説明

コロイドナノ粒子を利用したコロイドフォトニック結晶及びコロイドフォトニック結晶基材の製造方法

【課題】コロイドナノ粒子含有溶液に粘弾性物質を添加しコロイドフォトニック結晶を製造することによってコロイド溶液の中で分散媒乾燥時に均一でない体積収縮が起きても粘弾性物質の弾性力によって均一な体積収縮が起きて表面に欠陷のない大面積の2次元または3次元のコロイドフォトニック結晶を粒子の大きさの制限なしに短時間で製造することができるコロイドナノ粒子を利用したコロイドフォトニック結晶及びコロイドフォトニック結晶基材の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ナノ粒子及び前記ナノ粒子を一定の弾性をもって固着させる粘弾性物質を含むことを特徴とするコロイドフォトニック結晶を提供する。また、コロイドフォトニック結晶粒子の空隙にまた別の層のコロイド粒子、半導体粒子、金属粒子、または金属酸化物粒子を自己構成する工程を含むことを特徴とするコロイドフォトニック結晶基材の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコロイドナノ粒子を利用したコロイドフォトニック結晶及びコロイドフォトニック結晶基材の製造方法に関するものであって、より詳しくは、コロイド溶液の中に粘弾性物質を添加して分散媒乾燥時に均一でない体積収縮が起きても、粘弾性物質の弾性力によって均一な体積収縮が起きて表面に欠陥のない大面積の2次元または3次元のコロイドフォトニック結晶を粒子の大きさの制限なしに短時間で製造することができるコロイドナノ粒子を利用する、コロイドフォトニック結晶及びコロイドフォトニック結晶基材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォトニック結晶は格子間隔が数十ナノ〜数マイクロの規則的な構造を持っている結晶であって、紫外線、可視光線、赤外線領域の光の特性を調節することができる。このようなフォトニック結晶は既に美しい光を出すオパール、蝶、貝殻など自然界に存在していることから、これらの構造を観察してこれらを人為的に作ることが発展してきた。
【0003】
上記のようなフォトニック結晶を製造する代表的な方法としては、従来の半導体工程に利用されたフォトリソグラフィとイオンビームエッチングのようなトップダウン(top‐down)の方法と均一な大きさのナノ粒子を規則的に配列するボトムアップ(bottom‐up)の方法がある。
【0004】
従来のフォトリソグラフィとイオンビームエッチングを介したフォトニック結晶の製造方法は精巧に規則的な構造を作ることができるという長所があるが、大面積のフォトニック結晶製造のためには非常に高い付帯費用と長い工程時間が要求されるという問題点があった。一方、ナノ粒子の自己構成を介したフォトニック結晶の製造(特許文献1)は付帯設備が不要であり短時間で大面積のフォトニック結晶を製造することができるという長所があるが、これによっても欠陥のない大面積のフォトニック結晶を製造することは困難であった。従って、ナノ粒子の自己構成を介したフォトニック結晶の製造分野で欠陥のない大面積のフォトニック結晶を短時間内に積むことができる技術は商業的な利用において最も核心的で優先されなければならない課題である。
【0005】
特に、高分子コロイドナノ粒子を利用したフォトニック結晶の製造は最近になって盛んに研究されており、代表的なものには重力による沈澱法(非特許文献1)、垂直沈澱法(非特許文献2)、温度分布による垂直沈澱法(非特許文献3、4)、電気永動法(非特許文献5)などがある。
【0006】
上記重力による沈澱法は、高分子及びシリカコロイドが分散された溶液を長い間置いておくと、重力によって粒子が底に沈澱しながら自己構成となる現象を利用したものであるが、工程時間が非常に長く、フォトニック結晶に欠陥が生ずるという問題点があった。また、それ以外の方法は比較的短い工程時間に大面積のフォトニック結晶を製造することができるが、これもやはりフォトニック結晶に欠陥が生ずるという問題点があった。
【0007】
また、高分子コロイド粒子を利用して2次元または3次元のフォトニック結晶を製造する場合、一般に球形のコロイド粒子は面心立方体(face centered cubic;FCC)の構造として自己構成される。この場合、コロイド溶液中の粒子は溶媒が蒸発することによって基板上にコロイド粒子が自己構成されるが、この時コロイド粒子は体積費が54%になるまでは流動性を有するが、それ以上の体積費においては流動性のない結晶状となる。以後、コロイド粒子の体積費が74%になるまで溶媒が蒸発され、この結晶状の自己構成されたコロイド粒子の体積が収縮するようになる(非特許文献6)。このような溶媒の乾燥過程でコロイド粒子は不均一な体積収縮を起こし、これによって欠陥が発生するようになる。
【0008】
