説明

コマンド処理装置およびコマンド処理プログラム

【構成】 LCD12に表示された犬オブジェクトに向けられた手動の芸披露指示は、タッチパネル22を通して受け付けられる。犬オブジェクトは、受け付けた芸披露指示に対応する芸を披露する。任意の音声コマンドは、芸の披露に関連して、マイクロフォン34によって取り込まれる。取り込まれた音声コマンドに合致する音声コマンドは、CPUコア42の音声照合処理によって、RAM48上の登録音声の中から検索される。照合処理に失敗すると、照合結果は“−1”を示す。取り込まれた音声コマンドは、現時点で披露されている芸に、割り当てられる。一方、照合処理によって発見された音声コマンドが現時点で披露されている芸に既に割り当てられている音声コマンドであれば、この芸に対応する関連度が、インクリメントされる。犬オブジェクトDGは、関連度によって異なる頷き動作をする。
【効果】 犬オブジェクトに芸を仕込む過程を楽しむことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コマンド処理装置またはコマンド処理プログラムに関し、特にたとえばゲーム装置に適用され、入力された音声コマンドに対応する処理を実行する、コマンド処理装置またはコマンド処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この従来技術によれば、プレイヤの発話音声がマイクロフォンによって捉えられると、この発話音声に対応する単語が音声認識ユニットによって検出される。画面に表示されたオブジェクトの振る舞い(動作)は、検出された単語に基づいて変化する。
【特許文献1】特開2000−181676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来技術は表示されたオブジェクトに新たな動作を設定することを想定していない。このため、従来技術では、オブジェクトに動作を仕込む過程を楽しむことはできない。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、オブジェクトに動作を仕込む過程を楽しむことができる、コマンド処理装置またはコマンド処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明に従うコマンド処理装置は、受付手段、第1要求手段、取り込み手段、検索手段、第1割り当て手段、増大手段、および第1出力手段を備える。受付手段は、オブジェクトに向けられた手動の動作指示を受け付ける。第1要求手段は、受付手段によって受け付けた動作指示に対応する動作をオブジェクトに要求する。取り込み手段は、第1要求手段の要求に関連して任意の音声コマンドを取り込む。検索手段は、取り込み手段によって取り込まれた音声コマンドに合致する音声コマンドをオブジェクトの動作に割り当てられた音声コマンドの中から検索する。第1割り当て手段は、検索手段が検索処理に失敗したとき、取り込み手段によって取り込まれた音声コマンドを第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てる。増大手段は、検索手段によって発見された音声コマンドが第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てられた音声コマンドであるとき、第1要求手段の要求に応じた動作と取り込み手段によって取り込まれた音声コマンドとの関連性の高さを示す関連度を増大させる。第1出力手段は、増大手段によって増大された関連度によって異なるメッセージを出力する。
【0006】
請求項1の発明によれば、オブジェクトに向けられた手動の動作指示は、受付手段(S3:実施例で相当する参照符号。以下同じ)によって受け付けられる。受け付けた動作指示に対応する動作は、第1要求手段(S7)によってオブジェクトに要求される。任意の音声コマンドは、第1要求手段の要求に関連して、取り込み手段(S17)によって取り込まれる。検索手段(S19)は、取り込まれた音声コマンドに合致する音声コマンドを、オブジェクトの動作に割り当てられた音声コマンドの中から検索する。
【0007】
検索手段が検索処理に失敗すると、取り込まれた音声コマンドは、第1要求手段の要求に応じた動作に、割り当て手段(S31)によって割り当てられる。
【0008】
一方、検索手段によって検索された音声コマンドが第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てられた音声コマンドであれば、第1要求手段の要求に応じた動作と取り込み手段によって取り込まれた音声コマンドとの関連性の高さを示す関連度が、増大手段(S53)によって増大される。出力手段(S57,S59)は、増大された関連度によって異なるメッセージを出力する。
【0009】
したがって、オブジェクトに芸を仕込むべく手動の動作指示を発行すると、オブジェクトは指示に従って動作する。ここで、任意の音声コマンドを発行すると、この音声コマンドがオブジェクトによって行われた動作に割り当てられる。同じ動作指示を再度発行し、オブジェクトによる動作の実行に関連して同じ音声コマンドを再度発行すると、実行された動作と発行された音声コマンドとの関連度が増大する。出力メッセージは、この関連度の増大に応じて変化する。出力メッセージが変化することで、オブジェクトに動作を仕込む過程を楽しむことができる。
【0010】
請求項2の発明に従うコマンド処理装置は、請求項1に従属し、音声コマンドに対応する動作をオブジェクトに要求する第2要求手段をさらに備える。第2要求手段(S5)は、音声コマンドに対応する動作をオブジェクトに要求する。これによって、割り当てが完了した後は、音声コマンドによって動作を行わせることができる。
【0011】
請求項3の発明に従うコマンド処理装置は、請求項1または2に従属し、第1要求手段の要求に応じた動作に対応する関連度が第1条件を満足するとき取り込み手段を不能化する不能化手段をさらに備える。第1要求手段の要求に応じた動作に対応する関連度が条件を満足すれば、取り込み手段は不能化手段によって不能化される。これによって、条件を満足する関連度に対応する動作については、音声コマンドの割り当ての変更が禁止される。
【0012】
請求項4の発明に従うコマンド処理装置は、請求項3に従属し、増大手段は関連度を示す数値を増大させ、不能化手段は関連度を示す数値が閾値に到達したとき取り込み手段を不能化する。
【0013】
請求項5の発明に従うコマンド処理装置は、請求項1ないし4のいずれかに従属し、検索手段が検索処理に失敗したとき第1要求手段の要求に応じた動作に対応する関連度が初期値を示すか否かを判別する判別手段、および判別手段の判別結果が否定的であるとき判別手段によって注目される関連度を減少させる第1減少手段をさらに備え、第1割り当て手段は判別手段によって注目される関連度が初期値よりも大きいとき割り当て動作を中止する。
【0014】
