コンクリート作製方法およびコンクリート作製システム
【課題】本発明は、高強度で、ブリーディングの発生が少なく、前置養生を不要とし、蒸気養生時間を低減するコンクリート作製方法およびコンクリート作製システムならびにプレキャストコンクリートに関するものである。
【解決手段】本発明のコンクリート作製方法において、第1のミキシング工程は、計量されたセメントをセメントペースト作製用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して徐々に投入しながらミキシングを行う。第2のミキシング工程は、前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに、所定量の水および減水剤が一度に投入され、ミキシングが行われる。第3のミキシング工程は、前記第2のミキシング工程において、所望の水および減水剤とセメントとが均質に混合されたセメントペーストと、用途に合った所定の粗骨材および細骨材とが本練り用ミキサーに入れられてミキシングが行われる。
【解決手段】本発明のコンクリート作製方法において、第1のミキシング工程は、計量されたセメントをセメントペースト作製用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して徐々に投入しながらミキシングを行う。第2のミキシング工程は、前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに、所定量の水および減水剤が一度に投入され、ミキシングが行われる。第3のミキシング工程は、前記第2のミキシング工程において、所望の水および減水剤とセメントとが均質に混合されたセメントペーストと、用途に合った所定の粗骨材および細骨材とが本練り用ミキサーに入れられてミキシングが行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高強度で、ブリーディングの発生が少なく、硬化時間が短縮されるコンクリート作製方法およびコンクリート作製システムならびにプレキャストコンクリートに関するものである。本発明は、コンクリートを混練する際に使用する水を2回に分割して混練する方法、いわゆるダブルミキシングにおいて、まず初めに、セメントペーストを最適な水量で混ぜることを特徴としている。本発明は、セメントと水等との混練に際し、水を最適量と所定の時間をかけて供給できるように制御することにより、セメント粒子間に働く水の表面張力、あるいは、毛管凝集力の作用により、表面積が最も小さくなり、一つに纏まった塊状の混練物が得られるようにしたコンクリート作製方法およびコンクリート作製システムならびにプレキャストコンクリートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の生コンクリート作製技術は、水、セメント、細骨材、粗骨材等を一度にミキサに投入して混練している。コンクリートは、前記生コンクリートを打設した後、前記練り混ぜた水の一部が表面に浮いて出る、いわゆるブリーディングが発生することが多い。ブリーディングが多いと、コンクリート中の粗骨材、あるいは水平鉄筋の下側に空隙を作り、前記粗骨材とセメントペースト、あるいは粗骨材とモルタル、あるいは鉄筋とコンクリートの付着を悪くして、コンクリートの強度低下、あるいは、耐久性を低下する原因となる。そこで、従来のコンクリートは、単位水量の少ない硬練りのコンクリートをバイブレータによって密実に締め固める方法がとられている。また、最近では、前記ブリーディングを低減して、高強度化、高品質化を目的として、生コンクリート作製に際し、セメントと水等の混練を2回に分けたダブルミキシングが効果のあることが知られてきた。
【0003】
また、たとえば、硬化時間の短縮を目的とした方法としては、特開2006−305748号公報があり、先練りしたセメントペーストの静置と硬化促進剤の使用により、早期の脱型を可能とした方法である。しかし、前記製造方法による生コンクリートの作製方法は、セメントペーストの先練り工程において、最適な水とセメントの比率で混練していないため、セメントペーストの静置工程が1時間から2時間必要となり、作業工程上の負担となっていた。
【特許文献1】特開2006−305748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダブルミキシング法において、セメントぺーストを作製する第1のミキシング工程は、セメントと水とを混ぜる際に、セメント粒子間に働く水の張力、あるいは、毛管凝集力の作用により、セメントボールが成形される。前記セメントボールは、混練に使用する水の量が少ない場合、特に、生じ易い。前記セメントボールの発生は、セメント粒子と水との均一な混練を阻害するため、ダブルミキシングの効果が半減する。そこで、セメントぺーストの作製は、前記セメントボールを砕き、均一なセメントぺーストを得るために、最適水量より水量過多で混練するしか方法がなかった。
【0005】
また、シングルミキシングによるコンクリートの強度は、水とセメントとの比率(W/C)によって決まる。これに対して、ダブルミキシングによるコンクリート強度は、コンクリート全体としての水と、セメントとの比率(W/C)に基づくだけでなく、一次ミキシングにおける水とセメントの比率(W1/C)によっても影響がある。
【0006】
以上のような課題を解決するために、本発明は、ダブルミキシングとするとともに、第1のミキシング工程において、混練の際の水の量と時間との関係を制御すること、および第1のミキシング工程における最適な水とセメントとの比率(W1/C)を検知して、混練することを可能としたことにより、セメントぺースト内にセメントボールができないようにしたコンクリート作製方法およびコンクリート作製システムならびにプレキャストコンクリートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(第1発明)
第1発明のコンクリート作製方法は、計量されたセメントをセメントペースト用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して投入しながらミキシングを行う第1のセメントペーストを作製する第1のミキシング工程と、前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに所定量の水および減水剤を一度に投入してミキシングを行う第2のセメントペーストを作製する第2のミキシング工程と、前記第2のミキシング工程によって得られた第2のセメントペーストと、細骨材および粗骨材を本練り用ミキサーに入れてミキシングを行う第3のミキシング工程と、前記第3のミキシング工程よって作製された生コンクリートを型枠に投入して固化するために養生を行う工程とから少なくともなることを特徴とする。
【0008】
(第2発明)
第2発明のコンクリート作製方法は、計量されたセメントをセメントペースト用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して投入しながらミキシングを行う第1のセメントペーストを作製する第1のミキシング工程と、前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに所定量の水および減水剤を一度に投入してミキシングを行う第2のセメントペーストを作製する第2のミキシング工程と、前記第2のミキシング工程によって得られたセメントペーストを次の工程に搬送する間に静置する静置工程と、前記静置工程を経た後、前記第2のセメントペーストと、細骨材および粗骨材を本練り用ミキサーに入れてミキシングを行う第3のミキシング工程と、前記第3のミキシング工程よって作製された生コンクリートを型枠に投入して固化するために養生を行う工程とから少なくともなることを特徴とする。
【0009】
(第3発明)
第3発明のコンクリート作製方法において、第1発明または第2発明における第1のミキシング工程および第2のミキシング工程は、弾力により揺動できるゴム製の混合槽を高速偏心回転させて、セメントペースト、水、および減水材を攪拌混合することを特徴とする。
【0010】
(第4発明)
第4発明のコンクリート作製方法において、第1発明から第3発明の水量調整弁は、第1および第2のミキシング工程に使用される回転用モータの負荷電流または負荷トルクを検出し、前記負荷電流または負荷トルクに基づいて開閉が制御されることを特徴とする。
【0011】
(第5発明)
第5発明のコンクリート作製方法において、たとえば、JIS R 5210に規定される普通ポルトランドセメントを使用した場合、第1のミキシング工程に使用される水の量は、減水剤を使用しない場合、セメント重量に対して18%から30%、好ましくは、22%から26%、減水剤を使用する場合、セメント重量に対して13%から25%、好ましくは、15%から23%、を中心にして硬さが決められることを特徴とする。
【0012】
(第6発明)
第6発明のコンクリート作製方法は、第1発明から第5発明において、第1のミキシング工程、第2のミキシング工程、および第3のミキシング工程を一つの混合槽によって連続的に行うことを特徴とする。
【0013】
(第7発明)
第7発明のコンクリート作製システムは、弾力性部材から構成され、セメントペーストを作製するためにダブルミキシングを行うセメントペースト作製用混合槽と、前記セメントペースト作製用混合槽に入れる水および減水剤の量およびセメント量を計量する計量機構と、前記セメントペースト作製用混合槽を偏心回転させる回転機構と、前記セメントペースト作製用混合槽に水および減水剤を徐々に投入する水量調整弁と、前記セメントペースト、細骨材、粗骨材を入れて攪拌する生コンクリート作製用混合槽と、前記セメントペースト作製用混合槽および生コンクリート骨材作製用混合槽に対する回転制御と、前記水量調整弁の開閉制御を行う水・セメント比制御装置とから少なくとも構成されることを特徴とする。
【0014】
(第8発明)
第8発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明のセメントペースト作製用混合槽の下段には、細骨材および粗骨材とともに攪拌されるコンクリート本練り用混合槽が設けられていることを特徴とする。
【0015】
(第9発明)
第9発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明のセメントペースト作製用混合槽の下段には、セメントペースト搬送手段が設けられ、前記セメントペーストが前記搬送手段の搬送を経て、細骨材および粗骨材とともに攪拌する生コンクリート本練り用混合槽に投入されることを特徴とする。
【0016】
(第10発明)
第10発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明から第9発明のセメントペースト作製用混合槽および生コンクリート作製用混合槽は、弾力により揺動できるゴム製で、高速偏心回転が可能な共通混合槽であることを特徴とする。
【0017】
(第11発明)
第11発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明から第10発明の水・セメント比制御装置は、セメントペースト作製用混合槽を駆動する駆動モータの負荷電流またはトルクを検出する検出手段と、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行うマイクロコンピュータとを少なくとも備えていることを特徴とする。
【0018】
(第12発明)
第12発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明から第11発明の水・セメント比制御装置は、予めメモリにセメントの種類、骨材の混合割合と種類、コンクリートの強度が記憶されており、前記のそれぞれを設定することにより、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行うことを特徴とする。
