説明

コリメータレンズと物体間の間隔を測定する方法と装置

コリメータレンズ(13)と物体間の間隔(D)を測定する方法及び装置を開示している。低コヒーレンスの光を、光源(1)から放射して、この低コヒーレンスの光を、コリメータレンズ(13)を通過させて物体の方に偏向させる。コリメータレンズ(13)と物体から反射された光をビームスプリッタ(4)に偏向させて、二つのビームに分割する。基準辺内において、ビームの周波数を音響光学変調器(5)によって一定の周波数に偏移させるとともに、遅延辺内において、ビームの遅延時間を可変遅延線(7)によってスキャンさせる。両方のビームをビームコンバイナ(8)で結合した後、音響光学変調器(5)の偏移周波数と等しい周波数成分が存在するか否かを検出して、コリメータレンズ(13)と物体間の間隔(D)を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1にもとづく、コリメータレンズと物体間の間隔を測定する方法と、請求項12にもとづく、この間隔を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
漏れフロー、即ちブレード先端とタービン又はコンプレッサのシュラウドとの間の隙間を通して流れる流体は、ガスタービンにおける総合損失の大部分に対する原因となっており、局所的に熱伝達を増大させる可能性もある。膨張率と熱加速度が異なるために、この先端隙間は、一定ではなく、タービンの始動及び停止時間中において変化する。また、この先端隙間は、磨耗により、時間の経過とともに大きくなる。過度の磨耗又は損傷さえも引き起こすこととなるので、標準的な動作状態において、ブレードがシュラウドに接触しないように、タービンを設計しなければならない。
【0003】
先端隙間のデータがリアルタイムで得られれば、将来のタービンは、ブレード又はシュラウドへの冷却用空気の量を調節することによって、先端隙間を能動的に制御することができるようになろう。また、この先端隙間を監視することにより、保守段階の状態に関する貴重な情報を得ることができる。現在の先端隙間用プローブは、特許文献1〜4などに記載されている誘導又は容量型のものであり、典型的には5%の精度を有する。このプローブをタービンケーシングと同一面内に搭載することができる場合には、これで十分であり、絶対誤差を小さく保持することができる。これらのセンサーの最大動作温度は、使用する希土類磁石のキュリー点近傍にあり、第一タービン段落における温度より遥かに低い。また、温度が高いために、シュラウドと同一面内にある光学的なプローブに対して光学的な接続手段を提供することはできない。シュラウド内の保護用の窪みにプローブを搭載した場合、相対的な測定誤差は、絶対値において大きくなりすぎてしまう。
【0004】
特許文献4は、回転するブレード上の封止用フィンと隣接する固定構造間の隙間を回転時間中に観測することを可能とする装置を開示しており、この装置は、固定構造上に、ブレード上の封止用フィンを跨ぐように配備された屈折プリズムを有する。関連するディスク上にあるブレードのステージを、固定構造に向かって動かすと、プリズムを通して屈折された光は、このフィンによって掩蔽されることとなる。一つの実施形態において、掩蔽されない光に対する掩蔽された光の比率を利用して、電気信号を生成し、次にこれらの電気信号を処理して、隙間の大きさを示すようにしている。
【0005】
特許文献6は、当該のセンサーを通過して移動する面との間隔と位置を計測するためのダイナミックセンサーに関する。
【特許文献1】米国特許明細書第6,437,583号
【特許文献2】米国特許明細書第6,114,862号
【特許文献3】米国特許明細書第6,320,394号
【特許文献4】米国特許明細書第6,362,633号
【特許文献5】米国特許明細書第5,572,039号
【特許文献6】米国特許明細書第5,739,524号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、動いているブレードとタービンのシュラウド間の間隔を測定するための新しいプローブ構造と方法を見出すことであり、その際測定誤差が、プローブとブレード先端間の間隔に依存せず、その結果センサーを冷却された窪み内に搭載することによって、第一タービン段落でセンサーを使用することを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にもとづき、請求項1の特徴に記載した通り、コリメータレンズと物体間の間隔を測定する方法が見出された。また、この発明は、請求項12の特徴に記載した通り、コリメータレンズと物体間の間隔を測定する装置を提示している。
【0008】
基準辺と遅延辺間におけるビーム強度の比率を調節するために、基準辺に可変減衰器を配備することができる。繊細な光源を背面反射から保護するために、光源とコリメータレンズとの間には、光ファイバーアイソレータを配備することができる。更に、基準辺と遅延辺からのビームをビームコンバイナで結合する工程の後で、かつ光フィルターを用いて、選定した周波数における電力スペクトル強度を検出する工程の前に、ビームをフィルター処理する工程を含めることができる。