検索手段が検索処理に失敗すると、第1要求手段の要求に応じた動作に対応する関連度が初期値を示すか否かが判別手段(S23)によって判別される。判別手段の判別結果が否定的であれば、判別手段によって注目される関連度が第1減少手段(S27)によって減少される。第1割り当て手段は、判別手段によって注目される関連度が初期値よりも大きいとき割り当て動作を中止する。このため、音声コマンドの割り当て状態は、音声コマンドが割り当てられた動作に関連して別の音声コマンドを繰り返し発行することによって変更される。
【0015】
請求項6の発明に従うコマンド処理装置は、請求項1ないし5のいずれかに従属し、検索手段によって検索された音声コマンドが第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てられた音声コマンドと異なるとき検索手段によって発見された音声コマンドに対応する関連度を減少させる第2減少手段、および第2減少手段によって減少された関連度が初期値を示すとき検索手段によって発見された音声コマンドに代えて取り込み手段によって取り込まれた音声コマンドを第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てる第2割り当て手段をさらに備える。
【0016】
検索手段によって発見された音声コマンドが第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てられた音声コマンドと異なれば、検索手段によって発見された音声コマンドに対応する関連度が第2減少手段(S43)によって減少される。第2割り当て手段(S49)は、減少された関連度が初期値を示すとき、検索手段によって発見された音声コマンドに代えて取り込み手段によって取り込まれた音声コマンドを第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てる。これによって、或る動作に割り当てられた音声コマンドを別の動作に割り当て直すことができる。
【0017】
請求項7の発明に従うコマンド処理装置は、請求項5または6に従属し、関連度の減少に関連してメッセージを出力する第2出力手段をさらに備える。第2出力手段(S25,S41)は、関連度の減少に関連してメッセージを出力する。
【0018】
請求項8−14の発明でも、請求項1−7の発明と同様に、オブジェクトに動作を仕込む過程を楽しむことができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、オブジェクトに芸を仕込むべく手動の動作指示を発行すると、オブジェクトは指示に従う動作を行う。ここで、任意の音声コマンドを発行すると、この音声コマンドがオブジェクトによって行われた動作に割り当てられる。同じ動作指示を再度発行し、オブジェクトによる動作の実行に関連して同じ音声コマンドを再度発行すると、実行された動作と発行された音声コマンドとの関連度が増大する。出力メッセージは、この関連度の増大に応じて変化する。出力メッセージが変化することで、オブジェクトに動作を仕込む過程を楽しむことができる。
【0020】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1を参照して、この発明の一実施例であるゲーム装置10は、LCD(Liquid Crystal Display)12および14を含む。LCD12および14は、所定の配置位置となるようにハウジング16に収納される。この実施例では、ハウジング16は、上側ハウジング16aと下側ハウジング16bとによって構成され、LCD12は上側ハウジング16aに収納され、LCD14は下側ハウジング16bに収納される。したがって、LCD12および14は、垂直方向に並ぶように近接して配置される。
【0022】
なお、この実施例では、表示器としてLCDを用いるようにしてあるが、LCDに代えて、EL(Electronic Luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイ等を用いるようにしてもよい。
【0023】
図1からも分かるように、上側ハウジング16aは、LCD12の平面形状よりも大きな平面形状を有し、一方主面からLCD12の表示面を露出するように開口部が形成される。一方、下側ハウジング16bは、その平面形状が上側ハウジング16aよりも横長に選ばれ、横方向の略中央部にLCD14の表示面を露出するように開口部が形成される。また、下側ハウジング16bには、音抜き孔18が形成されるとともに、操作スイッチ20(20a,20b,20c,20d,20e,20L,20R)が設けられる。
【0024】
また、上側ハウジング16aおよび下側ハウジング16bは、上側ハウジング16aの下辺(下端)と下側ハウジング16bの上辺(上端)の一部とが回動可能に連結されている。したがって、たとえば、ゲームをプレイしない場合に、LCD12の表示面がLCD14の表示面と対面するように上側ハウジング16aを回動させることで、LCD12および14の表示面の破損を防止することができる。ただし、上側ハウジング16aおよび下側ハウジング16bを回動可能に連結する代わりに、上側ハウジング16aおよび下側ハウジング16bを一体形成するようにしてもよい。
【0025】
操作スイッチ20は、方向指示スイッチ(十字スイッチ)20a,スタートスイッチ20b、セレクトスイッチ20c、動作スイッチ(Aボタン)20d、動作スイッチ(Bボタン)20e、動作スイッチ(Lボタン)20Lおよび動作スイッチ(Rボタン)20Rを含む。スイッチ20a,20bおよび20cは、下側ハウジング16bの一方主面において、LCD14の左側に配置される。また、スイッチ20dおよび20eは、下側ハウジング16bの一方主面において、LCD14の右側に配置される。さらに、スイッチ20Lおよびスイッチ20Rは、それぞれ、下側ハウジング16bの上端(天面)の一部において、上側ハウジング16aとの連結部を挟むように、左右に配置される。
【0026】
方向指示スイッチ20aは、ディジタルジョイスティックとして機能する。4つの押圧部の少なくとも1つを操作することで、プレイヤによって操作可能なプレイヤキャラクタ(またはプレイヤオブジェクト)の移動方向を指示したり、カーソルの移動方向を指示することができる。スタートスイッチ20bは、プッシュボタンで構成され、ゲームの開始(再開)や一時停止(Pause)を指示するために用いられる。セレクトスイッチ20cは、プッシュボタンで構成され、ゲームモードの選択などに用いられる。
【0027】
動作スイッチ20dすなわちAボタンは、プッシュボタンで構成され、方向指示以外の動作、すなわち、プレイヤキャラクタに打つ(パンチ)、投げる、つかむ(取得)、乗る、ジャンプするなどの任意のアクションをさせるために用いられる。たとえば、アクションゲームにおいては、ジャンプ,パンチ,武器を動かす等を指示することができる。また、ロールプレイングゲーム(RPG)やシミュレーションRPGにおいては、アイテムの取得,武器やコマンドの選択/決定等を指示することができる。動作スイッチ20eすなわちBボタンは、プッシュボタンで構成され、セレクトスイッチ20cで選択したゲームモードの変更,Aボタン20dで決定したアクションの取り消し等のために用いられる。
【0028】
