説明

コンクリート廃材の再生利用装置

【課題】簡単な構造でありながら確実にコンクリート廃材中に含まれる不純物を取り除き、高品質・高収量の再生材の生産が可能なコンクリート廃材の再生利用装置を提供する。
【解決手段】コンクリート廃材の再生利用装置は、不純物を含むコンクリート廃材を搬送(ステップS1)しサイズ選別(ステップS2)する。不純物を含む大径サイズ廃材は水洗槽に投入(ステップS3)され、撹拌・洗浄(ステップS4)後に水洗槽外へ搬出(ステップS5)される。撹拌・洗浄により浮上した不純物は水面上で回収(ステップS6)され、水洗槽外へ排出後廃棄(ステップS7)される。一方、小径サイズ廃材は回収(ステップS8)後、搬送(ステップS9)される。小径サイズ廃材と洗浄後の大径サイズ廃材は、混合(ステップS10)されてコンクリート再生材が完成(ステップS11)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物を含む破砕されたコンクリート廃材を所望の径サイズを基準に選別し、基準より大きな径サイズの廃材を水洗槽内に投入して水面に浮上する不純物を取り除き、一方、基準より小さな径サイズの廃材をも回収し、これを水洗後の大きな径サイズの廃材と混合して新たに再生製品を得るためのコンクリート廃材の再生利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、土木・建築現場等では解体による木クズ、プラスチック等の不純物を含むコンクリート廃材が大量に発生しており、資源保護や廃棄物削減等の面からこれを再生材として有効利用する必要に迫られてきた。再生材に不純物が含まれていると使用後に強度上の弱体部となるため、これを十分取り除かなければならない。しかし、不純物を十分取り除くには多くの工程が必要であり、手間とコストがかかるといった課題があった。
このような課題を解決する目的で、コンクリート廃材中の不純物を効率よく除去する技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
【0003】
特許文献1には「コンクリート廃棄材から再利用可能の規格サイズ内破砕石を得るための再生方法」という名称で、コンクリート廃材の塊を破砕して再利用可能な規格サイズの再生製品を得ることを目的としたコンクリート廃棄材の再生方法に関する発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明を説明する。特許文献1に開示された発明は、比較的大きいコンクリート廃棄材の塊を割って鉄筋、木片、泥等の不純物を除いた後、これを大型水槽に投入して水面に浮かんだ木片等及び沈積した泥等を取り除く。そして、水槽から取り出した塊中に含まれる鉄筋クズを大型磁石にて自動的に除去し、残りのものを篩にかけて所定の大きさより小さいサイズのものを規定内破砕石として得ることを特徴とするコンクリート廃棄材の再生方法に関する発明である。
このような特徴のコンクリート廃棄材の再生方法においては、鉄クズ及び木片や泥等といった非鉄クズを除去することができ、特に非鉄クズについては水槽に一旦沈める方法を採用しているので、これを簡単かつ確実に除去できる。また、その後篩工程を加えることにより、不純物の少ないサイズが揃ったコンクリート廃棄材の再生製品を得ることができる。
【0004】
次に、特許文献2には「混入物分離及び洗浄装置」という名称で、建物解体のコンクリート廃棄物中から鉄クズ、木片、プラスチック片等の混入物を取り除き、再生材の表面に微粉末が付着しないようにした混入物分離及び洗浄装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、粉砕された解体廃棄物をまず磁選機にかけて鉄クズを補足分離した後、これを水槽に投入して浮上した木片等の混入物を搬出する。水中のコンクリートガラは表面に付着している微粉末を洗い落とされた後、水槽外に搬出され再生骨材として再利用される。一方、洗い落されて水槽底に沈殿した微粉末も細骨材として再利用される。
このような特徴の混入物分離及び洗浄装置においては、建物解体のコンクリート廃棄物中から混入物を効率よく分離できる。また、コンクリートガラ表面の微粉末を洗浄することにより、洗浄後のガラはセメントペーストとの付着が良好でコンクリートの品質を向上させることができる。さらに、微粉末も細骨材として使用できる等の優れた効果を有する。
【0005】
そして、特許文献3には、「比重選別機、及び土木・建築の廃材から骨材を再生する方法」という名称で、再生骨材の収量に優れた土木・建築のコンクリートやアスファルト等の混合廃材から骨材を再生する方法及びその装置に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、比重選別機を構成する水槽内に混合廃材を投入し、可動性の水槽底面を昇降させて水槽内に上下方向の水流を発生させる。この水流が混合廃材に流動性を与え、その比重差によって上下に層分けされる。不純物であるアスファルト等の比重の軽いものは上層に移動し、回収後廃棄される。比重の重いコンクリートは下層に貯留し、回収されて最終製品たる再生粗骨材として利用される。また、比重選別機投入前に粒子の細かい砂が選別されているが、これも最終製品たる再生細骨材として利用される。
このような特徴の骨材を再生する方法においては、比重選別機等を使用することから、不純物の分離を的確に行うことができる。その結果、製品の収量が多くなり、再生粗骨材及び再生細骨材の品質が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−192636号公報
【特許文献2】特開平11−253833号公報
【特許文献3】特開2006−35223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された発明においては、破砕されたコンクリート廃材の塊を水槽に一旦沈め水面に浮遊する木片や発泡スチロール等の不純物をすくい取って除去することから、簡単かつ確実に不純物を取り除くことができる。
しかしながら、水槽に一旦沈めるという工程においては、廃材の塊は水槽に沈められるのみであり、その後水中で撹拌を受けることはないため廃材の下敷きになって浮上できない不純物がそのまま残ってしまい、この残存物を後の工程において作業者が手作業により除去する必要が生じている。
また、浮遊する不純物をすくい取って除去するという工程においては、不純物を投入している間、投入地点のすくい取りは行えないものであるから、一定のタイムラグが生じ連続的に不純物を除去できるという構造とはなっていないものと思われる。さらに、浮上してきた不純物をそのまますくい取るのみで、回収容易のため積極的に一箇所に集めるといった記載も見当たらない。
他には、出来上がった既定サイズ内破砕物(製品)は一種類のサイズのみであり、例えば粗骨材と細骨材といった製品を製造できない。これは、細骨材の原料となるようなサイズの廃材を回収する工程を設けていないためである。
よって、特許文献1に開示された発明においては、水面での不純物の回収が完全に行えず再度の手作業が必要なことから、回収効率、作業効率が十分とはいえない。また、不純物のすくい取りにおいては、連続的に行えないので時間的効率が良いといえないという課題がある。さらに、利用可能なサイズの廃材をもれなく再利用していないことから、製品の収量の点においても効率が良いとはいえない。
【0008】
次に、特許文献2に開示された発明においては、コンクリート廃棄物中から混入物を効率よく分離できる。また、コンクリート廃棄物表面に付着している微粉末を洗浄することにより、洗浄後の廃棄物はセメントペーストとの付着が良好でコンクリートの品質を向上させることができる。
しかし、コンクリート廃棄物が水槽に投入された後は、特許文献1に開示された発明と同様に水中で撹拌等を受けることはないため、浮力のみによって浮かび上がる不純物が回収されうる。ただ、特許文献1に開示された発明と異なるのは、廃棄物の水中搬送用コンベアが設置されているという点であり、搬送中に不純物が水の抵抗を受けて浮上できるようになる場合も考えられる。けれども、この場合であっても廃棄物自体が浮動しなければ下敷きとなったままの不純物が残る可能性がある。
また、浮上してきた不純物を回収するため水面に搬出用コンベアが設置されているが、この上に不純物を強制的に積載する手段は設けられておらず、搬出可能であるのはコンベアに自然と近寄ってきた不純物のみである。