【0019】
(第13発明)
第13発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明から第12発明の水・セメント比制御装置は、運転中および運転完了の表示、およびメモリの記憶内容、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御状態、および水量調整弁の開閉制御状態が表示される表示装置が設けられていることを特徴とする。
【0020】
(第14発明)
第14発明のプレキャストコンクリートは、第1発明から第13発明の生コンクリートを型枠に投入し、養生および/または蒸気養生を用いて作製されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1のミキシング工程において、混練の際に供給する水の量と、水を供給する時間との関係を制御することにより、セメントぺースト内にセメントボールが発生しないようにすると、セメント粒子間の内部空隙が減少するため、生コンクリートを打設した際にブリーディングの発生しないコンクリートとなる。
【0022】
本発明によれば、ブリーディングの発生がないだけでなく、セメントぺースト内に強度上の欠陥となる内部空隙が減少し、さらに、ダブルミキシングの効果によりセメントの反応率が高まるため、強度および品質の高いコンクリートを得ることができる。
【0023】
本発明によれば、セメントぺースト内にセメントボールが発生しないようにしたため、生コンクリートを打設した後の蒸気養生の前置き時間の省略または低減、さらに、蒸気養生、オートクレープ、温水養生等の促進養生の程度を軽減でき、所望のコンクリートとすることができる。
【0024】
本発明によれば、生コンクリートを打設した後の蒸気養生が不要、あるいは短時間にすることができるようになったため、強度および品質の高いコンクリートが効率良く得られるだけでなく、安価なコンクリートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1発明)
第1発明のコンクリート作製方法は、セメントペーストを作製するため、第1のミキシング工程と第2のミキシング工程に分け、その後、骨材を入れて生コンクリートを作製する第3のミキシング工程を設け、前記第3のミキシング工程によって作製された生コンクリートを所定の形状をした枠型に投入し、必要な養生を行うことにより、コンクリートの強度を向上させると同時に、ブリーディングの発生しないコンクリートを得ることができる。第1のミキシング工程は、計量されたセメントをセメントペースト作製用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して徐々に投入しながらミキシングを行う。前記第1のミキシング工程は、前記水量調整弁によって、所定量の水および減水剤を徐々に投入しながら、セメントを攪拌するため、セメントボールができず、水とセメントを均質に混合できる。
【0026】
第2のミキシング工程は、前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに、残された所定量の水および減水剤が一度に投入され、ミキシングが行われる。第3のミキシング工程は、前記第2のミキシング工程において、所望の水および減水剤とセメントとが均質に混合されたセメントペーストと、用途に合った所定の粗骨材および細骨材とが本練り用ミキサーに入れられてミキシングが行われる。本発明のコンクリート作製方法は、セメントペーストをダブルミキシングとすると同時に、前記水量調整弁により所定量の水をセメントボールができない程度に徐々に投入しながら、攪拌したため、コンクリートとなった場合に、強度が向上するとともに、ブリーディングの発生をなくすことができた。また、本発明のコンクリート作製方法は、前記生コンクリートを型枠に入れた後の蒸気養生法における前置き時間を省略または低減でき、さらに、蒸気養生、オートクレープ、温水養生等の促進養生の程度を軽減でき、所望のコンクリートとすることができる。
【0027】
本発明のコンクリート作製方法は、水量調整弁によって、前記第1のミキシング工程において最適な水とセメントの比率で練り混ぜることにより、セメント粒子間に働く液体(水)の表面張力、あるいは、毛管凝集力の作用により、表面積が最も小さくなって一つに纏まる塊状の混練物が得られる。すなわち、セメントぺーストには、セメントボールが混入されておらず、粉体工学でいうキャピラリー領域の混練物となり、セメント粒子間の内部空隙が最も少ない状態となる。
【0028】
(第2発明)
第2発明のコンクリート作製方法は、第2のミキシング工程と第3のミキシング工程の間に、前記第2のミキシング工程によって得られたセメントペーストを静置する静置工程を設けた点で第1発明と異なっている。前記静置工程は、前記第2のミキシング工程によって得られたセメントペーストを次の工程に搬送される間に静置される。前記静置工程は、セメントおよび水等の混合割合を適当にするとともに、所望の強度等を得るために、設けることができる。また、前記静置工程は、前記搬送装置を停止または搬送速度を可変することにより、所望の時間だけ静置することができる。
【0029】
(第3発明)
第3発明のコンクリート作製方法は、第1発明および第2発明における第1のミキシング工程および第2のミキシング工程に使用する混合槽を弾力のあるゴム製とする。前記混合槽は、下部から底部がゴム製からなり、上部がたとえば金属製の筒体から構成されている。また、前記混合槽は、攪拌羽根を持たずに、高速で偏心回転させる。前記混合槽内の水とセメントは、高速偏心回転によって、下部から底部にかけて前記ゴムが伸び縮みし、また、セメントペーストが加速しランダム方向に揺動しながら短時間で混練を行うことができる。前記混練は、前記セメントと水および減水剤が上手に攪拌混合され、セメントボールができない、良質のセメントペーストを得ることができる。前記コンクリート作製方法は、セメントボールができないため、より高い強度が要求され、あるいは、ブリーディングを発生させないコンクリートが要求される場合に最適である。
【0030】
(第4発明)
第4発明のコンクリート作製方法は、第1発明から第3発明における水量調整弁の制御に関するものである。前記水量調整弁は、第1および第2のミキシング工程に使用される回転用モータの負荷電流を検出し、前記検出された負荷電流が最大となった際に、閉じるように制御される。また、前記水量調整弁は、水等の供給を閉じるタイミングにより、所望の品質のセメントペーストを得ることができる。また、前記コンクリート作製方法は、第1発明から第3発明における水量調整弁の制御の仕方が第3発明と異なっている。前記水量調整弁は、第1および第2のミキシング工程に使用される回転用モータの負荷トルクを検出し、前記検出された負荷トルクが最大となった際に、閉じるように制御される。
【0031】
(第5発明)
第5発明のコンクリート作製方法は、第1のミキシング工程に使用される水および減水材とセメントの量を規定している。たとえば、JIS R 5210に規定される普通ポルトランドセメントを使用した場合、第1のミキシング工程に使用される水の量は、減水剤を使用しない場合、セメント重量に対して18%から30%、好ましくは、22%から26%、減水剤を使用する場合、セメント重量に対して13%から25%、好ましくは、15%から23%、を中心にして、多くまたは少なくすることにり、所望の用途に合った性質のものを得ることができる。
【0032】
(第6発明)
第6発明のコンクリート作製方法は、第1発明から第5発明のミキシング工程を一つの混合槽によって連続的に行うことができる。第6発明は、セメント、水、減水剤、細骨材、粗骨材を所定量供給できるようにするとともに、これらの量を正確に制御できる装置を備えることにより、セメントからコンクリートが一貫して、迅速に、しかも品質の高いものを得ることができる。前記コンクリート作製方法は、第2のミキシング工程および第3のミキシング工程をまとめて練り混ぜることも可能である。
【0033】
(第7発明)
第7発明のコンクリート作製システムは、セメントペースト作製用混合槽、水量およびセメント量計量機構、前記セメントペースト作製用混合槽の回転機構、水量調整弁、水・セメント比制御装置とから少なくとも構成されている。前記セメントペースト作製用混合槽は、槽全体がゴム等からなる弾力性部材で構成され、セメントペーストを作製するためにミキシングを二回に分けて行っている。前記水量およびセメント量計量機構は、二回のミキシングに使用される水量等およびセメント量を所望の量とするためのものである。
【0034】
前記回転機構は、前記セメントペースト作製用混合槽を高速で偏心回転させるため、セメントと水等がランダムに混練され、セメントボールが発生しない。また、水量調整弁は、前記セメントペースト作製用混合槽に水および減水剤を徐々に注水できるようにしている。さらに、水・セメント比制御装置は、前記セメントペースト作製用混合槽の回転制御と、水量調整弁の開閉制御を行うことができる。本発明のコンクリート作製システムは、弾性材料からなるセメントペースト作製用混合槽、前記混合槽の高速偏心回転、水量調整弁から出る適度の単位時間当たりの水量の三つの条件が相まって、セメントボールのできないセメントペーストを得ることができる。そして、前記コンクリート作製システムによって得られたコンクリートは、強度が高く、ブリーディングの発生が少なく、型枠に入れた後の蒸気養生における前置き時間を省略、または短時間とすることができる。
【0035】
(第8発明)
第8発明のコンクリート作製システムは、第7発明のセメントペースト作製用混合槽の下段に細骨材および粗骨材とともに攪拌される生コンクリート本練り用混合槽が設けられている。すなわち、第1のミキシング工程および第2のミキシング工程によって作製されたセメントぺーストは、前記セメントペースト作製用混合槽の下部から直接または間接的に生コンクリート本練り用混合槽に挿入される。
【0036】
(第9発明)
第9発明のコンクリート作製システムは、セメントペースト作製用混合槽の下段にセメントペースト搬送手段が設けられている点で、第7発明と異なっている。ダブルミキシングが終了したセメントペーストは、前記搬送手段の搬送を経て、細骨材および粗骨材とともに生コンクリート本練り用混合槽に挿入される。前記搬送手段は、搬送される時間、速さ、停止時間等を任意に変えることができる。
【0037】
(第10発明)
第10発明のコンクリート作製システムは、弾力により揺動できるゴム製で、高速偏心回転が可能な一つの共通混合槽によって、セメントからセメントペーストを作製し、その後、コンクリートを一貫作業により、作製することができる。前記一貫作業のコンクリートは、強度が高く、ブリーディングの発生が少なく、蒸気養生における前置き時間を省略、あるいは短時間とすることができる。
【0038】
(第11発明)
第11発明のコンクリート作製システムは、水・セメント比制御装置として、駆動モータの負荷電流またはトルクを検出する検出手段と、セメントぺースト作製用混合槽の回転駆動制御および水量調整弁の開閉制御を行うマイクロコンピュータとを備えている。前記水・セメント比制御装置は、たとえば、検出手段によって、セメントペースト作製用混合槽を駆動する駆動モータの最大負荷電流または最大トルクを検出する。また、前記マイクロコンピュータは、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行う。
【0039】
(第12発明)
