壁25または右壁26にインサート成形により埋め込まれ、各壁14、15、25または26に固定される。したがって、本実施形態においては、圧入によるコンタクトの固定と比較し、固定ハウジング11および浮動ハウジング21と第1連結部32および第2連結部35それぞれとの間に存在する空気層を減らすことができる。それによりインピーダンス不整合を抑制させることができる。
【0026】
本実施形態では、複数の第1コンタクト30は、左右対称に前後方向2列に配置されているとともに、複数の第1コンタクト30それぞれの変形部(第1ばね部33、湾曲反転部34および第2ばね部35)が可動空間20aまたは20b内に配置されている。すなわち、複数の第1コンタクト30それぞれの変形部は、固定ハウジング11と浮動ハウジング21の間の左右に前後方向に延在している可動空間20aおよび20b内で前後方向および左右方向に弾性変形可能になっている。それにより、浮動ハウジング21は、固定ハウジング11に対して浮動可能に支持され、よって、接続対象物としての相手方コネクタである第2コネクタ40の取り付け位置の誤差を吸収することができる。
【0027】
なお、複数の第1コンタクト30は、それぞれ、図4に示されるように、互いに平行に配置され、固定ハウジング11の左壁14または右壁15および浮動ハウジング21の左壁25または右壁26に対して直角をなして配置されている。
【0028】
シェル部材29は、金属板から形成され、固定ハウジング11の左右の側壁14、15の外側側面と上面および可動空間20a、20bの上面を覆うように、概略逆U字形状に折り曲げて形成されている。シェル部材29は、さらに、固定ハウジングの前後の側壁12、13の一部(第1コンタクト30が配列されている領域に対応する部分)を覆うように形成されていてもよい。シェル部材29の可動ハウジング21の上面に対応する部分には、水平断面矩形状の開口部29aが形成されている。シェル部材29の前端と後端には、下方に折り曲げられた4つの折曲部29bが設けられ、固定ハウジング11に形成される圧入溝内に圧入されることで、固定ハウジング11に固定される。シェル部材29の左右の下端には、適宜の数の端子部29c(本実施形態では4個所)が形成され、該端子部29cは、半田付けなどのろう付けによって、第1プリント基板に電気的に接続されるとともに第1プリント基板に固定される。
【0029】
第1コンタクト30およびシェル部材29が第1プリント基板にろう付けにより固定される構成により、固定ハウジング11が第1プリント基板に対して固定されることが理解される。
【0030】
このように金属製のシェル部材29を設けることにより、第1コネクタ10の上面および側面がシールドされることにより、電磁波による影響を少なくすることができる。
【0031】
隔壁部材60は、本発明の特徴部分を構成する部材である。隔壁部材60は、固定ハウジング11や、浮動ハウジング21と同様に、9Tナイロン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの電気絶縁性の合成樹脂材料から形成される。
【0032】
本実施形態における隔壁部材60は、図6(a)に示されるように、第1コンタクト30の湾曲反転部34のバネ力により保持される垂直断面円形状の保持部61と、該保持部61の前端および後端に形成される垂直断面円形状の隔壁部62、63を備えている。保持部61は湾曲反転部34のバネ力に保持されることから、第1コンタクト30の湾曲反転部34の曲率半径は、保持部61の半径より若干小さいことが好ましい。円形状の隔壁部62および63の大きさは、湾曲反転部34を覆う大きさを有する。隔壁部材60は、逆V字形をなしている第1コンタクト30の変形部の下側から挿入され、保持部61が湾曲反転部34内に嵌め込まれることで、第1コンタクト30(の湾曲反転部34)に保持される。なお、湾曲反転部34は、円弧状に限られることなく保持部61の形状に合わせて該保持部61を保持できる形状であればどのような形状であってもよい。
【0033】