【0009】
コリメータレンズと物体に対する低コヒーレンスの光の放射と検出は、サーキュレータを用いて、或いは物体に入射する光と物体から出射する光に対する二つの別個のファイバーによって実施することができる。この場合、これらの二つのファイバー長の合計を、遅延辺における固定遅延によって補償しなければならない。
【0010】
この発明による方法によって、シュラウドとタービンブレード間の間隔を測定することができる。この場合、コリメータレンズは、シュラウド、例えば冷却された窪み内に配備される。この場合、この間隔は、タービンの動作時間中、例えばタービンの始動又は停止時間中に測定することができる。複数のタービンブレードとの間隔を、それらがシュラウドに配備された単一のコリメータレンズを通過する間に測定することも可能である。先端隙間と同時に、ブレードの通過時間を測定して、ブレードの振動(先端のタイミング)を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面は、この発明にとって重要な部分だけを図示している。
【0012】
図1は、この発明にもとづく、タービンブレード14の先端15とタービンのシュラウド16との間の先端隙間Dを測定するための低コヒーレンス干渉計の模式的な構成を図示している。光源1として、超光発光ダイオード、例えばシングルモードファイバーに対し1310nmにおいて10mW、スペクトル幅35nm、最大許容後方散乱10-3のスーパールム社製ダイオード、モデルSLD56−HP2が、シングルモードファイバーに低コヒーレンスの光を放射している。光ファイバーアイソレータ2(後方散乱−60dB未満)が、繊細な光源を背面反射から保護している。光は、(図1に図示されていない)タービンブレード14に向かって、光サーキュレータ3とコリメータレンズ13を通過して進行する。
【0013】
図2に図示されている通り、コリメータレンズ13は、シュラウド16と同一面内、例えば冷却されている窪み内に配備されている。この場合、間隔Dは、タービンの動作時間中、例えばタービンの始動又は停止時間中に測定することができる。複数のブレード14との間隔Dを、これらのブレードがシュラウド16に配備された単一のコリメータレンズ13を通過する間に測定することも可能である。ωは、タービンブレード14の回転速度を示す。更に図2に図示さている通り、光12の中の僅かな一部が、通過しているブレード先端15から、コリメータレンズ13の方及びファイバー内をサーキュレータ3の方に反射されて、そこで光は、干渉計の方に偏向されて進行する。同様に、元の光12の中の僅かな部分が、フレネル反射(光線BとC)によって、コリメータレンズ13の両面で反射される。ブレード先端15から反射された光を光線Aと、レンズの前面及び背面から反射された光を光線B及びCと、それぞれ表示している。複数回の内部反射が可能であり、アスタリスクを付けて表示している。
【0014】
タービンからの光は、ビームスプリッタ4によって、干渉計の二つの辺に分割されている。この基準辺では、音響光学変調器5が、周波数を55MHzに偏移させており、可変減衰器6により、基準辺と遅延辺間における強度の比率を調節することが可能となっている。この遅延辺には、電動式の可変遅延線7(ジェネラルフォトニクス社製、遅延0〜330ps、0.3μmステップ、移動速度10mm/s)が有る。これらの二つの辺は、ビームコンバイナ8で結合される。検出器10として、光受容器(ニューフォーカス社製、モデル1811、900〜1700nm、帯域幅125MHz)を使用している。この検出器10の前には、タービンでの火炎自発光によるノイズをフィルターで除去するために使用する光学フィルター9を配備することができる。データは、デジタルストレージオシロスコープで記録、前処理されて、パーソナルコンピュータ11に転送される。
【0015】
図3は、光源1のコヒーレンス関数を図示している。−3dB幅は、僅か140μmであり、従って二つの光線は、経路長の差がこのコヒーレンス長より短い場合にのみ、互いに干渉することができる。これらの二つの干渉計辺の経路長(ビームスプリッタ4とビームコンバイナ8との間)をIref とIdelay で表示している。光線Aでのタービンと干渉計間の経路長は、光線BとCでの経路長よりも長い。図2に図示されている通り、ブレード先端15とコリメータレンズ13の背面間の間隔、即ち先端間隔は、Dであり、コリメータレンズ13の厚さは、dである。従って、光線AとB及びC間における経路長の差は、それぞれ2(D+d)と2Dである。
【0016】
可変遅延線7が、例えばIref +2(D+d)=Idelay となるように設定されている場合、基準辺を通る光線Aの部分は、遅延線7を通る光線Bの部分と干渉することができる。音響光学変調器5の周波数(55MHz)は、他の光線及び火炎自発光のその他の干渉に寄与しない部分からの信号成分と一緒に、検出器10において観測される。同様に、光線AとC間の干渉は、Iref +2D=Idelay の場合に観測される。このシステムは、コリメータレンズ13の厚さdと屈折率が既知であるので、光線BとCが互いに干渉する、即ちIref +2D=Idelay となるような遅延に調整することによって、自己較正することができる。