第12発明のコンクリート作製システムにおいて、第6発明の水・セメント比制御装置は、予めメモリにセメントの種類、骨材の混合割合と種類、コンクリートの強度が記憶されている。前記マイクロコンピュータは、予めメモリに記憶されているデータを基にして、それぞれを設定することにより、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行うことができる。
【0040】
(第13発明)
第13発明のコンクリート作製システムは、メモリの記憶内容を表示装置に表示し、目的に合った強度、ブリーディングの程度、養生時間等を考慮したコンクリートを得ることができる。前記コンクリート作製システムの水・セメント比制御装置は、前記表示装置に、運転中および運転完了の表示ができるとともに、メモリの記憶内容、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御状態、および水量調整弁の開閉制御状態が表示される。コンクリート作製システムの管理者は、前記表示装置を見ることにより、所望の硬さ、ブリーディング、養生時間等からなるコンクリートを得ることができる。
【0041】
(第14発明)
第14発明のプレキャストコンクリートは、第1発明から第13発明によるコンクリート作製方法およびコンクリート作製システムによって作製された生コンクリートを型枠に投入し、養生および/または蒸気養生を用いて作製される。前記プレキャストコンクリートは、ブリーディングが少なく、所定の強度を有するものであり、信頼性が高いものである。
【実施例1】
【0042】
図1は本発明の第1実施例である生コンクリート製造システムを説明するための概念図である。図1において、生コンクリート製造システムは、第1のミキシング工程および第2のミキシング工程を行うセメントぺースト作製用ミキサ11と、セメント等の原料を貯蔵する原料貯蔵槽12と、前記セメントぺースト作製用ミキサ11によって作製されたセメントぺーストと、水と、細骨材および粗骨材等を入れて、本練りを行う本練り用ミキサ18とから少なくとも構成されている。
【0043】
原料貯蔵槽12から供給されるセメントは、セメント計量器13によって所定の量が計量された後、前記セメントぺースト作製用ミキサ11に投入される。また、減水剤は、減水剤計量器14によって計量された後、水タンク15からの水と一緒になって、水計量器16により計量され、その後、水量調整弁17を介してセメントぺースト作製用ミキサ11に投入される。
【0044】
前記水量調整弁17は、後述の水・セメント比制御装置の制御によって、水および減水剤を適当な量と時間に調整しながら前記セメントぺースト作製用ミキサ11に投入する。第1のミキシング工程は、前記水量調整弁17の制御の基に、セメントに対して、水および減水剤が所定量と所定時間かけて徐々に供給され、混練される。その後、前記セメントぺースト作製用ミキサ11は、前記水量調整弁17が全開されて、第2のミキシング工程に必要な水および減水剤が投入される。
【0045】
前記第1のミキシング工程は、たとえば、ポルトランドセメントを使用し、減水剤を使用しない場合、水の量をセメント重量に対して24%にすると、ブリーディングが少なく、強度の硬いコンクリートを得ることができる。また、前記水のセメントに対する重量%は、18%から30%、好ましくは、22%から26%の範囲であることが判った。減水剤を使用する場合の水および減水剤のセメントに対する重量%は、13%から25%、好ましくは、15%から23%の範囲であることが判った。すなわち、前記水および減水剤は、多くまたは少なくすることにり、所望の用途に合った性質のものを得ることができる。
【0046】
前記第1のミキシング工程および第2のミキシング工程に使用するセメントぺースト作製用ミキサ11は、たとえば、弾力のあるゴム製からなり、攪拌羽根を持たずに、高速で偏心回転できるような混合槽から構成される。前記セメントぺースト作製用ミキサ11の形状および構造は、後述する。前記第1のミキシング工程は、前記セメントぺースト作製用ミキサ11において、前記セメントと水および減水剤の量が徐々に供給されて、上手に攪拌混合されるため、セメントボールができずに、良質で均一に攪拌されたセメントペーストを得ることができる。前記コンクリート作製方法は、セメントボールができないため、より高い強度のコンクリートができるとともに、ブリーディングの発生が無く、蒸気養生の必要がないか、あるいは短時間の養生で済むコンクリートを得ることができるようになった。
【0047】
第1のミキシング工程および第2のミキシング工程が終了したセメントぺーストは、セメントぺースト作製用ミキサ11から投入シュート181を介して、本練り用ミキサ18に供給される。細骨材は、細骨材計量器183により計量された後、投入シュート182を介して前記本練り用ミキサ18に供給される。同様に、粗骨材は、粗骨材計量器184および前記投入シュート182を介して前記本練り用ミキサ18に供給される。第3のミキシング工程は、前記本練り用ミキサ18によって、前記セメントぺーストと、細骨材と、粗骨材とを混練した後、生コンクリートを得る。
【実施例2】
【0048】
図2は本発明の第2実施例である生コンクリート製造方法を工程順に説明するための図である。図2において、第1のミキシング工程214は、セメント211、一次水(最適水比の水)212、減水剤213を所定の量で所定時間をかけるため、水量調整弁を介して徐々に投入しながらセメントペースト作製用ミキサを高速偏心回転させてミキシングを行う。第2のミキシング工程は、二次水(残りの水)215および減水剤216を一度に前記混合槽に供給し、攪拌する。前記セメントペースト作製用ミキサにおいて、攪拌されたセメントぺーストは、移動・静置工程を経て、第3のミキシング工程221を行う本練り用ミキサに供給される。前記移動・静置工程は、セメントの種類あるいは使用する生コンクリートの強度等によって設けられる。
【0049】
前記一次水(最適水比の水)212は、ポルトランドセメントに対して重量比で、24%の時、ブリーディングが最も少なくり、また、水和反応性が最も高くなることが判った。また、前記効果は、ブリーディング試験、セメントペーストの水和収縮試験、簡易断熱温度測定試験により確認した。前記一次水(最適水比の水)212は、減水剤を添加しない場合のものであるが、前述のように、減水剤を入れた場合であっても、ブリーディングが少なく、所望の硬度を得ることができた。
【0050】
本練り用ミキサは、粗骨材219および細骨材220が供給され、前記第1のミキシング工程および第2のミキシング工程によって得られたセメントぺーストとともに本練りが行われて、生コンクリートとなる。前記生コンクリートは、排出工程222により、所望の型枠に打設される。
第2実施例は、移動・静置工程218がない点でのみ、第1実施例と異なっている。
【0051】
図3は本発明の第1および第2実施例に共通な水およびセメントの供給量、ミキサ駆動モータの制御、水量調整弁の制御等を説明するためのブロック構成図である。図3において、セメントは、セメント貯蔵槽311からセメント計量器312よって計量された後、セメントぺースト作製用ミキサ317に投入される。水タンク314からの水は、水計量器315によって所定の量とするとともに、水量調整弁316によって、徐々にセメントぺースト作製用ミキサ317に投入される。
【0052】
前記ミキサ駆動モータ318は、駆動モータ制御部319の制御により制御される。前記水量調整弁316は、水・セメント比制御装置30によって制御される。前記水・セメント比制御装置30は、負荷電流検出部301と、マイコン302と、メモリ303と、水量調整弁制御部304と、表示部305とから少なくとも構成されている。
【0053】
前記負荷電流検出部301は、セメントぺースト作製用ミキサ317を駆動するモータの負荷電流を検出する。前記セメントぺースト作製用ミキサ317を駆動するモータの負荷電流の代わりに、負荷トルクを検出することもできる。前記マイコン302は、負荷電流検出部301によって検出された前記負荷電流または負荷トルクを信号として、駆動モータ制御部319および水量調整弁制御部304へ送り、ミキサ駆動モータ318および水量調整弁316を制御する。
【0054】
また、前記マイコン302は、予めメモリ303に記憶されているセメントの種類とその量、水の量、負荷電流(負荷トルク)の値等のデータを基にして制御を行う。前記マイコン302は、前記負荷電流検出部301により、負荷電流が最大になった際に、水量調整弁制御部304により、水量調整弁316を閉じるように制御する。最大の負荷電流または負荷トルクが検出された状態は、前記セメントペースト作製用ミキサ317のセメントペーストが一番練り込まれた状態であり、セメントボールがない一つに纏まった塊状になっている。
【0055】
表示部305は、メモリ303の記憶内容を表示装置に表示する。前記表示部305は、セメントの種類、水の量等、目的に合ったコンクリートの強度、ブリーディングの発生程度、養生(養生または蒸気養生)時間等を表示して、適宜選択することにより、所望の品質の生コンクリートを得ることができる。前記コンクリート作製システムの水・セメント比制御装置30は、前記表示部305に、運転中および運転完了の表示がでるとともに、メモリ303の記憶内容、前記セメントペースト作製用ミキサの回転駆動制御状態、および水量調整弁の開閉制御状態等を表示する。
【0056】
図4は本発明の実施例に使用したセメントペースト作製用ミキサの概念構成を説明するための図である。図4において、セメントペースト作製用ミキサ41は、モータ42と、前記モータ42によって回転する回転板と偏心部材からなる偏心機構43と、弾性部材から構成される弾性底部44と、前記弾性底部44に連設されているほぼ円筒状筐体45と、前記弾性底部44および円筒状筐体45からなる混合槽の底部を構成する半球状底部46とから少なくとも構成されている。
【0057】
前記セメントペースト作製用ミキサ41は、半球状底部46が偏心しながら回転するとともに、前記弾性底部44の弾性による伸び縮みにより、内部に入っているセメントペースト47に強い加速度を与えながら、不規則に旋回することにより、水とセメントが均一に攪拌されるため、セメントボールの発生がなくなる。特に、前記セメントペースト作製用ミキサ41における弾性底部44は、高速偏心回転により、一方が伸び、他方が縮むようになり、水およびセメントの不規則性を大きくして回転する。前記水とセメントは、前記セメントペースト作製用ミキサ41の不規則な偏心高速回転により、セメント粒子間に働く水の表面張力、あるいは、毛管凝集力の作用により、表面積が最も小さくなり、一つに纏まった塊状の混練物が得られるようになる。
【0058】
図5は本発明の実施例における水、セメント、細骨材、粗骨材、減水剤、空気の量等の割合の一例を示す図である。図5において、W/Cは水とセメントとの重量比、S/aは骨材中に占める細骨材の容積割合、Wは水、Cは普通ポルトランドセメント、Sは細骨材、G1、G2は粗骨材を示し、値は単位容積当たりの重量を表している。また、ADは高性能減衰剤の重量に占める割合である。
【0059】
図6は本発明の実施例における各工程における水とセメントの割合を示す図である。図6において、第1のミキシング工程(W1)、第2のミキシング工程(W2)、および第3のミキシング工程(W)における水の割合と全体に対する割合、水とセメントの比率が表されている。
【0060】
図7は本発明の実施例で、セメントとして、ポルトランドセメントを使用した場合の図4および図5におけるシングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)の違いを説明するための図である。図7において、本発明のダブルミキシング法は、圧縮強度およびブリーディング率が向上していることが判る。
【0061】
図8は本発明の実施例で、ダブルミキシングの場合効果を説明するための図である。図8において、養生時間の短縮、養生に要するエネルギーの減少、同じ強度のセメント量の減少等が判る。