さらに、洗浄により水槽底面に堆積した微粉末は、底面に開けられた排出口から取り出される。この際の手順については記載がなく不明であるが、一旦水槽内の水を全て排出してから取り出すのであれば、その手間及び水の費用がかさんでくる。
したがって、特許文献2に開示された発明においては、特許文献1に開示された発明と同様、水面での不純物の回収が完全に行えないため回収効率が十分とはいえない可能性がある。また、微粉末を細骨材として利用できるが、それを製品化するための作業やコストが大がかりになる可能性がある。
【0009】
さらに、特許文献3に開示された発明においては、比重選別機等を使用することで、不純物の分離を的確に行うことができる。その結果、製品の収量が多くなり、再生粗骨材及び再生細骨材の品質が向上する。
しかし、混合廃材は、コンクリート塊の周囲にアスファルト等の不純物が様々な量や形で付着しているものであり、塊の比重はそれに応じて多様な値をとる。よって、混合廃材は個々の比重値に応じた水深に浮遊することとなるから、廃材がすべて上下二層にはっきり分離されるとは考えにくい。このため、沈んだ廃材の回収をどの水深まで行うかによって、不純物の含有量が異なってくる。
さらに、比重選別機の水槽底面が可動性となっている構造は、かなり大がかりといえ、これを作動させるには多大なエネルギー、すなわちコストが必要であろうと思われる。
このように、特許文献3に開示された発明においては、廃棄物の分離を明確に行えない可能性があるため、製品の品質を維持しようとして最下層に沈んだ僅かな部分のみを回収する場合では、収量低下のおそれがある。さらに、収量低下の状態にもかかわらず、稼働コストが大きいのであれば経済的な効率の低下も考えられる。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、簡単な構造でありながら確実にコンクリート廃材中に含まれる不純物を取り除くことができ、高品質・高収量の再生材の生産が可能なコンクリート廃材の再生利用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明に係るコンクリート廃材の再生利用装置は、不純物を含む破砕されたコンクリート廃材を搬送する搬送手段と、搬送手段の下流側に設けられ、コンクリート廃材のうち所望の径サイズを基準として小さな径サイズを排除して大きな径サイズのコンクリート廃材のみを抽出する選別手段と、選別手段で抽出された大きな径サイズのコンクリート廃材を投入する水洗槽と、水洗槽内に浮上した不純物の回収手段と、水洗槽内に沈降した大きな径サイズのコンクリート廃材を水洗槽から搬出する搬出手段と、大きな径サイズのコンクリート廃材を搬出する搬出手段の下流側に設けられ、大きな径サイズのコンクリート廃材と排除された小さな径サイズのコンクリート廃材とを混合する混合手段とを備えることを特徴とする。
そして、このコンクリート廃材の再生利用装置は、不純物を含んだ大きな径サイズのコンクリート廃材を水洗槽に投入することから、廃材を洗浄して不純物を分離させるという作用を有する。また、洗浄後の大きな径サイズのコンクリートと選別手段で排除された小さな径サイズのコンクリート廃材とを混合することから、最終製品であるコンクリート再生材を生産するという作用を有する。
【0012】
次に、請求項2記載の発明に係るコンクリート廃材の再生利用装置は、請求項1に記載のコンクリート廃材の再生利用装置において、水面に浮上した不純物の回収手段が、水洗槽の上端部に設けられた放水ヘッダーと、この放水ヘッダーに設けられ水を放出して水流を発生させ不純物を移動させる複数のノズルと、移動した不純物を水洗槽から取り除く排出装置とを備えていることを特徴とする。
上記構成のコンクリート廃材の再生利用装置においては、上記のノズルから水が放出されるため、水洗槽へ水を補給するという作用を有する。さらに、放水することで不純物を移動させるため、これを排出装置の位置まで強制的に寄せ集めるという作用を有する。また、排出装置は寄せ集められた不純物を水洗槽から順次取り除くため、不純物が水面に滞留しない。
この他、請求項1に記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の作用を有する。
【0013】
さらに、請求項3記載の発明に係るコンクリート廃材の再生利用装置は、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置において水洗槽内に沈降したコンクリート廃材を搬出する手段が、回転駆動する2軸に巻回されたコンベア部と、このコンベア部に垂下され収容部を捨水可能に構成されるバケットとからなるバケットコンベアと、このバケットコンベアを収容するトラフと、を備えることを特徴とする。
上記構成のバケットコンベアにおいては、収容容器であるバケットがコンベア部に一定間隔おきに取り付けられている。コンベア部は回転駆動する2軸に巻回されているため駆動によって各バケットが進行方向に順次送り出される。これら2軸の地上からの高さは、進行方向側が高くなっている。また、この送り速度の大きさは自在に制御されるとよい。
そしてコンクリート廃材は水中で各バケットに収容され、バケットは傾きを変えることなくそのままコンベア部の軌道に従って水洗槽を出てコンベア上部まで上昇する。このときバケットはその収容部が捨水可能構造となっているので、廃材のみが搬出される。
この他、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の作用を有する。
【0014】
次に、請求項4記載の発明に係るコンクリート廃材の再生利用装置は、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置において水洗槽内に沈降したコンクリート廃材を搬出する手段が、回転駆動する2軸に巻回されたベルトを有するベルトコンベアと、このベルトコンベアを収容するトラフと、を備えることを特徴とする。
上記構成のベルトコンベアは、回転駆動する2軸に巻回された平行コンベアである。このベルトコンベア上に沈下した水洗槽中のコンクリート廃材は、請求項3記載の発明と同様に、2軸が回転駆動することで進行方向に順次送り出される。2軸の地上からの高さは、進行方向側が高くなっている。さらに、この送り速度の大きさは自在に制御されるとよい。
上記構造においては、コンクリート廃材はそのままコンベアの軌道に従ってコンベア上部まで上昇する。その途中でコンクリート廃材が水洗槽外に出てくると、コンベアが水平でないためにコンクリート廃材に付着した水はベルトから垂れて落ちる。よって、廃材のみが搬出される。
なお、前述の巻回されたベルトには、複数の突起部が設けられていてもよい。この突起部は、ベルトに対して垂直に立ち一定の間隔を置いて設けられる。各突起部が上側のベルトに周回してきたとき、ベルト上に沈下したコンクリート廃材が突起部の進行方向側の面に押され、ベルト上に載ったままコンベア上部まで上昇する。
上記より、本請求項に係るベルトコンベアも請求項3に係るバケットコンベアと同様に捨水可能であり廃材のみが搬出される。
この他、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の作用を有する。
【0015】
さらに、請求項5記載の発明に係るコンクリート廃材の再生利用装置は、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置において、水洗槽内に沈降したコンクリート廃材を水洗槽から搬出する手段が、回転駆動する軸の周囲にスクリュー羽根を設けたスクリューコンベアと、このスクリューコンベアを収容するトラフとを備えていることを特徴とする。
上記構成のコンクリート廃材の再生利用装置においては、スクリューコンベアが軸の周囲にスクリュー羽根を回転駆動する構造であることから、水洗槽内の水を撹拌することでコンベア周囲、特にコンベア下方に潜ったコンクリート廃材を浮動させ、スクリュー羽根に廃材を巻き込む。そして、廃材は巻き込まれたままコンベア内を上昇して搬出される。また、このスクリュー羽根がトラフに収容されていることから、一旦羽根に巻き込まれた廃材がコンベア外に散逸しないで、そのまま軸を周回しつつコンベア上部まで搬出される。
この他、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の作用を有する。
【0016】
また、請求項6記載の発明に係るコンクリート廃材の再生利用装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のコンクリート廃材の再生利用装置において、水面に浮上した不純物の回収手段が、回転駆動する2軸に巻回され水洗槽の中の水面に浮上した不純物に接触して水面を移動させ、これを水洗槽から取り除くベルトを備えることを特徴とする。