動作スイッチ20L(Lボタン)および動作スイッチ20R(Rボタン)は、プッシュボタンで構成される。Lボタン20LおよびRボタン20Rは、Aボタン20dおよびBボタン20eと同様の操作や、Aボタン20dおよびBボタン20eの補助的な操作に用いることができる。
【0029】
また、このゲーム装置10はタッチパネルを用いたゲーム装置であり、LCD14の上面には、タッチパネル22が装着される。タッチパネル22としては、たとえば、抵抗膜方式、光学式(赤外線方式)および静電容量結合式のいずれかが採用される。また、タッチパネル22は、その上面をスタイラスペンのようなスティック24あるいは指(以下、これらを“スティック24等”という場合がある。)で押圧したり撫でたり(触れたり)すると、スティック24等の座標位置を検出して座標データを出力する。
【0030】
なお、この実施例では、LCD14(LCD12も同じ、または略同じ。)の表示面の解像度は256dot×192dotであり、タッチパネル22の検出精度も表示画面に対応して256dot×192dotである。しかし、タッチパネル22の検出精度は、表示画面の解像度よりも低くてもよく、高くてもよい。
【0031】
この実施例では、プレイヤに見せるためのゲーム画面がLCD12に表示され、LCD12のゲーム画面に関連してプレイヤに見せかつ操作させるためのゲーム画面がLCD14に表示される。LCD14に表示されるゲーム画面には、スティック24等で操作(タッチ)可能なオブジェクト,アイコン,文字情報などが含まれる。プレイヤは、LCD14に表示されたオブジェクトをスティック24等で直接触れることで、そのオブジェクトの選択,座標入力などを行うことができる。
【0032】
また、ゲームの種類に応じてその他の各種の入力を指示することができる。たとえば、LCD14の表示画面に表示される文字情報やコマンドアイコンを選択したり、LCD12に表示されるゲーム画面(マップ)のスクロール方向を指示することができる。
【0033】
このように、ゲーム装置10は、2画面分の表示部となるLCD12および14を有し、LCD14の表示画面上にタッチパネル22が設けられ、そして下側ハウジング16bに操作スイッチ20が設けられる。つまり、ゲーム装置10は、2画面(LCD12,14)と2系統の操作部(20,22)とを有する。
【0034】
また、この実施例では、スティック24は、上側ハウジング16aの右側面に設けられた収納穴26に収納され、必要に応じて取り出される。ただし、スティック24を設けない場合には、収納部26を設ける必要もない。
【0035】
さらに、ゲーム装置10はメモリカード(またはゲームカートリッジ)28を含む。メモリカード28は着脱自在であり、下側ハウジング16bの裏面ないしは下端(底面)に設けられる挿入口30から挿入される。挿入口30の奥部には、メモリカード28の挿入方向先端部に設けられるコネクタ(図示せず)と接合するためのコネクタ46(図2参照)が設けられる。したがって、メモリカード28が挿入口30に挿入されると、コネクタ同士が接合され、ゲーム装置10のCPUコア42(図2参照)がメモリカード28にアクセス可能となる。
【0036】
また、LCD14の右側には、音声を取り込むためのマイクロフォン34が設けられる。下側ハウジング16bの内部において、この下側ハウジング16bの音抜き孔18と対応する位置には、スピーカ32(図2参照)が設けられる。
【0037】
さらに、図1では省略するが、たとえば、下側ハウジング16bの裏面側には、電池収容ボックスが設けられる。下側ハウジング16bの底面側には、電源スイッチ,音量調節つまみ,外部拡張コネクタ,イヤフォンジャックなどが設けられる。
【0038】
図2は、ゲーム装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図2を参照して、ゲーム装置10は電子回路基板40を含み、この電子回路基板40にはCPUコア42等の回路コンポーネントが実装される。CPUコア42は、バス44を介して、コネクタ46,RAM48,GPU(Graphic Processing Unit)50,GPU52,I/F回路54およびLCDコントローラ60と接続される。
【0039】
コネクタ46には、上述したように、メモリカード28が着脱自在に接続される。メモリカード28は、ROM28aおよびRAM28bを含む。図示は省略するが、ROM28aおよびRAM28bは、バスで互いに接続され、かつコネクタ46と接合されるコネクタ(図示せず)に接続される。この結果、CPUコア42は、ROM28aおよびRAM28bにアクセスすることができる。
【0040】
ROM28aは、ゲーム装置10で実行すべきゲームのためのゲームプログラム、キャラクタ画像,背景画像,アイテム画像,メッセージ画像のような画像データ、効果音,BGM,キャラクタの擬制音のような音データなどを予め記憶する。バックアップRAM28bは、ゲームの途中データや結果データをセーブする。
【0041】
RAM48は、バッファメモリないしはワーキングメモリとして使用される。つまり、CPUコア42は、メモリカード28のROM28aに記憶されたゲームプログラム、および画像データ,音データ等のデータをRAM48にロードし、ロードしたゲームプログラムを実行する。また、CPUコア42は、ゲーム処理の進行に応じて、ゲームデータやフラグデータなどの一時的なデータをRAM48に記憶する。
【0042】
なお、ゲームプログラム、および画像データ,音データ等のデータは、一括して、または必要に応じて部分的かつ順次的にROM28aから読み出され、RAM48に記憶される。
【0043】
GPU50および52の各々は、描画手段の一部を形成し、たとえばシングルチップASICで構成される。GPU50または52は、CPUコア42からグラフィックスコマンド(作画命令)を受けたとき、このグラフィックスコマンドに従ってゲーム画像データを生成する。ここで、CPUコア42は、グラフィックスコマンドに加えて、ゲーム画像データの生成に必要な画像生成プログラム(ゲームプログラムに含まれる。)をGPU50および52の各々に与える。
【0044】
ただし、グラフィックスコマンドの実行に必要なデータ(ポリゴン,テクスチャなどの画像データ)は、RAM48に格納され、GPU50または52によって取得される。
【0045】
また、GPU50にはVRAM56が接続され、GPU52にはVRAM58が接続される。GPU50は、作成したゲーム画像データをVRAM56に描画し、GPU52は、作成したゲーム画像データをVRAM58に描画する。
【0046】
VRAM56および58は、LCDコントローラ60に接続される。LCDコントローラ60はレジスタ62を含む。レジスタ62はたとえば1ビットで構成され、CPUコア42の指示によって“0”または“1”のデータ値を記憶する。LCDコントローラ60は、レジスタ62のデータ値が“0”であるとき、VRAM56に描画されたゲーム画像データをLCD12に出力し、VRAM58に描画されたゲーム画像データをLCD14に出力する。また、LCDコントローラ60は、レジスタ62のデータ値が“1”であるとき、VRAM56に描画されたゲーム画像データをLCD14に出力し、VRAM58に描画されたゲーム画像データをLCD12に出力する。
