説明

コンクリート体、コンクリート体生産方法、施設及び施設生産方法

【課題】コンクリート体の任意の表面付近に活性炭を集中させ、活性炭を無駄なく散在させて、吸湿効果・消臭効果を発揮させる。
【解決手段】コンクリート型1の中には複数本の鉄筋5が配筋/配置されて固定され、ここにセメント、水、骨材、その他の混合物である流動性コンクリートが流し込み/打ち込みされる。この混合物には、粉末状または粒子状の活性炭6が混合される。この活性炭6の混合は、流し込み/打ち込み前にあらかじめミキサーの中にセメント、水、骨材とともに混合され、またはコンクリート型1への流し込み/打ち込みと同時または直後の凝結/硬化/養生前に混合される。コンクリート体2の凝結/硬化前に活性炭6が浮き上がり、コンクリート体2の表面に活性炭6が集中する。活性炭6の粒径が大きいほど、必要なコンクリートの凝結/硬化の時間は短くされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート体、コンクリート体生産方法、施設及び施設生産方法に関し、特に吸湿性または消臭性の高い施設を生産する方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
このような施設としては、コンクリート自体に活性炭を混合させるものがある。この場合、セメント水、砂利、砂、骨材などのコンクリート材料とともに、活性炭を混合して、コンクリートを成型するものがある。
【0003】
【特許文献1】特開平7−69701号公報
【特許文献2】特開平10−45442号公報
【特許文献3】特開平10−139609号公報
【特許文献4】特開2000−320027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、活性炭の吸湿効果または消臭効果を発揮するのは、コンクリート体の表面付近の活性炭のみであり、コンクリート内部の活性炭はその効果をあまり発揮できず、無駄になっていた。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、コンクリート体の表面付近に主に活性炭を散在させ、この面を吸湿または消臭が必要とされる空間に向けて配置できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本件発明は、コンクリート体の型の中のセメント等の混合物を所定時間かけて硬化させ、この所定時間の間に、活性炭を当該混合物の中で浮き上がらせ、この硬化されたコンクリート体を型から取り出し、このコンクリート体の活性炭が浮き上がった面を、吸湿または消臭が必要とされる空間に向けて配置するようにした。
【発明の効果】
【0007】
これにより、コンクリート体の任意の表面付近に活性炭を集中させることができ、活性炭を無駄なく散在させることができる。また、この活性炭が集中している面を、吸湿または消臭が必要とされる空間に向けて配置でき、吸湿または消臭が不要とされる空間にまで活性炭集中面を向けることがなくなり、活性炭を無駄なく使用できる。
【0008】
さらに、吸湿または消臭が必要とされる空間に広く活性炭集中面を向けることができ、当該空間の吸湿及び消臭を広い面で効率的に行うことができる。また、活性炭の入っていない硬化済みのコンクリート体の表面に、活性炭入りの別の硬化済みのコンクリート体を接合したり、活性炭の入っていない流動コンクリートを流し込んだ後、凝結/硬化/養生前に、すぐ次の活性炭入りの別の流動コンクリートを流し込んだりする余分な作業が不要になる。
【0009】
さらに、壁や柱などのように縦に長いコンクリート体でも、特定の表面に活性炭を集中させることができ、吸湿効果・消臭効果を発揮できない上面に活性炭が集中してしまうことがなくなる。また、天井面、屋根面のように底面に活性炭を集中させたいものでも、成型したコンクリート体を上下反転させて、活性炭が浮き上がった面を底面側にすれば、室内側に吸湿効果・消臭効果を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)コンクリート体生産方法
図1及び図2はコンクリート体生産方法に用いられるコンクリート型1とコンクリート体2とを示す。コンクリート型1は、成型する厚みのあるコンクリート体2の外形の全部または一部に沿った形状をしている。
【0011】
このコンクリート型1は複数の金属板または木板などの型枠からなり、底型枠3及び側型枠4によって構成されていて、コンクリート体2を囲むような構造をしており、コンクリート型1の上面には何もなく、底面と側面にのみ型枠3、4が配置されている。側型枠4の高さがコンクリート体2の厚みにほぼ相当する。
【0012】