なお、2軸に巻回された上側及び下側のベルトの構造には、上側のベルトが水面に接するように水面から下に回転軸が設けられる場合と、下側のベルトが水面に接するように水面から上に回転軸が設けられる場合との2通りが考えられる。
上記構成のコンクリート廃材の再生利用装置においては、上記2通りのいずれの構造も水面に浮上した不純物にベルトを接触させていることから、請求項2記載の発明と同様に不純物を排出位置まで強制的に寄せ集めるという作用を有する。また、ベルトは不純物を水洗槽から順次取り除くため、不純物が水面に滞留しない。
この他、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の作用を有する。
【0017】
次に、請求項7記載の発明に係るコンクリート廃材の再生利用装置は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のコンクリート廃材の再生利用装置において大きな径サイズのコンクリート廃材のみを抽出する選別手段が、コンクリート廃材から軽量不純物を取り除く送風機を備えることを特徴とする。なお、選別手段は送風機単独でも他の選別手段と組み合わせたものでもよい。
上記構成のコンクリート廃材の再生利用装置においては、コンクリート廃材に含まれる紙クズや木クズといった軽量不純物を送風機からの風圧で吹き飛ばし、水洗槽投入前にあらかじめ取り除いている。また、風圧の強弱は自在に調節される。
この他、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の作用を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1記載のコンクリート廃材の再生利用装置においては、水の洗浄力を利用して不純物を分離させるという作用を有することから、確実に廃材中に含まれる不純物を除去することができるという効果を有する。よって、目的の品質基準を満たす再生材を得ることができる。
また、一度選別器にかけた廃材を洗浄するという比較的簡単な工程を経ることで不純物を除去できることから、容易に一定品質の再生材を生産できる。
さらに、二種類のサイズのコンクリート廃材を混合して最終製品であるコンクリート再生材を生産することから、一種類の再生材しか生産できないものに比べて別途最終製品の生産設備を備える必要がなく、経済的にかなり有利である。また、廃材の再利用可能な成分をもれなく利用することができるので、再生材の収量が多く資源を有効に活用することができる。
【0019】
本発明の請求項2記載のコンクリート廃材の再生利用装置においては、放水することで水洗槽へ水が補給されるという作用を有し、同時に、不純物が排出装置の位置まで寄せ集められるということから、不純物の洗浄及び回収を連続的に行うことができる。加えて、排出装置の位置まで強制的に寄せ集めるので、速やかに不純物を回収できて時間的効率が良い。
また、不純物は排出装置によって順次排出されることから水面に滞留しすぎず、その結果水洗槽の上縁といった排出装置以外の部分から溢れ出しにくい。よって稼働中や稼働後の装置の保守管理に手間取ることが少ない。
この他、請求項1記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の有利な効果を有する。
【0020】
本発明の請求項3記載のコンクリート廃材の再生利用装置においては、コンベア部の回転駆動によって各バケットが進行方向に順次送り出されることから、搬出が連続的であり時間的効率が良い。バケットには奥行きがあるので、コンクリート廃材を確実に収容することができる。また、送り速度の大きさは自在に制御されることによれば、送り速度が速すぎることによって収容したコンクリート廃材が再び水中に戻ることのないよう、適正速度を調節することができる。
さらに、コンクリート廃材は水中で各バケットに収容された後バケットが傾きを変えることなくそのままコンベア上部まで搬出されることから、途中で再び水中に戻るコンクリート廃材の量は極めてわずかであり搬出効率が良い。
また、バケットが捨水可能な構造でありコンクリート廃材のみが搬出されるため、コンベア最上部から垂れ出す水の量が少なく、適正な水分量を含んだ最終製品が生産される。
この他、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の有利な効果を有する。
【0021】
本発明の請求項4記載のコンクリート廃材の再生利用装置においては、コンクリート廃材が、ベルト上に載ったままコンベア上部まで上昇する。
この他、ベルトに突起部を有する構造においてもコンクリート廃材は、突起部の進行方向側の面に押され同様にコンベア上部まで上昇することから、コンクリート廃材が再び水中に浮遊することが少ないので、確実にこれを水洗槽外に搬出できる。このとき、請求項3に記載の発明と同様に送り速度の大きさを自在に制御することによれば、コンクリート廃材が再び水中に戻ることのないようにすることができるので、最大の搬出効率での作業が可能で、作業時間の短縮も可能である。
また、ベルトコンベアが捨水可能であるため、コンベア最上部から地上に垂れ出す水の量はわずかである。よって、設備の保守管理が容易であるとともに節水可能である。
この他、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の有利な効果を有する。
【0022】
本発明の請求項5記載のコンクリート廃材の再生利用装置においては、水洗槽内の水を撹拌することでコンベア周囲コンクリート廃材を浮動させるという作用を有することから、廃材に付着した不純物は撹拌によってただ水中を浮遊するよりも強い水の抵抗を受けるため、これを廃材から完全に脱離させることができる。また、特にコンベア下方に潜ったコンクリート廃材を浮動させる作用から、一部の廃材が底に沈降したままとなることがないので廃材全量の洗浄効率が良い。したがって、再生材一個一個の品質が均等で全体として目的の品質基準を満たす再生材を生産できる。
さらに、撹拌によりスクリュー羽根に廃材を巻き込むという作用を有することから、浮動する廃材をもれなくスクリューコンベアに積載することができ、しかも速やかに行うことが可能であるから、廃材搬出の時間効率が良い。
また、廃材がコンベア内に収容されてそのまま軸を周回しつつコンベア上部まで搬出されるので、水を抜かないままの搬出が可能である。
この他、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の有利な効果を有する。
【0023】
本発明の請求項6記載のコンクリート廃材の再生利用装置においては、請求項2記載の発明と同様に不純物を排出位置まで強制的に寄せ集めるという作用を有するため、不純物の回収を連続的に行うことができる。しかも、ベルトに不純物を接触させて回収することができるので、排出位置まで到達する間に不純物が水洗槽壁に当たって跳ね返り、しばらく水面に浮遊又は停滞するといったことがなく、請求項2記載の発明よりも確実に回収できてその時間も短いという有利な効果を有する。
また、ベルトは不純物を水洗槽から順次取り除いて不純物が水面に滞留しないから、連続的に回収を行うことができる。これに加えて、不純物は決められたベルト上のみを順次移動することから水洗槽壁の手前といった排出部分以外の位置に停滞することが少ない。よって回収効率が良い。
この他、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のコンクリート廃材の再生利用装置と同様の有利な効果を有する。
【0024】
本発明の請求項7記載のコンクリート廃材の再生利用装置においては、送風機が軽量不純物を水洗槽投入前にあらかじめ取り除いていることから、この後水洗槽の水面に浮遊する不純物の量を減ずることができる。したがって、送風機を備えず水洗のみの場合と比べて水面の不純物の回収が容易である。また、風圧の強弱を自在に調節できるため、コンクリート廃材に含有されている不純物の種類や量に見合った風圧を発生させることができて便利である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1に係るコンクリート廃材の再生利用装置の工程フロー図である。
【図2】実施例1に係るコンクリート廃材の再生利用装置の全体構成図である。