【0047】
I/F回路54には、操作スイッチ20,タッチパネル22,スピーカ32およびマイクロフォン34が接続される。ここで、操作スイッチ20は、上述したスイッチ20a,20b,20c,20d,20e,20Lおよび20Rである。操作スイッチ20が操作されると、対応する操作信号(操作データ)がI/F回路54を介してCPUコア42に入力される。タッチパネル22で検出された座標データや、マイクロフォン34によって捉えられた音声データも、I/F回路54を介してCPUコア42に入力される。また、CPUコア42は、BGM,効果音,キャラクタの擬制音などのゲームに必要な音データをRAM48から読み出し、I/F回路54を介してスピーカ32から出力する。
【0048】
図3にはRAM48のメモリマップの一例が示される。RAM48は、メモリカード28のROM28aからロードされたプログラムを記憶するプログラム記憶領域70を含む。ロードされるプログラムは、操作入力プログラム72,オブジェクト操作プログラム74,オブジェクト動作表示プログラム76,音声入力プログラム78,音声照合プログラム80,タッチオブジェクト動作−音声関連付けプログラム82などを含む。
【0049】
なお、プログラム記憶領域70には、図示は省略しているが、ゲーム画像やゲーム音声を生成/出力するためのプログラムなど、その他のゲーム進行に必要な各種プログラムが記憶される。
【0050】
操作入力プログラムは、キーまたはタッチパネルを通したプレイヤの操作を入力するためのプログラムである。オブジェクト操作プログラムは、操作入力プログラムによって入力した操作に応答してオブジェクトを操作するためのプログラムである。オブジェクト動作表示プログラムは、オブジェクト操作プログラムの操作に従う態様でオブジェクトを表示するためのプログラムである。
【0051】
この実施例では、オブジェクトを予め定められた色々な姿勢に表示処理するオブジェクト動作表示プログラムの実行によって、犬オブジェクトDGが、図13(A),図13(B)または図13(C)に示す要領でLCD12に表示される。具体的には例えばROM28aにもともと記憶されていた、犬のオブジェクトを構成する3次元グラフィクス描画データ(図示せず)を所定の操作入力があったときに、対応する座標データなどの表示制御データの変換手順(図示せず)に従って、仮想3次元ゲーム空間内に描画していく。例えば、図13(A)は座り姿勢の表示状態を示し、図13(B)は伏せ姿勢の表示状態を示し、そして図13(C)は立ち姿勢の表示状態を示す。なお、この実施例では、“姿勢”は“芸”と同義である。
【0052】
音声入力プログラム78は、プレイヤによって発せられた音声をマイクロフォン34を通して入力するためのプログラムであり、音声照合プログラム78は、入力音声を登録音声と照合するためのプログラムである。タッチオブジェクト動作−音声関連付けプログラムは、スティック24の操作によって規定されたオブジェクトを予め定められた色々な姿勢に表示する処理に対して、所望の入力音声を関連付けるためのプログラムである。
【0053】
また、RAM48は、データ記憶領域90を含む。データ記憶領域90は、操作データ記憶領域92,入力音声データ一時記憶領域94,操作−オブジェクト動作対応データ記憶領域96,オブジェクト動作制御テーブル記憶領域98および登録音声データ記憶領域100を有する。
【0054】
操作データ記憶領域92は、操作スイッチ20やスティック24の操作に対応するデータを一時的に記憶する。具体的には操作スイッチ20のどれが押されたのかを示すデータを一時記憶したり、あるいはスティック24がタッチパネル22をどのようにタッチしたのか、その入力座標や座標の変化を一時的に記憶する。入力音声波形記憶バッファ94は、音声入力プログラム76によって入力された音声のエンベロープデータを一時的に格納する。
【0055】
オブジェクト動作制御テーブル記憶領域98は、オブジェクトへの入力音声の関連付けを制御するためのテーブル98t(図4参照)を記憶する領域である。登録音声データ記憶領域100は、入力音声のうちタッチオブジェクト動作−音声関連付けプログラムによって条件を満足した音声を登録音声として記憶する領域である。
【0056】
図4を参照して、テーブル98tでは、複数の識別番号が複数の姿勢表示にそれぞれ割り当てられる。たとえば、識別番号“0”は伏せ姿勢の表示に割り当てられ、識別番号“1”は立ち姿勢の表示に割り当てられ、そして識別番号“2”は座り姿勢の表示に割り当てられる。
【0057】
LCD12に表示された犬オブジェクトDGが伏せ姿勢のときに、例えば“ふせ”の音声に対応する音声データが入力されると、この入力音声データは登録音声データ記憶領域100に記憶され、さらに“ふせ”の登録音声を指向するポインタが識別番号“0”に割り当てられる。同様に、表示された犬オブジェクトDGが立ち姿勢のときに“ちんちん”の音声がデータとして入力されると、この入力音声は登録音声データ記憶領域100に記憶され、さらに“ちんちん”の登録音声を指向するポインタが識別番号“1”に割り当てられる。関連度Lvは、登録音声と姿勢との関連性の高さを示す変数であり、“0”〜“3”のいずれか1つの値を示す。
【0058】
このゲーム装置10でゲームをプレイするときのCPUコア42の処理動作を図5〜図12を用いて説明する。まず、図5を参照して、ステップS1はゲームの初期設定を行う。すなわち、タッチパネルの初期化や、操作スイッチのデフォルト値の設定、あるいは種々のゲーム処理で使用されるフラグなどの初期化を行い、ゲーム処理開始前の準備を行う。続くステップS3ではスティック24によりオブジェクトに所定の芸動作を行わせる表示が指示されたか、すなわち芸披露指示が発行されたか否かを判別する。ここでNOであればステップS5で他のゲーム処理を行い、その後ステップS3に戻る。
【0059】
ステップS3でYESであれば、ステップS7でスティックの入力に応じて予め定められたオブジェクトの芸動作表示を行わせる芸披露処理を実行する。操作入力ではなく、音声入力に基づいてオブジェクトに芸動作表示を行わせる芸披露処理は、ステップS5で実行される。ステップS9では、対応する芸動作表示(指示芸)に割り当てられた関連度Lvを図4に示すテーブル98tから検出し、検出された関連度Lvが“3”であるか否かを判別する。ここでYESであればステップS3に戻る。一方、NOであれば、ステップS11で音声登録が可能であることを案内するトリックボタンTRを、図13(A),図13(B)または図13(C)に示す要領で画面に表示する。
【0060】
ステップS13ではトリックボタンTRがスティック24によって操作されたか否かを判別し、ステップS15では他のボタン操作が行われたか否かを判別する。他のボタンが操作されたときはステップS3に戻り、トリックボタンTRが操作されたときはステップS17以降の処理に進む。
【0061】
ステップS17では音声入力処理を実行し、ステップS19では音声照合処理を実行する。音声入力処理によって、マイクロフォン34を通して入力された音声コマンドのエンベロープデータが、図3に示す入力音声データ一時記憶領域94上に作成される。また、音声照合処理によって、入力された音声が登録音声データ記憶領域100に記憶された全ての登録音声と比較される。