このコンクリート型1の中には複数本の鉄筋5が配筋/配置されて固定され、ここにセメント、水、骨材、その他の混合物が流し込み/打ち込みされる。骨材としては、例えば小石、砂利、砂、高炉スラグなどが用いられる。その他の混合物としては、コンクリート硬化剤、コンクリート凝結剤、コンクリート凝固剤、流動化剤、AE剤、AE減水剤、減水剤、分離低減剤、防錆剤などである。
【0013】
上記流動コンクリートの流し込み/打ち込みの後、流し込み/打ち込みされて凝結/硬化/養生前のコンクリート体2の上面に上面型枠7で蓋がされる。なお、場合によってこの上面型枠7の蓋は省略される。上面型枠7が使用される場合には、底型枠3、側型枠4、上面型枠7の材質には熱伝導度/熱発散性の良いものが使用される。また、場合によって、流し込みされたコンクリート体2は不均一部分が出ないように振動棒などを使って攪拌される。
【0014】
上記混合物には、粉末状または粒子状の活性炭6が混合される。この活性炭6の混合は、流し込み/打ち込み前にあらかじめミキサーの中にセメント、水、骨材とともに混合されたり、コンクリート型1への流し込み/打ち込みと同時または直後の凝結/硬化/養生前に混合されたりする。
【0015】
この活性炭6は、平均粒径が0.01mm乃至数mmほどであり、望ましくは0.1mm乃至1mmほどである。粒径が大きいほど流し込み/打ち込みされたコンクリート体が硬化/養生するときに早く浮き上がる。
【0016】
したがって、上記活性炭6の粒径が小さいほど、上記コンクリート体を凝結/硬化/養生させる時間は短くされる。上記活性炭6の粒径が大きいほど、上記コンクリート体を凝結/硬化/養生させる時間は長くされる。
【0017】
この凝結/硬化時間は、コンクリートの凝結/硬化を促進する、コンクリート凝結剤/凝固剤/硬化剤の添加量または添加の有無によってコントロールされる。したがって、上記活性炭の粒径が大きいほど、コンクリート凝結剤/凝固剤/硬化剤の添加量が多くされる。上記活性炭の粒径が小さいほど、コンクリート凝結剤/凝固剤/硬化剤の添加量が少なくされる。
【0018】
また、上記活性炭6の粒径が小さいほど、上記流動セメントの粘度/流動化度が低くされる。上記活性炭6の粒径が大きいほど、上記流動セメントの粘度/流動化度が高くされる。この粘度は、この粘度を下げ流動化度を上げる、コンクリート流動化剤、AE減水剤、減水剤、分離低減剤の添加量若しくは添加の有無によってコントロールされる。
【0019】
したがって、上記活性炭の粒径が大きいほど、コンクリート流動化剤の添加量、AE剤、AE減水剤、減水剤、分離低減剤が少なくされる。上記活性炭の粒径が小さいほど、コンクリート流動化剤、AE減水剤、減水剤、分離低減剤の添加量が多くされる。
【0020】
上記セメント・コンクリートの種類としては、アルミナセメント、シリカセメント、ポルトランドセメント、高炉セメント、レディミキストコンクリート、水密コンクリート、水中コンクリート、海洋コンクリート、寒中コンクリート、真空コンクリート、遮蔽用コンクリート、暑中コンクリート、発泡コンクリート、軽量コンクリートなどがあるし、型が不要のコンクリートを使用しても良い。
【0021】
(2)コンクリート体凝結/硬化時間と凝結剤/凝固剤/硬化剤の添加量
図3は活性炭6の粒径/平均粒径と必要とされる凝結剤/硬化剤の添加量または必要とされるコンクリート体の凝結/硬化時間との関係を示す。この必要とされるコンクリート体の凝結/硬化時間は、混入した活性炭6の粒子または粉末がコンクリート体2全体からコンクリート体2の上面から厚みの例えば1/10に集中・凝縮までの時間を示す。
【0022】
この図3では、活性炭6の粒径の大きさに対して、必要とされる凝結剤/硬化剤の添加量または必要とされるコンクリート体の凝結/硬化時間は単純反比例または累乗的に反比例する。したがって、活性炭6の粒径を大きくした方が、必要とされるコンクリート体の凝結/硬化時間は短くできる。
【0023】
しかし、活性炭6の粒径をあまり大きくすると、コンクリート体2の強度が低下するので、数mm以下にした方がよい。コンクリート流動化剤の添加量、AE剤、AE減水剤、減水剤、分離低減剤を添加する場合には、図3の特性と逆になり、活性炭6の粒径/平均粒径と必要とされるコンクリート流動化剤の添加量、AE剤、AE減水剤、減水剤、分離低減剤の添加量は単純性比例または累乗的に比例する。
【0024】
また、図3の必要とされる凝結/硬化時間は、コンクリート体2の上面部分の1/10に活性炭6が集中・凝縮までの時間ではなく、1/10以下でもよいし、1/10以上でもよく、1/5、1/4、1/3、1/2…でもよい。これら凝結/硬化時間は、活性炭6の効果が発揮できる深さまで、活性炭6が集中するのに十分な時間に設定される。これらは、コンクリート体2の厚さに応じて決定される。コンクリート体2の厚さは数cm乃至数十cm、または十数cm乃至三十数cm、例えば20cmほどである。