【図3】実施例1に係るコンクリート廃材の再生利用装置を構成する水洗槽の平面図である。
【図4】実施例2に係る大径コンクリート廃材の搬出手段の側面図である。
【図5】実施例3に係る大径コンクリート廃材の搬出手段の側面図である。
【図6】実施例4に係る不純物回収機の側面図である。
【図7】実施例5に係る不純物回収機の側面図である。
【図8】実施例6に係る不純物回収機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0026】
本発明に係る実施例1のコンクリート廃材の再生利用装置について、図1乃至図3を用いて詳細に説明する。
図1は実施例1に係るコンクリート廃材の再生利用装置の工程フロー図であり、図2は全体構成図、図3はコンクリート廃材の再生利用装置を構成する水洗槽の平面図である。
図1に示すように、コンクリート廃材の再生利用装置が実行する工程は、ステップS1乃至ステップS11の工程からなる。
順を追って説明すると、原材料である不純物を含む破砕されたコンクリート廃材は、搬送(ステップS1)されてサイズ別選別(ステップS2)が行われる。
この選別サイズ以上の大きさを有する廃材は不純物を含む大径サイズ廃材としてそのまま水洗槽投入の工程(ステップS3)に入り、水中で撹拌・洗浄(ステップS4)される。その後、洗浄後の大径サイズ廃材は水洗槽内から搬出(ステップS5)される。
上記水中での撹拌・洗浄(ステップS4)において、大径サイズ廃材より分離されて水面に浮上した不純物は水面上で回収(ステップS6)され、水洗槽外へ排出された後に廃棄(ステップS7)される。
一方、選別サイズ以下の大きさを有する廃材は、別途小径サイズ廃材として回収(ステップS8)され、混合工程(ステップS10)に送るべく搬送(ステップS9)される。
以後、上記搬送された小径サイズ廃材と水洗槽から搬出された洗浄後の大径サイズ廃材は、混合(ステップS10)されて最終製品であるコンクリート再生材が完成(ステップS11)する。
【0027】
次に、実施例1に係るコンクリート廃材の再生利用装置1の全体構成について説明する。説明容易のため、その構成を大きく5構造に分けることとする。以下、図2及び図3を用いながら、各構造を構成する手段・要素等について示す。
構造(1)は、図2に示されるように、不純物を含むコンクリート廃材2を搬送(図1における工程ステップS1に相当、以下同じ)するためのコンベア3と、サイズ別の選別器4(ステップS2)から構成される。
コンクリート廃材2は、本発明で処理される原材料であって、土木・建築現場等で解体により発生した比較的大きい塊のコンクリート廃材をあらかじめ破砕したものである。この中には木クズ、プラスチックといった軽量不純物が多く含まれており、このままではコンクリート再生材としての品質基準を満たさない。そこで、これらが軽量であることに注目し、水の浮力等を利用してコンクリート廃材2の分離を行う。
まず、搬送コンベア3は、平行コンベアであって2個の回転駆動軸の周囲を巻回するベルトを有し、コンクリート廃材2を収容する容器と選別器4間に設置される。ベルトの運動方向は図2中の矢印のようである。
次に、選別器4は所望の径サイズを基準として廃材を選別する篩(ふるい)手段である。この篩手段は、搬送コンベア3とは反対の側が低くなるように、水平方向に対してやや傾斜が設けられている。また、本実施例1では選別サイズが15mmである。選別の結果、径が15mm以上の廃材は選別器4の篩手段上に残り、また15mm以下の廃材は篩手段下に貯留される。以後、大径の廃材は構造(2)に、また小径の廃材は構造(4)に搬送される。
なお、本実施例1では選別サイズを15mmとしたが、目的とする再生材の品質や用途等に応じて適宜変更可能であり、所望の選別サイズに設定するとよい。
次に、構造(2)についての説明を行う。
【0028】
構造(2)は、選別された大サイズの廃材を水洗槽に投入(ステップS3)して洗浄(ステップS4)し、これを水洗槽より搬出(ステップS5)する手段であって、投入器5と、水洗槽16と、水洗槽16内の水を撹拌するスクリューコンベア18とから構成される。
投入器5は、コンクリート廃材2のうち15mmよりも大きな径サイズの廃材を直接水洗槽16に投入するための案内手段である。投入器5は選別器4上部付近に開口して水洗槽16の水面10近くまで延ばされ、内部に空間を有している。また、投入器5の全長は可能な限り短くすることが望ましい。
水洗槽16は、選別され落下した大径の廃材を洗浄するためのもので、比較的大型の槽1基からなる。図2に示すのは水洗槽16の側面図であり、台形の上下を逆さにした形状で、周囲の壁面はある一定高さを有している。また、水洗槽16の一端の上縁付近に孔が開けられて排水管15が接続されている。さらに、水洗槽16の底面から1つの壁面にかけ傾斜式のスクリューコンベア18が立ち上がっている。
このスクリューコンベア18は、スクリューコンベア軸19の周囲に半円盤状のスクリュー羽根20が一定長さ毎に取り付けられ、軸19の回転に伴って羽根20も回転する。そして、これら全体を収容するスクリューコンベアトラフ21が設けられている。水洗槽16の底面側がスクリューコンベア18の先端で、その反対側が大径廃材17の搬出端である。
次に、トラフ21は水洗槽16内においては円筒形状のうち下半分のみに設けられ、水洗槽16外の部分は完全な円筒形状となるように覆われている。水洗槽壁はトラフ21を貫通させるよう開口しているが、水洗槽壁と円筒形状であるトラフ21との接続部分は隙間がない構造となっている。また、トラフ21は水洗槽壁を貫通することなく水洗槽の上縁に載置させるように構成してもよいが、後述する放水手段あるいは搬出手段との干渉を避ける必要がある。その場合でも水洗槽外の部分は完全な円筒形状となるように覆われることが望ましい。
また本構造(2)では、前述の軽量不純物が水中で大径廃材17より分離されるが、水面10に浮上した不純物については構造(3)で説明する。
【0029】
構造(3)は、軽量の不純物25が浮上した後の回収(ステップS6)及び廃棄(ステップS7)手段である。
回収手段は、水洗槽16への放水手段と水洗槽16外へ搬出する手段である(図3における不純物回収機28)。
図2のように、放水手段は、放水ヘッダー12と、これに給水するための給水管11と、複数個のノズル13から構成される。これらは一体化され、水面10の高さで水洗槽16の一端に設けられている。放水は、給水管11からの水が放水ヘッダー12を介して複数のノズル13にほぼ同時に供給され、ここから水面10に向かって平行に放出されて行われる。
また、搬出手段は、排出フィーダー14で、水面10の高さで放水手段とは反対の水洗槽16の一端に設けられている。排出フィーダー14は中央の軸周囲に数枚の湾曲した羽根が取り付けられた構造で、これが図2中の矢印で示される方向の回転運動をする。なお、排出フィーダー14は放水手段と対向する水洗槽16の一端であることが望ましいが、必ずしも対向していなくとも浮上した軽量の不純物25を回収できる場所であれば限定するものではない。
【0030】
次に、図3は、実施例1に係るコンクリート廃材の再生利用装置1を構成する水洗槽の平面図であり、上記回収手段を上方から平面視した場合で、不純物回収機28が示されている。水洗槽16は略五角形をしており、長方形状をした側に給水管11、放水ヘッダー12及び複数のノズル13が設けられている。これらノズル13から水面10全体を覆うように放水される。
なお、給水管11又はノズル13の個数は図中に示したものに限られず、適宜変更可能である。また、水洗槽16の形状も略五角形に限定するものではなく、平面視して四角形等でもよい。その場合には排出フィーダー14や図4に示される搬送コンベア30や図5に示される搬送コンベア34も幅広のものとして、構成されるとよい。
一方、これと反対の先端に排出フィーダー14及び排水管15が設けられている。
ここで、水洗槽16内の一点鎖線は、壁面及び底面が上方から見て谷折の立体構造となっていることを示したものである。
【0031】
再び図2に戻ると、構造(3)の廃棄手段(ステップS7)は、搬送コンベア26であって、水洗槽16から押し出された不純物25を受け止め、回収不純物27として廃棄する。
【0032】
続く構造(4)においては、構造(1)で選別された小径サイズの廃材が、別途回収(ステップS8)後、搬送(ステップS9)される。
構造(4)は、小径廃材6を搬送するためのもので、搬送コンベア7と、回収器8と、搬送コンベア9,22から構成される。搬送コンベア7は選別器4の底部に接続されている。次に、回収器8は筒状の内部に空間を有する形状で、搬送コンベア7終端部に開口し搬送コンベア9の起始部直上付近まで延びている。さらに搬送コンベア9は、搬送コンベア22が小径廃材6を受け取り可能な位置まで設置されている。