【0017】
この発明の例
様々な深さ(0〜4.8mm)のノッチを持つ回転する(60Hz)アルミニウムディスクを使用して、タービン段落をシミュレーションする。使用する標準的なコリメータレンズ13は、超光発光ダイオードの波長に対して最適化されており、レンズからの表面反射は僅かである。これは、高温のタービン内で使用する特注のサファイヤ光学系の実例とは異なる。二つのレンズ面をシミュレートするために、このディスク上に透明なプラスチックディスク(各層を剥ぎ取ったCD−ROM、厚さd=1.2mm)を接着している。典型的なブレード通過時間を再現するために、人為的に測定時間を1μsに制限している。遅延線を、測定範囲の上限である100mmの範囲に渡り、30μmステップで掃引させながら、検出器11の出力において、55MHzでの電力スペクトル強度を記録する。掃引速度は、遅延がディスクの一回転当たりコヒーレンス長未満で変化するように設定しなければならない。この場合のタイミング設定では、一つの隙間だけが測定されるが、各ブレード14に対する信号を蓄積することによって、すべての隙間(ブレード14)の測定を同時に実行することができ、従ってそれは、単にデータ処理を修正する事柄にすぎない。
【0018】
図4は、D=4.8mmの回転するホイール形状に対する遅延線設定における55MHzでの電力スペクトル強度を示している。横軸は、既に深度kに変換済みである、即ち経路長の間隔における係数2を盛り込んでおり、この変換には光の速度を使用している。幾つかのピークが見られ、干渉する光線の様々な異なる組み合わせを示している。始点における第一のピークは、すべての光線のそれ自身との間の干渉、即ち干渉計の両方の辺が同じ長さ(Iref =Idelay )である場合に相当する。その結果、これは最も強いピークとなっている。1.83mm≒d’における第二のピークは、干渉計の遅延辺を通る光線B(レンズの前面)と基準辺を通る光線C(レンズの背面)間の干渉を示している。符号d’は、シミュレートしているレンズの厚さとその屈折率との乗積を示している。
【0019】
「Iref /Cdelay 」と符号を付与したピークは、基準辺を通る光線A(ブレード先端15)と遅延辺を通る光線C(レンズの背面)間の干渉により生じたものである。このピークと第一のピークとの間の間隔は、測定対象の先端間隔Dである。次の6.64mm≒D+d’におけるピークは、又もや光線Aと光線B(レンズの前面)間の干渉から生じたものである。後者の二つのピークの間隔は、又もやd’≒1.84mmである。同じ経路長の差は、組み合わせA* ref /Cdelay で生じている。図4では、更に三つの弱いピークに符号を付与しており、これらは、レンズ内での複数回の反射によるものである。例えば、3.67mm≒2d’におけるピークは、遅延辺を通る光線Cと、二つのレンズ面間で一回反射されて通り抜けてきた光線Cとの間の干渉により生じたものである。8.47mm≒D+2d’におけるピークは、遅延された光線Bと、戻りの経路上のレンズ内で一回反射された光線Aによって説明される。表1は、これらの結果を要約したものである。この表に挙げたすべてのピークが、各測定時に観測された訳ではなく、各ピークに対して、d’とD間におけるすべての順列が与えられる訳ではない。
【0020】
【表1】

【0021】
この構成又はタービンでの複数回の反射による信号は、主要なピークよりも15dB弱い。ノッチの深さに対して光学的に測定された値である4.79は、4.80mmの公称値と非常に近い。測定したレンズの厚さは、その屈折率(この場合、CD−ROMのECMA−130標準により1.55)によって調節しなければならない。従って、この測定された厚さは、d=d’/1.55=1.19mmとなり、これは、また従来の測定値1.20mmと非常に近い。
【0022】
この統計的誤差は、コヒーレンス長の半分と見積もられる。系統的誤差は、仮定したレンズの屈折率の誤差、先端隙間Dを通る火炎流における密度と温度の変化による光の速度の僅かな変動、及び可変遅延線の位置決め誤差に起因している。これらの作用の合計は、100μm未満と見積もられる。先端隙間Dは、各スキャンとして複数回エンコードされ(図4を参照)、それらは、不確定性を低減するために使用することができる。dとDが互いに整数倍である場合、問題が起きる場合がある。その場合、複数のピークが一致して、dとDの測定を区別できなくしてしまう。この精度は、プローブと物体間の間隔に依存しない。しかし、ファイバーに反射される光の量は、間隔の二乗に応じて減少することと、それ故信号対雑音比は、間隔が大きくなるに従って減少することに留意されたい。
【0023】
雑音の除去は優れており、信号対雑音比は、30dBより大きい。干渉した際の処理前の信号の変調度は、10%のオーダーである。これらの値は、火炎自発光の存在により劣化するが、これまで組み入れていなかった光バンドパスフィルターを使用することで、望ましくない光の多くを抑制して、検出器の飽和を回避することができる。この技術の精度と速度の間には、相反する関係が存在する。精度は、大部分光源のコヒーレンス長によって決まる。コヒーレンス長が短くなる程、精度は高くなるが、遅延線の最大掃引速度も低下する。