本実施形態における隔壁部材60は、図4、5に示されるように、固定ハウジング11の左壁14および浮動ハウジングの左壁25に沿って、互いに平行に配列される複数の第1コンタクト30に対し、1つおきに配列される第1コンタクト30に保持される。同様に、固定ハウジング11の右壁15および浮動ハウジングの右壁26に沿って、互いに平行に配列される複数の第1コンタクト30に対しても、隔壁部材60が1つおきに保持される。隔壁部材60が第1コンタクト30にこのように保持されることで、複数の第1コンタクト30の湾曲反転部34の間に隔壁部材60のいずれか一方の隔壁部62または63が必ず存在することになる。したがって、複数の第1コンタクト30の隣接する湾曲反転部34間には、空気層ではなく合成樹脂層により仕切られることになり、それにより、インピーダンス不整合が抑制され、安定した基板対基板の接続が可能となる。
【0034】
本実施形態では、隔壁部材60は、1つおきの第1コンタクト30の湾曲反転部34に配置されることで、第1コンタクト30の第1ばね部33および第2ばね部35による左右および前後方向の弾性変形に合わせてともに移動することが可能である。したがって、隔壁部材60は、第1コンタクト30の第1ばね部33および第2ばね部35の弾性変形に対して干渉することがないので、フローティング構造による取り付け位置の誤差吸収量を減らすことがない。さらに、隔壁部材60は、複数の第1コンタクト30の1つおきに湾曲反転部34に設けられることで、複数の第1コンタクト30それぞれが独立して動くことが可能であり、より安定したフローティング構造が得られる。なお、隔壁部材60の隔壁部62および63を絶縁ゴムによって形成しても良く、これにより、第1コンタクト30の第1ばね部33及び第2ばね部35の弾性変形に対応し、隔壁部62および63も弾性変形するため、さらに安定したフローティング構造が得られる。
【0035】
本実施形態では、隔壁部材60は、垂直断面形状の保持部61およびその両端に垂直断面円形状の隔壁部62および63を備える構成としているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記実施形態における隔壁部材が複数連結した、例えば、固定ハウジング11の左壁14および浮動ハウジングの左壁25に沿って配列する複数の第1コンタクト301列分の長さを持つ隔壁部材としてもよい。この場合、インピーダンス不整合を抑制できるとともに、隔壁部材が1つであるため、部品点数が少なく、製造組み立てが容易となる。
【0036】
あるいは、図6(b)に示されるように、隔壁部材70は、その隔壁部72、73を下方に突出させてもよい。具体的には、隔壁部72、73は、第1コンタクト30の変形部を構成する第1ばね部33および第2ばね部35の一部を覆うように、逆V字形をなす第1および第2ばね部33、35の配置に合わせて下方に向かって広がる扇形状のスカート部として形成されてもよい。隔壁部材70の保持部71の構造は、上記実施形態と同じである。この場合、インピーダンス不整合を上記実施形態よりさらに効果的に抑制することができる。
【0037】
次に、本発明に係る基板接続用コネクタを構成する雄型コネクタとしての第2コネクタ40について簡単に説明する。
【0038】
第2コネクタ40は、図2に示されるように、従来の雄型コネクタと概略同じ構造を有しており、概略、コネクタハウジング41、複数の第2コンタクト50および固定端子49を備えている。なお、図2に示される第2コネクタ40は、第1コネクタ10に嵌め込まれる使用時の状態とは、上下逆に示されている。
【0039】
コネクタハウジング41は、上記第1コネクタ10の固定ハウジング11や浮動ハウジング21と同様の電気絶縁性の合成樹脂から形成される。コネクタハウジング41は、複数の第2コンタクト50それぞれの圧入部(不図示)が圧入される圧入空間が形成されている底部42、および該底部から下方に突出する挿入部43を有している。挿入部43には、底部42に形成されている圧入空間に連通し、複数の第2コネクタ50それぞれの連結部53および接点部54が収容されるスリット44が、取り付けられる複数の第2コネクタ50の数に対応して、仕切り壁46を挟んで左右両側に形成される。
【0040】
第2コンタクト50は、第1コンタクトと同様の導電性金属板から形成され、概略L字形をなし、端子部51、圧入部、ばね部53、接点部54を有している。端子部51は、コネクタハウジング41の底部42の左右両側から外側に突出するように略水平に配置され、ろう付けにより、第2プリント基板に電気的に接続されとともに、それに固定される。直線状の圧入部は、端子部51と直角をなして上方に向かって延在し、上述したように、コネクタハウジング41の底部42に形成されている圧入空間内に圧入され、それにより、第2コンタクト50がコネクタハウジング41に保持される。直線状のばね部53は、圧入部と接点部54との間を連結するとともに、接点部54を弾性的に支持する。接点部54は、ばね部53により、第1コンタクト30の接点部37との間の接触に所望の接圧を提供され、第1コンタクトの接点部37に接触する。