なお、搬送コンベア7,9,22及び回収器8は必須の構成ではなく、場合に応じて省略可能である。
【0033】
続いて、構造(5)について説明する。構造(5)は、洗浄後の大径廃材17と小径廃材6を再び混合(ステップS10)して最終製品であるコンクリート再生材(ステップS11)を生産するためのものであり、混合器23及びミキサー羽根36から構成されている。混合器23は、大径廃材17と小径廃材6がそれぞれ投入される開口部39,40を有し、混合物24が蓄積される底部には回転可能なミキサー羽根36が備えられ、大径廃材17と小径廃材6を撹拌可能としている。
なお、上記それぞれの開口部39,40の個数は必ずしも1個ずつである必要はなく、少なくとも1個あればよい。
この他、構造(5)は混合器23やその中に設けられるミキサー羽根36を設けることなく、大径廃材17と小径廃材6を地面に積み上げて、パワーショベル(図示せず)を用いて撹拌してもよい。この場合の構造(5)は、パワーショベルとなる。
【0034】
次に、実施例1のコンクリート廃材の再生利用装置1の作用について説明する。
構造(1)においては、搬送コンベア3がコンクリート廃材2の容器と選別器4間に設置され、そのベルトの運動方向が図2中の矢印のようであることから、コンクリート廃材2は選別器4の篩手段上に搬送される。
また、この篩手段は、搬送コンベア3とは反対の側が低くなるように水平方向に対してやや傾斜が設けられていることから、篩上部に残った廃材が貯まるにつれ、これが投入器5に自然に落ち込むことになる。
【0035】
続く構造(2)においては、投入器5が選別器4上部付近に開口して水洗槽16の水面10近くまで延ばされていることから、大径廃材17が飛散せずに水面10まで到達する。また全長を可能な限り短くすることで、大径廃材17の落下速度をできるだけ押さえるという作用を有する。
次に、水洗槽16に投入された後は、水洗槽16を側面から見た形状が台形の上下を逆さにしたものであるため、大径廃材17を底面のより狭い範囲に沈降させるという作用がある。また、図3のように、水洗槽16は、壁面及び底面が底になるにつれて水平の断面積が減少するテーパー構造となっていることも同様の作用をもたらす。この他、周囲の壁面はある一定の高さを有していることから、洗浄用水が大量に貯留される。
また、水洗槽16に排水管15が設けられているため、余分な洗浄水を水洗槽16外に排出させる。
さらに、水洗槽16の底面から1つの壁面にかけ傾斜式のスクリューコンベア18が立ち上がっているので、底面に沈降しつつある大径廃材17を水洗槽16外に搬出するという作用を有する。
この搬出作用について詳しく説明すると、以下のようである。スクリューコンベア軸19周囲にスクリュー羽根20が取り付けられた構造をしているので、大径廃材17は、水中でスクリュー羽根20の搬出端側に積載される。そして、軸19の回転に伴って羽根20も回転するので、大径廃材17は羽根20に巻き込まれたままトラフ21内を上昇し、羽根20の途切れる最上部まで搬出される。
また、スクリューコンベア18は上記の搬出作用に加えて、洗浄水を撹拌するという作用も有している。それは水洗槽内においては、スクリューコンベアトラフ21が円筒形状の下半分のみに設けられて上半分は羽根20が水洗槽16内に露出した構造であるから、羽根20の回転が直接水に波及するためである。さらに、この撹拌作用は、特にスクリューコンベア18下部に潜った大径廃材17を再度浮上させて羽根20に積載するという作用をもたらす。
【0036】
次の構造(3)においては、水が複数のノズル13にほぼ同時に供給されてここから水面10全体を覆うように平行に放水されるため、水面10に浮上した不純物25はくまなく排出フィーダー14の方へ押し流される。さらに、水洗槽16は上方からの平面視で略五角形をしており、その先端部に排出フィーダー14が設置されている構造から、押し流された不純物25すべてがこれに集中する。そして排出フィーダー14の羽根が前述の回転運動をすることで、集中した不純物25は水洗槽16外へ排出され、廃棄される。
【0037】
また、構造(4)では、選別器4の底部に搬送コンベア7が接続され、以降回収器8、搬送コンベア9と22が連続して配置されているので、後述の混合器23に投入する手前まで小径廃材6が搬送される。なお、小径廃材6は乾燥状態にあり微小な粉体も含まれるので、搬送途中で飛散しないようコンベアにカバーを取り付けてもよい。
【0038】
続く構造(5)については、混合器23に大径廃材17と小径廃材6を投入して、底部のミキサー羽根36が回転して撹拌することでコンクリート再生材が完成される。 また、パワーショベルを用いて洗浄後の大径廃材17と小径廃材6を撹拌する場合にも、均一な混合物が生産されて最終製品たるコンクリート再生材が完成される。
【0039】
次に、実施例1のコンクリート廃材の再生利用装置1の効果について説明する。
構造(1)においては、コンクリート廃材2を搬送コンベア3に積載して選別器4の篩手段上に搬送されること、及び篩上部に残った廃材が投入器5に自然に落ち込むことから、選別器4で発生した大径廃材17のほぼ全量が順次水洗槽16に投入されて安定供給がなされると同時に、投入までの時間もある程度調節可能である。
【0040】
構造(2)においては、投入器5により大径廃材17が飛散せずに水面10まで到達するため、大径廃材17の逸失率がほとんどゼロである。また、大径廃材17の落下速度ができるだけ押さえられることで、水面10を波立たせる原因を最小に留めることができ、浮上した不純物25を速やかに排出フィーダー14まで押し流すことができる。
また、水洗槽16の底面がテーパー構造となっていることから、沈降した大径廃材17が狭い範囲に集積されてスクリューコンベア18の撹拌作用を受け易くなる。よって、撹拌効率が向上し、大径廃材17同士が衝突する確率も増加するので不純物の分離が促進されるという効果を有する。
他にも、洗浄用水が大量に貯留されることから、大径廃材17が撹拌によって移動する範囲が広くなって、より水の抵抗を受けることになるので、同様に不純物の分離が促進される。さらに、スクリューコンベア18が大径廃材17を水洗槽16外に搬出することから、搬出のために水洗槽内の水を抜く必要がなく簡便容易に取り出すことができて、水抜きの手間とコストの負担がない。なお、大径廃材17を水洗槽16外に搬出する際には、これに付着した水分がスクリューコンベア18によって充分水切りされるため、大量に水洗槽内の水が減少することはない。よって、水の使用量を抑制することができる。
また、スクリューコンベア18の撹拌作用により、下部に沈潜した大径廃材17を再度浮上させて羽根20に積載することができるので、回収されずに底に残る大径廃材17をなくすることができる。さらに、前述のように不純物25の分離が促進されて、高品質の最終製品の生産につながる。
【0041】
次の構造(3)においては、水面10に浮上した不純物25が、くまなく排出フィーダー14の方へ押し流されて集約されることから、水面10上での不純物25の回収を連続的に行うことができ回収率も高くなる。加えて、排出フィーダー14の位置まで強制的に寄せ集めるので時間的効率が良い。
また、不純物25は順次排出されることから水面に滞留しすぎず、排出装置以外の部分から溢れ出しにくく、稼働中や稼働後の装置の保守管理に手間取ることが少ない。
【0042】
次に、構造(4)においては、選別器4の底部から後述の混合器23に投入する手前まで小径廃材6が搬送されるので、確実に小径廃材6を混合器23に投入することができ、逸失率が少ない。コンベアにカバーを取り付けた場合だとさらに逸失率は低下する。
【0043】
最後の構造(5)においては、二種類の廃材を混合することから、原材料の再利用可能な成分をもれなく利用することができるので、再生材の収量が多く資源を有効に活用することができる。また均一な混合物24が生産されることから、再生材としての品質が良い。さらに、洗浄後の大径廃材17と乾燥状態の小径廃材6を混合するため、適度に水分を含んだコンクリート再生材が得られる。
【0044】
以上から、実施例1に係るコンクリート廃材の再生利用装置1の全体的な効果について説明する。コンクリート廃材の再生利用装置1においては、水の洗浄力を利用して不純物を分離させることから、確実に不純物を除去することができる。