【0025】
(3)コンクリート体2の中の活性炭6
図4は凝結/硬化/養生した後のコンクリート体2の縦断面の上面付近を示し、コンクリート体2の中の活性炭6も示す。これに示すように、活性炭6は凝結/硬化/養生する間にコンクリート体2の上面付近に集中する。これにより、コンクリート体2の任意の表面付近に活性炭6を集中させることができ、活性炭6を無駄なく散在させることができる。
【0026】
これは、活性炭6の比重が凝結/硬化前の流動コンクリート体2の比重より小さいからである。活性炭6の粒径が小さいほど、活性炭6が浮き上がる速度が遅くなるのは、活性炭6の粒子が流動コンクリート体2を浮き上がる抵抗が増えるからである。
【0027】
上記活性炭6を浮き上がらせる面は、重力の方向と逆方向の先に位置する面または重力の方向の後に位置する面となる。したがって、活性炭6をより多く集中させたい面を上にして上記コンクリート型1を組み立てることになり、コンクリート体2のコンクリート型1の向きを重力の方向に応じて変更することになる。
【0028】
(4)コンクリート体2の配置
以上のようにして凝結/硬化/養生されて成型されたコンクリート体2から、底型枠3、側型枠4、上面型枠7が取り外され、成型コンクリート体2は、そのまま、または所望の長さごとにコンクリートカッターなどで切断される。
【0029】
この成型または切断されたコンクリート体2は、活性炭6が浮き上がった面を、施設において吸湿または消臭が必要とされる空間に向けて配置される。これにより、この活性炭6が集中している面を、吸湿または消臭が必要とされる空間に向けて配置でき、吸湿または消臭が不要とされる空間にまで活性炭集中面を向けることがなくなり、活性炭を無駄なく使用できる。
【0030】
また、吸湿または消臭が必要とされる空間に広く活性炭6の集中面を向けることができ、当該空間の吸湿及び消臭を広い面で効率的に行うことができる。また、活性炭6の入っていない硬化済みのコンクリート体の表面に、活性炭6入りの別の硬化済みのコンクリート体を接合したり、活性炭6の入っていない流動コンクリートを流し込んだ後、凝結/硬化/養生前に、すぐ次の活性炭6入りの別の流動コンクリートを流し込んだりする余分な作業が不要になる。
【0031】
さらに、壁や柱などのように縦に長いコンクリート体2でも、この縦面を上記コンクリート型1において上向きとすれば、この縦面の表面全体に活性炭6を集中させることができ、吸湿効果・消臭効果を発揮できない底面に活性炭6が集中してしまうことがなくなる。また、天井面、屋根面のように底面に活性炭6を集中させたいものでも、これら底面を上記コンクリート型1において上向きとすれば、この底面の表面に活性炭6を集中させることができ、施設の室内側に吸湿効果・消臭効果を与えることができる。
【0032】
さらに、階段のような各段差の横上面に活性炭を集中させたいときは、この横上面が上向きとなるようにコンクリート型1を設定し、階段の各段差の縦壁面に活性炭を集中させたいときは、この縦壁面が上向きとなるようにコンクリート型1を設定すればよい。また、これら横上面と縦壁面とが合流する辺縁に活性炭を集中させたいときは、この横上面と縦壁面との辺縁が上向きとなるようにコンクリート型1を設定すればよい。さらに、この階段の底面に活性炭を集中させたいときは、この底面が上向きとなるようにコンクリート型1を設定すればよい。
【0033】
(5)活性炭6入りのコンクリート体2の吸湿効果・消臭効果
図5は活性炭6入りのコンクリート体2の吸湿効果・消臭効果の実験結果を示す。実験では直径100mm高さ200mm円柱形コンクリート塊のサンプルを4つ用意し、それぞれに活性炭6なし、活性炭6を30g、50g、100g添加とした。
【0034】
実験前には各コンクリート塊を摂氏100度で恒量になるまで乾燥させ、摂氏20度70%RHの恒温恒湿容器内に配置し、1週間ごとに4回コンクリート塊の重量を測定した。このコンクリート塊の重量が増えれば、吸湿量が増えていると考えられることになる。この実験結果から、実験開始から7日目まで吸湿効果は高く、7日以降に吸湿効果は若干低下するものの、実験終了の28日目まで低下する維持され、28日以降も持続すると予測された。
【0035】
そして、活性炭の含有量を多くするほど、吸湿効果は高まり、活性炭6の100g添加サンプルは無添加サンプルの2倍もの吸湿効果をあげた。以上のことから、添加する活性炭6の量が多くなるほど吸湿効果は高まり、活性炭6による吸湿効果はかなり永続することが予測された。
【0036】
(6)着色活性炭6の例