【0041】
複数の第2コンタクト50それぞれは、複数の第1コンタクト30それぞれに対応して形成され、第2コネクタ40の挿入部43が第1コネクタ10の挿入孔27に挿入されると、対応する第1および第2コンタクト30、50は、それぞれ、電気的に接続される。
【0042】
なお、本実施形態では、第2コネクタ40の第2コンタクト50の接点部54が弾性的に支持され、第1コネクタ10の第1コンタクト30の固定接点部37に所望の接圧で電気的に接触するように構成されているが、これに限定されるものではない。逆に、第1コンタクト30の接点部37が弾性的に支持され、第2コンタクト50の固定接点部54に所望の接圧で電気的に接触するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 第1コネクタ
11 固定ハウジング
18 開口部
21 浮動ハウジング
30 第1コンタクト
31 (第1コンタクトの)端子部
32 (第1コンタクトの)第1連結部
33 (第1コンタクトの)第1ばね部
34 (第1コンタクトの)湾曲反転部
35 (第1コンタクトの)第2ばね部
36 (第1コンタクトの)第2連結部
37 (第1コンタクトの)接点部
60、70 隔壁部材
61、71 保持部
62、63 隔壁部
72、73 隔壁部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に対して固定される固定ハウジングであって、該固定ハウジングを貫通する開口部が形成される固定ハウジングと、
前記固定ハウジングの前記開口部内に配置され、前記固定ハウジングに対して浮動可能に設けられている浮動ハウジングと、
前記固定ハウジングと前記浮動ハウジングとの間に架設されるとともに、列状に配列される複数のコンタクトと、
を備え、
前記複数のコンタクトそれぞれは、前記浮動ハウジングに配置され、接続対象物と電気的に接続される接点部、前記固定ハウジングに配置され、前記プリント基板に固定される端子部、および前記接点部と前記端子部との間に設けられ、前記固定ハウジングの前記開口部と前記浮動ハウジングとの間に形成される空間内に配置される変形部を有し、
前記コンタクトの前記変形部は、第1ばね部、第2ばね部、および前記第1ばね部と前記第2ばね部とを連結する反転部を含み、
前記反転部に保持され、前記反転部および隣接する反転部との間を隔てる隔壁部材をさらに備えていることを特徴とする基板接続用のコネクタ。
【請求項2】
前記隔壁部材は、前記列状に配置される複数のコンタクトに対し、1つおきに保持されていることを特徴とする請求項1に記載の基板接続用のコネクタ。
【請求項3】
前記隔壁部材は、前記列状に配置される複数のコンタクトに対し、1つ保持されていることを特徴とする請求項1に記載の基板接続用のコネクタ。
【請求項4】
前記隔壁部材は、隣接するコンタクトそれぞれの前記反転部間に配置される隔壁部および前記反転部に保持される保持部を含んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の基板接続用のコネクタ。
【請求項5】
前記隔壁部は、前記第1ばね部と前記第2ばね部の一部を覆うよう下方に向かってン色狩り突出していることを特徴とする請求項4に記載の基板接続用のコネクタ。
【請求項6】
前記コンタクトは、前記端子部と前記第1ばね部とを連結する第1連結部、前記接点部と前記第2ばね部とを連結する第2連結部を含み、
前記第1連結部および前記第2連結部は、それぞれ、前記固定ハウジングおよび前記浮動ハウジングに埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の基板接続用のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−45739(P2013−45739A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184659(P2011−184659)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】