また、一度選別器にかけた廃材を洗浄するという比較的簡単な工程を経ることから、設備が大がかりとならず経済的である。
さらに、完成された再生材は一定の品質基準を充分満たすものであり、高品質な再生材の生産が容易であるといえる。
加えて、二種類のサイズのコンクリート廃材を混合して最終製品であるコンクリート再生材を生産することから、一種類の再生材しか生産できないものに比べて別途最終製品の生産設備を備える必要がない点も、経済的にかなり有利である。また、これにより廃材の再利用可能な成分をもれなく利用することができるので、再生材の収量が多く資源を有効に活用することができる。
また、各構造での処理が速やかに行われることから、再生材の生産の時間的効率が良好であり生産効率が向上する。
【実施例2】
【0045】
本発明に係る実施例2について、図4を用いて詳細に説明する。
図4は実施例2に係る大径コンクリート廃材の搬出手段の側面図である。なお、図1乃至図3で示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施例2に係る大径廃材17の搬出手段はバケットコンベア41であり、実施例1で構造(2)を構成するスクリューコンベア18を変形させたものである。
このバケットコンベア41は、スクリューコンベア18と同様に水洗槽16の底面から1つの壁面にかけ傾斜をつけて立ち上がり、水洗槽16の底面側が先端でその反対側が大径廃材17の搬出端となっている。そして、コンベア部としては無端環状に連ねたチェーン42が用いられ回転駆動する2軸47,47に巻回されている。これら2軸の地上からの高さは、搬出端側が高くなっている。さらに、チェーン42には複数のバケット43が一定間隔置きに垂下され、これら全体を収容するバケットコンベアトラフ46が設けられる。なお、コンベア部は、チェーンではなくベルトに変更することも可能である。通常、チェーンは金属製であり、ベルトはゴム製であるが、これらの材料に限定されるものではない。
次に、バケット43は、半球形状のバケット収容部44を有し進行方向(図4中の矢印方向)側にバケット収容口45が向けられている。バケット収容口45がコンベア41先端付近で貯留した大径廃材17に接触した後、バケット43はチェーン42の下側部分を傾き一定に保ちながら上昇する。このチェーン42の下側部分においては、バケット収容口45の外縁がトラフ46内側面に僅かな間隙をもって近接した状態を保っている。ここでバケット収容部44は、メッシュによって構成され捨水構造を有するが、捨水構造であればメッシュに限られず大径廃材17よりも小さな径の孔が設けられていてもよい。さらに、半球形状に限られず他形状でもよい。
また、バケットコンベアトラフ46も、実施例1のスクリューコンベア18と同様に水洗槽16内においては円筒形状のうち下半分のみに設けられ、水洗槽16外の部分は完全な円筒形状となるように覆われている。この他、水洗槽壁にトラフ46を通す開口部があり、水洗槽壁とトラフ46との接続部分は隙間のない構造となっていることも同様である。
【0046】
次に、実施例2の作用について説明する。実施例2に係るバケットコンベア41は、回転駆動する2軸47,47に巻回されたチェーン42に複数のバケット43が一定間隔置きに垂下された構造から、回転軸47,47の駆動によってチェーン42及びバケット43が進行方向に順次送り出される。また、その送り速度の大きさは自在に制御される。
このバケット43は、バケットコンベアトラフ46内側面上に貯留した大径廃材17にバケット収容口45側から接触することで大径廃材17を収容口45に積載する。その後バケット43が傾きを一定としたまま搬出端までチェーン42下側の軌道に従って上昇する。その間、収容口45外縁はトラフ46内側面に僅かな間隙をもって近接した状態が維持されることから、大径廃材17のバケットコンベアトラフ46外への逃げ場がなく、積載した大径廃材17を途中でこぼすことなく運搬する。その後、搬出端側の回転軸47部分において大径廃材17を放出落下させる。さらに、バケット収容部44が捨水構造を有することから、排水可能で搬出されるのは大径廃材17のみである。
さらに、バケットコンベアトラフ46が、水洗槽16内においては円筒形状のうち下半分のみに設けられていることから、バケットコンベアトラフ46は、水面10から沈降してくる大径廃材17の受け皿となる。加えて、水洗槽16外のバケットコンベアトラフ46は、バケット43から捨てられた水を受け止め水洗槽内に流すという作用を有する。
また、水洗槽16外の部分は完全な円筒形状で、水洗槽壁とトラフ46との接続部分は隙間のない構造となっていることから、水洗槽16の貯留水を漏洩させないという作用を有する。
【0047】
さらに、実施例2の効果について説明する。実施例2に係るバケットコンベア41は、回転軸47,47の駆動によって各バケット43が進行方向に順次送り出されることから、連続的に大径廃材17を搬出できて作業時間が短縮できる。バケット43は奥行きを備えており、大径廃材17をかき出すようにして取り込み、確実に収容して搬送することができる。
また、送り速度の大きさは自在に制御されることにより、作業時間予測の不確定要素をひとつ減少することができる。これとともに、送り速度が速すぎることによって収容した大径廃材17が浮揚し再び水中に戻ることのないよう、速度を適正に設定することができる。
さらに、上記の適正速度に加えて、バケット43が積載した大径廃材17を途中でこぼすことなく搬出端まで運搬することから、再び水中に戻る大径廃材17の量は極めてわずかであり、水洗槽16に投入された大径廃材17のほとんどを回収できて搬出効率が良い。
また、バケット収容部44が捨水可能な構造であり大径廃材17のみが搬出されるため、バケットコンベア41最上部から地上へと垂れ出す水の量が少なく、適正な水分量を含んだ最終製品が生産されるとともに設備の保守管理が容易である。
なお、本実施例においては、バケットコンベア41の回転方向を図4に示すとおり下側部分が上昇して、上側部分が下降するように記載したが、バケット43で大径廃材17を運搬可能な限りこの回転方向に限定するものではなく、逆に回転するものでもよい。このコンベアの回転方向に限定がないのは、次の実施例3においても同様である。
【実施例3】
【0048】
本発明に係る実施例3について、図5を用いて詳細に説明する。
図5は実施例3に係る大径コンクリート廃材の搬出手段の側面図である。なお、図1乃至図4で示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施例3に係る大径廃材17の搬出手段はベルトコンベア48であり、実施例2に係るバケットコンベア41を変形させたものである。
このベルトコンベア48は、バケットコンベア41と同様に水洗槽16の底面から1つの壁面にかけ傾斜をつけて立ち上がり、水洗槽16の底面側が先端でその反対側が大径廃材17の搬出端となっている。また、ベルトコンベア48は、回転駆動する2軸52,52に巻回された平行コンベアであり、これら2軸の地上からの高さは、搬出端側が高くなっている。ベルト49には複数の突起部50が一定間隔置きにベルト49平面に対して垂直に立っている。加えて、ベルトコンベアトラフ51がベルトコンベア48全体を収容する。
もちろん他にも、突起部50が設けられていないベルト49のみの構造も考えられる。
また、各突起部50は、コンベア48先端付近で貯留した大径廃材17に接触した後ベルト49の上側位置に周回し、これに続くベルト49の平行部をそのまま上昇した後、搬出端側の回転軸52部分においてベルト49の下側部分へともぐりこむ。ベルト49の下側部分において突起部50の外縁は、トラフ51内側面に僅かな間隙をもって近接した状態を保つ。ここで突起部50は、ベルト49の平面上のみに立設しているが、側面にも設けられてよい。すなわち、突起部50を上方視した場合にコの字状(開放端が進行方向)となっていてもよい。さらに、突起部50には大径廃材17よりも小さなメッシュや小さな径の孔が設けられていてもよい。また、突起部50を設けない場合でも、ベルト49に例えば大径廃材17よりも小さな一部分メッシュの箇所を設けたり、あるいは小さな径の孔を設けて捨水構造としてもよい。
そして、ベルトコンベアトラフ51、水洗槽壁の開口部、水洗槽壁とトラフ51の接続部の構造は、実施例2と同様である。
【0049】
次に、実施例3の作用について説明する。実施例3に係るベルトコンベア48は、回転駆動する2軸52,52にベルト49が巻回され複数の突起部50がこのベルト49平面に対して立設された構造であることから、回転軸52,52の駆動によってベルト49及び突起部50が進行方向に順次送り出される。また、その送り速度の大きさは自在に制御される。