【0024】
サーキュラ3の無い構成が可能であるが、それには、タービンに入射する光とタービンから出射する光用に二つの別々のファイバーが必要である。この場合、二つのファイバーの長さの合計は、遅延辺の固定遅延によって補償しなければならない。
【0025】
音響光学変調器5の周波数偏移は、十分に多くの発振が1μsのブレード通過時間内に入る程度に大きく、しかし特別な高帯域光検出器を必要としない程度に小さく選定した。すべてのブレード14を同時に測定するために、タービンシャフト上のエンコーダが基準時間を提供する措置をとっている。これらの段階においてブレード14の位置と数が既知であるため、それらがプローブ位置を通過する時間窓(実際の通過時間の数倍)を規定することができる。これらの窓の時間中におけるデータが必要であり、55MHzでの電力スペクトル強度をその時点のブレード番号とともに記録している。シャフトが、それぞれ所望の測定範囲をカバーするまで回転した後に、遅延線を移動する。このようにして、各ブレード14に対して、図4に図示したスキャンが生成され、これらを解析することができる。
【0026】
この発明にもとづき提示した方法による先端隙間Dの測定は、コリメータレンズ3とブレード先端15間の間隔に依存しない高い精度(100μm未満の誤差)を有する。50mm以上の広い測定範囲、即ち光学遅延線の範囲の半分が可能である。先端隙間Dが数ミリメートルの範囲内にある典型的な設定に対して、この技術は、各ブレード14に関して、毎秒1回データを生成することができる。このことにより、タービンの始動と停止時間中における過渡的な作用を観測することができるようになる。流体又は材料の作用における変化は、光の速度における最小限の変化によるもの以外には、影響を及ぼさない。先端隙間Dと同時に、ブレードの振動(先端のタイミング)を検出することができるように、ブレードの通過時間を測定している。
【0027】
二元的な特性(55MHz信号が存在するか否か)のために、この技術は、高温のタービン内における過酷な環境に曝されるのに対して、非常に頑丈であると見込まれる。任意の長さの単一のファイバーだけは、タービン筐体に入れなければならない。残りの光学系及び電子機器は、タービンから任意の距離に配置することができ、従って熱、雑音及び振動から隔離することができる。
【0028】
この発明を一つの例により記述したが、当業者が別の形態を採用することができることは明らかである。従って、この発明の範囲は、添付した請求項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】低コヒーレンス干渉計の実験構成。
【図2】コリメータレンズの表面とブレード先端からの反射。
【図3】超光発光ダイオードのコヒーレンス関数(遅延t[μm]に対する55MHzでの電力スペクトル強度[dB])。
【図4】60Hzで回転する試験物体と4.8mmの先端隙間をシミュレートした場合の遅延tに対する55MHzでの電力スペクトル強度[dB]。
【符号の説明】
【0030】
1 光源
2 光アイソレータ
3 サーキュラ
4 ビームスプリッタ
5 音響光学変調器
6 可変減衰器
7 可変遅延線
8 ビームコンバイナ
9 光学フィルター
10 検出器
11 コンピュータ
12 光
13 コリメータレンズ
14 タービンブレード
15 タービンブレード14のブレード先端
16 シュラウド
A,B,C,A* ,C* 光線
d コリメータレンズ13の厚さ
d’ コリメータレンズ13の光学的厚さ
D 先端隙間
k 深度
t 遅延
ω タービンブレード14の回転速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コリメータレンズ(13)と物体間の間隔(D)を測定する方法であって、
(a)光源(1)から低コヒーレンスの光を放射する工程と、
(b)この低コヒーレンスの光をコリメータレンズ(13)を通して物体に偏向させる工程と、
(c)コリメータレンズ(13)と物体から反射された光を検出する工程と、
(d)この反射された光をビームスプリッタ(4)に送出して、この光を基準辺と遅延辺の二つのビームに分割する工程と、
(e)音響光学変調器(5)によって、基準辺のビームの周波数を一定の周波数に偏移させる工程と、
(f)可変遅延線(7)によって、遅延辺のビームの遅延時間をスキャンさせる工程と、(g)ビームコンバイナ(8)で、基準辺と遅延辺からのビームを結合する工程と、
(h)選定した周波数における電力スペクトルの強度を検出する工程と、
(i)得られたデータから、コリメータレンズ(13)と物体間の間隔(D)を計算する工程と、
を有する方法。
【請求項2】
基準辺と遅延辺におけるビーム強度の比率を、基準辺内の可変減衰器(6)で調節する工程を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該の低コヒーレンスの光をコリメータレンズ(13)に偏向させる工程の前に、この光が、光ファイバーアイソレータ(2)を通過するように偏向させる工程を有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