【0062】
図9は本発明の実施例におけるセメントに水を混ぜてセメントペーストを作製し、生コンクリートを得るための工程図である。図9において、SM1は、シングルミキシングであり、DMは、ダブルミキシングで、1から4の異なる例を挙げてある。なお、図中、Wは水、Adは減水剤、AEは空気調整剤、Cはセメント、Lは練混回転速度低、Hは練混回転速度高、Sは砂、Gは砂利、CPはセメントペーストである。
【0063】
図10は本発明の図9におけるセメントペーストを使用した場合のスランプおよびブリーディング率を示すものである。図10において、SM1のセメントペーストは、コンクリートとして柔らかく、かつブリーディング率が大きい。DM3のセメントペーストは、コンクリートとしての硬さおよびブリーディング率が程良い値であることが判る。
【0064】
図11は本発明の実施例における標準的な蒸気養生の経過時間対温度の関係を示すものである。図12は図11における経過時間が0から12時間までの部分を拡大した図であり、前置時間を短縮した場合における経過時間に対する温度の推移を表す。図11および図12における蒸気養生条件で成形したコンクリートの圧縮強度の結果が図13および図14となる。
【0065】
図13は本発明の実施例において、脱型直後の圧縮強度と前置養生時間との関係を示す図である。図14は本発明の実施例において、型枠打ち込み後、材齢7日の圧縮強度と前記養生時間との関係を示す図である。図13および図14において、DM1、またはDM3、またはDM4のセメントペーストから作製されたコンクリートは、SM1のセメントペーストから作製されたコンクリートより、明らかに圧縮強度が向上している。また、図14において、SM1の場合、前置き時間を0時間にした場合では、圧縮強度が16%も低くなっているのに対して、DMの場合は、前置き時間が0時間の場合でも、圧縮強度の低下は4%程度でしかない。したがって、ダブルミキシングでは、前置き時間を0時間としても良いことが判る。
【0066】
図15は本発明の実施例における負荷電流値と練り混ぜ時間の関係を示す図である。図15において、水量調整弁の調整により調整された一次水の量が不足している領域、および最適一次水の領域が示されている。一次水の量が不足している場合、負荷電流値は、一定範囲で繰り替えさる。最適一次水の場合、負荷電流がほぼ一定の値を示している。したがって、本発明は、前記最適一次水になった領域を検出して、負荷電流を切断している。
【0067】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の実施例に記載された制御系のブロックは、周知または公知の技術によって達成できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施例である生コンクリート製造システムを説明するための概念図である。(実施例1)
【図2】本発明の第2実施例である生コンクリート製造方法を工程順に説明するための図である。(実施例2)
【図3】本発明の第1および第2実施例に共通な水およびセメントの供給量、ミキサ駆動モータの制御、水量調整弁の制御等を説明するためのブロック構成図である。
【図4】本発明の実施例に使用したセメントペースト作製用ミキサの概念構成を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例における水、セメント、細骨材、粗骨材、減水剤、空気の量等の割合の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施例における各工程における水とセメントの割合を示す図である。
【図7】本発明の実施例で、セメントとして、ポルトランドセメントを使用した場合の図4および図5におけるシングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)の違いを説明するための図である。
【図8】本発明の実施例で、セメントとして、ポルトランドセメントを使用した場合の図4および図5におけるシングルミキシングとダブルミキシングの違いを説明するための図である。
【図9】本発明の実施例におけるセメントに水を混ぜてセメントペーストを作製し、生コンクリートを得るための工程図である。
【図10】本発明の図9におけるセメントペーストを使用した場合のスランプおよびブリーディング率を示すものである。
【図11】本発明の実施例における蒸気養生における経過時間対温度の関係を示すものである。
【図12】図11における経過時間が0から12時間までの部分を拡大した図であり、前置時間を短縮した場合における経過時間に対する温度の推移を表す。
【図13】本発明の実施例において、脱型直後の圧縮強度と前置養生時間との関係を示す図である。
【図14】本発明の実施例において、型枠打ち込み後、材齢7日の圧縮強度と前記養生時間との関係を示す図である。
【図15】本発明の実施例における負荷電流値と練り混ぜ時間の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
11・・・セメントペースト作製用ミキサ
12・・・原料貯蔵槽
13・・・セメント計量器
14・・・減水剤計量器
15・・・水タンク
16・・・水計量器
17・・・水量調整弁
18・・・本練り用ミキサ
181・・・投入シュート
182・・・投入シュート
183・・・細骨材計量器
184・・・粗骨材計量器
【技術分野】
【0001】
本発明は、高強度で、ブリーディングの発生が少なく、硬化時間が短縮されるコンクリート作製方法およびコンクリート作製システムならびにプレキャストコンクリートに関するものである。本発明は、コンクリートを混練する際に使用する水を2回に分割して混練する方法、いわゆるダブルミキシングにおいて、まず初めに、セメントペーストを最適な水量で混ぜることを特徴としている。本発明は、セメントと水等との混練に際し、水を最適量と所定の時間をかけて供給できるように制御することにより、セメント粒子間に働く水の表面張力、あるいは、毛管凝集力の作用により、表面積が最も小さくなり、一つに纏まった塊状の混練物が得られるようにしたコンクリート作製方法およびコンクリート作製システムならびにプレキャストコンクリートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の生コンクリート作製技術は、水、セメント、細骨材、粗骨材等を一度にミキサに投入して混練している。コンクリートは、前記生コンクリートを打設した後、前記練り混ぜた水の一部が表面に浮いて出る、いわゆるブリーディングが発生することが多い。ブリーディングが多いと、コンクリート中の粗骨材、あるいは水平鉄筋の下側に空隙を作り、前記粗骨材とセメントペースト、あるいは粗骨材とモルタル、あるいは鉄筋とコンクリートの付着を悪くして、コンクリートの強度低下、あるいは、耐久性を低下する原因となる。そこで、従来のコンクリートは、単位水量の少ない硬練りのコンクリートをバイブレータによって密実に締め固める方法がとられている。また、最近では、前記ブリーディングを低減して、高強度化、高品質化を目的として、生コンクリート作製に際し、セメントと水等の混練を2回に分けたダブルミキシングが効果のあることが知られてきた。
【0003】
また、たとえば、硬化時間の短縮を目的とした方法としては、特開2006−305748号公報があり、先練りしたセメントペーストの静置と硬化促進剤の使用により、早期の脱型を可能とした方法である。しかし、前記製造方法による生コンクリートの作製方法は、セメントペーストの先練り工程において、最適な水とセメントの比率で混練していないため、セメントペーストの静置工程が1時間から2時間必要となり、作業工程上の負担となっていた。
【特許文献1】特開2006−305748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダブルミキシング法において、セメントぺーストを作製する第1のミキシング工程は、セメントと水とを混ぜる際に、セメント粒子間に働く水の張力、あるいは、毛管凝集力の作用により、セメントボールが成形される。前記セメントボールは、混練に使用する水の量が少ない場合、特に、生じ易い。前記セメントボールの発生は、セメント粒子と水との均一な混練を阻害するため、ダブルミキシングの効果が半減する。そこで、セメントぺーストの作製は、前記セメントボールを砕き、均一なセメントぺーストを得るために、最適水量より水量過多で混練するしか方法がなかった。
【0005】
また、シングルミキシングによるコンクリートの強度は、水とセメントとの比率(W/C)によって決まる。これに対して、ダブルミキシングによるコンクリート強度は、コンクリート全体としての水と、セメントとの比率(W/C)に基づくだけでなく、一次ミキシングにおける水とセメントの比率(W1/C)によっても影響がある。
【0006】
以上のような課題を解決するために、本発明は、ダブルミキシングとするとともに、第1のミキシング工程において、混練の際の水の量と時間との関係を制御すること、および第1のミキシング工程における最適な水とセメントとの比率(W1/C)を検知して、混練することを可能としたことにより、セメントぺースト内にセメントボールができないようにしたコンクリート作製方法およびコンクリート作製システムならびにプレキャストコンクリートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(第1発明)
第1発明のコンクリート作製方法は、計量されたセメントをセメントペースト用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して投入しながらミキシングを行う第1のセメントペーストを作製する第1のミキシング工程と、前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに所定量の水および減水剤を一度に投入してミキシングを行う第2のセメントペーストを作製する第2のミキシング工程と、前記第2のミキシング工程によって得られた第2のセメントペーストと、細骨材および粗骨材を本練り用ミキサーに入れてミキシングを行う第3のミキシング工程と、前記第3のミキシング工程よって作製された生コンクリートを型枠に投入して固化するために養生を行う工程とから少なくともなることを特徴とする。
【0008】
(第2発明)
第2発明のコンクリート作製方法は、計量されたセメントをセメントペースト用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して投入しながらミキシングを行う第1のセメントペーストを作製する第1のミキシング工程と、前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに所定量の水および減水剤を一度に投入してミキシングを行う第2のセメントペーストを作製する第2のミキシング工程と、前記第2のミキシング工程によって得られたセメントペーストを次の工程に搬送する間に静置する静置工程と、前記静置工程を経た後、前記第2のセメントペーストと、細骨材および粗骨材を本練り用ミキサーに入れてミキシングを行う第3のミキシング工程と、前記第3のミキシング工程よって作製された生コンクリートを型枠に投入して固化するために養生を行う工程とから少なくともなることを特徴とする。
【0009】
(第3発明)
第3発明のコンクリート作製方法において、第1発明または第2発明における第1のミキシング工程および第2のミキシング工程は、弾力により揺動できるゴム製の混合槽を高速偏心回転させて、セメントペースト、水、および減水材を攪拌混合することを特徴とする。
【0010】
(第4発明)