上記活性炭6は黒色であるが、黒色以外の、黄色、赤色、青色、緑色、白色、茶色などの、着色された活性炭6を用いることもできる。このような着色された活性炭は、株式会社イシタケ(鹿児島市東俣町176−1)から「スミヌール」「コテ塗君」として製造販売されている。
【0037】
このような着色された活性炭6は、成型後のコンクリート体2の所望とする壁色を実現する1つの色の活性炭6がそのまま、または複数の色の各活性炭6が、当該壁色を実現する割合/重量比で混合されて、コンクリート体2に混合される。この場合の着色された活性炭6の粒径は、どの色についてもほぼ同じとされる。
【0038】
図6は、着色された活性炭6入りのコンクリート体2の壁の色の変化とコンクリート体2の凝結/凝固/硬化時間との関係を示す。上記図3に示すように、粒径が大きいほど浮上速度が速くなるので、異なる粒径ごとに活性炭6の色を変え、しかもコンクリート体2の凝結/凝固/硬化時間を変えると、つまりコンクリー凝結剤/凝固剤/硬化剤の添加量を調整すると、コンクリート体2の表面に表れる色も変えることができる。
【0039】
図6のA色、B色、C色の着色活性炭6は、A色、B色、C色の順番で粒径が大きい。そして、コンクリート凝結剤/凝固剤/硬化剤の添加量を増減して、コンクリート凝結/凝固/硬化時間をT1に設定すると、コンクリート体2の表面の色は、A色>B色>C色の色相差となり、A色がいちばん強く出る。
【0040】
コンクリート凝結/凝固/硬化時間をT2に設定すると、コンクリート体2の表面の色は、A色=B色>C色の色相差となり、A色とB色が同じ色相となり、C色の色相のみ弱くなる。コンクリート凝結/凝固/硬化時間をT3に設定すると、コンクリート体2の表面の色は、A色=B色=C色の色相差となり、A色とB色とC色とが同じ色相となる。
【0041】
そして、着色された活性炭6の粒径が変化すると、活性炭6の着色面積が相対的に変化し、上記複数の色の配合比が変化する。このため、着色された活性炭6の粒径が小さくなるほど、この着色された活性炭6の配合比を上げて、この着色された活性炭6の混合重量を増やす必要がある。
【0042】
例えば、粒径が1/2倍になれば、着色面積は1/4倍になるので、実現したい壁色の配合色/配合比に対して、この着色された活性炭6の配合量を4倍にする必要がある。また、粒径が2倍になれば、着色面積は4倍になるので、実現したい壁色の配合色/配合比に対して、この着色された活性炭6の配合量を1/4倍にする必要がある。したがって、混合する活性炭6の粒径がn倍になれば、着色面積はn2倍になるので、実現したい壁色の配合色/配合比に対して、この着色された活性炭6の配合量を1/n2倍にする必要がある。
【0043】
(7)他の実施の形態
本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記活性炭としては、木炭、竹炭などでもよく、活性炭の状態は粉末状、粒子状、球形、楕円球形、小ブロック状、小板状、小断片状、液状、これらの混合物状でもよい。
【0044】
本件発明のコンクリート体生産方法はコンクリート体製造方法、コンクリート成型方法、施設生産方法は施設建築方法、施設施工方法、施設製造方法などとしても成立する。コンクリート体2は、施設の柱、内壁、外壁、天井、屋根、床、梁、階段、テラス、手すりなど、施設のどのような構成物でもよい。施設としては、マンション、アパート、家屋、ビル、スポーツ施設、美術・芸術・文化・科学・博物・宿泊・交通などの施設などでもよい。
【0045】
本発明のコンクリート体生産方法及び施設生産方法は、施設の現場から離れた工場内で実施されるだけでなく、施設の建設現場で実施されても良い。例えば、施設の床、階段など、上面に活性炭を集中させたいコンクリート体2の製造では、そのまま施設の現場で活性炭6入りのコンクリート体2を製造することができる。
【0046】
上記活性炭6混合においては、コンクリート体2をコンクリート型1に流し込んだ/打ち込んだ直後に、コンクリートの上表面にばら撒くように活性炭6を散布してもよく、この場合活性炭6とコンクリート体2とは混合/かき混ぜ/撹拌されない、またはわずかしか混合/かき混ぜ/撹拌されない。
【0047】
上記混合される着色された活性炭6の種類は2種類でもよいし、4種類以上でもよい。この着色された活性炭6には黒色の着色活性炭6も含まれる。また、このような複数色の活性炭6の一部の色については流し込み/打ち込み前に混合され、残りは流し込み/打ち込み後に混合されてもよい。
【0048】
さらに、着色された活性炭6の混合割合は、1つのコンクリート体2の各箇所ごとによって異なっていてもよい。これにより、コンクリート体2の表面に着色された活性炭6で各箇所において色の異なる模様を描くことができる。また、このような着色された活性炭6が混合されたコンクリート体2に対して、各箇所ごとに上記コンクリート凝結剤/凝固剤/硬化剤の混合量を異なるように、コンクリート体2の流し込み/打ち込み後に降り掛ければ、コンクリート体2の表面に着色された活性炭6で各箇所において色の異なる模様を描くことができる。