この突起部50は、ベルトコンベア48先端付近で貯留した大径廃材17に接触した後、ベルト49の上側の平行部を上昇してくることから、大径廃材17を搬出端側へと押し進める。その後、突起部50は搬出端側の回転軸52部分において向きを変え突起部50先端を下方に向けることで、大径廃材17を放出落下させる。さらに、回転軸52,52の地上からの高さは搬出端側が高くベルトコンベア48が水平でない構造であるから、水洗槽16外に出た途端に水はベルト49からベルトコンベアトラフ51に垂れ落ちて、搬出端においては余分な水分がほとんど残っていない。よって、搬出されるのは大径廃材17のみである。
また、突起部50が設けられていない構造であっても、大径廃材17を搬出端側へと押し進めこれを水洗槽16外に搬出させるという同様の作用を有する。そして、ベルトコンベア48が水平でないことから、この構造においても廃材のみが搬出される。
また、突起部50をベルト49の平面上及び側面に設けることで、ベルトコンベア48の上昇途中にベルト49上から大径廃材17がこぼれ落ちることがほとんどない。突起部50のない構造であっても、大径廃材17はある程度落下せずに搬出される。
この他、実施例2に係るバケットコンベア41と同様の作用を有する。
【0050】
さらに、実施例3の効果について説明する。実施例3に係るベルトコンベア48は、突起部50を設けることでベルト49上から大径廃材17がこぼれ落ちることがほとんどないため、確実にこれを水洗槽16外に搬出できる。しかも、大径廃材17は突起部50に引っ掛かかり搬出速度を速くしてもその状態が保たれるため、大径廃材17をもれなく搬出することが可能であり搬出効率の向上とともに作業時間の短縮につながる。
また、突起部50のない構造では、大径廃材17がベルト49から落下する可能性も考えられるが、搬出速度を緩やかにすることで突起部50を設けた場合と同様にこれをもれなく搬出することが可能である。
前述のような捨水構造を設けることで、突起部50やベルト49に溜まる水を水切り可能で大径廃材17のみを搬出可能である。
この他、実施例2に係るバケットコンベア41と同様の有利な効果を有する。
【実施例4】
【0051】
本発明に係る実施例4の不純物回収機29について、図6を用いて詳細に説明する。図6は不純物回収機29の側面図である。なお、図1乃至図5で示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6に示すように、実施例4に係る不純物回収機29は、実施例1に係るコンクリート廃材の再生利用装置1と同様の水洗槽16と、スクリューコンベア18と、搬送コンベア26を備えている。しかし、水面に浮上した不純物25を回収する手段が異なっている。
構造(3)のとおり実施例1の不純物回収手段は、一体化された放水ヘッダー12、給水管11及び複数個のノズル13と、排出フィーダー14である。これに対し、本実施例4では搬送コンベア30が設置される。搬送コンベア30は搬送ベルト31を備えた平行コンベアである。搬送ベルト31は、回転駆動する2軸37,37に巻回され、図6中の矢印の方向へ水平に作動する。
高さ位置については、上側のベルトが水面10にほぼ接するよう水面10から下に回転軸37,37が設けられている。
水面10上においては、搬送コンベア30は水洗槽16短辺の中央部に、長辺に対して平行に配置されている。その長さは水洗槽16上縁の長辺とほぼ等しく、横幅は実施例1の排出フィーダー14の横幅と等しい。
また、給水管についても、水洗槽16底面に開口部がある給水管32となっている点が異なっている。
【0052】
次に、実施例4の作用について説明する。上側のベルト全体が水面10にほぼ接する程度に設けられていることから、浮上した不純物25が搬送ベルト31に接してこの上に積載される。さらに、不純物25がベルト31に接しているために、ベルト31が水平運動をしても、不純物25がベルト31から離れて再び水中に戻ることが少ない。
また、搬送コンベア30は水洗槽16短辺の中央部に、槽16上縁の長辺一杯に設けられていることから、中央部では水洗槽16の長辺全体に渡って不純物25が積載される。中央部以外の水面10においても、搬送ベルト31の作動に伴い表面水がその方向に引っ張られるので、これを補充するための水の湧昇が起こり、搬送ベルト31の左右両側ではベルト31に向かう表面水流が発生すると考えられる。よって、不純物25はこの流れに巻き込まれベルト31に接触してこの上に積載されることになる。
他には、搬送ベルト31は上記のように一定長さを有し、連続して稼働することから、不純物25は必ず一定時間内で水洗槽16外に排出される。この後不純物25は、搬送コンベア26を経由して廃棄される。
【0053】
さらに、実施例4の効果について説明する。浮上した不純物25が搬送ベルト31に積載されるので、不純物25を強制的に回収できる。そして、不純物25がベルト31に接していることや、ベルト31に向かう表面水流が発生すると考えられることから、不純物25がベルト31から離れて再び水中に戻りにくい。したがって、水洗槽壁の手前といった排出部分以外の位置に停滞することが少なく、不純物25を確実に回収できる。加えて、水洗槽16長辺全体に渡って不純物25が積載されるために回収効率が良好である。
また、不純物25は再び水中に戻りにくいことと、必ず一定時間内で順次排出されることから、回収及び排出を速やかに行うことができる。
そして、後述のように搬送コンベア30の本数を変化させたり、実施例1のノズル13を組み合わせることができるので、水洗槽16の大きさや求める洗浄力に対処するための様々な変形が可能となる。よって、汎用性が良くなり利用可能な範囲が広い。
【0054】
なお、搬送コンベア30は、本実施例4では水洗槽16短辺の中央部に1本設置されるが、水洗槽16の幅によっては本数を増やしてもよい。また、搬送コンベア30を水洗槽16の中央部に設置したうえ、さらに複数のノズル13を搬送ベルト31に放水される向きで、水洗槽16壁面上縁に設置してもよい。
【実施例5】
【0055】
本発明に係る実施例5の不純物回収機33について、図7を用いて詳細に説明する。図7は不純物回収機33の側面図である。なお、図1乃至図6で示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7に示すように、実施例5に係る不純物回収機33は、実施例4に係る不純物回収機29の搬送コンベア30を高さ位置について変化させ、搬送コンベア34としたものである。このコンベア34は、下側の搬送ベルト35が水面10に接するように水面10から上に回転軸38,38が設けられている。また、この変化に伴って搬送ベルト35が作動する方向は図7中に示されるとおり、図6の矢印の方向とは逆である。
この他の構成は実施例4に係る不純物回収機29と同様である。
【0056】
次に、実施例5の作用について説明する。下側の搬送ベルト35が水面10に接するように設けられていることから、浮上した不純物25がベルト35に接触して作動方向へと押し流される。さらに、不純物25は浮力を受けて常に浮上しようとしてベルト35に接触するので、ベルト35が水平運動をしても、これから離れて再び水中に戻ることが少ない。
また、搬送コンベア34は実施例4に係る搬送コンベア30と高さ以外は同様の位置に設置されていることから、水洗槽16中央部以外の水面10においても、搬送ベルト35の作動に伴うベルト35方向への表面水流が発生すると考えられる。よって、不純物25はこの流れに巻き込まれベルト35に接触して作動方向へと押し流されることになる。
この他の作用については、実施例4に係る不純物回収機29と同様である。
【0057】
さらに、実施例5の効果について説明する。浮上した不純物25が搬送ベルト搬送ベルト35に押し流されるので、不純物25を強制的かつ確実に回収できる。
またこの他、実施例4に係る不純物回収機29と同様の有利な効果を有する。
【実施例6】
【0058】
本発明に係る実施例6の不純物回収機53について、図8を用いて詳細に説明する。図8は不純物回収機53の側面図である。なお、図1乃至図7で示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8に示すように、実施例6に係る不純物回収機53は、送風機54、斜台57及び回収器58を備えている。この変形に伴い実施例1における構造(2)の投入器5は用いられていない。しかし、投入器5を全く用いることができないのではなく、全長をより短縮したものを設置することは可能である。