上記のような体積収縮から生じる欠陥を解決するために、基板成分として流動性を有する液体金属を利用する方法もあるが、これは商業的に活用しにくいという問題点があった(非特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国公開特許第2003‐0083913号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】H.Miguez et al.Adv.Mater.10、480(1998)
【非特許文献2】P.Jiang et al.,Chem.Mater11、2132(1999)
【非特許文献3】Y.A.Vlasov et al.,Nature(London)414、289(2001)
【非特許文献4】J.D.Joannopoulos, Nature(London)414、257(2001)
【非特許文献5】A.L.Rogach et al., Chem.Mater.12、2721(2000)
【非特許文献6】Cheng at al., Nature(London)410、893(1999)
【非特許文献7】Griesebock et al.,Chem Mater.14、4023(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明はコロイド溶液から分散媒を乾燥させる際に均一でない体積収縮が起きても、粘弾性物質の弾性力によって均一な体積収縮を生じて表面に欠陥のない大面積の2次元または3次元のコロイドフォトニック結晶を粒子の大きさの制限なしに短時間で製造することができる、コロイドナノ粒子を利用したコロイドフォトニック結晶、及び前記フォトニック結晶を利用したコロイドフォトニック結晶基材の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的は、フォトニック結晶を要するレーザー、センサー、圧電センサー、アクチュエータ、クロマトグラフィーの分離膜、触媒の担体、光学集積回路、光学フィルター、液晶配向膜、超親水または超撥水膜、フォトマスク、反射防止膜、ディスプレイ素子などに適用することが適当であるコロイドナノ粒子を利用したコロイドフォトニック結晶、及び前記フォトニック結晶を利用したコロイドフォトニック結晶基材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明は、自己構成されたナノ粒子及び前記ナノ粒子を一定の弾性をもって固着させる粘弾性物質を含むことを特徴とするコロイドフォトニック結晶を提供する。
【0014】
また、本発明は、上記方法によって製造されたコロイドフォトニック結晶粒子の空隙にまた別の層のコロイド粒子、半導体粒子、金属粒子、または金属酸化物粒子を自己構成する工程を含むことを特徴とするコロイドフォトニック結晶基材の製造方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、上記方法によって製造されたコロイドフォトニック結晶を鋳型にして逆相鋳型を製造する工程; 及び前記逆相鋳型の構造及び形態を基材に転写する工程を含むことを特徴とするコロイドフォトニック結晶基材の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コロイド溶液から分散媒を乾燥させる時に均一でない体積収縮が起きても、粘弾性物質の弾性力によって均一な体積収縮が起き、表面に欠陥のない大面積の2次元または3次元のコロイドフォトニック結晶を粒子の大きさの制限なしに短時間で製造することができ、フォトニック結晶を要するレーザー、センサー、圧電センサー、アクチュエータ、クロマトグラフィーの分離膜、触媒の担体、光学集積回路、光学フィルター、液晶配向膜、超親水または超撥水膜、フォトマスク、反射防止膜、ディスプレイ素子などに応用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による欠陥のないコロイドフォトニック結晶の製造原理を従来のコロイドフォトニック結晶製造時と比べて説明した概念図である。
【図2】本発明の一実施例と同様に製造したコロイドフォトニック結晶の電子走査顕微鏡写真である。
【図3】本発明の一実施例と同様に製造したコロイドフォトニック結晶の電子走査顕微鏡写真である。
【図4】本発明の一実施例と同様に製造したコロイドフォトニック結晶の、反射角度によって反射される光の波長による強度を示したグラフである。
【図5】本発明の一実施例と同様に製造したコロイドフォトニック結晶の、逆相構造と転写された構造を示した電子走査顕微鏡写真である。
【図6】本発明の一実施例と同様に製造したコロイドフォトニック結晶の、逆相構造と転写された構造を示した電子走査顕微鏡写真である。
【図7】比較例と同様に製造したコロイドフォトニック結晶の電子走査顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明者たちは、コロイドナノ粒子含有溶液の分散媒に粘弾性物質を添加して溶解させた後に前記分散媒を乾燥させた結果、乾燥時粘弾性物質の弾性力によって均一な体積収縮が起き、これによって最終的に欠陥のないコロイドフォトニック結晶を製造することができることを確認し、これに基づいて本発明を完成した。