当該のビームコンバイナ(8)で基準辺と遅延辺からのビームを結合する工程の後で、かつ当該の選定した周波数における電力スペクトルの強度を検出する工程の前に、当該のビームをフィルタ処理する工程を有する請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
当該の低コヒーレンスの光をコリメータレンズ(13)と物体に放射する工程及びこれらからの低コヒーレンスの光を検出する工程を、サーキュレータ(3)を用いて行う請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
当該の低コヒーレンスの光の送出及び放射を、物体に入射する光と物体から出射する光に対して、二つの別々のファイバーを通して行う請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
コリメータレンズ(13)がシュラウド(16)に配備されており、このシュラウド(16)と物体としてのタービンブレード(14)間の間隔(D)を測定する工程を有する請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
当該のシュラウド(16)とタービンブレード(14)間の間隔(D)を、タービンが動作している時間中に測定する工程を有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
当該のシュラウド(16)とタービンブレード(14)間の間隔(D)を、タービンが始動又は停止する時間中に測定する工程を有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
シュラウド(16)と複数のタービンブレード(14)間の間隔(D)を、これらのタービンブレードがシュラウド(16)にあるコリメータレンズ(13)を通過する時間中に測定する工程を有する請求項7から9までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
当該のタービンブレード(14)が通過する時間を測定する工程を有する請求項7から10までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
コリメータレンズ(13)と物体間の間隔(D)を測定する装置であって、
(a)光源(1)と、
(b)光源(1)と接続されたコリメータレンズ(13)と、
(c)コリメータレンズ(13)と物体から反射された光を基準辺と遅延辺の二つのビームに分割するビームスプリッタ(4)と、
(d)基準辺内にある音響光学変調器(5)と、
(e)遅延辺内にある可変遅延線(7)と、
(f)基準辺と遅延辺からのビームを結合するビームコンバイナ(8)と、
(g)選定した周波数における電力スペクトルの強度を検出する検出器(10)と、
(h)得られたデータから、コリメータレンズ(13)と物体間の間隔(D)を計算する処理ユニットと、
を有する装置。
【請求項13】
光源(1)とコリメータレンズ(14)との間に、サーキュレータ(3)を更に有する請求項12に記載の装置。
【請求項14】
基準辺内に、基準辺と遅延辺におけるビーム強度の比率を調節する可変減衰器(6)を更に有する請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
光源(1)とコリメータレンズ(13)の間に、当該の低コヒーレンスの光を偏向させる光ファイバーアイソレータ(2)を更に有する請求項12から14までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
ビームコンバイナ(8)と検出器(10)の間に、光学フィルター(9)を更に有する請求項12から15までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
コリメータレンズ(13)をタービンのシュラウド(16)に配備して、タービンブレード(14)との間の間隔(D)を測定する請求項12から16までのいずれか一つに記載の装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動いているタービンブレード(14)の先端(15)とタービンのケーシング(16)間の間隔(D)を測定する方法であって、
(a)光源(1)から低コヒーレンスの光を放射する工程と、
(b)コリメータレンズ(13)の背面が、タービンのケーシング(16)の表面レベルに配置されており、この低コヒーレンスの光をコリメータレンズ(13)を通してブレード先端(15)に偏向させる工程と、
(c)コリメータレンズ(13)とブレード先端(15)から反射された光をビームスプリッタ(4)に偏向させて、その結果得られた第一のビームを基準辺に、そしてその結果得られた第二のビームを遅延辺に偏向させる工程と、
(d)音響光学変調器(5)を用いて、基準辺のビームの周波数を所定の周波数に偏移させる工程と、
(e)可変遅延線(7)を用いて、遅延辺のビームの遅延時間をスキャンさせる工程と、
(f)ビームコンバイナ(8)を用いて、基準辺のビームと遅延辺のビームを結合する工程と、