【0062】
ステップS21では、照合結果が“−1”であるか否かを判別する。入力音声と合致する登録音声が検出されると、照合結果は、この登録音声が割り当てられたオブジェクトの姿勢制御(動作表示)の識別番号を示す。一方、入力音声と合致する登録音声が検出されなければ、照合結果は“−1”を示す。
【0063】
照合結果が“−1”であれば、指示芸に割り当てられた関連度Lvが“0”であるか否かをステップS23で判別する。ここでYESであればステップS31に進み、入力音声を入力音声データ一時記憶領域94から登録音声データ記憶領域に移動させ、かつ移動された入力音声つまり登録音声を指向するポインタを指示芸に割り当てる。ステップS33では、指示芸に割り当てられた関連度Lvを“1”に設定し、その後ステップS3に戻る。
【0064】
ステップS23でNOであれば、ステップS39でオブジェクトが混乱している動作の表示処理を実行する。この混乱動作処理によって、例えばクエスチョンマークが犬オブジェクトDGの頭上に表示される。ステップS27では指示芸に割り当てられた関連度Lvをディクリメントし、ステップS29では更新後の関連度Lvが“0”であるか否かを判別する。ここでNOであればそのままステップS3に戻り、YESであればステップS31およびS33の処理を経てステップS3に戻る。
【0065】
照合結果が“0”以上の数値を示せば、ステップS21からステップS35に進み、照合結果が示す数値が関連度Lvが“3”の芸の識別番号と一致するか否かを判別する。ここでYESであればステップS25に進み、一致する識別番号の芸について芸披露処理(オブジェクトが対応する芸動作を行う表示の処理)を実行する。その後、ステップS3に戻る。
【0066】
ステップS35でNOと判断されると、照合結果が示す数値が指示芸の識別番号と一致するか否かをステップS39で判別する。ここでYESであれば、ステップS53に進み、指示芸に割り当てられた関連度Lvをインクリメントする。ステップS55では更新された関連度Lvが“3”を示すか否かを判別し、NOであればステップS59で1回頷き動作処理を実行する一方、YESであればステップS57で2回頷き動作処理を実行する。1回頷き動作処理が行われたとき、画面上の犬オブジェクトDGは“ワン”と吼える動作表示を行う。2回頷き動作処理が行われたとき、画面上の犬オブジェクトDGは“ワンワン”と吼える動作表示を行う。ステップS57またはS59の処理が完了すると、ステップS3に戻る。
【0067】
ステップS39でNOと判断されると、ステップS41で混乱動作処理を実行する。犬オブジェクトDGの頭上には、クエスチョンマークが表示される。ステップS43では、照合結果に対応する芸に割り当てられた関連度Lvをディクリメントし、ステップS45では更新された関連度Lvが“0”であるか否かを判別する。ここでNOであればそのままステップS3に戻るが、YESであればステップS47〜S51の処理を経てステップS3に戻る。
【0068】
ステップS47では、照合結果に対応する芸への登録音声の割り当てを解除する。ステップS49では、指示芸についてステップS31と同様の音声登録処理を行う。ステップS51では、指示芸に割り当てられた関連度Lvを“1”に設定する。
【0069】
表示させるべき芸のうち、伏せ姿勢の関連度Lvが“0”を示し、立ち姿勢の関連度Lvが“3”を示し、座り姿勢の関連度Lvが“0”を示す状態で音声入力を行ったとき、一連の処理は以下に述べるように実行される。
【0070】
プレイヤがスティック24を操作して犬オブジェクトDGを立たせると、立ち姿勢に割り当てられた関連度Lvが“3”であることから、処理はステップS9からステップS3に戻る。つまり、関連度Lvが“3”を示す姿勢については、音声登録の変更は不可能である。
【0071】
プレイヤがスティック24を操作して犬オブジェクトDGが伏せる表示をさせ、トリックボタンTRの操作を経て、実際に“ふせ”という音声を入力した場合、“ふせ”の音声は未登録であることから、照合結果は“−1”を示す。さらに、伏せ状態の姿勢に割り当てられた関連度Lvが“0”であることから、処理は、ステップS21およびS23を経てステップS31に進む。この結果、“ふせ”の入力音声が登録され、“ふせ”の登録音声を指向するポインタが伏せ姿勢の芸動作表示に割り当てられる。伏せ姿勢に割り当てられた関連度Lvは、ステップS33の処理によって“1”に設定される。
【0072】
プレイヤがスティック24を操作して犬オブジェクトDGを再度伏せさせ、トリックボタンTRの操作を経て“ふせ”の音声を再度入力すると、“ふせ”は登録済みであることから、照合結果は“0”を示す。処理は、ステップS21,S35およびS39を経てステップS53に進み、伏せ姿勢に割り当てられた関連度Lvが“1”から“2”に更新される。処理はステップS55を経てステップS59に進み、この結果、犬オブジェクトDGが1回“ワン”と吼える動作表示処理が行われる。
【0073】
プレイヤが同じ操作を繰り返すと、関連度Lvは“2”から“3”に更新され、犬オブジェクトDGは2回“ワン”と吼える。関連度Lvが“3”に更新されることで、伏せ状態の姿勢に登録された音声の変更が不可能となる。
【0074】
ただし、伏せ姿勢に割り当てられた関連度Lvが“2”を示す状態で、プレイヤがスティック24の操作によって犬オブジェクトDGを伏せさせ、トリックボタンTRの操作を経て“ふせなさい”という実際の音声を入力すると、照合結果は“−1”となる。ただし、伏せ姿勢に割り当てられた関連度Lvは“2”であるため、処理は、ステップS21およびS23を経てステップS25に進む。犬オブジェクトDGの頭上にはクエスチョンマークが表示され、その後、伏せ姿勢に割り当てられた関連度Lvが“2”から“1”に更新される。
【0075】
プレイヤが“ふせなさい”の音声を再度入力するべく同じ操作を繰り返すと、犬オブジェクトDGの頭上にはクエスチョンマークが再度表示され、伏せ姿勢に割り当てられた関連度Lvは“1”から“0”に更新される。このとき、処理はステップS29からステップS31に進む。登録音声データ記憶領域には“ふせなさい”の音声が登録され、伏せ姿勢に割り当てられたポインタに指向先は、“ふせ”の登録音声から“ふせなさい”の登録音声に更新される。伏せ姿勢に割り当てられた関連度Lvは、“0”から“1”に更新される。
【0076】
この状態で、プレイヤが、スティック24の操作によって犬オブジェクトDGを座らせ、トリックボタンの操作を経て“ふせなさい”の音声を入力すると、照合結果は“0”を示す。この数値は座り姿勢の識別番号“3”と相違するため、処理は、ステップS21,S35およびS39を経てステップS41に進む。
【0077】
犬オブジェクトDGの頭上にはクエスチョンマークが表示され、その後、ステップS43の処理によって伏せ姿勢に割り当てられた関連度Lvが“1”から“0”に更新される。更新された関連度Lvが“0”であることから、ステップS45でYESと判断され、ステップS47で伏せ姿勢への登録音声の割り当てが解除される。さらに、ステップS49の処理によって“ふせなさい”の登録音声が座り姿勢に割り当てられ、座り姿勢に割り当てられた関連度Lvが“1”に設定される。