送風機54は、送風羽根55及び案内筒56から構成され、選別器4の篩手段上に残った大径廃材17が水洗槽16に落下投入される途中に設けられる。この送風方向は落下途中の大径廃材17の方に向けられ、また案内筒56の先端は大径廃材17にできるだけ近づくように設置される。さらに、風圧の強弱は自在に調節される。
次に、斜台57は、送風機54によって吹き飛ばされて大径廃材17から分離した軽量不純物25aを回収器58に回収するための部材である。斜台57の起始部は大径廃材17にできるだけ近づく位置から開始され、終端部は水洗槽16長辺の外側まで延ばされる。その高さは送風機54から遠い側が低くなって、傾斜がつけられている。
さらに、回収器58は、上記軽量不純物25a及び排出フィーダー14によって排出された不純物25bを落下させ回収するための部材である。その形状は、斜台57と同様に大径廃材17にできるだけ近づく位置から開始される天井部とそれから下方に連なる鉛直部を有する。鉛直部は不純物25bを回収するための開口部が設けられ、略円筒形状をしている。回収器58は斜台57を組み合わさることで、フード形状をなす。
また、送風機54からの送風を逃がすため、例えば送風が直接当たるような回収器58の一部分に排気口を設けることも考えられる。
【0059】
次に、実施例6の作用について説明する。送風機54が、大径廃材17が水洗槽16に落下投入される途中に設けられ、その方向が大径廃材17に向けられていることから、水洗槽16投入前に大径廃材17に含まれる軽量不純物25aを送風機からの風圧で吹き飛ばすという作用を有する。
また、案内筒56の先端は大径廃材17にできるだけ近づいて設置されていることから、風が分散することなく大径廃材17に当たる。
加えて斜台57の起始部も、大径廃材17にできるだけ近づいて設置されていることから、吹き飛ばされた軽量不純物25aをより多く斜台57上に導くという作用を有する。吹き飛ばされた軽量不純物25aのうち斜台57に積ったものは、その傾斜と送風のために回収器58の鉛直部に落ち込み回収不純物27となる。
さらに、回収器58の一部分に排気口を設けることを行えば、送風機54からの送風が回収器58外に逃れ、一旦集積した回収不純物27に送風が届くことがない。
【0060】
さらに、実施例6の効果について説明する。軽量不純物25aが水洗槽16投入前に送風機54によって選別されることから、同時に二種類の不純物(軽量不純物25a及び不純物25b)を発生させ回収することができる。また、大径廃材17との付着力が弱く、排除するのに水洗の必要性が低い軽量不純物25aを水洗槽16投入前に取り除くことができ、水洗で発生する不純物25bの量を減ずることができる。したがって、水洗槽16のみ備えている場合と比べて回収不純物27の回収が効率的であり、廃棄作業をより早く終えることができる。
また、風圧の強弱を自在に調節できるため、大径廃材17に含有されている不純物の種類や量に見合った風圧を発生させることができて便利である。
なお、本実施例6では、大径廃材17の搬出にスクリューコンベア18を用いているが、実施例2で説明したバケットコンベア41及びバケットコンベアトラフ46を用いてもよいし、実施例3で説明したベルトコンベア48及びベルトコンベアトラフ51を用いてもよい。さらに、実施例4や実施例5で説明したように、水面10に浮遊する不純物25bの搬出には搬送コンベア30,34を用いた不純物回収機29,33を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
請求項1乃至請求項7に記載された発明は、土木・建築現場等で解体によって大量に発生したコンクリート廃材中の軽量不純物除去に適用可能である。また、除去することで一定の品質基準を満たすコンクリート再生材の生産に適用可能である。他にも、コンクリート廃材のような固形物のみならず、産業廃棄物として発生するスラッジを再生材として利用するための装置としても適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…再生利用装置 2…コンクリート廃材 3,7,9,22,26,30,34…搬送コンベア 4…選別器 5…投入器 6…小径廃材 8,58…回収器 10…水面 11,32…給水管 12…放水ヘッダー 13…ノズル 14…排出フィーダー 15…排水管 16…水洗槽 17…大径廃材 18…スクリューコンベア 19…スクリューコンベア軸 20…スクリューコンベア羽根 21…スクリューコンベアトラフ 23…混合器 24…混合物 25,25b…不純物 25a…軽量不純物 27…回収不純物 28,29,33,53…不純物回収機 31,35…搬送ベルト 36…ミキサー羽根 37,38,47,52…回転軸 39,40…開口部 41…バケットコンベア 42…チェーン 43…バケット 44…バケット収容部 45…バケット収容口 46…バケットコンベアトラフ 48…ベルトコンベア 49…ベルト 50…突起部 51…ベルトコンベアトラフ 54…送風機 55…送風羽根 56…案内筒 57…斜台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を含む破砕されたコンクリート廃材を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の下流側に設けられ、前記コンクリート廃材のうち,所望の径サイズを基準として小さな径サイズを排除して大きな径サイズのコンクリート廃材のみを抽出する選別手段と、
前記選別手段で抽出された大きな径サイズのコンクリート廃材を投入する水洗槽と、
前記水洗槽内に浮上した不純物の回収手段と、
前記水洗槽内に沈降した前記大きな径サイズのコンクリート廃材を前記水洗槽から搬出する搬出手段と、
前記大きな径サイズのコンクリート廃材を搬出する前記搬出手段の下流側に設けられ、前記大きな径サイズのコンクリート廃材と排除された前記小さな径サイズのコンクリート廃材とを混合する混合手段と、
を備えることを特徴とするコンクリート廃材の再生利用装置。
【請求項2】
前記回収手段は、前記水洗槽の上端部に設けられた放水ヘッダーと、この放水ヘッダーに設けられ,水を放出して水流を発生させ,前記水洗槽の水面に浮上した不純物を移動させる複数のノズルと、前記移動した不純物を前記水洗槽から取り除く排出装置と、を備えることを特徴とする請求項1記載のコンクリート廃材の再生利用装置。
【請求項3】
前記搬出手段は、回転駆動する2軸に巻回されたコンベア部と、前記コンベア部に垂下され,収容部を捨水可能に構成されるバケットと,からなるバケットコンベアと、このバケットコンベアを収容するトラフと、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置。
【請求項4】
前記搬出手段は、回転駆動する2軸に巻回されたベルトを有するベルトコンベアと、このベルトコンベアを収容するトラフと、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置。
【請求項5】
前記搬出手段は、回転駆動する軸の周囲にスクリュー羽根を設けたスクリューコンベアと、このスクリューコンベアを収容するトラフと、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート廃材の再生利用装置。
【請求項6】
前記回収手段は、回転駆動する2軸に巻回され,前記水洗槽の中の水面に浮上した不純物に接触して水面を移動させ,前記移動した不純物を水洗槽から取り除くベルトを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のコンクリート廃材の再生利用装置。
【請求項7】
前記選別手段は、前記コンクリート廃材から軽量不純物を取り除く送風機を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のコンクリート廃材の再生利用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−264452(P2010−264452A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−180167(P2010−180167)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(510160052)株式会社宮本建材 (1)
【Fターム(参考)】