第4発明のコンクリート作製方法において、第1発明から第3発明の水量調整弁は、第1および第2のミキシング工程に使用される回転用モータの負荷電流または負荷トルクを検出し、前記負荷電流または負荷トルクに基づいて開閉が制御されることを特徴とする。
【0011】
(第5発明)
第5発明のコンクリート作製方法において、たとえば、JIS R 5210に規定される普通ポルトランドセメントを使用した場合、第1のミキシング工程に使用される水の量は、減水剤を使用しない場合、セメント重量に対して18%から30%、好ましくは、22%から26%、減水剤を使用する場合、セメント重量に対して13%から25%、好ましくは、15%から23%、を中心にして硬さが決められることを特徴とする。
【0012】
(第6発明)
第6発明のコンクリート作製方法は、第1発明から第5発明において、第1のミキシング工程、第2のミキシング工程、および第3のミキシング工程を一つの混合槽によって連続的に行うことを特徴とする。
【0013】
(第7発明)
第7発明のコンクリート作製システムは、弾力性部材から構成され、セメントペーストを作製するためにダブルミキシングを行うセメントペースト作製用混合槽と、前記セメントペースト作製用混合槽に入れる水および減水剤の量およびセメント量を計量する計量機構と、前記セメントペースト作製用混合槽を偏心回転させる回転機構と、前記セメントペースト作製用混合槽に水および減水剤を徐々に投入する水量調整弁と、前記セメントペースト、細骨材、粗骨材を入れて攪拌する生コンクリート作製用混合槽と、前記セメントペースト作製用混合槽および生コンクリート骨材作製用混合槽に対する回転制御と、前記水量調整弁の開閉制御を行う水・セメント比制御装置とから少なくとも構成されることを特徴とする。
【0014】
(第8発明)
第8発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明のセメントペースト作製用混合槽の下段には、細骨材および粗骨材とともに攪拌されるコンクリート本練り用混合槽が設けられていることを特徴とする。
【0015】
(第9発明)
第9発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明のセメントペースト作製用混合槽の下段には、セメントペースト搬送手段が設けられ、前記セメントペーストが前記搬送手段の搬送を経て、細骨材および粗骨材とともに攪拌する生コンクリート本練り用混合槽に投入されることを特徴とする。
【0016】
(第10発明)
第10発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明から第9発明のセメントペースト作製用混合槽および生コンクリート作製用混合槽は、弾力により揺動できるゴム製で、高速偏心回転が可能な共通混合槽であることを特徴とする。
【0017】
(第11発明)
第11発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明から第10発明の水・セメント比制御装置は、セメントペースト作製用混合槽を駆動する駆動モータの負荷電流またはトルクを検出する検出手段と、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行うマイクロコンピュータとを少なくとも備えていることを特徴とする。
【0018】
(第12発明)
第12発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明から第11発明の水・セメント比制御装置は、予めメモリにセメントの種類、骨材の混合割合と種類、コンクリートの強度が記憶されており、前記のそれぞれを設定することにより、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行うことを特徴とする。
【0019】
(第13発明)
第13発明のコンクリート作製システムにおいて、第7発明から第12発明の水・セメント比制御装置は、運転中および運転完了の表示、およびメモリの記憶内容、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御状態、および水量調整弁の開閉制御状態が表示される表示装置が設けられていることを特徴とする。
【0020】
(第14発明)
第14発明のプレキャストコンクリートは、第1発明から第13発明の生コンクリートを型枠に投入し、養生および/または蒸気養生を用いて作製されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1のミキシング工程において、混練の際に供給する水の量と、水を供給する時間との関係を制御することにより、セメントぺースト内にセメントボールが発生しないようにすると、セメント粒子間の内部空隙が減少するため、生コンクリートを打設した際にブリーディングの発生しないコンクリートとなる。
【0022】
本発明によれば、ブリーディングの発生がないだけでなく、セメントぺースト内に強度上の欠陥となる内部空隙が減少し、さらに、ダブルミキシングの効果によりセメントの反応率が高まるため、強度および品質の高いコンクリートを得ることができる。
【0023】
本発明によれば、セメントぺースト内にセメントボールが発生しないようにしたため、生コンクリートを打設した後の蒸気養生の前置き時間の省略または低減、さらに、蒸気養生、オートクレープ、温水養生等の促進養生の程度を軽減でき、所望のコンクリートとすることができる。
【0024】
本発明によれば、生コンクリートを打設した後の蒸気養生が不要、あるいは短時間にすることができるようになったため、強度および品質の高いコンクリートが効率良く得られるだけでなく、安価なコンクリートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1発明)
第1発明のコンクリート作製方法は、セメントペーストを作製するため、第1のミキシング工程と第2のミキシング工程に分け、その後、骨材を入れて生コンクリートを作製する第3のミキシング工程を設け、前記第3のミキシング工程によって作製された生コンクリートを所定の形状をした枠型に投入し、必要な養生を行うことにより、コンクリートの強度を向上させると同時に、ブリーディングの発生しないコンクリートを得ることができる。第1のミキシング工程は、計量されたセメントをセメントペースト作製用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して徐々に投入しながらミキシングを行う。前記第1のミキシング工程は、前記水量調整弁によって、所定量の水および減水剤を徐々に投入しながら、セメントを攪拌するため、セメントボールができず、水とセメントを均質に混合できる。
【0026】
第2のミキシング工程は、前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに、残された所定量の水および減水剤が一度に投入され、ミキシングが行われる。第3のミキシング工程は、前記第2のミキシング工程において、所望の水および減水剤とセメントとが均質に混合されたセメントペーストと、用途に合った所定の粗骨材および細骨材とが本練り用ミキサーに入れられてミキシングが行われる。本発明のコンクリート作製方法は、セメントペーストをダブルミキシングとすると同時に、前記水量調整弁により所定量の水をセメントボールができない程度に徐々に投入しながら、攪拌したため、コンクリートとなった場合に、強度が向上するとともに、ブリーディングの発生をなくすことができた。また、本発明のコンクリート作製方法は、前記生コンクリートを型枠に入れた後の蒸気養生法における前置き時間を省略または低減でき、さらに、蒸気養生、オートクレープ、温水養生等の促進養生の程度を軽減でき、所望のコンクリートとすることができる。
【0027】
本発明のコンクリート作製方法は、水量調整弁によって、前記第1のミキシング工程において最適な水とセメントの比率で練り混ぜることにより、セメント粒子間に働く液体(水)の表面張力、あるいは、毛管凝集力の作用により、表面積が最も小さくなって一つに纏まる塊状の混練物が得られる。すなわち、セメントぺーストには、セメントボールが混入されておらず、粉体工学でいうキャピラリー領域の混練物となり、セメント粒子間の内部空隙が最も少ない状態となる。
【0028】
(第2発明)
第2発明のコンクリート作製方法は、第2のミキシング工程と第3のミキシング工程の間に、前記第2のミキシング工程によって得られたセメントペーストを静置する静置工程を設けた点で第1発明と異なっている。前記静置工程は、前記第2のミキシング工程によって得られたセメントペーストを次の工程に搬送される間に静置される。前記静置工程は、セメントおよび水等の混合割合を適当にするとともに、所望の強度等を得るために、設けることができる。また、前記静置工程は、前記搬送装置を停止または搬送速度を可変することにより、所望の時間だけ静置することができる。
【0029】
(第3発明)
第3発明のコンクリート作製方法は、第1発明および第2発明における第1のミキシング工程および第2のミキシング工程に使用する混合槽を弾力のあるゴム製とする。前記混合槽は、下部から底部がゴム製からなり、上部がたとえば金属製の筒体から構成されている。また、前記混合槽は、攪拌羽根を持たずに、高速で偏心回転させる。前記混合槽内の水とセメントは、高速偏心回転によって、下部から底部にかけて前記ゴムが伸び縮みし、また、セメントペーストが加速しランダム方向に揺動しながら短時間で混練を行うことができる。前記混練は、前記セメントと水および減水剤が上手に攪拌混合され、セメントボールができない、良質のセメントペーストを得ることができる。前記コンクリート作製方法は、セメントボールができないため、より高い強度が要求され、あるいは、ブリーディングを発生させないコンクリートが要求される場合に最適である。
【0030】
(第4発明)
第4発明のコンクリート作製方法は、第1発明から第3発明における水量調整弁の制御に関するものである。前記水量調整弁は、第1および第2のミキシング工程に使用される回転用モータの負荷電流を検出し、前記検出された負荷電流が最大となった際に、閉じるように制御される。また、前記水量調整弁は、水等の供給を閉じるタイミングにより、所望の品質のセメントペーストを得ることができる。また、前記コンクリート作製方法は、第1発明から第3発明における水量調整弁の制御の仕方が第3発明と異なっている。前記水量調整弁は、第1および第2のミキシング工程に使用される回転用モータの負荷トルクを検出し、前記検出された負荷トルクが最大となった際に、閉じるように制御される。
【0031】
(第5発明)
第5発明のコンクリート作製方法は、第1のミキシング工程に使用される水および減水材とセメントの量を規定している。たとえば、JIS R 5210に規定される普通ポルトランドセメントを使用した場合、第1のミキシング工程に使用される水の量は、減水剤を使用しない場合、セメント重量に対して18%から30%、好ましくは、22%から26%、減水剤を使用する場合、セメント重量に対して13%から25%、好ましくは、15%から23%、を中心にして、多くまたは少なくすることにり、所望の用途に合った性質のものを得ることができる。
【0032】
(第6発明)
第6発明のコンクリート作製方法は、第1発明から第5発明のミキシング工程を一つの混合槽によって連続的に行うことができる。第6発明は、セメント、水、減水剤、細骨材、粗骨材を所定量供給できるようにするとともに、これらの量を正確に制御できる装置を備えることにより、セメントからコンクリートが一貫して、迅速に、しかも品質の高いものを得ることができる。前記コンクリート作製方法は、第2のミキシング工程および第3のミキシング工程をまとめて練り混ぜることも可能である。
【0033】
(第7発明)