【0020】
本発明のコロイドフォトニック結晶は、コロイドナノ粒子を含む溶液に粘弾性物質を添加した後、前記溶液から分散媒を蒸発させ、コロイドナノ粒子を基板上に自己構成させて製造することを特徴とする。
【0021】
本発明に使われる前記粘弾性物質は、コロイド溶液の分散媒乾燥時に発生する体積収縮を均一にして、最終的に生成するコロイドフォトニック結晶の欠陥の発生を防止する作用を有する。
【0022】
前記粘弾性物質は通常の粘弾性を持っている物質であれば大きく制限されないが、コロイドナノ粒子含有溶液の分散媒に溶解されうる化合物を使った方が良い。
【0023】
具体的には、前記粘弾性物質が添加される溶液が水分散コロイドナノ粒子溶液である場合、水溶液にとけて粘弾性を示すことができるすべての物質、特にポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリエチレングリコール、またはポリエチレンアミン、デキストリンなどを使うことができ、前記粘弾性物質が添加される溶液が有機溶媒に分散されたコロイドナノ粒子溶液である場合、有機溶媒にとけて粘弾性を示すすべての物質、特にポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸塩、またはポリ塩化ビニルなどを使用することができる。
【0024】
前記粘弾性物質は重量平均分子量(Mw)が10乃至1,000,000であることが望ましい。
【0025】
上記のような粘弾性物質はナノ粒子を含むコロイドナノ粒子溶液中0.04乃至1重量部で含まれることが望ましく、その含量が0.04重量部未満である場合には粘弾性物質の量が少ないため欠陥のないコロイド結晶の製造が難しいという問題点があり、1重量部を超過する場合には粘弾性物質の量が過度であるため粘弾性物質がコロイド粒子の自己構成を邪魔してコロイド結晶が形成されることを阻害するようになるという問題点がある。
【0026】
上記のような粘弾性物質がコロイドナノ粒子含有溶液に添加された後、この溶液から分散媒を蒸発させ基板上に自己構成させることによって最終コロイドフォトニック結晶を得ることができる。
【0027】
具体的には、本発明のコロイドフォトニック結晶はナノ粒子を分散媒に均一に分散させる工程;前記溶液に粘弾性物質を添加し溶解させる工程;前記溶液の分散媒を蒸発させ粒子を分散媒‐空気‐基板の界面に自己構成させる工程; 及び前記界面に自己構成された粒子を連続的に基板上へ移す工程から製造することができる。
【0028】
前記ナノ粒子は特に限定されるのではないが、ポリスチレン、ポリアルファメチルスチレン、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸メチル、ポリベンジルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリ-1-メチルシクロヘキシルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリクロロベンジルメタクリレート、ポリ-1-フェニルエチルメタクリレート、ポリ-1,2-ジフェニルエチルメタクリレート、ポリジフェニルメチルメタクリレート、ポリフルフリルメタクリレート、ポリ-1-フェニルシクロヘキシルメタクリレート、ポリペンタクロロフェニルメタクリレート、ポリペンタブロモフェニルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン、またはポリ-N-イソプロピルアクリルアミドなどの単一重合体またはこれらの共重合体を使うことができる。
【0029】
特に、前記ナノ粒子は酸化チタン(titanium oxide)、酸化亜鉛(zinc oxide)、酸化セリウム(cerium oxide)、酸化スズ(tin oxide)、酸化タリウム(thallium oxide)、チタン酸バリウム(barium titanite)、酸化アルミニウム(aluminium oxide)、酸化イットリウム(yttrium oxide)、酸化ジルコニウム(zirconium oxide)、または酸化銅(copper oxide)などの金属酸化物を使うことができる。また、前記ナノ粒子はビスマス(Bi)、鉛(Pb)、セレン(Se)、またはアンチモン(Sb)などの金属を使うことができる。
【0030】
前記ナノ粒子は直径が0.1乃至10μmであることが望ましく、前記ナノ粒子の直径が0.1μm未満である場合には分散媒の蒸発によってナノ粒子が均一に自己構成されにくいという問題点があり、10μmを超過する場合には前記粒子が容易に沈むためもしくは分散媒の蒸発によって前記粒子の移動が容易でないため、均一なフォトニック結晶の製造が難しいという問題点がある。
【0031】