【0078】
ステップS17の音声入力処理は、図8に示すフロー図に従って実行される。まずステップS61で、マイクロフォン34を通して音声コマンドを入力する。ステップS63では、入力された音声コマンドの有音期間を判別する。有音期間が閾値TH1以下であるか閾値TH2以上であれば、ステップS65でエラーメッセージを出力し、ステップS61に戻る。これに対して、有音期間が閾値TH1を上回りかつ閾値TH2を下回るときは、ステップS67に進み、入力された音声コマンドを表す波形データの先頭および末尾から無音成分を除去する。ステップS69では、無音成分が除去された波形データを正規化し、続くステップS71では正規化された波形データを150等分する。
【0079】
プレイヤによって発行された音声コマンドが“ちんちん”であれば、ステップS67およびS69の処理によって図14に示す波形データが得られる。得られた波形データは、ステップS71の処理によって、図15に示す要領で150個の部分波形W(1)〜W(150)に分割される。
【0080】
ステップS73では、変数Nを“1”に設定する。ステップS75では部分波形W(N)について最大振幅の絶対値W(N)maxを検出し(図15参照)、ステップS77では検出された絶対値W(N)maxをエンベロープ値E(N)として設定する。
【0081】
ステップS79では、変数Nが“150”に達したか否か判別する。ここでNOであれば、ステップS81で変数Nをインクリメントし、ステップS73に戻る。これによって、絶対値W(1)max〜W(150)maxが部分波形W(1)〜W(150)からそれぞれ検出され、検出された絶対値W(1)max〜W(150)maxがエンベロープ値E(1)〜E(150)としてそれぞれ設定される。
【0082】
図15に示す部分波形W(1)〜W(150)については、図16に示す要領で絶対値W(1)max〜W(150)maxが検出され、図17に示すエンベロープ値E(1)〜E(150)として設定される。
【0083】
ステップS79でYESと判断されるとステップS83に進み、エンベロープ値E(1)〜E(150)を現時点の表示状態を識別する識別番号に割り当てる。格納処理が完了すると、上階層のルーチンに復帰する。
【0084】
ちなみに、図18(A)に示す“ちんちん”の登録エンベロープと比較して、“ふせ”のエンベロープの値は、図18(B)に示すように変化する。
【0085】
図5に示すステップS19の音声照合処理は、図9〜図12に示すフロー図に従って実行される。まずステップS91で、登録音声が存在するか否かを判別する。ここでNOであればステップS93で“−1”を照合結果として決定し、YESであればステップS95でいずれか1つの登録音声を指定する。
【0086】
ステップS97では変数Sを“−4”に設定し、ステップS99では変数Nを“5”に設定する。ステップS101では、指定された登録音声のエンベロープを形成するエンベロープ値EK(N)と、入力音声のエンベロープを形成するエンベロープ値E(N+S)との差異を評価する。
【0087】
ステップS103では変数Nが“146”に達したか否かを判別し、NOであればステップS105で変数NをインクリメントしてステップS101に戻る。この結果、ステップS107の部分評価処理が142回繰り返され、合計142個の部分評価値が求められる。
【0088】
ステップS107ではこのような142個の部分評価値を総合的に評価し、ステップS109では変数Sが“4”に達したか否かを判別する。変数Sが“4”未満であれば、ステップS111で変数Sをインクリメントし、ステップS99に戻る。この結果、ステップS99〜S109の一連の処理が9回繰り返され、9個の総合評価値が求められる。ステップS113では、このような9個の総合評価値の中から数値が最大の総合評価値を特定する。
【0089】
なお、部分評価処理にあたって変数Nがとり得る値を“5”〜“146”の範囲に限定したのは、変数Sが“−4”〜“4”の範囲で変化することを考慮したものである。つまり、部分評価処理にあたって登録音声のエンベロープと入力音声のエンベロープとの対応関係が必ず確保されるように、変数Nがとり得る範囲を限定している。
【0090】
図19に示す“ちんちん”の入力音声を図18(A)に示す“ちんちん”の登録音声と比較する場合、変数Sが“−1”のときは図20(A)に示す要領で入力音声と登録音声との差異が評価され、変数Sが“0”のときは図20(B)に示す要領で入力音声と登録音声との差異が評価され、変数Sが“+1”のときは図20(C)に示す要領で入力音声と登録音声との差異が評価される。
【0091】
ステップS115では全ての登録音声との比較が完了したか否かを判別し、NOであれば、ステップS103で登録音声の指定を更新してからステップS94に戻る。この結果、登録音声の数に相当する数の総合評価値が得られる。
【0092】
ステップS119では、こうして求められた総合評価値の中から数値が最大の総合評価値を検出する。ステップS121では、検出された総合評価値が規定値を上回るか否かを判別する。ここでYESであればステップS123に進み、検出された総合評価値に対応する登録音声の識別番号を照合結果として決定する。一方、ステップS121でNOと判断されたときはステップS125に進み、上述のステップS93と同様、“−1”を照合結果として決定する。ステップS123またはS125の処理が完了すると、上階層のルーチンに復帰する。
【0093】
図8に示すステップS101の部分評価処理は、図10に示すフロー図に従って実行される。まずステップS131で、変数Nが“1”であるか否か判別する。ここでNOであれば直接ステップS135に進むが、YESであれば、ステップS133で変数X1およびX2を“0”に設定してからステップS135に進む。ステップS135では、閾値TH(N)を算出する。閾値TH(N)は、エンベロープ値EK(N)が大きいほど大きな値を示す。
【0094】
ステップS137では、エンベロープ値EK(N)およびE(N+S)の間の差分絶対値|EK(N)−E(N+S)|を閾値TH(N)と比較する。ここで、差分絶対値|EK(N)−E(N+S)|が閾値TH(N)以上であれば、そのまま上階層のルーチンに復帰する。一方、差分絶対値|EK(N)−E(N+S)|が閾値TH(N)未満であれば、ステップS139で変数X1をインクリメントし、ステップS141で変数Nが“1”を上回るか否かを判別する。
【0095】
ステップS141でNOであれば、そのまま上階層のルーチンに復帰する。ステップS141でYESであればステップS143に進み、エンベロープ値EK(N−1)およびE(N+S−1)の間の差分絶対値|EK(N−1)−E(N+S−1)|を閾値TH(N−1)と比較する。そして、差分絶対値|EK(N−1)−E(N+S−1)|が閾値TH(N−1)以上であれば、そのまま上階層のルーチンに復帰する。一方、差分絶対値|EK(N−1)−E(N+S−1)|が閾値TH(N−1)未満であれば、ステップS145で変数X2をインクリメントしてから、上階層のルーチンに復帰する。