第7発明のコンクリート作製システムは、セメントペースト作製用混合槽、水量およびセメント量計量機構、前記セメントペースト作製用混合槽の回転機構、水量調整弁、水・セメント比制御装置とから少なくとも構成されている。前記セメントペースト作製用混合槽は、槽全体がゴム等からなる弾力性部材で構成され、セメントペーストを作製するためにミキシングを二回に分けて行っている。前記水量およびセメント量計量機構は、二回のミキシングに使用される水量等およびセメント量を所望の量とするためのものである。
【0034】
前記回転機構は、前記セメントペースト作製用混合槽を高速で偏心回転させるため、セメントと水等がランダムに混練され、セメントボールが発生しない。また、水量調整弁は、前記セメントペースト作製用混合槽に水および減水剤を徐々に注水できるようにしている。さらに、水・セメント比制御装置は、前記セメントペースト作製用混合槽の回転制御と、水量調整弁の開閉制御を行うことができる。本発明のコンクリート作製システムは、弾性材料からなるセメントペースト作製用混合槽、前記混合槽の高速偏心回転、水量調整弁から出る適度の単位時間当たりの水量の三つの条件が相まって、セメントボールのできないセメントペーストを得ることができる。そして、前記コンクリート作製システムによって得られたコンクリートは、強度が高く、ブリーディングの発生が少なく、型枠に入れた後の蒸気養生における前置き時間を省略、または短時間とすることができる。
【0035】
(第8発明)
第8発明のコンクリート作製システムは、第7発明のセメントペースト作製用混合槽の下段に細骨材および粗骨材とともに攪拌される生コンクリート本練り用混合槽が設けられている。すなわち、第1のミキシング工程および第2のミキシング工程によって作製されたセメントぺーストは、前記セメントペースト作製用混合槽の下部から直接または間接的に生コンクリート本練り用混合槽に挿入される。
【0036】
(第9発明)
第9発明のコンクリート作製システムは、セメントペースト作製用混合槽の下段にセメントペースト搬送手段が設けられている点で、第7発明と異なっている。ダブルミキシングが終了したセメントペーストは、前記搬送手段の搬送を経て、細骨材および粗骨材とともに生コンクリート本練り用混合槽に挿入される。前記搬送手段は、搬送される時間、速さ、停止時間等を任意に変えることができる。
【0037】
(第10発明)
第10発明のコンクリート作製システムは、弾力により揺動できるゴム製で、高速偏心回転が可能な一つの共通混合槽によって、セメントからセメントペーストを作製し、その後、コンクリートを一貫作業により、作製することができる。前記一貫作業のコンクリートは、強度が高く、ブリーディングの発生が少なく、蒸気養生における前置き時間を省略、あるいは短時間とすることができる。
【0038】
(第11発明)
第11発明のコンクリート作製システムは、水・セメント比制御装置として、駆動モータの負荷電流またはトルクを検出する検出手段と、セメントぺースト作製用混合槽の回転駆動制御および水量調整弁の開閉制御を行うマイクロコンピュータとを備えている。前記水・セメント比制御装置は、たとえば、検出手段によって、セメントペースト作製用混合槽を駆動する駆動モータの最大負荷電流または最大トルクを検出する。また、前記マイクロコンピュータは、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行う。
【0039】
(第12発明)
第12発明のコンクリート作製システムにおいて、第6発明の水・セメント比制御装置は、予めメモリにセメントの種類、骨材の混合割合と種類、コンクリートの強度が記憶されている。前記マイクロコンピュータは、予めメモリに記憶されているデータを基にして、それぞれを設定することにより、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行うことができる。
【0040】
(第13発明)
第13発明のコンクリート作製システムは、メモリの記憶内容を表示装置に表示し、目的に合った強度、ブリーディングの程度、養生時間等を考慮したコンクリートを得ることができる。前記コンクリート作製システムの水・セメント比制御装置は、前記表示装置に、運転中および運転完了の表示ができるとともに、メモリの記憶内容、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御状態、および水量調整弁の開閉制御状態が表示される。コンクリート作製システムの管理者は、前記表示装置を見ることにより、所望の硬さ、ブリーディング、養生時間等からなるコンクリートを得ることができる。
【0041】
(第14発明)
第14発明のプレキャストコンクリートは、第1発明から第13発明によるコンクリート作製方法およびコンクリート作製システムによって作製された生コンクリートを型枠に投入し、養生および/または蒸気養生を用いて作製される。前記プレキャストコンクリートは、ブリーディングが少なく、所定の強度を有するものであり、信頼性が高いものである。
【実施例1】
【0042】
図1は本発明の第1実施例である生コンクリート製造システムを説明するための概念図である。図1において、生コンクリート製造システムは、第1のミキシング工程および第2のミキシング工程を行うセメントぺースト作製用ミキサ11と、セメント等の原料を貯蔵する原料貯蔵槽12と、前記セメントぺースト作製用ミキサ11によって作製されたセメントぺーストと、水と、細骨材および粗骨材等を入れて、本練りを行う本練り用ミキサ18とから少なくとも構成されている。
【0043】
原料貯蔵槽12から供給されるセメントは、セメント計量器13によって所定の量が計量された後、前記セメントぺースト作製用ミキサ11に投入される。また、減水剤は、減水剤計量器14によって計量された後、水タンク15からの水と一緒になって、水計量器16により計量され、その後、水量調整弁17を介してセメントぺースト作製用ミキサ11に投入される。
【0044】
前記水量調整弁17は、後述の水・セメント比制御装置の制御によって、水および減水剤を適当な量と時間に調整しながら前記セメントぺースト作製用ミキサ11に投入する。第1のミキシング工程は、前記水量調整弁17の制御の基に、セメントに対して、水および減水剤が所定量と所定時間かけて徐々に供給され、混練される。その後、前記セメントぺースト作製用ミキサ11は、前記水量調整弁17が全開されて、第2のミキシング工程に必要な水および減水剤が投入される。
【0045】
前記第1のミキシング工程は、たとえば、ポルトランドセメントを使用し、減水剤を使用しない場合、水の量をセメント重量に対して24%にすると、ブリーディングが少なく、強度の硬いコンクリートを得ることができる。また、前記水のセメントに対する重量%は、18%から30%、好ましくは、22%から26%の範囲であることが判った。減水剤を使用する場合の水および減水剤のセメントに対する重量%は、13%から25%、好ましくは、15%から23%の範囲であることが判った。すなわち、前記水および減水剤は、多くまたは少なくすることにり、所望の用途に合った性質のものを得ることができる。
【0046】
前記第1のミキシング工程および第2のミキシング工程に使用するセメントぺースト作製用ミキサ11は、たとえば、弾力のあるゴム製からなり、攪拌羽根を持たずに、高速で偏心回転できるような混合槽から構成される。前記セメントぺースト作製用ミキサ11の形状および構造は、後述する。前記第1のミキシング工程は、前記セメントぺースト作製用ミキサ11において、前記セメントと水および減水剤の量が徐々に供給されて、上手に攪拌混合されるため、セメントボールができずに、良質で均一に攪拌されたセメントペーストを得ることができる。前記コンクリート作製方法は、セメントボールができないため、より高い強度のコンクリートができるとともに、ブリーディングの発生が無く、蒸気養生の必要がないか、あるいは短時間の養生で済むコンクリートを得ることができるようになった。
【0047】
第1のミキシング工程および第2のミキシング工程が終了したセメントぺーストは、セメントぺースト作製用ミキサ11から投入シュート181を介して、本練り用ミキサ18に供給される。細骨材は、細骨材計量器183により計量された後、投入シュート182を介して前記本練り用ミキサ18に供給される。同様に、粗骨材は、粗骨材計量器184および前記投入シュート182を介して前記本練り用ミキサ18に供給される。第3のミキシング工程は、前記本練り用ミキサ18によって、前記セメントぺーストと、細骨材と、粗骨材とを混練した後、生コンクリートを得る。
【実施例2】
【0048】
図2は本発明の第2実施例である生コンクリート製造方法を工程順に説明するための図である。図2において、第1のミキシング工程214は、セメント211、一次水(最適水比の水)212、減水剤213を所定の量で所定時間をかけるため、水量調整弁を介して徐々に投入しながらセメントペースト作製用ミキサを高速偏心回転させてミキシングを行う。第2のミキシング工程は、二次水(残りの水)215および減水剤216を一度に前記混合槽に供給し、攪拌する。前記セメントペースト作製用ミキサにおいて、攪拌されたセメントぺーストは、移動・静置工程を経て、第3のミキシング工程221を行う本練り用ミキサに供給される。前記移動・静置工程は、セメントの種類あるいは使用する生コンクリートの強度等によって設けられる。
【0049】
前記一次水(最適水比の水)212は、ポルトランドセメントに対して重量比で、24%の時、ブリーディングが最も少なくり、また、水和反応性が最も高くなることが判った。また、前記効果は、ブリーディング試験、セメントペーストの水和収縮試験、簡易断熱温度測定試験により確認した。前記一次水(最適水比の水)212は、減水剤を添加しない場合のものであるが、前述のように、減水剤を入れた場合であっても、ブリーディングが少なく、所望の硬度を得ることができた。
【0050】
本練り用ミキサは、粗骨材219および細骨材220が供給され、前記第1のミキシング工程および第2のミキシング工程によって得られたセメントぺーストとともに本練りが行われて、生コンクリートとなる。前記生コンクリートは、排出工程222により、所望の型枠に打設される。
第2実施例は、移動・静置工程218がない点でのみ、第1実施例と異なっている。
【0051】
図3は本発明の第1および第2実施例に共通な水およびセメントの供給量、ミキサ駆動モータの制御、水量調整弁の制御等を説明するためのブロック構成図である。図3において、セメントは、セメント貯蔵槽311からセメント計量器312よって計量された後、セメントぺースト作製用ミキサ317に投入される。水タンク314からの水は、水計量器315によって所定の量とするとともに、水量調整弁316によって、徐々にセメントぺースト作製用ミキサ317に投入される。
【0052】
前記ミキサ駆動モータ318は、駆動モータ制御部319の制御により制御される。前記水量調整弁316は、水・セメント比制御装置30によって制御される。前記水・セメント比制御装置30は、負荷電流検出部301と、マイコン302と、メモリ303と、水量調整弁制御部304と、表示部305とから少なくとも構成されている。
【0053】
前記負荷電流検出部301は、セメントぺースト作製用ミキサ317を駆動するモータの負荷電流を検出する。前記セメントぺースト作製用ミキサ317を駆動するモータの負荷電流の代わりに、負荷トルクを検出することもできる。前記マイコン302は、負荷電流検出部301によって検出された前記負荷電流または負荷トルクを信号として、駆動モータ制御部319および水量調整弁制御部304へ送り、ミキサ駆動モータ318および水量調整弁316を制御する。
【0054】