前記分散媒としてはナノ粒子を溶解させない物質の中から選択されることが望ましい。具体的に、前記分散媒としては水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセロール、ペルフルオロデカリン 、ペルフルオロメチルデカリン、ペルフルオロノナン、ペルフルオロイソ酸、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロ1,2‐ジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロ2‐メチル2‐ペンテン、ペルフルオロケロセン、ヘクサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、スチレン、メチルメタクリレート、またはクロロホルムなどを使うことができる。
【0032】
上記のような分散媒の蒸発過程は、通常、分散媒の沸点より低温で遂行されることが要求され、分散媒の蒸発速度が速くなるほど分散媒‐空気‐基板の界面にフォトニック結晶が自己構成される時間が短縮される一方、蒸発速度が速すぎるとフォトニック結晶に欠陥を誘発する可能性があるという問題点があり、蒸発速度が遅すぎると規則的なフォトニック結晶を得ることができないという問題点がある。
【0033】
本発明において使われるナノ粒子及び分散媒の種類によって、前記結晶形成のための最適な蒸発条件は相違するが、これは本発明の記載から当業者であれば容易に選択することができる事項に過ぎないため、このような条件の具体的な特定は要求されない。
【0034】
上記のような自己構成過程を経て分散媒‐空気‐基板の界面に形成されたフォトニック結晶は連続的に基板へ移され、この時フォトニック結晶は単純に基板を連続的に移動させることによって基板へ移動されるか、基板を分散媒の中に垂直または所定の角度で傾かせて入れた後に分散媒の連続的な蒸発によって基板へ移動される。
【0035】
図1は、本発明による欠陥のないコロイドフォトニック結晶の製造原理を従来のコロイドフォトニック結晶製造時と比べて説明した概念図である。
【0036】
図1の(a)によれば、コロイド溶液で分散媒(11)が蒸発されるによってナノ粒子(10)は基材(12)上に結晶状形態に自己構成され、分散媒(11)の乾燥過程で均一でない体積収縮によって欠陥(13)が発生するようになり、これによって欠陥を有するコロイドフォトニック結晶を形成するようになる。
【0037】
一方、(b)によればコロイド溶液に粘弾性物質を溶解させた分散媒(15)を使った場合分散媒(11)の乾燥過程で均一でない体積収縮が起きても粘弾性物質(15)の弾性力によって最終的に体積収縮が均一に発生し、これによって欠陥のないコロイドフォトニック結晶を形成するようになる。
【0038】
上記のように本発明によって自己構成されたコロイドフォトニック結晶は、更にフォトニック結晶内の空隙を半導体、金属、金属酸化物、または有機物などで充填する工程を実施することもできる。
【0039】
前記半導体は Si、CdS、CdSe、GaAsなど一般に通用される半導体を使うことができ、前記金属 Ag、Au、Al、Pt、Pd など一般に通用される金属及びこれらの合金を使うことができ、前記金属酸化物はAlO、TiO、SiO、ZrO、Fe、及びZnOなど一般の金属酸化物を使うことができ、前記有機物はポリジメチルシロキサン、ポリチオフェン、ポリキノリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリプロレン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、これらの誘導体などを使うことができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の理解を助けるために望ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するのみであり、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0041】
実施例1
コロイドナノ粒子溶液として分散媒は水、ナノ粒子は直径が460nmであるポリスチレン球形粒子を使った。
【0042】
直径が460nmであるポリスチレン粒子を0.5重量%で水に分散させた後、前記コロイドナノ粒子溶液に粘弾性物質としてポリビニルピロリドン0.21重量%を溶解させた。この溶液に基板を沈積させた後、60℃のオーブンで分散媒を蒸発させてコロイドフォトニック結晶を製造した。
【0043】
これは図2の電子走査顕微鏡観察結果を通して確認することができた。
【0044】
実施例2
前記実施例1において粘弾性物質としてポリビニルピロリドン0.63重量%を使ったことを除いては前記実施例1と同様の方法で実施してフォトニック結晶を得た。これは図3の電子走査顕微鏡観察結果を通じて確認することができた。
【0045】
実施例3
前記実施例1において粘弾性物質としてポリアクリル酸0.63重量%を使ったことを除いては前記実施例1と同様の方法で実施してフォトニック結晶を得た。