【0096】
このような処理が142回繰り返されることで、変数X1は、登録音声と入力音声との間でエンベロープ値がほぼ等しい部分波形の数を示し、変数X2は、隣接する部分波形についてもエンベロープ値がほぼ等しい部分波形の数を示す。
【0097】
図8に示すステップS107の総合評価処理は、図11に示すフロー図に従って実行される。ステップS151では変数X1を“142”で割り算して係数R1を求め、ステップS153では変数X2を“141”で割り算して係数R2を求める。係数R1は、登録音声と入力音声との間でエンベロープ値がほぼ等しい部分波形の割合を示し、係数R2は、隣接する部分波形についてもエンベロープ値がほぼ等しい部分波形の割合を示す。ステップS155では、係数R1およびR2の平均値を総合評価値として算出し、算出処理が完了すると上階層のルーチンに復帰する。
【0098】
以上の説明から分かるように、犬オブジェクトDGに対して予め定められた操作入力に基づく芸披露指示は、ステップS3で受け付けられる。受け付けた芸披露指示に対応する芸の披露は、ステップS7でオブジェクトに要求される。任意の音声は、ステップS7の要求処理に関連して、ステップS17で取り込まれる。取り込まれた音声に合致する音声コマンドは、ステップS19の音声照合処理によって、登録音声の中から検索される。
【0099】
照合処理に失敗すると、照合結果は“−1”を示す。取り込まれた音声コマンドは、ステップS7でオブジェクトを表示制御することによって披露される芸に、ステップS31の処理によって割り当てられる。
【0100】
一方、照合処理によって発見された音声コマンドがステップS7で披露される芸に割り当てられた音声コマンドであれば、披露させる芸に割り当てられた関連度Lvが、ステップS53でインクリメントされる。犬オブジェクトDGは、関連度Lvによって異なる頷き動作をする。
【0101】
したがって、操作入力に対して、予め定められたオブジェクトの複数の動作表示制御に対して音声入力を対応させる(すなわち犬オブジェクトDGに芸を仕込む)べく手動の芸披露指示を発行すると、犬オブジェクトDGは指示に従う芸を披露する。ここで、任意の音声コマンドを発行すると、この音声コマンドが披露された芸に割り当てられる。同じ芸披露指示を再度発行し、オブジェクトによる芸の披露に関連して同じ音声コマンドを再度発行すると、披露された芸と発行された音声コマンドとの関連度Lvが増大する。犬オブジェクトDGの動きつまり出力メッセージは、この関連度Lvの増大に応じて変化する。出力メッセージが変化することで、犬オブジェクトDGに芸を仕込む一連の動作を楽しむことができる。
【0102】
なお、この実施例では、関連度Lvが“1”または“2”を示す登録音声(未確定の登録音声)の数に制限を設けていないが、たとえば未確定登録音声の数の上限を“5”とし、6つめの入力音声の登録に応じて最も古い未確定登録音声を削除するようにしてもよい。
【0103】
また、この実施例では、オブジェクトに芸を仕込むことを想定しているが、芸以外の動作をオブジェクトに仕込んでもよいことは言うまでもない。
【0104】
さらに、この実施例は、アクションゲームのようなコマンドが限定されるゲームでは完全な音声の解析は必要でないこと、すなわち、コマンドが限定されるゲームは入力音声が示す単語を周波数分布の解析によって特定するような負担の大きな処理を必要としないことを考慮して、上述のような簡便な処理を行おうとするものである。
【0105】
また、上述の実施例では、LCD12および14を縦方向に並べて配置するようにしているが、2つのLCDの配置は適宜に変更され得る。つまり、LCD12および14は、横方向に並べて配置するようにしてもよい。
【0106】
さらに、上述の実施例では、2画面をそれぞれ表示する2つのLCDを設けるようにしているが、表示部としてのLCDの数は適宜変更され得る。つまり、縦長形状の1つのLCDを設けて、その上下に分けた領域のいずれか一方側にタッチパネル22を設け、2つの画像をそれぞれの領域に表示するようにしてもよい。あるいは、横長形状の1つのLCDを設けて、その左右に分けた領域のいずれか一方側にタッチパネル22を設け、2つの画像をそれぞれの領域に表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】この発明の一実施例の外観を示す図解図である。
【図2】図1実施例の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1実施例に適用されるRAMのマッピング状態の一例を示す図解図である。
【図4】図1実施例に適用されるテーブルの構成の一例を示す図解図である。
【図5】図1実施例に適用されるCPUコアの動作の一部を示すフロー図である。
【図6】図1実施例に適用されるCPUコアの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図7】図1実施例に適用されるCPUコアの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図8】図1実施例に適用されるCPUコアの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図9】図1実施例に適用されるCPUコアの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図10】図1実施例に適用されるCPUコアの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図11】図1実施例に適用されるCPUコアの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図12】図1実施例に適用されるCPUコアの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図13】(A)は画面に表示される犬オブジェクトの一例を示す図解図であり、(B)は画面に表示される犬オブジェクトの他の一例を示す図解図であり、(C)は画面に表示される犬オブジェクトのその他の一例を示す図解図である。
【図14】“ちんちん”を表す音声波形の一例を示すグラフである。
【図15】図1実施例に適用されるCPUコアの動作の一部を示す図解図である。
【図16】図1実施例に適用されるCPUコアの動作の他の一部を示す図解図である。
【図17】図1実施例に適用されるCPUコアの動作のその他の一部を示す図解図である。
【図18】(A)は“ちんちん”の音声コマンドに対応する登録エンベロープの一例を示す図解図であり、(B)は“ふせ”の音声コマンドに対応する登録エンベロープの一例を示す図解図である。
【図19】“ちんちん”の音声コマンドに対応する入力エンベロープの一例を示す図解図である。
【図20】(A)は入力エンベロープと登録エンベロープとの照合動作の一例を示す図解図であり、(B)は入力エンベロープと登録エンベロープとの照合動作の他の一例を示す図解図であり、そして(C)は入力エンベロープと登録エンベロープとの照合動作のその他の一例を示す図解図である。
【符号の説明】
【0108】
10 …ゲーム装置