また、前記マイコン302は、予めメモリ303に記憶されているセメントの種類とその量、水の量、負荷電流(負荷トルク)の値等のデータを基にして制御を行う。前記マイコン302は、前記負荷電流検出部301により、負荷電流が最大になった際に、水量調整弁制御部304により、水量調整弁316を閉じるように制御する。最大の負荷電流または負荷トルクが検出された状態は、前記セメントペースト作製用ミキサ317のセメントペーストが一番練り込まれた状態であり、セメントボールがない一つに纏まった塊状になっている。
【0055】
表示部305は、メモリ303の記憶内容を表示装置に表示する。前記表示部305は、セメントの種類、水の量等、目的に合ったコンクリートの強度、ブリーディングの発生程度、養生(養生または蒸気養生)時間等を表示して、適宜選択することにより、所望の品質の生コンクリートを得ることができる。前記コンクリート作製システムの水・セメント比制御装置30は、前記表示部305に、運転中および運転完了の表示がでるとともに、メモリ303の記憶内容、前記セメントペースト作製用ミキサの回転駆動制御状態、および水量調整弁の開閉制御状態等を表示する。
【0056】
図4は本発明の実施例に使用したセメントペースト作製用ミキサの概念構成を説明するための図である。図4において、セメントペースト作製用ミキサ41は、モータ42と、前記モータ42によって回転する回転板と偏心部材からなる偏心機構43と、弾性部材から構成される弾性底部44と、前記弾性底部44に連設されているほぼ円筒状筐体45と、前記弾性底部44および円筒状筐体45からなる混合槽の底部を構成する半球状底部46とから少なくとも構成されている。
【0057】
前記セメントペースト作製用ミキサ41は、半球状底部46が偏心しながら回転するとともに、前記弾性底部44の弾性による伸び縮みにより、内部に入っているセメントペースト47に強い加速度を与えながら、不規則に旋回することにより、水とセメントが均一に攪拌されるため、セメントボールの発生がなくなる。特に、前記セメントペースト作製用ミキサ41における弾性底部44は、高速偏心回転により、一方が伸び、他方が縮むようになり、水およびセメントの不規則性を大きくして回転する。前記水とセメントは、前記セメントペースト作製用ミキサ41の不規則な偏心高速回転により、セメント粒子間に働く水の表面張力、あるいは、毛管凝集力の作用により、表面積が最も小さくなり、一つに纏まった塊状の混練物が得られるようになる。
【0058】
図5は本発明の実施例における水、セメント、細骨材、粗骨材、減水剤、空気の量等の割合の一例を示す図である。図5において、W/Cは水とセメントとの重量比、S/aは骨材中に占める細骨材の容積割合、Wは水、Cは普通ポルトランドセメント、Sは細骨材、G1、G2は粗骨材を示し、値は単位容積当たりの重量を表している。また、ADは高性能減衰剤の重量に占める割合である。
【0059】
図6は本発明の実施例における各工程における水とセメントの割合を示す図である。図6において、第1のミキシング工程(W1)、第2のミキシング工程(W2)、および第3のミキシング工程(W)における水の割合と全体に対する割合、水とセメントの比率が表されている。
【0060】
図7は本発明の実施例で、セメントとして、ポルトランドセメントを使用した場合の図4および図5におけるシングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)の違いを説明するための図である。図7において、本発明のダブルミキシング法は、圧縮強度およびブリーディング率が向上していることが判る。
【0061】
図8は本発明の実施例で、ダブルミキシングの場合効果を説明するための図である。図8において、養生時間の短縮、養生に要するエネルギーの減少、同じ強度のセメント量の減少等が判る。
【0062】
図9は本発明の実施例におけるセメントに水を混ぜてセメントペーストを作製し、生コンクリートを得るための工程図である。図9において、SM1は、シングルミキシングであり、DMは、ダブルミキシングで、1から4の異なる例を挙げてある。なお、図中、Wは水、Adは減水剤、AEは空気調整剤、Cはセメント、Lは練混回転速度低、Hは練混回転速度高、Sは砂、Gは砂利、CPはセメントペーストである。
【0063】
図10は本発明の図9におけるセメントペーストを使用した場合のスランプおよびブリーディング率を示すものである。図10において、SM1のセメントペーストは、コンクリートとして柔らかく、かつブリーディング率が大きい。DM3のセメントペーストは、コンクリートとしての硬さおよびブリーディング率が程良い値であることが判る。
【0064】
図11は本発明の実施例における標準的な蒸気養生の経過時間対温度の関係を示すものである。図12は図11における経過時間が0から12時間までの部分を拡大した図であり、前置時間を短縮した場合における経過時間に対する温度の推移を表す。図11および図12における蒸気養生条件で成形したコンクリートの圧縮強度の結果が図13および図14となる。
【0065】
図13は本発明の実施例において、脱型直後の圧縮強度と前置養生時間との関係を示す図である。図14は本発明の実施例において、型枠打ち込み後、材齢7日の圧縮強度と前記養生時間との関係を示す図である。図13および図14において、DM1、またはDM3、またはDM4のセメントペーストから作製されたコンクリートは、SM1のセメントペーストから作製されたコンクリートより、明らかに圧縮強度が向上している。また、図14において、SM1の場合、前置き時間を0時間にした場合では、圧縮強度が16%も低くなっているのに対して、DMの場合は、前置き時間が0時間の場合でも、圧縮強度の低下は4%程度でしかない。したがって、ダブルミキシングでは、前置き時間を0時間としても良いことが判る。
【0066】
図15は本発明の実施例における負荷電流値と練り混ぜ時間の関係を示す図である。図15において、水量調整弁の調整により調整された一次水の量が不足している領域、および最適一次水の領域が示されている。一次水の量が不足している場合、負荷電流値は、一定範囲で繰り替えさる。最適一次水の場合、負荷電流がほぼ一定の値を示している。したがって、本発明は、前記最適一次水になった領域を検出して、負荷電流を切断している。
【0067】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の実施例に記載された制御系のブロックは、周知または公知の技術によって達成できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施例である生コンクリート製造システムを説明するための概念図である。(実施例1)
【図2】本発明の第2実施例である生コンクリート製造方法を工程順に説明するための図である。(実施例2)
【図3】本発明の第1および第2実施例に共通な水およびセメントの供給量、ミキサ駆動モータの制御、水量調整弁の制御等を説明するためのブロック構成図である。
【図4】本発明の実施例に使用したセメントペースト作製用ミキサの概念構成を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例における水、セメント、細骨材、粗骨材、減水剤、空気の量等の割合の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施例における各工程における水とセメントの割合を示す図である。
【図7】本発明の実施例で、セメントとして、ポルトランドセメントを使用した場合の図4および図5におけるシングルミキシング(SM)とダブルミキシング(DM)の違いを説明するための図である。
【図8】本発明の実施例で、セメントとして、ポルトランドセメントを使用した場合の図4および図5におけるシングルミキシングとダブルミキシングの違いを説明するための図である。
【図9】本発明の実施例におけるセメントに水を混ぜてセメントペーストを作製し、生コンクリートを得るための工程図である。
【図10】本発明の図9におけるセメントペーストを使用した場合のスランプおよびブリーディング率を示すものである。
【図11】本発明の実施例における蒸気養生における経過時間対温度の関係を示すものである。
【図12】図11における経過時間が0から12時間までの部分を拡大した図であり、前置時間を短縮した場合における経過時間に対する温度の推移を表す。
【図13】本発明の実施例において、脱型直後の圧縮強度と前置養生時間との関係を示す図である。
【図14】本発明の実施例において、型枠打ち込み後、材齢7日の圧縮強度と前記養生時間との関係を示す図である。
【図15】本発明の実施例における負荷電流値と練り混ぜ時間の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
11・・・セメントペースト作製用ミキサ
12・・・原料貯蔵槽
13・・・セメント計量器
14・・・減水剤計量器
15・・・水タンク
16・・・水計量器
17・・・水量調整弁
18・・・本練り用ミキサ
181・・・投入シュート
182・・・投入シュート
183・・・細骨材計量器
184・・・粗骨材計量器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量されたセメントをセメントペースト用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して投入しながらミキシングを行う第1のセメントペーストを作製する第1のミキシング工程と、
前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに所定量の水および減水剤を一度に投入してミキシングを行う第2のセメントペーストを作製する第2のミキシング工程と、
前記第2のミキシング工程によって得られた第2のセメントペーストと、細骨材および粗骨材を本練り用ミキサーに入れてミキシングを行う第3のミキシング工程と、
前記第3のミキシング工程よって作製された生コンクリートを型枠に投入して固化するために養生を行う工程と、
から少なくともなることを特徴とするコンクリート作製方法。
【請求項2】
計量されたセメントをセメントペースト用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して投入しながらミキシングを行う第1のセメントペーストを作製する第1のミキシング工程と、
前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに所定量の水および減水剤を一度に投入してミキシングを行う第2のセメントペーストを作製する第2のミキシング工程と、
前記第2のミキシング工程によって得られたセメントペーストを次の工程に搬送する間に静置する静置工程と、
前記静置工程を経た後、前記第2のセメントペーストと、細骨材および粗骨材を本練り用ミキサーに入れてミキシングを行う第3のミキシング工程と、
前記第3のミキシング工程よって作製された生コンクリートを型枠に投入して固化するために養生を行う工程と、
から少なくともなることを特徴とするコンクリート作製方法。
【請求項3】
第1のミキシング工程および第2のミキシング工程は、弾力により揺動できるゴム製の混合槽を高速偏心回転させて、セメントペースト、水、および減水材を攪拌混合することを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたコンクリート作製方法。
【請求項4】
前記水量調整弁は、第1および第2のミキシング工程に使用される回転用モータの負荷電流または負荷トルクを検出し、前記負荷電流または負荷トルクに基づいて開閉が制御されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたコンクリート作製方法。
【請求項5】