【0046】
実施例4
前記実施例1において粘弾性物質としてポリビニルアルコール0.63重量%を使ったことを除いては前記実施例1と同様の方法で実施してフォトニック結晶を得た。
【0047】
実施例5
実施例2においてナノ粒子として直径180nmであるポリスチレンを使ったことを除いては実施例2と同様の方法で実施してフォトニック結晶を得た。
【0048】
実施例6
実施例2においてナノ粒子として直径が240nmであるポリスチレンを使ったことを除いては実施例2と同様の方法で実施してフォトニック結晶を得た。
【0049】
前記実施例6において製造したコロイドフォトニック結晶を利用してこのフォトニック結晶の垂直方向に光を照射して(0°) 反射される光の方向による強度を測定し、その結果を図6に示した。図4に示したように方向によって反射する光の波長を異にするフォトニック結晶は光フィルターでの適用に適当である。
【0050】
実施例7
実施例2においてナノ粒子として直径が460nmであるポリスチレン粒子の代わりに直径が1μmであるポリスチレンを使ったことを除いては実施例2と同様の方法で実施してフォトニック結晶を得た。
【0051】
実施例8
実施例2において製造したコロイドフォトニック結晶にポリジメチルシロキサンゴムと硬化剤を10:1の重量比で入れた後、60℃で硬化させた。次いで、前記ポリジメチルシロキサンゴムをコロイドフォトニック結晶から引き離してコロイドフォトニック結晶の逆相構造を有する鋳型を製造した(図5)。
【0052】
前記コロイドフォトニック結晶が逆相構造を持つポリジメチルシロキサンゴム鋳型をポリスチレンがコーティングされたフィルム上に圧着させ、150℃で10分間熱処理した後常温で冷却した。次いで、前記ポリジメチルシロキサンゴム鋳型をポリスチレンフィルムから引き離してゴム鋳型の逆相構造をフィルムへ転写した(図6)。
【0053】
比較例1
前記実施例1において粘弾性物質を使わないことを除いては前記実施例1と同様の方法で実施してフォトニック結晶を得た。
【0054】
これは図7の電子走査顕微鏡観察結果を通して確認することができた。
【0055】
以上において、本発明に記載された具体例についてのみ詳しく説明したが、本発明の技術思想範囲内で多様な変形及び修正が可能であることは当業者には明白なことであり、このような変形及び修正が、添付された特許請求範囲に属することは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、自己構成されたナノ粒子及び前記ナノ粒子を一定の弾性をもって固着させる粘弾性物質を含むことを特徴とするコロイドフォトニック結晶を提供する。
【0057】
また、本発明は、前記方法によって製造されたコロイドフォトニック結晶粒子の空隙にまた別の層のコロイド粒子、半導体粒子、金属粒子、または金属酸化物粒子を自己構成する工程を含むことを特徴とするコロイドフォトニック結晶基材及びその製造方法を提供する。
【0058】
また、本発明は、前記コロイドフォトニック結晶を鋳型にして逆相鋳型を製造する工程; 及び前記逆相鋳型の構造及び形態を基材へ転写する工程を含むことを特徴とするコロイドフォトニック結晶基材の製造方法を提供する。
【0059】
上記のように製造された本発明のコロイドフォトニック結晶、これを利用したコロイド記載はフォトニック結晶を要するレーザー、センサー、圧電センサー、アクチュエータ、クロマトグラフィーの分離膜、触媒の担体、光学集積回路、光学フィルター、液晶配向膜、超親水または超撥水膜、フォトマスク、反射防止膜、ディスプレイ素子などで製作されるのに適合である。
【符号の説明】
【0060】
10:ナノ粒子
11:粘弾性物質を含んでいない分散媒
12:基材
13:欠陥
14:粘弾性物質を含んでいる分散媒
15:粘弾性物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己構成されたナノ粒子及び前記ナノ粒子を一定の弾性をもって固着させる粘弾性物質を含むことを特徴とするコロイドフォトニック結晶。
【請求項2】
前記粘弾性物質がポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンアミン、デキストリン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸塩、及びポリ塩化ビニルからなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶。
【請求項3】
前記粘弾性物質の重量平均分子量(Mw)が10乃至1,000,000であることを特徴とする請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶。
【請求項4】
前記粘弾性物質が前記ナノ粒子を含むコロイドナノ粒子溶液中0.04乃至1重量部で含まれることを特徴とする請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶。
