説明

コンクリ−ト床版の防水および劣化防止処理方法ならびにコンクリ−ト床版の防水および劣化防止剤。

【課題】優れたコンクリ−ト床版の防水および劣化防止の被覆処理方法およびコンクリ−ト床版の防水および劣化防止剤を提供すること。
【解決手段】 コンクリ−ト床版の表面をアクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの混合物の重合樹脂またはそれをアルコ−ル類に立方分散した組成物を塗布するコンクリ−ト床版の被覆処理方法は、コンクリ−ト床版の防水効果および劣化防止効果を高めることができ有用である。
さらに特殊変性ポリエステルおよびそれを含有する組成物は、気体・液体の遮蔽性に優れた効果を有し、コンクリ−ト床版の防水および劣化防止剤として有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊変性ポリエステルを主成分とし、それを配合したコンクリ−ト保護剤樹脂を塗布する、コンクリ−ト床版の防水機能・劣化防止機能を高める施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリ−ト床版防水に用いられる材料は、シ−ト状に成型された防水材料を床版に貼り付けるシ−ト系防水と(60%)、加熱または溶剤により溶融した液状材料を床版に塗布する塗膜系防水(40%)が一般に用いられている。
しかしながら、これらの床版防水が施工された実橋床版でのそれらの効果を経年追跡調査によれば、現行の品質基準を満足する防水材料であっても、塗膜系防水材料では施工初期時点、シ−ト系防水材料では3〜5年程度で防水効果が失われている。
このように短期間で防水効果が喪失する原因は、塗膜系防水材料では施工時に於ける溶剤または加熱に伴う揮発分解による貫通気泡の発生やブリスタリング。
シ−ト系防水材料では舗装施工時の施工機材による交通荷重、転圧荷重によるシ−トの破れや床版が平滑でない為のシ−トの密着不良等による早期破壊、アスファルト混合物施工時のブリスタリングによる施工不良などが挙げられる。
たとえば、防水層および舗装の破損の種類と要因については、表1が知られている。
【表1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
【0004】
コンクリ−ト床版の被覆材料は、わが国における気象条件や舗装構成を考慮し、さらに、施工時の負荷に耐えられ、且つ舗装との高い接着力が確保され、耐久性のある防水剤および施工方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者は、鋭意検討を行った結果、特殊変性ポリエステルが優れたコンクリ−ト床版の防水および劣化防止効果を有する好ましい組成物であることを見出し、さらに、特殊変性ポリエステルを主成分とする高分子樹脂剤及びそれを配合したコンクリ−ト保護剤を塗布する施工方法が、コンクリ−ト床版の防水効果ならびに劣化防止効果を高めることを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0006】
本願発明のコンクリ−ト床版の被覆処理方法によりコンクリ−ト床版の防水効果および劣化防止効果を高めることができる。また、本発明の特殊変性ポリエステルおよびそれを含有する組成物は、気体・液体の遮蔽性に優れた効果を有し、コンクリ−ト床版の防水および劣化防止剤として有効である。さらに、本願発明の特殊変性ポリエステルを塗布したコンクリ−ト床版は、強度が格段に強化され、防水性、遮塩性、耐候性、接着性、中性化防止、金属防錆性、中性化阻止性、施工性、ヒビ割れ追従性、ライフサイクルコスト、「コンクリ−トと樹脂が結晶体を作り劣化を防止する効果」などの点において優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本文中記載の保護剤とは、光、水分、酸素、塩分、化学薬品性などの外的要因からコンクリ−トの劣化を防止し、良好な状態を維持行う材料のことをいう。
【0008】
本発明の方法は、コンクリ−ト床版の表面を特殊変性ポリエステルまたはそれをアルコ−ル類に立方分散した組成物を塗布するコンクリ−ト床版の被覆処理方法である。
本発明において、特殊変性ポリエステルとは、アクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの混合物の重合樹脂を意味し、たとえば、炭素数4〜8のアルキル基で部分エステル化されたアクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの混合物の重合樹脂を意味する。
本発明の特殊変性ポリエステルは、炭素数4〜8のアルキル基で部分エステル化され、分子内にカルボキシル基を有した重合体であり、複雑な線状(網状)構造を有し、その分子量は100万以上が好ましく、100万〜200万であるものがさらに好ましい。
【0009】
本発明の方法は、通常の塗布により行えばよいが、たとえば、対象となるコンクリ−ト床版に2〜数回塗布または噴霧含浸させればよい。
【実施例】
【0010】
以下に、特殊変性ポリエステルとアルコ−ル類との組成物としてヘルツ化学株式会社製「パ−マシ−ルド」を使用行った試験例を掲げるが、本発明は試験例等に限定されるものではない。
【0011】
実施例1 床版防水の性能照査
***実際に行った試験手順を記載します***
結果を表2に示す。
【表2】

【0012】
実施例2 床版防水の性能評価試験
***実際に行った試験手順を記載します***
結果を表3に示す。
【0013】
【表3】

【0014】
実施例3 床版防水の性能評価試験
***実際に行った試験手順を記載します***
結果を表4に示す。
【0015】
【表4】

【0016】
実施例4 コンクリ−ト構築物に対する耐久性を目的とする性能評価試験
***実際に行った試験手順を記載します***
結果を表5に示す。
【0017】
【表5】

【0018】
アクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの混合物の重合物が炭素数4〜8のアルキル基で部分エステル化された重合体およびそれを含有する組成物はコンクリ−ト床版の防水剤ならびに劣化防止剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリ−ト床版の表面をアクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの混合物の重合樹脂またはそれをアルコ−ル類に立方分散した組成物を塗布するコンクリ−ト床版の被覆処理方法。
【請求項2】
アクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの混合物の重合樹脂が炭素数4〜8のアルキル基で部分エステル化された重合体である請求項1記載のコンクリ−ト床版の被覆処理方法。
【請求項3】
炭素数4〜8のアルキル基で部分エステル化された、アクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの混合物の重合樹脂を含有するコンクリ−ト床版の防水および劣化防止剤。

【公開番号】特開2008−50920(P2008−50920A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253433(P2006−253433)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(501409728)
【Fターム(参考)】