ポルトランドセメントを使用した場合、第1のミキシング工程に使用される水の量は、減水剤を使用しない場合、セメント重量に対して18%から30%、好ましくは、22%から26%、減水剤を使用する場合、セメント重量に対して13%から25%、好ましくは、15%から23%、を中心にして硬さが決められることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたコンクリート作製方法。
【請求項6】
前記第1のミキシング工程、第2のミキシング工程、および第3のミキシング工程を一つの混合槽によって連続的に行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたコンクリート作製方法。
【請求項7】
弾力性部材から構成され、セメントペーストを作製するためにダブルミキシングを行うセメントペースト作製用混合槽と、
前記セメントペースト作製用混合槽に入れる水および減水剤の量およびセメント量を計量する計量機構と、
前記セメントペースト作製用混合槽を偏心回転させる回転機構と、
前記セメントペースト作製用混合槽に水および減水剤を徐々に投入する水量調整弁と、
前記セメントペースト、細骨材、粗骨材を入れて攪拌する生コンクリート作製用混合槽と、
前記セメントペースト作製用混合槽および生コンクリート骨材作製用混合槽に対する回転制御と、前記水量調整弁の開閉制御を行う水・セメント比制御装置と、
から少なくとも構成されることを特徴とするコンクリート作製システム。
【請求項8】
前記セメントペースト作製用混合槽の下段には、細骨材および粗骨材とともに攪拌されるコンクリート本練り用混合槽が設けられていることを特徴とする請求項7に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項9】
前記セメントペースト作製用混合槽の下段には、セメントペースト搬送手段が設けられ、前記セメントペーストが前記搬送手段の搬送を経て、細骨材および粗骨材とともに攪拌する生コンクリート本練り用混合槽に投入されることを特徴とする請求項7に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項10】
前記セメントペースト作製用混合槽および生コンクリート作製用混合槽は、弾力により揺動できるゴム製で、高速偏心回転が可能な共通混合槽であることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項11】
前記水・セメント比制御装置は、セメントペースト作製用混合槽を駆動する駆動モータの負荷電流またはトルクを検出する検出手段と、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行うマイクロコンピュータとを少なくとも備えていることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項12】
前記水・セメント比制御装置は、予めメモリにセメントの種類、骨材の混合割合と種類、コンクリートの強度が記憶されており、前記のそれぞれを設定することにより、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行うことを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項13】
前記水・セメント比制御装置は、運転中および運転完了の表示、およびメモリの記憶内容、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御状態、および水量調整弁の開閉制御状態が表示される表示装置が設けられていることを特徴とする請求項7から請求項12のいずれか1項に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項14】
請求項1から請求項13に記載された生コンクリートを型枠に投入し、養生および/または蒸気養生を用いて作製されたプレキャストコンクリート。
【請求項1】
計量されたセメントをセメントペースト用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して投入しながらミキシングを行う第1のセメントペーストを作製する第1のミキシング工程と、
前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに所定量の水および減水剤を一度に投入してミキシングを行う第2のセメントペーストを作製する第2のミキシング工程と、
前記第2のミキシング工程によって得られた第2のセメントペーストと、細骨材および粗骨材を本練り用ミキサーに入れてミキシングを行う第3のミキシング工程と、
前記第3のミキシング工程よって作製された生コンクリートを型枠に投入して固化するために養生を行う工程と、
から少なくともなることを特徴とするコンクリート作製方法。
【請求項2】
計量されたセメントをセメントペースト用ミキサーに入れた後、所定量の水および減水剤を水量調整弁を介して投入しながらミキシングを行う第1のセメントペーストを作製する第1のミキシング工程と、
前記第1のミキシング工程によって作製されたセメントペーストに所定量の水および減水剤を一度に投入してミキシングを行う第2のセメントペーストを作製する第2のミキシング工程と、
前記第2のミキシング工程によって得られたセメントペーストを次の工程に搬送する間に静置する静置工程と、
前記静置工程を経た後、前記第2のセメントペーストと、細骨材および粗骨材を本練り用ミキサーに入れてミキシングを行う第3のミキシング工程と、
前記第3のミキシング工程よって作製された生コンクリートを型枠に投入して固化するために養生を行う工程と、
から少なくともなることを特徴とするコンクリート作製方法。
【請求項3】
第1のミキシング工程および第2のミキシング工程は、弾力により揺動できるゴム製の混合槽を高速偏心回転させて、セメントペースト、水、および減水材を攪拌混合することを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたコンクリート作製方法。
【請求項4】
前記水量調整弁は、第1および第2のミキシング工程に使用される回転用モータの負荷電流または負荷トルクを検出し、前記負荷電流または負荷トルクに基づいて開閉が制御されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたコンクリート作製方法。
【請求項5】
ポルトランドセメントを使用した場合、第1のミキシング工程に使用される水の量は、減水剤を使用しない場合、セメント重量に対して18%から30%、好ましくは、22%から26%、減水剤を使用する場合、セメント重量に対して13%から25%、好ましくは、15%から23%、を中心にして硬さが決められることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたコンクリート作製方法。
【請求項6】
前記第1のミキシング工程、第2のミキシング工程、および第3のミキシング工程を一つの混合槽によって連続的に行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたコンクリート作製方法。
【請求項7】
弾力性部材から構成され、セメントペーストを作製するためにダブルミキシングを行うセメントペースト作製用混合槽と、
前記セメントペースト作製用混合槽に入れる水および減水剤の量およびセメント量を計量する計量機構と、
前記セメントペースト作製用混合槽を偏心回転させる回転機構と、
前記セメントペースト作製用混合槽に水および減水剤を徐々に投入する水量調整弁と、
前記セメントペースト、細骨材、粗骨材を入れて攪拌する生コンクリート作製用混合槽と、
前記セメントペースト作製用混合槽および生コンクリート骨材作製用混合槽に対する回転制御と、前記水量調整弁の開閉制御を行う水・セメント比制御装置と、
から少なくとも構成されることを特徴とするコンクリート作製システム。
【請求項8】
前記セメントペースト作製用混合槽の下段には、細骨材および粗骨材とともに攪拌されるコンクリート本練り用混合槽が設けられていることを特徴とする請求項7に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項9】
前記セメントペースト作製用混合槽の下段には、セメントペースト搬送手段が設けられ、前記セメントペーストが前記搬送手段の搬送を経て、細骨材および粗骨材とともに攪拌する生コンクリート本練り用混合槽に投入されることを特徴とする請求項7に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項10】
前記セメントペースト作製用混合槽および生コンクリート作製用混合槽は、弾力により揺動できるゴム製で、高速偏心回転が可能な共通混合槽であることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項11】
前記水・セメント比制御装置は、セメントペースト作製用混合槽を駆動する駆動モータの負荷電流またはトルクを検出する検出手段と、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行うマイクロコンピュータとを少なくとも備えていることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項12】
前記水・セメント比制御装置は、予めメモリにセメントの種類、骨材の混合割合と種類、コンクリートの強度が記憶されており、前記のそれぞれを設定することにより、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御、および水量調整弁の開閉制御を行うことを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項13】
前記水・セメント比制御装置は、運転中および運転完了の表示、およびメモリの記憶内容、前記セメントペースト作製用混合槽の回転駆動制御状態、および水量調整弁の開閉制御状態が表示される表示装置が設けられていることを特徴とする請求項7から請求項12のいずれか1項に記載されたコンクリート作製システム。
【請求項14】
請求項1から請求項13に記載された生コンクリートを型枠に投入し、養生および/または蒸気養生を用いて作製されたプレキャストコンクリート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−149348(P2010−149348A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328909(P2008−328909)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【特許番号】特許第4418847号(P4418847)
【特許公報発行日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(509001043)
【出願人】(509001766)
【出願人】(506405426)株式会社チヨダマシナリー (1)
【出願人】(000211237)ランデス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【特許番号】特許第4418847号(P4418847)
【特許公報発行日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(509001043)
【出願人】(509001766)
【出願人】(506405426)株式会社チヨダマシナリー (1)
【出願人】(000211237)ランデス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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