【0049】
(8)他の発明の効果
[1]セメント、水、骨材の混合物に、粉末状または粒子状の活性炭を混合して、厚みのあるコンクリート体を製造するための型の中に流し込む、または厚みのあるコンクリート体を製造するための型の中に、セメント、水、骨材の混合物を流し込むとともに、当該混合物に粉末状または粒子状の活性炭を混合する工程と、 この型の中の混合物を所定時間かけて硬化させ、この所定時間の間に、上記活性炭を当該混合物の中で浮き上がらせる工程と、 この硬化されたコンクリート体を型から取り出し、このコンクリート体の活性炭が浮き上がった面を、吸湿または消臭が必要とされる空間に向けて配置する工程とを備えたことを特徴とする施設生産方法。これにより、コンクリート体の任意の表面付近に活性炭を集中させることができ、活性炭を無駄なく散在させることができる。
【0050】
[2]請求項1の施設生産方法に使用され、請求項1記載の生産方法で生産されることを特徴とする請求項1記載の上記コンクリート体。
[3]請求項1または請求項2のコンクリート体を請求項1記載の生産方法で生産することを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート体生産方法。
[4]請求項1の施設生産方法で生産されたことを特徴とする請求項1、2または3記載の施設。これにより、コンクリート体の任意の表面付近に活性炭を集中させることができ、活性炭を無駄なく散在させることができる。
【0051】
[5]上記活性炭を浮き上がらせる面は、重力の方向と逆方向の先に位置する面または重力の方向の後に位置する面であり、これに応じて上記コンクリート体の型の向きを重力の方向に応じて変更することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の施設生産方法、コンクリート体、コンクリート体生産方法または施設。
【0052】
これにより、活性炭を集中させる面をコンクリート型の上面にしておくことができ、この上面を吸湿または消臭が必要とされる空間に向いた面とするようにできる。
【0053】
[6]上記活性炭の粒径が大きいほど、上記コンクリート体を硬化させる時間は短くされ、コンクリート硬化剤の添加量が多くされ、またはコンクリート流動化剤の添加量が少なくされることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の施設生産方法、コンクリート体、コンクリート体生産方法または施設。
【0054】
これにより、活性炭が十分に表面に浮き上がる前に、コンクリートが凝結/硬化してしまうことがなく、コンクリート表面に活性炭を集中させることができる。
【0055】
[7]上記活性炭は色の異なるものが複数混合され、これにより上記コンクリート体の活性炭の浮き上がる面の色が任意の色に着色されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の施設生産方法、コンクリート体、コンクリート体生産方法または施設。これにより、コンクリート体の表面を活性炭の効果のほかに任意の色にすることもでき、壁紙や壁塗装が不要になる。
【0056】
[8]上記活性炭は色が異なり、粒径の異なるものまたは浮き上がり時間の異なるものが複数混合され、しかも上記コンクリート体の硬化時間が調整され、これにより上記コンクリート体の活性炭の浮き上がる面の色が、コンクリート体の硬化時間の変化に応じて、任意の色に着色されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の施設生産方法、コンクリート体、コンクリート体生産方法または施設。これにより、着色活性炭の配合比を変えないで硬化剤の添加量を変えるだけで、コンクリート体の表面の色を変えることができ、壁紙や壁塗装が不要になる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
コンクリート体の任意の表面付近に活性炭を集中させ、活性炭を無駄なく散在させて、吸湿効果・消臭効果を発揮させる。コンクリート型1の中には複数本の鉄筋5が配筋/配置されて固定され、ここにセメント、水、骨材、その他の混合物である流動性コンクリートが流し込み/打ち込みされる。
【0058】
この混合物には、粉末状または粒子状の活性炭6が混合される。この活性炭6の混合は、流し込み/打ち込み前にあらかじめミキサーの中にセメント、水、骨材とともに混合され、またはコンクリート型1への流し込み/打ち込みと同時または直後の凝結/硬化/養生前に混合される。