12,14 …LCD
22 …タッチパネル
24 …スティック
28 …メモリカード
32 …スピーカ
42 …CPUコア
48 …RAM
50,52 …GPU
54 …I/F回路
56,58 …VRAM
60 …LCDコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトに向けられた手動の動作指示を受け付ける受付手段、
前記受付手段によって受け付けた動作指示に対応する動作を前記オブジェクトに要求する第1要求手段、
前記第1要求手段の要求に関連して任意の音声コマンドを取り込む取り込み手段、
前記取り込み手段によって取り込まれた音声コマンドに合致する音声コマンドを前記オブジェクトの動作に割り当てられた音声コマンドの中から検索する検索手段、
前記検索手段が検索処理に失敗したとき前記取り込み手段によって取り込まれた音声コマンドを前記第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てる第1割り当て手段、
前記検索手段によって検索された音声コマンドが前記第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てられた音声コマンドであるとき前記第1要求手段の要求に応じた動作と前記取り込み手段によって取り込まれた音声コマンドとの関連性の高さを示す関連度を増大させる増大手段、および
前記増大手段によって増大された関連度によって異なるメッセージを出力する第1出力手段を備える、コマンド処理装置。
【請求項2】
音声コマンドに対応する動作を前記オブジェクトに要求する第2要求手段をさらに備える、請求項1記載のコマンド処理装置。
【請求項3】
前記第1要求手段の要求に応じた動作に対応する関連度が条件を満足するとき前記取り込み手段を不能化する不能化手段をさらに備える、請求項1または2記載のコマンド処理装置。
【請求項4】
前記増大手段は前記関連度を示す数値を増大させ、
前記不能化手段は前記関連度を示す数値が閾値に到達したとき前記取り込み手段を不能化する、請求項3記載のコマンド処理装置。
【請求項5】
前記検索手段が検索処理に失敗したとき前記第1要求手段の要求に応じた動作に対応する関連度が初期値を示すか否かを判別する判別手段、および
前記判別手段の判別結果が否定的であるとき前記判別手段によって注目される関連度を減少させる第1減少手段をさらに備え、
前記第1割り当て手段は前記判別手段によって注目される関連度が前記初期値よりも大きいとき割り当て動作を中止する、請求項1ないし4のいずれかに記載のコマンド処理装置。
【請求項6】
前記検索手段によって検索された音声コマンドが前記第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てられた音声コマンドと異なるとき前記検索手段によって検索された音声コマンドに対応する関連度を減少させる第2減少手段、および
前記第2減少手段によって減少された関連度が初期値を示すとき前記検索手段によって検索された音声コマンドに代えて前記取り込み手段によって取り込まれた音声コマンドを前記第1要求手段の要求に応じた動作に割り当てる第2割り当て手段をさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載のコマンド処理装置。
【請求項7】
前記関連度の減少に関連してメッセージを出力する第2出力手段をさらに備える、請求項5または6記載のコマンド処理装置。
【請求項8】
コマンド処理装置のプロセサに、
オブジェクトに向けられた手動の動作指示を受け付ける受付ステップ、
前記受付ステップによって受け付けた動作指示に対応する動作を前記オブジェクトに要求する第1要求ステップ、
前記第1要求ステップの要求に関連して任意の音声コマンドを取り込む取り込みステップ、
前記取り込みステップによって取り込まれた音声コマンドに合致する音声コマンドを前記オブジェクトの動作に割り当てられた音声コマンドの中から検索する検索ステップ、
前記検索ステップが検索処理に失敗したとき前記取り込みステップによって取り込まれた音声コマンドを前記第1要求ステップの要求に応じた動作に割り当てる第1割り当てステップ、
前記検索ステップによって検索された音声コマンドが前記第1要求ステップの要求に応じた動作に割り当てられた音声コマンドであるとき前記第1要求ステップの要求に応じた動作と前記取り込みステップによって取り込まれた音声コマンドとの関連性の高さを示す関連度を増大させる増大ステップ、および
前記増大ステップによって増大された関連度によって異なるメッセージを出力する第1出力ステップを実行させる、コマンド処理プログラム。
【請求項9】
前記プロセサに、音声コマンドに応じた動作を前記オブジェクトに要求する第2要求ステップをさらに実行させる、請求項8記載のコマンド処理プログラム。
【請求項10】
前記プロセサに、前記第1要求ステップの要求に応じた動作に対応する関連度が条件を満足するとき取り込み手段を不能化する不能化ステップをさらに実行させる、請求項8または9記載のコマンド処理プログラム。
【請求項11】
前記増大ステップは前記関連度を示す数値を増大させ、
前記不能化ステップは前記関連度を示す数値が閾値に到達したとき前記取り込みステップを不能化する、請求項10記載のコマンド処理プログラム。
【請求項12】
前記プロセサに、
前記検索ステップが検索処理に失敗したとき前記第1要求ステップの要求に応じた動作に対応する関連度が初期値を示すか否かを判別する判別ステップ、および
前記判別ステップの判別結果が否定的であるとき前記判別ステップによって注目される関連度を減少させる第1減少ステップをさらに実行させ、
前記第1割り当てステップは前記判別ステップによって注目される関連度が前記初期値よりも大きいとき割り当て動作を中止する、請求項8ないし11のいずれかに記載のコマンド処理プログラム。
【請求項13】
前記プロセサに、
前記検索ステップによって検索された音声コマンドが前記第1要求ステップの要求に応じた動作に割り当てられた音声コマンドと異なるとき前記検索ステップによって検索された音声コマンドに対応する関連度を減少させる第2減少ステップ、および
前記第2減少ステップによって減少された関連度が初期値を示すとき前記検索ステップによって検索された音声コマンドに代えて前記取り込みステップによって取り込まれた音声コマンドを前記第1要求ステップの要求に応じた動作に割り当てる第2割り当てステップをさらに実行させる、請求項8ないし12のいずれかに記載のコマンド処理プログラム。
【請求項14】
前記プロセサに、前記関連度の減少に関連してメッセージを出力する第2出力ステップをさらに実行させる、請求項12または13記載のコマンド処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2006−235774(P2006−235774A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46418(P2005−46418)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】