(g)音響光学変調器により決められた周波数における、コリメータレンズ(13)から反射された光と動いているブレード先端(15)から反射された光の干渉の結果生じる電力スペクトルを検出する工程と、
(h)得られた電力スペクトルから、タービンのケーシング(16)と動いているタービンブレードの先端(15)間の間隔(D)を計算する工程と、
を有する方法。
【請求項2】
基準辺のビームの強度と遅延辺のビームの強度の比率を、基準辺のビーム内に配置した可変減衰器(6)で調節する工程を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該の低コヒーレンスの光をコリメータレンズ(13)に偏向させる前に、この光が、光ファイバーアイソレータ(2)を通過するように偏向させる工程を有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
当該のビームコンバイナ(8)から出射されたビームを、電力スペクトルを検出する前にフィルタ処理する工程を有する請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
サーキュレータ(3)を用いて、当該の低コヒーレンスの光をコリメータレンズ(13)及びタービンブレードの先端(15)に偏向させるとともに、これらからの低コヒーレンスの光を偏向させる請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
二つの別々のファイバーを用いて、当該の低コヒーレンスの光をタービンブレードの先端(15)に偏向させるとともに、タービンブレードの先端(15)からの低コヒーレンスの光を偏向させる請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
タービンのケーシング(16)とタービンブレードの先端(15)間の間隔(D)を、タービンが動作している時間中に測定する請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
タービンのケーシング(16)とタービンブレードの先端(15)間の間隔(D)を、タービンが始動又は停止する時間中に測定する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
タービンのケーシング(16)と複数のタービンブレードの先端(15)間の間隔(D)を測定する請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
各タービンブレード(14)が通過している時間中の時点を測定する請求項7から9までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
タービンのケーシング(16)と動いているタービンブレード(14)の先端(15)間の間隔(D)を測定する装置であって、
(a)低コヒーレンスの光源(1)と、
(b)コリメータレンズの軸がブレード先端(15)の表面に対してほぼ垂直に延びる、タービンのケーシング(16)のレベルに配置されたコリメータレンズ(13)と、
(c)コリメータレンズ(13)とブレード先端(15)から反射された光ビーム内に配置されたビームスプリッタ(4)と、
(d)ビームスプリッタ(4)から出射される基準辺のビーム内に配置された音響光学変調器(5)と、
(e)ビームスプリッタ(4)から出射される遅延辺のビーム内に配置された可変遅延線(7)と、
(f)基準辺のビーム内で、かつ遅延辺のビーム内に配置されたビームコンバイナ(8)と、
(g)ビームコンバイナ(8)から出射された光ビーム内に配置された検出器(10)と、
(h)検出器(10)と接続された処理ユニットと、
を有する装置。
【請求項12】
低コヒーレンスの光源(1)とコリメータレンズ(14)との間に、サーキュレータ(3)を更に有する請求項11に記載の装置。
【請求項13】
基準辺のビーム内に、可変減衰器(6)を更に有する請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
低コヒーレンスの光源(1)とコリメータレンズ(13)の間に、光ファイバーアイソレータ(2)を更に有する請求項11から13までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
ビームコンバイナ(8)と検出器(10)の間に、光学フィルター(9)を更に有する請求項11から14までのいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−515679(P2006−515679A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501988(P2006−501988)
【出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050045
【国際公開番号】WO2004/068064
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】