【0059】
コンクリート体2の凝結/硬化前に活性炭6が浮き上がり、コンクリート体2の表面に活性炭6が集中する。活性炭6の粒径が大きいほど、必要なコンクリートの凝結/硬化の時間は短くされる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】コンクリート体生産方法に用いられるコンクリート型1とコンクリート体2との外観を示す。
【図2】コンクリート体生産方法に用いられるコンクリート型1とコンクリート体2との断面を示す。
【図3】活性炭6の粒径/平均粒径と必要とされる凝結剤/硬化剤の添加量または必要とされるコンクリート体2の凝結/硬化時間との関係を示す。
【図4】凝結/硬化/養生した後のコンクリート体2の縦断面の上面付近を示し、コンクリート体2の中の活性炭6も示す。
【図5】活性炭6入りのコンクリート体2の吸湿効果・消臭効果の実験結果を示す。
【図6】着色された活性炭6入りのコンクリート体2の壁の色の変化とコンクリート体2の凝結/硬化時間との関係を示す。
【符号の説明】
【0061】
1…コンクリート型、2…コンクリート体、
3…底型枠、4…側型枠、5…鉄筋、
6…活性炭、7…上面肩枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、水、骨材の混合物に、粉末状または粒子状の活性炭を混合して、厚みのあるコンクリート体を製造するための型の中に流し込む、または厚みのあるコンクリート体を製造するための型の中に、セメント、水、骨材の混合物を流し込むとともに、当該混合物に粉末状または粒子状の活性炭を混合する工程と、
この型の中の混合物を所定時間かけて硬化させ、この所定時間の間に、上記活性炭を当該混合物の中で浮き上がらせる工程と、
この硬化されたコンクリート体を型から取り出し、このコンクリート体の活性炭が浮き上がった面を、吸湿または消臭が必要とされる空間に向けて配置する工程とを備えたことを特徴とする施設生産方法。
【請求項2】
請求項1の施設生産方法に使用され、請求項1記載の生産方法で生産されることを特徴とする請求項1記載の上記コンクリート体。
【請求項3】
請求項1または請求項2のコンクリート体を請求項1記載の生産方法で生産することを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート体生産方法。
【請求項4】
請求項1の施設生産方法で生産されたことを特徴とする請求項1、2または3記載の施設。
【請求項5】
上記活性炭を浮き上がらせる面は、重力の方向と逆方向の先に位置する面または重力の方向の後に位置する面であり、これに応じて上記コンクリート体の型の向きを重力の方向に応じて変更することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の施設生産方法、コンクリート体、コンクリート体生産方法または施設。
【請求項6】
上記活性炭の粒径が大きいほど、上記コンクリート体を硬化させる時間は短くされ、コンクリート硬化剤の添加量が多くされ、またはコンクリート流動化剤の添加量が少なくされることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の施設生産方法、コンクリート体、コンクリート体生産方法または施設。
【請求項7】
上記活性炭は色の異なるものが複数混合され、これにより上記コンクリート体の活性炭の浮き上がる面の色が任意の色に着色されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の施設生産方法、コンクリート体、コンクリート体生産方法または施設。
【請求項8】
上記活性炭は色が異なり、粒径の異なるものまたは浮き上がり時間の異なるものが複数混合され、しかも上記コンクリート体の硬化時間が調整され、これにより上記コンクリート体の活性炭の浮き上がる面の色が、コンクリート体の硬化時間の変化に応じて、任意の色に着色されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の施設生産方法、コンクリート体、コンクリート体生産方法または施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−170040(P2007−170040A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369093(P2005−369093)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(305045988)
【Fターム(参考)】