【請求項5】
前記ナノ粒子がポリスチレン、ポリアルファメチルスチレン、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸メチル、ポリベンジルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリ-1-メチルシクロヘキシルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリクロロベンジルメタクリレート、ポリ-1-フェニルエチルメタクリレート、ポリ-1,2-ジフェニルエチルメタクリレート、ポリジフェニルメチルメタクリレート、ポリフルフリルメタクリレート、ポリ-1-フェニルシクロヘキシルメタクリレート、ポリペンタクロロフェニルメタクリレート、ポリペンタブロモフェニルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン、及びポリ-N-イソプロピルアクリルアミドからなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶。
【請求項6】
前記ナノ粒子が酸化チタン(titanium oxide)、酸化亜鉛(zinc oxide)、酸化セリウム(cerium oxide)、酸化スズ(tin oxide)、酸化タリウム(thallium oxide)、チタン酸バリウム(barium titanate)、酸化アルミニウム(aluminium oxide)、酸化イットリウム(yttrium oxide)、酸化ジルコニウム(zirconium oxide)、及び酸化銅(copper oxide)からなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶。
【請求項7】
前記ナノ粒子がビスマス(Bi)、鉛(Pb)、セレン(Se)、及びアンチモン(Sb)からなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶。
【請求項8】
前記ナノ粒子の直径が0.1乃至10μmであることを特徴とする請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶。
【請求項9】
前記コロイドフォトニック結晶内の空隙に半導体、金属、金属酸化物、または有機物とが充填されることを特徴とする請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶。
【請求項10】
前記半導体がSi、CdS、CdSe、及びGaAsからなる群から1種以上選択され、前記金属がAg、Au、Al、Pt、及びPdからなる群から1種以上選択され、前記金属酸化物がAlO、TiO、SiO、ZrO、Fe、及びZnOからなる群から1種以上選択され、前記有機物がポリジメチルシロキサン、ポリチオフェン、ポリキノリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリプロレン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、及びこれらの誘導体からなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項9に記載のコロイドフォトニック結晶。
【請求項11】
請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶を鋳型にして逆相鋳型を製造する工程;及び前記逆相鋳型の構造及び形態を基材に転写する工程を含むことを特徴とするコロイドフォトニック結晶基材の製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶の空隙にまた別の層のコロイド粒子、半導体粒子、金属粒子、または金属酸化物粒子が積層されることを特徴とするコロイドフォトニック結晶基材。
【請求項13】
請求項1に記載のコロイドフォトニック結晶の基材が適用されることを特徴とするレーザー、センサー、圧電センサー、アクチュエータ、クロマトグラフィーの分離膜、触媒の担体、光学集積回路、光学フィルター、液晶配向膜、超親水または超撥水膜、フォトマスク、反射防止膜、またはディスプレイ素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−18417(P2012−18417A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209392(P2011−209392)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【分割の表示】特願2008−507568(P2008−507568)の分割
【原出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】